1: 2024/01/15(月) 16:55:57 ID:ebrKHEQ200
花帆(あたしたちが北陸大会を優勝したことで規制派閥は凋落した)

花帆(結果、蓮ノ空にあった厳格な規則はあらゆる面で緩和した)

花帆(百合婚の認可。ショッピングモールの誘致。そして運転免許の早期取得など、例を挙げれば枚挙に暇がない)

花帆(なので、運転免許を取って旅行に行く生徒が増え、あたしたちもその流れに乗った)

花帆(そして今日は、運転の慣らしも兼ねみんなで遠出する予定なのだ!)



↓免許取得状況↓

花帆 :仮免。残すは本試験のみ。教官ウケがいい。

梢  :免許取得済み。仮免も本免も一発合格。速度超過を一度もしていない優良生。

綴理 :免許取得済み。横断歩道でおばあちゃんに道を譲られ直進したため一度落ちてる。

さやか:無免。

瑠璃乃:免許取得済み。本免の学科試験で一回落ちる。適性検査でびみょい結果が出た。

慈  :免許取得済み。仮免と本免の学科試験で合計十回落ちる。シミュレーションで嬉々として人を轢いた。

3: 2024/01/15(月) 16:59:26 ID:ebrKHEQ200
花帆「って……寒い! なんで午前5時に出発しなきゃいけないんですか!?」ブルブル

梢「なんでって、目的地に着くまでかなりかかるのよ」

花帆「でもみんなは9時頃出発って言ってましたよ?」

梢「いいのよ。ユニットごとで特色がでていいじゃない。それに、準備を怠らない兎がいてもいいでしょう?」

花帆「……ま、いっか。梢センパイと一緒に乗れるんだもん! 何時でもすっごく楽しみです!」ピコピコ

梢「うふふ。花帆を助手席に乗せて運転できる日が来るなんてね」

4: 2024/01/15(月) 17:05:11 ID:ebrKHEQ200
花帆「えへへ。あたしも夢みたいです。あ、これが梢センパイの車ですか? かっこいー!」

梢「ええ。免許取得祝いに両親から貰ったの。車種に詳しくないからよく分からないけれど、悪い車ではないわね」

花帆「へー。ご両親からですか。いいですね!」

花帆「……初心者がクラウンってなかなかないよね。恐るべし、乙宗家の財力……」ブルリ

梢「はい花帆。乗って」カチャ

花帆「あ、わざわざありがとうございます! 大事にされてる感じがして嬉しいです!」ニコニコ

梢「うふふ……」カチャ

5: 2024/01/15(月) 17:09:56 ID:ebrKHEQ200
梢「ええと……花帆。一つお願いがあるの」

花帆「なんですか? あたしにできることなら何なりと!」フンフン!!

梢「目的地って、入力できる? 初めての車で分かりにくいと思うけれど……」

花帆「あ、大丈夫ですよ。GUIだし感覚的に理解できます」ピッピ

梢「じーゆーあい……?」

花帆「はい! できました!」

梢「あら、早いのね。ありがとう、頼もしいわ。これからも末永くよろしくね」

花帆「ん? はい! よろしくお願いします!」

梢「うふふ……」

8: 2024/01/15(月) 17:13:50 ID:ebrKHEQ200
梢「それじゃあ、出発の掛け声。頼めるかしら」

花帆「はい! ではスリーズブーケ号、しゅっぱつしんこー!!」

梢「私たちの新たな船出よ!」ギュッ

ブゥーン…

花帆「わ。動きが滑らか。高い車はやっぱり違うなぁ……。って、梢センパイ」

梢「なにかしら?」

花帆「なんか遅くないですか? ほら。速度計も……20kmしかでてない」

梢「安全運転よ、花帆」

花帆「あ、はい……」

花帆(……?)

11: 2024/01/15(月) 17:17:52 ID:ebrKHEQ200
綴理「あれ。こずたちの車がない」

さやか「あ。チャットに来てますね。どうやら先に出発したようです。って、午前5時……? 些か早すぎなような……」

綴理「早起き。えらい」ウンウン

さやか「……まぁ、そうですね。あちらはあちらで何か事情があるのでしょう」

綴理「ボクらも行こう。早くお猿さんと一緒に温泉に入りたい」

13: 2024/01/15(月) 17:22:33 ID:ebrKHEQ200
さやか「はい。あ、これが綴理先輩の車ですか。大きいですね」

綴理「うん。元々はレガシィに乗ってたんだけど、みんなを乗せて運転したくてエスティマに変えた」

さやか「ふふ。お優しい先輩らしいです。では……」ガチャ

綴理「……あれ。さや、どうして助手席じゃないの?」

さやか「え、だめですか?」キョトン

綴理「ダメじゃないけど……ボクの隣は?」

さやか「!!!!!」ガタッ

さやか「隣(ここ)はわたしだけのものです!!」シュバッ

綴理「おー」

15: 2024/01/15(月) 17:28:54 ID:ebrKHEQ200
綴理「じゃ、出発しんこー」ギュッ

ブゥ~ン…

さやか「……」キョロキョロ

綴理「さや? なんだかマグロみたいに忙しない。どうしたの?」

さやか「いえ。助手席に乗ったのなら、綴理先輩のサポートをしなくてはいけません。わたしに任せてください」ドンッ

綴理「ん……、無理しなくていい」

さやか「無理じゃありません!」

綴理「でもさや無免──」

さやか「あw綴理先輩w」

綴理「なに……?」

さやか「今w行けましたよw」

綴理「え?でも、右から来てたけど……」

さやか「いやwだいぶ猶予ありましたよwわたしなら行ってましたねwいえ、すみませんw聞き流してくれて大丈夫ですw」

綴理「うん……」

ブゥ~ン…

18: 2024/01/15(月) 17:34:23 ID:ebrKHEQ200
瑠璃乃「ほらめぐちゃん! めぐちゃんが寝坊するから遅刻だよ遅刻! 大遅刻だよ!」

慈「ごめんって何度も言ってるじゃん。可愛いめぐちゃんで許して?」

瑠璃乃「もー、しょーがないなぁ。じゃ、アサップで行くよ!」

慈「お。これがるりちゃんの車か。N-BOX……るりちゃんらしいね」ナデナデ

瑠璃乃「いひひ。可愛いっしょ? ルリのお気に入りなんだ」

慈「そこにめぐちゃんも合わさることで~……?」ガチャッ

慈「さいきょーに可愛いN-BOXのかんせーい! わーどんどんぱふぱふー!!」

瑠璃乃「寝坊したのにテンション高いね」

19: 2024/01/15(月) 17:42:54 ID:ebrKHEQ200
瑠璃乃「そんじゃま! 気を取り直して! みらぱ!のSHOWーっ!!」ギュッ

ブゥーン!!

慈「おぉっと、るりちゃん意外に吹かすね」

瑠璃乃「だって遅れてるんだもん。ちょーっとハリーアップしなきゃだめぽっしょ?」

慈「へへ。いいね、楽しくなってきた。あっ、右車線見てるりちゃん!」

瑠璃乃「ふっふっふ……分かってるよめぐちゃん」ニヤッ

慈「私らを差し置いて追い越しとか喧嘩か? 喧嘩売ってるよねこれ。はー、やっすい喧嘩を売られたもんだよ全く」

瑠璃乃「おう! こりゃ、売られてんね! 大安売りのショッピングモールだよ!」

慈「るりちゃん、売られた喧嘩は……?」

瑠璃乃「必ず買う! ぼひょーにアクスタ供えさせてやんよおりゃー!!」ギュウゥゥ!!

ブゥゥゥウウウウン!!!!

21: 2024/01/15(月) 17:51:21 ID:ebrKHEQ200
梢「それでね、あのね、その後ね、なんて言ったと思う?」ニコニコ

花帆「な、なんて言ったんですか?」

梢「うふふ。『ボブの母ちゃん、犬とファックしてんだぜ!』って言ったのよ。下品ったらありゃしないわよね花帆。うふふのふ」

花帆「は、はぁ……。そうですね」

花帆(上機嫌なのはいいんだけど、話がいつもの数百倍下ネタだし、何よりつまんない……)

花帆(それに何より、すっごーく遅い……。自転車に追い抜かれてる……。朝の5時に出発するわけだよこれ……)

花帆「あ、あの……もうちょっとスピード出してもいいんじゃないですか?」

梢「え? だめよ。安全運転、と言ったでしょう?」

花帆「で、でもぉ……」

梢「それにね、この車って車高がとても低いの。だから少しでもスピードを出し過ぎるとすぐに擦っちゃうのよ」

花帆「うぅ……ならしょうがないです……」カニョーン

梢「ええ。あ、そうよ花帆。車高で思い出したのだけれど、股間をシャコに殴られた話があってね──」ニコニコ

花帆(ぎゃー!! 車に乗ると性格変わるって言うけど!! これはやだー!!)

22: 2024/01/15(月) 17:59:48 ID:ebrKHEQ200
さやか「あ、右折ですねw左から来てるからどうかわたしが確認しますw綴理先輩は右をお願いしますw」

綴理「うん……」チラッ

綴理(右は、来てない。左は……)

さやか「こっちオーライですよ!w」ニコッ

綴理「あ、あのさや。左が見えにくいからあんまり前のめりにならないで欲しい」

さやか「え……?w」

綴理「ボクが確認するから。運転は任せて欲しい」

さやか「えwえwそれって……わたし、いらない娘、ってことですか……?」スン…

綴理「え、ちがう。さやはえらい。ボクにとって必要な存在だ」

さやか「なら、ならなんで! 自分で確認しようとするんですか! 助手席に乗るわたしが! 左から来る車を確認する! これの何が悪いんですか!?」

さやか「それを任せてくれないのって! わたしを信じてくれていないからじゃないですか! 違いますか!?」

綴理「お、落ち着いて。自分の目でも見ないと不安なだけなんだ」

さやか「ほら!! 不安って言ってるじゃないですか! やっぱりわたしのこと、信じてくれないじゃないですか!!」

さやか「次のパーキングで降ろしてください! もういやです!! 降ろして! 降ろしてェェエ!!」ジタバタ

綴理「……」

23: 2024/01/15(月) 18:07:10 ID:ebrKHEQ200
瑠璃乃「はー……、前の車、遅くない?」トントン、トントン…

慈「ノロノロしてておっそいね。変なもん積んでんじゃない?」

瑠璃乃「ルリさぁ、おっそい車見てると充電一気に無くなるんだよね」ブゥン、ブゥン

慈「お。いい煽り。クラウンの癖してちんたら走ってんなよ、って感じだよね」

瑠璃乃「う゛んう゛ん。煽ってれば分かるっしょ。走るのが遅い車もわるだって。これは悪い煽りじゃない。むしろ、教育だよね」ブゥン!ブゥン!

慈「……でも、全然速度同じだね。舐めてるのかな。舐めてるよね?」

瑠璃乃「……うん。前に出て威嚇だよめぐちゃん」

慈「よし来た! 徹底的に制裁だよ~!!」

※煽り運転は妨害運転罪で前よりも厳罰化しました。真似は絶対にいけません。

31: 2024/01/15(月) 18:33:36 ID:ebrKHEQ200
花帆「梢センパイ! 後ろからすっごく煽られてます! やっぱ遅いんですよ!」

梢「うふふ。煽り? 大丈夫よ。車間距離が少し近いだけ。気にしない方がいいわ。それよりもね、あのね、シャコがね──」

花帆「いやいや! ほら! 前に出て急ブレーキ掛けられてます! 目、付けられちゃいましたよ!」

梢「うふふ。それでね、シャコが殴ったことで発生した熱でね、イルカの水槽に入ってた水が全部蒸発してしまってね──」

花帆「話聞いてない……。運転と会話で梢センパイのキャパが限界なのかな……」

花帆「まぁ、いっか……。遅すぎて煽られてることに気付いてないし……。相槌を打つ機械になろう……」

梢「そういえば、シャコと花帆って発音似ているわよね。ね、シャコさん。あら、間違えてしまったわ。うふふ……」

花帆「ハイ、ソウデスネー(つまんな……)」

33: 2024/01/15(月) 18:43:06 ID:ebrKHEQ200
~良さげな温泉~

梢「ふぅ。ようやく着いたわね」ガチャ

花帆「やっと着いた……。でも、時間は前もって決めてた時間通り……。遅さ全てを考慮した計算……やっぱすごいな梢センパイ……」

花帆「あ、さやかちゃんたちもいる。おーい!」タッタッタ

さやか「すみません綴理先輩。わたし……ちょっと変でしたよね」

綴理「……大丈夫。何も見てないから」

さやか「鏡の中のアクトレスが車内に流れてるとどうも……変なスイッチが入っちゃって……」

花帆「ん? なんか修羅場? あ、瑠璃乃ちゃんたちもいる」

瑠璃乃「うぁ……、ルリ、ミジンコ……ミカヅキモ……ボルボックス……」

慈「私といる時は充電切れしなかったのに……。カタツムリみたいなクラウンのせいでるりちゃん壊れちゃった……」

瑠璃乃「へへ……。カタツムリ、さいきょー……」クタッ

慈「るりちゃーん!!!!!!」

花帆「……なんか色々あったんだなぁ(思考放棄)」

梢「みんな。積もる話は後にして、温泉に入りましょう?」

一同「お、おー……」

34: 2024/01/15(月) 18:48:06 ID:ebrKHEQ200
~入浴後(変なことはなかった。猿もいなかった)~

花帆「あの、綴理センパイ」

綴理「ん。なにかほ」

花帆「帰りは綴理センパイの車に乗せて貰えませんか?」

綴理「え……。でもこずが──」

花帆「あ、えぇと……その、たまにはシャッフルってのもよくないですか?」アワアワ

綴理「……うん。分かった。さや、次はこずの車に乗って」

さやか「あ、はい。梢先輩、よろしくお願いします」ペコ

梢「よろしくね、さやかさん。くつろいでちょうだい」ニコッ

花帆「あれ。そういえばみらぱの二人はどこ行ったんだろう」キョロキョロ

梢「二人なら仲良く免停食らって電車で帰ったわ」

花帆「あ、そっかぁ……」

36: 2024/01/15(月) 19:02:22 ID:ebrKHEQ200
梢「あら。道を譲ってくれるのね。ありがとランプ点けないと……」チッカチッカ…

さやか「えwありがとランプってなんですかw」

梢「左折する時とか、道を譲ってくれた車に感謝を伝えるものよ」

さやか「ふふwサンキューハザード、って言うんですよw梢先輩、免許、持ってますよねw」

梢「うふふ。それはそうと聞いてさやかさん。あのね、さっきね、脱衣所でね、見た花帆の裸体がね──」

さやか「うわwセクハラですかw遂に本性表しましたねwあw危なw今、かなり危なかったですよwちゃんと見てます?w」

梢「豊かな双丘、ふるりと揺れて雫を弾くのよ。つるりと、ぷるんと。それでね、あのね、下品だけれど、その、ね……心の、アソコがね……?」

さやか「……というか、遅くないですか?(素面)」

ブゥーン…

──

花帆「気持ちよかったですね、温泉」ニコニコ

綴理「うん。もう一回行きたい」コクリ

花帆「あ、見てください! 綴って名前のラーメン屋ありますよ!」

綴理「本当だ。かほは目がいいね」

花帆「そうですか? そうかもです!」ニコッ

花帆「でもきっと、綴理センパイの運転が上手いからですね! 眠っちゃいそうなくらい快適です~。ふわぁ……」

綴理「……かほ、お願いがある」

花帆「なんですか? 花帆にできることならお任せあれ! です!」ドン

綴理「これからも、ボクの助手席(ここ)にいて欲しい」

花帆「助手席? いいですよ! 綴理センパイの助手席、すごく心地いいので!」ニコッ

綴理「やった。よろしくかほ。なにとぞ~」

花帆「はい! なにとぞー!」ニコニコ


~HAPPY END~

37: 2024/01/15(月) 19:08:29 ID:dF/U6an.00
ハッピーエンドね

引用: 梢「うふふ。花帆を助手席に乗せて運転できる日が来るなんてね」