462: ◆3QM4YFmpGw 2014/11/24(月) 18:38:35.63 ID:e0TOnADw0


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



そしたら投下しますえー
学園祭二日目、将軍が落っこちてくるまでのお話

463: 2014/11/24(月) 18:40:04.87 ID:e0TOnADw0

星花「…………」

隊長「…………」

お互いに、言葉は無い。

正確に言うなら、言葉が出ない。

星花は、自らの軽率な行動で正体を知られてしまった事を悔いていた。

カイと亜季に、何と言って詫びれば良いと言うのか。

隊長は、探し続けていた目標と思いもよらないタイミングでの遭遇に戸惑っていた。

正体が分からなかったとはいえ、仕える令嬢に暴言を吐いてしまった自責の念もある。

隊長「…………お嬢様、いえ…………星花」

星花「…………はい、月葉姉様…………」

隊長……月葉に名を呼ばれ、星花は俯いたまま返事する。

月葉「ずっと、探していた……さあ、帰ろう。総裁……叔父様も心配している」

月葉はゆっくり星花に近付き、優しくその手を取った。

星花「やっ……!」

反射的に、その手を振り払う。

月葉「ッ……星、花…………?」

星花「あっ…………」

月葉「…………」

星花「…………」

再び、二人の間に長い沈黙が訪れる。
----------------------------------------



それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



464: 2014/11/24(月) 18:41:00.44 ID:e0TOnADw0
その沈黙を、一人の少女が破った。

響子「あっ、ちょっとそこの人! 危険ですよ!」

星花「……?」

月葉「な、何だ?」

響子「私はGDFの者です。これから、学園破壊を目論むテ口リストの撃退作戦が実施されます。敵要塞の破片等が落下する危険があるので、速やかに学園敷地外か建物の中に避難して下さい!」

響子は制服胸元のエンブレムを示して敬礼し、二人に事情を説明した。

月葉「了解した。……お嬢様、一度落ち着いて二人で話し合いましょう」

星花「……分かりました。行きましょう、ストラディバリ」

ストラディバリ『レディ』

星花の呼び掛けに応え、ストラディバリがユニコーン形態に変形する。

響子「……あれっ?」

不意に、響子が地面に落ちていたペルソナ……星花のノーヴル・ディアブルを拾い上げる。

響子「これは、あなたの落とし物ですか?」

星花「あっ、申し訳ありません……ありがとうございます」

星花は一礼してペルソナを受け取ると、ストラディバリの背に乗った。

月葉「……失礼」

ストラディバリ『レディ』

月葉がその後ろに乗ると、ストラディバリは学園の外へ勢い良く駆けていった。

響子「よしっ、他にはいないかな?」

それを見届けた響子は、周囲を見渡しながら駆け出した。

――――――――――――
――――――――
――――

465: 2014/11/24(月) 18:42:19.85 ID:e0TOnADw0
――――
――――――――
――――――――――――

学園屋上。

パップ達が将軍撃退作戦のスタンバイに入っていた。

パップ「そっちの準備はどうだ?」

手に持った通信機を使い、パップが待機中の突入組に問いかける。

爛『ああ、全員配置に着いた。手榴弾も受け取ったが……』

奈緒『避難がまだみたいだ。それに、校庭で海底都市の戦闘外殻が戦ってる』

拓海『一般人みてぇのもいるな、奴らの仲間か?』

パップ「そっちもか?」

ライラ『? そちらにもいらっしゃいますのですか?』

パップ「ああ、一人だけな。近くにいるナチュルスターと何か話してるようだが……」

パップが別棟の屋上を見やる。

そこではナチュルスターと呼ばれる二人の少女と、ギターのようなものを担いだ戦闘外殻使いが何やら話し込んでいた。

爛『なんだよ、どっちも似たような状況だな』

パップ「ん、どういう事だ?」

――――――――――――
――――――――
――――

466: 2014/11/24(月) 18:46:22.92 ID:e0TOnADw0
――――
――――――――
――――――――――――

裏山跡付近。

爛「言ったまんまだ。何か変な奴が相葉先輩と話し込んでいやがる」

爛が目を向けた先には、夕美と何やら言葉を交わす不思議な雰囲気の女性が立っていた。

オトハ「貴女にも解るのですね……命達の悲鳴が」

夕美「うん、だから将軍って人が絶対に許せないの!」

パップ『うーん……一般の方なら避難していただきたいんだがな……』

爛「だよなあ……あっ、ちょっ、何すんだアンタ……おいっ!」

爛の通信機をそっと奪い取ったオトハが、パップに語りかける。

オトハ「彼女達の上司にあたる方ですね……事情はお聞きしました。私にも手伝わせて下さい……」

パップ『な、なにぃ!? ちょっと待て、気持ちは嬉しいがアンタ誰だ!? 名前は!? 所属は!?』

オトハ「…………名はオトハ、この母なる星から授かった名です。所属…………所属は、ありません」

パップ『要するに一般か……気持ちは嬉しいがねオトハさん、コイツぁ我々の仕事だ。早いトコ避難して……』

夕美「パップさん、私からもお願い! オトハさんはえっと、その……私と同種の能力者なの! それもすごく強力な!」

パップの言葉を遮って、横から夕美が口を挟む。

パップ『う、うーむ……』

467: 2014/11/24(月) 18:47:31.70 ID:e0TOnADw0
拓海「……手が多いに越した事はねえんじゃねえか?」

奈緒「そうだな。そんなに強力なら手伝ってもらうのも手かも」

爛「ま、此の期に及んで同盟の面目がーってのも……なぁ?」

ライラ「そうでございますねー。まんがいち学校が壊れては一大事ですますので」

パップ『ぐ、ぐぬぬぬ……』

状況は、完全に四面楚歌だった。

拓海達の主張は何も間違っていない。

となれば、パップの取る選択は……。

パップ『……分かった。オトハさんにも協力を頼もう』

夕美「やった! ありがとうパップさん!」

パップの言葉を聞いて夕美が飛び跳ねた。

ライラ「良かったですね、ユミさん」

オトハ「…………急いだ方が、良いかも知れません……」

オトハが天を仰いで呟く。

奈緒「何かあるのか?」

オトハ「…………悪意の切っ先が、もう喉元にまで……」

拓海「……まさか、将軍の野郎ッ!?」

――――――――――――
――――――――
――――

468: 2014/11/24(月) 18:48:48.67 ID:e0TOnADw0
――――
――――――――
――――――――――――

パップ「マジで今ぶっ放す気なのか!?」

オトハ『……恐らくは』

パップ「なんてこった…………仕方ない、お前ら急げ!」

パップが大声を張り上げ、屋上で待機していたメンバーに準備を促した。

菜々「うぇえっ、避難は済んだんですか!?」

パップ「まだだ。だが、どうやら向こうが待ちきれないらしい!」

李衣菜「そんなっ!? 破片が落ちてきたらどうするのさ!?」

パップ「最悪、お前らに破片の迎撃を頼む事になるな。とにかく急げ!」

時子「チッ、余計な仕事を増やしてくれるわね……」

夏樹「しょうがねえ、悪党が約束守る義理もねえからな!」

シャルク『……いけません!』

突然、上空を見上げたシャルクが声を上げた。

梨沙「な、なに!?」

シャルク『じょうくうより、こうエネルギーはんのう! はっしゃすんぜんとすいそくされます!』

――――――――――――
――――――――
――――

469: 2014/11/24(月) 18:49:55.73 ID:e0TOnADw0
――――
――――――――
――――――――――――

ティラノ「……おい、上で何か来るぞ」

周辺にいたカース、その最後の一体を蹴散らした後、ティラノが空を見上げ呟いた。

カイ「えっ? ……何も見えないよ」

カイがティラノの視線を追うが、そこには何も見えない。

ティラノ「まあ、普通の人間にゃ見えねえだろうな……ありゃ撃って来るぞ」

サヤ「え、ええっ!? マキノが傍受した通信では、砲撃は24時間後って……」

スパイクP「チッ、将軍の奴め自分を曲げやがったな!」

サヤとスパイクPが、それぞれ驚きと怒りの声を上げる。

カイ「……あ、そうだ! スパイクPさん、あの攻撃防げるって言ってたよね!?」

カイがスパイクPに向き直る。

先程エマやサヤとの会話で、スパイクPは確かに「あれなら防げるかも知れない」と言っていた。

スパイクP「……いや、出来ない」

しかし、スパイクPはそれをすぐさま否定した。

カイ「ええっ、何で!?」

スパイクP「『怒り』が足りねえ。まだあの時の技は出せねえな……」

カイ「そ、そんな……」

470: 2014/11/24(月) 18:51:02.10 ID:e0TOnADw0
サヤ「……スパイクPさんのバカ! オタンコナス! アンポンタン!」

カイ「!?」

スパイクP「!?」

ティラノ「!?」

サヤの突然の暴言に、三人は思わずたじろいだ。

カイ「さ、サヤ? いきなり何を……」

サヤ「怒りが足りないなら、スパイクPさんを怒らせればいいでしょ? ほらカイも」

ティラノ「……いや、そう単純なモンなのか?」

ティラノが呆れる。しかしカイは、

カイ「なるほど! スパイクPさんのアホ! えーっと……アホ! アホ! アホ!」

非常に少ない語彙で、力の限りスパイクPを罵倒し始めていた。

スパイクP「…………」

サヤ「ほら、そこのお兄さんも!」

ティラノ「お、俺もか!?」

サヤ「言わなきゃサヤ達消し炭よ!」

ティラノ「…………えぇい! あー、えー…………あっ、トゲ! このトゲ! トゲ!」

やがて意を決したティラノも、慣れない悪口で罵倒に加勢する。

スパイクP「…………」

スパイクPはというと、その罵詈雑言に黙って耳を傾けていた。

固く握った拳をプルプルと震わせながら。

――――――――――――
――――――――
――――

471: 2014/11/24(月) 18:51:56.87 ID:e0TOnADw0
――――
――――――――
――――――――――――

遡る事数分、学園上空、野望の鎧操縦席。

将軍はカメラで地上の様子を観察していた。

逃げ惑う者、隠れる者、立ち向かわんとする者、現れたカースと戦う者と様々だ。

そんな将軍の目が、ある一点で止まった。

将軍「む? 奴は確か……」

カメラに映ったのは、サヤ。

将軍「ふん、分不相応にも我々に手を組もうなどと抜かしおった海底の小娘ではないか」

サヤが各組織に接触した時、家畜派吸血鬼とも接触していたのだ。

無論、将軍はそれを二つ返事で突っぱねたが。

将軍「さては協力を断られた腹いせに我の計画を邪魔立てる気だな? ふん、そうはいくものか」

少々的外れな推理で納得した将軍は、操縦桿を操作した。

鎧の肩が変形して大砲になり、砲口が下へと向けられる。

標的は…………サヤ。

将軍「クククク……」

含み笑いをしながら、主砲の出力を絞る。

今の標的はあくまでもあの海底人。学園は24時間後のお楽しみだ。

将軍「思い知るが良い、矮小な小魚共め。審判の砲弾、撃てぇっ!!」

紅い光が砲口に集まり、やがて、放たれた。

――――――――――――
――――――――
――――

472: 2014/11/24(月) 18:52:44.82 ID:e0TOnADw0
――――
――――――――
――――――――――――

サヤ「不遇! 安月給! 噛ませ犬!」

カイ「アホアホ! アホ! アホアホアホアホ!」

ティラノ「トゲ! この……トゲ! トゲ!」

校庭の中央、スパイクPへの罵倒の嵐は続いていた。

スパイクP「…………」

スパイクPの体の震えも、次第に大きくなっていく。

カイ「アホアホアホアホアホアホアホアホォ!!」

ティラノ「トゲ! トゲトゲ! トゲアリトゲナシトゲトゲ!!」

サヤ「不憫! 空気! ホントは初登場で氏ぬ予定だったクセにー!!」

サヤの悪口がメタフィクションな領域に差し掛かった、その時。

スパイクP「……っせぇ」

カイ「えっ?」

473: 2014/11/24(月) 18:54:07.84 ID:e0TOnADw0




スパイクP「うっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!」

ついに、スパイクPがキレた。

サヤ「やった、成功よぉ!」

ティラノ「えっ、これ成功? ホントに成功なのかオイ?」

勢い良くガッツポーズを決めるサヤに、ティラノは思わずツッコミを入れる。

カイ「す、スパイクPさん! その怒りはこっちじゃなくて空に! 空に!」

スパイクP「言われなくても分かってる!」

スパイクPは吐き捨て空を睨んだ。

スパイクP「来やがれ将軍! ハァァァァァァァァァ……!」

スパイクPが腰を落とし気合を入れると、全身の棘が紅く発光して震えだした。

その時、空もまた同様に紅く光った。

サヤ「な、なに!?」

ティラノ「来るぞ! 砲撃だ!」

野望の鎧から放たれた審判の砲弾が、校庭へ一直線に降って来る。

カイ「わああああ!? す、スパイクPさんんん!!」

スパイクP「黙ってろ!」

スパイクPが更に腰を深く落とし、両腕を眼前で交差させるポーズをとった。そして、

474: 2014/11/24(月) 18:55:05.43 ID:e0TOnADw0


スパイクP「見せてやるぜ! スパイクッ、ウォォォォォーーールッッ!!!」


棘から放たれた光が一点に集まり、半円状の巨大なバリアを形成した。

カイ「うわあっ!?」

そして、そのバリアに審判の砲弾が衝突する。

バチバチという轟音と共に、眩い光が一帯を包んだ。

ティラノ「うおおおっ!?」

やがて砲撃が終わったのか、音と光が止む。

そこには、棘が数本折れながらもなお健在なスパイクPの姿があった。

恐らくは、バリアの出力に棘の方が耐えきれなかったのだろう。

サヤ「…………すっごぉい…………」

サヤが感嘆の声をもらすと同時に、スパイクPはドッカと地面に腰を下ろした。

スパイクP「ぜ……はっ……悪い、限界だ…………」

カイ「お、お疲れ様……」

ティラノ「今の内に学校を離れるぞ。いつ二発目が来るかも分からねえ」

サヤ「そ、そうね。ごめん二人とも、スパイクPさんを引きずるの手伝ってぇ!」

カイ「うん、わかった!」

サヤに促され、カイとティラノはスパイクPの手を取り、それを引きずって学園を後にした。

――――――――――――
――――――――
――――

475: 2014/11/24(月) 18:56:04.97 ID:e0TOnADw0
――――
――――――――
――――――――――――

パップ「……な、何だったんだ今のは……!?」

パップが呆然とした表情で校庭を見下ろす。

そこには、地面に倒れこむ戦闘外殻を引きずる二人の戦闘外殻と、もう一人、生身の男。

パップ(まさか、奴らがやったのか……? 馬鹿な、山一つ消し飛ばす砲撃だぞ!? 海底都市……思った以上に侮れない相手かも知れんな……)

梨沙「ちょっと! よく分かんないけど、今ならチャンスなんじゃない!?」

パップ「……そうだな。よし、全員配置に着いたな!」

梨沙の言葉で我に帰ったパップが向き直る。

梨沙、菜々、シャルク、ガルブ、時子、『幸福』、『閃光』、『和音』……。

全員の準備が、整った。

パップ「よし、構えろ梨沙!」

梨沙「任せてよ! エルファバッ!!」

梨沙の背後にエメラルド色の女性のシルエットが現れて梨沙と重なり、構えをとる。

476: 2014/11/24(月) 18:57:25.20 ID:e0TOnADw0
菜々「梨沙ちゃんが蓄積できる衝撃は6回分まで……菜々のカッターにみんなの攻撃を集めて、両耳三回ずつ投げつけます!」

時子「右に私と鰯共、左に管理局よね。退屈だけど、合わせてあげるわ」

夏樹「こっちもOKだ」

パップ「よし…………作戦、開始!」

パップが右手を振り下ろすと同時に、メンバーが一気に攻撃の体勢に入った。

シャルク『まずはいっぱつ!!』

きらり「にょっわぁぁーー!!」

菜々「ふんぬぬぬ……どっせぇい!!」

六人のエネルギーを受けたウサミンカッターを、菜々が渾身の力で振り抜く。

それを受け止めた梨沙の体が少しふらついたが、すぐに姿勢を整えた。

梨沙「ぅぐっ…………もいっちょ!!」

ガルブ『にはつめ、まいります!!』

李衣菜「てぇやぁぁぁっ!!」

菜々「筋肉痛覚悟で…………セイハーーッ!!」

3発、4発目のウサミンカッターを受け、梨沙の体が更にぐらつく。

梨沙「ぐぅっ……あと一回!!」

時子「これで最後ね……!!」

夏樹「頼んだぜッ!!」

菜々「持って、菜々の腰…………ぬぉぉりゃあああああああっっ!!」

全員の力がこもった最後のウサミンカッターは、小さな梨沙の体を屋上のフェンスへ叩きつけるほどの威力を見せた。

477: 2014/11/24(月) 18:58:24.09 ID:e0TOnADw0
梨沙「ぁぐっ……!?」

パップ「梨沙っ!?」

一度は床に手を突いてしまった梨沙だが、すぐに立ち上がり空を見上げた。

梨沙「平気よ! それよりもあの悪趣味親父に、一発かましてあげなきゃね! ……やるわよ、エルファバ!!」

エルファバ『……』

再びエルファバが姿を現し、梨沙と共に構える。

両掌を重ね、それを空へと向けている。

梨沙「はぁぁぁぁ…………」

目を閉じた梨沙の掌の上にエネルギーの塊が出現し、それがドンドンと膨らんでいく。

時子や夏樹達は、少し離れた位置でそれを見守っていた。

時子「ふうん……」

李衣菜「なに、あれ……」

夏樹「…………」

菜々「こ、腰が……あがががが……」

478: 2014/11/24(月) 18:59:16.03 ID:e0TOnADw0
やがて、エネルギーの塊が限界まで膨張したと思ったら、今度は突然収縮しはじめた。

梨沙「シュトゥルム・ヴェアヴォルフ…………!」

そして、バスケットボールほどのサイズまで縮んだ時、梨沙がカッと目を見開き叫んだ。

梨沙「収束バージョンッッッ!!!」

叫びと共にエネルギー球は一直線に放たれ、約3秒後に轟音が響いた。

きらり「にょっ!?」

シャルク『おとをおきざりにする……なんというそくどでしょう』

ガルブ『…………むっ! もくひょうへのちゃくだんをかくにん!』

パップ「本当か!」

パップが双眼鏡を取り出し空を見る。

そこには、巨大な鎧を甲板に乗せ、船底から煙を上げて墜落していく飛行船の姿があった。

パップ「ははぁ、どうやら今のダメージで不可視にする装置が故障でもしたか。よし、破片の迎撃を開始! シャルクは菜々の回収! 梨沙は俺がやる!」

夏樹「任せな、まずは『穴』で一点に集めて……」

シャルク「ななどの、ごぶじですか?」

菜々「あんまりご無事じゃない、です……」

パップ「ご苦労さん、梨沙。よく頑張ったな」

パップは全力を出しきり床にへたり込む梨沙に、優しく言葉を投げかける。

梨沙「ふん、こんなの朝飯前よ!」

パップ「そうかそうか、そりゃ何より。…………聞こえるか地上組、目標の撃墜に成功」

拓海『ああ、見りゃ分かる。今夕美とオトハがスタンバってるぜ』

通信機から聞こえる、拓海の声。

――――――――――――
――――――――
――――

479: 2014/11/24(月) 19:00:01.57 ID:e0TOnADw0
――――
――――――――
――――――――――――

墜落を始めた野望の鎧、及び不夜城戦艦ブラムは、裏山跡地のクレーターへ向けて一直線に落下してくる。

このままでは、落下の衝撃で学園や周辺にも甚大な被害が出るだろう。

だが、そうさせない為に彼女達がいる。

夕美「来た! オトハさん、準備いい?」

オトハ「……いつでもどうぞ」

二人が目を閉じ、深く息を吐く。

爛「……上手くいくのかよ?」

奈緒「さあ……でも、信じるしかないよな」

爛や奈緒がそう会話していると、二人が目を開き空を見上げた。

オトハ「木々よ、草花よ…………」

夕美「私達に……力を貸して!」

すると、二人の言葉に応えるかのように周辺の植物達が動き出した。

爛「うおおおっ!? な、何じゃこりゃあ!?」

草の蔓が、樹の幹が、重なりより合って、やがて一つの形となる。

480: 2014/11/24(月) 19:02:42.40 ID:e0TOnADw0
拓海「…………すげえ…………」

ライラ「おーきな手でございますねー」

現れたのは、巨大な右腕。

オトハ「ふっ……!」

夕美「やぁっ!」

二人が念じると、右腕が動き出し、墜落するブラムを鷲掴みにした。

そしてそのまま、ブラムをゆっくりとクレーターの中央へと置いた。

まるで、子供が遊んだ玩具を親が片付けるように、軽く。

そして、そのまま右腕は解けて根となり蔦となり、ブラムを地面に縫い付けていく。

将軍が逃げ出すのを、阻止する為である。

夕美「…………ふぅっ、これでOKっ」

オトハ「数日は……動く事ままならないでしょう」

奈緒「なら、さっさと突入して将軍をとっ捕まえないとな!」

ライラ「ユミさん、オトハさん、ありがとうございましたです」

奈緒が鎧をキッと見据え、ライラが2人へやんわりとお辞儀し、

爛「手榴弾投げんのは……ああ、あそこでいいな。ヒビ入ってら」

拓海「よし、準備はいいなお前ら!」

爛がブラムのボディを観察し、拓海が指をパキパキと鳴らし、

そして、配置に着いた。

481: 2014/11/24(月) 19:03:39.79 ID:e0TOnADw0
拓海「同盟・管理局連合チーム……出撃ィッ!!」

奈緒「おぉっ!!」

拓海の号令で、四人は一斉にブラムへ向けて突撃していった。

夕美「みんな頑張ってー!」

オトハ「………………。……?」

それを見送るオトハの視界の隅を、三人の人影が横切った。

真紅の鎧に身を包んだ、人に似て人ならざる三人。

しかし、その三人から不思議と悪意を感じ取れなかったオトハは、それを見守る事を決めた。

続く

482: 2014/11/24(月) 19:05:35.83 ID:e0TOnADw0
・スパイク・ウォール
スパイクPの怒りが極限まで高まった際にのみ使える強力なバリア。

・イベント追加情報
星花と捜索隊長(月葉)、カイ一行が学園を離れました

野望の鎧が墜落、拓海達が突入を開始します

オトハが「赤い鎧の三人組」を目撃しました

483: 2014/11/24(月) 19:06:31.08 ID:e0TOnADw0
以上です
将軍、墜落編ここまで
あとは逮捕(?)編だけやね

響子、パップ、奈緒、拓海、オトハ、夕美、菜々、李衣菜、時子、夏樹、梨沙、将軍、きらり
あと名前(?)だけほたる、乃々、清美、紅月の騎士団お借りしました


そして
ワイP、自分をユッコのスプーンが如くバッキバキに折り曲げる決意を固めた模様
藤本里奈を予約します

484: 2014/11/24(月) 19:19:16.86 ID:XkPOFj5G0
乙ですー
罵倒の中のまさかのメタ発言に吹かざるを得なかった
ついに墜落したか…!はてさて、逮捕なるのか
…そして赤い鎧の3人組とは誰なのか…?



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part11