1: 2011/09/19(月) 01:54:12.26 ID:65aIYOHz0

禁書SS

原作から約四年後。上条さんが経営する喫茶店での、お馬鹿な日常がメイン

原作にはないカップル? が存在します。公式以外は認めねえ、って方は見ないほうがいいかもです

一話完結、台本形式で投下。息抜きで始めたSSなのでシリアスは一切ありません

2: 2011/09/19(月) 01:54:48.96 ID:65aIYOHz0






世界大戦から数年、学園都市の世界的優位は磐石なものとなり、各国との融和政策を開始する。


内政干渉を危惧する列強の思惑とは裏腹に、学園都市が執った政策は極めて平和的、且つ、効果的だった。


学園都市は世界の主要都市に『喫茶MISAKA』を出店。瞬く間に顧客の支持を獲得、規模を拡大していった。


それは政策というにはあまりにも壮大すぎた。可愛く、美人で、クール、そしてあまりに萌え偏重すぎた。


それはまさに侵略だった。







――喫茶MISAKAバチカン支店の常連客 マタイ=リースの手記より抜粋






226: 2011/10/23(日) 11:06:45.69 ID:bQqYEaiY0

主な登場人物

上条当麻
このSSの主人公で現在19才。高校卒業と同時に喫茶MISAKAをオープン、経営者兼店長として奮闘する。彼女いない歴=年齢。
数々のラッキースケベを経て、あり得ないほどの自制心を獲得。昔から身内を甘やかすのが大好き、最早ライフワーク。


番外個体
このSSのヒロインで現在20才(肉体年齢)。喫茶MISAKAに勤めるウェイトレス。てんちょーが好きすぎて生きるのが辛い。
約二年、上条さんの一番近くで甘やかされ続けた影響は推して知るべし。てんちょーに可愛がられるも、彼女が報われることはあまりない。


打ち止め
常盤台中学の二年生。社会研修の一環で喫茶MISAKAにやってくる。一方通行の妹分でシスターズの司令塔。
足長おじさん的に支えてくれる上条さんが大好き。何気に計算高い策士だったり。


御坂妹
喫茶MISAKAに勤める調理師。持ち前の要領と飲み込みの良さで、料理の腕は一流の域に達している。
屋号から分かるように店員は全てミサカで構成されている(上条さんと美琴を除く)


ミサカ19090号
喫茶MISAKAに勤めるウェイトレス。引っ込み思案の大人しいミサカ。基本不運な妹達の中で、珍しく幸運に恵まれる個体。


御坂美琴
とある高校の三年生。喫茶MISAKAに勤めるアルバイト。長年患っていたツンデレは根治した模様。番外個体とは不倶戴天の間柄。
基本意地っ張りだが上条さんに対しては超素直。両親sのアシストもあり、四年越しの想いが成就するのも時間の問題といったところ。


禁書目録
常連さんその一。世の為人ため、救いを振りまく超絶美人シスターさん。ニート街道を爆走中、だが勝ち組である。


一方通行
常連さんその二。医学部に通う学園都市第一位。性格がまん丸になった。彼女と同棲中。常に上条さんの一歩先を往く男。


浜面仕上
常連さんその三。社会人で既婚者。しかし異様にモテるため浮気が絶えない不埒者。麦野が好きです、でも理后はもっと好きです。


アレイスター=クロウリー
学園都市 統括理事長にして最強の魔術師。ホルスの時代の到来を渇望している。押してダメなら引けばよいと最近悟ったらしい。


4: 2011/09/19(月) 01:55:37.79 ID:65aIYOHz0

学園都市 某所 喫茶 MISAKA――

閉店後

番外個体「ありがとうございました。またお越しくださいませー」ペコリ

番外個体「ふぅ、今日も一日忙しかったな」



上条「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………………」ドンヨリ

番外個体「うわ、凄い溜息だね。どうしたの、てんちょー?」テクテク

上条「この台帳を見てくれ……」

番外個体「どれどれ……うん、売上も何もかも順調! 収支もずっと黒だし、ミサカたちの未来は明るいね」ヨミヨミ

上条「みんなのお陰でな」

番外個体「フフン、ミサカは可愛くて優秀だからね」

上条「あはは、自分で言うなよ」

番外個体「自分を売り込むくらいじゃないと、この先生き残れないよ。で、てんちょーは何が不満なのかな?」

上条「あー、ここなんだけど」ユビサス

番外個体「……なるほど、常連さんのツケかぁ」

上条「うちは喫茶店なのに新車が買えちまう金額ツケてるなんて、あいつら絶対払う気ないだろ……」

番外個体「みんなそれなりに裕福なハズなのにねぇ」

上条「今日だってさぁ――――」



5: 2011/09/19(月) 01:56:09.80 ID:65aIYOHz0

CASE 1 報われないからこそヒロインは輝く?


カランカラン

番外個体「いらっしゃいませー」

禁書「いらっしゃったんだよ!」

番外個体「今日も飼い主と一緒じゃないの?」

禁書「ちょっと! 私をペットか何かと勘違いしないでほしいかも!」プンスカ

番外個体「餌付けされてるんだし、似たようなモンじゃん」

禁書「……この店は接客がなってないんだよ」

番外個体「はいはい、一人ならカウンターでいいよね?」

禁書「うん」


6: 2011/09/19(月) 01:58:06.42 ID:65aIYOHz0

カウンター席


上条「あれ? 飼い主はどうしたんだ?」

禁書「とうままで!?」ガビーン

上条「まぁアイツも研修やらで忙しいだろうから、年がら年中お前の面倒を見てられないよな」

禁書「レディーに対して失礼かも! 私だって今年で18なんだから子供扱いはやめてよね!」プンプン

上条「そっか……。なら他のお客様みたいにツケはなしだな」

禁書「そ、それは困る……かも?」アセアセ

上条「インデックスさんは大人の女性ですもんね。昼食代くらい余裕で払えますよねー」ニッコリ

禁書「うぅ~、とうまのイジワル……」ウルウル

上条「はは、ごめんごめん。冗談だから怒るなよ」

禁書「……」ゴゴゴゴ

上条「インデックスさん……? もしかして本気で怒ってます?」

禁書「オーダー!!」クワッ


7: 2011/09/19(月) 01:59:03.37 ID:65aIYOHz0

番外個体「はーい、ご注文をどうぞー」

禁書「全部」

上条「え゛」

禁書「メニューの上から下まで全部っ!!」

上条「ちょ、おまっ、全部なんて食べきれないだろ!?」

番外個体「オーダーを繰り返しまーす。全部、以上でよろしいですか?」

上条「番外個体も何復唱してんの!?」

禁書「よろしいんだよ!」

番外個体「それでは少々お待ちください」ペコリ

上条「待て! いや待ってください!?」

禁書「ごっはん♪ ごっはん♪」

上条「インデックスさん、お代は結構ですからオーダーを変更して頂けませんでしょうか?」ドゲザ

禁書「うん、それ無理かも♪」

上条「」マッシロ



8: 2011/09/19(月) 02:00:50.76 ID:65aIYOHz0

一時間後


番外個体「おぉう……」

禁書「けぷっ」パンパカパーン


カウンターノウエ ナニモナイ


番外個体「まさか完食するなんてね。どんな胃袋してるんだろ?」

禁書「このくらい余裕……うぷっ」

番外個体「百年の恋も醒めちゃう有様だね。そんなんじゃ捨てられちゃうかも☆」ニヤニヤ

禁書「ふ、ふん。あの人はとうまみたいにセコくないもん」プイッ

番外個体「食費のことじゃないんだけど……ま、いっか」

カランカラン

番外個体「らっしゃっせー、ってなんだ第一位かよ」

一方通行「うちのシスターが邪魔してンだろ。どこに居ンだ?」

番外個体「そこに転がってるよ」

禁書「ア、アクセラレータ……」コロコロ

一方通行「………………俺ァ、風船に知り合いなンていねェンだが」

禁書「風船!?」ガガーン

番外個体「ぎゃははははは!! 風船だって風船っ!! ねぇ、てんちょー聞いた!?」ゲラゲラ

上条「………………肥満目録(インデブックス)」プッ

禁書「とうまァァーーーーー!!!」ガァ

上条「ええっ、なんで俺だけーーーー!?」


9: 2011/09/19(月) 02:02:10.00 ID:65aIYOHz0

一方通行「上条に迷惑かけンじゃねェ」ガシッ

禁書「だ、だって!」ジタバタ

一方通行「今日は構ってやっから我慢しろ」

禁書「ホントに!?」パァァ

一方通行「あァ、午後が休講になったからな。どこでも好きなとこ連れていってやるよ」

禁書「えっと、えっと、それじゃあね」

一方通行「とりあえず店出て歩きながら考えろ」

禁書「うん!」

一方通行「忙しいとこ邪魔して悪かったなァ」

上条「気にすんなよ」

番外個体「そうそう、ミサカたちに気を使ってないでシスターさんの相手をしてやりなよ」

一方通行「ここンとこ忙しくて、ほったらかしにしてたからなァ」


禁書「アクセラレータ、早く行こっ!」グイグイ

一方通行「おォ。ンじゃまたなァ」

番外個体「ありがとうございましたー」


カランカラン……




10: 2011/09/19(月) 02:03:46.72 ID:65aIYOHz0


上条「ハハ、あいつら本当に仲がいいよなぁ」

番外個体「……そうだね」

上条「ん、どうした? 元気ないな」

番外個体「なんでもなーい。それより第一位からお代を貰ってないんだけど、良かったの?」

上条「あ」

番外個体「さっきの分で第一位&シスターさんのツケが100万超えちゃった。きゃは☆」メモメモ

上条「ひゃひゃひゃひゃくまん!?」

番外個体「なんていうのはウニー♪」ケラケラ

上条「ウニいうな! って、そうだよな。いくらなんでも100万はねーよな、あはは」

番外個体「え、100万はホントだよ?」

上条「ハハハ、ご冗談を。さっきのは嘘とかけてたんだろ?」

番外個体「ウソなんて言ってないよ? ウニとは言ったけど」

上条「……Realy?」

番外個体「リアリー。この商売を始めて二年、ほぼ毎日入り浸ってれば当然だよねぇ」

上条「分割でもいいから払って貰おう……。うう、不幸だ」ガックリ



12: 2011/09/19(月) 02:05:39.41 ID:65aIYOHz0


上条「――――ってことがあったろ? それで調べてみたら他にもいっぱい……」

番外個体「ゆるい経営だねぇ。ま、そこがてんちょーのいいトコでもあるんだけどさ」

上条「儲ける為に始めた仕事じゃないからな。ゆっくりまったりでいいんだよ」

番外個体「ふふ、そうだね」


御坂妹「賄いが出来ました、とミサカは会心の一食を運びながら二人を呼びます」

番外個体「そういやお腹ぺこぺこだぁ。今日の晩ごはんは何かな~?」グゥ

御坂妹「坦坦麺です」ドヤッ

番外個体「……なんで坦坦麺? ここ喫茶店だよ?」

御坂妹「そんなのミサカが食べたいからに決まってます、とミサカは胸を張って正直に答えます」

上条「いいじゃねーか坦坦麺。のびないうちに食っちまおうぜ」

御坂妹「流石は店長。一国一城の主は度量が違いますね、とミサカは下心などおくびにも出さずヨイショします」

番外個体「おくびどころか口から駄々漏れだっつの」

上条「まぁまぁ。でも上条さんに媚を売っても給料は増えませんよ?」

御坂妹「いえ、ミサカの真の狙いは店長に永久就職させ…」

番外個体「ズズズーーーーーーーーーー!!! ズバァァァーーーーーーーーッッ!!! ゴクゴクゴク!!!」

上条「うおっ、スゲー食いっぷりだな」

御坂妹「チッ……」


13: 2011/09/19(月) 02:08:33.02 ID:65aIYOHz0

番外個体「ぷはー! まったく油断も隙もあったもんじゃないね」

御坂妹「お姉様が学校に通っている今こそが最大のチャンスですから、とミサカは虎視眈々と獲物を狙います」ヒソヒソ

番外個体「あぁー、あれは高校を卒業したら即ここに就職する気だよね」ヒソヒソ

御坂妹「そうはさせません。お姉様は大学にでも進学して幸せになってもらいます」ヒソヒソ

上条「ん? 美琴ならもう内定出したけど?」

御坂妹「……」

番外個体「……どうして?」

上条「スゲー熱心だったから。俺に一生ついて行きたいんだってさ。あいつも可愛いとこあるよな」

御坂妹「ッ!?」

番外個体「ふ、ふーん」アセアセ

上条「……待てよ、よく考えたらあれってプロポーズなんじゃ……?」

番外個体「ないないない! あり得ない。うん、絶対にないね!」

上条「そこまで否定しなくても……」ズーン


14: 2011/09/19(月) 02:11:28.25 ID:65aIYOHz0

番外個体「大体、高校生なんてガキじゃん。ガキに告られて嬉しいわけ? 口リコンなの?」

上条「ガキってお前、最近の美琴は普通にっていうか……超がつくほどの美人だろ? モテない上条さんには高嶺の花ですことよ?」

番外個体「~~~~~~~~ッッ!!!」

上条「一方通行たちを見てると恋人が欲しくなるんだよなー。経営も順調だし今度デートに誘ってみっかな?」

番外個体「キモっ! 口リコン! 犯罪者っ!」

上条「犯罪者て……」

番外個体「だってそうじゃん! アルバイトに手を出すなんてサイテーだよ!」

上条「けどなぁ。このままズルズルと魔法使い一直線なんて嫌だぞ」

番外個体「てんちょーにはミサカが居るからいいの! つーかミサカが一生ついて行くの!」

上条「お、おう?」

番外個体「分かったならお疲れ様でした!」タッタッタ



上条「何だったんだ、あいつ?」チュルチュル

御坂妹「み、みみ、ミサカはもしかして、でで…出遅れてる……?」カタカタ

上条「この坦坦麺うまいな。新メニューに……いや、匂いがキツすぎるか」チュルチュル



15: 2011/09/19(月) 02:13:23.21 ID:65aIYOHz0

帰り道――


番外個体「あーイラつく! お姉様め、ミサカのてんちょーを誘惑しやがって! ……ん、あれは」イライラ



禁書「今日はとっても楽しかったね」

一方通行「そォかよ」

禁書「また二人で行こう?」ニコッ

一方通行「……また暇ができたらな」プイッ



番外個体「そうだよ……ケッケッケ、先手必勝早いモン勝ち、ミサカがデートに誘えばいいんだ」ニタァ



一方通行「なンか嫌な気配を感じたンだが……」ゾクッ

禁書「どうかしたの?」

一方通行「いや、何でもねェ。それより明日の朝飯を買って帰るか」

禁書「う……ごめんね。私がキッチンを壊したから……」ショボン

一方通行「気にすンな。誰にだって得手不得手は有るもンだ」

禁書「うん……。でもね、私もあなたの為に何かしたかったの」

一方通行「…………オマエは十分大切なものをくれてる」ボソッ

禁書「え?」

一方通行「何でもねェよ」プイッ



16: 2011/09/19(月) 02:15:40.78 ID:65aIYOHz0

翌日

学園都市 某所 喫茶 MISAKA――


上条「仕込みはこんなモンでいいか?」

御坂妹「はい、手伝わせてすみません、とミサカは頭を下げます」ペコリ

上条「いいって。足りないとこを埋めるのも俺の仕事だからな」

御坂妹「……店長は明日オフですよね? とミサカは上目遣いで質問します」

上条「そうだけど? てか御坂妹も休みだよな」

御坂妹「はい」

上条「じゃあ明日つきあってくんねーかな?」

御坂妹「!?」

上条「店を良くする為の研究っつーか、リサーチだな。第四学区に有名店が出店したのは知ってるだろ?」

御坂妹「み、ミサカでよければ……///」ポッ


番外個体「ちょっと待ったぁぁーーーーーーーーーーっ!!!」


上条「うおっ、何だ!?」

番外個体「リサーチにはミサカがついてくよ!」

御坂妹「え……」

上条「いや、お前は明日のシフトに入ってるだろ」

番外個体「19090号に代わってもらうから大丈夫だよ」

上条「気の弱い19090号に押し付けちゃダメだ」

番外個体「じゃあ10039号に頼む!」

上条「うーん、メニューも参考にしたいから厨房スタッフの方が都合がいいんだけどなぁ」


17: 2011/09/19(月) 02:18:53.37 ID:65aIYOHz0

御坂妹「それならミサカが適任です! とミサカはここぞとばかりに売り込みます」

番外個体「うぐっ、思わぬアドバンテージが……」

上条「そうだな、今回は御坂妹にお願いするよ」

御坂妹「任せてください、とミサカは小躍りしたい衝動を抑えつつ快諾します♪」ルンルン

上条「よろしくなー」スタスタ



番外個体「……」プルプル

御坂妹「店長とお出かけ……デート……初めてのデート……フフフ」フラフラー

番外個体「チクショー!! こうなったら次の休みは絶対にミサカがッ!!」

19090号「あ、あの……」オズオズ

番外個体「なにっ!!」

19090号「ひっ!?」ビクッ

番外個体「……あー、怖がらせちゃったか。ごめんね?」

19090号「い、いえ……」

番外個体「それで何か用かな?」

19090号「えっと、その……番外個体は来月のシフトを確認しましたか? とミサカは躊躇いがちに切り出します」

番外個体「もちろんだよ」

19090号「で、では店長のは?」サシダス

番外個体「店長のシフト? どれどれ……………………………………ナニコレ?」ギギギ

19090号「番外個体は一番のベテランだから、来月以降は自分の裏に入れると店長が……」

番外個体「ミサカがオフの日は、てんちょーが仕事。てんちょーがオフの日は、ミサカが仕事……?」プルプル

19090号「や、やはり聞いていませんでしたか、とミサカは番外個体に同情を禁じえません」オドオド

番外個体「ッ!!」ダダッ


18: 2011/09/19(月) 02:20:57.20 ID:65aIYOHz0

番外個体「てんちょてんちょー!!」タッタッタ

上条「はいはい、店内を走んな。あと二回言うな」

番外個体「てんちょーも二回言ってんじゃん! ってそうじゃない!!」プンスカ

上条「もうすぐ開店時間なのに酷い顔だぞ?」

番外個体「誰のせいよ!」

上条「……もしかしなくても上条さんのせい?」

番外個体「そーだよ! てんちょーが勝手にシフトを決めたからに決まってんじゃん!」

上条「はぁ? 一応希望は聞いたはずだけど」

番外個体「そういうんじゃなくって! てんちょーの裏がミサカだけってどーいうこと!?」

上条「あれ? 話してなかったっけ?」

番外個体「聞いてないよ!」

上条「そりゃ悪かったな。でも昇進扱いだからさ、悪い話じゃねーだろ?」

番外個体「悪いよ!? 全っ然良くない!!」

上条「何でだよ? 給料だって大幅アップなんだぞ?」

番外個体「給料なんてどーでもいいの! そんな事よりミサカは……っ!!」

上条「あ、もしかして」キュピーン

番外個体「ッ!?」

上条「俺と一緒の日が減るから嫌がってんだろ!」ビシィ!

番外個体「~~~~~~ッッ///」カァァ

上条「あはは、図星なんかよ」ケラケラ

番外個体「わ、悪い!?///」


19: 2011/09/19(月) 02:23:56.02 ID:65aIYOHz0

上条「いやー悪くはないんですがね? そっかー、番外個体は寂しかったのかー」ニヤニヤ

番外個体「うう……///」モジモジ

上条「見た目は大人でも、中身はまだまだ子供なんだなぁ」ナデナデ

番外個体「子供扱いしないでっ!!///」テレテレ

上条「はは、そういう事ならシフトを組み直さないとな」

番外個体「ほ、ホント!?」

上条「おう、子供に好かれてるうちが華っていうし。寂しくて涙目のワーストたん萌え~ってな」ニヤニヤ

番外個体「涙目じゃないし! てか昔のお姉様みたいにあしらうな!!」ビリビリ

上条「そういや昔の美琴もそんな感じだったっけ」パキーン

番外個体「もう……」

上条「そんじゃあシフトを弄りますかね」

番外個体「だ、だったら次の休みを、てんちょーに合わせてほしいんだけど」

上条「次っていうと来月の頭か……あ、悪い。その日は無理だ」

番外個体「どうして?」

上条「俺の他に美琴もオフになってるんだよ。流石にホールのベテラン不在は不味いからな」

番外個体「……もしかしてその日、お姉様と何かあったりする?」

上条「一緒に帰省することになってる。就職の件を、美鈴さんたちに報告しに行くんだ」

番外個体「……」プルプル

上条「帰省する度に孫はまだかーってうるさいんだよなぁ。ったく、うちの両親sにも困ったモンだぜ」

番外個体「……なんで複数形?」

上条「美鈴さんと旅掛さんも煽るんだよ。俺なんかより有望なのはいくらでもいるだろうに、娘の将来なんだから慎重になれってんだ」


20: 2011/09/19(月) 02:26:14.62 ID:65aIYOHz0

番外個体「そ、そうだよ、てんちょーとお姉様じゃ月とスッポンだもんね!」※お姉様=スッポン

上条「あはは、上条さんはスッポンかよ。そこまでしつこい性格じゃないと思うんだけどな」

番外個体「その……相手が見つかんないなら、ミサカが……///」モジモジ

上条「お前がねえ。……それもいいかもな」ニカッ

番外個体「マジで!?」

上条「ああ、なんだかんだでお前とも付き合い長いし、父さんたちにも気に入られてるしな」

番外個体「てて…てんちょーは、ミサカの事……どう思ってるの?///」

上条「んんー、そうだな……。番外個体は傍若無人で怒りっぽくて、笑い方が変だ」

番外個体「なにそれ! ケンカ売って……」

上条「だけど働き者で、実は面倒見がよくて、分かりづらいけど本当は優しい子だと思ってる」ニコニコ

番外個体「……///」

上条「照れてんのか? かーわいいなぁ」ナデナデ

番外個体「も、もう……。てんちょーはズルイよ///」テレテレ

上条「ずるくて結構。こんなに可愛い子供ならいくらでも欲しいってもんだ」

番外個体「…………………………子供?」


21: 2011/09/19(月) 02:27:34.68 ID:65aIYOHz0

上条「上条さんちの養子になってくれるんだろ? なんだかんだ言っても実年齢は4才くらいだもんな」

番外個体「……」

上条「あ、そういえば養子縁組は既婚者にしか出来ないんだっけ?」

番外個体「……」ブルブル

上条「まずは彼女をつくれってことか。妹達に理解のある女性じゃないとダメだし、やっぱ美琴に……」

ブチッ

番外個体「ふっざけんなァァーーーッ!!!」バチバチッ

上条「はいはい、店内での能力使用は控えてください」パキーン


22: 2011/09/19(月) 02:30:18.56 ID:65aIYOHz0

番外個体「ミサカは! てんちょーの事が! 大好きって言ってんだよ!!」ガァァ

上条「おう、上条さんも大好きですよ」ニコニコ

番外個体「全然わかってない! なに!? てんちょーってば日本語が不自由なの!?」

上条「失敬な。高校時代の現国は確か……3だったかな? うん、平均だ平均」

番外個体「うそつけ! アヒルの行列だったでしょ!」

上条「なんで知ってんの!?」

番外個体「てんちょーの事なら何でも知ってるもん!」

上条「んな一文の得にもならん情報を知ってどうすんだよ。お前、暇だなぁ」ヤレヤレ

番外個体「もう知らないっ! てんちょーの馬鹿あああああああああああああああああ!!!」タッタッタ

上条「もうすぐモーニングだから、すぐ帰ってこいよー」フリフリ

番外個体「~~~~~ッ!! 馬鹿ああああああぁぁぁぁぁ…………――」ドップラー







御坂妹「恋敵ながら同情を禁じえません、とミサカは走り去っていく末の妹を見送ります」

19090号「ミ…ミサカは養子でも満足です……とミサカは思わぬ妥協案に目が眩みます」クラクラ

23: 2011/09/19(月) 02:31:46.53 ID:65aIYOHz0
てな感じで今回は終了
4~5回の投下で完結させる予定なんで、よろしければお付き合いくださいー

88: 2011/09/27(火) 02:25:14.58 ID:7BkFR1NT0






高校在学中に持ちかけられた、全世界を巻き込んだ壮大なプロジェクト。学園都市による世界平和。

馬鹿げていると思ったし、正直興味もなかった。今より多少平和になるならいいや程度の認識だった。

だけど卒業を控えたあの日、全てを諦めてるアイツに気付いたあの日、俺に天啓が舞い降りた。

世界があいつ等を理不尽に扱うなら、あいつ等の、俺の都合のいいように変えていけばいい。

極力血の流れない方法でソレを成す。学園都市による世界平和? ハッ、くっだらねえ。

俺とアイツが打ち出した目標は唯一つ! ふたりで立ち上げた会社による世界征服! これしかねえ!






                    ――株式会社 IMAGINE 代表取締役の独白(笑)より




89: 2011/09/27(火) 02:26:46.57 ID:7BkFR1NT0

学園都市 第七学区 窓のないビル――


上条「――以上が今期の利益配分になります。各セクションも順当に成果を出しておりますので、戦略目標の修正は必要ないかと」

アレイ☆「報告ご苦労。フフフ、学園都市の評判は二年前とは比べるべくもないな」

上条「社員一丸となって取り組んだ結果と自負しております」

アレイ☆「当初のプランより三年も短縮できたのだ。もっと誇っていい。それで次のステージはどうなっている?」

上条「水耕栽培プラントや養殖プラント等の各種インフラ事業も順調です。食糧難に喘ぐ第三世界からも出店の要望が上がるほどです」

アレイ☆「大いに結構。やはり君に任せて正解だったよ」

上条「恐縮です」


91: 2011/09/27(火) 02:28:42.32 ID:7BkFR1NT0

アレイ☆「さて、定例報告会はこれで終了だ。お互い堅苦しいのはここまでにしよう」

上条「了解。はぁ……こういう真面目なのは肩が凝って仕方ねーな」コキコキ

アレイ☆「名目上、私はメインスポンサーで、君は代表取締役なのだ。体裁は必要だろう?」

上条「まあなー。けど俺は社長なんてガラじゃねーし、早く店長業務だけに専念したいんですことよ」

アレイ☆「君の目的はほぼ達成しているからな。だが君の力、まだまだ私のプランのために役立ててもらうぞ」

上条「へいへい、分かってますよ」

アレイ☆「楽隠居したいのなら後継者を育てることだ。私としては君の血を継ぐものが望ましいのだがね」

上条「モテない上条さんに無茶をおっしゃる。あ、そうだ、独身でも養子がとれるように法改正してくんない?」

アレイ☆「……仕事ではキレ者なのに、何故こっち方面は壊滅的なのか」ボソッ

上条「???」

アレイ☆「近々大規模な法改正を行う予定だ。君も観念しておくといい」ニヤ

上条「は? なんだよそれ?」

アレイ☆「フフ、そのうち分かるさ」


92: 2011/09/27(火) 02:30:02.35 ID:7BkFR1NT0

学園都市 第七学区 駅前――


上条(何とか今回もいい結果が出せたな。でもあいつ等を路頭に迷わせないように、もっと頑張らねーとな)

上条(現地企業との関係強化に現地人の好みの掌握。インフラ整備にも着手する時期だし、やる事が山積みだ)

??「かみじょう?」

上条「はい? 私に何か御用でしょうか?」

??「スーツを着てると印象が違うね」

上条「おお、久しぶりだな――」



93: 2011/09/27(火) 02:31:48.35 ID:7BkFR1NT0

CASE 2 てんちょーの華麗な一日?


学園都市 某所 喫茶MISAKA――


番外個体「はぁ、てんちょー遅いなぁ」

御坂妹「定例報告に本社へ出向いているので仕方ありませんよ、とミサカは多忙な店長に想いを馳せます」

番外個体「ああ見えてワーカホリックだからね」


カランカラン


番外個体「らっしゃっせー、って浜面じゃん」

浜面「客を呼び捨てにすんなよ……。てかヤなヤツを思い出すから、その語尾はやめれ」

番外個体「お客様はお一人じゃん? ならカウンターで十分じゃん? ではこちらへどうぞじゃん?」

浜面「嫌がらせか!」

番外個体「別にいいじゃん。気にすんなじゃん。じゃじゃじゃじゃ~~ん☆」ケラケラ

浜面「相変わらずいい性格してんなぁオイ!?」


94: 2011/09/27(火) 02:34:01.05 ID:7BkFR1NT0

番外個体「で、なんにする?」

浜面「はぁ……いつもので」

番外個体「りょーかい。エスプレッソとミルクレープひとつー」

御坂妹「エスプレッソとミルクレープひとつー、とミサカは緩慢な動きで厨房へ向かいます」テクテク

浜面「他に客がいないからって横着するなよ」

番外個体「いいじゃん別に。つーか男なのにミルクレープが好きって変わってるよね」

浜面「……甘いモンでも食わねえと、やってらんねぇんだよ」ゲンナリ

番外個体「どうせまた自業自得でしょ?」

浜面「ちっ、……まあそうだけどよ」

番外個体「女を幸せにするのは誠実さだと思うけどな。そこんとこは第一位を見習いなよ」

浜面「一方通行か。いいよなぁ……銀髪シスター。ルックスだけなら学園都市一位じゃね?」

番外個体「んー、そうかも。ミサカでもちょっと敵わないかなぁ」


カランカラン


番外個体「いらっしゃいませー、って、噂をすれば」

禁書「……」フラフラ


95: 2011/09/27(火) 02:36:21.99 ID:7BkFR1NT0

浜面「おい、フラついてるけど大丈夫か?」

禁書「……おなかへった」グキュルルルルルルルーーーーーーー!!!

番外個体「はいはい、10032号に何か作ってもらうから待ってて」スタスタ

禁書「お願い……」グッタリ

浜面「これさえなけりゃ完璧なのに。……もったいねぇ」

禁書「今、失礼なこと言ったでしょ……」

浜面「うお、聞こえてたのかよ」

禁書「また浮気してたって、りこうに言いつけてやる……」ボソッ

浜面「やめてっ!? 本気で洒落になんないから!?」


96: 2011/09/27(火) 02:38:16.69 ID:7BkFR1NT0

番外個体「おまちどーさま」スタスタ

禁書「いっただきまーす!!」ムクッ

ズバァァァァァァァァ!!! ムシャムシャー!! ゴックン!


浜面「……スゲー勢いでパスタが減ってくな」

番外個体「そっちもお待たせ」

浜面「おう、やっと一息つけるぜ」

番外個体「んで? てんちょーの代わりに愚痴を聞いてあげるから話してごらん? スケコマシくん☆」

浜面「その呼び方はやめて!?」

番外個体「大方、浮気疑惑か何かで奥さんを怒らせたから、てんちょーに仲介を頼むつもりなんでしょ?」

浜面「ぐっ、鋭い」ギクッ

番外個体「今度は誰かな? 第四位、窒素姉妹……大穴でフレメアちゃんかにゃ~ん?」ニヤニヤ

浜面「……まさかの大穴」

番外個体「うわぁ……」

浜面「ちょっ、ドン引かないでっ!? 俺の話を聞いてくれ!」


97: 2011/09/27(火) 02:40:43.53 ID:7BkFR1NT0

番外個体「この口リコン」

浜面「ぐはっ! 絶対零度の眼差し……ッ!?」

番外個体「あんな出来た奥さんがいるのに、どうして犯罪に走るかな?」

浜面「だから誤解だっての!」

番外個体「五階も六階もないよ。てんちょーは20階に住んでるけどね♪」

浜面「上条が何階に住んでるとか関係ねえから! てか愚痴を聞いてくれんじゃないの!?」

番外個体「しょーがないなぁ」ヤレヤレ


浜面「昨日さぁ、俺だけ会社が休みで暇してたんだ。そしたらフレメアから会いたいってメールが来てな」

番外個体「うんうん、それで?」

浜面「映画見て、飯食って、流れでホテルに…」

番外個体「はいアウトー」

浜面「え、もう!?」

番外個体「どんな流れでホテルに行くのかな? ミサカには理解できないよ」ジトー

浜面「男と女の機微っつーか、あるだろ? そういう雰囲気になる瞬間が」

番外個体「あったとしても、てんちょーなら紳士的にエスコートしてくれるもん」


98: 2011/09/27(火) 02:42:46.02 ID:7BkFR1NT0

浜面「上条を基準にするなっての。妹達に囲まれてんのに手ぇ出さないとか聖人だろ」

番外個体「ハッ」

浜面「鼻で笑いやがった……」ガーン

番外個体「男なら、てんちょー並の甲斐性と紳士力を身につけてみなよ」

浜面「無茶いうな! あの野郎がどんだけ稼いでるか知ってるだろ!」

番外個体「稼いでるのは事実だけど、たぶん貯金はゼロだよ?」

浜面「はぁ!? どんだけ金使いが荒いんだよ」

番外個体「んー、妹達が何人いるか知ってる?」

浜面「いや、知んねえけど」

番外個体「ミサカと最終信号を含めて9971人。その全員に誕生日プレゼントと、ホワイトデーのお返しを用意したら……ねえ?」

浜面「単純計算で一万円のプレゼントを一万人に配るとして…………一億ぅー!?」ガガーン

番外個体「実際はもっとかかってるんじゃないかな」

浜面「上条のヤツ、そんな事してんのかよ。馬鹿だろ……」

番外個体「ミサカが無理しないでって言っても、大した事ないーっつって聞かないんだから♪」

浜面「やべぇ、素で尊敬しちまいそうだ……あらゆる意味で」

番外個体「ふっふーん、ミサカのてんちょーは凄い人なんだよ」ニコニコ

浜面「必ずしも褒めてねぇからな……」


99: 2011/09/27(火) 02:44:10.70 ID:7BkFR1NT0

浜面「クソッ、愚痴りにきたハズなのに、なんでか知らねえが惚気られてやがる!」

禁書「諦めた方がいいかも。ワーストのとうま自慢はいつもの事でしょう?」

浜面「お前も何気に復活してんのな……」

禁書「ごちそうさま。危うく飢え氏にするところだったよ」

番外個体「量は足りた?」

禁書「うん!」


カランカラン


番外個体「いらっしゃいませー」

上条「ただいま」

番外個体「あはっ、てんちょーおかえりー!」

上条「おう」


100: 2011/09/27(火) 02:46:06.00 ID:7BkFR1NT0

浜面「よう、上条」

上条「またな!」

浜面「ああ、またな……って、待て待て! いきなり帰らせようとするな!」

上条「インデックスも来てたのか。もう飯は食った?」

禁書「うん。ふわふわ玉子のカルボナーラ、とっても美味しかったんだよ」

浜面「華麗にスルーすんな!」ガァァ

上条「浜面……さっき駅前で奥さんに会ったぞ」

浜面「え、マジで?」ギクッ

上条「滅茶苦茶怒ってたんだが、お前なにしたんだよ?」

浜面「いや、なんつーか……ハハ」

禁書「また浮気したんだって」

上条「……最低だな」ジトー

浜面「100%浮気と決まったわけじゃねえよ!? 不可抗力な面もあったんだって!」アセアセ

禁書「幼い子羊を毒牙にかけておいて、ちょっと見苦しいかも」

番外個体「中学生はヤバいよねー♪」


101: 2011/09/27(火) 02:48:58.61 ID:7BkFR1NT0

上条「中学生? ……まさか打ち止めじゃねーだろうなァ」ギロッ

浜面「ち、違う! 確かに打ち止めは可愛いけど、今回は違うんだ!」

上条「今回は、だと? ……テメェ、もし打ち止めに手ぇ出してみろ。頭から噛み砕いてやるからな」ゴゴゴゴ


グガァァァァァァァァァァァァ!!!! キシャァァァァァァァァァァァァァ!!!!


浜面「ひぃぃ!? なんか出てるっ! 右手からドラゴンっぽいナニカが、こんにちはしてるぅ!?」ガクブル

番外個体「てんちょー落ち着いて? お相手はフレメアだってさ」

上条「……ならいいんだ。脅かして悪かったな」ニッコリ

浜面「あ、ああ」ビクビク

禁書「ちょっと、とうま! フレメアも中学生だから、倫理的にも法的にもアウトなんだよ!」プンスカ

番外個体「そもそも妻帯者だしね。浮気自体あり得ないよ」ヤレヤレ

上条「外野が口出しする話じゃないだろ。フレメアだって後二年もすれば問題ないし、既婚者には離婚って手段もあるしな」シレッ

浜面「いや、俺に別れるつもりはサラサラないんだが」

上条「お前になくても、奥さんにはあるかもな?」ニヤリ

浜面「ッ!?」

上条「悪い事は言わねーから、土下座するなり機嫌を取るなりした方がいいんじゃねーか?」

浜面「そ、そうだな」

上条「ほらっ、これを持ってけ」ポイッ

浜面「おっと、何だコレ?」キャッチ

上条「サードオニキスのペアブレスレット。『家族の幸福』って意味が込められてるんだ。おあつらえ向きだろ?」

浜面「上条……恩に着るぜ!」タッタッタ


カランカラン……



102: 2011/09/27(火) 02:51:38.90 ID:7BkFR1NT0

番外禁書「「……」」ポカーン

上条「やれやれ、世話が焼けるな」

番外個体「て、てんちょー?」オズオズ

上条「なんだ?」

番外個体「どうしてあんなに手回しが良かったの?」

禁書「そ、そうだよ! 鈍感大王のとうまらしくないかも!」

上条「はは、鈍感大王ってなんだよ。御坂妹にも言ったけど、足りないところを埋めるのが俺の仕事だぞ?」

番外個体「それにしたって、あり得ないでしょ」

上条「帰り道で怒ってる浜面夫人に出くわしたからな。彼女が怒りを露にするってなると、浜面の浮気くらいだろ?」

禁書「う~ん……」

上条「それで馴染みのアクセ屋で適当に見繕って、今に至るってわけ」

番外個体「サードオニキスだっけ? 無駄になるかもー、とか考えなかったの?」

上条「アルバム一枚程度の出費だし気になんねーよ」

禁書「でも宝石に込められた意味なんて、よく知ってたね」

上条「フフン、上条さんを舐めんなよ? これでも一万回以上、女の子にプレゼントを贈った経験があるからな!」

番外個体「あー……なるほどなー」


103: 2011/09/27(火) 02:53:31.37 ID:7BkFR1NT0

数十分後


上条「うーん、珍しく暇だなぁ」マッタリ

番外個体「ディナー前なのを差し引いても暇だねぇ」マッタリ

上条「じゃあ番外個体、今日は早上がりしていいぞ」

番外個体「なんでさ?」

上条「平日だし、今日のホールはラストまで四人も居るから戦力は十分だろ。だからたまには、な?」

番外個体「いいよ別に! 途中で投げ出すなんて、ミサカのポリシーに反するもん」アセアセ

上条「そっか、残念だな」

禁書「……」

番外個体「……ミサカはてんちょーと一緒に働きたいってのに……ミサカにだけ鈍感なんだから」ボソッ

上条「ん、なんか言った?」

番外個体「なーんにも。てんちょーもさっさと着替えてきなよ」

上条「いや、俺はもう帰るけど?」

番外個体「……え?」


104: 2011/09/27(火) 02:55:55.03 ID:7BkFR1NT0

上条「最近オーバーワーク気味だし、たまには贅沢に外食してSPAにでも行こうかなーって」

番外個体「それってもしかして……?」

上条「普段から人一倍頑張ってる、有能店員一号も一緒にって思ったんだけどな」

番外個体「やっぱミサカも早上がりす…」

ヴヴヴヴヴ

上条「悪い、俺の携帯だ」スタスタ


番外個体「る……」ションボリ

禁書「ワーストも間が悪いね……」ポン

番外個体「うわぁぁん!! 折角てんちょーが誘ってくれたのにぃ!! 念願のデートのお誘いだったのにぃぃ!!!」

禁書「大丈夫だよ。ワーストが素直に行きたいって伝えれば、きっと気持ちは届くよ」ニコッ

番外個体「そ、そうだね。まだ大丈夫だよね」

禁書「うん。あ、とうまが戻ってきたんだよ」


105: 2011/09/27(火) 02:57:48.82 ID:7BkFR1NT0

上条「そんじゃ上条さんは上がるんで、後は頼むな」イソイソ

番外個体「あ、あのミサカも一緒に…」オズオズ

上条「ごめん、優秀アルバイト一号を待たせてっから、用があるならメールで頼む」イソイソ

番外個体「~~~~~~ッ!?」

禁書「ちょ、とうま!?」

上条「さっきの電話が美琴からでさ、一緒に行く事になったんだよ」

番外個体「ま、待って!」キュッ

上条「おい服を掴むな、って、番外個体……?」

番外個体「……ミサカも行きたい」

上条「……」

番外個体「早上がりを断ったのも、ホントはてんちょーと居たかったからで……」

上条「そっか」

番外個体「だから、てんちょーとお姉様が二人っきりなんてヤだよ……」

禁書「とうま、短髪……ううん、みことには申し訳ないけど、ワーストの気持ちも汲んであげて」

上条「はぁ、なに言ってんだ」ヤレヤレ


106: 2011/09/27(火) 02:59:37.14 ID:7BkFR1NT0

番外個体「てんちょー……」

上条「ったく、なんつー顔してるんだよ」ワシャワシャ

番外個体「わわっ!?」


上条「突然ですが問題です。上条さんは番外個体の何ですか?」

番外個体「え、急に言われても……」オロオロ

上条「制限時間は後10秒! 9、8、7」

番外個体「えっと、……恩人?」

上条「ぶっぶー! 6、5、4」

番外個体「ど、同僚! 仲間っ! それから、えっと、友達!」アタフタ

上条「まとめてハズレー! 3、2、1」

番外個体「わかんないっ!? わかんないよ、てんちょー!?」

上条「ピンポーン、正解っ!」

番外個体「ふぇ?」

上条「俺はお前の『てんちょー』だろ?」


107: 2011/09/27(火) 03:02:14.92 ID:7BkFR1NT0

番外個体「……」

上条「お前が悲しい顔をしてるなら、何があろうと放っておけねーよ」

番外個体「……」

上条「俺は社長だからな。何を踏みにじっても、お前らを守り抜く。その覚悟はとっくに済ませてんだ」

番外個体「てんちょー……」

上条「だから、お前はもっと我侭を言っていいんだよ」

番外個体「期待しても……高望みしてもいいの?」

上条「今更だろそんなの。遠慮なんてらしくねーぞ?」

番外個体「ッッ!! て、てんちょー!!」ギューッ

上条「はいはい、二回言うな」ナデナデ

番外個体「言ってるの、てんちょーじゃん……」

上条「あはは、そうだな」





禁書「ワースト、よかったね」ホッコリ

御坂妹「贔屓です。これは明らかな贔屓です! とミサカは嫉妬の炎に悶えます。あちち……」ムカムカ

19090号「イラッ☆ とミサカは出勤直後の惨劇に怒りが有頂天に達しました」イライラ

禁書「そうだ! あの人に頼んで――」pi


108: 2011/09/27(火) 03:04:44.48 ID:7BkFR1NT0

待ち合わせ場所――


番外個体「てんちょー、何処へ食べに行こっか?」

上条「そうだなぁ、ドレスコードなしで美味しいとこがいいな」

番外個体「じゃあ第四学区でフレンチにする?」

上条「フレンチか……いいねえ、そうすっか」

番外個体「ワインにシャンパン♪ 楽しみだねー」ニッコニコ

上条「俺と美琴は未成年だからノンアルコールで頼むぞ」

番外個体「コンプライアンスってヤツ?」

上条「そういう事。上条さんに軽率な行動は許されないのです」

番外個体「てんちょーは早生まれだもんね。あとちょっとの我慢だよ」

上条「二十歳になったら一緒に飲みに行こうな?」ニカッ

番外個体「う、うん。楽しみにしてるね///」カァァ


109: 2011/09/27(火) 03:07:08.46 ID:7BkFR1NT0



上条「にしても遅すぎないか? 美琴のヤツ」

番外個体「お姉様が遅刻なんて考えられないけど」

ヴヴヴヴヴ

上条「ん、美琴からだ。――もしもし」pi

一方通行『上条、オリジナルからの伝言だ。よく聞け』

上条「一方通行?」

一方通行『急病で行けなくなった。ごめン、……だそうだ』

上条「おい、急病って大丈夫なのかよ!」

一方通行『心配ねェ。「イナハンバデノルナジリオ」って学名の新種の水虫だ』

上条「み、水虫ぃ!?」


フザケンナァァァァ!!! ダレガミズムシダコラーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!


上条「今、美琴の声がしなかったか?」

一方通行『気のせいだ。それより……まァあれだ、一応オリジナルも女だからよ』

上条「ああ、分かってる。下手な慰めは逆効果だもんな」


チョット!? トウマニナンテコトフキコンデルノヨ!?


上条「美琴を頼む。キッチリ治してやってくれ」

一方通行『冥土帰しと俺が責任を持ってやっから、オマエはガキのお守りに専念してろ。いいな?』pi


110: 2011/09/27(火) 03:09:03.72 ID:7BkFR1NT0

上条「……あの二人なら安心だな」

番外個体「お姉様がどうかしたの?」

上条「あ、ああ。ちょっと具合が悪くなったから来れないって」

番外個体「え、大丈夫なの? お見舞いに行ったほうが良くない?」

上条「私は平気だから、二人は思いっきり羽を伸ばしてこいってさ」

番外個体「でも……」

上条「俺たちが見舞いに行ったら、かえって気を遣わせちまうだろ?」

番外個体「……そだね」

上条「美琴には悪いけど、今夜はめいっぱい楽しもうぜ!」

番外個体「うんっ!」



こうして番外個体は、念願のてんちょーとのデートを満喫しましたとさ。めでたしめでたし?

140: 2011/09/30(金) 23:31:07.91 ID:yIoTfKfn0

EXTRA CASE 前回アフター



番外個体「これって……てんちょーの携帯?」ヒョイ

ヴヴヴヴヴ

番外個体「てんちょー! なんか着信してるよー!」


上条「誰からー?」


番外個体「えっとね……ッ!?」パカッ

上条「メールか……てかなに変な顔してんだ?」スタスタ

番外個体「な、な、な、な……」

上条「???」

番外個体「何この待ち受けーー!?」

上条「何って、俺とお前の写メだろ?」シレッ

番外個体「こんなの撮った覚えないよ!? こ、こんなに顔を近づけて……ッ!?」アウアウ

上条「昨日飯を食った後、酔っ払ったお前が撮って勝手に設定したんだろうが」ヤレヤレ

番外個体「そ、そうなの?」

上条「『ミサカたち結婚しました♪』とか添えて、妹達全員に配信してたじゃねーか。ったく、大変だったんだぞ」

番外個体「は……はぁ!? そんな訳……」チラッ




19090号「……………………」ジーーーーーーーーー

御坂妹「ダメ、抜け駆け。絶対ダメ、とミサカはミサカミサカみみみ……」プルプル


141: 2011/09/30(金) 23:32:52.78 ID:yIoTfKfn0

番外個体「うあ、マジか……」ガックリ

上条「まあ可愛いからいいけどな」

番外個体「へ……?」

上条「こんな無邪気に笑っちゃってさ」ニヤニヤ

番外個体「~~~~~~~~ッッ///」カァァァ

上条「あはは、酔いどれワーストたん萌えー」ケラケラ

番外個体「け、消してっ!!///」

上条「イヤでーす」

番外個体「いいからっ! 携帯をっ! よこしてっ!///」ピョンピョンピョン

上条「でも届かないんだなーこれが」

番外個体「そんなみっともないのヤだってば! せめて取り直させてよぉ///」ウルウル

上条「だが断る!」ピロリーン♪

番外個体「ちょ、なに撮ってるの!?」

上条「涙目ワーストたんゲットー♪ なんつってな」ニカッ

番外個体「ば、バカっ! てんちょーのバカバカバカーーーーーー!!!///」ポカポカ





19090号「……ッ……ッ……ッ……ッッ……」ドン! ガン! バキッ! ゴスッ!

御坂妹「よろしい。ならば戦争だ、とミサカはフルブーストの申請をしました」イラッ


142: 2011/09/30(金) 23:33:50.35 ID:yIoTfKfn0

その日の終業後 ※例の待ち受けは消去されました


番外個体「……」キョロキョロ

番外個体「……」パカッ カチカチ

番外個体「……」

番外個体「え、えへへ///」ニヘラ

上条「……」ソローリ

番外個体「てんちょーとのツーショット♪ 消す前に保護できてよかったぁ」ニコニコ

上条「……」ツンツン

番外個体「ふふ、我ながら幸せそうな顔してる。記憶にないけど……ちょっとお酒は控えようかな?」

上条「……」ツンツン

番外個体「もう、いい気分に浸ってるのに、さっきから何……」クルリ

上条「賄いできたぞ」ニッコリ

番外個体「…………見てた?」

上条「何をだよ?」

番外個体「べ、別にぃ? なんでもなーい」アセアセ

143: 2011/09/30(金) 23:37:34.23 ID:yIoTfKfn0

上条「なんだよ、気になるじゃねーか」

番外個体「いいから! さっさとテーブルに行こ!」グイグイ

上条「引っ張んなって。つーかさ、これ見てくんない?」パカッ

番外個体「んー? なにな……に?」ピシリ

レイノマチウケ

上条「いやー、お前に消されると思ってな。こんな事もあろうかと、バックアップを取っておいたんだ」

番外個体「……///」プルプル

上条「お酒を控えるのは上条さんも賛成ですよ? お前、酔うと性質が悪いからなー」ニヤニヤ

番外個体「タチ悪いとか言うなっ!! ミサカをいじめて喜んでるドSてんちょーのくせにぃぃ!!」プンスカ

上条「悪い悪い、お前の反応が可愛いからつい、な?」

番外個体「~~~~~~ッ!! て、てんちょーなんか……てんちょーなんか……///」

上条「だから二回言うな」

番外個体「てんちょーなんか! 大っ好きだああああああああああああああああああああ!!!///」スタコラサッサー



上条「……あ」

御坂妹「弄りすぎたせいで帰ってしまいましたね、とミサカは暗にミサカにも構えと促します」

上条「……」

御坂妹「どうしたのですか店長? まさか……」

上条「三回だったか……。迂闊だった」

御坂妹「そっちかよ! とミサカは内心あなたの鈍感ぶりに安堵しました」ホッ


144: 2011/09/30(金) 23:38:11.14 ID:yIoTfKfn0
といったところで今回は終了
ガッツリ投下する分とは別に、こんな感じで小ネタを挟むのもありかなー

162: 2011/10/06(木) 23:23:46.91 ID:KpHzBrRG0
今回も小ネタを投下ー

163: 2011/10/06(木) 23:24:35.61 ID:KpHzBrRG0

EXTRA CASE NTR? いいえ、そもそも恋人ですらありません


番外個体「異動?」

上条「おう、何でもミサ会議ってので、希望勤務地一位に学園都市が選ばれたそうなんだよ」

番外個体「……まあそーだろうね」

上条「それでモチベーションを高める意味合いも込めて、ダイナミックな人事異動を考えてるんだ」

番外個体「ふ、ふーん」

上条「で、ものは相談なんだけど……」

番外個体「イヤっ!!」

上条「嫌って……話くらい聞いてくれよ」

番外個体「イヤったらイヤなの! ミサカは異動なんて絶対イヤだからね!」

上条「試験期間っつー事で、一週間だけロシアに行ってくんない?」

番外個体「却下!」プイッ


164: 2011/10/06(木) 23:25:53.21 ID:KpHzBrRG0

上条「この通り! お願いだからさ、な?」

番外個体「イーヤーだー!」

上条「どうしても嫌か?」

番外個体「ミサカは学園都市を離れると氏んじゃう病気なの!」

上条「はぁ、ったくガキだなぁ」ヤレヤレ

番外個体「ガキでいいもん! ここの競争率がどんだけ高いか知ってるでしょ!」

上条「まあな、二位以下がゼロ票だもんなぁ」

番外個体「そもそもミサカ、外国語しゃべれないし」

上条「は、ウソだろ?」

番外個体「元々使い捨ての予定だったからね。日本語とロシア語しか出来ないよ」

上条「ロシア行けるじゃん!」

番外個体「も、もう忘れたっ! ミサカ、ロシア語ワッカリマセーン!」アセアセ


165: 2011/10/06(木) 23:27:09.09 ID:KpHzBrRG0

上条「仕方ねーな。そこまでいうなら番外個体はパスにするか」

番外個体「当たり前だっつの。ミサカは仕事に戻るからね!」スタスタ


上条「んー……。19090号はどうだ? ロシアに行ってみないか?」

19090号「ふぇっ!? みみみ、ミサカがですか!? とミサカは突然の振りにあわわ……」オロオロ

上条「異動っつっても一週間だけだ。あっという間だと思うけどな」

19090号「あ、え、その、あの……」オロオロ

上条「不安を感じるのは分かる。けど俺も一緒だから心配すんな」

19090号「……へ?」

上条「流石にお前一人に押し付けたりしないって。モスクワ支店たっての要望でもあるし、上条さんが出張するのも織り込み済みなんだ」

19090号「で、でしたらミサカは頑張れそうです!」パァァ

上条「ハハ、経験は積んでおいて損はないからな。そんじゃ週明けにはロシアに飛ぶから準備はしっかり頼む」

19090号「はい! とミサカは期待に沿えるよう気合を込めて返事をします」


166: 2011/10/06(木) 23:27:57.54 ID:KpHzBrRG0

そして週明け 一日目


御坂妹「はぁ……」

カランカラン

番外個体「おっはよー! 今日も一日張り切ってこー!」

御坂妹「おはようございます、とミサカはダウナー気味に挨拶をします」ドンヨリ

番外個体「どしたの? 元気ないじゃん」

御坂妹「当然です。今日から一週間も店長に会えないのですから、とミサカは自らの発言で更に落ち込みます。はぁ……」

番外個体「え、うそ……?」

御坂妹「ロシア行きの件です。番外個体は店長に随行するのを辞退したと聞きましたが」

番外個体「…………!! あの時か!」タッタッタ


167: 2011/10/06(木) 23:28:52.78 ID:KpHzBrRG0


番外個体「早く出ろ、早く出ろー……」pipi

Prrrr Prrrr

上条『――もしもし』pi

番外個体「てんちょてんちょー! なんでロシアに行ってんの!?」

上条『はいはい、二回言うな。てかこの前説明しただろ。試験的に人事異動するってさ』

番外個体「てんちょーまで異動するなんて聞いてないよ!?」

上条『そうだっけ?』

番外個体「そうだよ!」

上条『んー、まあ問題ないだろ。ていうかこっちは深夜なんだ。もう寝かせてくれ』

番外個体「ま、待って!」


テンチョウ、ミサカハドコデネレバイイデスカ?


上条『クソっ、このボロ部屋ベッドが一つしかねえ! ソファーじゃ風邪を引くし……しょーがないな、一緒に寝るぞ』


ソ、ソンナ!?


上条『安心してくれ。絶対何もしないから大丈夫だ』


ム、ムシロ、シテクレタホウガ、ト ミサカハ……///


番外個体「ちょっ、てんちょー!?」

上条『ああ、すまん。何か不都合があるならメールで頼む。明日こっちで処理するから』

番外個体「そうじゃなくて! 何か不穏当な台詞が……」アワワ

上条『なに言ってんだ? こっちは平穏無事……って、19090号、もっとこっちこい。風邪引いたら馬鹿らしいぞ』

番外個体「ッ!?」

上条『んじゃお休みー、じゃなくて、そっちはおはようの時間だっけか。とにかく切るぞ、店の事たのむな』pi


168: 2011/10/06(木) 23:29:37.65 ID:KpHzBrRG0


番外個体「……」ボーゼン

御坂妹「どうしたのですか? 顔色が悪いですよ」テクテク

番外個体「……」プルプル

御坂妹「番外個体?」

番外個体「…………た」プルプル

御坂妹「?? なんですか?」

番外個体「19090号に、てんちょーを寝取られたあああああああああああああああああああああ!!?」ギャース

御坂妹「………………………………え」

169: 2011/10/06(木) 23:30:14.07 ID:KpHzBrRG0

二日目


番外個体「一週間なんてあっという間だよ。てて、てんちょがいい、居なくたって、へへ平気……」ガタガタ

御坂妹「早くも禁断症状が出てますよ、とミサカは末の妹の打たれ弱さに唖然とします」

番外個体「そそそ、そんなここ、ことないってばばばっ!」ガタガタ

御坂妹「店長お帰りなさい」

番外個体「えっ、どこどこ!? てんちょー? てんちょー!」キョロキョロ

御坂妹「二回言うな」

番外個体「~~~~~~~~ッッ!? 騙したなぁぁ!! つーかてんちょーのマネすんなっ!!!」ガァァ


170: 2011/10/06(木) 23:30:59.11 ID:KpHzBrRG0

三日目


番外個体「てんちょーが帰ってくる、こない、くる、こない、くる、こない、くる……」プチ プチ プチ プチ

御坂妹「花占いですか、とミサカはマジマジと推移を見守ります」

番外個体「こない、くる、こない、くる、こない、くる…………」プチ プチ プチ プチ

御坂妹「最後の一枚ですよ?」

番外個体「……」プルプル

御坂妹「まあ結果は帰ってこないですが」

番外個体「言うなあああああああああああああああああああ!!!」ガァァ


171: 2011/10/06(木) 23:32:05.46 ID:KpHzBrRG0

四日目


番外個体「会いたくて~会えな~くて♪」

御坂妹「歌ですか、とミサカは意外に上手な歌声に聞き入ります」

番外個体「会いたくて~会えなく~ても~♪」

御坂妹「……」

番外個体「会いたい~でも会えないのなら~♪」

御坂妹「……」

番外個体「それでも会いたい~会えるのなら~♪」

御坂妹「会うのか会えないのか! 一体どっちなのですか!? とミサカは支離滅裂な歌詞に思わずツッコミます」ビシッ

番外個体「てんちょー……会いたいよぉ」メソメソ


172: 2011/10/06(木) 23:33:06.76 ID:KpHzBrRG0

五日目


御坂妹「~~~~~~~♪」セッセ

番外個体「……10032号は元気そうだね」ドンヨリ

御坂妹「そうでしょうか?」

番外個体「そーだよ」

御坂妹「最近始めた日課が楽しいせいかもしれません、とミサカは分析してみます」

番外個体「日課?」

御坂妹「寝る前に店長とテレビ電話をするんです、とミサカは惜しげもなく情報を公開します」

番外個体「……」

御坂妹「~~~~~~~~♪」セッセ

番外個体「……全然気付かなかった」ガックリ




その夜

番外個体「てんちょ、てんちょ♪」ワクワク

Prrrr Prrrr

番外個体「早く繋がれー♪」ソワソワ

Prrrr P――

番外個体「あっ!? て、てんちょー?」

『おかけになった電話は現在電波の届かない場所にあるか――』

番外個体「……………………」グスッ


173: 2011/10/06(木) 23:34:20.98 ID:KpHzBrRG0

六日目


カランカラン

番外個体「いらっしゃいませー、って今日はシスターさんは一緒じゃないの?」

一方通行「なンか用事があるンだとよ」テクテク

番外個体「いつものブレンドでいい?」

一方通行「あァ」

番外個体「……」コポコポ

一方通行「……」

番外個体「……」コポコポ

一方通行「悩み事か?」

番外個体「ぎゃは☆ 第一位に心配されるなんて、ミサカってばそんなに分かり易いのかにゃ~ん?」コポコポ

一方通行「上条以外には丸分かりだろォよ」

番外個体「……こんなのらしくないって事くらい自覚してるよ」コポコポ

一方通行「それは俺に嫌味の一つも言えてねェ事か? それとも上条に好き好き言いまくってる事か?」

番外個体「両方。はい、ブレンドいっちょあがりー」


174: 2011/10/06(木) 23:36:10.14 ID:KpHzBrRG0

一方通行「……普通だな」ズズッ

番外個体「そりゃあね、てんちょーみたいには無理だってば」

一方通行「うちのシスターが、インデックスが言ってたンだが……」

番外個体「……」

一方通行「俺とオマエはグーらしい」

番外個体「……は?」

一方通行「じゃんけんのグーだ」

番外個体「ああ、じゃんけんね。それで?」

一方通行「インデックスと上条はパーだそうだ。つまり俺らじゃ敵わねェってこった」

番外個体「惚れた弱みだもんね」クスッ

一方通行「幸せになっていいはずがねェ、今更どのツラ下げてテメェの幸せを享受するンだって、頑なに思ってた」

番外個体「……」

一方通行「なのに打ち止めに泣かれて、上条にぶン殴られて、……インデックスが許してくれた。幸せに生きていいンだって」

番外個体「覚えてるよ。あの時のシスターさん、聖母さまみたいだったよね。実際聖母なんて知んないけど」

一方通行「あァ」

番外個体「挙句の果てに、てんちょーから……ううん、ヒーローさんからシスターさんを奪い取りやがって。とんだ悪党だよね☆」

一方通行「……違いねェ」ズズッ


175: 2011/10/06(木) 23:37:46.25 ID:KpHzBrRG0

番外個体「で? ミサカも自虐マゾヒスト君みたく、頑なになってるって言いたいのかな?」

一方通行「違うのか?」

番外個体「お生憎様、ミサカはてんちょーにゾッコンなんで。あなたに説教されるまでもないっつの」

一方通行「らしくないンじゃなかったのか?」

番外個体「らしくないよ。でも今のミサカを、ミサカ自身が気に入ってるからモーマンタイってね」

一方通行「クカカ、二年前のオマエに聴かせてやりてェ」クスクス

番外個体「ハッ、それはこっちの台詞だよ。四年前のあなたに、今の腑抜けっぷりを教えてやりたいね!」ケラケラ

一方通行「言ってろ。……ン? じゃあ何でこの世の終わりみてェなツラしてたンだ?」

番外個体「……」プルプル

一方通行「もしかしなくてもよォ、他の妹達に上条を取られたのかァ?」ニヤニヤ

ブチッ

番外個体「ああそうですよっ!! 間抜けにも19090号に盗られちゃいましたぁ!!」

一方通行「お、おォ」

番外個体「でも絶対取り戻すっ!!」

一方通行「……元々オマエのじゃねェだろ」ボソッ

番外個体「なにか言った!?」ギロッ

一方通行「……もう講義の時間かァ。お代は置いとく、釣りはいらねェから」ソソクサ


176: 2011/10/06(木) 23:38:50.88 ID:KpHzBrRG0

終業後 帰り道


番外個体「くっそー、第一位め。勝ち組の余裕を見せつけやがって」イライラ

番外個体「それもこれも、てんちょーが連絡一つ寄こさないから――」

pipipipi pipipipi

番外個体「はーい、もしもしミサカですけどぉ。あなたがクソおかけになった番号は現在クソ着拒中でーす」pi

番外個体「クソしばらく時間を潰してから、クソおかけ直しくださーい。つーか空気読めクソったれ」

上条『え、どのへんの空気を読めと? ……まあいいや、そんだけ元気なら問題ないよな』pi


番外個体「今の声……まさか」カチ カチ


着信履歴 だーりん☆


番外個体「ぎゃあああああああ!? とんでもない暴言吐いちゃったぁぁーーーーーーーーっ!?」ガビーン


177: 2011/10/06(木) 23:39:32.35 ID:KpHzBrRG0

番外個体「と、とにかくかけ直さないと」pipi

Prrrr Prrrr

上条『――もしもし、クソったれですが?』pi

番外個体「ごめん、てんちょー! マジでごめん! 許して!?」

上条『いえ、私は気にしておりませんから』

番外個体「う、ウソだ……。仕事モードのしゃべりになってるじゃん……」

上条『被害妄想です。それより番外個体さん、何故私の番号を着信拒否にしたのですか?』

番外個体「してないってば!? さっきのは勢いっていうか、怒りに身を任せたというか、ああもうっ、ミサカが悪かったですごめんなさい!!」アタフタ

上条『……』

番外個体「てんちょー……?」

上条『……』

番外個体「反省してるから返事してよぉ……」グスッ

上条『ぷっ』

番外個体「あ……ああぁぁーーーー!!! 今笑ったっ! ミサカを騙して遊んだんでしょ!!」


178: 2011/10/06(木) 23:40:38.41 ID:KpHzBrRG0

上条『あはは、ごめん。なんかつい』

番外個体「ついじゃねーっつの! 本気で焦ったんだからね!」

上条『だから悪かったって』

番外個体「フンだっ! もう知らない!」プイッ

上条『機嫌を直してくれよ。何でもいう事聞くからさ』

番外個体「……なんでも?」

上条『ああ、犯罪以外なら叶えてみせるぞ』

番外個体「…………たい」

上条『ん、なんだ?』

番外個体「今すぐ会いたい。会いたいよ、てんちょー……」

上条『番外個体……』

番外個体「学園都市を離れたら氏んじゃうなんてウソ吐いちゃったけど、てんちょーに会いたくてホントに氏んじゃいそうだよ……」

上条『それは光栄というかなんつーか』

番外個体「ごめん、無理言ってるよね。でも――」


上条「何が無理だって?」pi

番外個体「え……てんちょー?」クルリ


179: 2011/10/06(木) 23:41:55.36 ID:KpHzBrRG0

上条「おう、上条さんですよ」

番外個体「え、でも、あれ? 帰国は明後日のはずなのに」オロオロ

上条「上条さんに会いたくて氏んじゃう病を治療しに空間移動で帰ってきたんだ」ニカッ

番外個体「う、うそ!?///」カァァ

上条「まあな。本当は番外個体が泣いてるって、匿名希望のAさん(仮)から連絡があったから飛んできたんだ」

番外個体「飛んできたって……」

上条「超音速旅客機ならロシアからでも、あっという間だろ?」

番外個体「でも仕事が……」

上条「んなモン、昨日で終わらせたよ。……19090号を置き去りにしちまったけど」ボソッ

番外個体「もう、無茶するんだから」


180: 2011/10/06(木) 23:43:12.72 ID:KpHzBrRG0

上条「はは、それで? ワーストたんは何故泣いていたのでせうか?」

番外個体「……てんちょーを19090号に取られたから」

上条「はい?」

番外個体「惚けてもダメだからね! 一緒に寝たってミサカ聞いたもん!」

上条「確かに寝たな」シレッ

番外個体「ッ!?」

上条「けどしょーがねえだろ。ホテルは何処も満室だわ、社員寮は一部屋しか空いてないわ、そこも空調はぶっ壊れてるわで大変だったんだぞ」

番外個体「はぁ?」

上条「だからやむを得ず19090号に抱き枕兼、湯たんぽになってもらったんだよ」

番外個体「意味分かんないよ!?」

上条「上条さんにも19090号が最高の抱き心地だったとしか説明できない」

番外個体「ちょ、ちょっと待って! それは早計じゃないかな!?」ヒクヒク

上条「なんでだよ」

番外個体「きっとミサカの抱き心地のほうが上に決まってるもん!」


181: 2011/10/06(木) 23:44:25.95 ID:KpHzBrRG0

上条「そうかなぁ。お前って喧しいからダメっぽい気がする」

番外個体「んなっ!?」ガーン

上条「まあ学園都市は暖かいし、空調もバッチリだから栓ない事だけどな」

番外個体「……納得いかねえ。なに? ミサカたちってば女として見られてない?」ブツブツ

上条「???」

番外個体「じゃ、じゃあ仮にお姉様だったらどうなの?」

上条「へ? 美琴?」

番外個体「お姉様も喧しいからダメ?」

上条「……」

番外個体「てんちょー?」

上条「む、むむ、無理だってそんなの!? 絶対理性が持たないって!///」アセアセ

番外個体「なんでだこらーーーーーーっ!!!」ビリビリッ

上条「ったく、なんつー想像させるんだよ。今夜眠れなくなったらどうすんだ」パキーン

番外個体「心配いらないよ。ミサカが夜通し説教してあげるから!」プンスカ

上条「あ、19090号にフォローをしておかないと」メルメル

番外個体「脈絡なく話を逸らすなっ!!」

上条「なんだよさっきから。思春期か?」

番外個体「ミサカは大人だぁぁーーーーーっ!!!」ガァァ

上条「ソウデスネー」

番外個体「~~~~~~~~~ッ!!」ジタンダ


182: 2011/10/06(木) 23:45:26.57 ID:KpHzBrRG0

番外個体「てんちょーの鈍感! 変態っ! スケコマシっ!!」プンスカ

上条「はいはい」

番外個体「軽く流すなっ!!」

上条「それよりまだ言ってなかったな」

番外個体「何っ!? これ以上ミサカを怒らせ――」

上条「ただいま、番外個体」ニコッ

番外個体「――え、ぅ、うん。……おかえり、てんちょー///」カァァ

上条「……」ジー

番外個体「そんなに見ないで……。照れるよ///」フルフル

上条「じっとしてろ」グイッ

番外個体「ひあっ!?///」

上条「痛くしないから俺に任せてくれ」キリッ

番外個体「ええっ!? こ、こんなとこで!?///」ドッキーン

上条「場所なんてどこでもいいだろ。もう我慢できないんだ」

番外個体「イヤ……初めてはちゃんとしたとこがいい……」フルフル

上条「いくぞ」

番外個体「~~~~~~~ッッ///」ギューッ



プチッ

183: 2011/10/06(木) 23:46:58.45 ID:KpHzBrRG0

上条「ふぅ、終わったぞ」

番外個体「…………………………ふぇ?」

上条「ほら枝毛。いやー見つけちまうと抜かずにはいられないよなー」

番外個体「…………」プルプル

上条「せっかく綺麗な髪なんだ。手入れしないと勿体無いぞ?」ナデナデ

番外個体「…………///」プルプル

上条「よし、可愛い! 流石はうちの看板娘!」

番外個体「うがァァーーーーーーーーっ!!!///」ブンブン


上条「こらこら、女の子がそんな風に叫ぶんじゃありません」メッ

番外個体「ミサカを女の子扱いしてないてんちょーが言うなっ!!」

上条「だってお前、子供じゃん」シレッ

番外個体「ちくしょう、今に見てろ! ミサカの魅力でメロメロにしてやるんだから!!」

上条「はいはいソーデスネ。てか古いな、メロメロって古いな」

番外個体「二回言うな///」

上条「あはは、心配しなくても上条さんは、ワーストたんの魅力に参っちまってますことよ?」ヘラヘラ

番外個体「ウソつけーーーー!!」ポカポカ

上条「ウソ吐けって言うからウソつきましたー」ニヤニヤ

番外個体「ヘリクツ!? それヘリクツだー!!」

上条「二回言うな」

番外個体「大体てんちょーはね! ミサカに対して――」



等とバカらしいやり取りをしながらも、番外個体は終始笑顔だったという


184: 2011/10/06(木) 23:47:58.41 ID:KpHzBrRG0

おまけ とある学生寮――


美琴「――それでね、なんかいっつも邪魔がはいるのよ」メソメソ

禁書「きっと短髪は間が悪いんだよ。とうまを諦めるのが吉かも」

美琴「諦められないわよ。だってこんなに当麻のことが好きなんだもん……」

禁書「でも片思いは辛いでしょう? とうまを諦めれば楽になるよ」ニッコリ

美琴「……」

禁書「男性はとうまだけじゃないよ? 視野を広くもってみるのもいいかも。だからとうまを諦めるんだよ」

美琴「無理っ! 私にはアイツしか考えられないよ!」

禁書「思考停止は良くないよ。まずはとうまを諦めるとこから始めよう?」ニコニコ

美琴「……アンタ、さっきから私を誘導しようとしてない?」ジトー

禁書「そんな事ないんだよ。とうまとワーストが結ばれればいいなんて、これっぽっちも思ってないよ?」

美琴「思いまくってるでしょーがっ!!!」ガァァ

禁書「だって私はワーストの味方だもーん♪」シレッ

美琴「神に仕えるシスターがエコ贔屓していいんかーーーーー!!」

禁書「シスターだって人間だもんねー♪」

美琴「くっそー! アンタもアンタの彼氏も真っ黒じゃないっ!! 見た目は真っ白のくせにぃぃ!!」

禁書「ふっふーん、腹白い恋人たちとは私たちのことなんだよ! じゃーねー短髪ぅー♪」スタコラサッサー

美琴「腹黒いの間違いでしょ!? つーかアンタは何しに来たんだーーー!!!」



オリジナルの受難はまだまだ続くようです

227: 2011/10/23(日) 11:08:53.65 ID:bQqYEaiY0

EXTRA CASE 競争倍率 9972倍なんて無理ゲー。しかしその幻想はぶち殺される予定


事務所――


番外個体「トリック・オア・トリート!」

上条「ほい」スッ

番外個体「……ちぇー」

上条「ハハ、お菓子はたんまり用意してんだ。いたずら出来ると思ったら大間違いですことよ?」

番外個体「ぶーぶー! ミサカつまんなーい」

上条「そんじゃ俺もトリック・オア・トリート!」

番外個体「はいはい、ミサカも用意してますよー……って、あれ?」

上条「……」ニヤニヤ

番外個体「おかしいな、確かにここに入れておいたのに」

上条「さっきインデックスが食ってたぞ。食いモンに関してはホント目聡いよなぁ」ニヤニヤ

番外個体「ええっ!?」

上条「つーわけで、ワーストたんは上条さんにイタズラされる運命にあるのですよ」ニッコリ

番外個体「ちょ、笑顔がこわいよ!?」


228: 2011/10/23(日) 11:10:32.92 ID:bQqYEaiY0

上条「さーて何にしますかねぇ」

番外個体「あ、あんまり無茶なのはヤだよ?」オロオロ

上条「んー、じゃあ今日一日、武士っぽい口調で過ごしてもらおうか」

番外個体「は……?」

上条「ありがとうございました=かたじけのうござる、みたいな?」

番外個体「ヤだよそんなの!? 混じりっ気なしの変人じゃん! てかそれイタズラじゃなくて罰ゲーム!」

上条「だよなー。第一可愛くないから無意味だな」

番外個体「もう……」

上条「なら」グイッ

番外個体「わわっ!?」

上条「番外個体……」ボソッ

番外個体「ひゃん!? ててて、てんちょー!?///」プシュー

上条「この抱きしめ攻撃っ! 恥ずかしがり屋のワーストたんには辛かろう」ギュー

番外個体「うぅっ……///」モジモジ

上条「ぬっくいなぁお前。冬場のホッカイロ一号に任命しようかな」

番外個体「みみ、みしゃかはべべ、別にいいにょ!?///」カミカミ

上条「ハハ、かみかみですよ?」

番外個体「うるしゃい……///」テレテレ


229: 2011/10/23(日) 11:11:58.94 ID:bQqYEaiY0

十数分後


番外個体「…………///」グッタリ

上条「うっし、いたずら完了っと」


美琴「当麻ぁー、居るー?」


上条「おう、いますよー」

美琴「いたいた。ふふん、トリック・オア……って、その子どうしちゃったの?」テクテク

上条「上条さん式トリックの餌食に――」

番外個体「て、てんちょーに辱められたの……///」モジモジ

美琴「!?」

上条「ちょ、おまっ!? 人聞きが悪いだろ!?」

番外個体「真実じゃん。じっくりたっぷりミサカをいじめたくせに~///」テレテレ


230: 2011/10/23(日) 11:13:14.27 ID:bQqYEaiY0

美琴「~~~~~~ッ!! トリック・オア・トリートッ!!」

上条「へ? ……あぁはいはい、お菓子な」スッ

美琴「トリック・オア・トリートッ!!」

上条「お菓子だろ?」

美琴「トリック・オア・トリートッ!!」

上条「いや、だから」

美琴「トリック・オア・トリートぉぉ……」

上条「……もしやトリックの方をご所望で?」

美琴「……///」コクコク

上条「そ、それで? 美琴センセーはどんなイタズラをなさるのでせう?」ドキドキ

美琴「これ……食べて///」スッ

上条「これって、カップケーキか?」

美琴「うん……///」

上条(このパターンは間違いないッ! 一口食べたらお口の中が大惨事ってヤツだろ!?)

美琴「…………///」ソワソワ

上条(妙にそわそわしてるし確定だな。……ええいっ、ままよ!!)パクッ

モグモグ ゴックン

上条「うまっ! なにコレ、めっちゃ美味しいんですけど!?」ガビーン


231: 2011/10/23(日) 11:17:26.06 ID:bQqYEaiY0

美琴「と、当麻が美味しいって言ってくれた……。よかったぁ」ホッコリ

上条「普通激辛とかじゃねーの? イタズラ的にさ」

美琴「あはは、そんな事しないわよ」

上条「そ、そっか。つーかこれ、パンプキンケーキだよな」

美琴「ハロウィンだからね。その……当麻に食べて欲しかったから、頑張って練習してみたの///」テレテレ

上条「美琴……」ジーン

美琴「本当はもっと凝ったお菓子を作れればよかったんだけどね。それが今の私の精一杯なんだ」

上条「十分だよ。美琴の優しい気持ちがいっぱい伝わってきた」ナデナデ

美琴「ふにゃあ!?///」ビクッ

上条「あ、すまん。つい癖で……」

美琴「い…イヤじゃないから。だから……もっとして?///」ウルウル

上条「じゃあ遠慮なく。おおっ、髪がサラサラだなぁ」ナデナデ

美琴「えへへー///」フニャフニャ


番外個体「なぁに二人の世界に入っちゃってんですかぁぁっ!!??」ガァァ

上琴「「ッッ!?」」ビクッ


232: 2011/10/23(日) 11:20:43.76 ID:bQqYEaiY0

番外個体「お姉様っ!!」

美琴「な、なにかしら?」

番外個体「ミサカのてんちょーを誘惑しないでよ」

美琴「は…はぁ!?」

番外個体「いい? ミサカはてんちょーが大好きで、てんちょーもミサカが大好きなんだよ。つまり相思相愛なの///」カァァ

上条「自分で言ったくせに照れるなよ」ヤレヤレ

美琴「ちょ、ちょっと!」

番外個体「なにかな?」

美琴「相思相愛ってなんなのよ!? ウソよね? そんなの……」アセアセ

番外個体「ウソじゃないでーす☆ ね? てんちょー」

上条「間違っちゃいねーけど、なんかニュアンスが変じゃないか?」

美琴「そ、そんな……そんなぁ」メソメソ

上条「美琴サン!?」

美琴「グスっ、えぐっ、わたしだって好きなのにぃぃ……」ポロポロ

上条「美琴が泣くなんて、どどどうしたらいいんだ!?」オロオロ

番外個体「し、知らないよ!?」オロオロ


233: 2011/10/23(日) 11:22:39.15 ID:bQqYEaiY0

美琴「うあぁぁーーーーーーん!! 当麻ぁぁーーーー!!」グスグス

上条「はい! 上条さんはここにいます!」

美琴「置いていっちゃヤだぁぁ!! ヤだよぅ」メソメソ

上条「置いてったりしないから。美琴を悲しませたりしないから泣き止んでくれよ、な?」オロオロ

美琴「ううっ……ホントに?」

上条「当たり前だ。ずっと俺についてきてくれるって言ったのは、お前じゃねーか」

美琴「……当麻のそばにいていいの?」

上条「いいですとも! 寧ろ居てくださいお願いします」

美琴「よかった……よかったよぅ」ポロポロ

上条「ああもうっ、なんで泣くんだよ!?」ハラハラ

番外個体「恥も外聞も捨ててマジ泣きするなんて……。ミサカには真似できないかも」ゴクリ

上条「真似しなくていいから!」ビシッ


234: 2011/10/23(日) 11:24:04.36 ID:bQqYEaiY0

数分後


美琴「ごめん。取り乱しちゃった……」ションボリ

上条「いいって気にすんな」

番外個体「まったくだよ。大体てんちょーは日本語が不自由だから、好きって言っても通じないっつの」ヤレヤレ


上条「そういやさっき、上条さんを好きって言いませんでした?」

美琴「う、うん……。好き……すごく好き///」モジモジ

上条「そ、そうか。はは、あははは///」マッカッカ

美琴「当麻は? ……当麻はどう思ってる?///」オズオズ

上条「えっとだな、俺もその……美琴のことが好――」


番外個体「なんでじゃこらーーーーーーーっ!!!」ガァァ


235: 2011/10/23(日) 11:26:40.45 ID:bQqYEaiY0

上条「なんだよ。今いいとこなのに」ムッスー

番外個体「おかしいよね!? 明らかにおかしいよね!?」

上条「二回言うな。てかどこが変なんだよ」

番外個体「ミサカはね、てんちょーが大好きなんだよ?」

上条「おう、俺も大好きだ」

番外個体「お姉様も てんちょーが好きなんだってさ」

美琴「…………///」イヤンイヤン

上条「み、みたいだな。あはは、いやぁ参ったなぁ///」テレテレ

番外個体「ほらおかしいっ!! 反応が違いすぎるでしょ!?」

上条「どう違うんだ?」

番外個体「ミサカの時はスッゴイ淡白じゃん!」

上条「そうか? あーでも、番外個体の好きは家族的な好きで、美琴は女の子として――」

番外個体「黙って!? それ以上は全部が終わっちゃう気がする!」

上条「わがままだなー」

番外個体「くっそー、量産型はワンオフ機に敵わないのか!」

美琴「試験機より量産機のほうが性能は上じゃない? 信頼性が重要なんだし」

番外個体「嫌味か!? 嫌味なんか!?」

美琴「もう、二回言わないの」メッ

番外個体「うがああああああああ!? なんだこの敗北感!?」


236: 2011/10/23(日) 11:29:33.44 ID:bQqYEaiY0

御坂妹「そろそろディナータイムなのでホールに出てください、とミサカは店長たちに呼びかけます」



上条「よっしゃ、今日も張り切っていきますか!」

美琴「うん、頑張りましょ」

番外個体「絶対負けない……。最後に笑うのはミサカなんだから!」

上条「おいおい、上条さんはみんなが笑顔のハッピーエンド以外は認めませんことよ?」

美琴「大丈夫よ。私は当麻の描く未来を信じてるから///」ピト

上条「お、おう。任せとけ///」テレテレ

番外個体「……半端ない。疎外感が半端ないよぅ」ガックリ


上条「カップケーキのお礼をしないとな」

美琴「いいわよお礼なんて。当麻が喜んでくれたなら、それが一番のご褒美だもん///」イチャイチャ

上条「そう言うなよ。……デートに誘う口実なんだからさ///」イチャイチャ

美琴「じゃ、じゃあ期待してるね///」イチャイチャ


番外個体「おっかしいなぁ……。いつの間にかミサカが置いてかれてるし」ポツーン


上条「おーい、早く来ないと置いてくぞー」フリフリ

番外個体「ま、待ってよ! すぐ行くってば!?」タッタッタ




この日、凄絶な氏亡フラグ(おそらく腹上氏)を建てたことに上条さんは気付いていなかった……。


268: 2011/10/28(金) 23:31:50.45 ID:fcedZ+pk0






この世界に生まれ落ちて二年。一般人、普通の人たち、その他大勢とカテゴリできる人間が贅沢に思えた。

朝起きて、ご飯を食べて、学校に通って、放課後は友達と遊んで、明日に想いを馳せながら眠りに就く。

それを当たり前のように享受しているくせに、その有り難さを認識してない連中を内心、妬んでいた。

この世界に自分の存在が許されて一年とちょっと。ミサカは念願の普通を満喫している。

朝起きて、ご飯を食べて、学校に通って、放課後は友達と遊んで、明日に想いを馳せながら眠りに就く。

その有り難さを噛みしめながらも、もっと、もっとと願ってしまうミサカは、きっと贅沢で我侭なのだろう。

でも願ってしまう……。始まりをくれたあの人の幸せが これからもずっと続きますように。

そして望んでしまう……。ミサカに普通をくれたヒーローさんの一番になりたいと。







                               ――とある常盤台のお嬢様の述懐


271: 2011/10/28(金) 23:32:43.72 ID:fcedZ+pk0

学園都市 某所 喫茶 MISAKA――


番外個体「てんちょてんちょー! 大変だよ!」パタパタ

上条「なんだ、ついに浜面が刺されたのか? あと二回言うな」

番外個体「それは先月の話でしょ。とにかくこれを見てよ」ズイ

上条「回覧板? どれどれ……中学生の職業体験実習への協力要請?」

番外個体「しかもうちが担当する学生が――」

カランカラン

打ち止め「こんにちはー! ってミサカはミサカは元気よく登場してみたり!」

番外個体「――鬱陶しい最終信号なんて最悪だよ」ガックリ


272: 2011/10/28(金) 23:33:45.66 ID:fcedZ+pk0

上条「いらっしゃい。常盤台の制服、相変わらずよく似合ってるな」ニカッ

打ち止め「も、もう、お世辞が上手ね、ってミサカはミサカは嬉しさを隠し切れなかったり///」テレテレ

上条「お世辞じゃないさ。飲み物はヤシの実サイダーでいいか?」

打ち止め「出来ればカ口リーゼロのでお願いしまーす」

上条「オッケー。最近人気だよなー、カ口リーオフの飲料」

打ち止め「美味しくてカ口リーを考えなくていいのは魅力的だもん、ってミサカはミサカは力説してみる」

上条「年中カ口リー不足だった上条さんには理解できねーな。ほい、おまち」

打ち止め「ありがとう! えへへー、冷たくておいし♪」コクコク

上条「打ち止めも大きくなったなぁ。ちょっと前までは可愛かったのが、今じゃ随分と綺麗になった」ウンウン

打ち止め「そ…そうかな?///」モジモジ

上条「おう」

打ち止め「上条さんもカッコいいと思うよ、ってミサカはミサカは正直な感想を伝えてみたり///」テレテレ

上条「ハハ、そんな風に言ってくれるのは打ち止めだけだ」ナデナデ

打ち止め「あぅ……///」ドキドキ


番外個体「またかっ!! またこの流れかっ!! ミサカを無視していちゃつくなああああああああああああ!!!」バンバン!

幻想止め「「ッ!?」」ビクッ


273: 2011/10/28(金) 23:35:11.07 ID:fcedZ+pk0

番外個体「まったく、中学生にデレデレするなんて信じらんない」プンスカ

上条「普通に話してただけだろ? 何でそんなキレてるんだよ」

番外個体「全ミサカがムカついたの! ミサカが負の感情を拾いやすく調整されてるの知ってるでしょ!」

打ち止め「えぇーっ、ネットワークをモニターしてるけどそんな事ないよ? ってミサカはミサカは訴えてみたり」

番外個体「う、うっさい」アセアセ

上条「おいおい、年上なんだからもっと余裕を持てよ」ヤレヤレ

打ち止め「そうだそうだー! ってミサカはミサカは便乗してヤジを飛ばしてみる」

番外個体「うぅ、ミサカは末っ子のハズなのにぃ……」

上条「はぁ……ったく、俺も大人げなかったから機嫌を直してくれ」ナデナデ

番外個体「しょ、しょーがないなぁ。でも別に機嫌悪くないし?///」マッカッカ

打ち止め「嫉妬深いわりに単純なのね、ってミサカはミサカは溜息を吐いてみたり」ヤレヤレ


274: 2011/10/28(金) 23:36:53.47 ID:fcedZ+pk0


上条「へぇ、うちが担当する学生って打ち止めだったのか」

打ち止め「初めからミサカの斡旋先はあなたのトコだったみたい、ってミサカはミサカは事情を説明してみる」

上条「一応保護者だしな。俺の方は何も問題ないよ」

打ち止め「ホントに? 迷惑じゃない? ってミサカはミサカは不安を抑えて聞き返してみたり……」オズオズ

上条「迷惑なわけないだろ。寧ろもっと甘えてくれた方が上条さん的には嬉しいですよ、姫?」

打ち止め「えへー♪ やっぱり優しいね、ってミサカはミサカはあなたに抱きついてみたりー♪」ガバッ

上条「このっ、可愛いヤツめ!」ワシャワシャ




カウンターから少し離れたテーブル席――


土御門「微笑ましいにゃー。やっぱ義妹は最高ぜよ」ホッコリ

海原「ちょ、土御門さん!?」

結標「あわわ……」ガクブル

土御門「どうしたん……だ……?」ギギギ

番外個体「……ご注文はお決まりでしょうか? あと義妹じゃねーから」ゴゴゴゴ

土御門「うにゃあ!? この毘沙門天はどっから出てきたんだ!?」ビクッ

番外個体「誰が軍神だっ!」ビリビリ

土御門「あばばばばば!?」シビビ


結標「……どちらかと言えば雷神さまね」ヒソヒソ

海原「ええ、触らぬ神に祟り無しです」ヒソヒソ


275: 2011/10/28(金) 23:37:57.66 ID:fcedZ+pk0

土御門「……酷い目に遭ったにゃー」プスプス

結標「半分は自業自得でしょう?」

海原「しかし上条さんが小さな御坂さんの保護者だなんて初耳ですよ」

番外個体「……」


結標「何デリケートっぽい話題を振ってるのよ!?」ヒソヒソ

海原「自分は空気を変えようと……」ヒソヒソ

結標「余計なことするんじゃないわよ!」ヒソヒソ

番外個体「別に隠しておくような話じゃないし、ミサカに気を使わなくていいよ」

土御門「カミやんは嫌がるぞ?」

番外個体「てんちょーは謙虚すぎるよ。もっと欲があってもバチは当たらないのにね」

海原「どういう事です?」

番外個体「あれはてんちょーがまだ高校生だった頃のことなんだけど――――」


276: 2011/10/28(金) 23:39:51.78 ID:fcedZ+pk0

CASE 3 ヒーローさんがてんちょーになった日


二年前

第七学区 黄泉川のマンション――


黄泉川「ここを出て行く?」

一方通行「あァ。今まで世話になった」

黄泉川「それは構わないじゃん。だが行く当てはあるのか?」

一方通行「冥土帰しの紹介で医大に通うことにしたンだ」

黄泉川「……」

一方通行「そこの学生寮に入る。もう手続きも終わってっから心配はいらねェ」

黄泉川「そうか……」

一方通行「相談も無しに話を進めたのは悪かった。けど俺は……」

黄泉川「皆まで言うな」

一方通行「黄泉川……」

黄泉川「最近のお前、いい顔してるじゃん。憑き物が落ちたみたいな清々しい顔だ」

一方通行「……」

黄泉川「きっとお前を変えるほどの素晴らしい出会いがあったんだろう?」

一方通行「……あァ」

黄泉川「なら私が止める理由はないじゃん。一人の大人として、家族として、一方通行の門出を祝福するじゃん」

一方通行「………………………………今まで、ありがとうございました」ペコリ

黄泉川「ハハッ、驚天動地じゃん。お前をそんな風に変えたヤツがいるなんてな!」

一方通行「うるせェ……」



室外――

打ち止め「……」

番外個体「ぶひゃひゃひゃひゃ! あの第一位が半べそかいて、あひゃ!? ふ、腹筋がつった……ッ!?」ゴロゴロ

芳川「何やってるの……。それにしても驚いたわね」ヤレヤレ


277: 2011/10/28(金) 23:41:42.38 ID:fcedZ+pk0

打ち止め「ミサカはいい事だと思うよ、ってミサカはミサカは寂しさを堪えてあの人を応援してみる」

番外個体「ハァ、ハァ……ミサカも概ね同意だね」

芳川「私だってあの子が前に進むのは嬉しいわ。でもね……」

番外個体「ミサカたちなら平気だよ? 元々ミサカと第一位が馴れ合うの自体、違和感しかなかったもん」

打ち止め「……」

番外個体「加害者と被害者。どれだけ綺麗事や正論を並べてもそれは変わらない。まあどっちかっていうとミサカは加害者だけど☆」

芳川「それでも貴女たちは上手くやってきたじゃない」

番外個体「学園都市にいるミサカはね。でも海外にいるミサカはそうじゃないんだよ?」

芳川「まさか……」

打ち止め「許せないって。感謝や同情よりも憎しみが勝ってきてる個体が少しずつ増えてるの、ってミサカはミサカは悲しい事実を伝えてみる」ションボリ

番外個体「海外組は、はっきり言って過酷な状況なんだ。身近に後ろ盾が無いから研究者の良心に運命を左右されてるんだよ」

番外個体「人間のクローンを容認するような連中のモラルなんて、期待するだけ無駄でしょ?」

芳川「……耳が痛い話ね」

番外個体「希望がない人間なんて脆いもんさ。手近な何かに不満をぶつけないと精神の安定すら保てやしない」

芳川「彼はそれを知ってるの?」

番外個体「きゃは☆ 知るわけないじゃん」ケラケラ

打ち止め「あの人にはこれ以上傷ついて欲しくないから、ってミサカはミサカは本当は弱いあの人を思ってみたり」

番外個体「豆腐メンタルだもんね~」

芳川「酷い評価ね」ヤレヤレ


278: 2011/10/28(金) 23:42:44.59 ID:fcedZ+pk0

番外個体「だからこれはいい機会なんだ」

打ち止め「ミサカたちも自活の道を考える時期なのかなぁ、ってミサカはミサカは漠然と考えてみるのだけど」

番外個体「困った事にまともな仕事に就けないんだよねー」

芳川「当たり前よね……。戸籍が無い以上、貴女たちは存在していない人間だもの」

打ち止め「ねぇ、何とかならないかな? ってミサカはミサカは一縷の期待を込めてみたり」

芳川「ごめんなさいね。残念だけど無理よ」

番外個体「こればっかりは仕方ないよ。第一の難関にして最大の難問だもん」

芳川「逆に考えれば戸籍さえ入手できれば、妹達はある程度自由に生きられるわけか……」

番外個体「一人二人ならともかく、妹達全員ってのには無理があるよ。それこそ奇跡でも起きない限りね」

芳川「奇跡……? そうよ、奇跡なら一度起きてるじゃない!」キュピーン

打ち止め「どうしたのヨシカワ?」

芳川「貴女たちの大好きなヒーローに助力を願うのよ」

番外個体「はぁ?」

芳川「彼はね、学園都市にとって数少ない乱数要素なの。彼なら私たちの思いもよらない答えを導き出すかもしれない」

番外個体「あの冴えないヒーローさんがねぇ……。つーか好きでもなんでもないし」


279: 2011/10/28(金) 23:44:14.36 ID:fcedZ+pk0

翌日

第七学区 とある高校 通学路――


上条「インデックスの引越しも終わったし、今日はゲーセンでパーっと遊びますか!」

土御門「それは名案ですたい」

青ピ「せやな。最近は受験勉強ばっかでストレス溜まってるさかい、僕も久々に遊び倒したい気分や」

上条「受験かぁ……」

土御門「オレは就職組だから気楽だにゃー」

青ピ「そない余裕かましてええの? 最近は就職も楽やないって小萌センセが言うてはったやん」

土御門「心配ご無用! なんたって縁故就職だぜい」ニヤリ

青ピ「ズルっ! 土御門君それはインチキやで!?」ガーン

土御門「ふはははは、持たざる者の僻みは心地良いぜよ! なあ、カミやん!」

青ピ「んなっ、カミやんお前もかっ!?」

上条「まあなー。正直実感ないから微妙だけど(統括理事会からのオファーなんて言えないよなぁ)」

青ピ「なんちゅー贅沢発言や! 謝り! 全国の就活難民に謝り!」

上条「あはは、ワケ分か…」


ドドドドドドドドドドドドドドッ


美琴「今日は一緒に帰るって約束してたでしょ!? なのに無視して帰るってどういう了見だこらーーーーーーーっ!!!」タックル

上条「ごふっ!?」バターン


青ピ「この光景、昔見たような……」

土御門「激しくデジャヴだぜい」


280: 2011/10/28(金) 23:45:40.96 ID:fcedZ+pk0

上条「いってぇなこの野郎!」

美琴「野郎じゃないわよ!」

上条「細けぇこたぁいいんだよ! つーか重たいからどいてくれ」

美琴「なんですってぇーーーーっ!!!」ビリビリ

上条「うぉあっ!?」パキーン

美琴「なに勝手に打ち消してんのよっ!! ちゃんと喰らいなさいよ!」プンスカ

上条「上条さんに氏ねと申すか!?」

美琴「どうせ氏なないわよ!」ビリビリ

上条「その幻想をぶち頃す!?」パキーン



青ピ「まーた始まった……」ゲンナリ

土御門「さっさと結婚しちまえばいいのに」ヤレヤレ

青ピ「もうカミやんはダメや。堕落しきったリア充に成り下がったんや」

土御門「カミやんは置いてゲーセンに行こうぜ」


281: 2011/10/28(金) 23:47:13.57 ID:fcedZ+pk0

十数分後


美琴「ぜぇ…ぜぇ……やるじゃない」フラフラ

上条「うっせーよ…ぜぇ…ぜぇ……てか何でこんな事になったんだ?」フラフラ

美琴「アンタが約束をすっぽかしたからでしょーが!」

上条「約束ぅ?…………あ」ギクッ

美琴「放課後、買い物に付き合ってくれるんでしょ?」

上条「」ダラダラ

美琴「楽しみにしてたのになー」ジトー

上条「」ダラダラ

美琴「それなのに無視して帰っちゃうなんて、あんまりだと思わない?」

上条「すみませんでしたぁぁーーーーーっ!!!」ドゲザ

美琴「……」

上条「神様仏様御坂様! 何でもするから命だけはご容赦をっ!!!」ガクブル

美琴「……はぁ、もう怒ってないから」

上条「本当ですか!?」

美琴「インデックスの件もあったし忙しかったもんね。私も大人気なかったわ」

上条「大人気ないって、俺の方が年上なのですが……」

美琴「なら年上としての威厳を示してみなさいよ。上条せんぱい?」フフン

上条「………………買い物っつったらセブンスミストだよな! ほら、行こうぜ!」スタスタ

美琴「ちょ、ちょっと!」タッタッタ

上条「いやぁ今日は絶好の買い物日和ですなー。あははは!」ボーヨミ

美琴「誤魔化せてないわよ! ……ったく、しょーがないなぁ」クスクス


282: 2011/10/28(金) 23:48:40.60 ID:fcedZ+pk0

第七学区 セブンスミスト――


上条「御坂ぁ……まだかー?」ゲンナリ



美琴「んー、もうちょっとー」



上条「なんで女の買い物はこんなにも長いのか……って番外個体?」


番外個体「あ、ヒーローさん」テクテク

上条「よう、久しぶり。元気してっか?」

番外個体「それなりにね」

上条「……」

番外個体「?? どうしたの?」

上条「いや、なんつーか……違ってたら悪いんだけどさ、嫌なことでもあったのかなって。何処と無く辛そうだ」

番外個体「……まあ、当たらずとも遠からずかな?」

上条「そっか」

番外個体「うん」

上条「……俺も何か力になれないか?」

番外個体「あひゃひゃひゃ、ホント期待を裏切らないっていうかテンプレだよねー☆」

上条「う、お節介なのは自覚してるっての」

番外個体「あっはは、ごめんねー。ミサカってばこんな言い方しかできなくってさぁ」

上条「はぁ、いい性格してんなお前」

番外個体「仕方ないよ。ミサカは悪意の塊だからね」ニヤ

上条「そうだったな。で?」

番外個体「結局首を突っ込む気かよ。てかヒーローさんでもどうにもなんない問題だよ?」

上条「決め付けんなよ。無駄かどうかは、聞いてみないと分かんねーだろ」

番外個体「……無駄だと思うけど。ミサカたちはね――――


283: 2011/10/28(金) 23:50:36.62 ID:fcedZ+pk0

番外個体「――――ってことなんだ」

上条「……(なんだよそれ……。インデックスを守り抜けたからって何呆けてんだよ俺は! もう一つの誓いを全然守れてねえじゃねーか!)」

番外個体「ね? どうにもなんないでしょ?」ケラケラ

上条「……(それにこいつの妙に達観した、大切な事を諦めたみたいな顔が気に食わねえ!)」

番外個体「別に期待してないから気にしないでよ。ミサカは――」

上条「番外個体!」ガシッ

番外個体「ッ!?」ビクッ

上条「四の五の言わねえ。黙って俺について来いっ!」キリッ

番外個体「は……はい……///」ズキューン!!

上条「よしっ、膳は急げだ! 行くぞ!」ギュッ タッタッタ

番外個体「え、え、ナニコレ? 手をつないで、え、なにこれーーー!?///」タッタッタ



















美琴「おっ待たせー♪ ってあれ?」キョロキョロ

284: 2011/10/28(金) 23:53:51.16 ID:fcedZ+pk0

第七学区 窓のないビル――


少年説明中


アレイ☆「フム、なるほどな」

上条「我ながらいい考えじゃないか? これなら学園都市発の企業としてワールドワイドで展開できるぞ」

アレイ☆「私の一存では何とも言えないが、検討の余地は十分にあるだろう」

上条「んじゃ妹達とカエル先生、御坂とも話をしてみるよ」

アレイ☆「是非そうしてくれ。ああ、それとは別に妹達の戸籍の件は何とかしよう」

上条「サンキュー! 助かるぜ」

アレイ☆「旗色を学園都市に定めてくれた君への、ささやかな礼だと思ってくれ」

番外個体「……」ポカーン

上条「名前とかも考えないといけないな。ん? 苗字は御坂になるのか?」

アレイ☆「御坂はやめた方がいい。超電磁砲との関連性を勘ぐられるのは無粋だろう?」

上条「これからの事を考えると激しく今更な気もするけどな。なあ番外個体?」

番外個体「は、はいっ!?」ビクッ

上条「いろんな事を決めなきゃいけないと思うんだ。だから一度、打ち止めや御坂妹たちも交えて話し合いをしよう」

番外個体「え、あ……うん……」

上条「どうしたんだ? 借りてきた猫みたいだぞ」

番外個体「あ、当たり前だよ! おかしいでしょこんなの!?」

上条「???」

番外個体「何言ってんのお前? みたいな顔すんな!!」

アレイ☆「少々気が短いな。接客業には向かないのではないか?」

上条「問題ないって。悪ぶってるだけだし、何より可愛いじゃん」シレッ

番外個体「かかか可愛い!? ミサカが!?///」カァァ

上条「つーわけで、俺と一緒に喫茶店やろうぜ!」ニカッ




285: 2011/10/28(金) 23:55:32.06 ID:fcedZ+pk0

学園都市 某所 喫茶 MISAKA――



番外個体「――――結局、そのまま押し切られちゃってね。てんちょーと二人三脚でここまできたんだ♪」ニッコニコ

結標「嬉しそうにしちゃってまあ……」

土御門「カミやんも罪な男だぜい」ヤレヤレ

番外個体「てんちょーのお店で働くミサカ、学校に通うミサカ。選択肢は多くなかったけど、みんな毎日楽しく暮らせてるんだ」

結標「そりゃ惚れるわね」

海原「一万人近くの戸籍を用意するなんて、普通では考えられませんよ」

土御門「何度も学園都市の危機を救った対価だからにゃー。本来なら最年少の統括理事になっていても不思議じゃないんだぜい?」

番外個体「謙虚でお人好しなのが、てんちょーの美点だもん。お客さん相手にニコニコしてる方が、ずっとらしいよ」

海原「不思議とこの店に足が向くのも、彼の魅力によるものかもしれませんね」

土御門「うっわ白々しい。超電磁砲が目当てのくせしやがって」

海原「言い掛かりです!!」ギクッ

結標「他のお客に迷惑だから騒がないの」ヤレヤレ

番外個体「多少は平気だよ。この時間帯は主に裏家業の常連さんしかいないから」シレッ

海原「裏家業……たしかに否定できませんが」

番外個体「でね? さっき話したとこまでが馴れ初め編なんだけど、続きの立志編も聞く?」

海原「いいえ、結構です」キッパリ

番外個体「ちぇー、つまんないのー」


286: 2011/10/28(金) 23:56:55.83 ID:fcedZ+pk0

海原「それにしても、小さな御坂さんが常盤台の制服を着ている姿、……一部を除いてかつての御坂さんそのものですね」

土御門「きめぇ……。こいつ、打ち止めのおっOいをガン見してやがる」

海原「誤解です!? 自分はアホ毛のことを言ったんですっ!」アセアセ

結標「でも、よく常盤台に入学できたわね。あそこって色々と審査が厳しいんでしょう?」

番外個体「フン、権勢の流れに聡いだけだよ。てんちょーが後見人だからフリーパスだってさ」

土御門「幻想頃しに恩を売りつつ、理事会への強いパイプもゲット。合理的だにゃー」



打ち止め「それでね、大覇星祭でも期待されてるから応援に来て欲しい、ってミサカはミサカはお願いしてみたり」

上条「もちろん行くさ。父さんたちも呼んでるし、ちゃんとカメラも用意してっから頑張れよ」ニコニコ

打ち止め「うん!」パァァ



海原「……困った事態になれば、自分たちで処理すればいいでしょう」

結標「あの溺愛っぷりを見てると、私らの出る幕なんて無さそうだけど?」

土御門「義妹の為なら命も惜しくは無い。それが真理ぜよ」ウンウン

番外個体「だから義妹じゃねえっつの」


287: 2011/10/28(金) 23:58:49.91 ID:fcedZ+pk0

上条「今、二年生だっけ?」

打ち止め「うん、そうだよ」

上条「てことは来年は受験かぁ。打ち止めは優等生だって先生が褒めてたから、霧ヶ丘か長点上機あたりかな?」

打ち止め「有名校じゃなくて、お姉様が通ってる高校がいいな、ってミサカはミサカは希望を伝えてみる」

上条「なんでだ? 美琴は今年で卒業するし、平凡な学校だぞ?」

打ち止め「えっとね……あなたの後輩になりたいの、ってミサカはミサカは思い切って本音を語ってみたり///」ポッ

上条「あはは、なんだよそれ」ケラケラ

打ち止め「そ、そしてね? 高校を卒業したら、あなたにミサカを貰って欲しいな、ってミサカはミサカは大胆告白っ///」

上条「最近の中学生はませてんなー」

打ち止め「むう! ミサカは本気だよ、ってミサカはミサカは憤慨してみる!」プンプン

上条「分かってるって。……そうだな、後四年経っても気持ちが変わらなかったら、その時は上条さんが責任を持って打ち止めを貰おう」

打ち止め「や、約束だよ!」

上条「じゃあ指きりでもするか?」スッ

打ち止め「するー!」スッ


幻想止め「「ゆーびきーりげーんまん――」」





結標「まだ結構お客が居るのに何か始めちゃってるわよ!?」

海原「おぅふ、店内の糖度がえらいことに……」ゲンナリ

土御門「ついにカミやんがこちら側に来るのか。……感慨深いにゃー」シミジミ

番外個体「~~~~~~~~ッ!!??」ダダッ


288: 2011/10/29(土) 00:00:29.12 ID:ONL3ffZP0

幻想止め「「はーり千本飲ーます! 指切っ……」」


ダダダダダダダッ


番外個体「中学生相手に何やってんだこらーーーーーーーーっ!!!」タックル

打ち止め「あ、危ない!?」

上条「でも上条さんには通用しないんだなこれが」ヒョイ

番外個体「ひえっ!?///」ヒメダッコ

上条「秘技・御坂頃し(タックルブレイカー)! なんつって」ニヤッ

番外個体「……///」マッカッカ





結標「タックルを紙一重で回避しながら、カウンターにお姫様抱っこを決めるなんて……」

土御門「腕を上げたな、カミやんっ!」

海原「……羨ましくなんてありませんよ? ええ、自分は御坂さん一筋ですとも」イライラ


289: 2011/10/29(土) 00:01:10.15 ID:ONL3ffZP0

上条「なあ番外個体、店内で暴れるのは御法度のはずだよな?」

番外個体「だ、だって てんちょーが……///」モジモジ

上条「言い訳無用。暴れん坊のワーストたんには打ち止めの研修を命じます」

番外個体「ええっ!? そういう細かいのは19090号が向いてるのに///」

上条「却下。ホールは俺と19090号で回すから、お前は事務所で打ち止めに業務内容を指導してくれ」

番外個体「うう、分かったよ……///」ガックリ

上条「よろしい。打ち止めも確り習ってくれよ?」

打ち止め「……それよりいつまで抱っこしてるつもりなの? ってミサカはミサカは冷徹に突っ込んでみる」イラッ

上条「おお、そうだな」

番外個体「ちぇー///」


290: 2011/10/29(土) 00:02:07.85 ID:ONL3ffZP0

喫茶MISAKA 事務所――


番外個体「さて、何から教えようか」

打ち止め「……」ワクワク

番外個体「ん~、やっぱ最初は挨拶が無難だね」

打ち止め「こんにちはー! ってミサカはミサカは元気いっぱい挨拶してみたり!」

番外個体「ノンノン。職場での挨拶は『おはようございます』一択だから」

打ち止め「え? お昼も夜もおはようございますなの? ってミサカはミサカは疑問を呈してみる」

番外個体「そうだよ。んで、仕事を終えて帰るときは『お疲れ様でした』って言うの」

打ち止め「なるほどー、ってミサカはミサカはきちんとメモを取ってみたり」カキカキ

番外個体「メモを取るなんて、ガキんちょにしちゃ感心じゃん」

打ち止め「むぅー! ミサカのほうがお姉さんでしょ! ってミサカはミサカは抗議してみる」プンスカ

番外個体「はいはい、次いくよー」


291: 2011/10/29(土) 00:03:16.65 ID:ONL3ffZP0

喫茶MISAKA――


19090号「――以上でご注文の品はお揃いでしょうか? とミサカはお客様に確認を取ります」

テンインサーン チュウモンオネガーイ

19090号「はい、只今伺います、とミサカは素早く返事をします」

上条「三番テーブルさんのブレンド出来たぞー、って俺が運んだほうが良さそうだな」


19090号「お待たせ致しました。ご注文をどうぞ」パタパタ

お客A「ケーキセットを二つ」

19090号「それではケーキとドリンクをこちらからお選びください、とミサカはメニューを提示します」

お客A「私はフォンダンショコラとココアで」

お客B「モンブランとハーブティーをお願い」

19090号「ご注文を繰り返します。フォンダンショコラとモンブラン、ココアとハーブティーでよろしいでしょうか?」

お客A「ええ」

19090号「ありがとうございます。それでは少々お待ちください、とミサカは一礼して下がります」


チョットネーチャン コッチコンカイ!


19090号「は、はい、只今!」ビクッ


292: 2011/10/29(土) 00:04:32.68 ID:ONL3ffZP0

終業後


上条「ふぅ、なんとか捌けたな」

19090号「つ…疲れましたぁ……とミサカはテーブルに突っ伏します」グッタリ

上条「ご苦労さん。19090号のお陰で何とかなったよ」ナデナデ

19090号「いえ、この程度は当然であって褒められるような事では、とミサカは……///」ゴニョゴニョ

上条「はは、謙遜すんなって」ナデナデ

19090号「……///」マッカッカ


御坂妹「賄いが出来たので番外個体たちを呼んできて貰えませんか? とミサカは暇を持て余している店長にお願いします」

上条「ん、了解」

御坂妹「……」ジー

上条「どうしたんだ?」

御坂妹「……ミサカも頑張ったのに、とミサカは不平を漏らします」

上条「そうだったな。御坂妹もご苦労さん」ナデナデ

御坂妹「はい……///」ポッ


293: 2011/10/29(土) 00:05:34.12 ID:ONL3ffZP0

喫茶MISAKA 事務所――



打ち止め「乱暴な言葉遣いはダメだよ! ってミサカはミサカは注意してみる!」プンプン

番外個体「えー、普通だと思うけど?」

打ち止め「らっしゃっせー、なんて普通言わないもん! ってミサカはミサカは指摘してみたり」

番外個体「スタンドとかラーメン屋じゃ普通なんだけどなー」

打ち止め「ここはカフェでしょ! ってミサカはミサカは屁理屈に呆れてみたり」

番外個体「うちは喫茶店ですぅ☆」

打ち止め「同じ意味でしょ! ってミサカはミサカは――」

上条「おーい、賄いができたぞー」スタスタ

番外個体「もうそんな時間か。ごめんね、てんちょー。最終信号がうるさくってさぁ」

打ち止め「違うもん! 番外個体がだらしないからだもん! ってミサカはミサカはてんちょーに泣きついてみたりぃー!」ギュッ

番外個体「!?」

上条「ったく、後輩にだらしないとか言わせたらダメだろ?」ヤレヤレ


294: 2011/10/29(土) 00:06:35.19 ID:ONL3ffZP0

打ち止め「てんちょー、あのね? ミサカもお店に出られるよ、ってミサカはミサカは研修の成果をアピールしてみたり」

上条「おお、そりゃ頼もしいな」

打ち止め「それでね、それでね……」


番外個体「ちょーーーっと待たんかーーーい!!!」ガァァ


上条「いきなり大声出してなんだよ?」

番外個体「最終信号ぁぁっ!!」ビシィッ!!

打ち止め「な、なに?」ビクッ

番外個体「てんちょーを『てんちょー』って呼んでいいのはミサカだけなの」

幻想止め「「……………………はぁ?」」

番外個体「他のミサカもお姉様も『店長』って呼んでんの! 分かる!?」

上条「……なに言ってんだ、お前?」

打ち止め「?? てんちょーは分かる?」

番外個体「ああーーっ!! またてんちょーって言った!!」


295: 2011/10/29(土) 00:07:31.65 ID:ONL3ffZP0

上条「落ち着け。お前が何に怒ってんのか、サッパリわかんねーよ」

打ち止め「ミサカもー、ってミサカはミサカはてんちょーに同意してみる」

番外個体「~~~~~~~~ッッ!!」ジタンダ

打ち止め「それよりお腹すいちゃった、ってミサカはミサカは切実に訴えてみたり」

上条「御坂妹が賄いを作ってくれてっから、さっさと食いに行こうぜ」スタスタ

打ち止め「うん!」テクテク

番外個体「さらっと流すな! ミサカの話はまだ終わってないよ!」プンスカ


上条「今度ゆっくり聞いてやっから、その時までに分かり易くまとめといてくれ」

打ち止め「ねぇねぇ、てんちょー?」

上条「なんだ?」

打ち止め「ミサカはどこに泊まればいいの? ってミサカはミサカは社会研修中の下宿先を聞いてみたり」

上条「そっか、下宿がいるのか。社員寮があるけど、空き部屋の手配には時間がかかるしなぁ」

打ち止め「うう、困ったなぁ……。外泊申請しちゃってるし、門限はとっくに過ぎてるし……」ションボリ

上条「心配すんな。上条さんちに泊めてやっから」

打ち止め「えっ、いいの?」パァァ

上条「もちろんだ。部屋もいくつか余ってるし問題ねーよ」ナデナデ

打ち止め「やったー! てんちょーのお家にお泊り~♪ ってミサカはミサカは大はしゃぎー♪」

番外個体「ちょっと待って!? そんなの絶対おかしいよ!?」


296: 2011/10/29(土) 00:08:46.34 ID:ONL3ffZP0

打ち止め「何がおかしいの? ってミサカはミサカは情緒不安定な番外個体を心配してみたり」

上条「何もおかしくねーだろ。なあ?」

打ち止め「ねー♪」

番外個体「くっそー! なんなのコレ!? そんなに中学生が好きなんかーーーーっ!!」プンスカ

上条「中学生じゃねえ。打ち止めが好きなんだ」

打ち止め「み、ミサカも……大好きだよ?///」テレテレ

上条「はは、ありがとな」ナデナデ

打ち止め「……ふっふーん♪」チラッ

番外個体「あ、あーっ!! ほくそ笑んだ!? この悪魔っ子、今ほくそ笑んだよ!」

上条「はぁ? 天使のまちがいだろ」ヤレヤレ

番外個体「騙されないで、てんちょー!?」ギャース


297: 2011/10/29(土) 00:09:48.21 ID:ONL3ffZP0

上条のマンション リビング――



上条「で? なんでお前までついて来てんだ?」

番外個体「いやー、いつ来ても広いねぇ。ヴェントハウスっていうんでしょ?」ボーヨミ

上条「何その怖いハウス!? ペントハウスだ。一応経営者っつーか社長だからな。見得も大切……って、話を逸らすな」

番外個体「いいじゃん、減るもんじゃなし」

打ち止め「じゃあミサカも『てんちょー』って呼んでも…」

番外個体「ダメ! 減るからダメっ!」

打ち止め「なにが減るの? ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」

番外個体「なんかこう……よく分かんないけど、大切な何かが減るの!」

上条「はいはい、いいから二人とも風呂に入ってこい。寝室の準備をしておくからさ」

打ち止め「はぁーい、ってミサカはミサカは面倒くさい末の妹を連れて猛ダッシュ!」グイグイ

番外個体「ちょ、引っぱらないでよ!?」ズルズル


上条「はは、仲がいいなぁ」ホッコリ


298: 2011/10/29(土) 00:10:24.27 ID:ONL3ffZP0

浴室――


打ち止め「わぁー、お風呂がひろーい! ってミサカはミサカは思わず飛び込んでみたり!」ピョーン

ザブーン!!

打ち止め「――――ぷはぁ」

番外個体「身体を洗ってから入りなよ。マナー違反だよ」ヤレヤレ

打ち止め「えへへー、ごめんなさい。てんちょーには内緒でお願い、ってミサカはミサカは密約を持ちかけてみる」

番外個体「……」プイッ

打ち止め「あれれ?」

番外個体「……」ツーン

打ち止め「……店長さんには内緒にして? ってミサカはミサカは言い直してみたり」

番外個体「わかればよろしい」


299: 2011/10/29(土) 00:11:31.72 ID:ONL3ffZP0

番外個体「…………」ジー

打ち止め「ミサカをじーっと見たりしてどうしたの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

番外個体「胸……また大きくなった?」

打ち止め「そうなの聞いてよ。季節が変わるたびにブラを新調しなくちゃだから大変なの、ってミサカはミサカは辟易してみたり」

番外個体「なるほどなー、中学生にはお高い買い物だもんね~」

打ち止め「アルバイトしてる余裕ないし、店長さんに我侭言いたくないしで困ってるの」

番外個体「仕方ないなぁ。ちょっとだけミサカがカンパしてあげる」

打ち止め「ホント!?」パァァ

番外個体「これは妹達全員が抱えてた問題だからね。文句はお姉様の遺伝子に、ってね☆」

打ち止め「でもでもお姉様の胸は小さ――」

番外個体「しーーーーっ!! 関東平野とか言ったら可哀想だよ」

打ち止め「……そこまで言ってないよ、ってミサカはミサカはお姉様に同情してみたり」


300: 2011/10/29(土) 00:12:58.66 ID:ONL3ffZP0

打ち止め「ところで店長さんとは、どこまで進んでるの? ってミサカはミサカはライバルの進捗状況を窺ってみたり」チャプチャプ

番外個体「どこまでって……基本毎日いっしょだけど」

打ち止め「ムムム! それは脅威かもしれないっ! ってミサカはミサカは戦慄してみる。……キスとかしちゃった?」

番外個体「ぶふーーーっ!?」

打ち止め「えOちなことしちゃったり?」

番外個体「しし、しししてなな……!?///」アタフタ

打ち止め「よかったぁ。その様子じゃ安心だー、ってミサカはミサカは胸を撫で下ろしてみたり」ホッ

番外個体「こ、このマセガキ……ッ!!」

打ち止め「ふふん、ミサカはお嫁さんにしてもらう約束までしちゃったもんね、ってミサカはミサカは勝利宣言!」

番外個体「あんなの指切る前に阻止したから無効…」

打ち止め「それっ♪」

パシャ

番外個体「わぷっ!?」

打ち止め「ハッハー! ただのミサカが司令塔であるこのミサカに敵うと思っているのかー! ってミサカはミサカはお湯で追撃してみたり」

パシャ パシャ パシャ

番外個体「ちょ、鼻にお湯がっ!?」

打ち止め「てんちょーはミサカのものだー! ってミサカはミサカは…」

番外個体「……おい」

ガシッ

打ち止め「へ? あ、あれ?」

番外個体「調子乗んな☆」ニッコリ

ザブーン パシャパシャパシャパシャパシャパシャー!!

打ち止め「きゃあぁぁーーーーーーーっ♪」






上条「……なに大騒ぎしてんだ? おーい、着替えは脱衣所に置いておくからな」


301: 2011/10/29(土) 00:14:51.24 ID:ONL3ffZP0

脱衣所――


打ち止め「ふぃ~、いいお湯だったー」

番外個体「……こっちはクタクタだよ」

打ち止め「若さが足りませんなー、ってミサカはミサカは番外個体の年寄り臭さを指摘してみたり」

番外個体「あーはいはい、クソガキ様に社会人の辛さは分かんないだろうねー」

打ち止め「むぅ、いっつも店長さんのそばに居られるくせに……ってミサカはミサカは嫉妬を露にしてみる」

番外個体「それはミサカの特権だから……ってなんで着替えがあるの?」

打ち止め「しかも下着もパジャマも新品だよ、ってミサカはミサカは戸惑いを隠せなかったり……」オロオロ

番外個体「ん? パジャマに何か挟まってる」

打ち止め「紙だね。何か書いてあるの? ってミサカはミサカは興味を示してみる」

番外個体「なになに……」


『お泊り程度で調子乗んなよ妹! アンタのお姉様は遥か彼方、ずっと先まで進んでるんだから! 悔しかったら追いかけてきなさい、アーハッハッハ!』


番外個体「……」プルプル

打ち止め「あ、ミサカのにも挟まってる! ええっと……」


『研修一日目はどうだった? 辛い事があっても当麻とお姉様がフォローするから、一緒にがんばろうね』


打ち止め「お姉様……」ホッコリ

番外個体「あんのクソ姉がァ……。泣きべその分際で調子に乗りやがってぇぇ……ッ!!」イライライライライラ


302: 2011/10/29(土) 00:15:59.62 ID:ONL3ffZP0

リビング――


番外個体「てんちょてんちょーー!」タッタッタ

上条「……二回言うな。冷蔵庫に飲み物入ってっから、好きなの飲んでくれ」カタカタカタ

番外個体「なんで てんちょーの家に女物の着替えがあるの!?」

上条「……美琴が買い置きしていったから」カタカタカタ

番外個体「どうして!?」

上条「……仕事の勉強会で最近よく泊まってるから。まあ色っぽい話は皆無ですけどね」カタカタカタ

番外個体「そういう事か。お姉様め……」


打ち止め「店長さんはお仕事中? ってミサカはミサカはパソコンを覗き込んでみたり」テクテク

上条「……今期の臨店日程を組んでるんだ。よし、送信っと」カタカタカタ カチッ

打ち止め「臨店?」

上条「お店を回る事だよ。つっても世界中に展開してっから、大仕事なんだけどな」

番外個体「もうそんな時期かー。ミサカも準備しなくっちゃ」

上条「あー、番外個体は今回お留守番だ」

番外個体「は……はぁ!?」


303: 2011/10/29(土) 00:17:33.64 ID:ONL3ffZP0

上条「代わりに美琴を随伴させるから、店の方をしっかり頼むぞ」

番外個体「ちょっと待ってよ! なんでミサカじゃダメなの!?」

上条「美琴は来年度から本社勤めになるからな。今のうちに各店との顔合わせやらを済ませておきたいんだよ」

番外個体「……へ?」

上条「常盤台で経済学も一通りやったって言うから、存分に才能を振るってもらおうってな」

番外個体「……」

上条「入社一年目からヘッドクォーターってのも大変だからさ、出来るだけのサポートはしてやんないとな」

番外個体「ミサカもてんちょーと旅掛さんにレクチャーを受けてるよ?」

上条「俺も本当はお前に任せたかったんだけど、美琴に『あの子は当麻の傍じゃないとダメだから』って言われてなぁ」

番外個体「……」

上条「結局お前には今まで通り、有能店員一号として働いてもらう事にしたんだ」

番外個体「そっか……ミサカはお姉様のこと誤解してたのかな」

打ち止め「ふふ、よかったね、ってミサカはミサカはお姉様の思いやりに感動してみたり」

番外個体「うん……」


上条「ま、代わりにルームシェアするって約束させられたんだけどなー」

番外止め「「え?」」


304: 2011/10/29(土) 00:18:52.30 ID:ONL3ffZP0

上条「いやー、だだっ広い家に一人暮らしは寂しかったから、上条さん的には願ったりなんですけどね」ニコニコ

打ち止め「うわぁ……お姉様策士だぁ、ってミサカはミサカは姉の強かさに呆れてみたり」

番外個体「……」プルプル

上条「でもこれって、世間でいう同棲ってヤツなのでは……?」

番外個体「ッ!?」

上条「うわっ、マジかよ!? 上条さんにもついに春が来たのでせうか!?」

番外個体「ないない! あり得ない。うん、あり得ないよ」

上条「いや、でも美琴に好きって言われたし……」

番外個体「ないったらないの!! 寝言は寝て言えっつの」ガァァ

上条「どう考えても同棲だろ……。なぁ、打ち止め?」

打ち止め「絶対にあり得なーい! ってミサカはミサカはお姉様の野望を全力阻止っ!」

上条「打ち止めまで!?」ガビーン


305: 2011/10/29(土) 00:19:58.31 ID:ONL3ffZP0

上条「ちくしょう……。もうすぐ二十歳だってのに、春の兆しはいまだ訪れず……不幸だ」ガックリ

番外個体「一人暮らしが寂しいならミサカに言ってくれればいいのに……」ゴニョゴニョ

上条「はぁ? なんでだよ」グッスン

番外個体「……ミサカもてんちょーと同棲したいし///」モジモジ

打ち止め「み、ミサカも! ミサカもー!!」ピョンピョン

上条「……ホワッツ?」

番外個体「だ、だからね? その、ミサカもここに引っ越しちゃダメ……?」オズオズ

上条「それは別に構わねーけど――」


ピンポーン


上条「――こんな時間に来客? って御坂妹?」


306: 2011/10/29(土) 00:21:44.32 ID:ONL3ffZP0


御坂妹「夜分遅くにすみません。そしてお邪魔します、とミサカは挨拶もそこそこに上がりこみます」ズンズン

上条「み、御坂妹さん?」オロオロ

番外個体「額に血管が浮き出てるよ?」

御坂妹「居た。居やがりましたねこのズルっこ共め、とミサカは怒りを露に睨みつけます」ギロッ

打ち止め「な、なんの事かな~、ってミサカはミサカはすっ呆けてみたり」アセアセ

御坂妹「惚けても無駄です。あなた達が店長と同棲しようと画策しているなんて丸っとお見通しです、とミサカは簡潔に告げます」

番外個体「10032号には関係ないでしょ?」

御坂妹「いいえ大有りです。ミサカを含め、うちの店舗の妹達全員が店長との同棲を希望しています、とミサカは反論します」

上条「え、マジで!?」

御坂妹「はい。ミサカたちは皆、あなたをお慕いしていますから、とミサカは本心をさらけ出してみます///」ポッ

上条「そりゃ嬉しいな。経営者として寝食を惜しんで働いてきた甲斐があったってもんだ」ホッコリ

打ち止め「そう取っちゃうんだ……ってミサカはミサカは店長さんの鈍感ぶりに戦慄してみたり」ゾクッ


307: 2011/10/29(土) 00:23:03.90 ID:ONL3ffZP0

上条「でもなぁ、慕ってくれるのは嬉しいけど、空き部屋にも限りがあるし」

御坂妹「でしたらここは、公平にくじ引きで決めてはいかかですか? とミサカはすかさず腹案を提案します」

上条「それがいいか。空き部屋はあと三部屋あるから仲良く公平に決めるんだぞ」


番外個体「つまり……」

打ち止め「学園都市在住のミサカは十一人」

御坂妹「確率にして27%」

番外個体「厳しい戦いになりそうだね」ニヤリ

御坂妹「おや? 常盤台は全寮制なので、上位個体は不参加なのでは? とミサカは先制のジャブを放ちます」

打ち止め「要らない心配かも、ってミサカはミサカは規則への反逆を企ててみたり」クスッ


上条「……なんでこんな殺伐としてるんだよ」ゲンナリ


308: 2011/10/29(土) 00:24:07.51 ID:ONL3ffZP0

翌日 就業後


御坂妹「それでは店長と同棲する権利を懸けたくじ引き大会を開催します、とミサカは高らかに宣言します」

番外個体(検体番号の若い順に引くのか。ま、確率は変動しないし別にいっか。てか昨日夜更かししたから眠い……)


ハズレテシマイマシタ、ト ミサカハ……

チャンスヲイカセナイトハッ!! ト ミサカハクヤシサノアマリ……

グスン……

ミサカハ……

コノヨウナケツマツ、ダンジテミトメラレマセン……


御坂妹「狭き門でしたがミサカの想いが勝利を手繰り寄せたのです、とミサカは自身のくじ運の良さに感謝します」キラキラ

19090号「店長……っ! ミサカはついにやりました!」キラキラ

打ち止め「検体番号の若い順だったから冷や冷やしたよー、ってミサカはミサカは年功序列の恐ろしさを垣間見たり」ホッ


上条「よし! くじ引きも終わったしみんなで帰るか」

番外個体「へ……? ミサカ、まだクジ引いてないんだけど?」

上条「あはは、残り物には福があるって、ありゃウソだな」

番外個体「それってもしかして……」

上条「ああ、もう決まったぞ」

番外個体「……」プルプル


309: 2011/10/29(土) 00:25:07.85 ID:ONL3ffZP0

上条「番外個体?」

番外個体「み、ミサカ……クジすら引いてないよ?」プルプル

上条「しょうがないだろ。一番最後なんだからさ」

番外個体「やり直しっ! やり直しを要求する!!」ガァァ

上条「うーん、確かにちょっと可哀想かもなぁ」

御坂妹「ダメです、とミサカは日和かける店長を制します」ズズイ

番外個体「なんで!?」

御坂妹「番外個体は我侭すぎます、とミサカは怜悧に言い放ちます」

上条「まあまあ、そう言ってやるなよ」

番外個体「てんちょー!」パァァ

御坂妹「店長は末の妹を甘やかしすぎです、とミサカは業を煮やし苦言を呈します」

上条「む、そうか?」


19090号「い、いつだって店長は番外個体を優先してます。……この前ミサカは置き去りにされました、とミサカは恨めし気に答えます」

打ち止め「ネットワークでも『贔屓だー!』って意見が主流みたいね、ってミサカはミサカは報告してみたり」

御坂妹「そうやって甘やかした結果が、そこの悪意の塊(笑)なのですよ? とミサカは現実を突きつけます」


310: 2011/10/29(土) 00:26:41.11 ID:ONL3ffZP0

番外個体「好き勝手言ってくれちゃって。ミサカはもう悪意の塊なんかじゃないよ!」

御坂妹「ほう、では何だというのですか?」

番外個体「ミサカはてんちょーへの愛で出来てるの。悪意の『く』を抜いておいて?///」ポッ

上条「何こっぱずかしい事いってんだお前……」

番外個体「ちょっ、なんで引いてるの!?」ガーン

御坂妹「愛の塊(ラブ・ナゲット)……プフッ」プークスクス

番外個体「ジャンクフードみたく言うなっ!!」

19090号「とにかく今回は諦めてください、とミサカは強く懇願します」ウルウル

上条「おーよしよし、やり直しはしないから泣くなよ」ナデナデ

19090号「で、では!?///」

上条「19090号と御坂妹に打ち止め、これからよろしくな」ニカッ

打ち止め「やったぁー、ってミサカはミサカは大はしゃぎ♪」ピョンピョン

御坂妹「苦節四年……ッ、これは大きな前進です、とミサカは歓喜につつまれます」ニヘラ


311: 2011/10/29(土) 00:28:41.66 ID:ONL3ffZP0

番外個体「そ、そんなぁ……」ガックシ

上条「公平に決めた結果だからな。今回は諦めてくれ」

番外個体「うぅ……」ションボリ

上条「あー……。そんな顔すんなよ」

番外個体「だってぇぇ……」

上条「ったく、しょーがねえなぁ」ナデナデ

番外個体「てんちょー?」

上条「俺の部屋をやるから元気出し――」

御坂妹「舌の根の乾かぬうちから甘やかしてどうするのですか! とミサカは語気を荒げ待ったをかけます」

上条「いや、だってほら番外個体が」オロオロ

打ち止め「我慢を覚えるのも大切だよ? ってミサカはミサカは正論を言ってみる」

上条「そ、そうか?」

19090号「はい。人は我慢を知って成長するものです、とミサカは正論を重ねます」

番外個体「ぐすっ……」ウルウル

上条「ほ、ほら! 泣きそうになってるじゃねーか」ウズウズ

御坂妹「いいから帰りますよ、とミサカは実力行使にでます」グイグイ

上条「おいちょっと待て!?」ズルズル

番外個体「てんちょー……」ウルウル

上条「そんな悲しそうな声だすなってうおおおおおお!? 甘やかしてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」ズルズル






こうして上条さんと番外個体の同棲フラグはへし折れたのでした。

禁書「そうはい神裂っ!! ……じゃなくて、もうちょっとだけ続くんだよ」


312: 2011/10/29(土) 00:30:07.33 ID:ONL3ffZP0

EXTRA CASE 番外個体は二度甘やかされる



番外個体「……あーあ、行っちゃった」

番外個体(クジ引きで負けたんだからしょうがないよね。うん、しょーがない……しょーがない。でも……)

番外個体「ここで引き下がるのは不味いよ……。いくら鋼の理性を誇るてんちょーでも――」



お姉様『ねえ当麻ぁ。一緒に寝よ?』

てんちょー『み、ミコっちゃん!? 一体全体どうしちまったんでせう!?』アタフタ

クソガキ『お姉様だけずるーい! ミサカも混ぜてー、ってミサカはミサカは小首をかしげながらお願いしてみたり』

てんちょー『ダメだ! 上条さんには番外個体という心に決めたひとが…』

お姉様『堅い事言わないの。うふふ、かたくするのはココだけで十分でしょ?』スリスリ

てんちょー『や、やめろーーーーーーーー!!!』



番外個体「――こうなるに決まってる! 待ってて、てんちょー! すぐにミサカが助けに行くからっ!!」スッタカター


313: 2011/10/29(土) 00:31:37.93 ID:ONL3ffZP0

上条のマンション 主寝室――


ビリビリッ カチリ

番外個体「よっと。とりあえず侵入成功、ってとこかな?」


オヤスミー、オマエラモサッサトネルンダゾー


番外個体「や、やばっ、こっちに来る!? どこかに隠れないと……もうベッドの中でいいや!」ゴソゴソ

ガチャ

上条「……」スタスタ pi

番外個体(パソコンを起動させた? そっか、社長業務をこなさないといけないもんね)

上条「ふむ、今日決済する書類はこれだけか」カタカタカタ

番外個体(勢いで不法侵入しちゃったけど、冷静に考えれば毎日激務なてんちょーにそんな余裕ある訳ないよ……)

上条「娯楽の少ない勤務地でのストレス解消か。うーん、保養施設の充実も急がないとなぁ」カタカタカタ

番外個体(いつだって自分よりミサカたちを優先してくれてるのに、ミサカは自分のことばっかり……)

上条「もっと我侭言ってくれてもいいのに。みんないい子だから遠慮してんだろうなー」カタカタカタ

番外個体(……)

上条「よし、これで完了っと! ……あいつ、まだ起きてっかな?」pipi

番外個体(あいつ?)


ヴヴヴヴヴ


番外個体(って、ミサカのことかああああああああああ!?)ガビーン


314: 2011/10/29(土) 00:33:22.09 ID:ONL3ffZP0

上条「……」

ヴヴヴヴヴ

上条「これって携帯のマナー音だよなぁ。それにこのベッドの膨らみは……」

番外個体(ぎゃああああああああ!? バレちゃったあああああああああ!?)

上条「ほほう、俺の部屋に侵入するとはいい度胸だ。社内機密もあるし尋問が必要だな」ニタァ

番外個体(ヤバイ! てんちょーの声音が敵に対するそれになってるぅぅ!?)

上条「まずは姿を見せてもらおうかっ!!」バサッ

番外個体「……ッッ!?」ビクッ

上条「これはこれは、可愛いスパイもいたもんだなぁ」

番外個体「て、てんちょー。これはその、ミサカ的いたずらっていうか、なんていうか……てへへ?」

上条「聞く耳ありませーん。おりゃああーーーーー!!」ガバチョ

番外個体「きゃああああああああああああ!?」

上条「相変わらずぬっくいなぁー。……よし、判決を言い渡す!」

番外個体「にゃ、にゃにゃ、にゃにぃぃ!?///」カァァ

上条「被告、ワーストたん。スパイ容疑で実刑三ヶ月、上条さんの抱き枕になる事を命じます!」

番外個体「………………………………マジで?///」


315: 2011/10/29(土) 00:35:12.13 ID:ONL3ffZP0

上条「なんだ、嫌なのか?」

番外個体「…………///」フルフル

上条「なら大人しく罰を受けなさい」ギューーッ

番外個体「こ、こんなの罰になんないよぉ///」モジモジ

上条「…………」ナデナデ

番外個体「……てんちょー?///」

上条「御坂妹たちが贔屓してるって言ってただろ。その事を考えてたんだ」

番外個体「……」

上条「で、気付いたんだ。あの日、お前と一緒にやっていくって決めた時から、きっと番外個体は特別なんだ」

上条「家族でも友達でも恋人でもなくってさ。言葉には出来ないけど、絶対に守りたい……。そんな存在なんだよ」

番外個体「そ、それってミサカが一番大切ってこと?///」ドキドキ

上条「ハハ、そうかもな。ま、上条さんは欲張りですから? 美琴も他の妹達も守り抜きますけどね」

番外個体「この浮気者……///」

上条「浮ついた気持ちなんかじゃねーよ」

番外個体「知ってるよ。てんちょーはいつだって本気だもん///」テレテレ

上条「その通り。だからお前は黙って甘やかされてろ」

番外個体「…………///」


316: 2011/10/29(土) 00:36:39.96 ID:ONL3ffZP0

一夜明けて翌朝


上条「すぴー……すぴー……」スヤスヤ

番外個体「ね、眠れなかった……///」

上条「くかー……くかー……」スヤスヤ

番外個体「幸せだけど、ふぁぁ~~~眠いぃ……」ショボショボ


バーーーーン!!!


打ち止め「おっはよーーー!! 朝だよーーーーー! ってミサカはミサカ……は?」ピキ

番外個体「ふぁ!?」ビクッ

打ち止め「…………」

番外個体「お、おっはー?」

打ち止め「むぅ~~~!! ずるいずるいずるいずるいずるーーーーーいっ!!!」プンスカ

上条「んあ? ……おはよう、ワーストたん」ショボショボ

打ち止め「ミサカも一緒に寝るーーー! ってミサカはミサカは突撃だぁーいぶ!!」ピョーン

ボスッ

上条「ごふっ!? こ…この懐かしい衝撃は……?」ガクリ

番外個体「て、てんちょーーーーーーーー!?」



このあと同居人たち全員で二度寝することになるのは、また別のお話。


344: 2011/11/03(木) 23:29:49.03 ID:onD62kvQ0

EXTRA CASE 一方さんちで宅飲、ただそれだけのお話


とある医大の学生寮 一方通行の部屋――


一方通行「上条はちィとばかし遅れるンだと」

浜面「仕方ねえな。先に始めてるか」

一方通行「おォ、そンじゃあ」


一方浜面「「かンぱーい」」チン


浜面「んぐっ、んぐっ…………ぷはーーーーーっ!!! やっぱビールは初めの一杯に限るなあ!」

一方通行「ビールはあンま好きじゃねェが、最初の喉越しだけは格別だ」

浜面「なんだぁ、酎ハイがいいなんてぬかさねえよな? それとも流行のハイボールってか?」

一方通行「ハァ? 酒っつったら日本酒に決まってンだろうが」

浜面「いい趣味してるぜ。けど日本酒ってフルーティーすぎるのがなぁ」

一方通行「まァな。そォいうオマエは何押しだ?」

浜面「んなモン焼酎一択だろ。あ、当然芋な」

一方通行「4Mなンかは有名だな。俺も魔王は結構好きだ」

浜面「森伊蔵も焼酎の中じゃ飲みやすいしオススメだぞ」

一方通行「森伊蔵かァ……。あれって中々抽選に当たンねェだろ」

浜面「じゃーん! それがなんと当選したんだ」ゴソゴソ

一方通行「いいねいいねェ! 早速あけようぜェ」


345: 2011/11/03(木) 23:31:12.26 ID:onD62kvQ0

浜面「にしても上条のヤツ遅ぇなあ」グビグビ

一方通行「ガキ共の女子会に差し入れしてから来るっつってたからなァ」チビチビ

浜面「かァァ!! 相変わらずのお気遣い紳士ですこと!」

一方通行「俺には無理な芸当だ」

浜面「なんつーかさ。上条って、お前んとこのシスターに振られてから変わったよなぁ」シミジミ

一方通行「…………」チビチビ

浜面「急に大人になったっつーか、鬼気迫るものがあるよな。もし俺があいつの立場なら絶対腐ってる自信があるぜ」

一方通行「…………」チビチビ

浜面「あの二人仲良かったし、まさかお前が寝取るなんて展開、誰にも予想出来ねえよ」

一方通行「…………」チビチビ

浜面「なのにお前と上条はダチのまま、っつーか普通に親友やってるしよぉ。全く理解できねえ」

一方通行「……プッ、ククク、クハハハッ!!」ケラケラ

浜面「あん? なんだよ」

一方通行「オマエも誤解してるクチかよ。いわゆる上条寝取られ説」ケラケラ

浜面「はぁ? 仲間内じゃ常識だろ。実際上条が泣いてるとこ見たヤツがいるって聞くぜ?」

一方通行「あァ……泣いてたなァ。理由も最高に愉快だった」クスクス

浜面「おまっ、仮にも親友を泣かせといて、そりゃねえだろ!」


ピンポーン


一方通行「上条が来たみてェだな」


346: 2011/11/03(木) 23:32:18.32 ID:onD62kvQ0

上条「遅れて悪い! ……って何か雰囲気が変だぞ?」

浜面「……そんなことねえよ」

一方通行「いやァ浜面がなァ、上条寝取られ説を信じ込ンでるのが傑作でよォ」ケラケラ

上条「ああー、あったなぁそんなのも」

浜面「上条?」

上条「誤解なんだ。俺とインデックスはそういうんじゃねーから」

一方通行「俺らの仲を取り持ったのも上条だしな」

上条「お前もインデックスも見ててもどかしかったんだよ」ヘラヘラ

浜面「は……? けどお前が泣いてたって……」

上条「泣きましたとも! 極貧生活からの脱却! さらばバスタブライフってな」

浜面「いやいや、そんな理由で……」

上条「半端な野郎なら絶対認めねーけど、一方通行なら安心して任せられるからな」ウンウン

一方通行「まァ真実なんざこンなモンだ」チビチビ

浜面「ありえねー……」


347: 2011/11/03(木) 23:33:44.62 ID:onD62kvQ0

上条「んな事より、ちっとばかし冷えちまったが差し入れ」スッ

浜面「おおっ! ピザにパスタに各種おつまみ!? 上条GJ!」

一方通行「ツマミ代が浮いて助かるぜ」

浜面「おいおい、第一位様の発言じゃねえぞ?」

一方通行「今は真っ当な学生してンだ。奨学金なンざ高が知れてる。医学部は金が要るし、何より……」

上条「あはは、この前ツケを払ってもらったからな。懐が寒いんだろ?」

一方通行「……インデックスの食費がマジで洒落になンねェ」ゲンナリ

浜面「あぁ、あれはな……」

上条「いよいよヤバくなれば、うちの賄いを食いにくればいいさ」

一方通行「持つべきものは友達だなァ……」ホロリ

浜面「飲めっ! 飲んで全部吐き出しちまえ!」トクトクトク

一方通行「おォ」グビグビ


348: 2011/11/03(木) 23:35:40.59 ID:onD62kvQ0

三十分後


上条「ピッチ早くねーか?」

浜面「だーいじょうぶだって! 俺ら、飲み慣れてっからよー」ケラケラ

上条「もうデキあがってるし……」ヤレヤレ

浜面「なんだァ? ウーロン茶なんて飲んでんじゃねえよ。ほらコップ出せコップ!」

上条「ハハ、悪いな。あと四ヶ月ばかし待ってくれよ」

浜面「くはーーーっ!! 真面目だねえ! そんなんだから彼女も出来ねぇ童Oちゃんなんだよ」チンチン

上条「箸でグラスを叩くな。てか余計なお世話だ」

浜面「ぎゃははは! 童Oに価値なんてねぇんだよ。さっさと捨てちまえってんだ」グビグビ

一方通行「ンで? 実際どォなンだァ?」チビチビ

浜面「そうだゲロっちまえ! あんな美人に囲まれた職場で何もないハズがねえ!」

上条「それなりに上手くやってるよ」

浜面「それなりぃ~? しゃっちょさ~ん、何人食ってそれなりなんですかぁ~?」ニヤニヤ

一方通行「番外個体だけだよなァ?」ニヤニヤ


上条「そりゃお前……。毎晩 番外個体と美琴を、とっかえひっかえズッコンバッコンよ」ニタァァ

一方浜面「「…………」」


349: 2011/11/03(木) 23:37:21.38 ID:onD62kvQ0

浜面「い、今なんつった? 耳がイカレちまったみてぇなんだが……」

上条「毎晩ワーストたんとミコっちゃんをズッコンバッコン――」


一方通行「かァァァみじょォォォくゥゥゥゥゥン!!!」クワッ


上条「なんだよ」シレッ

一方通行「なンだ なンだよ なンなンですかァァ!? オマエいつから外道に、うぷっ!?」クラッ

上条「ああ何やってんだよ。酔ってるのに急に大声なんか出すから…」

浜面「出したくもなるわっ!! くっそ、一気に酔いが醒めちまった」

上条「そんなに驚くことかぁ?」

浜面「生まれてこのかた一番ビビったわ!!」

一方通行「浮気ってレベルじゃねェぞ……」

上条「浮気なんかじゃねーよ。大体一人しか愛しちゃいけねーなんて法則でもあんのかよ」

浜面「いや、常識があるだろ」

上条「フフン、上条さんに常識は通用しませんことよ」

一方通行「……垣根くン、どうしてっかなァ?」トオイメ


350: 2011/11/03(木) 23:38:25.51 ID:onD62kvQ0

浜面「あーあ、俺は知らねえからな。お前、いつか絶対刺されるぞ」

一方通行「経験者の言葉は説得力があるなァ」シミジミ

浜面「……あのときは痛かった」

上条「あはは、心配いらねーって」ヘラヘラ

浜面「おまっ、その慢心が命取りだってのによ」

上条「だって全部ウソだし」シレッ


一方浜面「「はァ……!?」」


上条「ここまで上手く騙せるとは思わなかったなぁ。お前ら上条さんを何だと思ってんだよ」ヘラヘラ

一方通行「上条ォ……」

浜面「てめえ……」

上条「悪かったってば。つーか最初にからかったのはお前らだろ?」


351: 2011/11/03(木) 23:39:34.55 ID:onD62kvQ0

浜面「関係ねえよ。酔いを醒ましてくれた礼はきっちり――」

上条「取引先から頂いた魔王でございます。お納めください」スッ

浜面「ありがとう上条君! さーて、飲み直すかっ♪」

一方通行「……ったくよォ」ヤレヤレ

上条「ごめんなー。最近 上条防壁(理性の壁)が削られる事態が多発してっからさ。下ネタくらい許してくれよ」

一方通行「迂闊なこと言ってンじゃねェ。言霊には力が宿るらしいぞ?」

上条「インデックス談か? 迷信だろそんなの」

一方通行「迷信ならいいけどなァ?」ニタァ

上条「……肝に銘じておきます」


浜面「うおっ、やっぱ魔王うめぇー!!」ゴキュゴキュ

一方通行「なァに勝手に再開してやがンですかァ! 俺にも注げや三下ァ」スッ

浜面「おう飲め飲め! 上条ぉー! つまみが足りねえ。何か作ってくれー」トクトクトク

上条「はいはい」



352: 2011/11/03(木) 23:41:39.02 ID:onD62kvQ0

浜面「上条を弄って酷いしっぺ返しを食ったんで、今度は第一位様を弄ろうぜぇ」

一方通行「はァン? 俺に疚しいところは無ェぞ?」

上条「そうだよな。俺らの中じゃあ一番普通だもんなぁ」モグモグ

一方通行「オマエらが波乱万丈すぎンだっての」チビチビ


浜面「抱いた女の数なら誰にも負けませんっ!!」ドヤッ


幻想通行「「氏ねっ!!」」

浜面「おー怖い怖い♪」ゲラゲラ

上条「はぁ、お前は全然懲りてねーな」ヤレヤレ

浜面「たってよぉ、無茶できるのは今のうちだろ? ……ぷはぁ」グビグビ

一方通行「そういや上条も随分無茶してンじゃねェか? 癌細胞みてェな速さで、世界中にミサカを浸透させていってンだろ」チビチビ

上条「みんなの期待や将来を背負ってるからな。無茶でも今は突っ走るしかねーよ」

浜面「おおう、気が合うなァ! 俺も突っ走るぜ! 目指せ、百人斬りぃ!」バシバシ

一方通行「オマエはもっと思慮深く生きろ」


353: 2011/11/03(木) 23:43:15.76 ID:onD62kvQ0

浜面「つーかよ、上条が誰にも靡かないのってさぁ、銀髪シスターが美人すぎるせいじゃね?」

上条「はぁ?」

一方通行「…………」モキュモキュ

浜面「考えてもみろよ。あんな美女とずっと同棲してたから審美眼が肥えたんだ。そうに違いねえ!」

上条「ねーよ」

浜面「いやあるね! テメェが番外個体の好き好きビームをスルーしてんのが何よりの証――」

一方通行「……」ヒュッ!

バキィィィィィィィ!!!

浜面「ぶべらっ!?」バターン

上条「浜面!?」

浜面「て、てめえっ!! いきなり何しやが…」

一方通行「十分飲んで食って話しただろォ? もう眠れ」ニタァァ

浜面「絶対に眠らねえっ!! いつまでも負け犬のままと思ったら大間違――」


354: 2011/11/03(木) 23:45:01.39 ID:onD62kvQ0


浜面「…………」シーン

一方通行「余計なことベラベラ喋りやがって。だからオマエは三下なンだよ」チビチビ

上条「は、ははは……」

一方通行「悪ィな、飲めねェのに誘ってよ」

上条「気にすんなって。気を遣わない付き合いって貴重だからさ」

一方通行「そォか……」チビチビ

上条「そーですよ。自分でもビックリするほど制限が厳しいからなぁ」

一方通行「甘ンじて受け入れろ。打ち止めを嫁にするンだろ?」シレッ

上条「……何故ご存知なのでせうか?」

一方通行「あのガキ、片っ端から知り合いに言い触らしてンぞ」チビチビ

上条「Oh……」

一方通行「クックック、毎晩 番外個体と添い寝してるって情報もあるンですけどォ?」ニヤニヤ

上条「……インデックスだな」ゲンナリ

一方通行「嬉々として惚気られたらしい」ニヤニヤ

上条「まあ事実だし、疚しい事もないからいいけど」

一方通行「で? どっちが本命だァ?」ニタニタ


355: 2011/11/03(木) 23:47:39.25 ID:onD62kvQ0

上条「ノーコメントで」

一方通行「ンなシラける答えは許せねェなァ」チビチビ

上条「そろそろお暇しようかなー」ボーヨミ

一方通行「誰にも言わねェから教えろ。出来れば番外個体を選ンで欲しいとこだが」

上条「なんでだよ」

一方通行「あンなじゃじゃ馬の貰い手なンざ、オマエ以外にいねェだろうからなァ」

上条「そ、そんな事ねーだろ。あいつ可愛いし」イラッ

一方通行「見た目が良くても中身がアレだろォが」ケラケラ

上条「……優しくていい子だぞ?」イライラッ

一方通行「オマエやインデックスに対してはな。超電磁砲が大人しくなった分、余計に気性の悪さが際立つっつゥか」

上条「…………」イライライライライライライライライライライライラッ

一方通行「アレを女として見れるヤツは、バカか余程の大物――」


ブチッ♪


一方通行「ブチっ……?」

上条「……一方通行ァァ。酒をついでやるよ」ユラァ

一方通行「か、軽いジョークじゃねェか。お、落ち着け……って、おいその一升瓶は」アセアセ

上条「問答無用、お前も眠れ♪」シュッ

一方通行「ンゥゥゥーーーーーーーーーー!!!」グビグビグビグビグビグビ



356: 2011/11/03(木) 23:49:10.19 ID:onD62kvQ0

数分後


一方通行「すゥ……すゥ……」スヤスヤ

浜面「ぐぅぅ……ぐぉぉ……」スヤスヤ


上条「えーっと、燃えないゴミはこっちの袋にまとめて、燃えるゴミはこっちか」セッセ


ガチャ

禁書「たっだいまーーー!」トテトテ

番外個体「お邪魔しまーす」テクテク


上条「おかえり、もう女子会は終わったのか?」

禁書「うん! とうまの差し入れ、とっても美味しかったんだよ!」

番外個体「シスターさんが殆ど食べちゃったけどねー☆」

禁書「う……」ギクッ

上条「あはは、喜んでくれたならいいさ」ニコニコ

禁書「そ、それにしても酷い有様」キョロキョロ

上条「一通り片付けたし男二人は毛布をかけてあるから、そのまま寝かしといて平気だろ」

禁書「ありがとうね。またアクセラレータたちが無理を言ったんでしょう?」

上条「んな事ねーよ。俺も楽しんでるし」ニカッ

禁書「ふふ、やっぱりとうまは優しいね」ニコッ


番外個体「…………」


357: 2011/11/03(木) 23:49:43.48 ID:onD62kvQ0

上条「そんじゃ俺たちはお暇するか」

番外個体「え、……うん」

禁書「暇が出来たらまた遊びに来てね。今度は私がご馳走するから」

上条「おお、そりゃ楽しみだ」

禁書「仕事に打ち込むのもいいけど、無理をしてワーストに心配かけないようにね」

上条「わかってるって。じゃあお休み、インデックス」

禁書「お休みなさい、とうま。ワーストも送ってくれてありがとうね」ニコッ

番外個体「うん、お休み……」


358: 2011/11/03(木) 23:51:03.77 ID:onD62kvQ0

帰り道――


上条「いやー、すっかり遅くなっちまったなぁ」

番外個体「うん……」

上条「あいつらときたら旨そうに酒を飲みやがって。上条さんも早く飲めるようになりたいなー」

番外個体「うん……」

上条「お前も今日は楽しめたか?」

番外個体「うん……」

上条「ワーストたんは上条さんが嫌いですかー?」

番外個体「ううん、大好き」

上条「俺もだよ。……もちろんインデックスよりもな」ナデナデ

番外個体「え?」

上条「お前は世界で一番かわいいっ!! 上条さんのお墨付きだ」ニコッ

番外個体「~~~~~~~~ッッ///」カァァァ

上条「だからいつもの笑顔を見せてくれよ。俺の大好きな、お前の笑顔をさ」

番外個体「こ、こうかな///」ニヘラ

上条「うわっ、だらしねー」

番外個体「もうっ、てんちょーのバカっ!!///」ギューーッ


359: 2011/11/03(木) 23:52:10.69 ID:onD62kvQ0

番外個体「えっへへー///」スリスリ

上条「俺の見立て通りだな。やっぱあいつ見る目ねーよ」ウンウン

番外個体「ん~? なんのこと?」

上条「いつかの宣言通り、ワーストたんの魅力にやられちまったなぁ、ってね」

番外個体「も、もぉ……。さっきから何なの?///」テレテレ

上条「あー、でも困ったなぁ」

番外個体「???」

上条「マジで困った。お前には誰よりも幸せになって欲しいんだけどなぁ」

番外個体「……てんちょーが傍に居てくれるから、ミサカは幸せだよ?///」モジモジ

上条「ぐふっ……。ワーストたんが彼氏を連れてきたりしたら上条さんは氏にます。最早 即氏は免れません」ズーン

番外個体「ええっ!?」


360: 2011/11/03(木) 23:53:18.35 ID:onD62kvQ0

上条「養子はダメだな。娘さんをください、なんて言われたら…………お、おそろしい。殺人はヤバすぎる……」ガクブル

番外個体「て、てんちょー?」オロオロ


上条「番外個体っ!!」クワッ

番外個体「は、はいっ!?」ビクッ

上条「上条さんは番外個体を手放したくありません。ずーーーーーーーーーーっと、お前の笑顔を独占したいです」キリッ

番外個体「~~~~~~~~ッ!?///」ボンッ!!!

上条「どうすればいいと思う?」

番外個体「お、おおおおよめッ!? みみ、ミサカをおよめさんに……はぅ////」バタンキューー

上条「おっと、……え、気絶してる?」

番外個体「……///」シーン

上条「おぶって帰るか。………………………………お嫁さんかぁ。これは盲点だった」ボソッ



361: 2011/11/03(木) 23:56:51.80 ID:onD62kvQ0

とある医大の学生寮 一方通行の部屋――


一方通行「……帰ったか」ムクリ

禁書「わ、起きてたの?」

一方通行「ちィとやべェ地雷を踏ンじまったから、氏ンだふりしてたンだ」

禁書「ふふっ、なぁにそれ?」クスクス

一方通行「借りは返さねェと、負債は溜まってく一方だからなァ」ヤレヤレ

禁書「あの二人の事? まったく、ワーストはあんなに素直なのに とうまときたら……」

一方通行「ククっ、そいつはどォかな?」クスクス

禁書「なになに! 少しは進展したのかな!?」

一方通行「……内緒だ」

禁書「なにそれー! 私にも教えてよ、ねぇねぇ」ユッサユッサ

一方通行「減るからイヤですゥ」ケラケラ

禁書「減るものじゃないんだから……って、先に切り返さないでほしいかも!?」ガビーン

一方通行「ハッ、オマエの言いそうな事なンざお見通しなンだよ」ドヤッ

禁書「むっきぃぃ~~~~!! そのドヤ顔をやめるんだよっ!!」

一方通行「キスしてくれたらやめてやる」イチャイチャ

禁書「どうしてそうなるの!? まだ酔っ払ってるのかな!?///」イチャイチャ

一方通行「もう待てねェ。いただきまァす」グイッ

ムチューーーーーーーー!!

禁書「んん~~~~~っ!? ……ぷあっ、ご、強引すぎっ、ひゃうん!? そ、そこはぁ……ダメぇぇ!?///」



浜面「……(何おっぱじめる気なのぉぉーーーー!? 起きるに起きれないんですけどおおおおおお!?)」



この夜、上には上がいる事を知ったと、のちに浜面は語ったという


362: 2011/11/03(木) 23:57:34.62 ID:onD62kvQ0
といったところで今回は終了
予定は狂いまくりでも、小ネタには事欠かないなー

363: 2011/11/04(金) 00:02:32.27 ID:LyUpCPTxo
乙!!

浜面カワイソスwwwwwwwwwww

364: 2011/11/04(金) 00:04:48.98 ID:H4m8rivAO
相変わらずの番外固体の可愛さの前に浜面のゲス具合が 霞…まない

368: 2011/11/04(金) 02:46:50.93 ID:cqTmLZ/ao
乙!
インデックスもワーストたんも可愛すぐる


続き:【禁書目録】番外個体「てんちょてんちょー!」上条「はいはい」【後編】

引用: 番外個体「てんちょてんちょー!」上条「はいはい」