473: ◆tsGpSwX8mo 2014/06/24(火) 22:55:23.45 ID:OAIarRD7O

474: 2014/06/24(火) 22:56:06.52 ID:OAIarRD7O

「まったく……信じられないわね」

控室のソファに座り、テーブルの上に足をのせて不機嫌そうに眉値を寄せる。

財前時子ことバアル・ペオル、もといアイドルヒーロー「レポ・クラリア」は苛立たしげに言葉をはいた。

「私の晴れ舞台の邪魔をしてくれるとは……」

自分のアイドルとしての初仕事を邪魔されバアル・ペオルはとても腹をたてていた。

「本当よね。どこの馬鹿がこんなことを……」

隣に座る少女、梨沙もそれに同調する。あまり相性のよくなさそうな二人だがこの時だけは意見が一致した。

苛立たしげに窓の外をにらみ、怒りを込めた口調で、時子は静かに言った。

「私の舞台の邪魔をした報いは盛大に受けてもらわないと気がすまないわ……苦しんで苦しんで苦しみ抜いた末に、氏んだほうがましだと思うほどの苦痛を全身に味会わせてやるんだから」

それを聞いたパップは「とてもアイドルヒーローの口から出た言葉じゃねぇな」と言った。

「もう時子はアイドルヒーローなんだから、ちゃんと自覚を持てよな」

パップや梨沙には「財前時子」という仮の名前を教えていた。

「はいはい、解ってるわよ」

と、解ってるのか解ってないのか、曖昧な返事をする。
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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



475: 2014/06/24(火) 22:56:58.70 ID:OAIarRD7O
「……それにしても」

ソファの上で大きく延びをしながら言った。

「退屈ねぇ」

ライブは中止、中止にした元凶を倒しにいこうにも他のアイドルヒーローがまだ到着していないからそれも出来ない。

「なにもしないでただ待つのは面倒臭くて嫌いよ」

「仕方ないだろ、もう少し待ってろよ」

しかし元々怠惰の悪魔である時子はその「待つ」という行為がとても嫌いなのである。物事、人、時が来るのを予期し、願い望みながら、それまでの時間を過ごす。待つだけこの時間が、待つだけでなにもしないのが、面倒くさくて嫌で堪らなかった。

476: 2014/06/24(火) 22:57:33.23 ID:OAIarRD7O
「………」

足をテーブルから下ろし、ゆっくりと立ち上がる。

「ちょっと出掛けてくるわね」

「え?」

「は?」

「集合したらすぐに戻ってくるわよ」

「ちょ、時子?!」

それを間近で聞いたパップと梨沙。時子のいた場所を見たときにはすでにそこには誰もいなかった。

「あ、あいつ自己中すぎでしょ!」

しかしそんな言葉は悪魔のもとには届かないのだった。

477: 2014/06/24(火) 22:59:15.60 ID:OAIarRD7O
「……ふぅん、随分派手にやってくれたのねぇ」

外に出た時子。巨大なクレーターのできた裏山を眺めながら、呟く。あの裏山は時子がパップにスカウトされた場所なのだが、別になんの感慨も沸いてこない。過去にすぎたことに興味は持たない。

「さて……別にすぐにでもいってもいいのだけど」

上空に目線を移す。そこにはぽっかりと穴の空いた雲があった。そこには確かに「何か」があった。

「直ぐに倒すのはつまらないわよねぇ」

パップとの約束は一応守るようだ。他のアイドルが到着するまで待つらしい。しかしただ待つだけなのは嫌だ。

「ふふふ、暇潰しにはなるわよねぇ」

この学園にはパップやアイドルヒーローの他にも人外の気配を感じていた。その中には良からぬ気を含んだものもある。

さらに周囲には大量のカースの群れ。それらをみて不適に笑うアイドルヒーロー「レポ・クラリア」。

「私は「アイドルヒーロー」……くくく、家畜たちの「秩序」を守ってあげることにしましょうか」

そう言うと同時に翼を展開し空へと舞う。


478: 2014/06/24(火) 22:59:57.23 ID:OAIarRD7O
眼下には逃げ惑う人々、そして暴れまわるカース。

眼下からそれらを見下ろし、その顔の笑みをいっそう強く歪ませた。

それと同時に、背後に五つ、魔方陣を展開。レポ・クラリアの特性により、彼女は詠唱なしで強力な魔術を発動できる。

そして、五つの魔方陣から一斉に魔術を放った。

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドドド!!!

と、轟音をたてながらカースを蹴散らす。光線のように放たれた魔翌力はカースの体を構成する泥を突き破り、露出した核を正確に撃ち抜き、カースを再起不能にしていく。

一般人には当たらない、しかしカースは倒れていくのだった。

「ふはははははは!つまらない、つまらないわねぇ!もっと抵抗してみなさいよ愚物共ぉ!」

やってることはヒーローかもしれない。しかし言ってることと光景はとてもヒーローのものではないのだった。

479: 2014/06/24(火) 23:01:45.40 ID:OAIarRD7O
―――――――

時子が暇潰しを始めた同時刻。

学園内は連続しておきた事件でパニックになっていた。

ひとつは上空に現れた姿の見えない侵略者。

そしてもうひとつは、これまた突如現れたカースの群れであった。

「ムダムダムダムダァ!!」

「オレカラノファンサービスダァ!!ウケトレエェ!!」

「ンネッケツシドウダァ!!!」

暴れまわるカース、そしてそのカースから逃げ回る人々でごった返していた。

480: 2014/06/24(火) 23:02:44.00 ID:OAIarRD7O
混乱と暴虐が渦巻く最中。

「はぁ!」

服部瞳子ことエンジェリックファイアの放つ灼熱の炎がカースを焼く。ジリジリと表面の泥がやきつくされると、追撃を放つ。それが核にぶつかると、カースはバラバラに砕け散った。

しかし、一体倒したと思ったのもつかの間。

「マダマダァ!ンネッケツシドウダァ!!!」

エンジェリックファイアのすぐ背後にカースが急接近した。

「しまっ……」

エンジェリックファイアが振り向こうとした瞬間。

481: 2014/06/24(火) 23:05:46.76 ID:OAIarRD7O
「?!」

「……?」

カースが突如動きを止めた。

なぜカースが突如動きを止めたのか、その理由を探すため目線を動かす。

そして、カースの後方に二人の人間と、二匹の小さな生き物がいるのが見えた。男の方は筋骨隆々で、そして肩にその小さな生き物を乗せて立っていた。肩の小さな生き物は何か念を送っているらしい。そう、マルメターノおじさんとぷちどるのかわしまさんである。カースの動きが止まったのはかわしまさんのお陰のようだ。

もう一人は、頭の上にぷちどるを乗せた、エンジェリックファイアよりは年下だろう女性だった。ぷちどるは顔になぜかどや顔、そして女性はどや顔のぷちどるとは対照的に苦虫でも噛み潰した顔をしていた。

そして、二人は止まったカースの真横を通り、エンジェリックファイアの真横にたった。

482: 2014/06/24(火) 23:07:40.42 ID:OAIarRD7O
近づいてきた二人に、とりあえず礼を言うエンジェリックファイア。

「ありがとう、助けてくれて」

「あんたを助けてくれたのは俺じゃなくてこの子だよ」

頭上のかわしまさんを指差す。

エンジェリックファイアはかわしまさんにも礼を言う。

「わ、わかるわ///」

かわしまさんはちょっと照れたように顔を赤くした。

そしてその隣に立つ頭の上にぷちどるをのせた女性に目を向けた。

その女性の頭の上に乗るぷちどるは、女性の頭をぺしぺし叩く。

「ふふーん!」

なぜか小さな生き物は誇らしげである。

「あーもう!アタシの頭を叩くな!鬱陶しい!」

そしてこの二人(?)がこのやり取りをしている間に。

かわしまさんの能力が切れてしまったらしい。再びこちらへ向かってくるカース。


483: 2014/06/24(火) 23:09:08.72 ID:OAIarRD7O
「ンネッケツシドオオオオオオ!」

「二人とも来るぞ!」

男がエンジェリックファイアに声をかけると同時に、カースに飛びかかる。

続いて女性も、渋面をとき表情を引き締めて、カースに向けて跳躍した。

「!」

それを見て弾かれたようにエンジェリックファイアもカースに接近。

まず、マルメターノおじさんの黄金に輝く螺旋を纏った右腕で、カースの体を殴る。光輝く螺旋がカースの体を構成する泥を抉る。

続けてエンジェリックファイアの炎の大鎌が抉られた場所に降り下ろされる。泥が焦げ付き削ぎ落とされると、カースの心臓である核が見えた。

最後に女性が露出したカースの核に蹴りをいれた。それも一発ではない、眼に見えない早さで、何度も何度も連続で蹴りこむ。そしてとうとう核が限界を迎え砕けた。泥が流れ、カースの体は崩れ去った。

484: 2014/06/24(火) 23:10:11.72 ID:OAIarRD7O
「ありがとう!」

エンジェリックファイアは男に礼を言う。

「どういたしまして!だがまだまだ来るぞ!」

みればカースが群れをなして雪崩れ込んでくる。

しかしエンジェリックファイア達が戦っている間に、一般人達は逃げたようだ。

「くそっ……折角の学園祭だってのに散々だな」

「全くね。他にも厄介な敵が来てるみたいだし」

ちらりと裏山に目をやる。そこにできたクレーターはついさきほど出来たものである。

そして先程から気になっていた女性に目を向けた。

「ドヤァ!」

「……」

頭にのせた小さな生き物は満面に笑みを浮かべ、そして対照的に女性は嫌そうな顔、というか恥ずかしそうな顔ををしている。その光景に強いギャップを感じるエンジェリックファイア。

取りあえず頭上の小さな生き物について聞いてみた。

「……えーっと、貴女の頭のその生き物」

しかしその質問に被せるように女性が先回りして口を開いた。

「アタシはアヤだ。このチビについてはなんにも聞くな」

485: 2014/06/24(火) 23:11:43.17 ID:OAIarRD7O
よほど聞かれたくないのか、アヤと名乗るその女性はささっと自分の自己紹介だけして頭のぷちどるについてはぐらかした。気のせいか顔の赤さが増した気がした。

はぐらかされた事が不満なのか、小さな生き物はアヤの頭をぺちぺちと叩く。

「あーもう!だから叩くな!」

「ふーん!」

ぷちどると口論になりかけるが。

「おい来るぞ!」

そこでカースの攻撃が飛んできた。

「レディースエーンジェントルメーン!」

「イマカラミナサンニタノシイギャクサツショーヲオミセシマース!」

それを避ける瞳子達。カースはまだまだ出てくる。終戦はいつになるやら、エンジェリックファイアには検討もつかなかった。

486: 2014/06/24(火) 23:12:33.03 ID:OAIarRD7O
――――――

(くそ、こんなことしてる場合じゃねぇのに……)

カースの攻撃を避けながら、アヤは苛立たしげに唇を噛んだ。

安全な場所に着地しつつ、思考を続ける。

(はやく大石泉を見つけ出さねえと)

そう、彼女がこの場にいるのは、未来からの反逆者、大石泉を捉えるためである。これだけ大きなイベントだから、もしかしたら大石泉がどこかにいるかもしれないと考えたのだが……。

頭のぷちどるに目を写した。

(うぅ……可愛いからってこいつと遊んでたらカースが出てきて……)

(散々だ……)

そんなアヤの考えを知ってか知らずか、頭の上のぷちどるは不思議そうに首をかしげる。

「ふふーん?」

どうやらアヤがなにやら落ち込んでいるのに気づいたらしい。

487: 2014/06/24(火) 23:13:41.83 ID:OAIarRD7O
「……なんでもねぇよ。つか降りろ!」

「……」

と、ぷちどるはアヤの体から動き、胸の辺りへと移動した。

「お、おい……?」

「……どやぁ」

小さな手でアヤの衣服を握り、アヤを見上げるその目には涙が貯まっていた。

「うっ………」

そう。最初もそうだったのだ。一人で寂しそうにしていたこの生き物が、小さく体を震わせて今にも泣き出しそうにしていたこの生き物が、とても哀れに見えた。

ついつい、ぷちどるの遊び相手になってやって、マルメターノおじさんのソーセージ屋台でソーセージまで買って食べさせてやった。そうして気がついたら、短時間でこんなにもなつかれてしまったのである。

そうしてしばらく戯れているうちにカースが現れ、そして自分に襲いかかってくるカースを倒していると言うわけである。

といっても、戦う理由はこのぷちどるが離れてくれないのもあるが。

「……あーわかったよ!振り落とされないように捕まってろよ!」

「!ふふーん!」

それを聞いたとたん、表情が明るくなり、今度は肩の上に移動した。

「……ふん」

顔の真横にあるぷちどる、さっちゃんの顔を見、捕まってるのを確認したあと、アヤはカースの群れへと飛び込んでいった。

488: 2014/06/24(火) 23:15:15.76 ID:OAIarRD7O
さっちゃん
輿水幸子に似たぷちどる。よくどや顔をする。かまってあげると喜ぶが、無視されると悲しそうにする。

489: 2014/06/24(火) 23:17:04.32 ID:OAIarRD7O
ここまで。

イベント情報
・時子さまが暇潰しにカース退治をしています。気まぐれで悪そうなやつに襲いかかるかもしれません。
・アヤとマルメターノおじさんがエンジェリックファイアと共にカース退治をしています。

瞳子さんお借りしました。お目汚し失礼しました。

490: 2014/06/24(火) 23:36:54.52 ID:Kf70YrNYO
乙ー

うん。知ってた(パップの心を代弁)

そして、なんだかんだで優しいアヤに和んだ。さっちゃんカワイイ
照れてるかわしまさんもカワイイな

491: 2014/06/25(水) 00:06:57.21 ID:8aYnLu3g0
乙ですー
時子様はお暇が嫌い
さっちゃん&アヤちゃんとかなにこれ天使?



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」 part10