88: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/07/02(火) 03:16:21.05 ID:pe0K5Xico



モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ




 小関麗奈は苛立っていた。
それもそのはず。
ここ最近、自分の悪役としての存在意義があまりにも薄い。

自称ではあるが『悪のカリスマ』であり、この世界を征服するほどの能力を持っていながら『南条光』こと『ブライト・ヒカル』には毎回の様にあっさりと敗れ、あまつさえ先日転校してきた『望月聖』には手も足も出なかった。

麗奈「(これじゃあ、アタシがまるでやられ役のザコじゃないのっ!!)」

今、世界ではほぼカースの存在で話題を持ちきり。
『ミッシェルフ・レイナサマ』の名など誰も気に留めていないのではないか。

麗奈「(いや、光だけはそれでもアタシを悪人扱いしてくれるだろうけど…)」

麗奈「……はぁ」

ため息。
虚しい。

小関麗奈は幼き頃から自分自身を誰よりも尊い存在だと信じていた。
だからこそ、その名を。
その存在をこの世界に知らしめさせ、それを周りに認めさせたかった。

けれども、その術がわからなかった。
とりあえずイタズラをして周りを困らせてみたが、時には生暖かい目で見られたり、冷たい視線で見られたりと『悪のカリスマ』と呼ばれる存在には程遠かった。







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それは、なんでもないようなとある日のこと。


その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
 
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

 
それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
突然超能力に目覚めた人々が現れました。
未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。

それから、それから――
たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。

その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。

ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。



「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。


・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。





シリーズはここからご覧ください
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズ一覧
    




89: 2013/07/02(火) 03:17:48.59 ID:pe0K5Xico
ただのイタズラっ娘としか見られない毎日。
しかし、そんなある日のことだった。
麗奈は突如空から降ってきた闇に飲まれ変身能力を手に入れることになる。

その変身した姿が暗黒の鎧を身に纏う『自称・悪のカリスマ ミッシェルフ・レイナサマ』だ。

その力は麗奈のイタズラ心を膨らませ、様々なはた迷惑な行為を実現し可能とする。
麗奈は喜んだ。
あの日、自分を包んだ闇の正体が一体何だったのかはわからないが、この力さえあれば、自分の名を知らしめることが出来る。
世界が自分に跪き、そして敬うのだ。

笑いが止まらなかった。
ついに自分の存在を認めさせる日が来たのだから。

しかし現実は甘く無かった。
自分が変身能力を手に入れたと同時にクラスメイトの『南条光』も変身能力を手に入れ、毎回のように邪魔をする。
最初は『悪のカリスマ』にライバルは付き物だとは思ったが、どうも『南条光』は自分以外にもカースや他の邪悪な存在とも戦っているらしい。

現に先日、『南条光』が風邪で学校を欠席という話があったが、実際は自分以外の悪と戦っていたとの話だ。
それはその日に同じく体調不良を理由に欠席をしていた転校生の『望月聖』しかり。

やはりあの二人は仲間だったんだ。
だから『望月聖』も自分に立てついたわけだ。

麗奈「(だったら、まずはアタシっていう脅威をどうにかしなさいよねッ…!!)」

まるでオマケ扱いされているみたいで気分が悪い。
苛立ちは募るばかり。

90: 2013/07/02(火) 03:18:58.32 ID:pe0K5Xico
そもそも何故、麗奈が『南条光』と『望月聖』が欠席して本当の理由を知っているのか?
それは決して本人から聞いたわけでは無い。
つまり人づてに聞いた話だ。
では、誰がそのことをわざわざ麗奈に伝えるのか?

学校の授業が終わり、放課後。
携帯にある人物からのメールを受信し、麗奈は自分の教室を出て、人の立ち入らない空き教室へと足を運んだ。


―――そこに待ち受けていたのは悪戯っぽく微笑む小悪魔的な笑顔を持つ少女

―――否、邪悪な微笑みを浮かべる悪魔そのもの


雪菜「お疲れさまぁ♪」


―――「井村雪菜」こと「ルシファー」だった


麗奈「毎回思うんだけど、よく普通に中学校に忍びこめるわよね」

麗奈「アンタ、どう見ても高校生ぐらいなのに」

雪菜「そんなの簡単よぉ」

雪菜「私のメイクなら、女子中学生になることぐらいわけないことだもの♪」

麗奈「…あっそ」

91: 2013/07/02(火) 03:20:12.94 ID:pe0K5Xico
雪菜「結局今日は『南条光』ちゃんも『望月聖』ちゃんも学校には来なかったみたいねぇ♪」

雪菜「貴女と違って大忙しってところかしらぁ?」

ルシファーがケラケラと笑う。

麗奈「…っ!ケンカ売りに来たっての!?」

ルシファーの人を小ばかにしたような態度に麗奈が思わず吠える。

雪菜「ちょっとぉ、そんなに怒っちゃイヤよ?」

雪菜「むしろ、怒りたいのはぁ…」

雪菜「―――その力を与えてあげたのに、まるで有効活用しない貴女に対してってところなんだけど?」

麗奈「ぐっ…!」


―――あの日、空から降ってきて麗奈に力を与えた闇の正体

―――それはルシファーの持つ魔の力だった

92: 2013/07/02(火) 03:21:28.80 ID:pe0K5Xico
ルシファーは麗奈に自分の力を与えたその日から『南条光』に対する『望月聖』の接し方とは真逆、積極的に麗奈への接触を図っている。

雪菜「私としても困るのよねぇ、レイナちゃん」

雪菜「悪魔としての面目丸つぶれっていうのかしら?」

ルシファーの言葉が強く刺さる。
しかし、麗奈が闇の力を手に入れて結果を出させていないのは事実。
例え、プライドの高い麗奈とはいえ何も言い返せない。

麗奈「…アンタには悪いと思ってる」

麗奈「この力を与えてくれたことに…それなりに感謝してるし…」

ルシファーはいけ好かない性格だが自分の野望を叶えるために手を貸してくれた存在。
彼女の期待に応えられない悔しい気持ちは微かにあった。

そんな麗奈をよそにルシファーはさらに不満を浴びせ、そして…

雪菜「大体貴女のやってる悪事って、しょっぼいのよぉ」

雪菜「どうせならぁ…」

雪菜「―――クラスメイトを頃すぐらいしてみたらぁ?」

麗奈「なっ…!?」

―――13歳の少女には、あまりにも残酷な提案を持ちかけた

93: 2013/07/02(火) 03:22:25.31 ID:pe0K5Xico
麗奈「こ、頃すってあんた…」

ルシファーの提案に麗奈は思わず狼狽えてしまう。
麗奈はルシファーが悪魔だということは承知の上だったが、それほどその存在について深くは考えてはいなかった。

野望は世界征服といえど、誰かを傷つけてまでそんなことをしたいわけじゃない。
凄い力を手に入れて、自分が凄い人物だと周りに認めさせる。
麗奈にとってはただそれだけで良かったのだから。

しかし今は目の前にいる悪魔『ルシファー』の冷たい視線が、たまらなく恐ろしいものに感じた。

ルシファーはそんな麗奈の様子を見て肩をすくめる。

雪菜「呆れたわぁ。これぐらいの言葉で動揺しちゃうだなんてぇ」

雪菜「貴女の誰よりも人の上に立ちたいっていう「傲慢」の感情……」

雪菜「―――どうやら見込み違いだったみたいねぇ?」

麗奈「…っ!!」

怖い。
逃げ出したい。
けれど、足が動かない。

自分はこれからどうされてしまうんだろう?
そんな感情が麗奈を支配した。

94: 2013/07/02(火) 03:23:12.99 ID:pe0K5Xico
しかし麗奈の感情とは裏腹にルシファーはケラケラと笑う。

雪菜「あはっ♪そんな怯えなくても大丈夫よぉ♪」

雪菜「別に今ここで、貴女に何かをしようだなんて思ってないからぁ♪」

麗奈「……」

麗奈は微かに安堵する。
しかしそれもつかの間だった。

雪菜「でもぉ…」

ルシファーは言葉を続ける。

雪菜「流石に何かしらの結果は残してもらいたいものね」

麗奈「け、結果って…?」

麗奈は恐る恐る尋ねる。

雪菜「さっきも言ったでしょう?」

雪菜「―――頃すのよ。貴女のクラスメイト」

麗奈「…!?」

95: 2013/07/02(火) 03:24:10.82 ID:pe0K5Xico
雪菜「何も全員を殺せだなんて言わないわぁ」

雪菜「いるでしょう?貴女のクラスメイトの『南条光』こと『ブライト・ヒカル』」

雪菜「あの子を頃してもらおうかなぁ」

麗奈「な、南条を…?」

『南条光』

それは決して自ら友人とは呼べる存在ではないが『南条光』個人として麗奈のことを友人と見なしているため、決して関係性は薄くない。
その彼女を自らの手で殺める…?

雪菜「言っておくけど拒否権は無いわよぉ」

雪菜「私が与えた魔の力…本来なら人間を頃すことぐらい容易いことなんだから♪」

雪菜「そうねぇ…期限は今から1週間ってところ?」

雪菜「それまでに貴女が「南条光」を自らの手で殺めることが出来なかったその時はぁ…」

雪菜「―――私が貴女のこと、頃してあげる♪」

麗奈「―――!!」

雪菜「それじゃ、貴女の活躍を期待してるから♪」

そう最後に言い残しルシファーはその場から姿を消す。
空き教室には麗奈一人だけとなる。

麗奈「(アタシが南条を…)」

麗奈「(そうしないと…アタシ、殺されて…)」


―――ルシファーに課せられた『南条光』抹殺の命

―――そしてこの命が後に『小関麗奈』こと『ミッシェルフ・レイナサマ』の運命を大きく変えることとなる

96: 2013/07/02(火) 03:24:49.77 ID:pe0K5Xico
ルシファーは麗奈の元を去り、自らの思惑を巡らせていた。

雪菜「(別にレイナちゃんには期待していないけどぉ…)」

雪菜「(これで、もしも『南条光』ちゃんをホントに自分で頃したりなんかしてくれたら私の手間が省けて儲けものよねぇ♪)」

雪菜「(そしたら『天使様』はどう動くのかしら)」

雪菜「(それに自らの希望を魔の力によって、掻き消された時の反応…)」

雪菜「(うふ…考えただけでゾクゾクしちゃうっ♪)」

雪菜「(天使様…)」

雪菜「(…ううん)」

雪菜「(―――『聖ミカエル』)」

雪菜「(この世界が迎える結末が楽しみね…)」

雪菜「(さてと…私はそろそろ死神の姿に変身してお仕事しよっかな♪)」


―――『傲慢』の大罪を司る悪魔であり

―――そして『傲慢』の大罪を背負いし堕ちた天使

―――ルシファーは今日も『死神ユズ』の姿で一人ほくそ笑んでいた

97: 2013/07/02(火) 03:29:55.30 ID:pe0K5Xico
おわりです
軽くまとめると

雪菜さんは悪魔であり堕天使。
ひじりんは四大天使の一人。
レイナサマの力は雪菜さんが与えました。

四大天使はミカエル以外にもガブリエル、ラファエル、ウリエルがいるので使えそうだったら使ってください。

98: 2013/07/02(火) 03:41:05.05 ID:ycr+R0dAo
>>97
おつです
ひじりんの神々しさからすると、大天使と言われても納得
でも、そうなると一般的に天国とか天界と呼ばれるような世界もあるってことになるのかな


GDFと野々村さん投下します
相変わらず要らん展開が多いので状況に応じてスルーしてください…




【次回に続く・・・】



: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3