799: ◆6osdZ663So 2014/01/24(金) 10:13:32.31 ID:kP76qTo+o


800: 2014/01/24(金) 10:14:02.39 ID:kP76qTo+o

前回までのあらすじ


UB「私ノ名前ハUnlimitedBox」

UB「研究者100人分ノ英知ヲ搭載シタ櫻井財閥製ノ『カースドスーパーコンピューター』ダ」


桃華「やっぱりサクライ!百人乗っても大丈夫ですわっ!」

UB「ちょっ、物理的に乗せようとするのはやめっ!無理!無理だからっ!」


参考
【モバマス】桃華とUnlimitedBox


801: 2014/01/24(金) 10:14:39.48 ID:kP76qTo+o




『このように秋炎絢爛祭は今年も人で賑わっており~』

テレビの中のレポーターは、人ごみに翻弄されながらも、

祭りの様子を視聴者にお届けするため、大きな身振り手振りを交えながら、

懸命にざわめきに負けない様に声を張り上げている。


菲菲「ふんふん」

それを見つめて頷くは1人の魔神。

ソファーにゆったりと身体をあずけ、テレビに映る景色を興味深げに眺めている。


計り知れぬ者アモンこと楊菲菲のために、櫻井財閥が用意した彼女の拠点たる住居のその私室には、

彼女が”人間”として暮らすのに何一つ不自由なく過ごすための生活用品が一通り揃っていた。

おかげで彼女が地上の一般常識を身につけるのに、一切苦労しなかったものだ。

菲菲「その点ではマンモンちゃんに感謝ダヨー」

菲菲「それにしてもみんな楽しそうだネー」

テレビを見ながら魔神は呟く。

魔神は、お祭りが大好きであった。元は人々に祭られる神々の集合であるが故だろうか。

とにかく生まれついての性分のようなもので、人々が騒がしくしているのが彼女は好きなのだった。


菲菲「祟り場の時もなかなかよかったヨー」

菲菲「……そう言えば、あの時はなんだか知り合いを見かけた気もするネ?」

当時は変なテンションになっていたためうろ覚えであったが、

思えば、魔界出身の知り合いと遭遇してたような気がする。

一瞬、思い出そうと試みたが、

菲菲「……ま、いっかー」

すぐに諦めた。

この魔神、適当であった。

----------------------------------------



それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。




802: 2014/01/24(金) 10:15:45.47 ID:kP76qTo+o

『あっ、あちらには変……独特な格好をされた方もいますねー』

『え?何時間もずっとあの場所に…?か、関わらないほうがよさそうですねぇー」


テレビには一瞬、ベンチに座る奇妙な井出達の男が写ったが、

お茶の間には似つかわしくないと判断したのか、すぐに場面が移り変わるのだった。


菲菲「……」

菲菲「ふぇいふぇいも行こうかなー」

聞く者が聞けば飛び退き驚くような独り言を漏らす魔神。


菲菲「うーん、ふぇいふぇいが出かけたらマンモンちゃんは嫌がるだろうけど……」

自分を利用する気満々の悪魔に気を使う必要などはなくとも、多少の恩はある。

勝手な行動を取るのはほんの少し悪い気もするのだ。

菲菲「……いっそマンモンちゃんも巻き込んじゃおうカナ?」

悪い気なんて言うのは、一瞬しただけであったが。


菲菲「地下施設で神様頃しの武器を作るのに一生懸命みたいだけれど」

菲菲「あんな所に籠ってたら健康にも悪いネ!」

『強欲』の証の所在を通じて、彼女が何処にいるのかは初代『強欲』の悪魔たる魔神にはわかる。

彼女が何をしようとしているのかも、だいたい予想はできていた。

菲菲「よし!」

少女は掛け声をあげて、立ち上がる。


菲菲「そうと決まれば善は急げダヨー!」

かくして魔神は、地下に引きこもる『強欲』の悪魔の元へと向かうのだった。

803: 2014/01/24(金) 10:17:21.12 ID:kP76qTo+o


――

――

――


UB「――『裏切り』、でゴザイますか?」

抑揚の無い機械音声が室内に響く。

桃華「ええ、その子に相応しい名前ですわね♪」

くつくつと上機嫌に笑いながら『強欲』の悪魔は言葉を紡ぐ。

彼女の目線の先には、透明な筒のような機材の中に満たされた無色の液体の中で、

ぷかぷかと白銀の宝石の様な玉が浮かんでいる。


それの、暫定的な名前は『劣化原罪』。


そして今、新たに名づけられた名前は『裏切り』。


『裏切り』のカースの核。


UB「確カに、相応しクハあるでショウネ」

感情のこもらない声が、桃華の言葉に同意した。

UB「偽造と偽装、そしてアラユル真実ヘノ反逆こそ、ソの呪いの力」

UB「そレユエにお嬢様の”支配能力”さえも拒絶シタ」

UB「首輪をつけるコトサエままならない」

UB「だから『裏切り』……ナノデショウ?」

機材の中で濁った煌きを放つ呪い。

それは、性能を測る実験の最中に、『強欲』の悪魔の力でさえも退けたのだった。


UB「今は負のエネルギーの供給を絶つ事で、ドウニカ抑えてはイマスが……」

UB「再び、エネルギーヲ送り再活動を始メタ場合には、その暴走ハ免れナイでしょう」

到底、制御は不可能。強欲なる英知を搭載したカースドコンピューターが、そう結論をだす。

それはその核の内に眠る力の異質さを意味していた。

804: 2014/01/24(金) 10:18:38.11 ID:kP76qTo+o

UB「シカシ……改めて名前をツケタと言う事は」

UB「お嬢様はあくまでコレを利用サレルつもりのようだ?」

カースドコンピューター、UBは推測する。

名前を付けたと言う事は、然るに、それに価値を見出したと言う事。

それが彼女にとって必要なものであると言う事。

桃華「ええ、求めていたものよりも劣り、」

桃華「さらにはわたくしの支配さえも跳ね除ける、とんだじゃじゃ馬でしたけれど」

桃華「わたくしの願いを叶えるためには……きっとこの子はとても有益ですわ」

桃華「そう、わたくしの目的は『神様を裏切る』ことに他ならないのですもの」

彼女の魂を捕らえるため、あるいは彼女の野望を阻止するため、

この世界には幾つかの神々が動いている。

そして彼女の願いは、その神々に囚われないこと。

神の力、絶対の法、世界の理から背くことが『強欲』なる悪魔の願いであった。

それは即ち、神への、創造主への裏切りを意味する。

UB「神と呼ばレル者達の支配カラの逸脱コソ、お嬢様の目的」

UB「故に、お嬢様は『原罪』を求めタわけですが」

UB「なるほど、その域まで至っテハおらずとも」

UB「アらゆル力を拒絶スルこれであるならば、確かに求める結果ニ届きうるのかもしれマセン」

異質なる『裏切り』の呪いの力。

彼女の言うとおり、この力であるならば神の造りだした法に抗うことも可能なのかもしれない。


UB「ただし、その手綱をうまく操レルならばデスが」

桃華「問題ありませんわ、なぜなら……うふふっ」

問題はない。UBの指摘に悪魔は不敵に笑って答えたのだった。

805: 2014/01/24(金) 10:20:01.16 ID:kP76qTo+o

桃華「UBちゃま、そもそも『裏切り』と呼ばれる行為がどのような時におきるのかお分かりになるかしら?」

にこやかな笑みを浮かべたまま桃華はそんな質問を、目の前の機械に投げかける。

UB「……」

口元は笑みを浮かべながらも、

その視線、その目つきは、何かを値踏みしているかのようである。

その問いに対して、それがどのように答えるのか、測っているかのようであった。

UB「……そうデすね」

わずかな思案の後、UBは答える。

UB「『共生することを止める事でメリットを得られる』と判断シタ時デハ?」

桃華「……ウフッ♪」

桃華「UBちゃまは面白い言い方をしますわね」

桃華「ですが、かねがねその通りですわよっ♪」

その答えは、どうやら悪魔にとって満足のいく答えであったようだ。

806: 2014/01/24(金) 10:21:04.95 ID:kP76qTo+o

桃華「同盟を破棄するのも、約束を破るのも」

桃華「そこにそうするべきメリットがあるからですわね」

それが彼女の問いかけの答え。

メリット、利益の存在こそが人を裏切りと言う行為に走らせると彼女は言う。

桃華「つまり『裏切り』は、”欲望が強まった”時にこそおこるのですわ」

桃華「人は『強欲』に求めるからこそ、他人を『裏切り』ますの」

UB「ふむ……なるほど」

UB「お嬢様の考えデハ、『裏切り』ハ『強欲』カラ生まれる物であルと」

桃華「そうですわ!だからこそわたくしは、『強欲』から生まれたこの子に『裏切り』と名づける事にしましたの♪」

『裏切り』は、人が『強欲』であるが故に生まれるもの。

核の製造にあたって、『強欲』が強すぎた為に『原罪』に至れず偶然出来たそれは、

まさに彼女にとって、『裏切り』の核であったのだろう。


桃華「うふふっ♪わたくしを裏切るほどまでに強い欲望……」

桃華「だからこそ期待もできると言うものですわ」

807: 2014/01/24(金) 10:23:45.93 ID:kP76qTo+o

UB「っくっく……人は欲望故に裏切るデスか」

UB「ソレハ、マルでお嬢様の配下達の話デもあるようですが?」

ここまで桃華の話を聞いて、UBはさらに指摘した。

その声には相変らず抑揚は無いが、わずかに笑っているかのようにも聞こえる。

桃華「確かに……財閥の内側には……わたくし達の一番の駒である『エージェント』達の中にさえも」

桃華「自分自身の野望の為に、このわたくしを出し抜こうと企んでいる方達も少なくないようですわ……」

櫻井財閥と言う組織の内側に潜む裏切り者の存在。

彼らは今も虎視眈々と、財閥を支配する『強欲』なる親子の隙を伺っている事だろう。


桃華「……うふっ♪」

桃華「ですが、わたくしはそれも結構な事だと考えていますのよ」

桃華「いいえ……きっと、そうでなくては意味がないのですわ」

桃華「…………聖來さん、チナミさん、爛さん」

桃華「皆様、求める物は違えども、その心の内には確かな欲望を宿していますわ」

桃華「そして欲しい物を得る為に必要な力もまた確かに備えていますのよ」

桃華「力は、求める方の手中にこそ収まるものですから」

桃華「うふふっ♪わたくしはそんな『強欲』な方達だからこそ仕えさせるに相応しいと考えていますの♪」


彼女の配下は、それぞれ異なった思惑があって彼女の組織に従っている。

例えば「知らない世界を旅したい」、例えば「みんなに認められる魔法使いになりたい」、

小さな願望があって、大きな野望があって、確かな希望を求め、それを叶える為に己の意志で行動している。

だからこそ、価値がある。

己の『欲望』のために行動できる者達だからこそ仕えさせる意味がある。

たとえ、その『欲望』が強すぎるために『裏切り』の刃を向けるのだとしても、

『強欲』たる悪魔にとって、それも望むところなのだろう。


桃華「人間は『欲望』を得たからこそ、ここまで進化する事ができましたわ……」

桃華「『欲望』に忠実であるからこそ……神の言いつけさえ裏切って、確かな『知恵』を手にする事ができたのですから」

808: 2014/01/24(金) 10:25:49.46 ID:kP76qTo+o

桃華「まあ、それに……もし彼女達がわたくしを裏切ろうとしても」

桃華「その『欲望』がある限り……彼女達の力はわたくしの手中」

桃華「ふふっ♪」

UB「……『裏切り』から『強欲』から生まれルモノ……であるナラバ、」

UB「お嬢様はそレらをコントロールし管理する事がデキルと言う事デスか」

UB「それが人間でアッタトしても」

UB「そしてカースであったとシテモ」

桃華「うふっ♪ええ、その通り」

桃華「わたくしにとって大事なのはその心の内に宿す欲望、わたくしやPちゃまに対する忠誠心などは二の次でいいのですわ♪」

UB「……」

桃華「『強欲』は望む力にして臨む力」

桃華「何かを手にするために立ち向かえる者だけが、あらゆる結果を手にする権利を得ますの」

過剰すぎるまでの自信は、少女のうちに宿る強大な『欲望』の表れ。

彼女が求める心はきっと誰よりも強い。何故なら、


桃華「わたくしは『強欲』を司る悪魔、ですから世界の全てはわたくしのもの」

桃華「すべての『欲望』そして『裏切り』さえも支配して、必ず神様もわたくしの足元に仕えさせて魅せますわ♪」


誰よりも『強欲』なる悪魔は『裏切り』の核を静かに見つめ、そして優しく微笑んだ。

809: 2014/01/24(金) 10:26:47.52 ID:kP76qTo+o

桃華「そうそう、UBちゃま」

桃華「当然わたくしはあなたの『欲望』にも期待していますのよ?」

桃華「あなたに搭載した『英知』。使い捨てるつもりはないのですからね?」

『強欲』の悪魔は期待する。

その手で機械の箱の内に閉じ込めた『強欲なる英知』に対しても。

UB「……買いカブリ過ぎでしょう、この箱から出るコトサエ叶わぬ私の事を」

コンピューターからはやはり気持ちの籠らない機械音声が響く。

桃華「そんな事ありませんわよ」

抑揚の無い謙遜の言葉にも、少女はどこか優しく言葉を返した。


桃華「あなたはわたくしの産み出した『強欲』のカース」

桃華「その欲望も必ず、あなたを進化させますわ♪」

桃華「じっくりと……お考えなさいな、その箱から出る方法を」

桃華「その『欲望』が本物ならば、外側から掛けた鍵を内側から開けることも可能かもしれないのですから」

桃華「もちろん、わたくしも簡単には裏切らせるつもりはありませんけれど…うふふっ♪」

UB「……ご期待ニ添えるものカハわかりませんが、セイゼイ足掻いてみましょう」

桃華「ええ、頑張りなさいな」

その激励の言葉をもって、話を区切ると少女は席を立った。


UB「……オヤ?どこに行かレルおツモリです?」

810: 2014/01/24(金) 10:28:06.18 ID:kP76qTo+o


桃華「フェイフェイさんが、こちらに向かってきていますわ」

『強欲』の証を通じて、初代『強欲』の悪魔である彼女の所在を、桃華は知ることが出来た。

目的はわからないが、どうにもこちらに向かってきているらしい事も。


桃華「この場所は侵入者への対策をそれはもう山のように用意してはいますけれど」

桃華「あの方ならば、真正面から突破してせっかく用意したそれらを破壊しかねませんもの……」

桃華「それに……万一彼女を追跡する者が居て、この場所が外に漏れる事は避けなくてはいけませんし」

初代『強欲』の悪魔である魔神は強大な力を持っている。多少の障害などはまったく問題としない。

それ故に細やかな点で配慮に欠ける。もし追跡者が居たとするならその存在に気づかないか、気づいても放置する可能性が高い。

彼女をここまで辿り着かせるのは、当代『強欲』の悪魔にとっては高いリスクがあった。


桃華「まあ、フェイフェイさんはわたくしにご用があるのでしょうから」

桃華「わたくしの方から外に出て、お迎えにあがることにしますわ」

811: 2014/01/24(金) 10:29:10.31 ID:kP76qTo+o

UB「外に出られマスカ、それは珍シイ」

UB「リスク回避のタメニハ、ソレも致し方無しなのデショウが」

UB「しかし、この地下から出てシマって神々の目は誤魔化セルノデ?」

『強欲』の悪魔があえて地下に籠り続けている理由。

それは、そこが安全地帯であるからである。

天から見下ろす神の眼を極力避ける為に用意した場所。

当然そこから出てしまっては、彼女の安全は保障されない。

桃華「……それなのですけれど」

桃華「最近になってようやく、あの不快な男と女神の情報源がわかりましたのよ」

UB「ほう?そんな事よく調べる事がデキマしたね」

桃華「言いましたでしょう?欲すればこそ手に届く」

桃華「ふふっ、財閥の人材の力を甘くみてはいけませんわよ♪」

812: 2014/01/24(金) 10:29:49.54 ID:kP76qTo+o

桃華「……『神様新聞』、それが彼らの情報源」

UB「ほう、新聞デスか」

桃華「そう、新聞ですわ」

UB「なるほど、神の物と言えどソレが新聞でアルト言うならば、」

UB「刊行されてから実際に情報ガ手に届くマデニ、タイムラグがアルのは自明の理」

桃華「何より記事になるほどセンセーショナルな話題でなければ、注目される事さえ無いと言う事」

桃華「つまりは……」

少しだけもったいぶってから、彼女は結論を出す。

桃華「目立たなければいいのですわ♪」

そう言って、彼女は何処からか『眼鏡』を取り出してかけた。

屋外で、神の目を誤魔化すため、

どうやら変装をして、出かけるつもりらしい。

813: 2014/01/24(金) 10:30:23.58 ID:kP76qTo+o

UB「ナるホど……しかし、危険ニハ変わりません」

UB「消失が確認サレタ失敗作とその監視に付けていたエージェントの氏亡」

UB「それらの件カラ、お嬢様に繋ガル情報がお嬢様の敵に漏れテイル可能性もアリマス」

UB「何より……地上をウロツク氏神にはご注意のホドを」

彼女の敵は多い。一度外に出れば、狙われる事もあるだろう。


桃華「UBちゃま。確かにわたくしは七罪の悪魔一と言っていいほどにかよわいですけれど」

桃華「この『欲望』は誰にも負けないつもりですのよ」

桃華「財閥の情報……わたくしの自由……」

桃華「どこぞのどなたかに…わたくしのものが奪われてばかりと言うのも、つまらないお話ですわよね?」

桃華「……わたくしは『強欲』を司る悪魔、そして世界の全てはわたくしのもの」

桃華「奪われたものは、当然すべて奪い返しますわっ!」

彼女は力強く宣言した。


桃華「こほん……とは言え」

桃華「さきほども言ったように”今は”目立つつもりはありませんし」

桃華「フェイフェイさんのご用が済んだら、すぐに帰ってくるつもりですから心配の必要はありませんわよ」

桃華「では、行ってきますわね♪」

そう言って、席から離れると

少女はこの部屋に存在する唯一の出口へと向かい、

魔術を用いて、硬く閉ざされた扉を開く。

814: 2014/01/24(金) 10:31:32.40 ID:kP76qTo+o
 



桃華「ああ、そうですわ」

そして開いた扉の前に立つ少女は思い出したかのように振り向いた。


桃華「わたくしが不在の間、UBちゃまには『裏切り』の核のさらなる製造を頼んでおきますわね」

UB「……」

UB「……失礼なガラ、正気デスカ?」

桃華「ふふっ♪できない事はないでしょう?材料も余っていますし」

桃華「一度作った物ならば、機械を操るあなたに再現は容易なはずですわ」

UB「……もちろん可能ですが、問題は」

桃華「多少のリスクがあったとしても、わたくしの目的を果たすためには少し数が必要になりますのよ」

UB「……」

桃華「心配ありませんわ。きっと何もかも、悪いようにはなりませんから…うふふっ♪」

桃華「それではよろしくお願いしますわね、UBちゃま」

上機嫌に言い残すと、彼女は身支度を整えるため、

地下施設から出て行くのであった。

815: 2014/01/24(金) 10:32:21.73 ID:kP76qTo+o

――

――


少女が部屋を出ると、扉は大きな音を立てて再び硬く閉ざされる。

扉はハイテクとオカルトを重ねた幾つものロックによって、限られた者にしか開けない仕組みだ。


UB「……やれやれ」

暗い地下室の中、ただ一つの声だけが響く。

呆れたような、面白がるような、そんな思いの籠った声。

UB「お嬢様は本気で君の力を計画に組み込むつもりらしい」

「……」

機械の箱の内側から理知的な声が響く。

しかし『強欲』の少女が外に出てしまい、その声に返事をする者は誰もいない。

UB「しかしそれは私にとって……いや、私達にとって僥倖」

UB「君の力の有用性、お嬢様と同じくして私も正しく理解しているつもりだ」

「……」

声は誰に向けられたものだろうか。

室内に存在する物はと言えば、強欲と英知を抱える呪われたコンピューターとそして……


UB「真実に対する反逆の力、問題を解く鍵はすぐそこに……」

UB「っくっく、君はどうする?」


「……」

『裏切り』と名付けられた呪いは静かに時を待つ。


おしまい

816: 2014/01/24(金) 10:33:33.70 ID:kP76qTo+o

『《裏切り》の核』

桃華の命令で、”Unlimited Box”が作り出したカースの核。『原罪』に近かったが、至らなかった。『劣化原罪』。
偽造と偽装、そしてあらゆる真実に対する反逆こそがその呪いの力である。


『正体隠しの眼鏡』

マジックアイテム。『正体隠しのサングラス』と効果はほぼ同様。
掛けると、人物としての存在感が消え、他者から顔を認識されづらくなる。
また、自信の持つ力の気配を隠す効果もあり。これによって悪魔だとは一目で見抜かれないが、
しかし、力を行使するたびにこの効果は急激に薄れていく。
櫻井桃華は有名人であるため、これを掛けないと満足に外出もできないご様子。
このアイテムを本人はなかなか気に入っているようです。あら…ポワワ…。

817: 2014/01/24(金) 10:34:38.58 ID:kP76qTo+o

◆方針

菲菲……学園祭に興味津々
桃華……外に出ます
UB……外に出たいです

ちゃま、再び引きこもり生活を卒業するお話。
今度はどうなってしまうことだろう
学祭にしれっと強欲組が紛れてるかも?

818: 2014/01/24(金) 13:18:30.35 ID:EcXoaaLx0
乙ー

ちゃま…メガネ……………あっ!(察し

にしても裏切りとUBがどう動くのかな?




【次回に続く・・・】


引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part8