1: 2011/07/20(水) 20:23:39.06 ID:jEG2Vjgv0
このssは〝東方Project〟と〝めだかボックス〟のクロスオーバーです。
どちらか知らないorどちらも知らない人でも楽しめるようにしていきたいです。

尚、めだかボックスからは球磨川さんしか出てきません。他のキャラは名前だけちょこっとでる程度の出番です。

基本的に一回の投稿分ストックが出来た状態で投稿いたします。
終わるときは切りがいいところで終わります。

地の分はおまけ程度で、台本書きでいきます。ご了承ください。
雑談は推奨いたしませんがそこまで気にすることではないと思います。

2: 2011/07/20(水) 20:24:48.02 ID:jEG2Vjgv0
 人の立ち入らない森。
 ここには昼夜問わず言葉の通じない下級妖怪がうろつく危険地帯。

 躊躇いなく入っていける人間はせいぜい巫女か、魔法使いくらいだろう。
 そこに、真っ黒な服装の人間が倒れていた。

球磨川『まったく、朝起きたらこんな森の中にいるとはね』『黒服の人間にでも連れてこられたかな?』『借金や夢の国に喧嘩を売った記憶もないんだけどなぁ』

 そう、緊張感の欠片もないことを呟く球磨川の後ろに、何かの影が現れた。

球磨川『そうだ、後ろの君。出てきなよ』

 影は言葉がわからない。
 だが、自分が察知されたことはわかったのか、その姿を現した。

球磨川『やれやれ、MHP辺りにでもでてきそうな怪物かぁ』『まったくもって不幸だなぁ』

 懐から極太の螺子を取り出し、黒く唇を歪める。





球磨川『君は』

3: 2011/07/20(水) 20:25:35.07 ID:jEG2Vjgv0
霊夢「……森がざわついているわね」

 森の中を低空飛行する紅白。
 手にはお祓い棒を持ち、その先の紙垂(しで)はその空気抵抗によってバサバサと音を立てている。

 彼女は博麗霊夢。この幻想郷を覆う〝博麗大結界〟の管理人であり、その中枢を担う〝博麗神社〟の巫女である。
 ただし、お賽銭は殆どない。よってこのように妖怪退治を生業の一つとしている。

 やがて少し開けた場所に出る。そこには、体中に螺子をねじ込まれた妖怪の惨い氏体が転がっていた。

霊夢「っ!? これは一体……」

 と、そこであることに気づく。
 何者かがすぐ近くにいるということに。

 振り返るとそこには全身に返り血を浴び、両手で螺子を持ちながら立つ黒服の人間がいた。

球磨川『ここはどこ?』『僕は誰だい?』

霊夢「ここは幻想郷。あんた誰よ」

球磨川『球磨川禊』

4: 2011/07/20(水) 20:26:36.89 ID:jEG2Vjgv0
霊夢「……見慣れない格好だけど、外から来たのね?」

球磨川『なにを言ってるのかわからないけど、恐らくここは日本じゃないんだろう?』

霊夢「そうね。ここは幻想郷。外の世界で忘れられたものが最後に行き着く場所」

球磨川『やれやれ、こんな不幸に巻き込まれるなんて。まるで虚構(フィクション)の主人公のようだよ』

霊夢「これは事実(ノンフィクション)よ」

球磨川『承知の上さ』『ところで突然異世界に飛ばされた僕だけど、もしかして君が衣食住を世話してくれるのかい?』

霊夢「嫌々ながらそういうことになるわね。大方紫のヤツが飛ばしたんでしょ。だとしたらこれは幻想郷(こちら)側の責任になるしね」

球磨川『ありがとう!』『君は良いお嫁さんになれそうだね!』

霊夢「殴るわよ」

球磨川『嘘だよ』

霊夢「それはそれで殴るわよ」

球磨川『ところで君の名前は?』

霊夢「博麗霊夢。霊夢でいいわ。とりあえず神社に向かいましょう」

球磨川『神社ってどこにあるんだい?』

霊夢「ほんの2,3里先よ」

球磨川『困ったなぁ。君がここまで飛んできたのは知ってるけど、僕飛べないんだよ』

霊夢「なら足に捉まりなさい。覗いたら落とすけど」

球磨川『じゃあよろしくね! 霊夢ちゃん!』

5: 2011/07/20(水) 20:28:02.00 ID:jEG2Vjgv0
少年少女飛行中……



球磨川『まったく、腕が疲れたよ』

霊夢「ほんの5分じゃない」

球磨川『いやいや、僕は弱いからさ。体力が無いのさ』

霊夢「嘘吐きね」

球磨川『ははは、僕が弱いというのだけは本当さ』『信じてよ』

霊夢「はぁ……それで、服の替えとかはどうするの? うちには男物の服も、買う無駄なお金もないわよ」

球磨川『心配要らないよ。僕にはこの〝大嘘憑き(オールフィクション)〟があるからね』

 球磨川がパチンっと指を鳴らす。
 次の瞬間、球磨川の服の汚れが全て消えた。

霊夢「……凄いわね。私の空を飛ぶ程度の能力と取り替えて欲しいくらいだわ」

球磨川『人に褒められたのは久しぶりだなぁ』

霊夢「で、どんな能力なの?」

球磨川『僕の〝大嘘憑き〟はありとあらゆることを虚構(なかったこと)にする程度の過負荷(マイナス)だよ』

霊夢「ありとあらゆるもの……紫の境界を操る程度の能力くらい強いわね」

球磨川『でも僕は勝てないよ』『なんたって最弱だからね』

霊夢「……まぁいいわ。とりあえず入りなさい」

球磨川『邪魔するぜ』

6: 2011/07/20(水) 20:28:28.56 ID:jEG2Vjgv0
球磨川『へぇ、神社の中って入ったことないけど意外と広いんだね』

霊夢「広すぎるけどね」

球磨川『じゃあ僕がその寂しさを埋めてやるぜ』

霊夢「殴るわよ」

球磨川『巫女さんにしては暴力的だね』

霊夢「うっさいわね。元々この博麗神社は神を祀るために存在してるんじゃないからいいのよ」

球磨川『じゃあ何のためにここがあるの?』

霊夢「……まぁ話してもいいか。ここはね、幻想郷を覆う博麗大結界の中枢を保管してるのよ」

球磨川『その博麗大結界って何のために存在するの?』

霊夢「外の世界――つまりあんたがいた世界とこの幻想郷を隔離するための物よ」

球磨川『へぇ、つまりその博麗大結界をなかったことにしたら帰れるの?』

霊夢「……とんでもないことを言うわね。でもそんなことをしたら幻想と現実の境界が曖昧になってどちらの世界も消滅するわ」

球磨川『残念。じゃあ僕はどうやったら帰れるんだろうねぇ』

霊夢「紫にでも頼みなさいな」

球磨川『その人知らないなぁ。まぁいいや。ここの生活も楽しそうだ』

霊夢「楽観的ねぇ。ここの文明は外の世界から半世紀近くは遅れてるけどね」

球磨川『え? それは困るなぁ』『今週からの週間少年ジャンプが読めないじゃないか!』

??「焦る必要はないわ」

7: 2011/07/20(水) 20:29:04.55 ID:jEG2Vjgv0
 突如、球磨川の背後から大人びた女性の声がする。
 振り返るとそこには、空間から上半身だけを出した金髪の女性の姿が。

球磨川『うわっ』

 あまり感情の篭ってない吃驚声を上げる球磨川。
 それに対し、その女性は妖艶に微笑む。

霊夢「……何しに来たのよ、紫(ゆかり)」

紫「あらあら、私はその迷い人に会いに着ただけですわ」

球磨川『へぇ、霊夢ちゃん。このおばさんは誰?』

 瞬間、球磨川の頭の上に紫色の四角形が二つ現れる。
 それと同時に二つの間に一本の線が引かれた。そして中心からパックリとスキマが現れる。
 目が背景として大量に散りばめられているそこから、直径1mの巨大なたらいが球磨川の頭を直撃した。

球磨川『いてて……』

紫「人におばさんというのは感心できませんわね」

球磨川『悪かったね。謝るよ』

霊夢「……この妖怪は八雲 紫。境界を操ることのできる幻想郷最高峰の妖怪よ」

紫「八雲 紫です。以後お見知りおきを」

8: 2011/07/20(水) 20:29:50.39 ID:jEG2Vjgv0
霊夢「……以後? もう還すんじゃないの?」

紫「それは違うわ、霊夢。この迷い人は還せないの」

霊夢「……どういう意味?」

紫「彼がここに来たとき、気を失っている間に還そうとしましたわ。でも、向こうからの謎の力で拒否されたのよ」

球磨川(『なるほど、安心院さんの仕業か。僕がこっちに来たことである程度封印が弱まっちゃったみたいだね』)

球磨川『まぁいいよ、僕はそこまであっちの世界に固執してるわけじゃないし、恐らくその力も2,3年で衰えるだろうし』

球磨川『ただ残念なのは週間少年ジャンプの続きが見れないことかなぁ』

紫「それくらいならこちらで用意できますのよ。幻想郷に流れてくるのと違って、私のスキマは外に直結できますわ」

球磨川『それはありがたいね』

紫「それでは、私はこれにて」

 スッ、とスキマの中に消える紫。
 口が閉まった瞬間にそのスキマは跡形もなく消え去った。

霊夢「……さて、これから忙しくなりそうね」

球磨川『楽しくなりそうだね』

霊夢「……ハァ、そうね」

22: 2011/07/21(木) 23:09:28.80 ID:4KIOJ19w0
    EP.1 紅魔異変



 夏のある日。
 幻想郷を紅い霧が包み込んだ。

 そしてその三日後――

球磨川『ねぇねぇ霊夢ちゃん。ここ三日ほどかかってるこの赤い霧。幻想郷にはこういう気候があるの?』

霊夢「んなわけないでしょ。多分これは――」

??「異変だぜ」

 縁側の上にいつの間にか座っていた少女。
 その手には大きなホウキが握られており、頭に被った大きなウィッチハットと全体的に黒っぽい衣装から恐らく魔法使いであることは類推できる。

霊夢「そ、あんたも動くのね――魔理沙」

魔理沙「そうだぜ霊夢。てか異変の専門家が三日も放置なんていいのか?」

霊夢「大丈夫、問題ないわ。それにこの三日は見極めよ」

魔理沙「そうか。相変わらずのぐーたら巫女具合だな」

霊夢「……言うわね。まぁいいわ。今日の酉の刻に出発するわ」

魔理沙「そうか。で、そこの話に置いてかれてるやつは誰だ? 霊夢のコレか?」コユビ

23: 2011/07/21(木) 23:10:55.85 ID:4KIOJ19w0
霊夢「違うわよ。なんの因果か、二,三年は元の世界に戻れない哀れな人間よ」

球磨川『霊夢ちゃんはひどいなぁ。で、そこの君は誰だい?』

魔理沙「おお、自己紹介が遅れたな。私は霧雨魔理沙(きりさめまりさ)。普通の魔法使いだぜ」

球磨川『魔理沙ちゃんか。僕は球磨川禊。ただの過負荷だぜ』

魔理沙「で、霊夢。球磨川はどうするんだ?」

霊夢「勿論置いていくわよ」

球磨川『えー、僕も行きたいなぁ』

霊夢「駄目よ。あんたがいくら強いとはいえ、飛べないなら役には立たないわ」

球磨川『でも僕行きたいなぁ。囮にしてもいいから連れてってよ』

霊夢「駄目」

球磨川『……じゃあ留守番してる間は霊夢ちゃんの下着でも漁ろうか』

霊夢「頃すわよ」

球磨川『氏なないし』

魔理沙「いいじゃん霊夢。連れてってやろうぜ」

霊夢「……魔理沙の箒に捕まってもらうわよ」

魔理沙「オーケーだぜ」

霊夢「……囮にできそうならするわよ」

球磨川『ありがとう霊夢ちゃん!』『やっぱり君はいいお嫁さんになりそうだね!』

霊夢「殴るわよ」

24: 2011/07/21(木) 23:12:33.73 ID:4KIOJ19w0
球磨川『いやぁ、風を切るって気持ちいいなぁ』

魔理沙「本気出したらもっと早く飛べるぜ」

球磨川『本当かい? やっぱりここの人達は凄いなぁ』

魔理沙「ははは。ところで霊夢。どこに向かってるんだ?」

霊夢「……紅魔館よ。多分これは吸血鬼の仕業ね」

球磨川『ところで霊夢ちゃん』

霊夢「何よ」

球磨川『この位置だとスカートの中が見え』

 霊夢の周囲を浮かぶ陰陽玉が球磨川の顔面に直撃する。
 当然箒を放したわけで。

魔理沙「ちょっ、落ちて行ったぞ!?」

霊夢「大丈夫よ。あいつ氏なないから」

球磨川『そうだよ』

魔理沙「うわっお化け!? 恋符「マスタースパーク」!」

 とっさに構えた八卦炉から、極太のレーザーが放たれる。
 その超高威力の攻撃は球磨川を塵一つ残さず消滅させた。

25: 2011/07/21(木) 23:13:44.85 ID:4KIOJ19w0
球磨川『ひどいなぁ、魔理沙ちゃん』

魔理沙「ま、またかこいつ!」

霊夢「落ち着きなさい、魔理沙。こいつはお化けじゃなく本物よ」

魔理沙「え、えぇ!?」

球磨川『僕の能力は大嘘憑きって言ってね。ありとあらゆるものを無かったことにできるんだ。概念は除くけどね』

球磨川『だから落ちたって事実を虚構にできるし、消滅したって事実を虚構にできる』

魔理沙「な、なんか凄い能力だな……」

球磨川『それでも、僕は勝てないんだけどね』

魔理沙「矛盾してないか?」

霊夢「こういうやつなのよ」

球磨川『しかし暗いねぇ。幻想郷の夏には地球の公転とか関係しないのかい? まだ6時だよ』

魔理沙「そう言われれば変だぜ。この紅い霧があるとはいえ、流石に酉の刻にしては暗すぎるような……」

霊夢「……成程ね。すでに私達は敵の術中に嵌っていたというわけか」

??「その通りなのだー」

26: 2011/07/21(木) 23:14:46.72 ID:4KIOJ19w0
霊夢「そのリボン……常闇の人喰い妖怪、ルーミアね」

ルーミア「あなたは食べてもいい人間?」

霊夢「駄目な人間よ」

ルーミア「そうなのかー」

霊夢「でもこいつなら食べていいわよ」

 霊夢は球磨川の襟首を掴むと、おおよそか弱い少女とは思えない腕力で球磨川を投げた。

球磨川『え、ちょ』

ルーミア「この人は食べてもいいのかー?」

霊夢「好きなだけ食べなさい」

ルーミア「わはー♪」

球磨川『ちょ、れ、霊夢ちゃん? 冗談だよね?』

霊夢「囮よ囮。それにあんた氏なないでしょ。さ、いくわよ魔理沙」

27: 2011/07/21(木) 23:15:51.66 ID:4KIOJ19w0
魔理沙「なぁ霊夢、なんであんなことしたんだ? あんな妖怪ぐらい、即効で片付けれるぜ?」

霊夢「……私達の目標はあくまで紅魔館。闇を操るような時間がかかる相手とやりあうなんて馬鹿げてるのよ」

魔理沙「へぇー、霊夢も色々考えてるんだな」

霊夢「そうでもないわよ。ただ――」

 周囲に霧が立ち込める。
 それは今回の異変の中心である紅色ではなく、視界を覆う白だった。

霊夢「今回の戦いはどうも避けられそうにも無いわね」

魔理沙「どういうことなんだぜ?」

??「道に迷うは妖精の所為なの」

魔理沙「妖精の〝せい〟? なら精神の精だぜ」

??「あたい漢字とかよくわかんない!」

霊夢「……氷精ね」

チルノ「あたいはチルノ! ここを通りたくばあたいを倒してゆけ!」

大妖精「や、やめようよチルノちゃん……この人たち絶対強いって」

チルノ「だいじょーぶだ。もんだいない。あたい最強だから!」

魔理沙「なんだただの⑨(バカ)か」

霊夢「お片づけよ。10分で終わらせましょう」

魔理沙「2:2だぜ!」

チルノ「望むところだー!」

28: 2011/07/21(木) 23:16:31.84 ID:4KIOJ19w0
ルーミア「お腹一杯なのだー」

球磨川『そ、それはよかったね……』

 食べられては大嘘憑きで蘇り、また食べられては蘇り……
 10回ほど繰り返してやっと満足したようだ。

球磨川『まったく、食べ盛りだなぁ』

ルーミア「久々においしい人間を食べれたー。わはー♪」

球磨川『僕としては散々だけどね』

ルーミア「ところであなたの名前は?」

球磨川『僕は球磨川禊。弱くて脆い。最弱の人間さ』

ルーミア「そうなのかー。で、なんで食べても食べても元に戻ったの?」

球磨川『それは僕のありとあらゆる事実を虚構にする程度の過負荷、〝大嘘憑き〟に因るものさ。まぁ流石に氏なないというのは概念に反するけどね』

ルーミア「……なんか凄そうな能力だなー」

球磨川『そうでもないさ。ところで君はそのリボンを外した姿も似合うと思うんだけど』

ルーミア「それは無理なのだー。これは外せない札なの」

球磨川『へぇ、成程。じゃあ僕がなかったことにしてあげるよ』

ルーミア「できるのかー?」

球磨川『勿論さ』

29: 2011/07/21(木) 23:18:22.93 ID:4KIOJ19w0
 球磨川が大嘘憑きでリボンをなかったことにした瞬間、その体は吹っ飛ばされた。
 真っ黒な波動がルーミアの周りに漂っている。

球磨川『う、あ……一体なんなんだい?』

EXルーミア「……私はルーミアよ」

球磨川『まったく、怖い姿になったもんだね』

EXルーミア「そうなのか」

球磨川『どうやら僕はパンドラの箱ってのを開けてしまったみたいだね』

EXルーミア「封印を解いてくれて感謝して。そして――」

 ニヤリ、と微笑み右手に巨大な剣を召喚する。
 その剣は大きなプレートのようで、その刀身には真っ白な十字が描かれていた。

EXルーミア「いただきます」

 ヒュッ、と球磨川の前に移動し、剣を振りかぶる。
 かろうじてかすり傷ですんだ球磨川は、あることに不信感を覚える。

球磨川(『傷を』『虚構にできない?』)

球磨川『まさかー』

EXルーミア「概念体を直接斬っているのだ」

30: 2011/07/21(木) 23:19:25.44 ID:4KIOJ19w0
 巨大な剣圧が球磨川を襲う。
 
球磨川『わっ』

EXルーミア「避けたのか」

球磨川『まったく、どこかのエクソシストみたいな剣だね!』

球磨川(『といっても、勝ち目はないね』『こういうときに〝却本作り(ブックメーカー)〟が使えたらなぁ』)

EXルーミア「……剣を替えるか」

 闇が剣を包み込むとウネウネと闇が蠢き始めた。
 そして闇が拡散した時、そこには細身で漆黒の長刀があった。

球磨川『やれやれエクソシストの次は氏神代行か。週間少年ジャンプの主人公も真っ青だよ』

球磨川(『……やってみるか』)

EXルーミア「……終わりなのか」

 その場からルーミアの姿が消える。
 次の瞬間、両者は交錯していた。

EXルーミア「ば……かな……」

球磨川『一発も喰らえない人間と一発喰らってもどうということはない妖怪』『でも君は見誤ったね』

 ルーミアの胸には他の螺子よりも長い螺子が突き刺さっていた。
 だが、血は一滴もでていない。むしろ痛みすらないようだ。

球磨川『却本作り(ブックメーカー)。どうやらこの幻想郷の特殊な環境は一発だけだけど許してくれたようだね』

EXルーミア「また封印されてたまるか!」

球磨川『無駄だよ。君の全ては僕と同じところまで落ちている』『慣れてないしまともに動けないだろう?』

 ガガガガガッ!
 何もないところから無数に突き落とされた螺子はルーミアの服を地面に縫い付けていた。

31: 2011/07/21(木) 23:20:35.42 ID:4KIOJ19w0
霊夢「!? この妖力は……」

魔理沙「あのルーミアって妖怪のに似てるぜ。でもこの大きさは……どうする?」

霊夢「……一旦戻るわよ。氷精達は倒したことだし」

魔理沙「了解だぜ」

霊夢「あんたら、次調子乗ったら承知しないわよ。良いわね」

 急いで戻る霊夢たち。
 そこには、座ってゆっくりしている球磨川と、地面に縫い付けられたルーミアがいた。

球磨川『やぁ、遅かったね』

霊夢「……あんた、なにしたのよ」

球磨川『いや、頭のリボンをなかったことにしちゃってね』

霊夢「……封印が解けちゃったのね」

球磨川『ごめんよ、霊夢ちゃん。僕知らなくて』

霊夢「いいわよ……1時間もあれば封印しなおせるわ」

球磨川『僕の為に時間をとらせて悪いね。責任をとって頑張るよ!』

魔理沙「大丈夫だぜ。私だってそういう興味津々なところはあるからな」

霊夢「しかし……あんたこいつどうやって動きとめたの? 先代の巫女が手を余したくらいなんだけど」

球磨川『何、僕には〝却本作り〟っていう能力もあってね』『突き刺した相手の身体能力、思考能力……全てを僕の位置まで落とす程度の能力さ』
   『本来ずっと昔に捨てたんだけど、ここでは使えるみたいだね。大嘘憑きとの併用はできないけど』

霊夢「……ほんと反則級の能力ね。まぁいいわ、これが終わったらすぐに出発するわよ」

40: 2011/07/23(土) 21:00:26.29 ID:LD8+V/Fl0
魔理沙「お、見えてきたぜ。あれが紅魔館か」

球磨川『まっかっかだね。きっと主は赤が好きなんだね!』

霊夢「赤が好きって言うよりも、多分吸血鬼としてのプライドね」

球磨川『大変だねぇ。館の主ってのは』

霊夢「そういうものよ、幻想郷は。他の妖怪に舐められたら駄目なのよ」

球磨川『こっちの世界でもそうだよ。まったく、社会ぐらい安定させて欲しいよ』

魔理沙「それはちょっと違う気がするぜ」

球磨川『……ん、人影だね』

霊夢「門番かしら」

魔理沙「正面突破だぜ」

41: 2011/07/23(土) 21:01:34.13 ID:LD8+V/Fl0
霊夢「こんばんは、悪いけど、どいてもらうわよ」

魔理沙「だぜ。ここの主に用があるんだ」

球磨川『僕もだぜ』

美鈴「ここを通すわけにはいきません」

霊夢「仕方ないわね。押し通るわよ」

魔理沙「さぁ、構えな門番」

球磨川『まぁまぁ、二人とも。ここは僕に任せて先にいってくれないかい? なぁに、あとから必ず追いつくさ』

霊夢「……」

魔理沙「……」

球磨川『いやぁ、この言葉言ってみたかったんだよね』

霊夢「……まぁいいわ。時間稼ぎぐらいはしなさいよ」

42: 2011/07/23(土) 21:02:48.98 ID:LD8+V/Fl0
美鈴「と、通すわけにはいきません!!」

 門の上を飛んで抜けようとした二人に飛び掛る美鈴。
 だがその眼前を阻むかのように螺子が視界を覆った。

球磨川『君の相手は僕だよ』

美鈴「くっ……仕方ありません。すぐに終わらせます!!」

球磨川『あ、悪いんだけど弾幕ごっこは慣れてないから普通の戦闘にしようよ』『僕はつい最近外からやってきたか弱い人間だし』

 両手に螺子を持ち、バカ正直にまっすぐ突っ込む球磨川。
 武道の達人である美鈴はその動きが洗練されたものでないことは悟っていた。特に戦略も感じられない、違和感のあるものだった。

 その一瞬が、隙を生む。
 
 加速のまま両手の螺子を投げる。完全に隙を作った上での一撃。
 美鈴が普通よりすこし上の使い手だったならばこれで決まっていただろう。

 だが、先に述べたように美鈴は武道の達人だ。
 最弱である球磨川の一撃程度がかわせないわけがない。

 直前で見切り、勢いのまま突っ込んでくる顔面にその一撃を叩き込んだ。
 美鈴は下級とはいえ妖怪である。ましてやこの館の門を任されている存在。

 そこまで本気を込めたわけでもない。
 しかしその一撃で〝最弱〟の球磨川禊の顔はトマトのように弾け飛んだ。

43: 2011/07/23(土) 21:03:38.57 ID:LD8+V/Fl0
霊夢「……ま、どうせあいつは氏んでるんでしょうね」

魔理沙「だな。まったく、氏ぬことが軽く感じるぜ」

霊夢「そろそろ弾幕ごっこでも教え込んでおいた方がいいのかしら」

魔理沙「あいつの能力は便利だがスペカには向いてないからな」

霊夢「で、この内部がこんなに広いのはどういうわけなの?」

魔理沙「あきらかに見た目より広いもんな。空間支配系の能力を持ってる奴でもいるのか?」

霊夢「そう考えるのが妥当ね。結構厄介だけど」

魔理沙「だぜ……ん? これは……図書館か」

霊夢「図書館って書いてるわよ」

魔理沙「これほどの館だ。きっといいもんがあるに違いないぜ♪」

霊夢「……勝手にしなさい」

魔理沙「ありがたいぜ♪」

 言うや否や大きな扉を蹴破った。
 
魔理沙「侵入者だ! 貴重な本を借りてくぜ!!」

44: 2011/07/23(土) 21:04:35.17 ID:LD8+V/Fl0
美鈴「……殺っちゃった。この人……弱い」

 美鈴が侵入者を殺めたのは実のところ初めてである。
 一度痛めつけたにも拘らずまだ抵抗する侵入者はいた。
 でも適当に気絶させてそこらへんに放置していた。何回か繰り返せばそれで終わっていた。

美鈴「……はっ、早く侵入者達を追わないと……」

 門に手を掛けた瞬間、その背中に大量の螺子が降る。

美鈴「くはっ……なっ!?」

球磨川『やれやれ、頭を粉砕したぐらいで人は氏なないよ』

 球磨川はなんともないような顔で立っていた。
 傷どころか血の一滴も服には見えない。まるで〝攻撃すらされていなかった〟ようであった。

球磨川『なーんて、うそうそ!』『頭が弾け飛んで氏なない人間なんているわけないじゃないか!』

美鈴「じゃ、じゃあなんで……」

球磨川『簡単なことさ。僕の事実を虚構に変える程度の能力で攻撃自体をなかったことにしたのさ』

美鈴「そ、そんなでたらめな……」

球磨川『さて、君はもう僕には勝てないよ。そうだ、これからは攻撃の度に一発だけカウンターを捻じ込むことにしよう』

美鈴「くっ……」

45: 2011/07/23(土) 21:05:55.18 ID:LD8+V/Fl0
球磨川『なーんて、うそだよ!』『僕は君の味方さ!!』

美鈴「……は?」

球磨川『僕はね』『愚か者と弱い者の味方なのさ』

美鈴「……縋り付きたくなるような嘘ですね」

球磨川『本当だよ? こうしようか』

 パチンッ、と軽く指を鳴らすと同時に、美鈴の背中に刺さる螺子が全てなかったことになった。

美鈴「傷が……」

球磨川『だから言ったろう?』『僕は愚か者と弱い者の味方なのさ』『そういえば君の名前を聞いていなかったね』

美鈴「……紅美鈴(ほんめいりん)です」

球磨川『そうかい』『じゃあ案内してもらおうかな』

美鈴(仮に内部から乱す作戦を仕掛けてるとしても、それなら私を倒してから単独で進入した方がいい筈……
   それに私一人じゃ勝ち目はなくとも、咲夜さんと協力したらなんとかなるかも……いや、それしかないですね……)

美鈴「……わかりました。付いてきて下さい」

52: 2011/07/25(月) 00:16:24.81 ID:HFy1Xxj80
球磨川『わぁー、広いなぁ。どうしてこんなに広いんだい?』

美鈴「……それはメイド長が」

咲夜「あら、私がなんですって?」

美鈴「げっ……さ、咲夜さん……」

球磨川『君がここのメイド長かい!?』『僕は球磨川。よろしくね!』

咲夜「お客様……ではなさそうね」

球磨川『僕は君のお嬢様とやらを守ってあげに来たんだよ!』

咲夜「……本当なの?」

美鈴「え、えぇ」

咲夜「信用ならないわね。そもそも、この侵入者と同じタイミングで入ってきている時点で敵と見做す要因になるわ」

球磨川『いやだなぁ』『僕は単に面白そうだから着いてきただけであって』『彼女達の仲間じゃないよ』

咲夜「……他人を裏切る人間を信用するな。これは基本よ……離れなさい、美鈴」

53: 2011/07/25(月) 00:17:04.93 ID:HFy1Xxj80
球磨川『やれやれ。僕は弱い者と愚か者の味方なのに』

咲夜「……お嬢様が、愚かだと?」

球磨川『弱いにも当てはまるかな』『博麗の巫女ってのは最強なんだろ?』
   『それに喧嘩を売るなんて、愚かにも程があるよ』
   『でもね、僕が助けてあげるから安心してよ!』

咲夜「黙れッ!! お嬢様の何がわかるッ!!」

球磨川『自分の主観を他人に押し付けるのはナンセンスだぜ』

咲夜「――頃す!!」

球磨川『まったく』『怒ると目が赤くなるなんて、まるでどこかの迅竜みたいだね』
   『そうだ、どうせなら賭けをしないかい?』

咲夜「賭け?」

球磨川『君が勝ったら僕のさっきの発言は取り消そう』『でも、僕が勝ったら君と美鈴ちゃん――』

   『二人とも、裸エプロンで僕に傅け』

美鈴「えっ、ちょっ!?」

咲夜「……望むところですわ――地面に這い蹲りなさい!」

54: 2011/07/25(月) 00:17:58.74 ID:HFy1Xxj80
 無数のナイフが咲夜から放たれる。
 どこにそんな量を隠し持っていたのかは不明だが、幸いにも球磨川には同じようなスキルがある。

 ガガガガガッ!! と。
 金属音と共にナイフは全て螺子により叩き落された。

球磨川『まったく、質量保存の法則ぐらい守ろうよ』

咲夜「それは貴方も同じでしょう?」

球磨川『僕の世界ではこの暗器スキルは練習次第で誰でも使えるからね』

 双方が時計回りに動きながら己が武器を無数に投擲していく。
 その中央は金属音と火花によって支配されていた。

球磨川『埒があかないね』

咲夜「ならそろそろ終わりにして差し上げましょう!」

球磨川『そうだね』

55: 2011/07/25(月) 00:18:50.81 ID:HFy1Xxj80
 そう言うなり、球磨川は螺子の投擲をやめた。
 勿論無数のナイフは球磨川の体に突き刺さる。

咲夜「……は?」

 球磨川禊。本日17回目の絶命。

咲夜「……まぁいいでしょう。美鈴、片付けに妖精メイドを――」

美鈴「まだです咲夜さん! 後ろ!!」

咲夜「え?」

 振り返ると、そこには負のオーラに包まれ血を浴びた軽くホラーな状態の球磨川が立っていた。
 
咲夜「なっ――!? 時符」

球磨川『遅いよ』

 咲夜が時を止めるより一瞬早く、その両手を螺子が地面に縫いつけた。
 だが、血も出ない上に痛みもなさそうである。

球磨川『さぁ、裸エプロンの覚悟はできたかい?』

56: 2011/07/25(月) 00:24:06.92 ID:HFy1Xxj80
ここまでです。

続きは明後日か明々後日

球磨川『良いね その被害妄想(マイナス)』
   『まさしく理解不能(マイナス)だ』
   『でもセンスのない状態で名前をつけるのは大変だろうから』
   『僕が手伝ってあげるね!』ヒュッ

レミリア「……」

球磨川『あれ、これって――』

レミリア「神槍〝グングニル〟」



レミリア「感動したぜ これが理性のない世界か」

68: 2011/07/27(水) 22:20:30.00 ID:6cTtj6a+0
咲夜「……断ります」

球磨川『おや、仮にもこんな立派な館のメイドさんが約束を破るのかい?』

咲夜「まだ、負けてなんか……」

球磨川『仕方ない』『でも君は裸エプロンだ』『そうだね。自分の主人を罵倒したら許してあげるよ』

咲夜「そんなこと……できるわけ……」

球磨川『強情だなぁ』『僕は優しいから止めなんてさせないし……』
   『そうだ!』

 すぐ横にあった厨房に入っていく球磨川。
 とはいえ、そこまで時間もかけず戻ってきた。

球磨川『エプロン、持ってきてあげたよ!』

咲夜「……着ませんよ」

球磨川『やだなぁ』

 そういいつつ、首にエプロンを掛ける。

咲夜「ちょっ、何して……」

球磨川『こうするのさ』

 球磨川が指を鳴らした瞬間、咲夜のメイド服はエプロンを残して消滅した。

69: 2011/07/27(水) 22:21:23.40 ID:6cTtj6a+0
咲夜「~~~~~~きゃあああああっ!?」

美鈴「ちょっ、あなた何やってるんですか!?」

球磨川『さぁ、負けを認めるかい?』

咲夜「誰がっ!」

球磨川『これでも駄目なのかぁ』『じゃあ仕方ないね』

 両手に螺子を取り、黒い笑みを浮かべる。
 
球磨川『肉体的に認めさせようか』

 そう言い放ち、螺子を振り下ろす。
 しかしその間に一つの影が割り込んだ。

70: 2011/07/27(水) 22:22:06.74 ID:6cTtj6a+0
美鈴「させません!」

球磨川『どうしたの? 美鈴ちゃん』『君じゃ僕を倒せないよ』

美鈴「そういう問題じゃありません。私は、どんなに弱くても門番です」

球磨川『……』

美鈴「この体を張ってでも、皆さんを守る。それがこんな私に唯一与えられた使命ですから……退くわけにはいきません」

球磨川『そうかい』『君の熱意は存分に伝わったよ』『……で、覚悟も出来てるんだよね?』

美鈴「勿論」

 球磨川は無言で手を上げる。
 そしてその手を――咲夜の手を縛る螺子に乗せた。瞬間、その螺子は虚構となる。

球磨川『……そんな風に弱点で武装するのが、僕みたいな過負荷にもっとも有効なのさ』
   『安心しなよ。僕はもうお嬢様とやらに手は出さない。』
   『僕が手を引いたからにはハッピーエンド以外認められないからね。君達は紅茶でも入れて待っているといい』

   『ああ――』


   『また勝てなかった』

104: 2011/08/12(金) 16:39:46.80 ID:N3iwf/fO0
 メイド長を撃退した球磨川は真っ赤な絨毯に真っ赤な壁といった目の色彩感覚が麻痺しそうな空間を走っていた。
 とはいえ来たこともない場所。ましてや探索能力などマイナスの球磨川に備わっているはずもなく――

球磨川『ここはどこ?』

 現在進行形で迷子だった。

球磨川『やれやれ、美鈴ちゃんや咲夜ちゃんに道を訊くべきだったかなぁ』

 と、そこで響く足音に若干身構える球磨川。
 そしてその前に現れたのは、良く見た紅白。

霊夢「……なんで先にいるのよ」

球磨川『頑張ったからだよ。多分ね』

霊夢「あっそ、じゃあいくわよ」

球磨川『え、どこに行くかわかるの?』

霊夢「勘でなんとかなるわ。巫女なめんじゃないわよ」

球磨川『羨ましい。僕も巫女になりたいなぁ』

霊夢「……女性がするから巫女なのよ。まぁそれ以前に人間性の時点で神主すら無理ね」

球磨川『霊夢ちゃんも巫女らしい性格とは思えないけどなぁ』

霊夢「放っときなさい」

105: 2011/08/12(金) 16:44:05.09 ID:N3iwf/fO0
霊夢「……この先ね。多分」

球磨川『へぇ、この館の主にも逢ってみたいけど、こういう元凶は霊夢ちゃんに任せた方がいいのかな?』

霊夢「どっちでもいいわよ。私としては解決したらそれでいいし」

球磨川『まぁいいや。折角だから僕はこの下り階段を選ぶぜ』

霊夢「そっちは嫌な予感がするけど」

球磨川『僕みたいな過負荷にとっては不幸や危険は一番居心地がいいのさ』

霊夢「まぁいいわ。精々何回か氏んできなさい」

 それだけ言い残すと、重厚な真紅の扉に手を掛ける。
 その背中に、球磨川は一言だけ放つ。

球磨川『霊夢ちゃん』

霊夢「なによ」

球磨川『やっぱり君は巫女らしい性格じゃないね』

霊夢「放っときなさい」

106: 2011/08/12(金) 16:50:06.19 ID:N3iwf/fO0
霊夢「……アンタがここの主ね。で、異変の元凶」

レミリア「あら、お客様ね。盛大にもてなさないと」

霊夢「持て余すわよ」

レミリア「……確かに、人間にしては強そうじゃない。美鈴や咲夜を破ってここまで来るなんて」

霊夢「お生憎様。その二人を倒したのは私じゃないわ」

レミリア「へぇ……つまり貴女は弱いの?」

霊夢「まさか」

 お祓い棒を構え、言い放つ。

霊夢「アンタよりは強いわよ。引き篭もりの吸血鬼さん?」

レミリア「……少し強いからって、調子に乗っているようね。いいわ。人間はどうあがいても吸血鬼に適わないということを体に刻み付けてやる!!」

107: 2011/08/12(金) 16:50:51.98 ID:N3iwf/fO0
球磨川『ここは牢屋かな?』『にしてはそこら中に穴が開いてるけど』

??「ここは私のストレス発散場所なの」

球磨川『おや、君は誰だい?』

フラン「私はフランドール・スカーレット」

球磨川『へぇ、綺麗な羽根だね。あ、そうそう。僕は球磨川禊。お兄ちゃんでいいよ』

フラン「そうだ、お兄ちゃん!」

 可憐な少女は、その清楚な顔立ちに似合わず、口を歪めた。

フラン「アソビマショ?」

球磨川『楽しそうだね! いやぁ面白そうだ!』

117: 2011/08/30(火) 11:30:08.24 ID:MmxLV7F30
フラン「禁忌『クランベリートラップ』」

球磨川『うわわわっ!』

 周囲に展開された青色の弾幕。
 その中に閉じ込められた球磨川に赤色の弾幕がガガガガッ!と襲い掛かる。
 勿論ただの最弱である球磨川が避けれるはずもない。

フラン「……凄いね、お兄ちゃん。無傷だなんて」

 砂煙がはれた先には、かすり傷一つない球磨川が立っていた。

球磨川『これはね。僕の世界じゃデスベホマって言うんだよ』

 計13回。それが今の弾幕で球磨川が氏亡した回数だ。

フラン「アハハハハハ! 久しぶりにちゃんと遊べそうだね! 禁忌『レーヴァテイン』!!」

118: 2011/08/30(火) 11:31:06.91 ID:MmxLV7F30
霊夢「さて、まいった?」

レミリア「ま……参りました……」

霊夢「ま、吸血鬼にしてはよくやったわよ」

レミリア「うう……普通立場と発言逆なのに……」

霊夢「私は何物にも囚われないのよ。それが種族の差であろうと、常識であろうとね」

レミリア「呆れた」

霊夢「褒め言葉よ」

 そのとき、衝撃音と共に紅魔館全体が揺れた。
 
霊夢「何?」

レミリア「……まさか、フラン?」

霊夢「誰よそれ」

レミリア「私の妹よ。まだ遊びの時間じゃないはずなのに……」

霊夢「……そのフランとやらは何処にいるの?」

レミリア「……地下よ」

霊夢(……疑いようも無くあいつでしょうね)

霊夢「多分それ私の連れよ。行きましょう」

119: 2011/08/30(火) 11:31:36.40 ID:MmxLV7F30
 紅魔館の地下。フランの弾幕に耐えるために空間を広く取り、パチュリーの結界を壁に埋め込んでいる。
 そこが、割と凄いことになっていた。

フラン「キャハハハハハハハハハハハ!!!」

 どこかの誰かの所為でテンションが上がったフランは、本気で暴れまわっていた。

レミリア「えぇー」

球磨川『やぁ霊夢ちゃん』『そっちは終わったのかな?』

霊夢「終わったわよ。で、なんでこんなことになってるのかしら?」

球磨川『なに、ちょっと遊んであげてるだけさ』

 バッ! と砂煙を炎の剣が切り裂き、フランのスペル『フォーオブアカインド』により増えた分身が球磨川の背後に迫る。
 振りぬかれるレーヴァテイン。人間の反応速度を超えた速度で球磨川の首を切り裂いた。

レミリア「えっ、ちょっ!」

霊夢「大丈夫よ」

球磨川『そうだよ』『えっと、レミリアお嬢様でいいのかな?』

 いつの間にか出血後も消え、首が綺麗に繋がっている球磨川が立っていた。

レミリア「どういうことなの……」

霊夢「あいつはありとあらゆることを虚構にする程度の能力を持ってるのよ」

120: 2011/08/30(火) 11:32:32.17 ID:MmxLV7F30
フラン「あ、おねーさまだ!! 凄いよこの人! 壊れないもん」

球磨川『正確にはデスベホマだよ』『で、いつまで遊ぶんだい?』

フラン「私が飽きるまで!」

レミリア「そこの人間! そろそろやめなさい!」

球磨川『なんで?』

レミリア「その子は自分の能力や感情を操作できないのよ!」

球磨川『……そうなったのは誰の所為なのかな?』

レミリア「どういうこと?」

球磨川『いやぁフランちゃんから聞いてね。495年一度も外に出したことないんd』

 球磨川の胸を巨大な玉が貫く。
 も、なんなくそれをなかったことにする球磨川。

球磨川『……だって?』

レミリア「え、ええそうよ。だってあの子が……」

球磨川『だってもなにもないよ』『何事もやってみないとわからないさ』『君はその機会を一度の判定で捨てたんだ』

レミリア「あ、あなたに何が……」

球磨川『わかるよ。そういう環境は、過負荷を作り出すんだ。僕のように、フランちゃんのようにね』

球磨川『だから僕は遊んであげてるのさ。同じ過負荷としてね』

レミリア「あなたなんかに何ができるの?」

球磨川『僕ら過負荷にはcanもcan'tもないんだ。ただ負けるとわかっていてもそのまま突き進むしかないんだよ』

121: 2011/08/30(火) 11:33:39.21 ID:MmxLV7F30
       ~一時間後~

フラン「……はぁ、はぁ……やっぱりやるね……」

球磨川『173回もデスベホマしたけどね』

フラン「……ラストスペル、夢幻『幻月』」

 膨大な量と速度を誇る弾幕が球磨川が襲う。
 破壊の能力を込めたこれは球磨川でも生き返れないかもしれない。

球磨川『スペルカードを使うしかないようだね』

霊夢「何言って……」

球磨川『想像するんだ』『嫌なやつの失敗を想像するように』『大嘘「オールフィクション」』

 瞬間、全ての弾幕が虚構に変わる。

フラン「……もう力が残ってないよ」

球磨川『僕もだよ』

フラン「そうだ、何か食べて行ってよ。お姉さまが何か用意してくれるよ」

球磨川『いいの?』

フラン「お兄ちゃんのこと気に入ったもん!」

球磨川『ありがとう』

霊夢「……お疲れ様。さぁ、レミリア。早く宴会の用意してくれない?」

レミリア「えっ紅魔館(うち)がもつの?」

霊夢「異変起こしたお詫びよ。できるだけ盛大に頼むわ」

レミリア「うー!! ざ、財政が……」

122: 2011/08/30(火) 11:34:07.92 ID:MmxLV7F30
       ~~紅魔異変終了~~








魔理沙「……先に神社に戻ったが、帰ってこないな……」

 盗n借りた本を縁側に座り読んでいた魔理沙。
 霧が晴れたにも帰ってこないのを怪しんでいるが、勿論宴会なんて知らない。

魔理沙「仲間外れなのぜ……? こ、こんなところにいてたまるか! 私は紅魔館にいくぜ!」


123: 2011/08/30(火) 11:41:05.79 ID:MmxLV7F30

お疲れ様でした。
これでこのスレは終了とします。

いつか妖々夢異変も書くかもしれません。
でも今週の球磨川さんでキャラがよくわかんなくなってきたなぁ……

ちなみに戦挙前ならフランの記憶消して終了とかいいそうですけどね。こまけぇことはいいんだよという感じで


長いことお待たせして申し訳ありませんでした。
それではまたどこかで

124: 2011/08/30(火) 13:27:51.38 ID:mjoFPvVho
乙でしたー
確かに今週の球磨川はよくわからんかった

引用: 球磨川『ここはどこ?』『僕は誰だい?』 霊夢「ここは幻想郷。あんた誰よ」