73: 2017/09/01(金) 00:13:27.02 ID:gRyzT9wx0


安斎都「おお、この雰囲気……」

都「まるで探偵が、事件の謎を解き明かすための独白のような……!」

都「はっ、失礼失礼。で、でも、ドラマやマンガに出てくるような探偵って、本当にカッコいいですよね!」

都「私もあんな風に、すらすらと事件の全貌を暴いてみたいものです……」

都「おっと、いけないいけない!」

都「探偵の道は長く険しいもの……!」

都「毎日ちゃんと、頑張らなきゃですね!」

都「……あ、でも今日はもう遅いので、ちょっとお休みしちゃっていいでしょうか?」


『睡眠探偵』


アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(3) (電撃コミックスEX)
74: 2017/09/01(金) 00:14:04.26 ID:gRyzT9wx0

「謎は全て解けました!」

そう叫んだ安斎都は、公園の遊具の中を覗き込んだ。

「迷子のネコちゃんは、ここに……あれ?」

「おいおい都、またハズレかぁ?」

呆れるように呟いた拓海に頭をいじられながら、都は首を捻った。

「うーん、おかしいですね……、私の推理では……って拓海さん! 頭をわしゃわしゃしないでください!」

「ん? ああ、悪い悪い、ちょうどいいところにあったもんで」

「しかし、どこにいるんでしょう……」

「それがわからねぇから探してるんだろ?」

ピピピピピ

「おっと、すまねえ、アタシだ。……もしもし? ああ、夏樹か、お、本当か! わかった、事務所の裏の路地だな。サンキュ!」ピッ

「夏樹が見つけてくれたみたいだ。戻るぞ」

「わ、私も、今から聞き込みをしようと思っていたところで」

「はいはい、わかったわかった」


75: 2017/09/01(金) 00:14:44.27 ID:gRyzT9wx0

安斎都は、世にも珍しい探偵アイドルだ。

いや、珍しいというか、そもそも競合相手なんているのか。という話ではあるのだが。
アイドルとしてのレッスンやお仕事の傍ら、事件を探しに東奔西走。
事件に出会えば、真相を探しに東奔西走。
とはいっても、ここはアイドル事務所であって、探偵事務所ではない。事件と言っても小さなものばかりだ。


76: 2017/09/01(金) 00:15:49.36 ID:gRyzT9wx0

~~~~~

「はぁ~……」

「都ちゃん、ため息ですか……?」

「はっ! よ、頼子さん! お恥ずかしい……」

「いえこちらこそ、いきなり声を掛けてしまって」

「そ、それで、どうしましたかっ! 事件ですか!」

「いいえ、違いますよ。少しおしゃべりでも……と。何か悩みがあるなら聞きますが……?」

「いえいえ! 私に悩みなんてないですよ! さっきのは……、そう! 深呼吸!」

まあ冷静に考えて、先ほどの"お恥ずかしい……"という反応こそため息を認めているようなものなのだが、頼子は言及しないことにした。

「それならよいのですが。……何か話したい時には話してください。私でも、聞き役くらいにはなれるでしょうから」

「ありがとうございます! その心遣いだけで十分ですよ!」


77: 2017/09/01(金) 00:16:32.20 ID:gRyzT9wx0

実のところ、安斎都は悩んでいた。
アイドルとしては、まあいい。
仕事がそこまで多いわけではないが、それでも着実に前に進んでいる実感はある。
歌も、ダンスも、最初は酷いものであったのだが、それなりに形になっているように感じる。
また、"探偵アイドル"という(多少ニッチな)キャラクターもあり、万人受けとは言わずとも、多少のファンだっているのだ。
プロデュース方針にも不満はなく、都自身の意志を尊重してくれている。

しかしながら、探偵としての自分はどうだ?

前に進んでいるか? 「探偵です!」と胸を張って言えるか?
人捜し、身辺調査、捜し物、ケンカの原因究明、などなど……
探偵として、全力で取り組んでいるつもりではある。しかし、それが解決に繋がることはほとんどなく、空回りすることばかりだ。
"探偵は勘が鋭いものだ"と、よく目にするが、残念ながら都の直感は当たらない。
このままでは"探偵アイドル"ではなく、"探偵の真似事をしているアイドル"になってしまう!
そういう焦りが都の中にはあった。

……ファンや仲間はそんなことを承知の上で、都を応援しているのだが。


78: 2017/09/01(金) 00:17:16.90 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


(ふぅ……、疲れました)

この日、レッスンが少し長引いた都は、帰り道を歩いていた。
ドラッグストアの前を通りがかったタイミングで、ふと足が止まる。

(ああ、そういえば、変装用のマスクを切らしていましたね)

外の暗さと対比されて、ドラッグストアの中は眩しいくらいだった。
初めて入った店ということもあり、目当ての棚がなかなか見つからない。

(この棚は……、違いますね、しかし広いお店です……)

(こっちは……? ああ、睡眠導入剤ですか、寝つきの良さには自信があります。私には不要ですね)

そんなことを考えながら、別の棚へ目を移そうとした都であったが。
ふと、視界の端に、引っかかる文字列があった。

(?)

しゃがみこみ、目を凝らす。

「睡眠探偵剤……?」


79: 2017/09/01(金) 00:18:19.84 ID:gRyzT9wx0

『この薬を服用するだけで、眠っている間にどんな難事件でもたちまち解決!』

『迷子探し、つまみ食いの犯人当てから、暴行、強盗、殺人事件まで!』

『さぁ! これであなたも名探偵だ!』

「……はい?」

説明を読みながら、都は呆れていた。

(まったく……、マンガじゃないんですから)

袋を裏返すと、そこには赤字で注意書きが。

>>1日に服用できるのは1回だけです。1日に2回以上服用すると』

「目が覚めないことがあります……?」

背筋が少し、冷たくなるのを感じた。

(な、なるほど、冗談にしてもよくできていますね……)

(……まあ、何か話のネタになるかもしれませんし)

そう、自分に言い訳じみた言葉をかけながら、都はそれを、カゴに放り込んだ。


80: 2017/09/01(金) 00:19:05.97 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


翌日、お昼を少し過ぎたくらいの時間に事務所に入った都であるが、なにやら事務所が騒がしい。
見ると、悲しそうな顔をした龍崎薫と、慰めるように神谷奈緒、北条加蓮が立っていた。

「おや、どうかしましたか?」

「おお、都か、おはよ」

「ちょっと、薫ちゃんが、ね」

「?」

本人に聞くのが早いということなのだろう。

「どうしたんですか?」

「かおるの……プリンが……」

「ほほう……」

どうやら、冷蔵庫に入れてあった薫のプリンが、誰かに食べられてしまったらしい。

薫の話では、昨日の仕事帰りにプロデューサーに買ってもらったのだが、交通渋滞に巻き込まれたせいで事務所に戻るのが遅くなってしまい、翌日食べようと冷蔵庫に入れておいたとのこと。
しかし、薫が先ほど出社した時にはなくなっていたようだ。

「なるほど、任せてください! 必ずやこの事件、解決してみせます!」

「ホント!? みやこちゃん、お願いしまー!」

純粋な目で都を見つめる薫。
これで何もわからなかったら申し訳ないのだが、そんなことは考えていられない。


81: 2017/09/01(金) 00:20:00.44 ID:gRyzT9wx0

「それで、午前中にこの事務所に来たのは……」

ちらとホワイトボードに目を向ける前に、すでにチェックを済ませていた奈緒が口を開いた。

「杏ときらり、夏樹と李衣菜、周子と紗枝の6人みたいだな。ちょうど2人ずつで、1人で来た人はいないみたいだ」

「みなさんから話は聞いたんですか?」

「あ、それは私が聞いた。さっき電話でね」

加蓮が声を出す。

「もちろんみんな、食べてないって。杏とか周子が怪しいかなって思ったけど、証人がそれぞれいるからね」

「なるほど……」

「あ、あと杏が、"冷蔵庫は開けたけど、プリンはなかった気がするんだよね"って言ってたよ」

「ほう……、杏さんときらりさんは、1番早く事務所に来ていたようですが」

「そうなんだよなー、朝早くだから、その時点からなかったのかな? 昨日の夜、薫のプロデューサーが帰る時には、まだあったみたいなんだけど」

「それは……」

「23時くらいだって」


82: 2017/09/01(金) 00:20:27.90 ID:gRyzT9wx0

「むむむ……、これは難事件ですね……」

「みやこちゃん、はんにんわかった……?」

「えっ!? あ、も、もちろんです! この名探偵・安斎都はお見通しです!」

「ホント!? だれ? だれ?」

「うっ……」

「おい都……わからないならそう言っても……」

その時、都は昨日のことを思い出していた。

(た、確かカバンに入れっぱなしだった気が……)

カバンをガサゴソと探ると、その袋が見えた。

「す、すいません、ちょっと座ってもいいですか?」

「あ、来てから立ちっぱなしだもんね、ごめんごめん」

「いえ……よいしょ」

都の手には、袋から取り出した薬が1つ。

(まあ、ダメでもともと……ですしね)

ちょうど、3人が都から目を切った瞬間、ゴクリ、と飲み込んだ。

カクン

「むぅ、ここに書いてない人がふらっと立ち寄ったのかなー……?」

「それだと見つけるのは難しそうだよね」

「うーん……、あれ? みやこちゃん?」

異変に気がついたのは薫。さっきまで普通に座っていたはずの都が、顔を下に向けている。

「お、おい、都、どうした?」

奈緒も慌てて声を掛ける。

「え? このタイミングで寝ちゃったの? 疲れてたのかな」

と、加蓮が言い終えるのと、都の口が動き出すのは同時だった。


「謎が解けました」



83: 2017/09/01(金) 00:20:57.38 ID:gRyzT9wx0

「えっ!?」

薫と奈緒の声が重なる。
しかし、その次の発言を待たずに、都は言葉を続ける。

「昨日のプロ野球、見ましたか?」

「大変盛り上がっていましたね。特にキャッツのゲーム」

「日を跨ぐほどの延長大熱戦の末、12回のウラにキャッツの劇的なサヨナラ勝ち! 凄まじいゲームでした」

いきなり昨日の野球の結果を語り出す都に、他の3人は口を挟めない。

「そういえば、このゲーム、始球式を務めたのは、この事務所の誇る野球大好きなあのアイドルだったそうです」

「きっと、最後の最後まで、試合の行く末を見守っていたことでしょう。まさか始球式だけやって帰るなんてそんなことはありえない」

「彼女のプロデューサーさんは、試合後に彼女を車で引き取りに行ったのだと思います。しかしここで問題が起きます」

「……泥酔した彼女が車の中で眠ってしまったのです」

「彼女のプロデューサーさんは困りました。女子寮に送るにしても、自分は中には入れない。他の部屋のアイドルも寝ている時間だ」

「そこで彼は苦肉の策を取った。ひとまず、彼女を事務所に寝かせるという手段です」

「そして早朝に目を覚ました彼女は、冷蔵庫で見つけたプリンを食べ、帰宅した……」

「昨日の夜中から、杏さんときらりさんが来るまでの間が犯行時刻なら、これ以外にありえません。それに……」

「ほら、今日のレッスン予定表、お昼からのレッスンが1件、中止の×印が書き込まれていますよ。"体調不良"って」

「……姫川、という文字の上に」

84: 2017/09/01(金) 00:21:54.69 ID:gRyzT9wx0

「な、奈緒」

「あ、ああ! 電話してみる……。あ、もしもし! 友紀か!?」

『う、うぅ……奈緒ちゃん……? 声、おっきいよ……』

「今朝、事務所来たか!?」

『事務所……? 来たというか……いたというか……』

「手短に聞くぞ、プリン食べたか?」

『プリン……? ああ、食べちゃった……。お腹空いてて……』

「はぁ……」

『あれ? もしかして、奈緒ちゃんのだった……? ごめんごめ』

「もしもし!!! 友紀お姉ちゃん!!!」

『は、ひゃい!?』

「かおるのプリン、食べたの!?」

『うぇ!? あ、あれ薫ちゃんのだったの!?』

「もー!!!」

『ご、ごめん! い、今から買ってくから! ね?』

「こんどから、ちゃんと確認しなきゃダメ!」

『は、はいぃ……』


85: 2017/09/01(金) 00:23:05.24 ID:gRyzT9wx0

さて、20歳が9歳に叱られているという、なかなかレアな状況ではあるのだが、それを見た都は、とにかく混乱していた。
目を覚ました瞬間、薫が電話に向かって怒っていたのだ。どうやら、相手は友紀で、しかも犯人だったらしい。
あの薬を飲んだ瞬間から今までの記憶が全くない。
もちろん、そんなこととはつゆ知らず、奈緒は都に声をかける。

「おい都! お手柄だな!」

「ふぇ!?」

加蓮も、心からの賛辞を送る。

「すごいじゃん、見直したよ」

「え? は、はい」

「いやー、推理を披露する都、まるで本物の探偵みたいだったぞ!」

「そ、そうですか! そうでしょう、そう……でしょう」

「みやこちゃん! すごい! たんていさんだ!」

「! は、はは……」

「お、そうだ、ついでに、あたしの髪留めがどこにあるか、捜してもらえないかな? 昨日、事務所でなくしちゃって……」

「も、もちろんお安い御用です! この安斎都に……」

そこまで口にしたところで、注意書きが脳裏に走った。

『1日に服用できるのは1回だけです』

(1日に2回以上服用すると……)

続く言葉を思い出し、冷たい感覚が蘇る。

「お、おおっと! 急用を思い出しました! すみませんが私はここで!」

「え? お、おう。気をつけてな?」

直前の言葉を覆し、走り去る都。少し、気持ちを整理したいという思いもあった。


86: 2017/09/01(金) 00:24:13.98 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


夜、驚きと、混乱と、そして少しの期待で、都はなかなか眠ることができなかった。
いろいろ考えてみたのだが、やはり結論は出ない。
あの後、何人かに"お手柄だったらしいね"と褒められた。どうやら、薫が言って回っているらしい。
それ自体悪いことではないのだが、なにぶん記憶がなく、詳細を聞かれても答えに窮してしまうのは問題だ。
それでも、薫の笑顔と"すごい! たんていさんだ!"という言葉は、都の気分を高揚させるに十分足るものであったのだが。
幸い、袋にはまだたくさん薬がある。

(も、もう1度、機会があれば確かめてみましょう……)

そう思いながら、都は眠りに落ちていった。


87: 2017/09/01(金) 00:25:27.46 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


次の機会はすぐにやってきた。
ある日、女子寮の廊下を歩いていた都は、不安気に話をする美穂とみくの2人とすれ違った。

「おはようございます。なにかお悩みですか?」

「あ、都チャン」

「お、おはよう……」

「はい、おはようございます! それで……」

「あのね、あ、あんまり大きな声で言わないでほしいんだけど――」


「ふむ、ベランダに干していた美穂さんのタオルが盗まれた……と」

「う、うん……」

「みく、最初はね? ドロボーかなって思ったんだ。でも、今のところ被害はそのタオルだけなんだって。ドロボーなら、普通下着とか持っていくよね?」

「み、みくちゃん、下着とか言わないで……」

「にゃっ、ごめんごめん」

「なるほど……。詳しく話を聞いてもいいですか?」

そう言いながら、3人は共有スペースへ移動し、ソファへ腰掛けた。
しかし、都の目的はもちろん、話を聞くことではなく、"座る"ことだけだ。
1通りの話を2人から聞いた都は、わざとらしく眉をひそめる。
そして薬を口に入れ……、飲み込んだ。

「なんでタオルなんだろうね?」

「わ、わたしの服なんて盗っても……」


カクン


「謎が解けました」



88: 2017/09/01(金) 00:26:14.61 ID:gRyzT9wx0

「……え?」

みくは驚きで声を上げ、美穂は言葉の意味がわかっていない様子だ。

「み、都チャン?」

「みくさん、以前、寮の裏にネコが捨てられていたことがありましたね。その時、みくさんがそのネコの段ボールに、ご自身のタオルを入れました」

「え? そ、そうだけど、もうだいぶ前だよ? そのネコチャン、もう大人だし」

「話は変わりますが、先ほどおふたりと話していて、私はある感覚を覚えました。……同じ匂いがしたんです。美穂さん、最近、洗剤を変えましたね?」

「う、うん! この前、みくちゃんに勧められたやつに変えたけど」

「みくがずっと使ってるやつだよ」

「捨てネコにタオルをあげた時から、同じものを使っていた……ですよね?」

「うん……えっ? まさか……」

「みくさんの部屋は寮の2階にあります。また、この建物の周囲には木などがあまりなく、1階以外のベランダから誰かが入るのは至難の業です……。それがたとえ、ネコであっても」

「ど、どういうこと?」

「あのネコにとって、この洗剤の匂いはまさにお母さんのようなものです。そして、美穂さんの部屋は1階」

「そ、そっか……! わたしのタオルから、みくちゃんのタオルと同じ匂いがしたから……!」

「おや、ちょうど……」

「み、美穂チャン! 見て! 窓の外!」

「あ! ネコちゃん! わ、わたしのタオル咥えてる!」

「都チャン! すごい! すごいにゃ!」

「ん、んん……?」

「ありがとう都ちゃん!」

「え? ……あ、お、お安い御用ですよっ」

まどろみの中で目を覚ました都であったが、2回目であるために理解は早かった。
どうやら、またしても自分の意識が失われている間に、事件は解決を迎えたらしい。

(この薬……本物なんですね……!)


89: 2017/09/01(金) 00:26:48.12 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


この一件を皮切りに、都のウワサは瞬く間に事務所内に広がっていった。
これまで都をあまり頼っていなかった者も、都の凄さを目の当たりにして、驚くばかりだ。

そして、都にとっての転機が訪れる。


ある時、ウワサを聞きつけたのか、都にあるテレビ番組への出演オファーが舞い込んできた。
何年も前の未解決事件についていくつか取り上げ、情報提供を呼びかける番組だ。
場合によっては改めて捜査のやり直しがなされ、この番組によって解決に繋がる事だってある。
もちろん、都に事件解決を求めているわけではない。緊張感のあるスタジオで、多少なりとも雰囲気を良くしてくれれば。
あわよくば、新しい視点からのコメントが1つでも飛べば。というくらいの期待値ではあったのだが。

撮影が開始され、最初の事件について司会が語り始めた。当然のことながら、警察が何年かけても真相にたどり着けない事件だ。
都が概要を聞いた程度で何か得られるものはない。それでも懸命に、聞き、考え、時にコメントを求められ、的外れな回答だってたくさんあったが、撮影は進んでいった。
お守り代わりにポケットに捻じ込んだ薬も、使う機会はなさそうだ。こんな難事件をいきなり出てきた自分が解決するなんて現実的ではなく、下手な注目を集めてしまう。


90: 2017/09/01(金) 00:27:44.91 ID:gRyzT9wx0

(次が最後の事件ですか……)

最後の事件まで番組が進むと、スタジオに現れたのは少女。見るに年齢は都より少し下くらいだろうか。
自己紹介を済ませた少女は、どうやらこの事件の遺族らしい。

少女が事件の概要を語り始める。他の事件と同様に聞いていた都は、その事件が紐解かれるにつれて、自分が聞き入っていることに気がつかなかった。
聞けばその少女は、まだ小学校低学年のころ、父、母、兄、妹の家族全員を、押し入った強盗に殺されてしまったという。
寝静まった深夜に犯行がなされたが、偶然にも友人宅に泊まっていた少女は助かったということだった。
その日家に帰り見た、血濡れた寝室と無残な家族の姿を、少女は今でも夢に見るという。
涙ながらに語る少女。歳の近い都の目には、涙と、怒りの色が浮かんでいた。

(どうしてあの子がこんなに悲しまなければいけないんでしょうか? 何をしたというのでしょうか)

(どうして犯人は……のうのうと逃げ暮らしているのでしょうか?)

都の指先が、ポケットの中の薬に触れる。
不自然とか、注目を浴びるとか、そんなことは問題ではない。
目の前に困っている人がいて、それを解決する力があるのに、使わないなんて。

(探偵として、ありえません!)


カクン


「謎が解けました」



91: 2017/09/01(金) 00:28:26.40 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


その日から、都の生活は一変した。

探偵のようなアイドルか、アイドルのような探偵か。
いずれにせよ、テレビにドラマに引っ張りだこ。その合間に、謎を次々と解き明かしていく。
1日に1回という制限はあったが、"集中力を使うから"などと誤魔化し続けた。
眠った彼女が決まって使う『謎が解けました』というフレーズは瞬く間に流行語。
決まって顔を下に向け、事件の真相を語る都についた呼び名が。

「"睡眠探偵ミヤコ"さん、お疲れ様です」

「……頼子さん。普通に呼んでください」

「……お疲れのようですね、都ちゃん」

「そう……ですね、忙しくなっちゃいましたので」

失礼します。
と言い残して、都は事務所を後にした。


92: 2017/09/01(金) 00:29:10.15 ID:gRyzT9wx0

人気が爆発してから早数ヶ月、もちろん疲れはあったのだが、都の心は2つの感情で支配されていた。
まず1つ、焦燥感。

「あと3つ……」

薬の残りが少なくなってしまっているのだ。
ここまで都が出世できたのがこの薬のおかげであることは間違いない。
それだけに、この薬がなくなってしまったらどうなってしまうのか。
何度もあの店に通っているのだが、同じ薬が姿を現すことはなかった。

しかし、その焦燥感よりも強く、都の心には、大きな、大きな、罪悪感が生まれていた。
"自分はみんなを騙している"という感覚が、ジワジワと都の心を蝕んでいる。
事務所だけならまだいい。しかし、ファンやスタッフまで、みんなが自分を名探偵だと信じて疑わない。
"探偵になりたかった"都は、奇しくも"探偵であることを望まれる"という状況に苦しんでいた。

この日も雑誌にラジオにテレビに大忙し。
1つの事件を解決して事務所に戻る頃には、すっかり暗くなっていた。


93: 2017/09/01(金) 00:29:53.37 ID:gRyzT9wx0

(ふぅ……あれ、明かりがついていますね)

「お疲れ様です」

「ああ、都ちゃん、遅くまでお疲れ様です」

「よ、頼子さん、こんな時間までどうしたんですか?」

「……」

「確か、明日はソロイベントでしたよね? 早く休んだ方が……」

頼子は少し言い淀み、やがて、意を決したように口を開いた。

「都ちゃんを、待っていました」

「……え?」


94: 2017/09/01(金) 00:30:39.42 ID:gRyzT9wx0

「単刀直入にお聞きします。都ちゃん、何か、隠していることがありますね?」

「なっ……」

「最近の都ちゃんは、とても……苦しそうなんです」

「そ、そんなことは……」

「何というか……、これは私の傲慢なのかもしれませんが……、まるで助けを求めているような」

「……っ!」

「私は以前、こう言いました。"何か話したい時には話してください"と」

「……」

「……私では、頼りになれませんか?」

「そ、そんなことは」

「都ちゃんの、力になりたいんです」

真剣な目で都を見つめる頼子。
心から、都のことを気遣ってくれている。

(これ以上……頼子さんを騙すのは……)

都が、ゆっくりと語り始めた。


95: 2017/09/01(金) 00:31:13.96 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


「……そう……だったんですか」

薬について、一連の話を聞いた頼子は、袋の注意書きを読みながら、目に見えて絶句していた。
無理もないだろう。本人以外にこんな話を信じさせるのは難しい。
それでも。

「……信じられませんよね?」

「いえ、都ちゃんを信じます」

「軽蔑……しないんですか?」

「誰にだって、悪い夢を見ることはありますよ」

きっぱりと言い放つ頼子。さらに続ける。

「……辛かったですよね?」

そう言って、都の頭を優しく撫でる。
初めこそ堪えていた都であったが、次第に、涙が溢れてしまった


96: 2017/09/01(金) 00:32:22.35 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


「お恥ずかしいところをお見せしました……」

落ち着きを取り戻した都は、バツが悪そうに目を逸らす。

「いえ、お役に立てたのなら、何よりです」

「わ、私はここで失礼しますね。明日のイベント、見に行きます! 頑張ってください」

「はい、ありがとうございます。ああ、都ちゃん」

部屋から去ろうとする都の後姿に、頼子は言葉を掛けた。

「薬がなくなってしまったら、次は都ちゃん自身の力で進む時です。都ちゃんなら絶対、大丈夫ですよ」


97: 2017/09/01(金) 00:33:28.88 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


「謎が解けました」


翌日。
珍しく、この日の都は完全にオフ。
夜からの頼子のイベントを見るため、一旦事務所へ立ち寄り、リハーサルが終わるであろう頃合いを見計らって、夕方くらいに向かおうと考えていた。

さて、昼くらいに事務所に着くと、何人かが捜し物をしている。
聞けば、事務所のどこかで李衣菜がギターピックを落としてしまったらしい。
有名ギタリストから譲り受けたもので、何としても見つけたい、と。
当然ながら、都にその依頼が飛び込んできた。
どちらにせよ今日は仕事はないし、断る理由もない。
それに、一刻も早く、薬を使いきりたいとも考えていた都は、これをすぐに解決し、イベント会場へ向かった。


98: 2017/09/01(金) 00:34:37.19 ID:gRyzT9wx0

「ええっと、控え室は……」

会場に入った都は、関係者区画を歩いていた。
といっても、きっと頼子は集中していることだろう。顔だけ見て、すぐに引っ込むつもりと決めていたのだが。

しかしながら、どうも人の流れがせわしない。まるで何か……

(トラブルでもあったんでしょうか……?)

そして、頼子の控え室に辿り着いた都は、なぜか開けっ放しのドアを覗き込み、言葉を失うことになる。


99: 2017/09/01(金) 00:35:33.41 ID:gRyzT9wx0

そこには、無残にも引き裂かれた衣装と、壊されたアクセサリが散乱していた。
傍の椅子に座っている頼子の表情は悲痛と、そう呼ぶ他にない。

「え……? な、なんで……、よ、頼子……さん……?」

「……都ちゃん」

「……何が……起きたんですか」

「……わかりません。リハーサルを終えて戻ると……このような」

「だ、誰が……」

頼子は、黙って首を横に振ることしかできない。


許せない。許せない。許せない。


絶対に許せない。
こんなことが許されていいはずがない。
思わず、カバンの中に手が伸びる。しかし。

『1日に服用できるのは1回だけです』

あの注意書きが、都の手を止める。
さらに。

「……都ちゃん、あの薬を使おうとしていますね? 大丈夫です。私は、大丈夫ですから」

気配を察した頼子が、都を気遣う。

(頼子さんは、こんな時にも私を気遣ってくれる)

(辛いはずなのに、悔しいはずなのに……!)

しかし、今に限っては、その優しさは、逆効果だったのかもしれない。

「やっぱり、許せません……!」

都が、既に指先に触れていた袋を取り出した。


100: 2017/09/01(金) 00:36:30.12 ID:gRyzT9wx0

都が薬を取り出すのを見て、当然頼子は止めにかかる。
しかし、その前に、気がついた。
昨日、見せてもらった時と比べて、間違いなく……、減っている。

「都ちゃん、昨日、話をしたときには残り2個だったはずです。もう1つはどこへいったんですか」

「……いえ、不注意で落としてしまい」

「ウソです。……今日、既に服用したんですよね?」

「……」

「それなら、余計に使わせるわけにはいきません」

「で、ですが! 頼子さんの大事な……!」

「大丈夫です。衣装も、装飾品も、いつかは壊れます。今、事務所から替えの衣装を届けてもらっています。間に合わないとは思いますが、その衣装でなんとか」

「ダメです!!!」

突然の大きな声に、思わず頼子も驚く

「だって、頼子さん、今日に向けてずっと、ずーっと、頑張ってきたじゃないですか! レッスンも、衣装合わせも、一生懸命に!」

「……都ちゃん」

「だから、許せません……、そんな努力をあざ笑う犯人を……!」

「で、ですが、落ち着いてください……!」

「大丈夫です。100%覚めないとは書いてありませんし。このままじゃ、私なんかにはどうせ……」

「み、都ちゃんは、そんな薬なんてなくても名探偵のはずです」

「いいえ、言ったじゃないですか……。私は名探偵なんかじゃないんです。私は普通の女の子で、事件解決は全部この薬のおかげ」

「そんなこと……」

「怖いんです」

「え?」


101: 2017/09/01(金) 00:37:22.59 ID:gRyzT9wx0

俯いた都が、か細い声で言葉を続ける。

「みなさんが、私に期待してくれています。それが、その期待を裏切るのが、とても怖いんです」

「何度も、何度も打ち明けようと思いました。"実は全部ウソだ"って。"私はみんなに期待してもらえるような人間じゃないんです"って!」

「でも言えなかった……! 私は卑怯者です。自分で手に入れていない栄光を、さも自分のものであるかのように振り回した。とんでもない卑怯者なんです」

「だから、これは報いなんです。もし私が目を覚まさなくても、それは仕方のないことなんです」

「ちょうどこの薬がラストです。見ていてください、頼子さん。探偵安斎都、最期の――」


パシィ!!!!!


「……」

「痛い……ですよ」

「……」

「どうして、頼子さんが泣いているんですか」

「どこへ……行ってしまったんですか?」

「……どういう」

「あの頃の都ちゃんは、どこへ行ってしまったんですか」

「……私は私です」

「困ってる人がいたらすぐに駆けつけて『任せてください!』って大きな声をかけていた都ちゃんは……」

「……」

「謎を解くために、どんな小さな手がかりも見逃さないために、服が汚れるのも厭わず、皆の為と奔走していた都ちゃんは……!」

「……」

「私が大好きだった都ちゃんはどこへ行ってしまったんですか!」


102: 2017/09/01(金) 00:38:42.99 ID:gRyzT9wx0

頼子からこんなに大きな声を聞くのはいつぶりだろう。
いや、初めてのことかもしれない。
目に涙を浮かべる頼子は、口を開き、次の言葉を紡ぎ始める。

「……覚えていますか? 始めて私と都ちゃんが話したときのこと」

まるで懐かしむように。

「事務所の廊下で落し物を探す私に、都ちゃんが声を掛けてくれたんです。『どうかしましたか』と」

都はまだ俯いている。

「まだ事務所に入ったばかりの私にとって、あの時の『任せてください』が、どれだけ嬉しくて、どれだけ心強かったことか」

「都ちゃんは、とても一生懸命に、探し物を手伝ってくれました。私の通った廊下や部屋をくまなく、這いつくばるくらいに」

「そして、見つけてくれたんです。……見つけ出してくれたんです」

「その時の喜びは、言葉では言い表せません。探し物が見つかったことはもちろんです。しかし、それ以上に」

「私のために、こんなにも真剣に悩んで、考えて、探してくれる。そんな都ちゃんと出会えたことが、仲間になれたことが、本当に嬉しかった!」

「……っ!」

頼子の一言一言が、突き刺さる。

「思い出してください、都ちゃん。まだ遅くありません」

そうだ。なぜ忘れていたんだ。

「思い出してください、皆の為に、たとえ解決できなくても、懸命に謎に立ち向かう都ちゃんを」

カッコいい探偵に憧れた。
スマートに事件を解決に導く探偵に憧れた。
でもその探偵だって、地道な調査と、細かい推察を重ねて、重ねて、重ねて。
やっとの思いで真相を暴き出す。
だからカッコいいんだ。だから、憧れたんだ。

今の私は

こんな私は


――探偵なんかじゃない!!!


「探偵・安斎都を、思い出してください!!!」



103: 2017/09/01(金) 00:39:34.77 ID:gRyzT9wx0

少しの沈黙。そして。

「ふふふふふ……」

俯いていた都が、顔を上げた。
そこに浮かぶのは……笑顔。

「ありがとうございます、頼子さん」

どこか吹っ切れたような、そんな笑顔。

「……もう、大丈夫ですか?」

「ええ! 安斎都、完全復活です! もうあんな薬には頼りませんよ!」

「……ふふっ、よかったです」

「ご心配をおかけしました! 探偵アイドルとしてまだまだ活躍しなければですからね! こんなところで眠ってはいられません!」

「それでこそ、都ちゃんです」

「さてさて、早速、目の前の謎に挑まなくてはですね!」

「あ、で、でも、今しがた、事務所から新しい衣装が届いたみたいですし、多少開演を推してはいますが、このままなら支障はないかと……」

「いえ! それとこれとは別問題です! 悪を見逃すなんて探偵失格ですから!」

「ですが、手がかりもないですし……」

「そうですね……、ですが、探偵の武器は足だけではないんですよ!」

「え?」

「頼子さん、1つ、お願いを聞いてもらってもいいですか?」


104: 2017/09/01(金) 00:40:27.86 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


――大変長らくお待たせいたしました。ただ今より開演となります。


予定の時間を過ぎても始まらないことに観客が疑問を抱き、そろそろ苦情の1つでも飛んでこようかというタイミングで、放送が響いた。
ステージの上には人影が1つ。
カッ! という音と同時に、スポットライトがその人影に注がれる。
そこには。

「みなさんっ、こんにちは! 安斎都です! あっ間違ってないですからね! これはちゃーんと、頼子さんのイベントですからっ!」

唖然とする観客達。
無理もない。待てども始まらないイベントが開演したと思えば、ステージ上には何かと話題の探偵アイドル。
まさか、頼子の身になにか……? トラブルが起きたのか……?
そんな空気を感じ取ったのか、都は続ける。

「心配いりませんよ。頼子さんは舞台袖で、今か今かとスタンバイしています!」

安堵する観客の顔が見える。

「むむっ! "じゃあなんでお前はいるんだ!"と思った方がいますねっ! 説明しましょう!」

「実は先ほど、"落し物"をしている人を見かけたんです。"顔はわかっている"のですが、いかんせんこの人数から探すのは至難の業……!」

「そこで、こうして呼びかけることで"自首"してほしいんです!」

わざと事件めかした言い方をしていると思ったのだろう。観客から笑い声が聞こえた。
……もちろん、特定の人物に向けたものであるのだが。

「ああ、警備員さんに特徴は伝えてありますので、逃げられませんよ~?」

「まあ私も鬼ではありません。自首してくれれば罪は軽くなりますからね!」

またも笑い声。

「私からは以上です! さてさてみなさんお待ちかね、頼子さんの時間ですよ! 安斎都でした!」

笑顔で深々と頭を下げた都は、闇に消えていった。


105: 2017/09/01(金) 00:41:12.58 ID:gRyzT9wx0

~~~~~


翌日の事務所。

「お疲れ様です、都ちゃん」

「あっ頼子さん! 昨日は本当にお疲れ様でした!」

「いえ、こちらこそ。……おかげ様で犯人も捕まりましたし」

「本当によかったです……」

「でも、あの場に犯人がいなかったら、どうするつもりだったんですか……?」

「いえ! "犯人は現場に戻ってくる"と言いますし! 犯人なら、イベントが壊れる瞬間までその場にいるだろうと考えたんです」

「なるほど……。流石、名探偵さんですね」

「えへへ……。そ、それより! イベントの後、私はすぐに解放されましたが、頼子さんは警察から話を聞かれていたんですよね……? あっ、決して探偵として1回受けてみたかったなあなんて思ってないですよ!」

「ふふっ、そうですね。……ああ、そういえば」

「?」

「犯人は自首した理由について、こう言っていたそうですよ」

『まさか安斎都がいるとは思わなかった。逃げられないと感じた』

「ふふん! ……ま、まあ、その名声は私の力ではないですが」

「たとえそうでも、追い詰めたのは都ちゃんですよ」

「て、照れます……。探偵は話術も武器ですからね!」

「これから先も、活躍を期待していますね? 名探偵さん」

「はい! 任せてください!」


106: 2017/09/01(金) 00:42:30.16 ID:gRyzT9wx0

「……頼子さん」

「はい?」

「ありがとうございました」

「都ちゃん?」

「私は、ずっと眠っていました。この薬を初めて手にした時から」

都が薬を取り出す。

「目を覚ましてくれたのは、頼子さんです。本当にありがとうございました」

「……力になれたのなら、嬉しい限りです」

「でも」

「?」

「1つだけ、謎が残っています」

「そ、そうなのですか……?」

「昨日、聞き間違いでなければ頼子さんは『私が大好きだった都ちゃんは』と言っていましたよね?」

「えっ!? あ、ええと……」

まさか掘り返されるとは思ってもみなかったのだろう。明らかに頼子がうろたえている。

「それを聞いてから、いえ、それよりも前からだったかもしれません。頼子さんの顔を見ると……ドキドキして……」

「え?」

「……そこで、この謎を解くことを、睡眠探偵ミヤコの最後の仕事にします」

そう言って、都が最後の薬を口に含む。

「……まあ、自分でもわかっているんですけどね」

小さな呟きが頼子の耳に届いた時にはもう。

カクン

目の前には、何度も見た姿勢の都が。


「謎が解けましたよ」


「頼子さん。私は――」



――少し震える都の手には、まだ最後の薬が握られていた。




おわり



107: 2017/09/01(金) 00:43:10.02 ID:gRyzT9wx0
ありがとうございました


引用: 【モバマスSS】世にも奇妙なシンデレラ