124:◆ORDERq/08U 2018/12/08(土) 18:31:52 ID:Zr0AerXE




前回はこちら


雪美さんといっしょシリーズ


61

モバP「雪美さんにちょっと難しいことをやってもらおう」

雪美「何……?」

モバP「ホワイトボードにこのペンで”あまがみ”と声に出しながら”おむれつ”という字を書いてください」

雪美「了解……」キュポン

雪美「あ……ま……が……み……」キュッキュ

雪美「……上手く書けなかった……」

モバP「これはな、誰でもそうなるんや。多分」

雪美「……不思議」

モバP「マルチタスクが何だ。人間、シングルタスクでも良いじゃないか……と、勝手ながら思う訳です」

雪美「……じゃあ……シングルタスク……。Pに……あまがみ……する」

モバP「こらこら。なら、せっかくなんであまがみしながらおむれつは作れるのか調査してみるか」


ちひろ「タスクよりリスクを考えるべきですね」

125: 2018/12/08(土) 18:34:26 ID:Zr0AerXE
62

モバP「あらかじめ言うと、これはちょっと倫理・衛生的に問題がある発言になるかもしれないが」

雪美「……何?」

モバP「俺がこうして人差し指を立てます」

雪美「……うん」

モバP「そこにイチゴジャムを垂らすとします」

雪美「……うん?」

モバP「そしたら雪美はパクッと食いついてきてくれるのか、ふと好奇心が湧いたんだ」

雪美「……」

雪美「……P……そんな子に……育てた覚えは……ないのに」

モバP「おお神よ、私は何と罪深いことを。どうかお赦しください」


ちひろ「デスソース垂らして自分で舐めてな、ボーイ」

126: 2018/12/08(土) 18:37:20 ID:Zr0AerXE
63

ちひろ「プロデューサーさん、コスプレのアイデアをください」

モバP「自分から聞いてくるのか……」

モバP「希望で良いなら、じゃあ結月ゆかりで」

ちひろ「固有のキャラですか。難易度高いですけど何でまた」

モバP「直感ですがちひろさんならゆかりさんの雰囲気にアジャストしそうな気がします」

ちひろ「喜ぶべきか疑うべきか複雑ですね」

雪美「P……私も……」

モバP「じゃあ琴葉葵でどうかな」

雪美「……?」

ちひろ「こんなのです」 ハイ、スマホ

雪美「……ほー」

モバP「何なら水本ゆかりでも良いですよ」

ちひろ「所属アイドルのコスプレしてどうすんだ」

127: 2018/12/08(土) 18:39:10 ID:Zr0AerXE
ちひろ「まず、結月ゆかりってよく見たら結構煽情的な服ですよね?」

モバP「はい」

ちひろ「はいじゃないが」

雪美「Pは……首周りや……脇とか……好き……」メモメモ

モバP「そのメモを何に使う気だ」

ちひろ「もうちょっと制服、とか水着、とかそういう方向で無いですか? イベントと季節感に合わせて」

モバP「ありきたりだとこの時期ならミニスカサンタですか? でもなあ」

モバP「……よし。なら、しばらく前に流行った”アレ”なんてどうでしょう」ニヤリ

ちひろ「……な、なんですか?」ゴクリ

\童Oを頃すセーター/

ちひろ「……」

ちひろ「……」ハイライトオフ


雪美「……これ……背中……寒そう」 ギャー イタイデスチヒロサン!

128: 2018/12/08(土) 18:41:12 ID:Zr0AerXE
64

モバP「今年は戌年、来年が亥年」

モバP「アイドルを十二支に例えるなら誰なんだろう」

ちひろ「そういうのはチョコレート菓子やRPGの嫁論争みたいに不毛な争いを生みませんかね」

モバP「そうかな。じゃあ今パッと思いついた犬系アイドルと猪系アイドルだけ挙げてみよう」

モバP「召喚」

凛「犬飼ってる系アイドルだよ」

茜「今年いろいろありましたのでプロデューサーへのタックルは自重気味の猪系アイドルです!」

雪美「好きなもの……ベスト3は……ペロ……イチゴ……P……の猫系、アイドル……です」

ちひろ「十二支に猫はいないんですよねぇ」

雪美「……虎は……ネコ科……だから……」

モバP「虎だ! 虎だ! お前は虎になるのだ!」

雪美「がおー……」

129: 2018/12/08(土) 18:43:42 ID:Zr0AerXE
ちひろ「雪美ちゃんが虎系アイドルに進化するかもしれないことが分かったところで」

ちひろ「凛ちゃんは犬系じゃないんですか?」

凛「ハナコは好きだけど、私自身が犬系という自覚はあまりないかな」

凛「というか人によっては失礼になったりするからね。犬はまだしも猪系ってどうなのと」

茜「私は光栄です! 猪は鍋にすれば牡丹鍋、つまり私は牡丹系ということでもあります!」

凛「牡丹の花言葉は高貴・富貴・王者の風格、か」

モバP「猪のバイタリティーと牡丹の貴さを兼ね備えた素晴らしいアイドルという訳だな」

茜「照れますね! この情熱を昇華させる為にここは一つ、走ってきます! ボンバー!!」

「……」

モバP「茜が王様だったら多分前線で戦う王様なんだろうなあ」

雪美「……P、今夜は……鍋料理……食べたくなった」

モバP「おっ良いね。仕事終わったら買い出し行くか!」


凛・ちひろ「君たち同棲でもしてるの?」

130: 2018/12/08(土) 18:45:52 ID:Zr0AerXE
65

モバP「おはよう」

雪美「おはよう……」

モバP「ハハハ、今日も調子良さそうだな」

雪美「ハハハ……今日も……調子……良さそう……だな」

モバP「むむっ!」

雪美「むむっ……」

モバP「……ヘーイ! 今日も世界レベルに酔い痴れなさい!」

雪美「……ヘーイ、……今日も……世界レベルに……酔い痴れなさい……」

モバP「……」

雪美「……」

ポスン

モバP・雪美「……ふー」マッタリ


ちひろ「真似しない方が良いタイプの大人ですね」

131: 2018/12/08(土) 18:49:18 ID:Zr0AerXE
66

モバP「……」ナデナデ

雪美「……」ニコニコ

ありす「……」ムー

ありす「雪美さん。髪は女の命、というのに遠慮なく触らせすぎじゃないですか?」

雪美「……そう?」

ありす「決して私も、撫でてほしいとか、そういう訳じゃないですからね」

モバP「素直じゃない奴よのう、橘はん」

ありす「ありすです! ……おっと間違い、橘で良いんでした? ……いや良くないです!」

ありす「とにかく! 私も撫でてください!(錯乱)」

モバP「即落ち良いぞ~」オイデオイデ

ナデナデ

ありす「ううう……///」

132: 2018/12/08(土) 18:53:32 ID:Zr0AerXE
ありす「……これ、良いですね。Pさんは太陽の手の持ち主ですか」

モバP「俺はパン職人じゃないぞ」

雪美「P……私も……もっと……」

モバP「よしよし。いやあ、両手に花とはこのことよ」ナデナデ

ありす「で、実際のところPさんには、遠慮とか無いんですか?」

モバP「そりゃあ、撫でるのはこういうことを許してくれる親密な女性だけだな」

ありす「親密……悪い気は、しませんね」

雪美「私は……Pに……命を……預けている……だけ」

ありす「上には上がいる……」トオイメ

ガチャ

桃華「あら、いらしたのPちゃま。おや……わたくしも撫でてくださいまし」

莉嘉「あっ、いーなー! 私もPくんに撫でてもらうっ!」

ありす「……”親密な女性”、多いですね?」ジトッ


ちひろ「ここまで雪美ちゃんを膝に座らせていることについてはツッコミないんですねえ」

133: 2018/12/08(土) 18:55:25 ID:Zr0AerXE
67

モバP「雪美、イベントおつかれさま」

雪美「……」ニコ

モバP「コラボでPSO2のフォニュエールの格好だもんな。よく似合っているよ」

雪美「……」キラキラ

モバP「しかしまあ、よく作られてはいるが動き辛くなかったか?」

雪美「大丈夫……軽い……」

モバP「なるほどな……特殊メイクで耳なんかこんなに長くなっちゃって」

雪美「……ドキドキ……する?」

モバP「ドキドキ……どちらかというとワクワクかな。夢が広がる」

雪美「……なら、このままで……ちょっとだけ……」スリスリ

モバP「……そこまでされると、ドキドキもするなあ」 フフッ ハハハ


事務所のちひろ「お茶がうめェ」ズズズ

136: 2018/12/15(土) 18:27:24 ID:AoEhmHFU
68

雪美「……」ジー

モバP「アンニュイというか、ポーカーフェイスな雪美さん」

モバP「見惚れるねえ」

雪美「……私も……あなたに……見惚れている……」

モバP「しかも所作が優雅」

雪美「……そう?」

モバP「こうして見つめ合っていても、飽きないものだね」

モバP「……その目の色は何と形容したら良いのか。茜色?」

雪美「赤茶……?」

モバP「レッドアゲートっぽくもある……どれ、もっと近くで見せておくれ」スッ

雪美「うん……」ドキドキ

モバP「……綺麗だなあ」


ちひろ「それ以上やると白目を剥くことになるかもしれませんよ?」

137: 2018/12/15(土) 18:29:35 ID:AoEhmHFU
69

モバP「ペロ、ゴキゲンかい?」

ペロ「ニャー」

モバP「ふぅ~む、なるほどなるほどなるほどー」

ペロ「ンギャア」

モバP「そうですね。確かにそう思います」

ペロ「……」

雪美「……」

雪美「……分かったふり……ダメ」

モバP「さすがに雪美さんにゃバレちまいやすか」

ペロ「ニャーゴ」

雪美「ぼくと……話をするには……まだ……LOVEが足りない……、だって……」

モバP「LOVE……Level Of ViolencE?」


ちひろ「愛だよ愛!」

138: 2018/12/15(土) 18:31:03 ID:AoEhmHFU
70

ちひろ「最近、お二人って割と息が合っているというか、本質が似ているような気がしてきました」

雪美・モバP「……?」

ちひろ「兄妹とかじゃないですよね」

雪美「違う……」

モバP「何を仰いますかちひろさん。雪美が妹……ひらめいた!」

ちひろ「通報した。……ってそりゃそうか」

雪美「実は……Pは……私の……操り人形」

ちひろ「まさかそんな。いくら雪美ちゃんの手にリモコンがあって、プロデューサーさんの頭にアンテナが刺さっているからって……ん?」

雪美「……ふふっ」

モバP「あなたは誰の意思で動いているんですか、ちひろさん?」ニヤ

――

ちひろ「――はわっ!?」ガバッ


ちひろ「……おのれ、こんな夢を見てしまうとは」

139: 2018/12/15(土) 18:33:01 ID:AoEhmHFU
71

モバP「別館のトレーニングジムに温水プールができたらしいな。雪美さんは泳ぎの方は?」

雪美「……泳げますん」

モバP「はぐらかすか。大丈夫だ、幸子だって泳げるようになったぞ」

雪美「……鬼コーチ?」

モバP「スパルタ希望ならね。こう見えても昔、少し水泳をやっていたのだ」

雪美「……ふふ、……私も……泳げる」

モバP「あら残念。それなら雪美のインストラクターにならなくても良いか」

雪美「だめ……いっしょに……泳ぐ……」ギュッ

モバP「じゃあ、時間がある時に一緒に行くか」

雪美「うん……今でも……良い」

モバP「おお、やる気だな。えー、水着やタオルは買えるんだったかなっと」

雪美「……」ドキドキ

140: 2018/12/15(土) 18:36:31 ID:AoEhmHFU
――

モバP「おまたせ」

雪美「……」キラキラ

モバP「競泳水着……ええのう!」

雪美「……///」

モバP「恥じらって顔を背けるところがレディーだねえ」

櫂「来て早々イチャついてるね。良いけど、準備運動はしっかりね」

モバP「おお、櫂か。水ある所に櫂ありとはよく言ったもんだ」

櫂「やっぱりあたしは水を得てこそ魚になれる気がするんだ」

雪美「……櫂……水着……似合う……」ポー

櫂「……競技とかでずっと着てきたタイプでも、改めて言われると恥ずかしいなあ」アハハ

モバP「例えば体育系と文化系でも、それぞれに無い良さがある。雪美も似合っているぞ」

雪美「……うれしい」 オオアツイアツイ

141: 2018/12/15(土) 18:38:24 ID:AoEhmHFU
――

モバP「ふー、泳いだ泳いだ。カ口リーばっちし消費しましたよ」

雪美「P……」ピトッ

モバP「ひゃうんっ!」

七海「何気持ち悪い声を出しているのれすか」

モバP「七海か。不意打ちに弱くて悪いかい」

雪美「……ふふふ……水も滴る……P」ツツー

モバP「雪美、気分が乗ると体が熱くなるのは分かるが、頭も熱くなってないよな?」

七海「止めた方が良いんれすかね?」

モバP「いや、大丈夫だ。それより七海もカナヅチだったが、そこそこは泳げるようになったんだな」

七海「本当にそこそこれすね~。浮いてる方が合っています~」

モバP「まあバラエティーだとまだ泳げないことになってたりするな。幸子とか」

七海「その方がキャラが立ちますからね~」

142: 2018/12/15(土) 18:39:37 ID:AoEhmHFU
七海「ところで温水プールに魚は泳いでいないのれすね~」

モバP「一体何を放流させるつもりだ。熱帯魚とか?」

七海「ちょっとしたマリンジョークれすよ。何ならイルカと一緒に泳げませんかね~♪」

モバP「イルカは哺乳類だろ」 テヘヘ

雪美「……P」ユサユサ

モバP「どした」

雪美「……Pに……乗せてほしい……」

モバP「プールサイドとはいえ、滑り落ちたりしないよな?」

七海「それ以前の問題れす」

ポスン ダキッ

雪美「……///」パシャパシャ

モバP「雪美さんはとてもうれしそうだ」

七海「むーっ……海の女は嫉妬深いのれすよ~。ふぅっ!」

モバP「あぁっ、耳やめて」ゾクゾク

143: 2018/12/15(土) 18:40:59 ID:AoEhmHFU
――

シャー キュッキュッ

モバP「シャワーが気持ち良かったな」

雪美「うん……」

モバP「着替えたら、何か飲もうか」

雪美「うん……。疲れたけど……さっぱり……した」

モバP「良かった。まあ、程々に、また来ような」

雪美「……?」

モバP「本格的に水泳やると肩幅が広くなる子もいて、女子はそういうのを嫌がる場合もある」

雪美「……なるほど……。でも……潜るなら……たぶん……大丈夫」

モバP「雪美は泳ぎより潜りメインか。肺活量あるからなあ」

雪美「潜水は……得意」フンス

モバP「競泳水着で胸を張る、濡れた髪の雪美さん――控えめに言って女神ですね」


雪美「……それ、いいすぎ」ニコ

144: 2018/12/15(土) 18:42:56 ID:AoEhmHFU
72

モバP「お便りが来ているのでご紹介したいと思います」

モバP「神奈川県T.Mさん。……雪美ちゃん、ちひろさん、白と黒が無いパンダ、こんにちは」

雪美「こんにちは……」

モバP「白と黒が無いパンダって何が残るんですかね?」

モバP「……えー、お二人は大変仲が宜しいようですが、質問です。雪美ちゃんが反抗期になったらどうしますか? 私は一時期荒れていて、そのことを少し後悔しています」

雪美「反抗期……」

モバP「うちの雪美さんに限ってそんなことは……」

雪美「無いと……言える?」

モバP「……まあ、今を知っているだけに、例えばやさぐれて髪を染めたり、大声で罵られたりすれば、独り泣くかもしれない」

モバP「それでも、跳ね返りには上手く合わせて接していきたい」

モバP「反抗期も始まりがあればいつかは終わりもある。その時までに見放していたら、きっと後悔してしまう」

雪美「……じゃあ……ずっと……見ていて」

ちひろ「こういうノロケがある内は大丈夫なんでしょうけどね」

145: 2018/12/15(土) 18:45:02 ID:AoEhmHFU
モバP「次のお便りです」

モバP「兵庫県K.Sさん。……雪美ちゃん、ちひろさん、前世はポルターガイスト、こんにちは」

雪美「こんにちは……」

モバP「前世なのに心霊現象なのか……」

モバP「……えー、雪美ちゃんは猫と話ができますが、ある日突然、猫の言葉が分からなくなったらどうしますか? 私は幽霊が見えるのですがふとそんな心配が過ぎります」

雪美「……そうなったら……とても……悲しい…………」

モバP「ねぇ……雪美。おとなになるってかなしいことなの……」

ちひろ「ヨヨはやめれ」

モバP「幼い頃は不思議な力がある、でも心の成長の中でそれが突然失われる――そんな物語はよく見かけるな」

雪美「……成長は……うれしいこと……、でも……素直に……喜べない……」

モバP「原因不明でコミュニケーションが取れなくなると困るのは人間関係でも同じ。相手と、そして周囲と、しっかり信頼関係を作っておきたいな」

雪美「理解……すること……してもらうこと……大事」

モバP「猫と話をしたり、幽霊が見えるようになりたいんだがなあ。そうすればそういう時も力になれるのに」

雪美「……やさしい」

146: 2018/12/15(土) 18:49:34 ID:AoEhmHFU
モバP「次のお便りです」

モバP「山梨県S.Hさん。……雪美ちゃん、ちひろさん、期限切れポイントカード、こんにちは」

雪美「こんにちは……」

モバP「財布の中にあります。すいません」

モバP「……えー、アイドルはバラエティー番組にも出ますが、もし自分の顔の木彫り像を五万円で売って来いなんて言われたらどうしますか?」

志乃「ブラックビスケッツね……わかるわ」

モバP「本人登場でセルフツッコミ入れないでください。というかそのセリフは瑞樹さんのです」

志乃「じゃあ……わかるってばよ」

モバP「それはうずまきナルトです。……酔っていませんよね?」

モバP「人間、いろいろな経験も必要だとは思います……でも自分の顔の木彫り像やクリスタル像や信楽焼のたぬきや鷹村守ばりの銅像を売って来いなんて、鬼ですよ! 鬼!」

雪美「はっきり……いいすぎ……。……でも……根性がないと……確かに……無理」

志乃「貴方のだったら、ひょっとしたら売れるかもしれないわよ……ふふ」

モバP「忘れた頃に出先で偶然見かけたりしたら恐怖なので嫌です」


ちひろ「今回紹介させていただいた方にはP画伯謹製のイラスト色紙をプレゼントします」

147: 2018/12/15(土) 18:51:36 ID:AoEhmHFU
73

モバP「古い屋敷などにある、ゴーンゴーンと鐘が鳴り響く、昔ながらの振り子時計」

モバP「良いですよね」

ちひろ「あの低いトーンが静けさの中では不気味なんですけど」

モバP「ベートーベンの月光とかを聴いていてもこう、重低音は心を揺さぶってきます」

ちひろ「ちなみにボイロは?」

モバP「あの抑揚を抑えた低血圧な感じに出す調声が好きですね」

ちひろ「低血圧に失礼だぞ。……でも、プロデューサーさんは高い声にも憧れるんでしょう?」

モバP「はい。つまり何というか、”音”って良いなあと」

ちひろ「音フェチだったか」

モバP「ちょっと静かにしてみてください」 ハイ

雪美「……すー、すー」

モバP「ほら、微かに聞こえる雪美の寝息。癒されませんか?」


ちひろ「……癒されますね」

148: 2018/12/15(土) 18:53:58 ID:AoEhmHFU
74

モバP「擬人化ってあるじゃないですか」

ちひろ「よくありますね。小さい子でも知っているようなものだと、鶴の恩返しとか」

モバP「はい。では、あなたと身近な関係の猫――ペロが人間の姿に変身したとしたら、どんな見た目だと思いますか?」

ちひろ「心理テストみたいな聞き方をしますね。そうですね……雪美ちゃんと瓜二つ」

モバP「それがあなたにいつか子どもが生まれた時、将来こんな風に育ってほしいと思う姿です」

ちひろ「心理テストだったんですか……」

モバP「まあ今適当に考えただけですが」

ちひろ「そんなこったろうと思ったよ」

モバP「ちなみに自分はですね、黒短髪の中性的でクールな女の子をイメージします」

ちひろ「雪美ちゃんいわく、ペロはぼくっ娘らしいですからね。場に合わせて”私”とか”我”とかも使い分けるようですけど」

ちひろ「じゃあ、アイドルで言えばあいさんや留美さんを少年っぽくした感じですか?」

モバP「良いですねえ」

149: 2018/12/15(土) 18:57:52 ID:AoEhmHFU
ペロ「ふんにゃ」

雪美「話は……聞かせて……もらったぞー」

モバP「おお雪美さんとペロさん」

ペロ「Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn」

雪美「人の姿になれるのなら、私が良い……って」

ちひろ「ペロ今とんでもないこと呟いていませんでした?」

ペロ「ニャー、うー! にゃー!」

雪美「大丈夫だ……問題ない……」

モバP「猫がゴニャゴニャ意味深に聞こえるようなことを言うことはよくあるからな」

雪美「……深く……考えては……ダメ……。好きなものと……いっしょになるのが……夢……」

モバP「ペロの考えは深いな」


ちひろ「あまり深淵は覗かない方が良いってことですかね? 深く考えないでおきましょう」

150: 2018/12/15(土) 18:59:45 ID:AoEhmHFU
75

雪美「……ばいばい」

モバP「おう。また明日な」

ガチャ パタン

モバP「今日は家まで送ったが、お母さんは相変わらずお綺麗だったなあ」

モバP「お父さんは何か色気があって、声をかけられると妙にドキドキするし」

モバP「……その気は無いのに何か倒錯的なんでこれ以上は止そう」

モバP「しかし、親か……人の親を見ると、実家が恋しくなるな」

モバP「元気にしているかなあ、二人とも」

モバP「こんな寒い日には、味噌汁が美味いんだよな」

モバP「おっと、いつまでもこうしちゃいられない。帰るか」

ガチャ タッタッタ ギュッ


雪美「……ごはん……食べていく……?」

153: 2018/12/22(土) 18:23:19 ID:0uVCwCkY
76

モバP「……」

雪美「……」

モバP「よし、ここだ」パチ

雪美「…………」

雪美「……王手」パチ

モバP「あっ」

雪美「……」

モバP「……負けました。つみです」ペコリ

雪美「……」ペッコリン

モバP「雪美さん、思ったよりも強くて負けちったぜ」

モバP「さすがに将棋入門番組のレギュラーをやっているだけはあるな」

雪美「……」ムフー


ちひろ「プロデューサーさんも本業まで詰まないように仕事してくださいね」 ハイ

154: 2018/12/22(土) 18:28:23 ID:0uVCwCkY
77

モバP「雪美さんは、好きな物と苦手な物、どちらから先に食べる?」

雪美「……苦手な物……の時が、多い……」

モバP「俺と同じだな」

雪美「Pと……同じ……」

モバP「まあ、時と場合にもよるから一概に言えないというのが正直な所か」

モバP「ならばイチゴのショートケーキ。イチゴから食べる? それとも最後に残す?」

雪美「……イチゴから……先に……食べる……。……たぶん」

モバP「俺と同じだな」

雪美「! ……我が友……」ギュッ

モバP「まあ、甘いケーキの後にイチゴだとイチゴの酸味が割増しになるのが嫌、という単純な理由なんだが」

モバP「あれで後味がさっぱり締まるから良いと思う人もいるのだろう」


ちひろ「話に夢がないですね。イチゴはロマンなんですよ?」 ←最後に残す派

155: 2018/12/22(土) 18:34:03 ID:0uVCwCkY
78

モバP「”名物猫ラリー”の収録、おつかれさま」

雪美「楽しかった……」ツヤツヤ

雪美「白猫が……寄ってきて……抱かせてくれた……」

モバP「雪美はロケで遠征しても地猫にすぐ懐いてもらえるからなあ」

雪美「……あの子……オッドアイだった……」

モバP「楓さん系猫か」

雪美「青と黄色の……きれいな……目……」

モバP「ほう……ひょっとしたら片耳が悪くなかったか」

雪美「! ……どうして……分かったの? ……知り合い?」

モバP「知り合いだったら世間は狭いと思うが、残念ながら違う」

モバP「白猫の青黄オッドアイはそういう子が多いことで比較的知られているんだ」

雪美「……びっくりした……P、物知り……」

156: 2018/12/22(土) 18:37:49 ID:0uVCwCkY
雪美「……楓さんは……何ともないの?」

モバP「ヒトが何ともあるような話は聞いたことがないな。大丈夫さ」

雪美「……良かった……」

モバP「猫とはどんな話をしたんだ?」

雪美「……私と話ができる人は……あなたで七人目……って」

モバP「雪美以外に六人もいるのか……」

雪美「お仕事だったから……あまり長くは……お話……できなかった……」

モバP「また会いに行けると良いな」

雪美「うん……オッドアイ……」

モバP「惹かれたか。ちなみに創作の世界ではよく3Dメガネのように鮮やかな青と赤のオッドアイがいるな」

モバP「コントラストで大したインパクトだが、現実では見たことがない」

雪美「……見たこと……ある」

モバP「それはもしかしてカラーコンタクトというやつでは?」

雪美「……うん」

157: 2018/12/22(土) 18:50:26 ID:0uVCwCkY
モバP「いや、でも確かに人工とはいえ、見たことがないというのは間違いだったな」

雪美「……他にも……写輪眼とか……いる……」

モバP「技術の進歩は凄いな。俺なんてコンタクト入れるのも怖いというのに」

モバP「それにコスプレ会場とかならともかく、予期せぬ場所で写輪眼持ちと出会ったら……」

モバP「まず二度見はすると思う」

雪美「佐城雪美が……命じる……膝に……乗せろ」カッ

モバP「それは写輪眼じゃなくてギアスですよ」

雪美「……そらが……あおいなー」シレッ

モバP「待たんかい」

ヒョイ ポスン

雪美「……ふふ……あなたにとって……私は猫のようでも……ある……?」

モバP「気まぐれな猫だな、とても」


ちひろ「雪美ちゃんにコードギアスなんて見せているのは誰ですかね」

158: 2018/12/22(土) 18:54:08 ID:0uVCwCkY
79

雪美「クリスマスイベント……おわった……」

こずえ「ふわぁ……ぷろでゅーさー……いそがしいのー」

芳乃「そうですともー。しかし、かのかたはー、必ずどこかで見守っていましょうー」

雪美「芳乃……わかるの?」

芳乃「もちろんですともー」

こずえ「ぷろでゅーさーのくれたおまもり……あったかい……えへへー」

スタッフ「えっと……このほんわかトリオで帰還は大丈夫?」

芳乃「わたくしがー、責任を持って引率しますゆえー」

スタッフ「じゃあ、お任せしますね。お疲れ様でした」

雪美・こずえ・芳乃「おつかれさまでしたー」

テクテク テクテク テクテク

159: 2018/12/22(土) 18:56:54 ID:0uVCwCkY
チャラ男「おやあんな所に口リアイドル三人衆がいるやん。声かけたろ」

ワル男「いいねぇ。その後はしっぽりやりまひょか」

サンタ「駄目です」

チャラ男「何だ駄目か」

チャラ男「って誰だお前」

サンタ「サンタです」

チャラ男「見りゃ分かるよ。さてはお前、あの子たちを襲う気だな?」

サンタ「地域の安全、笑顔を守るのが儂の役目でしてね」

ワル男「あほらし……不審者かな? 通報してやる」

エラー

チャラ男「お前のお電話壊れてるじゃねーか。……ん? いないぞ?」

ワル男「しもた、どこ行きはったんやあん子ら。はよ捕まえんと」

160: 2018/12/22(土) 19:04:53 ID:0uVCwCkY
サンタ「ここにいるぞ!」

雪美・こずえ・芳乃「……」

チャラ男・ワル男「!?」

芳乃「お仕事後はー、高揚していながらも危機察知には鋭敏でしてー」

こずえ「わるいこと、しちゃ……だめー」

雪美「……」スゥー

チャラ男・ワル男「?」

雪美「……あなたも……あなたにも……幸せな……クリスマスに……なってほしい……」

チャラ男・ワル男「」

チャラ男「……俺たちは一体何をしていたんだ」

ワル男「……感動しました。雪美ちゃんのファンになります」

サンタ「雪美……」スッ コク

雪美「……これ……あげる」

161: 2018/12/22(土) 19:07:50 ID:0uVCwCkY
――

サンタ「感激して泣きながら帰って行きおったわい。こういう時の為のケーキじゃ」

こずえ「ないすあしすとー……」

雪美「……Pは……何をしているの……?」

サンタ(モバP)「ばれたか」

芳乃「隠す気はありましてー?」

モバP「一応は、ねえ?」

雪美「……心配……した」モフッ

モバP「すまなかった。この時期は毎年、近所の幼稚園や老人ホームでサンタさんをやっているんだ」

芳乃「よき心掛けですー」ヨシヨシ

こずえ「ぷろでゅーさー……せいぎのみかただねー」

モバP「正義の味方になりたかった名残だねえ」

162: 2018/12/22(土) 19:10:34 ID:0uVCwCkY
モバP「ここからは一緒に帰ろうか。報酬としてケーキも貰っておいたぞ」

雪美「イチゴ……?」

芳乃「チョコレート……?」

こずえ「ちーず……?」

モバP「開けてビックリ玉手箱、中身は見てのお楽しみだ」

モバP「……或いはモンブランかも?」

芳乃「そなたも楽しみなのですねー」

雪美「……ふふ……クーラーバッグを持った……サンタさん……」

モバP「さすがにケーキは大きな袋では運べないからな」

モバP「ちなみに今夜はケーキとは別に、本場のノルウェーサンタを参考におかゆを食べるつもりでな」

こずえ「ひとつぶだけ……あーもんどをいれるんだねー」

モバP「そうそう、洒落ているのよ。で、幸運のアーモンドを当てるチャレンジャーをただいま募集中だ」


雪美「チャレンジ……する」 ワタシモデシテー コズエモー

163: 2018/12/22(土) 19:13:43 ID:0uVCwCkY
80

モバP「クリスマスと言えばサンタですが、この前見たんですよ」

ちひろ「何をですか?」

モバP「グリーンサンタです」

ちひろ「環境保全をテーマにしたそういう方々もいますね」

モバP「一般的に赤だったり別の色のものが、稀に緑だったりするとワクワクしませんか?」

ちひろ「スポーツカーとか某新聞の題字とかですか? ……ちなみに私は?」

モバP「ちひろさんは普段から緑基調なので特には。目には優しいですね」

ちひろ「言ったな? じゃあ赤いドレスでも着たら平伏しますか?」

モバP「赤は攻撃色でもありますからねえ。赤が緑に変わるとゴーサインですが、逆は……」

ちひろ「私が年中ゴーサインみたいに聞こえますけど」

モバP「えっ、ちひろさんにゴーしても良いんですか?」

ちひろ「馬鹿言っちゃいけねえや」

164: 2018/12/22(土) 19:19:03 ID:0uVCwCkY
雪美「また二人……いちゃいちゃ……している」

ちひろ「していません。雪美ちゃん側からそう言われる日が来るとは思いませんでした」

ちひろ「ふん、いいですよーだ。プロデューサーさんには私のサンタ姿見せてあげませんから」

雪美「……」キラキラ

ちひろ「って、雪美ちゃんがサンタしてる!?」

モバP「ああ~」

雪美「……ちひろさんも……サンタに……なろう」

ちひろ「うう……かわいい」

――

ちひろ「なっちゃいました」キラキラ

モバP「即落ちいいですね!」 ソクオチイウナ

モバP「しかし、こうして揃うと仲の良い姉妹みたいです」

雪美「ちひろ……姉さん?」


ちひろ「……///」 ナゼテレル

165: 2018/12/22(土) 19:21:01 ID:0uVCwCkY
81

モバP「こうして乗せて抱き締めていると、雪美はぬくいな」

雪美「……」

モバP「賢者の時間か」

ちひろ「言い方」

ちひろ「それにしてもお二人はスキンシップが好きですね」

モバP「言葉にされると恥ずかしいです」

ちひろ「言葉にされなくてももう少し羞恥心を持った方が良いかもしれませんよ?」

モバP「そうですね。実際そんなに質量を感じたいとか、体の繋がりを求めているという訳ではないです」

ちひろ「言い方」

モバP「やっぱり心……ですか。心が近い所にあるから安心すると言いますか」

ちひろ「率直に言って変態だと思います」 エー


雪美「…………落ち着く……」

166: 2018/12/22(土) 19:26:26 ID:0uVCwCkY
82

モバP「雪美、おはよう」

雪美「! ……P、どうしたの……? 胸、大きいし……髪、長いし……美人さん……」

モバP「俺って人外じゃない? 実は割とその通りで、性転換もできることを失念していた」

モバP「ほら。体格は少し頼りないが、乗ってみるか?」ポンポン

ポスン

雪美「…………ママ……みたい……不思議……」

モバP「やっぱりこっちだと雪美はちょっと大きいなあ。じゃあ、今度は膝枕はどうだ?」

雪美「……」ゴクリ

――

ハッ

雪美「……夢……? ……でも……わるくない……かも……?」ポー


ちひろ「雪美ちゃんが今まで見たことない類の恍惚な顔をしていますね……」

168: 2018/12/29(土) 20:01:56 ID:M1wEoXf.
83

モバP「冬は外を歩く猫を見かけなくなる季節だ」

モバP「温暖な頃にはよく見かけたあの子も、寒くなると消える」

モバP「あの子は冬を越せるのだろうか……」

雪美「不吉なモノローグ……だめ」

モバP「ごめんな。しかし雪美さんも、ある時ふいっとどこかに旅立ってしまわないだろうか」

雪美「……私は……どこにも行かない……」

雪美「だから……Pも……どこにも行かないで……」ギュッ

モバP「行くつもりはないよ。大人は止むを得ず嘘を吐かなくてはいけない時もあるが、俺の意思はその一点だ」

雪美「これだけは……絶対……約束……」

モバP「ああ。この約束が儚いものとならないように」

雪美「……はかない?」


ちひろ「人の夢と書いて、儚い」 オイ

169: 2018/12/29(土) 20:04:08 ID:M1wEoXf.
84

モバP「必要ないのに”あ、これ欲しい”と思うことがあるよな」

雪美「……ある」

モバP「以前そう思って、でも持ち合わせが無くて結局諦めた物をある日見つける」

雪美「……?」

モバP「買ってしまったんだよ……天空の城ラピュタの飛行石」ホラ

雪美「それが……欲しかったの……?」

モバP「飛行石だよ? ロマンがあると思いませんか? 浪漫飛行ですよ?」

ちひろ「米米CLUB知らないでしょ」

雪美「……でも……かっこいい」

モバP「ラピスラズリ、つまり翡翠で作られているらしいな。あ、ちょっと石の上に手を重ねてもらって良い?」

ポン

雪美・モバP「……バルス!」


ちひろ「目が、目がー! って、何言わせるんですか」

170: 2018/12/29(土) 20:05:27 ID:M1wEoXf.
85

モバP「冬と言えばこたつだぁ」ヌクヌク

雪美「うん……」ヌクヌク

モバP「小さい頃は潜り込んで隠れるのが好きだった」ミカンドウゾ

モバP「知らずに入って来た親を脅かしてみたりしてな」

雪美「息……苦しく……なかった?」ムキムキ

モバP「平気だった。体が大きくなってしまった今ではそんなことも難しいなあ」

雪美「……」パク

モバP「思えば好奇心が強かったんだな。そして自分のスペースを求めていたというか」

モバP「狭い所が落ち着くから押入れで寝てみたり、段ボールのトンネル迷路や隠れ家に憧れたり」

雪美「……男の子……ね」クス

モバP「そういう雪美さんも満更でもないのでしょう?」

雪美「……私も……隠れるのは……好き……」

171: 2018/12/29(土) 20:08:22 ID:M1wEoXf.
雪美「……P……そこにいて」フキフキ

モバP「どうした? あっ……ふーん」

ゴソゴソ ゴソゴソ

雪美「……ばあっ」

モバP「……おいっす」

雪美「……こんにちは」

モバP「……ははは」

雪美「……ふふ」

――

モバP「そしてこたつに入っていても俺の上に座る雪美さんであった」

雪美「……みかん……おいしい」アム


ちひろ「私も子どもの頃はああして伯父さんに……って、何してるんですか!」

172: 2018/12/29(土) 20:09:56 ID:M1wEoXf.
86

杏「おっす」

モバP「おう、杏か。どうした?」

杏「……雪美ちゃん、今日はいないんだね」

モバP「そうだな。寂しい寂しい」

杏「ダメだよー。最近プロデューサー、雪美ちゃんの時間を独占しすぎてない?」

モバP「……そう言われると、そうかもなぁ……いや、そうだ」

杏「いくら親しくても、親子、家族との時間はしっかり過ごさせてあげるべきだよ」

杏「個人差、環境差はあると思うけど、まだ小学生だもん。甘えたい、甘えさせたい時期だよね」

モバP「ああ。俺がわがまま言っちゃいけないな」

杏「ということで今日のプロデューサーは杏の貸し切りね」

モバP「寝取りですか」

杏「サボりだな」

173: 2018/12/29(土) 20:11:54 ID:M1wEoXf.
杏「よっと」ポスン

モバP「杏は雪美とほとんどサイズ変わらないよな。おいくら?」

杏「企業秘密なんでお答えは差し控えさせていただきます」

杏「……プロデューサーはさ」

モバP「ん?」

杏「親の言うことやることが何でも正しい訳ではないと知った時、どうした?」

モバP「そうだなあ。今思えばすぐ収まった気がするが、反抗期になった、かな」

杏「……そっか」

モバP「杏の場合は?」

杏「無気力になっちゃった」

モバP「ある意味反抗だが、達観しちゃったという方が近いか」

杏「どうかなあ」

174: 2018/12/29(土) 20:14:46 ID:M1wEoXf.
モバP「いわゆる典型的なダメ親ならいざ知らず、ずっと尊敬できる親だったならそれこそ」

モバP「ある時に”これは間違っている”という部分を感じ取ってしまうと、辛いんだろうな」

杏「分かんない。今でも尊敬する気持ちはあるんだけど、揺らぎやすくなったっていうかね」

モバP「親じゃないが俺に対しては?」

杏「プロデューサーは子どもが反面教師にするタイプの親だろうね」

モバP「おお、もう……」

杏「保護者がよく出来過ぎてると甘えたまま成長しないかもしれないし、頼りないくらいが良いよ」

杏「まあ、プロデューサーが頼りないとダメか」

モバP「せやな」

モバP「もし親がコミュ力の塊で、でも自分がコミュ障で孤立してるなんて知ったら」

杏「あっ」

モバP「悲しみそうだから、俺は恐らくそういう外でのことは親に相談しないな」

杏「それダメなやつ」

175: 2018/12/29(土) 20:16:11 ID:M1wEoXf.
モバP「自分なりにいい顔を作ろうとして、小さな無理がどんどん積み重なって、やがて自己破綻を招く」

杏「あー」

モバP「結局ね、あたしに言わせりゃ、親より優れた子はいないし、子より優れた親もいないのよ」

杏「矛盾してるよ」

モバP「だから周りに期待し過ぎず、期待させ過ぎずに生きていくのが一番さ」

ニャニャニャンニャニャニャン

モバP「おっと、雪美からメールだ」

杏「変な着信音だね」

モバP「双子のケットシーだよ。何々……浮気してない? だって?」

杏「……」ジッ

モバP「……」ジッ

モバP「してないよなあ?」


杏「飴で手を打とうか」ニヤッ

176: 2018/12/29(土) 20:17:59 ID:M1wEoXf.
87

雪美「……」キラキラ

モバP「ヘッドドレスから裾までリボンとフリルたっぷりのゴス口リのドレス」

モバP「この雪美さん膝に乗せたい。いやむしろその姿で仰向けに寝た俺の上に覆い被さってほしい」

雪美「! ……」ササッ

ちひろ「警戒してるでしょ。あまり変なこと言うと拘束しますよ」

モバP「ごめんよ。いやぁ、いつ見てもお人形さんみたいで見事な姿だが、若干メイドっぽくもあるな」

モバP「年末と言えば大掃除、掃除と言えばメイド。この時期にぴったりだ」

ちひろ「ヘッドドレスがメイドを連想させるんですかね」

雪美「……」チョンチョン

モバP「自分で触ってみているな。しかしヘッドドレスやヘアバンド、良いですなあ」

雪美「……カチューシャ、は?」

モバP「カチューシャとかカチュームとかはヘアバンドの一種らしいね」

177: 2018/12/29(土) 20:20:35 ID:M1wEoXf.
モバP「それにしても昔ほどヘアバンドでおでこを見せる子をあまり見かけなくなった気がする」

ちひろ「普通に七三分けのような髪型で見せている子はよくいますがね」

モバP「髪を下ろす時のように、外した時に女の武器になるのに」

ちひろ「もう結構前ですけど、けいおんの田井中律とかですか」

ちひろ「でも、そういう世の男性方が求めるいわゆるギャップ萌えって、女の子の本質が見えていないのでは?」

モバP「そんなつもりじゃないんですがね。アクセサリーとしても良いと思いますよ」

ちひろ「まあ、時代の移り変わりはありますから、もしかしたらまた流行るかもしれませんね」

雪美「……私の……髪型は……?」

モバP「雪美さんは、言うならぱっつんかな? 髪型って様々だから一言で説明するのは大変だよ」

雪美「……ぱっつん……」

モバP「どれ、じゃあ話のついでにちょっとおでこ見せてごらん? ふひひ」

雪美「! ……」ササッ


ちひろ「とりあえずあなたの額には冷えピタ貼っときましょうかね」 ギャーツメタイ!

178: 2018/12/29(土) 20:24:57 ID:M1wEoXf.
88

モバP「足を蹴り合う仲って羨ましいと思わないか?」

悠貴「足癖が悪いのは良いことじゃないですっ」

モバP「そうだけども。ほら、向かい合った机の下でつんつくつんつんと」

悠貴「つんつくって……私はもっとキック的なそれかと思いましたっ」

モバP「昔聴いていたラジオの男女コンビのパーソナリティーが」

『こうやって話をしていますけど、机の下では足を蹴り合っていますから。ふふ』

モバP「それを聴いてすごいほんわかしてしまったのが忘れられないの」

悠貴「じゃれ合う感じですねっ! 良いっ!」

雪美「……足の長さが……足りない……」

雪美「……悠貴……任せた」

悠貴「任されたっ! ……えいっ! えいっ!」コツッコツッ

モバP「やったなこいつぅ」


ちひろ「何か違うけどこれはこれで微笑ましい」

179: 2018/12/29(土) 20:26:41 ID:M1wEoXf.
89

モバP「君たちの今年やり残したことを聞こう」

モバP「まずありす」

ありす「はい。大晦日に、Pさんと過ごせないことですね」

モバP「ありす……」ブワッ

モバP「でも、時系列的にまだ訪れていないことをやり残したと言うのはどうなんざんしょ?」

ありす「それもそうですね。では、去年の大晦日に、Pさんと過ごせなかったことです」

モバP「ごめんなぁ……」ブワッ

モバP「次に凛」

凛「はい。私は、プロデューサーを犬派に引き込めなかったことかな」

モバP「いや、犬も好きなんすよ。好きなんすけど、だけどやっぱりマ・マーのスパゲティ」

モバP「ねぇ知ってる? スーパーマリオの大好物って、キノコじゃなくてスパゲティなんだって」

凛「知ってるよ」 マーイーニーチーヒトーツー

180: 2018/12/29(土) 20:29:40 ID:M1wEoXf.
モバP「……」

凛「……」

モバP「……凛の目は優しいな」

凛「……ふふっ、何言ってんの」

モバP「次に輝子」

輝子「フヒ。私は……プロデューサーと初体験できなかったことだぜ! ヒャッハー!」

モバP「してはいけない(戒め)」

輝子「いけないのか……? 初体験……」

モバP「おっと、変な意味での初体験でないなら良いんだぞ? おかわりもいいぞ!」

輝子「……親友の……おかわり……お腹いっぱい……フヒヒ」

モバP「一体何の初体験なんだ」

輝子「……その時が来たら、な」

181: 2018/12/29(土) 20:31:36 ID:M1wEoXf.
モバP「次にあやめ」

あやめ「はっ! あやめはですね、ダーツがあまり上達しなかったことですね」

モバP「お前……みんな俺関係のことばかり言うのに、しっかり自分のことを言うとは」

あやめ「えっ、えっ? もしかして今回はそういうアレですか!?」

モバP「偉いぞ。このまま俺ネタで埋め尽くされるのかちょっと怖かったんだ」

あやめ「えへへ♪ 嬉しいです――って、ダーツに突っ込んでくださいっ!」

モバP「またまた、君の得物は手裏剣とクナイでしょ」

あやめ「投げる練習ですよっ!」

モバP「次にこずえ」

こずえ「はーい……とっぷあいどるに、なれなかったことー……」

モバP「真面目だぁ!? 力不足ですまない!」

こずえ「でもー……とっぷあいどるって……ひとりだけー?」

182: 2018/12/29(土) 20:34:22 ID:M1wEoXf.
モバP「ナンバーワンじゃなくてオンリーワン。誰か歌っていたがな」

モバP「同じ方向性からトップを超えられる一人だけしか成れないものではあってほしくない」

モバP「てっぺんがいくつもあるタイプの王冠のように、それぞれが個性でトップに立てば良い」

こずえ「こせい……よーし、がんばるのー」

モバP「次にみく」

みく「はい。Pチャンにご飯作ってあげられなかったことかにゃ」

モバP「気持ちだけ受け取っておくさ。ありがとう」

みく「照れるよ……って、素直だね。嫁さんと似てきたかな?」

モバP「似てると言っても伊吹吾郎と宇梶剛士並に似てる訳じゃない」

みく「その例え分かんないよ!」

モバP「ちなみにお魚の克服は?」

みく「やっぱこの人ダメだにゃ」

183: 2018/12/29(土) 20:39:10 ID:M1wEoXf.
モバP「七海ちゃん」

七海「七海ちゃん言うな。そうれすね~、プロデューサーと海で泳ぎたかった!」

モバP「普通だな。……今から泳ぎに行くか?」

七海「行けるかい! ……って、何水着に着替えてるんれすか! え? もう出番終わり!?」 

モバP「今から海に行くことになったが、最後に雪美」 エエッ!?

雪美「私は……仁奈と……お泊まり……したかった」

モバP「結構個人的なことだったかー。今度それとなく掛け合ってみておこう」

雪美「……ありがとう……そして……水着……寒そう」

モバP「何のピロシキ。……雪美さんは、今年は良い一年だったかい?」

雪美「うん……!」

モバP「ああ~、キラキラしているなあ」

モバP「ということで今回は強引にお開き。また来年」


雪美「ばいばい……」

184: 2018/12/29(土) 20:41:33 ID:M1wEoXf.
90

モバP「今年もこれで仕事納めか。はい、終わり」

ちひろ「お疲れ様でした。これ、元気が出るように、サービスです」

モバP「ドリンクですか。ありがとうございます」

キュリッ ゴクゴク

モバP「優しい味がしますね。お姉ちゃんの味というか」

ちひろ「何を頓狂なことを言ってるんですか」

ちひろ「そしてこれは雪美ちゃんからです。一年の労いの気持ちをなるべく簡素に表してもらいました」

モバP「イチゴ大福! 大好物なんですよこれ。あんこの甘さとイチゴの酸味の不思議な出会いが」

ちひろ「はいはい。どうぞおあがりよ」

パク

モバP「……イチゴ、美味しいなあ」ホロリ


ちひろ「では、良いお年をお迎えください」

185: 2018/12/29(土) 20:45:37 ID:M1wEoXf.
今日はここまで
彼こそが海賊

186: 2018/12/29(土) 22:46:25 ID:qb6Dyjfs

伯父×ちひキテル……?
唐突に出てきた乙倉くんがメッチャ微笑ましい


to be continued...→


引用: モバP「雪美さんといっしょ」