前回:【喫茶『アイドル』】アイスティーはあいつのティー
45: 2014/02/07(金) 17:43:02.12 ID:KTTfKYYF0
店主「同族嫌悪、とはよく言ったもので、自分とよく似た人っていうのは反発の対象だったりするわよね」

店主「でも逆に、類は友を呼ぶ、とも言うし、似たもの同士っていうのは案外集まってしまうものなの」

店主「例えば……自分すごい、って感じの子と、自分が一番可愛い、って感じの子とかね」

――3rd & 4th person『ボクは自信過剰が気に入らない』

店主「はい、デビルコーラ」

幸子「……なんですかこれ、本当にコーラなんですか?」

店主「麗奈ちゃん考案、私作成。名前の通り悪魔のようなコーラよ」

幸子「いやに麗奈さんがオススメすると思ったらそういう訳でしたか……」

店主「オススメされたんだ、本人も飲めないのに」

幸子「ほほう? 本人も、とは、麗奈さんもこれは飲みきったことがないってことですか?」

店主「そうなるわね。ていうかそうよ、そんなもん飲みきれるわけがないわ……」

幸子「じゃあボクが飲みきればボクは麗奈さんよりも優れてるってことですね!」

店主「いやその理屈は――」

幸子「…………」ゴクゴクゴク

店主「……おかしい」

幸子「ムグボファッ!」グフュ

店主「言わんこっちゃない!」

幸子「な、なんですかこれ……生ぬるいしシップみたいなニオイがしますし、なんか辛いですけど……」

店主「韓国や沖縄で悪名高いメッ○ールを常温で保存して、タバスコとバジルソースをちょっと入れてかき混ぜてみた」

幸子「人間の飲み物じゃありませんよこれ! 文字通り悪魔のコーラですよ!」

幸子「うう……口の中が麦くさい……口直しになりそうな食べ物ってありませんか?」

店主「ライス丼とか?」

幸子「嫌ですよそんな炭水化物の宝石箱。あ、ピザトースト下さい」

店主「はい、ピザトースト一つ」

幸子「ふぅぅぅ……これをメニューに載せるのは駄目だと思いますよマスター」

店主「そっか、消そう」

幸子「出来ればボクが来る前に消しておいて欲しかったですね」

カランカラン

幸子「む? お客さんですか」
ぷちます!(12) (電撃コミックスEX)

46: 2014/02/07(金) 18:01:10.12 ID:KTTfKYYF0
茜「呼ばれてないけど、茜ちゃん登場ー! マスター、デラックス凸プリンとキャラメルマキアート!」

店主「はいいらっしゃい。デラックス凸プリンとキャラメルマキアート1つずつね」

幸子「デラックス凸プリン……?」

店主「かの有名な水瀬伊織その人が自らの好みに忠実に作りうちでメニュー化されたプリンよ。命名、星井美希」

幸子「水瀬伊織……って、竜宮小町のですか!? あの人もこのお店に来てたんですか」

茜「いおりんには毎日会ってるよー」

店主「まあ事務所同じだしね」

幸子「事務所が同じ? ということは、先日765プロから発表された新人アイドルというのは……」

茜「モチ茜ちゃんのことだね! まあ、ほかにも何人か一緒にデビューしたけど」

幸子「ほほう。ボクは輿水幸子、CGプロでアイドルをしてます」

茜「茜ちゃんは野々村茜っていうんだよー。よっろしくぅー」

店主「二人は歳も近いし、案外気が合うんじゃない?」

幸子「ふふ、そうかもしれないですね」

茜「でも茜ちゃんは幸子ちゃんよりも先にトップアイドルになっちゃうから嫉妬されちゃうかもね!」

幸子「……何を言ってるんですか? ボクが先ですよ、デビューもボクの方が早かったですし」

茜「それを余裕で追い越す茜ちゃん! ヒュー、かっくいー!」

幸子「…………」

茜「あー、茜ちゃん可愛いからなー、瞬きしてる間にトップアイドルになっちゃうかもなー、大変だなー!」

幸子「…………」

茜「ん? 幸子ちゃんどうしちゃったの? あ、もしかして茜ちゃんの可愛さに見とれちゃった? もう、隠さなくて良いんだよ」

幸子「……マスター」

店主「うん?」

幸子「なんかあの子ムカつくんですけれど!」

店主「大丈夫、初対面でその反応はある意味普通だから」

茜「うきゃー、嫉妬されちゃうー!」

店主「茜ちゃんの全ての言葉に反応していたら、最終的に『茜ちゃん劇場』という空間にとらわれて爆発四散するから気をつけてね」

幸子「なんですかそれ怖いですね」

茜「ねえねえねえ、ところで凸プリンまだ? ねえねえねえねえってば!」

47: 2014/02/07(金) 18:14:47.82 ID:KTTfKYYF0
幸子「良いですか、野々村さん!」

茜「茜ちゃんで良いよ」

幸子「いえ、知り合いに茜さんがもう居るので。って、そうじゃなくて」

幸子「世界で一番可愛いのはボクです! これは揺るぎませんからね!」

茜「……?」

幸子「その「何言ってんだこいつ」みたいな首かしげをやめてください!」

店主(傍から見てると小学生と中学生の姉妹みたいだなあこの二人)

店主(言われるまで茜ちゃんが高校生とか気付かなかったし、幸子ちゃん背ちっちゃいし)

茜「でも幸子ちゃん、本当は茜ちゃんのことカワイイと思ってるでしょ? 隠さなくていいよ!」

幸子「思ってません! ボクがッ! 一番ッ! 可愛いんですよ!」

店主(麗奈ちゃんとうちに来た時は、確か麗奈ちゃんがムキになって幸子ちゃんが軽くあしらってたなあ)

店主(今は明らかに幸子ちゃんが麗奈ちゃんポジションだけど)

茜「幸子ちゃんも可愛いよ、うん、可愛いよー。でも茜ちゃんには敵わないかなー」

幸子「ぐぬぬぬぬ!」

店主「はい、デラックス凸プリンとキャラメルマキアート、それにピザトーストね。一回落ち着きな、ね?」

茜「ぅわーい、プリンプリン」

幸子「ぐぬぬ……言っておきますけど、まだボクは進化の過程を二つほど残してますからね」モグモグ

茜「茜ちゃんはお仕事に本気の半分くらいで十分かなー」ニヤニヤ

幸子「じゃあボクはさらにその半分で余分なくらいですね!」

茜「でも茜ちゃん、ファンの皆が応援してくれるとついつい本気の100%の半分の二倍を出しちゃうの♪ しょうがないなー、ファンの皆が応援してくれるならしょうがないなー」

幸子「ふふん、じゃあボクはさらに二倍の力で……」

店主「無限ループって怖くない?」

幸子「誰に言ってるんですか?」

店主「独り言よ。このくらいの歳になると増えちゃうのよ」

――――――――――――
小鳥「ふふ、高木ぃ……黒井のやつは放っておいて僕と……へっぶし!」

P「風邪ですか?」

小鳥「いえ、大丈夫です」

小鳥(ダメよ、小鳥……流石に仕事中に黒井→高木×善澤はマズイわ)

50: 2014/02/07(金) 18:37:37.87 ID:KTTfKYYF0
茜「そういえばさー」

店主「?」

茜「今度、765シアターっていう765プロ所有の劇場作るんだって、プロちゃんが言ってたよ」

店主「765シアター? 秋葉原にあるアレみたいな感じかな」

茜「そんな感じー。で、時々事務所内のユニット同士で合同フェスをしてお客さんの投票を賭けて勝負したりするらしいよ」

幸子「LIVEバトルみたいですね」

茜「茜ちゃん人気者だからなー、フェスに引っ張りだこになっちゃたら困っちゃう! キャンディ用意しておかないと」

幸子「ボクも毎日毎日ドリンクが手放せないほど忙しいですからね」

店主「キャンディとドリンクって何?」

店主(ていうかうちに3日に一回来るくらいの暇があるのはツッコまないほうが良いのかしら、幸子ちゃん)

茜「ところでさー」

店主「今度は何?」

茜「このプリン美味しいよ!」

店主「それはどうも」

幸子「究極的にマイペースですね、野々村さん」

店主「だから言ったでしょ? 付いてこうとしたら『茜ちゃん劇場』に囚われて精神崩壊するから」

幸子「さっきより恐ろしくなってますよ」

幸子「……なんでこう、ボクの周りの『アカネ』って名前の人はこういう人ばっかりなんでしょうかね」

店主「そういえばCGプロにも茜ちゃん居たね」

茜「茜ちゃんと同じ名前の子に悪い子は居ないよ」

幸子「どの口が」

茜「……?」

幸子「だからその顔やめて下さい」

茜「で、茜ちゃん2号がどうしたの?」

幸子「……先週、いえ、先々週の話です……。茜さんがプロレスの前座の仕事をすることになって……」

51: 2014/02/07(金) 18:38:25.78 ID:KTTfKYYF0
野々原だwww なんで野々村で予測変換出てきたんだ……orz

52: 2014/02/07(金) 18:39:26.93 ID:KTTfKYYF0
―――
――――――
――――――――――――
幸子『練習相手ですか?』

茜『うん! ラリアットの練習!』

幸子『嫌な予感しかしないので遠慮しておきます』

茜『大丈夫! 私はグローブつけるし、この盾みたいなやつ構えてくれるだけでいいから!』

幸子『……まあ、その程度なら』

茜『じゃあ、いくよー!』

幸子『え、今ですか』

茜『でぇーい!』ズルッ

茜『あ』

幸子『え』

――その時、輿水幸子はミットを首を守る位置に構えていた。その際、ミットの一番下の部分は彼女の胸の高さにあった。

――対して、直前でよろめいた日野茜の拳は……輿水幸子の腹部に向かって重力に任せて動いていた。

茜『ごめん!』

幸子『ぐぼぇっ!』

―――
――――――
――――――――――――
店主「痛い痛い痛い」

茜「流石の茜ちゃんでもそれは無理」

幸子「一瞬口の中が酸っぱくなりましたからね。あの人このカワイイボクに向かってどんな力でラリアットするつもりだったんでしょうか」

茜「今、ちょっとだけ、ちょっとだけ事務所で走り回るのとか控えようと思ったよ」

店主「そうね、プロデューサーさんの腹部にヘッドスライディングとかシャレにならないからね」

53: 2014/02/07(金) 18:56:59.81 ID:KTTfKYYF0
茜「でもこの間撮影でゲレンデに行った時は楽しかったなー。スノボー最高!」

店主「私スキーとかスノボーとか出来ないのよ。羨ましい」

幸子「ふふん! 甘いですね、ボクなんかスカイダイビングしたことありますよ!」

茜「凄いね! 茜ちゃんもプロちゃんに頼んでみよっかなー」

幸子「悪いことは言いません、やめましょう」

茜「?」

店主「何があったの……」

幸子「もう二度と空から叩き落とされた挙句ステージの仕掛けに引っかかって無様な姿を晒すアイドルを生み出してはいけませんから」

店主「765のプロデューサーさんは化け物だと持ってたけど、そっちはそっちで別方向にぶっ飛んでるわね」

茜「えー? 面白そうだけどなー。あ、空からスノボー着けて下りて、着地と同時に滑り始めるとか」

店主「それが出来るのはガチャ○ンくらいじゃないかな」

幸子「やっぱり野々原さんには敵わない気がしてきました」

店主「彼女の自信の大半は根拠が無いんだけどね」

茜「逆に空じゃなくて海もいいかも! 茜ちゃんは水も滴るいいオンナだからね!」

幸子「根拠はないのにこの自信はむしろ尊敬に値しますね」

店主「恐ろしいほど自信過剰だからね。しかも割と出来てしまう辺り恐ろしい」

茜「茜ちゃん、よく誤解されるけど意外と頑張り屋さんなんだよ。だから出来ちゃうのもしょうがないよねー」

幸子「ど、努力ならボクだって負けてませんよ! この間もレッスン場閉まるまで練習してましたし」

茜「でも茜ちゃんには届かないよ」

幸子「いいえ、ボクの方が上です!」

茜「むむむ……なら、合同フェスで!」

幸子「LIVEバトルで!」

二人「「決着をつけましょう(つけちゃおうか)!!!」」

茜「そう決まったらプロちゃんに相談しないとね! CGプロの幸子ちゃんがどうしても茜ちゃんに負けたいみたいだからー、って」

幸子「ふふーん、ボクに負けて吠え面をかかないことですね!」

店主「幸子ちゃんそれ負けフラグ」

茜「じゃあ、そういうことだからお勘定ー」

店主「うちは飯屋か」

幸子「ボクも会計お願いします」

店主「はいよ、じゃあ並んで」

茜「茜ちゃんは優しいから前を譲ってあげるよ」

幸子「いえいえ、ボクは淑女なので野々原さんが前に」

店主「まだやるか」

54: 2014/02/07(金) 19:03:10.05 ID:KTTfKYYF0
店主「765シアターが建設後、既に楓ちゃんと千早ちゃんのコラボで交流のあった765とCGは、すぐに茜ちゃんと幸子ちゃんの合同ライブを実現したみたいね」

店主「え、結果はどうだったのかって?」

店主「それがまあ、実はね……飛び入り参戦した伊織ちゃんに惨敗よ」

店主「伊織ちゃん曰く、「小物同士で潰し合ってる暇があるならここまで来なさい、にひひ」だそうよ。大物は言うことが違うわね」

店主「で結局、二人はレッスンに励む毎日が始まったと聞いたわ。もちろん、自主的にね」

店主「……まあ、茜ちゃんは相変わらず「レッスン全然してないのに最高に調子が良い」らしいけどね」

店主「ところで……気のせいかしら、お店の扉の向こうに、世紀末覇者みたいな子が見えるんだけど。お客さん……よね?」

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55: 2014/02/07(金) 19:05:04.34 ID:KTTfKYYF0
野々原さん、苗字のミス本当にごめんなさい。プリン買ってくるんで許してください。

このみさんと早苗さん、茜ちゃんと幸子は二大似たもの同士だと思う。

59: 2014/02/07(金) 19:47:21.11 ID:wS2LT9gj0
なるほど 続き期待してます

引用: 「アイドルの集う喫茶『アイドル』」