909: ◆tsGpSwX8mo 2013/09/20(金) 21:52:55.10 ID:Apst4ma+o


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



そろそろ投下します。

910: 2013/09/20(金) 21:56:00.06 ID:Apst4ma+o
海底都市第七地区第三高等学校。

それがこの高校の名前だった。

そしてその高校の三年教室で一人の少女が机に突っ伏し居眠りをしていた。

「スゥ…スゥ…」

かわいらしい寝息をたてながらそれはもう気持ち良さそうに寝ていた。

今は五時限目の現代社会の授業だ。

昼ご飯を食べ終えた後の授業なので眠くなるのはわかるが、居眠りをするのはよくない。

「海ちゃん、海ちゃん。起きて!」

彼女のすぐ後ろに座る栗色のショートカットの髪に赤いフレームの眼鏡をかけた女子生徒が声を描ける。

だが、それでも少女が目を冷まさない。

そうこうしているうちに、教師が少女が居眠りをしているのに気づき、鬼のような形相でこちらに来た。

「杉坂、杉坂!起きんか!」

「ん、うぅ……」

杉坂と呼ばれた少女はやっと目を醒ました。

「杉坂。私の授業で居眠りをするとはいい度胸だな」

眼鏡をかけ紺のスーツを着た女教師は鋭い目付きで少女を見下ろす。

「授業とは子供が大人になるための神聖な儀式!その授業で居眠りをするとは……」

「おやすみ……」

女教師の小言を聞き終える前に少女は再び夢の世界へと旅立っていった。

教室中からクスクスと笑い声が聞きえだす。

教師のなかでブチッと何かが切れる音がした。

「杉坂ああああぁ!」

その日、海底都市第七地区第三高に教師の怒声と拳骨の音が響いた。


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。


~中略~


「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。





911: 2013/09/20(金) 21:57:16.03 ID:Apst4ma+o
「いてて。あの体罰教師め。なにも殴ることないじゃあん!」

「仕方ないよ。なんど起こしても起きない海ちゃんが悪いんだよ?」

午後五時。

学校が終わり、少女-杉坂海-は友人である水木アクアと共に帰り道を歩いていた。

「だってさー、海底都市の歴代の海王の名前とかさ、別にしらなくてもよくない?今の海王様の名前だけ覚えてればいいよ」

「そんなことないよ。テストには出るんだから、ちゃんと勉強して覚えなきゃ」

「アクアは真面目だなー」

海は隣を歩く友人を見てそう思った。アクアとは小学校からの付き合いだが、彼女は勉強嫌いな海と違いとても勤勉である。

「大体もうすぐ卒業試験なんだから。勉強しないと駄目だよ」

そう、二人はもう三年生である。卒業試験をうけ卒業式を終えればもう立派な社会人だ。

「はーい。じゃあさ、明日は休みだし、うちで勉強会しない?他の友達も誘ってさ」

「うん、いいよ」

そう言って二人は明日も会う約束をした。

912: 2013/09/20(金) 21:58:56.14 ID:Apst4ma+o
話ながら道を歩いていると、すぐ先に水路が見えてきた。

水路の前には『海底都市第七地区』と書かれた看板がたっており、
その前に人が数人並んでいる。そのなかには海たちと同じ高校の生徒もいた。

二人もその列の後ろに並ぶ。

しばらくすると、水路の上を船が走ってきた。

これは海底都市を縦横に走る水路を利用して人を違う場所まで送り届けてくれる舟バスという乗り物だ。地上でいえばバスのようなものである。

二人はその舟バスの上に乗り込んだ。

船が走り出す。

外の白い建物が並ぶ景色を眺めながら、海が言った。

「ねぇ、アクア」

「何?」

「アクアはさ、卒業したあとどうするつもり?」

海は自分が卒業した後のことにたいして、不安を抱えていた。

卒業し、進学したとしても就職したとしても、そこでうまくやっていけるのか不安なのだ。

そこで、アクアの意見を聞いておこうと思ったのだ。

「私?私は卒業したら大学に進学するつもりだけど」

「えぇー?進学?また勉強しに学校にいくの?」

「うん。大学に入ってそこで資格を取って図書館の司書になるのが夢なの」

「ふーん」

アクアは昔から本が好きでよく暇さえあればよく本を読んでいた。

「子供の頃からの夢なの。だから、一杯勉強しなくちゃ」

「……そう。頑張ってね」

「うん。がんばる」

アクアは小さくガッツポーズした。

913: 2013/09/20(金) 21:59:54.57 ID:Apst4ma+o
そんなアクアを見て思う。

ウチには小さい頃からの夢なんてないな。

海は小さい頃から活発で遅くまで友達と遊んでばかりいる子供だった。いつも目の前のことに夢中で、将来のことなんかまるで考えたことがなかった。

そしてそのつけが今、回ってきたわけである。

アクアは夢があって羨ましいな。

海は心中でそう思った。

ふと、向かい側の席に座る男の手にある雑誌が目にはいった。

そこにはこう書かれていた。

『衝撃!海王宮に潜む黒い影。最年少の海王は何を思うのか』

何てことはないゴシップ雑誌である。どこにでも、人の不幸やよくない噂を聞いて喜ぶやつがいるものなのだ。

海王ヨリコ。

勉強嫌いな海でも、現在の海王の名前ぐらいは知っていた。

史上最年少で海王に就任した幼い国王。

彼女も海王になるために努力をしたのだろうか。それなら一体どれだけ努力したのか。

夢や目標があるのはいい。そこに向かって走り続けていればいつかはたどり着ける。

だが、海にはそれがない。

なんでもいいから何か目標がほしい。

そうすればこの不安も少しは晴れることだろう。

そう海は思った。

914: 2013/09/20(金) 22:01:04.57 ID:Apst4ma+o
舟バスを降りアクアと別れた海は一人で歩いていた。

途中にある公園を通る。

この公園を通ると近道になるのだ。更に、運が良ければ美味しいものが食べられるのだが……。

「お、海じゃないか!帰りかい?」

どうやら今日は運のいい日だったらしい。

海に声を描けてきた人物に顔を向ける。

そこには筋骨粒々の男が公園の真ん中にある噴水の手前に屋台を構えていた。金髪に負けないくらい、笑顔が眩しい。

「おじさん久し振り!今度はどこにいってたの?」

「それは内緒だ」

「けち~。一度くらい教えてくれたっていいじゃん」

「男には隠さなきゃならない秘密が一つや二つあるもんなんだよ」

この男は世界をまたにかけソーセージを売っているらしい、人呼んでマルメターノおじさんである。

いつの頃からか海底都市にも来るようになり、そしてそのソーセージの美味しさとおじさんの人のよさからあっという間に人気となった。

「それより海。お腹すいてるだろ?一つどうだい?」

「うん!もうお腹ペッコペコでさ。一本ちょうだい」

「おう!ちょっとまってな」

そう言っておじさんはソーセージを焼き始める。

周囲にいい臭いが漂い始めたとき、海はおじさんに聞いてみた。

「ねぇ、おじさん」

「なんだい?」

「おじさんはさ、子供の頃自分の将来に不安を感じたりした?」

この人生経験が豊富そうな男に意見を聞いてみることにした。

「子供の頃?うーん、そうだな……」

しばらく考えたあと、おじさんは言った。

「覚えてねえな」

それを聞いて海はずっこけた。

「お、覚えてないって。自分のことだろー?」

915: 2013/09/20(金) 22:02:26.66 ID:Apst4ma+o
「仕方ないだろ?覚えてないものは覚えてねぇんだからよ」

海は少しがっかりした。

おじさんに聞けば何かあるかもと期待したのだが……。

「まぁでもよ。これだけは言えるぜ?海はまだ、焦るような歳じゃない。焦って間違った方へ進むとあとで後悔するのはおまえだよ」

「……そう?」

「ああ、そんなもんだよ」

そう言っておじさんは焼き上がったソーセージを手渡した。

「取りあえず食え。腹が減ったら力がでないし、頭も回んないぞ?」

「……うん、そうだよね」

海は焼きたてのソーセージにかぶりついた。焼きたてのソーセージは肉汁がたっぷりでとてもおしいかった。

「まぁ、海のことだから腹がふくれたらそのまま眠っちまうだろうけどな」

「むぐっ、なんだとぉ!?それじゃウチが年がら年中なにも考えてないみたいじゃないか!」

「はっはッは!冗談だよ、冗談!」

「……ははっ」

つられて海まで笑った。しばらく公園には二人の笑い声が響いた。

916: 2013/09/20(金) 22:03:06.02 ID:Apst4ma+o
公園でソーセージを食べて小腹を満たした海はそのまま帰宅した。

自宅は白い壁の二階建ての小さな建物だ。

その自宅の前で小さな影がこちらに手をふってきた。

「お姉ちゃん!おかえりー!」

小さな影は走ってこちらに来ると海に抱きついた。

「おぉ、ミナト。ただいま」

海は末っ子の弟のミナトを抱き抱える。

「ねぇねぇ、お姉ちゃん。僕ね、今日テストで85点とったんだよ!」

「へぇ、そりゃすごいな!」

海は素直にミナトを褒め称えた。

姉が誉めてくれて嬉しいのか、ミナトは頬を赤くして笑った。

「お姉ちゃん。早く入ろうよ。もうご飯できてるよ。お兄ちゃんたちもお腹ペコペコだって言ってるよ」

ミナトは海の手を引っ張った。

「あぁ、わかってるって」

ミナトに手を引っ張られながら海はおじさんの言葉を思い出した。

-今はまだ焦るような歳じゃない-

そうだよね。まだ18才だもんね。人生まだまだこれからなんだ。なんならアクアみたいに大学に進学して見るのもいいかもしれない。そのときは、真剣に自分の将来について考えよう。

そう思った。

917: 2013/09/20(金) 22:03:48.46 ID:Apst4ma+o
名前 杉坂海

職業 女子高生

属性 思春期系女子高生

能力 弟の世話及び家事全般

詳細説明 思春期真っ只中の女子高生。自分の将来に不安を抱えるどこにでもいる女の子。ただ、男ばかりの家の長女なので性格はガサツで男勝り。だが、弟思いのいいお姉ちゃんである。



名前 水木アクア

職業 女子高生

属性 思春期系女子高生

能力 ノートの写生

詳細説明 杉坂海の親友。栗色の髪をショートカットにして、赤いフレームの眼鏡を掛けた大人しそうな女の子。ガサツで勉強嫌いな海と違い、とてもまじめで勤勉。友達思いのいい子。



名前 杉坂ミナト

職業 小学生

属性 わんぱく坊主

能力 元気

詳細説明 杉坂家の末っ子。姉ににてわんぱくで元気な子供。背が低いことを気にしており、毎日牛乳を飲んでいる。



名前 マルメターノおじさん(通称)

職業 屋台のおじさん

属性 神出鬼没のソーセージ屋台のおじさん

能力 ソーセージの調理

詳細説明 世界をまたにかけソーセージを売るおじさん。いつの頃からか海底都市にも現れ、それ以来不定期で海底都市のどこかに出没する。心優しい子供好きな性格で、海底都市の人にも慕われている。

918: 2013/09/20(金) 22:04:22.83 ID:Apst4ma+o
海底都市
全体をドームで覆われた東京都ぐらいの広さの都市。第一地区から第七地区までの七つの地区がある。水路が町中を駆け巡るベネチアのような町並み。都市の中心には海王ヨリコがすむ海王宮が鎮座いている。

舟バス
海底都市を縦横に駆け巡る水路を利用した舟。乗客を違う場所まで送り届けてくれる。地上でいえばバスのようなもの。

919: 2013/09/20(金) 22:08:34.10 ID:Apst4ma+o
これにて海底都市の日常編の投下終了です。

水木アクアと杉坂ミナトはこれ以上モバマス本編のキャラを増やすのはどうかな?ということで作りました。

マルメターノおじさんについてはたまに海底都市にも現れるというだけでウェンディ族ではないので、使っても結構です。

海底都市について、地区と舟バスの設定を追加しまた。

お目汚し失礼しました。

920: 2013/09/20(金) 22:32:54.03 ID:5PRqUZ8Yo
乙乙!
>世界をまたにかけソーセージを売るおじさん
で笑ってしまった…
海底都市事情がリアルすぎて…海さん頑張れ…




【次回に続く・・・】



引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6