729: ◆3QM4YFmpGw 2015/02/23(月) 15:42:03.83 ID:NCd+BkJq0


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ



  ではでは、学園祭二日目で投下ー

730: 2015/02/23(月) 15:42:52.72 ID:NCd+BkJq0

エマ「うおおっ、すっげー!」

裏山跡のクレーターに墜落したブラムに、エマは目を輝かせた。

エマ「今弾いたのスパイクPさんだよなー、っはー! ほんっとすげーっ!!」

興奮のあまり、手に持ったバクオンマルをブンブンと振り回す。

ほたる「…………」

乃々「…………」

その様子を、ほたると乃々は呆然とした様子で眺めている。

ほたる(戦闘外殻、海底都市の海皇親衛隊……乃々ちゃんを狙ってきたんじゃないの……?)

ナチュルスターにとってまだ記憶に新しい、親衛隊サヤの襲撃。

それによって巴とイヴは傷を負い、乃々は深いトラウマを抱えてしまった。

その乃々を守る為に、ほたるは今、エマの前に立ちはだかった。
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それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



731: 2015/02/23(月) 15:44:01.71 ID:NCd+BkJq0
の、だが……。

乃々「……こっち、ガン無視してるんですけど……」

ほたる「う、うん…………」

エマ「あ、そだ。ねー、そこの髪グルグルしてる子! 今ノノって呼ばれたよね!?」

乃々「ひっ!?」

ほたる「っ!!」

来た。ほたるは直感でそう悟った。

こちらに興味がないフリをして、隙をついて乃々を奪う作戦だったんだ、と。

そうはさせじと変身の構えをとるほたる。

エマ「ルカ、分離。……いやー、話にゃ聞いてたけどまさか会えるとはな! 意外とちっこいなー!」

しかし、エマは構えるどころか変身を解き、大きな声を上げながら二人に歩み寄っていく。

ほたる「…………?」

まだ油断させるつもりだろうか?

ほたるは変身の構えを解かず、エマをキッと睨み付けた。

732: 2015/02/23(月) 15:44:48.98 ID:NCd+BkJq0
乃々「……あれ、ルカさん……?」

『カラ、カカラカラ!』

乃々が、分離した鎧……戦闘外殻のルカに反応した。

乃々「……あっ、あのっ……なんであなたがルカさんを連れてるんですか……」

エマ「ん?」

ほたる「……乃々ちゃん?」

乃々の言葉に、二人が動きを止める。

乃々「る、ルカさんは……私の友達の、ケイさんのパートナーなんですけど……」

乃々の脳裏に、一つの情景が浮かぶ。

海岸で泣きじゃくる、まだ幼い乃々。

その隣に座り、乃々を慰める一人の女性。

そして彼女が連れている、地面を泳ぐ銀色のイルカ……。

そのイルカが、今目の前にいる。

しかし、それを連れているのはあの女性ではない。

733: 2015/02/23(月) 15:45:44.37 ID:NCd+BkJq0
乃々がおずおずとそれを尋ねると、エマはケロッとした様子で返した。

エマ「ああ、母ちゃんから引き継いだんだ。アタシはケイの娘だからさ」

乃々「娘さん……ですか……?」

エマ「そうそうっ、アタシは海皇親衛隊のエマってんだ! 母ちゃんからノノの話はよく聞いてたよ! よろしくな!」

エマは握手をしようとフレンドリーに乃々に手を伸ばす。

ほたる「……っ!」

しかし、二人の間に立つほたるがその手を払いのけた。

エマ「お?」

ほたる「……乃々ちゃんは、渡しません……!」

エマを睨み付けるほたるの体は、震えていた。

かつて乃々を操り、巴を傷つけ、イヴにさえ手傷を負わせた親衛隊の一人が、今、目の前にいる。

怖い。逃げ出してしまいたい。

だが乃々が親衛隊に捕まれば、乃々の力で地上は海の底に沈んでしまう。

それだけは、絶対にさせない。

乃々を護る為に、ほたるが一歩前に踏み出す。

734: 2015/02/23(月) 15:46:32.05 ID:NCd+BkJq0
乃々「あ、あの、ほたるさん……ちょっと、大丈夫なんですけど……」

ほたる「……えっ?」

しかし、その乃々がほたるを手で制した。

乃々「あの……ケイさんの娘さんって……本当なんですか……?」

エマ「うん。ルカ見りゃわかるっしょ?」

『カラカラ』

エマはそう言ってルカを抱き上げた。

乃々「…………」

ほたる「ね、ねえ乃々ちゃん……どういう事? 状況がよく分からないんだけど……というか、ケイさんって誰なの?」

蚊帳の外気味になっていたほたるが乃々に問いかける。

乃々「……ケイさんは、私の……昔のお友達です」

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735: 2015/02/23(月) 15:47:33.69 ID:NCd+BkJq0
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私は昔、友達もいなくて、一人で泣いてる事が多かったんです。

それである日、いつものように近所の海岸で泣いてた時に……、

のの「……ぐすっ、ぐすっ……」

??「あら? ねえあなた、どうかした? どこか痛いの?」

『カラ、カラカラ』

のの「ふぇ……だ、誰ですか……何でビショビショなんですか……」

ケイ「私はケイ、ウェンディ族よ。あなたはだあれ?」

のの「……も、もりくぼ、ののです……」

これが、私とケイさんの初めての出会いでした。

736: 2015/02/23(月) 15:48:25.48 ID:NCd+BkJq0
それからというもの、ケイさんはちょくちょくその海岸にやってきて、私の話相手になってくれました。

ケイ「ノノちゃんは、この海岸好きなの?」

のの「……はい……ここで波が寄せてくるの見てると、なんだか落ち着きます……」

ケイ「そうなんだあ。私も、ここ好きだな」

のの「……一緒、ですね」

ケイ「ふふ、そうね」

お話をしていく内に、私とケイさんはお友達になっていきました。

ケイ「これ、海底都市の郷土料理よ。海藻で出来てるの」

のの「……お魚じゃないんですね」

ケイ「うーん……海底都市だと魚肉はあんまり好んでは食べない、珍味みたいな扱いね。地上で言うなら犬の肉とかと似たような感じかしら」

のの「そ、そうなんですか…………あ、おいしいです……」

ケイ「でしょ? 娘も大好物なのよ」

のの「娘さん……いるんですか?」

ケイ「ええ、とっても元気な子よ」

のの「そう、ですか……もりくぼとはソリがあわなそうです……」

ケイ「ふふ、大丈夫よ。元気なうえにいい子だから」

のの「……そう、でしょうか……」

幼い私にとって、ケイさんはまるでお姉さんのような存在になっていました。

でも、私はある時、ケイさんにひどいことを言ってしまったんです。

737: 2015/02/23(月) 15:49:30.01 ID:NCd+BkJq0
その日、私はとても落ち込んでいました。

学校で、嫌な事があって……例の海岸で、いつもより深く深くいじけてました。

そこに、いつもみたいにケイさんがやってきたんです。

ケイ「こんにちは、ノノちゃん。あら、なんだか元気無いわね」

のの「…………」

ケイ「……何か、嫌な事でもあった?」

のの「…………」

ケイ「私で良かったら、話を聞くわ。どうしたの?」

のの「…………」

ケイ「……ねえ、ノノちゃん……」

のの「……うるさいですっ……!」

ケイ「っ……!?」

のの「もりくぼが何考えてようが何で悩んでようが、それはもりくぼの問題でケイさんには関係ないんですけど……!」

ケイさんが差し伸べてくれた手を払って、もりくぼはケイさんに八つ当たりをしてしまったんです。

ケイ「…………」

のの「もう、もりくぼの事は放っておいてほしいんですけど……!」

ケイ「…………ルカ、帰ろっか……」

『カ、カラカララ……』

ケイさんはいじける私に何を言うでもなく、海へ帰っていきました。

そして……ケイさんがあの海岸にやって来る事は、もう二度とありませんでした……。

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738: 2015/02/23(月) 15:50:09.31 ID:NCd+BkJq0
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ほたる「…………そんな事が……」

乃々「きっとケイさんはもりくぼが嫌いになったんです……もりくぼが八つ当たりなんてしたから……」

乃々は俯いて、スカートの裾を握り締めて震えている。

エマ「いや? 母ちゃんそんな事言ってなかったよ?」

しかし乃々の言葉は、エマの何気無い一言であっさり否定された。

ほたる「え……?」

乃々「ど、どういう事ですか……?」

エマ「一度、母ちゃんがすっごい落ち込んで帰ってきた事があったんだ。何かあったか、って聞いたら……」

ケイ『お母さんね……またお節介焼いちゃった。ノノちゃんに怒られちゃったの』

エマ「……って。昔っから困ってる人を助けずにはいられないって言ってたからなー」

エマは腕組みしてうんうんと頷いた。

739: 2015/02/23(月) 15:51:07.70 ID:NCd+BkJq0
乃々「じゃ、じゃあ何でケイさんは海岸に来なくなったんですか……」

エマ「ああ。次の日母ちゃん病気になってさ、治らないでそのまま氏んじゃったんだ」

乃々「えっ…………」

ほたる「そんな…………」

エマの口から語られた真実に、二人は言葉を失くす。

エマ「でも、ノノに恨み言なんか言ってなかったぜ? むしろ『ノノちゃんに謝りたい』って言ってたな」

乃々「…………謝らなきゃいけないのは、私の方なのに…………」

乃々はかすれそうな声でそう言うと、ゆっくり顔を上げた。

乃々「……でも良かった……。ケイさんに、嫌われたんじゃなかったんですね……」

ほたる「乃々ちゃん……!」

乃々「ケイさんと、仲直りしたいけど……もう、無理ですよね……だったら」

乃々はエマに向かってゆっくり歩み寄り、そっとエマの手を握った。

740: 2015/02/23(月) 15:52:14.29 ID:NCd+BkJq0
乃々「エマさん……私と、友達になって下さい。それで、ケイさんのお話も、いっぱい聞かせて下さい」

エマ「…………」

突然の事でエマは少し驚いた様子だったが、すぐにニカッと笑ってみせた。

エマ「もちよ! よろしくな、ノノ! あとホタルも!」

ほたる「へっ? わ、私もですか?」

エマ「友達の友達ならそりゃ友達じゃん? よろしくな!」

エマが空いている左手でほたるへ握手を求めた。

ほたる「え、えっと……よ、よろしくお願いします……あわわっ」

エマ「よろしくなー!」

ほたるに握られた手を勢いよく振り回すエマ。

ほたる「あぅ……でも良かった。乃々ちゃん立ち直って」

乃々「あ、え、えっと……ご迷惑おかけしました……」

741: 2015/02/23(月) 15:53:06.76 ID:NCd+BkJq0
女生徒「だっ、誰かー!!」

その時、屋上に女生徒が一人飛び込んできた。

エマ「おわっ、どした?」

女生徒「が、学校の中にカースが……追われてるんです!」

ほたる「ええっ!?」

乃々「……行きましょう」

驚くほたるに、乃々が一歩前に出て呼びかける。

ほたる「乃々ちゃん…………うん、分かった!」

乃々「エマさんも……手伝ってくれますか?」

エマ「にひっ、もちろん!」

乃々を中心として、三人が並び立つ。

742: 2015/02/23(月) 15:55:13.19 ID:NCd+BkJq0
乃々「行きます……海よ!」

ほたる「空よ!」

エマ「オリハルコンん……!」

乃々「悪しき心を持つ邪悪な意思に立ち向かう!」

ほたる「自然を愛する優しき乙女に力を!」

エマ「セパレイションッ!!」

叫びと共に、三人の装いが変わる。

乃々「全てを包み込み、安らぎを与える海! ナチュルマリン!」

ほたる「全てを見渡し、恵みを与える空! ナチュルスカイ!」

エマ「アビッスマァァイル!!」

乃々・ほたる「「人々を守り、自然を守る戦士! ナチュルスター!!」」

エマ「ウェイク、アァァーップッ!!」

ほたる「あなたは、ここで待っていて下さい」

女生徒「は、はいっ!」

女生徒は屋上の隅に避難し、体を丸めた。

743: 2015/02/23(月) 15:56:16.20 ID:NCd+BkJq0
乃々「……ケイさんと、私との絆……」

出口に向けてゆっくりと歩を進める乃々。

『オイツメタゼオジョウチャァァァン!!』

その前に立ちはだかるカース。

ほたる「乃々ちゃん!」

乃々「その絆が……私に力をくれます……!」

不意に、乃々がカースに向かって走り出した。

エマ「ノノッ!」

『イイダロウ、マズハオマエダァ!』

乃々「…………マリンリュスッ!!」

カースが振り下ろす拳にも怯まず、乃々は「何か」を振り上げてその拳を受け止めた。

744: 2015/02/23(月) 15:56:54.80 ID:NCd+BkJq0
先端に開いた貝殻がついたような、両刃の大斧。

『マリンリュス』を振り被る乃々の姿は、ただのナチュルマリンではなかった。

まるで、祟り場で力を発揮したほたるのように、衣装が更に絢爛なものへと変わっていた。

『ナ、ナンジャア!?』

乃々「ナチュルマリン・ハーモニー…………いきます!」

軽くポーズを決めた乃々がマリンリュスを振り下ろすと、その衝撃でカースが階段の下へと落下していく。

『グェアアアッ!!』

ほたる「…………すごい……」

エマ「……おっし、アタシ達もいこう、ホタル!」

ほたる「は、はいっ!」

エマとほたるも駆け出し、階段を飛び降りてカースを追う乃々に続いた。

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745: 2015/02/23(月) 15:57:28.74 ID:NCd+BkJq0
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その頃、海皇宮。

マキノ「……報告は以上です」

ヨリコ「そうですか。……まさかライラちゃんが地上でアイドルをしているとは……」

一時的に帰還したマキノが、ヨリコに報告をしていた。

スカルP「ガハハハ! 地上の連中も見る目があるのう!」

巫女「……スカルP、親バカ……いえ、祖父バカも大概にしてくれないかしら」

豪快に笑い飛ばすスカルPを、海龍の巫女が一喝する。

746: 2015/02/23(月) 15:58:22.46 ID:NCd+BkJq0
マキノ「……そういえば、何だか海皇宮全体が騒がしいようですが……?」

ヨリコ「ええ。……信じられない事ではありますが、アビスエンペラーが起動し、神殿から脱走したのです」

マキノ「…………御冗談でしょう? あれはヨリコ様がおられなければ起動しないはずです」

巫女「そう、そのはずだったけれど……動いたのよ、現に」

巫女は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

なまじ「真実」を知っているだけに、一番焦っているのは巫女なのだ。

マキノ「……ならば、私が捕らえてきましょう」

ヨリコ「マキノ……あなたには休息を」

マキノ「ええ。アビスエンペラーを捕らえたらすぐにでも休ませていただきます」

巫女「……ヨリコ様、今はアビスエンペラーの無事回収の為に少しでも人手が欲しいわ。ここは……」

ヨリコ「……分かりました。では、マキノにアビスエンペラーの回収を頼みます」

マキノ「仰せの通りに」

ヨリコの命令にマキノは頭を下げ、海皇の間を後にした。

続く

747: 2015/02/23(月) 15:58:59.68 ID:NCd+BkJq0
・ナチュルマリン・ハーモニー
ナチュルマリンが海の歌声を聞き、海の民と心を通わせることで変身できる強化形態。
大まかな外見はナチュルスカイ・リズミカルの色違いといった風貌で、
翼のアクセサリではなく貝殻のアクセサリがついている。
海の力をこれまで以上に高め、癒しの波動を広範囲に放出する事も可能になった。
とはいえその力はまだまだ未熟、先輩魔法少女からの指導は不可欠だろう。

・マリンリュス
普段は貝殻のアクセサリーだが、歌を歌うことにより、貝殻が開いたような形をした両刃斧の姿に変わる。
海の力が込められている。
武器としてではなくナチュルマリンの力の増幅制御装置にもなっており
回復に回れば、辺り一帯に海の癒しの力が込められた結界を張ることができる。
また、力をため、その力を攻撃に回せば、荒々しい大津波のような衝撃波を放つことができる。

748: 2015/02/23(月) 15:59:37.00 ID:NCd+BkJq0
・イベント追加情報
乃々が過去の誤解を解いた事で覚醒しました

乃々、ほたる、エマが校舎内カースの討伐に加勢しました

海底都市でマキノがアビスエンペラー回収に動き出しました


はい、というわけで待つくらいならもう自分で書いてしまおう、ということで森久保覚醒回でしたわよ奥さん
ついでに三人を校内に送って二日目の早期解決を図ろう大作戦(あずき感)

乃々、ほたる、巫女お借りしました



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part11