623:◆ORDERq/08U 2019/08/17(土) 22:53:36 ID:JFUbPeWY




前回はこちら


雪美さんといっしょシリーズ


331

モバP「ひと夏の思い出”かき氷”」

モバP「ぬおおおお」ガリガリガリガリ

雪美「がんばれ……がんばれ……」クルクル

モバP「おおおおお」ガリガリガリガリ

雪美「もう少し……」クルクル

モバP「お、お、お」ガリガリガリ

雪美「ん……きれいに……お皿に……山になった……」

モバP「よし! ではかき氷シロップをかけて食べよう!」

雪美「イチゴ……メロン……ブルーハワイ……どれが……いい……?」

モバP「一説によると基本どれも同じ味らしいが、イチゴにするか! 練乳もかけて……っとこんなもんか」

モバP「では……はい、あーん」

パクッ

雪美「……ん……甘い……。……二口目は……Pに……あーん?」 アーン


凪「事務所に不自然な手回しかき氷機、Pの私物でしたか。草生えますね」シャリシャリ

624: 2019/08/17(土) 22:55:13 ID:JFUbPeWY
332

モバP「……」スヤスヤ

ガチャ

雪美「……P……? ……あっ……お休み中……?」

モバP「……ゆきみぃ……いいぞぉ……」ムニャムニャ

雪美「……ふふ……やっぱり……私がいないと……ダメ……ね」ゴソゴソ ダキッ

雪美「……」

雪美「……しまった……ねむくない……」

雪美「…………!」ピコーン

カシャ  カシャカシャッ  カシャッ

雪美「……送信」

――

モバP「何か最近自分の寝顔写真が出回っているらしいですが心当たりとかないですか?」


ちひろ「いえ、全然?(雪美ちゃん、私にまで送ってくるんですよねえ……ふふっ)」

625: 2019/08/17(土) 22:57:00 ID:JFUbPeWY
333

モバP「ひと夏の思い出”スイカ割り”」

凪「suicaを割り勘するのですか? 天才のピー氏はやはり考えることが一味違いますね」

モバP「そうじゃなくてほら、雪美を見てみろ」

雪美「……」 ←目隠し・水着・棒装備

モバP「そのままではまっすぐこちらに来れてしまうので、十回くらい体をスピンさせようか!」

雪美「……分かった……」クルクルクル

モバP「そしてスイカがこちらになります」ドスッ

凪「ばっちぇ冷えてますね。冷えてないスイカは生まれてこの方食べたことがありません」

颯「準備おっけーだよ! なー、Pちゃん!」

モバP「よし、では青春のスイカ割り開始だ!」

雪美「……」ヨロヨロ

颯「あっ、雪美ちゃん雪美ちゃんそっちは海だよ」

雪美「……わかった……」クルッ

626: 2019/08/17(土) 22:59:41 ID:JFUbPeWY
雪美「……P……どこ……?」

モバP「俺はこっちだぞー! 雪美ー!」

雪美「……? ……!」

雪美「……」フラフラ

凪「わーお、あっという間に近づいてきました。Pのラブコールは効果抜群ですね」

モバP「よし、そこでストップ――って、こらストップストップ! こっちじゃない!」

雪美「……P……ここに……いた……」ダキッ

――

凪「結局巻きで次のPが割ってくれまして、凪たちは冷たい内のスイカにありつけたのでした、まる」シャクシャク

颯「はーたちもスイカ割りやってみたかったなー。でも、スイカおいしいね♪ なー?」シャクシャク

モバP「君たちも水着差分ができたらやらせてあげよう」シャクシャク

雪美「差分……?」シャクシャク

凪「なるほど。つまり、はーちゃんの悩殺水着姿はよ、と催促しているのですね? 凪も見たいですが」


颯「もう、そんなこと言ってー! 可愛い水着は着たいけど、って早くしないとシーズン終わるよね?」

627: 2019/08/17(土) 23:02:48 ID:JFUbPeWY
334

友紀「ふんふーん♪」

モバP「あっ、キャッツが勝ったんやな」

友紀「理解が早いねプロデューサー。そうだよ! 良い所で岡本がホームラン打ってさ!」

モバP「良い勝ち方したり連勝中は楽しいよな。夜のスポーツニュース梯子なんてしてな」

友紀「そうそう♪ それにビールが美味しい!」

友紀「ところでプロデューサーはどこの球団のファンなのか、そろそろ教えてよー?」

モバP「俺も一応キャッツだがさ、最近は何だか負けが怖くなってしまって試合結果を見るのも恐る恐るでな」

友紀「そこはもうちょっと頑張ろうよ」

モバP「友紀でもたまには贔屓無しの試合を落ち着いて楽しみたい時はないか? 今なら高校野球とか」

友紀「キャッツの試合がない日や時間はそれもそれで良いよね。純粋に野球を楽しむっていうか」

モバP「それが行き過ぎて、いつの間にかシーズンよりもドラフト会議の方が楽しみになっていたりするんだ」

友紀「おいおい。まあ、それはそれで一大イベントだよね。アイドルの総選挙みたいなものでさ」


雪美「……P……また……サクセスモードで……私を……作ってる……」

628: 2019/08/17(土) 23:04:23 ID:JFUbPeWY
335

モバP「最近仕事が捗らないな。こう、天啓が降りてこないと言いますか」

ちひろ「それは一体何日ぶり何度目のことですかね」

雪美「……P……スランプ……?」

モバP「アイデアが断片化しているんだ。これが上手くまとまれば一気に勢いに乗れるんだが」

ちひろ「そういう時はじたばたしてみるしかないでしょう。仕事して、仕事して、仕事しまくる」

モバP「でもやっぱり出来なかったら?」

ちひろ「仕事するのをやめる。散歩をしたり、景色をみたり、昼寝をしたり、何もしない」

モバP「……」ポカーン

ちひろ「何ですか?」

モバP「ちひろさんが何もしなくて良いなんて言ってくれるとは……惚れそうです」

ちひろ「何もしなくて良い(何もしなくて良いとは言ってない)」

モバP「うーんこの」

629: 2019/08/17(土) 23:06:26 ID:JFUbPeWY
ちひろ「こほん……そのうち急に仕事がしたくな~る、したくな~る……ダメ?」

モバP「なるかしら」

ちひろ「ならなきゃクビですからね」

モバP「現実を見せられた」

ちひろ「まあ普段から気分転換にテレビを見てたり漫画を読んだり寝転がってみたり電話をかけたりギターを弾いたりぶら下がってみたりくらいはしてるでしょうし」

ちひろ「悪いなりにでもノルマはしっかりこなしましょうね」

モバP「雪美さん助けて」

雪美「……救い料346億万円……ローンも可……」

モバP「救いのヒーローか、それとも八百屋の冗談かな?」

モバP「それはそうとちひろさん、お休み中に夏は満喫できましたか?」

ちひろ「おかげさまで」

雪美「……私も……夏……楽しい……」ベッタリ

モバP「猛暑続きでなかなかきついですが、お盆も過ぎたことですし頑張りませんとね」ナデナデ


ちひろ「事務所でも目の保養地が欲しいんですけどね」

630: 2019/08/17(土) 23:08:03 ID:JFUbPeWY
336

ちひろ「プロデューサーさんはFGOで好きな女の子キャラは誰ですか?」

モバP「まず酒呑ちゃんですね。それからふーやー、エレナ、ジャック、アビゲイル、ニトクリスとかですか」

ちひろ「露出度の高い小さい子だらけですね」

モバP「ニトクリスは小さくないです。アビゲイルは……まあ水着がね……」

モバP「ソシャゲの女の子の痴女衣装率が高いのはこれはもう仕方のないことです」

ちひろ「それにしても何故真っ先に酒呑童子」

モバP「京言葉が妖艶で良いんですよね。雪美さんにも旦那はんと呼ばれてみたいです」

雪美「……旦那はん?」

モバP「」

雪美「……どう……?」

モバP「……よろしおすなぁ。何か雪美が酒呑童子のように見えてきたよ。格好まで」

雪美「……///」ペシ イテッ


ちひろ「自分の目を騙し始めましたよこの人」

631: 2019/08/17(土) 23:09:57 ID:JFUbPeWY
337

モバP「ひと夏の思い出”お祭りと花火大会”」

こずえ「おまつり……すきー……」

雪美「……花火も……好き……」

モバP「白浴衣と黒浴衣のコンビネーションが抜群だなあ」

こずえ「……えへへー」キラキラ

雪美「……でも……短いのが……少し……恥ずかしい……」キラキラ

モバP「まあ、たまにはこういうのもな? 俺も甚平で膝下出ているし」

雪美「Pの……じんべい……癖になる……」スリスリ

モバP「いやん、すりすりはやめて」

こずえ「ぷろでゅーさー……はやくいこーよー」

モバP「そうだな。屋台巡りと洒落込むか。人が多いから、しっかり手は繋いでような」

こずえ・雪美「はーい」

――

632: 2019/08/17(土) 23:12:35 ID:JFUbPeWY
モバP「お面どうでしょう」

雪美「……こーん」

こずえ「こんこん」

モバP「ふーむ、浴衣にキツネの面は何か幽玄の雰囲気を作り出すな」

雪美「Pは……悪いキツネに……化かされる……こんこん」

こずえ「こずえたちがー……きつねだよー……」

――

モバP「射的どうでしょう」

パーン

雪美「わっ……! びっくりした……、反動……強い……」

バキューン

こずえ「あれー? 当たったよぉー?」

店主「やるねぇキツネのお嬢ちゃんたち。はい、これは戦利品だ」

こずえ「おおー……おんなのこのぬいぐるみー……ぷろでゅーさーに……あげるー」

モバP「ありがとう。ほう、こいつぁ良い浦風だ。また来るぜオヤジ」

633: 2019/08/17(土) 23:15:54 ID:JFUbPeWY
――

モバP「ヨーヨー釣りどうでしょう」

こずえ「……むむむむー」

雪美「……あっ……釣れた……P……釣れた釣れた……ほら……」

モバP「雪美さんってば無邪気だなあ。……ん、中に何か入ってるな」

店主「玩具が入ってるんですよ。チョコエッグみたいに二度美味しいでしょ」

雪美「透かしたら……猫の顔……みたい……」

――

モバP「景品くじどうでしょう」

モバP「昔一等を当てたことがある強運の右手が唸るぜ……これだ!」

バッ

店主「はい。末等は光るスポンジスティックだね。お連れさんに一本おまけしよう」

雪美「……おお……きれい」キラキラ

こずえ「わあ……おにいさんありがとー……」キラキラ

モバP「こんなはずでは」

634: 2019/08/17(土) 23:20:57 ID:JFUbPeWY
――

モバP「いやあ、時間を忘れて回ったな」

雪美「りんご飴……Pも……なめる……?」

こずえ「ちょこばななもー……おいしいよー?」

モバP「この焼きトウモロコシもな、焦がし醤油が食欲をそそる――って、こうしている場合じゃない急ぐぞ雪こず!」

モバP「もうすぐ花火の時間だ、見やすい場所に行こう」

――

モバP「……着いた」

加蓮「やっほー、場所取りばっちりだよ」モグモグ

奈緒「加蓮はトルネードポテト好きだなあ」

モバP「そっちも撮影が終わったか。お疲れさん」

凛「やっと来たね、プロデューサー。花火終わったら今度は私たちとも付き合ってよ?」

モバP「分かっているとも。約束していたからな」

雪美「……凛……Pのじんべい……いいにおい……する……」

凛「えっ? ……ふーん……あ、本当だ……まあ、悪くないかな……」

635: 2019/08/17(土) 23:23:08 ID:JFUbPeWY
――

ヒュー ドーン パラパラパラ

ヒュルルルルルル ドーン パラパラパラ

雪美「……」

こずえ「……」

モバP「二人とも熱心に眺めているな……しかしきれいだ」

凛「えっ? 私のことかな?」

奈緒「花火のことだよ」

モバP「俺の地元でも以前は毎年打ち上げ花火をやっていたんだが、ある時火事が起きてから無くなった」

加蓮「そういうこともあるよね」

加蓮「……私は一度だけ、入院中に部屋割りが良くて窓から花火が見えるタイミングがあったな~」

モバP「花火は、その場の言葉が無くても、誰か一緒に見てくれる人が欲しいな」

加蓮「うん。病室に私一人、花火を独占できても寂しかった。こうしてみんなと見る方が好き」

ヒュー ドーン パラパラパラ

モバP「良い条件がいくつも重なって、最高の花火は見られるんだな」

636: 2019/08/17(土) 23:26:19 ID:JFUbPeWY
加蓮「パッと光って咲いたー、はーなびを見ーていたー♪」

奈緒「くくく……セルフBGMかよ」

モバP「でも、直に夏は終わっていくんだなあ」

凛「今過ごしているこの夏は、一生に一度しか来ないからね。今日ここに、私たちの足跡は残せたかな?」

モバP「少なくとも俺の記憶には残ったさ。……はしまき食べる?」スイッ

凛「もう、デリカシーに欠けるなあ。……ふふふっ」

凛「っていうか色んな物持ち過ぎだってプロデューサー。ヨーヨーにトウモロコシに浦風に光る棒に、はしまき?」 ホカニモアルゾ? エェ…

雪美「P……一番……はしゃいでたね……?」

こずえ「はしゃいでたねー……えへー……よかったねー……。ふわぁ……」

モバP「アイドルを差し置いて同行のプロデューサーが一番楽しんでるってどうなのよ(自問自答)」

凛「まあ、良いんじゃないかな? プロデューサーだし」 アハハハ

雪美「……P」

モバP「ん?」

雪美「……楽しかった……。また……来ようね……? 来年も……その先も……」


モバP「そう言って雪美は照れ隠しにお面を被るのでした。かーっ! 惚れるねい」 Pサンウルサイ!

638: 2019/08/24(土) 22:07:38 ID:KQh4SjtY
338

雪美「……P……何を……背負っている……の?」

モバP「これは多腕ロボットアームだ」ウィーン

モバP「最近は薫やこずえや仁奈や小春が一度に来ることが多いから、それぞれに遊んであげられるように、な」

モバP「晶葉が発明したこの通称”千手観音”は俺の思考を読み取り、それぞれ独立して動かせる」

雪美「……」ホー

モバP「まるで自分に新しい腕が生えたような感覚だ」クネクネ

雪美「動き……なめらか……。……さわっても……いい……?」

モバP「良いぞー?」

雪美「……やわらかい……ふふふ……」ムニムニ

モバP「逆にこっちからも雪美を撫でてあげよう」ナデナデ サスサス

雪美「……んっ……Pの手……いっぱい……」

ちひろ「でもそれ、昆虫みたいでちょっと気持ち悪いです」


モバP「」ガーン!

639: 2019/08/24(土) 22:12:18 ID:KQh4SjtY
339

カンカン カンカン カンカン

ガタンゴトン ガタンゴトン

モバP(駅前の踏切は開かずの、とまでは言わないが結構待たされることがある)

モバP(上りが行って下りが来てまた上りを待つとか、遮断機が上がったと思ったら数秒してまたカンカン鳴り出すとか)

カンカン カンカン カンカン

モバP(踏切は冷静に考えると結構怖い。単調な音が不気味だし、赤色灯の点滅も電車が近づくと急に動き出すから心臓に悪い)

モバP(ただ、本数が少ない時間や路線でその鳴り出しを待つのが、子どもの頃のちょっとした楽しみだったりした)

カンカン カンカン カンカン

ガタンゴトン ガタンゴトン

カンカン カンカン  グゥーン

モバP(お、開いたな。行くとするか……ん?)ザワッ

雪美「……あっ……P……!」フリフリ


モバP(今の楽しみは、こうしてふとした場所で、雪美と出会うことかもしれない)

640: 2019/08/24(土) 22:14:04 ID:KQh4SjtY
340

モバP「……サンドイッチって良いよな」

雪美「……うん」

モバP「どこぞの伯爵がトランプゲームをしながら気軽に食べられるものを、ということで考案されたと聞くが」

モバP「具のバリエーションが豊かで、玉子、キュウリ、ハム、チーズといろんな物が合う」

雪美「おにぎり以上……かも……」

モバP「お米と違って甘い物も幅広く合うからな。雪美の作るフルーツサンドは絶品だ」

雪美「……また……作る……」

モバP「是非お願いします。週三くらいのペースで食べたい」

ちひろ「無茶言うな」

モバP「何せどこの名店のレシピかと思うほど美味しくて、自分じゃ再現できないんだ」

雪美「……調理実習の……プリントを見て……作っただけ……」

モバP「最近の調理実習はレベルが高いんだなあ……」

641: 2019/08/24(土) 22:15:57 ID:KQh4SjtY
モバP「サンドイッチ……欠点らしい欠点があるとすれば、食パンの耳が除かれるところか」

雪美「……そういえば……端っこの……耳は……切る……」

モバP「雪美はパンの耳は苦手な方? そういう子は割といるが」

雪美「……普通。……分かれていたら……気にならない……」

モバP「嫌いじゃないが食べる時にちょっと違和感というか気になるというか、は誰しもありそうだな」

モバP「パン耳のラスクなんかは安くて重宝するし、意外と分かれていた方が存在感があったりして」

雪美「ラスク……あまり……食べたこと……ない……。…………あっ……!」ピコーン

雪美「……私が……白い部分で……フルーツサンドを、作る……」

雪美「……Pが……耳の部分で……ラスクを、作る……」

雪美「……食パンを……余すことなく、使えて……役割分担……できる……」

モバP「ナイスアイデアだな。今度やってみるとするか!」

ちひろ「サンドイッチの話題で盛り上がっていますけど」

ちひろ「そうして雪美ちゃんにサンドイッチされていることについてはツッコミ待ちですか?」


雪美・モバP・雪美「?」

642: 2019/08/24(土) 22:17:47 ID:KQh4SjtY
341

モバP「盆に実家の物置を漁っていたら面白い物が見つかりましてね」

ちひろ「ほう」

モバP「携帯ゲーム機です。それもキーホルダーサイズ」

ちひろ「うわ小っちゃ!」

菜々「あっ、懐かしいですね! テトリスとかスネークゲームとかレースゲームとかブロック崩しが入っていて……」

モバP「いろいろな亜種があるようですが、これが流行ったのは22、3年は前のようですね」

菜々「クラスの子が持ってて羨ましくて……あ、菜々は17歳なのでこれは前世の記憶です」

モバP「そうはならんやろ」

ポピーピピー♪ ポピーピピー♪

雪美「……あ……動いた……」

モバP「ボタン電池は新しいのに変えたが、まだ動くことに驚きだ」

菜々・雪美「おおー……」ピッピッピ


ちひろ「菜々さん少なくとも三十代までは行ってないはずなんだけどなあ……」

643: 2019/08/24(土) 22:20:50 ID:KQh4SjtY
342

モバP「巨大な346プロには使われていない未知の部屋がいくつかある」

モバP「中には開けてはいけない危険な扉も――」

雪美「……」

ちひろ「それで、プロデューサーさんは一体何をしているんですか」

モバP「何故か座敷牢のある部屋があったんでちょっと自主的に囚われてみました」

ちひろ「自分からお縄につくとは殊勝な心掛けですね」

モバP「僕何もしていませんが」

雪美「……P……悪いこと……したの……? 怒らないから……言ってみて……」

モバP「本当に何もしていない。ちなみにそう言う人は実際に白状したら怒るんだよなあ」

モバP「痛かったら手を挙げてくださいね、と言われたから手を挙げたのに治療をストップしない歯医者に類するものがある」

ちひろ「何をごちゃごちゃと。で、じゃあ謹慎のつもりか、でなければ誰かから隠れてでもいるんですか?」

モバP「いえ。ただ軟禁される気分はどんなものかと思いまして」

644: 2019/08/24(土) 22:22:57 ID:KQh4SjtY
モバP「ほら、よくヤンデレが好きな人にする愛情表現の定番です」

ちひろ「そんな愛情表現は真っ平御免です」

ちひろ「でも監禁とか軟禁とか……いつか本当にそういう目に遭いそうですよね」

モバP「冗談きついっす」

雪美「……好きでも……人を……閉じ込めて……自由を奪うの……ダメ……」キィ パタン

モバP「お、雪美も入ってくるのか」

雪美「……P……一人じゃ……心細い……でしょ……?」

雪美「……! ……ここ……意外にも……おちつく……」

モバP「不思議と居心地は悪くないよな」

ちひろ「好奇心でこういう曰く有り気な所に頭を突っ込まない方が良いと思いますよー。呪われたりしそうです」

モバP「ではどうしてそういう部屋があるんでしょうかね?」

モバP「部屋に限らず、女子寮にも夜に外を出歩くと魔女に連れて行かれたりする、なんて話がありますし」

雪美「……魔女……いるの……?」ブルブル


ちひろ「一体346プロを何だと思っているんですかねえ」

645: 2019/08/24(土) 22:29:30 ID:KQh4SjtY
343

愛海「お山の大きさに貴賎は無いって言うでしょ?」

モバP「ああ」

愛海「でもあたし、男と女では正直に言って別物だと思うんだ」

モバP「何が言いたいのかね?」

愛海「プロデューサーのパイスラは、あまり嬉しくないよ……」

モバP「……?」

モバP「ああ、このネックストラップな。長いからこう、ショルダーバッグのように斜めがけしてみたりして」クイッ

愛海「あー……でも……もうプロデューサーでもいっか!」ワキワキ

モバP「ちょっと待て。俺でも良いかとは何やねん」

愛海「うひひひ……そんな風に見せつけて誘惑するのが悪いんだ」ガバッ

モバP「ひいっ!?」

雪美「待って……。私が……何でもするから……Pには……手を、出さないで……」

モバP・愛海「ん? 今何でもするって」


ちひろ「何でプロデューサーさんまで一緒になって言ってるんですかねえ」

646: 2019/08/24(土) 22:34:24 ID:KQh4SjtY
344

モバP「雪美たちが手伝ってくれたおかげで今日の夕食のおかずは鶏の唐揚げだ」

モバP「いやあ、ボリュームあるねえ。それも揚げたて! ご飯がさぞ美味かろう」

凪「唐揚げにレモンかけておきました! しても良いですか?」

モバP「待て待てストップ。それ嫌がる人もいるからな? 事後報告でなくて事前に聞くその姿勢は良し」

あきら「じゃあ、抹茶塩かけても良い?」

モバP「既に味が付いているから。そもそも抹茶塩をかけるのは鶏の天ぷらだ」

モバP「やるなら十把一唐揚げにしないで、自分の取り皿に取ってから。ね?」

凪「おけまるー」

あきら「おけまるー」

雪美「…………え、私も……?」

雪美「……おけまるー」

あきら「♯今日の雪美サン いただきデス」

凪「P、ニヤついていますね。わかりみです、凪もニヨニヨです」


モバP「お前ら仲良さそうで良いが、唐突におけまるーはズルいわ」

647: 2019/08/24(土) 22:48:13 ID:KQh4SjtY
345

モバP「雪美……そ、それは……!?」

雪美「……某小学校の……制服」キラキラ

モバP「ブラウス、吊りスカートに、制服小学生特有の帽子……これは思いがけぬ僥倖」

雪美「……P……似合う……?」ドキドキ

モバP「いいところの子って感じが引き立つねえ。うん、とても似合っているぞ」

雪美「ありがとう……」テレッ

雪美「でも……Pは……いいところの子……じゃなかった……の?」

ちひろ「プロデューサーさんのご実家、割とお金持ち説がありますからね」

モバP「まさか。でも、制服のある小学生って都会でないと見かけないイメージがあります」

モバP「自分はとある地方の町出身ですが、当時は私服登校でしたし他学区でも私服の子しか見かけませんでした」

雪美「幼稚園と……中学生からは……制服なのに……、小学校だけ……私服……なんでだろう……?」

モバP「んー、何でかな? 個人的には雪美の私服がたくさん見れるから、それはそれで嬉しいが」


ちひろ「逆に私とプロデューサーさんはお互いに私服をあまり見ないですよねえ」 デスネ

649: 2019/08/31(土) 19:49:04 ID:1ClTio6E
346

モバP「346プロの七不思議って知ってるかい?」

雪美「……?」

モバP「いや、俺も知らないんだがねー」

紗枝「フレデリカはんみたいなこと言わはりますなぁ」

モバP「噂じゃそういうものがあるらしい。そもそもここは不思議が多すぎて七つじゃ収まらないか」

紗枝「でも、大抵はプロデューサーはんのことですやろ?」

雪美「……」コクコク

モバP「いや、俺はただのプロデューサーだ。不思議なことなんてそう起こせはしない」

モバP「君たち一人一人が凄いんだよ。俺に想像を超えた不思議を見せてくれるのはいつも君たちだ」

紗枝「まあお上手。けどうちかて、ただのプロデューサーはんの力ではここまで大きくなれまへんでしたえ?」

雪美「……!」コクコクコクッ

モバP「俺ってもしかして凄いのかな……とりあえず、雪美を撫でようか」ナデナデ

紗枝「さっきからほんまかいらしいわぁ」ナデナデ


雪美「……」ムフー ←気持ち良さそう

650: 2019/08/31(土) 19:50:36 ID:1ClTio6E
347

モバP「本日の馴染み過ぎた関係」

モバP「人の家のベッドでうつ伏せ姿勢で漫画を読む雪美さん」

雪美「……♪」パタパタ

モバP「しかもスカートで、足を曲げたり伸ばしたりしている」

モバP「自室のようにリラックスし過ぎではないか? もはや自室なのか?」

雪美「……」パタン

モバP「お、読み終わったらしい」

雪美「……んん……」ノビー

雪美「……」

雪美「……」ゴロンゴロン

バフッ

雪美「……」ムフー ←枕ふかふか


モバP「もしや自分の前世は徳を積みまくった聖人なのだろうか? 感謝しかないな」

651: 2019/08/31(土) 19:52:18 ID:1ClTio6E
348

モバP「今年のサマーも終わりか。早いなあ」

雪美「……」コク

ちひろ「まだまだ暑いですけどね」

モバP「でも盆過ぎから結構冷え込んだり冷え込まなかったりで、涼しくなっていますよ」

モバP「おかげで寝不足が解消されつつあります」

ちひろ「プロデューサーさんは暑いと寝られないタイプですか」

モバP「寝入ることは出来るんですが、眠りが浅くなって二、三時間で起きてしまいノンレム不足です」

ちひろ「夢を見ている浅い眠りの状態がレム睡眠、頭が完全に休まる深い眠りの状態がノンレム睡眠でしたっけ」

雪美「P……寝不足……だったの……?」

モバP「まあいろいろ工夫したり謎のドリンクを飲んだりしたから問題は無かった」

ちひろ「謎のドリンクっておい」

モバP「でも自然にぐっすり眠れるのは良いもんです」

ちひろ「まだしばらくは油断すると暑さの揺り戻しが来そうですけどね。季節の移ろいはそんなものかと」

652: 2019/08/31(土) 19:53:55 ID:1ClTio6E
モバP「とりあえず今は暑い夏を乗りきった充実感で漲っています。ウェルカム秋の夜長」

雪美「P……夏は……楽しかった……?」

モバP「ああ。意外でもなく忙しかったが、雪美たちと充実した日々を送れたと思うよ」

モバP「きついこともあったが、良い夏だった」

雪美「……良かった……。……私も……楽しかった……」

モバP・雪美「……へへへ」

ちひろ「お二人は本当、和気藹々ですねえ」

雪美「P……今日は……どこに……連れて行って……くれるの……?」

モバP「夜、少し街はずれにでも行ってみようか」

モバP「先日通ったら、鈴虫が鳴いていてな。秋の訪れを感じに行こう」

雪美「……楽しみ」

ちひろ「静かな中であたり一面の鈴虫の鳴き声……良いですね」

モバP「今こうしている間も何だかあの鈴虫の声が聞こえてくるようでして」


ちひろ「それは耳鳴りとかじゃないですよね?」

653: 2019/08/31(土) 19:57:45 ID:1ClTio6E
349

モバP「屋外の流れるプールで見かけるフロートは目を惹くな」テクテク

雪美「……」プカプカ

モバP「流れる雪美さん、つい追いかけたくなる……しかしそれに乗れるって良いなあ」

雪美「……Pも……乗る……?」

モバP「いや、普通の浮き輪やバナナボートとかならともかく、この歳で黒猫のフロートに乗るのはね?」

雪美「……これ……好き……」ダキッ

モバP「自分の歳が一桁くらいだったらそのお誘いは受けていただろう」

モバP「それに、撮影後で貸し切りとは言ってもアイドルの中に男の俺が一人飛び入りして一緒に遊ぶわけにはいかんのだ」

雪美「そんなこと言って……P……アロハシャツ……サングラス……」

モバP「気分だけでもみんなと一緒にな――」

法子「油断大敵! クールスプラーッシュ!」ピューッ

あやめ「わたくしも! 水遁・水鉄砲の術!」バシャー

雪美「あっ……」

モバP「……まあこういうことも想定してだな」ビショビショ

654: 2019/08/31(土) 20:01:13 ID:1ClTio6E
モバP「それにしてもお前ら、水のある所でこれほどの水遁を……」

輝子「ヒャッハー! P、捕まえたぁーッ! 新鮮なマッシュルームをゲットだぜー!!」ガバッ

小梅「ナイス、輝子ちゃん……そのまま、こちらの世界に……引きずり込んじゃえ」

モバP「っとっとっと、不意を突かれたと言っても輝子、お前だけで俺を動かせるかな?」

拓海「よぉP、遊ぼうぜ? 年少組が元気でアタシらだけじゃ手が足りなくてさ」

雫「こっちもですよー。Pさんも一緒に楽しみましょー!」

茜「……!」ウズウズ

モバP「あ、これ力負けいや圧力負けしそう」

――

モバP「そして俺は気づいたらプールの中にいた」

モバP「自分だけは安全圏からちひろさんに水鉄砲当てながら過ごしたかったのに……」

ちひろ「残念ですけど私ももう水着になっちゃってるんですよねー」キラキラ

モバP「あっちひろさん。……いやあ、しゃがんだちひろさんに見下ろされるとは壮観。水着、お似合いで」

ちひろ「ありがとうございます。でも私は水鉄砲の的じゃありませんからね」

655: 2019/08/31(土) 20:03:32 ID:1ClTio6E
モバP「ちひろさんシューティングまたやりましょうよ? すっごい避けるし透けるし濡れるし最高です」

ちひろ「そんなに私を撃ってぐしょ濡れにして遊ぶのが愉快でしたか……ほーん」

モバP「いつもの服であんなことを許してくれるちひろさんは、本当サービス精神に溢れていますよ」

ちひろ「はぁ……だったら、普段からもっとそのサービスに報いてくださいね?」ニコ

幸子「ちひろさんは笑顔が反則ですね。ボクも一目置くカワイさですよ」 ダナ

志希「アイドルじゃないのが勿体無いくらいだねー♪」 マッタクダ

愛海「お山登りたい」 ソレハチョットナ

ちひろ「おーおー好き勝手言いなさる。たまには私からやり返しても良いですかね?」

早苗「ちひろさん、見ーつけた!」ピューッ

ちひろ「冷たっ! ちょっと早苗さん!」 ワーニゲロー

モバP「こっちにも良い武器がございますぜ(スプラスコープ)」

ちひろ「いつの間にこんな物を配って……もはややりたい放題ですね」

モバP「ここらで一つ、プロデューサーとアシスタントの怖さをみんなに再教育してやるとしませんか?」

ちひろ「手を組む訳ですか。……良いでしょう、こうなりゃヤケです」

656: 2019/08/31(土) 20:11:38 ID:1ClTio6E
楓「おや、我々とやり合うおつもりで?」

ちひろ「こちらも伊達にスーパー裏方やってませんからね」

ザバッ

モバP「助っ人も呼んでおきましたよ」

雪美×7「……私たちは……Pと……ちひろさんの……味方……」

拓海「面白くなってきやがった」スチャッ

亜季「こういうサバゲーもたまりませんな!」チャキッ

ちひろ「覚悟は良いですか? 全主砲斉射、てーっ!」

――

――

雪美「……大丈夫……?」

モバP「ああ。しかし負けたぜ……数の暴力には勝てねえ」プカプカ

ちひろ「良い慰労にはなりましたけどね」プカプカ


雪美「……二人とも……いい笑顔……」クス

657: 2019/08/31(土) 20:14:28 ID:1ClTio6E
350

モバP「夏はアイドルたちの水着姿をたくさん見ることができたなあ」

みく「Pチャンはそういうとこ、隠さないにゃあ」

モバP「自慢のアイドルの晴れ姿に胸が躍らない訳がない」

モバP「プロデューサーであると同時に、俺が一番のファンでもあるつもりだしな」

みく「何言ってんだか。でもPチャンに見られてもイヤな感じはしないのは確かだにゃ」

雪美「……不思議」

みく「……Pチャンってたまに出す男の子臭さを除くと中性的だよね。実は女の子じゃないよね?」

モバP「男だからな? でも何かそう言われると自分は本当に男なのか自信が無くなってくるな」

雪美「……P……まかせて……、私が……自信を……取り戻させる……」

モバP「雪美……あっ、ちょ……ダメだって……そこは……」

――

モバP「……ふぅ。やっぱり俺は男だった(健全)」


みく「さすがのみくも自分を曲げそうになるよ?」

658: 2019/08/31(土) 20:25:37 ID:1ClTio6E
351

モバP「ふと思ったんだが」

杏「そうだ、今日はいい天気だし仕事は休みにしよう!(声真似)」

モバP「どれだけ気ままな自営業だよ。ちゃうちゃう」

杏「プロデューサーがそういう振り方する時はどうせロクなことじゃない」

モバP「そうか? では敢えて口を閉じておこうか。この出かかった賢者のアイデアを」

杏「まあ、一応聞いといてあげるよ」

モバP「牛乳にきな粉混ぜたら実質豆乳じゃね?」

杏「違います(即答)」

モバP「……はぁ……いや本題はね? 最近の小中高生ってさあ、宿題をきちんとやるんだなって」

杏「誰もギリギリになって宿題終わってないから手伝ってと言って来なくて寂しいの? 良いことじゃん」

モバP「まあな。アイドル同士で勉強会とか開いて協力し合っているようだし……俺は溜め込んで必氏にやったりしていたのに」

杏「だってプロデューサーと缶詰で宿題するよりは、終わらせて一緒に遊ぶ時間を増やした方が良いし」


雪美「……だからPも……お仕事……早く片付けよう……?」 ハイ

659: 2019/08/31(土) 20:55:27 ID:1ClTio6E
352

モバP「語尾が伸びる女性ってちょっと良いですよね。特に関西弁の」

モバP「口調から作り出されるどことなく天然そうでおっとりした雰囲気……癒されそうです」

ちひろ「あずまんがの春日歩ちゃんみたいな? ……ただし可愛い女の子に限る」

モバP「悲しいなあ……まあ、例えばチャラ男系が語尾を伸ばした喋り方をしていたら確かにキツいですが」

雪美「……P……こっち向いてー……向けー」

モバP「こずえかな?」

雪美「……語尾を伸ばすって……こういう……こと……? ……難しい……ね」

モバP「違和感があるなら意識して変えてみなくても良いさ」

ちひろ「自分がこの方が喋りやすい、と思ってその口調にしていく訳ですからね」

ちひろ「プロデューサーさんも雪美ちゃん向きと私向きとでは口調を使い分けていますけど、未だに何だかぎこちないですし」

モバP「それはちひろさんが年上ゴホンゴホン、お互い節度ある大人の距離感として、この方が自然かなと判断してですね」

ちひろ「何故そこで咳き込んだよ」


雪美「……二人は……何歳……なんだろう……」

661: 2019/09/07(土) 23:10:33 ID:DXnW.eEw
353

雪美「……あっ」

モバP「左右に扉がある」

モバP「……俺の勘がここは右に行った方が良いぞと告げている」

雪美「……左に……行きたい……」

モバP・雪美「……むむむむむ」

モバP「……こういう意見が分かれた時の為にガイドラインを設定しておかねばなるまい」

モバP「よし、コイントスで決めるとするか。表なら俺の意見を、裏なら雪美の意見を採用する」

雪美「……依存なし」

キンッ クルクルクルクル パシッ

モバP「……裏、か。よし、左に行こう」

雪美「……あっ……でも右から……良いにおいが……する……」

モバP「右に行くか」コロッ


ちひろ「コインに託しておいて即翻すとは適当極まりますね」

662: 2019/09/07(土) 23:11:42 ID:DXnW.eEw
354

モバP「はぁ……雪美さん……」

雪美「……?」

モバP「今日の格好も格別だね」

モバP「麦わら帽子に三つ編み、オーバーオールが決まっている。見惚れるよ」

雪美「Pが……見とれて……くれる……」キラキラ

モバP「雪美さんが人の心を鷲掴みにするものだから……恋煩いのようだ!」

雪美「……ふふっ……そのまま、私から……目を……離さないで……」

モバP「……こんな姿もあんな姿も、宣材写真にしないと勿体無く思えてくるぜ」

モバP「それにしてもオーバーオールに三つ編みってカントリー感八割増くらいあるよな」

雪美「……そんなに?」

モバP「そんなに。だから、連鎖的にカントリーマアムをそっと隣に置いてみてもあら自然」

雪美「……自然……?」


モバP「自然さ。何せ餡子も入っているしな(謎)」

663: 2019/09/07(土) 23:13:29 ID:DXnW.eEw
355

モバP「雪美さんが時々とても大人に見える時がある」

雪美「……?」

モバP「穏やかで品があって、俺が無茶やっても暖かく見守ってくれる感じがですね」

ちひろ「呆れて生暖かい目で見ているのではないですか?」

モバP「そんなことはないだろう?」

雪美「……あまり……無茶は……しないで……ほしい……」

モバP「はーい」

ちひろ「どちらが保護者格か分かりませんね」

モバP「でも、老成しているというか知識豊富で頼りになる感じがしませんか?」

ちひろ「それは分身でフィードバックしているからじゃないですか?」

モバP「ファンタジーですね」

ちひろ「今更」

664: 2019/09/07(土) 23:14:46 ID:DXnW.eEw
雪美「P……こっち……おいで……」

モバP「何? 雪美さん」

雪美「おこづかい……あげようね……。みんなには……ないしょ……」

モバP「わぁい」

ちひろ「おばあちゃんかな?」

モバP「口リータなおばあちゃん、浮世離れで人間離れした万能感が味方にいると心強い」

雪美「……そのかわり……妾を……乗せるのじゃ……」

ちひろ「まさかののじゃ口リ?」

モバP「どうぞどうぞ、こんな粗末な席で宜しいのならいくらでも」

雪美「……」ポスン

雪美「……なでなで……してくれない……の……?」

モバP「でもやっぱり雪美は年相応な面も見せてくれるのが好きだね」ナデナデ

雪美「……んっ……もっと……なでて……」トロン


ちひろ「年相応ならこんなことはしてないと思いますけど」

665: 2019/09/07(土) 23:15:53 ID:DXnW.eEw
356

パクッ

雪美「……キャラメル……」ウットリ

モバP「雪美と食べるおやつのホーキーポーキーは美味い」

ちひろ「容器の大きな業務用アイスですね。こんなのどこで買って来るんですか」

モバP「ニュージーランドから買い付けています」

ちひろ「……プロデューサーさんって結構計り知れないですね」

モバP「この仕事をさせてもらっているおかげですよ」

モバP「話は変わりますが、秋と言ったら肝試しですよね」

ちひろ「いえ夏です」

モバP「あっそうか夏か」

モバP「……あれー? 何で秋だと思ったんだろう」

ちひろ「しっかりしてくださいよ? まあ春とかでもあるにはありますけど」

666: 2019/09/07(土) 23:18:30 ID:DXnW.eEw
モバP「今年はアイドルたちと肝試し大会をやりたかったのにすっかり忘れていました」

ちひろ「肝試し大会とは古風ですね」

モバP「娯楽の制限される部活合宿とかオリエンテーションでの定番の息抜きイベントですよ?」

ちひろ「ですかね? 学校の時は班行動で雑談しながら夜道を歩いただけで終わってつまらなかったです」

モバP「それは仕掛け側の段取りが悪かったんでしょう」

モバP「もしくは、実は大変な目に遭ったりしたのに、そこだけぽっかりと抜け落ちて忘れているだけかもしれない」

ちひろ「小さい頃の記憶って結構曖昧ですからね。しかしそれは無い」

雪美「P……きもだめし……したいの……? ……こわがり……大丈夫……?」

ちひろ「え、そうなんですか?」

モバP「雪美と遊園地を回った時におばけ屋敷で半泣きになってやりましたよ!」

ちひろ「自信満々に言うことじゃない」

モバP「でも、一度は肝試しのような形のドッキリのターゲットにされてみたい気はします」

モバP「”プロデューサーを驚かせたら金一封!”なんてね」


ちひろ「アイドルじゃなくてプロデューサーさんがされる側ですか……」

667: 2019/09/07(土) 23:24:46 ID:DXnW.eEw
357

早苗「P君、雪美ちゃんに手を出したでしょ?」

モバP「はて? 何のことでおじゃるか? 麻呂は俗世のことは分からぬでの」

早苗「出したの? 出してないの? 目を見て言ってごらんなさい」ジッ

モバP「……いや、近いっすよ」スッ

早苗「……あ、目を逸らした。怪しい……」

雪美「……大丈夫……Pは……羊さん……」

早苗「冗談よ。鎌をかけてみただけ。逮捕はしないから安心しなさい」

モバP「ほっ……仮に本当はやっていたとしても?」

早苗「逮捕はしないだけで通報はするわね」

早苗「でも、相変わらず誤魔化し方が下手じゃない? 普段職質に遭った時にテンパったりしてない?」

モバP「職質は受けたことがないのが自慢です。自転車の防犯登録をしているか聞かれたくらいで」

早苗「それも職質だから。……くれぐれも手錠かけられるようなことはしないでね?」 ウッス

668: 2019/09/07(土) 23:29:02 ID:DXnW.eEw
早苗「それにしても、普段からそれだと欲求不満になったりしない?」

雪美「……」チョコン

モバP「そんなことはないですよ。膝上モードだと周りからはあれどう見ても入ってるよねとか言われますが」

モバP「わたくし法令順守がモットーなので。それに……やったら体に悪いと思います」

早苗「普通そこで体に悪いなんて言葉が出てくる?」

モバP「忌避する簡単な理由付けの一つですかね。健やかな成長の為には良くないことだと認識しています」

モバP「互いに思いやればこそ、そういうことをしようとする考えには至らないですね」

早苗「そっかあ……って、雪美ちゃんいるのにこんな話は良くないか。ごめんね? そろそろ行くわ」クルッ

雪美「……P」ヒソ

モバP「……? !」

チュッ ササッ

早苗「……ん? 今あたしが背を向けた時に何かした?」

雪美「……別に……何も……」シレッ


モバP(でも雪美さんは割と狼さん)

669: 2019/09/07(土) 23:34:13 ID:DXnW.eEw
358

雪美「……Pは……どうして……私に……こんなに、よくして……くれるの……?」

モバP「理由なんて多分ないさ」

雪美「本当……?」

モバP「……ああ」

雪美「……」ジッ

モバP「……こういうのはどうだ? 俺は世界の終わりを何度か見ていてな」

雪美「……?」

モバP「隕石落下、火山噴火、津波、核攻撃……それらに巻き込まれて氏の瞬間に目が覚める」

モバP「それは夢かもしれないし、何も無かったように修正された現実のやり直しかもしれない」

モバP「ただ、世界が終わる時、俺はいつも雪美のそばにいてやれない。助けてやれないんだ」

モバP「だからかな――雪美といないと……怖い」

雪美「……P……あまり……思い詰めないで……」

雪美「……私が……Pを……守る……から……」ギュッ


ちひろ「プロデューサーさん、貸していた最終兵器彼女の最終巻返してもらえます?」

670: 2019/09/07(土) 23:38:51 ID:DXnW.eEw
359

モバP「及川牧場の牛乳は美味いなあ」ゴクゴク

雪美「……」ゴクゴク

モバP「雪美も牛乳は好きか?」

雪美「……うん」

雪美「……でも……好きと言うよりは……早く……大きくなりたいから……飲む……」

モバP「男子と比べると伸び幅は小さいかもしれないが、年齢的には伸び盛りだもんな」

モバP「765プロの双子姉妹は見る見るうちに身長が伸びていったし」

雪美「……私も……Pの……隣が似合うような……大人に……なりたい……」

モバP「気持ちは嬉しい。でも雪美はそのままのサイズでも充分魅力を放っているよ」

モバP「それに、今の体格差だから膝上にすっぽり収まるというのもあるしな」

雪美「……でも……Pも……牛乳飲んでる……。……まだ……大きくなる……」

モバP「俺はもう伸びないと思うぞ? 骨とお腹に良いから飲んでいるがな」


雪美「……それを聞いて……安心……。……いつか……追いつく……!」

671: 2019/09/07(土) 23:40:27 ID:DXnW.eEw
360

モバP「ちひろさんは学校の運動会でパン食い競争ってやったことあります?」

ちひろ「芳乃ちゃんがやっていたあれですか」

モバP「ぴょんぴょんする芳乃は伝説ですね」

ちひろ「あなた割と普段から芳乃ちゃんにぴょんぴょんされてませんかね?」

モバP「あれはじゃれているんでしょう。よしのんが本気を出すと自分なんて簡単に飛び越されます」

ちひろ「忍者かな? あ、パン食い競争については学校では無かったですね。借り物競争はありますけど」

モバP「自分もです。あれ、ちっともやらないのは衛生上の問題なんでしょうかね? それともパンを数用意するのが大変?」

みちる「お昼のお弁当を食べられなくなるからだと思います!」

モバP「みちるから真っ当な答えが返って来た……なるほどな」

みちる「でもパン食い競争は好きです! ジャムパン、あんぱん、クリームパン!」

雪美「……私は……メロンパン……」

モバP「ああ、良いよなあ。競技に参加するだけでパンを食べられるなんて……俺はラピュタパンかな!」


ちひろ「目玉焼きトーストが吊るしてあるパン食い競争は嫌だわ」

672: 2019/09/07(土) 23:41:45 ID:DXnW.eEw
今日はここまで
ルヴァン症候群


to be continued...→


引用: モバP「雪美さんといっしょ」