555: ◆6J9WcYpFe2 2015/12/14(月) 00:35:48.96 ID:gR7gj4JF0


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ


  次の回は年内に出そう、そうしよう(ちょっとした決意表明)
ってことで、憤怒の街リターンズ(勝手に命名)の続きです。

556: 2015/12/14(月) 00:36:45.77 ID:gR7gj4JF0
---憤怒の街について---

憤怒の街とは、憤怒のカースによって起こった事件の舞台になった街のこと。
かつて、この街には多くの人が住んでいたが、事件発生の際、その多くの人がこの街の事件に巻き込まれた。
結果として、街の人口の半数以上が何らかの被害を被ったという。
カース関連での被害の規模では、過去最高の被害を出した最悪の事件とされる。
最終的には、現場に居合わせたヒーロー同盟などの活躍によって、この事件は解決した。
現在はGDFによって、安全の確保のため、街は封鎖されている。
(明日に役立つかもしれない時事 第20号より)

ユウキ注釈:今度手紙を届ける場所(○で囲ってある)


---カースについて---

カースとは、黒い泥のような体をした、正体不明の生物。
泥の中には宝石らしきものがあり、その色によって傾向があるらしい。

ユウキ注釈:はぁとさんと会ったときは獣や人型でしたっ

特に人に乗り移ったカースはカースドヒューマンと呼ばれ、強大な強さを発揮する。
憤怒の街の事件は、このカースドヒューマンのせいではないかとも噂されている。
どちらにせよカースに出会ったときは、ヒーロー達が来るまで逃げるべし。
(明日に役立つかもしれない時事 第8号より)

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それは、なんでもないようなとある日のこと。

~中略~

「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。



557: 2015/12/14(月) 00:37:42.87 ID:gR7gj4JF0
はぁとさんから憤怒の街へ行ける許可がもらえたという話を聞き、

諸々の準備を終えて憤怒の街へ入ることになった当日――

私とはぁとさんは憤怒の街へ続く、GDFの検問所の前にいました。

今は検問所の前で、通行許可の確認を取ってもらってる最中ですっ。

「しかし……なんだか、物々しいですね」

「……はぁともここまで厳重だとは思わなかったなぁ☆」

辺りを見回すと、GDFの人が警戒しているのか、あたりを鋭い目で見ています。

勿論、私達にもそういう目を向けているように見えます。

と思っていると、二人のGDF隊員さんが私達のところへやってきました。

「お待たせしました、さと……シュガーハートさん。ここからはポストマンさんが案内してくれます。」

「よぉ、久しぶりだな」

「なっ!? 案内役ってあんたかよ!? 歳考えろばーか!!♪」

「俺はまだまだ現役だ! お前こそ、そんな年してぶりっ子ぶって何考えてんだばーか!」

「女の心はいつまでもJKなんですよーだ!
あんたみたいに禿げてきたりなんかしないんだぞ☆」

「生憎、俺は現実に生きてるんでな。ハゲと言われるぐらいで目くじらなんかたてんよ!」

……はぁとさん達、いつまでも口喧嘩しそうですっ

と、とりあえず、止めに入りましょうっ

「あ、あの……っ」

「ん……ああ、すまんな。 君がユウキちゃんかな?」

「は、はいっ」

「俺はポストマン。今はGDFの対傭兵用窓口の担当をしている。
ユウキちゃんの話はこいつからいろいろと聞かされている。よろしく頼む、ユウキちゃん」

「はじめましてっ! よろしくお願いしますっ!」

「ははっ、いい子だな。 どこぞの心がJKとかのたまってるやつとは大違いだ」

「はぁとはこれでも必氏に生きてるんだぞぉー!!」

「その必氏さの方向が違うんだよ! 今時のJKでぶりっ子キャラなんか流行らねぇよ!」

「あ、あのっ!喧嘩はしないでくださいっ!!」

喧嘩するほど仲がいいとは言いますけど、このままじゃ話が進みませんっ!!

558: 2015/12/14(月) 00:38:28.73 ID:gR7gj4JF0
「さて、ユウキちゃんに怒られちったし、今日の事について話そうか」

「いや、怒られたのあんたのせいだろ☆
ということはともかく、本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だろ。 俺がいなくても何とかなる。」

「……ああ……まあ、そういうのならそうなんだろうよ☆」

あの……はぁとさんの上司さんの職場、かなり暇なんでしょうかっ?

「ともかく、今日の俺はユウキちゃんを目的地まで連れて行くエスコート役だ。
さしずめ、姫をシンデレラ城へと連れて行く御者と言う感じか?」

「こんなおっさんの御者なんて、はぁとだったらチェンジって言いたくなるけどなー」

「うるせぇ!」

「あ、あはは……と、とにかく、よろしくお願いしますっ!」

「おう、任せろ! この車の後ろの座席に乗ってくれ」

「分かりましたっ」

そう元気よく返事をして、私は車に乗り込みました。

559: 2015/12/14(月) 00:39:45.77 ID:gR7gj4JF0
憤怒の街内部、とある道路。

マンホールの蓋を開けて、中から出てくるメガネをかけた女性。

リンは検問の網をかいくぐって、内部に侵入していた。

「これで検問は突破………中で活動しているGDF隊員もいるから気を付けないと………」

すると、左のポケットから声のような音声が鳴る。

『テンっ!(えっへん!)』

「ふふ……ありがと、ハンテーン」

そうつぶやき、右手で携帯端末を取り出し、あたりを見回す。

ここはかつて住宅街であった場所。普段であれば、閑静でありながらも人の営みを感じられる場所であった。

今は無人であり、慌てて逃げた痕跡、何かが暴れた痕跡などはあれど、人がいるような雰囲気ではなかった。

ほとんどの家の窓ガラスは割れ、ひび割れた道路からは草が伸びていた。

中には倒壊している家などもあり、その瓦礫が道路にまで散乱していたりもしていた。

「人がいないと、こうも殺風景な感じになるんだ………。ちょっと、怖いね。」

リンはその街中を歩く。しばらく歩くと、壊れた塀や家などが多くなってくる。

ここでは何か戦闘があったのだろうか?

ふと気づくと、周りには血痕らしきものがいくつも見つかった。

おそらく逃げ遅れた人がここで何人も氏んだのだろう。

それに伴って、崩れた塀や砕けたアスファルトなどが特に多かった。

一体何が暴れていたというのか。カースの泥らしき痕跡も見つかっていることから、カースなのか?それとも別の何か?

彼女は足早にその場から立ち去る。私が見たかったものはこれではない、と。

560: 2015/12/14(月) 00:40:28.44 ID:gR7gj4JF0
そうして踵を返すと、遠くに一人の少女の姿を見た。

「!?」

おかしい。リンは最初にそう思った。

ここは閉鎖されている。リンみたいに不法侵入しているのでなければ、あれはGDFの隊員か何かなのだろう。

だが、それにしては小さすぎる。まるで小学生ぐらいの子供が、通学路を通って家に帰るかのような光景であった。

その少女の影がゆっくりと交差点の角に消える。

すると、リンの右手の端末から音声が聞こえた。

『テンテーン!(あれからカースの反応がするぞ!)』

「カース………あの少女が?」

あの少女がカース………?

それにしては、普通の少女と雰囲気が何ら変わらなかったように思える。

カースドヒューマンなのか、はたまた別の何か?

「―――ちょっと、追ってみようか。 引き続き周りに危険がないか、調べてもらってもいいかな?」

『テーンっ!』

リンは自身の探求心に促されるまま、少女の後を追いかけた。

561: 2015/12/14(月) 00:41:14.91 ID:gR7gj4JF0
ポストマンさんの車で移動している中、私ははぁとさんに尋ねました。

「ところで、どうして憤怒の街と呼ばれているのでしょうかっ?」

「ああ、その前にユウキちゃんはカース……は知ってるよな?」

「ええっと、確か泥のようなもので形作られた怪物なんですよねっ?」

「そうだ。まあ、そのカースなんだが、実は色々と種類があるってのは知ってるか?」

「え、ええっと………」

私は鞄の中からスクラップブックを出し、ページを開く。

「中にある宝石の色によって、傾向が異なる………ですよねっ?」

「ああまあ、そうだな。厳密には7つあって、それぞれ『高慢』『憤怒』『色欲』『怠惰』『暴食』『強欲』『嫉妬』といった感じで、7つの大罪をモチーフにして名付けられている。」

「何故そう名付けられているのでしょうか?」

私はそれらをスクラップブックに書き加えながら、話を聞きます。

「それはまあ、そのカースの習性というものだな。
例えば『暴食』であればそこら辺の物を食べるし、『嫉妬』であれば妬ましいと恨みながら襲ってくる。
『怠惰』であれば一見やる気なさそうに見えるし、『色欲』であれば誘惑してこようとする。
まあ、要は人間の感情と同じもんだと思えばいい。」

「じゃあ、『憤怒の街』というのは………」

「じゃあ、憤怒の街って………」

「ああ、『憤怒のカース』が大量に発生したからそう呼ばれている。
『憤怒』っていうことだから、怒りに任せて暴れるカースも多い。
その上、力だけなら他のカースよりもはるかに強い。
加えて、カースが発生した場所はその感情にちなんだ感情が伝染しやすくなる。つまり………」

「街の中で、怒りの感情がそこら中にあふれた………?」

「そういうことだな。そしてその感情を元にカースが増える。後はその繰り返しだ。」

「街の人は………大丈夫だったのですかっ?」

「アイドルヒーロー達がその街の病院を守って多くの人を助けたというが………それでも救われなかった人は、いる。」

「………っ」

「………そんな時に、GDFはあんまり役に立てなくてな。助けられた人はいるが、それでもわずかだ。」

そんなポストマンさんの顔を見ると、まるで悔しがっているような感じが見受けられました。

562: 2015/12/14(月) 00:42:23.02 ID:gR7gj4JF0
「ところでユウキちゃん、その本はなんだ?」

「へっ? あっ、これですかっ? 私のスクラップブックですっ!」

そういって、さっきまで読んでいた本をはぁとさんに見せました。

「へぇ……そのスクラップブック読んでもいいか?」

「いいですよっ!」

そういって、私からスクラップブックを受け取ると、そのページを読み始めました。

「……うーん、憤怒の街については、正直負い目があるかなぁ☆」

「?? 負い目ですか?」

「だって、はぁとがGDFを抜けた後に起こったから、はぁとだけ逃げたような形になっちゃって……。
ちょうどそのころ、はぁとは海外に居たし………。
いや、一人の力で何とかなるもんじゃないってことはわかってるけど、ね☆」

「……そう、なんですか」

「だから、今回のはせめてもの罪滅ぼしなのかなーって思って♪」

「シュガーハートがそんな湿っぽい態度取るとは………まさか、偽物か!?」

「はぁとだって、悪いって思う気持ちはあるんだぞー!!」

「ははは、悪い悪い。だがな、あんまり思いつめるなよ。
いくらお前が強いからって、変えられないものっていうもんはある。それを忘れるな。」

「分かってるよ☆ あ、でもこのカースのところの最後の部分、GDFも忘れるなよ☆」

「あー、そういえばヒーローの事しか書かれてませんねっ。ペンはここにありますので、付け足しておいてくださいっ!」

「ん、了解っと♪ よし、返すぞー☆」

そういって返してもらったスクラップブックの中の1ページには、「GDFも忘れんなよ、こらぁっ☆」と書かれていました。

「GDFは………俺は………いったいどうすればいいんだろうな………」

そう、呟く声。

………実はポストマンさんの方が、思いつめてないでしょうかっ?

563: 2015/12/14(月) 00:43:43.49 ID:gR7gj4JF0
「ん? ポストマン、あれはなんだ?」

そうはぁとさんが指をさす先には、黒く長い髪の人が見えました。

その人はこちらの姿を見ると………一目散に逃げました。

「あっ、逃げましたっ!」

「なんであんな少女が………とにかく追うぞ!」

「こらぁっ!そこの人、止まりなさーい!!」

「俺らは警察か何かか!!」

私達の車は、その人を追っていきました。

さすがに車の速度と人の走る速度では、車の方が圧倒的に早いわけで、すぐに追いついたわけなのですが………。

「………おい、もう一人増えたぞ」

その逃げた先の道には先ほどの女の人と、もう一人。

可愛い衣装を着た小さい女の子が、一緒に倒れていました。

「って、この子って………」

「………はい。これ、間違いなくあの『ラブリーチカ』ですっ」

その小さい女の子は、私たちが探していた『ラブリーチカ』というフィギュアに似た格好をしていました。

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564: 2015/12/14(月) 00:45:23.83 ID:gR7gj4JF0
―――憤怒の街の端

その近くに、GDFが憤怒の街への駐屯地として使っている施設があった。

その施設の一角、いわゆる執務室と呼ばれる場所で、二人の男が向かい合って話をしていた。

「………ネズミが何匹か迷い込んだみたいだな。」

そう話す男性は、この『憤怒の街』の後始末を任された上官。

「あのポストマンとかいう奴らのことでしょうかねぇ?」

その向かい側で受け答える男性はその上官に雇われた傭兵。

「ああ、そうだ。」

「上官殿、なんであんな奴らを通したので?」

「上からの命令だ。逆らえん。」

「あ、それじゃあしょうがありませんねぇ。して、目的は何でしょ?」

「おそらくこの前発見された『コラプテッドビークル』の調査だろう。 まったく、厄介なもんだ。」

「ってことは、そろそろ潮時ってやつ?」

「だが、あいつら自身は下っ端の兵士だ。」

「ほーう………どのように?」

「例の場所に近づかずに帰ってくれるならそれでよし。

近づいたなら、危険区域だと言って追い返せばよし。」

「それでも近づいた場合は?」

「………そうだな。上にはコラプテッドビークルにやられたとでも言っておこうか。

一応、戦闘配備をしておけ。 くれぐれも内密にな。」

「へいへい、了解しましたよ、上官殿」

ブラインドの隙間を少し開けて外を見つつ、命令する上官。

彼にはとある目的があった。

(くそっ!いい金になりそうな場所をみすみす渡せるか!!

せめて、あの兵器の開発資金は稼がねばならんのに!!)

彼はGDFの技術士官である。本来であればこんなところで指揮をするような者ではない。

そして、GDFの中でも変わり者として有名な技術士官でもあった。

565: 2015/12/14(月) 00:46:08.56 ID:gR7gj4JF0
曰く―――

「あいつに銃を預けたら、最高の連射速度と引き換えに全く真っ直ぐ飛ばない銃になって帰ってきた」

「あいつに戦車の改造を任せたら、多脚の戦車になって帰ってきた」

「あいつに予算を渡したら、巨大な人型ロボットを作ろうと計画していた」

そんな曰く付きの技術士官であるが、一部の宇宙管理局の者ですら目を引くような技術力を持っているため、扱いに困っていた。

だが、GDFには彼をこの街の任務に就かせなくてはならない理由もあった。

それは――何とも情けない話だが――憤怒の街に行きたがるGDF士官があまりいなかったのである。

最初は志願者もいたのだが、コラプテッドビークルの報告を聞いて一歩引く士官が相次いだのだ。

だが変わり者はいるもので、彼は憤怒の街の監視任務に志願。

危険手当などの報酬をギリギリまで釣り上げて、この監視任務についた。

だが、どうやら彼にとってはつまらない任務よりも、お金が稼げる物が憤怒の街にはあったらしい………。

(あの場所は………絶対に渡さん!!)

彼は憤怒の街の―――とある場所をにらみ続けていた。

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566: 2015/12/14(月) 00:48:02.03 ID:gR7gj4JF0
ここは憤怒の街。

一人の怒りの感情の末、多くの犠牲を払った嘆きの街。

その怒りは消えたか、あるいはまだ燻っているか。

怒りの主はただ、暮れゆく街と人をみて、不敵に笑みを浮かべる。


―――それぞれの思惑が、再びこの街で交差する。

567: 2015/12/14(月) 00:54:56.26 ID:gR7gj4JF0
てな感じで、To be continued...
前話に引き続いて、凛と千佳ちゃんをお借りしております。
でもって、最後のキャラもちょっとお借りしてます。(誰かはわかるかな?)

で………投稿する過程で(わかる範囲で)2つほどミスを犯しちゃいました。
・sage忘れ
・凛が街に侵入した際の話に移る際に区切り忘れたこと。

本当に申し訳ないです。(特にsage忘れ)
拙い自分ですけれど、どうかこれからもよろしくお願いしますorz

568: 2015/12/14(月) 21:54:47.05 ID:1ZDKKxqf0
おつおつ、このあとが楽しみでも有り不安でもある

投稿に限ればsagaはともかく、sageは忘れても大丈夫よ、更新がわかるし



【次回に続く・・・】




引用: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12