353:◆ORDERq/08U 2019/03/30(土) 20:12:39 ID:HFW/QGRU




前回はこちら


雪美さんといっしょシリーズ


181

モバP「おはよう雪美」

雪美「……P……! おはよう……」

雪美「これから……お仕事……行くの……? 私も……学校……」

雪美「場所はちがっても……いっしょだね……。途中まで……二人で……行こう……」

モバP「おお、良いねえ」

テクテク

モバP「……雪美は最近、感情表現が豊かになってきたなあ。よく喋るようにもなったし」

雪美「……そんなこと……ない……」

モバP「無表情クール系ヒロインはそのままでも良いが、それが心を開くとよりグッとくる」

雪美「……?」

モバP「だが人を属性・記号で見ている訳ではないぞ? 雪美は雪美だから好きなのだ」

雪美「……Pは……好きなものに……正直……だね……」


雪美「私も……もっと正直に……なる……」ダキッ

354: 2019/03/30(土) 20:16:22 ID:HFW/QGRU
182

モバP「日常の一風景」

モバP「首を傾げる雪美さん」

雪美「……」キョトン

モバP「あざとい」

雪美「……」クイッ

モバP「あっ、元に戻った」

雪美「……」

モバP「でも艶やかで滑らかなその髪が重力に沿って傾き垂れるのはたまらないものがあります」

雪美「…………」キョトン

モバP「あっ、また……。雪美の髪は量も多いせいか結構ダイナミックに動くねえ」

雪美「……」クイッ


ちひろ「雪美ちゃんは結構素で猫のような挙動をしますよね」

355: 2019/03/30(土) 20:18:11 ID:HFW/QGRU
183

ガチャ

ちひろ「こんにちは。新しいアイドルの子ですね?」

雪美「……うん」

ちひろ「担当になってもらうプロデューサーを早速、呼び出しますから少し待っていてくださいね」

雪美「……」

ちひろ「千川です。……はい。……ええ、そうです。来てもらえますか?」

ガチャ

モバP「来たぞ」

ちひろ「お早いですね。佐城雪美ちゃん、こちらがプロデューサーさんです」

雪美「……」ポカーン

モバP「私がプロデューサーのモバPだ。君のような年頃の子は初めてだが、これからよろしく」スッ

雪美(……丸太、みたいな……腕……、手も……大きい……)

雪美「……」ブルブル

356: 2019/03/30(土) 20:24:13 ID:HFW/QGRU
ちひろ「あら、怖がらせちゃダメですよ? プロデューサーさんったら」フフフ

モバP「こんな外見だ。所属アイドルからは熊男と呼ばれているが、まあ最初は仕方あるまい」

雪美(……浅黒い肌……髭……鋭い目……)

モバP「まずはその天中殺か暗剣殺といった顔は私に全部預けて、笑顔の練習から始めようか」ギラッ

ちひろ「プロデューサーさんの笑顔、素敵です……」

雪美(……笑顔が……邪悪……すぎる……)クラッ

雪美(つっこみ……不在の……恐怖)

雪美(……たすけて)

――

ちひろ「こうならなくて済んだ今の世界は、絶妙なバランスで成り立っているのかもしれませんね」

モバP「雪美ならこれはこれで何とか適応していきそうだがな?」

雪美「……私を……買い被らないで……」


ちひろ「ところでプロデューサーさんはキャラ変えとかなさらないんですか?」 ナイデス

357: 2019/03/30(土) 20:27:21 ID:HFW/QGRU
184

モバP「たまに自分でも意外なくらい仕事に集中・没頭できて高揚感を感じる時はないか?」

凛「あるよ。言うなら、ゾーンに入る、って感じだね」フッ

モバP「あれは気持ちが良いよな。作業も捗るし」

凛「だね」

ちひろ「それを狙って発揮できるようになれたら良いんですけどね」

モバP「人間のやる気スイッチに通じるものがありますね。なかなか見つからないが」

ちひろ「第一あなたは普段から雑念が多すぎるんですよ。そりゃ見つからない訳です」

モバP「男は敷居を跨げば七人の敵ありとはよく言ったもんでござい」

凛「プロデューサーの敵は……内にありそうだね」

モバP「俺の中には傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲の七人の侍が」

ちひろ「それは七つの大罪だ」

凛「敵だらけ……それでも私たちは戦わないといけないんだ、現実と」

358: 2019/03/30(土) 20:31:03 ID:HFW/QGRU
モバP「とりあえずゾーンに入っている最中は作業の手は区切りがつくまで休めない方が良い」

モバP「何かの拍子に接触が切れてしまうと、それまでの勢いが忽然と止まってしまう」

ちひろ「ただし止まろうがやる気が削がれようが、仕事は待ってくれませんけどね」

モバP「で、結局モチベーションが戻らないまま手を付けることもしばしば。乗りきれないのです」

凛「相当にマイペースだなぁ。……あっ、雪美だ」

雪美「……こんにちは」

雪美「……P……乗せて……?」ピョンピョン

モバP「……」

モバP「……いいぞ~。こいこい」ニヘラ

ヒョイ ポスン

雪美「……」ムフー

凛「ぴょんぴょんは反則だよ……」

モバP「はぁー……何か雪美が乗ると余計な思考は全部吹っ飛ぶね」


ちひろ「なおその後のインプットが」

359: 2019/03/30(土) 20:33:05 ID:HFW/QGRU
185 

雪美「最近……学校で……よく声を……かけられる……」

モバP「知名度的にはもう、ちょっとした有名人さんではあるだろうからな」

雪美「……少し……うれしい……」

モバP「良かったなあ。雪美は見てくれも良いから隙が無い」

雪美「……良くしたのは……P……」

モバP「せやろか? まあ芸能活動を始めて垢抜ける子は多いから間違いでもないか」

モバP「プロデューサーはシンデレラに魔法をかける魔女のようだとか誰か言っていたな」

雪美「Pが……魔女……」ジッ

雪美「……ふふっ」

モバP「笑うな」

雪美「……でも……Pは……王子様……の方が……合ってる……」

モバP「王子様、か」

モバP「俺は裏方側の人だから王子様役としてはどうなんだかな」

360: 2019/03/30(土) 20:34:21 ID:HFW/QGRU
雪美「シンデレラが……がんばるのは……王子様の……ため……」

雪美「……私も……Pのためなら……がんばれる……」

モバP「雪美……」ジーン

モバP「ただそれだと魔女がちょっと立場がないから……魔女と王子様は実は繋がっているということで良いかな?」

ちひろ「何だその新解釈」

モバP「で、そんなシンデレラの体現とも言える雪美さんは現在上下ともジャージで膝の上な訳ですね」

雪美「……たまには……がんばらない……シンデレラ……」キラキラ

モバP「頑張らないのにこんなにキラキラできるとは……やはり天才か」

モバP「それにしても学校生活は上手くやれているようで何よりだ」

モバP「俺からすると有名故に高嶺の花として周りから距離を置かれたり遠慮されたりしないのかと思うが」

雪美「……みんな……エリート……だから……浮いてない……」

モバP「個性が特別にならない良い環境にいるんだなあ」


ちひろ「やさしい世界……なのか?」

361: 2019/03/30(土) 20:36:45 ID:HFW/QGRU
186

モバP「俺の膝の上は特に誰の物とかではなく、いわば無料で一般開放しているようなものだ」

モバP「しているようなものなんだが」

輝子「どうした……?」ギシギシ

モバP「そうバウンドしないでくださらない? スタイル良い子がミニスカートで無防備ですよ?」

輝子「フフ……良いじゃないか、親友……。はしゃぎたくなるんだ」グリグリ

モバP「おい尻……君はどうしてそうなってしまったんだ星くん」

輝子「さあ、どうしてでしょう……?」クスッ

モバP「!」ドキッ

輝子「フーッハッハァァ!! このまま組んず解れつで――!」

雪美「……」ジーッ

輝子「レスリングでもしようかー」

雪美「わーい……」


ちひろ「事務所で何やってんだあんたらは」

362: 2019/03/30(土) 20:51:49 ID:HFW/QGRU
187

ちひろ「今日のおやつは桜餅ですよ」

雪美「……」モグモグ

雪美「……少し……塩気……あって……おいしい……」

モバP「”今日のおやつ”が事務所で振舞われるのが何かもう生活感に満ちていますよね」

ちひろ「職場でもぐもぐタイムは賛否両論と聞きますけど、ここではもう定着していますから」

雪美「でも……桜もち……二種類……ある……」

ちひろ「関東の長命寺と関西の道明寺ですね。これは皮で巻いた前者ですけど」

モバP「西日本育ちの雪美はこっちの桜餅はあまり馴染みがない方かな?」

雪美「ん……でも……そういうの……他にも……たくさん……」

モバP「あるな。例えば雑煮とか、餅に餡子が入っていたり具や出汁が違ったり、地域で様々だ」

雪美「……ラーメン……うどんも……」

モバP「仕事で各地を回ったりするからメシもいろいろ知れて楽しいよな」


ちひろ「……結構庶民派なんでしょうか? 私たちって」

364: 2019/04/06(土) 20:40:55 ID:SyHDBtfo
188

モバP「雪美さんのちょっと色気のある瞬間」

モバP「結んだ髪を解く時」

雪美「……」パサッ

モバP「……桃源郷はここにあったか」

雪美「……」フルフル

モバP「髪にボリュームがあって羨ましいなあ。俺も伸ばそうかな」

雪美「……それは……やめた方が……」アッハイ

モバP「それにしても、髪を下ろす時、よりガツンとくるのは普段から常に髪を結んでいる子だと思う」

雪美「……結んでいる……方が……良い……?」

モバP「雪美に、特にベッドとかでそれをされるとオーバーキルだから、今のままで」

雪美「……分かった。……大切に……してね……?」

モバP「ああ、大切にするよ」


ちひろ「な、何の話だったの?」

365: 2019/04/06(土) 20:43:12 ID:SyHDBtfo
189

モバP「主に夏、傘を持たず外を歩いていたら、すごい通り雨に遭う――」

モバP「そんなことは油断の多い小学生の頃はよくあった」

雪美「……」

モバP「大体はどこか適当な建物に入って雨宿りをして止むか弱まるタイミングを待つものだが」

モバP「たまに開き直ってそのまま雨ざらしになったりもしたな」

雪美「……風邪……ひきそう」

モバP「本当にね。水を吸った服をそのまま着ているのは普通に心地も良くない」

雪美「……うん」

モバP「家に帰ったら勿論すぐ風呂場行きで着替えさせられたよ」

モバP「……雪美の濡れた髪をバスタオルで拭いてあげたりしたいがなぁ、俺もな~」

雪美「……///」


ちひろ「普通の会話から突然豹変するのはやめようね」

366: 2019/04/06(土) 20:49:30 ID:SyHDBtfo
190

雪美「……」シュルシュル ファサッ

モバP「……?」

雪美「……! ……P……これ……どうしたの……?」

モバP「あきらに噛まれたんだ。ちょっと興が乗りすぎてね」

雪美「……キスマーク……?」

ちひろ「どれどれ見せなさい」

ちひろ「って、何だ……これはキスマークではなく歯形ですよ」

ちひろ「というか事務所で首元を肌蹴させないでください。変態ですか」

モバP「雪美が脱がせてきたんです。……”雪美が脱がせてきた”、何か響きがえOちぃですね」

ちひろ「だまらっしゃい」

ちひろ「第一、首筋を噛まれるってどんなムーディーな遊びをしているんですか」

モバP「あきらあかりりあむの三人と親睦を深める為に王様ゲームを」

ちひろ「はいぃ?」

367: 2019/04/06(土) 20:51:12 ID:SyHDBtfo
モバP「ソフトな感じにやるから! と、りあむからの提案で参加したんですが」

モバP「最終的にあきらが吸血鬼の真似をすることになり、こうガブッと」

ちひろ「ガブッとじゃないですよ。そこはきちんと監督してください」

雪美「……」ムー

モバP「ゆ、雪美さん?」

ガバッ

雪美「……私も……Pに……印……付ける……」

カプッ

モバP「うっ……!」

雪美「…………ん……できた……ふふ」

モバP「」

ちひろ「」


雪美「……♪」

368: 2019/04/06(土) 20:53:23 ID:SyHDBtfo
191

紗南「聞いてよPえも~ん!」

モバP「どないしたんや」

紗南「雪美ちゃんにまた負けたの~!」

モバP「ゲームでか? 紗南が雪美にゲームで負けるたあ天変地異の前触れかい」

雪美「……失礼な……」

モバP「だがジャンルにも寄るな。アクション、格闘、落ち物パズル等いろいろあるが」

紗南「桃太郎電鉄」

モバP「ボードゲームの引き運はね……」

雪美「……今日は……絶好調の……日だった……」

紗南「雪美ちゃんさくま並に強いんだよ?」

まゆ「呼びました?」ヒョコッ

紗南「うわあっ!? びっくりした!」

369: 2019/04/06(土) 20:55:47 ID:SyHDBtfo
モバP「紗南。ウチにはこずえとか芳乃とか人知を超えた存在がいるだろう」

紗南「その二人も勝負事とかはやたら強いんだよね」

モバP「雪美だったらそんなことはないはずと油断してかかったのではないか?」

紗南「うう……まさかそんな」

モバP「もっと技術の要るゲームなら勝てるだろうに」

紗南「そこはほら、ゲストと経験で差が出るもので対決するのは何だかなって思うじゃん」

モバP「人には得意分野があるからな。クイズゲームでもノンセクションより特定ジャンルが正答率高いとか」

まゆ「まゆはプロデューサーさんに関するクイズなら負けませんよ」

雪美「……Pの、ひざのことなら……」

モバP「俺の膝に関するクイズの出題とは何ぞや」

モバP「しかし雪美は将棋とかも出来るから、ただ運だけで勝ってくる訳じゃないぞ」

紗南「Pさんが特訓してたりはしないの?」

モバP「してるわ」 オイコラ

370: 2019/04/06(土) 20:58:16 ID:SyHDBtfo
紗南「というかPさんも一緒にやろうよ! まゆちゃんも!」 イイデスヨ

モバP「いやあ、桃鉄とか人生ゲームとかは最悪リアルファイトになるでしょ」

まゆ「プロデューサーさんとリアルファイト……」

雪美「Pと……」

紗南「……」

三人「……///」

モバP「何故照れる」

紗南「でも、やっぱりこういうのは四人プレイでやるのが一番面白いよね!」

モバP「普段ソロプレイのぼっちを舐めんなよ」

紗南「あっ……ごめん」

モバP「いや、気を遣われると逆に申し訳ない」

雪美「準備……できた……。……始めよう……」ポスン


紗南・まゆ「対戦でも膝に乗るのか……」

371: 2019/04/06(土) 21:00:37 ID:SyHDBtfo
192

モバP「」

菲菲「出端から硬直してるネ。プロデューサーさん、ふぇいふぇいダヨー」

雪美「……雪美だよー……」

モバP「はっ……!? 君たちチャイナドレスではないか!」

雪美「……」キラキラ

モバP「一般的なサイドスリットのワンピースだけでなく、スカートと合わせているんだな」

菲菲「春麗みたいに露出するのはネー、ちょっと勇気が要るヨ」

雪美「……きたえぬかれた……太もも……」

モバP「あれはさすがにね……股圧でリンゴ潰せるんじゃないかみたいな」

菲菲「発想が斬新ダヨ……それはそうと! プロデューサーさんに桃まんを作ってきたヨ!」ハイ

雪美「私が……調理補助……した」エッヘン

モバP「わお! これは美味しそうだ。食べよう食べよう」

372: 2019/04/06(土) 21:02:20 ID:SyHDBtfo
――

モバP「いや、実に中華情緒のある味がしたよ。ごちそうさまでした」

菲菲「お粗末様でした」

モバP「菲菲と雪美二人でよく作ったな。手作りはさすがだ」

菲菲「もっと褒めても良いんダヨ? 遠慮いらない」

モバP「それにしても何故桃まんなんだね?」

菲菲「プロデューサーさんは桃が似合っているから……仙人みたいだもんネ」

雪美「……」コク

モバP「俗世から離れているというか浮世離れしているとは言われることもあるが」

菲菲「普段は隠しているだけで空を飛んだりできそう」

モバP「ないよ。そんな便利が力があったら出社する時に使うわ」

雪美「……本当かな……?」

373: 2019/04/06(土) 21:05:16 ID:SyHDBtfo
モバP「……そういや雪美が菲菲みたいにシニヨンを二つ作っているのは珍しいな」

雪美「……髪型の……練習中……」

モバP「ほう。……まあ、雪美娘々はいろいろと変化してくれる方が俺は嬉しい」

雪美「……にゃんにゃん?」

菲菲「娘々とは……かくかくしかじか……ダヨ」

雪美「……にゃ~ん……」

モバP「まあ日本ではあまりニャンニャンは使わないか。変な意味に取られかねないし」

雪美「……?」

菲菲「日本のニャンニャンってどういう意味ネ?」

モバP「30年以上前でもう完全に氏語と化しているかもしれないが、何々とか××とか」

モバP「人前で言葉に出すのが憚られることだ、うん」

菲菲・雪美「……?」


ちひろ「理解できる自分が少し悲しい」

374: 2019/04/06(土) 21:07:30 ID:SyHDBtfo
193

紗南「レッドスクリーンってびっくりしない?」

モバP「どうした。何をしたらそんなものを拝むことになる」

紗南「exeゲームをやっていたら脅かしでやられちゃってさ」

モバP「なるほど。ああいうのは悪意が露骨だからな。レッドは目にくるし勘弁してほしいね」

モバP「全画面攻撃はブルースクリーンでもブラックバックに白字でも怖いのに」

紗南「そんなに詳しいということは、Pさんもホラーゲームやるんだね」

モバP「いや、どちらかと言うとPCやゲーム機本体のエラーだ」

紗南「えぇ……。Pさんこそ何をしたらそんなものを拝むことに」

モバP「紗南、突然理不尽に訪れる現実ほど怖いホラーは無いんだ。バックアップはしっかり取っておけ」

モバP「でないとこうなる」

雪美「brinGmeBAckthereIaMaLivehereIwilLneverletYouforgetabOutme」

紗南「ひいっ!?」


――

紗南「……あ……ゆ、夢かあ……」

375: 2019/04/06(土) 21:08:57 ID:SyHDBtfo
194

モバP「俺は常日頃甘かった。生チョコ&ミルクの欲張りダブルホーン並に甘かった」

モバP「雪美め、何をしても俺ならやり返さないと侮りおって。許さん! お仕置きじゃあ!」ガバッ

雪美「……きゃー」

モバP「今回の罰は、おお何と恐ろしい! くすぐりの刑だ!」コチョコチョコチョ

雪美「……ふふっ、……あはははっ!」

モバP「どうだどうだ~! 足の裏は!」コチョコチョコチョ

雪美「や、やめて……あはははははっ……ひーっ」

モバP「まだまだぁ! 容赦せんぞぉ!」コチョコチョコチョ

雪美「……っ! ……っ!!」バンバン

モバP「とどめは脇だ、くらえ!」

パシッ

モバP「誰だ、邪魔をするんじゃな……あ!」


巴「楽しそうじゃのう? うちも混ぜてくれんか?」ゴゴゴゴゴ

376: 2019/04/06(土) 21:12:16 ID:SyHDBtfo
195

モバP「仕事に没頭していたらエイプリルフールをすっかり忘れていた」

ちひろ「今日はなんにもないすばらしい一日だったまる」

モバP「ぼくなつはやめて」

ちひろ「何かとっておきの嘘でも吐いてみる計画だったんですか?」

モバP「今日はエイプリルフールじゃないぞ? という嘘を」

ちひろ「すぐバレる嘘を吐くな、と言われたことありませんか?」

モバP「ありますあります」

雪美「……P……」

モバP「お、どうしました雪美さん」

雪美「今日は……一体……何日……?」

モバP「そりゃあお前……四月一日だろう。わたぬきさんですよ」

雪美「……じゃあ……昨日は……?」 ン? アレ?


ちひろ「こいつらいつも無限ループにはまってんな」

379: 2019/04/13(土) 21:34:47 ID:B3JbJDHM
196

雪美「……P……あそぼ」

雪美「……P……元気……ない……? 私が……元気に……してあげる……」

雪美「……P……もっと……私に……頼って……」

雪美「……もう……くすぐったい……ふふっ」

雪美「……いけないおてては……この子……?」

雪美「……あっ……そこ……気持ちいい……もっと……ほしい……」

雪美「……P……温かい……」

雪美「……いつまでも……どこまでも……深く、繋がって……いよう」

――

ちひろ「お前はなんちゅう犯罪的なボイスを録っているんだ」

モバP「普段のやり取りを録ってみただけなんですがね」

モバP「まあ改めて聴き直すと何とも微笑ましく……はなく千枝ちゃん並には危ないなこれ」


ちひろ「物分かりが宜しいようで」

380: 2019/04/13(土) 21:38:33 ID:B3JbJDHM
197

モバP「日常かどうかは知らない一風景」

モバP「暗闇で目を光らせる雪美さん」

雪美「……」キラッ

モバP(やだ……物陰からこっち見てる……)

雪美「……」ジリジリ

モバP「…………」ソワソワ

雪美「…………」ジーッ

モバP「……今だ逃げるっ!」ダッ

雪美「待てっ!」バッ

ガバッ

雪美「P……もう……どこにも……逃がさない……」

モバP「たはは……参ったなあ」チラッチラ


ちひろ「よぉし、その男はおまえにくれてやる。好きにしろッ!」 ヤッタゼ

381: 2019/04/13(土) 21:40:43 ID:B3JbJDHM
198

モバP「お父さん、お母さん、お元気ですか。私もペロもとても元気です」

モバP「仕事の方も何とか軌道に乗って少し自信がついたみたい」

モバP「(中略)落ち込むこともあるけれど、私、雪美の長い髪が好きです」

雪美「お、おう……」

ちひろ「お前は一体誰目線で独白をしているんだ」

モバP「でも雪美がおかっぱだったとしたらそれもそれで全然アリだと思います」

ちひろ「同意します」

雪美「……短く……してほしい……の?」

モバP「長いままでいてほしいし短い君を見たくもあるという二律背反だよ」

雪美「もう……わがまま……」

ちひろ「ですけど芸能の仕事をしていると例えばドラマに出演するなら、髪型指定されたりしますよね」

モバP「ショートボブでオファーが来たら雪美はどうする?」

382: 2019/04/13(土) 21:51:19 ID:B3JbJDHM
雪美「…………」ウーン

モバP「髪は伸びるものとは言っても、元が長いと一朝一夕で元通りとはならないから悩んで当然か」

雪美「……とりあえず……今は……このままで……」

雪美「……でも……小学校……過ぎたら……少し短く……する、かも」

モバP「そうか。まあ、小学生くらいなら良いけど中高であまり長い髪の子はそういないよな」

ちひろ「その辺は校則とかありますからね。結ぶか、肩までにしろなんて言われたり」

モバP「もし、雪美が阿良々木月火みたいにばっさり短くしたら……ああ」

雪美「……短く……したら……?」

モバP「いや、やめよう。想像するだけで平静を保てなくなりそう。仕事なんか手に付きやしないだろうね」

ちひろ「はた迷惑な大人だなあ」

モバP「突然髪を切ってきましたとか言って目の前に現れたら卒倒も辞さない」

雪美「それは……びっくりする……でも……面白そう……!」

モバP「面白がるな。しかし乙女の脅かしは許せちゃうのが悔しい」


ちひろ「プロデューサーさんは実に守備範囲の広い面食いですよね。でないと務まらないでしょうけど」

383: 2019/04/13(土) 21:56:51 ID:B3JbJDHM
199

モバP「じゃあ逆に雪美にさせてはいけない格好を考えてみませんか」

ちひろ「突然何が”じゃあ”なんやら」

モバP「ツインエンジェルBREAKのエンジェルサファイアとか」

ちひろ「はあ」

モバP「魔法騎士レイアースの龍咲海(魔神モード)とか」

ちひろ「はあ」

モバP「ファンタシースターオンラインの青フォニュエールとか」

ちひろ「どうしてあなたはそう同系統の物を羅列するんですか」

モバP「青基調の涼やかなトップスに、黒のレオタード風ボトムス。半分水着みたいでセクシーです」

ちひろ「如月すみれや龍咲海みたいな中学生でもアレなのに小学生に着せたら犯罪臭MAXですね」

ちひろ「……いけなくなかったら着せたいつもりじゃないですよね」

モバP「ソンナコトナイヨー」

ちひろ「こいつすげぇ変態だぜ?」

384: 2019/04/13(土) 21:58:39 ID:B3JbJDHM
雪美「……楽しそうに……話、している……ね」

ポスン

雪美「……Pの温度は……今日も……快適……」

ちひろ「本当、膝乗りに飽きませんねえ」

雪美「それが自慢……」ニコ

ちひろ「はう……こんな無垢な良い子に私欲で破廉恥な格好をさせるのはダメです」

モバP「分かってますって」

ちひろ「本当ですかね」

モバP「良いこと悪いことの線引きも大事ですが、ちひろさんは冗談を冗談と分かった上で乗ってくれますから」

モバP「そういうところ、嫌いじゃないですよ」

ちひろ「……あなたも、本当に悪いことする時は黙って実行するでしょうからね」ハァ

モバP「そうそう、ここで話をしている限りは安全です――って、しませんよ」

ちひろ「まあ、雪美ちゃんが乗っている限りはそう悪さも出来ないのは確かですね」


雪美「……ふふふ」

385: 2019/04/13(土) 22:02:26 ID:B3JbJDHM
200

モバP「春も酣。過ごしやすい朝だね、雪美さん」

雪美「ええ、Pさん……」

モバP「雪美さんと一緒になってもう四十年か」

モバP「楽しいこと、喜ぶこと、驚くこと、辛いこと、悲しいこと――いろいろあったな」

雪美「……それでも……早いものです……」

モバP「ああ。俺も今じゃすっかり老けてしまって……」

モバP「雪美さんのおかげで歳の割には若く格好良くはいられているが」

雪美「……あなたはいつまでも……私の一番です」

モバP「うん……そうなんだがな」

雪美「……?」

モバP「雪美さんは四十年……どころか下手すると出会った頃から本当に変わらないな」

雪美「まあ……お世辞は結構ですよ」

386: 2019/04/13(土) 22:05:55 ID:B3JbJDHM
モバP「いや、冗談抜きに雪美さん、全く歳を取りませんよね」

雪美「……」キラキラ

モバP「こうして着物が似合う、物腰はすっかり落ち着いた上品な女性なんだがな」

雪美「……猫だって……見かけはほとんど……老けないでしょう……?」

雪美「こう見えても……昔のような激しい運動は……もう、できませんよ」

モバP「何てことだ、雪美さんは猫だったのか。もしくはエルフか?」

雪美「エルフは……晩年に外見も一気に老いて氏ぬ……なんて言いますね」

雪美「もし私が……先に、逝くようなことがあれば……その前に姿を消したい……」

雪美「ペロも……衰弱した自分の氏に際は見られたくないと……旅立ってしまった……」

モバP「そんなこともあったな……だが、子どもたちや孫たちはどうする」

雪美「……冗談ですよ。……でも……あの時のように、綺麗なまま引退するのも……悪くない……」

モバP「アイドル活動か……まだ未練があるか?」

雪美「いいえ……あなたと一つになれて、これだけ幸せに恵まれたんですもの……」

387: 2019/04/13(土) 22:08:18 ID:B3JbJDHM
ピンポーン ハイハイ ガチャ

こずえ「雪美さんとPさんに、ご挨拶に来たよー。元気そうだねー」キラキラ

芳乃「おや、懇ろな一時をお邪魔してしまいましてー?」キラキラ

雪美「あっ……こずえさんに芳乃さん……ふふふ……こんにちは」

雪美「まあ上がって……お茶でも入れますよ」

モバP「……外見が変わらない子が多すぎやしませんかね?」

――

モバP「……」パチリ

モバP「――はぁー」

晶葉「おはようP。未来の今日を体験できる装置はどうだったかな?」

モバP「う~ん……俺の心象風景が映し出されたのかなあ。あれが未来だとちょっと怖いわ」


晶葉「……未来とは人の希望でもある。つまりはそういうことでは?」 エッナニソレハ

388: 2019/04/13(土) 22:11:46 ID:B3JbJDHM
201

紗南「このおっさんはどうしてこう攻撃を外すのかなー」

モバP「おや、実況収録中……ではなさそうだな」

紗南「あっPさん。残念だけどこのゲームは一人用なんだ」

モバP「良いってことよ。誰かのプレイをただ見つめるのも好きだ」

モバP「ついでに言うと酒とつまみでも横に置いてまったり観戦だね」

紗南「プレイするより動画見るのが好きなタイプかな? でもこのゲームは長丁場だよ~」

ピロリ ザザッ ピロリ

紗南「ああ~何連続で外すんだ! あっという間にピンチじゃないか!」

モバP「トルネコのおっさんやシレンのおにいちゃんはそれが様式美だから仕方ない」

紗南「目の前で寝ている相手に対しても攻撃外した時はさすがに絶句だよ」

モバP「試行回数が多いゲームだから割と奇跡的な屑運に遭遇することも多少はね」

モバP「ローグライクは奥深い。底なし沼かもしれないがそれが良い」

389: 2019/04/13(土) 22:13:16 ID:B3JbJDHM
雪美「……ローグライク……?」

モバP「おう雪美。そういうゲームのジャンルだよ」

紗南「雪美ちゃん! あたしに引き運ちょうだいな~」

雪美「やってみる……。……むむむ……む~ん」

紗南「あ、サイキックパルプンテはたまに事故るからやめとこ?」

モバP「前科あるのか……怖や怖や」

雪美「……何が、起こるか……分からないのが……人生……」キリッ

アハハハ

紗南「他愛ない話だけどさ」

モバP「何だい」

紗南「ローグライクにアイドルがモンスターとして出てきたらって妄想しない?」

モバP「しますねえ。いろいろアイデアが膨らみますですよ」

モバP「もっとも、本家もびっくりなくらい種類が多すぎて全員は出せないだろうがな」

390: 2019/04/13(土) 22:16:14 ID:B3JbJDHM
雪美「……」

モバP「雪美さんは何となくこっちを沈黙状態にしてきそう」

紗南「メルモンかな?」

モバP「というか雪美さんに口を塞がれて沈黙状態にされたいですね」

雪美「……」ムギュッ

モバP「……!」

雪美「……大人しく……なったね……」

紗南「雪美ちゃんに大人しくさせられちゃうとか、良いなあ」

雪美「……たまに……口で……塞いだりも……する」

紗南「Pさん……いくら仲良いからって乳繰り合うのも程々にね」

モバP(そこはさすがに誇張表現だよ)

紗南(はっきり否定はしないのか……というか脳内に直接来ないで)


ちひろ「不埒な意識を感知したのでプロデューサーさんを捕まえに来ました」ガチャッ

391: 2019/04/13(土) 22:19:01 ID:B3JbJDHM
202

モバP「んー、んまい」モグモグ

ちひろ「プロデューサーさんのお昼ごはんはたこ焼きなんですね」

モバP「笑美が差し入れてくれました。かつお節がたっぷり乗っていてボリュームありますよ」

ちひろ「へー」

モバP「お一ついかがです? はい、あーん」

ちひろ「勢いで何をやろうとしているんですか。結構です」

モバP「残念。しかし容器がまた発泡で無地の折蓋で、昔ながらのファストフード感があって良いですよね」

ちひろ「シンプルイズベスト、ですか。今はたこ焼きだと木舟のようなオシャレなものもありますからね」

雪美「……」アーン

モバP「……ん? ……はい」 パクッ

雪美「……ん……これは……いいダシを使ってる……」

モバP「雪美さんは意外にも食通やね」


ちひろ「たこ焼きや焼きそばは青のりが歯に付きやすいんで、食べたらしっかり歯磨きしましょうね」

394: 2019/04/20(土) 20:10:03 ID:AQkdeQ8c
203

モバP「雪美はカレーライスは好きかい?」

雪美「……すき」

モバP「基本的に外れがないよな、カレーって」

雪美「……辛いのは……少し苦手……」

モバP「まあ意図的にやたら辛くしてあるのはね。ただ基本は誰でも好きな定番中の定番メニューだ」

雪美「……うん」

モバP「ただ家で作ろうとすると、野菜と肉を切って火を通して水を入れてルーを溶かして、と手間だ」

モバP「どうしても一度にそれなりの量を作ることになりがちで、独身だと持て余す」

雪美「……誰かと一緒に……食べるのが……おいしい……」

モバP「そういうことだな。……俺、久々に家カレーを作りたいんだ」

雪美「……いいよ」

モバP「やった!」


ちひろ「炊飯器のスイッチを押し忘れないようにしましょうね(経験者)」

395: 2019/04/20(土) 20:13:17 ID:AQkdeQ8c
204

モバP「日常ではない一風景」

モバP「絶海の孤島を旅する雪美さん」

NO DATA

ちひろ「シチュエーションないのか。まあ、あったら驚きますけど」

モバP「南大東島や青ヶ島あたりに行って、本土から隔絶された場所で一人きり」

モバP「世界から取り残されたような気分に浸って軽く絶望を感じちゃったり?」

ちひろ「島民の方に失礼だぞ」

雪美「……遠い……帰りにくい所に行くのは……こわい……」

雪美「でも……一緒にいてくれる……仲間がいれば……」

モバP「もしそんな仕事が来たなら俺がスタッフになって同伴するよ」

雪美「……心強い……約束……ね」

モバP「まあそういう私も結構離島恐怖症ではありまして、オアフ島規模でも不安になるくらい」


ちひろ「それただのホームシックでは」

396: 2019/04/20(土) 20:14:40 ID:AQkdeQ8c
205

モバP「このところはすっかり暖かくなり日中20℃は軽く超すようになってきたな」

雪美「……うん」

モバP「雪美は元気そうだな」

雪美「私も……ペロも……元気……」

モバP「良いことだ。寒いと身を寄せ合って暖を取るというのが動物的で情緒があるが」

チョコン

雪美「……?」

モバP「暖かくてもこうして膝の上に乗って接してくるのは雪美的だな」

雪美「……私的……? ……変なの……」

モバP「晩春から夏、初秋あたりまではここに乗ってくれる子は減るんだ。ぬくいからね」

雪美「……」

397: 2019/04/20(土) 20:18:23 ID:AQkdeQ8c
モバP「その点、雪美は物好きだと言えるかもしれないな」

雪美「……別に……物好きじゃ……ない……」

モバP「そうか? ちなみに、こうしても暑苦しくはないか?」ギュッ

雪美「……うん……大丈夫……」

モバP「例え暑くても寄り添えるのはよほど相手を気に入ってでもいないとできないことだ」

モバP「気に入ってもらえているのなら素直に嬉しいが」

雪美「……どんな時でも……これが……Pとの……共鳴……」

モバP「じゃあさ、俺が風邪に罹ったとしても、雪美はお構いなしに膝に乗るかい?」

雪美「……乗っていたら……うつる……かも……」

雪美「……でも……一蓮……托生……」

雪美「Pと、私……二人で……溶け合う……」

モバP「……病気には罹らないようにしなくちゃなあ」


ちひろ「ベタベタし過ぎて脱水症状とか起こさないでくださいよ?」

398: 2019/04/20(土) 20:25:02 ID:AQkdeQ8c
206

モバP「疲れたぜ」

奈緒「どうしたんだぜ?」

モバP「ちょっと間違った霧雨魔理沙みたいに言うのね。……不覚にもときめいた」

奈緒「ば、ばかっ! つい韻を踏んじゃっただけだ!」

奈緒「……Pさんは東方も知っているんだな」

モバP「奈緒こそ。まあ、本家のシューティングゲームはやったことがないんですがね」

モバP「サブカルに触れていると独り歩きした音楽やキャラが知らず知らずの内に侵食してくるジャンルだよ」

奈緒「あたしもそんなに詳しい訳じゃないけど、気づいたら知ってたな」

モバP「まずシューティングって精密動作を要求されるから苦手で、パロディウス以来触っていないね」

奈緒「パロディウスはネタを理解するのが難しい気がする……」

奈緒「脱線から話を戻してさ、Pさんはどうして疲れているんだ?」

モバP「よくぞ聞いてくれました。事の始まりは一週間前のことなんですがね――」

奈緒「あっこれ面倒臭いやつだ」

399: 2019/04/20(土) 20:27:27 ID:AQkdeQ8c
――

モバP「という訳で、ペロとその友だち五匹とかくれんぼをしていましたらくたびれまして」

奈緒「一週間前の前置きは結局関係ないのかよ……」

雪美「……Pは……ペロたちに……とても、気に入られている……」

奈緒「しかも話の合間に雪美が設置されてるし」

雪美「……ぶい」v

奈緒「…………ぶい? ……へへっ」v

モバP「この世の天国かな?」ジーッ

奈緒「まじまじと見つめるな!」

奈緒「……はぁ……だいたい猫とかくれんぼって、仕事しなくて良いのか?」

モバP「それをちょっと本気を出して片づけたところで今に至るんですよ」

奈緒「それで片づけられるのも凄いよ……あっ、書類ここ間違ってないか?」

モバP「ん、どれどれ…………」


モバP「……奈緒、天才」b ヤメロヨ

400: 2019/04/20(土) 20:34:38 ID:AQkdeQ8c
207

ダダダダッ

肇「あ、Pさんだ。……Pさん!」

モバP「はっ? ……や、やぁ肇」ゼェゼェ

肇「器はあっても心ここにあらずという様子ですね」

モバP「そういや心を丸洗いしてベランダに干しているままだった」ハァハァ

肇「ふふふ、ユニークな冗談。なんだいつもの調子のPさんでした」

モバP「今、追われているのよ。意識がそっちに向いてしまっている」フゥ

肇「それは大変! 誰に?」

バサバサバサ

モバP「ひいっ!? お、お助け~!」バッ

肇「大量の形代……というか人形? ちょっ、Pさん抱き着かないで///」

??「むぅ……肇さんを盾にするとは~」

肇「この声……」

401: 2019/04/20(土) 20:40:26 ID:AQkdeQ8c
??「そ~な~た~」 バサバサバサ

肇「人形が寄り集まっていく……!?」

芳乃「……此度はー、わたくしのおせんべいを勝手に齧ってー、不敬でしてー、出ませいー」

肇「……芳乃ちゃんが顕現した……」

モバP「悪気はなかったんだ! 許してくれ、この通りだ!」

芳乃「……では、何故逃げるのでしてー?」

モバP「芳乃が追いかけてくるからだよ!」

肇「追いかけられると逃げたくなる……人間心理ですか」

芳乃「ふむ……では少し落ち着いて話をしませー」

モバP「ああ。……いやあ、何かから逃げるってのはスリル満点で生きてる実感がするね本当」

芳乃「楽しそうですねー。ではもっと楽しみましょうかー?」 バサバサバサ

モバP「わーっ!? やっぱり今の無しでお願えしますだーっ!」ダダダッ

肇「あっ……Pさん、もっと構ってほしかったです……」プクー


雪美「…………すごいものをみた」

402: 2019/04/20(土) 20:47:53 ID:AQkdeQ8c
208

モバP「働けど働けど猶我が生活楽にならざりじっと手を見る俺モバP」

ちひろ「余分な物が四字ほどくっついていますね」

モバP「オーバーな引用をしましたが、我々の給料って適正なんでしょうかね?」

ちひろ「個人的には不満はありません。強いて言えばあなたがドリンクなどを買ってくれたら私は潤います」

モバP「そこは隠しませんね。まあ、食欲がない時にぐいっと一本飲むと効きますから重宝はしていますよ」

ちひろ「待て、私のドリンクは胃腸薬じゃない」

雪美「P……貧乏……?」

モバP「いんや。豪勢な暮らしとは無縁だが貯金は作れているからな」

モバP「要求するとしたら自分の賃上げよりアイドルの待遇向上になるだろうね」

ちひろ「まあご立派だこと」

雪美「……埋蔵金……探しに……行く……?」

モバP「社会の授業で出てきたのかな? 最近”埋蔵金”なんてロマン単語は聞かなくなったなあ」

ちひろ「昔はテレビでよくやっていたらしいですけどね」

403: 2019/04/20(土) 20:50:47 ID:AQkdeQ8c
むつみ「埋蔵金……金色の響きがしますね!」

モバP「おうむつみよ、息災であったか。息子がお前の帰りを待ちわびておるぞ」

むつみ「世界中を飛び回って滅多に家に帰ってこない冒険家の父親みたいな扱いですか?」

モバP「ああ良いっすねえ」

ちひろ「埋蔵金探しが流行らなくなったのは、今の時代、科学が発展したからなんでしょうかね」

モバP「地中に大判小判ざっくざくあったりしたら探知できそうではありますね。つまり、ない……」

雪美「昔話では……大判小判……よくあるのに……」

むつみ「でも、石油や温泉を掘り当てるとかよりは、やっぱり金銀財宝ですかね! 光り物は強し!」

ちひろ「私は石油や温泉でも充分です」

モバP「何にしても、地道に財を築くことに専念するより、たまには一獲千金を夢見るのも人間らしさだな」

むつみ「その通りです! という訳で取り出しましたるは謎の宝の地図」 オォー

モバP「何か物件拝見トレジャーバトルで見たようなそれだが、出所は?」

むつみ「麗奈ちゃんですね」


モバP「……ここは釣られようか」

404: 2019/04/20(土) 20:54:55 ID:AQkdeQ8c
209

モバP「今朝は変な夢を見たんだよ」

雪美「……ほー」

モバP「UFOに蘭子ダイブ姿の蘭子が何十人もキャトられているのを呆然と見ている夢だ」

雪美「……宇宙人……蘭子を集めて……何をする……」

モバP「さあな。後で闇に飲まれてブラックホールになったりして」

雪美「……こわい」

モバP「ただ、逆再生の夢を見ていた可能性もあるな。たまにそういうことあるんよ」

モバP「つまりUFOから何十人という蘭子が降り立ってくる侵略」

雪美「……それもこわい……」

モバP「怖いだろう? 怖いねぇ。怖いから、俺、寝る」

雪美「……また寝るの……? ……次元大介……みたいに……言って……」

アハハハ フフフ


ちひろ「頭の中身が前衛的過ぎませんかねこの人」

405: 2019/04/20(土) 20:58:09 ID:AQkdeQ8c
210

モバP「雪美さん……変わり果てた姿に……」

雪美「……?」

モバP「それは杏の”働いたら負け”Tシャツじゃないか」

雪美「ユニフォームとして……もらった……似合う……?」キラキラ

モバP「何のユニフォームだよ。似合うがさ。いや、似合っちゃいけないんだよ」

雪美「プリントシャツは……いろいろ……ある……」

モバP「結構ロクでもない類の標語とかキャラクターとか書かれた物も巷には多いな」

雪美「……これで……バンダナ巻いたら……ラーメン屋さん……」

モバP「さすがにこれ着て営業しているラーメン屋さんはないよ!?」

雪美「Pも……着たい……? 待って……」

モバP「待て待て脱ぐんじゃない。さすがにサイズが合わないから」

雪美「じゃあ……もう一つ、手に入れて……ペアルック……しよう……」

モバP「不健全なペアルックだなあ……」


ちひろ「違う意味でも不健全に見えますけどね」

406: 2019/04/20(土) 21:00:03 ID:AQkdeQ8c
今日はここまで
あなたは私 私はたわし


to be continued...→


引用: モバP「雪美さんといっしょ」