407:◆ORDERq/08U 2019/04/27(土) 23:07:55 ID:zKDApdpA




前回はこちら


雪美さんといっしょシリーズ


211

モバP「ただいま戻りました。すっかり夏ですね」

ちひろ「あらプロデューサーさん。ついこの前は春とか言っていたのに」

モバP「春と思えば夏が来て夏と思えば夏のまま、ですよ」

ちひろ「それは嫌だなあ……おや、顔に汗が」

モバP「日差しが強かったものですから」フゥ

雪美「……おつかれさま……」フキフキ

モバP「ありがとう雪美さん」

雪美「……P……暑がり……?」

モバP「ああ。体温調節力が人並以上って訳じゃないから気を付けないと自律神経失調症が怖い」

雪美「……暑がりなら……同じ……だね……」ニコ

モバP「じゃあ、一緒にシャワーでも浴びてきますか?」

雪美「賛成……」


ちひろ「流れるようにアウト」

408: 2019/04/27(土) 23:09:50 ID:zKDApdpA
212

モバP「日常の一風景」

モバP「モロッコヨーグルを食べる雪美さん」

雪美「……」アム

雪美「……ん」

雪美「…………んんん」ニマ

モバP「雪美さんは駄菓子も意外といけますよね」

雪美「……Pにも……はい」

モバP「……ん、良い味だな。ついでに間接キスをありがとう」

雪美「……?」

モバP「……そういうことはあまり気にしないのか。いや、何でもないよ」

雪美「そう……。……」アム

雪美「……次は……またPに……」ハイ


ちひろ「一口ずつ交互にとかナカガイイナー」

409: 2019/04/27(土) 23:11:10 ID:zKDApdpA
213

モバP「いよいよ元号が変わる……感慨深いですね」

ちひろ「そして世の中は十連休だそうで」

モバP「もっとも十連休を取得できる人が世にどれだけいるかは分かりませんがね」

ちひろ「我々はいつも通りですね」

モバP「長期休暇前に銀行から生活費を下ろしたり引き落とし分の入金は万全ですか?」

ちひろ「聞き飽きるほど聞いた注意喚起をしないでくださいよ」

ちひろ「というかもう連休に突入しているんですけど今更確認してもですねえ」

モバP「自分はちょっと必要な分のお金を下ろすのを忘れていました」

ちひろ「どうするんです?」

モバP「ちひろさん。コレ、少し貸していただけませんか? なんつって」

ちひろ「十日で十割で良ければ」

モバP「トジュウとは暴利を貪りますなあ」

410: 2019/04/27(土) 23:12:18 ID:zKDApdpA
モバP「まあそう来るとは分かっていましたよ。借りずにコツコツ日雇いのバイトでもします」

ちひろ「副業禁止ですよ」

モバP「なぬ!?」

ちひろ「なぬじゃないです」

モバP「いや、それも社会人ですから知っていますが……まあ、手数料払って普通に下ろせば済みますよね」

ちひろ「口座凍結していたら面白いのに」

モバP「とりあえず生活費は足りているんですよ。無いのはずばり遊ぶ金ですね」

ちひろ「プロデューサーさんの遊ぶ金は家族サービス的な意味ですからねえ」

モバP「のんびり競馬でも見に行ってみようかと思うんですよ」

ちひろ「ギャンブルですか。あなたにしては意外ですね」

モバP「この前の皐月賞で見たサートゥルナーリアの太い首が格好良いなーと」

ちひろ「首フェチ!?」


雪美「……P……たまに、首を触るのは……そういう……?」

411: 2019/04/27(土) 23:14:10 ID:zKDApdpA
214

モバP「夢ネタしつこいかもしれませんが」

朋「何?」

モバP「泥吐いたり虫吐いたり、最近何かを吐く夢をよく見る気がするんですよ」

朋「虫はデトックス、でも泥は隠し事をバラされてみんなから嫌われるメタファーね」

モバP「やだ怖い……やめてください……」

朋「Pの思想として悪い物を排出して身軽になりたいという意識があるのよ、きっと」

モバP「千と千尋の神隠しが思想形成に影響していそうだ。オクサレ様とか泥団子とか」

朋「そんなPの本日のラッキーアイテムは……雪美ちゃん!」

モバP「具体的すぎない? 星座占いの一つにラッキーアイテムが特定の人物とか」

朋「星座占いとは言ってない。P占いだから」

朋「さあ、幸運を味方につけて、今日も一日頑張っていくわよ!」

モバP「アイアイサー!」


自宅の雪美「……今日の占い……年上の異性と……相性良い……ふふ」

412: 2019/04/27(土) 23:15:56 ID:zKDApdpA
215

モバP「レイナ様」

麗奈「はいはいレイナサマよ。何かしらP?」

――

モバP「時子様」

時子「あら豚、殊勝にも躾けてほしいようね?」

――

モバP「雪美さま」

雪美「……」

雪美「……P……おすわり」

モバP「……くぅーん」

凛「……猫じゃなくて犬扱い!?」

奈緒「なんて三段オチだよ」


加蓮「あれで結構ノリノリという」

413: 2019/04/27(土) 23:17:11 ID:zKDApdpA
216

モバP「雪美よ」

雪美「……?」

モバP「その格好は一体何だね? おいちゃんに説明してみなさい」

ちひろ「おいちゃんって誰や」

雪美「……」キョトン

モバP「言わぬなら自分から言うぞ」

モバP「ポニーテールに大きなリボン、カットソー、キュロットがとても愛くるしい」

モバP「由詑かなみかな? 羨ましいぞ」

ちひろ「何が」

モバP「そんな服を着られて、しかも似合うことがだ!」

ちひろ「自分も着たかったのか……」

雪美「Pも……女の子に……なれば……」

414: 2019/04/27(土) 23:19:23 ID:zKDApdpA
モバP「まあ俺が自然の摂理を捻じ曲げてTS出来たとしても、年齢と身長肉体的に……」

ちひろ「ついでに若返らないとですね」

モバP「若いってええなあ……」

雪美「……私は……Pみたいに……大きく……なりたい……」

モバP「おっと話が逸れてすまない。雪美のその格好は誰が?」

ちひろ「久しぶりの私です」

モバP「GJ……結構そっち系の趣味がおありだったりするんですか?」

ちひろ「そっち系って何だよ」

モバP「でも良いですね。雪美がかなみなら自分はクーガーになりたいです」

ちひろ「カズマじゃないんかい」

モバP「では、せっかくなんで千秋に見せびらかしに行くか!」

雪美「……おー」


千秋「……クッ! この悪寒は……?」ゾクッ

415: 2019/04/27(土) 23:21:37 ID:zKDApdpA
217

モバP「雑誌を見ていたら”姉にしたいし妹にしたいアイドルランキング”というのが載っていました」

ちひろ「姉妹どっちの役も親近感あっていけるって貴重かもしれませんね」

雪美「……私だと……姉には……なれない……」

モバP「二十代向けのやつだからな。俺は雪美が姉でも一向に構わんが」

モバP「家族構成次第では年上の妹や年下の姉ができることだってあるしな(雪美がそうだとは言ってない)」

雪美「……年下なのに……姉……? ???」

ちひろ「例えばの話、プロデューサーさんが成人した莉嘉ちゃんと結婚したら、美嘉ちゃんは年下の義姉になります」

雪美「……」 ←分かったような分からないような

モバP「ちなみにランキングの1位はな……なんと……驚きの……」

雪美「……?」

ちひろ「誰ですか?」

モバP「高垣楓さんでした」


ちひろ「……あー……わかるわ」

417: 2019/05/04(土) 18:53:28 ID:sd7B.CC2
218

モバP「雪美の変な写真を親御さんから預かって参りました」 エー

ちひろ「何の為に持ち出したんですか」

雪美「……そうだそうだ」

モバP「選挙のアピール材料にできないかとね。雪美には内緒ですまない」

雪美「……それで……何の……写真……?」

モバP「これですな」ピラッ

雪美「………………」

雪美「」プシュー

ちひろ「えっ、ちょっとどんな恥ずかしい写真ですか私にも見せてください」

モバP「食いつき良いですね……はい。布団で簀巻きになっている雪美さんのエレガントなお写真ですよ」

ちひろ「ああ~」

ちひろ「藤和エリオみたいですね。でも顔が隠れているので支援に使うには微妙ですねえ」


雪美「……返して……これは……だめ……///」 アッハイ

418: 2019/05/04(土) 18:55:26 ID:sd7B.CC2
219

モバP「日常の一風景」

モバP「マットで前転する雪美さん」

ピー

雪美「……いきます……」

ゴロンゴロンゴロン

雪美「はいっ……!」バッ

モバP「フィニッシュポーズが決まっていますね」パチパチパチ

雪美「……」キラキラ×2

モバP「半袖とハーフパンツの体操服も麗しい」

モバP「でも、さすがに髪はしっかりまとめて結んでいるか」

雪美「……体育で……長いと……大変……」

モバP「じゃあ次はこの跳び箱なんてどうです?」


ちひろ「その体育用具はどこから持ってきたんですかね?」

419: 2019/05/04(土) 18:59:29 ID:sd7B.CC2
220

雪美「……P」ヒシッ

モバP「……雪美」ヨシヨシ

ちひろ「人目を憚らずイチャつきおって」

モバP「しばらく会えないのでこうして。忙しい身はなかなか辛いものですよ」

雪美「……」

モバP「そうだ、俺がいない時の身代わりにこれをあげよう。チューインガムだ」

ちひろ「これまたテキトーな身代わりですね」

モバP「ところがどっこい、このチューインガムは特別でな。そのまま持っていても結構だが」

モバP「緑色になるまで噛んでから土に埋めると、なんとガムの木が生るんだ」

雪美「……ふふっ……もう……嘘ばかり……」

ちひろ「エルマーのぼうけんかな?」

モバP「晴にも一発で看破されたよ」

420: 2019/05/04(土) 19:06:44 ID:sd7B.CC2
雪美「P……いないと……さみしい……」

モバP「暫しの別れだが悲観せずとも良い。良い子で待っていろ」

雪美「……待ってる……だから……必ず……戻ってきて……」

モバP「ああ……約束するよ」

雪美「約束……重ねて……私とP……もっと……近く……」

モバP「幾重にも絡みついた糸の中にいるように、段々と離れられなくなっていくな」

ちひろ「……」イライラ

モバP「なお、あまり一つに依存しないように多角的に物事を見ることも大事ですね」

ちひろ「ですね」

雪美「……行ってらっしゃい……。おみやげ……忘れずに……」

モバP「行ってくるよ。グンマーとサイタマでの仕事にな」

ちひろ「そんなに遠くないじゃないですか。何を今生の別れみたいな寸劇やってるんですか」

雪美「……楽しいから……ねー?」 ネー?


ちひろ「……雪美ちゃんは可愛いから許す」

421: 2019/05/04(土) 19:10:53 ID:sd7B.CC2
221

モバP「♪♪♪」

ちひろ「おやまあえらく上機嫌ですね」

モバP「雪美が俺にお弁当を作ってきてくれまして♪」

ちひろ「いよいよもって内縁の妻か何かですか」

モバP「それだけで事実婚になるんだったら今頃何重婚ですか」

ちひろ「そういえば他のアイドルにも時々手作り弁当貰ってますね。爆ぜろ」

モバP「このお昼ごはんの時間が楽しみで楽しみで仕事が手につかないのなんの!」

ちひろ「道理でハッピー状態なんですね。爆ぜろ」

モバP「という訳で開けてみましょう玉手箱」パカッ

モバP「おおおお」

ちひろ「ご飯の上に鮭フレークでハートマークですか」

ちひろ「敢えて桜でんぶで来ない所が個性ですかね? この幸せ者め」

422: 2019/05/04(土) 19:12:58 ID:sd7B.CC2
モバP「……自分で自分の弁当を作る時はこういう凝り方しないですから、新鮮ですよね」

モバP「しかもハート。雪美の愛情が伝わってきますね。嬉しい、実に嬉しい」

ちひろ「良かったですね。爆ぜろ」

モバP「それに、鮭フレーク大好きなんですよ」

モバP「昔から好きなご飯のおかずベスト3は辛子明太子・鶏そぼろ・鮭フレークですからね」

ちひろ「男の子してますね」

ちひろ「ほう……野菜も肉も簡単ではありながら彩り豊か。そして玉子焼き」

モバP「玉子焼きは定番ですね。これ一品でランチタイムの満足感が一気に上がりますよ」

モバP「果たして雪美は甘い派でしょうか甘くない派でしょうか。これは楽しみな一番です」

ちひろ「そして別の容器にデザートまで。ああ妬ましい」

モバP「イチゴですね。一から十まで手を抜かない構成、グッドです」

モバP「じゃ、ワシは食べます。悪く思わんでください!」

ちひろ「では私は外でヘビーなロブスターでも食べてきてやりますよ」

モバP「豪勢だなあ。いただきます」パチ

423: 2019/05/04(土) 19:14:43 ID:sd7B.CC2
――

モバP「雪美」

雪美「……?」

モバP「お弁当、ごちそうさま。とても美味しかったよ」

雪美「……良かった……」クス

モバP「また、時間がある時で良いから雪美の手作りが食べたいな」

雪美「今度は……二人で……出かけた時に……」

モバP「お弁当を作ってピクニックか……良いな。行楽にはちょうど今くらいが良いし」

雪美「……花嫁修業……にもなる……」ボソリ

モバP「え? なんだって?」

雪美「……何でも……ない」

モバP「まあ聞こえているんですがね」


雪美「……もう……ふふっ」

424: 2019/05/04(土) 19:17:30 ID:sd7B.CC2
222

モバP「がさつで当たりが強い関西弁の少女って良いと思いませんか。猿柿ひよ里みたいな」

ちひろ「ストライクな属性のデパートですかあなたは」

雪美「……」

ちひろ「しかもそれを雪美ちゃんを膝に乗せた上で平然と言っちゃうんですから」

モバP「それだけ信頼しているしされているということです。手は今ちょっとニギニギされていますが」

雪美「……」ボー

ちひろ「はいはいごちそうさま」

ちひろ「所属アイドルにはいないタイプですね。関西弁でなければ……失礼ですけど、巴ちゃんとか?」

モバP「巴とか晴とか、分かるんですがやっぱり何かクールなんですよね、基本」

ちひろ「何ですか、そういうツンな子を自分色に染めたい的な願望でもおありで?」

モバP「いや、染めずにそのまま戯れたいですね。罵声貰ったり噛みつかれたりしながら」

ちひろ「好き者ですね全く」


雪美「……P……なでて……ほしい……」 ハイヨ

425: 2019/05/04(土) 19:21:10 ID:sd7B.CC2
223

モバP「事務所に爆弾が仕掛けられるなんて、こんなことってあるかよ」

雪美「……」

モバP「それも俺と雪美だけ取り残されて……晶葉の電話指示で解除は進めてきたが」

カチ カチ カチ

モバP「……最後に青い導線と赤い導線が残ってしまった。これは晶葉に聞いても分からない」

モバP「残り時間は3分46秒……もう悩んでいる時間はないが」

雪美「……P……」

モバP「赤にするか……」

雪美「……Pと……繋がっている……赤い糸……切る……の?」

モバP「……ううむ」

モバP「ヒントとして犯人らしき人物の置手紙があるが、”青を切れ”――これは罠かもしれない」

朋『Pの今日のラッキーカラーは赤ね!』

モバP「今朝、朋はそう言っていた。ラッキーカラーを切るのが正解か切らないのが正解か」

426: 2019/05/04(土) 19:23:17 ID:sd7B.CC2
カチ カチ カチ

モバP「ダメだ……運の二択に失敗は再送じゃ済まん。どうしたら……」

モバP「……雪美」

雪美「……?」

モバP「雪美の好きな色は何色だ?」

雪美「…………ピンク……」

モバP「探してもピンクはどこにも無いんだ、すまない」

モバP「青と赤ならどちらの方が好きだ?」

雪美「青と赤……両方好き……選ぶことなんて……できない……」

モバP「……」

雪美「……」

カチ カチ カチ

427: 2019/05/04(土) 19:25:43 ID:sd7B.CC2
モバP「……分かった」

雪美「……?」

モバP「どちらも切らない」

雪美「でも……それだと……爆発……する……」

モバP「俺も蒼と紅、どちらも好きだからな。これが凛とまゆだとしたら、どちらも切れん」

雪美「……P……」

モバP「優柔不断でごめんな。でも俺は第三の選択をしてみることにするよ」

雪美「……分かった……最後まで……付いて行く……」ギュッ

カチ カチ カチ ピー!

――

晶葉「バーチャルテスト終了だ。お疲れ様、P」

モバP「それで、バーチャルとは言っても結局正解は何だったんだ?」

晶葉「そんなものはないぞ。あの時限爆弾は偽物、という設定だからな」


モバP「なんだ……まあ爆発オチなんてサイテーだからね」 ソウイウコトダ

428: 2019/05/04(土) 19:27:00 ID:sd7B.CC2
224

雪美「……」プクプク

モバP「雪美さんがシャボン玉を吹いている」

プカプカ

モバP「辺り一面シャボン玉――ティーンや大人ではまず見かけない微笑ましい光景よ」

雪美「……」プクーッ

モバP「おお、大きい」

モバP「ファンタジーの世界なら大きなシャボン玉に包まれた人が空に浮かんだりするが」

ポテン

コロコロコロ

モバP「浮かばないし割れなかった」

雪美「……? ……P…………見た……?」

モバP「えっ、見ちゃいけないものだった?」


雪美「……バルーン……触ってみる……?」 エッ サワッテイイノ?

429: 2019/05/04(土) 19:31:25 ID:sd7B.CC2
225

モバP「出会った頃の雪美は大変でしたよ」

ちひろ「どんな所が?」

モバP「異性に抱き着かれるとね、猫になっちゃうんですよ」

ちひろ「フルーツバスケットの物の怪憑きかな?」

モバP「契りを交わしたおかげで呪いは解けて今のように膝に乗せても平気になりましたがね」

雪美「……」(*゜-゜*)

ちひろ「つくならもうちょっとまともな嘘をつきましょうね」

モバP「今でもたまにこうやって耳生えたりしますが」サッ
        Λ....Λ
雪美「……」(*゜-゜*)

ちひろ「咄嗟に猫耳カチューシャ被せて言いなさんな」

モバP「いやいや、耳だけでなく尻尾も――」パシッ


ちひろ「雪美ちゃんのどこに触ろうとしてるんですか」

430: 2019/05/04(土) 19:32:37 ID:sd7B.CC2
今日はここまで
鯛やひらめの舞踊り

432: 2019/05/11(土) 23:23:32 ID:U88oW3Mo
226

雪美「……すー、すー」

モバP「晩春のお昼寝、か。実に幸せそうな寝顔をしておる」

雪美「……」コロン

モバP「おっと、こっちに寝返りを打ってきた」

雪美「……」バフッ

モバP「そんなに密着して大丈夫か? 息苦しくならないか?」

雪美「……」ダキッ

モバP「抱き枕に全身埋めているようなものかね? 俺なんてそんなに柔らかくないのにな」

雪美「……」スリスリ

モバP「起きてるな貴様」

雪美「……残念……ばれたか……」


ちひろ「春眠暁を覚えず」

433: 2019/05/11(土) 23:24:58 ID:U88oW3Mo
227

モバP「日常の一風景」

モバP「割烹着を着た雪美さん」

雪美「……」キラキラ

モバP「雪美さんは結構和装のお仕事が多いが、やっぱり似合うんですねぇ」

雪美「……そうだとしたら……うれしい……」

モバP「ハハハ、自信を持って良いぞ! 雪美はどこに出しても恥ずかしくないアイドルだ」

雪美「……うん……!」

モバP「それにしても割烹着は昭和のお母さん的なイメージが乗る。雪美も少し大人びて見えるな」

雪美「……これで……ひざに乗ったら……少し……変……?」

モバP「お母さんを膝の上に乗せると考えると……」

雪美「……?」

モバP「少し新鮮だな!」


ちひろ「やだアブノーマル」

434: 2019/05/11(土) 23:28:11 ID:U88oW3Mo
228

モバP「思えば、杏はよく俺の相談に乗ってくれるよなあ」

杏「感謝したまえ」

モバP「気分が悪ければ休みなさい、横になってなさいと言ってくれるし」

杏「働き過ぎは良くないからね」

モバP「ちょっとした心のケアもしてくれるし」

杏「話を聞くだけだけどねー」

杏「って杏は保健室の先生じゃないぞ」

モバP「でも他のアイドルからもそういう所、割と頼られているでしょ?」

杏「……そういえばそうかなぁ」

モバP「自覚がないということはごく自然にやっているということか」

杏「プロデューサーの話は割と聞き流しているよ」

杏「杏は自分のことで手一杯なのさ。親身に付き合うなんてないない」

モバP「とか言いつつこうして二人でキャンディブレークしてるがな」

435: 2019/05/11(土) 23:30:12 ID:U88oW3Mo
杏「プロデューサーの飴チョイスが絶妙だからついつい釣られるんだよねー」

杏「何だかいつも見たことない知らない飴をくれるよね。どこで見つけてくるのさ?」

モバP「コーヒーと輸入食材の店とかだな。海外のお菓子がズラッと並んでいて楽しいぞ」

モバP「暇な時はそういう場所によくいるのが俺だからな」

杏「えー、良いなー」

モバP「ちなみに玩具売り場のレゴブロックのコーナーなんかもそこだけ欧米の空気感があって好きよ」

杏「でも積極的に海外に行きたい訳じゃないんだね」

モバP「一庶民としてぼんやりと憧れているくらいが一番楽しい気がするんよ」

杏「……賛成しかねるようなちょっと分かるような」

雪美「……P……ちひろさんが……呼んでいる……」

モバP「おっと、休憩も終わりか。ほいじゃ、お互いもうひと頑張りと行きましょうか」

杏「いや、杏は頑張らないけど」

雪美「……」


杏「まあ少しは頑張るよ、うん」

436: 2019/05/11(土) 23:31:58 ID:U88oW3Mo
229

モバP「GW明けたし働くぞ働くぞ働くぞ」

ちひろ「ワーカホリックかな」

モバP「世の中には仕事してないと落ち着かない、休むと不安になるって人もいるようですね」

ちひろ「並行世界のあなたのことかもしれませんよ」

モバP「何を仰います、仕事人間になりきれない従順な社畜とは私のことですよ?」

ちひろ「収まりが悪い社畜ですね……まあ休日も有って無かったようなものですしね」

モバP「業界人はその分、ちょっと遅めのGWとか休暇を取られる方もいますね」

ちひろ「アナウンサーとか一週間ほど普段と違う人が入ったりしますね」

モバP「自分も一週間くらい代理立てても良いですかね」

ちひろ「一週間経って帰って来たらすっかり立場乗っ取られていたりして」

モバP「こわやこわや」

437: 2019/05/11(土) 23:34:31 ID:U88oW3Mo
ちひろ「で、あなたの代理とは? Y内さんとかT内さんみたいな名字ですか?」

モバP「いえ、池袋博士が作ったロボットですね。人工知能搭載ですがベースは自分と同じくらいです」

ちひろ「さすが21世紀だなあ」

モバP「今は研究室でメンテナンス中なのでお見せできませんが、ちなみに雪美型もいますよ」ハイ

ヤァ

ちひろ「何ですかこの茶筒に目と手と足が生えたメカ沢くんみたいな何かは」

モバP「雪美の影武者です」

ちひろ「それは無理があるやろ。手乗りサイズですし」

ワタシ……ココニイル…… キコキコ

モバP「ほら、実に雪美でしょう?」

ちひろ「それを雪美ちゃんと言い張るのはやめましょう」

雪美「……」ジーッ

438: 2019/05/11(土) 23:36:24 ID:U88oW3Mo
モバP「おっ! 雪美サンテレビ」

ちひろ「何じゃそりゃ」

……

雪美「……」

ワタシジャナイ!

雪美「……私の……そっくりさん……」

ちひろ「いやおかしいですから! 既に雪美ちゃんが言わないようなこと喋ってますし!」

モバP「感動的な邂逅だな」ウンウン

ちひろ「分かったように頷くな」

カタカタカタカタ カタッ

雪美「……? P……、止まった……」

モバP「この子はゼンマイ式だから背中のネジを回してあげればまた動くぞ」 ワカッタ


ちひろ「くそぅ、二人して私をからかってる気がする……!」

439: 2019/05/11(土) 23:38:04 ID:U88oW3Mo
230

モバP「にゃんみくってさ、かつお節は大丈夫なんでしょ?」

みく「ニャンポコみたいに言わないの」

みく「そりゃあ、お好み焼きやたこ焼きにだって入っているもん」

モバP「最近ね、高菜チャーハンにかつお節をかけて食べると美味しいことが分かったんだ」

みく「Pチャンはシンプルなご飯が好きだにゃあ」

モバP「で、今度みくにひとつ、かつお節を使った料理を作ってほしいと思いまして」

みく「良いけど……でも何でまたかつお節にゃ?」

モバP「乾物は長持ちするからか贈答品や仕送りで結構貰う割に、俺こんななんで余らせていまして」

みく「なるほど」

モバP「で、かつお節と言えばねこまんま、ねこまんまと言えば一緒にねこまんま食べたいアイドルのみくを誘おうと」

みく「変なものにノミネートしないでよ」

440: 2019/05/11(土) 23:39:33 ID:U88oW3Mo
モバP「ちなみに雪美は一緒にツナマヨトーストを齧りたいアイドルです」

雪美「……わたしです」エッヘン

みく「嫁さんにも変なことを吹き込みまくるのはやめようね!」

モバP「そういやみく、元々はご飯奢るって話だったのがいつのまにかご飯作るにすり替わっているな」

みく「Pチャンにご飯奢るのは何か違うと思ったの」

モバP「未成年年下にご飯を奢られるのもなかなか格好つかないものではあるからな」

みく「アイドルをまとめるプロデューサーだからね」

モバP「まあご飯を作って胃袋から掌握するやら餌付けするやらってのもされる側の格好がつくかは別の話」

みく「でもそういう姉さん女房はいるにゃ」

モバP「雪美もある意味では心の姉さん女房みたいなものでもあるんだよね」

雪美「……そうなの?」

モバP「そうです」


みく「それはどうかと思うよ?」

441: 2019/05/11(土) 23:40:51 ID:U88oW3Mo
231

モバP「……」

雪美「……」

モバP「雪美、今日こそどちらが立場が上かはっきりさせようじゃないか」

雪美「……のぞむところ」

モバP「いざ、勝負!」

――

ポスン

雪美「……これで……34勝……6敗……」

モバP「……俺の勝率1割5分か……雪美さんには敵わないなあ」

ちひろ「また負けたのか」

ちひろ「まあ、大の大人が本気出す訳にもいかないでしょうけど」

モバP「分かっていても男には勝負しないといけない時があるんですよ」


ちひろ「でもちょっと男の勝負を安売りしすぎじゃないですか?」

442: 2019/05/11(土) 23:43:30 ID:U88oW3Mo
232

モバP「ほれほれ」フリフリ

ペロ「ウニャッ!」ガバッ

モバP「おあっ! ……まただ、おかしいなあ」

雪美「P……どうしたの?」

モバP「いや、ペロの前で猫じゃらしを振ってみるんだがな」

モバP「このようにじゃれてくれずに俺の腕に巻きついてしまうんだ」

ペロ「ニャー」

雪美「…………」

雪美「……P……変な……暗示をかけてる……」

モバP「そんなことは意図していないぞ? ただこうやって普通に振ってさ」フリフリ

雪美「……P……!」ガバッ

モバP「って、雪美までどうした抱き着いてきて」 スリスリ


ちひろ「偶然暗示をかけてしまうって危ないですねこれ」

444: 2019/05/18(土) 23:27:57 ID:TKRSzp4g
233

モバP「おう雪美さん、いないと思ったらこんな所に」

雪美「……P……また……見つけてくれた……」

モバP「だが、探してもらう為に隠れていた訳じゃないんだろう?」

雪美「……」コクン

モバP「隣に失礼しますよっと……狭くてごめんね」

雪美「……かましまへん……」

モバP「……」ホー

モバP「なるほど。雪美さんは暑いと涼しい場所を、寒いと温かい場所を見つけるのが上手いな」

雪美「……私の……得意技……」

モバP「まるで猫みたいだ」

雪美「猫だ……にゃー」


ちひろ「若干一名、たむろしてタバコ吸ってるヤンキーみたいな座り方してますね」

445: 2019/05/18(土) 23:28:46 ID:TKRSzp4g
234

モバP「仕事する」

雪美「……一休みする」

モバP「そして仕事する」

雪美「……遊ぶ」

モバP「更に頑張って仕事を片づける」

雪美「……デート、する」

モバP「うん、実に健全な日々だ」

ちひろ「結構コンプライアンスがクライシスだと思いますけど」

モバP「逆に考えればメリハリをつけることでこれ以上爛れなくて済んでいるのでは」

雪美「ただれると……どうなるの……?」

モバP「二人の世界に閉じこもって他を顧みなくなったりするかもな」


ちひろ「今でも結構一心同体でしょうあなたたち」

446: 2019/05/18(土) 23:29:33 ID:TKRSzp4g
235

モバP(普段通る道が工事で通行止めときた)

モバP(急いではいないんでちょっと遠回りして行くか……ん?)

モバP(おや、ここの壁にぎりぎり通れそうな穴が……)

モバP(って、通る訳ないだろ。こんな分かりやすいトラップあるか。閊えるのがオチだ)

――

モバP(ほう……こっちの通りはあまり通らなかったが……良いな)

モバP(小さな店が出来ている……ケーキ屋さんかな? 外観はなかなか良い雰囲気だ)

モバP「へぇ~」

モバP(おっ、フェラーリが停まっているな。くぅ~、憧れるなあ)

モバP(運転したいかどうかは別として、見た目がやっぱり心を掴んでくるね)

モバP(あの丸いテールランプ……)

モバP(怪しい人みたいになるのでジロジロ見たりはしないが)

447: 2019/05/18(土) 23:30:58 ID:TKRSzp4g
モバP(おや、女の子が立っている)

モバP(雪美に何となく雰囲気が似ているな。……雪美と触れ合いすぎて認識までジャックされている?)

モバP(変なことを考えていないで行くか)

少女「……あの」

モバP「……はい?」

少女「……が、いつも……お世話になっています」

モバP「……??」

少女「……今度は……私とも……遊びましょう……?」

――

モバP「……事務所に来る前のあれは何だったんだろう? 人違いって雰囲気ではなかったが」

ペロ「ウニャー」スリスリ

モバP「おっ、ペロ。どうした? いつになく甘えてきて」


雪美「……好きな人を……褒められて……うれしい……って……」

448: 2019/05/18(土) 23:31:44 ID:TKRSzp4g
236

ガチャ

ちひろ「プロデューサーさん、休むだなんて一体どうしたんですか? 様子を見に来ま――」

グニャア

ちひろ「あっ、SUN値とヒューム値がピンチだ」

モバP「テケリ・リ」

ちひろ「ああ、なんてこと。黒ずんだスライム化してるじゃないですか。目も口もどれがどれやら」

雪美「……」

ちひろ「雪美ちゃんも一緒ですか。これは、どういうことです?」

雪美「闇に飲まれて……いる……」

ちひろ「これ以上ない説明をありがとうございます」

ちひろ「冷静を装っている私が言うのも何ですけど……この状態で平然として見える雪美ちゃんが怖い」

モバP「テケリ・リ、テケリ・リ」

449: 2019/05/18(土) 23:32:30 ID:TKRSzp4g
雪美「……P……ちょっと……頑張り過ぎた……だけ……」

雪美「……だから……大丈夫……」

ヌチャ

ちひろ「……!」

雪美「……元に戻るまで……私が……そばにいる……」ダキッ

モバP「……」フシュルルル

ちひろ「ああ……これが……無償の愛、ですか……」

ちひろ「触手が雪美ちゃんを包み込んで……っっ」ゾクゾク

――

ちひろ「雪美ちゃんは、プロデューサーさんがどんな姿になっても、拒絶しないでしょうか?」

モバP「どんな姿とは?」

ちひろ「それはもう冒涜的な」


モバP「……変な夢でも見たんですか?」 ゴメイトウデス

450: 2019/05/18(土) 23:34:02 ID:TKRSzp4g
237

モバP「ピクルスを使ってハンバーガーを作るのに最近ハマっていましてねえ」

ちひろ「美味しいですよね、ピクルス」

モバP「あの酸味が良いですね。最初食べた時は外国原産の食材かと思いましたが、キュウリでした」

ちひろ「でもピクルスって酢漬け野菜という意味みたいですね。キュウリのイメージが強いですけど」

モバP「その点は浅漬けと似ているかもしれませんね。大根やニンジンを使ったりもして」

ちひろ「で、他には何を挟むんです?」

モバP「シンプルにパティ、レタス、トマトですか。PLTサンドです。ピクルス入れたらPPLT」

ちひろ「PPAPじゃないんですから」

雪美「Pの、ハンバーガー……おいしかった……」

モバP「材料費と人件費他を考えたらこれ一個いくらで売れるかな? なんて話をしながら家で作ったな」

雪美「……300円……くらい……?」


ちひろ「小学生とする話にしては現実的過ぎる」

451: 2019/05/18(土) 23:35:25 ID:TKRSzp4g
238

モバP「ここにドクロマークの描かれた青い液体の入ったフラスコが置いてあるのは何ですか?」

ちひろ「他人からの好感度をゼロにする薬です――と言ったらどうします?」

モバP「物騒ですね」

ちひろ「まあゼロなんで嫌いになる訳ではなく、初対面状態にリセットされるだけですけど」

モバP「いずれにせよ飲みませんよ。そんな都合の塊みたいな薬を飲んだら頭が正常作用しなくなりそうです」

ちひろ「信じていないんですね。信じられるなら、飲みますか?」

モバP「メリットが無いです……でも、周りが仮に好感度マイナスな人だらけなら良いのか」

モバP「そもそも好感度なんてものが共通で数値化できるものなのか」

ちひろ「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる――ジュール・ヴェルヌ」

モバP「で、本当は何の薬品ですか?」

ちひろ「新しいエナジードリンクの試作品です。志希ちゃん共同開発で」

モバP「それでこの見た目は遊び心あるなあ」

452: 2019/05/18(土) 23:36:05 ID:TKRSzp4g
ちひろ「で、飲んでみます? 勿論毒じゃありませんけど、強制はしませんよ」

モバP「それならば飲んでみます」

ゴクゴク

モバP「んー……いつものよりは甘酸っぱくて良い感じですね……ん?」クラッ

バタン

――

雪美「……P……起きて……」

モバP「……ん……おう……ああ、いつの間にかすっかり寝てしまっていたようだ」

モバP「んん~……雪美が起こしてくれたおかげで最高の寝起きさ。体も軽い」

雪美「……」

モバP「どうした?」

雪美「……別に……。……早く……行こう……」

モバP「お、何か意味深だな――って、待ってくれよ~」


ちひろ「プロデューサーさんは、一人じゃないですからね」

453: 2019/05/18(土) 23:37:01 ID:TKRSzp4g
239

雪美「……」

モバP「……」

雪美「……P……起きて……」

モバP「……」

雪美「……」

雪美「……目を……覚まして……」

モバP「……」

雪美「…………」

雪美「…………好き、だから……大好きだから……約束……したのに……こんなの……いや……」ギュッ

モバP「そこまで言われたら起きるぜ」

雪美「! ……はぁ……そこで起きたら……練習に……ならない……」メッ


ちひろ「現金な奴だ」

454: 2019/05/18(土) 23:39:16 ID:TKRSzp4g
240

モバP(今日は雪美は両親と水入らずの時間を過ごしている)

モバP(俺は夜からは会社に戻らないといけないが、今は家で一人で夕飯の支度だ)

モバP「……エビフライ」

ジュワジュワジュワ

七海「タルタルソース~」

シャカシャカ

茜「キャベツの千切り!」

トントントントントントントントン

モバP(今は家で一人で夕飯の支度だ――ったはずなのに気づいたらアイドルが来ている)

モバP「何か、ありがてえなあ」

七海「どうかしたんれすか~? はい、レモンとトマトも切っておきました!」キラキラ

茜「今夜はエビフライだと聞いて黙っていられずに来ました! お腹が空きませんか? 空腹は最高の調味料ですねっ!」ドバーン!


モバP「でも君たちエビフライってキャラだっけ?」 ウミノサチレスカラ セヤナー

455: 2019/05/18(土) 23:40:01 ID:TKRSzp4g
今日はここまで
まあエンヤでも聴けや

456: 2019/05/19(日) 11:00:48 ID:7phHu0j2
エビフライ系アイドルか成る程……(豚バラ串の着ぐるみを桃華に着せつつ)


to be continued...→


引用: モバP「雪美さんといっしょ」