152: ◆TAACIbOrYU 2013/07/02(火) 21:03:30.93 ID:PkzLcA4xo



モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ




 未央「何て言えばいいかな……、一言で言うと、私天使なんだよね♪」

――うちに来る人はどうしてこうも一言目から訳わかんないことを言うんだろうか。

―――――ここは『プロダクション』。

――以下略。

未央「あっ、その顔は信じてないでしょ~!」

未央「本当に本当! 私は天使なんだよ!」

未央「自分の事を天使みたいに可愛いって自画自賛してるわけじゃ無くて!」

未央「んー、でも可愛いっていうのは別に間違ってないからいっか☆」

ピィ「はぁ……」

――本田未央と名乗った目の前の少女からは、

――『天使』のイメージから連想される『慎み』のようなものが全く感じられず、

――どちらかといえば親しみの湧くタイプの子で、

――元気よくハキハキと喋るその姿は、

――どこにでもいる普通の女の子にしか見えない。







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それは、なんでもないようなとある日のこと。


その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
 
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

 
それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
突然超能力に目覚めた人々が現れました。
未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。

それから、それから――
たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。

その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。

ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。



「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。


・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。





シリーズはここからご覧ください
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズ一覧
    




153: 2013/07/02(火) 21:04:01.09 ID:PkzLcA4xo

未央「じゃなくて」

未央「う~ん、天使……」

未央「としか言いようが無いんだよねぇ」

――何が何でも天使と言い張るつもりらしいが、

――早速説明に詰まっている。

未央「そうだ! 証拠見せてあげる、証拠!」

未央「羽出してあげるよ☆」

未央「ほいっ♪」

――言うやいなや、宣言通り羽が生えた。

――ぶわっ、と、

――6枚の、計3対の大きな羽が、

――事務所狭しと伸ばされる。

154: 2013/07/02(火) 21:04:29.65 ID:PkzLcA4xo
未央「上の羽二枚で顔を隠して、下の羽二枚で体を隠して、真ん中の羽二枚で空を飛ぶんだ~♪」

ピィ「わかった! わかったからしまってくれ!!」

――空間が圧迫されてかなわん。

―――――しかし、

――本当に天使……、

――に類する何らかの能力者かもしれないが……、

――とりあえず、認めよう。

155: 2013/07/02(火) 21:05:00.57 ID:PkzLcA4xo
未央「しかもそんじょそこらの天使じゃないよ!」

未央「なんと! 熾天使!」

――してんし、というのが、どうそんじょそこらの天使と違うのか、

――俺にはわからなかった。

未央「セラフィム!」

――英語で言われてもわからない。

未央「天使にラブソングを、でも歌ってたよね~」

未央「シング ウィズ アス いぇえ セーラーフィーム♪」

未央「いやぁ、いい歌だよねアレ」

――ついには歌を歌い始めた。

――このままでは話が進まない。

156: 2013/07/02(火) 21:05:29.11 ID:PkzLcA4xo
ピィ「ちょっといいかな?」

未央「おおっ! 何でも聞いて聞いてっ♪」

ピィ「……えっと、してんし?」

未央「うん、熾天使」

ピィ「……」

未央「……」

未央「ご存じない?」

ピィ「うん」

未央「え、マジで……?」

ピィ「マジで」

――なにやら、心底『信じられない』みたいな顔をされてしまった。

157: 2013/07/02(火) 21:05:55.96 ID:PkzLcA4xo
未央「天使の階級で一番偉いんだよっ!?」

未央「こう見えてすっごく偉いんだよ私!?」

未央「知らないの!?」

――へぇ、それはすごいな。

ピィ「でも、知らない」

未央「ラ~ファ~エ~ルっ!」

未央「ラファエル!」

未央「本田未央ちゃんの正体はラファエルなのでした!」

未央「知らないっ!?」

ピィ「まぁ」

――ラファエル、といわれても、

――ぶっちゃけ『熾天使』を知らないのだから、その中にどんな奴がいるかなんて余計わからない。

――というか、本田未央じゃないのか、

――お前は本田未央なのかラファエルなのかどっちなんだ。

158: 2013/07/02(火) 21:06:25.16 ID:PkzLcA4xo
未央「み、ミカエルは? ガブリエルは?」

ピィ「あ、それは何となく聞いたことある」

未央「やっぱりそうなんだ! そっちは知ってるのに私のことは知らないんだ!!」

未央「ああっ、影の薄いラファエルちゃん!」

――その二人の天使の名前なら、何となく知ってる。

――なるほど、ラファエルというのはその辺の天使と同格の存在、ということなんだろう。

未央「むかぁしアスモデウスをやっつけたこともあるのよ!?」

未央「今巷を賑わしてる七罪の悪魔のね!」

未央「それも知らない?」

ピィ「?」

――天使がどんな悪魔をやっつけた、みたいな逸話を聞かされても、

――全然ピンとこない。

――と、いうか……、

――巷を賑わしている? 七罪の悪魔?

――何の話だろうか、そっちの方が気になった。

未央「あー、ここにいる人たち皆モブだからねー」

――何やら非常に失礼なことを言われた気がする。

未央「いやー平和なのはいいことだよ、うん」

159: 2013/07/02(火) 21:07:29.17 ID:PkzLcA4xo
未央「あ、そうそう、藍子ちゃん」

藍子「はい?」

――お茶を汲みに来た藍子に唐突に未央が声を掛けた。

未央「彼女に力をあげたのも私☆」

藍子「えっ」

ピィ「えっ」

――いや、ちょっと待ってほしい。

――そもそも、藍子に能力があった、という事すら最近知ったのだ。

――しかもカースを退けた、という程度で、実際にどのような能力なのかもわからない。

――というか俺は本当に能力を持っていることに無自覚だった能力者を連れてきてしまったことになる。

――もう、とにかく藍子情勢に関しては色々と混乱しているので、

――これ以上話をややこしくしないでほしい。

160: 2013/07/02(火) 21:08:02.20 ID:PkzLcA4xo
未央「やー、だってさ、毎日よ?」

未央「皆が笑顔になれますように、優しい気持ちになれますようにってお祈りしてるの」

藍子「なっ、何でそれをっ!?」

ピィ「可愛い……」

藍子「ピィさんっ!」

未央「それがものっすごい純粋なお願いなんだもん!」

未央「私キュンキュンしちゃって」

未央「あげちゃお☆ って」

未央「あげちゃった♪」

――ものすごい軽いノリで、目の前のいわゆる『熾天使』様が、

――自分の力を、藍子に分け与えたことを説明した。

161: 2013/07/02(火) 21:08:34.11 ID:PkzLcA4xo
藍子「あの、それで私の能力っていったい……?」

未央「ズバリ! 癒しの能力!」

藍子「癒しの……」

――なるほど、合点がいった。

――藍子のあの尋常じゃない癒しオーラは、能力によるものだったのか。

――藍子自身の纏う雰囲気があんまり柔らかいもんだから気づかなかった。

未央「私は癒しの天使♪」

未央「その能力は人を癒すこと!」

未央「どんな傷でも立ちどころに癒しちゃうよー☆」

ピィ「……ちょっと待った」

未央「ん? なになに?」

――今の説明には違和感がある。

――藍子の能力は、癒しの能力だと言っていたが、

――傷を治す力は無かったはずだ。

――つまり。

162: 2013/07/02(火) 21:09:02.23 ID:PkzLcA4xo
未央「癒すの意味が違う……?」

未央「……」

未央「ほら、ニュアンスニュアンス」

未央「心の傷を癒す!」

未央「……ね?☆」

――こんないい加減なのが偉い天使なのか。

未央「何なら怪我を治す力もあげよっか?」

未央「あー、でもそうすると女神が誕生しちゃうな……」

未央「端的に言うとぐう聖」

ピィ「わかる」

藍子「ピィさんっ!」

――ただでさえ、藍子の側にいるだけで心身トロットロになってしまうのに、

――更に痛いところを治してくれるようになるとか……。

ピィ「女神!」

未央「聖女!」

藍子「もうっ! からかわないでくださいっ!」

163: 2013/07/02(火) 21:09:30.92 ID:PkzLcA4xo
ピィ「で、何でカースを浄化できるんだ?」

未央「簡単に言えばアンデッドに回復魔法が効くみたいな感じ?」

――今の説明でわかってしまった自分が嫌だ……。

――というかこの天使はゲームまで嗜むのか。

――そういえばさっき映画の話もしてたな。

――本当に普通の人みたいだ。

――普通の人……。

ピィ「『ラファエル』なのに『本田未央』を名乗ってるんだ?」

未央「あー、それね」

未央「幽☆遊☆白書の蔵馬みたいな?」

――どうやらマンガも読むらしい。

164: 2013/07/02(火) 21:09:59.56 ID:PkzLcA4xo
未央「『ラファエル』である私は、15年前人間の女の子に転生し!」

未央「本田家に生まれ『未央』という名前を貰い!」

未央「両親の愛情を一身に受け、すくすくと成長し!」

未央「『ラファエル』という人格と力を持ちつつも!」

未央「『本田未央』という15歳の女の子の感性も併せ持つ!」

未央「ハイブリッド天使!」

――ドヤ顔の解説はともかく、出自についてはよくわかった。

――というか……。

ピィ「マジで蔵馬じゃねえか!」

未央「ね! 初めて読んだ時びっくりしちゃった☆」

――事実は小説よりも奇なり、というやつだろうか。

165: 2013/07/02(火) 21:10:38.16 ID:PkzLcA4xo
未央「ほら、私って人間好きじゃない?」

ピィ「知らんけど」

未央「そうなの!」

――よくわからん自分語りが始まった。

――どうやら、およそ天使らしくない、と感じた彼女の性格は、

――15歳の少女である本田未央という肉体に起因してるらしい。

166: 2013/07/02(火) 21:11:31.33 ID:PkzLcA4xo
未央「ミカエルはねー、私達の中でも一番強いんだけど、何考えてるのか良くわかんないんだよねー」

未央「ガブリエルはほら、受胎告知で有名でしょ? でもソドムとゴモラ滅ぼしたりしてる恐ろしい部分もあるし」

未央「ウリエルはなんて言うか、厳格でさ、冗談が通じないっていうか」

未央「その点私は人間と一緒に旅したりする庶民派なんだー☆」

ピィ(うわぁ、すげぇどうでもいい……)

ピィ「へぇ~」

未央「露骨に面倒くさそうな顔するね、そんなんじゃモテないぞっ☆」

――イラッ☆

167: 2013/07/02(火) 21:12:00.26 ID:PkzLcA4xo
ピィ「本日こちらにいらっしゃった理由をお伺いしてもよろしいですか?」

未央「あっ、帰そうとしてるね?」

ピィ「はっはっは、まさかそんな」

未央「そうだねっ☆ んー……」

未央「特に意味など無いっ!」

ピィ「よし、帰れ!」

――何なんだ本当にコイツは。

未央「まぁまぁ、私藍子ちゃんのこと気に入ってるしー♪」

未央「それに……」

――藍子に注がれていた視線が、ちらりと揺れ、

――おちゃらけた口調はそのままに、未央が声のトーンを若干落とす。

未央「他にも気になる子が色々いるしね……☆」

――意味深なことを呟きながら、未央が見つめる先には、

――周子と、たまたま来ていた薫の姿があった。

168: 2013/07/02(火) 21:12:29.34 ID:PkzLcA4xo
ピィ「それはどういう……」

未央「あっ、そういえば☆」

未央「別にここって好きな時に来ていいんだよね?」

――うちの規則は緩い。

――物凄く緩い。

――『プロダクション』は一応まっとうな組織のはずだ。

――しかし、ここに所属することによって拘束時間が発生することは無い。

――個々人に仕事の依頼があれば別だが、

――その仕事すら無いのだ。

――健全で安全な能力の使用法の提案とその指導。

――うちの経営理念の一つだ。

――しかし、もう一つ。

――能力を用いた社会貢献。

――これが殆どと言っていいほど無い。

――たまに楓さんが草刈りの仕事なんかを依頼されているが、

――それ以外の人は、基本暇をしている。

――そんな状況でも、わざわざ来てくれるのはありがたいことだが、

――もはやただの溜まり場の様相を呈しており、

――そこへ、こいつも加わるのかと考えると……。

169: 2013/07/02(火) 21:13:38.53 ID:PkzLcA4xo
ピィ「おことわ―――」

未央「わーいっ! ありがとっ☆ ピィさんってばやっさし~♪」

――押し切られた。

――人の話を聞いちゃいない。

――来るなといってもきっと来るんだろう。

――もう、

――諦めた。

未央「まぁまぁ、面倒事は絶対に持ってこないからさ☆」

未央「よろしくねっ、えへへっ♪」

170: 2013/07/02(火) 21:14:21.71 ID:PkzLcA4xo
本田未央


熾天使の一人ラファエルが人間に転生した姿。
一応偉い天使のはずだが、性格は完全に15歳の少女のそれ。
明るく元気で人懐っこく、人間が大好き。

ラファエルとは癒しの天使であり、藍子にその力の一部を与えた。
聖と光の関係だね! 未央は随分明け透けだけど。

気分屋なので、昨今の騒動に首を突っ込んでくるかは不明。
ただし、自分と気に入った人に振りかかる火の粉は徹底的に払う。

171: 2013/07/02(火) 21:18:25.29 ID:PkzLcA4xo
以上です

ちゃんみおは天使
藍子も天使

172: 2013/07/02(火) 21:20:16.42 ID:+OSYvGVtO
乙ー

天使も襲名式なのかな?
ということはラファエルに襲名してから人間界に転成したのかちゃんみお…

そして、また川島さんが動きにくくなったwwww

173: 2013/07/02(火) 21:26:36.48 ID:6Xl0CNgo0
乙です
未央マジ天使!!




【次回に続く・・・】



: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3