134: ◆svsd2HZT5E 2012/08/27(月) 03:07:56 ID:TNw3rmYM0
宇宙、それは最後のフロンティア

これは宇宙船「ワカバガールズ号」が、任務を続行し未知なる世界を探索し

新たなる生命と文明を求め

人跡未踏の宇宙に勇敢に航海した物語である!

135: 2012/08/27(月) 03:08:47 ID:TNw3rmYM0


宇宙軽音大作戦『地球滅亡!?異星からの歌声!』

136: 2012/08/27(月) 03:09:59 ID:TNw3rmYM0
ジャージャジャジャーン

ワカバガールズ号 ブリッジ

ピーピー

通信士・菫「た、大変です!地球の艦隊本部から緊急通信!」

船長・梓「本部から!?すぐに繋いで!」

航海士・憂「本部から緊急通信なんて初めてだよね……どうしたのかな」

操舵手・直「少なくとも良い連絡ではなさそうですね」カタカタ

菫「……繋がりました!モニターに表示します!」

パッ

和『こちら本部司令室……』

憂「あ!和ちゃん!じゃなくて和さん!」

梓「和先輩、お久しぶりです」

菫「船長たちはあの方とお知り合いなんですか?」

機関士・純「あの人は憂のお姉ちゃんの同期で、本部勤務の和先輩だよ」

直「確か士官学校を首席で卒業したエリートでしたよね」カタカタ

菫「直ちゃん詳しいね……っていうか純先輩いつの間に?」

純「緊急事態の匂いがしたから機関室から駆け付けたよ!」

和『良かった、長距離通信がなんとか繋がったみたいね。ワカバガールズ号へ緊急指令よ』

梓「一体何があったんですか?」
けいおん!Shuffle 3巻 (まんがタイムKRコミックス)

133: 2012/08/27(月) 03:05:43 ID:TNw3rmYM0
遅れましたが投下します

137: 2012/08/27(月) 03:11:28 ID:TNw3rmYM0
和『謎の巨大宇宙船が1隻、太陽系内に侵入したの。おそらく異星人の船』

梓「太陽系内に!?防衛艦隊はどうしたんですか!」

和『全滅したわ……交信を試みても一方的に謎のメッセージを送ってくるだけで。
  仕方なく威嚇攻撃を行ったら武器をすべて破壊されて戦闘不能になったらしい』

憂「そんな……」

和『異星人船はゆっくりと地球に向かっている。ワカバガールズ号にも地球の防衛に加わってもらうわ』

梓「ワカバガールズ号は探査船です!防衛艦隊を全滅させるような船を相手にできるわけ……」

和『探査船だからこそよ。戦力が無くなった今、もはや我々に残された道は彼らとの”対話”しかない。
  宇宙を探索し、未知の世界に触れてきた探査船なら彼らと意思疎通する方法を見つけることが出来るかもしれない。
  あなた達は、地球最後の希望なの。すでに太陽系近くの船は集まり始めてるわ』

梓「……わかりました。ワカバガールズ号もすぐに地球に向かいます」

和『まずは火星基地に向かって。さわ子提督が旗艦『デスデビル』に乗り込んで直接船団の指揮を執るから、あなた達も合流すること。
  健闘を祈ります。通信終了』

プチッ

梓「よし、みんな!気合い入れていくよ!」

憂「火星基地までの針路、設定完了」ピピッ

直「針路確認、ワープ準備に入ります」

純『こちら機関室。ワープエンジン調整OK!』

梓「ワカバガールズ号、発進!!」

ヒョオオオ バシュンッ!!

138: 2012/08/27(月) 03:12:35 ID:TNw3rmYM0
火星周回軌道 

ビュアアア シュンッ

直「火星軌道上に到着」カタカタ

憂「複数の船影を確認。合流地点はここで間違いないよ」ピピッ

梓「菫、デスデビル号に連絡を。さわ子提督に合流の報告をしないとね」

菫「はい。デスデビル号に交信……繋がりました。表示します」

さわ子『ワカバガールズ号、よく来てくれたわ』

梓「状況はどうなんですか?」

さわ子『異星人船はもう木星付近を通過。間もなく火星軌道にやって来る。ここで食い止めなきゃ地球がどうなるかわからないわ』

梓「……そうですか」

さわ子『何暗い顔してるのよ!これはむしろ我々調査船団の名を宇宙に轟かせるチャンスだと思いなさい!』

梓「ふふ、相変わらずですね、提督は」

さわ子『梓ちゃんも相変わらず可愛いわよ。この件が終わったらまた特製の宇宙服作ってあげるわね』

梓「結構です!」

直「特製の宇宙服、とは?」キラリ

梓「聞かなかったことにして!」

さわ子『さて、そろそろ時間的に出発しないとね。これ以上の合流は待てないわ』

梓「集まった船はどのくらいですか?」

さわ子『デスデビルも含めて9隻よ。これだけいれば上等!』

梓「根拠はあるんですか……」

さわ子『無い!でもみんな信頼してるからよろしくね♪通信終了!』

ピッ

139: 2012/08/27(月) 03:13:31 ID:TNw3rmYM0
菫「すごい方ですね、提督」

ピー

菫「他の船から通信が……ホウカゴティータイム号からです!」

梓「やっぱり先輩たちも来てるよね。繋いで」

ピピッ

唯『エーゴホンゴホン、こちらホウカゴティータイム号の唯です!』

憂「お姉ちゃん!」

唯『あ、ういー♪あずにゃんも純ちゃんも元気ー?』

梓「元気ですけど、なんの用ですか?」

唯『うー、せっかくみんなの顔が見たくて通信したのに!』

梓「そんな私用で通信しないでください!」

唯『ほら、澪ちゃん、可愛い後輩に挨拶しないと!りっちゃん!』

律『よーし、いい子だからこっちおいでー』ズルズル

澪『馬鹿!引きずるな!……あ、梓』

梓「澪先輩!大丈夫ですか!先輩たちにいじめられてませんか!?」

澪『は、ははは!大丈夫だよ!梓、みんな、今回は一緒に頑張ろうな!』

梓「はい!」

純「頑張ります!」

梓「純あんたいつの間に」

唯『まあそんな感じで、頑張ろうねー!バイバーイ!』

プチッ

140: 2012/08/27(月) 03:14:15 ID:TNw3rmYM0
憂「ホウカゴティータイムのみなさんも、相変わらずだね」

梓「全く。この緊急事態にお気楽なんだから」

純「緊急事態だからこそ、そういうのが大切なんじゃないの?」

ピピープ

菫「デスデビル号より船団に発進命令です!」

梓「……発進!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

梓「直、もっとスピードでないの?」

直「ワープを終えたばかりですから、エンジンへのエネルギー供給がまだ不十分なんです」

純「最高速度までもうちょっとかかるねー」

憂「わあ、他の船はみんな早いなあ」

菫「本船が最後尾ですね……」

純「というかほとんどこの船だけ取り残される形になってるけど」

梓「ううー、せっかく気合い入れて発進!って言ったのに」

141: 2012/08/27(月) 03:15:59 ID:TNw3rmYM0
菫「船団との通信チャンネルをオープン。これでリアルタイムに全船団の通信が入ってきます」

憂「そろそろ先頭の船団が異星人船と接触するね」

ザザッザザー

『こちらラブクライシス号!これより異星人船に接近を試みます!』

『了解。くれぐれも気を付けてね』

直「さすが調査船団最速と言われるラブクライシス号ですね。我々と違ってかなりのスピードです」

梓「一言多いよ?」

『異星人船より通信!例の謎のメッセージです!』

『~~~♪~~~♪~~~♪』

梓「これ、歌声?」

菫「不思議なリズムですね……」

『異星人船へ!こちらはラブクライシス号!その歌の意図はわかりませんが、貴船は地球の領域に侵入しています!
 一旦停止してください!』

『~~♪~~~♪~~~♪』

憂「和さんが言ってた通り、反応が無いね」

『~~♪~~♪ ピーガガガガーザザザザザー』

菫「うわっ!歌声が突然ノイズみたいに……』

『ラブクライシス号より提督へ!やはり通信に効果が無いようです!さらに接近して彼らの”歌”の音波解析をザザアザアザアー』

梓「!?どうしたの?」

142: 2012/08/27(月) 03:17:35 ID:TNw3rmYM0
菫「通信チャンネルに問題はありません!ラブクライシス号からの電波が途絶えて……いや、再びラブクライシス号から通信です!」

『こ、こちらラブクライシス、突然攻撃を受けっ……きゃあっ!ザザザザザー』

『ラブクライシス号!どうなってるの!?
ザザー……本船は航続不能……脱出……ザザ
マキちゃん!こちらホウカゴティータイム号、ラブクライシス号の船員救助に向かう!
待ちなさい!近づ……ザザザ……あなた達も危険よ!
何言ってるんだ!そんなこと言ってる場合じゃ……ザザザ
こちら恩那丸!!異星人船に接近!攻撃してラブクライシス号から注意を引く!
恩那丸!ザザ……勝手な行動は……ザザー
ホウカゴティータイム号から各船、ザザッザー……救助に回れる船は……ザザー
こちら恩納丸、攻撃開始……ザザザー……
戻りなさい!!……ザザザー
ダメだ……ビクともしな……ザザザ
ブラックフリル号からホウカゴティータイム号へ……救助の……ザザ
ザザ…こちらホウカゴティータイ……通信が乱れ……
……ザザザ…ギターアレルギー号、デスバンバンジー号、交戦開始……ザザザ
各船へ!!独自行動はやめ……ザザザザ……
ザザー……ブラックフリル号、被弾……ザザ
……ザザ、恩那丸へ、被害甚大につき戦線離脱……
こち……ナマハ・ゲ号、各船の現在地を……ザザ
ザザザ……撤退……
ホウカゴ……ザザザザ』

梓「っ……!菫!通信を切って!!」

菫「は、はい!」プチッ

直「もう通信網はまともに機能してないみたいですね」

憂「お姉ちゃん……」

143: 2012/08/27(月) 03:18:21 ID:TNw3rmYM0
純「大混乱みたいだけど……どうする?梓」

梓「もちろん、向かうよ。先輩達や船団のみんなを助けないと。だけど、安易に近づいたらラブクライシス号の二の舞になる。
  まずは通信を分析して策を考えるの。今船団でまともに動けるのはこの船だけだからね」

純「成長したねえ梓」ウンウン

梓「めんどくさいから純はスルーで……菫、さっきの通信データ残ってるよね?例の歌を解析してみて」

菫「はい!」カチャカチャ

梓「このメッセージさえ解読すれば……」

純「メッセージを送ってきてるってことは、何かを伝えようとしてるのは確かなんだろうけどね」

憂「歌を送って来るのはやっぱり友好の印なのかな?」

直「だとしたら、近づいただけで攻撃をするのが意味不明になりますね」

菫「歌をデータベースに照らし合わせたんですが、確認されているどの文化の歌にも合致しません……」

純「しっかし、こっちが会話しようとしてるのに歌ばっかり歌って、失礼だとは思わないのかねえ?」

梓「異星人なんだからこちらの礼儀とは違った礼儀を持ってることだってあるでしょ」

菫「最初は歌を送るのがあちらの礼儀なんでしょうか?」

純「じゃあ私達も歌を歌ってみる?」

梓「……!そうか、もしかして……彼らも、今の私たちと同じことを考えてたとしたら?」」

憂「どういうこと?」

144: 2012/08/27(月) 03:18:57 ID:TNw3rmYM0
梓「異星人たちはあれだけの高度な宇宙船を持つほどの文明なんだから、異星人同士で文化や礼儀の違いがあることだって当然わかってるはず」

梓「だから、今純が言ったように、私たちの礼儀に合わせてきてくれたんだよ、ちゃんと」

純「どこが?ずっと歌ってて近づいたら攻撃してきたじゃん」

梓「いや、ラブクライシス号が接近する直前、歌声がノイズに変わったでしょ?」

菫「そういえば、そうでした」

梓「彼らは、私達の礼儀が、最初に歌を送ることじゃないとわかった。だから彼らも歌うことをやめて私たちに話しかけてきたんだよ」

憂「そっか!じゃああのノイズが!」

梓「きっと異星人の言語。だけど歌声からいきなり変わって、みんなノイズだと思ってそのまま近づいたり攻撃したから……」

純「報復攻撃されたと」

菫「すぐにノイズを言語分析にかけます!ですがサンプルがかなり少ないので、翻訳は難しいかもしれません……」ピピピピ

梓「大丈夫、今度は適度な距離を保ちながら相手と交信すれば、攻撃されずに言語分析を進めることができるはず」

直「では速度を上げて異星人船に向かいます」

憂「みんな、無事でいて……」

純「大丈夫だよ。あの先輩達やさわ子先生がそう簡単にあきらめたりしないって!」

憂「ありがとう、純ちゃん」

145: 2012/08/27(月) 03:19:42 ID:TNw3rmYM0
ゴゴゴゴゴゴゴ

直「異星人船を目視できる距離まで近づきました」

梓「とりあえずこの辺でストップ。交信をはじめて」

菫「はい」

憂「周囲に他の船はいないみたい……」ピピー

純「きっとみんな撤退したんだよ」

梓「えー、こちらはワカバガールズ号です。あなたがたと会話をしたいと……」

菫「異星人船から通信です!」

『ザザザッピピピピザザザピピピ』

梓「なんて言ってるかはわかりませんが、こうしてお互いに会話を続ければ言語解析ができるはずです。そちらもきっとこちらの言語を解析して……」

『ザザザザザーピピピピー』

菫「ううーん、これは……」

梓「どうしたの?菫」

菫「このノイズをどんなに解析しても、決まったパターンが見つかりません。言語として使われている音なら絶対に一定のパターンがあるはずなんです」

直「じゃあこれ、本当にただのノイズだったり」

ドゴオオンン!!

梓「え!?え!?」

憂「異星人船から攻撃だよ!」

146: 2012/08/27(月) 03:20:54 ID:TNw3rmYM0
純「シールド損傷!やばい、すごい威力だ!」

梓「なんで!?私たちは近づいてもいないし会話を続けただけなのに」

憂「梓ちゃん落ち着いて!今はこの船を守らないと!」

梓「そうだった!直、一旦離脱するよ!」

直「……今の攻撃でワープエンジンがダウン、通常エンジンで離脱します!」

シュゴオオオオ

憂「追いかけては来ないみたい」

梓「なんで……なんで機嫌を損ねちゃったの?」

『……お困りの用だね、あずにゃんや』

梓「この声は」

憂「お姉ちゃん!!」

唯『やっほー、みんな無事みたいでよかった!』

梓「先輩達こそ大丈夫ですか!?」

律『うーん、まあ大丈夫っちゃあ大丈夫だけど、異星人船の攻撃で船団がバラバラになっちゃって。
  私達は被害が少ない方だったから、損傷が大きい船の退避を助けてたんだ。
  それでようやく落ち着き始めたから、こうして偵察に戻ってきたんだけど……お前たちもやられたみたいだな』

梓「そうでしたか……提督はどうしてるんですか?」

律『デスデビル号が船団をかばって攻撃をもろに食らって撃沈しちゃったんだよね。船員は脱出したけどさわちゃんは相当落ち込んでるよ。
  だから私たちが代わりに頑張らないと!』

澪『こうしてる間にも異星人船は地球に迫ってる。対抗策を話し合わないか?』

純「そうですね!澪先輩!」

梓「私達は、接近せずに会話を試みたんですが、ダメでした」

147: 2012/08/27(月) 03:22:35 ID:TNw3rmYM0
唯『じゃあもうあれしか無いよね!』

梓「あれって?」

唯『私達も歌うんだよ!』

純「お、私と同じ発想!」

唯『お、お揃いだねー』

憂「良かったね純ちゃん!」

梓「今度は相手の礼儀に合わせてみるってことですか。確かにもうそれしかないですね」

律『よし、再び異星人船に向かうぞ!リベンジだ!』


ゴゴゴゴゴゴゴ

直「再び目視距離まで接近。ホウカゴティータイム号も位置につきました」

純「こんなに何度も逃げたり現れたりしたらそろそろ本気で怒るんじゃないかな?異星人も」

梓「不吉のこと言わないでよ」

律『よーし、ホウカゴティータイムが誇る歌姫!唯ちゃんの登場でーす!』

唯『いやーどうもどうも』

紬『異星人船との交信開始したわ。唯ちゃん頑張ってね!』

唯『うん、ゴホンゴホン。……こんにちはー♪こんにちはー♪宇宙のー果てからー♪』

梓「こ、これは……」

憂「お姉ちゃんの歌は癒されるよねえ」

純「え、まあ、うん」

148: 2012/08/27(月) 03:23:26 ID:TNw3rmYM0
唯『こんにちはー♪こんにちはー♪青いー地球へー♪』

『~~~♪~~~♪~~~♪』

梓「!!!」

菫「異星人船の歌が始まりました!」

直「作戦成功?」

唯『……』

律『唯?どうしたんだ』

唯『ごめん、この歌の続きがわかんないや』

律『あ。私もだ』

ドゴオオオオオン!!

澪『異星人船から攻撃だ!!』

梓「歌を途切れさせるから!もう!」

梓「ん……?でも彼らにとって歌を途切れさせることは怒ることかな……?さっきだって歌の途中でノイズを入れてきて……』

梓「あ、もしかして……!」

梓「ワカバガールズ号からホウカゴティータイム号へ!楽器を用意してください!」

149: 2012/08/27(月) 03:24:15 ID:TNw3rmYM0
律『へ?楽器?』

梓「はい!演奏するんです!私達の熱意を伝えるにはこれしかありません!」

律『わ、わかった!用意するよ!梓はちゃんとギター持ってるんだろうな!』

梓「もちろん!それどころかワカバガールズ号のみんなとしっかり演奏してますよ!
  というわけで私たちも楽器を用意するよ!」

純「はいはい了解!」

律『曲はどうする?』

梓「ふわふわ時間で!たぶんどちらも演奏できる曲はこれだけですから!」

菫「あのっ、私この曲まだ自信が……」

梓「大丈夫!!出来る!」

菫「は、はいっ」

梓「直!」

直「はい、2隻の音響システムにアクセス。調整は任せてください」

梓「こっちは準備オッケーです!律先輩!」

ドゴオオオン!

律『うわっと!もうやけくそだ!いくぞ!1.2.3.4!』


キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI~~~~~♪

『~~~~♪~~~~♪~~~~~♪』

150: 2012/08/27(月) 03:26:23 ID:TNw3rmYM0


ふわふわタイム ふわふわタイム ふわふわタイム

ジャジャジャジャジャーン~♪


『~~~~~~♪~~~~~~♪』


純「ふう、次はどうする?演奏を途切れさせちゃまずいよね!」

梓「大丈夫だよ、ほら」

ゴゴゴゴゴゴゴ

憂「異星人船が進路を変更!元来た方向に帰っていくよ!」

律『なんだこれ、どういうこと??』

梓「やっとお互いに理解できたんだよ。文化の違いをね。私達は勘違いしてたんだ。異星人の歌は音楽じゃなくて言葉だったんだよ」

菫「音楽そのものが彼らの言語だったんですか……?」

梓「そう。異星人たちはそもそも私達と同じだったんだよ。最初から彼らのメッセージは言葉だった。
  だけど私達にとって彼らのメッセージは”歌”で、彼らにとって私たちの言葉はたぶんノイズか何かに聞こえたんじゃないかな」

純「それで、私たちに合わせようとノイズを送ってきたことがあったんだ」

梓「だけど私たちがいつまでたってもノイズしか出さないから怒ったんだろうね。
  異星人たちは、地球から発される電波を受信して、地球の音楽を言語だと思って地球に向かってきたんだと思う」

澪『そうか。私たちが音楽、つまり異星人にとっての言語を持っているにもかかわらず、交信でノイズしか出さないから敵対的行為と判断したのか』

唯『でもでも、なんで私が最初に歌った替え歌はダメだったの?』

梓「最初にラブクライシス号が異星人船と交信した時、異星人船は歌をすぐに打ち切ってノイズを出しましたよね。
  あれは彼らがこちらに合わせたつもりだったんでしょうけど、ラブクライシス号はそこから無言で異星人船に近づいて行った。
  だから、歌をすぐに打ち切ってノイズを入れるのは、私たちにとって不快な行為だったのではないかと思ってたんでしょう」

唯『あ、私が途中でしゃべっちゃったのがそれと同じだと思われたんだ』

律『それにしても短気な奴らだなー。何も攻撃することないじゃん』

梓「確かにラブクライシス号に攻撃したのはあちらが先ですけど、それ以前に防衛艦隊が異星人船に先に攻撃してしまってるので……
  ピリピリしてたんでしょう」

紬『文化の違いを互いに理解しようとしてたからこそ、こんなことになっちゃったのね……』

律『で、私達の演奏を聴いて帰って行ったのはなんでだ?そこが一番気になるんだけど』

梓「わかりません」

律『えっ?』

151: 2012/08/27(月) 03:27:38 ID:TNw3rmYM0

梓「私はただ、本気で演奏をすれば私たちの音楽文化が、彼らのそれとは別種だと理解してくれるんじゃないかと思っただけです。
  帰った理由はよくわかりません。直接音楽を聴けて満足して帰ったのかもしれないし、言語の違いを理解して再び詳しく分析しようとして帰ったのかもしれないし……
  まあとにかく帰ったから良かったじゃないですか」

純「あんた、たまにとんでもないところで大胆だよね」

梓「ありがと」

憂「でも今度は、異星人さんたちとちゃんとお話しできたらいいね」

梓「そうだね。ちゃんとした学者さんが今回のやりとりを分析すれば、また彼らが来るころには意思疎通ができるようになるよ、きっと」

菫「船団から通信です!退避した船も脱出した人たちもみなさん無事に合流できたみたいです!」

純「梓、今回の活躍は勲章ものじゃないの?」

梓「そ、そんな……勲章なんて、私はただ」

律『ホウカゴティータイム船長として、推薦しますぞ!』

梓「もう、やめてください!」

菫「梓船長かっこよかったです!私、この船のクルーで良かったです!」

直「私も……」

憂「みんな梓ちゃんがさらに頼もしくなったよ!」

梓「みんなやめてよ、たぶんこの会話も」

唯『あずにゃん、モテモテだねえ』

紬『いいクルーに恵まれて、良かったね♪』

澪『船長になるって聞いたときは心配だったけど、もう安心だな!』

梓「ほら、みんな聞かれてるー!」 

純「照れるなって、梓船長。あ、ワープエンジンの準備はできてるよ!」

梓「もう……みんな!配置について!」


梓「……ワカバガールズ号、発進!!」

「おー!」
 



宇宙船ワカバガールズ号の冒険はまだまだ続く




おわり

152: 2012/08/27(月) 03:28:46 ID:TNw3rmYM0
読んでくれた人ありがとうございました
またかよ!と思ったらごめんなさい

引用: 唯「君へのメッセージ」