696: 2011/08/21(日) 21:02:18 ID:SnQt9xG60
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けいおん! アクリルスタンドコレクション BOX商品

タイトル『恋人ごっこ』

702: 2011/08/21(日) 21:18:34 ID:SnQt9xG60
唯先輩との電話中――


唯『っていうわけなんだよ~』フンス

梓「そうなんですか」クスクス


今日、私はすごく機嫌が良かったようだ


梓「あ、もうこんな時間ですね」

唯『ほんとだ、そろそろ寝ないとね!』

梓「じゃあ、今日はこれぐらいにしておきましょうか」

唯『うん!おやすみ~、あずにゃん』


いつもなら言わないようなことが自然と口から出てきた


梓「…? 寝ないんですか?」

唯『ん~ん、寝るよ~』

梓「そうですか」

唯『…』

梓「…電話、切らないんですか」

唯『あずにゃんから切って~』

梓「普通、電話をした人は電話を受けた人が先に切るのを待つものですよ」

唯『ええ~、私からは切れないよ~!』

梓「だめです、私からは切りません」

唯『それじゃあ、電話終わらないよ~』

703: 2011/08/21(日) 21:21:05 ID:SnQt9xG60
こんな何気ないやりとりのなかで


梓「何だか、このやりとり恋人同士みたいですね」

唯『そうだね。あずにゃん、愛してるよ!』

梓「ふふ、私もですよ。唯せんぱい」

唯『おや、今日のあずにゃんは大胆だね』

梓「ええ、恋人同士ですからね。早く唯先輩に会いたいです」

唯『困った子猫ちゃんだなあ! よし、明日からは恋人の私が朝迎えに行ってあげよう。だから今夜はもう寝よう?』

梓「わかりました。唯先輩、ちゃんと起きられますか? モーニングコールしてあげましょうか」

唯『私があずにゃんを待たせるわけないよ! じゃあ、朝早く起きないといけないからもう切るね』

梓「はい。おやすみなさい」

唯『おやすみ、あずにゃん』

プツッ

梓「ふああああぁ…。歯磨いて寝よう」


梓「…」ボー

シャカシャカシャカシャカ

梓「…」ボー

シャカシャカシャカシャカ

梓「ん?」

『このやりとり恋人同士みたいですね』『おや、今日のあずにゃんは大胆だね』

704: 2011/08/21(日) 21:22:44 ID:SnQt9xG60
梓「あ、あれ?」

『恋人同士ですからね。早く唯先輩に会いたいです』『あずにゃん、愛してるよ!』

梓「…」

梓「ああああああっ!? えええっ!? 唯先輩と私が恋人同士!? な、なんで私あんなことを!? にゃ、にゃああああああああ!??」

『明日は私が朝迎えに行ってあげよう』

梓「し、しかも唯先輩が朝迎えに来る!? い、いけない!寝坊しちゃったら大変! 早く寝ないと!!」


パチッ

梓「お、おやすみなさい」

梓「…」

梓「…」

唯『愛してるよ、あずさ』

梓(うううう、眠れない…)


こうして私と唯先輩の奇妙な恋人ごっこが始まった

705: 2011/08/21(日) 21:24:57 ID:SnQt9xG60
梓「う~ん、イマイチ…」

梓「なんかいつもより髪型が変な気がする…」

梓「あれ~?おかしいな、こんなはずは…」

梓「もう一回ドライヤーしてチャレンジしようかな」

アセアセ

梓母「梓ぁ~!そろそろ朝ごはん食べなさ~い!」

梓「も~、お母さんってば、わかってるから!」

朝。普段学校にいくより早い時間。

今日から、唯先輩が迎えに来る。


梓「おはよう。お母さん、今日のごはん何?」

梓母「ごはんに味噌汁、それに玉子焼きに焼き魚よ。あ、あと納豆もあるわよ。食べるでしょ?」

梓「ぶっ!! な、納豆なんか食べないから!いただきます!」

梓父「どうした?いつもなら喜んで食べるじゃないか」

706: 2011/08/21(日) 21:27:17 ID:SnQt9xG60
梓母「今朝はパン食の気分だった?」

梓「そうじゃなくて、とにかく、もう朝食に納豆は食べないから!」

梓父「うん…?」 梓母「そ、そう」

ピンポーン

梓母「あら、こんな早くに誰かしら」

梓「あっ!? いい、私が出る!!」

梓父「お、おい」

ガチャ

唯「おはようございま~す、あずにゃん、おはよう!」

梓「ゆ、唯先輩、ちょっと待ってください、今すぐ支度しますから!」

梓母「あらあら、どちら様かと思えば、梓と同じ学校の方でしたか」

唯「あ、おはようございます! わたくし、平沢唯と申しまして、いつもあずにゃ、梓さんにはたいへんお世話になっております!」

梓母「うふふ、そうなの?こちらこそ、いつも梓がお世話になっているようで~」

707: 2011/08/21(日) 21:28:58 ID:SnQt9xG60
梓「ちょっとお母さん!! 何しに来たの! いいから、引っ込んでてよう!」 グイグイ

梓父「む、なんだ、梓のお知り合いの方かな?」

梓母「少しぐらい、お話させてくれてもいいじゃない」

梓「ダメ!! 唯先輩、少しだけ待っててくださいね?」

唯「は~い、ごゆっくり~」


梓「もう! どうしてお母さんが出てくるのよ!! それにお父さんまで!」

梓父「べ、別にどんな人が来たか見に行ってもいいじゃないか」

梓母「まあまあ。でも、こんな早くに迎えに来てくれるなんて、どんな関係の方なの?」

梓「た、ただの同じ高校の部活の先輩だから! 今日はこれから朝練するの! それじゃ、行ってきます!!」

梓母「あ…、行ってらっしゃい」 梓父「…」

708: 2011/08/21(日) 21:30:36 ID:SnQt9xG60
梓「うう…。朝から恥をかいてしまったです…」

唯「えへへ、あずにゃんのお父さんとお母さんって初めて会ったけど、やさしそうな人だねえ」

梓「はあ、それはどうもありがとうございます」


それから私たちはいつもどおり学校に向かった

下駄箱の先で待ってくれていた唯先輩がこう言ってきた


唯「あずにゃん、お昼ごはん一緒に食べようよ!」

梓「え? 別にかまいませんけど…。どこで食べます?」

唯「う~ん、教室は別だし、あ、屋上行ってみない?」

梓「屋上ですか。わかりました。授業終わったら行きますね」

唯「りょ~かい! じゃあ、またお昼にね!」

梓「あ、はい。おつかれさまです」

709: 2011/08/21(日) 21:32:11 ID:SnQt9xG60
派手に手を振りながら立ち去る唯先輩を見ながら

今日はなんだかさわがしい一日になりそうな気がした


休み①

唯「あずにゃ~ん、英語の辞典忘れちゃった~!! 貸しておくれ~!!」

梓「ゆ、唯先輩!? もう、しっかりしてくださいよ…。はい、これどうぞ」

休み②

唯「あ、あずにゃ~ん! 私、これから体育なんだ~!」

梓「えっ!? あ、ああそうなんですか。が、がんばってきてくださいね」

休み③

唯「あずにゃ~ん!!」

710: 2011/08/21(日) 21:34:01 ID:SnQt9xG60
梓「またですか…。今度はどうしました?」

唯「え? 会いに来ただけ?」


4時間目

教師「ええー、ここはこうであるからして、それがああなってどうなるんでしょうか」

梓(ははは、騒がしくなる予感はしてたけど、まさか午前中からこうなるなんてね…)

カサカサ

梓(ん? 手紙?)

純『今日どうしたの? なんであんなに唯先輩が来てるわけ?』

梓(う…、さすがにばれてるよね…。適当に返しておこう)

カサカサ

711: 2011/08/21(日) 21:36:12 ID:SnQt9xG60
梓『さあ? 何か忘れ物がたくさんあるみたい』

カサカサ

純『忘れ物ぉ? 何それ? 相変わらず軽音部の先輩はおもしろいねー』

梓(ふぅ、ごまかせたかな)

カサカサ

憂『でも、今日はお姉ちゃんにたくさん会えて嬉しいね!』

梓(テレパシー!?)

梓「ぷぷぷっ!!」

梓「あ」

教師「中野さん。先生の授業はそんなに面白いですか」

梓「…すいません」

712: 2011/08/21(日) 21:38:04 ID:SnQt9xG60
その後、唯先輩と昼食を食べた

午後の授業の休みにも唯先輩は現れ、クラスをざわつかせた

そして放課後――


純「じゃあ、梓。部活がんばってな~!」

憂「お姉ちゃんによろしくね~!」

*「お幸せに~!」 *「式には呼んでね~!」

梓「…部室に向かおう」


梓(はあ、今日はなんだか疲れた…)

梓(唯先輩、どうしたんだろ。昨日の電話があったからとはいえ、どういうつもりなのかなあ)

梓(そりゃあんな冗談に付き合ってくれるのは嬉しいけど)

梓(私たち、そんな仲じゃないし…)

梓「はあ…」

ガチャ

梓「おつかれさまで~す、ってあれ、唯先輩だけですか」

713: 2011/08/21(日) 21:39:44 ID:SnQt9xG60
唯「お疲れ~、あずにゃん! みんな今日は用事があるって帰っちゃたんだ」

梓「そうなんですか…」

唯「まあまあ、せっかく二人っきりだし、ゆっくりしなすって」

梓「あ、はい」

唯「あっずにゃんとふったり♪ あっずにゃんとふったり♪」

梓「ははは…、なんですか、そのうた…」

梓(いつもはなんてことないのに、なんだか今日は二人っきりが妙に緊張する…)

梓(このままじゃ…、そうだ!!)

梓「唯先輩!! 練習しましょう!!」

唯「お、おおっ!? はいい!」

梓「せっかく二人っきりなんですから、パート練するです!!」

唯「え? わ、わかりました!!」


ジャジャ ジャジャ ジャーン

714: 2011/08/21(日) 21:41:28 ID:SnQt9xG60
唯「ふぃぃぃ、つ、疲れたあ…」

梓「あ、もうこんな時間ですか。結構練習しましたね! そろそろ帰りましょうか」

唯「う、うん。あずにゃん、タフだねえ…」

梓「普段練習しないからです。普段から練習するくせをつけていれば自然と…。唯先輩?」

唯「ね、ねえ、あずにゃん。今日はいつもより楽しかった?」

梓「え? そうですね、何だか忙しい日でしたけど、楽しい一日でしたよ」

唯「そっかー。えへへ! さあ、帰ろう!!」

梓「なんですか、もう…」


普段よりもちょっと慌しい学校

その締めくくりに見た唯先輩の表情は夕ざしの優しい光にかき消されて良く見えなかった


梓「…」

梓(今日は唯先輩から電話来ないな)

梓「はあ、今日はもう寝ようかな」

プルルルルルルル

梓「!?」

ピッ

715: 2011/08/21(日) 21:43:01 ID:SnQt9xG60
律『ちーっす!』

梓「え? 律先輩?」

律『なんだ、その締まりのない声は。寝るにはまだ早いんじゃないか~?』

梓「ちょっとぼうっとしていただけです! それより、こんな時間にどうしました?」

律『ん? いや、別に。どうしてるかなーって』

梓「ええ? それだけですか?」

律『まあな。いや、それもあるけど、ちょっと気になってな』


いつも明るい律先輩がほんのちょっとだけ口をつぐんだ

その些細な異変に私は予感がした


梓「気になるって、何がですか」

律『今日、部活唯と二人っきりだっただろ? なにかその、あったかなーと思って』


部室で最後に見ることのできなかった唯先輩の表情

律先輩の言いづらそうな態度

716: 2011/08/21(日) 21:44:45 ID:SnQt9xG60
梓「…いえ、いつもどおり練習して帰りましたけど」

律『え? そうなの? あははは、そうだったのかー。ごめんな、今日行けなくて!』


何かに突き動かされたように私は律先輩にけしかけた

先日の唯先輩との電話のように


梓「それにしても、唯先輩今日はどうしたんですかねー。何回も私の教室に遊びに来たんですよ。どういうつもりなんですかね」

律『…』

梓「忘れ物なら普通同じ学年の他のクラスの人に借りに行きますよね? それに、私ならいつでも部活で会えますし」

律『…そうか。なあ?』

梓「はい?」

律『私が言うのもなんだけどさ、たまには素直に自分からいかないとダメだぞ』

梓「え? 何ですかそれ」

律『いいから。今から独り言をいうぞ。数日前にな、こんなことがあったんだ』


律『どうしたんだ、唯』

澪『急に話があるって』

717: 2011/08/21(日) 21:47:07 ID:SnQt9xG60
唯『うん、みんなごめんね。忙しいのに…』

澪『べ、別に忙しくなんかないぞ。なあ?』

紬『梓ちゃんがいないけど、もしかして、梓ちゃんのこと…?』

唯『うん…』

澪『なんだ、梓のことか。唯がしんみりしてるからどうしたのかと思ったよ』

律『ついに告白でもするのかー? やるねえ!』

唯『うん…』

律『そっか、そりゃおめで…えええええ!?』

紬『それで、悩んでるの?』

唯『うん…。あずにゃんが、好きなの』

澪『…好きなら好きって言えばいいじゃないか』

律『え? そういう問題?』

紬『りっちゃん! どうしたの? 何を悩んでるの?』

唯『だって、私たち、女の子同士だよ? 普通じゃないよ…。こんなのおかしいよ…。もし、あずにゃんに嫌われちゃったら…』

澪『唯…』

紬『唯ちゃん、梓ちゃんはそんなこという子じゃないと思うわ。真剣に唯ちゃんの気持ちと向き合ってくれると思う』

澪『ああ。梓だってその気がない訳じゃないと思うぞ』

律『そ、そうだぞ! なんってたって私たちの自慢の後輩だからな!!』

唯『みんな…、ありがとう! 私、がんばる!!』

718: 2011/08/21(日) 21:49:00 ID:SnQt9xG60
律『ふわ~あ、あれ? 寝ぼけて携帯に向かってしゃべってたや。寝ちゃお寝ちゃお~っと』

梓「り、律先輩!!!」

ツー ツー


しばらく私は呆然と携帯のディスプレイを眺めていた

ディスプレイの時計が過ぎていくのを眺めながら私は決断した


唯「わわわわ、もうこんな時間!? 早くあずにゃんを迎えに行かないと!!」

憂「お姉ちゃん、もう出かけるの!? 朝ごはんは~!?」

唯「あ~憂! トーストだけもらってくね!!」

憂「ええ~? 今日はパンは用意してなかったよ~!」

ドタドタ ガチャ

唯「遅刻遅刻…あっ!?」

梓「…おはようございます」

唯「あずにゃん!!?」

梓「唯先輩、朝食はちゃんと食べないと放課後まで乗り切れないですよ? 待っててあげますから食べてから行きましょう」


今はまだ恋人未満の恋人ごっこかもしれないけど


憂「あ、梓ちゃん! おはよー」

梓「憂、おはよう。唯先輩にごはん食べさせてあげて」

唯「あずにゃん、そんなペットみたいな言い方…」

719: 2011/08/21(日) 21:51:13 ID:SnQt9xG60
徐々に進んでいけばよいと思う


唯「おいしい~! やっぱり憂のごはんはおいしいよ~!」

梓「朝から食べますねえ~」

唯「成長期ですから!」

梓「ふふっ、そうですか」

憂「お姉ちゃん! 納豆食べる?」

唯「え? いや、納豆は…」チラッ


あせらずのんびり歩んでいこうと思う


梓「いいですよ。納豆を食べた唯先輩も愛しています」

唯「え…」カァァァァ

憂「ぶっ!!?」


今この幸せを感じて 


唯「ふ、ふおおおおおおおお!!!」

憂「ちょ、ちょっと梓ちゃん、どどど、どうしちゃったの???」

唯「あ、あ、あずにゃん!!わ、私も愛してるよ!!」

梓「あ、あはははは」


いつかの日を夢見て


END

720: 2011/08/21(日) 21:53:56 ID:SnQt9xG60
すまん、一人で大量にレスを消化してしまった…
内容もたいした物じゃないのに…スレ汚し失礼しました

721: 2011/08/21(日) 22:01:55 ID:d56DzjCo0
乙!

抜けすぎちょっと笑った。
今後を想像してニヤニヤしてしまう。

引用: 【けいおん!!】唯×梓スレ3【避難所】