636:◆E9ISW1p5PY 2012/02/22(水) 18:41:35.01 ID:NUScbCCJ0
こんばんは。

大変長い間お待たせしました。
皆様にご心配もおかけしてしまったようで、すみません。

第9話「獄狼竜」を少し書きましたので、投稿させていただきます。

イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 シリーズ

イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第一章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第二章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第三章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第四章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第五章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第六章
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」最終章

イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第2部【その1】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第2部【その2】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第2部【その3】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」第2部【最終話】


イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その1】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その2】

イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その3】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その4】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その5】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【その6】
イャンクック「旧沼地で人間を拾ったんだが」外伝~砦ドラゴンと少女~【最終話】

ジンオウガ 「ほう……未来を見通せるお守りか……」第1話.~縄張りに侵入するべからず~
ジンオウガ 「ほう……未来を見通せるお守りか……」第2話.~轟竜迎撃戦~
ジンオウガ 「ほう……未来を見通せるお守りか……」第3話.戦慄の進軍
ジンオウガ「ほう……未来を見通せるお守りか……」第4話.今そこにある恐怖
ジンオウガ「ほう……未来を見通せるお守りか……」第5話.フラッシュフラッド
ジンオウガ「ほう……未来を見通せるお守りか……」第6話.青と白の挽歌
ジンオウガ「ほう……未来を見通せるお守りか……」第7話.仄暗い火口の中から
ジンオウガ「ほう……未来を見通せるお守りか……」第8話.剛拳爆砕


637: 2012/02/22(水) 18:42:44.18 ID:NUScbCCJ0
9.獄狼竜
カプコン モンスターハンター カプコンフィギュアビルダー 本体 クリエイターズモデル 雷狼竜 ジンオウガ 復刻版 約H180×W220×D120mm
ナルガクルガA 「ちょっとこれは……(バサッ……バサッ……)」
ナルガクルガB 「流石に無理があるんじゃないかしら……(バサッ……バサッ……)」
ナルガクルガC 「重すぎるのよこいつ……(バサッ……バサッ……)」
ブラキディオス 「…………」
ルコディオラ 「…………」
少女 「頑張って。もう少しいったら休憩しよう」
ティガレックス兄 「ヒャァ! 休憩だァ!」
ティガレックス弟 「腹が減ったぜ。それに猿臭ェ」
ゴゴモア 「……すまない。背中、借りる」
ココモア 「…………」

638: 2012/02/22(水) 18:43:30.84 ID:NUScbCCJ0
イャンガルルガ 「驚きだな。やれば出来るじゃねぇかてめぇら」
ナルガクルガA 「キィ! ワイルドボーイ、ひとごとみたいに言わないで欲しいわね!」
ナルガクルガB 「絶妙なバランスで成り立ってるんだから、余計なこといわないで頂戴!」
ナルガクルガC 「気を抜けば落ちるわ! 落ちてもいいっていうのーぅ!?」
イャンガルルガ 「元気じゃねぇか……」
ティガレックス兄 「でもこっちで合ってるのか?」
ティガレックス弟 「全くだぜ。絶島とやらの位置もわかんねェのに、闇雲に飛んでて着くのかね」
少女 「ゴゴモアさん。ルコディオラさん。こっちでいいんだよね?」
ゴゴモア 「ああ。あっちの方から、強い気、感じる」
ルコディオラ 「間違いない」

639: 2012/02/22(水) 18:44:16.87 ID:NUScbCCJ0
ナルガクルガA 「! ちょっと、あんなところに陸地があるわ」
ナルガクルガB 「ヒャッハァ! 休憩よ!」
ナルガクルガC 「ちょっとお姉ちゃん達、あんまりはしゃぐと(グラッ)」
ブラキディオス 「…………」
 >ヒュゥゥゥゥゥゥゥ…………
ナルガクルガC 「ああ……」
ティガレックス兄 「ヒャハハハ! 落ちた! 落ちたぜ!!(ヒュゥゥゥ)」
ティガレックス弟 「人のこと言えないだろ……(ヒュゥゥゥ)」
少女 「ガルルガさん、ここで降りよう」
イャンガルルガ 「分かった(ヒュゥゥゥゥ)」
ルコディオラ 「…………(ヒュゥゥゥ)」

640: 2012/02/22(水) 18:44:53.08 ID:NUScbCCJ0
―高地、昼―

ブラキディオス 「カァ!(ズゥ…………ゥゥゥンッ!!)」
ティガレックス兄 「な……何と……!!」
ティガレックス弟 「何て華麗な着地なんだ!」
イャンガルルガ 「どこがだ。すげぇ数の鳥が飛び立ったぞ(バサッ、バサッ)」
少女 [ 大丈夫? ]
ブラキディオス [ 仔細ない ]
ナルガクルガA 「ごめんねー! てへっ(バサッ、バサッ)」
ナルガクルガB 「あんたがあまりにも重いのが悪いのよ(バサッ、バサッ)」
ナルガクルガC 「やってられないわよーぅ!(バサッ、バサッ)」

641: 2012/02/22(水) 18:45:27.33 ID:NUScbCCJ0
イャンガルルガ 「見たことねぇ場所だ……随分高い場所だな」
少女 「変な気配とかはしないよ。大丈夫な場所だと思う」
イャンガルルガ 「お前を追ってきてる奴の気配も感じないか?」
少女 「うん。見失ったんじゃないかな……」
イャンガルルガ (本当か……?)
        (普通じゃありえないほどしつこい敵だ、見失うくらいで諦めるとは思えないが……)
ココモア 「ここは……」
ルコディオラ 「安全な陸地のようだ」
少女 「とりあえず食べられるものを探そう。そしたらゆっくり……」

642: 2012/02/22(水) 18:46:01.73 ID:NUScbCCJ0
×××××× 「おうおうおうおうおうおうおうおう!!」
 >ズンズンズンズン
少女 「!!」
ティガレックス兄 「あァ!? ンだこルァ!」
ティガレックス弟 「ヤんのかコラァ!!」
×××××× 「随分な挨拶じゃねェか!! ここを俺様の土地と知ってのことかい!!」
イャンガルルガ (また頭が悪そうな奴が出てきたぞ……)
少女 「ごめんなさい。無理やり運んでた人が落ちちゃったの」
×××××× 「ッァア!? 何で人間が喋ってるんだァ!?」
       「おうおう、意味がわかんねェぞ!!」

643: 2012/02/22(水) 18:46:41.54 ID:NUScbCCJ0
ティガレックス兄 「ンだてめぇコラ無視すんじゃねぇよ!!」
ティガレックス弟 「ヤんのかコルァ!!」
×××××× 「ンだてめェら! 初対面の相手にいいメンチ切るじゃねェか!!」
       「気に入った! 細かいことはしらねェが、テメェら俺様の舎弟にしてやってもいいぜ!!」
ティガレックス兄 「あぁ!?」
ティガレックス弟 「シャテイって何だ!?」
イャンガルルガ 「黙ってろ。話がすすまねェ」
        (またこのパターンかよ……)
        「別にヤる気はねぇよ。飛んでたら連れが落ちたんだ」
×××××× 「飛んでたら落ちた? ギャハハ! どう見ても飛べそうにねぇ奴が混じってるぞ!」
ブラキディオス 「…………」
×××××× 「さてはてめぇら馬鹿だな? 気に入った! ついてこい。いいもん食わせてやる!!」

644: 2012/02/22(水) 18:47:22.02 ID:NUScbCCJ0
少女 「待って。ここに住んでるモンスターさん? 私は少女。名前を教えて?」
×××××× 「俺様の名前はグレンゼブル。ここら一体を仕切ってる番長ったぁ俺のことだ!!」
グレンゼブル 「ついてきな! 変な人間に馬鹿ども! 腹減って仕方がねぇ顔してるぜ!!」
ナルガクルガA 「何か食べ物があるの!?(ガバッ)」
ナルガクルガB 「ヒャァ! 昼食よ!」
ナルガクルガC 「二日ぶりの食事よォ!!」
ルコディオラ 「流石に某も腹が減った」
ティガレックス兄 「早く食わせろ!」
ティガレックス弟 「ポポはいねぇのかポポは」
グレンゼブル 「ポポ? 良くわからねぇが、ここには……」

645: 2012/02/22(水) 18:47:51.58 ID:NUScbCCJ0
エルペ達 「きゃ、グレン様よ!!」
     「え? どこどこ?」
     「あそこ、変なモンスター達もいるわ!!」
ティガレックス兄 「美味そうなケルビ? がいるじゃねぇか!!」
ティガレックス弟 「早速食うとするか!」
グレンゼブル 「やめろ兄弟(ゲシッ)」
ティガレックス兄 「ッテェな何すんだ!!」
ティガレックス弟 「ケルビは食うもんだろォ!」
エルペ達 「野蛮なモンスターがいるわ……(ひそひそ)」
     「顔も野蛮だけど心も野蛮なようね……(ひそひそ)」
少女 「この角が大きいケルビさんたち……全然怖がらない……」
ブラキディオス 「…………」

646: 2012/02/22(水) 18:49:27.12 ID:NUScbCCJ0
グレンゼブル 「こいつらはエルペ! 乱獲されて数が減ったから、俺がここで保護してる」
エルペ達 「グレン様、今夜辺り、崖の下の奥様が子供を産みそうなの。見に来てくださる?」
グレンゼブル 「勿論だ! 何か土産物を持って行かなきゃな!」
ティガレックス兄 「…………」
ティガレックス弟 「腹……減った……」
グレンゼブル 「どうした兄弟! 氏にそうな顔してると、運まで逃げるぜ!」
       「上を向け上を!」
ティガレックス兄 「俺らがいつテメェの兄弟になったよ……」
ティガレックス弟 「いいから早く、この際何でもいいから飯を食わせろ……」
グレンゼブル 「モンスター皆兄弟だ! グダグダ言わずに着いて来い! その変な人間もな!!」
ナルガクルガA 「……何か嫌な予感しかしないわ……」
イャンガルルガ (また変な奴が出てきやがった……)

647: 2012/02/22(水) 18:49:57.86 ID:NUScbCCJ0
―高地、グレンゼブルの住処(洞窟)、昼―

ティガレックス兄 (もっさもっさ)
ティガレックス弟 (もっさもっさ)
グレンゼブル 「何だァシケた面しやがって! 忍耐の種と怪力の種はなァ、食えば食うほど力がつくんだぜ!」
ナルガクルガA (もっさもっさ)
ナルガクルガB (もっさもっさ)
ナルガクルガC (もっさもっさ)
ブラキディオス (ボリボリ)
ルコディオラ (ボリボリ……)
ゴゴモア 「うむ……美味い」
ココモア 「お腹が膨れるね」
少女 「ありがとう。火が使えれば、焼いても食べられるんだけど……」
ティガレックス兄 「(ゲフゥ)……チッ。肉が山ほど跳ね回ってるってのに食えねぇとは……」
ティガレックス弟 「味がしねぇ味が」

648: 2012/02/22(水) 18:50:33.39 ID:NUScbCCJ0
グレンゼブル 「百回噛め! 味の向こう側に到達できるぜ!!」
イャンガルルガ 「(もっさもっさ)……で、お前さんはいつからここに住んでるンだ?」
グレンゼブル 「さァなァ。俺様以外の大きなモンスターを見るのは初めてのことだぜ」
       「時たま人間のハンターが、エルペ達を捕まえに来るくらいか?」
少女 「人間? この近くに人間の村があるの?」
グレンゼブル 「村? よくわからねぇが、船っつぅのか? それに乗ってくる」
少女 「そうなんだ……」
   (船ってことは海賊かな……)
グレンゼブル 「俺様はそういう馬鹿どもから、エルペとか、ブルックを守ってやってる」
       「まぁ、ブルック共にはまだ警戒されちゃいるがな」
       「いつかは分かり合える! 同じモンスター同士、仲良くやれる未来が来るはずだ!」

649: 2012/02/22(水) 18:51:10.67 ID:NUScbCCJ0
グレンゼブル 「百回噛め! 味の向こう側に到達できるぜ!!」
イャンガルルガ 「(もっさもっさ)……で、お前さんはいつからここに住んでるンだ?」
グレンゼブル 「さァなァ。俺様以外の大きなモンスターを見るのは初めてのことだぜ」
       「時たま人間のハンターが、エルペ達を捕まえに来るくらいか?」
少女 「人間? この近くに人間の村があるの?」
グレンゼブル 「村? よくわからねぇが、船っつぅのか? それに乗ってくる」
少女 「そうなんだ……」
   (船ってことは海賊かな……)
グレンゼブル 「俺様はそういう馬鹿どもから、エルペとか、ブルックを守ってやってる」
       「まぁ、ブルック共にはまだ警戒されちゃいるがな」
       「いつかは分かり合える! 同じモンスター同士、仲良くやれる未来が来るはずだ!」

650: 2012/02/22(水) 18:51:49.91 ID:NUScbCCJ0
イャンガルルガ (何だこの根拠のない希望に満ちた野郎は……)
        「……ブルックって何だ?」
グレンゼブル 「ブルックっつぅのは、途中でも見ただろ? 豚みてぇな、猪みてぇな良くわかんねェ奴らだ」
       「エルペみてぇに言葉が通じねぇから、意思疎通には苦労するがな!」
ティガレックス兄 「もうそいつらでいいから肉を食わせろ肉を」
グレンゼブル 「バッ……お前、バッ……!! 仲間が仲間を食う馬鹿がどこにいるよ」
ティガレックス弟 「ここにいるよ」
グレンゼブル 「ったァ~! 馬鹿だなてめぇら!」
ティガレックス兄 「ンだとォ!? 馬鹿って言う奴が馬鹿なんだぜ!!」
ティガレックス弟 「ヒャハハ! バーカバーカ!」
グレンゼブル 「馬鹿で結構! だがな、俺は、俺の目の届くところで仲間を頃すような真似は絶対ェしねぇ!」
       「そうすりゃ、いつかいいことが回ってくる筈だ!」

651: 2012/02/22(水) 18:52:21.20 ID:NUScbCCJ0
ティガレックス兄 「あァ~あ、そうですかよ。俺ァ疲れた。寝るわ」
ティガレックス弟 「俺も。やってらんねェ」
ナルガクルガA 「あたし達もちょと寝るわ。ブラキディオスが重過ぎて、体力が全然残ってないのよ」
ナルガクルガB 「もうごめんだからね!」
ナルガクルガC 「腰痛になったらどうしてくれるのよーぅ!」
イャンガルルガ 「元気じゃねぇか……」
グレンゼブル 「で、兄弟。てめぇらはどっから来た? いろいろ教えろ」
少女 「兄弟……って、私達のこと?」
グレンゼブル 「人間と兄弟になるのは初めてだが、てめぇは人間臭くねぇ。特別に俺様の兄弟になることを許可してやる!」
少女 「あはは……ありがとう」
グレンゼブル 「しばらくエルペ達を守るために、ここから離れてねぇからな。外のことを知りてぇ」

652: 2012/02/22(水) 18:53:02.35 ID:NUScbCCJ0
グレンゼブル 「………………………………へェ。だからてめぇからは、人間臭い臭いがしねぇわけだ」
       「古龍ってのァ初めて見たが、何だぁ、普通の人間みてェだな」
少女 「……まだ、私、自分が古龍なのかどうか分からないんだけれど……」
ルコディオラ 「お前、古龍では、ないな」
グレンゼブル 「俺か? 俺は只の俺だ。そんなご大層な代物じゃねぇ」
ルコディオラ 「…………」
ゴゴモア 「古龍でもないのに、土地、守っているのか」
     「その心意気、嫌いでは、ない」
グレンゼブル 「てめぇ猿! 話が分かるじゃねぇか」
       「ここは俺の生まれ故郷だからな」
イャンガルルガ 「…………」
グレンゼブル 「若い頃、旅から戻ってきた時は、そりゃもう人間にやられて、高地はボロボロだった」
       「悲しくてよ。人間追い出して、それからずっとここを離れてねぇ」

653: 2012/02/22(水) 18:53:29.69 ID:NUScbCCJ0
少女 「そうなんだ……」
   「ごめんなさい……私たちが凄い迷惑を……」
グレンゼブル 「何を言う兄弟! 悪いのはその馬鹿共であって、てめぇじゃねぇ」
       「胸を張れ、辛気臭ェ面すんな! 運気が逃げるぜ!!」
少女 「え……ええと、うん」
グレンゼブル 「で、そっちの兄ちゃんがこいつと同じような古龍なわけか」
ルコディオラ 「そうだ。由緒正しき……」
グレンゼブル 「あァそういうのはいい。聞いてもためになんねェ」
ルコディオラ 「…………」
グレンゼブル 「俺ァ、同じモンスターのくせに、偉そうにしてる奴は嫌いだ」
       「そういう奴とは、なりたくても兄弟になれねぇからな!」
ルコディオラ 「ふん……」

654: 2012/02/22(水) 18:53:59.69 ID:NUScbCCJ0
ブラキディオス [ 我が主よ、話がある ]
少女 [ 何? どうかした? ]
ブラキディオス [ この洞窟の奥から、奇妙な波動を感じる。出来れば見せてもらいたい ]
少女 [ うん。分かった。ちょっと聞いてみるね ]
グレンゼブル 「どうした? 変な言葉だな。それが最近のトレンドなのか?」
少女 「うぅん。古龍の言葉。ブラキディオスさんはそれしか話せないの」
グレンゼブル 「へぇ。不便なもんだな兄弟!」
少女 「ブラキディオスさんが、この洞窟の奥で何かを感じるって言ってるんだけど、ちょっと見せてもらってもいい?」
グレンゼブル 「何か感じる? あァ。あれのことか」
少女 「あれ?」

655: 2012/02/22(水) 18:54:41.57 ID:NUScbCCJ0
―高地、グレンゼブルの住処(洞窟の奥)、昼―

グレンゼブル 「これだろ?」
少女 「これって……」
ブラキディオス [ 間違いない。これから発せられている ]
        [ 古代の力だ ]
少女 「岩の中に、何かある……」
イャンガルルガ 「何だそれ?」
ゴゴモア 「これは……古龍の力、その源」
少女 「この、黒い剣みたいなものが?」
ココモア 「何だか……いい感じがしないよ。悪寒がする……」
ルコディオラ [ 俺もここに入った時から、太古の力を感じていた。しかし、こんなにはっきりと形を残しているとは…… ]

656: 2012/02/22(水) 18:55:12.32 ID:NUScbCCJ0
グレンゼブル 「これは、俺のお守りだ!」
少女 「お守り?」
グレンゼブル 「どんなに怪我しても、この近くで寝ればすぐに良くなンだよ」
       「俺が小さい時から、ずっとここにあった」
       「人間が使う武器みてぇでそこは嫌だが、大切なモンだ!」
ブラキディオス 「…………」
ルコディオラ [ どうしてこんなところに……少女、回収を…… ]
少女 [ 駄目だよ、これはグレンゼブルさんの大事なものだよ ]
ルコディオラ [ ………… ]
少女 [ 人の大事なものを、勝手に触っちゃいけないよ ]
ブラキディオス [ ………… ]

657: 2012/02/22(水) 18:55:43.74 ID:NUScbCCJ0
グレンゼブル 「何だ何だァ? 相談か?」
少女 「ええと……ここにこれがあるって、他のモンスター達は知ってるの?」
グレンゼブル 「時たま、崖から落ちて大怪我をしたエルペを連れてくるからな。あいつらは知ってるだろ」
       「あと……若い頃、人間がこの洞窟を使ってたンだ」
少女 「!」
グレンゼブル 「今でも時たま人間が来る。こいつを狙ってるのかもな、ハハ!!」
イャンガルルガ 「少女、良くわからねぇが、これは使えるのか?」
少女 「……うぅん。そういうものじゃないと思う」
イャンガルルガ 「…………」
        (チッ。俺には隠し事かよ……)

658: 2012/02/22(水) 18:56:12.40 ID:NUScbCCJ0
―高地、グレンゼブルの住処(洞窟)、夜―

ティガレックス兄 「ガァァ……Zzz……」
ティガレックス弟 「ゴォオ……Zzz……」
ルコディオラ 「Zzz…………」
ブラキディオス 「Zzz…………」
ゴゴモア 「Zzz……」
ココモア 「Zz……」
ナルガクルガA 「Zzz…………」
ナルガクルガB 「Zzz…………」
ナルガクルガC 「Zzz…………」
少女 「Zzz…………」

イャンガルルガ 「チッ。眠れねぇ」
        「外の空気でも吸ってくるか」

659: 2012/02/22(水) 18:56:44.63 ID:NUScbCCJ0
―高地、グレンゼブルの住処(洞窟の入り口)、夜―

イャンガルルガ 「……? 何してンだあいつ」
グレンゼブル 「ハハ、そーかそーか良かったな!!」
エルペ達 「グレン様のおかげで、無事に赤ちゃんも生まれましたわ!」
     「本当、グレン様がいてくださるだけで、どれだけ心強いか……」
グレンゼブル 「気ィつけて帰れよ、じゃな」
イャンガルルガ 「………………」
グレンゼブル 「おうおうおう、どうした兄弟! 辛気臭ェ面しやがって!!!」
       「運気が逃げるぜ!!」
イャンガルルガ 「てめぇは……大型モンスターのくせに、何で小型モンスターを保護してる?」
グレンゼブル 「…………?」
       「強ェ奴が弱ェ奴を守るのは、当たり前のことだろ」
イャンガルルガ 「!」

660: 2012/02/22(水) 18:57:13.46 ID:NUScbCCJ0
グレンゼブル 「俺様は強ェ! この高地じゃ誰にも引けをとらねぇくらいにな!!」
       「だから自信をもって、あいつらを守ることが出来るって訳だ!!」
イャンガルルガ 「俺は……」
        「俺は、弱い……」
グレンゼブル 「…………?」
イャンガルルガ 「俺には、好きな奴がいる……」
        「だがそいつは、俺よりも強くて……」
        「俺なんかいなくてもいいんじゃないかってくらい、別次元の存在になりつつある……」
グレンゼブル 「…………」
イャンガルルガ 「俺は、その時に、そいつをそのまま好きだって」
        「今のまま言ってやれるかどうか、その自信がない」
        「あんたならどうする……?」

661: 2012/02/22(水) 18:57:48.63 ID:NUScbCCJ0
グレンゼブル 「くだらねぇことで悩んでるな!」
イャンガルルガ 「!」
グレンゼブル 「好きだって言ってやればいい!!! それ以外の何がある!」
       「相手の方が力が強いからって、相手の存在が別次元だからって、同じ生き物だ!!」
       「分かり合えねぇ訳がねぇ!」
       「お前、兄弟! 中々いい奴じゃねぇか!」
       「だがな、下から上を見るな。上から同じ景色を見ろ!!」
イャンガルルガ 「上から……同じ景色…………」
グレンゼブル 「下から上を見ると、際限がねぇ碌なことがねぇ」
       「それって相手を馬鹿にしてんだよ。知らねェうちにな」
       「相手のことが好きなら、同じ景色をみてやればいい。同じ場所に立って、それだけでいい!!」
イャンガルルガ 「…………」
グレンゼブル 「ついてきな! いいもん見せてやる!!!」

669: 2012/02/26(日) 21:48:19.55 ID:pOQ9sNVj0
―高地、崖の下、夜―

イャンガルルガ 「ここに何があるってんだ……?」
グレンゼブル 「シッ。静かにしろ」
エルペ達 「Zzz……」
イャンガルルガ (へェ。この縦穴は、エルペって奴らの巣穴になってるのか)
グレンゼブル 「ここだ」
イャンガルルガ 「…………」
グレンゼブル 「見てみろ」
イャンガルルガ 「これは……エルペって奴の赤ん坊と、その親か……」
グレンゼブル 「最近は繁殖期だから、子供がポンポン産まれる」

670: 2012/02/26(日) 21:48:48.80 ID:pOQ9sNVj0
イャンガルルガ 「で、これがどうしたんだ?」
グレンゼブル 「まァ待てよ」
イャンガルルガ 「……?」
グレンゼブル 「今は月が雲に隠れてるからな……おお、もう少しだ」
 >ピカァァアッ!!
イャンガルルガ 「!!」
グレンゼブル 「どうだ、凄いだろう」
イャンガルルガ (月の光が……向こうの滝に乱反射して、光を撒き散らしてる……)
        (これは……)
        (こんな光景があったのか……)

671: 2012/02/26(日) 21:49:27.69 ID:pOQ9sNVj0
グレンゼブル 「俺様は毎日ここに来て、アレを見る」
       「あれは自然が作り出したモンだ。俺達でも、まして人間が作り出したモンじゃねェ。偶然の産物だ」
イャンガルルガ 「あれが……偶然の産物……」
グレンゼブル 「そしてこの子も、偶然の産物なンだよ」
エルペの赤ん坊 (もぞもぞ)
イャンガルルガ 「…………」
グレンゼブル 「この子も大きくなったら、ここで、俺様達と同じ気持ちでアレを見る」
       「分かるか、小型モンスターだろうと、大型モンスターだろうと関係ねェ」
       「アレは、誰の前だろうと、変わらず光り続けるンだ」

672: 2012/02/26(日) 21:50:09.14 ID:pOQ9sNVj0
イャンガルルガ 「…………」
グレンゼブル 「空を見ろ、兄弟!」
イャンガルルガ 「空……」
グレンゼブル 「俺様達は飛べるから、下を向きがちだ。いや、俺様達全員、強いから下を向きがちなんだ」
       「同じ目線で見るためには、こう……優しい気持ちじゃなきゃいけねェ」
       「上手くは言えねぇが、このエルペと、同じ目線でアレを見るためには、一度心を空っぽにする必要がある」
       「今みてェにな」
       「見ろよ、綺麗な月と、滝じゃねぇか……」
イャンガルルガ (……俺は、今迄そんなことを考えたこともなかった……)
        (このちっぽけな小型モンスターの赤ん坊と、同じ目線で、俺はあの光景を見れているのか……)
        (俺と同じ光景を、この小型モンスターは見ているのか……)
        (そして近い将来、見ることになるのか……)

673: 2012/02/26(日) 21:50:47.37 ID:pOQ9sNVj0
イャンガルルガ (確かに……俺達がどんなに強くても、弱くても、上の月は、変わらず光ってる。照らしてくれてる……)
        (単純なことだが……どうして今迄気がつかなかった)
        (この光景をもし、少女に見せることが出来たら……いや、これに限らず、ありとあらゆる自然のものを見れたら)
        (俺は、同じ光景を共有したことになるのか……)
        (同じ時間を生きてることになるのか……)
グレンゼブル 「おうおうおうどうした兄弟! 辛気臭ェ面すんな、運気が逃げるぜ!」
イャンガルルガ 「その、あんたが言ってる運気っていうのは何なんだ?」
グレンゼブル 「運気? それは俺様達全員が持ってる、『いいこと』をひきつけるパワーだ!」
       「俺様達は全員そのパワーを持ってる。小さい大きいに関わらず、みんな平等にだ」
       「だが運気が一番嫌いなことは、辛気臭ェ面をすることだ!」
       「そしたら、たちまち逃げてっちまう。そんな臆病な奴らなんだ」
       「こいつらと同じにな!」

674: 2012/02/26(日) 21:51:22.63 ID:pOQ9sNVj0
イャンガルルガ 「エルペ達と……?」
グレンゼブル 「牙を向ければ逃げていく。そしたら俺様はずっと一人だ」
       「ずっと寂しいままで生きていかなきゃいけない」
       「でも、俺様はこいつらに助けられてる。一緒に生きていってもらえてる」
イャンガルルガ 「大型モンスターが……小型モンスターに助けられてる……」
グレンゼブル 「そうだ! まさにそれって、いいことじゃねぇか!」
       「まるでこいつらは、俺様の運気みてぇじゃねぇか!!」
イャンガルルガ 「俺は……」
        「俺も……あの子の、少女の運気になりてぇ……!!」
グレンゼブル 「…………」
イャンガルルガ 「俺は今迄、辛気臭ェ面をしてた。自分から運気を取り逃してた」
        「助けてるつもりで、何も助けてなかった。分かってなかった!」
        「あんたに会って、俺は変われる気がする……!!」

675: 2012/02/26(日) 21:52:04.38 ID:pOQ9sNVj0
グレンゼブル 「ハハ、良かったじゃねぇーか!!」
       「そうだ、その顔だ。運気は流されるもんじゃねぇ。掴むもんだ」
       「これ以上テンションが上がるとエルペ達が起きる。飛ぶぜ!(バッ)」
イャンガルルガ 「おう!(バッ)」
グレンゼブル 「今夜の月も綺麗だぜ!!」
       「明日も明後日も、多分綺麗だ。その先もずっとな!!」
       「俺達が何で悩んでようが、変わらねぇンだよ」
       「悩むことなんてくだらねぇぜ!!」
イャンガルルガ (こいつの言うとおりだ……)
        (よくわからねぇところもあるが、こいつの言葉にはパワーがある)
        (これが、運気を掴む力ってやつか……!)

676: 2012/02/26(日) 21:52:38.52 ID:pOQ9sNVj0
―高地、グレンゼブルの住処(洞窟)、夜―

ブラキディオス [ …………(バチッ) ]
        [ ……………… ]
        (何だ……このざわつくような感覚は……)
ルコディオラ 「………………(バチッ)」
        [ ……あんたも感じたか。何か、良くない予感がする ]
ブラキディオス [ わが主よ、目を覚ますのだ! ]
少女 「ん……うう……」
ブラキディオス [ !! ]
ルコディオラ [ これは……すごい熱だ……!! ]
       [ 角が……更に大きく…… ]

677: 2012/02/26(日) 21:53:13.61 ID:pOQ9sNVj0
ブラキディオス [ …………共鳴しあっている…………!! ]
ルコディオラ [ 何……? どういうことだ! ]
ブラキディオス [ 太古の破片と、我が主の中の古龍の血が、共鳴しているのだ ]
ルコディオラ [ 太古の破片……この洞窟の奥にあった黒い剣か!! ]
ゴゴモア [ (ぬぅ)……お前たちも感じていたか。この子の熱は通常の熱ではない ]
     [ 古龍化が急激に進行している。このままでは、戻れなくなるぞ……!! ]
ココモア [ 父ちゃん、どうにかできないの……!? ]
ゴゴモア [ ……ラヴィエンテ様…… ]
     [ ラヴィエンテ様に、古龍の力を抑えていただく他ない……! ]

678: 2012/02/26(日) 21:53:55.90 ID:pOQ9sNVj0
ブラキディオス [ 待て! マズいぞ……洞窟全体が震え始めた……!! ]
 >ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ナルガクルガA 「キャ! 何? 地震!?」
ナルガクルガB 「やぁねぇ、食べ物も不味いし、嫌な土地ね!!」
ナルガクルガC 「それにしては揺れが強くない!?」
ティガレックス兄 「ガアア……ZZzzz……」
ティガレックス弟 「ゴォオオ……Zzzzz……」
ブラキディオス [ 急げ! 主様を太古の破片から遠ざけるのだ!! ]
ルコディオラ [ 承知した! ゴゴモア殿、少女をこっらに!! ]
ゴゴモア [ ぐ……何だ……? 少女の体が……重くて持ち上がらん……!!! ]
ココモア [ 父ちゃん早く!!! ]

679: 2012/02/26(日) 21:54:28.78 ID:pOQ9sNVj0
―少女の夢の中―

少女 「…………頭が痛い……角が……熱い…………」
白アイルー 「…………」
少女 「私……どうしちゃったの……? 私の体……私じゃなくなっちゃったみたいで……」
白アイルー 「(スッ)…………」
少女 「ここを離れろって……? そう言いたいの?」
灰アイルー 「………………」
少女 「あなたは……火山で会った……」
灰アイルー [ お前の体はもはや人間ではない ]
少女 「言葉が……分かる……?」

680: 2012/02/26(日) 21:54:51.70 ID:pOQ9sNVj0
灰アイルー [ すぐにその場を離れろ。古龍の箍を外す、危険な力がそこにある ]
少女 [ でも……体が動かない…… ]
灰アイルー [ お前が完全に古龍になってしまうと、我らの力で抑えることができなくなってしまう ]
      [ 繰り返す。すぐにその場を離れろ ]
少女 [ 待って…… ]
灰アイルー [ ………… ]
白アイルー [ ………… ]
少女 [ 私……こんな力いらない……このせいで、沢山の人を巻き込んでる…… ]
   [ だから、この力……消せるものなら消して……お願い……!! ]
灰アイルー [ その力は、お前の一部であり、お前自身だ ]
      [ 消すことは適わない ]

681: 2012/02/26(日) 21:55:26.01 ID:pOQ9sNVj0
少女 [ そんな……!!! ]
灰アイルー [ お前の力が強まってきた。じき我らの声も聞こえなくなる ]
[ その場を……離れ…… ]
  >ザザ…………
少女 (白猫さんと、灰猫さんの姿がかすんで……)
白アイルー [ (タタタ)私は…… ]
少女 [ !! ]
白アイルー [ 私は、いつでも…………あなたと……………… ]
少女 [ 聞こえない……! もう一回言って……お願い、もう一回!! ]
灰アイルー [ 離れろ……お前の……傷つけることに………… ]
  
  >ブツリ

682: 2012/02/26(日) 21:56:01.95 ID:pOQ9sNVj0
―高地、グレンゼブルの住処(洞窟)、夜―

少女 「………………(ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ)」
ブラキディオス [ 主様の影が変質を始めた! 古龍の体になるぞ!! ]
ココモア [ ど……どういうこと!? ]
ゴゴモア [ 古龍には羽化の時が訪れる。通常のモンスターから古龍になる時、新しい体に生まれ変わるのだ! ]
     [ 離れろココ! 取り込まれるぞ!! ]
ココモア [ お姉ちゃん……! 目を覚まして、お姉ちゃん!!! ]
少女 「………………」
ルコディオラ [ 何だ……この不気味な形の影は…………!!! ]
ブラキディオス [ 主様の体が…… ]
ナルガクルガA 「ちょっとぉ!! あの子の体、透けてない!?」
ナルガクルガB 「幽霊なのーぅ!? ちょっとぉ、どういうことよぅ!!」
ナルガクルガC 「説明しなさいよルコーゥ!!」

683: 2012/02/26(日) 21:56:24.71 ID:pOQ9sNVj0
ルコディオラ 「少女の、古龍の力暴走した!!」
ルコディオラ 「逃げろ!!!」
ナルガクルガA 「よ、よく分からないけどヤバそうよ!!」
ナルガクルガB 「緊急離脱ね!!」
ナルガクルガC 「こいつらは構わなくていいのぅ!?」
ティガレックス兄 「Zzzz……」
ティガレックス弟 「Zzzz……
ナルガクルガA 「ほっときなさいよ! 自分のことくらい自分で出来る歳でしょぅ!!」

 >ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

684: 2012/02/26(日) 21:56:55.43 ID:pOQ9sNVj0
ルコディオラ (洞窟の奥が凄まじい光に包まれてる……!!)
       (やはり、あの太古の破片は回収すべきものだったんだ!!)
ブラキディオス [ 何をしている若造、崩落する洞窟に潰されるぞ!! ]
ルコディオラ [ 分かっている……!!(ダダダッ) ]
ゴゴモア (少女の影が、巨大な……見たこともないような形に変わっていく……)
     (代わりに少女の体が消えていく……!!!)
ココモア [ お姉ちゃん!!! ]
少女 (フッ)
ゴゴモア [ 消えた……!!! ]

685: 2012/02/26(日) 21:57:28.85 ID:pOQ9sNVj0
―高地、洞窟の外、夜―

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ナルガクルガA 「あ……危なかったわ……あのまま洞窟にいたら潰されてた……」
ナルガクルガB 「そ、それよりアレ、何!?」

×××××××× 「………………………………(ズズ……ズ………………)」

ナルガクルガC 「龍!? そ、それにしてはでかくない!?」
ナルガクルガA 「あたしたちの十倍はあるわ!!!」
ナルガクルガB 「高地の低いところに、いきなり出てきたわ!」

ルコディオラ [ 何て大きさだ……!! 高いこの場所に、頭が届くなんて……!! ]
ゴゴモア [ 完全な古龍だ……!! あれが少女だというのか!! ]

686: 2012/02/26(日) 21:58:02.09 ID:pOQ9sNVj0
×××××××× 「…………(ズズズ………………)」

ココモア [ 動き出したよ!!! ]
ゴゴモア [ 少女!! 私達だ、目を覚ませ!!!! ]

×××××××× 「(ズ……ン……)………………」

ブラキディオス [ 何だ……!! 溶岩が飛んできたぞ!! ]
ルコディオラ [ 滅茶苦茶だ! 火山を背負ってるのか!!!! ]

×××××××× 「ギャォォオオオオオオオオオオオオオアアアアアアア!!!!!!!」

 >ビリビリビリビリビリビリビリビリ

687: 2012/02/26(日) 21:58:34.29 ID:pOQ9sNVj0
ナルガクルガA 「ひぃぃぃ!!」
ナルガクルガB 「きゃあああ!!!」
ナルガクルガC 「何て声……耳が壊れるわ!!!」

×××××××× 「(ズズズズズズ…………ズゥン……!!)…………」

ルコディオラ (進んでいく……! あっちには、エルペとかいう小動物達の住処が……!!!!)

 >ヒュルルルルルル……ドォォォォンッ!!
 >ヒュルルルルルル…………ドォォォォンッ!!!

688: 2012/02/26(日) 21:59:01.73 ID:pOQ9sNVj0
ブラキディオス [ (キッ)……主様を止めねば、この土地が溶岩で消えてなくなってしまう!! ]
ゴゴモア [ しかしどうする!? あの大きさ、背負っている火山、規格外だぞ!!! ]
ブラキディオス [ 叩くしかあるまい!!!(ダッ) ]
ゴゴモア [ 待つのだブラキ殿!!! ]
ルコディオラ [ 助太刀する!!(バッ!!!) ]
ココモア [ やめて! お姉ちゃんを傷つけないで!!! ]
ゴゴモア [ しかし叩かねばこの土地が……!!! ]

689: 2012/02/26(日) 21:59:28.20 ID:pOQ9sNVj0
―高地、上空、夜―

 >ド ォ ォ ォ ォ ォ ン ッ ! ! ! !

グレンゼブル 「ッァ!! 何だァ!!?」
イャンガルルガ 「洞窟の方からスゲェ音がしたぞ!!」
グレンゼブル 「!! おいおいマジかよ何だありゃあ!!!」

×××××××× 「……………………(ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ)」

イャンガルルガ 「何だァ!?」
        「あ……あれは………………」
グレンゼブル 「兄弟! 何だか分かるのか!?」
イャンガルルガ 「少女……少女だ!!! あのでかい龍は、少女が変身した姿だ!!!」
グレンゼブル 「おいおいおいおい何言ってんだ! あの子は人間じゃねぇのか!?」
イャンガルルガ 「いや俺には分かる! あの子の中の、古龍の力が暴走したんだ!!!」
        「止めなきゃ……止めなきゃ駄目だ!!!」

690: 2012/02/26(日) 22:00:03.23 ID:pOQ9sNVj0
グレンゼブル 「あのデカブツ、エルペ達の住処に向かってやがる!!!!」
イャンガルルガ (少女……意識がないのか!?)
グレンゼブル 「火山背負ってンのかよ!? どっから出てきた!!!」
イャンガルルガ 「頼む! あれは少女なんだ、傷つけないでくれ!!!」
グレンゼブル 「っつっても兄弟! このままじゃエルペ達が生焼きだ!!!」
       「高地も滅茶苦茶になっちまう!!!」
イャンガルルガ 「あんた言ったよな! どんなに次元が違っても、同じ生き物だって、分かり合える筈だって!!」
        「近づいてみせる! 援護してくれ!!!」
グレンゼブル 「兄弟……!!!」
       「お前中々熱いじゃねぇか!! 気に入った!!! 溶岩弾は俺様に任せろ!!!」
       「止めてこい、なるべく早くな!!!!」

716: 2012/03/11(日) 15:15:47.81 ID:Jwqg5rEa0
―少女の意識の中―

少女 (何……私何してるの……?)
   (体が動かない……どうしちゃったの……? 何も見えない……)
   (灰猫さん! 白猫さん!!)
   (返事をして、どこに行っちゃったの!?)

 =壊せ=

少女 (な、何か声が聞こえる……)

717: 2012/03/11(日) 15:16:30.11 ID:Jwqg5rEa0
少女 (な、何か声が聞こえる……)

 =思うが侭に壊せ=
 
 =それが古龍してのお前の役割=
 
 =それがミラの名を次ぐお前の……『グラン・ミラオス』の役割=
 
 =全てを壊しつくすのだ=

少女 (この声……あの、グレンゼブルさんの洞窟にあった、剣の形の石から聴こえる……!!)
   (壊すって……私そんなことしたくない!)
   (グラン・ミラオスって何!? 私そんなの知らない!!)

718: 2012/03/11(日) 15:17:01.80 ID:Jwqg5rEa0
 =壊すのだ=
 
 =それが古龍の……破壊の力の役割=
 
 =全てを灰燼に帰しても尚止まるな=
 
 =お前の全てが全てを破壊しつくすまで止まるな=
 
 =煉獄の力を見せてやれ=
 
少女 (いきなり前が見えるようになった……!!)
   (何……? 何で私、こんな高いところにいるの!?)
   (……違う! 私の体……こんなに大きくなってる!!)
   (私の目から見たものなの……?)

719: 2012/03/11(日) 15:17:31.51 ID:Jwqg5rEa0
―高地、上空、夜―

イャンガルルガ 「うおおおおお!!(ビュン!)」
 >ヒュルルルルルル
 >ヒュルルルルルル
イャンガルルガ (溶岩の弾が無数に飛んでくる……)
        (避けきれない……!!)
 >ブシュゥゥゥゥゥ!!!!
 >ドッォォォォォォォンッ!!
グレンゼブル 「俺に任せろ兄弟! 水ブレスで弾きかえしてやる!!」
イャンガルルガ 「助かる……!!」

720: 2012/03/11(日) 15:17:58.08 ID:Jwqg5rEa0
イャンガルルガ (このままだとエルペ達が皆丸焼けだ!!)
        (少女にそんなことをさせたくねぇ!!!)
        (絶対に、俺が止める!!)
 >ヒュルルルルルル
 >ヒュルルルルルル
 >ドッォォォォォンッ!!!
イャンガルルガ 「!!」
        (クソ……! 体中から溶岩の弾を飛び出させてる……!)
        (グレンゼブルが止め切れなかったのが、どんどん高地に落ちてってる!!)
        「!!」
        「あいつら……!!!」

721: 2012/03/11(日) 15:18:25.60 ID:Jwqg5rEa0
―高地、地上、夜―

ルコディオラ 「オオオオオオオ!!!!!」
 >ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ルコディオラ 「離れよ! この辺りの地面を隆起させる!!!」
       「カァ!!!」
 >ドゴォォォォォォオォッ!!!!
グラン・ミラオス 「!!」
 >グラッ
ルコディオラ [ よろめいた……!! 行け、ブラキディオス! ]
ブラキディオス [ 言われずとも……!(バッ)]
        [ ハァッ!!(ズッ!!!)]
 >ドッォォォォォォンッ!!!!
グラン・ミラオス 「………………」
 >ズンッ!!
 >ズン……! ズン……!!

722: 2012/03/11(日) 15:18:52.97 ID:Jwqg5rEa0
ブラキディオス [ な……っ、無傷だと……!? ]
        [ すまぬ主様、ならばこれならどうだ!! ]
        [ ハァァァ!!!! ]
 >ズッ!!
 >ズッドォォォッ!!!
 >ズッドォォォッ!!!
ブラキディオス [ 足に集中して攻撃を叩き込んだ……!! ]
        [ そして俺のパンチは……炸裂する!! ]
 >ドォガアアアアアアアンッ!!!!
グラン・ミラオス 「!!」
 >グラグラ……
 >ズゥゥゥゥゥゥンッ!!!
ルコディオラ [ 膝をついた……!!! ]

723: 2012/03/11(日) 15:19:25.13 ID:Jwqg5rEa0
ブラキディオス [ これだけ攻撃してもかすり傷とは……!! ]
        [ 何て古龍だ!! ]
        [ この隙に昏倒させる! 手伝え若いの!!! ]
ルコディオラ [ 俺をガキと呼ぶな!(ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ) ]
 >ズッゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!!
 >バキバキバキバキ
ルコディオラ [ この地面の裂け目は段々大きく広がっていき、やがてあれを飲み込む! ]
 >バキバキバキバキバキバキ
グラン・ミラオス 「…………!」
 >ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ルコディオラ [ 足が裂け目に飲み込まれた! 重力波であいつを押さえ込む! 頭を狙え!! ]
ブラキディオス [ 応!!!!(バッ) ]
グラン・ミラオス 「………………ウウ゛……ウウウウウウウウ゛!!!!!」

724: 2012/03/11(日) 15:20:03.74 ID:Jwqg5rEa0
ブラキディオス (何か来る……!?)
        (しまった!!!)
グラン・ミラオス 「ゴォオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
 >ボウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!
ブラキディオス [ ぐあああああああああああ!!!! ]
ルコディオラ [ ブラキディオス!!! ]
       (ブレスが空中で直撃した!!!)
ブラキディオス [ ……………… ]
 >ヒュゥゥゥゥゥ…………
 >ズゥン……!!
ルコディオラ [ ブラキディオス!! 大丈夫か!!? ]
ブラキディオス [ グ……何て熱だ……! 殻が溶けた……!!! ]
        [ 集中力を途切れさせるな……!! ]
        [ お前の重力波で、主様はかろうじて抑えられている……! ]
グラン・ミラオス 「………………(グググ…………)」

725: 2012/03/11(日) 15:20:31.04 ID:Jwqg5rEa0
ルコディオラ [ だ……駄目だ、抑えきれない……!! ]
       [ 力が強すぎる!! この重力場で何故動ける!? ]
グラン・ミラオス 「…………(ズンッ!!)」
 >ズシィン……ズシィン…………
ルコディオラ [ 歩き出しただと!!? ]
ブラキディオス [ (ググ……)何をしている若いの!! ]
ルコディオラ [ 重力の力は最大限に解放してる!! 抑えられないんだ!!! ]
 >ボシュッ
 >ヒュルルルルルルル
ルコディオラ [ !! 溶岩弾が、エルペ達の巣に……!!!! ]

726: 2012/03/11(日) 15:20:59.82 ID:Jwqg5rEa0
―高地、上空、夜―

グレンゼブル 「チィィ! 止め切れねぇ!!」
       「兄弟! 避けろ!!!」
イャンガルルガ 「駄目だ! 今俺が避けたら、この崖が崩れる!!」
        「受け止める!!!!」
 >ドッォォォォォォォォッ!!!!
 >ジュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!
イャンガルルガ 「ぐうおおおおおお!!!!!」
グレンゼブル 「兄弟!!!!」
イャンガルルガ 「こ……これくらい何とも……ない!!!」
 >ブゥンッ!!!
グレンゼブル 「溶岩弾を投げ飛ばした!!! 兄弟、お前……!!!」
イャンガルルガ 「何度でも来い! 俺は、少女を頃すための古龍になんてさせないぞ!!」
        「絶対にさせるものか!!!!」

727: 2012/03/11(日) 15:21:33.97 ID:Jwqg5rEa0
グラン・ミラオス 「……(ズゥンッ! ズゥンッ!)」
イャンガルルガ 「少女!! 聴こえるか!!!」
        「俺だ、イャンガルルガだ!!!!」
        「俺は絶対に、ここを動かねぇ!!!!!」
        「お前を止める!! 絶対に止めてやる!!!!」
 >ボシュッ
 >ヒュルルルルルルル
 >ヒュルルルルルルル
グレンゼブル 「カァッ!!!」
 >バシュゥゥゥゥッ!!!
 >ボンッ!!!
 >ボンッ!!!
グレンゼブル 「お前……! 好きだぜそういうの!!」
       「付き合おうじゃないか!!!」
       「だがどうする!? 根性論で止められる代物じゃあねぇぞ!!」

728: 2012/03/11(日) 15:22:20.60 ID:Jwqg5rEa0
イャンガルルガ 「こうなっちまった原因がある筈だ! それをどうにかできれば……」
グレンゼブル 「……もしかして、俺のお守りのせいか!?」
イャンガルルガ 「!! それだ!! ブラキディオスが何かを感じると言ってた!」
        「あれは、太古の塊だ。あれが少女の力を操ってるんだ!!!」
グレンゼブル 「そうと分かりゃ、あれを遠くに捨ててくればいいんだな!?」
イャンガルルガ 「いいのか!? 大事なものなんだろ!?」
グレンゼブル 「お前の覚悟に比べりゃたいしたもんじゃねぇ! 待ってろ、今……」
 >ヒュルルルルルルル
イャンガルルガ 「グレンゼブル、後ろだ!!」
グラン・ミラオス 「ウウウウ゛…………ウウウウウウウウ゛…………!!!」
 >ゴゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!
イャンガルルガ (ブレスと溶岩弾のダブル攻撃だと……!?)
        (これは……氏ぬ……!!)

729: 2012/03/11(日) 15:22:50.61 ID:Jwqg5rEa0
グレンゼブル 「ッアアア!!!」
 >ボジュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!
 >ドッゴオオオオオオッ!!!
グレンゼブル 「ぐうああああああ!!!」
イャンガルルガ 「グレンゼブル……!! 俺の盾に……!!!」
グレンゼブル 「………………(ヒュルルルルルルル)」
イャンガルルガ 「グレンゼブルー!!!!」

730: 2012/03/11(日) 15:23:18.12 ID:Jwqg5rEa0
イャンガルルガ (くそ……グレンゼブルが滝に落下しちまった……!!!)
        (だが俺がここで引いたら、少女は一生の傷を負っちまう……!!)
        (そんなのは嫌だ! 俺は……)
        (俺は……)
        「お前に悲しんで欲しくないんだー!!!!」
グラン・ミラオス 「…………!!!」

731: 2012/03/11(日) 15:23:44.21 ID:Jwqg5rEa0
イャンガルルガ (! 動きが止まった……!?)
        (俺の声が届いたのか!?)
        「……少女! 聞いてくれ、この先にはエルペ達の住処がある!!!」
        「お前……お前、人間に戻りたいんだろ!?」
        「だけど、俺は知ったんだ! お前がたとえ人間だろうと、古龍だろうと!」
        「お前はお前で変わりがねぇ!!!!」
        「俺と同じものを見て、同じものを感じてる『生き物』だ!!!」
        「俺はお前がなんだろうと構わない!!!!!!」
        「そんなわけのわからねぇ力に負けるな!!!」
        「戻って来い! 少女!!!!!!」

732: 2012/03/11(日) 15:24:11.91 ID:Jwqg5rEa0
グラン・ミラオス 「ガア…………ア…………(ヨロ…………)」
イャンガルルガ 「!!」
        (声が届いてる! これは少女なんだ、姿かたちが違うだけで、少女なんだ!!!)
グラン・ミラオス 「ウウ゛……ウウウウウウウウウ゛…………!!!」
イャンガルルガ (ブレスが来る……!!)
        (だが俺は……逃げん!!!!)
 >ゴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!
イャンガルルガ 「…………!!!!!!」
 >プス……プス…………

733: 2012/03/11(日) 15:24:44.71 ID:Jwqg5rEa0
イャンガルルガ 「ガハァ!! ハァ…………!! ハァ…………!!!!」
        「い…………」
        「行こう、一緒に…………!!!」
        「みんなも待ってる…………」
        「ラヴィエンテとやらに会うんだろ? 一緒に会いに行こう……」
グラン・ミラオス 「ガアア……ア…………(ヨロヨロ)」
         「ギャオオオオオオオオオ!!!!」

734: 2012/03/11(日) 15:25:07.82 ID:Jwqg5rEa0
イャンガルルガ 「俺は怖くねぇ!!!!」
        「怖くねぇぞ!!!!!!!」
        「俺はお前と! 一緒に行くって決めたんだ!!!」
        「お前がどんな姿になろうが、関係ねぇ!!」
        「一緒に行くぞ、少女!!!!!!」
グラン・ミラオス 「!!!!」
 >ピカァァァァァッ!!!
イャンガルルガ 「!!!!」
        (こいつの体が、真っ白に光った!!!!)
        (体が薄れて消えて行く……!!!)
        (中に、少女の体が……!!!!!)

735: 2012/03/11(日) 15:25:38.89 ID:Jwqg5rEa0
少女 「………………」
 >ヒュゥゥゥゥゥ…………
イャンガルルガ 「少女!!!!(ビュンッ)」
 >ガシッ!!
イャンガルルガ 「少女! しっかりしろ!!!!」
少女 「………………はぁ…………はぁ………………」
   「ガルルガさん…………!!!」
   「とめて…………あの塊を、壊して…………!!!」
イャンガルルガ 「分かった!!」

736: 2012/03/11(日) 15:26:04.77 ID:Jwqg5rEa0
―グレンゼブルの巣があった場所、夜―

ティガレックス兄 「ガアアア!!! 何だァ!?(ガラガラ)」
ティガレックス弟 「うるせぇぇぇ!!! おちおち寝てもいられねぇ!!!(ガラガラ)」
         「って何だァこりゃああああああ!!!」
ティガレックス兄 「どうなっちまったんだ!? 洞窟も崩れてやがるし!!」
イャンガルルガ(上空) 「あいつら……生きてたのか!!」
        「馬鹿ども!! 黒い塊を壊せ!!!!」
ティガレックス兄 「あァん!? 馬鹿だと!?」
ティガレックス弟 「馬鹿って言う奴が……」
イャンガルルガ(上空) 「ふざけてる場合か! 急げ!!!」

737: 2012/03/11(日) 15:26:36.31 ID:Jwqg5rEa0
ティガレックス兄 「チィ。何だってんだ」
ティガレックス弟 「兄者……何だこれ……?」
 >ふわふわ
ティガレックス兄 「ン……? 浮いてるぞ。人間が使う武器に良く似てるが……」
ティガレックス弟 「これか!? 『塊』ってのは!!」
イャンガルルガ(上空) 「多分そうだ! 壊せ!!!」
ティガレックス兄 「カァッ!!」
 >パァンッ!!!

738: 2012/03/11(日) 15:27:15.17 ID:Jwqg5rEa0
少女 「うっ!(ぞくっ……!!)」
イャンガルルガ 「少女! 大丈夫か!!?」
少女 「うう……(……ガクッ)」
イャンガルルガ (気を失った……)
        (く……俺も、限界だ……!!!)
 >ズザァァァァァ…………!!!
ティガレックス兄 「何だ何だ何があった!? 随分派手な着地だな!!(ズンズン)」
ティガレックス弟 「少女もいるな。しかし何だ……あたり一面溶岩弾がメラメラ燃えてやがる」
イャンガルルガ (くそ……意識が…………)
ゴゴモア 「少女!!」
ココモア 「お姉ちゃん!!!!」
ナルガクルガA 「お……終わったの……?」
ナルガクルガB 「あのでかい龍が消えたわ……」
ナルガクルガC 「意味がわかんないわよーぅ! ちゃんと説明しなさいよ!!」
イャンガルルガ (少…………女…………)
 >ガクッ

757: 2012/04/30(月) 18:22:31.77 ID:J5k1zkjR0
―シュレイド地方、樹海、昼―

イャンクック (少女が出ていってから随分経つ……)
       (地獄兄弟とガルルガ君が一緒にいるから大丈夫だとは思うが……)
       (何故か妙な胸騒ぎがする)
       (私は……)
ナルガクルガ 「…………」
イャンクック 「! いたのか……」
ナルガクルガ 「気もそぞろになっているぞ。お前らしくもない……」
イャンクック 「…………」
ナルガクルガ 「やはり少女のことが気になるか」
イャンクック 「当然だ。あの子は、私の娘だからな……」

758: 2012/04/30(月) 18:23:10.18 ID:J5k1zkjR0
ナルガクルガ 「なら何故、体を張ってでも止めてやれなかった」
       「あの時少女達を止められたのは、お前意外いなかったというのに……!」
イャンクック 「…………」
       「私は……本当に少女を守るだけでいいのだろうかと、ふと疑問に思ったのだ」
ナルガクルガ 「どういう意味だ?」
イャンクック 「少女は、人間でも、モンスターでもない……」
       「それをモンスター扱いして、我々と同じだと言いはって……」
       「それで本当にいいのだろうかと疑問を持ってしまったのだ」
ナルガクルガ 「少女は人間ではない。モンスターではないのか?」
       「俺達と同じ仲間ではなかったのか!」
イャンクック 「私達の仲間だ。しかし同族ではない」

759: 2012/04/30(月) 18:23:38.49 ID:J5k1zkjR0
ナルガクルガ 「…………」
       「仲間ではあるが同族ではない、か……」
       「つまり少女は人間よりの生き物だと」
       「人間達の一種だと、そう言いたいのか?」
イャンクック 「それも違う。だから一概にあの子を人間達の群れに戻すのもはばかられた」
       「私は、だから迷ってしまったのだよ……」
ナルガクルガ 「お前が迷っていては、お前の娘であるあの子もどうしたらいいのか分からない」
       「だからお前の元を去った。違うか!」
イャンクック 「その通りだ……私には、どうすることも出来ん……」
ナルガクルガ 「……ふん……イャンクックも老いたものだ」
       「老うと我々は頭が硬くなるらしい」
イャンクック 「…………」
ナルガクルガ 「何も難しいことはない。お前が受け入れてやれるのなら、受け入れてやればいい」
       「鍵を握っているのは、お前なんだ」

760: 2012/04/30(月) 18:24:07.89 ID:J5k1zkjR0
イャンクック 「少し……考える時間をくれ」
ナルガクルガ 「…………」
 >ザッ
イャンクック (去ったか……)
       (私が受け入れてやれるのか、どうなのか……)
       (人間は、私の妻や子供を頃し、森を焼き払った……あの子のことを捨てた)
       (どこかで人間を許容しがたいと感じてしまっているのは事実だ……)
       (どこかで私は、人間とあの子は違うと思いたかったのかもしれない……)
       (しかし何故だ……あの子が人間ではなくなってしまっている中、私は……)
       (この漠然とした不安は、一体何なんだ……)
       (あの子は人間である時が一番幸せなのではないか……)
       (そんな風に、考えてしまっている……)
       (人間は、人間に戻るべきではないかと……)

761: 2012/04/30(月) 18:24:39.37 ID:J5k1zkjR0
イャンクック 「……!!」
ハンマー 「…………(ザッ……)」

イャンクック 「お前は……少女とよく会っていた人間……!!」
       「どうしてここに……樹海への入り口は、テオ殿が封鎖しているはずでは……」

ハンマー 「お前は……少女を世話していた怪鳥だな……」
     「弓と太刀を置いて、俺だけでここに侵入してきた……」
     「無礼なのは分かる。だが、こちらには戦う意思はない」
     「分かってくれ……」

イャンクック 「………………」
       (この人間の目に殺気はない……)
       (戦うつもりはないのか?)
       (しかし、私に人間の言葉は分からないぞ……)
       (どうする……?)

762: 2012/04/30(月) 18:25:16.38 ID:J5k1zkjR0
ハンマー 「やはり少女はいないようだな……」
     「お前達の様子がおかしくなっている中、そうではないかと思ったんだ」
     「あの子自身がここを去ったのか、それとも連れ去られたのかは分からないが……」
     「ただ、怪鳥よ。お前は何故ここにいる?」
     「お前は、少女の親ではなかったのか?」
イャンクック 「…………」
ハンマー 「聞け。俺は少女を追うつもりだ」
     「だが、それは少女を人間に戻すためではない」
     「少女に、幸せになってもらいたいがためだ」
     「幸せか、不幸せかは他人が決めるものではないと、俺は思うよ……」
     「それは少女自身が決めることなんだ」
     「だから、少女のその答えを俺は聞いてみたいんだ」

763: 2012/04/30(月) 18:25:48.12 ID:J5k1zkjR0
イャンクック (この人間……何を言っているか分からないが……)
       (少女を、助けようとしているのか?)
       (私には分かる。この人間が考えていることは、きっと私と同じことだ)
       (……ナルガクルガも言っていた)
       (私にしか、少女を止めることはできないと……)
       (そうだ、何を迷うことがある)
       (私は少女の親だ、父親なんだ)
       (父親は、子供が幸せになるまで、見守らなければいけない……!!)
       (行かなければ……! 私は、少女の元に……!!)

764: 2012/04/30(月) 18:29:20.79 ID:J5k1zkjR0
ハンマー (ガチャリ)
イャンクック 「!!」
ハンマー 「見てくれ。俺の使っている武器には、古龍の大宝玉が使われている」
     「これは、古龍の力を察知する事ができるんだ」
     「だから少女のことを強く念じれば……」
     「あの子の元へ、導いてくれるはずだ」

イャンクック 「………………」
       「乗れ、人間! 私の背に!!」

ハンマー 「乗せてくれるのか……? 俺を、お前に……!!」
ハンマー 「かたじけない……! 行くぞ!!」
イャンクック 「……!!(バサッ! バサッ!!)」

780: 2012/06/24(日) 19:28:48.71 ID:FEjLMN6P0
―海上、昼―

剣ニャン丸 「ふへぇ。太陽の日差しが滅茶苦茶暑いゼヨ…………」
小鉄 「ニャン丸、前の方に陸地が見えるニャ!!」
迅雷 「兄貴……喉が渇いたよ……」
小鉄 「もう少し待つニャ。あの島に上陸したら、食いもんを探すニャ」
迅雷 「いいもんがあればいいなー」
剣ニャン丸 「んん……こてっちゃん。何かあの島は嫌ーな予感がするゼヨ」
小鉄 「ニャ? 嫌な予感?」
剣ニャン丸 「邪気というか……俺はそういう第六感がきくんゼヨ」
小鉄 「でも、船の食料も水ももうないニャ。上陸せざるをえんニャ」
剣ニャン丸 「うぅーん……少しだけ上陸して、食料と水を確保したら離れるゼヨ」
小鉄 「承知したニャ。迅雷、気合い入れて探すニャ!」
迅雷 「うん!!」

781: 2012/06/24(日) 19:29:18.28 ID:FEjLMN6P0
―謎の島、昼―

小鉄 「……何か霧がかかってて不気味だニャ……」
迅雷 「前がよく見えないよ……」
剣ニャン丸 「おっ、こんな所に水が湧き出てるゼヨ。あっちにはハチミツがあるゼヨ!」
小鉄 「よぉし、早速採取して船に……」
 >グラグラグラ
小鉄 「ニャ!?」
剣ニャン丸 「地震……?」
迅雷 「大きいよ!!」
剣ニャン丸 「ひぃぃっ! 逃げるゼヨ!(シュバッ)」
小鉄 「ニャン丸!」
迅雷 「兄貴、危ない!(バッ)」

782: 2012/06/24(日) 19:30:38.56 ID:FEjLMN6P0
 >ズゥゥゥゥゥンッ!
小鉄 「じ……地割れだニャ……!」
   「すまんニャ迅雷……! ここを離れるニャ!」
迅雷 「うん!(ダダダダッ)」
小鉄 「霧が濃くなってきたニャ……」
迅雷 「ニャン丸とはぐれちゃったよ!」
小鉄 「まだ地震も続いてるニャ……何だかあんまり良くない予感がするニャ!」
迅雷 「兄貴! 地割れの中から何か出てくるよ!」
小鉄 「!!!」
××××× 「ゴォォォォォォォォォ!!!!」
小鉄 「見たことないモンスターだニャ!!」
迅雷 「あれ、多分俺達を食べるつもりだよ!!」

783: 2012/06/24(日) 19:31:14.76 ID:FEjLMN6P0
××××× 「ヒャァ!! 一週間ぶりの肉だァ!!」
>ヒュバッ!
迅雷 「速い!?」
 >ガシッ!
剣ニャン丸 「ギニャァァ!! 何で分かったゼヨォォォォ!!!」
××××× 「俺の鼻からは逃れられねぇよォ!!」
      「それじゃ、いただくと……」
迅雷 「オオオオオオオオ!!!」
 >ピシャァァァァァァンッ!!!
迅雷(超帯電) 「ニャン丸を離せェェェ!!!!」
××××× 「何だ何だ……?」
      「帯電モンスターかァ? けどこの霧の中じゃぁ、利口とは言えねぇなァ!」
 >パリ……パリ……
迅雷(超帯電) 「何だ……? 電気が体から逃げていく……」
小鉄 「……!! 霧だニャ! 霧が迅雷の電気を吸い取ってるんだニャ!!」

784: 2012/06/24(日) 19:31:41.91 ID:FEjLMN6P0
××××× 「どれ、食事前の運動とすッかァ!!」
 >ポイッ
剣ニャン丸 「ひいいいい!!(ダダダダダ)」
小鉄 「あ! ニャン丸!!」
   「あいつビビッて島の奥に……!!」
××××× 「あの猫よりてめえの方が食いでがありそうだ。すぐに氏んでくれるなよ!」
迅雷(超帯電) 「兄貴、俺に乗って早く!」
小鉄 「(バッ)行くニャ迅雷! この霧から外に出るニャ!」
迅雷(超帯電) 「分かった!」
××××× 「行かせるかよォ!!(シュバッ!)」
 >ヒュンッ
迅雷(超帯電) 「消えた……!!」
小鉄 「トリッキーな奴だニャ! 図体はでかいくせに……!!」
××××× 「ピーピー喚いてりゃ、霧の中でも丸分かりだぜ!!」
迅雷(超帯電) 「(!!)後ろか!!」

785: 2012/06/24(日) 19:32:10.33 ID:FEjLMN6P0
××××× 「!!?」
迅雷(超帯電) 「ガァ!!!」
 >ザンッ!!
××××× 「! ……ク……」
 >ドクドク
××××× 「俺に傷をつけやがった……」
      「少しマジで行くしかねェようだな……」
迅雷(超帯電) 「当たった!!」
小鉄 「く……霧が強くなってきたニャ……!!」
   「このあたりの地面が、間欠泉になってるニャ! そこから水蒸気が出てるんだニャ!!」
迅雷(超帯電) 「ど……どうすればいいの!?」
小鉄 「船のところに戻るニャ! 海岸なら霧は……」
××××× 「行かせねェよォ……」
小鉄 「(ゾッ)」
迅雷(超帯電) 「(ゾッ)」
迅雷(超帯電) 「何……全然気配が……」

786: 2012/06/24(日) 19:32:42.21 ID:FEjLMN6P0
 >ドゴォッ!!!!
迅雷(超帯電) 「うわああああ!!!」
 >ゴロゴロゴロッ!!
××××× 「へぇ……俺に傷をつけるたぁ、結構なタマかと思ったが……勘か?」
      「その『勘』も、集中しなきゃ使えねぇようだな……」
小鉄 「な……何なんだニャお前ェ!!」
××××× 「俺の名前はアビオルグ。この島は、先祖代々俺の一族が受け継ぐ俺達の島だ」
小鉄 「アビオルグぅ!? 聞いたこともない名前だニャ!!」
アビオルグ 「てめぇらが聞いたことがあろうとなかろうと関係ねぇ……」
      「何故なら! てめぇらはここで俺の餌になるんだからなァ!!」
迅雷(超帯電) 「餌になんてなるかァ!!(グググググ……ッ)」
アビオルグ 「……へぇ」
迅雷(超帯電) 「覚えておけ! 俺の名前は迅雷、そして兄貴の小鉄だァ!」
アビオルグ 「中々粋な奴ら……だが! 戦いに馴れ合いは不要ォ!!」
      「この攻撃を受けても減らず口が叩けるかァ!!」
 >ググ……ッ

787: 2012/06/24(日) 19:33:16.77 ID:FEjLMN6P0
迅雷(超帯電) 「何か来る!?」
小鉄 「迅雷、後ろに跳ぶニャ!!」
迅雷(超帯電) 「間に合わない……!!」
アビオルグ 「氏ねェ!!」
 >チュッッドォォォォォォォォォォォンッッ!!!!
迅雷(超帯電) 「うわあああああああ!!!」
小鉄 「迅雷ー!!!!」
   (ブレスが爆発した……!!!)
   (迅雷がオイラを庇って……直撃……!!!)
迅雷(超帯電) 「(プス……プス……)ぐ……ううう…………」
アビオルグ 「ヘぇ、原型を留めてるとは驚いたな……」
迅雷(超帯電) 「こんなの……ラージャンさんの攻撃に比べたらどうってことはない!!!」
アビオルグ 「ラージャン……? ヘぇ……お前、あいつの弟子か何かか?」

788: 2012/06/24(日) 19:33:45.48 ID:FEjLMN6P0
迅雷(超帯電) 「そんなものじゃない! あの人には少しだけ世話になっただけだ!!」
アビオルグ 「生憎と俺はその名前が大嫌いでね……」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
小鉄 「背びれの色が……」
アビオルグ 「残念だよ小坊主。楽しければ逃がしてやろうかと思ってたが……」
      「その名前を聞いたら、逃がすわけにはいかねえな」
迅雷(超帯電) 「ラージャンさんを恨んでるのか……!!」
小鉄 「あのおっさん、オイラ達の知らないところでも悪さしてたんだニャ!!!」
アビオルグ(怒り) 「氏んでもらう」
小鉄 「いきなり本気になったニャ……!!」
迅雷(超帯電) 「こんなところで俺達はやられるわけにはいかないんだ!」
        「迎え撃つ!!」

794: 2012/07/02(月) 18:33:30.36 ID:hL8Z90xf0
アビオルグ 「ヘェ……俺を倒すつもりか?」
迅雷(超帯電) 「こんなところで負けるわけにはいかないんだ!」
        「俺達は、お前を倒して前に進む!」
アビオルグ 「威勢がいいのは結構なことだが、あまり『利口』だとは言えんな……」
迅雷(超帯電) 「何だと!?」
小鉄 「迅雷、熱くなるなニャ! ただの挑発だニャ!」
迅雷(超帯電) 「ウオオオオオオ!!」
 >バリバリバリバリバリバリ
アビオルグ 「教わらなかったのか、ラージャンから……」
      「ガキっぽさは命取りになるとな……」
 >フッ

795: 2012/07/02(月) 18:35:48.81 ID:hL8Z90xf0
小鉄 「速いニャ!」
アビオルグ 「勘の鋭い小僧だとは思ったが……」
 >ドガァッ!!
迅雷(超帯電) 「うわああ!!」
 >ドゴォッ!!
アビオルグ 「体がついてこなきゃ意味がねぇんだなァ!!」
 >ドッゴォォォォォォ!!!
迅雷(超帯電) 「があああ!!!」
小鉄 「迅雷ー!!」

796: 2012/07/02(月) 18:36:17.05 ID:hL8Z90xf0
アビオルグ 「(グリ……)いくら雷を纏っていても、これでは意味が無い……」
迅雷(超帯電) 「う……うう……」
小鉄 「迅雷の頭から足をどけるニャ!!」
アビオルグ 「やなこった。このまま踏み潰させてもらう」
迅雷(超帯電) 「…………」
 >バリ……ッ!!
アビオルグ 「?」
迅雷(激帯電) 「ウウウオオオオオォォォ――ッ!!!!」
 >バババババババババ

797: 2012/07/02(月) 18:36:45.43 ID:hL8Z90xf0
アビオルグ 「(バッ)……ヘェ、面白い変身をする」
迅雷(激帯電) 「氏ネ……氏ネェェェ!!!」
アビオルグ 「だがまだ不完全だな!!」
 >ヒュンヒュン
迅雷(激帯電) (当タラナイ……!?)
アビオルグ 「空間投げを喰らいなァ!!」
 >ゴウッ!!
迅雷(激帯電) 「グォォォォオ!!」
 >ゴロゴロゴロゴロ!
 >ドガァッッ!!!
迅雷(激帯電) 「ッグゥ!!」

798: 2012/07/02(月) 18:37:23.26 ID:hL8Z90xf0
小鉄 「迅雷、一人で突っ走るなニャ!!」
   「オイラ達のコンビで行けば、ラージャンみたいに倒せる筈だニャ!!」
迅雷(激帯電) 「ゴウッ!!」
小鉄 「(バッ!)よし、やっと上に乗れたニャ!!」
   「覚悟するニャ、アビオルグ!」
アビオルグ 「てめぇらに名前を呼ばれるほどォォ!!!」
 >ゴゥ……ッ!!!
 >ボゥゥゥゥゥワァァァァァァァ!!!!!
 >チュッドォォォォォォォォォンッ!!!!!!
小鉄 「ギニャァァァァ!!!!」
迅雷(激帯電) 「ウグォォオオオオ!!!!」
アビオルグ 「おちぶれちゃぁいねえええええ!!!!」
 >ズンッ! ズンッ! ズンッ!!

799: 2012/07/02(月) 18:37:53.10 ID:hL8Z90xf0
小鉄 「(プス……プス……)ま……参ったニャ……」
   「あいつ、ラージャンと互角……いや、それ以上の強さだニャ……!!」
迅雷(激帯電) 「突ッ込ンデ来ル……!!」
小鉄 「だが! 退くなニャ迅雷!!」
   「怖くても真っ直ぐ前を見て、足を踏みしめるんだニャ!!」
   「オイラ達はラージャンと一回引き分けたニャ!」
   「勝てない道理はないニャー!!」
迅雷(激帯電) 「(ニヤリ)……オウッ!!」
アビオルグ (逃げねぇ……!?)
      (俺の突進を真正面から受け止める気か!!)
      (そんな馬鹿野郎は……ラージャン以来だ!)
      「……気に食わねえ……」
      「気に食わねえなああああ!!!」
 >ズンッ! ズンッ! ズンッ! ズンッ!!

800: 2012/07/02(月) 18:38:34.83 ID:hL8Z90xf0
小鉄 「今だニャ! こやし玉でも喰らえニャ!!!(ビュンッ)」
アビオルグ 「!! (ヒュッ)」
小鉄 「!? 避けられた!!?」
アビオルグ 「姑息な猫がああ!!」
 >ブゥッン!!!
迅雷(激帯電) 「尻尾ガ……!!」
小鉄 「フンッ! ヌゥ!!!」
 >ドガガガガガッ!!!!
アビオルグ 「何……!? この猫……」
      「俺の尻尾を受け止めた!!?」
      (このちっぽけな猫のどこにこんな力が……!!!!)
小鉄 「一個だけ残ってた怪力の丸薬を……」
   「こんなところで使うことになるとは思わなかったニャ……!!(ギリギリ)」

801: 2012/07/02(月) 18:39:10.79 ID:hL8Z90xf0
小鉄 「迅雷! オイラのドーピングは長く続かんニャ!!」
迅雷(激帯電) 「オウゥッ!!!!」
アビオルグ 「小僧ォ……ッ!!!」
迅雷(激帯電) 「ガアアアアアアアア!!!!!!」
 >バリ……バリ……
アビオルグ (何だ……あの白い光は……!?)
      (ラージャンの波動とも違う……あれは、危険なものだ!)
      (だが……!!)
小鉄 「(ギリリ……)逃がさんニャァァァ!!!!!」
アビオルグ 「この猫……尻尾を……!!」
 >ピシャァァァァァァァンッ!!!!!
アビオルグ 「グゥゥォオオオオオオオ!!!!」

802: 2012/07/02(月) 18:39:47.59 ID:hL8Z90xf0
小鉄 「……どうだニャ!!!」
迅雷(激帯電) 「ハァ……ハァ……(ユラリ)」
小鉄 「!! 迅雷!!」
迅雷(激帯電) 「……ガァ……!!」
 >バシャッ!!
小鉄 (迅雷が……血を……!!!)
アビオルグ (プス……プス…………)
      「……カカカ……今のは少しヤバかったな……」
      「霧で雷の威力が半減してなきゃ、やられてたぜ……」
小鉄 「そ……そんな……」
アビオルグ 「やはり体に力がついてきていないな……」
      「ラージャンがそうだった……」

803: 2012/07/02(月) 18:40:19.43 ID:hL8Z90xf0
小鉄 「あのオヤジとどういう関係だニャ!!」
アビオルグ 「腐れ縁だ。今では頃してやりたい程憎んでいるがな!!!」
小鉄 (ビクッ)
   (ほ……本気だニャ……こいつ、本気でラージャンを憎んでる!!)
アビオルグ 「小僧は放っておけば厄介なことになる」
      「猫、貴様それを知ってそいつと一緒にいるのか?」
小鉄 「な……何のことだニャ!?」
   「迅雷はオイラの義弟だニャ! 貴様にとやかく言われる筋合いはないニャー!!!」
アビオルグ 「ふんッ……いいだろう。ならばしっかりと目に焼き付けろ!」
      「それが『古龍になりそこねた者の末路』だ!!!」
小鉄 「!!!!」
迅雷 「ウウウオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

804: 2012/07/02(月) 18:40:48.59 ID:hL8Z90xf0
 >バチィッ! バチィッ!!!
迅雷 「ガア!! ガアアア!!!!」
小鉄 「ギニャ!!(ゴロゴロゴロッ!!)」
   「迅雷、どうしたニャ!!」
迅雷 「ア……ニキィィィィ!!!!!」
   「アアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
 >ピシャァァァァァァンッ!!!!!
小鉄 (黒い……雷……!!!)
アビオルグ 「厄介なモンを昼食に選んじまった……」
小鉄 「じ……迅雷……!?」

805: 2012/07/02(月) 18:41:20.86 ID:hL8Z90xf0
迅雷(極) 「…………ガルル……ガル……………ガルルルルルルル!!!!」
小鉄 (迅雷が……黒くなっちまったニャ!!!)
   (それに何だか黒い波動をまとってて……目が血走ってるニャ!!)
   (こ……これは……!!)
アビオルグ 「ラージャンと同じだ」
小鉄 「……!!!」
アビオルグ 「貴様……何も知らずにあの小坊主の世話をしていたのか」
小鉄 「何だニャ!? 何が起きてるニャ!!!」
アビオルグ 「おそらく古龍の力に、小僧の体が耐え切れなかった。それで暴走した」
      「ラージャンは昔、俺と兄弟同然で育った」
      「だが奴は!! あれと同じ異形の力を暴走させて、俺の妹を頃した!!!」
      「行方をくらませたと思っていたが……突然現れたその弟子が、同じ力の暴走を見せてくれるとはな!」
      「この運命のめぐり合わせに感謝するぞッ!!!」

806: 2012/07/02(月) 18:41:51.34 ID:hL8Z90xf0
小鉄 「待つニャ!! オイラ達とラージャンはそんな関係じゃ……」
アビオルグ 「奴の血族は頃す! 妹の無念を晴らすために!!!」
      「いつかは戻ってくると思っていたが、こうもドンピシャだと笑えるよォ!!!」
小鉄 (あのオッサンは乱暴で凶暴な悪党だけど……)
   (決着だけはつけるオッサンだったニャ!!)
   (こいつの妹を頃して、そんでそのままほったらかして逃げてるとは思えんニャ!!)
   (何かおかしいニャ!!!)
小鉄 「迅雷はオイラが守るニャァァァァ!!! 貴様なんぞにやらせんニャアアアアア!!!!!」
アビオルグ 「しゃらくせえええええ!!!!」
 >ドゴォォッ!!!!
小鉄 「ぐあああああ!!!!」
   (怪力の丸薬のドーピングが……!!)
迅雷(極) (スッ)
アビオルグ 「!!!」
小鉄 「やめるニャー!!! じんら…………」

807: 2012/07/02(月) 18:42:42.86 ID:hL8Z90xf0
 >バリバリバリバリバリバリバリバリ
小鉄 「ギィャアアアアアアアア!!!!!!!」
 >プス……プス…………
 >ガクガク…………
小鉄 「ニャ…………ニャ………………」
 >ドサリ
アビオルグ 「チィ、見境なしかァ!!!」
      「ああなった野郎は元には戻らねぇ!!」
      「引導を……」
 >ガシッ!!
小鉄 「待つニャ……」
アビオルグ 「まだ生きてやがったか!! しぶとい猫だ!」
小鉄 「行かせんニャ……」

808: 2012/07/02(月) 18:43:22.02 ID:hL8Z90xf0
アビオルグ 「離せクソがァ! 食っちまうぞ!!」
小鉄 「誤解があるニャ…………」
   「何があったか分からんけども……オイラ達と戦ったラージャンは誇り高かったニャ…………」
   「あいつの名誉のためにも……オイラ達の名誉のためにも……」
   「今、お前に迅雷をやらせるわけにはいかんニャ……」
アビオルグ 「うるせえええ! たかが猫の分際で、俺に意見するかァ!!!」
小鉄 「やらせんニャアアア!!!」
アビオルグ 「……チィィィィ!!!」
迅雷(極) 「…………ガルルルル…………」
アビオルグ 「何だその目はァ!!!」
      「俺はてめぇらなんぞ怖くねぇぞ!! 怖くねぇ!!!」
      「俺は……俺はァァ!!!!」
小鉄 (今だ……ニャ…………)
 >ゴソゴソゴソ
 >ヒュッ
 >パァンッ!!!!
 >モクモクモク

809: 2012/07/02(月) 18:44:09.51 ID:hL8Z90xf0
アビオルグ 「何だ……霧に混じって白い煙が…………」
小鉄 (逃げるニャ……迅雷……)
   (オイラにできるのは……これ……だ…………)
 >ガクリ……
迅雷(極) 「……ガル…………(スッ……)」
 >バチッ! バチッ! バチッ!!
アビオルグ 「畜生! 野郎の居場所が……」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
アビオルグ 「地震……でかい……!!!」
      「奴か……!!!!!」
××××××× 「キシャァァァァァァァァ!!!!!!」
        「シャァ!!!」
 >ガシッ
迅雷(極) 「!!!」

810: 2012/07/02(月) 18:45:27.82 ID:hL8Z90xf0
アビオルグ 「獲物を横取りするつもりかァ!!!!」
      「クソ……ウオオオオオオ!!!!!」
××××××× 「ケケケケケ!! ケェーケケケケケケ!!!!」
アビオルグ 「待てぇ! 待ちやがれええええ!!!」
 >ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
 >グラ……グラ…………
 >シ……ン……
アビオルグ 「…………く…………」
      「畜生……逃げられた…………!!!!」
      「奴め……わざわざ眠りから覚めて出てくるとは……」
      「小僧の力に、よほど惹きつけられたと見えるぜ……」
      「だが好都合だ……」
      「二匹まとめて始末してやる……(ニヤァリ)」
小鉄 「………………」
アビオルグ 「……………………ククッ……………………」

811: 2012/07/02(月) 18:47:01.93 ID:hL8Z90xf0
お疲れ様でした。

第10話に続かせて頂きます。

ご意見ご感想など、お待ちしています!!

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この場で議論などをしていただくのも大歓迎です。

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気温の変化が激しいですが、お風邪など召しませんよう。

それでは、今回は失礼させて頂きます。

812: 2012/07/03(火) 01:11:27.71 ID:kJMEL1jDO
更新ありがとうございます!
毎回続きが気になる展開(>_<)

813: 2012/07/03(火) 17:31:39.79 ID:A9Tn6CIg0
迅雷(極)とはまさかジンオウガの亜種ですか!?
そしてもう一匹!
更新待ってます。

引用: ジンオウガ 「ほう……未来を見通せるお守りか……」