565: 2013/11/30(土) 20:21:40.91 ID:NZClM4Oy0
番外編・第16話「二人のアニバーサリー」

とある美術館

モバP「ねぇ…君」

頼子「え、あ、はい…私……ですか?」

モバP「そう、君だよ」

頼子「あの…何か、御用ですか…?」

モバP「(警戒されてるかな…いや、まだだ)こういうものです」スッ

頼子「芸能事務所……?(あ…聞いた事ある……)」


モバP「終電が無くなった…」シリーズ


566: 2013/11/30(土) 20:22:26.40 ID:NZClM4Oy0
モバP「俺に君をアイドルとしてプロデュースさせてくれないか?」

頼子「私をプロデュース…貴方が…?」

モバP「ああ、君は絵画のモチーフにも負けないくらい素敵だよ」

頼子「いえ、私は…アイドルなんて柄では…絵画や美術が好きなだけで…」

モバP「ダメ…かな」

頼子「その…でも…アイドルって…華やかな世界なんでしょうね…」

モバP「え、ああ、もちろんだよ」

頼子「うん…楽しそうだな…って…」

567: 2013/11/30(土) 20:22:54.85 ID:NZClM4Oy0
モバP「じゃ、じゃあ…」

頼子「お話…くらいなら……」

モバP「ありがとう…ああ、場所変えようか」

頼子「……うん、近くに喫茶店ありますよ」

モバP「へぇ、この辺りに詳しいんだね…ここよく来るの?」

頼子「はい…、学校からも近いので……」

モバP「そうか、俺の話も聞いて欲しいけど、君の話も聞きたいな」

頼子「う、うん…行きましょう」

568: 2013/11/30(土) 20:23:20.61 ID:NZClM4Oy0
・・・

あるテレビ局

頼子「(あれから、もうずいぶん経ったな……)」ジー

モバP「うん?」

頼子「いえ…何でも(……覚えてくれてるかな)」

モバP「そうか?(何でも無い時の顔じゃないが…まあ、いいか)」

モバP「ディレクターに挨拶したらパーティー会場に行くぞ」

頼子「……うん」

569: 2013/11/30(土) 20:24:01.11 ID:NZClM4Oy0
モバP「あ、いらっしゃるな」

ディレクター「おう、君らは確か…」

モバP「はい、シンデレラプロのプロデューサーです、よろしくお願いします」スッ

ディレクター「うん、もらうだけになるけどな」

頼子「(あ…あの名刺…)」ポッ

570: 2013/11/30(土) 20:24:56.42 ID:NZClM4Oy0
モバP「これから是非よろしくお願いします」

モバP「それから、こちらは…」

頼子「は、はい……古澤頼子です、よろしくお願いします」

ディレクター「頼子ちゃんね、最近頑張ってるね」

頼子「ありがとうございます…」

571: 2013/11/30(土) 20:25:45.24 ID:NZClM4Oy0
・・・

あるテレビ局の駐車場

モバP「ははは、あー緊張した、挨拶も上手くいってよかったよ」

頼子「私もです…でも…Pさんが一緒だったから」

モバP「あはは、俺も頼子がいないとどうなってたか」

頼子「ふふふ……ね、ねぇ、Pさん」

モバP「どうした、頼子」

572: 2013/11/30(土) 20:26:27.59 ID:NZClM4Oy0
頼子「その、さっきの名刺だけど…」

モバP「ああ、これか?」

頼子「私の担当プロデューサー……」

モバP「ああ、ちひろさんが名刺に肩書を挿れないかって」

頼子「それで、私を?」

モバP「頼子がまったく関係ない仕事の時用に今までの名刺もあるけどな」

頼子「……はい」

573: 2013/11/30(土) 20:26:56.13 ID:NZClM4Oy0
モバP「誰の肩書をつけるかって…正直悩んだけどな、頼子の肩書にしたよ」

頼子「うん……でも、どうして…凛ちゃんや蘭子ちゃんの方が…」

モバP「頼子は、俺が初めてスカウトしたアイドルだからさ」

頼子「うん…うん…」ツー

モバP「頼子…泣くことはないだろ?」

頼子「私、嬉しくて……」

モバP「頼子…」ギュ

頼子「あっ……」グス

574: 2013/11/30(土) 20:27:43.66 ID:NZClM4Oy0
・・・

モバP「落ち着いたか、頼子?」

頼子「はい…ごめんなさい、Pさん」

頼子「でも…嬉しかったです」

モバP「あ、いや…、その、急に抱きしめて、すまん」

頼子「うん、ふふふ」

モバP「は、ははは、ついな…」

575: 2013/11/30(土) 20:28:17.14 ID:NZClM4Oy0
モバP「さ、そろそろパーティー会場に行こう」

頼子「はい…パーティーに遅れて行くってシンデレラみたいですね」

モバP「そうだな…ガラスの靴は無いけどな」

頼子「普段通りの服だけど…大丈夫かな」

モバP「事務所の関係者だけだから…、さ、どうぞシンデレラ」ガチャ

頼子「ありがとう…あれ、いつもの営業車じゃないの?」

モバP「ああ、あれは事務所からの送迎用にな…これは俺の車だ」

頼子「じゃあ、これはかぼちゃの馬車?」

576: 2013/11/30(土) 20:28:42.76 ID:NZClM4Oy0
モバP「おーい、やっと買えた新車だぞ、かぼちゃはちょっと…」

頼子「ごめんなさい…あまり詳しくないけど…素敵な車ですね」

モバP「ああ、そうだろ、そうだろ」

頼子「Pさん、本当に嬉しそう…」

頼子「(今度、車の事も勉強しよう…ふふふ)」

頼子「まだ新しいですね…新車の匂いって言うの?」

モバP「そうなんだ、まだそんなに乗れてなくてな…人乗せるのも初めてだよ」

頼子「……う、うん(嬉しい……)」

モバP「さ、出発するぞ」

577: 2013/11/30(土) 20:29:15.05 ID:NZClM4Oy0
・・・

パーティー会場のホテル・駐車場

モバP「さ、着いたぞ頼子…って何だその本は?」

頼子「調べ物をしようと思ったのですが…」

モバP「仕事の下調べか?」

頼子「は、はい…」

モバP「没収!」

頼子「あ……」

578: 2013/11/30(土) 20:30:09.55 ID:NZClM4Oy0
モバP「頼子…調べ物するだけで持ち込んだんじゃないだろ」

頼子「…う、うん…本当は今日あんまり話した事ない人も多いから…」

モバP「まあ、所属アイドルがこれだけいるとな」

頼子「………」

モバP「大丈夫だよ、皆頼子と話したいって思ってるさ」

頼子「でも、私学校でも友達多くなかったし…つまらないって思われるかも」

モバP「頼子も昔と違うだろ…大丈夫だよ」

頼子「そうだよね…これ、置かせてね」

579: 2013/11/30(土) 20:30:49.09 ID:NZClM4Oy0
モバP「ああ、ただでさえ遅れてるんだ、行くぞ」

頼子「はい……(Pさんのエスコート……夢を見てるみたい)」

頼子「調べ物の事…せっかくだからPさんに教えてもらおうかな…」

モバP「ああ、俺にわかることならな」

頼子「頼りに…していますから」

580: 2013/11/30(土) 20:31:29.61 ID:NZClM4Oy0
モバP「なあ頼子…今のは笑ったほうがいいのか」

頼子「えっ…はい?」

モバP「頼子が頼りにって…」

頼子「ち、違います…そんな楓さんみたいな事言いません」

モバP「そ、そうだよな、はははは」

頼子「もう…い、行きましょう」

581: 2013/11/30(土) 20:32:06.63 ID:NZClM4Oy0
・・・

あるホテルのロビー

頼子「すごいパーティーでしたね…調べ物する余裕なんてありませんでした」

モバP「ああ…本当にちひろさんには頭が下がるよ」

モバP「あの人の方がプロデューサーとして有能じゃないかな」

頼子「で、でも…私は貴方にプロデュースされたいです」

モバP「ああ、ありがとうな、頼子」

モバP「さ、帰ろうか…家まで送るよ」

頼子「うん、ありがとう、Pさん」

582: 2013/11/30(土) 20:32:38.31 ID:NZClM4Oy0
・・・

Pの車・車内

頼子「フフッ(Pさんの車…ドライブ…だよね)」ジー

モバP「………」

頼子「……どうしたのPさん?」

モバP「ああ、すまん…ちょっとな……」

頼子「いえ…」

583: 2013/11/30(土) 20:33:09.62 ID:NZClM4Oy0
モバP「なあ、頼子…こんな機会だからちゃんと話そうと思うんだ」

頼子「う、うん…」

モバP「頼子…今の頼子の気持ち…本気にしない方がいい」

頼子「えっ…どうしてそんなこと……」

モバP「頼子達がシンデレラなら、俺はあくまでも魔法使いだ…」

モバP「シンデレラは王子様と結ばれるものだろ……」

頼子「……」

584: 2013/11/30(土) 20:34:07.66 ID:NZClM4Oy0
モバP「いつか頼子にも…頼子だけの王子様が現れるよ」

頼子「Pさん……」

モバP「頼子が…頼子達が俺に好意を寄せてくれるのは嬉しいよ」

モバP「でも…一時の感情で後悔するような事は……な」

頼子「Pさんが…そう、だったの?」

モバP「さあ…な」

頼子「(Pさん……、悲しそう……)」

モバP「だから、アイドルとプロデューサーでいさせてくれ…」

585: 2013/11/30(土) 20:34:48.97 ID:NZClM4Oy0
頼子「うん……Pさん、私も聞いて欲しい事があります」

モバP「何だ…?」

頼子「はい…シンデレラはね…王子様に、華やかな世界に憧れて…」

頼子「魔法使いの魔法で華やかな世界に行った…」

モバP「ああ」

頼子「私も…本当はずっと華やかな世界で自分を表現したかった」

頼子「でも、自信が持てなくて…勇気も無くて…」

モバP「………」

586: 2013/11/30(土) 20:35:23.66 ID:NZClM4Oy0
頼子「そんな時、Pさんが声をかけてくれた…覚えていますか?」

モバP「あの美術館だったな」

頼子「うん…最初は華やかな世界の熱に浮かされてたと…思うの」

頼子「でもね、貴方と一緒にお仕事して、レッスンをして」

頼子「一緒に笑って…泣いて……(そして、私は貴方に恋をした…)」

モバP「そう、だな…」

587: 2013/11/30(土) 20:35:53.86 ID:NZClM4Oy0
頼子「シンデレラは王子様と結ばれたけど…」

頼子「私はこれだけの時間を魔法使いと過ごしたんだよ」

頼子「シンデレラも同じ立場なら…王子様より……きっと…」

モバP「頼子……(俺もあの時そう思ってたよ、けれど…)」

頼子「(ダメ…今日はちゃんと伝えるの…私の本当の気持ち…)」

モバP「頼子?」

頼子「だから私…」

頼子「Pさんが好き……」

頼子「この気持ちまでは迷惑と思わないで」ツー

588: 2013/11/30(土) 20:36:19.99 ID:NZClM4Oy0
モバP「頼子、俺は…(きっと…大丈夫…だよな)」

頼子「Pさん?」

モバP「なぁ、これからドライブ付き合ってくれないか?」

頼子「えっ…でも…いいの」

モバP「今日はもう時間外だ…どうだ?」

頼子「電車無くなりますよ?」

モバP「じゃあ、送っていくさ」

頼子「はい…喜んで」

589: 2013/11/30(土) 20:37:08.60 ID:NZClM4Oy0
・・・

翌日

シンデレラプロ事務所

頼子「おはようございます」

ちひろ「おはよう、頼子ちゃん…早いわね」

頼子「ちひろさんこそ……」

ちひろ「ちょっと眠そうじゃない、頼子ちゃん?(やっぱり昨日…)」

頼子「ええ、実は少し…あの、それは?」

590: 2013/11/30(土) 20:37:41.91 ID:NZClM4Oy0
ちひろ「ああ、これ?Pさんの新しい名刺よ」

頼子「(Pさん…私の肩書が入った名刺をこんなに…)」

頼子「あれ?…こっちは凛ちゃんに、蘭子ちゃん?」

頼子「肩書は私の担当のって…私を選んでくれたって…言ったのに…」

モバP「おはようございまーす」

ちひろ「あ、おはようございます、Pさん」

頼子「……」ムス

591: 2013/11/30(土) 20:38:38.11 ID:NZClM4Oy0
モバP「…おはよう、頼子…ってどうした?」

頼子「知りません」プイ

モバP「お、おい頼子…ってちひろさん、これ何ですか?」

ちひら「ああ、前に言ってた肩書入りの名刺ですよ」

モバP「え、でもあれは頼子のだけって…」

ちひろ「それは試作品の話ですよ…早とちりなんですから」

モバP「え、いや…そう…でしたっけ」

592: 2013/11/30(土) 20:39:30.24 ID:NZClM4Oy0
ちひろ「そうですよ…もう」

モバP「ははは」

頼子「………(そうだよね…フフッ)」

モバP「おい頼子、盗み聞きするんじゃない」

頼子「ごめんなさい、Pさん」

モバP「まったく…さあ今日も仕事頑張ろうな」

頼子「…はい、Pさん」

593: 2013/11/30(土) 20:40:34.24 ID:NZClM4Oy0
・・・

頼子の不機嫌モードは早期に解消され、仕事は無事に終えることが出来た

Pは所属アイドル全員の名刺を持たされることになり…

営業鞄とは別に名刺入れ入れを持つことになる

そして事務所の二周年の記念日はPと頼子の記念日にもなったのでした

おしまい

594: 2013/11/30(土) 20:41:27.73 ID:NZClM4Oy0
以上で2周年特別編を終わります
あれですよ、頼子さんとPの記念日は初めてドライブした記念ですよ
決して時間外だからってチョメチョメなんてしてませんよ…たぶん

パーティーまるまるキンクリはご容赦ください
スレはまだまだ続きますので、これからもよろしくお願いします
リクもいただけますと嬉しいです

とりあえずアイプロは頼子さんのパフェコミュまで頑張ってみたいと思います

引用: モバP「また終電が無くなった…」