492: ◆3QM4YFmpGw 2014/06/27(金) 01:44:04.69 ID:rgXaRrSY0
493: 2014/06/27(金) 01:45:17.29 ID:rgXaRrSY0
それは、まだカイが地上へ派遣される前の話。
マキノ「…………」
マキノが一人で、深夜の海皇宮の見回りをしていた。
時刻にして午前2時、そろそろエマが交代にやってくる時間である。
マキノが時計から目を離し前を向くと、後ろから足音が聞こえてきた。
カツッカツッカツッと、やや早足だ。
マキノ「……そんなに急ぐ必要は無いわ、エマ……」
マキノが振り向くと、そこに立っていたのはエマではなかった。
カイ「お疲れー、マキノ」
マキノ「カイ……? 今日はエマと交代のはずだったけれど」
カイ「うん、それなんだけどね。エマに代わってくれって頼まれたんだ。明日朝から大事な用が入ったらしくて」
マキノ「そう。ならいいわ」
マキノは軽くため息を吐いて、記録用のノートとペンをカイに手渡す。
カイ「はい、引継ぎました……っと。にしても、エマの大事な用って何だろうね?」
マキノ「さあ? 気になるなら本人に訊いてはどうかしら」
マキノはカイに振り向く事なく、自室へ向かって淡々と歩を進めて行った。
カイ「連れないなあ」
カイはわざとらしく頬を膨らませてみせ、マキノに代わって見回りを開始した。
カイ「…………あっ、そういえば今日って……」
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マキノ「…………」
マキノが一人で、深夜の海皇宮の見回りをしていた。
時刻にして午前2時、そろそろエマが交代にやってくる時間である。
マキノが時計から目を離し前を向くと、後ろから足音が聞こえてきた。
カツッカツッカツッと、やや早足だ。
マキノ「……そんなに急ぐ必要は無いわ、エマ……」
マキノが振り向くと、そこに立っていたのはエマではなかった。
カイ「お疲れー、マキノ」
マキノ「カイ……? 今日はエマと交代のはずだったけれど」
カイ「うん、それなんだけどね。エマに代わってくれって頼まれたんだ。明日朝から大事な用が入ったらしくて」
マキノ「そう。ならいいわ」
マキノは軽くため息を吐いて、記録用のノートとペンをカイに手渡す。
カイ「はい、引継ぎました……っと。にしても、エマの大事な用って何だろうね?」
マキノ「さあ? 気になるなら本人に訊いてはどうかしら」
マキノはカイに振り向く事なく、自室へ向かって淡々と歩を進めて行った。
カイ「連れないなあ」
カイはわざとらしく頬を膨らませてみせ、マキノに代わって見回りを開始した。
カイ「…………あっ、そういえば今日って……」
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それは、なんでもないようなとある日のこと。
それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。
~中略~
「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
494: 2014/06/27(金) 01:46:08.94 ID:rgXaRrSY0
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翌朝、海底都市第五地区の墓地。
そこに、荷物を提げたエマの姿があった。
やがて、一つの墓標の前で足を止める。
エマ「……えへへっ、久しぶりだね、母ちゃん」
そこにエマの母、ケイは居ない。
在るのは、ケイの墓標だけだ。
ゆっくりと腰掛け、花を添えて手を合わせる。
エマ「……ねえねえ母ちゃん、今日が何の日か覚えてる?」
物言わぬ墓標へ、エマは話しかけ続けた。
エマ「……そっ、アタシの誕生日。今日で幾つになるんだっけ…………あははっ、忘れちゃった!」
笑い声を上げたエマは、直後に慌てて口を塞いだ。
ここが墓地だと、すっかり忘れていたのだ。
エマ「…………アタシね、母ちゃんに代わって親衛隊頑張ってるよ」
エマ「みんないい人でさ。……サヤはたまに訓練サボろうとしたりするけど」
エマ「えーっとそれからね……」
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翌朝、海底都市第五地区の墓地。
そこに、荷物を提げたエマの姿があった。
やがて、一つの墓標の前で足を止める。
エマ「……えへへっ、久しぶりだね、母ちゃん」
そこにエマの母、ケイは居ない。
在るのは、ケイの墓標だけだ。
ゆっくりと腰掛け、花を添えて手を合わせる。
エマ「……ねえねえ母ちゃん、今日が何の日か覚えてる?」
物言わぬ墓標へ、エマは話しかけ続けた。
エマ「……そっ、アタシの誕生日。今日で幾つになるんだっけ…………あははっ、忘れちゃった!」
笑い声を上げたエマは、直後に慌てて口を塞いだ。
ここが墓地だと、すっかり忘れていたのだ。
エマ「…………アタシね、母ちゃんに代わって親衛隊頑張ってるよ」
エマ「みんないい人でさ。……サヤはたまに訓練サボろうとしたりするけど」
エマ「えーっとそれからね……」
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495: 2014/06/27(金) 01:47:20.52 ID:rgXaRrSY0
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エマの母、ケイ。
かつて海皇親衛隊の一員であり、戦闘外殻アビスマイルの装着者だった女性だ。
優しく聡明で、常に落ち着いた笑顔を絶やさない。
その美貌も合間って、彼女を慕う人物は多かった。
ある同僚が云うには。
『ああ、時々菓子を焼いてきてくれてたが……本当に美味かったぜ、あれは』
ある兵士が云うには。
『ケイ様は素晴らしいお方だ。私なぞ何度訓練で助けられたか……』
ある兵士が云うには。
『我々が目標とすべきは、ケイ様のような方なのだろうな。……まあ、偶にフラリと地上へ遊びに行かれるのが問題か』
ケイ唯一の悪癖、地上への放浪である。
思いついたように海底都市を離れては、またフラリと戻ってくる。
そして地上で会った友人の事を、同僚や娘のエマに話すのだった。
先代の海皇が云うには。
『……今思えば、ケイの土産話はマリナ脱走の遠因になっていたのかも知れん……』
……まあ、そういった点を除けば、誰からも信頼される優秀な人物だった。
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エマの母、ケイ。
かつて海皇親衛隊の一員であり、戦闘外殻アビスマイルの装着者だった女性だ。
優しく聡明で、常に落ち着いた笑顔を絶やさない。
その美貌も合間って、彼女を慕う人物は多かった。
ある同僚が云うには。
『ああ、時々菓子を焼いてきてくれてたが……本当に美味かったぜ、あれは』
ある兵士が云うには。
『ケイ様は素晴らしいお方だ。私なぞ何度訓練で助けられたか……』
ある兵士が云うには。
『我々が目標とすべきは、ケイ様のような方なのだろうな。……まあ、偶にフラリと地上へ遊びに行かれるのが問題か』
ケイ唯一の悪癖、地上への放浪である。
思いついたように海底都市を離れては、またフラリと戻ってくる。
そして地上で会った友人の事を、同僚や娘のエマに話すのだった。
先代の海皇が云うには。
『……今思えば、ケイの土産話はマリナ脱走の遠因になっていたのかも知れん……』
……まあ、そういった点を除けば、誰からも信頼される優秀な人物だった。
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496: 2014/06/27(金) 01:48:18.06 ID:rgXaRrSY0
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そんな彼女が詳細不明の謎の病でこの世を去ったのは、わずか半年ほど前の事だった。
エマ「……って、そんな感じかな? 母ちゃんがいなくなっちゃった穴は頑張って埋めるからさ、安心してよ」
エマ「……じゃ、今日も仕事あるからさ、そろそろ行くね」
エマは荷物を手に立ち上がり、墓地を後にしようとした。
エマ「……あ、そうだ。誕生日プレゼントだけどさ」
その途中で思い出したように振り向き……
エマ「アタシが一人前になるまで、見守っててくれると嬉しいかなっ! ……えへへ、そんじゃ!」
ケイの墓標へ満面の笑みを見せ、改めて墓地を後にした。
ちなみにエマはこの後、誕生日と知った同僚達からクラッカーの集中砲火を食らう事となった。
終わり
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そんな彼女が詳細不明の謎の病でこの世を去ったのは、わずか半年ほど前の事だった。
エマ「……って、そんな感じかな? 母ちゃんがいなくなっちゃった穴は頑張って埋めるからさ、安心してよ」
エマ「……じゃ、今日も仕事あるからさ、そろそろ行くね」
エマは荷物を手に立ち上がり、墓地を後にしようとした。
エマ「……あ、そうだ。誕生日プレゼントだけどさ」
その途中で思い出したように振り向き……
エマ「アタシが一人前になるまで、見守っててくれると嬉しいかなっ! ……えへへ、そんじゃ!」
ケイの墓標へ満面の笑みを見せ、改めて墓地を後にした。
ちなみにエマはこの後、誕生日と知った同僚達からクラッカーの集中砲火を食らう事となった。
終わり
497: 2014/06/27(金) 01:50:03.85 ID:rgXaRrSY0
以上です
書いてるうちになんだか誕生日らしからぬ雰囲気になっちゃったけど、
これも全てゴルゴム所属の乾巧ってヤツが変身するディケイドの仕業なんだ
書いてるうちになんだか誕生日らしからぬ雰囲気になっちゃったけど、
これも全てゴルゴム所属の乾巧ってヤツが変身するディケイドの仕業なんだ
498: 2014/06/27(金) 07:55:10.51 ID:eC4JSTCX0
乙です
な、なんだってそれは…ん?
誕生日らしからぬ雰囲気?…た、誕生日はそのキャラにスポットを当てる日だから…(震え声)
な、なんだってそれは…ん?
誕生日らしからぬ雰囲気?…た、誕生日はそのキャラにスポットを当てる日だから…(震え声)
【次回に続く・・・】
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