64: ◆cAx53OjAIrfz 2013/07/02(火) 00:32:00.81 ID:BXdQXBXW0



モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


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  相変わらずチグハグな街だ、名前ではネオトーキョーと名乗ってはいるが河川は淀み、街は荒廃しているようにすら見える。
とてもまともな見立てで立てた街じゃない、どの法則も無視して取り敢えず立てたような町並み。
どちらかと言うと、この街は昔あったような九龍城砦に似ている。
一言で言うと滅茶苦茶、この意匠は明らかに何も寄せ付けない形になっている。

早苗「まあ、こういう時は元の職に頼るに限るわ」

そう言って服の袖を捲る、今日は面倒なことになりそうだった。
ネオトウキョウは全部で何層にも別れた、ウェハースのように広がっている。
下層に行くほどドブや、『歪み』そして様々な情報が増えてくる。

П「……で?今何と」

早苗「勿論、ネオトーキョーに行くわよ、準備しなさい」

露骨に嫌そうな顔をしてくれる、そりゃそうか。

П「どうせ、また露骨に嫌なものを見せてくれるんだろ」

早苗「そりゃあそうよ、じゃなきゃ君を一人でここに呼び出したりはしないもの」

思いっきり嫌な顔をされた、まあ仕方がない、何しろ今は量より質、優れた人材がほしいもの。

П「自分でどうにか出来ないことを、人にやらせようとするんじゃない」

早苗「そうなるかはまだ決まってないわよ、ただそうなるかもしれないってだけ」

今日向かう場所はネオトーキョー、埋立地と名目して作られた迷宮都市、地下部である。
車を走らせ、隣で奇妙な新聞…何でもゴースト付きが出た、企業の闇…という紙面に目を走らせる青年を見る。
何とも緊張感にかけた顔で、車の中にあったスルメイカを貪っており、目は眠たげな顔をしている。
これから、命がけの仕事に行くとは思えない顔だ。







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それは、なんでもないようなとある日のこと。


その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
 
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

 
それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
突然超能力に目覚めた人々が現れました。
未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。

それから、それから――
たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。

その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。

ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。



「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。


・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。





シリーズはここからご覧ください
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズ一覧
    




65: 2013/07/02(火) 00:35:45.13 ID:BXdQXBXW0
П「で、今日は何を探しに行くんだ」

早苗「言うなれば悪いやつ探し、詳しく言うと昨日このネオトーキョーにアンダーワールドってとこから来てる奴が、停泊しているみたいね」

П「へぇ、どんな目的だ」

早苗「アイドル攫いが目的ですってよ」

П「今時熱心な追っかけも居たもんだ」

何とも緊張感にかける、だがコイツは生まれてこの方、ずっとこの調子で生きてきたのだ。
天邪鬼で、人を困らせるのが大好き、だが根が腐っているわけではない。

早苗「アンダーワールドの人間は元来目が悪い、そして高度な技術力を持っているそうよ」

П「へぇ、何でわかるんだ?」

早苗「何時ものアレよ」

П「ああ、アレか」

そう言うと二人共黙りこみ、早苗は運転、Пはイカの咀嚼に勤しむ。

П「あぁ…くっせぇ……」

隣席でイカを咀嚼してゲップをしたПがボッソリつぶやいた、確かに臭い勿論2つの意味でだ。
一つ目は隣でスルメとコーヒーを食って、ゲップしたバカの吐く息。
もう一つは、第2の九龍城塞とも言えるネオトーキョー地下部、そしてある意味人類の坩堝である。

66: 2013/07/02(火) 00:37:28.14 ID:BXdQXBXW0
早苗「あぁ!もうその臭い息どーにかしなさい!」

そう言って口内へペパーミントの清涼剤を放り込む、Пが口をムグムグと動かすと、ふぁぁと間延びしたあくびが出てきた。
コイツここに捨てて行こうかしら……

早苗「ここからは歩きよ、と言っても隣の部屋だけど」

П「こんなトコまで物好きなこったなぁ、ええ?『風水師』さんよ」

早苗「……まあね、此処でしか集まらないものも、あるからかしら」

片桐早苗、通常時はただの婦警だが、その情報網は自分の足と過去に得た能力によるものである。

早苗「まさか今更になって、この能力が役に立つなんてね」

五行…世の中を5つの要素とした時、土、金、水、木、火の5つに分けられる、風水師はそれを操る者の事である。

早苗「まあ、簡単に言うと土地を整理して、大地の能力を自分の味方につけるものってことね」

П「しかし嫌な警官だなお前も、悪徳企業が生んだ『歪み』を利用して、逆に弱点にするとはね」

早苗「褒められたもんじゃないけどね、ま、直せないなら利用するだけよ」

風水師は本来はこういう街に立ち入って、土地を整えるのが仕事だが。
金は誰も寄越さないし、こういう街は寧ろ訝しんで拒否されるのがオチだ。
だったら、逆に歪みを集めて『誰も立ち寄れない空間』を作ればいい。

早苗「そこだけに歪みが集まる、そしてそれを利用すれば、悪魔も神様も気味悪がって近づかない地域の完成、ってわけよ」

今回は早苗の指示通り通って此処にたどり着いたが、自分一人、もし能力無しで帰ることは不可能だろう。

П(だって、此処らへん全部空間が歪んでるんだもんなぁ)

コンパスは磁気を狂わされるし、地形は流体的に動き、常に変動し続ける。

П「なる程、そりゃあ誰も近づかないわ」

67: 2013/07/02(火) 00:40:23.46 ID:BXdQXBXW0
この部屋と隣の部屋は固定されているが、今もこの中心点以外は流体的に動作し続けている。

П「他に此処に辿り着ける奴は居るのか?」

早苗「たどり着いたからさっき入り口に、ドロドロに溶けた人間が落ちてたのよ?」

П「……」

人外魔境、所謂『歪み』によって生じた波に運悪く深くまで呑まれた人間は、生きた氏体として延々彷徨い続ける。
恐らく、この歪みによって氏ぬことすら出来ず、このままあの人間はあそこにあり続けるのだろう。
先程の臭いの原因…恐らく、チンピラであろう蠢く肉塊をもう一度見返した。

早苗「まあ、半氏体がただのチンピラで良かったわ」

そう言って、道中で拾った車内の『女の子』に目を配る。

П「……」

早苗「あんたも、本当に昔のトラウマが消えないのね」

部屋に札を貼り直し、部屋の維持を強固にしつつ、早苗が呟く。

П「どうでもいいだろ、んな事」

早苗「…まあ、いいけどね」

半分呆れたように部屋の整備をし終え、酒を地面に振りまきマッチで火を付ける。
すると地面が歪み、今のネオトーキョーの地図を作り出し、目的の男の顔と場所の地図を映し出す。

早苗「歪みは様々なもの……言うならば情報も集めて動き続ける、それでこの男を見つけて終了ってわけよ」

П「…で、どうすんだコイツ」

早苗「……アンダーワールドの人間は『日本国内には居ない』……法的に居ない人間を法律で氏刑には出来ないわ」

П「……嫌だなぁ」

68: 2013/07/02(火) 00:43:13.42 ID:BXdQXBXW0
パシュン……カランカラン、という音が聞こえたような気がした、だがそれ以上にお腹が空いていた。

どうやら自分は、誰かの車の中に居るようだ。

小梅「………?」

外を見ると、渋い顔の男とやけに疲れた婦警のような風貌の二人が銃をカバンに閉まって、コチラにあるってくる様が見えた。

小梅(も…もしかし……て、き…企業のお、追手…?)

小梅が昨日見た記憶を思い出し、そして……心臓が高鳴るのを感じた。

二人は銃を車のトランクに仕舞うと、ドアを開けた瞬間鼻腔になぜだか、爽やかな安らぎを感じる匂いを感じた。

小梅「……?」

П「……起きたのか」

小梅「……だ、誰…?」

早苗「片桐早苗……『普通の東京の警官』よ」

П「ただの…『女子寮のオッサン』だよ」

小梅は何となく、Пの方からする匂いが気になり、鼻をヒクヒクさせていると、Пが何を思ったのかスルメを手渡し。
早苗に思いっきりケツを蹴られたのだった。

П「おい!いてぇじゃねぇか!」

早苗「バカやってないで早く出すわよ!何時追手が来るかもわからないんだから」

そう言うと、小梅がスルメを取り敢えずしゃぶっている中、二人が騒がしく車を出すのを見て、一先ずもう一度眠りに付くことにしたのだった。

69: 2013/07/02(火) 00:45:19.81 ID:BXdQXBXW0
今日はここまで

今日の出来事。

謎の出資者『奥山沙織の確保の直接の依頼者』がおっ氏にやがりました、凶器はライフルと見られていますが、『弾に比べて、射程を遥かにオーバーした距離からの脳幹への一撃』です。

地下に逃げ込んだ白坂小梅が『女子寮』に一時的にドナドナされました。

ネオトーキョー地下空間にゴールのない、『不思議なダンジョン』が形成されました、運があるなら抜けれるかも。

追加設定

片桐早苗(28歳)

能力:風水師(New)

能力は風水師、直接的戦闘は苦手だが、その分『土地を変質』させて戦うことが出来る。(New)
また、各地の『土地』から情報を集め、行動することが出来る。

П(読み:ペー)(23歳)

過去のトラウマにより親しい人間や、子供が傷つくと精神軸が揺らぎ、吐き、ヘタすると気絶する。

『歪み』

空気の淀みや、汚れ、穢れが溜まって重積したもの、最終的に土地を異界へ変質させる。
そこへはまともな人間なら、誰も本能的に立ち寄らない。
本来は、自然の力によって浄化されるべき存在だが……?

70: 2013/07/02(火) 00:48:13.51 ID:WaXLz+2q0
乙ー

やったね。小梅ちゃん保護されたよ




【次回に続く・・・】



: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3