1: 2011/03/11(金) 21:53:42.83 ID:y+IXJuaGo
はじめに
ダブルパロディって奴を書いてみたかったからけいおん×エトラン(ラノベ)のクロスSS。
キャラ崩壊、バトル、[ピーーー]たあり([ピーーー]たは出来る限り避ける予定です)
原作のネタバレ要注意(若干アレンジ等を加えてますがほぼストーリーは同じ)
誤字脱字は上手く変換してください。
憂と和と聡好きさんごめんなさい。
それでも良かったらお付き合いください。
ダブルパロディって奴を書いてみたかったからけいおん×エトラン(ラノベ)のクロスSS。
キャラ崩壊、バトル、[ピーーー]たあり([ピーーー]たは出来る限り避ける予定です)
原作のネタバレ要注意(若干アレンジ等を加えてますがほぼストーリーは同じ)
誤字脱字は上手く変換してください。
憂と和と聡好きさんごめんなさい。
それでも良かったらお付き合いください。
2: 2011/03/11(金) 21:54:49.46 ID:y+IXJuaGo
♯プロローグ
私は子供の頃から動物、人から生える糸が視えていた。その糸は身体のあらゆる部分から伸びて天に伸びていた。それらは普通は見えないが、目を凝らすと視えるのだ。いや、視ようと思わなければ視えないのだ。
その糸は私には視えるのだが他人には全く視えない。糸は触れる事が出来るし、操る事も出来る。
お母さんに何故糸が視えるのか聞いても、寧ろ私にその答えを見つけるような小難しい話をしていたが、私には全く付いていけなかった。興味が無かったの間違いかもしれない。
お母さんはいつも『行ってくる』とふらっと仕事?に出掛けてお金を稼いで帰ってくる。小さい頃の私は見送って、何の仕事か興味すらわかなかったのだが、この年になったらいくら私でも気になるが、教えてくれなかった。
元々お母さん1人で私を育ててくれたので、お父さんは知らない。お母さん曰くお父さんは私が生まれる前に氏んだからだ。
そして今日もお母さんは仕事に出掛けた。しかし、帰ってこなかった。
お母さんが出掛けて少し日が進んだ。元々仕事で家を空けているお母さんと二人暮らしなので家事も自然と私がやっていた。そんな私にとって平穏な毎日だったので家事スキルはそこそこある。
そんな私の元に1人の女の子がやって来た。
私は子供の頃から動物、人から生える糸が視えていた。その糸は身体のあらゆる部分から伸びて天に伸びていた。それらは普通は見えないが、目を凝らすと視えるのだ。いや、視ようと思わなければ視えないのだ。
その糸は私には視えるのだが他人には全く視えない。糸は触れる事が出来るし、操る事も出来る。
お母さんに何故糸が視えるのか聞いても、寧ろ私にその答えを見つけるような小難しい話をしていたが、私には全く付いていけなかった。興味が無かったの間違いかもしれない。
お母さんはいつも『行ってくる』とふらっと仕事?に出掛けてお金を稼いで帰ってくる。小さい頃の私は見送って、何の仕事か興味すらわかなかったのだが、この年になったらいくら私でも気になるが、教えてくれなかった。
元々お母さん1人で私を育ててくれたので、お父さんは知らない。お母さん曰くお父さんは私が生まれる前に氏んだからだ。
そして今日もお母さんは仕事に出掛けた。しかし、帰ってこなかった。
お母さんが出掛けて少し日が進んだ。元々仕事で家を空けているお母さんと二人暮らしなので家事も自然と私がやっていた。そんな私にとって平穏な毎日だったので家事スキルはそこそこある。
そんな私の元に1人の女の子がやって来た。
3: 2011/03/11(金) 21:55:31.01 ID:y+IXJuaGo
憂「始めまして平沢憂です」
唯「はぁ」
憂「えっと…唯さん?」
唯「はい」
憂「へぇ~…じゃあ私のお姉ちゃんだね♪」
唯「は?」
そう言って憂は私に抱き付いて来た。歳は私より下なのか。しかし私より胸がある。見た目は可愛い系で私より全てにおいて万能な気がした。
それよりもこの平沢憂からは特殊な感じがした。一般人とは違う私やお母さんに近い匂い。
いきなりやって来て憂は延滞中のアパートの家賃を払ってくれた。財布をチラッと除くと諭吉がざっと100人くらいいた気がした。ついでに憂は更にしばらく生活できるお金もくれた。
唯「こんなにいらないよぉ~」
憂「報酬だよ」
唯「報酬?」
4: 2011/03/11(金) 21:56:06.41 ID:y+IXJuaGo
憂「お姉ちゃんのお母さんの操お母さんだよ。そのお仕事の。まあ私のお母さんでもあるけど、実は私が生まれた直後にお父さんとお母さん離婚して私はお父さんの元で、お姉ちゃんはお母さんと生き別れになっちゃったんだよ」
唯「えっ?お父さん氏んじゃったんじゃ……」
憂「あはは。お姉ちゃんをいやな思いにさせたくないからだよ。嫌でしょお父さんが飲んだ暮れだから別れました。こんなお父さん」
唯「う~ん。えっとうい?だっけ?」
憂「そうだよ。お姉ちゃん」
唯「お父さんってどんな人?」
憂「かっこいいよ!それよりもお姉ちゃんはお母さんの仕事知ってる?」
唯「興味なかった」
憂「もうっ。親孝行しないと!」
唯「でも危険なお仕事でしょ?」
昔、お母さんを狙って化け物が現れた事がある。とっても小さかった頃の私だから化け物と言う感じでしか覚えてない。それでも今こうして生きているわけだからお母さんが倒してくれたのだろう。
5: 2011/03/11(金) 21:56:41.81 ID:y+IXJuaGo
憂「お母さんはここ桜ヶ丘の裏の社会と戦ってたんだよ……お姉ちゃん私の糸視える?」
唯「ちょっと待って……おっけー視えたよ」
憂の身体から伸びている糸。太い糸は四肢で次に間接と凝らしてどんどん細かな糸まで視てみる。
憂「その様子じゃ視えてるね。でね。お母さんはその糸を使って化け物と戦ってたんだよ。異能って奴」
唯「異能?」
憂「そう。まあ化け物。お姉ちゃんも化け物だよ」
唯「えっ?がおー」
憂「めっ!」
唯「こほん……さて、どうして私に教えてくれるの?」
と、聞けば要するにお母さんの代わりに仕事をやってくれとの事。憂は私も忙しいからと言うわけで仕方なく引き受けた。この仕事は糸が視える私にしか頼めないらしく、決して代わりに働かないとお金払わないよと言われたからではない。
ちなみに糸が視える異能を糸遣いで糸を使う事を操糸術とか人形遣いとか初めて知った。
6: 2011/03/11(金) 21:57:11.85 ID:y+IXJuaGo
♯1
さて、その仕事と言うのは連続通り魔事件の犯人を突き止めろと言う事だった。もちろん警察の仕事でしょって突っ込んだら、異能が絡んでるから頼んだのって言われた。
それで、現在夜の10時近くの雨が降る中、傘を差して人通りの多い所まで行く。
唯(そろそろかな)
そう思って目を糸を視る目に切り替える。ぱっと色んな人から糸が視え、それは天に昇っている。屋根からも糸が視える。屋根に糸があるのではなく、屋根の下に人がいる。その糸が屋根という障害物を突き抜けて視える訳である。
唯(人…人…この糸はネコさんだ。あっちは犬だね)
糸の動きや糸の数で動物を見分ける。夜は基本動物が多い。それにおかしな動きをする糸は見当たらない。
ぐるっと回っておかしい糸を……発見。その糸は明らかに人間より糸が多い。要するに化け物である。
唯(あそこは公園だ。何してるんだろ?)
半分不安に半分好奇心。また半分恐怖に半分興奮。四分の一ずつの感情を胸に公園に向かう。仕事の事はすっかり忘れていた。
公園の入り口から化け物を探す。といっても視認くらいだが、化け物はスライムや獣人みたいなのではなく制服を着た少女だった。少女は空を見上げていた。ただ、服が所々ぼろぼろであり、おまけに知らない制服である。
?「………」
唯「!」
7: 2011/03/11(金) 21:57:40.93 ID:y+IXJuaGo
唯の視線に気づいて少女は唯に目を向ける。1秒で視線を外して空を見上げる。
唯「何してるの?風邪引いちゃうよ」
近づいて声をかける。傘をもう一本持って来れば良かった。
しかし、気にしてないのか「話しかけるな」と一蹴された。それでも唯は食い下がる。
唯「服も濡れてるよ。化け物でも風邪引かない?」
化け物の言葉に反応したのか唯に向かってあらゆる感情を込めた目を向ける少女。わかる事は明らかに敵意を唯に向けている事である。
?「どうしてわかったんだ?」
唯「えっ?糸が普通の人より多いからだよ」
?「糸?…お前人形遣いだな?」
唯「よくわかったね」
?「そりゃあ糸と言われたらそいつらしか浮かばないしな」
少女は敵意を見せなくなったが軽快しているようである。そんな事をお構いなしに唯は独自のペースに持ち込む。
8: 2011/03/11(金) 21:59:08.60 ID:y+IXJuaGo
唯「私は唯。よろしく」
?「苗字は?」
唯「平沢」
?「平沢…あっ私はカタナ。だけど嫌いだから律って呼んでくれ」
唯「りっちゃんだね。よろしくね」
律「ん。ああよろしく」
完璧に律は唯のペースに嵌ってしまった。糸遣いの唯であるのだが、ホントに糸遣いなのか、逆に思ってしまう点があるのだ。
唯「ねえ。服ぼろぼろだから私が縫い直していい?」
律「いやだめだめ」
唯「いいもん。勝手にやるもん」
9: 2011/03/11(金) 21:59:36.36 ID:y+IXJuaGo
唯は律の糸を勝手に操って制服を脱がしにかかる。当然律は抵抗するが、身体が言う事を利かない。操糸術を使っているからである。なんとか制服を脱がす。下は何も身に着けていなかった。
唯「りっちゃんおっOい小さいね」
律「やかましい!!勝手に脱がしておいて!」
と、怒っているが構わず裁縫セット出して縫う。……が「片手じゃうまくいかない」と悪戦苦闘している。しばらく格闘していると「貸せ。もう自分でやる」と再び抵抗を始める。それを糸で制してやっと一箇所補強が終わる。
唯「………ごめんなさい」
律「…努力は認めてやるから貸せ」
唯「はい」
結局、律は唯よりも早く縫ってしかも唯の下手な補強も直してしまった。ただ、制服が動物のワッペンだらけになった。お気に入りの制服のため落胆した律が一丁出来た。ワッペンだらけになった理由は唯がうるさいからだった。
10: 2011/03/11(金) 22:00:21.52 ID:y+IXJuaGo
律「で、唯は何してたの?」
唯「私は通り魔事件の捜査だよ」
律「てことは唯は通り魔の犯人じゃないんだな?」
唯「そだよー。りっちゃんも犯人捜してるの?」
律「唯とは関係ない個人的に調べてるんだ」
唯「その傷は?」
律「敵と戦ったときの勲章。通り魔じゃないぞ」
唯「へー。でもりっちゃんは化け物だから負けないでしょ?」
律「でも唯の操糸術の方が私より化け物だぞ」
律はそう言い顔を顰める。化け物扱いに唯はちょっとショックを受けたが、確かに操糸術はタイマンではほぼ最強の部類に入る。相手の糸さえ掴めばそれまでなのだ。相手は足掻く事も出来ずになすままになるからである。
唯「ねえ、さっき言ったカタナって何?」
アンソロジー
律「作品名『刀姫』だからカタナって略すんだけど私の名前は律だから律って呼んでるんだ」
11: 2011/03/11(金) 22:00:52.21 ID:y+IXJuaGo
唯「作品…名?」
律「この身体はある男に改造されたんだ。だから私はその男を捜している。もちろんこの事件にも絡んでそうだからな。もちろん、化け物じゃなかったら私は男なんて追わないし、唯にも会わなかったな」
唯「そんな自分の事を化け物なんて……」
律「唯には視えてるだろ?」
確かに律からは普通の人間よりも遥かに多い糸が身体中あちこちから出ている。唯にはわからない謎の糸が出ている。その一本を適当に手繰った。
ずるぅ。
唯「わっ!?」
律の手から得体の知れない刀が飛び出た。思わず糸を放して距離を取る。
律「そんな驚くなよ。私の身体は百八の名刀の鞘なんだぞ」
唯「そんなに!?」
12: 2011/03/11(金) 22:01:20.05 ID:y+IXJuaGo
律「私は改造が趣味の最低な奴に改造されたんだ。ソイツは私みたいな異能を生み出すんだ。もちろん、私は恨んでいる。この手で[ピーーー]んだ。この事件にも絡んでるかもしれないんだ。だからな人形遣い!私じゃなかったらお前は殺されてたかもしれないんだぞ!私みたいな奴が異能者だと軽々しく思うな!!この事件を甘く見てるな!!」
律の怒りは唯を怯ませた。余程異能者を憎んでいる事だ。異能者に対して敵意を向けていた。もちろんそれは唯も例外ではない。
唯「私だって真剣だよ!!」(生活費だってかかってるし)
律「どうだかねぇ~」
唯「ならさ」
ここで唯は一つ提案を律に言った。同じ事件を追っているなら一緒にやらないかと…。が、それは決裂に終わった。
律「残念ながら私はソイツの手がかりを掴む事。唯とはまた違うんだ」
唯「ふん。なら私だって自分で犯人捕まえてやる!!」
律「ほんとか?」
唯を挑発するかのような返事。唯はそれをまじめに返した。律はため息をついた。おそらく半人前の唯が事件の真相掴もうとするさまにため息をついたのかもしれない。
律の怒りは唯を怯ませた。余程異能者を憎んでいる事だ。異能者に対して敵意を向けていた。もちろんそれは唯も例外ではない。
唯「私だって真剣だよ!!」(生活費だってかかってるし)
律「どうだかねぇ~」
唯「ならさ」
ここで唯は一つ提案を律に言った。同じ事件を追っているなら一緒にやらないかと…。が、それは決裂に終わった。
律「残念ながら私はソイツの手がかりを掴む事。唯とはまた違うんだ」
唯「ふん。なら私だって自分で犯人捕まえてやる!!」
律「ほんとか?」
唯を挑発するかのような返事。唯はそれをまじめに返した。律はため息をついた。おそらく半人前の唯が事件の真相掴もうとするさまにため息をついたのかもしれない。
13: 2011/03/11(金) 22:01:55.37 ID:y+IXJuaGo
律「ならさ、そこのトイレ行って来いよ。女性トイレな。唯には良い手がかりがあるぞ」
唯「罠でしょ?」
律「いやいや」
唯「じゃあちょっと行って来る」
公衆トイレに着いた。糸を視るが誰もいない。しかし、余り良くないものがあるのは臭いでわかったし、中に入ると個室が空いていた。そして個室を中心に血溜まりが出来ていた。
つまり通り魔が既に頃した後であった。手がかりを掴むために血溜まりを踏まないように個室の正面に向かう。ハンカチで口と鼻は既に抑えていたが結構きつい。
少し冷静になってから……唯は中を覗いた。
唯「―!!」
ダッシュでトイレから逃げるように出る。とても直視できるようでなかったからであったのだ。
唯(なっ何なの!?)
テレビでは胸を一突きだったのだが、そんな優しい通り魔ではなかったのだ。
女性トイレには女性の氏体が確かにあった。お腹を大きく切り裂かれ夥しい血が流れていた。断末魔を上げた口は開いたままで、おそらく生きたまま裂かれたのだろう。
マジシャンでもあんな頃し方は出来ない。
備え付けの水道まで何とか走り着いたとたん吐いた。
唯「罠でしょ?」
律「いやいや」
唯「じゃあちょっと行って来る」
公衆トイレに着いた。糸を視るが誰もいない。しかし、余り良くないものがあるのは臭いでわかったし、中に入ると個室が空いていた。そして個室を中心に血溜まりが出来ていた。
つまり通り魔が既に頃した後であった。手がかりを掴むために血溜まりを踏まないように個室の正面に向かう。ハンカチで口と鼻は既に抑えていたが結構きつい。
少し冷静になってから……唯は中を覗いた。
唯「―!!」
ダッシュでトイレから逃げるように出る。とても直視できるようでなかったからであったのだ。
唯(なっ何なの!?)
テレビでは胸を一突きだったのだが、そんな優しい通り魔ではなかったのだ。
女性トイレには女性の氏体が確かにあった。お腹を大きく切り裂かれ夥しい血が流れていた。断末魔を上げた口は開いたままで、おそらく生きたまま裂かれたのだろう。
マジシャンでもあんな頃し方は出来ない。
備え付けの水道まで何とか走り着いたとたん吐いた。
14: 2011/03/11(金) 22:02:31.11 ID:y+IXJuaGo
律「本当に事件を追っかけてるのか?」
唯「あれはないよぉ~」
律「やっぱり唯みたいな人形遣いは後ろで糸を操ってた方が良いかもな。正面に行ったら何も出来ずに唯は氏ぬぞ。唯だけでなく他の人形遣いも同じな。唯を守る人形がいるならまだしも」
唯「私を守る人形って?」
律「さーね?」
そう言って律は何処かに歩いて行った。その背中は来るなと言っていた。
唯「あれはないよぉ~」
律「やっぱり唯みたいな人形遣いは後ろで糸を操ってた方が良いかもな。正面に行ったら何も出来ずに唯は氏ぬぞ。唯だけでなく他の人形遣いも同じな。唯を守る人形がいるならまだしも」
唯「私を守る人形って?」
律「さーね?」
そう言って律は何処かに歩いて行った。その背中は来るなと言っていた。
15: 2011/03/11(金) 22:03:00.86 ID:y+IXJuaGo
♯2
その日は氏体と律と言う化け物に会っただけで終わった。収穫の氏体は直視できないのであまり良い収穫ではないが、テレビより正確だった。……あっ裁縫道具りっちゃんに取られたままだった。
家に着いて鍵を開けるが、鍵は開いていた。出掛ける前にはちゃんと閉めたので泥棒が侵入したのか頭をよぎる。別に取られるものはないが怖い。
扉を開ける。
?「おっおかえりなさいませ///ゆっ唯様///」
メイドがいた。と言うより、黒のゴス口リ服を着てレースのカチューシャを付けていた美人な女の子がいた。ただ、服装が恥ずかしいのか顔は真っ赤だし、お辞儀もぎこちなかった。別に唯はぎこちなくても構わなかったが、ただ一点だけ唯がムカついた点は胸だけだった。
唯「……どちら様?」
?「みっ澪って言います///」
唯「えっと最近のメイドさんは自宅訪問まで出来るの?でも私頼んでないし、お隣さんの間違いじゃないかな?」
澪「えっえっと……とっとにかく詳しい話をしますから///」
オロオロするゴス口リ少女澪に従って家の中に入る。テーブルには夕飯があったためそれを頂く事にした。……夕飯と言う名のアイスを。
その日は氏体と律と言う化け物に会っただけで終わった。収穫の氏体は直視できないのであまり良い収穫ではないが、テレビより正確だった。……あっ裁縫道具りっちゃんに取られたままだった。
家に着いて鍵を開けるが、鍵は開いていた。出掛ける前にはちゃんと閉めたので泥棒が侵入したのか頭をよぎる。別に取られるものはないが怖い。
扉を開ける。
?「おっおかえりなさいませ///ゆっ唯様///」
メイドがいた。と言うより、黒のゴス口リ服を着てレースのカチューシャを付けていた美人な女の子がいた。ただ、服装が恥ずかしいのか顔は真っ赤だし、お辞儀もぎこちなかった。別に唯はぎこちなくても構わなかったが、ただ一点だけ唯がムカついた点は胸だけだった。
唯「……どちら様?」
?「みっ澪って言います///」
唯「えっと最近のメイドさんは自宅訪問まで出来るの?でも私頼んでないし、お隣さんの間違いじゃないかな?」
澪「えっえっと……とっとにかく詳しい話をしますから///」
オロオロするゴス口リ少女澪に従って家の中に入る。テーブルには夕飯があったためそれを頂く事にした。……夕飯と言う名のアイスを。
16: 2011/03/11(金) 22:03:33.71 ID:y+IXJuaGo
唯「えっと……澪ちゃんって何者?」
やっと落ち着いてきた澪にアイスを食べながら問う。もちろん。落ち着いてきた澪はゆっくり答える。
澪「私は唯様専属の人形です」
唯「あ、ちょっと待った!」
澪「何でしょうか?」
唯「別に私偉くないから澪ちゃんのいつものしゃべり方で良いよ」
澪「しかし……」
唯「しかしって事は素の澪ちゃんがいるんでしょ?私専属なら私の前だけは素になる事。同年代でしょ?」(多分だけど)
澪「……わかった」
17: 2011/03/11(金) 22:04:02.85 ID:y+IXJuaGo
唯「それで澪ちゃんは何しに来たの?」
澪「私は妹様の命でここに来たんだ。唯を唯のお母さんの実家に連れて来るようにな」
スプーンを止めて澪ちゃんを見る。
唯「お母さんの実家の人?」
澪「いや、私は唯専属人形で統堂に仕える者」
唯「お母さんって姓って統堂なんだ」
澪「そう。それで統堂は糸遣いの家系」
質問をどんどん答え更に先の質問まで答えていく澪。聞いてもないのに無駄な解説も混ざるが、説明は丁寧らしい。らしいと言うのは私が全く詳しくないからである。
結局、中々理解できない私に痺れを切らした澪が唯でもわかりやすいように超簡単に説明してくれた。要するに私が跡継ぎだから帰って来いとの事。そしてお祖父さんが逢いたがってる事。
澪「私は妹様の命でここに来たんだ。唯を唯のお母さんの実家に連れて来るようにな」
スプーンを止めて澪ちゃんを見る。
唯「お母さんの実家の人?」
澪「いや、私は唯専属人形で統堂に仕える者」
唯「お母さんって姓って統堂なんだ」
澪「そう。それで統堂は糸遣いの家系」
質問をどんどん答え更に先の質問まで答えていく澪。聞いてもないのに無駄な解説も混ざるが、説明は丁寧らしい。らしいと言うのは私が全く詳しくないからである。
結局、中々理解できない私に痺れを切らした澪が唯でもわかりやすいように超簡単に説明してくれた。要するに私が跡継ぎだから帰って来いとの事。そしてお祖父さんが逢いたがってる事。
18: 2011/03/11(金) 22:04:33.08 ID:y+IXJuaGo
唯「でも私はまだやる事あるし」
澪「なら、お祖父さんに会う事は?」
唯「このお仕事が終わったなら良いよ」
澪「……わかった。最悪例外で唯以外が跡継ぎになるしな」
唯「例外って?」
澪「それは秘密だ。唯は統堂じゃないからな」
バッサリ言い捨ててその話は終止符を打った。まあ私も良くわからない話だったし、今は素の澪なのでちょっといらいらしてる顔を見たら早く終わらせたかったのも一つである。
唯「じゃあ澪ちゃんのこの後は?」
澪「私は自分の仕事に戻るよ」
19: 2011/03/11(金) 22:05:02.02 ID:y+IXJuaGo
唯「ふ~ん。ばいばい」
澪「えっ?何言ってるんだ?」
唯「えっ?」
澪「私は唯に仕える事が本職なんだ」
唯「でも私統堂じゃないよ」
澪「関係ないね。私は唯のために作られたんだ」
次の日。例の通り魔事件がニュースで報道されていた。もちろん。お腹から裂けて氏んだのではなく、刺殺と綺麗な氏に方だった。
学校に出掛けるとゴス口リ少女が送ってくれた。学校行かないのと聞いたら気にするなと言っていた。気にしたくなるが、時間も危なかったので1人渋々学校に行く事にした。
20: 2011/03/11(金) 22:05:30.51 ID:y+IXJuaGo
?「また通り魔だって。怖いわね。唯も気をつけなさいよ」
と、朝のSHR終了後にクラスメイトの立花姫子が心配そうに話しかける。それもそのはず、狙われているのは皆女性だからである。クラスでは天然のレッテルを貼られている唯の事を心配するのは席が隣同士としては当たり前であるのだ。
唯「私は狙われないよ~。だって早く帰るもん」
姫子「どうだかね……ところで唯はダイエット食品に興味ある?」
唯「私は食べても太らない体質だから」
姫子「じゃあこれはいらないわね」
唯「なにこれ?」
姫子「ダイエット食品」
唯「姫子ちゃん飲んでるの?」
姫子「まあ物は試しで……」
とりあえず、チャイムが鳴ってそのまま姫子と別れる。結局その日の学校は平穏に終わり帰路に着く。
鍵が開いていたのでそっと開けてみる。
21: 2011/03/11(金) 22:05:58.81 ID:y+IXJuaGo
澪「おかえりなさいませ」
黒のゴス口リ少女が出迎えてくれた。
唯「普通にお帰り良いんだよ!!」
昨日は素に戻っていた澪だが、今日になったらまた元に戻っていた。ただ、初対面の頃より恥ずかしがってはいなかった。学校に持って行った鞄は澪が持っていて足が停止中の唯を後ろから押して中に入れる。
唯「ところで澪ちゃんっていくつ?」
澪「唯と同じだよ」
唯「じゃあ中卒?」
澪「……まあ。ただ、頭脳は進学校のトップ並だぞ。いや、学校がそれくらいのところでな」
唯「高校行かなかったの?」
澪「唯に仕えるために高校行かなかったんだ///」
22: 2011/03/11(金) 22:06:26.15 ID:y+IXJuaGo
どうやら仕える発言は相変わらず顔を赤くする。まだ半人前って事らしい。単純に照れているのかも知れないが。
まあ唯はそんな事はちょっとしてからどうでもいいことに気付いた。
唯「あのさ」
澪「ん?」
唯「空き巣が入ったの?」
澪「いや」
唯「じゃあこの部屋の酷さは何?」
澪「ああ。私が家事をした」
唯「………何か言う事ある?」
澪「……申し訳ありませんでした」
23: 2011/03/11(金) 22:06:55.47 ID:y+IXJuaGo
とりあえず、再び家事をしていたら結構時間がかかってしまった。もっとも手伝うと言って余計に悪化させている人物がいるからであるのだが、一生懸命やっているのを見ていたら、辞めてくれなんて言える訳がない。
一通り終えてから出掛ける準備をする。もちろん事件の調査だ。
澪「出掛けるのか?」
唯「ちょっとね」
澪「ふ~ん」
と、澪は付いて来る。
唯「お見送り?じゃあ行ってくるね」
澪「いってきまーす」
唯「え?」
澪「ああ。唯のボディガード」
24: 2011/03/11(金) 22:07:24.59 ID:y+IXJuaGo
唯「いらないよぉ」
澪「まあまあ。早く犯人見つけるなら急がないと」
結局、どんなに言っても言う事を聞かないから仕方がなく唯はしぶしぶ認め澪は付いて来た。当然、澪は唯が美人と言うのは本当の事で……おまけにゴス口リ服が効いてるのか、私よりも澪の方が注目の的になっていた。
せめて普通の服着てよ澪ちゃん。
そしてもちろん絡まれた。そこらじゃ有名な2人組みに。
「よう姉ちゃん。暇ならお茶しないか?可愛い服着てるね」
「馬鹿だなお前。今時そんな口説き方じゃ寄って来ないぜ」
澪「はぁ?何様のつもりだ。氏ねカス共」
澪の普段の顔が消え、皆が鬱陶しい奴に絡まれた顔になった。台詞が一番怖かったが。
唯「………えっと今忙しいから……」
「ちょっと待てよ」
25: 2011/03/11(金) 22:07:54.90 ID:y+IXJuaGo
何故か2人組みは私をスルーして澪ちゃんを囲む。なんか悲しい。そんなに魅力がないのかな?
「強気な女の子は俺のタイプなんだぜ。へへっ」
1人の男が澪の肩を掴む。
澪「触るな!!」
澪が怒鳴り、男が宙を舞った。信じられないのが澪は片手で男を宙に舞わせている。そのまま男は地面にダイブし転げまわる。
澪「貴様等の様なしまむらーが触って良い服じゃねーんだよ!」
二度目の澪の怒鳴りが響く。澪を怒らせてはいけない事を唯は肝に銘じていた。
「こっこいつがどうなっても良いのか!?」
いつの間にか私は人質になっていた。
26: 2011/03/11(金) 22:08:41.16 ID:y+IXJuaGo
澪「最低な屑だな。私のご主人様に手を出すとは……」
「ひっ!」
澪の威圧に逃げ出す男。人質から解放されていた私はそれをぼーっと眺める。
澪「逃げるな!」
一瞬で澪が追いつき止めを刺す。男は撃沈した。
唯は澪がとても強いことを肝に銘じた。私なんかよりも…糸遣いよりも…。
澪「大丈夫か唯」
寧ろ澪の方が大丈夫かと声を掛けたかったがさっきのを見て大丈夫だと実感した。
唯「あっありがとう」
27: 2011/03/11(金) 22:09:09.16 ID:y+IXJuaGo
澪「どういたしまして。でもこれが私の仕事だから。でも唯は人質にされたときくらいかわしたり出来なかったのか?」
唯「そうなんだけど……この力で昔犬か猫を頃しちゃったんだ」
澪「力を無意識に使って傷つける典型的だな」
一言で片付けないでよ。お母さん泣かしちゃったんだから……。
澪「とりあえず、ここから離れよう。人が来た」
近くのファーストフード店で一息ついて澪の家の事等に着いてについて詳しく聞いてみる。
唯「なんで澪ちゃんは私を守ってくれるの?」
澪「統堂の人達を守るためだよ」
唯「みんな澪ちゃんみたいに強いの?」
28: 2011/03/11(金) 22:09:38.97 ID:y+IXJuaGo
澪「まあな。でも私より強い人なんてたくさんいるし……でも強さの9割がセンスなんだよな。後は訓練なんだよ。統堂の人達は糸が遣えるんだけど弱いだろ。唯もそれは自覚してるだろ?だから私達みたいな人がいるわけ」
それは私も自覚している。実際さっきので澪の強さがわかったし、体力も筋力も持久戦や他人数だと不利である。りっちゃんが言っていた人形はこの事だったのだ。私を守る人形。弱点を克服するために存在する人間。それが人形。
澪「でも私達は戦う事が好きな馬鹿な家だから統堂の下にいなかったら滅んでた異能さ」
唯「澪ちゃんも異能なんだ」
澪「そう。心も殺せる戦闘だけに特化した異能だよ」
唯「だから家事がだめなんだ」
澪「ぐっ…まあ本当だから仕方がない」
29: 2011/03/11(金) 22:10:09.05 ID:y+IXJuaGo
それから澪は統堂の家と澪の家の話をした。澪の家は戦う事を好み化け物や異能をどんどん頃した殺人一族の事。その後廃れて行った事。統堂に負けてから傘下に入って統堂の影を支える人形になった事。統堂を支える事によって殺人一族から変わった事。
ただ、そんな話はB級映画よりつまらなかった。寧ろ澪個人はどうなのか。そこだけだった。
唯「澪ちゃんどうなの?」
澪「……ごめん。家の話じゃなくて私について聞きたかったんだよな」
唯「うん。こんな私の面倒みてくれるなんて辛くない?」
いや。そんな事はないぞとはっきり言う澪。
澪「恥ずかしい事なんだが私は唯に会える日を待っていたんだ。私は唯が生きているから今があるし、唯が全てだし……///」
多少顔が赤い澪は答えた。が、すぐに俯いて謝罪をした。そしてこう言った。これが統堂との関係だと…。
30: 2011/03/11(金) 22:10:36.70 ID:y+IXJuaGo
澪「統堂の傘下に入ってから私達の一族は姓を捨てたんだ。統堂を守る影。だから私達は闇宮と呼ぶようになったんだ」
唯「前の姓は?」
澪「さあな。でも一応闇宮はたくさんだから細かい姓があるんだ。要するに私は姓を2つ持ってるんだ。闇宮が大まかな姓。コードネームみたいなのが…秋山でな」
家に着いたのは日付は変わっていた。収穫はない。ため息は出た。
澪「疲れたな。唯は大丈夫か?」
唯「まあ。でも歩きつかれたね」
澪「ふぅん。マッサージしてやるよ」
と、言葉とともにマッサージが開始される。抵抗は出来ない。(力的に)
31: 2011/03/11(金) 22:11:08.22 ID:y+IXJuaGo
澪「なあ唯、やっぱり私達には情報量が足りないんだ」
唯「でも、テレビや雑誌は当てにならないよ」
澪「そりゃあマスメディアは第三の勢力だしな。適当な情報でも大衆は簡単に洗脳出来る。ただ、内部はちゃんとした資料はあるぞ」
唯「内部?コネとかないよ」
澪「拝借してくるよ」
スパイがいた。
唯「そんな!危ないよ」
澪「それくらい簡単だよ。朝飯前だ。それに私は唯の人形。唯の為ならなんだってするぞ」
唯「人形ってその言い方辞めて」
澪「で、どうするんだ?」
唯「調査は私の仕事だよ」
澪「唯の仕事は私の仕事でもある。私は唯の……」
唯「それ以上言ったら怒るよ」
唯「でも、テレビや雑誌は当てにならないよ」
澪「そりゃあマスメディアは第三の勢力だしな。適当な情報でも大衆は簡単に洗脳出来る。ただ、内部はちゃんとした資料はあるぞ」
唯「内部?コネとかないよ」
澪「拝借してくるよ」
スパイがいた。
唯「そんな!危ないよ」
澪「それくらい簡単だよ。朝飯前だ。それに私は唯の人形。唯の為ならなんだってするぞ」
唯「人形ってその言い方辞めて」
澪「で、どうするんだ?」
唯「調査は私の仕事だよ」
澪「唯の仕事は私の仕事でもある。私は唯の……」
唯「それ以上言ったら怒るよ」
32: 2011/03/11(金) 22:11:37.49 ID:y+IXJuaGo
澪「ごめん。でもまた犠牲者が増えるぞ。早く事件を解決したいだろ」
唯「…………」
澪「唯」
澪が唯の手を握る。
澪「唯は優しいな。でも私は唯の役に立ちたいんだ。それが生きがいなんだよ。だから……私の事を考えてくれてるなら……」
真剣な顔で澪は唯に訴える。本当にいいのかと問うともちろんと答えた。
唯「じゃあお願いできる?通り魔事件の詳しい情報を……」
澪「了解だ。おまけに犯人も見つけてきてやろう。ちゃんと連絡もするよ。でも連絡がなかったら私をほっといて1人で統堂に帰ってくれ」
唯「えっ?」
33: 2011/03/11(金) 22:12:05.45 ID:y+IXJuaGo
澪「連絡がない場合、私は殺されたか、拷問されてると思ってくれ。殺されてる方が良いが、拷問は唯の事を漏らす場合もある。だから唯は統堂に匿って貰ってくれ」
唯「それは出来ないよ」
澪「なんでだ?」
唯「澪ちゃんが敵に捕まったなら助けるよ」
澪「私なんかに唯は危ない目に遭う必要なんて…」
唯「さっき助けてくれたでしょ。そのお返しだよ」
澪「あれくらいで……それにさっきも言った通り唯の役に立つ事が生きがいなんだ。もし唯が私のために何かあったら…」
最後は少し嗚咽を含んだ小さい声で呟く。己の身体を抱きしめて震える身体を抑えている。
唯「あっごめん。澪ちゃんを困らせるわけじゃ…」
澪「こっちこそごめん。ただ、唯は命を軽々粗末にしないでくれ」
唯「じゃあ澪ちゃんも自分の命を捨てないで、帰ってくる事」
澪「命令だな」
唯「命令じゃない!!これは約束。だからさっきの情報の拝借も命令じゃない。お願いだよ」
澪「ふふふ。わかったよ。じゃあこれをお守り代わりに……」
そう言って澪はどこからか匕首を取り出し唯に差し出す。
澪「じゃあ言ってくるよ」
唯「絶対氏なないでね!!」
澪は笑みを作った。
しかし次の日、澪との連絡が途絶えた。
34: 2011/03/11(金) 22:12:34.18 ID:y+IXJuaGo
♯3
澪が帰ってこなくなって1週間が経った。その間にも被害者は出ているのに私は全くと言って良いほどに進んでいなかった。そもそもお腹から裂けるしか情報のない唯にとっては途方もない調査だった。ちなみに今日は3人同時だった。
毎日化け物を探しているが、全く出てこない。
休憩に寄った公園で彼女に出会った。
律「精が出てるね」
唯「りっちゃん!!」
律「進展はどうだい?」
唯「さっぱりだよ。縫ってあげるよ」
そう言いまたぼろぼろになってる律の制服を脱がす。
律「いや、貸せ。お前は下手糞だからな」
唯「糸遣いをなめるなよぉ」
35: 2011/03/11(金) 22:13:11.68 ID:y+IXJuaGo
そう言って唯は破れている部分にワッペンを付ける。今回は抵抗していないし、寧ろ実力を見ていたのだろう。そして、唯もまたやりやすかったのか、あっという間に修繕が終わった。
律「おいおい。確かに上手だがほとんどワッペンで制服が見えないだろ!!」
唯「まあまあ」
律「唯は本当に糸遣いなのか?」
唯「うん。お母さんが統堂だったんだ」
律はビックリして目を大きく見開く。
律「くくく。なるほど。統堂がここでヒーロー気取ってるのか。おかしすぎる」
とたんに腹を抱えて笑う律に少し不快感を覚える唯。
36: 2011/03/11(金) 22:13:39.83 ID:y+IXJuaGo
唯「こっちは真剣なんだよ!!澪ちゃんだって帰ってこないし」
律「澪?ああ。人形の事か。氏んだか拷問だな」
唯「澪ちゃんは氏んでない。約束したんだ」
律「唯は少し変わっているな。統堂は闇宮を道具のように扱うんだぞ」
唯「私は統堂じゃないもん!!」
律「でも情報を探らせたんだろ。唯よりも人形の方が遥かに出来るからな」
唯「澪ちゃんを人形みたいに扱ってないよ」
律「要するに人形扱いする事に抵抗感を持っている中途半端なだけ」
唯「だったら勝負だよりっちゃん!糸遣いの戦い方を……私の戦い方を…」
りっちゃんの糸を視る。大糸、筋肉、極糸までも視る。数千と視える糸を捉える
37: 2011/03/11(金) 22:14:07.20 ID:y+IXJuaGo
律「……後悔するなよ!!」
唯「ぐっ……」
律「その程度か」
結局、律には勝てなかった。善戦もなく百八の名刀の前には糸も視えず、ただ痛い警告だけを貰った。
唯「……それでも澪ちゃんを助けなきゃ…」
目の前には律の刀があった。
律「唯は普通の女の子の方が良かったかもな。1回氏んだ方が良いかも知れない」
唯「私はまだ氏ぬわけにはいかない。澪ちゃんと約束したから……私がやるしかないんだ!!」
38: 2011/03/11(金) 22:15:01.97 ID:y+IXJuaGo
律は唯を掴み顔を思いっきり平手打ちをする。さっきの戦いで力を使ったのか、唯地面に転がる。それを律は見下す。そして言う。
律「唯は自分が何をしてるのかわかってるか?」
律「澪って奴を助けるために戦う。じゃあ唯に何かあったら誰が澪を助けるんだ?」
唯「あ……」
そう言われて唯はやっと気づく。助けるために氏ねない。でも唯はその逆をやっている。
律「焦ってるのはわかるけどお前が冷静にならないとダメなんだぞ」
唯「…………」
唯はわかっている。1人で何をやろうとしても限界があることを…それでも犯人を捕まえるため、敵に捕まっているとされている澪を助けるためにこの1週間無茶をしてきた事。結果は何も出来なかった。
でも今律に殴られて少し冷静さを取り戻した。敵を見つけ、澪を助ける方法を。
唯「りっちゃん力貸してよ」
39: 2011/03/11(金) 22:15:33.34 ID:y+IXJuaGo
律「無理だな」
即答で答える律。
律「だって私にメリットがない。でも唯は糸遣いだから何かしらの役に立つかもしれない。私に力を貸してくれ」
唯「それなら喜んで貸すよ」
律「じゃあ行こうぜ。ここは色々壊しちまったから他のところで作戦を練ろうぜ」
ほとんど律が壊したのだが、元々は律の攻撃を避けまくった唯の身代わりである。そんなのお構いなしで律は公園を後にする。唯もちょっと罪悪感に責められながら後にした。
公園近くの道路で律は持ってる情報を唯に話す。
律「実はな見たんだよ」
唯「何を?」
律「被害者の腹部は食い破られてたんだ」
40: 2011/03/11(金) 22:16:00.71 ID:y+IXJuaGo
唯「そう……なんだ」
唯は考える。律の言ってる事は本当だろう。じゃあなぜ犯人は食い破る必要があったのだろうか?唯は思い出したくないが、トイレの氏体を思い出す。女性は生きたまま腹を割かれて氏んだ。つまり、個室で腹を食い破られているのに抵抗すらしなかった事になる。
律「……普通じゃ無理だな…いや、あいつ等なら可能か」
1人納得した律は頷きながら考える。
唯「あいつ等?」
律「蟲遣いだ」
唯「蟲遣い?」
律「私等みたいな異能だよ。しかも唯みたいな操り専門だがあっちは蟲だ」
唯「でもどうして……」
頭が付いていけない唯は必氏になって話しに食いついていく。
41: 2011/03/11(金) 22:16:28.20 ID:y+IXJuaGo
律「いいか唯。私達は犯人を追っていたがそれは無理なんだ」
唯「何で?」
律「被害者はみんな抵抗してないんだ。で、今日だったか3人同時に襲われたのを知ってるか?」
唯「うん…あっそうか!!」
唯はやっと気づく。犯人を見つけるなんて不可能である。何故なら犯人は被害者のお腹に潜んでいるからである。
唯「なら行こう!」
そう言って唯は人通りの多い道に向かって走り出す。それを律が追った。
駅前に着いたところで律が唯に尋ねた。
42: 2011/03/11(金) 22:16:56.26 ID:y+IXJuaGo
律「どうやって見つけるんだ?」
唯「…………」
律の声も無視して目を集中させ唯は糸を視た。そして見つけた。謎の糸を持つ女性を。
唯「来て」
人が全く通らない道の中を女性は歩いている。が、突然倒れた。正確に言えば律が当身をしたのだ。その女性を公園に連れて行き、唯は謎の糸を手繰った。ずるぅ。出てきたのは巨大な蟲だった。それに思わず唯は糸を放してしまう。蟲は鳴き、唯目掛け襲い掛かる。が、その蟲は真っ二つに切断された。
律「大丈夫か?」
切断したのは律だった。腕から刀を出している。
唯「うん。ありがと」
律「やっぱり蟲か厄介だな。しかも闇宮が捕まるほどだからおそらく聡だな」
唯「…………」
律の声も無視して目を集中させ唯は糸を視た。そして見つけた。謎の糸を持つ女性を。
唯「来て」
人が全く通らない道の中を女性は歩いている。が、突然倒れた。正確に言えば律が当身をしたのだ。その女性を公園に連れて行き、唯は謎の糸を手繰った。ずるぅ。出てきたのは巨大な蟲だった。それに思わず唯は糸を放してしまう。蟲は鳴き、唯目掛け襲い掛かる。が、その蟲は真っ二つに切断された。
律「大丈夫か?」
切断したのは律だった。腕から刀を出している。
唯「うん。ありがと」
律「やっぱり蟲か厄介だな。しかも闇宮が捕まるほどだからおそらく聡だな」
43: 2011/03/11(金) 22:17:25.00 ID:y+IXJuaGo
唯「聡?」
律「蟲遣いでもトップクラスの実力者さ」
そこから律は簡単にその聡について、そして虫使いについて教えてくれた。元々は一般人だったが研究の度が凄すぎて特殊な蟲を作り出した事により異能を獲得した。そしていくら蟲を倒してもキリがなく、術者を倒さないとこの事件は終わりが見えない事。
律「ただ、問題はどこから蟲は侵入したのかだ」
唯「う~ん」
律は何かと思い女性のバックを漁る。そして何かを見つけた。
律「これなんだ?」
唯「姫子ちゃんが持ってた薬」
律「これか」
律「蟲遣いでもトップクラスの実力者さ」
そこから律は簡単にその聡について、そして虫使いについて教えてくれた。元々は一般人だったが研究の度が凄すぎて特殊な蟲を作り出した事により異能を獲得した。そしていくら蟲を倒してもキリがなく、術者を倒さないとこの事件は終わりが見えない事。
律「ただ、問題はどこから蟲は侵入したのかだ」
唯「う~ん」
律は何かと思い女性のバックを漁る。そして何かを見つけた。
律「これなんだ?」
唯「姫子ちゃんが持ってた薬」
律「これか」
44: 2011/03/11(金) 22:17:57.40 ID:y+IXJuaGo
薬を取り出して中を見てみると白っぽいグミのような薬。それを律が刀で切る。真っ二つに割れ、中から卵が出てきた。
律「これの出所はわからないがこれで蟲が生まれるのは確定だな」
唯「出所は聞いてみるよ」
律「そうか頼んだぞ。じゃ今日は解散な」
唯「えっまだ……」
と、唯は訴えるが律は軽く唯を押す。その力に逆らえずふらつく唯。
律「限界超えてるのに無理はダメだ。そうそう今日で片付いた闇宮は捕まらなかったはずだ」
唯「……そっか」
45: 2011/03/11(金) 22:18:24.38 ID:y+IXJuaGo
律「それじゃあな。またこの時間で」
唯「わかった」
律と別れふらふらな足取りで家に戻る。鍵を差し込むが回らない。また、何かあったのかと思って扉を開け中に入る。
澪「おかえり」
連絡の取れなかったゴス口リ少女がそこにいた。待っていたかのような笑顔は唯の疲れを多少和らげてくれた。そのまま唯は倒れてしまうかと思ったが、先に澪の方が倒れた。
唯「澪ちゃん!!」
慌てて彼女を抱きしめると彼女は虫の息と言う事がわかった。連絡がない間酷い拷問を受けていた事が丸分かりである。急いで救急車を呼んだ。が、彼女は到着するまでに氏んでしまうのかと言うくらい瀬戸際であった。
澪「唯…ごめん……私………」
46: 2011/03/11(金) 22:18:55.76 ID:y+IXJuaGo
唯「喋らないで!!」
私は応急処置に彼女の心臓の糸を視る。かなり弱々しく動いている。その糸を掴み、澪の代わりに心臓を動かす。次に横隔膜を操り楽にさせる。
澪「わたしに…そこまで……」
唯「黙ってて!話は後で聞くから!!」
しばらくして救急車が到着してそのまま病院に運ばれた。私は待合室で澪から預かった匕首を握り締めただひたすら待っている。澪はかなり衰弱状態であり、さらに外部損傷も見られた。もしそのまま澪が氏んでしまったら……
唯「そんなのいやだ」
大切な人がいなくなるのを唯は味わっている。既にお母さんが行方不明である。さらに澪までも続いたら……
47: 2011/03/11(金) 22:19:44.83 ID:y+IXJuaGo
唯「…………」
1人で空気を重くした待合室から出て中庭に出る。するとどこからか羽音が聞こえてくる。どうやら腹の蟲が成長したらこうなるであろう蟲が飛んでいる。どうやら狙いは唯ではなく澪のようでどうやってかわからないが追跡してきたみたいである。その一匹の糸を操りもう一匹にぶつけ狙いを唯に定めさせる。もちろん。ぶつけ、ぶつけられた蟲は落ちて動かなくなる。蟲は全部で十匹くらい。初見であるが唯は負ける気がしなかった。
唯「よくも澪ちゃんを……」
ただそれだけを思って唯は蟲に勝負を挑みに行った。
朝、澪の病室に行くと白い服を着た澪が迎えてくれた。その回復力は看護婦さんでも凄いとか。
唯「澪ちゃん!!」
澪「ごめん。迷惑掛けた」
48: 2011/03/11(金) 22:20:20.43 ID:y+IXJuaGo
ペコリと頭を下げるが、まだ完治し切れてないので多少傷に障ったらしく顔が歪む。その姿を見ると心が痛い私がいる。
唯「ううん。澪ちゃんが無事で良かったよ」
近くまで寄って手を握る。澪ちゃんが無事で良かった。誰に感謝すればいいのかわからない。けど今こうして澪ちゃんが生きている。それだけでも私は救われた気がした。
澪「警察の情報は簡単だったけど、犯人の調査に潜入したら捕まった。不覚だった。ごめん」
唯「やっぱりそうだったんだ」
澪「ごめん」
唯「気にしないで」
そう唯は言ったが、澪はそこではないと言った。本当は捕まった時、澪はすぐ氏のうとした。しかし、唯との約束を思い出して隙を見つけて逃げてきたと言う。
49: 2011/03/11(金) 22:20:48.99 ID:y+IXJuaGo
澪「唯の命令だから…ただ、敵に唯の情報漏れたかもしれない。ごめん」
唯「そんなことどうでもいいよ。生きて帰ってきてくれて本当に良かった。それだけで満足だよ」
澪「ありがと……本当に生きてて良かった…それだけで、私は救われたよ……本当に…」
声に嗚咽が混じり、目からは大粒の涙が零れてはシーツを濡らす。そのまま唯は澪が寝息を立てるまで付き添い、眠った頃唯は病室を後にした。
家に帰り澪の服の修繕を行う。どうやらこの服は糸遣いが縫ったハンドメイド。誰かはわからないが技術が凄い。それに負けないように私も縫う。服の修繕が完了した頃には日が暮れていた。
律「今日は元気だな」
唯「わかる?澪ちゃんが帰ってきたんだ!!」
50: 2011/03/11(金) 22:21:17.36 ID:y+IXJuaGo
律「へぇ~。良かったじゃん。で、どうするんだ?まだ続けるのか?」
唯「もちろん!澪ちゃんの受けた痛みや辛さを蟲遣いにぶつけるんだ!!」
律「ふうん。じゃあ行くか」
唯「あっ!最初にちょっと良いかな」
最初に唯は姫子を呼び蟲の卵入り薬の詳細を聞いた。どうやら駅前で配っていたらしいと姫子は思い出しながら言った。そのお礼に姫子の腹に潜んでいた蟲を退治してあげた。
その日は5匹くらい駆除した。
澪が退院するまで唯と律は蟲を駆除しまっくった。そのおかげで蟲を孕んでいる女性も減ったがまだ少なからずいる。早く安全にしたい。そのためには蟲遣いを倒したほうが早いのだが、中々現れない。早く出てきてよ。
51: 2011/03/11(金) 22:21:46.66 ID:y+IXJuaGo
♯4
澪が結構早く退院した。普通ではありえないらしい。
澪「迷惑掛けた。でも安心しろ。性的拷問はされてないから膜は健在だぞ。これは唯に破って「いいよ。帰ってきてくれた方が嬉しいから!それより本題に!」
自宅に戻って来た澪は軽く謝る。そこまでは良かったが余計な事を頬を赤く染めながら放し始めたので無理やり話しを終わらせて本題に移らせた。………いや、余計しゃないけどいっか。
澪「今回の犯人は……」
唯「蟲遣い…でしょ?」
澪「そう。唯もそこまで調べてたのなら話は早い」
澪はノートパソコンを開きある画面を唯に見せる。
澪「こいつだ」
唯「田井中聡」
澪が結構早く退院した。普通ではありえないらしい。
澪「迷惑掛けた。でも安心しろ。性的拷問はされてないから膜は健在だぞ。これは唯に破って「いいよ。帰ってきてくれた方が嬉しいから!それより本題に!」
自宅に戻って来た澪は軽く謝る。そこまでは良かったが余計な事を頬を赤く染めながら放し始めたので無理やり話しを終わらせて本題に移らせた。………いや、余計しゃないけどいっか。
澪「今回の犯人は……」
唯「蟲遣い…でしょ?」
澪「そう。唯もそこまで調べてたのなら話は早い」
澪はノートパソコンを開きある画面を唯に見せる。
澪「こいつだ」
唯「田井中聡」
52: 2011/03/11(金) 22:22:16.88 ID:y+IXJuaGo
澪「聡は蟲遣いのトップクラスだ。今回の蟲もこいつのだ。で、どうやら今夜取引があるらしいんだ」
唯「取引?」
澪「それがこれ」
澪は別のファイルを開くと画面に取引日時と地図が映る。澪曰く多分蟲の取引と言う事。
唯「じゃあここでまとめて蟲遣いを倒しちゃお!!」
澪「私も行くよ」
唯「大丈夫なの?」
澪「心配ない。あ、この服は唯が直してくれたのか?ありがとな」
唯「このくらいしか出来ないけどね」
53: 2011/03/11(金) 22:22:44.09 ID:y+IXJuaGo
澪「充分だよ」
唯「あっこれ返すよ」
唯は澪から預かってた匕首を澪に差し出すが澪は黙って押し返す。
澪「それは唯が大事に持っててくれ」
「でも」と唯が言ったが澪は何も言わず押し返したままである。
唯「……わかった」
「………これでいいんだよな」と、なにか澪が呟いた気がした。
澪「ところで唯」
話をまるっきり変える予定の澪。
唯「何?」
澪「私、敵に捕まったけど頑張ったよな?」
唯「もちろんだよ!!」
澪「じゃあご褒美をくれないか///」
54: 2011/03/11(金) 22:23:12.98 ID:y+IXJuaGo
唯「え?」
「ありがとうございましたー」
ほくほくな顔で澪は店を出て闇宮がいるのに影が薄い唯が続いて店を出た。
澪「ありがとう」
満開の笑顔でお礼を言う澪。
唯「うん」
もの凄く軽くなった財布を力なく握り締めて頷く唯。
そのまま2人は近くのファミレスに寄る。
澪「本当にありがとう」
55: 2011/03/11(金) 22:23:44.09 ID:y+IXJuaGo
唯に買って貰ったベースを大事に抱きしめる。相変わらず満開笑顔は萎れたりはしていない。
唯「ご褒美だもん」
やっと影の濃くなってきた唯は言葉を出す。
澪「じゃあこの喜びはちょっと置いといて私の与太話に付き合ってもらえないか?」
唯「いいけど。何の話?」
澪「闇宮についてだ。唯はまだ疑問を持っているだろ?」
唯「まあ」
澪「それをなくしてあげる。おそらく唯の人形ってとこだろ。闇宮は統堂の糸遣いが誕生したときに、その世話係りとして誕生するんだ。いや、作られるの法が正しいな」
56: 2011/03/11(金) 22:25:58.67 ID:y+IXJuaGo
唯「作られるって……」
澪「そうだな。私なら唯が産まれただろ。その吉報を聞いてじゃあ唯専用の世話係りを作らなきゃなって事で私は産まれたんだ。親は産む専用の種馬でな」
唯「じゃあ本当に澪ちゃんは……」
澪「ああ。唯のために産まれた人形だ。唯がいるから私はここにいる。ついでだが、基本闇宮は専属主人が氏ぬと人形も氏ぬんだ。いわば一心同体だ」
軽々しく自分の事を人形と言う澪。少し狂っている。
澪「わかってくれた?」
唯「でも私は自分の事を人形って言わないでって言ったよね?」
久々に澪の口から人形の言葉を聞きいらいらさせた。その言葉を使わないように長いながら少し怒ったように言った。
57: 2011/03/11(金) 22:26:27.84 ID:y+IXJuaGo
澪「甘い。唯は当主になるんだから…自覚あるだろ」
唯「ないよ」
澪「参ったな。……じゃあこう言えば良いのか。私は元々唯を連れて帰ってくるよう言われたんだ。ついでにな、一ヶ月以内に連れて帰って来れなければお前を処分だと」
唯「えっ?」
澪「場合によっては例外が適用するけど、その場合、唯は殺されるぞ」
要するに跡を継がなければ頃すって事だった。少しばかり思っていたけど、統堂も異能だった事を忘れていた。常識が通じないと……。
澪「もちろん。唯が帰るが帰らないが私は唯の決定に従うよ。ただ、私の命で心が動かされる時点で唯はまだまだ甘いよ」
唯「そうだったね。元々澪ちゃんはそのために来たんだったよね」
58: 2011/03/11(金) 22:26:54.84 ID:y+IXJuaGo
澪「これから敵倒すのに詰まんない事話してごめんな」
再び頭を下げる澪。唯にはわからない事がある。それは澪の心である。どこまでが闇宮の澪でどこまでが澪の本心なのかわからない。ひょっとした澪はまだ唯に全てを見せてないのかもしれない。
澪「さて、どうする?」
唯「まずは蟲遣いを倒そうよ。その前に何か食べよっか」
澪「何でも頼んでも良いのか?」
唯「ご褒美の延長で良いよ。さっきのベースは警察の資料。この蟲遣いのご褒美がここの料理食べて良いご褒美」
澪「本当か!?」
59: 2011/03/11(金) 22:27:31.94 ID:y+IXJuaGo
ベースに好きなものを食べて良い許しが出て再び笑みが現れる。それは闇宮の澪ではなくて秋山澪の笑顔なのかもしれない。正直こっちが恥ずかしくなるくらい可愛かった。
澪「たっ食べて良いのか!?」
唯「良いよ」
澪の目の前にはイチゴパフェがある。唯の前にはアイスがある。ご褒美って事でパフェを頼んだらしい。そのイチゴパフェをスプーンで掬いゆっくり口に運ぶ。
澪「いっいただきます///」
唯「召し上がれ」
言葉と動作が逆だったのだが余程食べたかったのかいただきますを言った直後に最初のクリームが口の中に入った。
澪「美味しい」
60: 2011/03/11(金) 23:10:00.30 ID:xil6j9fPo
唯「甘いもの好きなの?」
澪「うん///」
恥ずかしそうに答える澪。
澪「甘いものは好きなんだけど、食生活管理されてたから余り食べさせて貰え得なかった」
唯「なら言ってくれたら良いのに……」
澪「唯のご褒美で食べたかったんだ。じゃないと全部半減してしまう。美味しさも喜びも」
ぱくぱくパフェを平らげていく澪。これが彼女の本心なのかもしれない。そう唯は感じ取った。
唯「……可愛いなぁ」
澪「えっ?何か言った?」
61: 2011/03/11(金) 23:10:35.14 ID:xil6j9fPo
唯「いや別に」
さっさと自分のアイスを食べる唯。先に澪がパフェを平らげると再び口を開いた。
澪「さっきの話しの続きだが……いや愚痴だけど」
そう独り言のように呟く澪。私はスプーンを口に加えたまま澪を見る。澪はメニューを見て次に注文するパフェを見ていながら……
澪「普通、統堂専属の闇宮は幼少の頃からずっと一緒にいるんだ。といってもべったりじゃないんだけどな。こっちも鍛錬したり、統堂だって勉強とかがある。学校に行くようになってから普通の専属は本領発揮なんだ。理由は影で主人を守るため。いつどこで襲われるかわからないしな。でも私は唯の専属だけどそんな活躍は今までなかった。主なしの人形だから一族でも浮いた存在だったんだ。最悪だったし、呪った事もあった」
澪が今までどのような扱いを受け、教育を受け、成長してきたか唯は知らない。でもその言葉と澪の視線が唯の胸に突き刺さる。
澪「どうして私は唯のためなんかに作られて、生まれたのか…毎日唯を呪って大きくなった。でも闇宮は統堂に畏怖、畏敬を持っているから唯の興味を捨てきれなかった。他の統堂の専属闇宮が羨ましかった。時には部下、時には友として…厳しかったり優しかったり……そういう関係を憧れていたんだ。唯はどういう人なんだろう。好きなものはなんだろう。毎晩思いを馳せてたんだ。でな、そんな事考えてるうちに私は唯を恨んでる以上に慕ってたんだよ。だから私は厳しい修行も積んで来た。唯に会ってみたい。その事だけを考えてな。そしてやっと許可が出たとき、とても嬉しかったんだ。やっと唯に会えるって。そして唯に始めてあって声を聞いたときは凄い嬉しかったんだ。まあこっちが赤面しちゃったけど……おかしいだろ?最初は怨んでたが今は幸せ。唯の傍にいられるから……敵に捕まった時だって唯に会えない方が辛かったんだ。また会えたとき本当に嬉しかった。私は唯に慕いしてると自覚した。だからさっきちょっとキツい発言したけど唯は優しいから……だめだな私…闇宮失格だよ」
私は何も知らなかった。異能の家系で次期当主になることや澪という少女が待っていてくれた事を……。澪の本心は恨んでるのか慕っているのかわからなかった。
62: 2011/03/11(金) 23:11:02.18 ID:xil6j9fPo
澪「どうかしたか?」
唯「いや」
澪「まあさっきのは私の愚痴だから…あんまり気にする事じゃないからな」
そう澪は言うが、このままではいけない。澪は自分の事をたくさん話した。しかしそれは闇宮の人形の事で、秋山澪の事は話していない。
答えは出ている。
澪「じゃあ行こうか」
唯は澪にこんな教育した奴を許さないと誓いファミレスを出た。
63: 2011/03/11(金) 23:11:32.44 ID:xil6j9fPo
♯5
唯「あっちょっと聞きたいけどさ。楽器好きなの?」
歩きながら最初に買ったベースの話を聞く。
澪「詩を書くのが好きでな。唯に会いたいと思ってた時に歌詞が出来てな、その時統堂の方が専属闇宮に四本弦のギターを教えてて羨ましかったんだ。それでちょっと唯と弾いてる想像してたりして……」
唯「へ~。どんな詩?読んでみたい!!」
澪「え?」
唯「だから澪ちゃんの詩を読んでみたいの!!」
澪「はっ恥ずかしいな///」
唯「そこをなんとか!」
澪「まっまあ唯なら良いよ///私の主人だし///」
唯「あっちょっと聞きたいけどさ。楽器好きなの?」
歩きながら最初に買ったベースの話を聞く。
澪「詩を書くのが好きでな。唯に会いたいと思ってた時に歌詞が出来てな、その時統堂の方が専属闇宮に四本弦のギターを教えてて羨ましかったんだ。それでちょっと唯と弾いてる想像してたりして……」
唯「へ~。どんな詩?読んでみたい!!」
澪「え?」
唯「だから澪ちゃんの詩を読んでみたいの!!」
澪「はっ恥ずかしいな///」
唯「そこをなんとか!」
澪「まっまあ唯なら良いよ///私の主人だし///」
64: 2011/03/11(金) 23:11:59.92 ID:xil6j9fPo
律「唯!」
唯「りっちゃん!」
声の主の方を向き返事をする唯。ただ、澪は警戒態勢を取っていたが唯がそれを制した。澪には説明していなかったので律について軽く自己紹介する。
唯「りっちゃんだよ。蟲遣いを倒すのを手伝ってくれる大事な仲間だよ」
澪「……そうなのか」
律「で、2人は今日はどうするんだ?」
唯「アジトに乗り込むんだ!!」
律「なるほど」
澪「なあ唯。律って奴についてもうちょっと説明してくれないか?」
65: 2011/03/11(金) 23:12:27.00 ID:xil6j9fPo
澪が唯の服の裾を引っ張り詳細を求める澪。それにちゃんと唯らしい説明する唯。
唯「りっちゃんはね。身体から刀が出るんだよ!」
澪「刀?」
律「ほれ」
律の手から刀が出る。それにすぐ反応した澪が……
ゴッドハンド
澪「お前はまさか……『神の手』の作品の……」
アンソロジー
律「流石闇宮。物分りが唯より良いな。そう。作品集の『刀姫』だ」
唯「え?神の手って?」
66: 2011/03/11(金) 23:13:47.16 ID:xil6j9fPo
澪「簡単に言うと化け物を作る人物だ。コイツも神の手によって改造されたんだよ」
唯「りっちゃんは化け物じゃないよ!!」
唯は否定するが本人の律は……
律「良いんだよ唯。化け物呼ばわりは慣れてるさ」
特に表情には変化がない。本当に慣れているようだった。
澪「律とか言ったな。唯を助けてくれてありがとう」
律「別に」
と、ここで唯はある怖さを感じた。それは謎の緊張感だった。
67: 2011/03/11(金) 23:14:44.79 ID:xil6j9fPo
澪「で、お前は唯とどういう関係だ?」
律「唯の力を借りてるだけ。操糸術は役に立つからな」
澪「なあ唯。コイツも連れてくのか?」
唯「仲間はたくさんいた方が………」
律「そゆこと」
澪「だめだ!!」
澪はぴしゃりと言う。
澪「唯は私が守るから化け物は退場だ」
不良に絡まれたときの鬱陶しい顔になる。対して律は澪を直視している。
澪「とっとと帰れ!仲間料金払ってないならすぐ氏んで詫びろ!」
68: 2011/03/11(金) 23:15:26.68 ID:xil6j9fPo
律「敵に捕まっといて何言ってやがる」
澪「っ!…あれは潜入なんだよ!!」
何か良くわからない言い争いになる。どちらも戦闘力は唯より遥かに上である。ここは穏便に解決しようと唯は決めた。
唯「みっ澪ちゃん。りっちゃんくらい……」
澪「唯は黙ってろ!」
唯「ごめん」
澪から穏便に解決出来なかったので律から解決しようと試みる。
唯「りっちゃんや……」
律「ちょっと待ってろ唯。こりゃああいつより私のほうが専属闇宮向いてるかもな」
69: 2011/03/11(金) 23:16:24.11 ID:xil6j9fPo
澪「化け物のお前に唯の世話なんか任せられるか!」
唯「…………」
解決出来なかった。
結局唯は隙を見つけて2人の糸を掴み無理やり仲直りさせた。そこで澪のゴス口リ服の謎もわかった。…………関係ないけどね。
後、どっちが可愛いか争ってた。
目的地の場所は町外れの廃アパートで、外から見ると糸が視えた。人間が2人でもっと凝らして視ると蟲の糸まで視れた。相手は1階の奥の部屋にいるので作戦としては律は上の部屋から、澪は外から回り込み、唯は正面突破の形を取る事にした。
一応廃アパートに入る前に他に人がいないか確認するがいない。
アパートの中は意外にも綺麗だった。ゆっくり進み奥の部屋に向かう。話し声の聞こえた部屋の扉を少しだけ開けて中の様子を伺う。中にはスーツ姿の初老の男と白衣の男がいて、取引の真っ最中だった。会話していたので盗み聞きをすると今回の事件の蟲の話しをしていた。
「ほらこれで全部だ」
そう言って白衣の男は錠剤の入った無数の瓶を初老の男に渡した。
「ただ、期待の完成度より劣ってしまった。改良の余地があるんだ」
「その資金をよこせと」
「そう。話が早い」
蟲遣いの笑い声が聞こえた。
唯「…………」
解決出来なかった。
結局唯は隙を見つけて2人の糸を掴み無理やり仲直りさせた。そこで澪のゴス口リ服の謎もわかった。…………関係ないけどね。
後、どっちが可愛いか争ってた。
目的地の場所は町外れの廃アパートで、外から見ると糸が視えた。人間が2人でもっと凝らして視ると蟲の糸まで視れた。相手は1階の奥の部屋にいるので作戦としては律は上の部屋から、澪は外から回り込み、唯は正面突破の形を取る事にした。
一応廃アパートに入る前に他に人がいないか確認するがいない。
アパートの中は意外にも綺麗だった。ゆっくり進み奥の部屋に向かう。話し声の聞こえた部屋の扉を少しだけ開けて中の様子を伺う。中にはスーツ姿の初老の男と白衣の男がいて、取引の真っ最中だった。会話していたので盗み聞きをすると今回の事件の蟲の話しをしていた。
「ほらこれで全部だ」
そう言って白衣の男は錠剤の入った無数の瓶を初老の男に渡した。
「ただ、期待の完成度より劣ってしまった。改良の余地があるんだ」
「その資金をよこせと」
「そう。話が早い」
蟲遣いの笑い声が聞こえた。
70: 2011/03/11(金) 23:18:32.38 ID:xil6j9fPo
「分かった。それと今ある卵は貰う」
「そうだな。孵化率は三割。腹を食い破るまで十日前後でそれから最低一週間は潜伏可能だ。後は俺の合図でコンニチワだ。すぐ氏ぬがな」
「お前達の蟲は氏んだら消えるだろ。なら脅迫にはうってつけの蟲だ」
取引の話が聞こえる。
「しかし、最初の話では一ヶ月は潜伏可能ではなかったかな?」
「そのはずなんだが、急に氏に出したんだ。ある蟲は一ヶ月の蟲だったりある虫は孵化した奴だったり………」
「誰かが摘出したみたいだな」
蟲についての話は唯にはよく分からなかったが急に氏に出したところからは自分たちで駆除しているとなんとなく自覚した。ただ、気になっていたのは初老の男が少しこちらを見たことである。偶然かもしれないが、気づかれているのを黙認しているかもしれない。
71: 2011/03/11(金) 23:19:22.67 ID:xil6j9fPo
「無理だろ。どうやって腹ん中の蟲を取り出すんだ」
「……あまり派手にやるなよ。勘付かれる」
「はぁ?誰にだよ?」
「例えば正義の味方とか」
……偶然ではなかった。二度目は必然で、唯の目と初老の男と目が合った。
「澪ちゃん!りっちゃん!」
2人の名前を叫んで部屋に入る。窓から侵入した澪はすばやく動いて蟲遣いを床に突き倒す。律は天井を崩して初老の男の腕を掴む。
「なんだお前ぐえっ」
澪「黙ってろ」
「……あまり派手にやるなよ。勘付かれる」
「はぁ?誰にだよ?」
「例えば正義の味方とか」
……偶然ではなかった。二度目は必然で、唯の目と初老の男と目が合った。
「澪ちゃん!りっちゃん!」
2人の名前を叫んで部屋に入る。窓から侵入した澪はすばやく動いて蟲遣いを床に突き倒す。律は天井を崩して初老の男の腕を掴む。
「なんだお前ぐえっ」
澪「黙ってろ」
72: 2011/03/11(金) 23:22:14.51 ID:xil6j9fPo
蟲遣いは床に叩きつけられる。
「ここまでか」
初老の男性が若い女性の……感情のない声で呟いた。そして律の掴んでいた腕が取れた。その腕から勢いよく白い煙が出る。律はすぐ刀を出して男の身体を刺したがそれはきぐるみだった。
唯「待てー!」
謎の人物を追うが既に窓から外に飛び出ていた。窓枠まで来た時にエンジン音が聞こえた。そして無人で動くサイドカー付き大型バイクが女性と唯の間に滑り込む。無人と言うのは糸が視えないからである。
「忠告する。この場から離れろ」
彼女は感情のない声で唯に言い、バイクにまたがりあっという間に見えなくなってしまった。
73: 2011/03/11(金) 23:24:04.53 ID:xil6j9fPo
唯「何者なんだろ?」
澪「唯!」
蟲使いは氏んでいた。律曰く蟲遣いは臓器も改造できるらしく、他の蟲同様彼の身体も崩れて消えた。
澪「とりあえず物色しないか?」
澪はそういうが私はさっきの女性の言葉が気になっていた。「この場から離れろ」と。
唯「澪ちゃん!りっちゃん!逃げるよ!!」
そういって唯は窓から逃げる。訳の分からない2人は唯に続いてアパートから出る。その途端アパートに火の手が上がった。
澪「やっぱり罠だったか」
74: 2011/03/11(金) 23:24:32.76 ID:xil6j9fPo
唯「すぐに人が来るからここから離れよ」
遠くに蟲が飛んでいるのがわかる。さっきの蟲遣いが氏んだからおそらくあれは聡の蟲。聡にとってこの事は想定外だったかもしれない。
75: 2011/03/11(金) 23:25:00.34 ID:xil6j9fPo
♯6
それから全く敵の動きがない。澪は逃げたんじゃないかと言うが、その可能性はないとはいいきれない。
この一週間は私は普通に学校に行けたり、澪は買ってあげたベースを弾いてたり平穏だった。澪ちゃんの事も考えるとあまり時間がない。蟲遣いは切り上げて本家に帰った方が良いのか?澪は全く忘れたように何も言わない。
唯「ねえ澪ちゃん。統堂の家は…」
澪「唯の好きなように。それに私は従うよ」
チャイムが鳴り澪はベースを一旦立てかけて玄関に向かう。黒のゴス口リ服のまま出るのでいい澪が家に来てからずっと白い目で見られている。
憂「お姉ちゃん久しぶり」
唯「ういー」
それから全く敵の動きがない。澪は逃げたんじゃないかと言うが、その可能性はないとはいいきれない。
この一週間は私は普通に学校に行けたり、澪は買ってあげたベースを弾いてたり平穏だった。澪ちゃんの事も考えるとあまり時間がない。蟲遣いは切り上げて本家に帰った方が良いのか?澪は全く忘れたように何も言わない。
唯「ねえ澪ちゃん。統堂の家は…」
澪「唯の好きなように。それに私は従うよ」
チャイムが鳴り澪はベースを一旦立てかけて玄関に向かう。黒のゴス口リ服のまま出るのでいい澪が家に来てからずっと白い目で見られている。
憂「お姉ちゃん久しぶり」
唯「ういー」
76: 2011/03/11(金) 23:25:30.78 ID:xil6j9fPo
憂「お姉ちゃん流石だよ!事件解決してくれたんでしょ?」
そう言って唯に抱きつく憂。憂は喜んでいたが唯は違った。
唯「えっ?」
憂「とぼけなくて良いよ。異能者始末してくれたんでしょ。それでお母さんは?」
唯は首を横に振る。それで憂は理解した。
憂「う~ん。どこ行っちゃったんだろね?まあ、それはともかく依頼は完了だから、また何かあったらお願いね。お姉ちゃん」
唯「ふふふ。お姉ちゃんに任せなさい!」
憂は機嫌良く帰って行った。
77: 2011/03/11(金) 23:25:59.04 ID:xil6j9fPo
澪「今のが依頼者?」
唯「そうだよ。憂って言うんだ。でも憂は終わりって言ってたけどまだ違うよね」
澪「別に終わりでも良いんじゃないか?」
と、澪は唯の顔を覗き込む。
澪「まあ気が済んだら帰ろうな。唯はまだ気が済んでないみたいだし」
唯「そだね」
澪「まぁたまには骨休めでもしないか?」
にこりと笑う澪の本音が見える。
78: 2011/03/11(金) 23:26:29.40 ID:xil6j9fPo
唯「…………パフェ食べたいの?」
澪「ついでにちょっと付き合ってよ」
開き直って澪は答えた。
律「誘っといて遅刻とは酷いな~」
唯「澪ちゃんが思ったより楽しんでてさぁ~」
澪「すごいなスタジオってところは!!」
律「……まあともかく唯は聡を倒すんだろ」
律の言うとおりである。澪の事と唯の母の事と借りは二つある。何故母なのかと言うと、澪が田井中聡の情報をパソコンで見せてくれた時に彼の日記があった。そこには闇宮、あの女と書かれてあった。闇宮はおそらく澪だが、あの女は唯の母の事だろう。そう唯は思っているからである。
79: 2011/03/11(金) 23:26:57.56 ID:xil6j9fPo
澪「とりあえず、今はこの話しはやめないか?ただでさえ目の前の奴でパフェの美味さ半減してるんだから」
唯「澪ちゃん喧嘩するなら外で待ってて貰うよ」
澪「むぅ」
律は多少苦笑する。それに澪は文句を言いたいのを必氏に堪えている。顔が真っ赤だ。
澪「律!貴様とはいつか決着をつけないといけないようだな」
律「ふうん。来いよ」
唯「喧嘩はだめだよぉ」
律「ほら、主人が困ってるぞ」
80: 2011/03/11(金) 23:28:09.41 ID:xil6j9fPo
澪「お前がいるからだろ!」
唯「りっちゃんってさ、この後どうするの?」
律「とりあえず、神の手が近くにいる気配を感じるし、しばらくここにいるよ。唯は?」
唯「聡を倒すんだ」
律「でも情報がからだろ」
唯「おそらく前回倒した蟲遣いは聡と接点がないんだ」
律「はぁ?」
律が難しい顔をする。唯は予想を説明する。
元々桜ヶ丘には2人の蟲使いがいて実験をしていた。それは聡には迷惑であった。通り魔事件のせいで仕事がやりにくいから。互いの接点は存在しないのに聡は取引データを持っていた。つまり、聡自身で邪魔な蟲遣いを葬るつもりだった。しかし、誤算は澪が脱走した事。ただ、取引データも持って行ったのは嬉しい誤算。そのため聡はホームページをあんな風につくり、唯達が倒すように仕立てたのである。
81: 2011/03/11(金) 23:28:37.61 ID:xil6j9fPo
律「なるほど。唯のくせに」
澪「ちょっと表出るか?」
唯「すみませーん。これとこれさげてください」
律澪「ごめんなさい」
澪「ところで唯、聡のホームページ見てたら……こんなのが…」
唯「ん?」
澪がパソコンを唯に見せる。最近気づいたが、澪のゴス口リ服の内側にはたくさんの収納袋が付いているのだ。
『このホームページを見ている蟲遣いへ。俺の蟲がついに完成したから見に来い!』
下に場所が載っていた。
唯「聡って子供?」
律「多分な」
82: 2011/03/11(金) 23:29:11.89 ID:xil6j9fPo
唯「とりあえず行こう!」
唯は立ち上がるが律はともかく何故か澪まで座っている。
唯「あれ?どうしたの?」
と、そこにパフェとステーキを持ってきた店員がやって来て
「チョコレートパフェのお客様」
澪「はい」
「ステーキセットのお客様」
律「はい」
更に何故か…
「グラタンのお客様」
澪「あっ唯です」
「ごゆっくり召し上がってください」
唯「……………」
澪「ゆっくり行こう。ファミレスっていいな」
律「そうそう」
さっきまで犬猿の仲だったのにこういう時だけ暗黙の了解みたいに気があっている2人。
みんな嫌いだ。
83: 2011/03/11(金) 23:29:41.41 ID:xil6j9fPo
♯7
澪「闇宮流葬技――雅一閃!」
スパッと目の前の木の枝が切られて落ちる。
律「わざわざ必殺技まで使わないと道をつくれないとは……」
澪「うるさいな。もう良いや。よいしょ」
唯「うわっ」
澪「さて行くか」
さて、現在の状態は律を先頭にしてその後ろでお姫様抱っこされる唯。抱っこする澪。最初は先頭は澪と律が歩いて、唯が後ろを糸を視ながら歩いたのだが、夜で暗いので、木の根に躓いたり、木の枝にぶつかったりとRPGでいう毒状態みたいに1人ぼろぼろになって行った。そこで澪がナイフでスパスパ枝を切っていくが律がそれを挑発。そしてこうなった。
唯はこの年でお姫様抱っこをされてなのか、顔が赤い。ただ、周りが見えないおかげで二人に見られることはない。そこはほっとしたようだ。
指定の場所はぱっかり森が開かれていて広い場所だった。
澪「闇宮流葬技――雅一閃!」
スパッと目の前の木の枝が切られて落ちる。
律「わざわざ必殺技まで使わないと道をつくれないとは……」
澪「うるさいな。もう良いや。よいしょ」
唯「うわっ」
澪「さて行くか」
さて、現在の状態は律を先頭にしてその後ろでお姫様抱っこされる唯。抱っこする澪。最初は先頭は澪と律が歩いて、唯が後ろを糸を視ながら歩いたのだが、夜で暗いので、木の根に躓いたり、木の枝にぶつかったりとRPGでいう毒状態みたいに1人ぼろぼろになって行った。そこで澪がナイフでスパスパ枝を切っていくが律がそれを挑発。そしてこうなった。
唯はこの年でお姫様抱っこをされてなのか、顔が赤い。ただ、周りが見えないおかげで二人に見られることはない。そこはほっとしたようだ。
指定の場所はぱっかり森が開かれていて広い場所だった。
84: 2011/03/11(金) 23:30:07.96 ID:xil6j9fPo
律「にしても招待状なんてふざけてるな」
澪「しかも私達に勝つ気らしいな」
唯「何か秘策があるんでしょ」
じゃなきゃこんな所には呼び出さない。
森の奥からソイツは姿を現した。
聡「来たな」
澪「聡……」
そう呟いたのは澪だった。あれが蟲を作ったの!?って思った。だって小さいから……。
目は私達を睨んでいるらしいのだが、全然怖さを感じない。寧ろ澪の方が遥かに怖い。
唯「君が聡君?」
聡「君付けるな!まあ俺が蟲使いだ。まあもうすぐお前達は俺の作った『ゲルミル』の胃袋に収まるがな」
澪「しかも私達に勝つ気らしいな」
唯「何か秘策があるんでしょ」
じゃなきゃこんな所には呼び出さない。
森の奥からソイツは姿を現した。
聡「来たな」
澪「聡……」
そう呟いたのは澪だった。あれが蟲を作ったの!?って思った。だって小さいから……。
目は私達を睨んでいるらしいのだが、全然怖さを感じない。寧ろ澪の方が遥かに怖い。
唯「君が聡君?」
聡「君付けるな!まあ俺が蟲使いだ。まあもうすぐお前達は俺の作った『ゲルミル』の胃袋に収まるがな」
85: 2011/03/11(金) 23:30:35.86 ID:xil6j9fPo
律「んなもん切り捨ててやるさ」
聡「お前も俺の研究を邪魔してたな。まあ良いさ。ゲルミルの性能テストには良い格好の相手だったからな」
要するに生かしてやったと言っているのだろ。
律「テストの相手だと!?なめやがって!新種の蟲なんかで私達を……」
聡「コイツでもか?」
ドン……地中から太鼓を叩くような音が響く。音の感覚は短くなり大地が震えだす。
聡「出て来い!ゲルミル!!」
86: 2011/03/11(金) 23:31:03.70 ID:xil6j9fPo
ソイツは姿を現した。クワガタとカブト配合した異様な角に巨大で強靭な顎、体長は軽く十メートル以上あり、背中は分厚い甲羅で覆われている。体躯はまだ柔らかい肌色の外殻で覆われていた。
聡「でかくなったなお前」
聡はゲルミルの甲羅に乗り睨みつける。
律「そんな蟲じゃ竜宮城は行けないな。でかいだけの蟲に臆するなよ唯!」
聡「俺はお前達を過大評価してるわけない!秘策もあるんだ!」
聡が高らかに笑う。
律「とりあえず殻が柔らかい内に……「それはさせない」
律の顔面に黒い拳が飛んだ。
87: 2011/03/11(金) 23:31:39.39 ID:xil6j9fPo
澪「私がそれを止めるからな」
律は吹っ飛び木にぶつかる。メシメシと嫌な音を立てて木が倒れ、律はその木の下敷きになる。
唯「りっちゃん!」
律を吹っ飛ばした後の光景をつまらなそうに眺めてから澪は私を冷たい目で睨みつけた。
唯「澪ちゃん……何で…」
澪は何も答えない。代わりに答えたのは聡だった。
聡「澪姉は一度捕まってるんだぞ!操るはお前だけじゃない!薬漬けにすればどうってことない!!」
唯「あっやっぱり子供だ」
なんて暢気な事を考えていてはいけない。聡の秘策。それが薬漬け。
88: 2011/03/11(金) 23:32:08.44 ID:xil6j9fPo
聡「お前はこの蟲が相手だ!澪姉はこっち来て」
澪「はい、聡様」
初めて会ったときの様な敬語を使い、音もなく聡の下へ飛び、ひざまづく。
聡「澪姉可愛いよ。ぺろぺろしたいお」
澪「聡様。後で差し上げますので……///」
唯「澪ちゃん……」
聡「そうだったな。まあ、この糸遣いは気づかないほどアホだったんだな。おかしいと思うだろ不通、簡単に澪姉なんか脱走させて」
唯「……まさか!?………じゃあホームページも!?」
聡「澪姉はちゃんと俺の元で動いててくれたんだよ!池沼がぁ!!」
89: 2011/03/11(金) 23:32:41.65 ID:xil6j9fPo
唯「嘘…嘘でしょ澪ちゃん……」
澪が唯に見下す。その笑みは歪んでいた。さっきまでの過保護な澪の笑みではなく醜い笑みだった。
唯「嘘だあぁぁ!!!」
聡「形成逆転だ。3対1じゃ勝ち目はないが闇宮を味方にして刀姫を頃しちまえばこっちのもんよ!!」
「勝手に頃すな!」
身体中から刀を出した律は聡の背後を取り突き刺そうとする。が、澪が聡を守る。
聡「まだ生きてたか!」
律「自動防御反応を舐めてもらっては困るな」
90: 2011/03/11(金) 23:33:09.81 ID:xil6j9fPo
殴られた部分は刃の面であり、律は刀をそういう使い方も出来るらしい。
律「堕ちたもんだな闇宮」
澪は何事にも動じずただ律の刀をじりじり押し返す。
聡「澪姉頼む!」
澪「はい、聡様」
澪は刀の一本を握り投げる。
律「なっ!」
宙に浮かぶ律。それを追撃するかのように追う澪。律は背中から刀を出して地面への衝撃を和らげ、澪は軽やかに着地する。
91: 2011/03/11(金) 23:33:37.70 ID:xil6j9fPo
澪「今度は本気で頃すぞ律」
黒い手袋を嵌め直し、オーラを放つ。
律「お前もな」
唯「りっちゃん…澪ちゃんは……」
唯は悲痛な声で、懇願するかのように律に問うが、彼女は――
律「ダメだ唯。澪はもう手遅れだ。最初の一撃はマジだった。しかも薬漬けだから、仮に聡を倒しても禁断症状で氏ぬ。諦めろ」
聡「うひひひ。俺を倒すってのか?ゲルミルがいる限り負けねーよ」
唯「うるさい!」
聡「来いよ。糸遣い。ゲルミルでも操ってみやがれ。後澪姉、その化け物早く頃してくれ。いい加減うざイから」
92: 2011/03/11(金) 23:34:08.34 ID:xil6j9fPo
澪「はい、聡様」
澪が加速し律に迫る。
澪「“化け物”風情が…さっさとくたばれ!氏ね!!」
律「薬中の癖にドーピングで強くなっただけじゃないのか?百花繚乱!」
律の両手から刀の花が咲き澪の連打する拳を弾く。澪の手袋はワイヤーか何かが仕込まれているのか、拳と刀がぶつかる度に火花が闇夜に光る。
聡「じゃあやろうか。池沼糸遣い」
巨大な蟲は完全な黒金色の殻で覆われていた。まさに戦闘準備万端。
唯「でも糸さえ視れば」
糸を視るが唯はショックを植えつけられた。糸が余りに多すぎる。
93: 2011/03/11(金) 23:34:38.13 ID:xil6j9fPo
聡「舐めるなよ。じゃあやろうか。こいつは色々凄いんだぜ」
蟲が片脚を振り上げる。その脚からさらに無数の脚が出る。迂闊に近づいたら氏ぬ。無数の脚が迫る。その先端は尖っており刺されば穴が出来る。
唯「糸が多いよ!多いならこれで」
唯は蟲の脚を掻い潜って一本の糸を掴む。
唯「えっと…操糸術!」
捻じ曲げて小さい脚をねじ切る。が、すぐに脚は再生された。
聡「ゲルミルは高い栄養素のある人間を食って育ったんだ。一本二本程度なんてすぐに再生するぜ!!」
それから防戦一方だった。攻めようにも攻めれないし、攻撃をかわすだけで精一杯だった。おまけに唯のスタミナはそ底に尽き始めていた。
勝つためには…操る!
94: 2011/03/11(金) 23:35:11.03 ID:xil6j9fPo
聡「そうだ。冥土の土産に一つ教えてやるよ。ミサオだっけな。糸遣いいるだろ。あれはゲルミルの栄養になった」
お母さんが……殺された!?
唯「嘘だよ。お母さんがやられるわけないよ」
聡「流石池沼!やっぱりマザコンかよ。きっも……ここらかな…ほらよ」
ゲルミルが地面を掘る。そこから数人のミイラが出てきた。さらにゲルミルは掘る。どんどんミイラは出てくる。しばらくして掘るのをやめた。最後に掘り出したミイラが足元に転がる。
唯「嘘だよぉ…お母さん……」
聡「終わりだな」
脚が上がり振り下ろされる。私は――
95: 2011/03/11(金) 23:35:39.61 ID:xil6j9fPo
「唯は糸をどこまで視れる?」
一年前お母さんに問われた。
唯「動きを司る糸」
「それは大糸っていうんだ。四肢に大まかな部位の糸だ。さらに細かいところまでは極糸っていうんだ。臓器とかな」
唯「あっそれなら視えるよ。触った事ないけど……」
「じゃあもう一段階上がる」
唯「まだあるの?」
96: 2011/03/11(金) 23:36:08.45 ID:xil6j9fPo
「心糸っていう。心を司る糸さ。どんな生物でも一本心の糸がある。この糸を視て操れたら究極だな」
唯「……視えるかな」
「唯なら視えるさ。ただ、力に飲み込まれず正面から向き合うんだ。克服するんだ。制御するんだ。唯ならできるさ。自分に自身を持つんだ。唯は唯のままでいるんだ」
ふと、そんなお母さんとの約束事が浮かんだ。
97: 2011/03/11(金) 23:36:39.80 ID:xil6j9fPo
蟲の攻撃をかわし糸を視る。大糸、極糸とどんどん目を凝らす。そして視えた。一本だけ太く輝かしい糸が……巨大な蟲の心を操る心糸が視えた。その糸を何とか掴む。
蟲はピタリと止まった。
聡「おい。どした?動けよゲルミル!」
唯「無駄だよ」
聡「は?」
唯「操ってるから」
聡「あんな数を操ってるのか!?」
唯「糸なんか心糸だけで十分だよ」
聡「ひいっ!」
98: 2011/03/11(金) 23:37:09.63 ID:xil6j9fPo
蟲の上に乗った私は聡に詰め寄った。
聡「とっ取引だ!薬やる!一年分!澪姉は大丈夫だぞ!」
唯「いいよ。使えない人形はいらない」
聡「ひぃ…うわっ!」
後ずさり過ぎて聡は蟲から落ちた。
唯「ゲルミル」
蟲の名前を呼ぶ。応えるように体を傾がせた。聡の姿が蟲に隠れてからぐしゃっと音がした。それでもまだ聡は生きておりよろよろ立ち上がり澪の名前を呼ぶ。が、澪はまだ律と交戦中で抜け出せない。
99: 2011/03/11(金) 23:37:39.36 ID:xil6j9fPo
唯「ばいばい」
ゲルミルはすばやく首を伸ばして聡の背中に突き立てた。そして聡の体は食いちぎられ血飛沫を飛ばしながら地面に落ちた。
急に私の視界が真っ暗になった。心糸を視るのを辞めたからであろう。そして体が軽くなった。が……
「唯!」
声が聞こえて抱きしめられた。目を開けると律に助けられていた。
唯「りっちゃん…」
律の背中から刀が複数の集まり翼を作ってゆっくり降下していた。
バサラ
律「剣翼『羽鎖羅』のおけげだ。化け物に常識は通じねえ!!」
澪「ずるいぞー!」
100: 2011/03/11(金) 23:38:16.58 ID:xil6j9fPo
ゆっくり着地してから律は再び澪と対峙する。そこに聡の声がする。
聡「み澪姉…はやく……あのいけぬまを…」
澪「は?」
聡「はじゃなくて……」
澪「お前が唯を殺せるわけねーだろ!こんなアホな芝居付き合わされた身にもなってみろ!氏ね!!」
聡「じゃあ、まさ…か」
澪「お前も人形だったわけ」
101: 2011/03/11(金) 23:38:48.36 ID:xil6j9fPo
澪は聡の体全体を蹴り付ける。やがて聡は動かなくなった。背後でゲルミルが消え崩れた。
唯はゆっくり立ち上がり澪を見る。澪は笑って
澪「お疲れ様です」
普段の顔だが何かがある。そういう違和感があった。
律「どういうことだ?」
澪「全部お芝居です。唯様に最初にお会いした時に言ったでしょう」
澪の目が濁る。
「私は妹様の命でここに来たと……」
102: 2011/03/11(金) 23:39:23.77 ID:xil6j9fPo
つまり、澪は唯の命令なんか聞いていなかった。澪の言う妹様に唯の命令は聞くようにと命令されていたからだった。
唯「じゃあ澪ちゃんは最初から……」
澪「ええ。そうです。だから私も聡も人形だったんです」
唯「なんでそんな事を」
「そこから私が話すよ」
唯「憂…え?じゃあ澪ちゃんの言う妹様って」
憂「私だよ。それにしてもお姉ちゃん流石だよ!もう心糸視れるなんて…やっぱり一つの事にのめり込むとお姉ちゃんは凄いね」
最初から私は憂に踊らされていた。
103: 2011/03/11(金) 23:40:02.18 ID:xil6j9fPo
唯「何が目的なの?」
憂「私が当主になるんだ」
唯「じゃあなれば良いじゃん」
憂「それじゃあだめなの。例外を使わなきゃダメだったんだよ」
また例外という言葉を聞く。しかし、例外の意味が分からない。どういうことなのか?
憂「異能は基本遺伝なんだけど、私は妹だからお姉ちゃんより優れてないんだよ」
憂「でもお姉ちゃんみたいに当主を放棄する人だっている。だからね、ごめんねお姉ちゃん。お姉ちゃんを種馬にするよ」
唯「種馬?」
104: 2011/03/11(金) 23:40:34.70 ID:xil6j9fPo
憂「大丈夫。ちゃんと世話するし、種付けた男はすぐ始末するからね。お姉ちゃんの世話もちゃんとやるよ」
早い話、子作りしろと。
唯「遠慮するよ」
憂「だよね。じゃあ決闘で決着着けよう。ごめんねお姉ちゃん。それが決まりなんだよ」
唯「憂は何でこんな事を……」
憂「私が当主になりたかったんだけど、当主はお姉ちゃんが第一子だからおねえちゃんがなるんだよ。それにお姉ちゃんの方が糸遣いとして優れてる。だから当主になるには私はお姉ちゃんと戦わなくちゃならない。でも、お姉ちゃんはぽわぽわしてて、戦闘経験も皆無だし今のままじゃ私に勝てないから強くなってもらったの。その方が印象も良いと思うしね。ごめんね。辛かったでしょ?」
唯「………」
105: 2011/03/11(金) 23:40:59.67 ID:xil6j9fPo
憂「それじゃあねお姉ちゃん。日時はまた追って連絡するからゆっくり休んでね。行きましょう澪さん」
澪「はい、妹様」
憂「憂で良いよ」
澪「……憂様」
唯は澪の名を囁くと一度止まって人形のような微笑みかけた。
律「ちょっと待った!」
律は憂を止める。姉と闇宮以外とは話したくないのか一度ため息をこぼしてから律に返答する。
憂「何ですか?」
106: 2011/03/11(金) 23:41:28.78 ID:xil6j9fPo
律「聡と神の手の?がりを教えてもらおうか」
憂「知らないです。私はお姉ちゃんと違って忙しいんです。まあお姉ちゃんも学校という大事な日課があるけど、それと同じくらい忙しいんです。ではこれで」
憂はシスコンなのか。やたらお姉ちゃんを連呼する。
律「シスコンが!刀姫から逃げれると思ってるのか?」
憂「逃げませんけど、えっと…そうでした。律さんとは戦うつもりはありません。これは私とお姉ちゃんの問題ですから、律さんは身を引いてくれませんか?」
律「ふざける…」
律は体を屈める。
律「なっ!!!」
107: 2011/03/11(金) 23:42:06.11 ID:xil6j9fPo
大地を蹴って憂に飛び掛る。澪は何もしない。憂を守ろうとせず、ただ立って唯に微笑を掛けている。
憂「…………」
律の手足から刀が生えて、なお空中で身をひねりながら突進する。弾丸のような勢いで律は憂に襲い掛かる。
憂「……和ちゃん」
憂の影から黒いスーツの女性が出てきた。髪は短く眼鏡を掛け黒い手袋を嵌めている。
律はそのまま和に突っ込むが、和は無表情で律の回転する刀を握る。律の顔が歪む。そのまま和は律を真上に投げる。宙に浮いてる律は背中から刀を出し、翼を出し着地して輪を睨みつける。
憂「私の闇宮の和ちゃん。本当は私も同年代の子のはずなんだけど、わがまま言って和ちゃんにしてもらったの。律さんまだやる?」
108: 2011/03/11(金) 23:42:33.84 ID:xil6j9fPo
律「今更退くわけ…「ダメだよりっちゃん!!」
律を制して唯は憂と和を対峙する。
唯「決闘だっけ?良いよ。やろ。憂が勝ったらどんな状態でも連れて帰っていいよ。ただ、私が勝ったら澪ちゃんを返してもらうよ」
憂「うん良いよ。澪さん、そうゆう事でお姉ちゃんの物になってね」
澪「はい、憂様」
唯「澪ちゃんを物扱いしないで!!」
憂は困った顔で唯を見る。その顔は旅行に来た外国人に道案内を尋ねられたように困った顔である。
憂「お姉ちゃんおかしいよ。さっきので分かったでしょ。和ちゃんも澪さんも闇宮だから人形なんだよ。私やお姉ちゃんの命令を聞くためにだけに存在するんだよ?」
109: 2011/03/11(金) 23:43:06.48 ID:xil6j9fPo
唯「澪ちゃんは人形じゃないよ!!」
憂「う~ん。……じゃあ和ちゃんと澪さんの心糸を視てくれるかな?」
視ようと思ったが、先ほどの戦闘での肉体、精神の疲労で視れなかった。憂に視れないと言うと「残念」と落胆した。
憂「じゃあ2人の瞳を見ててね。和ちゃんに澪さん。心を頃してください」
憂がそう言うと2人の瞳から光が消えた。
憂「闇宮の人は自分のあらゆる糸を切ることが出来るんだ。生物なのに心を殺せるんだよ!これを人形と呼ばないでなんて呼ぶの!?」
パチンと憂が指を鳴らすと2人の瞳に光が戻る。
憂「……怒っちゃってごめんねお姉ちゃん。それじゃあね。気をつけて帰ってね。行きましょう。澪さん、和ちゃん」
憂「う~ん。……じゃあ和ちゃんと澪さんの心糸を視てくれるかな?」
視ようと思ったが、先ほどの戦闘での肉体、精神の疲労で視れなかった。憂に視れないと言うと「残念」と落胆した。
憂「じゃあ2人の瞳を見ててね。和ちゃんに澪さん。心を頃してください」
憂がそう言うと2人の瞳から光が消えた。
憂「闇宮の人は自分のあらゆる糸を切ることが出来るんだ。生物なのに心を殺せるんだよ!これを人形と呼ばないでなんて呼ぶの!?」
パチンと憂が指を鳴らすと2人の瞳に光が戻る。
憂「……怒っちゃってごめんねお姉ちゃん。それじゃあね。気をつけて帰ってね。行きましょう。澪さん、和ちゃん」
110: 2011/03/11(金) 23:43:39.70 ID:xil6j9fPo
「はい、憂様」と2人の闇宮と憂は森の中へ消えて行った。唯はただ振り返る事のない澪の背中をただ見つめるばかりだった。
律「唯…」
律は声を掛けるが何を言えば良いのかわからず、そのまま黙ったままだった。
私はどうしたらいい?そう問おうとしたか呟こうとしたか。力をなくした私は律を支える。その感触を最後に私の意識は途絶えた。
111: 2011/03/11(金) 23:44:14.92 ID:xil6j9fPo
♯7
私は夢を見ている。夢の内容は幼い私とお母さんがお父さんの話をしていた。
お父さんの話は『陸』といった。お母さんはお父さんを愛している。真面目で、何よりもお父さんはお母さんの事を一番に考えてくれていた。お父さんがいなくなった時、お母さんはどうしたら良いか分からなくなった。
それでも私がいるから頑張ってこれた。お父さんを守れなかったから私を守ると決めてくれた。
最後にお母さんは、「お父さんの力はいずれ使うときが来る。真実に抗うときに来る。だから中途半端な気持ちで使うな。大切に使え」
目を覚ましてゆっくり起き上がる。薄暗い…何処かの廃ビルのようである。
「起きたか?」
唯「りっちゃん……ここは」
律「私の隠れ家。まあ寝床だけど」
唯「ここまで運んでくれたんだ。ありがとう」
私は夢を見ている。夢の内容は幼い私とお母さんがお父さんの話をしていた。
お父さんの話は『陸』といった。お母さんはお父さんを愛している。真面目で、何よりもお父さんはお母さんの事を一番に考えてくれていた。お父さんがいなくなった時、お母さんはどうしたら良いか分からなくなった。
それでも私がいるから頑張ってこれた。お父さんを守れなかったから私を守ると決めてくれた。
最後にお母さんは、「お父さんの力はいずれ使うときが来る。真実に抗うときに来る。だから中途半端な気持ちで使うな。大切に使え」
目を覚ましてゆっくり起き上がる。薄暗い…何処かの廃ビルのようである。
「起きたか?」
唯「りっちゃん……ここは」
律「私の隠れ家。まあ寝床だけど」
唯「ここまで運んでくれたんだ。ありがとう」
112: 2011/03/11(金) 23:44:52.86 ID:xil6j9fPo
律「ほいよ」
律はペットボトルに入った水を唯に投げ渡す。
律「心糸ってのは凄いんだな。二日寝てたぞ」
唯「二日……」
心糸を視た反動。つまり、心糸を視る事、操る事は精神に凄い負担がかかることである。おまけにあの時の私は思い出したくもないくらい怖かった。
蓋を開けて水を飲んだ。
律「で、唯はこれからどうするんだー?」
唯「憂と戦うよ。それしか道はないしね」
113: 2011/03/11(金) 23:45:28.19 ID:xil6j9fPo
律「私と逃げないか?」
唯「逃げちゃダメだよ。澪ちゃんも帰ってこなきゃ……」
律「まだ信じてるのか?」
唯「えへへ」
律「お前はあいつに二回も裏切られてるのにか!?」
唯「澪ちゃんは大丈夫だよ」
律「…………」
意固地な唯に律は服を脱ぎ始めて唯に差し出す。
114: 2011/03/11(金) 23:46:01.84 ID:xil6j9fPo
律「縫ってくれ」
唯「ん」
服を受け取り裁縫道具を取り出して修繕し始める。服はぼろぼろで澪との戦いの凄さがよく伝わってくる。
律「あいつは…」
律は背中を向けながら外に向かって呟く。もちろん唯には届いている。
マリオネット
律「本当に何も感じられなかった。命令を忠実に守る人形みたいだった。たぶん、片腕吹っ飛んでも戦いをやめなかっただろうな。痛みも感じないんじゃないのか?無痛症みたいに……そんな奴を信じられないぜ。仮に憂を倒しても人形には変わりない」
唯「そうかな?澪ちゃんは人形じゃないよ。普通に笑ったり怒ったり、どんな事があっても澪ちゃんは澪ちゃんだよ。そう信じなきゃ!……ってね」
115: 2011/03/11(金) 23:46:28.47 ID:xil6j9fPo
「出来た」と言って服を律に返す。軽く礼を言って律は服を着る。
唯「じゃあ行くよ」
律「なーんか唯って私と似てるな」
唯「でもりっちゃんみたいに復讐じゃないよ」
律「…………勝てよ」
唯「もちろん」
そう言って私は律の寝床を後にして帰路に着いた。
116: 2011/03/11(金) 23:46:59.57 ID:xil6j9fPo
澪「おかえりなさいませ、唯様」
家に帰ると澪が出迎えてくれた。また口調は敬語になっていたので、敬語をやめさせる。
澪「決闘は今夜。放棄は唯の負けで強制連行だ」
澪は唯にメモを渡す。それをさらっと流し読みした唯はテーブルの上に置いた。
唯「わかったよ。でも迷子になったら迎えに来てね」
澪「了解。後、夕飯を作って置いた……と言ってもコンビニ弁当だけど…」
唯「それより澪ちゃんは何で……」
唯の質問を分かったように手で制して答え始める。
117: 2011/03/11(金) 23:47:27.53 ID:xil6j9fPo
澪「それは唯のせいなんだ。前話したように私は唯が産まれたから私も作られたんだ。でも唯が統堂でない時点で私はいらない子になったんだ。それを憂様が拾ってくれたんだ」
唯「えっ?でも憂は私の妹でお父さんお母さん離婚しちゃったんじゃ……」
澪「違うんだ。唯のお母さんの操様が出てかれたんだ。その時に操様は唯だけ連れてって憂様は本家に残ってたわけ。そゆわけで、私は憂様に拾われなかったら氏んでたな。唯を恨みながら」
唯「でも、私に仕える事を…」
澪「ああ。それは事実だけど、それだけだ」
唯「それだけ?」
澪「私は所詮人形さ。だから私には唯を愛する資格なんてないのさ」
118: 2011/03/11(金) 23:47:55.50 ID:xil6j9fPo
悲しく言い放つ澪。
唯「澪ちゃんは人形なんかじゃないよ!普通の女の子だよ!」
澪「普通の女の子は心を殺さないよ。ちなみに心を頃す技は基本的主人と離れたときに使うんだ。心を殺せば何されたか分からないからな。つまり闇宮には必須なんだ。分かったか?私を普通の女の子なんて思うな。唯は全くわかってない。さっさと憂様に負けて惨めに氏ね。それで少しは私の気が晴れる。あっでも憂様は唯の子と大好きだから惨めに氏なせてくれないか」
唯「本当にそう思っているの?」
澪「計画通り」
全ては憂の計画通り。後は私が憂に負けて連行される。憂のシナリオ通りに進む。
澪は初めからそれをわかってて私を守ってくれた。笑ってくれた。憂のために。
澪「そうわかってながら私は何も出来なかった。ずっと騙してた。だから唯も私恨んでくれ!罵倒でも何でも……」
それが澪の償いだった。今私が何をしても許してくれる。彼女は受け入れてくれる。そのために来たのかも知れないから……
119: 2011/03/11(金) 23:48:25.72 ID:xil6j9fPo
唯「………馬鹿だよ澪ちゃん」
そう言って唯は手を伸ばして彼女の頭を抱いて引き寄せた。
澪「え……」
唯「私は澪ちゃんを恨んだりしない。だからそんな悲しい事言わないでよ」
澪「何でだよ!?私は裏切ったんだぞ!」
唯「えへへ。でも私馬鹿だからさ。澪ちゃんを信じてるよ」
澪ちゃんは人形じゃない。ちゃんと温もりがある限り人形なんて言わせない。
澪「ヤメロォ!!」
澪が軽く突き飛ばす。澪にしては本当に軽くだが、それでも吹っ飛び背中を打つ。
120: 2011/03/11(金) 23:48:56.48 ID:xil6j9fPo
澪「…唯……私は…………唯に優しくされる資格なんてない!」
唯「澪ちゃん……」
澪「唯は最低だ!どうして私を苦しめる!私を信じる!?」
唯「関係ないよ。でも澪ちゃんがそんなくだならない事を気にしてるならまずはどうにかしなくちゃ」
澪「くだらない?主と人形関係をくだらないだと?」
唯「そんなのくだらないよ!そんな言葉で闇宮を縛ってるならその呪縛から解き放つ!!」
悪いのは澪じゃない。澪を人形にしてそれを裏で糸を引いていた統堂である。
澪「憂様を倒すのか?」
唯「もちろん」
澪「そうか。シナリオ通りか」
曇った瞳のまま澪は話しをする。瞳は憂に対する恐れが見えた。
唯「澪ちゃん……」
澪「唯は最低だ!どうして私を苦しめる!私を信じる!?」
唯「関係ないよ。でも澪ちゃんがそんなくだならない事を気にしてるならまずはどうにかしなくちゃ」
澪「くだらない?主と人形関係をくだらないだと?」
唯「そんなのくだらないよ!そんな言葉で闇宮を縛ってるならその呪縛から解き放つ!!」
悪いのは澪じゃない。澪を人形にしてそれを裏で糸を引いていた統堂である。
澪「憂様を倒すのか?」
唯「もちろん」
澪「そうか。シナリオ通りか」
曇った瞳のまま澪は話しをする。瞳は憂に対する恐れが見えた。
121: 2011/03/11(金) 23:49:26.49 ID:xil6j9fPo
澪「憂様は嫌いじゃない。でも……所詮私は憂様の人形じゃない」
唯「じゃあ憂に勝って澪ちゃんを取り戻すよ!もう憂の言いなりにならなくて良いんだよ。戻ってこれるんでしょ?」
澪「そういう命令だからな」
唯「命令じゃなくて澪ちゃん自身はどうしたいの!?」
ちょっときつめに言ったら澪は黙って俯いた。何か言おうとしたがそれを止めて代わりに「人形は意思はない」と言った。
唯「わかった。なんとしても憂に勝たなきゃ澪ちゃんのためにならないし、本心も聞けないんだね」
澪「憂様は強い。唯より糸遣いとしては劣ってるけどそれをカバーするくらいの技術を持ってる。唯に勝ち目はないよ。ごめん。これ以上教えられない」
122: 2011/03/11(金) 23:49:56.92 ID:xil6j9fPo
唯「どんな戦いでも勝つよ」
澪「…………それじゃあ、私は行くから」
そう言って澪は外へ出た。一瞬止まったが、振り向かず出て行った。
私は澪の勝ってきてくれた?コンビニ弁当を平らげて水を飲もうと流しに行った。そこで唯はあるものを見た。
唯「……………ふふふ」
服を着替えようとクローゼットをから昔お母さんが作った服を出して着替える。やたら隠しポケットなど多いので、匕首を隠しポケットに収めるとピッタリはまった。
着替え終わったときテーブルの上に見慣れないノートを見つけたのでぱらぱらめくる。執筆的に私のではなく澪が置いてったノートだという事が分かった。
そこで唯は知ってしまった。澪の本心と思われる事が書かれているページを読んで……
唯「……澪ちゃんは人形じゃない。良いじゃん。ふわふわ時間」
そう呟いて唯は家を後にした。
123: 2011/03/11(金) 23:50:23.24 ID:xil6j9fPo
決闘場所は芸術会館だが全く来た事なかったので予定時間を大きく狂わせた。結局、試行錯誤してる間に憂の闇宮の和が見つけて案内してくれた。和は前回の服装とは違ったこれが戦闘服というのを着ていた。つまり、澪もゴス口リではなく戦闘服なのだろう。
ホールに入ると和が扉を閉める。真っ暗になるホール。そして妹の声が聞こえた。
憂「待ってたよお姉ちゃん」
唯「ういー。もうちょっ分かり易い地図買いよ~」
憂「あわわ、ごっごめんね、お姉ちゃん」
普通の仲良し姉妹の会話が出来た。しかし、それもすぐに終わった。
憂「じゃあお姉ちゃん。こっち来て。大丈夫、奇襲はしないから。戦い方を教えるだけ」
ステージに立つと唯の元に澪が寄って来た。しかし、声を掛けても反応しない。
憂「じゃあ説明するね。和ちゃん心を頃して」
124: 2011/03/11(金) 23:51:04.73 ID:xil6j9fPo
いつの間にか隣にいた和は心を頃した。証拠に瞳が輝いてない。
憂「操糸術」
憂は和の大糸を指に絡める。
憂「普通は糸操る時、相手は抵抗するからうまく操れないけど、心を頃してる場合は抵抗もなく操れるんだ。心糸はだめなんだ。心を操っても出来ない事は出来ないんだ。だからこうやって操るんだよ。そうすれば限界を無視できて多少の怪我でも無理やり治したり、極糸で心臓や肺を動かせばかなりの損傷でも戦えるんだ。まさに人形そのものなんだよ」
唯「でも……」
憂「使えない人形は代える。それが闇宮の人形の使い方なんだよ」
唯「おかしいよ!!」
唯は駆け出そうとするが澪がそれを制する。
125: 2011/03/11(金) 23:51:39.59 ID:xil6j9fPo
憂「ダメだよ。姉妹で喧嘩しても糸が視えてキリがないよ。だからお姉ちゃんは澪さんを使って勝負だよ。これが糸遣いの戦いなんだ。澪さん、心を頃してください」
澪の手がだらんと下がる。目は輝きを失っている。
憂「じゃあ勝負だよ!お姉ちゃん!お姉ちゃんは私を狙っていいよ。私もお姉ちゃんを狙うから……でも先に澪さんから片付けるよ」
その前に憂を倒す。そう決めて駆け出そうとした直後に和が澪の前に立つ。
憂「えい!」
和が腕を振り上げる。慌てて澪の糸を掴んで和の拳を躱す。躱さなかったら澪の頭が飛んでいた。
憂「上手いよ!流石だね!お姉ちゃん!!」
憂は指をさっきより早くさっきより複雑に動かして和ちゃんを操る。
126: 2011/03/11(金) 23:52:11.94 ID:xil6j9fPo
憂「ちなみに、本気で倒すなら頭一発をお勧めするよ。押さえ込んでもあらゆる糸を操れば簡単に脱出出来るからね。とにかく和ちゃんの体を壊してでも勝たないと……」
唯「………」
憂「まあ和ちゃんは人形だし、主人には逆らえないからね」
唯「ふざけやがって!!憂は澪ちゃん達を何だと思っているの!?」
憂の顔つきが鋭くなる。憂は和を自分の元に戻した。
憂「お姉ちゃんにはどうしても理解できないよね。仕方がないか。もうパパッと終わらせるよ」
憂が腕を振り上げると和が人間では有り得ないくらい高く飛ぶ。そのまま唯に目掛け落ちる。
憂「お姉ちゃんの間接を外しちゃうよ。それで勝負ありかな。嫌なら澪さんを盾にしてね」
127: 2011/03/11(金) 23:53:23.40 ID:xil6j9fPo
澪を盾にする。そんな事は唯には出来ない。唯は澪の糸を解放して、匕首を出し和に迎え撃つ。
憂「お姉ちゃん……」
憂が悲しそうな顔をする。和が静かに唯の前に降り立った。
憂「人形を盾にすれば良いのに……まだ抵抗してるの?」
唯「澪ちゃんは人形じゃないよ!憂は澪ちゃんの好きな物とか知ってるの!?」
憂「知らない。澪さんは私には全くお願い事はしてこなかったから……」
唯「澪ちゃんはこんな関係のせいで人形にしか生きられなかったんだよ!澪ちゃんだけじゃなくてえっと…名前忘れた!」
憂「和ちゃんだよ。まあお姉ちゃんならちゃん付けでも良いけどね。でも闇宮は人形しか生きていけないんだよ」
128: 2011/03/11(金) 23:53:50.45 ID:xil6j9fPo
唯「そんな事ない!!変わり者はいるよ!私だったり澪ちゃんだったり!澪ちゃんのノートを読んだ事あるの!!!」
憂「ないかな。澪さんがノートに何か書いてたなんて始めて知ったもん。……それで?」
唯「澪ちゃんはね!甘いもの食べてるときの顔は可愛いんだよ!ノートの詩だってふわふわ時間やふでペンなんとかすっごくいい詩なんだよ!!」
憂「う~ん。お姉ちゃんは何が言いたいの?」
唯「澪ちゃん!澪ちゃんは人形じゃないよ!!」
憂「そろそろ。静かにしようよ。お口チャックしようね」
和が唯の腕を掴もうとする。目で追えない速さで腕が迫る。そこに風が吹いた。
唯「!!」
唯を掴もうとした和の腕を第三の腕が掴んでいた。
憂「そんな…」
129: 2011/03/11(金) 23:54:54.66 ID:xil6j9fPo
澪「唯は私が守る!!申し訳ありません憂様」
唯「澪ちゃん…」
憂「澪さん、主人は私だよ!」
澪「私は唯に仕えると決めました」
憂「人形の癖に!」
澪「唯、私は人形か?」
悲しそうに尋ねる澪。唯は首を振り答える。
唯「違うよ」
強く断言した。
澪「じゃあ私は人形じゃないな。後な唯、ふわふわ時間(じかん)じゃなくてふわふわ時間(タイム)な」
唯「すみましぇん」
130: 2011/03/11(金) 23:55:20.92 ID:xil6j9fPo
憂「……めんどくさい事になったなぁ」
憂は糸を操り澪の体を押す。
澪「ここは任せてくれ!」
唯「わかった」
唯は憂に向かって駆け出す。憂は糸をすばやく操る。和の腕が閃く。もの凄いスピードで拳を繰り出す。それを澪は諸手で受けた。
憂「なっ!!」
澪「私と唯のラブパワーを舐めるなぁあああ!!!」
澪は懐に入り和を思いっきり投げる。
131: 2011/03/11(金) 23:57:05.64 ID:xil6j9fPo
憂「そんな…」
憂は糸を解いて懐から包丁を取り出し構える。
唯「闇宮流葬技――雅一閃!!」
叫びとともに包丁を持つ右手を切りつける。一瞬憂は面を喰らったが唯の攻撃が空を切った事によってすぐに体制を立て直す。
憂「冗談勘弁してね」
包丁で切りつけようと腕を振るう。が、包丁は地面に落ちた。
憂「え?」
ついでにもう片腕を切りつける。慌てて憂は距離を取るが、バランスを取れずに倒れる。
憂「なんで?どういうことなの?」
憂は動かそうともがくが全く動く気配がない。
132: 2011/03/11(金) 23:57:37.41 ID:xil6j9fPo
唯「糸を切ったからね」
憂「やっぱりお姉ちゃんが…知ってたの?お父さんが闇宮だって事を……」
唯「知らなかったよ。かまければ動揺すると思ったんだ」
憂「そっか。お姉ちゃんの方が優れてるもんね。それに全然雅一閃には見えなかったし……。やっぱりお姉ちゃんには糸が切れるほうが普通か。ちなみにその匕首はお父さんの愛用なんだ。澪さんに預けたらこうなったんだね」
唯「お父さんのなんだ」
憂「はぁ~あ。残念だな。和ちゃんとなら統堂を完全に立て直すことができたと思ったんだけどな」
憂はゆっくり立ち上がり和の元に行く。そして和に呟くと和は瞳に輝きを戻した。
唯「憂…」
133: 2011/03/11(金) 23:58:06.46 ID:xil6j9fPo
憂「負けは負けだよ。お姉ちゃんは帰っても良いし、帰らなくても良い。好きにしてよ」
唯「憂は?」
憂「さあ?帰る場所がないんだ」
唯「じゃあ私の家来なよ」
憂「お姉ちゃんはこんな酷い私にでも優しくしてくれるなんて嬉しいよ」
唯「じゃあ来なよ!大歓迎だよ!!」
憂「でもゴメンね。お姉ちゃん」
唯「え……」
唯が突然崩れるように倒れる。それをすぐに澪が抱き支える。振り向くと和が手刀を放っていた直後だった。
134: 2011/03/11(金) 23:58:39.89 ID:xil6j9fPo
澪「何するんだ!?」
憂「安心してください。襲うつもりはありません」
澪「だったら何で」
憂「私は負けたんだよ。負けは氏なんだ。だからお姉ちゃんには何処かに行ったと伝えて置いてください」
澪「本当にそれで…」
憂「はい」
澪「……わかりました」
憂「ありがとうございます。お姉ちゃんを悲しませないでくださいね」
そうニコッと笑う憂。澪はゆっくり唯をおぶってこれからこの世界から旅立つ2人の前から姿を消した。
135: 2011/03/11(金) 23:59:09.26 ID:xil6j9fPo
♯エピローグ
澪「起きたか?」
ゆっくり目を開けると正面に澪の顔がどアップで映った。慌てて飛び起きたかったが澪の頭と衝突する。
唯「いたたた。……ここは?」
澪「唯の家近くの公園」
ゆっくり起きて周りを見ると確かに自分の家の近くの公園である。今気づいたが、ずっと膝枕されてた事に今気づいてちょっと頬を赤くした。
唯「憂は?」
澪「……身を潜めるってさ。また会えるよ」
唯「……そっか」
澪「起きたか?」
ゆっくり目を開けると正面に澪の顔がどアップで映った。慌てて飛び起きたかったが澪の頭と衝突する。
唯「いたたた。……ここは?」
澪「唯の家近くの公園」
ゆっくり起きて周りを見ると確かに自分の家の近くの公園である。今気づいたが、ずっと膝枕されてた事に今気づいてちょっと頬を赤くした。
唯「憂は?」
澪「……身を潜めるってさ。また会えるよ」
唯「……そっか」
136: 2011/03/11(金) 23:59:39.30 ID:xil6j9fPo
少し休んでから2人で律の寝床に行った。が、今はいないのか糸が視えなかった。
律「何しに来たんだ?」
柱の影から律が姿を現す。
唯「私は用はないんだけど澪ちゃんが……」
本当はそのまま家に帰る予定だったのだが、律に用があると澪が言うので連れてきたのだ。
律「なんだ?」
多少警戒態勢の律。だが、澪はすばやく頭を下げた。
澪「ごっごめん!憂様の命令とは言え手を出したから謝るのは当然だ///」
真っ赤な顔した澪が謝る。律はというとくすくす笑い出す。
137: 2011/03/12(土) 00:00:26.93 ID:yC17DOMwo
律「いや、私も悪かった。まさか澪は闇宮の癖にあんなにファンシーだったとは……」
澪「は?」
律「いやな。腹減ったから唯の家に食いもん頂戴しに行ったんだわ」
そう言えば最近やたら食べ物減るスピードが速かったと唯は今頃気づく。
律「唯もすまん。で、机の上のノート見たら…くははは。ほんとにすまん!!はははやっぱりだめだ」
耐え切れずに声を出してげらげら笑う。澪はというと顔を真っ赤にしてするのも限界だったららしく……
澪「りぃいいいつぅうう!!!」
ゴチン
律「いだー」
澪の鉄拳が律の頭に直撃する。何故か律の自動防御反応は作動せず、律は転げまわる。更に澪は追撃するかのように追いかける。これは頃し合いじゃなくただのじゃれあいだ。そう唯は感じ取った。
138: 2011/03/12(土) 00:01:22.23 ID:yC17DOMwo
しばらく追い掛け回して澪が満足した頃、疲れたから下にいると行って席を外した。唯はこれからの事を聞こうとしたら先に律が答えた。
律「私はもうちょっとここにいるよ」
唯「神の手だっけ?」
律「そ」
唯「何か会ったら言ってよ」
律「そうさせてもらうな」
澪「おーいゆいー」
下から澪が呼んだ。長居は出来ないとの事。いや、澪ちゃんがさせないのかも知れない。
139: 2011/03/12(土) 00:01:55.14 ID:yC17DOMwo
唯「それじゃあねりっちゃん」
律「おう。また食いもん貰い行くからな」
廃ビルを出ると澪が待っていた。
唯「じゃあお腹減ったしどこかに食べに行こう。ご褒美だよ!」
澪「ありがとう」
律と一緒に食べたファミレスで食事をする。食べている時澪が口を開いた。
澪「私は唯に仕えて本当に幸せだよ。まだ夢で朝起きたら唯がいなくなってるんじゃないかと思うよ」
140: 2011/03/12(土) 00:02:27.05 ID:yC17DOMwo
唯「夢じゃないよ」
食事も終わってゆっくり帰ってる時、唯は澪に言った。
唯「そう言えば流しの残飯にたくさん食べ物のゴミがあったんだけど」
澪「それは…手料理ってやつ唯に食べてもらって戦って欲しかったんだが……」
唯「じゃあ家事でも覚えよっか」
澪「うう…お願いするよ」
アパートに着いてから澪は集合ポストを見に行った。そして督促状を持ってきた澪を見て現実に引き戻される唯。
でもこれが日常でお母さんやお父さんがいなくなっても唯には澪がいる。もうトラブルには律の頼みごと意外起こらないのだ。起こったとしてもう澪は裏切らない。ずっと隣にいてくれる。
明日は遅刻しないようにそう思いながら唯はドアを開けて澪と家に入った。
終わり。
141: 2011/03/12(土) 00:18:00.20 ID:yC17DOMwo
これで原作だと一巻は終わりです。
省いたり、アレンジしたので変わってますが…
ちょっと原作そのまんまな点は反省します。すみません。
元ネタはラノベの繰り世界のエトランジェ(2回目)の設定とストーリーを借りました。
分からない点は言ってください。
失礼しました。
省いたり、アレンジしたので変わってますが…
ちょっと原作そのまんまな点は反省します。すみません。
元ネタはラノベの繰り世界のエトランジェ(2回目)の設定とストーリーを借りました。
分からない点は言ってください。
失礼しました。
142: 2011/03/12(土) 01:08:49.91 ID:hAjGW+SAO
乙
1巻が母親不在が物語の肝だったために、2巻以降の落ち込みっぷりが凄まじかった作品だったな
1巻が母親不在が物語の肝だったために、2巻以降の落ち込みっぷりが凄まじかった作品だったな
引用: 唯「糸が視える」
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