527:◆llXLnL0MGk 2013/08/26(月) 16:23:58.24 ID:YZXCrQOj0



モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ




肝試し時間軸のフルメタル・トレイターズ、略称FT投下します。
仮面の少女、周子、紗枝、菲菲、メアリーをお借りしています。

528: 2013/08/26(月) 16:25:47.57 ID:YZXCrQOj0

妖怪達がお祭り騒ぎを続ける宴会場。

小高い丘の上で、一人の少女が俯き、両腕を広げながら棒立ちしている。

その表情は仮面により、うかがい知る事は出来ない。

その様子は、まるで十字架に磔にされた生贄のようにも見えた。

やがて少女の前に、鮫を思わせる鋭いヒレが地中から姿を現した。

少女のまわりに水は一切無い。しかし、そのヒレは確かにそこにある。

地面に、一切の穴を開ける事も無く。

ヒレは少女の周囲をぐるぐると回る。まるで少女を品定めするかのように。

やがて、ヒレがちゃぷん、と地面に沈む。程なくして地面から激しい波飛沫が起こり、ヒレの持ち主が姿を現した。

鮫を模した鎧を着込んだ少女が、右腕の刃を仮面の少女目掛けて振り下ろす。

――――ガギン。

鎧の少女が振り下ろした刃は、突如飛んできた白銀の剣に阻まれた。

鎧の少女は距離を取り、再び地面へ潜る。

鎧の少女が潜った隙に、白銀の剣は仮面の少女の周囲を細かく飛び回る。

やがて十字架の拘束から解かれたかのように、仮面の少女の体が動き出す。

仮面の少女は白銀の剣へ仮面越しの口付けを送る。更に仮面の少女の足元に、もう一本白い剣が飛んできた。

――――ぽちゃん。

仮面の少女の足元に、微かな波紋が広がった。

その中心から鎧の少女が右腕だけを勢いよく突き出し、仮面の少女の足元を狙う。

しかし仮面の少女は慌てる事無く、白い剣に飛び乗ってそれを回避する。


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


~中略~


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





529: 2013/08/26(月) 16:27:04.41 ID:YZXCrQOj0
空を切った鎧の少女の右腕を、白銀の剣が目ざとく狙い、突き刺す。

しかし、突き刺さるより前に鎧の少女は地中へと身を潜めた。

どこからか黒い剣も飛来し、合計三本の剣が、仮面の少女を護るように周囲を旋回する。

と、突然白い剣が地面へ向かって飛んでいく。

――――ギィイン。

白い剣の着地点から鎧の少女が姿を現し、鈍い音と共に白い剣がはじき返される。

鎧の少女は地面を踏みしめ、獣のような動きで仮面の少女に襲い掛かる。

それを白銀の剣と黒い剣が二本がかりで立ち向かい、戦況は一時膠着する。

やがてはじき返された白い剣が加わると、戦況は一気に動き出した。

白い剣と黒い剣が二本がかりで鎧の少女の刃を抑え込む。

攻撃手段を失くした鎧の少女の胸目掛けて、白銀の剣が勢いをつけて飛び込む。

――――ズン。

白銀の剣が鎧の少女の胸に突き刺さる。

鎧の少女の体が、力なく地面へずぶずぶと沈んでいく。

白銀の剣が鎧の少女の胸から飛び立つと、鎧の少女の体は完全に地面の下へと沈んだ。

仮面の少女はドレスの裾を摘んで一礼し、周囲を旋回する剣達に、再び仮面越しの口付けを送った。

そして剣舞の様子を固唾を呑んで見守っていたギャラリーに向き直ると、剣達と共に改めて一礼した。

「ワァァァァァァァァァ……」

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530: 2013/08/26(月) 16:28:28.96 ID:YZXCrQOj0
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仮面の少女「お疲れ様でしたぁ、むふふ。飲み物どうぞぉ」

先ほどの仮面の少女と、刃を交わした鎧の少女――カイとホージローは、一つのテーブルに着いていた。

カイ「あ、ありがとー。ねえ、あれで大丈夫だったかな?」

カイは手渡されたジュースを一口飲むと、仮面の少女に問いかける。

仮面の少女「当然じゃないですか。地面の下からでも聞こえましたよねぇ、あの大歓声」

カイ「んー、まあね。そういや、ああやって歓声浴びる経験ってあんまり無かったなあ……」

仮面の少女「気持ち良かったでしょぉ、むふ♪」

カイは口では答えず、すこしはにかみながら頷いた。

『キンキン! キッキキン!』

突然、ホージローが仮面の少女に怒鳴り散らし始めた。

仮面の少女「あら? どうかしましたかぁ?」

カイ「あー……さっき出来たキズ、まだ怒ってるみたい」

カイがホージローをひょいと抱き上げる。ホージローの腹には少し深い傷跡がついていた。

先ほど、カイの胸に突き刺さった白銀の剣は、ホージローのお陰でカイまで届かずに済んだ。

その代償が、こんな形で残っていたのだ。

仮面の少女「あら、ごめんなさい。……所で、カイさんはチームで行動してらっしゃるんですよねぇ?」

カイ「うん、新進気鋭のヒーローチーム、フルメタル・トレイターズ! 長いなら略してFTでいいよ」

カイが自慢げにチームを宣伝する。

仮面の少女「他のメンバーさんは?」

カイ「……あ、あー……」

仮面の少女に問いかけられたカイは、バツが悪そうに目を逸らして頬を掻いた。

カイ「えーっと、ね……」

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531: 2013/08/26(月) 16:29:27.05 ID:YZXCrQOj0
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遡ること数十分前。

フルメタル。トレイターズの面々は霧の深い街中……活動拠点となっている公園にいた。

カイ「すごい深いね、この霧……」

亜季「あー……そうでありますなぁ……」

カイの言葉に、亜季が力なく答える。

星花「亜季さん……顔色が優れませんわ。どこか悪いのですか?」

見れば、亜季の顔は真っ青になっている。

『キキン?』

カイ「あたしと星花は平気で亜季がダウン……もしかしてこの霧、機械に悪影響とか?」

星花「そういえば……」

星花が後ろを振り向くと、マイシスターが地上に降り、ヴンヴンと力なく唸っていた。

星花「マイシスターさんも先ほどからあの調子ですわね……ストラディバリ、貴方は平気?」

星花は隣に立つストラディバリに問いかける。

ストラディバリ『……………………』

ストラディバリは沈黙し、星花の問いに答えない。

星花「…………ストラディバリ?」

ストラディバリ『……………………ウーッス』

カイ「」

『』

亜季「」

532: 2013/08/26(月) 16:30:24.21 ID:YZXCrQOj0
星花「どうしましたのストラディバリ!? 言葉遣いが変ですわ!」

ストラディバリの予想外すぎる発言に、星花は思わず取り乱す。

カイ「……ホージローは平気?」

『キキン』

カイ「そかー、ちょっとだるいか」

カイは屈んでホージローの頭を軽く撫でてやる。

亜季「ううう……憤怒の街でもここまでひどくなかったであります……」

ヴヴン・・・

星花「これは……まともに動けそうにはありませんわね……」

ストラディバリ『ウーッス』

カイ「うーん……ちょっと、あそこのお祭りで食べ物とか分けてもらえないか見てくるね」

カイが指差した先では、色とりどりの提灯に灯りが点り、様々な楽器の音色が響いている。

亜季「あー……頼むであります。何か口に入れれば多少はマシやも……」

亜季は星花の膝に身を預け、非常に気だるそうに横たわっている。

星花「わたくしは、ここで亜季さんを看病しておきますわ。ストラディバリはマイシスターさんを」

ストラディバリ『ウーッス』

ストラディバリは気の抜けた返事と共に、マイシスターの背(?)をさすり始めた。

カイ「じゃあ、行って来るね。ホージロー、行くよ」

『キッキキン』

カイとホージローは、妖怪達のお祭り騒ぎに向かって歩き出した。

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533: 2013/08/26(月) 16:32:02.76 ID:YZXCrQOj0
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カイ「……で、屋台見て回ってたら、ニコちゃんに話しかけられて剣舞に飛び入り参加ってわけ」

仮面の少女「あらら。……ん? ニコちゃん?」

カイ「君のこと。ニコっとした仮面つけてるから、ニコちゃん。……あ、嫌だった?」

仮面の少女「いえいえぇ、素敵なあだ名をありがとうございます、むふふ」

仮面の少女は、微笑の仮面の下にもう一つ微笑を作った。しかし、それはカイには見えない。

仮面の少女「それでしたら、ニコがご飯おごっちゃいますよ」

カイ「えっ、いいの!?」

仮面の少女「もちろんですよぉ、相応の出演料ということで、ね」

カイ「ありがとうニコちゃん! 恩に着るよ!」

仮面の少女「どういたしましてぇ」

カイと仮面の少女は仲良く手を取り、屋台を見て回った。



仮面の少女「カイさん、好物とかありますかぁ?」

ホラ、サエチャンアーン

カイ「んー、魚以外なら基本的に何でも」

モウ、ハズカシワァ・・・

仮面の少女「お魚、ダメなんですか?」

チャーハンアルヨ!

カイ「んー、魚はなんか共食いしてる感がすごくてさー……」

チョット!コノチャーハンウゴイテルワ!

仮面の少女「あ、ああ……」

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534: 2013/08/26(月) 16:32:57.38 ID:YZXCrQOj0
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カイ「ありがとねニコちゃん、こんなにたくさんおごってくれて」

大量のビニール袋を提げて、カイはにっと笑う。

仮面の少女「いえいえ、お友達にもどうぞよろしく。ああ、そうそう、よければお土産を……」

そう言って仮面の少女は、懐から厳かな装飾が施された三つの封筒を取り出した。

カイ「これ何?」

仮面の少女「招待状です。日程はまた追ってお知らせしますので、その時は是非お友達とお越しくださいねぇ」

カイ「お越しくださいって……どこに?」

仮面の少女「その時になれば、否が応でも分かりますよぉ……むふふ」

カイ「ふうん……ま、いいや。ありがとニコちゃん。また会おうね!」

『キンキキキキン』

仮面の少女「ええ、また……ですねぇ」

カイは招待状を受け取ると仮面の少女と握手を交わし、ホージローと共に祭り会場を去った。



仮面の少女「…………むふふ」

仮面の少女「少しずつ……少しずつですけど…………『役者』は揃いつつありますねぇ…………」

仮面の少女「むふふふふ…………もっと沢山ご招待したいですねぇ、王子様…………?」

仮面の少女は、傍らに浮く白銀の剣の腹を優しく撫でると、くるりと踵を返した。

次なる剣舞の相手を求めて、次なる招待者を求めて、次なる『役者』を求めて…………。

続く

535: 2013/08/26(月) 16:33:51.43 ID:YZXCrQOj0
・イベント追加情報
亜季とマイシスターが完全にダウンしています。まともな戦闘は不可能です。

ストラディバリは少し動きが鈍い程度で問題ありません。ただ言葉遣いが変です。

日n……仮面の少女は剣舞の相手などに『招待状』を渡しているようです。

536: 2013/08/26(月) 16:36:19.88 ID:YZXCrQOj0
以上です
一応剣舞パートには「海の怪物への生贄にされた姫と、それを救う騎士団」というイメージ設定があります
上手く書けませんでしたけどね!
(仮面の少女の台詞書いてるときにまゆや早耶がちらついたのは内緒だぞ!)

537: 2013/08/26(月) 17:07:04.57 ID:LMUa6L9ao
ウーッスwwwwww
オーラで動くなら確かにそういう悪影響うけててもおかしくないのか
これはあれだ。唐突にペラペラおしゃべりし始めるフラグもあるな

538: 2013/08/26(月) 17:08:16.90 ID:rxty6sBmO
乙ー

ストラディバリについ吹いてしまったwwww
そして同じ公園内にフェイフェイもいるんダヨー
公園内の戦力がヤバイ(確信




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6