111: ◆TR1LSc8rto 2014/09/03(水) 15:01:37.87 ID:NZLCqspmo


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



 一年振りなので酉チェック
久々なので自分が設定したキャラを借りて次から書いてみる
齟齬が生まれたらすいません…

112: 2014/09/03(水) 15:03:32.82 ID:NZLCqspmo
白兎からユズを救いだし、保健室まで運び込んだキヨラは、ベルフェゴールに白兎の詳細について問いただしていた。
しかし、ベルフェゴールから聞いた情報は、あまりにも呆気なく、そして理解し難いものだった。

キヨラ「―――情報の獲得が出来ない?」

ベルフェゴール「全部が全部ってわけじゃないんだけど…」

ベルフェゴールの能力は、彼女が一度でも【見た】のであれば、その対象の情報を全てを把握することが出来る情報獲得。
個人的プロフィールはもちろん、対象の目的や弱点までも見抜く、全知全能ともいえる怠惰の魔法。
今でこそキヨラにこき使われ自身の魔力は大幅に衰えてはいるものの、その能力の正確さ、恐ろしさはキヨラも充分に理解している。

ベルフェゴール「一応、通り名みたいなのは表示されて……ます」

キヨラ「……」

―――しかし先ほど相まみえた白いモノ

白兎の情報に関しては、そんな彼女の能力でも把握しきれないというのだから驚きを隠せない。
ベルフェゴールに差し出された白兎のバグ画面を見つめながら、キヨラは問う。

キヨラ「ねぇベルフェゴールちゃん、この情報の欠陥部分を解析することは貴女の能力の範囲外になってしまうの?」

ベルフェゴール「あたしの能力は、対象そのままの情報を取り入れて、そのままの状態で再生するものだから…」

ベルフェゴール「情報の書き換え…ましてやデバッグ機能なんてものはついてない…です」

キヨラ「そう…」

キヨラ「(ベルフェゴールちゃんの能力で把握しきれないのならば、現時点ではあの白いモノについて追及するのは不可能かしら…)」

けれども可愛い後輩に手をかけた以上、簡単に見過ごすというわけにもいかない。
キヨラは諦めずにベルフェゴールに踏み込んでみる。
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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



113: 2014/09/03(水) 15:04:21.40 ID:NZLCqspmo
キヨラ「情報が獲得しきれない理由というのはわかってるの?」

ベルフェゴール「うーん…」

ベルフェゴール「考えられる理由はいくつかあるんだけど…」

キヨラ「どんな些細なことでもいいの。教えて?」

ベルフェゴール「……」

事細かに説明するのなんて面倒、とは思ったがベルフェゴールにとってはキヨラに怒られる方がもっと面倒なことだったので仕方なく口を開く。

ベルフェゴール「まず1つ目は、対象が多くの情報を持ち過ぎてること」

ベルフェゴール「って言っても、あたしは対象の過去の情報まで全て獲得出来るし、獲得出来る情報の容量に制限も無いから、この線は薄いと思う…ます」

キヨラ「けど、そういう可能性も無きにしもあらずってことね。…続けて?」

ベルフェゴール「はぁーい…」

114: 2014/09/03(水) 15:05:23.65 ID:NZLCqspmo
ベルフェゴール「2つ目は、対象が【解析無効】のスキルを持っている」

キヨラ「過去にそういったケースはあったの?」

ベルフェゴール「無い…です」

ベルフェゴール「さらに言うと【解析無効】っていうスキルの情報はあたしは持っていないから…」

キヨラ「貴女でも、そういった能力が存在するのかどうかもわからない…か」

実際、回復・補助魔法の知識に長けているキヨラでも【自身の持つ情報を外部に漏れさせない】なんていう魔法は聞いたことも無い。
もし存在するとならば、人払いの魔法の上位系にあたるのだろうか?
そもそも、能力によるものとはいえ、自分よりも圧倒的な知識量を持ってるいるベルフェゴールが把握していない時点でそんな能力が存在するかさえ疑わしい。

―――圧倒的な情報量

―――解析無効

2つとも可能性としては不確定なうえ、白兎の正体を導き出すには乏しい情報だ。
それでも引き出しが無いよりはずっと良い。
キヨラはさらにベルフェゴールに問いただす。

115: 2014/09/03(水) 15:06:36.51 ID:NZLCqspmo
キヨラ「今言った2つの他に考えられる原因はもう無いの?」

ベルフェゴール「あたしが考える可能性としては、これが最後になるけど…」

ベルフェゴール「3つ目は…対象の存在自体がバグっている」

キヨラ「…どういうこと?」

ベルフェゴール「うーん…なんて言ったら良いかなぁ…」

ベルフェゴール「キヨラさんは、あたしの能力があらゆる対象に対して有効なのは知ってますよね?」

キヨラ「ええ、もちろん」

キヨラ「人間、動物、神、天使、悪魔といった生命を持つ者の全て…」

キヨラ「更にはコンピューターゲームといった意思の持たない物が対象であっても…」

キヨラ「貴女の能力なら全ての情報を獲得出来る…合ってるかしら?」

ベルフェゴール「正解…です」

ベルフェゴール「でも…」

ベルフェゴール「――そのどれにも当てはまらない【認識されていない存在】だったら?」

キヨラ「――!」

116: 2014/09/03(水) 15:08:11.68 ID:NZLCqspmo
ベルフェゴール「…まぁ、あくまで可能性ですけどね……はぁ…」

普段よりも多く喋りすぎたためか、ベルフェゴールがぬいぐるみの状態でもわかるくらいに精神的な疲労の色を見せる。
キヨラはそんなベルフェゴールの頭に手を置き、優しく撫でる。

ベルフェゴール「わっぷ…?」

キヨラ「可能性でも充分よ、ベルフェゴールちゃん」

ベルフェゴール「……」

自身に向けられた柔らかな笑み。
普段キヨラには散々こき使われているベルフェゴールからしたら、違和感の塊そのものだった。
が、不思議とイヤな感じはしなかった。

ベルフェゴール「(労働なんて覚えたせいで、あたしの性質自体が変わりつつあるのかなぁ…)」

七つの大罪の一つを「怠惰」を司るベルフェゴール。
人間界でカースを生み出したり、ゲームソフトの不正ダウンロードの悪事を働いた前科はあるにしろ、その根本は邪悪では無い。
最初にユズと対峙し、勝利した時もユズの命を奪うこともせずその場を後にしたり、むしろユズを自身の仲魔に迎えようともした。
他の者を堕落させることが本質と言えば聞こえは悪いが、ベルフェゴール自身争い事は好まないし、何よりも無作為に他の者の命を奪うような真似は決してしない。
「面倒だから」と言ったらそれまでだが。

ベルフェゴール「(……まっ、いいか)」

ベルフェゴール「(あたし自身を解析するなんて面倒なだけだしっ)」

キヨラと行動を共にし、ベルフェゴールの中で何かが変わりつつある。
が、彼女がそれに気づき、受け入れて生きてくのかは本人はもちろん誰も知る由はない。

117: 2014/09/03(水) 15:09:34.92 ID:NZLCqspmo
キヨラ「【認識されていない存在】…」

キヨラ「つまり【本来は存在してはいない存在】って考えて良いのよね」

ベルフェゴール「そうだと思いますけど…」

ベルフェゴール「それじゃあ、なんのこっちゃって感じですよ」

「―――つまり【本来は存在しないものによって生み出された】ってことかしらぁ?」

キヨラと行動を共にするもう一つのぬいぐるみが突如口をはさむ。
二人の会話を聞き飽きたのか、はたまた何か思うことがあるのか。

キヨラ「そうね、ルシファーちゃん。その線で考えていくのが今はもっとも有力ね」

ルシファー「なるほどねぇ…」

ベルフェゴールとは違い、その根本は邪悪そのものといった「傲慢」のルシファー。
二人の会話が導き出した結論に対して妙に納得をした様子だ。

キヨラ「…ルシファーちゃん、貴女もしかして何か知ってるの?」

ルシファーは含むように笑う。
が、隣にいるベルフェゴールを見るやいなや、彼女にしては珍しい自嘲するかのような笑いに変わる。

ルシファー「どうせ隠してもベルフェゴールの能力で私の考えてることなんて筒抜けなのよねぇ…」

ルシファー「ホント、いやらしい能力なんだからぁ…」

ベルフェゴール「人に協力プレイを求めたこともあったくせに…」

キヨラ「こーら。ケンカしないの」

ルシファー「…はぁい」

ベルフェゴール「むぅ…」

118: 2014/09/03(水) 15:10:33.55 ID:NZLCqspmo
キヨラ「ルシファーちゃん、私のことはどう思ってても構わないわ」

キヨラ「むしろ恨まれていても仕方ないと思ってる」

キヨラ「勝手だけど、それでも必要だと思われる情報は知っておきたいの」

キヨラ「だからお願い。貴女の考えを聞かせて?」

ルシファー「…別にそんな下手に出なくても教えますよぉ」

ルシファー「けど、あくまで憶測ですからね?」

キヨラ「構わないわ。ありがとう」

キヨラはルシファーに感謝の気持ちを告げる。
ルシファーはその言葉を聞き入れたのか聞き入れてないのかわからないが、少し間を置くと隣にいるベルフェゴールに話しかけた。

ルシファー「そもそもベルフェゴールもおかしいと思わなかったわけ?」

ベルフェゴール「へ?何がさ?」

ベルフェゴールはきょとんとする。
今はルシファーの思考を読んでいるわけでは無いので、いきなり話しかけられると思わなかったからだ。

119: 2014/09/03(水) 15:11:40.23 ID:NZLCqspmo
ルシファー「…と言っても、私も最初は疑問に思わなかったし」

ルシファー「貴女の解析結果を見ても意味不明だったしねぇ…」

ベルフェゴール「…?」

疑問?
何のことを指しているのだろうか?
そもそもその疑問だらけの白兎の話をしているわけなのだが他に何かあるのだろうか?

ルシファー「キヨラさんも、キヨラさんよぉ」

キヨラ「…どういうこと?」

キヨラも未だにルシファーが何を伝えたいのか理解出来ない。
そんな様子を見て、ルシファーは優越感を感じたのか明るいトーンで言い放つ。

ルシファー「そもそもぉ…」

ルシファー「―――七つの大罪の以外の罪がカースを生み出していること自体があり得ないんですよぉ♪」

キヨラ「――!」

ベルフェゴール「…あー、そういえば」

ベルフェゴールが思い出したように口を開く。

120: 2014/09/03(水) 15:12:43.35 ID:NZLCqspmo
ベルフェゴール「カースを生み出すことが出来るのは七つの大罪を背負った者達だけ…」

ベルフェゴール「だけど、あいつらの属性は――」

キヨラ「「正義」…ね」

ルシファー「そういうことぉ♪」

ルシファーはおどけた口調でさらに言葉を続ける。
ベルフェゴールさえも知らない大罪の伝え。

ルシファー「七つの大罪には【存在しない】八つ目の罪…」

ルシファー「それが「正義」と「狂信」よぉ♪」

キヨラ「【存在しない】八つ目の罪…」

ベルフェゴール「ちょっと待って?「正義」と「狂信」だと9つじゃないの?」

ベルフェゴール「それともルシファーさんみたいに「傲慢」と「虚飾」がセットになってるってこと?」

ルシファー「さぁねぇ。そこまではあたしも知らないわぁ」

ルシファー「だって【存在しない】ものなんだものぉ」

キヨラ「……」

121: 2014/09/03(水) 15:14:11.69 ID:NZLCqspmo
キヨラ「(ルシファーちゃんの考えが、もし正しいと過程するならば…)」

キヨラ「(その【存在】を生み出した【存在】とは一体…)」

不確定な情報ではある。
けれども大罪には本来【存在しない】「八つの目の罪」という伝えがあるという情報は非常に有力なものだ。

ベルフェゴール「自然発生っていう可能性は無いのかな?」

ルシファー「自然発生にしても、人間の強い感情が核になって生み出されるものだしぃ…」

ルシファー「人間から生み出されたのなら貴女の能力で解析可能なはずでしょうぉ?」

ベルフェゴール「うーん…それは確かに」

ルシファー「あと、罪を持つカースを浄化して罪とは別の属性を与えるっていうもの可能らしいけどぉ…」

ベルフェゴール「ただの属性変化っていう情報なら、あたしの能力で拾えるね」

ぬいぐるみ達が、あれやこれやと意見を述べる。
客観的に見れば微笑ましいものだが、どちらも罪を司る罪人。
少し異様な光景だ。

キヨラ「…うん。今はこれで良いわ。二人ともありがとう」

キヨラはぬいぐるみ達の会話を中断させる。

122: 2014/09/03(水) 15:15:20.78 ID:NZLCqspmo
キヨラ「本体が先か、生み出された原因が先か、いずれは辿りついてみせるわ」

キヨラ「…この子の為にもね」

未だ目を覚まさないユズの髪を優しく撫でる。
もう少し早く駆けつけていれば…なんて悔やんでいる時間は無い。

ルシファー「…不思議なモノねぇ。私達を狩った氏神と、形はどうあれまたこうやって出会うなんて」

ベルフェゴール「いずれは利害一致で協力プレイ?…ありがちだけどちょっとなぁ」

流石に自分達を狩った者を前にしてるせいか、二匹の悪魔は複雑な感情を抱いているようにも見える。
しかし、そんな二匹のうちの一匹の悪魔からは意外な言葉が放たれた。

ベルフェゴール「けど、氏神さんの過去情報を引き出せば白兎が持つ能力の詳細ぐらいはわかるかな」

その言葉を聞いたキヨラがすかざず反応を示す。

キヨラ「ベルフェゴールちゃん、貴女の能力って、対象人物が過去にどんな戦闘をして、どんな攻撃を受けたかまでも事細かに把握出来るの?」

キヨラは問いただす。
するとベルフェゴールからは、キヨラが予想する以上の返答が返ってきた。

123: 2014/09/03(水) 15:17:03.85 ID:NZLCqspmo
ベルフェゴール「あたしが一度「見た」対象が「生命」なら、その「生命」がこれまでに歩んだ全てのルートを完璧に把握出来ますよ?」

ベルフェゴール「ちなみにその過去のルートは、映像化して再生することも出来るけど…」

キヨラ「!?」

ベルフェゴール「知らなかった?…でしたっけ?」

キヨラ「……」

キヨラ「ベルフェゴールちゃん」

ベルフェゴール「はい?」

キヨラ「そういうことはもっと早く言わないとダメでしょ!」

ベルフェゴール「え、えぇっ!?なんで怒られるの!?」

ルシファー「ホント、貴女の能力って盗撮魔よねぇ…」

ベルフェゴール「やめてよ、そういう言い方っ!」

キヨラ「つまりユズちゃんと白兎の戦闘している様子も再生出来るってことで良いのよね?」

ベルフェゴール「まぁ、出来ますけど…」

キヨラ「ちょっとやってみてもらっても良いかしら?」

ベルフェゴール「いやでも、過去の映像再生って結構疲れるんですよねぇ…」

キヨラ「やってくれるわよね?」

ベルフェゴール「……」

キヨラの無機質で威圧感の笑顔。
ベルフェゴールは泣く泣くユズの情報を呼び出し、再生の準備へと取り掛かった。

124: 2014/09/03(水) 15:22:11.13 ID:NZLCqspmo
情報

・キヨラが八つ目の大罪、「正義」と「狂信」の伝えを知りました
・キヨラの目的に【存在しない】「正義」と「狂信」を調べることが追加されました
・ベルフェゴールのキヨラに対する親愛度が上がりました?
・ベルフェゴールがユズの情報からVS白兎との過去映像を流す準備に取り掛かりました

125: 2014/09/03(水) 15:25:57.97 ID:NZLCqspmo
・過去映像再生

ベルフェゴールが手に入れた対象の過去の情報を映像化して再生する能力。
再生、停止する箇所は任意で操作可能。
本来ベルフェゴールの魔翌力は無限大なので、その気になればその対象の一生分の過去を映像化して再生することも出来る。
でも疲れるからやらない。

126: 2014/09/03(水) 15:27:28.77 ID:NZLCqspmo
久々に書いたけどやっぱり難しい…
なんか酉も違ってるし…

ベルフェゴールはお気に入りです
他の人が使ってくれて感謝してますです

127: 2014/09/03(水) 15:34:31.28 ID:20/mDPFD0
乙ですー
ベルフェゴール&ルシファー、◆lbKlS0ZYdV.M氏か!おかえりなさーい

過去の映像も見れちゃうのか、ますます強い情報能力(ただし疲れる)
ベルフェゴールちゃんの親愛度が上がった…だと?こりゃMAXにせねば(錯乱)



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part11