8:◆EBFgUqOyPQ 2013/11/20(水) 22:18:12.89 ID:MfssUD2xo
どうも。続きを投下するよ


9: 2013/11/20(水) 22:18:48.00 ID:MfssUD2xo

「あれ、ホントにあげてよかったの?たしかエメラルドタ……た……なんとかの一つとか聞いたことあるけど」

「ええ、ほぼ解析も終わってますし私が持っていたところで宝の持ち腐れですしね。100年くらい前に偶然手に入れただけで私にとってはただの骨董品ですよ」

 二人は教習棟の階段を下りながらそんな会話をする。

「それに私にはこれがあれば十分ですしね」

 イルミナPは皮手袋に包まれた右手を前に出して2,3回手のひらを握ったり開いたりしながらそう言った。

「ふーん……。ところでイルミナPちゃんはそろそろお腹減ってない?」

「たしかにもう昼間ですからね」

 近くの壁に掛けられていた時計を見ればすでに正午を過ぎていた。

「どこかで昼食でもとりましょうか、唯」

「賛成♪じゃあどこ行こっか?」

 イルミナPは折りたたまれた学園祭のパンフレットを取り出して目の前に広げる。
 唯はそれを覗き込んだ。

「飲食系の出店は結構ありますね。しかし時間帯もちょうど昼時なのでどこも混んでいるでしょうしとりあえず近場から回ってみましょうか」

 二人はとりあえず歩き出した。
 先ほどのアンティークショップの前に比べて今歩いている廊下は人通りが多い。
 教室は何かしらの店舗で埋まっており、人の出入りも頻繁に行われている。

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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




10: 2013/11/20(水) 22:19:34.10 ID:MfssUD2xo

「ところでどうして飲食系の模擬店が多いんでしょうかね?」

 イルミナPはふと疑問に思った。

「ん?どういうこと?」

「いや、飲食物を取り扱う出店を行うとなると、手続きや衛生面の管理なんかでいろいろ面倒なことが多いと思うんですよ。
 外部からの出店ならともかく、学生がどうして好き好んで飲食店をしようとするのか疑問に思ったんです。」

 その言葉に対して唯はやれやれといった表情で言う。

「そんなこと考えてちゃダメダメだよイルミナPちゃん♪確かに手間はかかるかもしんないけどね、この子たちには今年の学園祭はこの一度だけなんだからさ!手間とか苦労とかよりもさ、この一度だけの学園祭で何をやりたいかが大切なんだよ♪」

「手間以上に何をしたいか……ですか」

「そう♪だから学園祭でやりたいこととなれば喫茶店とか食べ物扱ったりするのをみんなでやってみたいって人が多くなるんだと思うよ。みんなで考えたやりたいことをみんなでやり通すのが、きっと『学園祭』っていうものだからねー」

 イルミナPの前を歩きながら喋っていた唯は振り向いてイルミナPの顔を見上げながら立ち止まる。
 当然イルミナPも足を止めて唯の目を見るしかない。

「だからイルミナPもゆいのことばっかりに一生懸命になってパソコンの画面とにらめっこしてなくてさ、自分のしたいことをもっと考えてみたら?」

「……別に私は、いつも自分のしたいことをしているだけですよ」

11: 2013/11/20(水) 22:20:52.30 ID:MfssUD2xo

 イルミナPのそんな返答に唯はすこし不満そうな表情をするが、そのままイルミナPに背を向ける。

「そういうことなら……別にいいんだけどさぁー。あ、あの店偶然席空いてるみたいだから入ろー☆」

 そんな風にある店の入り口の方に向かっていってしまう唯を見ながらイルミナPは頭を軽くかく。
 そして軽くため息を吐いて唯の後を着いていった。

「お帰りなさいませにゃ。ご主人サマ!」

 店内に入ると、そこには猫耳のメイドさんが待ち構えていた。

「話には聞いたことはあったけど、こういったお店に入るのはゆい初めて☆」

「なるほど……メイド喫茶ですか。……いいですね」

「ではこちらにどうぞだにゃあ!」

 二人はそのまま猫耳のメイドに連れられて窓際にある席へと案内された。
 メイドは頭に生えた耳を揺らしながら二人にメニューを渡す。

「注文が決まったら呼んでほしいにゃ」

 そのまま猫耳メイドはせわしなく別のテーブルへと向かっていった。

「ずっと動きっぱなしだったのでようやく一息つけたという感じですね」

「まぁ店内は結構慌ただしそうだけどねー」

 席が空いていたのは本当に偶然の様で、二人が入ってから店の入り口には徐々に列ができ始めていた。

「お嬢様ご主人様方一列に並んでくださーい」

 その列を一人のメイドが整列させる声が聞こえる。
 メイドが大量の主人に指示を出している姿だと思うとあまりにシュールである。

「慌てなくてもいいですが、メニューくらいはすぐに選びましょう。唯は何を注文しますか?」

12: 2013/11/20(水) 22:21:54.35 ID:MfssUD2xo

 イルミナPは手に持っていたメニューを唯の方を向けて広げる。
 唯は頭を下げて、メニューを見ていると水を持ったメイドがやってきた。

「ご注文はお決まりですか?」

 水の入ったコップを置いた後メイドは二人にそう尋ねてきた。
 唯は顔を上げて、メニューを指さしながらメイドの方を見る。

「じゃあ……このナポリタ……ン……を……」

 唯の言葉が尻すぼみに小さくなっていく。
 
「どこかで見たことあると思いましたけど、お久しぶりですね」

 そう言いながらそのメイド、柳清良は微笑んだ。

「うん……ほんとに、久しぶりだよね、ウリエル。何してるの?こんなところで」

 唯はひきつった笑顔でそう返す。

「それはこっちのセリフよ。ずいぶん長い間存在を確認できなかったからとうの昔に風化でもしたのかと思ってましたけど」

 唯はひきつった笑顔から軽く深呼吸をする。
 そしてにやけたような表情に変えて清良を見る。

「ほんとに久しぶりに会ったと思ったら、ずいぶんとかわいい恰好してるねぇウリエル」

13: 2013/11/20(水) 22:22:26.22 ID:MfssUD2xo

「この世界で生活するのにも仕事はしないといけませんからね。まぁ本職もありますけど」

「本職ねー。であの神さまは今も元気なのかな?」

「ええ、きっと元気だと思いますよ」

 唯、バアルが天界から堕天された時にはまだウリエルこと清良は天界で熾天使をしていた。
 そして清良がその後魔界へ行った時にはすでに魔界を後にしており、清良が魔界の更生施設で働いていることを唯は知らないのだ。

「ところであまりその名で呼ばないでくれます?ここでは柳清良と名乗っているので」

「どうしよっかなー。じゃあその本職ってのを教えてくれたら呼んであげないこともないけどね♪」

「そうですね。貴女にも聞きたいことがあるので教えましょう。私、とある任務でこの世界に来てるんですけどね

どうやら世界を滅亡させようとしている人がいるみたいなんですけど、何か知りませんか?バアル・ゼブル」

 唯は水を一口、口に含んだのちに笑みを残したまま清良の方をじっと見る。

「あいにくあたし、ユイは隠居生活でのんびり過ごしてるだけだからねー。そんなこと企んでる人なんか知らないよ♪」

「本当ですか?」

「本当だよ。ゆいは何にもしてないよ。それにさぁ

仮に何かしてたとしてもここで本当のこと言うと思う?」

「……強引に聞き出すこともできなくはないですよ」

「ここで戦えば、きっとこの街灰になるけどいいのかな?」

 二人とも笑顔のまま、にらみ合う。

14: 2013/11/20(水) 22:22:56.74 ID:MfssUD2xo

「あの、すみません」

 そんな二人の沈黙の中に交わる一つの声。
 イルミナPが真剣な眼差しで清良を見る。

「どうかしましたか?」

 清良も唯から視線を外して、イルミナPの方を向く。
 唯の連れであることを知っているので依然警戒は解いていない。

「あの……

この『メイドさん特製萌え萌えオムライス』をいただけますか?」

「……はい?」

「……何やってるの?イルミナPちゃん」

 二人からの冷たい視線にたいしてイルミナPはよくわかっていないようである。

「え……まぁ確かに魅力的なメニューが豊富にあって迷ってしまいましたけど……私何かしました?」

 清良はそんなイルミナPに苦笑いのようなあきれたような微妙な表情をするしかなかった。

「……まぁいいでしょう。あなたの言うことを信じておきましょう、バアル。ですけどあなたは天界から追放された身。このままずっと見逃したままにはしませんよ」

 清良は唯に背を向け、厨房の方へと戻ろうとする。

15: 2013/11/20(水) 22:23:38.93 ID:MfssUD2xo

「何してんの?清良さん」

 しかし清良のすぐ後ろで一人のメイドが腕組みをしながら待ち構えていた。
 さっきまでとはうって変わって清良の顔色は青くなっていく。

「あ、あれ?チーフさん……なんでここにいるんですか?」

「店の方の客入りはあんまりなかったしね。こっちの様子を見がてら手伝いに来たんだけど……」

 そのメイド、チーフはじろりと清良の目を見る。

「ずいぶんとお嬢様と楽しそうに会話してたみたいだけどさ……。今の店の状況わかってる?」

 店内の席は埋まっており、メイドが忙しそうに動き回っている。

「み、みんな忙しそうですね……」

「うん。じゃあわかるよな」

「え、ええわかりますわかります。だから耳を引っ張らないでくださいいたいいたいです」

「えーっと、あの」

 そんな風に清良の耳を引っ張りながら厨房に戻っていこうとするチーフだったが、その途中でイルミナPが呼び止める。

「このオムライスのおいしくなる魔法の呪文はちゃんとやってくれるんですよね」

「ええ、もちろん」

 チーフは満面の営業スマイルでそう返した。

16: 2013/11/20(水) 22:24:23.44 ID:MfssUD2xo

 その後、清良が厨房からナポリタンとオムライスを持って二人の元へとやってきた。
 その様子をにやつきながら唯は見ていた。

「ナポリタンです……お嬢様」

「ふふふ……ありがとー☆メイドの清良さん」

 清良は唯の前にナポリタンを置く。

「オムライスです。ご主人様」

「じゃあ、魔法をかけていただけますか?」

 一方のイルミナPは表情一つ変えずに真剣な眼差しで清良を見ながら言う。
 清良は不自然な笑顔をしたまま、一筋の汗が垂れてきている。

 そして持ってきたケチャップを手に取ってふたを開け、オムライスの上へと掲げた。

「お、おいしくな~れ……。おいしくな~れ♪」

 そう言いながら清良はオムライスの上にケチャップをかけていく。
 それを唯は楽しそうにみている。

「おいしくなる魔法の完了ですよ。め、めしあがれ♪ご、ご主人様」

 そしてオムライスの上にはケチャップで描かれたハートが完成する。
 それを見てイルミナPは満足そうな顔をした。

「ありがとう。私は満足です」

 イルミナPは清らにそう言う。
 清良はケチャップの蓋を閉めて、すこしだけ早歩きで厨房へと戻っていった。

「あの破壊天使が、メイド服着て、おいしくなる魔法かけてるなんて、貴重だねー」

 唯は少し笑いをこらえながら言う。
 対してイルミナPはオムライスにスプーンを差し込んで口へと運んで咀嚼する。

「日本のメイドによるおいしくなる魔法のオムライス。噂には聞いてましたけどこれは最高ですね」

 彼は満足そうな顔をしたまま二口目を口にした。



17: 2013/11/20(水) 22:24:49.73 ID:MfssUD2xo




「ではお会計***円になりますね」

「ええ!魔法かけてもらうと料金追加されるんですか!?」

 二人は清良のちょっとだけ怖い笑顔を背にメイド喫茶を後にした。




18: 2013/11/20(水) 22:30:08.00 ID:MfssUD2xo
以上です。
清良さんお借りしました
(みくにゃんもお借りしたかもしれません)


さてこのスレをずっと追ってきたそこのあなた
ROM専のあなたもです
あなたもこのスレに参加してみませんか?
大丈夫。私もすべての設定を把握し切れているわけではありません

気軽に参加してみませんか?
私はあなたの参加を心よりお待ちしております。




【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part8