1: 2012/09/26(水) 21:50:33.24 ID:y6NtOTux0

千里山女子高校 通学路

怜「・・・・・・ふう」スタスタ

怜(やっと部活に顔出せるわ・・・)

怜(インハイで倒れてから、検査やなんやで入院して結構時間かかってしもたな・・・けど、いい事もあった・・・)

怜(松実 宥さん・・・)ポー

怜(ドラローさんと一緒に何度かお見舞いに来てくれた・・・接点はそれだけやけど)

怜(寒がりな彼女の温かい笑顔・・・一発でやられてしもた・・・)

怜(人生初の恋・・・・こんなに心躍るものとはなぁ・・・)フフ

怜(頑張って、宥さんと・・・両想いになって・・・そんで付き合って・・・・///)カアァ

怜「・・・・よし!」

怜(やるぞー!!)メラメラ
咲-Saki- 23巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

2: 2012/09/26(水) 21:51:25.41 ID:y6NtOTux0

麻雀部 部室

怜「・・・・・なんて?」

セーラ「いや、漫才」

怜「・・・・・」エート

浩子「九月の文化祭で、園城寺先輩と江口先輩が漫才をするんです」

怜「・・・・なんで?」

セーラ「俺らにとっては最後の文化祭やろ?何か思い出に残る事したいなぁ思て」

怜「それが・・漫才?」

セーラ「せや!」ドドン

怜「・・・嫌や」

3: 2012/09/26(水) 21:53:24.57 ID:y6NtOTux0

セーラ「なんで!?」

怜「お笑い舐めてへんか?簡単に出来るもんちゃうで?あと1ヶ月も無いし」

セーラ「確かにそれはそやけど・・・」

怜「そんなん、素人がやったかて失敗するに決まってるやんか」

セーラ「けどもう決まってもうたからなぁ」

怜「は?」

セーラ「前に聞いてない?出し物の一つが急にあかんようになった、て」

怜「・・・ああ・・・そんなん言うてたなぁ」

セーラ「そうゆう事なら!ちゅうて俺が立候補した訳や!」

怜「勝手すぎるわ・・・」ウウ

5: 2012/09/26(水) 21:54:59.44 ID:y6NtOTux0

セーラ「先生たちにも話通したし、やる事は確定なんや」

怜「・・・・・・・」

セーラ「頑張ろうな!怜!!」

怜「い、嫌や!そんなん!」

セーラ「ええやんか~!漫才やろうや」

怜「なんで私やねん!」

セーラ「本かなんかで見たけど、物静かな子ってオモロイ事考えてる、って」

怜「そんなん、太ってる人はみんなキャッチャーやってた、みたいなレベルの勘違いや!」

セーラ「お、いい例え」

怜「全然ええ事ない!!」

竜華「怜なら大丈夫や。自信持って」

怜「ちょっと・・・竜華・・・」

7: 2012/09/26(水) 21:58:02.28 ID:y6NtOTux0

浩子「江口先輩と相性がいいんですわ」

怜「フナQ・・・」

泉「園城寺先輩しか務まりません」

怜「みんな・・・根拠をくれや!私は根拠に飢えとんねん!」

浩子「その・・・園城寺先輩も江口先輩も学校の人気者ですし、好意的に見てくれると思いますよ?」

怜「いや、けど・・・」

泉「誰も爆笑なんて求めてませんて。賑やかな雰囲気を楽しみたい訳ですから」

怜「うーん・・・」

セーラ「なぁ?もう決まってもうたし・・・・あ、そや!あのな」

怜「ん?」

セーラ「ちょっと、こっち来てみ」スタスタ

怜「?」スタスタ

8: 2012/09/26(水) 21:59:38.02 ID:y6NtOTux0

裏庭

セーラ「怜との漫才記念に、苗木を植えたんや」ホラー

怜「・・・・・・園城寺 怜と江口 セーラの漫才を記念して・・・・マジか」

セーラ「愛宕監督からのプレゼントや」ヘヘーン

怜「苗木もつっこみたいねんけど、なんで生物部で飼ってた亀のお墓の傍に植えんねん・・・安らかに眠れへんで・・・」

セーラ「な?愛宕監督にも期待されてんねんて!」

怜「・・・・・・けど・・・やっぱり私には」

セーラ「色んな人からも期待してるって言われてんねんで?」

怜「・・・色んな人て?」

セーラ「えーと・・・」

浩子「姫松とか、阿知賀の人たちとか・・・」

怜「阿知賀?」ピク

9: 2012/09/26(水) 22:02:43.19 ID:y6NtOTux0

浩子「ええ。阿知賀は全員で見に来るって言うてましたわ」

怜「・・・・・・私とセーラが漫才やる、ってはっきり伝えたん?」

浩子「はい」

怜「・・・・・・・」

セーラ「有難い事やなぁ、みんな俺らを見に来てくれんねんでー」アリガトー

怜(まずい・・・・・もし私が漫才をやりたくないと言って、漫才をやらずにすんだとしても・・・)

怜(宥さんが漫才を楽しみにしていたら・・・・悲しい気持ちにさせてまう・・・)

セーラ「持つべきものは友達やなぁ~」

怜(かといって漫才をやったとしても・・・さっぶい漫才をしてもうたら・・・)ゴク..

怜(園城寺さんあったかくない・・・なんて思われて・・・・私の恋は・・・・)アオザメー

怜(けど逆に、ちょっとでもオモロイ漫才が出来たら・・・・宥さんは・・・)

怜(園城寺さんてあったかい・・・好き・・・・私と付き合って・・・フルフル・・・・なんて事に・・・)オオオオ..

13: 2012/09/26(水) 22:05:45.71 ID:y6NtOTux0

怜「よし!」グッ!

セーラ「?」

怜「・・・・・セーラ」

セーラ「うん?」

怜「やるわ」

セーラ「へ?」

怜「漫才、やるわ」

竜華・浩子・泉「おお・・」

セーラ「ほんま!?よっしゃ!ありがとう怜!!」

怜「うん」

セーラ「よーし!燃えてきたで~!」

怜(私にはこの道しかないんや!なら突き進むまでや!)

14: 2012/09/26(水) 22:09:24.86 ID:y6NtOTux0

麻雀部 部室

セーラ「さて!どんなネタにしよ?」

怜「・・・あんま奇抜なのは避けた方がええやろな」

セーラ「タイムスリップしてきた未来人と原始人の漫才とかどや?」

怜「・・・あんま奇抜なのは避けた方がええやろな」

セーラ「・・・あかんみたいやな」

怜(やっぱりベタがええかなぁ・・・・突飛なアイデアなんて思いつかんし・・・)

セーラ「あ!二人羽織みたいにして、二人とも腕出すねん!」

怜「・・・それで?」

セーラ「千手観音の自問自答漫才てのはどうや!?」

怜「・・・・言いたい事はわかんねんけど・・・うーん・・・」

セーラ「あかんか・・・」

18: 2012/09/26(水) 22:17:01.04 ID:y6NtOTux0

怜「ネタが難しくなるなぁ」

セーラ「そっかー・・・ならしゃあないなぁ」

怜(なんで私がネタ書く事になってんのかは不思議やけど・・・どうしよう・・・)ウーン

セーラ「ネタ・・・ネタ・・・むう・・・」カンガエチュウ

怜(浩子の言ってた通り、それほど期待はされないやろうから、オーソドックスにまとめればなんとかなるか・・・?)

セーラ「秋元 康とつんく♂のケンカ漫才とか・・・」

怜(本番まで時間も無いし、まずは完成させんと・・・うう・・・胃が痛なってきた)ウゥ

21: 2012/09/26(水) 22:22:23.53 ID:y6NtOTux0

本番一週間前

怜・セーラ「ありがとうございました~!」ペコリ

竜華・浩子・泉「」パチパチパチパチ

怜「・・・・どやった?」

竜華「怜が可愛かったで?ツッコミの時のヘソチラがセクシーやった」ポー

浩子「元気でええと思います」

泉「漫才に・・・・なってたと思います」

怜(本番前最後のネタ見せやのに、誰もオモロイと言うてくれんとは・・・・)

23: 2012/09/26(水) 22:28:31.20 ID:y6NtOTux0

セーラ「うーん、やっぱ俺って言いたなるなぁ・・・学ラン着たいし」

怜「ごめんな、でも二人とも同じ制服で、私、って喋りの方がスムーズやと思うねん」

セーラ「そうか・・・すまん、文句言うて。怜に任せる!」ニコッ

怜「・・・ありがとう」

怜(けど自信無いわ・・・・ダダスベリの可能性大やで・・・・どうしよう・・・)

浩子「あ・・・・でも最後まで普通に聞いてられましたから、そない心配せんで大丈夫かと」

怜「ほんま?」

浩子「ええ」

怜(・・・・あと1週間じゃあそない内容も変えられへんし・・・・・覚悟決めるか・・・・)

25: 2012/09/26(水) 22:34:31.84 ID:y6NtOTux0

本番当日

舞台袖

怜「・・・・結構人集まっとるな」チラリ

セーラ「せやな」

怜(最前列に宮永 照、渋谷 尭深、弘世 菫・・・・東京からわざわざ来てくれたんか・・・・)

怜「あ・・・・」

怜(宥さんも最前列・・・阿知賀の子たちもおる・・・)

セーラ「これはやりがいあるで」メラメラ

怜「・・・・そやな」

怜(宥さんを寒くさせる訳にはいかんで)メラメラ

27: 2012/09/26(水) 22:40:16.35 ID:y6NtOTux0

アナウンス『皆様、お待たせいたしました』

怜「きた・・・」ブルッ

セーラ「おお・・・」

アナウンス『次の出し物は、園城寺 怜、江口 セーラの二人による漫才です』

ワァァァァ..パチパチパチパチ

怜(大丈夫、大丈夫・・・・)

セーラ「よおし・・・・」フゥ

アナウンス『コンビ名は怜めきセーラー!はりきってどうぞ!』

パチパチパチパチ

怜「行くで!」

セーラ「おう!」

31: 2012/09/26(水) 22:49:38.12 ID:y6NtOTux0

舞台上

ダダダッ

怜「はいどうも~!」タタタ

セーラ「どもども~!」タタタ

怜「怜で~す」

セーラ「セーラで~す」

怜「二人合わせて」

怜「怜めきセーラーで~す」
セーラ「セーラの泉で~す」

怜「・・・・え?」

セーラ「ん?」

怜「・・今なんて?」

セーラ「・・セーラの泉で~す」

怜「いきなり間違えてるやん」

セーラ「・・・いいや?」

34: 2012/09/26(水) 22:58:01.49 ID:y6NtOTux0

怜「え?なんで不思議そうにこっち見てんの?セーラの泉て・・・ほなら泉と漫才せえや!」

セーラ「え?え?」

怜「こっちが間違ってるみたいな目すなや!ちょっと心配になるやろ!」

セーラ「・・・うん・・・ごめん」

怜「んんん・・・なんやねん。このやり場のない思いは!」

セーラ「まぁ、コンビ名はもうええやんか」

怜「納得いかんけど・・・」

セーラ「それより私な、よく考える事があんねん」

怜「?どんな事?」

セーラ「もし私が麻雀部じゃなかったら、ってな」

怜「ああ~、そうかぁ、特待生やもんなぁ、他の部には入れへんか」

36: 2012/09/26(水) 23:03:37.24 ID:y6NtOTux0

セーラ「そうです!トク・タイセイです!」

怜「は?」

セーラ「アニョハセヨ~♪この~想いを~♪」

怜「歌わんでええ!なんで小柳ゆきやねん!」

セーラ「とまぁ、そういう訳や」

怜「どういう訳や・・・・で?麻雀部以外で何か入りたい部活があるんか?」

セーラ「野球部やな!」

怜「野球部・・・ソフトボール部やなくて?」

セーラ「そや!女子高やろうが関係ない!野球部や!」

怜「そうか。なら野球部に入ろう!入ったらまずは球拾いや」

37: 2012/09/26(水) 23:06:43.29 ID:y6NtOTux0

セーラ「そう!それと同時に声出しや」

怜「うん、それも必要やね」

セーラ「Jリーグのチームを応援する感じで・・・・ファイトー!!オー!!」

怜「ん?・・おお、声出てるねぇ、ええよ~」

セーラ「マネージャーの白鳥 美紀ちゃんと仲良くなって・・・甘酸っぱい展開になったり・・」

怜「おっ!ええな~」

セーラ「そんで次は守備練習でノックを受けるんや」

怜「ノックはしんどいてよく言うなぁ」

セーラ「そやねん。せやからフリーキックの時のキーパーの気持ちになって打球に」

怜「なんでサッカーで例えんねん!」

セーラ「・・例えてた?」

怜「自覚症状ないんか!もうサッカー部入れや!!あんたは深層心理でサッカーが好きなんや!」

セーラ「ああ・・・言われてみるとそうかもしれん」

42: 2012/09/26(水) 23:12:28.55 ID:y6NtOTux0

怜「サッカー部入り!」

セーラ「わかった!」

怜「最初はなんや?」

セーラ「よし!まずはランニングや!」

怜「おお!」

セーラ「体力つけなあかん!グラウンド二十周!」

怜「これはキツイで~」

セーラ「けど走るで・・・足腰が重要なピッチャーのように」

怜「なんで今度は野球で例えんねん!本心を聞かせてくれや!しんどなってきた!」

セーラ「うーん・・・あとはマネージャーの白鳥 美紀ちゃんと」

怜「また出てきた白鳥 美紀!あんたの中でその名前は鉄板なんか!?」

セーラ「可愛い容姿と聞いてます」

怜「知らんわ!!!」

45: 2012/09/26(水) 23:17:12.34 ID:y6NtOTux0

セーラ「おー、声出てるな~、Jリーグのチームを応援する感じで・・どうぞ!」

怜「ファイトー!!って、やかましいわ!!」

セーラ「・・・・・・なんか汗が凄いけど、大丈夫?」

怜「あんたや!!事の発端!!」

セーラ「うーん・・・考えてみれば、部活もええねんけど・・・」

怜「はぁはぁ・・・なんや、急に?」

セーラ「不良、ちゅうのに憧れへん?」

怜「・・・確かにな、うちなんて全然不良おらへんしな」

セーラ「だからこそちょっと憧れんねん。体育館裏でタバコ吸ったりな」

怜「あかんよ~?未成年やし」

セーラ「でも不良っぽくて格好ええやん」

49: 2012/09/26(水) 23:21:36.46 ID:y6NtOTux0

怜「それもあるけど、タバコなんて吸ってたら肺が真っ黒になるで?」

セーラ「それがええやんか」

怜「え?何で?」

セーラ「見えないオシャレやん」

怜「それ意味違うわ!見えないオシャレて、下着とかそういうのを言うねん!」

セーラ「漆黒の肺・・・格好ええなー」

怜「医者しか見えへん!」

セーラ「あれ?走ると苦しい・・・」

怜「医者しか見えないオシャレの代償や!」

セーラ「ほならどうすればええんや?」

怜「それ聞かれてもな・・・」

50: 2012/09/26(水) 23:24:48.35 ID:y6NtOTux0

セーラ「不良以外でやりたい事・・・あ!バイトや!バイトはした事ないし、色々やりたいなぁ」

怜「おお、うちはバイト禁止やからな~」

セーラ「コンビニの店員なんかええな」

怜「確かに身近やし、興味あるね」

セーラ「ちょっと、私店員やるから見てて」

怜「え?お客さんやらせてくれへんの?」

セーラ「まぁ見ときって」

怜「なんか寂しいなぁ」

セーラ「いらっしゃいませー!」

怜「元気でええね」

セーラ「・・・・・・」

怜「・・・・・・」

53: 2012/09/26(水) 23:27:59.54 ID:y6NtOTux0

セーラ「・・・・・ん?あのお客さん・・・ずっと立ち読みしてるな・・・」

セーラ「・・・・」(右手を上げて・・・振り下ろす)

怜「ん?今何したん?」

セーラ「防犯用カラーボール投げてん」

怜「立ち読みくらいで投げんなや!」

セーラ「せやけど、タダでテレビの番組表を知ろうとしてんねんもん」

怜「番組表なんてテレビで簡単に見れんねんから、立ち読みで一番罪軽いやろ!」

セーラ「けどなぁ・・」

怜「いや、そもそもそんなんでカラーボール投げたら他のお客さんに迷惑がかかるやろ!」

セーラ「その為に野球部でコントロールをつけるんや」

怜「アホ!投げてええかどうかの判断力を先に学べ!」

セーラ「そう?」

57: 2012/09/26(水) 23:31:17.70 ID:y6NtOTux0

怜「ほんまに店員が務まるんか心配なってきたな・・・私がお客さんやってチェックしたる」

セーラ「えー?一人で大丈夫やって。なんなら泉にお客さんやってもらうわ」

怜「それセーラの泉や!うちらは怜めきセーラー!!」

セーラ「うーん・・・違いがわからん・・・」

怜「ええからやるで!」

セーラ「まぁ・・・ええけども・・・」

怜「なんで不服やねん・・・・・・幕の内弁当・・・レジに持ってくで」

セーラ「こちら温めますか?」

怜「はい」

セーラ「少々お待ちください」(レンジに入れてボタン操作)

怜「・・・ちょっと雑誌でも読んで待つかな・・・」スタスタ

セーラ「・・・・・」ジー

怜「・・・・あかん、この店員はなんかヤバイ・・・・・大人しく待っとこ」

59: 2012/09/26(水) 23:35:30.11 ID:y6NtOTux0

セーラ「チーン!」

怜「お」

セーラ「幕の内弁当をお待ちの長スカートでちょい根暗のお客様~」

怜「なんやぁ!!」タタタ

セーラ「?なんで怒ってんの?」

怜「悪意があんねん!客までヒートアップさせてどないすんねん!!」

セーラ「お、上手いなぁ」

怜「上手ないわ!そない言われたら顔まで熱なるやろ!」

セーラ「文句ばっかりやな・・・しゃあない、次はマクドや!」

怜「・・・・また接客業かい?大丈夫か?」

セーラ「任せぇ!じゃあ私が店員やるから見ときや!」

怜「ちょ、私がお客さんやるわ!その方がわかりやすいし」

セーラ「ええ・・・」

怜「なんやねん・・・私嫌われてんねやろか・・・・ちょっとショック・・・」

60: 2012/09/26(水) 23:39:29.18 ID:y6NtOTux0

セーラ「まぁええわ、頼むで」

怜「・・・・ガー」

セーラ「いらっしゃいませー!ご注文はいかがなさいますか?」

怜「そやな、ハンバーガーのセットで」

セーラ「ポテトのサイズはS・M・L、どれになさいますか?」

怜「Sで」

セーラ「お飲み物はどれになさいますか?」

怜「コーラを」

セーラ「サイズはどれになさいますか?」

怜「Sで」

セーラ「店内でお召し上がりですか?」

怜「はい・・・ええ感じやんか」

セーラ「せやろ?これはメチャメチャ私向きのバイトやな!」

63: 2012/09/26(水) 23:43:37.91 ID:y6NtOTux0

怜「けどなぁ、実際は嫌なお客さんとかも来るで?」

セーラ「嫌なお客さん?どんなん?」

怜「ほな、やってみよか」

セーラ「おお」

怜「ガー」

セーラ「いらっしゃいませー!ご注文はいかがなさいますか?」

怜「ハンバーガー」

セーラ「ハンバーガーですね」

怜「あとスマイル下さい」

セーラ「えっ?」

怜「スマイル。0円なんやろ?」

セーラ「・・・・・・」

怜「・・・早く」トントン

65: 2012/09/26(水) 23:46:59.91 ID:y6NtOTux0

セーラ「・・・」(後ろを向いてうずくまる)

怜「?」

セーラ「大丈夫・・・私は笑えてる・・・お母さんがこの世を去ってから・・・もう泣かないって決めたから・・」

怜「・・・・・」

セーラ「そんな私を支えてくれたお父さんも・・・・天国に召されたけど・・・・私は泣かない・・それがお父さんの望む私だから・・・」

怜「・・・・あー・・・」

セーラ「身寄りのない私を引き取ってくれた叔母さん・・・私は笑えてるよね?・・・元気に見えるよね?ちゃんと・・・・笑顔でいれてるよね?」

怜「・・・・・・」

セーラ「でも・・・お客さんが笑えって言うのは・・・・私が心から笑えてないから・・・お母さんとお父さんの氏を受け入れきれてないからだよね・・・?」

怜「・・・・・・」

セーラ「自分では受け入れていたつもりでも・・・本心では整理がついてないのかな・・・・いつになったら心から笑える日が来るんだろう・・・」グスッ

怜「・・・あの・・・」

セーラ「自分の弱い心を隠して・・・・笑顔のメッキを張り付けて・・・それで生きているって言える?・・・お母さんお父さんは喜ぶの?」

66: 2012/09/26(水) 23:50:19.35 ID:y6NtOTux0

怜「・・・すんませんでした」

セーラ「え?」

怜「・・・スマイルとか・・・・くだらない事言って・・・すんませんでした・・・」

セーラ「あ・・・」グスッ

怜「・・ちゃんと注文します」

セーラ「・・・・グス・・・はい」

怜「ハンバーガーで」

セーラ「はい・・・グス・・・・ポテトも一緒にいかがですか?」グス

怜「いや、いいです」

セーラ「ポテト買えやぁ!!!!」

怜「ぅわ!」ビク

73: 2012/09/26(水) 23:54:23.56 ID:y6NtOTux0

セーラ「この状況ならポテト買うやろぉぉ!!!」

怜「・・・いらんねんもん・・・・」

セーラ「Sでええやん!なんか気まずさを感じろやぁ!!!」

怜「確かに気まずいけども・・・いらんもんはいらんし・・・」

セーラ「・・・・こいつ・・・」(キョロキョロ)

怜「カラーボール探すな!」

セーラ「一個だけやから」

怜「個数の問題ちゃう!無駄遣いすな!」

セーラ「むう・・・」

76: 2012/09/26(水) 23:58:34.56 ID:y6NtOTux0

怜「・・・ふう、他にやりたいバイトある?」

セーラ「うーん・・・あ!」

怜「お?なんかあったん?」

セーラ「バイトとはちゃうねんけど、特撮ヒーローなんてええなぁ」

怜「また随分離れたなぁ」

セーラ「私の知り合いに源さんっておっちゃんがおんねんけど、そのおっちゃんが特撮好きでな、よく特撮の話してん!」

怜「へえー・・・源さん・・」

セーラ「1年のうち250日くらい歯医者に通ってるおっちゃんなんやけど」

怜「マジ!?どんな歯してるか見たいわぁ・・・」

セーラ「源さんと話してて思ったんやけど、リアリティのあるヒーローものをやりたいわ!」

怜「リアリティ?」

セーラ「そうそう!」

怜「あんたがそないやりたいなら・・ええか、やろう!」

77: 2012/09/27(木) 00:02:38.46 ID:t569UulM0

セーラ「ほなら私がヒーロー役と悪役やるから」

怜「私がヒーロー役であんたが悪役の方がわかりやすいな!それでいこう!」

セーラ「・・・・・・まぁ・・・好きにしはったらええけど」

怜「・・・・私、なんでこいつとコンビ組んでるんやろ・・?」

セーラ「・・・仮面ライダー怜やからな」

怜「わかった。状況は?」

セーラ「だだっ広い河川敷で、悪役が待つところに颯爽と現れるヒーロー!一対一の決戦!」

怜「おおし!」

82: 2012/09/27(木) 00:08:13.92 ID:t569UulM0

怜「・・・・ほな変身してから来るわ」

セーラ「変身もええけど、その前に歯を磨きや!」

怜「え?」

セーラ「口臭いヒーローなんてあかんやろ?はよ!」

怜「いや、でも・・・」

セーラ「源さんみたいになるで!!」

怜「・・それは嫌やな・・・じゃあ・・・・ゴシゴシ・・・」

セーラ「ボン!」

怜「?」

84: 2012/09/27(木) 00:12:51.97 ID:t569UulM0

セーラ「歯ブラシ爆弾や・・・頭部は木端微塵・・・」

怜「ええー・・・」

セーラ「今、氏因がテロップで流れて、カメラは頭部の断面図アップや」

怜「グロい!!」

セーラ「そんで最後に仮面ライダー怜の生前の名言が表示されんねん」

怜「名言・・・?」

セーラ「・・・・・エアコンの設定温度を上げて、扇風機を付けると節電に役立つねん・・・」

怜「それ最後の名言!?」

セーラ「そや」

怜「庶民派にも程があるやろ!他になんか名言はないんか!?」

セーラ「あとは自慢話ばっかやったからな」

怜「一番嫌われるやつや・・・・・あかん!もっと上手い事せんと!」

セーラ「お?」

85: 2012/09/27(木) 00:17:00.50 ID:t569UulM0

怜「最初から変身して、油断せんと河川敷まで移動や・・・」

セーラ「ふむ」

怜「周囲に注意を払って壁際を歩いて・・・」

セーラ「パン!」

怜「なんでや!」

セーラ「スナイパーに撃たれたんや」

怜「な、なんで居場所がわかんねん!」

セーラ「ツイッターや」

怜「ツイッター?」

セーラ「・・・難波の喫茶店で仮面ライダー怜を発見。砂糖入れ過ぎ、子供舌!・・とか」

怜「・・・・・」

セーラ「・・・今、森ノ宮なんだけど、仮面ライダー怜、カーブミラー見ないから曲がり角でおばちゃんとニアミス!ざまぁ!・・とか呟かれてるから、場所がわかるねん」

怜「・・・めっちゃ馬鹿にされてるやん・・・・なんでー?」

87: 2012/09/27(木) 00:22:15.59 ID:t569UulM0

セーラ「自慢ばっかやから」

怜「もう~!仮面ライダー怜~!」

セーラ「すぐ楽したがるし、弟子に荷物持たせんねん」

怜「弟子おったんか!?」

セーラ「小太りが1人な」

怜「身軽な奴にせえよ!」

セーラ「ブーツとかベルトとか結構かさばんねんけど、持っとけ!言うて放るんや」

怜「・・・嫌いやわぁ・・・」

セーラ「昼間から酒飲んでタバコスパスパ吸って」

怜「あかん・・・・」

セーラ「師匠・・・大阪駅で敵が・・・・言うても、アホ!曽根崎警察に任せ!言うて」

怜「あかんあかん・・・」

89: 2012/09/27(木) 00:26:22.94 ID:t569UulM0

セーラ「いいところは1つだけ。オシャレっちゅう事だけや」

怜「ほお、それはええな」

セーラ「漆黒の肺なんや」

怜「だからそれオシャレちゃう!!」

セーラ「・・・うーん」

怜「なんや?」

セーラ「・・いやな、色々話してきたけど、結局私は麻雀部しかあらへんなー、思て」

怜「え?なんでや?」

セーラ「なんちゅうても、私はトク・タイセイやから。アニョハセヨー♪」

怜「もうええわ」

怜・セーラ「どうも、ありがとうございました~!」ペコリ

パチパチパチパチ

怜・セーラ「・・・」タタタタタ

93: 2012/09/27(木) 00:31:53.68 ID:t569UulM0

舞台袖

怜「ふう~・・・・」

セーラ「ああー・・・やりきったー・・・」

浩子「お疲れさんです」

泉「声出てましたよ」

竜華「怜~♪キュートやったで~」

怜(お客さんも好意的に見てくれたようやし・・・やや受けやったけど良しとするか)

怜(しかし身内が一言もオモロイと言ってくれへんとは・・・・悲しいもんがあるなぁ)

セーラ「ふう~」

怜「セリフ完璧やったな」

セーラ「おお!それぐらいは覚えとかんとな!」

怜「ふふ・・・」

女生徒A「あ、すいませ~ん、横通ります」

95: 2012/09/27(木) 00:34:59.25 ID:t569UulM0

セーラ「お・・・もう次の出し物の準備か」

怜「・・・・」

怜(余裕なかったから、宥さんの顔見れへんかったけど・・・・どんな顔してたんやろ・・?)

怜(ほんの少しでも笑てくれてたら・・・・)

?「あの・・・」

怜「?」

照「お疲れ様」

怜「あ・・・宮永 照・・・」

照「・・・・私は好きだった」

怜「そ、そう?ありがとう」

照「うん・・・」

98: 2012/09/27(木) 00:38:19.56 ID:t569UulM0

怜「・・・・・」

?「園城寺さん」

怜「?」

菫「・・・・」

怜「え?・・・あ・・・・・弘世さんも・・・・」

菫「ああ。君たちの漫才・・・見させてもらったよ」

怜「あ、ありがとう」

菫「麻雀を打っている時以外の君を見るのは、なかなか興味深かったよ」

怜「そ、そう?」

菫「ああ」フフ

99: 2012/09/27(木) 00:41:11.80 ID:t569UulM0

??「あの・・・」

怜「?」

宥「その・・・」

怜「あ!!」

怜(宥さん!!)ドキッ!

宥「・・・・園城寺さん・・・お疲れ様でした・・・」

怜「え、あああうああ・・ありがとう///」

怜「ど・・・・・・・・どやった?」

怜(あかん!心臓がバクバクする!)バクバクバク...

101: 2012/09/27(木) 00:43:47.85 ID:t569UulM0

宥「・・・・」

怜(あったかくない・・・は・・・・やめてや・・・頼む!!)バクバクバク

宥「・・・私は・・・・・ん・・・楽しかったです」

怜「!!!!!」

宥「園城寺さんと江口さんが頑張ってて・・・」

怜「じゃ、じゃあ・・・寒かったりは・・?」

宥「・・・・・えと・・・大丈夫・・・でした」

怜「!!!!」

怜(やった!・・・・やった!!めっちゃ嬉しい!!)オオオオ!

宥「・・・・・」

103: 2012/09/27(木) 00:46:20.86 ID:t569UulM0

菫「改めて、君たちにお礼を言いたい」

怜「?」

菫「君たちの漫才を見ている宥さんの一瞬の笑顔を見て、私は一目惚れしてしまってな」

怜「???」

菫「なりふり構わず告白をして・・・付き合う事になったんだ///」

怜「・・・・・・・・・・・・え」

宥「/////」

菫「君たちのおかげだよ・・・本当にありがとう・・・」

怜「・・・・・・・・・・・・」

宥「あの・・・・ありがとう・・・・////」

怜「・・・・・・ええ・・・・どういたしまししたましたて」

菫・宥「??」

107: 2012/09/27(木) 00:49:52.62 ID:t569UulM0

怜「・・・・・・・・・・・・」

菫「それじゃあ、また漫才をする時には教えてくれ」スタスタ

宥「園城寺さん、またね」スタスタ

怜「・・・・・・・・・」ボー

照「??・・・どうしたの?」

セーラ「おーい!怜~!今、愛宕監督から電話があってな!怜めきセーラーの初舞台記念として、もう一本苗木をくれるって!」

怜「・・・・もう・・・・ええわ・・・・ほんまに・・・ええわ・・・」ボー...

菫「」スタスタ

宥「」スタスタ

菫「」ユウ ニ カオ ヲ チカヅケ..

宥「」ア...

チュッ...

怜「!!!!」

108: 2012/09/27(木) 00:51:26.68 ID:t569UulM0

セーラ「ん?どないしたん?」

怜「うおおおおお!!」

セーラ「わああ!!」ビクッ

照「!」ビク

怜「か・・・・」

セーラ「か?」

照「か?」

怜「カラーボール!!誰かカラーボールを持てぇぇい!!」バタバタ!

浩子「な、何で暴れてんの!?」

泉「ちょ、園城寺先輩!!」

怜「カラーボールを!!カラーボールをここに!!!」ガァァァ!

セーラ「そんなん無いて!」

竜華「怜ぃぃぃーーーーーー!!!!」

【終わり】

109: 2012/09/27(木) 00:51:32.91 ID:Ng2HfWd40
(アカン)

111: 2012/09/27(木) 00:54:03.84 ID:jmZd07GE0
これで終わりなのか…?

112: 2012/09/27(木) 00:55:35.54 ID:3PFSx3bp0
おつおつ

117: 2012/09/27(木) 00:56:39.98 ID:t569UulM0

>>111
終わりです。

みなさん、支援どうもありがとう。

引用: 怜「文化祭でセーラと漫才する事になった・・・」