172:◆58jPV91aG. 2009/06/18(木) 16:52:54.51 ID:pWMg1/U0
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第一章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第二章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第三章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第四章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第五章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第六章

イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」 最終章
「家へ、帰ろう」


―人の里、夜中―

ハンマー 「……(ガチャガチャ)」
ネコート 「そこにいるのは、ハンマーかい」
ハンマー 「!?」
ネコート 「みなももう寝静まっている。お前、その怪我でどこに行くつもりだい?」
ハンマー 「ネコートさん……起きていらしたのですか
ネコート 「……お前が見かけたという、子供を捜しにいくつもりかい?」
ハンマー 「…………」
ネコート 「やめておきな。私たちは、今回ちょっとモンスターを刺激しすぎた。今行くのは、得策とはいえないね」
モンハン イャンクック ペン画 原画
173: 2009/06/18(木) 16:53:40.09 ID:pWMg1/U0

ハンマー 「しかし、もし俺が見たのが見間違いや幻ではないとしたら、あそこには確かに女の子がいたことになる……」
ネコート 「…………」
ネコート 「だが、その子は溶岩の中に落ちていったのだろう?」
ネコート 「もはや無事とは思いがたいがね」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「しかし……それでも、やはり、気になる(ガチャリ)」
ハンマー 「もしかしたら……もしかしたら、モンスターが……あの子を助けてくれているかもしれない」
ハンマー 「だとしたら、同じ人間として……」
ハンマー 「俺は、あの子を迎えに行かねばならぬ」

174: 2009/06/18(木) 16:53:59.22 ID:pWMg1/U0
ネコート 「……モンスターがかい」
ハンマー 「…………」
ネコート 「小さい頃、家族を殺されてから、がむしゃらにあいつらを狩ってきたお前が、モンスターに心があると言うのかい」
ハンマー 「……分からない」
ハンマー 「分からないが、しかし……」
ハンマー 「あの幻獣は、俺を助けてくれた。それに……」
ハンマー 「…………あの怪鳥…………」
ハンマー 「あの声、あの目は……」
ハンマー 「俺と、同じ目だったんだ……」
ネコート 「…………」

175: 2009/06/18(木) 16:54:31.37 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「何故、どうして……」
ハンマー 「行き場のない、答えのない憤り、苦しみ……」
ハンマー 「だれも答えてはくれない理不尽……」
ハンマー 「そこから抜け出せない痛み、辛さ……」
ハンマー 「しかし現実はなにも変わらず……」
ハンマー 「そんな、とても悲しい目を、あいつはしていた」
ハンマー 「その時、俺は思ったんだ……」
ネコート 「…………」
ハンマー 「俺と同じ苦しみを、悲しみを感じていても、それでも尚、生き続けなければいけない……」
ハンマー 「生きるために、何か犠牲にしなければいけない……」
ハンマー 「奴らと俺は、何か違うのだろうかと」
ハンマー 「ふと、そんなことをな……」

176: 2009/06/18(木) 16:54:50.80 ID:pWMg1/U0
ネコート 「……だから、もう一度見に行きたいと言うのかい」
ハンマー 「…………(ガサゴソ)」
ネコート 「お待ち。お前、そんな安っぽい武器で行くつもりかい」
ハンマー 「! ネコートさん」
ネコート 「(ゴソゴソ)……こいつを持っていきなはれ」
ハンマー 「これは……メランジェ鉱石でコーティングされている……! それに、まるで水面のように研いである……!」
ネコート 「…………」
ハンマー 「……見事だ。こいつを、俺に……」
ネコート 「今回、お前さんが村にもたらしてくれた利益の見返りとしては、ちと過ぎた代物だがね……」

177: 2009/06/18(木) 16:55:13.12 ID:pWMg1/U0
ネコート 「先代の村長の持ち物さね……」
ハンマー 「……! 先代の村長……俺の、祖父のか!?」
ネコート 「ああ。見事な業物だから、捨てるに忍びなくてね。私が毎日磨いてたんだよ」
ハンマー 「どうして、それを……」
ネコート 「…………彼は、モンスターの声を聞くことができる男じゃった」
ハンマー 「モンスターの、声を……?」
ネコート 「人間でありながら、モンスター達の言葉を感じることができたハンターは、私が知る限り彼だけだ」
ネコート 「もし、お前が、彼と同じように……」
ネコート 「モンスターから何かを感じるというのならば」
ネコート 「もしかしたら、それを持つ資格があるのかもしれん」

178: 2009/06/18(木) 16:55:35.28 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(ブン)……ふむ。手になじむ」
ネコート 「もともとお前の血筋のものだ」
ネコート 「モンスターを倒すためではなく、何かを助けに行きたいというのならば」
ネコート 「持っといで」
ハンマー 「すまない。恩に着る(スチャ)」
ネコート 「ハンマーよ」
ハンマー 「……?」
ネコート 「確かにモンスターはモンスターだ。今回ガンランスがとった行動は間違いではなかったかもしれん」
ハンマー 「…………」
ネコート 「やらねばやられていただろう。人間やネコとは、違う生き物なのだ」
ネコート 「だがね、ハンマー。忘れてはいけないのはね」
ネコート 「モンスターにも親がいて、友人がいて……」
ネコート 「教えを広める教師だっている……」
ネコート 「別の生き物だろうと、それは確かなことなんだ」
ネコート 「それをどうとるかは、お前達ハンターの技量だがね……」
ハンマー 「…………」

179: 2009/06/18(木) 16:55:58.77 ID:pWMg1/U0
ネコート 「火山に向かう道は不安定で危ない。砦の方から行きな」
ネコート 「それに、お前はまだ足が治っているわけではない」
ネコート 「もし何かがあっても、戦うのは避けるのだ」
ハンマー 「分かっている。少し、様子を見てくるだけだ」
ハンマー 「それじゃ」
ネコート 「…………」
ネコート 「(迎えに……か……)」
ネコート 「(顔も、素性も分からず、生きているかどうかも分からない相手を……)」
ネコート 「(やれやれ……)」
ネコート 「(折角助かった命を、また危険な場所に置こうとするとは……)」
ネコート 「(若い男の考えることは、よく分からぬ)」

180: 2009/06/18(木) 16:56:49.67 ID:pWMg1/U0
―砂漠、深夜半―

クック 「……何ということだ……それでは、女児は……本当に、目が見えなくなってしまったのか……」
女児 「うん……でも……」
女児 「でも、私、もう一回おじさんにあえて、嬉しい」
女児 「お姉ちゃんにも、バサル君にもあえた……」
クック 「……くっ……こんな小さな子供に……」
キリン 「…………女児ちゃん、かわいそう…………人間がよこした薬も、怪我した人を助けるために使っちゃったし……」
女児 「人間が?」
キリン 「ええ……少し前に、埋もれてた人を助けたの」

181: 2009/06/18(木) 16:57:27.56 ID:pWMg1/U0
キリン 「…………そういうことがあって…………」
女児 「ふふっ……」
キリン 「? どうしたの?」
女児 「人間にも、優しい人がいるんだねぇ」
キリン 「…………ええ、そうね」
キリン 「(あの人間の言葉、私には良く分からなかった……)」
キリン 「(女児ちゃんが、特別なのかな……)」
クック 「何とかならないのだろうか……この歳でめしいとは、あまりに不憫すぎる」
バサルモス 「女児……ごめん。本当に……俺のせいで……」
女児 「バサル君のせいじゃないよ。それに、私目が見えなくても……」
女児 「みんなが迎えに来てくれただけで、それだけでいいよ」
バサルモス 「ご……ごめん……うっ……(ぼろぼろ)」
女児 「泣かないでバサル君。バサル君が泣いてると、私まで悲しくなって……」
ドスガレオス 「そうだよ泣くなバサルっち。目が見えなくったって、いつかいいことあるさ」
バサルモス 「君は相変わらず軽いね…………」

182: 2009/06/18(木) 16:58:02.58 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「ふむ……老師秘蔵の滋養水を使ったのか。確かに、人の身では強すぎるかもしれないな……」
テオ・テスカトル 「むしろ生きているのが不思議なくらいだ。無茶をする」
クック 「テオ殿。どうにかならないだろうか。この通りだ」
テオ・テスカトル 「クック殿、お止めなさい、子供の前で、大人が頭を下げてはならぬ」
クック 「いや、何か手立てがあるというのなら、私は何度でも、誰にでも頭を下げよう」
女児 「おじさん……」
テオ・テスカトル 「……クック殿、それに女児。失ったものを確実に元に戻す方法は、この世には何一つとしてありはしない」
クック 「…………」
テオ・テスカトル 「しかし、一度堕ちたものを改善に向かわせる努力なら、することができる」
テオ・テスカトル 「(ガブリ)」
クック 「! テオ殿、いきなり何を……」
テオ・テスカトル 「我々古龍は、特別な体に加え、特別な血を持っている」
テオ・テスカトル 「私やナナの血は、熱いから適さないかもしれないが……」
テオ・テスカトル 「定期的に服用することで、もしかしたら視力が回復するかもしれない」
テオ・テスカトル 「怪我ではなく、おそらくは神経が焼ききれているのだ。通常の薬ではいかんともしがたい」

183: 2009/06/18(木) 16:58:23.17 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「私たちの血はすぐに蒸発する。早く舐めてみなさい。ここだ(スッ)」
女児 「こ……これ……?(ぺろ……)」
女児 「!!! げほっ、げほっ!!」
女児 「あ……熱っ…………!!」
クック 「女児!?」
テオ・テスカトル 「大丈夫か? やはり少し、人間には厳しいようだな……」
クック 「では、どうすれば……」
××××× 「そそ……そういうことなら……ぼぼ、ぼくの血を、舐めればいいんだな……」
キリン 「!?」

184: 2009/06/18(木) 16:58:47.32 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「ナズチ君! 追いついたのか!?」
バサルモス 「え? 誰かいるの?」
ドスガレス 「何も見えねぇですけど」
キリン 「もう! オオナズチ君。人前ではもっと堂々とするって、いつも言ってるでしょう?」
女児 「(あ……いきなり、何か大きい気配が近くに……)」
女児 「(そういえば、おじさん達に会ってから、ずっと一人多いような気が……)」
オオナズチ 「(スゥゥ)ご、ごめんなんだな……」
バサルモス 「ひぃぇ! 何か出た!」
ドスガレオス 「うわぁあ! バケモノ!!」
クック 「オオナズチ君! 透明になって、追いかけてきてくれたのか!!」
オオナズチ 「ぼぼ……ぼくはバケモノじゃないんだな……地味に傷つくんだな……」

185: 2009/06/18(木) 16:59:12.41 ID:pWMg1/U0
オオナズチ 「…………」
キリン 「こら、あなた達。彼、傷つきやすいんだから、あんまり刺激しないであげて」
バサルモス 「ご……ごめんなさい……」
ドスガレオス 「は……はい」
オオナズチ 「キ……キリンちゃん、しし、しばらく会いにこれなくてごめんなんだな」
オオナズチ 「ヤ、ヤマツカミ様が……なかなか、そそ、外に出してくれなかったんだな」
オオナズチ 「ここ、校長先生も、久しぶりなんだな」
テオ・テスカトル 「大きくなったな。見違えたよ。ヤマツカミ様のところでの仕事は、上手くいっているかい?」
オオナズチ 「つつ……つらいことも多いけど……ぼ、ぼくは頑張るんだな」

186: 2009/06/18(木) 16:59:41.63 ID:pWMg1/U0
女児 「あ……あなたが、オオナズチさん?」
オオナズチ 「そ、そ、そ、そういう君は……誰なんだな?」
クック 「ゆえあって、私の娘として育てることになった子だ」
オオナズチ 「ふへぇ、大人の世界は、む、難しくてよくわかんないんだな」
女児 「あなたの皮のおかげで、命が助かったの。ありがとう(スッ)」
オオナズチ 「(ナデナデ)ほ……ほほっ! そこを掻いてもらうと、き、気持ちいいんだな」
オオナズチ 「さ、最近はキリンちゃんが、や、やってくれないから、痒いんだな」
キリン 「もう、オオナズチ君、そういう話は……」

187: 2009/06/18(木) 17:00:19.19 ID:pWMg1/U0
キリン 「! そうだわ、ねぇ、どこかまた、皮が剥けそうなところはない?」
オオナズチ 「? し、尻尾の辺りが剥けそうなんだな」
キリン 「ちょっともらうわね(ガブッ)」
オオナズチ 「!!(ビリビリビリ)……!!」
キリン 「女児ちゃん。これを着て。前のは焼けちゃってるみたいだから」
女児 「わぁ、新しい皮? ありがとう!!」
オオナズチ 「い……痛いんだな…………」
オオナズチ 「で、でもちょっと気持ちいいんだな……」
オオナズチ 「そういえば、ち、血が欲しいとか、聞こえたんだな」
オオナズチ 「ぼぼ、ぼくのを飲めばいいんだな」

188: 2009/06/18(木) 17:00:48.39 ID:pWMg1/U0
キリン 「女児ちゃん、ここを舐めてみて」
女児 「……(ペロ)……う……」
女児 「にがい…………」
キリン 「どう? 見えるようになった?」
女児 「…………(ふるふる)」
テオ・テスカトル 「すぐには無理だろう。少しずつ、時間を置いて治していけばいい」
テオ・テスカトル 「それはそうと、オオナズチ君。夜分ネコを送って失礼したが、よくヤマツカミ様は外出を許可してくださった」
オオナズチ 「なな……何か、ヤ、ヤマツカミ様、む、胸騒ぎがする、言ってたな」
オオナズチ 「そ、それで、キリンちゃんもいるっていうから、ぼ、ぼく、一生懸命頼んで、出てきたんだな」
キリン 「オオナズチ君……」
テオ・テスカトル 「神の胸騒ぎとは、あまりいい気分はしないな……」
テオ・テスカトル 「しかし……」
テオ・テスカトル 「何か、嫌な臭いが砂漠の向こうから漂ってくる……」

189: 2009/06/18(木) 17:01:17.38 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「……少し離れた場所に、カニ達が沢山配置されている。見つかったら面倒だ……」
テオ・テスカトル 「オオナズチ君、頼めるか?」
オオナズチ 「ま、任せるんだな」
クック 「頼めるかとは?」
テオ・テスカトル 「彼が透明になると、その体についているものが、においや気配まで透明になるのです」
テオ・テスカトル 「わざわざ争いを起こす必要もない……その力で、中にいるであろうナナ達を、包囲の外に出そうと思います」
テオ・テスカトル 「目的がなければ、彼らもたむろし続ける理由が消えることでしょう」
テオ・テスカトル 「クック殿、あなたは女児を連れて、戻った方がよろしいだろう」
テオ・テスカトル 「キリンも、子供達はみな、樹海に退避しなさい。あとは私とオオナズチ君だけで行く」
オオナズチ 「え……えぇぇえぇ? き、き、キリンちゃん!?」

190: 2009/06/18(木) 17:01:44.76 ID:pWMg1/U0
キリン 「オオナズチ君、ごめんね。また今度遊びにいくから……」
オオナズチ 「…………」
ドスガレオス 「おい、固まっちゃったぞ、この不思議ドラゴン」
バサルモス 「ほんとこれ、何でできてるんだろうね」
テオ・テスカトル 「! みんな、オオナズチ君の背中に!」
クック 「!!」
テオ・テスカトル 「早く!」
ドスガレオス 「な……何だいきなり?」
バサルモス 「ドスガレ、こっちだよ」
キリン 「オオナズチ君、もうちょっと腰を屈めて!」
オオナズチ 「わ、分かったんだな。じゃあ、すてるすもーどになるんだな(スゥゥゥ)」

191: 2009/06/18(木) 17:02:05.75 ID:pWMg1/U0
ドスガレオス 「すげぇ、俺達見えなくなったぞ」
バサルモス 「ほんとだ!!」
キリン 「しっ。静かに。声は聞こえるの」
ドスガレオス 「は……はい」
ドスガレオス 「(ひそひそ)おい、誰だよこの怖いねーちゃん」
バサルモス 「(ひそひそ)そういえば誰だろう……俺も初めて見るんだよ……」
女児 「(私たち、透明になったの……?)」
女児 「(確かに、みんなの気配がうすくなった……)」
女児 「(……なにかいる……)」
女児 「(つちの中……)」
女児 「…………(ぎゅ)」
クック 「私に掴まっているんだ」
女児 「(こくり)」

192: 2009/06/18(木) 17:02:46.50 ID:pWMg1/U0
××××× 「(ズボォッ)」
××××× 「とぉさまー」
××××× 「とぉさまーどこー」
××××× 「(ひっく)」
テオ・テスカトル 「……あれは……」
キリン 「カニの子供だわ……」
テオ・テスカトル 「しっ。他にもいる」
ガミザミA 「キ……ッ! お嬢様、捕まえましたぞ……!」
ガミザミB 「ここまでです……!」
紫ガミザミ 「やぁーのー! わらわも行くのー!」
ガミザミA 「お嬢様! ……お聞きわけ……ください!」
ガミザミB 「戦いは……遊びでは……ありませぬ!!」
紫ガミザミ 「(ビクッ)……ひくっ……」
ガミザミA 「帰るのです……!」
ガミザミB 「われわれは……行かねばならぬのです……!!」

193: 2009/06/18(木) 17:03:13.98 ID:pWMg1/U0
紫ガミザミ 「AとBが行くのはやじゃ! とぉさまもおるのじゃー!」
ガミザミA 「キッ……失礼!(カコッ)」
紫ガミザミ 「ふぁ……(ドサッ)」
ガミザミB 「…………致し方ない…………昏倒のツボでござる…………」
 >シェンガオレン 「キシェェアァァァァァ!!」
ガミザミA 「!! 総御大の、ときの声……!!」
ガミザミB 「行かねば……!!」
ガミザミA 「……キッ……ここに……オアシスがある…………!」
ガミザミB 「お嬢様を……この…………サボテンの下に寝かせれば……安心だ……」
ガミザミA 「すぐ……部下がくる……大丈夫だ……」
紫ガミザミ 「…………」
ガミザミA 「お許しください……ゆくぞ…………!(ズボボボッ)」
ガミザミB 「ギギ……!(ズボボボッ)」

194: 2009/06/18(木) 17:04:00.45 ID:pWMg1/U0
キリン 「あのカニ達、小さなカニをサボテンの下に埋めていったわ!」
バサルモス 「早く掘り出さなきゃ……!(バッ)」
テオ・テスカトル 「…………あれは!!」
クック 「…………くっ! テオ殿!」
テオ・テスカトル 「ああ、あれはシェンガオレンの吼え声だ!!」
女児 「(う……うう……!!)」
女児 「(すごく、嫌な声が……聞こえた……!!)」
キリン 「(ダダッ)あなた、大丈夫? しっかりして」
バサルモス 「息してないよ!」
ドスガレオス 「いや、てゆうかカニってどこでどうやって息してるんだよ」
紫ガミザミ 「…………」

195: 2009/06/18(木) 17:04:32.64 ID:pWMg1/U0
ドスガレオス 「おーい、生きてるか?(ツンツン)」
紫ガミザミ 「う……うぅ……?」
紫ガミザミ 「(ビクッ)……な……何じゃ!? 何じゃおぬしら!」
ドスガレオス 「ひぃえ。喋った。キモッ」
紫ガミザミ 「きも……? と、とにかく無礼であろう! わらわに触れるでない!!」
キリン 「大丈夫? あなた、ここに埋められていたのよ」
紫ガミザミ 「埋められ……? あ、あ奴どもぉぉ! わらわをおいて……」
紫ガミザミ 「(ひくっ)」
紫ガミザミ 「わ、わらわをおいて…………(ボロボロ)」
キリン 「あ……あぁ、泣かないで」
ドスガレオス 「泣いたぞこのカニ。バサルっちみてぇだな」
バサルモス 「一緒にするなよ!」

196: 2009/06/18(木) 17:04:59.50 ID:pWMg1/U0
紫ガミザミ 「ええい触るでない! わらわを、ダイミョウ一族の紫としってのろうぜきか!」
キリン 「あなた、ダイミョウザザミさんの娘さん?」
紫ガミザミ 「い、いかにも。ダイミョウザザミは我がとぉさまである」
ドスガレオス 「とぉさまだってさ。ププッ」
紫ガミザミ 「こ……このプラナリア! 何がおかしい!」
ドスガレオス 「ぷらなりあ?」
テオ・テスカトル 「失礼(ずいっ)」
紫ガミザミ 「ピィッ!!(ビクッ)」
テオ・テスカトル 「あぁ、驚かせてしまったのなら、申し訳ない。私はテオ・テスカトル。あなたはザザミ氏の一女とお見受けする」
紫ガミザミ 「てお? 聞いたことがあるぞな。AとBが、火山にそういうつぉい龍がいるといっておった」
テオ・テスカトル 「お気遣いとは思うが、ありがとう。聞きたいことがある。お答えいただけまいか」

197: 2009/06/18(木) 17:05:35.43 ID:pWMg1/U0
紫ガミザミ 「何じゃ。何でも聞くがよい」
ドスガレオス 「(ひそひそ)何だ? カニってみんなこうなのか?」
バサルモス 「(ひそひそ)お父さんより、随分とペラペラしゃべるね。しかも偉そう……」
紫ガミザミ 「無礼者! わらわは、えいさいきょういくを受けたスーパーカニであるぞ。それに、とぉさまをバカにするな!」
ドスガレオス 「とぉさまだってさ。プププッ」
紫ガミザミ 「ええい何がおかしい!?」
テオ・テスカトル 「君たち、少し静かにしてくれ。して、紫殿。先ほどシェンガオレンと取れる声が聞えたが……」
紫ガミザミ 「!! そうじゃ! はようとぉさまを止めねば!」
テオ・テスカトル 「? どういうことか?」
紫ガミザミ 「とぉさまは、じじさまに騙されておるのじゃ。しぇんはとても恐ろしいものだって、かぁさまは仰っておられた」
紫ガミザミ 「じゃから、わらわは、しぇんを使おうとしてるとぉさまを止めなきゃならぬのだ!」

198: 2009/06/18(木) 17:06:05.32 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「やはりあれはシェンガオレンの声か……!!」
クック 「テオ殿、これは……!!」
テオ・テスカトル 「ヤマツカミ殿の嫌な予感が的中したか……!」
紫ガミザミ 「何じゃ、わらわは急いでおる。とぉさまの所に行かねばならぬ。質問はそれだけか?」
テオ・テスカトル 「……紫殿、私をダイミョウ殿のところに連れて行ってはくださらんか? その代わり、私があなたを運ぼう」
紫ガミザミ 「へ? よ、よく分からぬが助かる。一緒にとぉさまを説得してくりゃれ!」
テオ・テスカトル 「そのつもりだ……!!」
クック 「テオ殿!」
 >シェンガオレン 「(グググ…………)」
テオ・テスカトル 「シェンが……立った……!!」
紫ガミザミ 「あ……あぁぁ……!! しぇんが……!!」

199: 2009/06/18(木) 17:06:38.51 ID:pWMg1/U0
キリン 「あれが……シェンガオレン……でも、殻がない……!!」
クック 「頭に乗っているのは……ドドか! それに、隣に見慣れない猿がいる……」
テオ・テスカトル 「ラージャン……! 何だ、あ奴、何を持っている……」
テオ・テスカトル 「!!! ナナ!?」
テオ・テスカトル 「あ奴め! ナナを連れて行くつもりか!!!」
女児 「ナナ……? ナナさんがいるの?」
クック 「……猿につれて行かれようとしている……!!(ギリ……)」
女児 「!?」
紫ガミザミ 「は……はようわらわをつれてゆけ! このままでは、とぉさままで戦いに巻き込まれてしまう!」
テオ・テスカトリ 「分かっています……!(ぐいっ)」
紫ガミザミ 「きゃぁ!」
テオ・テスカトリ 「ナナ!!(ドドドドドッ)」

200: 2009/06/18(木) 17:07:14.56 ID:pWMg1/U0
キリン 「! テオ様が……私、後を追うわ!(ダッ)」
クック 「キリンちゃん、待つんだ!! ……くっ……(ズキッ)」
女児 「おじさん!」
クック 「くそ……また、シェンを……暴れさせるわけには……」
クック 「もう二度と、二度とシェンは暴れさせんぞ!!」
クック 「バサル君、女児を連れて樹海に避難するんだ。私はシェンのところにゆく!!」
バサルモス 「え……で、でもその傷じゃ……!!」
女児 「いやっ!(がしっ)」
クック 「女児!?」
女児 「もうおじさんとはなれたくない……! それに……」
女児 「ナナさんは、私をたすけてくれたの!」
女児 「私、ナナさんをたすけてあげたい!!」
クック 「…………」

201: 2009/06/18(木) 17:07:41.08 ID:pWMg1/U0
ドスガレオス 「ちっ。俺も、師匠たちが気になる。いくぜ!(ズボォッ)」
バサルモス 「俺も行く! 女児とクックおじさんを助けるんだ!」
クック 「バサル君……女児!」
オオナズチ 「あ……キ、キリンちゃんが行っちゃうんだな…………」
オオナズチ 「す、すてるすもーどを解除して、あとを、お、追うんだな」
オオナズチ 「(ドドドドドドドッ)」
クック 「うわっ! 女児、しっかり掴まれ!」
女児 「うん……!!」
バサルモス 「!!!」
ドスガレオス 「! 何だあれ!? めっちゃ早っぇ!!」
バサルモス 「は、早く俺達も追わなきゃ、見失う!!」
ドスガレオス 「あ、ああ!!」

202: 2009/06/18(木) 17:08:08.93 ID:pWMg1/U0
―砦、真夜半―

ハンマー 「夜分申し訳ない」
衛兵A 「いやいや、気にしないでください。仕事ですから」
衛兵B 「しかし、こんな夜中にお一人でハントですか? 誰か護衛を雇った方が……」
ハンマー 「ただの採集だ。そんなに気にすることもない。税関を通らせてくれればいいだけだ」
衛兵A 「気をつけてくださいよ。昼間、火山が爆発したって噂もありますから」
ハンマー 「……ああ、気遣いありがとう」
衛兵B 「こっちに、私達が使っている抜け道があります。いちいち門を出るより、その方が早いでしょう」
ハンマー 「すまない」

203: 2009/06/18(木) 17:08:36.27 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(……それにしても、このメランジェ鉱石の武器……)」
ハンマー 「(こんなに大きいというのに、ほとんど重量を感じない……)」
ハンマー 「(祖父……先代の村長の持ち物か……)」
ハンマー 「(祖父も……両親と共に、俺が生まれてすぐに氏んでしまった)」
ハンマー 「(顔も良くは憶えていないが……)」
ハンマー 「(祖父は、俺と同じ武器を使っていたのか……)」
ハンマー 「……?」
ハンマー 「(何だ……?)」
ハンマー 「(この武器が、震えているのか……?)」
ハンマー 「(俺は何もしていないぞ……!)」

204: 2009/06/18(木) 17:08:53.61 ID:pWMg1/U0
衛兵A 「何でしょうね、さっきから虫がうるさいな……」
衛兵B 「最近ハチもさっぱりみかけなくなったと思ったが、もしかしたら入り込んでるのかも……」
衛兵A 「毒煙玉の在庫あったかな……」
ハンマー 「いや、違う。俺の武器だ(スッ)」
衛兵A 「うわっ。な、何だかすごそうな……」
衛兵B 「も、もしかしてあなた、Gランクのハンター様だったんですか!」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「(振動しているのは、この武器にはめ込まれた宝玉だ……)」
ハンマー 「(何だこれは…………今まで見たこともない、紫色の宝玉だ…………)」
ハンマー 「(妙な胸騒ぎがする……)」
ハンマー 「(もしかして、これは……)」
ハンマー 「(俺に、危機を知らせているのか……?)」

205: 2009/06/18(木) 17:09:11.51 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「二人とも、裏口より先に、高見台に連れて行ってくれないか」
衛兵A 「高見台? そんなところに登ってどうするんですか?」
衛兵B 「三年前のシュレイド城みたいに、モンスターが攻めてくるってわけでもないでしょう? 見るものないですよ」
ハンマー 「いや、少し確認をしたいだけだ。こっちか?(ズンズン)」
衛兵B 「え? ああ、まぁ遠くもないですしご案内しますよ。こちらです」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「(宝玉の振動が強くなっている……)」
ハンマー 「(杞憂であればいいが……)」
ハンマー 「(何だ、この不吉な気分は……)」

206: 2009/06/18(木) 17:09:33.02 ID:pWMg1/U0
―砦、高見台―

衛兵A 「っと、ここです。足場は狭いですから気をつけて」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「(宝玉が薄く光り始めた……)」
衛兵B 「あぁ、あいつまた寝てやがる。いくら暇だからって、職務怠慢もいい加減にしろってな」
衛兵A 「おいおい起きろ(ドゲシッ)」
衛兵C 「! お、オレ寝てねぇっすよ! 断じて寝てねぇっすよ!!」
衛兵A 「あーあー分かった分かった。お前は寝てないよ」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「(武器の向きを変えると、宝玉の振動と光の強さが変わる……)」
ハンマー 「(こちらの方角が一番、反応が強い……)」
ハンマー 「(あっちは砂漠だ……人もモンスターも、滅多に立ち入らない区画だが……)」
ハンマー 「(何かあるのか……?)」

207: 2009/06/18(木) 17:09:57.96 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(双眼鏡を持ってきていてよかった)」
ハンマー 「……(ゴソゴソ)」
ハンマー 「(やはり何も見えないな……)」
ハンマー 「(砂丘が、夜風に流れて形を変えているだけだ)」
ハンマー 「(……だとしたら、この異様な武器の反応は何なんだ……)」
衛兵C 「あれぇ? あんなとこに山なんてあったかなぁ?」
ハンマー 「?」
衛兵B 「何言ってんだ。砂漠の地形なんて、毎日変わってるじゃねぇか」
衛兵A 「お前、寝てないのは分かったから、下行って顔洗って来いや。涎垂れてるぞ」
衛兵C 「えぇ!? こ、こりゃ失礼!」

208: 2009/06/18(木) 17:10:38.31 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(山……?)」
ハンマー 「(確かに、風で動く砂丘が見えるが……)」
ハンマー 「……!!」
ハンマー 「ち…………違う!!」
衛兵C 「ふへぇ!?」
衛兵A 「ど、どうしたんですか、ハンター様!」
ハンマー 「あれは砂丘ではない! 砂を被って、何か大きなものがゆっくり移動している!」
衛兵B 「何だって!?」
ハンマー 「(な……何だ!?)」
ハンマー 「! (今、何か触覚のようなものが見えた!)」
ハンマー 「(あれは……カニ系モンスターの触覚だ!!)」
ハンマー 「(し……しかし……)」
ハンマー 「(あの砂丘の大きさ、もしあれがモンスターだとしたら……)」
ハンマー 「(……もしかして、あれは!!!)」

209: 2009/06/18(木) 17:11:01.67 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「モンスターがこっちに向かってきている! おそらく、三年前にシュレイド城に現れた、砦蟹だ!!」
衛兵A 「え!? えぇぇぇええ!?」
衛兵B 「う、嘘だろ!!」
ハンマー 「砂を被って擬態しているんだ! 早く、迎撃の準備を!!」
衛兵C 「モ、モンスターの襲撃!? この砦に!!」
ハンマー 「(ちっ……ここまで近づかれるまで、分からないとは……!!)」
ハンマー 「(三年前に、あの砦蟹は氏んでいなかったのか!)」
ハンマー 「俺は迎え撃ちに出る! 砦の門を閉めろ! 早く!!」
ハンマー 「(な……何だ? 何故今!?)」
ハンマー 「(もしかして、昼間の火山……)」
ハンマー 「(あの報復か!!)」

210: 2009/06/18(木) 17:11:22.18 ID:pWMg1/U0
―砂漠―

キリン 「テオ様、お待ちください!!」
テオ・テスカトル 「キリン!? 子供は早く戻るんだ!(ダダダッ)」
紫ガミザミ 「ピィィィ!! 早いぃぃぃ!」
オオナズチ 「キ、キリンちゃん、追いついたんだな(ドドドド)」
キリン 「オオナズチ君!」
テオ・テスカトル 「クック殿! 女児も……!!」
クック 「テオ殿、私はシェンを止めたい……!!」
テオ・テスカトル 「!!」
クック 「もう二度と、あんな思いはごめんだ。何としても……何としても!」

211: 2009/06/18(木) 17:11:58.46 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「……(ブンッ)」
紫ガミザミ 「キャァァ!」
クック 「! (ガシッ)」
紫ガミザミ 「これ、てお!! いきなり何をする!!」
テオ・テスカトル 「失礼。ではクック殿、紫殿を頼む!(ダダッ)」
クック 「分かった!」
女児 「(ぺたぺた)……だ、大丈夫? 私が抱いててあげるね」
紫ガミザミ 「に、人間! 何じゃおぬしは!」
クック 「私の娘だ、敵ではないよ」
女児 「うん、私は何もしないよ」
紫ガミザミ 「ぬ……おぬし、なかなか抱き方を心得ておる。まるでかぁさまのようじゃ。そのままわらわを固定せい」
女児 「え? これでいいかな……(ぎゅっ)」

212: 2009/06/18(木) 17:12:18.60 ID:pWMg1/U0
バサルモス 「! 猿達、砂に隠れて砦に近づくところだよ!」
ドスガレオス 「くそっ、もうついちまうぞ!」
クック 「ドスガレオス君、君は助けを呼んできてくれ。ヤマツカミ様たちにも知らせねば!」
ドスガレオス 「合点!(ドバッ)」
紫ガミザミ 「あぁ……とぉさまたち……」
紫ガミザミ 「とぉさまは……とぉさまは」
紫ガミザミ 「本当は、人間と戦いたくなどないのだ……」
女児 「!」
紫ガミザミ 「じゃが、じじさまやしぇんの言いなりになって……」

213: 2009/06/18(木) 17:12:37.57 ID:pWMg1/U0
紫ガミザミ 「とぉさまは、わらわに、今日帰ったら、極上黒真珠の首飾りを作ってくれるといったのじゃ!」
紫ガミザミ 「わ、わらわもとぉさまに……」
紫ガミザミ 「黒真珠でお守りを作ったというに……」
クック 「(この子、父親のことを……)」
クック 「(黒真珠の装飾品を持っている……歪だが、この子が作ったのか……!!)」
女児 「…………」
女児 「(ぎゅ)うん……うん。お父さんに……」
女児 「お父さんに、渡そうね。大丈夫、大丈夫だよ」
クック 「…………」
クック 「ああ、その通りだ!」
紫ガミザミ 「(ぐす……)」

214: 2009/06/18(木) 17:13:11.87 ID:pWMg1/U0
オオナズチ 「ぼ、ぼ、ぼくは、ど、どうすればいいんだな?」
テオ・テスカトル 「このままでは、シェンガオレンが人間の砦に突撃してしまう……!!」
テオ・テスカトル 「ディアブロス老師達は、止められなかったのか……!!」
女児 「……!」
女児 「おじいちゃんが……!!」
テオ・テスカトル 「開戦してしまえば、三年前の二の舞だ!!」
テオ・テスカトル 「それに、今回は奇襲とはいえ、あの時とは我々の武力も違いすぎる」
テオ・テスカトル 「……無茶だ!」
テオ・テスカトル 「ブランゴ一族とギザミ一族を止めねばならぬ!」
テオ・テスカトル 「…………ナナ……!!!」

215: 2009/06/18(木) 17:13:39.83 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「………………」
テオ・テスカトル 「私がシェンを抑える」
テオ・テスカトル 「キリン、オオナズチ君、クック殿方は、ナナをお願いできるだろうか」
クック 「テオ殿! 私も……」
テオ・テスカトル 「今のあなたは、手負いだ。とても戦える状態ではない」
クック 「……!!」
女児 「おじさん……」
テオ・テスカトル 「ナナを助け出したら、全員すぐにここを離れてください。私が、持てる全ての力を解放し、シェンを止めます」
キリン 「テオ様、私も……」
バサルモス 「そうですよ! 俺だって!!」
テオ・テスカトル 「いかん!」
キリン 「(ビクッ)」
バサルモス 「……!!!」
テオ・テスカトル 「馬鹿者! 戦いとは、力足りぬ者が、興味本位で参加して良いものではない!! 場をわきまえよ!」

216: 2009/06/18(木) 17:14:13.11 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「……ナナを、頼みます(ダダッ)」
キリン 「テオ様!! あぁ! 先に行ってしまわれた!!」
オオナズチ 「……ぼぼ、ぼくは、結局、ど、どうすればいいんだな?」
クック 「……ナナ殿を救出することを、最優先に考えよう。オオナズチ君、私たちを乗せて、シェンガオレンに近づいてくれ」
オオナズチ 「わ、分かったんだな」
キリン 「オオナズチ君、焦らないで。物凄い汗の量よ」
オオナズチ 「ぼ、僕、戦闘って、あんまり好きじゃな、ないんだな。こ、怖いんだな」
キリン 「もう! 男ならしっかりして! テオ様はお一人で行かれたのよ!?」
オオナズチ 「お、怒った顔のキリンちゃんは、す、すごく可愛いんだな」
キリン 「いいから早く、透明になって!」
オオナズチ 「わ、わかったんだな」
女児 「バサル君、どこ!?」
バサルモス 「ここだよ! 今、不思議ドラゴンさんの背中に乗った!」
オオナズチ 「す、すてるすもーどになるんだな(スゥゥウ)」

217: 2009/06/18(木) 17:15:27.96 ID:pWMg1/U0
―砂漠、砦近く―

ダイミョウザザミ 「…………」
ショウグンギザミ 「キシェ……キシェ…………」
ショウグンギザミ 「人間達め……我らがこうして、地中に隠れて襲うとは……思えまい……」
シェンガオレン 「……………………」
ショウグンギザミ 「しかし雪サルめ……後ろに下がるとは…………所詮腰抜けよ、頼りにできる…………」
ショウグンギザミ 「何を……している! 父上に、沈静剤を……もっと注入するのだ……!!」
ガミザミたち 「キィ!(ブスッ、ブスッ、ブスッ)」
シェンガオレン 「……!! ……!!(ズズズズズ)」
ダイミョウザザミ 「(本当に……これで、いいのだろうか……)」
ダイミョウザザミ 「(ラオシャンロンの……監視の目が緩んだ隙に……)」
ダイミョウザザミ 「(樹海洞窟に……封印されていたシェン様を…………解放したが…………)」

218: 2009/06/18(木) 17:15:45.74 ID:pWMg1/U0
ダイミョウザザミ 「(我々だけで…………)」
ダイミョウザザミ 「(三年前は……総力でも、かなわなかった人間に…………)」
ダイミョウザザミ 「(…………)」
ダイミョウザザミ 「(紫…………)」
ダイミョウザザミ 「(約束を、守れずに…………すまぬ…………)」
ショウグンギザミ 「ダイミョウよ……歩みが遅れておるぞ…………」
ダイミョウザザミ 「! 失礼……つかまつった……」
ショウグンギザミ 「キキ……ゲゲ…………血が滾る…………」
ショウグンギザミ 「血……血だ…………」
ショウグンギザミ 「我らには血が……足りぬ…………」

219: 2009/06/18(木) 17:15:58.66 ID:pWMg1/U0
ダイミョウザザミ 「……(父上の言葉…………)」
ダイミョウザザミ 「(末期のシェン様の言葉に……酷似している…………!)」
ダイミョウザザミ 「(まるで、シェン様の生霊が……)」
ダイミョウザザミ 「(乗り移ったかの……ようだ!)」
ダイミョウザザミ 「(どうしてしまったのだ…………)」
ダイミョウザザミ 「(父上……!!)」
ショウグンギザミ 「シェ…………シェ…………」

220: 2009/06/18(木) 17:16:13.81 ID:pWMg1/U0
ショウグンギザミ 「……?」
 >ウ~~~ッ、カンカンカンカン
ダイミョウザザミ 「!! あれは……!」
ダイミョウザザミ 「人間に……気づかれた……!!」
ダイミョウザザミ 「あれは…………人間の……戦いの奨鼓……!!」
ダイミョウザザミ 「父上……! 奇襲は…………失敗で、ござりまする……!!!」
ショウギンギザミ 「シェ……! シェ!!」
ショウグンギザミ 「キシェシェシェシェ!! シェシェシェシェシェシェ!!」
ダイミョウザザミ 「ち……父上……!?」
ショウグンギザミ 「血だ!!」

221: 2009/06/18(木) 17:16:40.67 ID:pWMg1/U0
ショウグンギザミ 「殺せ! 皆頃しにせよ!」
ショウグンギザミ 「戦いの太鼓よ! 胸を、心を、体を震わせよ!!」
ショウグンギザミ 「逃げる奴は殺せ! 下がる奴も殺せ! 前に出て、全員氏ぬのだ!!」
ダイミョウザザミ 「父上!!」
ショウグンギザミ 「砂上に出るぞ! 興奮剤を注入しろォォ!!」
ガミザミたち 「キ……キィ!!(ブスブスブス)」
シェンガオレン 「!! キシェェェアァァァェェェ!!(ドバァッ!!)」
ダイミョウザザミ 「父上……お……おまち……ください!!」
ダイミョウザザミ 「なりませぬ……!!」

222: 2009/06/18(木) 17:17:11.77 ID:pWMg1/U0
ドドブランゴ 「……人間に気づかれたか……」
ラージャン 「ケケッ…………(バチ、バチ)」
ナナ・テスカトリ 「…………」
ドドブランゴ 「なるほど、息子よ……その女が気に入ったか……」
ラージャン 「…………(にやにや)」
ドドブランゴ 「良かろう。人間を皆頃しにした暁に、正式にその女との婚姻を認めよう」
ラージャン 「クケ……ッ……最高ォ……」
ラージャン 「人間殺せて、先生もらえて、最高ォォォ……!!」
ドドブランゴ 「だが、しばし待つのだ……」
ドドブランゴ 「もうじき、馬鹿なカニどもが先走る……」
ドドブランゴ 「我ら戦士は、奴ら……肉の盾の後で良い」
ドドブランゴ 「戦には、盾は必要じゃ…………」

223: 2009/06/18(木) 17:17:26.07 ID:pWMg1/U0
シェンガオレン 「シェァァァァ!!(ドバァァッ!)」
ショウグンギザミ 「進め兵士どもぉぉ!!(ドバァァ!)」
ガミザミ達 「キィ!(バババッ)」
ヤオザミ達 「キィ!(バババッ)」
ラージャン 「……!」
ドドブランゴ 「くくっ……」
ドドブランゴ 「ほらな……」
ドドブランゴ 「思ったとおりじゃ」
ドドブランゴ 「馬鹿と鋏は使いようとな……」

224: 2009/06/18(木) 17:17:46.37 ID:pWMg1/U0
―砦―

ハンマー 「(……くっ!)」
シェンガオレン 「キシェァァ! シャァァ!(ズン、ズン、ズン、ズン)」
シェンガオレン 「シャァァァァ……(ググググ)」
ハンマー 「! (このままでは、砦蟹に要塞門が破られてしまう!)」
ハンマー 「(真夜中半だからということもあるのだろうが、兵士たちの配置が遅い……!)」
ハンマー 「(止めなければ……竜撃戦車の配置が済むまで……)」
ハンマー 「(俺が……!!)」
ハンマー 「(ダダッ)」
衛兵A 「あ! ハンター様!」
衛兵B 「無茶ですぜ! 砦の奥に逃げるんだ!!」

225: 2009/06/18(木) 17:18:01.40 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(ぐ……昼間、岩に挟んだ足が、まだ良く動かない……)」
ハンマー 「(かくなる上は……)」
ハンマー 「(この、高所から落ちて、その勢いで……!!)」
ハンマー 「(バッ)」
ハンマー 「っぉらあああ!」
ハンマー 「(ブゥン!!)」
シェンガオレン 「(ドガァァッッ!!)……!! ……!!!!!!」
シェンガオレン 「ギャァアァァァ!!!」

226: 2009/06/18(木) 17:18:24.47 ID:pWMg1/U0
ハンマー 「(ドズンッ)ぐはっ!!」
ハンマー 「…………う…………」
ハンマー 「(体を打ったが……どこも折れてはいない……)」
ハンマー 「(やったのか……)」
シェンガオレン 「キシェァァ! キシェァァ!!(ドバドバ)」
ハンマー 「! 血が出ている!! 頭の一部を、吹き飛ばしたのか!!」
ハンマー 「こ……この武器…………」
ハンマー 「宝玉の光が、一段と強くなっている……!!」
シェンガオレン 「(ズゥゥゥン!!)」
ハンマー 「(倒れこんだ!?)」

227: 2009/06/18(木) 17:18:49.10 ID:pWMg1/U0
シェンガオレン 「キィィェェェエエエ!(ブンブン)」
ハンマー 「(ち、違う!)」
ハンマー 「(俺を探して、滅茶苦茶に攻撃を……)」
ハンマー 「(ま……まずい。この足では……)」
ハンマー 「!!!」
シェンガオレン 「シャァ!(ブンッ!!)」
テオ・テスカトル 「ギャォォォォ!!(ガキィィン!!)」
テオ・テスカトル 「(ズザァァァ!!)ガルルルル……!!」
ハンマー 「! あ、あれは……」
ハンマー 「(炎王龍!? どうしてこんなところに!)」
ハンマー 「(い、いや……それより、今、あの炎王龍は、俺に向かって振り下ろされた砦蟹の足を、弾いた……!!)」
ハンマー 「(俺を助けたのか!!)」

228: 2009/06/18(木) 17:19:19.26 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「ガルルルルル(ゴゴゴゴゴ)」
ハンマー 「(な……なんという熱気だ! 炎王龍から発せられているのか……近づくこともできない!!)」
シェンガオレン 「ガ……ガァァ!(ブゥン)」
テオ・テスカトル 「(ゴゥゥゥゥゥゥ!!!)」
ハンマー 「(巨大な炎を吐いた!!)」
シェンガオレン 「ギャ……ギャァァァ!!」
ハンマー 「(効いている!! あの巨大な砦蟹が、怯んでいる!!)」

229: 2009/06/18(木) 17:19:49.97 ID:pWMg1/U0
テオ・テスカトル 「…………!!」
ハンマー 「(い……今、あの炎王龍が、俺を見た……!!)」
ハンマー 「(そうか!!!)」
ハンマー 「うぉらぁぁああ!(グルングルン)」
ハンマー 「喰らえぇええ!(ドズゥゥゥッ!!)」
シェンガオレン 「!!! ギギギャァァ!!(ヨロ……)」
ハンマー 「(足が動かなくても、これだけ近ければ……)」
ハンマー 「(当たる……!!)」
ハンマー 「(モンスターと共闘か……!!)」
ハンマー 「(悪くない!!)」

249: 2009/06/22(月) 13:59:30.88 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(あの人間の武器……見たことがある……)」
テオ・テスカトル 「(あれは、古龍の大宝玉……先代のテスカのものだ)」
テオ・テスカトル 「(溜められた気が、シェンに爆発的な衝撃を与えている)」
テオ・テスカトル 「(…………)」
テオ・テスカトル 「(いや! 今重要なのは……!!)」
テオ・テスカトル 「(私も、この人間も、シェンとギザミ一族、ブランゴ一族の侵攻を止めようとしていること……!)」
テオ・テスカトル 「(それを、この人間が受け入れ、あわせたこと、それが全てであり寛容!)」
テオ・テスカトル 「(ならば共に力をあわせ、同じ目的に向かい、足を踏み出せるこの状況)」
テオ・テスカトル 「(それに甘んじることもまた、戦いの性よ!)」

250: 2009/06/22(月) 14:00:14.79 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(ゴォォォォゥ!!)」
シェンガオレン 「ギャァァ! ガッ! ギャァァ!!(ブンブン)」
ハンマー 「うるぉぁああ!(ブゥン!)」
シェンガオレン 「(ガキィィン!!)……!! ガガガガ!!!」
ハンマー 「×××××××!!!」
テオ・テスカトル 「(この人間め、私の背中を守るつもりか)」
テオ・テスカトル 「(現テスカの王たるこの私の背中を、人間が)」
テオ・テスカトル 「(ふっ……)」
テオ・テスカトル 「(まさかこんな日が来ようとはな……)」
ハンマー 「(ブゥン……ガキィィン!!)×××!!」
テオ・テスカトル 「(ゴゥゥゥゥッ!!)」
シェンガオレン 「ガッ…………!! ガァァ!!(ズゥゥゥン!!)」

251: 2009/06/22(月) 14:01:26.50 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(やはり人間の言葉は分からない)」
テオ・テスカトル 「(それが理であり、当たり前のことだ)」
テオ・テスカトル 「(最も、今まで人間なんぞと話をしようという者はいなかった……)」
テオ・テスカトル 「(私も、その一人だ……)」
テオ・テスカトル 「(さすれば、あの女児が特別なのか……)」
シェンガオレン 「…………(ググ…………)」
テオ・テスカトル 「敵意を収めよ、蟹の王!!」
シェンガオレン 「(グググ……)」
テオ・テスカトル 「今人間達の砦に攻め込んでも、双方また、取り返しのつかない被害をこうむるのがオチだ!」
テオ・テスカトル 「あなたの深手も、いまだラオシャンロンにより治療中ではないか!!」
テオ・テスカトル 「戻れ! 元の場所に!!」

252: 2009/06/22(月) 14:02:17.93 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「ガガ……ガ…………」
テオ・テスカトル 「!!」
テオ・テスカトル 「反応がない……何だ……?」
テオ・テスカトル 「(あれは……)」
テオ・テスカトル 「(くすりにやられたものの目だ!!)」
テオ・テスカトル 「(まさか……シェン殿は……)」
テオ・テスカトル 「(操られている……!?)」
ハンマー 「×××!!!(ブゥン!)」
テオ・テスカトル 「!?」
ショウグンギザミ 「(ズボォッ!))」
ショウグンギザミ 「(ガキィィィン!)ッ……!!」

253: 2009/06/22(月) 14:03:00.51 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「ショウグン殿!」
ショウグンギザミ 「ケケ……ケケケケケッ!! テオォォォ!!(ブンブン)」
テオ・テスカトル 「何をする!? く……っ(ザシュッ)」
テオ・テスカトル 「落ち着け、ショウグン殿!!」
ショウグンギザミ 「落ち着く? 俺は落ち着いてるぜぇぇ? だってこれから、最高の血のショーを見るってのに」
ショウグンギザミ 「おちおちラリってられっかってんだよぉぉ!!」
テオ・テスカトル 「(ショウグン殿もだ……!!)」
テオ・テスカトル 「(正気をなくしている!!)」
ガミザミ達 「(ズボォッ!!)」
テオ・テスカトル 「!!(土の中から、物凄い数が……!!)」
ガミザミ達 「御免!!(ブスブスブスッ!)」
テオ・テスカトル 「! ぐぁ……!!!」

254: 2009/06/22(月) 14:03:40.32 ID:7errZqU0
ガミザミ達 「(ババッ)」
テオ・テスカトル 「な……何だ…………」
テオ・テスカトル 「目が……霞む……」
テオ・テスカトル 「(痺れ薬を……注入されたのか…………!!)」
テオ・テスカトル 「(ガクッ)」
ショウグンギザミ 「ケケケッ! ケケケケケ!! てめーはそこで、見てな!!」
ショウグンギザミ 「ギャラリーは俺独りで充分だ!! 最前列は俺独りで充分だ!!」
テオ・テスカトル 「と……止まれショウグン殿!! 正気に戻りたまえ!!」
ショウグンギザミ 「やかましいんだよォォォ! 上っ面いい子ちゃんしやがって!(ブゥン)」
テオ・テスカトル 「くっ……(まずい!)」
ハンマー 「…………!!(ガキィィン!!)」
テオ・テスカトル 「! 人間!!」
ハンマー 「×××、×××!!!」
テオ・テスカトル 「! そうか、火を消す! 私の背に乗れ!!」
ハンマー 「××!!(バッ)」

255: 2009/06/22(月) 14:04:43.97 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「(グググ…………)」
テオ・テスカトル 「シェンを止める……話はそれからだ!!」
ショウグンギザミ 「チィ! まだ動けたのか! 野郎ども、今度は毒をブチこめ!!」
ガミザミ達 「キィ!!」
テオ・テスカトル 「ガルルルルッ!!(ダダダダダッ)」
ショウグンギザミ 「……!! なっ……!!」
ショウグンギザミ 「か、壁を駆け登って……」
テオ・テスカトル 「ギャォォォォ!!」
ハンマー 「っぉらぁぁぁぁ!!」
ショウグンギザミ 「そのまま落下の勢いで……!!」
ショウグンギザミ 「父上! 避けるのです!!」
シェンガオレン 「…………!!」

256: 2009/06/22(月) 14:05:36.48 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「ギャォォォォォ!!(バギィィィン!!)」
ハンマー 「しゃらぁぁ!!(ドゴォォォォッ!!)」
シェンガオレン 「!! グ……ギャァァァァ!!」
シェンガオレン 「頭……頭……頭が……ァァァァァ!!!」
テオ・テスカトル 「やった……!!」
テオ・テスカトル 「(それぞれ、触覚を叩き負ったぞ!!!)」
テオ・テスカトル 「(ドザァァッ!)ぐっ……」
テオ・テスカトル 「(痺れ薬が回ってきたか……)」
ハンマー 「はぁ……はぁ……」
テオ・テスカトル 「(この人間、私に乗りながら、よく合わせる!!)」
テオ・テスカトル 「(敵ながら見上げたものよ!!)」

257: 2009/06/22(月) 14:06:05.56 ID:7errZqU0
ハンマー 「(炎王龍の動きが鈍ってきている……)」
ハンマー 「(先ほどのカニ達に何かをされたのか……!?)」
ハンマー 「(しかし、砦蟹の触覚は叩き折った!)」
ハンマー 「(これで、奴らの頭が戦意を喪失してくれれば……)」
ハンマー 「(無駄な争いもなく済むというもの……!!)」
ハンマー 「(……ぐっ……)」
ハンマー 「(今は、炎王龍に乗っているからいいが……)」
ハンマー 「(右足の傷が開いたか……!!)」

258: 2009/06/22(月) 14:06:30.12 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「ガルルルル……!!」
シェンガオレン 「シャァァ……!! シャァァ!!(ズリズリ)」
ショウグンギザミ 「父上! 下がってはなりませぬ! 絶対に……」
ショウグンギザミ 「下がらせはせぬぞォォォ!!」
ショウグンギザミ 「血! 血が足りぬ! こんなものでは血が足りない!!」
ショウグンギザミ 「興奮剤を注入しろ!!」
ガミザミA 「し……しかし、ショウグン閣下……!!」
ガミザミB 「これ以上は……!!」
ショウグンギザミ 「黙れえぇえ!(ブゥン)」
ガミザミA 「(ドガッ)ぐはぁぁ!」
ショウグンギザミ 「俺にたてつく奴は皆頃しだ! ここで氏ぬか! 前で氏ぬか! その二択しかねぇんだよ!!」

259: 2009/06/22(月) 14:07:26.30 ID:7errZqU0
ダイミョウギザミ 「……くっ……父上たちが……前に出てしまった……」
ダイミョウザザミ 「(こんな状況で戦っても……勝ち目はない……)」
ダイミョウザザミ 「(ズボォッ)……!!」
ダイミョウザザミ 「(あれは……テオ……! テオ・テスカトル……!!)」
ダイミョウザザミ 「(そ、それにシェン様の触覚が……!!)」
ダイミョウザザミ 「(何だ……!? テオ・テスカトルの……背に、人間が乗っている!!)」
ダイミョウザザミ 「(共闘してでも……シェン様の侵攻を…………止めえんとしているのか!!)」
ショウグンギザミ 「早くしろオォォ! 貸せ!(バッ)」
ガミザミB 「なりませぬ……! これ以上は!!」
ショウグンギザミ 「(ブスッ)」
シェンガオレン 「!!(ビクンッ)……!!! ギャ……ギャォォラァァ!!(ズズズズ)」

260: 2009/06/22(月) 14:08:14.99 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(何だ……!?)」
テオ・テスカトル 「(触覚がなくなったというのに、まだ動くのか!?)」
テオ・テスカトル 「(あれではまるで、人間が操る、不気味な戦車そのもの……!!)」
テオ・テスカトル 「(止めるには、致命傷を与えるしかないというのか……!)」
ハンマー 「(……先ほどの一撃、できるとしたらもう一度……!!)」
ハンマー 「(しかし、カニの数が多すぎる……)」
ガミザミ達 「キシャ……キシェ…………(ゾロゾロ)」
ハンマー 「(包囲されてしまった……)」
ハンマー 「(炎王龍の足もふらついている……)」
ハンマー 「(こいつらを掃除している暇はない……!!)」
ハンマー 「(何とか、突破口を開かねば……)」

261: 2009/06/22(月) 14:08:47.05 ID:7errZqU0
×××××× 「ギャォォォォ!!(ヒュゥゥゥゥッ!!)」
ハンマー 「(なっ……!)」
ハンマー 「(何だ!? 何かが、脇を、カニを蹴散らしながら……)」
ハンマー 「(物凄い勢いで、飛んで来た……!!)」
ナルガクルガ 「ギャォォォ! ギャォォォ!!(シュババババッ!!)」
ショウグンギザミ 「……っぐ……(ガキィィン)ナルガ……クルガか……!!」
テオ・テスカトル 「ナルガ殿!!」
ナルガクルガ 「ドスガレオスからの、伝令を聞いた。助太刀に入る!!」
テオ・テスカトル 「かたじけない!!」
ナルガクルガ 「シェンガオレンの様子がおかしいが……!!(ガチガチガチ)」
ショウグンギザミ 「(ガキィン! ガキィン!)くっ……この、邪魔だァァ!!!」
テオ・テスカトル 「おそらく、痛みや思考を麻痺させる神経毒を注入されている!」
テオ・テスカトル 「抵抗力を奪うしかない!!」

262: 2009/06/22(月) 14:09:14.37 ID:7errZqU0
ハンマー 「(黒い竜……迅竜か!!)」
ナルガクルガ 「その人間は!?」
テオ・テスカトル 「同じくシェンを止めようとする者だ!」
ナルガクルガ 「…………!! ……承知!(ビュンビュン)」
ショウグンギザミ 「(ドガッ! ドガガガッ!)ぐぅぁぁああ!!」
ナルガクルガ 「こ奴は俺が! あなたはシェンを!!」
テオ・テスカトル 「お任せする!」
テオ・テスカトル 「行くぞ!(ダダダッ!)」
ハンマー 「(先ほどの攻撃を、もう一度やるつもりか……!!)」
ハンマー 「やるがいい炎王龍! 合わせる!!」
テオ・テスカトル 「ギャォォォォ!!(ダダダダダッ)」

263: 2009/06/22(月) 14:09:49.16 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(もう一度、この高所から、シェンに一撃を……!!)」
テオ・テスカトル 「……!!」
テオ・テスカトル 「あれは……!」
ドドブランゴ 「…………」
ナナ・テスカトリ 「…………」
テオ・テスカトル 「ナナ……!! ドドめ、ナナに何を……!!!」
ラージャン 「(シュッ)」
テオ・テスカトル 「!」
ハンマー 「何だ……!? いきなり、目の前に金色の猿が……!!」
ラージャン 「ケケケ……ケケケケケ!! 校長ォォォ!(バチバチバチ)」
テオ・テスカトル 「(いかん! この体勢では避けられん……!!)」

264: 2009/06/22(月) 14:10:58.07 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「グッ……(ブンッ!)」
ハンマー 「うぉわぁぁ!!(お、俺を振り落とした!?)」
ラージャン 「氏ねぇぇえ!(バチバチバチバチ)」
テオ・テスカトル 「やらせるものかぁぁ!(ゴゴゴゴゴゴゴ!!)」
 >ドォォォォンッ
ハンマー 「く……空中で、雷と炎がぶつかって、爆発を……!!」
ハンマー 「……!」
ハンマー 「すまない炎王龍! 砦蟹には、俺が一撃を!!」
ハンマー 「ウォォォォ!!(ブンブン)」
シェンガオレン 「!!」
ハンマー 「沈めェェ!!(ズゥゥゥンッ!!)」

265: 2009/06/22(月) 14:11:40.47 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「!!! ! ……ッ!!! ガッ……!!」
シェンガオレン 「(ゆらゆら……)」
シェンガオレン 「(ドズゥゥゥゥン)」
ハンマー 「ガァッ……!!」
ハンマー 「(俺の、脚と腕にも衝撃が……)」
ハンマー 「(ドサァッ!!)」
ハンマー 「(武器が、突き刺さったままだ……)」
ハンマー 「(ま……まずい……)」
ハンマー 「(意識が……)」
ナルガクルガ 「……! シェンが倒れこんだ……!!」
ショウグンギザミ 「父上ェェ!! くそがぁぁ! 邪魔だァァァ!!」
ナルガクルガ 「いかせん!(ガキィィン! ガキィィン!!)」

266: 2009/06/22(月) 14:12:14.97 ID:7errZqU0
ハンマー 「くそっ……砦蟹は……要塞門の一部を崩して…………」
シェンガオレン 「ガガ……ガ……(グググ…………)」
ハンマー 「何……!? (ま……まだ動けるのか……!!)」
 >衛兵A 「ハンター様! 遅くなりました!!」
 >衛兵B 「化け物め! 好きにはさせんぞぉぉ!」
竜撃戦車 「(キュラキュラキュラキュラ)」
 >衛兵B 「まとめてブッ飛ばしてやるぜぇぇ!」
ハンマー 「竜撃戦車……! 間に合ったのか!!」
 >衛兵A 「今お助けします!!」
ハンマー 「待て! 敵ではない者も混じっている………! 砦蟹を狙うんだ!! ……ぐっ……」

267: 2009/06/22(月) 14:13:03.22 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「ぐぅぁぁぁ!!」
ラージャン 「(ガブッ! ガブッ!)ヘヘ……ケケケケ……!! 氏ねぇぇ!!」
テオ・テスカトル 「(くっ……こ奴離れん……! このままでは、私を下にして地面に激突してしまう!!)」
テオ・テスカトル 「(私の炎も、こ奴を焼いているはず……! 痛みを感じていないのか……!!)」
ラージャン 「先生は……先生はヨォォォォ!」
テオ・テスカトル 「!!」
ラージャン 「俺のものだ! 俺のものだ!! てめぇのじゃねぇ! 俺の、俺に優しくして……」
ラージャン 「俺だけの! 俺だけに優しくしてくれた! 先生はァァ!!!」
ラージャン 「おめぇなんかには渡さねぇぇぇ!!」
テオ・テスカトル 「くっ…………!!」
ラージャン 「落ちろォォォ!!(バチバチバチバチ)」
テオ・テスカトル 「ぐぁぁあっ!」

268: 2009/06/22(月) 14:13:45.22 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「い……いかん!!」
ラージャン 「あの時もそうだった!」
ラージャン 「俺はただ先生が欲しくて……ただ欲しくて!!」
ラージャン 「先生に言った!!」
ラージャン 「だが先生は、てめぇがいるとぬかした!! 俺がいるのに! ここにいるのにぃぃぃ!!」
ラージャン 「ずっとこの機会を待ってた!」
ラージャン 「てめぇが消え去るこの日をォォ!!」
テオ・テスカトル 「!! (だめだ……この氏に物狂いの力……!!)」
テオ・テスカトル 「(こ奴、執念だけで……)」
テオ・テスカトル 「(私と共に、地面に叩きつけられるつもりか……!!)」

269: 2009/06/22(月) 14:14:44.12 ID:7errZqU0
テオ・テスカトル 「(不覚!!)」
××××××× 「(ヒュゥゥゥ……ゴゥゥゥ!!)」
ラージャン 「(ドガァァ!)ぐぁぁぁ!!」
テオ・テスカトル 「(拘束が緩んだ……!!)今だ! (ドガッ!)」
ラージャン 「……うわぁぁぁ!! (ドズゥゥゥゥン!!)」
テオ・テスカトル 「(ズゥゥゥン)…ぐ……っ(ガクガク)」
クシャルダオラ 「お父様!(バサァッ!!)」
テオ・テスカトル 「クシャル!? その怪我は!!」
錆クシャルダオラ 「ラージャンと少しね! お父様、大丈夫ですか!?(バサッ!)」
テオ・テスカトル 「錆まで……くっ……(ガクッ)」

270: 2009/06/22(月) 14:15:20.28 ID:7errZqU0
ラージャン 「…………ちぃぃぃ! くそ女どもがぁぁ!」
ラージャン 「誰にも邪魔はさせねぇ……! 先生と俺の間は、誰にも邪魔はさせねぇ!!」
ティガ兄 「(ドォォォンッ!)へぇ、そいつは興味深い話だな」
ラージャン 「!!」
ティガ弟 「(ドォォォンッ!!)俺らにももう少し、詳しく聞かせてくれねぇかな!」
ティガ兄 「最も……ここじゃねぇ、どっか別の、どっか遠い場所での話だがなぁぁ!!(ブンブンッ)」
ティガ弟 「しゃらぁぁ!(ブンブンッ)」
ラージャン 「が……ぎゃぁぁぁ!!(ドゴォォォォッ!!)」

271: 2009/06/22(月) 14:15:56.53 ID:7errZqU0
ティガ兄 「行くぞ弟者! ダブル蟲竜デストロイだ!」
ティガ弟 「合点だ!」
ティガ兄 「氏ねよやぁぁ!!(ドドドドドッ)」
ティガ弟 「これで仕舞いやぁぁ!!(バッ)」
ティガ弟 「地面と空中からの二連撃じゃぁぁ!!」
ラージャン 「!! (ドゴォォォッ)……ッが…………!!」
ラージャン 「……! (ぐらぐら)」
ラージャン 「(よろ……)が…………」
ラージャン 「な………………が…………」

272: 2009/06/22(月) 14:17:13.81 ID:7errZqU0
ラージャン 「(目が…………目が…………!)」
ラージャン 「(か…………霞む……!)」
ティガ弟 「(ズゥゥン)」
ティガ兄 「…………(バッ)」
ラージャン 「足が…………(ガクガク)」
ラージャン 「(ガクッ)……ッ…………!!」
ティガ兄 「無茶な戦いのツケが、随分溜まってるみてぇだなァ」
ティガ弟 「ケケッ! トドメといこうぜ兄者!」
ラージャン 「(こんな……こんな……)」
ラージャン 「(こんな奴らに…………!)」

273: 2009/06/22(月) 14:18:05.69 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「…………ガガッ……(よろ……)」
ティガ兄 「! シェンがこっちによろめいてくるぞ!(ババッ)」
ティガ弟 「離れろ!(ババッ)」
ラージャン 「…………」
ラージャン 「(か……体が動かねぇ…………)」
ラージャン 「!!」
ラージャン 「(シェンが倒れこむ方向に…………)」
ラージャン 「(親父と…………先生が!!!)」
ラージャン 「うぉぉぉぉぉお!!」
ラージャン 「(ダッ!!)」

274: 2009/06/22(月) 14:18:29.25 ID:7errZqU0
ドドブランゴ 「! く……避け切れん!!」
ラージャン 「(シュッ)…………グゥッォォォ!!(ガシッ)」
シェンガオレン 「ギギ……ギ…………」
ドドブランゴ 「ラー!!? その傷で、シェンを支え続けるのは無理じゃ!!」
ラージャン 「…………クウグググ………………!」
ラージャン 「シャオラァァ!!(バリバリバリバリ)」
ドドブランゴ 「(じ……自分の体ごと、雷を落とした……!!)」
シェンガオレン 「……!! ガ……!!」
ナナ・テスカトリ 「…………ゲホッ……ゲホッ…………」
ナナ・テスカトリ 「う…………」
ナナ・テスカトリ 「ラ……ラージャン君…………?」

275: 2009/06/22(月) 14:19:00.44 ID:7errZqU0
ラージャン 「……………………(ふらり)」
クシャルダオラ 「……お母様!(ヒュウゥゥゥ!)」
錆クシャルダオラ 「早くここから……!!(バッ!)」
ドドブランゴ 「くっ……ラーよ! ラー!!(バッッ)」
 >シェンガオレン 「(ドズゥゥゥゥン)」
クシャルダオラ 「…………!! あいつ、お母様を助けて…………」
ナナ・テスカトリ 「ああ……ラージャン君!!」
シェンガオレン 「(ズズ…………)」
錆クシャルダオラ 「倒れこんでるのに……まだ侵攻をやめない……!!」

276: 2009/06/22(月) 14:19:18.28 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「…………(ググ……)」
シェンガオレン 「キ…………ギ…………」
竜撃戦車 「(キュルキュルキュル)」
ハンマー 「! いかん!」
ハンマー 「(まだ新兵なのか!? 反応が鈍すぎる!!)」
ハンマー 「逃げろ!」
シェンガオレン 「ブゥゥァァァアアァ!(バシャァァ!!)」
衛兵A 「な……酸を吐きやがった!!」
衛兵B 「うわぁぁぁ! 脱出しろぉぉ!!」

277: 2009/06/22(月) 14:19:46.35 ID:7errZqU0
シェンガオレン 「ブゥァァァ!!(ビシャビシャ)」
クシャルダオラ 「あいつ、四方八方に……!!」
錆クシャルダオラ 「お母様! もっと遠いところに離れます! 私につかまって!」
ナナ・テスカトリ 「だ……駄目……体が痺れて……」
クシャルダオラ 「……!!」
クシャルダオラ 「……くっ……奴らめ、毒を……!!」
錆クシャルダオラ 「ここじゃ、私たちにも……!!」
クシャルダオラ 「お母様をお守りするぞ!(バッ)」
 >オオナズチ 「(ドドドドドドドッ)」
クシャルダオラ 「(ガシッ)……きゃぁ!」
錆クシャルダオラ 「(ガシッ)……きゃ……」
クック 「ナナ殿! つかまれ!」
ナナ・テスカトリ 「イャンクック様!!(ガシッ)」

278: 2009/06/22(月) 14:20:35.03 ID:7errZqU0
ナルガクルガ 「……! 衰えたなショウグンよ! (ガキィン、ガキィン!!)」
ショウグンギザミ 「!! ッ若造がァァ!!」
ナルガクルガ 「そんな腕では俺の頭に! 体には届かん!! 喰らえっぇ!(シュバッ)」
ショウグンギザミ 「(ズバッ)ガァァァ!!(ズゥゥゥン)」
ショウグンギザミ 「ガ……カ……」
ナルガクルガ 「意味のない戦いを欲するは重罪。反逆的行為には粛清あるのみだ。トドメを切らせてもらおう」
ショウグンギザミ 「クク……カカカ……!!」
ナルガクルガ 「!?」
ショウグンギザミ 「俺が……独りで出てきたとでも思っているのか! やれィ!」
ガミザミ達 「キィ!(ババッ)」
ダイミョウギザミ 「父上!(バッ!)」
ナルガクルガ 「! (地中から……)」
ダイミョウギザミ 「父上から……離れるのだ!!」

279: 2009/06/22(月) 14:21:03.97 ID:7errZqU0
ナルガクルガ 「ふっ」
ショウグンギザミ 「……!」
ナルガクルガ 「貴様こそ何か勘違いをしている。俺も、単身乗り込んでくるほど馬鹿ではない」
××××××× 「(ゴウッ)」
ダイミョウギザミ 「(ドズゥッ!)ぐはぁぁ!」
イャンガルルガ 「はぁ……はぁ……」
イャンガルルガ 「てめぇらァァァ!!(バサァ! バサァ!)」
イャンガルルガ 「人間をやんのは俺だ! 人間を皆頃しにすんのは俺だ!」
イャンガルルガ 「だがしかし!! かかさまを氏に追いやったシェンを……クソガニは……」
イャンガルルガ 「それ以上に許せねぇ!!」

280: 2009/06/22(月) 14:21:59.43 ID:7errZqU0
イャンガルルガ 「のうのうと生きて……また火を放たせるつもりかァァ!(ゴウッ! ゴウゥッ!)」
ダイミョウギザミ 「(ドズゥ! ドズゥッ!!)ぐぅぁぁぁ!!」
ガミザミ達 「ガァァ!!」
イャンガルルガ 「てめぇら全員許さねぇ!」
イャンガルルガ 「屑はくたばれ! そんなに氏にてェなら、全員ここで氏ねェェ!!」
ダイミョウギザミ 「く……ぐぅ……!!」
ナルガクルガ 「ふ……(奴め……)」
ナルガクルガ 「(自分に対しての怒りに聞こえる言葉よ)」
ナルガクルガ 「(この状況で、シェンを止めようとするとは……)」
ナルガクルガ 「(心の中に、わずかばかりでも戦士の想いがあるか……)」
ナルガクルガ 「(やはり、あの女の子供よ……!!)」

281: 2009/06/22(月) 14:22:51.97 ID:7errZqU0
ダイミョウザザミ 「(ドガァ! ドガァ!)ガ…………」
ショウグンギザミ 「何やってやがる! 全員、とっとと血祭りに上げろォォォ!!」
ショウグンギザミ 「全員……ガ……(ズバッ)」
ナルガクルガ 「………………」
ショウグンギザミ 「…………(ズゥゥゥン)」
ナルガクルガ 「次はダイミョウ、貴様だ」
ダイミョウギザミ 「ぐ…………」
ナルガクルガ 「父の元へ、ゆくが良い!!」
イャンガルルガ 「(何だ……? あのカニ、動かねぇ……)」
イャンガルルガ 「(! あれは、首飾り……随分沢山と……)」
イャンガルルガ 「(汚ねぇ首飾りだ……)」
イャンガルルガ 「(子供が作ったのか!?)」

282: 2009/06/22(月) 14:23:13.70 ID:7errZqU0
イャンガルルガ 「チィィ!(バッ)」
ナルガクルガ 「!?」
イャンガルルガ 「(ガキィィン!)何をするガルルガ!!」
イャンガルルガ 「俺の獲物だ……てめぇは下がってろ……クソ野郎」
ナルガクルガ 「…………(ババッ)」
ダイミョウザザミ 「はぁ……はぁ……(ズゥゥン)」
ナルガクルガ 「……好きにしろ。俺はシェンを止めにゆく!(ダッ)」
ダイミョウザザミ 「はぁ……はぁ………………紫…………」
イャンガルルガ 「………………ペッ」
イャンガルルガ 「…………(バッ)」

283: 2009/06/22(月) 14:23:44.82 ID:7errZqU0
クック 「くそっ……まだシェンガオレンの侵攻は止まらないのか……!!」
クシャルダオラ 「お母様! しっかりして!」
錆クシャルダオラ 「お母様!!」
女児 「ナナさん!? ナナさん、そこにいるの!?」
ナナ・テスカトリ 「まさか……人間の子……? 良かった、無事だったのですね……」
オオナズチ 「ひ……ここからは、離れるんだな……」
オオナズチ 「何だか、人間達が大砲とかもってきてて、ちびっちゃうんだな」
紫ガミザミ 「待つのじゃ!!」
オオナズチ 「せ、背中の皮を挟まないでほしいんだな」
紫ガミザミ 「とぉさま!!」

284: 2009/06/22(月) 14:24:05.94 ID:7errZqU0
ダイミョウザザミ 「!! 紫!」
クック 「ダイミョウ殿!!」
紫ガミザミ 「(バッ)とぉさまぁぁ!」
ダイミョウザザミ 「紫! 何故こんな……ところに来た!!」
紫ガミザミ 「紫は……紫は、とぉさまが心配で……!!」
紫ガミザミ 「とぉさま、ひどいけがを……!!」
ダイミョウザザミ 「何の、これしき…………(ガクッ)」
紫ガミザミ 「あぁ! じじさまが!!」
ショウグンギザミ 「………………」
ダイミョウザザミ 「見るな紫…………無事でよかった……」

285: 2009/06/22(月) 14:24:37.03 ID:7errZqU0
クック 「ダイミョウ殿! 早くここから離れねば、人間の砲撃が来ますぞ!!」
ダイミョウザザミ 「イャンクック……オオナズチまで…………」
クシャルダオラ 「(ガルルルルル)」
錆クシャルダオラ 「(ガルルルルル)」
ナナ・テスカトリ 「おやめなさい、あなたたち。ダイミョウ様。これ以上の争いは無意味です……潔く引きましょう」
ダイミョウザザミ 「…………」
ナナ・テスカトリ 「引くもまた誇り、と、わたくしは先代のテスカトリより教わりました」
ナナ・テスカトリ 「それに、あなた様には……」
ナナ・テスカトリ 「ここまで心配して追いかけてきてくれる、娘さんがいらっしゃる……!!」
ダイミョウザザミ 「………………」
ダイミョウザザミ 「一族以外の……手は借りぬ…………!!」
オオナズチ 「(シュバッ)」
ダイミョウザザミ 「! 何をする! 舌を伸ばして……離せ!」
オオナズチ 「ぼ、ぼくの背中に乗るんだな。と……とっととこんなところ、おさらばするんだな」
キリン 「ナイスよオオナズチ君!」

286: 2009/06/22(月) 14:25:10.21 ID:7errZqU0
オオナズチ 「じゃ、ぎゃ、逆転急カーブなんだな!! こ、校長先生を回収したら、逃げるんだな!!」
クック 「君たちは行ってくれ! 私は……シェンを止めにゆく!!」
ナナ・テスカトリ 「イャンクック様! あなた様にも、子供が……!!」
女児 「(がしっ)」
女児 「私も……」
女児 「私も、おじさんといっしょに行く……!!」
クック 「女児!!」
バサルモス 「なら、俺が女児を乗せるよ! クックおじさんは、俺につかまって!!」
クック 「分かった! もう離れない! 共に行こう!!(バサァッ)」
女児 「うん!!」
バサルモス 「行こう、おじさん、女児!!(バサァッ)」
ナナ・テスカトリ 「待ちなさい三人とも!」
キリン 「おじさま!!」

287: 2009/06/22(月) 14:25:37.16 ID:7errZqU0
―砦―

ハンマー 「……くっ! (俺の武器が、砦蟹の頭に突き刺さったままだ!!)」
ハンマー 「(まるでまだ、自分の意思で刺さっているかのような……!!)」
ハンマー 「(トドメを……刺さねば!!)」
ハンマー 「ぐ……(よろ…………)」
ハンマー 「(落下の衝撃で……足と、体中が痛む……)」
ハンマー 「!! アレは!?」
ハンマー 「あの、洞窟で見た怪鳥! それに岩竜!!」
ハンマー 「そして、岩竜の背中に……」
ハンマー 「女の子だ!!!」

288: 2009/06/22(月) 14:25:59.46 ID:7errZqU0
ハンマー 「シェンを止めるつもりなのか!? 突っ込んでいく!!」
ハンマー 「生きていたのか!!」
ハンマー 「………………良かったッ!!!」
ナルガクルガ 「ガルルルルル(ダダダダダッ)」
ハンマー 「! (ガシッ)すまない、背中を借りるぞ!!(バッ)」
ナルガクルガ 「……!! …………(ダダダダダッ)」
ハンマー 「(……な……なんと言う早さだ!!)」
ハンマー 「(あの武器で、もう一度……)」
ハンマー 「(もう一撃砦蟹に攻撃をできれば……!!!)」

289: 2009/06/22(月) 14:26:29.47 ID:7errZqU0
ナルガクルガ 「ガァァァ!(バッ)」
シェンガオレン 「…………(ズン、ズン、ズン)」
ナルガクルガ 「シャァァ! シャァァ!(ザシュッ! ザシュッ!)」
ハンマー 「! (もはや砦蟹に反応はない……!!)」
ハンマー 「(ただ前進するのみなのか!!)」
ハンマー 「(…………!? あれは……!!!)」
ハンマー 「(馬鹿な……!!)」
ハンマー 「(そ……そんな……そんな馬鹿な!!)」
ハンマー 「(砦蟹の腹部に取り付けられているのは……あれは……)」
ハンマー 「(爆弾!?)」

290: 2009/06/22(月) 14:26:49.28 ID:7errZqU0
ハンマー 「(俺達ハンターから奪ったのか!?)」
ハンマー 「(大量の爆弾を持って、桃毛獣が隠れている!!)」
ババコンガ 「………………」
ハンマー 「(突貫して、砦蟹ごと自爆するつもりなのか!? 馬鹿な!!)」
ハンマー 「(モンスターがそんな知恵を……)」
ハンマー 「(いや、違う……!!)」
ハンマー 「(あれは憎しみ……憎しみの心が生んだ報復!!)」
ハンマー 「(俺達との戦いで育まれた憎しみの心による膿みだ!!)」

291: 2009/06/22(月) 14:27:15.62 ID:7errZqU0
ナルガクルガ 「(……何だ? 何故あんなところに、ババコンガが隠れている?)」
ナルガクルガ 「(しかしこの人間……何故俺の背中に……)」
ナルガクルガ 「(テオ殿と共闘しているところは見たが……)」
ナルガクルガ 「(……そういえば、この人間は武器を持っていない)」
ナルガクルガ 「(……! そうか!)」
ナルガクルガ 「(あのシェンの頭に突き刺さっているものか!!)」
ナルガクルガ 「(遠目にも、アレが強固な装甲を切り裂くのが見えた)」
ナルガクルガ 「(こいつはアレをもう一度叩き込もうとしているのか!!)」
ナルガクルガ 「(人間の乗機にされるのは気に食わんが……!!)」
ナルガクルガ 「(氏なばもろともよ!!)……! (ババッ)」

292: 2009/06/22(月) 14:27:43.80 ID:7errZqU0
ハンマー 「! (迅竜が方向を変えた!)」
ハンマー 「(頭の武器に気づいてくれたのか!!)」
ハンマー 「(し……しかし!!)」
衛兵達 「急げー! 大砲とバリスタの玉を、早く装填しろー!!」
ハンマー 「(まずい……!!)」
ハンマー 「(火薬で砦蟹を攻撃しては、逆に要塞が甚大な被害を受けてしまう!!!)」
ハンマー 「(その前にトドメをさすしか……ない!!)」
ババコンガ 「……!!」
ナルガクルガ 「!!」
ハンマー 「(くっ……桃毛獣がこちらに気づいた……!!)」
ハンマー 「(爆弾を砦蟹に縛り付けて、向かってくる!!)」

293: 2009/06/22(月) 14:28:08.47 ID:7errZqU0
ババコンガ 「! ナルガよォォォ!! 貴様ァァ! 人間の下僕に成り下がったかァァ!!(バッ)」
ナルガクルガ 「(ドゴォッ!!)グッ……!!」
ナルガクルガ 「(いかん! 体勢が不安定な空中で……)」
ナルガクルガ 「(落ちる……!!!)」
イャンガルルガ 「野郎!! くそ……人間め……」
イャンガルルガ 「人間めェェェェ!!(ゴウッ!!)」
ババコンガ 「(ドゴォッ)!! グァァ!」
ナルガクルガ 「! 拘束の手が緩んだ!! 今だ!」
ナルガクルガ 「人よ!! 行けェェ!!(ブンッ!)」
ハンマー 「(俺を上に……)」
ハンマー 「感謝する! 迅竜!!」

294: 2009/06/22(月) 14:28:38.48 ID:7errZqU0
ハンマー 「(ガッ)」
ハンマー 「(武器を……掴んだ!!)」
衛兵達 「あれは……!!」
衛兵達 「砦蟹の頭に、ハンター様が乗ってるぞ!!」
衛兵達 「撃ち方待てェェ!!」
ハンマー 「(スッ)」
ハンマー 「終わりだ! 砦蟹!!」
ハンマー 「っおらぁぁぁ!!(ドゴォォォォォォォッ!!!)」
シェンガオレン 「!!!!!!!!!」
シェンガオレン 「……ッ! ……(ズゥゥゥ…………ン…………)」
シェンガオレン 「……………………」

295: 2009/06/22(月) 14:29:04.52 ID:7errZqU0
ハンマー 「はぁ……はぁ……」
ハンマー 「…………ぐっ……(体中が……悲鳴を上げている……)」
シェンガオレン 「…………(ズリ……ズリ……)」
ハンマー 「(ま……まだ止まらないのか……!!)」
ハンマー 「(……違う! この目の色……もう既に砦蟹に意識はない……)」
ハンマー 「(躯だけが、執念で動いているのか!!)」
衛兵達 「!! あれはァァ!!」
衛兵達 「うわぁぁぁ!!!」
ハンマー 「! 何だ!?」
ハンマー 「この地響き……これは…………」
ハンマー 「三年前と同じ……」
 >ラオシャンロン 「ギャォォォォォォォ!!(ドドドドドド)」
ハンマー 「老山龍か!!!」

296: 2009/06/22(月) 14:30:11.92 ID:7errZqU0
ハンマー 「老山龍が……!」
ハンマー 「老山龍が、砦を吹き飛ばしながら進んでくる!!」
ラオシャンロン 「ギャォォォォ!!!」
シェンガオレン 「!! (ググ…………)」
ハンマー 「(な……何ということだ!)」
ハンマー 「(このままでは、砲弾やバリスタが発射されて、砦蟹に取り付けられた爆弾が……)」
ハンマー 「(爆発してしまう!!)」

297: 2009/06/22(月) 14:30:37.73 ID:7errZqU0
ラオシャンロン 「シェンよ! おさまりたまえ!!(ドドドッ)」
シェンガオレン 「…………(ズズ……ズズ…………)」
ラオシャンロン 「!! シェン……!!」
ラオシャンロン 「おぬし、既に…………」
ラオシャンロン 「(ズキリ)……ッぐ…………」
ラオシャンロン 「やはり…………ここまで動く体力が、もう……」
ラオシャンロン 「私には…………」
シェンガオレン 「(グググ……)」
ラオシャンロン 「!!」
シェンガオレン 「(ブンッ!!)」
ラオシャンロン 「(ドゴォォォッ!)ぐはぁぁぁ!!」
ラオシャンロン 「(躯か……!!)」
ラオシャンロン 「(私と……人間に対する憎しみが、彼を動かしているのか!!)」
ラオシャンロン 「(く……ここまで来るのに、体力を……)」
シェンガオレン 「(ブンッ! ブンッ!)」
ラオシャンロン 「(ドスッ! ドスッ!)ぐぁあああ!」

298: 2009/06/22(月) 14:31:41.40 ID:7errZqU0
衛兵達 「老山龍がひるんでるぞ!」
衛兵達 「今のうちに、もう一機竜撃戦車を出すんだ!」
衛兵達 「大砲撃てェェ!!」
ハンマー 「待て! やめろォォォ!!」
衛兵達 「撃てェェ!!(ドォンッ! ドォンッ!!)」
ドドブランゴ 「(シュッ!!)」
ドドブランゴ 「(ドゴォォォッ! ドゴォォォォッ!)ぐ……ガアァァァ!!!」
衛兵達 「な……何だ!?」
衛兵達 「あの雪猿、大砲から砦蟹を庇ったぞ!!!」
ドドブランゴ 「が……ガ……(グラグラ)」
ドドブランゴ 「ラー………………」
ドドブランゴ 「(下敷きとなっても……分かる……お前はまだ……生きている………)」
ドドブランゴ 「…………(忌み子として育ててきたお前には……随分と辛く生を過ごさせた……)」
ドドブランゴ 「(砂ブラが氏んでからも……わしはお前に優しい言葉など一度もかけなかった…………)」
ドドブランゴ 「(強い種を残すための…………教育と思っていた…………)」
ドドブランゴ 「(そのせいで……お前は歪んで…………)」
ドドブランゴ 「(許して……くれ……)」
ドドブランゴ 「…………(ドサリ)」
衛兵達 「! 第二射急げェェ! まだ動いてるぞ!!」

299: 2009/06/22(月) 14:33:07.88 ID:7errZqU0
―砦、上空―

クック 「な……何ということだ……」
クック 「ドドが……!!」
女児 「…………ドドさんが!?」
クック 「…………」
クック 「(ラージャンがまだ、砦蟹の下敷きになったままだ……)」
クック 「(息子を……庇ったのか!!)」
ラオシャンロン 「ガ……グァ……(ふらふら)」
バサルモス 「! おじさん、ラオシャンロン様の様子がおかしい!!」
クック 「くそっ……病気とのお噂だったのだが、本当のことだったのか!!」

300: 2009/06/22(月) 14:33:29.46 ID:7errZqU0
女児 「(うっ…………)」
女児 「(あの時と同じ…………)」
女児 「(お父さんとお母さんをおいかけて……)」
女児 「(やけるとりでと…………大きなカニと…………)」
女児 「(だいじなものがみんなやけて…………)」
女児 「そんなのいや…………」
バサルモス 「女児?」
女児 「またみんななくなるなんて、そんなのもういやだよ!」
クック 「そのとおりだ!!」
クック 「お前はこれから幸せにならなければいけない!」
クック 「普通の幸せを享受し、普通の心の安らぎを得て!」
クック 「普通に、楽しく暮らさなければいけない!」
クック 「お前には……子供達には、それが許されている!!!」

301: 2009/06/22(月) 14:34:37.33 ID:7errZqU0
クック 「たとえ我が身が砕け散っても、シェンは止めてみせる!!」
女児 「おじさん!! 待って!」
クック 「シェンよ! ラオよ! 下がれ! 下がってくれェェェ!!!(バッ)」
バサルモス 「クックおじさん!!!」
女児 「おじさん!! いっちゃやだ! やだぁぁぁ!!(バッ)」
バサルモス 「! 女児!!」
バサルモス 「じょ、女児まで落ちた!!! 自分から……!!」
女児 「(暗い……こわい…………)」
女児 「(どんどん落ちてく……)」
女児 「(でも、おじさんがこの先にいる!!)」
女児 「(ディアブロスおじいさん! わたし想像するよ!)」
女児 「(おじさんが、この先にいる!!)」

302: 2009/06/22(月) 14:35:46.33 ID:7errZqU0
クック 「(ガシッ)いくぞ女児!!(ヒュゥゥゥッ!)」
女児 「はい!!」
女児 「(な……何だろう……胸が、温かく……)」
女児 「(うぅん……熱い……!!)」
女児 「(これは……ずっと前に、白い猫さんがくれた、てるてる坊主……)」
女児 「(ずっと、焼けたりせずにくびにかかってたんだ!)」
女児 「(熱くもえてるみたい!!)」
クック 「何だ!? 女児の胸が光っている!!」

303: 2009/06/22(月) 14:37:58.29 ID:7errZqU0
―砦―

ハンマー 「空から、あの怪鳥と、女の子が……!!」
ハンマー 「な……何だ、この……太陽のような光は!!」
女児 「…………たたかいをやめて!!」
ハンマー 「!!」
女児 「たたかいをやめて、下がって!!」
女児 「たたかいをやめてください!!」
ハンマー 「あの子の声が……聞える……!!」

304: 2009/06/22(月) 14:39:26.28 ID:7errZqU0
女児 「下がって!!」
シェンガオレン 「(ズズ……ズ…………)」
女児 「Flyt!! bagud!!(退がりなさい!!)」
シェンガオレン 「(ビクッ)」
女児 「Tilbageskridt!! og! de!! dode!!(退きなさい! 氏人!!!)」
ハンマー 「う……ぁぁぁ!! 白い光が!!」
ハンマー 「物凄い光だ……!!」
シェンガオレン 「ギャォォォォォォ!!!」

305: 2009/06/22(月) 14:56:11.40 ID:7errZqU0
ハンマー 「(し……白い光の中で……)」
ハンマー 「(砦蟹が……あの硬い装甲が……崩れていく……)」
ハンマー 「(! 何か見える!!)」
ハンマー 「(あの遠くに…………)」
ハンマー 「(白い巨竜が…………!!!)」
ハンマー 「(まさか、あの女の子は…………!!!)」
 >ブワァァッ!!
ハンマー 「うわぁぁ!!」
ハンマー 「(光が……強く…………!!)」
ハンマー 「(あの女の子が……遠くにいってしまう……!!)」

306: 2009/06/22(月) 14:56:31.58 ID:7errZqU0
ハンマー 「…………(グッ!)」
ハンマー 「…………おーい!!」
女児 「!!」
ハンマー 「人間は! ……いや、君の仲間は!」
ハンマー 「君を待ってる! 少なくとも、俺は!!」
ハンマー 「いつでも待ってる!!」
ハンマー 「……うわぁ!!」
ハンマー 「(白い光が……ッッ!!)」
ハンマー 「(な……何も見えない!!)」

307: 2009/06/22(月) 14:57:48.53 ID:7errZqU0
―数ヶ月後、雪山―

ティガ弟 「ふぁァァァ……ッア゛ッ! 暇だなぁ兄者」
ティガ兄 「だなァ」
フルフル 「お前達! ただ、ぐうたら文句を言いに来たのかい!?」
ティガ兄 「…………」
ティガ弟 「あーあー、ちょっと兄者、桜レイアちゃんと喧嘩してさぁ。クシャルも巻き込んで泥沼で、帰るに帰れねぇの! ゲヘヘ!」
ティガ兄 「うるっせぇぞ! 俺ァ何も悪くねぇ」
ティガ弟 「ハイハイ分かりましたよ」
フルフル 「すまないねぇ二人とも。折角着てくれたのに、ムサ苦しいのが二匹もいてねぇ」

308: 2009/06/22(月) 14:58:28.34 ID:7errZqU0
クック 「いや、そんなことはない。久しぶりに地獄兄弟の顔を見れてよかった」
ティガ兄 「ケッ!!」
ティガ弟 「目ェ、随分良くなってきたんだっけか。これでもう介護生活とオサラバできるぜ!!」
ティガ兄 「めでてェめでてェ。もうガキの子守は沢山だ!」
フルフル 「何をお言いだい。あんた達もねぇ、子竜の頃はそりゃもうあたしは」
ティガ弟 「あ~~~ぎゃ~~~~聞きたくネェ!!」
ティガ兄 「くそババァ! 今はそんな気分じゃねーんだよ!!」

309: 2009/06/22(月) 14:58:54.15 ID:7errZqU0
少女 「ティガ兄さん、災難だったねぇ。これでも食べて元気を出して」
ティガ兄 「ケッ。ドス食い大マグロの干物なんかで俺が釣られると思うな!(ボリボリ)」
フルフル 「最近は、ラオシャンロンの病気もだいぶ良くなってきたというではないか」
フルフル 「奇跡のようなものという話だからネェ」
フルフル 「女児は古龍の血を飲んでいるんだから、目ェくらい治らなくてどうするよ」
フルフル 「まぁ、あんたたちのムサ苦しい顔をはっきり見ずに済んでるんだ」
フルフル 「今は幸せかもしれないけどねぇ」
少女 「おばあちゃん、そんなことないよ。私は、ティガさんたちは大好きだよ」

310: 2009/06/22(月) 14:59:27.63 ID:7errZqU0
ティガ兄 「ゲェェェ!! 吐き気の出るセリフ!」
ティガ弟 「俺達が! 好かれている! 頼られている!! 見ろ兄者! じんましんだ!!」
フルフル 「もともとお前らぁ、イボか鱗か分からん顔しとるじゃないけ」
ティガ兄 「うっせ! うっせクソババー!!」
少女 「(くすり)」
少女 「あ……そういえば、おじさん」
クック 「ん?」
少女 「今日は夕方から、トトスさんやナルガさんたちが遊びに来るんじゃない?」
クック 「あぁ、そうだった。うっかりしていた。フルフルさん、それではこれでお暇させてもらうよ」

311: 2009/06/22(月) 14:59:53.89 ID:7errZqU0
フルフル 「そうかい。あんたのクチバシも、だいぶましな形になってきたよ。治療を続ければ、もうじき元通りさ」
クック 「そいつは嬉しい。これで流動食から卒業できるというわけだ」
ティガ兄 「ケケケッ! 流動食!!」
ティガ弟 「子供おっさんだ!」
クック 「ははっ、そう言ってくれるな」
少女 「それじゃね、地獄兄弟さんたち(ナデナデ)」
ティガ兄 「ク……ケケッ! もうちょい右だ」
ティガ弟 「人間は気に食わねぇが、てめーだけは、俺達の鼻掻き要員として残しておいてやってもいいぜ!!」
少女 「(にこっ)ありがと。それじゃ、またね」

312: 2009/06/22(月) 15:00:16.84 ID:7errZqU0
少女 「それと、ティガ兄さん。お花でも摘んでいってあげれば、仲直りできると思うよ」
ティガ弟 「花!? お花だってさ! ギャハハハ!! 兄者がお花!!」
ティガ兄 「う……うるせぇ!! (ヒソヒソ)マジか? 何がいい?」
少女 「雪山草のお花とかどうかな」
ティガ兄 「………………」
ティガ弟 「ギェヒャヒャヒャヒャ!!」

313: 2009/06/22(月) 15:00:50.42 ID:7errZqU0
クック 「よし、それでは行こうか。フルフルさん、また来るよ」
フルフル 「あぁ。最近は人間達の攻撃も、前みたいになりふり構わないものじゃなくなってきたからね」
フルフル 「気をつければ、恐ろしいことはないと思うが……」
フルフル 「少女も、ああいう馬鹿にはついてっちゃいけないよ。いいことないからね」
フルフル 「今日だって、テオとナナの修行をさぼってやがるんだよ。あとで言いつけてやっかんね」
ティガ弟 「兄者が……お花……笑いがとまらねぇ!!!」
ティガ兄 「………………」
ティガ弟 「真剣に考え込んでやがる!!! ウケる!!」
ティガ兄 「あァ? やんのかこらァ!!」
ティガ弟 「上等だァこるぁ!!」
フルフル 「こらあんた達。この前、ラージャンに挑んで返り討ちにされたばっかだろうが。もう面倒ごとはごめんだよ」
ティガ兄 「あれは俺達の勝ちだったぜ!!」
ティガ弟 「あの野郎! しぶといにも程があるぜ! ブランゴ一族の頭になったからって、調子こいてるぜ!!」

314: 2009/06/22(月) 15:02:01.39 ID:7errZqU0
少女 「ふふ……地獄兄弟さんたちは、いつも元気だね」
クック 「そうだな。よし、私の背中に乗りなさい」
少女 「分かったよ!」
フルフル 「そいじゃね。また来なね」
ティガ弟 「ケッ! もう二度と面ァ見せんな!!」
ティガ兄 「…………雪山草か…………」
少女 「ばいばい、またね!」
クック 「それじゃ、帰ろうか」
クック 「家に!」
少女 「……うん!!」

315: 2009/06/22(月) 15:03:54.53 ID:7errZqU0
イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 おしまい

no title

317: 2009/06/22(月) 15:17:27.45 ID:7errZqU0
お疲れ様でした
長い期間、ご愛読、本当にありがとうございました
4月の私の誕生日から、今に至るまで、この話を書いて、皆さんが書き込みを下さるということ
そのことが私にとって、とても救いとなりました
お返しとしては僭越なのですが、少しでも楽しんでいただけましたら嬉しいです

>>240
書籍化ですか。本当に、夢のようなお話ですね。誰もが一度は憧れることだと思います
もしそのようなことになれば、私の人生も変わるかもしれません

旧沼地シリーズはこれでお仕舞いになりますが、モンスターハンターは、カプコンさんとハンターの皆さんがいる限り、ずっと続いていくと思います
また、違うお話を書きましたら、VIPやパー速で投稿をさせていただきます
その時も同じように、楽しんでいただけますと嬉しいです

Xlinkも、引き続きやっています。お時間がありましたら一緒に遊びましょう
フロンティアのお誘いでも大丈夫です

それでは、一旦ここにて 『イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」』を締めさせていただきます
ご拝読、ありがとうございました
全ての皆様に良きハンターライフが訪れることを切念し、この場にて感謝の言葉を述べさせていただきます

◆おまけ

・オオシッポガエルのとりかた
no title


・イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 相関図
no title
no title

331: 2009/06/22(月) 21:05:36.48 ID:bLtCB6SO
お…終わってしまった…のか?
でも乙!超オツ!

333: 2009/06/22(月) 21:34:08.52 ID:AFDoXEUo
お疲れ様でした
モンハンやったことないけどすごく楽しめました

352: 2009/06/23(火) 09:33:13.21 ID:aqqSJIDO
乙。超乙

こんなに長いこと張り付いたのは久しぶりな気がする
何度でもいうがガルルガは誰にも渡さん。

引用: イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 2