433: ◆zvY2y1UzWw 2013/10/13(日) 01:35:56.62 ID:P/8BQLsz0

モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



キヨラさんとメイド喫茶投下

434: 2013/10/13(日) 01:36:38.37 ID:P/8BQLsz0
「秋炎絢爛祭…ねぇ」

街を歩く女性のバッグの中のライオンのぬいぐるみがチラシを見ている。

「かなり大規模なお祭りみたいだよ。毎年の集客データ…半端ないね。」

クマのぬいぐるみも携帯ゲーム機を弄りながら答える。

「…そこに潜り込んでもいいかもしれないわね。人間界の住居確保及び信頼関係の構築の役に立ちそう…それに、何かあった時…ね。」

「ふーん…働いたりするのぉ?」

「そうねぇ…お金の心配はないけど、確かに働いた方が働いていない人より信頼構築はしやすいわ。」

「と言っても、どこで働くの…ですか?」

ベルフェゴールが問う。それもそうだ、募集をしているのは力仕事が多い。

「ここで募集していないけど店員募集をしている店もあるでしょう?喫茶店とかなら私にもできると思うのよ。」

「…探してみます」

そのベルフェゴールにルシファーが小声で話しかける

「あんたもすっかり配下って感じねぇ…」

「…そういうそっちはどうなのさ。」

「私は心までは従わないわぁ。アザエルちゃんを信じてるものぉ…」

クスクスと笑うぬいぐるみの声は、人ごみの中ではキヨラに聞こえなかった。


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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




435: 2013/10/13(日) 01:37:15.57 ID:P/8BQLsz0
「…『エトランゼ』…喫茶店と言うよりはアレね、コスプレ…?ここしかないの?」

「…」コクリ

ベルフェゴールが無言でうなずく姿を見て、キヨラはため息をつく。

「…キツイわ。私、人間ではないけど…人間基準だとこれはキツイ年齢だってわかるのよ。」

「ですよねー」

立ち去ろうとすると、裏口から出てきた一人の女性が腕をつかんだ。

「ちょっと待ってください!!」

「は、はい…?」

「あのっ!う、うちで働きませんかね!?」

「えっ」

「店の窓からあなたを見て…持っているチラシから察するに、働き先を探しているんでしょう!?」

興奮冷めやらぬといった様子で、彼女はキヨラを誘う。

「でも私…もうそういう年齢じゃ…」

「あなたには似合う!私の勘がティンと来ているんです!ちょっとまずは着てみましょう!」

「え…は、はい…」

何故か断れない気迫に押され、キヨラは中に連れていかれてしまった。

436: 2013/10/13(日) 01:38:37.72 ID:P/8BQLsz0
「似合います!!すっごく!!」

「…あの、これは…?」

キヨラが着せられたのは、よくある短いスカートのメイド服ではなく、ロングスカートのメイド服。

「ヴィクトリアンメイド。真面目…なメイド服?って言えばいいのかな。…こっちの需要もあるので。やっぱり似合うなぁ…」

どこかうっとりした瞳で見つめるチーフ。キヨラはどうリアクションしたものか、いまいち分からない。

「は、はぁ…」

「チーフ!自分もそっちの長いスカートの方が!」

いきなり背後からミニのメイド服の女性がチーフに服を変えるように訴える。

「ダメ。亜季ちゃんは短いスカートの方が似合っているから!!ほら戻った戻った!」

「そんなぁ…」

…秒殺で却下。無理やり表の方へ押し出されていった。

「ふぅ…あ、名前を聞いてませんでしたね。」

「ああそうでしたね…私は、キヨラ…柳清良です…あの、やっぱり…」

「清良さん!どうかこのエトランゼで働いてくださいませんかね!!」

両手をガシッと握られ、強い押しにキヨラはたじたじになってしまっている。自分のペースに持ち込めないのだ。

「その、私遠い場所から来ていて…まだ住む場所も決まってないので…まずはそっちから決めた方が…」

「住み込みで大丈夫ですよ!!」

「え、ええ…」

「押されてる…」「珍しいもの見れたわねぇ」

ベルフェゴールとルシファーがバッグの中で面白そうに小声で会話する。

幸運なことにキヨラにそれが見つかることはなかった。

437: 2013/10/13(日) 01:40:26.67 ID:P/8BQLsz0
結局、キヨラは断り切れず、エトランゼで住み込みで働くことになった。学園祭も近く、人手はあった方がいいらしい。

メイドのメンバーとして、仕事の他にメンバーを記憶していく。休憩時間に写真付き名簿を見る。

住み込みだから夜の閉店後でもいいが、本人を見れるのは記憶するのにちょうどいい。

少々経歴が不透明な者もいるが…自分のように勧誘されたのだろうと納得をする。

(…獣人も居るのね、あとは…アナスタシア…アーニャ、又はアーニャンってニックネームなのね。)

最近来たという銀の髪の少女。今日は来ているらしいが…ヘルプらしく明確なシフトは書かれていない。

「あのー」

(…!)

「あー…あの、清良さん。休憩入ります、交代です。」

顔を上げると、ちょうど本人が休憩に入ろうとしていた。

「…あら、もうこんな時間。すぐに出るわ。」

立ち上がり、メイド服のスカートを整え、名簿をしっかりと鍵付きの棚へ片づける。

「アーニャちゃん。」

「シトー?えっと…なんですか?」

「…ごめんなさい、やっぱり何でもないわ。」

「そうですか?」

首を傾げるアーニャに少し申し訳なさそうに微笑むと、キヨラは休憩室から出た。

(…あの子から…ずいぶんと懐かしいものを感じたわ…)

聖天気。天使の力。…それを懐かしいと感じる彼女。彼女の真の姿は天界の熾天使。神の炎、破壊天使ウリエル。

かなり昔、天界で神に逆らう事の愚かさを教えるための見せしめの只の天使として魔界に落とされた。

だから殆どの天使はウリエルの顔や正体を知らないまま。

彼女が堕天使と見せかけて魔界へ働きに出された熾天使であることは他の熾天使と全能神しか知らない。

魔界で罪人を裁くことの悦びに目覚め、それ以来神にこんな自分を見せられないと天界に帰ってはいないが…聖天気を感じ、ふと天界を思い出してしまった。

(…ミカエルちゃん、ガブリエルちゃん、ラファエルちゃん…元気かしら。)

天使とは思えないサディスティックな一面と、本当に天使のような優しさの一面を持つ彼女。

今…少しだけ、故郷を思い出していた。

438: 2013/10/13(日) 01:43:28.94 ID:P/8BQLsz0
ウリエル(キヨラ)
とある事情により見せしめに堕天使にされてしまった熾天使。別名・破壊天使。
他の熾天使と全能神しか彼女が熾天使の一人であることを知らない。ウリエルは他の天使の間では正体不明だった。
堕天後は魔界で天使であること隠しつつ更正施設で働き始め、以前よりも裁く悦びに目覚めてしまった。
元が熾天使である為、レベルドレインの末に異常に強くなり…「魔王より強い」という噂は…本当なのかもしれない
全能神は彼女の帰還を望んでいるがキヨラは今の自分はとても見せられないと拒否している。
あと彼女好みのたくましい声の男性が多いのもある。
罪によって堕天した堕天使ではないので聖天気を扱える。…が、神に見つかる事を恐れてあまり使おうとはしない。
魔力を聖天気とせずに体内で留めるテクニックを習得しており、その為魔術も回復系ならば容易に扱える。

焔の剣
普段は医療器具の入った四次元カバンの中に紛れ込ませてあるキヨラ本来の武器。
聖天気によって構成される焔が悪を焼き尽くし、異常なスピードで放たれる剣が障害を破壊する。
…だが本人はあまり使おうとはしない。

439: 2013/10/13(日) 01:44:38.17 ID:P/8BQLsz0
以上です
メイドなキヨラさんはロングが似合う(力説)
そしてキヨラさんウリエル確定だよ!

440: 2013/10/13(日) 01:46:45.06 ID:Dw1pvD3p0
おつ

キヨラさんだから驚きはしない(真顔
にしてもキヨラさんを強引に押すとは……チーフ凄い

441: 2013/10/13(日) 02:46:08.72 ID:ggsyJidMo
乙乙!
キヨラさん凄いな…。
メイドが増えるよ、やったね!


【次回に続く・・・】


引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part7