67: ◆cKpnvJgP32 2014/08/30(土) 01:42:43.56 ID:7ad2q7TWo


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ





では学園祭2日目投下します

68: 2014/08/30(土) 01:43:15.46 ID:7ad2q7TWo
 ――京華学園――

 ――秋炎絢爛祭――

 ――――2日目――

 ――裏山の消失から数分後――


――まず最初に強烈な閃光があった。

――次いで爆音と地響きが周囲に轟き、遅れて突風が吹いた。

――それらが収まると、やがて現れた光景……。

――というより失われた光景とでも表現すべきか、消え去った裏山。

――程なくして現れるカース達。


――――当然の如く混乱が起こった。
----------------------------------------



それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



69: 2014/08/30(土) 01:43:45.71 ID:7ad2q7TWo
――逃げ惑う人々が向かう先といえば出口だが、

――京華学園広しといえど、その出入口として構えられた門はそう大きいものでもない。

――大多数の人が殺到すればあっという間に栓がされ、すし詰め状態になる。

――ましてや、今は祭りの真っ最中。それも他に類を見ない規模の、である。

――圧倒的な観客動員数が一ヶ所にひしめき合えば将棋倒しなども起こりかねない危険がある。

――更に学園の内外に関わらず散在する的屋の露店が障害物となり、これもまた避難を妨げた。


――いくらか用意された京華学園の出入口のうち、最も広く最も賑わう正門付近。

――そこに今、大勢の人の波が押し寄せ、まさにパニックが起きる寸前……。


『皆さんっ! 落ち着いて下さいっ!』


――ひときわ大きな声がその場に響いた。

70: 2014/08/30(土) 01:44:14.76 ID:7ad2q7TWo
――落ち着いていない人に『落ち着いて下さい』と言って落ち着いてくれれば誰も苦労はしない。

――そんな言葉は何の意味も持たない。ただの不毛な発言だ。

――誰の耳に届くことも無ければ、誰の心に留まることも無い。

――うねる人の波と喧騒に埋没し、ただ消えていくだけの小さな小さな声。

――――だが、不思議な事にその声は皆の耳に留まり、皆の心に届いた。


『冷静になって! 落ち着いて避難しましょうっ!』


――声の伝播と共に、すぅ……、と群衆の不安や焦燥が和らいでいく。

――我先にと出口へ駆けていた者は皆、その速度を緩めた。


『大丈夫ですっ! 能力者がいます! ここは安全ですっ!』


――『女の子の声だ』

――冷静を取り戻した人々は、今更になってからそんなことに気づく。

――『大きな声だ、拡声器か何かを使っているのだろう』

――『何処だろう、あっちの方から聞こえる』

――皆の視線が声の発生源へと向かった。

71: 2014/08/30(土) 01:44:50.51 ID:7ad2q7TWo
藍子『押さない! 駆けない! 喋らない! ”お・か・し”ですよっ!』

――そこには露店の上に登った藍子が、メガホンを携えて声を上げている姿があった。

――皆一様に、彼女を視線に捉えると深い安心が胸の奥にこみ上げてくるのを感じた。


未央「はいはーい! 並んで並んでー! 焦らずに急いでねー!」

――藍子の側に天使の翼を広げ空に浮いた未央が佇んでいたのも、より安心を助長した。

――『恐らくあれが彼女の言う能力者なのだろう』

――『綺麗な翼だ、まるで天使のような……』

――『あの子が我々を守ってくれるのか』

――『よくわからないが、謎の頼もしさがある』

――といった心理が働いたためだ。

72: 2014/08/30(土) 01:45:30.22 ID:7ad2q7TWo
――――『プロダクション』は秋炎絢爛祭に来ていた!

――仕事でも何でもなく、ただ祭りを楽しむ為にやってきた!

――みんなの都合を合わせて、たまたまこのタイミングに正門広場で集合していたのだ!

――なので恐らく留守の事務所に送られたであろう宣戦布告ムービーは誰も見ていない! 残念ッ!!


――ちなみに言うと1日目にも何人か居た!

――なんか、そういう描写とかなかったけど……多分居たのだ!

――特筆すべき事が何も無かったから、描写も無かったのだ!

――今日と違って参加人数もまばらだった事もあるのだろうが、

――各々、大きな事件に巻き込まれる事も無く、つつがなく楽しい1日目を送ったのだろう!

――そういうことにしておいて欲しい!


――だが2日目!

――集まって早々この大騒ぎである!

――こんな時、彼ら『プロダクション』が取る行動といえば、

――すぐさま騒ぎを静め、安全を確保そして避難の誘導、といった人助けだ!


――まず、藍子の能力でパニックを抑える!

――『こんなこともあろうかと』と晶葉が用意していた特製メガホンを藍子に渡し、声を拡大!

――藍子の姿が周りに見えるように、と頑丈そうな屋台の上へ未央が藍子を運送!

――ついでに未央も天使の翼を生やし、藍子の側に漂うことで力のある者が味方にいることを顕示した!

――そして他の者は皆で避難の誘導をしている!


――ちなみに、ヒーローであるアーニャだけは現場へ向かわせた!

73: 2014/08/30(土) 01:46:02.84 ID:7ad2q7TWo
晶葉「ふふん、どうだあのメガホンは。ただのメガホンじゃ無いぞ、もっといいスグレモノだ」

晶葉「まず音が綺麗だろう? どれだけ声量を上げても絶対に音が割れたりはしない」

晶葉「いたずらにやかましく無いのが特徴だ、普通のメガホンはガピガピうるさくてかなわんからな!」

晶葉「そして範囲が広い。遠くまで声が届くというのもそうだが、前方ほぼ180度をカバーしている」

晶葉「何よりその範囲の広さだが、設定で逆に狭めることもできる」

晶葉「つまり、出力を最大限にして一点集中させれば音波攻撃も可能になるのだ!」

晶葉「……まぁ、流石に危険だから安全装置は付けてあるがな?」

ピィ「……おう」


晶葉「なんだ、つまらなそうだな……?」

ピィ「つまらない訳じゃ……、あー、そこ押さないでくださーい!」

博士「私は大いに興味があるぞ、特に……」

ピィ「博士、そこ邪魔です」

博士「おっとすまんね」

晶葉「ほら見ろピィ、やはり分かる人には分かるのだ」

74: 2014/08/30(土) 01:46:28.34 ID:7ad2q7TWo
ピィ「それにしても、博士にまで手伝ってもらわなくても……」

博士「なにこれくらいのこと、普段薫がお世話になってるお礼だよ」

博士「私にもやらせてくれ」

ピィ「……ありがとうございます」

博士「ふふ、君たちは見ていて本当に気持ちがいい……」


晶葉「いいか薫、あのメガホンはだな――」

薫「うんうん――」


博士「晶葉君か……、まだ若いにも関わらず素晴らしい科学者だ」

博士「『天才』というのは、まさに彼女の為にある言葉なのだろうな」

博士「なにより、技術もさることながらとても楽しそうに発明する」

博士「……あの子の前に現れたのがピィ君で良かったとつくづく思うよ」

ピィ「博士……?」

博士「ああ、いや、なんでもない……」

75: 2014/08/30(土) 01:46:58.46 ID:7ad2q7TWo
博士「ところで……」

楓「……」

博士「彼女はどうしたんだい?」

ピィ「あぁ、楓さんはこの騒動で……」

楓「ビール……、私のビールが……」

博士「……」

ピィ「……」

――楓の足元には、空になったカップと泡立った液体が無残に広がっていた。


博士「……じゃあ私はあっちの方に行ってくるよ。薫、おいで」

薫「はーい!」

ピィ「すいません、お願いします」

晶葉「あぁ待て、まだ話は終わってないぞ薫!」

ピィ「って、お前も行くんかい」


ピィ「……」

楓「出店の高いビール……、高層ビール……、ふふっ……」

ピィ「……はーい、列を乱さないでくださーい」

76: 2014/08/30(土) 01:48:04.24 ID:7ad2q7TWo
ピィ「……しかし、意外だな」

愛海「……」

ピィ(師匠が真面目に仕事をしている……、しかも無言で)

ピィ(不気味だ……)

愛海「…7…………2……8…」(ブツブツ

ピィ(……違う、何か小声で呟いてる)


愛海「78…74…82…85…81、いや79か……」

愛海「75…79…89…84…72…うひひ……」

ピィ「……」

ピィ(>そっとしておこう)

77: 2014/08/30(土) 01:48:37.40 ID:7ad2q7TWo
沙理奈「ピ・ィ・さん!」

ピィ「おわっ!?」

沙理奈「ウフ、ただいまぁ~」

ピィ「さ、沙理奈さん……、急に後ろから話しかけないでくださいよ」

沙理奈「ウフフ、ごめんね♪」


ピィ「というか何処に行ってたんですか?」

沙理奈「あー、うん」

メアリー「……」

沙理奈「メアリーが迷子と勘違いされちゃって」

ピィ「あぁ……」


メアリー「ヒドイと思わナイ!?」

メアリー「アタシは立派なレディーなのヨ!?」

メアリー「それをみんなして子供扱いシテっ!!」

メアリー「ピィもそう思うデショ!?」

ピィ「うんそうだね」

メアリー「アタシの目を見て言いなさいヨ!!」

78: 2014/08/30(土) 01:49:10.41 ID:7ad2q7TWo
周子「ピィさんただいまー」

美玲「……」

ピィ「お前らもか!」


美玲「ピィ……、ウチってそんなに子供っぽく見えるか?」

ピィ「いや、見た目はそうでも無いと思うぞ」

美玲「つまり内面が子供っぽいってことかッ!?」

周子「まぁ実際子供だしねー」

美玲「ガルルルル……ッ」


メアリー「……」

美玲「……ん?」

メアリー「……」←実年齢が上

美玲「……」←外見の年齢が上

メアリー(……勝ったワ!)

美玲(……勝ったッ!)

79: 2014/08/30(土) 01:49:40.47 ID:7ad2q7TWo
沙理奈「じゃあ、アタシ達は人手が少なそうな所に行ってくるわねぇ」

ピィ「お願いします」

メアリー「ちょっ、待ちなさいヨサリナ!」

沙理奈「ウフフ、また迷子になっちゃうわよ」

メアリー「ムキーッ!」


周子「じゃー、美玲は迷子にならないように……」

美玲「だから迷子にはなってないぞッ!」

周子「勘違いはされたでしょ?」

美玲「うっ……」

周子「門の上に登って状況をあたし達に教えて欲しいかなー」

ピィ「……?」

ピィ(門の上?)

80: 2014/08/30(土) 01:50:09.40 ID:7ad2q7TWo
美玲「うぅ、わかったよ」

美玲「不本意だけ……」

美玲「どッ!!」バッ!

ピィ「!?」


――『そう大きいものではない』とはいったが、それは”学園の広さと比べて”という意味で、

――腐っても京華学園の正門。大層立派な作りになっている。

――何メートルあるのか目測ではわからないくらい高く、普通によじ登ることは困難、

――……というか、ほぼ不可能に思えるほどであった。


――――が、美玲はいとも容易くその正門の上に”跳び乗った”。

81: 2014/08/30(土) 01:50:42.66 ID:7ad2q7TWo
ピィ「い、今……、美玲が……」

周子「ん? どったのピィさん」

ピィ「いや、何メートルジャンプした……?」

周子「妖怪なんだからあれくらいはできるよー」

ピィ「そういやそうだった……」

ピィ「あんまりアクティブな美玲は見たことが無かったからびっくりしたよ」

周子「機会も無かったからねー」

ピィ「えっと、狼なんだっけ?」

周子「そーそー人狼」


周子「だからさ、無いとは思うけど」

周子「……満月の夜は美玲と一緒に外に居ちゃダメだよ?」

ピィ「……覚えておくよ」

82: 2014/08/30(土) 01:51:14.18 ID:7ad2q7TWo
周子「そういや、なんで『プロダクション』っていうんだろうねー?」

ピィ「どうした突然」

周子「いや、今頃きっとアーニャが苦労してるんじゃないかなーって」

ピィ「ん? どういうことだ?」

周子「ほら、多分……」


同盟スタッフ『君はどこの所属の子かな?』

アーニャ『あー、『プロダクション』の……』

同盟スタッフ『うん、だから”どこのプロダクション”か聞きたいんだけど』

アーニャ『シトー……?』

同盟スタッフ『……参ったなぁ、言葉がわからないのかな』

アーニャ『ニェート、言葉はわかります』

同盟スタッフ『それじゃあ、どこの子か教えてくれるかな?』

アーニャ『『プロダクション』のアナスタシアです』

同盟スタッフ『……』

アーニャ『……?』


周子「……って事になってるんじゃないかなー?」

ピィ「……なってないといいな」

83: 2014/08/30(土) 01:51:51.87 ID:7ad2q7TWo
千枝(みなさんこんにちは、佐々木千枝です)

千枝(千枝は最近、憧れのお兄さん……)

千枝(……皆さんからはピィさんと呼ばれてる男性ですね)

千枝(彼が働いている『プロダクション』という組織に、たまにお手伝いをしに行ってます)

千枝(少しでもお兄さんの側でお役に立ちたい、という思惑があったのも事実ですが)

千枝(それ以上に『プロダクション』の皆さんがとても素敵な人たちばかりで)

千枝(すぐに『プロダクション』の事が大好きになってしまいました)

千枝(ええ、本当に皆さんとても素晴らしい人たちで)


千枝(――そして殆どが女性です)

千枝(しかも全員とっても美人です)

千枝(更に皆さん、お兄さんと仲良しです)

千枝(それでも千枝は……、負けません)

千枝(ライバルがどれほど強敵でも、いずれ千枝が必ずお兄さんの心を射止めてみせます!)

千枝(以上、佐々木千枝でした)

千枝「しっかり列を守ってください! こちらです! ここは安全ですから慌てずに――」


ピィ「しかし千枝ちゃんは小学生なのにしっかりしてて偉いなぁ」

ピィ「誰とは言わんが、うちの何人かもあの子を見習って欲しいもんだ」

周子(……最早何も言うまい)

84: 2014/08/30(土) 01:52:36.42 ID:7ad2q7TWo
社長「うむ、やはり彼をスカウトしたのは正解だったよ」

ちひろ「……えっ? 今までのどこにそんな要素が?」

社長「あんなにも皆に慕われているじゃないか」

ちひろ「物は言いようですね」

社長「私の若い頃を見ているようだよ……」シミジミ

ちひろ「ピィさんが社長のようになるとはとても……」

ちひろ「あっ、そういえば以前から聞きたかったんですが、何で『ピィ』さんなんですか?」

社長「ん? そういえば話したことは無かったか」

社長「まぁ別に隠していたわけでも無かったんだが」


社長「こういう、能力者と能動的に関わる仕事をしていると何かと危険やリスクが付きまとってきてね」

社長「特に我々のしていることは、メリットが少ないどころか他の組織に目をつけられやすい」

社長「そしてそういう組織は大抵、能力者を利用するようなタチの悪い所が多くてねぇ」

社長「まぁ、彼の身辺を守るための措置、と言ったところかな」

ちひろ「じゃあその為の、偽名……?」

社長「それだけじゃあない」

社長「彼が『ピィ』と名乗っている限り、彼の素性に関してあらゆる詮索をシャットアウトできる……」

社長「という”おまじない”が掛かっているんだよ」

ちひろ「……えっと?」

社長「商売敵に彼の情報が漏れることは一切無いということだよ」

85: 2014/08/30(土) 01:53:13.84 ID:7ad2q7TWo
社長「流石に千枝君のような”既に彼の素性を知っている人物”には効かないが」

社長「しかし、そういった人物は”ピィ君の身内”として認識される」

社長「つまり彼女自身も”加護”の対象になっているので安全なわけだね」

ちひろ「……そういう『能力』が掛かっている、ということですか?」

社長「以前も言ったかな? 幸いなことに私には”友だち”が多いんだよ」

社長「知っての通り周子君もその内の一人だがね」

ちひろ(……つまり、彼女レベルの”友だち”が他にも居るってことですよね)

ちひろ(相変わらず底が知れない人だなぁ……)

86: 2014/08/30(土) 01:53:53.48 ID:7ad2q7TWo
ピィ「いやぁ、しかしタイミングが良かったな」

周子「ん?」

ピィ「ほら、今俺たちが居なかったらもっと大変な事になってただろ?」

ピィ「本当、間が良いな俺ら」

周子「……」


周子(逆だよ)

周子(他の人なら、ついてない、運が悪い、って嘆く場面なんだけどなー)

周子(……でも)

――周子が『プロダクション』の面子をそれぞれ見やった。

――何も無ければ今頃、全員で祭りに繰り出し、

――面白おかしく、様々な催しに興じていたであろうに。

――しかし、皆が皆真面目……という訳でもなかったが、

――誰一人、この状況に不満気な者は居ないようだった。

――むしろ楽しんでいる節すらあるように感じる。

――周子は先程の龍崎博士の言葉を思い出した。

博士『ふふ、君たちは見ていて本当に気持ちがいい……』


周子(本当、その通りだね……)

周子(だから”ここ”が大好きだよ)

――それは周子が『プロダクション』に居続ける理由でもあった。

87: 2014/08/30(土) 01:55:02.24 ID:7ad2q7TWo
以上です。
『プロダクション』に関係する子数人をお借りしました。(大雑把)

急遽書き始めてさっさと投下する予定だったのに、何かとあって(言い訳)
まぁ、色々と雑です(言い訳)
後半にかけて失速していく感じを何とかしたい(切実)

現行の設定と矛盾とかがありませんように……
あと勢いで色々とぶっ込んでます

88: 2014/08/30(土) 01:55:51.52 ID:7ad2q7TWo
フラグのようでフラグじゃない誰か拾ってくれたらいいなー的なフラグ(本人に拾う気はない)

・晶葉に関して

―晶葉の科学力って、昨今の物騒なノリだと結構喉から手が出るほど欲しい
 って所が多そうだなー、と思い。

・美玲に関して

―美玲が実は強かったら、という以前からの主張を現実にした模様。

・ピィに関して

―実は初期からあった設定。
 といっても、『ただの偽名』程度のものだったのを後付けで魔改造した結果。



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part11