6: 2011/03/20(日) 18:08:21.73 ID:AQTwAEst0

――とある朝

チュンチュン、チュンチュン

『夏奈、朝ごはん出来てるわよー。早く起きなさいー』

夏奈「ん・・・」

夏奈「んん・・・・・」

夏奈「・・・・・・・・ふぁ~・・・」 チラッ

夏奈「・・・何だよもう・・・まだ朝の7時じゃないかー・・・」 ボーッ
みなみけ(26) (ヤングマガジンコミックス)

10: 2011/03/20(日) 18:09:47.79 ID:AQTwAEst0

夏奈「もうちょっと寝させてよ・・・むにゃむにゃ・・・」 ボーッ

ガバッ

千秋「何がもうちょっとだ、このニート野郎」

夏奈「うぅ、寒いよ千秋ー」 ブルブル

千秋「いいから早く起きなさいよ」 ガシッ

夏奈「・・・・んん・・・」 ボーッ

11: 2011/03/20(日) 18:10:45.54 ID:AQTwAEst0

――台所

春香「あら夏奈おはよう」

夏奈「・・・ああ・・・おはよう春香・・」 ボーッ

春香「まだ眠たそうね、昨日も徹夜でゲームしてたの?」

夏奈「うん・・・あまりにボスが強くて、ちょっと熱中してたらいつのまにか寝てたみたい・・・」 ボーッ

春香「あらそうなの。ところでバイトは見つかった?」

13: 2011/03/20(日) 18:12:09.99 ID:AQTwAEst0

夏奈「いやまだだよ・・・・今日探すよ・・・ふぁ~」

春香「そう、早く見つかるといいわね」

ガチャガチャ

千秋「どうせ夏奈はバイトなんて探す気ないんだろ」 モグモグ

夏奈「あ、あるよ!私だって早く働きたいんだから」

千秋「にしては毎日グータラしてるよな、いつまでも春香姉さまに面倒見させるなよな」 モグモグ

15: 2011/03/20(日) 18:13:15.21 ID:AQTwAEst0

夏奈「なんだ千秋、今朝はやけに挑発的じゃないか。私とやろうってのか?」 シュッシュ シュッシュ

千秋「ああ望むところだ、かかってこい馬鹿野郎、いやニート野郎」 スッ

夏奈「・・・・・」

千秋「・・・・・」

夏奈「とぅ!」 ガシッ

千秋「あぁ、ふじおかに何をする気だ」

夏奈「こいつは人質にさせてもらおうか。返して欲しければさっき言ったことを謝るのだ、ふっふっふ」

17: 2011/03/20(日) 18:15:01.88 ID:AQTwAEst0

千秋「うー、この卑怯者め」 ガバッ

夏奈「甘い甘い」 サッ

夏奈「千秋ももう高校生だってのに、まだこんな子供っぽいぬいぐるみを大事にしてるのか」 ギューッ

夏奈「意外とお子様なんだな」 ギューッ

千秋「大きなお世話だ馬鹿野郎、ふじおかの手足を引っ張るな。かえせー」 ジタバタ 

18: 2011/03/20(日) 18:15:57.60 ID:AQTwAEst0

夏奈「嫌だよーだ、ほらさっさと謝りたまえ」

ガシーン

夏奈「うっ」

千秋「ああっ」

春香「喧嘩はやめて早く朝ごはん食べなさい」

夏奈&千秋「は、はい」

19: 2011/03/20(日) 18:17:30.49 ID:AQTwAEst0

モグモグ

春香「あっ」

春香「やだもうこんな時間、急がないとパート遅刻しちゃうわ・・・」

春香「それじゃ二人とも私行ってくるからね」

夏奈「行ってらっしゃい」 モグモグ

千秋「行ってらっしゃいませ春香姉さま」

春香「千秋ちょっときて」

千秋「はい?」

春香「今日も一日頑張ってね。ちゅっ」

千秋「・・・///」

千秋「はい春香姉さま///」 ポッ

夏奈「・・・」 ジー

20: 2011/03/20(日) 18:18:45.79 ID:AQTwAEst0

春香「それじゃ行ってきまーす」

タッタッタ

夏奈「春香も毎日大変だなー」 モグモグ

千秋「夏奈も少しは春香姉さまを見習いなさいよ」 モグモグ

千秋「私達の面倒を見るために大学に行かずに、スーパーでパートしてお金を稼いでくれてるんだから」

夏奈「うんうん、本当に偉いなー春香は」 モグモグ

23: 2011/03/20(日) 18:28:03.60 ID:AQTwAEst0

千秋「それに比べてお前はいつまで春香姉さまに心配かけるんだよ」

千秋「大体お前は高校卒業してからこの数カ月、大学に行くわけでもなく、仕事に就くわけでもなく毎日家でゴロゴロしてばかりだな」

千秋「お前には何かやりたいことや夢はないのかよ」

夏奈「むむっ」

夏奈「私だって夢ぐらいあるさ」

千秋「ほう、じゃあどんな夢があるのか言ってみなさいよ」

夏奈「ずばり漫画家さ」

24: 2011/03/20(日) 18:28:54.80 ID:AQTwAEst0

夏奈「大好きな漫画を描いて大金持ちになるのが私の夢なのだ」

千秋「じゃあお前はその夢に対して何か努力をしているのか?」

夏奈「ああ、してるとも。毎日漫画を読んで勉強しているさ」

千秋「・・・」

千秋「お前もうアレだな。まあいいや、聞いた私が馬鹿だったよ。私はお前に付き合ってるほど暇ではないよ」 ガタッ

夏奈「なんだもう行っちゃうのかー。一人は寂しいよー」

千秋「甘えるな馬鹿野郎、それじゃあ行ってきます」

25: 2011/03/20(日) 18:30:04.78 ID:AQTwAEst0

夏奈「千秋ちょっと」

千秋「なんだよ?早くしないと待ち合わせに遅れるよ」

ガシッ

夏奈「ちゅー、ちゅー」

千秋「うわ、何をする馬鹿野郎。はーなーせー」 ジタバタ

ポコポコ

夏奈「痛いなあ、何も殴ることないだろー」

千秋「ふんっ」

バタンッ

夏奈「・・・」

夏奈「あーまた家で独りぼっちだよ。今日は何して時間潰そうかな」

27: 2011/03/20(日) 18:31:00.52 ID:AQTwAEst0

――バス停

内田「あ、千秋が来たよ!」

吉野「本当だね」

内田「おはよう千秋!」

吉野「千秋おはよう」

千秋「二人ともおはよう。すまない、ちょっと夏奈の馬鹿野郎のせいで遅くなってしまった」

吉野「私たちも今来たところだから全然大丈夫だよ」

千秋「そうか。ならいいんだが」

ブルルルルルン

内田「あ、バスきたよ!」

28: 2011/03/20(日) 18:32:33.90 ID:AQTwAEst0

――バスの中

ザワザワザワ

内田「なんか段々寒くなるねぇ」 ブルブル

吉野「本当だね。今朝はさすがに起きるの辛かったよ」 ブルブル

千秋「・・・」 ボーッ

『おい、あの子可愛いくね?』

29: 2011/03/20(日) 18:33:44.23 ID:AQTwAEst0

『どの子だよ、右の子?真ん中の子?』

『いや確かにその子達も可愛いけど、俺が言ってるのは一番左に座って窓の外を眺めてる子だよ』

『どれだよ・・・・ああ、あれ3組の南さんだろ?』

『何お前あの子知ってるの?』

『知ってるも何も俺達の学年、いや校内全体でもかなり可愛いって噂の南さんだろ』

30: 2011/03/20(日) 18:35:01.43 ID:AQTwAEst0

ヒソヒソ

千秋「ん?」 チラッ

『うわ、やべえ目があったし///』

『お前何照れてんの』

内田「ねえ、あの前の男の子達さっきから千秋の事見てない??」

吉野「うん見てる見てる」

千秋「あれは私に喧嘩でも売ってるのか?」

31: 2011/03/20(日) 18:36:26.95 ID:AQTwAEst0

内田「いやそうじゃなくて、千秋が可愛いから見てるんじゃないかな」

千秋「なんだそれは、くだらないな」

吉野「千秋先週も隣のクラスの男子に告白されてたもんね」

千秋「え、私告白なんてされたのか?」

内田「え!?学校の男子に呼び出されて好きとか言われてたでしょ?覚えてないの?」

千秋「・・・なんだ、あれが告白だったのか」

32: 2011/03/20(日) 18:37:28.57 ID:AQTwAEst0

千秋「全然知らない人間から好きと言われてもどうしようもないから、ていねいに論破して突き返してやったが」

内田「うわぁその男の子かわいそう・・・」

千秋「・・・ん?」

吉野「だから今まで千秋にフられて泣いてる男子が多かったんだね」

33: 2011/03/20(日) 18:38:18.47 ID:AQTwAEst0

内田「うーん」 ジー

千秋「なんだ内田?」 チラッ

内田「千秋どんどん春香ちゃんに似てきてるからそりゃモテるはずだなーって思ってね」

千秋「ほう、春香姉さまに似てるなんて最高のほめ言葉だな。苦しうない、もっと言ってくれ」 ニッコリ

内田「ははー。ありがたきお言葉です、姫」 ペコリ

千秋「おい、姫はもう辞めろ」

吉野「ふふふ」

39: 2011/03/20(日) 18:47:59.61 ID:AQTwAEst0

――高校

ガヤガヤガヤ

内田「ふぅ・・・教室はあったかいねー」 

吉野「ねー」

冬馬「おっす!」 トンッ

内田「うわ!」 ビクッ

内田「もう冬馬か・・・ビックリするじゃん」 ドキドキ

冬馬「悪い悪い。はぁはぁ・・・サッカー部の朝練が少し長引いちゃって・・・ギリギリ間に合ったぜ」 ハァハァ

41: 2011/03/20(日) 18:49:08.95 ID:AQTwAEst0

吉野「冬馬おはよう、すごい汗だね。シャツだけでも着がえたら?」

冬馬「おう、そうだな。よいしょ・・・」 ヌギヌギ

内田「と、冬馬!男子もいるんだからトイレで着がえてきなよ・・・///」 カーッ

43: 2011/03/20(日) 18:51:12.82 ID:AQTwAEst0

冬馬「もう面倒くさいなー、じゃあちょっと行ってくるぜ」 タッタッタ

ガラッ

冬馬「お、よう千秋」

千秋「よう冬馬。そんなに焦ってどうした?」

冬馬「ちょっと着がえてくるんだよ、じゃな」 サッ

千秋「朝からせわしい奴だな」

44: 2011/03/20(日) 18:53:21.63 ID:AQTwAEst0

――――昼休み

キーンコーンカーンコーン

ガヤガヤ

ガラッ

冬馬「おい弁当食べようぜー」

吉野「あら冬馬、今日はファンクラブの子と一緒に食べないの?」 ニヤニヤ

冬馬「お前なぁ、茶化すなよー。俺は別に好きであいつらと弁当食べてるんじゃないんだぞ」

内田「はは、冬馬は高校生になっても女子にモテモテだね」

46: 2011/03/20(日) 18:55:46.39 ID:AQTwAEst0

『ねぇねぇやっぱり可愛いよね・・・』

『うん超可愛い、はあ・・・憧れるなー。私もMAKOちゃんみたいに可愛くなりたいなー』

『うんうん』

47: 2011/03/20(日) 18:57:20.91 ID:AQTwAEst0

『ねぇ内田、このMAKOちゃん可愛いよね?』 サッ

内田「え?んー?どれどれ・・・」 ジー 

内田「うわ・・・このワンピース着たMAKOちゃん色っぽいね!」

吉野「どれどれ?見せて見せて」 ジー

吉野「あ、本当だー、セクシーだね」

49: 2011/03/20(日) 18:59:06.17 ID:AQTwAEst0

ワイワイ

千秋「・・・」 モグモグ

千秋「なあ冬馬」

冬馬「ん?」 モグモグ

千秋「MAKOちゃんって今そんなに人気なのか?」

冬馬「ぶっ!」

50: 2011/03/20(日) 19:00:10.01 ID:AQTwAEst0

冬馬「み、みたいだな・・・、うちのクラスの女子もいつもMAKOちゃんの話してるぜ」 アセアセ

千秋「そうかそうか、MAKOちゃんも色々と頑張ってるんだな」 モグモグ

冬馬「う、うん・・・」

≪カリスマ読者モデルMAKOの秋冬コレクション≫
彼女達が見ている雑誌には大きくそのような見出しが載っていた
そう、マコちゃんことMAKOは今や女子中高生のカリスマ的存在にまでなっているのであった。

53: 2011/03/20(日) 19:05:06.38 ID:AQTwAEst0

千秋「そういえば今日もマコトは遅刻か」

内田「・・・!」 ドキッ

内田「あ、あぁマコトくんは今日も家のお手伝いが忙しいとか何とかで遅れるみたいだよ」  アセアセ

千秋「そうなのか、マコトも頑張ってるんだな」 モグモグ

内田「ねえ冬馬・・・どうしてこうなっちゃったの?」 ボソッ

冬馬「俺が知るかよ!まぁマコトも自分の行きたい道を歩んでるんだからいいんじゃねえの?」 ボソッ

内田「本当にいいのかな・・・」 ボソッ

57: 2011/03/20(日) 19:09:00.85 ID:AQTwAEst0
――――とある車内

『MAKOちゃん今日もお疲れさまー』

マコちゃん「はいマネージャー!お疲れ様です!」

『そうそう、MAKOちゃんにいい知らせがあるんだよ』

マコちゃん「はい!なんですか?」

58: 2011/03/20(日) 19:16:44.42 ID:AQTwAEst0

『なんかさーMAKOちゃんをメインにしてアイドルユニット組もうって話が挙がってるんだよね』

マコちゃん「ええ!アイドルユニットですか?」

『そうなんだよー、今MAKOちゃんを支持してる大半は女子中高生だよね』

マコちゃん「はい・・・」

『だからこれからは若い男性にも照準を合わせてプロジュースをしていこうってことみたいなのよ』

『一応プロジューサーには業界でも名が通ってる人がつくみたいだしさ、今のMAKOちゃんならまず成功すると思うよ』

59: 2011/03/20(日) 19:18:02.12 ID:AQTwAEst0

マコちゃん「なるほど・・・。分かりました、とにかく俺いや私がんばります!」

『うんうん頑張れ!お、MAKOちゃん着いたみたいだよ』

マコちゃん「あ、今日も送ってくれて有難うございました!お疲れ様です!」

『いえいえ、これもマネージャーの仕事ですからー。でも今日もこんな道端でいいの?なんなら家まで送ってくよ?』

マコちゃん「いえいえ!大丈夫です!よく歩くのもこのスタイルを保つ秘訣ですから!」

60: 2011/03/20(日) 19:19:04.52 ID:AQTwAEst0

『そっか。じゃあ誰かに襲われたりしないようにね、MAKOちゃんは可愛いから・・・、はは』 ニヤニヤ

マコちゃん「心配してくれて有難うございます!ではこれで!お疲れさまでした!」

バタンッ 

キーッ

マコちゃん「ふぅ・・・さてトイレトイレと・・・」 タッタッタ

61: 2011/03/20(日) 19:20:29.34 ID:AQTwAEst0

ガサコソ

マコト「じゃじゃじゃーん!変身完了!」

マコト「よし、早く学校に行かないと!」

64: 2011/03/20(日) 19:24:07.49 ID:AQTwAEst0

――――高校

ガラガラッ

マコト「すいません遅れましたー」 ボソッ

コソコソ

内田「あ、マコトくん」

マコト「よう内田・・・あれ?先生は?」 ボソッ

内田「今日も遅かったね、もう6限目だよ。今日は先生いないから自主勉なんだよ」

マコト「そうなのか・・なるほど。ふぅ・・疲れた」

65: 2011/03/20(日) 19:25:12.78 ID:AQTwAEst0

千秋「ようマコト、今日も家の手伝いだったのか?」

マコト「や、やぁ千秋。うんちょっと手伝いが長引いちゃってね、はは」

千秋「いつも御苦労さまだな、ほらノート貸してやるから写したら早く返せよ」 スッ

マコト「おー!助かるぜ!!サンキュー姫!!」

千秋「次それ言ったら二度と貸してやらないからな」

マコト「は、はい・・・」

吉野「ふふ」

76: 2011/03/20(日) 19:52:17.07 ID:AQTwAEst0

―――南家

ピンポーン

夏奈「お、藤岡やっときたか」

藤岡「こんばんわー、お邪魔します」

春香「藤岡君こんばんは」

千秋「よう藤岡」

春香「いつも悪いわね、今日はおでんを作り過ぎちゃって」

藤岡「いえいえ、春香さんの料理は美味しいから、呼ばれればいつでも喜んで来ますよ」 ニコニコ

78: 2011/03/20(日) 19:53:36.67 ID:AQTwAEst0

夏奈「藤岡は今日も泊まっていくのか?」

藤岡「うん、南がいいなら泊まっていくよ。明日は大学の講義ないしね」

夏奈「そうか、まあ私は別にどっちでもいいけどな」

夏奈「でも私のベッドは絶対に貸さないからな。床で寝てくれよ」

80: 2011/03/20(日) 19:56:33.93 ID:AQTwAEst0

藤岡「うん、分かったよ」

春香「じゃあ藤岡君は夏奈の後にお風呂に入ってね」

藤岡「はい分かりました」

ワイワイ

春香「よし、そろそろ後片付けをしよっかな」

千秋「私は今日は疲れたので早く寝ます春香姉さま」

春香「はい、千秋おやすみ」

サスサス

千秋「・・・///」

81: 2011/03/20(日) 19:57:47.04 ID:AQTwAEst0

――夏奈の部屋

藤岡「ふぅー、南の家のお風呂最高だったよ」

夏奈「そうか、それはよかったな」 カリカリ

藤岡「南また漫画描いてるの?」

夏奈「うん、ちょっとな」 カリカリ

82: 2011/03/20(日) 19:59:09.58 ID:AQTwAEst0

藤岡「へーそうなんだ。見てもいい?」

夏奈「見てもいいが素人のお前には別に指摘してもらいたいとは思ってないぞー」 カリカリ

藤岡「はは、南もまだプロじゃないけどね・・」 パッ

藤岡「・・・」 ジー

83: 2011/03/20(日) 20:01:13.55 ID:AQTwAEst0

藤岡「これって恋愛漫画なの?」

夏奈「ああ、一応そのつもりだよー」 カリカリ

藤岡「なんでこの漫画のキスシーンは全部線がモヤモヤしてるの?」

夏奈「あぁ、私がキスしたことがないからだよー」 カリカリ

藤岡「そ、そうなんだ」 ドキッ

86: 2011/03/20(日) 20:08:56.07 ID:AQTwAEst0

夏奈「なあ藤岡」 カリカリ

藤岡「な、なに南?」

夏奈「お前は彼女とかいないのか?」

藤岡「うん、いないよ!」 キッパリ

夏奈「へー・・意外だな」 カリカリ

夏奈「大学生になるとみんな彼氏彼女ができて、そこらでしっぽりしてるものだとばかり思ってたよ私は」

87: 2011/03/20(日) 20:10:23.35 ID:AQTwAEst0

藤岡「うーん・・確かにそういう人も多いけど」

夏奈「うん・・・」 カリカリ

藤岡「俺は心に決めた人がいるから・・・」 ボソッ

夏奈「んー?・・・」 カリカリ

藤岡「み、みな・・」
夏奈「よーし!!今日はここまでにしよう・・・もう疲れちゃったよ」

夏奈「寝るから電気消してくれたまえ藤岡くんよ」

藤岡「・・う、うん」

88: 2011/03/20(日) 20:11:23.22 ID:AQTwAEst0

カチッ

夏奈「・・・」

藤岡「・・・」

夏奈「・・・あれ?ちょっと待てよ・・・」

夏奈「そういえばなんでお前は普通に私の部屋に泊まるようになったんだ?」

藤岡「え・・・?」

藤岡「なんでだろ・・はは」

夏奈「ふぁ~・・・まぁにゃんでもいいや・・・・おやすみ・・・」 グー

藤岡「おやすみ・・・南」

藤岡「・・・」 ジー

92: 2011/03/20(日) 20:26:43.19 ID:AQTwAEst0

――――夕方の商店街

春香「アツコー!ここ、ここ!」

アツコ「あ・・春香・・・久しぶりね」

春香「うん久しぶりだねー、元気にしてた?」

アツコ「うん・・なんとか頑張ってる・・・」

94: 2011/03/20(日) 20:28:21.68 ID:AQTwAEst0

春香「就職活動は順調?」

アツコ「うーん・・・それが・・・エントリーシートは通るんだけど・・・面接が・・・///」

春香「なるほどー、あまりうまくいってないみたいね・・・」

春香「まぁ今日はさ、そんなこと忘れてパーっといこうよ!」

アツコ「うん、私もそのつもり」 ニッコリ

春香「それにしてもマキ遅いわねえ、もう10分も過ぎてるのに・・・」 ジーッ

96: 2011/03/20(日) 20:31:46.54 ID:AQTwAEst0

――――パチンコ屋

ジャンジャンバリバリ

マキ「あー!っもうあったまくる!なんで甘デジ打ってるのに500もハマんのよ!」 イライラ

マキ「もー!今月のバイト代がなくなっちゃうよ~!」
シュボッ

マキ「ふー・・・はー・・・」 スパスパ

チラッ

マキ「って時間やばいじゃんか!!」

キュイン!

マキ「うそぉ・・・」

98: 2011/03/20(日) 20:38:28.66 ID:AQTwAEst0

―――商店街


『春香―!アツコー!』

春香「やっと来たー」

マキ「ごめんちょっと用事があって遅れちゃった・・・ぜぇぜぇ・・・」 ハァハァ

アツコ「マキは全然変わってないわね・・・」

マキ「何を~!アツコだって胸の大きさは変わってないじゃない!」 モミモミ

アツコ「ひゃっ・・もうやめてよマキ・・・////」 ビクン

春香「二人とも変わってないわよ、ふふ」

105: 2011/03/20(日) 21:04:58.81 ID:AQTwAEst0

―――とあるレストラン

春香「ここのレストランはフレンチが有名らしいのよね」 キョロキョロ

マキ&アツコ「へー」 キョロキョロ

春香「さて何頼もうかしら・・・」 スッ

アツコ「私もメニュー見せて春香・・」

106: 2011/03/20(日) 21:06:02.28 ID:AQTwAEst0

ジー

マキ(あ、さっき長時間パチンコ屋にいてオシッコ我慢してたから漏れちゃいそう・・・)

マキ「ちょっと私お手洗い行ってくるね」 タッ

春香「はいはーい。・・・うーんどれにしようかなー」 

キーッ バタン

マキ「ふーすっきり」

『アロー!HOSAKA!ちょっとブイヨン持ってきてネー』

107: 2011/03/20(日) 21:07:42.04 ID:AQTwAEst0

『oui!Je vous souhaite un bon anniversaire!』

マキ「え?」

マキ(い、今のは気のせいよね・・・)

マキ「うんうん、ありえないありえない」 トコトコ

『アロー!HOSAKA!フライパンの前で脱いだら火傷するネー!』

『oui!Manifestez un grand appétit de vivre.』

110: 2011/03/20(日) 21:08:50.61 ID:AQTwAEst0

マキ「・・・・」

マキ「・・・」 ソーッ

保坂「ああ俺のヴィアンドゥが熱くて汗をかいてしまう・・・」 ダラッダラ

マキ「・・・!!」 ビクッ

マキ「・・・気持ち悪い」

114: 2011/03/20(日) 21:41:49.90 ID:AQTwAEst0

マキ「うわぁどうしよう・・・なんであの人がここにいるのよ!!」

春香「マキ、先に注文しといたわよー」

マキ「う、うん!」 アセアセ

アツコ「この店はヴィアンドゥが美味しいんだってさ」

マキ(何とかしてできるだけ春香にだけはあの男と会わせないようにしないと・・・)


115: 2011/03/20(日) 21:43:00.47 ID:AQTwAEst0

マキ「とりあえず・・・」

ジー

ジー

マキ「・・・はぅ!」 ビクッ

チ、チラッ

保坂「・・・ω・・・η・・・」 パクパク ジー

マキ(見てる・・・すっごい見てる・・・そして何か言ってる・・・)

117: 2011/03/20(日) 21:44:45.77 ID:AQTwAEst0

保坂「マ・・・キ・・・お・・・・い・・で・・・」 パクパク ジー クイックイッ

マキ「ひぃぃい」

春香「ん?どうしたのマキ?具合でも悪いの?」

マキ「い、いや何でもないわ、何でも!!」 ブルッブル

マキ「ちょっと電話してくるね、はは」 タッタッタ

春香&アツコ「??」

118: 2011/03/20(日) 21:45:33.76 ID:AQTwAEst0

保坂「久しぶりだなマキ」

マキ「お、お久しぶりです保坂先輩・・・」

ガシッ

マキ「ひぃっ!」

保坂「あそこの席にいるのは・・・もしかして南春香か!」 ギロッ

マキ「な、なんのことでしょうか・・・はは」 アセアセ

保坂「とぼけても無駄だマキ・・・あの可憐な顔立ち、気品高い雰囲気、母性本能に満ち溢れる体・・・忘れはしない・・あれは南春香だ!」

保坂「やっと会えたんだ!やっと会えたんだ!!あはは!あはははは!!」

マキ(・・・気持ち悪い)

119: 2011/03/20(日) 21:47:02.96 ID:AQTwAEst0

マキ「保坂先輩はなんでここに?」

保坂「俺か?俺は高校時代に南春香に弁当を食べてもらうことだけに全てを注いだ」

保坂「しかしまだまだあんな腕じゃ南春香に弁当を食べてもらうことなんて到底無理だったのさ」

保坂「そして俺は決めた、さらに腕を磨き、いつしか南春香に最高の料理を食べてもらおうと」

保坂「そして修業先に選んだのがこの近所にあったフレンチの美味しいお店・・・」

保坂「今日というこの日は、これはもう運命としかいいようがない!ついに南春香に・・・俺の手料理を食べさせる時がきたのだ!!」

保坂「長かった長かったぞぉ・・・あはは!あはは!あはははははは!」

マキ「・・・」 ゾーッ

120: 2011/03/20(日) 21:48:34.38 ID:AQTwAEst0

保坂「南春香に俺の手料理を食べてもらった時、俺は南春香にプロポーズしよう」

マキ「え!」 ゾワ-

保坂「さぁそうとなったら、早速シェフに頼んであのテーブルの料理だけ作らせてもらえるようお願いしてこよう」 スッ

マキ「これはまずい・・・」

121: 2011/03/20(日) 21:49:21.88 ID:AQTwAEst0

タッタッタ

マキ「春香!アツコ!ちょっとお店変えよう!」

ガシッ

春香「え、え?」
アツコ「どうしたの・・急に??」

マキ「いいから早く早く」

マキ「会計ここに置いときますね~。でわでわ~」 ニッコリ

春香&アツコ「ちょ、ちょっとマキ」

保坂「お待たせしました・・・私の自慢の一品HOSAKAスペシャルムニエルです」

保坂「・・・」

キョロキョロ

保坂「ん?南春香はどこに消えた?」

123: 2011/03/20(日) 21:53:42.38 ID:AQTwAEst0

タッタッタ ガチャッ

ビュ~ビュ~

保坂「・・・」

保坂「そうか南春香・・・君はそういうことか」

ヌギヌギ

保坂「今の私の料理では満足できないというのか」

ヌギヌギ

保坂「よし分かった・・・俺は本場フランスへ行く」

ヌギヌギ

保坂「そしていつしか南春香、お前に究極の料理を作ってやるからなーーー」

『はい逮捕』 ニッコリ

124: 2011/03/20(日) 21:55:05.07 ID:AQTwAEst0

保坂「ん?」

速水「なに保坂こんな商店街のど真ん中で上半身裸になってるのよー、それ罪よ罪」

保坂「なんだ速水か、パトロール中に婦警さんがサボってはダメだろ、邪魔をしないでくれ。今俺は固く決心したのだ」

速水「はいはい・・・ん?あんた美味しそうなもの持ってるわね」

速水「ちょっともらうわよー」 パクッ

保坂「今のこの未熟な料理など貴様にやろう、俺はもっと上を目指す」

速水「貴様っていうな」 ボコッ

保坂「あう」

125: 2011/03/20(日) 21:56:16.39 ID:pSGIFAXp0
おしまい



引用: 千秋「このニート野郎」