684: 2015/03/23(月) 22:25:02.60 ID:F5/Z5TRA0


【東京喰種】永近英良「カネキ・・・いいかげんにしろよ」【その1】
【東京喰種】永近英良「カネキ・・・いいかげんにしろよ」【その2】
【東京喰種】永近英良「カネキ・・・いいかげんにしろよ」【その3】

#031 [終了]


――――――――――20区“あんていく”

ロマ 「てんちょー」

芳村 「ん?どうしたんだい、ロマちゃん」

ロマ 「・・・私、すごいこと聞いちゃったんです」

芳村 「?」

ロマ 「この前店長が言ってた“眼鏡”さんて人のことなんですけどぉ・・」

芳村 「彼がどうかしたのかい?」

ロマ 「“眼鏡”さんて・・白鳩からは“変態眼鏡”って呼ばれてるみたいですよ」

芳村 「・・・どういうことだい?」

ロマ 「店長が居ないときお客さんから聞いたんですけど・・・なんでも戦うとき・・・その・・・下半身を・・・その・・・・出したまま戦うことで有名とか・・・」

芳村 「・・・・本当かい?」

ロマ 「・・20区のCCGの前の掲示板にも書いてありましたよ」

芳村 「・・・」

ロマ 「でもって・・・すごく言いにくいんですが・・・“アオギリ”のエトさんと・・・その・・・付き合ってるらしいです」

芳村 「・・・・・」ピキィ!!


ロマ 「ひぃぃぃ!!」
 
古間 「芳村さん!気持ちは分かるけどおちつえぶしッツ!!」

芳村 「・・・ロマちゃん・・・貴重な情報をありがとう・・・」

ロマ 「は・・・はひ・・」


芳村 「・・・カヤくん」

カヤ 「は・・・はい」

芳村 「ヨモ君を呼んでくれ」

カヤ 「えっと・・」

芳村 「早急にだ」

カヤ 「・・はい」

東京喰種トーキョーグール リマスター版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
683: 2015/03/23(月) 22:24:03.57 ID:F5/Z5TRA0
>>681ドキッ・・!

続きです

685: 2015/03/23(月) 22:25:35.49 ID:F5/Z5TRA0

店員 「ありがとうございましたぁ!」

カネキ「・・・うーん・・これでいいかなぁ・・まあもう買っちゃったし。とりあえず行こう」

ガチャ
カネキ「・・・おはようございます」

高槻 「!!!」

カネキ「あ・・・スイマセン昨日は」

高槻 「カネキ君」

カネキ「せ・・先生」

高槻 「昨日はごめんね」

カネキ「・・・え」

高槻 「ちゃんヒナのことで私も頭に血が上ってました。カネキ君のことだからまたどこかで悪いものでも食べて新しい性癖に目覚めてしまったんでしょう。でも昨日のアレは犯罪ですし、人としてどうかと思うのでやめた方がいいです」

カネキ「・・えっと」

高槻 「メールもすみませんでした。いっぱいしてしまって。きっと君のことだから独自に取材をしたり友達と会っていたんですよね。でも今度はできれば前もってメールしてほしいです。君ももうCCGでは有名なんですから心配ですし」

カネキ「・・・」

高槻 「いままで色々とプライベートを縛ってしまってごめんね。君は大学生ですし友達とかと遊んだり、たまには家族に顔を出さなければいけませんよね。でももしよかったらこれからも少しはウチに来てください。やはり君が居ると私の仕事も捗りますし、ちゃんヒナも・・・」

カネキ「先生」

高槻 「・・え?」

カネキ「心配かけてすみませんでした。昨日は色々と取材をしているうちに遅くなってしまい、深夜にやっとアジトに行ったんですが遅すぎたのでそのままアジトで寝ました」

高槻 「そ・・そうだったんだ」

カネキ「コレ、先生に心配をかけたお詫びです」

高槻 「え?」


686: 2015/03/23(月) 22:26:05.54 ID:F5/Z5TRA0

高槻 「開けて・・いい?」

カネキ「ええ、もちろん」

ごそごそ
高槻 「・・・スカーフ?」

カネキ「先生って“エト”の時スカーフしてるでしょ?いっつも同じ柄だからたまには違うのもと思って」

高槻 「・・・カネキ君・・ありがとう。大事に使います」
ぎゅっ

カネキ「あはは・・大袈裟ですよ」

カネキ(あぶねえええ・・何とか危機は脱した・・・!!とりあえず飲んでたことは内緒の方向で行こう・・取材は本当だしな)

ヒナミ「・・・ん・・・・・あれお兄ちゃん帰って・・!」

ヒナミ(・・・先生がお兄ちゃんに抱き付いてる・・・!)


高槻 「私は朝ご飯作ります。まだでしょ?」

カネキ「うん、ありがとうございます。ちょっとパソコン借りていいですか?」

高槻 「ウン、いいよ。それと、ちゃんヒナを起こしてください」

カネキ「了解です」



・・・

カネキ「・・・よし。iP●dに音源落とせたぞ・・クックック・・」

カネキ「あ・ヒナミちゃん起こさなきゃ」


687: 2015/03/23(月) 22:26:39.32 ID:F5/Z5TRA0

カネキ「・・・」

寝室には無垢に眠る少女の姿があった。

その枕元に近づくと、少女が静かに立てる寝息が僕の鼓膜を震わせる。

僕はそっと彼女の頬に指先を伸ばす。

頬の柔肉が僕の気持ちを逆立てる。

ごくり・・・

僕の手が掛け布団にかかる・・その瞬間。


パチリ
ヒナミ「・・・」

カネキ「!!ヒナミ・・・ちゃん」

ヒナミ「お兄ちゃんの・・・ウソつき」

カネキ「・・・え?」

ヒナミ「昨日は・・ヒナミに本読んでくれるって言ったのに」

カネキ「・・そうだったね。ゴメン。忙しくて帰ってこられなかったんだ」

ヒナミ「むー・・・」

カネキ「本当にごめんね・・・それでねお詫びにと思ってこれ買ってきたんだ」

ヒナミ「え?・・これは?」

カネキ「携帯電話だよ。プリペイド式だからいくらでも使えるわけじゃないけど。今回みたいなときにちゃんとヒナミちゃんに連絡できるように」

ヒナミ「・・・これ貰っていいの?」

カネキ「うん、もちろん・・・でも先生には内緒だよ、一応」


688: 2015/03/23(月) 22:27:12.53 ID:F5/Z5TRA0

カネキ「これで許してくれないかな?」

ヒナミ「・・・ダメ」

カネキ「え?」

ヒナミ「さっき・・先生にしてたみたいに・・・ヒナミのことも抱きしめてくれないと許してあげない//」

カネキ「み・・見てたの?・・・しょ・・しょうがないなぁ」

ぎゅっ

ヒナミ「・・・えへへ・・・お兄ちゃん・・///」


ダメだ。

マズイ。

ヒナミちゃんのにおいがッ

キミにこんなことされたら・・

僕はッ!!

もうッツ!!!


ガラガラ
高槻 「二人とも朝ご飯・・・・」

高槻 「・・・」

カネキ「・・・」

ヒナミ「・・・♡」



689: 2015/03/23(月) 22:27:48.57 ID:F5/Z5TRA0

カネキ「・・・ごちそうさま」

ヒナミ「ごちそうさま」

高槻 「ごちそうさまです」


ヒナミ「お兄ちゃん、一緒に図書館行かない?」

高槻 「ダメです。今日はカネキ君は私とミーティングに行くので」

カネキ「えっと・・」

高槻 「・・・」

カネキ「ミーティング行きます」

ヒナミ「そっか・・残念」

カネキ「ごめんね、また今度、必ず行くから」

高槻 「・・・」

高槻 「ミーティングは午後からなので、午前中はバイトをお願いします」

カネキ「ハイ」

・・・

高槻 「・・・次回作のプロットです。カネキ君の意見をお願いします」

カネキ「先生・・・その、さっきのは先生の誤解です」

高槻 「誤解?何のことですか?別に私は何も言ってませんが」

カネキ「じゃあなんでさっきから赫眼出しっぱなしなんですか」

高槻 「・・・寝不足です」

カネキ「嘘だッ」

高槻 「寝不足は本当です・・・君のことが心配で昨日は碌に寝ていません」

カネキ(・・・確かに目の下のクマがいつもより濃いなぁ)


690: 2015/03/23(月) 22:28:25.13 ID:F5/Z5TRA0

カネキ「昨日のことは本当にスイマセンでした。今後は必ず事前にメールしますので」

高槻 「ウン・・・ゼッタイだよ?」

カネキ「・・はい。で、プロットでしたね」

高槻 「ウン。お願いします」

カネキ「えっと・・・・先生なんでくっつくんですか」

高槻 「え?そうですか?別にくっついてるつもりはありませんが。ただ隣に居るだけですよ」

カネキ「・・・まあいいですけど怖いから一応赫眼仕舞ってもらえますか?」

・・・


カネキ「・・・・読み終わりました」

高槻 「どう?!」

カネキ「・・・そうですね・・いくつか質問したいこととか、意見がありますが、とりあえずミーティングの後にしません?」

高槻 「ん?・・うわもうこんな時間!さすがに二日連続ですっぽかしはマズイ!急いで行こう!!」

カネキ「ハイ」

高槻 「ちゃんヒナ、私たち出かけてきます」

ヒナミ「うん、いってらっしゃい・・・えっと・・今日は二人とも帰ってくる?」

高槻 「ちょっとどうなるか分からないので連絡します。遅くなったらちゃんと自分でご飯食べるんだよ」

ヒナミ「はーい。行ってらっしゃい」


692: 2015/03/23(月) 22:29:06.87 ID:F5/Z5TRA0

高槻 「・・・カネキ君何聞いてるんですか?ニヤニヤしてちょっと不審な人ですよ」

カネキ「先生も聞きたいですか?」

高槻 「ウン」

カネキ「そうですね・・・じゃあアジトでアヤト君のことよく見ておいてください。その方が10倍楽しめますから」

高槻 「?」

カネキ「あ、もうアジトですね。マスクしないと」

高槻 「え・・ええ。私も顔隠します」

・・・

カネキ「あ、さっそくスカーフを」

エト 「ウン・・・だってせっかくケンが買ってくれたものだから」

カネキ「そうですか。気に入ってもらえて嬉しいです」

エト 「ウン」


タタラ「お、来たか」

エト 「お疲れサマ」
カネキ「昨日ぶりです」

タタラ「・・・同伴か」ニヤニヤ

カネキ「だからそのニヤニヤ止めい!」バシッ

タタラ「ハハハ・・痛い痛い」

エト (よく分かんないけどタタラさんにここまで全力でツッコむのって後にも先にもケンだけだろうなぁ・・・)


693: 2015/03/23(月) 22:29:59.20 ID:F5/Z5TRA0

ヤモリ「ケン君」

カネキ「あ、ヤモリさん。お疲れ様です」

ヤモリ「ああ、お疲れ様。ケン君の顔を見ると心が落ち着くよ」

カネキ「はは・・僕もヤモリさんの穏やかな顔見ると安心します」

ヤモリ「ケン君・・・・ハグしようよ?」

カネキ「ええ、いいですよ」
ぎゅっ

エト 「???!!??」

ヤモリ「ふふ・・・やはりハグはいいね・・愛や平和を感じるね」

カネキ「ええ・・ヤモリさんこの前4区でフリーハグしてたでしょ?知り合いのマスク屋さんが見たって言ってましたよ」

ヤモリ「うん・・・はじめは皆、僕の外見を怖がって逃げていったけど、だんだんと人が集まってね。最後は性別も国籍も人種(人間と喰種的な意味)も越えた繋がりを感じることができたよ」

カネキ「そうですね。僕はヤモリさんのそういう幸せそうな顔を見られることが幸せです」

ヤモリ「はは・・・さすがケン君だ」

ナキ 「あっ!ケン母さん!!」

カネキ「もう・・ナキさんは。僕はお母さんじゃないですよ」

ナキ 「いや、ケンさんはお母さんだぜぇぇ・・俺、ケン母さんと居ると楽しくてよぉ・・・うっ・・ダメだ涙が止まらねぇ・・!」

ヤモリ「ナキに聞いたよ。昨日の夜、なかなか眠れないナキの枕元で子守唄歌ってくれたんだってね・・・ケン君の博愛は僕も見習わなきゃ」

カネキ「何言ってるんですか。ヤモリさんだって素晴らしい博愛精神を持ってるじゃないですか・・・僕の貸したマザー=テレサの伝記すごく感動してたじゃないですか」

ヤモリ「うん・・・彼女の言葉にはジーンときたよ。“愛の反対は憎しみではなく無関心です”・・僕は今まで白鳩に対して憎しみだけを抱いてた。でもそれは僕の間違いだった。彼らとの関係も愛をもって考えなければいけないね」

ナキ 「さすがだぜェ・・神兄貴ィ!!」


エト 「・・・・ケン、私ちょっと頭痛がするからミーティング始まるまであっちに居るね」

カネキ「うん。分かったよ」


694: 2015/03/23(月) 22:30:41.06 ID:F5/Z5TRA0

カネキ「アーヤート君♡」

アヤト「」・・・ぶるぶるぶるぶる

カネキ「そんなに震えなくても大丈夫だよ」

アヤト「ケケケケケンさん・・・・おおお俺・・」

カネキ「・・・・アヤト君の気持ち分かるよ」

アヤト「・・・え?」

カネキ「僕もそうさ。美しい女性のメガネを見るとアヤト君と同じことをしたくなる」

アヤト「ケ・・ケンさん」

カネキ「アヤト君がトーカお姉ちゃんにちょっと意地悪な事言われながら手コキで抜いてもうことを想像しながら発射したのと同じように、僕も美しい女性(できれば口リっ子)のメガネにぶっかける妄想でいつも抜いてるよ」

アヤト「ケンさん・・・俺・・」

カネキ「アヤト君、君は僕と同じ。ただその対象がお姉ちゃんだっただけさ・・・僕は嬉しいんだよ仲間ができて」

アヤト「ケンさん・・いや・・ケン先輩!!」

カネキ「アヤト君っ!!」
ガシッ!!


強く交わされた握手。

それはまるで桃園の誓いで義兄弟の杯を交わした英雄のそれであった。

男同士の誓いに言葉はいらない。

カネキがこの日のために買い集めた姉萌え系の工口ゲをアヤトに渡したことで二人の友情は永遠のものとなったのだった。


695: 2015/03/23(月) 22:31:54.47 ID:F5/Z5TRA0

エト 「・・・・ノロさん聞いてくれる?」

ノロ 「・・・・」

エト 「最初はさぁ・・面白そうな奴だからキープしておいて、ゆくゆくは上手くダマして仲間に引き込もうと思ってたんだぁ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「でもさぁ・・蓋を開けてみたら面白いを通り越してぶっ飛んだ奴でさぁ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「ナカマたちがどんどんケン色に染まっていくんだよねぇ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「あ、ほら見て。末端の構成員たちが最敬礼してる・・・そりゃそうだよねぇ・・リーダー代理のタタラさんに笑いながら蹴り入れてる奴に逆らう気起きないよねぇ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「実際ムチャクチャ強いし・・・まあ確かに私がずっと赫包だけを食べさせ続けてたのが原因なんだけどさぁ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「しかもアイツ、ド変態なんだよ。ノロさん11区に居たから知らないと思うけど、下半身丸出しで白鳩と戦ってさぁ・・・でっかいものブラブラさせながら高速で動きまわってんの」

ノロ 「・・・・」

エト 「いや・・・確かに比較対象が無いから本当にでっかいのかよく分かんないけどさぁ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「もー色々台無しだよ!私が頑張って作ったアオギリを根本から変えやがって・・・しかもこのままじゃ・・・私の心まで奪われそう・・・」

ノロ 「・・・  ・・・・」

エト 「あーあー!!今のなし!!忘れて!!・・・まあいいやミーティング始まるよ」



696: 2015/03/23(月) 22:32:35.87 ID:F5/Z5TRA0

タタラ「・・・みんな聞いてくれ。俺たち“アオギリの樹”は次の段階に入る」

カネキ「次の段階?」

エト 「ウン、聞いてて」

タタラ「知っての通り、俺たちは力をつけ、CCGをはじめとする人間どもが作った線引きを壊すことがとりあえず現在の目標だ・・・そこでここからはさらに喰種の数を増やし、同時にCCGを内部から破壊する」

カネキ「・・・ん?」

タタラ「まず、喰種の数を増やすためにある人間が必要だ。名前は“嘉納”という医師だ。こいつは人間を喰種に変える技術を持っている。こいつが居れば効率よく喰種の数を増やすことができる。現に奴は氏んだ“リゼ”の赫包を人間に移植し喰種を作った。その喰種は20区の“あんていく”に居るらしい。可能ならばそいつも手に入れる」

カネキ「・・・」

エト 「ケン、分かってると思うけど移植されたのは君の友達の方ってことになってるから」

カネキ「・・・えっと」

タタラ「次にCCGの内部破壊だが、情報によれば、奴らの中に“ピ工口”という喰種集団の内通者が居るらしい。“ピ工口”は一度CCGに壊滅させられたが“ピ工口”のリーダーがコクリアに収監されていて、先日の俺たちの襲撃の際、そいつを逃がした」

カネキ「・・・あー」

タタラ「だが、そいつはその後行方をくらましてな・・おそらく仲間たちのところに帰ったと思うが未だ感知できていない。おそらく表に出ることを嫌う奴等は俺たちの作戦を良く思わないだろう・・・だからこの作戦は奴らにばれないよう静かに遂行する」

タタラ「そしてCCGが喰種とつながっていることを人間社会に広め、弱体化したところで一気に叩く」


697: 2015/03/23(月) 22:33:10.31 ID:F5/Z5TRA0

タタラ「以上だ。まずは皆、嘉納の奪還に動け」

喰種達「はっ!」


・・・・


エト 「・・・と言う訳でますは嘉納の奪還から始めるよ。ケンは嘉納の顔知ってるから私と一緒に来てね」

タタラ「任せたぞ、エト、ケン」

カネキ「・・・」

エト 「どうしたの?何か言いたげだけど・・・ああ君の友達のこと?大丈夫だよ無理に連れてきたりしないから。ていうかケンの知り合いってこと分かったらたぶんVIP待遇になると思うし」

カネキ「・・・エト」

エト 「ん?」

カネキ「・・とりあえずコーヒーでも飲みながら落ち着いて話そうか?」

エト 「??」


698: 2015/03/23(月) 22:33:53.19 ID:F5/Z5TRA0

――――――――――“あんていく”ではない某コーヒーショップ

高槻 「どう?ここいいでしょ?私のお気に入りなんだ」

カネキ「ええ、そうですね。ゆっくり本読めそうですし」

高槻 「でしょー?ココ、ネタだしに使うんです」

カネキ「なるほど」

高槻 「・・・で、さっきのことだけど」

カネキ「ああ、えっと・・どこから説明してらいいか」

ピリリリ・・

高槻 「ん?カネキ君電話だよ」

カネキ「あ、うん」・・・ピッ

カネキ「もしもし?」

カネキ「え?・・・・ああ・・・ふーん・・そうですかどうもありがとうございます・・・・ハイハイ。分かりました。そっちは何とかします・・・可能な限りですけど・・・はい、それじゃ」ピッ

カネキ「ふー・・・」

高槻 「??」

ヴー・・ヴー・・・

高槻 「今度はメールが」

カネキ「・・・・」ピッ

カネキ「・・・・」

カネキ「・・・・えー・・・・先ほどのタタラさんの作戦ですが、全て終了しました」

高槻 「・・はい?!」


718: 2015/03/25(水) 23:25:08.09 ID:5GZb2SUP0
こんばんは
みんな大好き月山さんはまだ出てきますのでご安心ください
それでは続きです

719: 2015/03/25(水) 23:25:57.71 ID:5GZb2SUP0

#032 [作戦]


篠原 「・・・と言う訳だから」

亜門 「・・分かりました。アキラにも伝えます」

篠原 「うん。じゃあアキラちゃんにも一応書いてもらってね」

亜門 「・・はい」


亜門 「・・・」

ピ ピ ピ・・

亜門 「・・・もしもし、安久か?」

***

亜門 「・・・安久。もう怪我はいいのか?」

シロ 「はい、完治しました」
クロ 「それで、どういったご用件でしょうか?」

亜門 「その様子だとまだ連絡が行っていなかったか」

シロ・クロ「「?」」

亜門 「・・・“隻眼の梟”の居場所が分かった。場所は20区の喫茶店だ」

シロ・クロ「「!!」」

亜門 「相手はSSS級喰種だ。規則に倣い『遺書』を書いた。アキラもだ」

シロ・クロ「「・・・私たちは・・」」

亜門 「篠原さんの話ではお前たちの参加は怪我もあるため自己判断でよいとのことだ」

シロ・クロ「「・・・行きます!!」」

亜門 「・・そう言うと思った」



720: 2015/03/25(水) 23:26:37.94 ID:5GZb2SUP0

亜門 「“大喰い”は・・未だ感知出来ていない・・隻眼をたたけば現れる可能性が高いという事と、隻眼駆除が最優先であるという事から今回の作戦が決まった」

シロ・クロ「「・・・いつなんですか?」」

亜門 「一週間後だ・・・後の詳しい作戦や配置は黒磐特等から聞け」

シロ・クロ「「・・・はい」」


シロ 「・・・お姉ちゃん」

クロ 「・・・うん」

シロ 「・・・ついに来たね」

クロ 「・・・うん」

シロ 「お兄ちゃんは・・きっと来るね」

クロ 「うん・・・“あんていく”だからね」

シロ 「止めなきゃ」

クロ 「うん。止めなきゃ」


***

黒磐 「皆、話がある」

美郷 「ハイッ!」
シロ・クロ「「・・ハイ」」


721: 2015/03/25(水) 23:27:21.15 ID:5GZb2SUP0

シロ 「“隻眼の梟”SSSレートか・・」

クロ 「CCGの指揮官は和修局長だってね」

シロ 「・・・うん・・・遺書、書いた?」

クロ 「うん」

シロ 「・・・」
クロ 「・・・」

シロ・クロ「「ふふ」」

シロ 「やっぱり一緒だね」
クロ 「うん。だって家族はお互い同士しか居ないもんね」

シロ・クロ「・・・」

シロ・クロ(・・・どっちかが氏んだら・・その次に遺書に書くことは無いね・・・)


***


アキラ「亜門上等・・・ちょっといいか?」

亜門 「・・ああ」

アキラ「“ドウジマ”が完成したらしいな」

亜門 「ああ。お前が構成案を作ったそうだな」

アキラ「ああ・・“ドウジマ”は重過ぎる。もっと軽く、ギミックを凝らした」

亜門 「・・・軽くしたのか?」

アキラ「当り前だ。クインケの性能とは関係のないところで重くしすぎだ・・・どうせ筋トレの一環だろう?」

亜門 「・・・・いや・・これは昔、俺の同期が使っていた遺品でな・・氏んでしまった同期のためにも俺は強くなろうと・・」

アキラ「・・・フン。だったらその同期とやらに申し訳ないと思わないのか?これほど重りをつけて」


722: 2015/03/25(水) 23:27:55.36 ID:5GZb2SUP0

亜門 「・・・要件はそれだけか?」

アキラ「いや・・もう一つ。あの高槻とかいう作家が言っていた“スフィンクス”の前社長が分かった・・・黒磐特等のところの安久姉妹の父、安久七生だ。私が独自に調べた」

亜門 「・・・そうか」

アキラ「・・・驚かないのだな・・・知っていたのか?」

亜門 「いや・・・そういう訳ではない」

アキラ「・・・君は分かりやすいな」

亜門 「・・・」

アキラ「・・君が考えていることは分かっている・・・私もおそらく同じことを考えている」

亜門 「だが・・・」

アキラ「ああ。証拠はない。それに、それが事実であれば・・それは有ってはならないことだ」

亜門 「・・・アキラ。その件に関しては俺が調べる。今は隻眼の事を考えるべきだ」

アキラ「分かっている・・隻眼は母の敵、そして隻眼とつながっている大喰いは父の敵だ」

亜門 「・・ああ・・そうだな」

アキラ「だがな、君だけですべて片付けようとするな。私は君の部下で、パートナーだ」

亜門 「・・・アキラ」

アキラ「私は・・“ドウジマの持ち主”のように君を残して氏んだりはしない」

亜門 「・・・・」

アキラ「・・・今回の作戦が終わったら・・君に言いたいことがある」

亜門 「?それは今じゃあだめなのか?」

アキラ「・・・ダメだ。この筋肉馬鹿が」

亜門 「?・・・筋肉をバカにするなよ」


723: 2015/03/25(水) 23:28:52.52 ID:5GZb2SUP0

***


高槻 「ちょっと説明してもらっていいですか?」

カネキ「えーっと・・まずは嘉納先生のことですが」

高槻 「ウン」

カネキ「家に居ます」

高槻 「ゴメン、のっけから意味わかんない」

カネキ「だから、嘉納先生は僕のアパートに居ます。他に元“アオギリ”の喰種が9人いますけど」

高槻 「・・・・・・まあ・・今更なんで?とか聞きません。たぶん理解にかかる時間が無駄なような気がするので・・嘉納先生を難なくゲットできたと楽観的に考えましょう」

カネキ「あ、そうですか」

高槻 「もうなんだか慣れました」

カネキ「で・・“ピ工口”ですが、取材の結果、大体彼らが何をしてるか分かりました。ついでに逃げたって言うリーダーの居場所もほぼ判明しました」

高槻 「マジですか・・・」

カネキ「あとは先生と“アオギリ”の皆さんの協力があればCCGはたぶん壊滅しますよ」

高槻 「皆はともかく・・・私の協力ってなんですか?」

カネキ「先生の目的を正直に教えてもらえますか?」

高槻 「・・・え?」

724: 2015/03/25(水) 23:29:28.55 ID:5GZb2SUP0

カネキ「先生のお母さんである憂奈さんはVという喰種達を追っていたんですよね?」

高槻 「ちょっと待てなぜそんなこと知ってる」

カネキ「先生が、人間・喰種・CCGの事分かる範囲で調べろって言ったじゃないですか」

高槻 「ええ・・まあ言いましたけど」

カネキ「CCGは人間を喰種に変える技術を持っています。嘉納先生はCCG在籍時にそれをやる部署に居たようですね。でもってCCGはVという喰種集団とつながっていて、どうやらVは、お互いの均衡をとるためにその事に気付いた喰種や人間を頃す役割を持っていますね。芳村店長が頃し屋さんやってた時は彼はその事を知らなかったんじゃないですかね」

高槻 「うん・・“分かる範囲”っていうかもうほぼ全部調べつくした感じだね」

カネキ「Vは仲間の喰種がCCGに狩られず食料である人間が滅びないように、CCGは適度に喰種を狩り自分たちの仕事がなくならないように、裏で協力していると考えれば、人間と喰種、どちらかの力が大きくなりすぎればその均衡は崩れます。“アオギリ”は・・と言うより先生は、喰種の数を増やしてパワーバランスを崩すことでこの状態を打開しようとしてるんじゃないですか?」

高槻 「・・・・君は有能すぎるね・・・変態すぎるのもそうだけど」

カネキ「で、この際ハッキリさせたいんですよ」

高槻 「・・・何を?」

カネキ「先生は、最終的にどうしたいんですか?」

高槻 「・・・最終的に、というのは?」

カネキ「先生は僕と同じで普通に食事できますし、作家として成功していて別にこのままでも何不自由なく暮らしていけますよね?なのに敢えてこんな面倒な事してる理由は?」

高槻 「・・・」

カネキ「・・・その理由が、憂奈さんの無念を晴らすためなら僕は協力します」

高槻 「・・・ケン」

カネキ「はい?」


725: 2015/03/25(水) 23:30:12.83 ID:5GZb2SUP0

高槻 「知ってる?私は“隻眼の梟”。今までたくさんの人間や喰種を頃してきた。君はそんな殺人鬼に協力するの?」

カネキ「・・・そうですね。でも今までのは生きるためにしょうがなくでしょ?」

高槻 「・・・CCGを潰すとなれば、それこそ何千人、何万人という人間を頃すことになります。それでもいいんですか?」

カネキ「僕の作戦がうまくいけば、あと5~6人殺せばCCG潰せますよ」

高槻 「・・・それ、ホント?」

カネキ「まあ、もちろん先生と、アオギリの皆、それと“あんていく”が協力してくれれば」

高槻 「・・・」

カネキ「芳村店長が憂奈さんを頃したことを恨んでるのはよく分かりますが、その気持ちが解決の機会を失わせていると思いますよ」

高槻 「・・・っ!」

カネキ「憂奈さんのノートに書いてありませんでしたか?その“復讐したい”という気持ちが今の喰種と人間の関係を作ってしまっている、と」

高槻 「!!・・・君は何でもお見通しですね・・・君はこの短期間に“喰種”という存在が何なのかを突き止めてしまったんですか」

カネキ「・・・コクリアから逃がした喰種にドイツの方が居ましたよね。彼がヒントをくれましたので」

高槻 「・・・分かったよ。乗った。私はケンの作戦に乗ることにします」


726: 2015/03/25(水) 23:31:20.12 ID:5GZb2SUP0

カネキ「じゃあ具体的な作戦を言いますね。まず“ピ工口”を叩きます」

高槻 「え?」

カネキ「“ピ工口”は人間や喰所のあらゆる組織に居て、情報を集め共有しています。なので先に潰しておかないと情報を流すなどの方法でCCGを潰す邪魔をしてきます。あるいは潰した後Vを使って僕らを潰しに来ます」

高槻 「でも・・あらゆる組織に居る奴をそれぞれ見つけて倒していくのは難しいと思うよ」

カネキ「ええ。だから、アオギリとCCGとあんていくに居る奴らだけで十分です」

高槻 「アオギリに居るの?」

カネキ「ハイ。おそらくノロさんはピ工口ですね」

高槻 「ええ?」

カネキ「僕が“ピ工口”だとしたら、これだけ大きな喰種集団である“アオギリ”には必ず派遣します。アタリを付けるためにとりあえず幹部の人たちとは全員と仲良くなってみたんですが、ノロさん以外はおそらくシロですね」

高槻 「え・・そのために仲良くなってたの?」

カネキ「先生が、他の喰種に“無理に”個人的な事聞くなって言ったので、まず友達になってそれからゆっくり聞き出しました」

高槻 「ウン・・なんていうか・・そのために人格が変わっちゃた人も居る気がするんだけど・・まあいいや」

カネキ「で、確証を得るためにノロさんにワナをはりました。そしたら見事に引っかかってくれたのでクロですね」

高槻 「ウーン・・実を言うとさぁ、ノロさんて喰種じゃないんだよね」

カネキ「ん?」


727: 2015/03/25(水) 23:32:28.76 ID:5GZb2SUP0

高槻 「ノロさんて昔、4区の喰種集団から譲り受けた赫子で作ったロボットみたいなものなんだよ。だから喋らないし、簡単な指示しかできないの。目覚まし時計のアラームで行動のオンオフ切り替えしたりとかね。私とタタラさんで交代で燃料となる人間を与えてたんだけど、結構燃費悪いんだよね」

カネキ「うーん・・・だとしたらピ工口のリーダーはノロさんを通してアオギリを監視してますね」

高槻 「え?」

カネキ「いくつか証拠があります。あと、今の話聞いてトリさんを頃したのってノロさんじゃないかって疑いが生じました」

高槻 「え?イトリさんて情報屋の人でしょ?氏んだの??」

カネキ「ええ。レストランで食事した日の夜誰かに殺されました。あの時はまだピエ口リーダーはコクリアに居たので、そいつが遠隔操作でノロさんを動かして頃したのかなと。イトリさんあの夜、僕にピ工口の正体を喋りかけましたからね。それで、口封じに」

高槻 「・・・」

カネキ「ただ、気になるのはどうやってイトリさんと僕の会話を聞いたのかって事なんですよ」

高槻 「・・・ゴメンそれ私のせいかも」

カネキ「え?」

高槻 「・・・実はあの夜、君たちの後を付けて様子をうかがっていました・・・・で、その後ノロさんにその事を愚痴りました」

カネキ「いや待ってください・・何を愚痴るんですか」


――――回想――――

エト 「ノロさん聞いてよ」

ノロ 「・・・」

エト 「この前言ったケンって奴さーなんかしっかりデートしてやがんの」

ノロ 「・・・」

エト 「しかもなんか“仲間に入らない?”とか言われてるしさー!」

ノロ 「・・・」

エト 「アイツ、あれであの女の仲間に入ったらクビにして食べてやる!・・そんなに大きい胸がいいのかよ・・!」

――――回想終了――――


高槻 「・・・・////」

カネキ「なんで顔が赤くなるんですか」

高槻 「と・・とにかく人形に話しかける感覚で、あの夜のことはノロさんに言いました///」


728: 2015/03/25(水) 23:33:17.55 ID:5GZb2SUP0

カネキ「・・まぁとにかく、それを聞いて一層ノロさんが怪しいことが分かりましたね」

高槻 「・・ウン」

カネキ「そういう訳で、ノロさんはピ工口です」

高槻 「“あんていく”とCCGは?」

カネキ「協力者が居ます。情報をもらったのでおよその予想はついています」

高槻 「“あんていく”の方はともかく、CCGの内部に入り込むのは至難の業だよ」

カネキ「それも考えてあります・・・実は僕、芳村店長に“アオギリ”と“あんていく”が協力してCCGと戦うという偽情報を従業員さんに言ってもらいました」

高槻 「ん?」

カネキ「従業員の中に居るピ工口はそれを良く思わないので、きっとCCGに情報を流して“あんていく”を襲撃するよう仕向けます」

高槻 「そううまくいきますか?」

カネキ「ええ。一週間後にCCGは“あんていく”に襲撃します。内通者から情報が来ましたので」

高槻 「!!」

カネキ「その混乱に乗じてピ工口の主要メンバーを倒します」

高槻 「CCGは倒さないでいいの?」

カネキ「それはその次ですね」

高槻 「??」

カネキ「まずは・・・」

・・・


729: 2015/03/25(水) 23:34:05.59 ID:5GZb2SUP0

高槻 「なるほど」

カネキ「それともう一つ」

高槻 「ん?」

カネキ「先生の次回作に関する意見ですが」

高槻 「それ、いまする話?!」

カネキ「重要です」

高槻 「はぁ・・そうですか」

カネキ「まず主人公ですが、却下です。完全に僕なので。モデルってレベルじゃなく、完全に僕なので」

高槻 「ええええ?!それってもう内容全とっかえのレベルだよ?!」

カネキ「いえ、大丈夫です。主人公は・・・」

・・・


高槻 「なるほど・・・カネキ君」

カネキ「はい?」

高槻 「なんていうか・・・君を雇って正解だったよ。実はこの作戦に近いことはいつかやろうと思ってたの。でも君のおかげでそれをやるタイミングが一気にやってきた」

カネキ「そう言ってもらえると嬉しいですね。でも喜ぶのは作戦が成功してからにしましょう」

高槻 「ウン、そうだね・・・じゃあ私はこのままここでプロットを書くよ」

カネキ「そうですか。じゃあ僕は本でも読んでます・・・・あ」

高槻 「なんです?」

カネキ「いい作業用BGMがあるんですよ・・・・!」ニヤァ


730: 2015/03/25(水) 23:34:47.25 ID:5GZb2SUP0

『はぁはぁはぁ・・・』

『トーカお姉ちゃんのにおい・・・トーカお姉ちゃんのにおい!!』

『お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!!』

『あっ・・お姉ちゃんゴメンナサイ・・許して・・ああッそんなッツ』

『ダメだよそんな事・・あッツ』

『お姉ちゃんの指が僕のをッ・・・ああッ!』

『ああっ・・お姉ちゃん・・・そんなことまでッ!!』

『あああああああああ』

『お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!!』

『ダメだよ出ちゃうよッ・・』

『お姉ちゃんの指にかかっちゃうよッ』

『ああっ・・ダメ・・ダメダメダメッ』

『出るっ・・出ます出ます出ますっ!!』

『あああああああああああん!!!』

『お姉ちゃん大好きだよぉ・・・』


『はァウッ!!!!』


高槻 「・・・・最後の悲鳴は何ですか?」

カネキ「アヤト君がいつもお姉ちゃんのこと妄想する部屋(笑)の天井にでっかい文字で『スッキリした?』って書いておいたんですよ。それに気づいた声ですね」

高槻 「鬼畜っすなぁ」


745: 2015/03/26(木) 22:57:16.33 ID:y2YYMCwm0

#033 [事案]


高槻 「ただいまー」

ヒナミ「お帰りなさい・・・お兄ちゃんは?」

高槻 「旅に出ました」

ヒナミ「え?・・・えっと・・取材?」

高槻 「・・私もよくわかりません・・取材も行くけど旅に出るって言ってました」

ヒナミ「お兄ちゃん・・・大丈夫かな?」

高槻 「CCGに捕まらないかという意味では大丈夫です」

ヒナミ「え?」

高槻 「警察に捕まらないかという意味では不安です」

ヒナミ「??」

高槻 「・・・とりあえず私は後1週間で原稿をあげて出版までしなきゃいけないという超ハードスケジュールなので・・・多分ゴハンはかなり疎かになります」

ヒナミ「大丈夫!ヒナミが作るよ!お洗濯もできるから!!」

高槻 「ちゃんヒナはいいお嫁さんになりますね」

ヒナミ「えへへ」


***

カネキ「ふう・・・片道5時間もかかっちゃったな。まあいいや・・・店を探そう」


746: 2015/03/26(木) 22:57:47.63 ID:y2YYMCwm0

店員 「ありがとうございました。それでは3日後に発送いたしますので」

カネキ「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」


カネキ「さて、ここでの用事も終わったし今日は観光していくか」







※福井県みまもり掲示板※ 

▶16時30分ごろ、市内の複数の公園で眼鏡をかけた10代後半から20代後半とみられる男が小学生の女児に話しかける事案が発生しました。
▶男は女児に“お菓子あげるから僕と遊ばない?”などと声をかけてきます。
▶子供たちが事件に巻き込まれないように大人たちは近所の子供を見守りましょう。
▶また、不審な人を見たら警察にご連絡をお願いします。



『不審者情報』

▶今日20時ごろ、市内の○○通りで不審な男が目撃されました。
▶男はビルの高所などから飛び降り、女性の前に突然現れ、“すみませんちょっと暑かったもので”などと喋ったのち立ち去ったとのことです。
▶男は20代くらいで黒髪、メガネをかけており、裾の長いコートを着ています。
▶なお、落下時の風圧でコートが捲れた際、下半身が全裸であったとの証言もあります。
▶同様の事件は30分の間に5件ほど起きており、警察が男の行方を追っています。




カネキ「ふー・・・だいぶふれあったなぁ。今日はもう宿行くかぁ」



747: 2015/03/26(木) 22:58:39.74 ID:y2YYMCwm0

――――――――――23区“アオギリの樹”アジト

カネキ「タタラさん」

タタラ「おお、ケンか。どうした?」

カネキ「話があります」

タタラ「ん?」

カネキ「嘉納医師をゲットしました」

タタラ「何?!本当か?!」

カネキ「ええ、それと、ピ工口の居場所も分かりました。CCGを崩壊させる準備も整いました」

タタラ「・・・ケン・・わが友よ。お前はもうこの“アオギリ”になくてはならない存在だ」

カネキ「タタラさん」

タタラ「ん?」

カネキ「お願いがあります」

タタラ「?」

カネキ「僕とエトでCCGとピ工口を一掃します。タタラさんとそのほかのアオギリの人には援護をお願いしたいんです」

タタラ「お安い御用だ・・・CCGには俺の敵も居る」

カネキ「・・・援護に当たって条件が二つあります」

タタラ「なんだ?」

カネキ「3日後、CCGが20区にある喫茶店“あんていく”を襲撃します」

タタラ「初耳だな」

カネキ「ええ、内通者から得た情報ですが確かな情報です」



748: 2015/03/26(木) 22:59:15.01 ID:y2YYMCwm0

タタラ「ではその混乱に乗じてやるのか?」

カネキ「そうですが、それに関しての条件が二つ」

タタラ「うん」

カネキ「まずアオギリが出ていくタイミングは、CCGの襲撃よりも少し遅くなる予定です」

タタラ「予定・・・?」

カネキ「具体的にはノロさんが活動を停止したら」

タタラ「??」

カネキ「襲撃のしばらく後、ノロさんが壊れます。そしたらGOです」

タタラ「・・意味がよく分からないがノロは連れて行かないという事か?」

カネキ「まあ、そうです。あとこの会話はすべてノロさんには内緒です」

タタラ「??」

カネキ「それともう一つ、ノロさんが壊れたら、“アオギリ”はCCGの司令官が居る本部部隊から最も遠いところから現れてください。ただし陽動だけでCCGを殺さない事」

タタラ「・・・それは無理だ」

カネキ「お願いします。詳しくは後で説明しますが、そうすることでCCGの完全破壊の可能性が高まります」

タタラ「・・前に言ったな。CCGには俺のかつての仲間を頃した法寺という男が居る。奴と奴の持つクインケを見た時、俺は冷静ではいられなくなるだろう」


749: 2015/03/26(木) 23:00:24.19 ID:y2YYMCwm0

カネキ「・・・気持ちは分かります。僕も例えばエトが殺られてクインケにされたらタタラさんと同じ気持ちになると思います。でも無理を承知でお願いしてるんです」

タタラ「ケン・・・・・・・お前、やっぱエト好きだろ?」

カネキ「今はそういう話をしていません」

タタラ「・・・・ケン、お前は修学旅行というものを知っているか?」

カネキ「え?何突然・・・まあ知ってますよ。ていうか昔行きました。京都・奈良でしたね」

タタラ「枕は・・投げたか?」

カネキ「え?まくら投げですか?高校生にもなってそういう事はしませんよ」

タタラ「・・・夜、好きな子の話を言い合ったりしたか?」

カネキ「え・・・まあそういう人たちも居ましたね」

タタラ「・・・」

カネキ「・・・?」

タタラ「俺は日本に来て結構経つが、最近お前が貸してくれて読んだ“ガクエンモノ”というジャンルの小説に興味があってな」

カネキ「はぁ」

タタラ「最近思うんだ、俺は日本に来ていったい何をしていたんだと」

カネキ「いや・・まぁ」

タタラ「修学旅行に行きたい」

カネキ「はい?」



750: 2015/03/26(木) 23:00:54.80 ID:y2YYMCwm0

タタラ「メンバーはケンとアヤトと・・ヤモリとナキも誘うか・・・・あ、シャチはダメだ。アイツは色々台無しにしそうだしな」

カネキ「・・・」

タタラ「京都・奈良・・いいじゃないか。思えば日本観光もしていなかったな。秋葉原は行ったが」

カネキ「・・・わかりました。もろもろ終わったら行きましょう。それでいいですか?」

タタラ「ちゃんと夜はまくら投げをして、電気を消したら恋バナだ」

カネキ「わかったわかった」

タタラ「チケットはもうとっておいた方がいいか?」

カネキ「気が早いですよ。その辺の手配は僕がしますから」

タタラ「なあ、木刀は本当に売っているのか?」

カネキ「・・・そういうものは浅草にもありますよ」

タタラ「何ッ?!」

カネキ「はぁ・・じゃあお願いしますよ、陽動の件」

タタラ「うむ・・行きたい寺のリストアップをしておく」

カネキ「話聞いてます?ノロさんには内緒の件よろしくお願いしますよ」

タタラ「~♪」

カネキ「おい」

タタラ「うむ、わかった」

カネキ「ちなみにアヤト君は何してます?」

タタラ「よく分からんがパソコンで何かを見ている・・呼んでくるか?」

カネキ「いえ、結構です」


751: 2015/03/26(木) 23:01:43.45 ID:y2YYMCwm0

カネキ(一番面倒だと思ってたタタラさん説得の件が意外にすんなり終わってよかった・・さて)


ガチャ

カネキ「こんにちは」

高槻 「・・・おかえりぃ~」
ヒナミ「お兄ちゃん!」

高槻 「・・・できましたよ。清書まで終了しました」

カネキ「お疲れ様です」

高槻 「お願いです・・ちょっとだけカネキ君分を補充させてください」

カネキ「ちょっと、意味わかんないです」

高槻 「・・・こういう事です」
ぎゅー

ヒナミ「あ・・ヒナミも!!」
ぎゅー

カネキ「こらこら、興奮するだろ?」

高槻 「変な事したら食べますから」

ヒナミ「変な事?」

カネキ「」ごくり

・・・


カネキ「さて、僕の方も終わりました」

高槻 「ウン。お疲れ」

カネキ「あとは先生にやってほしいことがあります」

高槻 「もう勘弁してぇぇ・・」

カネキ「いや、文章書けってハナシではないですから」

高槻 「よかったぁ・・」

カネキ「僕はヒナミちゃんをバンジョーさん達に預けてくるので先生はその間行ってきてほしいところがあります」

高槻 「?」



752: 2015/03/26(木) 23:03:14.99 ID:y2YYMCwm0

カネキ「ただいま」

バンジョー「ケンさん・・・て、その子は?」

カネキ「この子はヒナミちゃんと言います」

ヒナミ「こ・・こんにちは」

バンジョー(あ・・前にケンさんが言ってた両親を白鳩に殺された・・)

カネキ「皆さん聞いて下さい」

下宿人一同「?」

カネキ「僕はこれからCCGと戦ってきます。平気だとは思いますが万が一のことを考えてこの子をここで面倒見てもらいたいんです」

ヒナミ「えっ?!・・・イヤ・・お兄ちゃん、ダメッ!!」

カネキ「ヒナミちゃん、作戦がうまくいけばここに居る皆さんも、ヒナミちゃんも普通に暮らせるようになるかもしれないんだ。だから行かなくちゃいけないんだ」

ヒナミ「イヤッ・・イヤァ!!」

カネキ「バンジョーさん・・もし僕が2週間たっても帰ってこなかったら、この子を連れて逃げてください」

バンジョー「・・分かった」

ヒナミ「イタダアアア!!お兄ちゃんや先生まで氏んじゃったら私ッ!!」

バンジョー「ヒナミちゃん、大丈夫さ・・ケンの強さは半端じゃねぇ・・俺達皆ケンに助けられたんだぜ」

イチミ「そうそう」

サンテ「バンジョーさんは激弱だけど、ケンさんの強さは折り紙付きだから」

バンジョー「俺が弱いこと関係ねーだろーがよぉ・・」

ジロ 「おいで、ヒナミちゃん」

ヒナミ「・・・」


カネキ「じゃあ先生、作戦通りにお願いしますね」

嘉納 「ああ、わかったよ」

カネキ「それじゃ」
ガチャン


嘉納(また喰種が増えたか・・・はぁ・・)


753: 2015/03/26(木) 23:04:00.34 ID:y2YYMCwm0

――――――――――20区某所

芳村 「・・・芥子か」

芥子 「功善、知っているか?・・・お前の正体はもう白鳩にばれているぞ」

芳村 「・・・そうか」

芥子 「長くVに居たお前ならその意味が解るな?」

芳村 「Vか・・・懐かしいな」

芥子 「功善・・貴様も老いたな」

芳村 「・・・要件は何だ?」

芥子 「“アオギリ”に力を貸すな」

芳村 「・・・何のことかな?」

芥子 「奴らが均衡を壊すために動いていることは明白だ」

芳村 「・・・」

芥子 「そして“隻眼の梟”と呼ばれている喰種を差し出せ」

芳村 「・・知らんな。そんな喰種」

芥子 「しらばくれるな。貴様との血の繋がりは明白だ。奴の存在そのものが我々が築いた線引きを曖昧にしている」

芳村 「悪いが、何を言っているのか分からないな」

芥子 「そうか・・ならば貴様は氏ぬ。貴様が守ってきたあの小さな喫茶店とともにな」

芳村 「・・・」



754: 2015/03/26(木) 23:05:05.48 ID:y2YYMCwm0

ヨモ 「芳村さん」

芳村 「・・・ああ、分かっている。“あんていく”しばらく休業だ」

ヨモ 「・・はい」

芳村 「本当に例の件はお願いしてもいいのかね」

ヨモ 「はい・・・俺だけではないので」

芳村 「分かった・・お願いするよ」

***


芳村 「トーカちゃん」

トーカ「どうしました、店長?」

芳村 「試験、近いんだってね」

トーカ「え・・あ、ハイ」

芳村 「うん・・では今日からトーカちゃんは試験が終わるまでバイトはお休みだ」

トーカ「ええ?!」

芳村 「・・・永近君と同じ大学に行きたいんだろう?がんばりなさい」

トーカ「は・・はい//」

芳村 「大丈夫だよ。彼はきっと帰ってくる」

***


カヤ 「・・店長」
古間 「芳村さん」

芳村 「・・・うん」

カヤ 「本当に白鳩が来るんですか」

芳村 「ああ」

カヤ 「・・・そうですか」

古間 「証拠物品の処分は僕とカヤでやっておきました」

芳村 「ありがとう・・・コーヒーでも飲むかね?」

古間・カヤ「いただきます」


755: 2015/03/26(木) 23:05:58.21 ID:y2YYMCwm0

カヤ 「・・・でも、本当にあの子が?」

芳村 「ああ」

カヤ 「・・・どうするんですか?」

芳村 「ヨモ君に頼んだ」

カヤ 「そうですか」

古間 「・・・こっちは任せて下さい。“魔猿”がついています」

芳村 「ああ、頼りにしているよ」

カヤ 「なんだか・・・明日の夜、白鳩が攻めて来るなんて信じられないですね」

芳村 「すまないね・・巻き込んでしまって」

古間 「何言ってるんですか・・俺たちは、芳村さんのおかげで今があるんです・・どこまでも着いて行きますよ」

芳村 「・・・」


芳村 (憂那・・・私は・・・)




カラン カラン


高槻 「コーヒーはありますか?」



756: 2015/03/26(木) 23:06:46.86 ID:y2YYMCwm0

カヤ 「すみません、もう閉店なんです」

芳村 「・・いや、私が煎れよう・・・座ってください」

カヤ 「?」

高槻 「ありがとうございます」

・・・


高槻 「・・私はエト。“アオギリの樹”のメンバーです。我々と協力関係にあるあなたに今回の作戦について説明をしに来ました」

カヤ・古間「!!」

芳村 「うん・・・聞こう」

・・・


高槻 「・・・と言う訳です」

芳村 「・・・そうか。分かったよ・・・確かにそれは私にしかできないね」

カヤ 「・・・私たちは本当にそれでいいんですか?」

高槻 「ええ・・・これは現在の“アオギリ”の・・・まあなんというか実質リーダーの作戦ですので」

カヤ 「?」

芳村 「・・・エト、見たところ目の下にクマができているが・・大丈夫かね?」

高槻 「・・・あなたが心配することではありません」

芳村 「・・ああ、そうだったね」

カヤ・古間「・・・」

高槻 「それでは、説明したとおりによろしくお願いします」

芳村 「ああ」

高槻 「ごちそうさま・・・・・・コーヒー、おいしかったです」


カラン カラン

芳村 「・・・」

カヤ 「・・店長、私二階の掃除してきます・・ホラ、アンタも」
古間 「あ・・・ああ。それじゃ」
ガチャン

芳村 「・・・」

芳村 「・・・ありがとう・・・エト・・カネキ君・・・・私の夢を叶えてくれて」


770: 2015/03/28(土) 01:38:17.48 ID:eeIWEeUi0
>>766
個人的にあれはヒデ分なんじゃないかと思ってます

さて、帰ってこれたので更新しちゃいます

772: 2015/03/28(土) 01:38:53.79 ID:eeIWEeUi0

#034 [開戦]


――――――――――24区


カネキ「なかなか気持ち悪い壁ですね」

高槻 「でしょ?」

カネキ「にしても24区は危険な喰種がいっぱいいるってハナシでしたけどさっきから誰にも会いませんね」

高槻 「そりゃそうですよ。私がそういう風に皆にお願いしたので」

カネキ「隻眼の梟は伊達じゃないですね」

高槻 「やめてくださいよ・・そう自称したわけじゃないので」

カネキ「アオギリのリーダー“隻眼の王”も先生なんでしょ?」

高槻 「違うよ・・そうだね君にも教えとかなきゃね。もうこの作戦をするってことは君と運命を共にするって事だからね」

カネキ「?」

高槻 「・・私がこの24区で中心的な存在となってしばらく経った頃、あるCCG捜査官のチームが喰種討伐に現れました」

カネキ「僕の知ってる人ですか?」

高槻 「ええ。君が戦った“有馬”です」

カネキ「?・・・ああ!あのダサい眼鏡の!!」

高槻 「・・・その認識のが先なんですね」


773: 2015/03/28(土) 01:39:27.72 ID:eeIWEeUi0

#034 [開戦]


――――――――――24区


カネキ「なかなか気持ち悪い壁ですね」

高槻 「でしょ?」

カネキ「にしても24区は危険な喰種がいっぱいいるってハナシでしたけどさっきから誰にも会いませんね」

高槻 「そりゃそうですよ。私がそういう風に皆にお願いしたので」

カネキ「隻眼の梟は伊達じゃないですね」

高槻 「やめてくださいよ・・そう自称したわけじゃないので」

カネキ「アオギリのリーダー“隻眼の王”も先生なんでしょ?」

高槻 「違うよ・・そうだね君にも教えとかなきゃね。もうこの作戦をするってことは君と運命を共にするって事だからね」

カネキ「?」

高槻 「・・私がこの24区で中心的な存在となってしばらく経った頃、あるCCG捜査官のチームが喰種討伐に現れました」

カネキ「僕の知ってる人ですか?」

高槻 「ええ。君が戦った“有馬”です」

カネキ「?・・・ああ!あのダサい眼鏡の!!」

高槻 「・・・その認識のが先なんですね」


774: 2015/03/28(土) 01:40:09.36 ID:eeIWEeUi0
連投スイマセン

775: 2015/03/28(土) 01:40:47.28 ID:eeIWEeUi0

高槻 「“有馬”は強くてね。他の捜査官は倒したけど奴は倒せなかった」

カネキ「そうですか?」

高槻 「君と戦った時は本気じゃなかったよ。奴が本気を出せるのは、仲間が居ないときだから」

カネキ「?」

高槻 「・・・とにかく、限界を超えた力を出した奴と、私は互角で決着がつかなかった」

カネキ「はあ」

高槻 「そしてお互い勝負がつかない事を悟り、私たちは秘密裏の同盟を結びました」

カネキ「ええ?じゃあ先生もCCGに内通者が居たんですか」

高槻 「まあね。ていうか関わって3か月余りで内通者を作っちゃう君の方が異常ですからね」

カネキ「まあ・・アレはタイミングと運もありましたから」

高槻 「・・・契約内容は遠い未来、CCGの闇が暴ける段階になったら協力すること。そしてそのために奴は24区担当官に志願し、他の捜査官が最深部まで到達できないように仕向ける。私は“アオギリの樹”を作りXデーに備える・・・名前の由来はアオギリの花言葉である“秘めた意志”からとってね」

カネキ「ん?じゃあやっぱり先生が“アオギリの樹”のリーダーじゃないですか」

高槻 「違うよ。作ったのは私だけど、リーダーは“隻眼の王”という“存在しない”喰種」

カネキ「うーん・・」

高槻 「・・さて、そろそろ中継地点の“ルートV14”だよ」

カネキ「中継地点?」

高槻 「有馬が居ます」

カネキ「え?!じゃあマスクしなきゃ」

高槻 「必要ないですよ。むしろマスクしてたら攻撃されますよ」

カネキ「?」




776: 2015/03/28(土) 01:41:26.84 ID:eeIWEeUi0

高槻 「こんにちは」

有馬 「・・・ここはV14。ここから先、“喰種”は通すことはできない。お前たちは誰だ?」

高槻 「私は高槻泉。こっちは私のパートナーの金木研。人間ですよ」

有馬 「・・・そうか」

カネキ「?」

有馬 「高槻・・・やるのか?」

高槻 「ええ・・・あなたもお忘れなく」

有馬 「・・・」


・・・

高槻 「・・・では、君はここで地上に出るんですね」

カネキ「はい。先生の方はお願いします」

高槻 「ウン。任せて」

カネキ「先生・・・すみません。先生に汚れ仕事を任せてしまって」

高槻 「君が謝るなんて珍しいね。大丈夫だよ。むしろ危険なのは君の方だから」

カネキ「・・・じゃあ終わったら例の待ち合わせ場所で」

高槻 「ウン・・・氏なないでよ、ケン」


777: 2015/03/28(土) 01:42:52.84 ID:eeIWEeUi0

――――――――――20区“あんていく”前


吉時 「・・・・作戦を開始する」


「突入しますッツ」

キィィ・・

「とまれッ!!」

古間・カヤ「・・いらっしゃいませ」

「!!」



「和修局長!!喫茶店から複数の喰種がっ!!」

吉時 「梟か?」

「猿のマスクを付けた喰種と犬のマスクを付けた喰種がっ・・どちらも100以上います!!」

吉時 「・・・第2隊と第3隊で迎撃せよ」

「はっ!!」


吉時 「・・・おかしい・・梟が出ないな」


「局長!!」

吉時 「どうした?」

「猿面と犬面達が二手に分かれ分散していきます!」

吉時 「第2隊と第3隊で追撃。後方に居る第4隊に連絡し挟み撃ちにせよ」

「ハイッ!」


――――――――――20区“あんていく”前


吉時 「・・・・作戦を開始する」


「突入しますッツ」

キィィ・・

「とまれッ!!」

古間・カヤ「・・いらっしゃいませ」

「!!」



「和修局長!!喫茶店から複数の喰種がっ!!」

吉時 「梟か?」

「猿のマスクを付けた喰種と犬のマスクを付けた喰種がっ・・どちらも100以上います!!」

吉時 「・・・第2隊と第3隊で迎撃せよ」

「はっ!!」


吉時 「・・・おかしい・・梟が出ないな」


「局長!!」

吉時 「どうした?」

「猿面と犬面達が二手に分かれ分散していきます!」

吉時 「第2隊と第3隊で追撃。後方に居る第4隊に連絡し挟み撃ちにせよ」

「ハイッ!」

778: 2015/03/28(土) 01:43:40.74 ID:eeIWEeUi0

「くそッ・・奴らすばしっこく動きやがって!!」

猿面 「ウキッ」

「食らえッ!!」

猿面 「ウキキッ!!」

「クソォ!!・・・ん?」

女性捜査官「・・・きゃあああ!!」

「なんだ?!」

女性捜査官「今・・・おしりを・・・触られました」

「??」

「きゃああ!!」
「いやっ!」
「やああああっ!!」
猿面 「ウッキッキ」

「なんだこの状況は・・・?!」

女性捜査官「奴ら・・“工口猿”よ!!」

「“工口猿”?!」

女性捜査官「ええ・・かつて20区を中心に各区の優秀な女性捜査官にセクハラしまくっていた『猿面』の喰種集団・・そのリーダー格が“工口猿”」

女性捜査官「奴のせいで多くの捜査官が心に深い傷を負ったわ・・まさか奴が“隻眼”とつながっていたなん・・きゃああああああ!!エOチ!!!」

古間 「ぐへへへへ・・・・ん?」


鉢川 「よーう・・工口猿」

古間 「・・・男に興味なし・・去れ」

鉢川 「そういう訳にもいかねぇんだよ・・俺の同期(女性)も師匠(女性)も大勢お前にセクハラされてんだよ」

・・
鉢川 「・・って居ねぇ・・」


ひゅん
古間 「ウキッツ!」
さわっ
穂木 「・・っきゃ!!」

倉元 「穂木ちゃんっ!」

穂木 「触られたの」

鉢川 「くそがあああ!!・・・ってもう居ねえ!!」


779: 2015/03/28(土) 01:44:21.18 ID:eeIWEeUi0

「望元さんっ・・奴らすごい数ですッ!!しかも奴らのあの姿・・・」

田中丸「うろたえるなボーイたち・・・見ていなさい私の一撃を」

田中丸「・・・ハイアー」

田中丸「マーーーーーーーインドォォォ!!!!!」
ドッゴーーーーーン!!!


カヤ 「クゥゥゥゥン!!」

「馬鹿な・・効いてない?!」

田中丸「ンン・・奴らあの姿・・痛みを快楽に変えているのかねっ!!」

カヤ 「・・・へっへっへ」
シュン!!

「なっ・・一瞬で背後に?!」
カヤ 「キャイイイイイイイン♡!!」

「はっ・・はううううう!!」どぴゅっ

カヤ 「キャンキャン♡」


田中丸「悪いイヌだね・・野犬は保健所に行きなさい」

カヤ 「・・・ふふ」
バキキキキ・・・

カヤ 「そんな事言ってるアンタだって・・・・アソコが天を仰いでるじゃない」


「奴がボンテージ荒縄の犬面集団のボス・・・SSレート喰種“雌犬”か・・・奴に(社会的な意味で)殺された男性捜査官は数知れずだ・・」

カヤ 「すぐにッツ」

カヤ 「そのデカブツをイカせてあげるわッツ!!!」

田中丸「フンッ!!」


780: 2015/03/28(土) 01:45:32.85 ID:eeIWEeUi0

――――――――――地下某所


「・・・・」
てくてく


ヨモ 「・・・どこへ行く?」

ロマ 「キャッ!!ヨモ先輩っ!!」

ヨモ 「・・・」

ロマ 「だってぇ・・CCGが攻めてきたんですよぉ・・怖いから出来るだけ遠くに逃げるんですよぉ」

ヨモ 「・・・奴ら・・CCGはなぜ“あんていく”の存在を知った?」

ロマ 「えっ?!そんなの私が分かるわけないじゃないですかーっ!!」

ヨモ 「・・芳村さんが“アオギリ”と協力関係にあるというのは・・・ウソだ」

ロマ 「・・え?」

ヨモ 「“コクリア”からSS級の“ピ工口”が逃げたタイミングで“あんていく”に現れたお前を・・ある喰種が疑っていた」

ロマ 「な・・なんですか“ピ工口”って?!」

ヨモ 「お前は芳村さんに言ったそうだな・・・“眼鏡”とエトという喰種が付き合っていると」

ロマ 「・・え?」

ヨモ 「そのような事実はない・・・“眼鏡”はその嘘を“アオギリ”のノロという喰種にだけについた・・・それをなぜお前が知る?」

ロマ 「ちょ・・ちょっと待ってくださいよー!!何言ってるか分かりませんよー!!」


ウタ 「・・・ねえ、リーダー」

ロマ 「・・・ウタ」

ウタ 「僕さ、別にどっちでもいいんだよ。“ピ工口”でも、そうじゃなくても」

ウタ 「でも」

ウタ 「僕たちのナカマのイトリさんを頃したのは、いただけないかな」

ヨモ 「・・・そういう事だ」
ズモモモモ・・

ウタ 「安心してよ。上の戦い終わったら皆イトリさんのお店に集まるんでしょ?・・・僕らもコレ終わったらそこ行くから・・・寂しくないよ?」

ロマ 「・・・」


ロマ 「くっそ・・・あの変態・・・・」


781: 2015/03/28(土) 01:46:08.43 ID:eeIWEeUi0

――――――――――23区“アオギリ”アジト


ノロ 「・・・」
ずずず・・

タタラ「・・・ノロ?」

ノロ 「・・・・・」
ドロドロドロ・・・・グシャァアアア・・

タタラ「・・・ノロが・・崩れていく・・」


タタラ「ヤモリ、ナキ。行くぞ」

ヤモリ「うん。ケン君と一緒に戦うんだね」

タタラ「ああ。ケンは先に行っている・・・ケンの作戦を守るんだぞ」

ヤモリ「うん・・・さすがケン君だよ。慈愛に満ちた作戦だね・・ナキ、行くよ」

ナキ 「ハイッ神兄貴!!」


ガチャ
タタラ「・・・アヤト、合図があった」

アヤト「はァウッ!!い・・・今行きます!!」

タタラ「アヤト・・・なぜ半裸でパソコンを見ている?」

アヤト「えっと・・・その・・・暑くて!!」

タタラ「・・・そうか・・風邪をひくなよ」
ガチャン

アヤト(・・・タタラさんがピュアで助かった)


782: 2015/03/28(土) 01:46:46.41 ID:eeIWEeUi0
ここまでにします

おやすみなさい

791: 2015/03/28(土) 15:34:46.05 ID:eeIWEeUi0

#035 [分断]


“あんていく”第4隊

亜門 「・・声が近づいている」


・・キャー!

・・・うっ!


亜門 「見えた!気を引き締めろ安久ッ!!」

シロ・クロ「「ハイッ!!」」


古間 「・・おや?新手が背後に」

カヤ 「ずいぶん奥まで配備されてたのね・・」


古間 「俺は女を!」
カヤ 「私は男をッ」


亜門 「食らえッ喰種――!」

犬面 「キャンッ」

亜門 「くそ・・なんて数だ」


アキラ「ハァッ!!・・・キャッ!!」

亜門 「アキラ?!大丈夫か?!」

アキラ「よそ見をするな・・しりを触られただけだッ//」

亜門 「くそッ工口猿がッ(ハァハァ・・//)」


シロ 「・・なんでこんなに変態が多いの?」
クロ 「・・お兄ちゃんはこんな奴らと一緒に働いてたの?」



「大変だ!田中丸特等が昇天してる!!」

田中丸「ンン・・おふぅ・・///」

カヤ 「・・」ニヤッ


792: 2015/03/28(土) 15:35:21.10 ID:eeIWEeUi0

シロ 「くそっ・・この工口猿ども数が多すぎる!!」

クロ 「シロ!離れないで!!背中をつけていないとお尻を触られるよ!!」



古間 「・・ん?未チェックの子発見!!」ニヤァ

古間 「そォら!!」
もみっ

什造 「・・・なにしてるですか?」

古間 「・・何?!コイツ・・」

什造 「男の尻触って楽しいですかァ?」
ヒュンヒュンヒュン


ザクザクザク!!
古間 「馬鹿な・・俺様が性別を間違えるとは・・油断した!!」
ドサッ

什造 「フフ・・・さて、どうやって解体してあげましょうかねぇ?」

シロ・クロ(・・・助かった・・サンキュー玲)



カヤ 「アンタがここの親玉ね」

亜門 「・・・だったらなんだ?」

カヤ 「・・昇天させてあげるッ!!」
ヒュン!!

ガシッ!! キュルルルルルンン!!
亜門 「・・・・何をしている?」

カヤ 「ば・・バカな・・私のテクが効かない?!」

亜門 「残念だったな・・俺の発達したPC筋の前で貴様のテクニックは無意味だ!!」
ザシュウウウ!!

カヤ 「まさか・・そんなところまで鍛えているとは・・油断したわ」
ドサ


793: 2015/03/28(土) 15:35:57.50 ID:eeIWEeUi0

カネキ「・・・あ、どうも」

芳村 「・・来たね」

カネキ「すみませんね、待たせてしまって」

芳村 「いや、君の作戦だろ?私たちはそれに従うよ」

カネキ「どうもありがとうございます・・それじゃ行きましょうか」

芳村 「ああ・・・本当に私はすぐに離脱していいんだね?」

カネキ「ええ、“第1隊”とやらを引き付けることができれば十分です。芳村さんはその後の仕事をメインでお願いしたいので」

芳村 「うん、そちらは任せてくれ」

カネキ「じゃあ、まずは芳村さんが出て行ってください。お願いします」

芳村 「ああ。・・・そうだカネキ君」

カネキ「ん?」

芳村 「・・・ありがとう」

カネキ「・・・いえ」


ガラガラガラ・・・



馬淵 「・・!新手の喰種がポイントFに出現っス!」

吉時 「・・・ん?」

芳村 「・・・」

吉時 「やっとお出ましか・・・しかしずいぶんと店から離れたところに出現したな」

吉時 「・・まあいい。第1隊、“隻眼”が出た。ポイントFへ!」


794: 2015/03/28(土) 15:36:52.72 ID:eeIWEeUi0

芳村 「・・・奪う行為は等しく悪だ・・・」


篠原 「・・おいでなすったか」
黒磐 「・・・うむ」


芳村 「・・・まさか娘が奪われる日が来るとは思って居なかった」


宇井 「・・・先輩、何か言ってません、梟」
平子 「・・・」


芳村 「しかも噂では変態だという・・だが間違いなく彼は娘にとって必要な存在のようだ」


法寺 (・・・ずいぶんと長い独り言を言っていますね・・)


芳村 「この行き場のない気持ち・・・申し訳ないが君たちにぶつけさせてもらう・・!!」


篠原 「なんか理不尽な感じだが来るぞッッ!!」


ドドドドドドドドド・・!!

黒磐 「羽赫だ!避けろッ!!!」

ヒュン!

ズウウゥゥゥゥン・・
篠原 「負傷者はいないな・・宇井ナイスだ」

宇井 「いえ」


芳村 「・・・(あの状態から反撃をするとは)」
ザッ・・シュン!

宇井 「逃げる気か?!」

法寺 「追いましょう」


馬淵 「“梟”負傷して後方へ退避っす!」

丸手 「おお・・すげえな宇井の奴。奴がどんどん遠ざかっていく・・・ん?ヨシトキさん」

吉時 「マル・・喰種達はいずれも肉眼で追えないところまで遠ざかったようだ」

丸手 「それはすごいっすねヨシトキさん。ここはもう安全ですね」

吉時 「ああ、だがこれからここに残っている者たちで“喫茶店”の中を探索させる」


795: 2015/03/28(土) 15:37:54.67 ID:eeIWEeUi0

芳村 「・・・」

篠原 「・・隻眼さん追いつきましたよ」

芳村 「・・・・」
ヒュン

篠原 「おっと・・・逃げてばっかりいないで戦わないとね」

芳村 「・・・いいのかね?」

篠原 「?」

芳村 「後ろを見給え」

篠原 「??・・・宇井ッ!」

宇井 「?・・・う・・うわああッ!!」

平子 「な・・宇井・・なぜ裸で・・それにその目の周りは・・?」

法寺 「・・平子君・・君もです」

平子 「・・・なっ?!法寺さんも!」

黒磐 「む・・・儂等以外・・皆・・」
篠原 「どういう事だ・・・?!」




カネキ「・・・全裸っていいものですよ」
ぶらん


篠原 「・・・変態眼鏡!!(貴様はアソコだけだから全裸ってわけじゃないだろうが!!)」




796: 2015/03/28(土) 15:39:05.92 ID:eeIWEeUi0

「イヤッ・・服が!!」
「な・・なんで俺いつの間に裸に・・」
キャー!!
ワー!!


カネキ「僕が脱がせました。ついでにクインケとやらも壊しましたので」

篠原 「貴様・・・今度は皆に油性ペンで眼鏡の落書きを・・・ッ!」

カネキ「・・・だってその方がずっといい顔ですよ、みなさん」

黒磐 「む・・・油断した」
篠原 「ああ・・梟にすっかり気を取られていて後方の確認を怠った」

カネキ「それじゃあ行きますよ?」
ぶらんっ

篠原 「マズイッ・・・羽赫の攻撃が来る!!俺たちはアラタがあるが他の奴は全裸だ!!」
黒磐 「・・いや待て篠原」
篠原 「?」



バラバラバラバラ・・・

篠原 「・・・奴・・何かをばら撒いたぞ・・?」
ガシッ(キャッチ)
黒磐 「うむ・・これは・・飴だな」
篠原 「・・・飴?」


カネキ「僕からお菓子のプレゼントです・・もっと欲しい人は後で僕と一緒に遊びましょうね」


**

鉢川 「・・・穂木・・お前何持ってる?」

穂木 「・・・変な喰種がお菓子いっぱいくれたの・・・僕と遊ばない?って」

鉢川 「・・・誘拐犯か」

**


カネキ「あなた達・・どうですか気分は?アナタ達以外皆全裸ですよ・・・CFNMな気分ですか?あ・逆か」
ぶらんっ・・・・ぐぐぐぐぐぐ・・⤴


篠原 「変態眼鏡・・・貴様は今まで出会った喰種の中で・・一番イカれてやがるねッ!!」


797: 2015/03/28(土) 15:40:01.91 ID:eeIWEeUi0

亜門 「・・雌犬・・貴様の戦いを見ていた・・貴様は・・・一人も物理的には殺さなかったな」

カヤ 「・・・フン」

亜門 「・・だが貴様は過去に多くの人間を頃した・・」

カヤ 「分かってるわ・・・私の負けよ・・さっさと頃しなさい」

亜門 「・・・ああ」

ヒュル ヒュル・・・ドドドドドド!!
亜門 「・・・・グッ!!新手か!!」

トーカ「・・・離れろ」

亜門 「ウサギのマスク・・貴様も喰種だな」

トーカ「・・・離れろって言ってんだろーがァァア!!!」
ドドドドドドドドドド!!!

カヤ (・・・トーカ・・なんで・・来たの)

亜門 「ああ・・・お前のような喰種ならためらわずに殺れそうだ・・アキラ援護を」

アキラ「ああ!!」


798: 2015/03/28(土) 15:40:38.26 ID:eeIWEeUi0

・・ブス
什造 「おかしいですねー・・さっさと赫子出してくださいよォ・・もっと刺してほしいですか?失血氏しますよー?」

古間 「・・・ぐ・・」

シロ・クロ「「・・・」」

什造 「・・しょうがないですね・・それじゃさような・・」

シロ・クロ「「・・・什造上!!」」

什造 「・・・ら?」
ザシュ

什造 「あれ・・・僕の右手が無いです」


ヒデ 「・・・お前にも同じ痛みを味あわせてやるよ」
ヒュン!!

什造 「・・新手ですか?・・あれ?」ドスッ・・

シロ・クロ「「什造!!下がってて!!アンタが失血氏する」」

什造 「・・・う・・油断しました」
・・ドサ

ヒデ 「・・・ハハ・・びっくりだよ。ニュースで見たんだ。“あんていく”襲撃・・・もしかしてシロクロちゃんがばらしたって事・・ねーよな?」

シロ・クロ「「・・違う!!もうやめて!!」」

ヒデ 「・・・とりあえずさ、そこ退いてくんねー?」

シロ・クロ「「ダメッ!お兄ちゃん什造のこと頃すつもりでしょ?!」」

ヒデ 「当たり前じゃん・・CCGは“当たり前”に喰種を頃すんだろ?だから俺も、そういうCCGの奴を“当たり前”に頃すだけ」

シロ・クロ「「お兄ちゃん・・お願い辞めて!!カネキさんに会ってないの?コレが終われば・・全部上手くいくかもしれないのに!!」」

ヒデ 「・・・カネキが絡んでんのか・・そういや着信いっぱい入ってたっけな・・・・でもさ、そのために・・“あんていく”の皆が殺されるのはダメなんだよ」


799: 2015/03/28(土) 15:42:13.39 ID:eeIWEeUi0

シロ・クロ「「お兄ちゃん・・・どうしても退いてくれない?」」

ヒデ 「・・ああ」

シロ・クロ「「・・・じゃあ私たちが相手になるよ・・せめて・・・私たちがカタを付ける!!」」

ヒデ 「・・・ああ」

シロクロのクインケとヒデの赫子が幾度となく交わった。
しかし躊躇いが、お互いの攻撃の手を甘くしていた。

ヒデ 「・・・なんで・・泣きながら戦ってるんだよ」

シロ・クロ「「だって・・こんな戦い・・したくなかった!!」」

ヒデ 「・・・でもしなきゃなんねーんだろ?」

シロ・クロ「「・・・お願い・・もう・・」」

ヒデ 「・・・」


・・・その瞬間。

黒い風が3人の間を通りすぎた。
紅い目をさらに血走らせながら羽赫で飛び去る喰種の風が3人を通りすぎ第4隊別班をめがけ飛んでいった。

クロの右半身を巻き込んで。


シロ 「え・・・黒奈?」

ヒデ 「ク・・クロちゃん!!」

クロ 「・・・あれ・・・?私・・どうなってるの?・・・がはっ・・!」
・・ドサ

シロ 「ク・・ロ・・・?」

ヒデ 「あ・・・ああああああああああ!!!」


800: 2015/03/28(土) 15:43:07.31 ID:eeIWEeUi0

アキラ「・・・上等殿、トドメを頼む」

亜門 「ああ・・“ドウジマ”」
ビィィィイン

トーカ(・・・・・みんな・・お父さん・・・ゴメンなさい・・)

亜門 「ハァァッ!!」

・・・瞬間、トーカの前に黒い風が吹いた。
ザシュウウ!!

亜門・アキラ「?!」


アヤト「ガッ・・ハ・・・弱いくせに出てきてんじゃねーよ・・・クソトーカ・・」

トーカ「・・・ア・・ヤト・・」


アキラ「亜門上等!新手だ!!」

亜門 「クッ・・・食らえ!!」
ザンッ!!

ヒュン!!

アヤト「グアアアアッ!!」
ドサ

トーカ「ア・・ヤト・・・ッ!!」


トーカ(な・・んで・・・)

ヒデ 「・・・・」


アキラ「亜門上等ッ!!腕がッ!!!」

亜門 「・・・な・・」


801: 2015/03/28(土) 15:43:42.89 ID:eeIWEeUi0

ヒデ 「・・・トーカちゃん」

トーカ「・・・ヒ・・・デ」



亜門 「・・・くっ!!」
アキラ「は・・早く止血を!!」
亜門 「すまない・・油断した・・だが・・“大喰い”は・・クッ」
アキラ「そんなこと言ってる場合ではない!私が医療班に連れていく!!」


ヒデ 「は・・ははは・・・・俺・・何してんだろ・・」

トーカ「ヒデ・・すぐに・・また奴らが来る・・・逃げて・・」

ヒデ 「コマさんもカヤさんもトーカちゃんもシロクロちゃんも・・・こんなに傷ついて・・・俺・・誰も救えてない・・・リョーコさんに言った事・・・何も守れてない・・」

トーカ「・・・ヒデ・・・」

ヒデ 「はは・・・・はははははははは・・・」


トーカ「・・・・ヒデ・・ゴメン・・私も・・何も出来なかった」
ドサッ



802: 2015/03/28(土) 15:44:46.06 ID:eeIWEeUi0

丸手 「馬淵ィ・・どうだ勝利の様子は?」

馬淵 「第1隊・・黒磐、篠原両名を残しその他の職員全員全裸で戦闘不能・・・宇井準特等の周りにその他の隊員が集まってまッス」

丸手 「・・は?」

馬淵 「おそらく宇井サンが本当に男か確認してるんじゃないっすか?」

丸手 「そういう事言ってんじゃねぇ!!“梟”はどうなった?」

馬淵 「モニタに映ってません・・・やべぇ、篠原サンと黒磐サンが戦ってるの変態眼鏡だ・・あそこのデカさパねェ・・」

丸手 「おいおいどういう事だァァァ!!他の隊は?」

馬淵 「第2隊・・田中丸サン昇天してます・・やべぇ・・田中丸サンもパネェデケェ・・」

丸手 「おいおいおい・・やばいじゃねーか!!」

馬淵 「第3隊・・鉢川サンは大声でサルと連呼しながら対象を探してまッス・・たぶんロストしてますね・・・あッ!!2隊と3隊の間に“アオギリ”と思われる集団が出現してます。2隊と3隊の他の職員が応戦中」

馬淵 「第4隊・・亜門サン右腕損傷、手当てを受けてます・・その他の隊員は・・・やべぇ・・マジやべぇ・・!!」

丸手 「どうしたッ?!」

馬淵 「大喰いっス!!片っ端から隊員を頃してます・・・・ん?今一瞬モニタに“隻眼”っぽい奴が映ったっす」

丸手 「どっちに向かった?!」

馬淵 「北に向かってます。ここから離れていきますね」

丸手 「くそッ・・回せる隊員居ないのかッ!!」

馬淵 「どの隊も離れていて、しかもここから遠いので時間かかりそうっす・・・とりあえず第1隊のヒトたち向かわせるッす。全裸ですが怪我はないので」

丸手 「やべぇ・・・このままじゃ有馬が来るまで持たねぇ・・!!」


803: 2015/03/28(土) 15:45:21.73 ID:eeIWEeUi0

吉時 「・・・喫茶店の中の様子はどうだ?」

無線 『・・綺麗に片付いています・・1階には誰も居ません。続けて2階に行きます』

吉時 「ああ。慎重に行け」

無線 『はい』

吉時 「・・一旦中に入ってモニタをチェックするか」

側近 「そうですね、局長」

高槻 「・・・あのー」

側近 「?!」

高槻 「な・・何ですかこの騒ぎは・・・?」

吉時 「あなたは・・住人の方ですか?」

高槻 「は・・はい。ずっと寝てて・・起きたらなんか外が騒がしいので・・」

側近 「警報が聞こえませんでした?」

高槻 「え?・・警報??」

吉時 「危なかったですね・・・我々はCCGです。この先に喰種の巣窟となっている建物があったので捜査をしていました。警報を鳴らしたのですが・・タイミングが悪かったようですね」

高槻 「ひゃっ!!それは怖いですね・・」

吉時 「民間人の安全確保は最優先だ。おい、この方を安全なとこまでお連れしろ」

側近 「はいッ」


804: 2015/03/28(土) 15:45:55.21 ID:eeIWEeUi0

高槻 「・・・それにしてもCCGの方全然いないですね・・なんか遠くの方が騒がしいですけど、あっちに居るんですか?」

側近 「ええ。ここは作戦本部なので」

高槻 「そうですか。それは安心しました。作戦がうまくいったようで」

側近 「ん?どういうこ」
ズシャッ
側近の首「とですぅぅぅ・・」

吉時 「?!」

高槻 「油断したアンタが悪いよ」
ザシュッ!!

吉時 「バ・・バカな・・・包囲は完全だったはず・・貴様・・どこから・・」

高槻 「アンタ・・“和修”?」

吉時 「・・・!!・・・そうか・・・端から・・俺だけを・・狙っていたのか・・ぐ・」

高槻 「オヤスミ」
ザンッ


高槻 「あとはモニタルームか」


805: 2015/03/28(土) 15:46:33.80 ID:eeIWEeUi0

馬淵 「丸手さんッ!!0番隊到着しましたッス!!」

丸手 「おッ・・あぶねぇ・・間に合わないかと思ったぜ・・とりあえずヨシトキさんに伝えて・・ん?」

ドシュ
馬淵 「・・」
・・ボトリ

高槻 「モニタの方向を見たまま目をつぶり手をあげろ」

丸手 「マジかよ・・ここまで入ってきたってのか?」

高槻 「早くしろ」

丸手 「・・・くっ・・・貴様・・ここまで来たってことはヨシトキさんは・・」

高槻 「・・・お前は知っているのか?CCGの実態を」

丸手 「・・・そうか・・・だからヨシトキさんを狙ったか・・」

高槻 「・・・クインケを全て出せ」

丸手 「持ってねーよ・・あんな胸糞悪い玩具」

高槻 「・・・・・」

丸手 「はぁ・・俺もここまでか・・なあ喰種」

高槻 「・・・」

丸手 「お前・・全部知ってる奴なんだろ?・・だったら・・ちゃんと最後までこの世界の歪みを直せよ」

高槻 「・・・ウン。さよなら」

ヒュンッ
丸手 「・・・ぐ」
ドサ


816: 2015/03/29(日) 12:23:22.64 ID:Mn+ZmX700
>>814分かりづらくてすみません。内容に反映させていきます

続きです

817: 2015/03/29(日) 12:24:23.69 ID:Mn+ZmX700

#036 [鯖江]


カネキ「二人とも、あのダサい眼鏡よりも遅いですよ」
ぶらん

篠原 「ぐっ・・」
黒磐 「・・・むう」

法寺(全裸)「・・・あの二人でもだめですか・・」

宇井(全裸)「さっきの接触で完全にアラタを剥がされましたね・・」

平子(全裸)「・・・まずい・・また来る」


ビリビリビリ!!
カネキ「・・これでお二人ともパンツ一枚ですね」
ぶらん

篠原(パンツ)「オニヤマダが・・欠けるとはね・・」
黒磐(パンツ)「篠原・・諦めるな!」

カネキ「いきますよ」
シュンッ!!


宇井(全裸)「ダメだッツ・・!」

篠原(パンツ)・黒磐(パンツ)「「クッ・・・ん?」」

カネキ「お二人がブリーフ派で助かりました。入れやすくて」

篠原(パンツ)「パンツに・・駄菓子が・・」
黒磐(パンツ)「・・・うむ・・コケにされとるな」

カネキ「そろそろ潮時ですかね」


法寺(全裸)「逃げる気・・ですかね?」

平子(全裸)「いや・・・間に合った」


「・・・ナルカミ」
バチバチバチィ!!

818: 2015/03/29(日) 12:24:59.34 ID:Mn+ZmX700

ひょい
カネキ「来ましたね・・・待ってましたよ!!」
ぶらん

篠原(パンツ)「有馬ッ!!」

有馬 「・・皆さんは服を着て下がっていてください」



カネキ「眼鏡、買い替えたんですか?」

有馬 「ああ・・・お前のせいだ」

カネキ「で・・またそんなダサい眼鏡にしたんですか」

有馬 「ナルカミ」バチィ!

カネキ「おっと」ひょい
ぶらん

有馬 「・・・だったらお前のメガネはどうなんだ。マスクにはめ込んでいる伊達メガネじゃないのか?」

カネキ「ええ、これはね。ていうか僕は“掛ける”方じゃなくて“愛でる”方なので」

有馬 「・・自分で掛けない奴に、とやかく言われる筋合いはなIXA」ドオオオオオ!!

カネキ「あぶねっ!!・・フェイント掛けたな。アンフェアですよ」

有馬 「・・人の眼鏡に落書きする奴にアンフェアもくそもなIXA遠隔操作」ドオオオオオオオン!!

ひょい
カネキ「よっと・・今のは読めました」
ぶらん

有馬 「・・・変態眼鏡・・お前と無駄話をする気はない」


819: 2015/03/29(日) 12:25:39.25 ID:Mn+ZmX700

カネキ「いや、僕はあなたに言いたいことがあります。有馬さん・・でしたっけ?そのメガネどこで買いました?」

有馬 「・・・答える義務はない」

カネキ「当ててあげましょうか?ずばりJ●NS!」

有馬 「・・だったらどうなんだ?」

カネキ「ふっふ・・流行乗っちゃいましたか・・“クールなメタルフレーム”ってヤツですかァ?それとも流行りの“エアフレーム”ですかぁwww」

有馬 「ナルカミ」バチバチィ!

ひょい
カネキ「もう・・いちいち攻撃しないでくださいよ!」
ぶらん

有馬 「自分で掛けないお前には分からないかもしれないが・・仕事で使うには軽い方がいい」

カネキ「あーダメだ・・分かってない・・全ッ然分かってない・・・よっと」
シュン!!

有馬 「あ・・お前!メガネ取ったな!!」

カネキ「ふーん・・確かに軽いですね」

有馬 「返せ!!ナルカミナルカミナルカミ!!」バチバチバチバチ!!

カネキ「全部明後日の方向に行ってますよ・・結構目悪いんですね」

有馬 「だから眼鏡かけてるんだろうが」

カネキ「・・・だったらコンタクトにすればいいんじゃないですか?」

有馬 「・・・」

カネキ「分かってますよ・・・有馬さん。あなたがそうまでして眼鏡をかける理由」


820: 2015/03/29(日) 12:26:56.41 ID:Mn+ZmX700

有馬 「・・・」

カネキ「眼鏡が好きなんですよね?・・・僕もそうです。僕は愛でる側ですが、あなたは掛ける側として・・」

有馬 「・・・だったら返してくれ」

カネキ「返しません」

有馬 「貴様」

カネキ「返しませんが、プレゼントがあります」

有馬 「・・・?」

カネキ「フルオーダーメイドのメガネです・・よっと」
ぶらん

すちゃっ
有馬 「・・・これはっ・・!」

カネキ「折り畳み式眼鏡“トラビット”です。聖地、鯖江市まで行ってオーダーしてきました」

有馬 「・・なんという軽さと機能性・・そしてフレームの発色・・・私にくれるのか?」

カネキ「仕事忙しくてなかなか福井県までいけないでしょう?この間落書きしたお詫びも込めてです」

有馬 「・・・変態眼鏡・・・お前は・・」

カネキ「勘違いしないでほしいのは、僕は別にJ●NSが悪いとは言っていない。むしろメガネ界に革命を起こしたメーカーとして尊敬しています。ただ、それが万人に似合うという訳ではない・・・そしてあなたにはその眼鏡が似合うと思った・・それだけです」

有馬 「・・・」

カネキ「それじゃ、そろそろなので。さようなら」
シュン!!

有馬 「変態眼鏡・・・・あ!ナルカミッ!!」バチバチバチィ!!

有馬 「遠すぎる・・届かないか」



宇井 「やった・・・有馬さんが変態を追い払った!」

篠原 「・・だが・・今の俺達では奴にとっては赤ん坊と一緒だね・・何か策を考えないと」


821: 2015/03/29(日) 12:27:39.54 ID:Mn+ZmX700

有馬 「・・・他の戦局は?」

黒磐 「うむ・・・先ほどから本部からの指示がない」

篠原 「そういえば周りも静かだね。他の班はどうなったのかな?」


アキラ「黒磐特等ッ!!!」

黒磐 「む・・真戸・・それに亜門」

篠原 「む・・ムキムキ・・・お前・・腕が!!」

亜門 「・・・スイマセン・・油断しました」


奈白 「黒磐特等!!」

黒磐 「安久・・と鈴屋か」

奈白 「玲・・什造の手当てを早くお願いします!」

黒磐 「うむ・・・・黒奈は?」

奈白 「・・・殉職しました」

黒磐 「・・・うむ・・・そうか・・・医療班はどうした」

アキラ「医療班も含め第4隊はほぼ全滅いたしました・・・突然現れた“大喰い”によって」

篠原 「・・・なんだって?!」

黒磐 「・・・とにかく本部の局長の元へ行くぞ。無線が壊れているのか全く応答がない」


***


篠原 「これは・・・・・・やられた・・本部が襲われたのか・・!!」


822: 2015/03/29(日) 12:28:20.69 ID:Mn+ZmX700

――――20区『隻眼の梟 討伐戦』
(後日裁判所に証拠として提出された内部作戦報告書より)

[全体氏亡者]
第0隊・・・氏亡者なし
第1隊・・・氏亡者なし
第2隊・・・氏亡者なし
第3隊・・・氏亡者なし
第4隊・・・氏亡者87名
指揮部・・・氏亡者3名

[負傷氏亡者名簿]
軽傷・・真戸暁二等、丸手斎特等、安久奈白三等
重症・・亜門鋼太郎上等、鈴屋什造二等・・他多数(全て第4隊)
氏亡・・馬淵活也一等、安久黒奈三等、和修吉時特等・・他多数(全て指揮部と第4隊)

[その他]
多くの女性職員がPTSDを発症。
多くの男性職員が社会的に氏亡。
第1隊に属する全ての職員が衣服を破かれ、顔に油性ペンで落書きされる。

[討伐喰種]
SSS級・・なし
SS級・・工口猿(氏体確認できず)、雌犬(氏体確認できず)
S級・・白ウサギ(氏体確認できず)、黒ウサギ(氏体確認できず)
A級・・工口猿配下の喰種多数、雌犬配下の喰種多数
B級以下・・A級に同じ

※なお特別功労者の項目は組織改廃に伴い無効となったため省略



823: 2015/03/29(日) 12:29:36.38 ID:Mn+ZmX700

――――――――――23区“アオギリの樹”アジト

カネキ「・・・ただいま」

エト 「ケンっ!!」
ぎゅううう

カネキ「よかった・・・エトは無事だったんだね」

エト 「ウン・・ケンも無事でよかった」

タタラ「ケン・・お前の作戦通りだ・・・・ただ・・アヤトが氏んだ」

カネキ「・・・え?!」

タタラ「ケン・・お前のせいではない・・アヤトの姉が居たらしい。アヤトは姉を守るため隊列から外れ一人突進していった・・・・・くそッ!!」

カネキ「アヤト君・・・そうか、トーカちゃんが居たのか・・・ゴメン・・君を守れなかった」

タタラ「・・・アヤトの氏体は持ち帰った・・ほとぼりが冷めたら墓を作ろうと思う」

カネキ「・・ええ」

ナキ 「うっ・・うっ・・アヤドォォォーー!!」

ヤモリ「・・・アヤト君・・今は静かに君の冥福を祈るよ・・僕にはそれしかできないから」


エト 「・・・アヤト君の氏体はとりあえず私が処置します・・・このままじゃ腐っちゃうので」

タタラ「ああ・・・頼む」

タタラ「・・・アヤト・・・お前と一緒に修学旅行に行きたかった・・」

カネキ「・・・タタラさん」


824: 2015/03/29(日) 12:30:11.91 ID:Mn+ZmX700

カネキ「・・・アヤト君・・君が好きだった姉萌え系のPCゲーム・・一緒に埋めてあげるからね・・トーカちゃんの私物も」

エト 「ケン・・ちょっといい?」

カネキ「あ・・エト」

エト 「・・・隣座るね」

カネキ「うん」


・・・


エト 「・・・君の立てた作戦完璧でした。指揮部に居たのは4名で君の読みよりやや少なかったですが」

カネキ「・・・ごめんなさい。エトに頃しをさせてしまって」

エト 「ううん、いいの。いつかは殺さなきゃいけない奴だった」

カネキ「・・・じゃあやっぱり“和修”が居たんですね」

エト 「ウン・・・君と“アオギリ”、それに“あんていく”が指揮部からCCGを遠ざけ、さらに派手な戦いをしてくれたおかげで、本当に一瞬で終わりました・・・まあ君がどんな戦いをしたかは聞きませんが」

カネキ「・・・後は、芳村さんが動いたのを確認して最終段階です」

エト 「・・・だね。ちゃんヒナに連絡するのはすべてが終わってからかな」


825: 2015/03/29(日) 12:30:54.22 ID:Mn+ZmX700

エト 「あ、そうそう。お腹すいてない?」

カネキ「え?まあそういえば少し・・・あ、僕駄菓子持ってるけど食べる?」

エト 「コラ。私たちがそれを食べられるのは秘密ですよ?」

カネキ「あ、そうでした」

エト 「ここにお肉があります」

カネキ「・・ええ、どこから持ってきたんですか?」

エト 「そんなことはいいから食べなさい」

カネキ「エトは食べないの?」

エト 「私は女子なので夜9時以降の食事は控えています」

カネキ「えっと・・一応聞くけどその肉は誰の肉?」

エト 「いいから食べろ」
グイ
カネキ「もがががが!」


・・・ごっくん

カネキ「なんて強引に食べさすんですか!」

エト 「だって君が嫌がるから・・・で、どうです?」

カネキ「いつも・・・先生が家でご馳走してくれる味でした」

エト 「じゃなくて性的嗜好に変化は?」

カネキ「・・・はい?」


826: 2015/03/29(日) 12:31:42.97 ID:Mn+ZmX700

エト 「こ・・・ここに、男性が読む雑誌があります///」

カネキ「コミックエルオー・・エトが買ってきたの?」

エト 「氏ぬほど恥ずかしかったです///」

カネキ「・・でこれが何ですか?」

エト 「この本を見てどう思いますか?」
ぴらっ

カネキ(正直大好物だけど・・・あれ?)

カネキ「ぐううう・・!!」
ズググググ!!

エト (・・・やはり)


コンコン
タタラ「エト、ケン、お取込み中悪いがちょっといいか」

ガチャ
エト 「どうしました?」

タタラ「宿の件でケンに相談が・・・って赫子とか色々出てるけど大丈夫なのか?」

カネキ「ぐああああッ!!」

エト 「大丈夫です。アヤト君を失った失った悲しみを全身で表してる的なアレです。少しそっとしておいてあげてもらえませんか?」

タタラ「あ・・ああ分かった」
ガチャン


エト (聞き取り調査の結果、現在ケンはドナートを喰わされたことで口リコンになっている・・・ここでシスコン(姉)のアヤト君を喰わせれば中和されてノーマルな状態になる可能性があるッ!!)

カネキ「赫子が・・おさまらない・・・ッ!!」

エト (がんばれ、ケン!)



827: 2015/03/29(日) 12:32:23.39 ID:Mn+ZmX700

カネキ「駄目だ・・!!一旦幼女を誘拐して性的な意味で喰おう・・!!」

カネキ「・・・!!!」

カネキ「・・違うッ!!何を言ってるんだぼくはぁぁぁぁああ!!幼女じゃあお姉ちゃんになり得ないじゃあないかぁあああ!!!」

エト (がんばれ・・頑張れ、私のケン!!)

カネキ「誰か・・」
カネキ「いやだ・・」
カネキ「たすケて・・」
カネキ「こノままジゃ・・」


エト (がんばれえええええ!!)


カネキ「・・・」

エト 「・・・ケン?」

カネキ「・・・エト」

エト 「・・うん」

カネキ「駄目だよ・・この本じゃ」

エト 「・・・!!それじゃあ!!」

カネキ「年上の幼女って存在を3次元に存在させるために、僕は何ができるんだろう?」

エト 「配合失敗だああああ!!!」


859: 2015/03/30(月) 18:42:25.47 ID:etnkFnPo0

#036 [審判]


エト 「ケン、ケータイ鳴ってますよ」

カネキ「あ、ハイ。メールです」

カネキ「・・・エト。芳村さん、動いたみたい」

エト 「もう?」

カネキ「うん。僕は急いで嘉納先生に連絡をします。エトは24区と有馬さんに連絡を」

エト 「そうだね。慌ただしいなぁ」


********


芳村 「芥子」

芥子 「・・功善よく生き残ったな」

芳村 「ああ・・仲間が守ってくれた」

ヨモ 「・・・」
猿面喰種達「・・・」
犬面喰種達「・・・」

芥子 「そいつらか・・くっくっく」

芳村 「・・・」

芥子 「だがもうあの喫茶店には帰らんだろう?」

芳村 「ああ・・戻ればまた襲撃される。仲間たちを危険な目に遭わせることはできない」

芥子 「なぁくぜえええん。もう一度チャンスをやろう。“隻眼の梟”の居場所を吐け。そうすればお前とお前の仲間たちをVに招いてやろう」

芳村 「・・・わかった。隻眼の梟は24区に居る。詳しい場所は残念ながら分からない」

芥子 「ほぅ!仲間たちには替えられないか・・クックック・・いいだろう24区には後々仲間を送る・・まあ本音を言えばお前自身に行ってもらいたいがな。お前を越える戦闘力を持った者は中々いない」

芳村 「・・・」

芥子 「では行こうか・・新たなVの仲間たち。歓迎するよ」


860: 2015/03/30(月) 18:42:57.79 ID:etnkFnPo0

芳村 「・・懐かしいなここは」

芥子 「ずいぶんと仲間は減った」

芳村 「・・CCGがうまくやっているからだろう・・・と言うよりCCGサイドの人数が増えたという事だろう」

芥子 「相変わらず鋭い奴だ・・・まあVに身を置いていればCCGに狙われることは無い」

ヨモ 「・・・どういう事だ?」

芥子 「ふ・・貴様もこれからはVだからよく知っておけ・・V≒CCGだからな。均衡を守るという一点では我々は協力関係だ」

ヨモ 「・・・」

芳村 「なあ芥子よ」

芥子 「なんだ?」

芳村 「まさか仲間はここに居るだけか?」

芥子 「いや、24区に行った。お前の情報を聞いてな」

芳村 「相変わらず手の早い奴だ」

芥子 「クックック・・お前の気が変わっては困るからな」

芳村 「・・・と言うことは残りの構成員はここに居るもので全てか」

芥子 「ああ・・・何故だ?」

芳村 「なに・・仕事は簡単そうだなと思ってな・・・お前を除いては」

芥子 「・・・・まさか功善貴様ッ!!」

犬面 「・・・終わりました」

ヨモ 「・・・アジト内の全ての喰種は片付けた」

芥子 「貴様らッ・・・はじめからそれが目的かッ!!」
ズズズズズズ!!

芳村 「みんな下がっていなさい。こいつは私しか相手に出来ない」


861: 2015/03/30(月) 18:43:27.45 ID:etnkFnPo0

芥子 「舐めてもらっちゃあ困るよォォ功善よォォ!!」

芳村 「舐めてなどいないさ」
ズズズズ・・・!

芥子 「喫茶店の主などという甘えた世界に身を置いたものが私を討てるかァァ?」

芳村 「・・ああ分かっているさ」
ガシッ

芥子 「なっ?!貴様?!」

芳村 「この距離で私の持ちうる全力での羽赫の攻撃を行う。同時に周りに居る私の仲間たちが私ごとお前を討つ」

芥子 「正気か?!貴様も跡形もなくなるぞ?!!」

芳村 「正気さ芥子。一緒に逝こう。旧き友よ」

芥子 「やめろォォ!貴様・・俺たちが滅んだら均衡はどうなる?!人間どもの力が強まりいずれはお前のナカマもお前の子もッ!!」

芳村 「芥子・・・それは今の世代の者たちが考えることだ。我々老人は去ろう」
キイイイイイイイイイイィィィィィィンンン!!!

芥子 「よせェェェェェェ!!!」

芳村 「ヨモ君、皆、あとは頼んだよ」


862: 2015/03/30(月) 18:44:02.44 ID:etnkFnPo0

――――――――――1区、CCG本局

常吉 「・・・吉時・・なぜ指揮部がやられたのだ・・」

コンコン

常吉 「・・・入れ」

ガチャ

有馬 「失礼します」


常吉 「・・・今回の“隻眼の梟”討伐・・・失ったものの方が多かった」

有馬 「申し訳ございません」

常吉 「駆逐数はかなりのものだが、S級以上の喰種の氏体は確認できず、肝心の“隻眼の梟”は討てなかった」

有馬 「・・・」

常吉 「有馬・・・氏んでしまった吉時に代わり、新たな作戦の最高責任者にお前を任命する」

有馬 「・・・それは赫包を人間に埋め込む実験でしょうか?」

常吉 「・・・そうだ。吉時から聞いていたか?」

有馬 「いえ・・・テレビをご覧になっていませんか?」

常吉 「・・・?」

有馬 「元CCGの医療部であると名乗るものが、CCGが人間を喰種化させる人体実験を行っているということを複数の証拠とともにメディアやインターネットに発表しています」

常吉 「な・・・なんだと?」

有馬 「さらにはドイツ支局とここ日本の本局の前身組織が、最初の喰種を人間から造ったという証拠も提出されています。総議長のお父上である吉雨氏もその実験に関わったとか」

常吉 「バ・・バカな・・・!!」

有馬 「我々は国家公務員です。我々が喰種を作り出し、そしてそれを倒し続けるというマッチポンプに税金が使われていたという事実に国民の追求は逃れられません」

常吉 「なぜ・・・何故そんなことがッ!!」


863: 2015/03/30(月) 18:44:46.89 ID:etnkFnPo0

有馬 「“V”という喰種集団が壊滅しました。どうやら喰種同士の争いのようですが」

常吉 「・・・Vまで・・ッ」

有馬 「やはりご存知でしたか・・・壊滅したVのアジトから、VとCCGの繋がりを示す証拠や通信記録が多数押収されています」

常吉 「・・終わりだ・・・儂の父がアダム・ゲッヘナーとともに作り出したシステムが・・・!」

有馬 「我々は裁かれます。多くの人間を頃し、世界を欺き続けた罪で。私はあなたをしかるべき場所へお連れするためにここに来ました。お孫さんの政氏もすでに拘束されています」

常吉 「なぜだ・・・お前もタダでは済まんぞ!!それに機密文書には実名は載っていないはずだ!」

有馬 「残念ながら、ある作家がノンフィクションと銘打って小説を出版し、その中にあなたのお名前も出ています。発売時期から考えて元CCGの告発に意図的にあわせています。人気作家であったこともあり、多くの一般人の目に触れてしまっています」

常吉 「クッ・・・・全て・・仕組まれていたのか・・・」

有馬 「・・行きましょう。和修総議長」

常吉 「・・・待て。儂にはもう一つ選択肢がある」

有馬 「・・何ですか?」

常吉 「儂とて元はSSSランク喰種討伐者だ。一人でも逃げ延びる自信はある。お前が儂を見逃してくれるならお前にもそれ相応の報酬を渡そう。望むなら儂とともに来ないか、貴将」

有馬 「それは不可能です」

常吉 「なんだと?」

有馬 「すでにこの部屋の外には他のCCG職員が待機しています」

常吉 「クッ・・!」

有馬 「それに私は・・・あなた達を許しはしないからです」

常吉 「なんだと?!・・お前を見出しCCGに籍を与えたのはこの儂だ!」

有馬 「ええ・・今日のこの日を待っていました。そのために素性を隠し危険な橋を渡り、多くの喰種を頃し、CCG特等捜査官となった。喰種を生んだ存在を滅ぼすために」

常吉 「素性・・?貴様は・・孤児だったはず」

有馬 「ええ・・両親とも亡くなりました。父親は人間に殺され、母親は喰種に殺されました」

有馬 「・・・」・・ギンッ

常吉 「・・隻眼ッ!!まさか・・貴様が均衡を崩そうとする喰収集団“アオギリの樹”の・・・」

有馬 「“隻眼の王”は存在しない。“喰種”としては・・・行きましょう。あなたは人として裁かれます」


864: 2015/03/30(月) 18:45:24.51 ID:etnkFnPo0

それからおよそ半年が過ぎた。





――――――――――1区“Rc症候群患者管理局CMR(Commision of Management Rc-syndrome patient)”


アキラ「亜門・・課長補佐。ここに居たか」

亜門 「アキラか」

アキラ「しかし呼びなれないな。この肩書は」

亜門 「そうだな、真戸主任」

アキラ「ハハハ・・なんだ?珍しいな君が空き時間に筋トレでなく本を読んでいるなんて」

亜門 「いや、ブックカバーは10kgの特製だ」

アキラ「相変わらずだな、この筋肉馬鹿が。で、何を読んでるんだ?」

亜門 「筋肉をバカにするな・・・高槻泉の例の本を読んでるんだ」

アキラ「ああ・・私も読んだ。我々をモデルにした捜査官が出ているな。この甘党で部下の家で筋トレをする“不動捜査官”は明らかに君だな」

亜門 「やはりそう思うか」

アキラ「ああ。物語の筋書きはフィクションだが、実在する人物はbold(太字)で、モデルが居る人物はこの不動捜査官のようにイタリック体で名前が記されている・・・和修をはじめとするCCGを告発する目的で書かれたのは明らかだからな」

亜門 「・・・喰種が造られた経緯や、Vという喰種集団のことなど、細かい内容も嘉納医師の提出した証拠と一致しているな・・嘉納医師は高槻泉と面識がなかったというから、高槻は自分で取材してこれだけの内容を書いたという事だ・・全く恐れ入る」

アキラ「フフ・・そうだな。我々に取材に来た時のおちゃらけた雰囲気からは想像もできんな」

亜門 「あの一緒に来たアシスタントの青年がよっぽど有能なのかもしれんな」


865: 2015/03/30(月) 18:46:04.09 ID:etnkFnPo0

アキラ「・・・そういえば見たか、公表されたCCGによる喰種化被害者名簿」

亜門 「・・ああ。俺の同期の名もあった」

アキラ「私の母の名もだ・・・24区で氏んだとされた捜査官の多くは喰種による捕食だけでなく、その実CCGの喰種化被害者であったわけだ・・・父が生きていたらなんて言っただろうな」

亜門 「アキラは・・・良かったのか?CMRの職員となって」

アキラ「・・・確かに世間のバッシングは大きいな。CCGの裏の顔を知らなかった我々のような末端職員であっても、一般人からすれば非人道的な殺人鬼だ」

亜門 「・・・」

アキラ「だがな、CMRの喰種化被害者保護活動と、喰種による犯罪を取り締まれるのは、喰種を良く知る私たち元捜査官だけだ・・・きっと父も母もそれを望むだろう」

亜門 「そうだな。俺も同じ思いだ・・・・ただしアキラ、“喰種”は差別用語だ。ちゃんと“Rc症候群患者”と言え」

アキラ「うむ、そうだったな。長くて言いづらいが。・・・しかしそう考えるとその本は貴重だな。差別だなんだと世論が騒ぎ出す前に書かれたものだから我々になじみのある用語で書かれている」

亜門 「確かに。この本に限っては、逆に過去の事実を正確に伝えるためという理由で改定はされていないしな」

アキラ「・・・そうだ、君に重要な事を伝えるのを忘れていた」

亜門 「ん?どうした?」

アキラ「丸手局長が君を呼んでいた。午後イチで来いとのことだ」

亜門 「そうか。分かった」


866: 2015/03/30(月) 18:46:41.43 ID:etnkFnPo0

亜門 「失礼します」

丸手 「よう、亜門。相変わらず鍛えてるか?」

亜門 「ええ、もちろんですよ。で、どうしました?」

丸手 「おぅ・・実はな、ちょっと厄介な件だ」

亜門 「?」

丸手 「・・・CCG解体以降、玩具は作られてねぇ」

亜門 「ええ、非人道的なものとして禁止されましたね」

丸手 「だから、今現在その玩具を保管してるのは、お前をはじめCMRに移籍することを望んだ捜査官だけっつー訳だ」

亜門 「・・・まさかRc症候群患者の犯罪ですか」

丸手 「・・ああ。それも飛び切り厄介な奴だ」

亜門 「患者には、国の補助でRc抑制剤の投与と幹細胞から造った肉の配布が無償で行われています・・・彼らにしてもリスクを冒して人を頃すよりも補助を受けた方が良いはず。法整備後、初期に多数みられた補助制度を知らない者の犯行であれば、説得すればよいのでは?」

丸手 「いや・・・コイツは恨みで人を頃してやがる。今まで被害者が明らかにならなかったのは、コイツがCMRに移籍しなかった元CCG職員を狙ってたからだ。それにコイツは喰・・いやRc症候群患者も多数頃して喰っている」

亜門 「それは・・・厄介ですね。赫者にでもなったりしたら・・」

丸手 「残念ながらすでに“赫者”になっている・・・だから戦闘力の高いお前に頼もうと思ってるんだよ」

亜門 「・・・そうですか。写真や名前はあるんですか?」

丸手 「本名は分からねぇ・・・だが俺たちがCCGだった頃、通称“大喰い”と呼ばれてた男だ」

亜門 「!!」


867: 2015/03/30(月) 18:47:14.32 ID:etnkFnPo0

丸手 「大喰いは24区を根城にしてるみてぇだ。あそこはまだ隠れてるRc患者が多いからな」

亜門 「・・・24区ですか」

丸手 「今回は、大喰いの居場所特定のために『特務課』に応援を願うことになってる。第一係の入見係長に話を聞け」

亜門 「承知しました」


***


亜門 「入見係長は居ますか?」

「はい、居ますよ・・・えっと・・」


カヤ 「コラ万丈!アンタは何度言ったらちゃんとした書類を作れるの!!」

バンジョー「す・・スンマセン入見さんっ!!」

「入見さーん、管理課の亜門さん来てますよー」

カヤ 「え?・・ああゴメンね今行くわ・・・とにかく今日中にちゃんと起案立てなさいよ!!」

バンジョー「が・・頑張ります!」


カヤ 「ああ、スイマセン。亜門課長補佐、お待たせしました」

亜門 「あ・・ああ」

カヤ 「例の“大喰い”の件ですね。会議室で話しましょうか」

亜門 「ええ。お願いします」


868: 2015/03/30(月) 18:47:43.95 ID:etnkFnPo0

『特務課』はRc症候群患者で構成された課だ。

Rc症候群患者の中には優れた五感やかつて喰種と呼ばれた者たちの内情に詳しい者も居り、今後のRc患者の保護や、犯罪捜査に役立つ可能性が高いことから組織された。

㈶Rc症候群総合研究所の技術により、現在配布されているRc細胞抑制薬はかなり効果が高く、80%の患者は服用を続けることで一般の食事をとることができるまでに回復する。

しかしこの『特務課』に在籍するということは、Rc症候群による身体能力の向上を仕事に生かす必要があるため、基本的にRc細胞抑制薬の服用はできない。

つまり在籍者は国から配布される幹細胞由来肉で空腹を満たさなければならない。

俺は、かつて喰種と呼ばれた者たちの気持ちを考えると、この『特務課』に所属する者たちを尊敬してやまない。



亜門 「・・・早速“大喰い”の件ですが、入見係長の力で居場所の特定は可能ですか?」

カヤ 「実はかなり難しいんですよ。彼・・“大喰い”は24区に出たり入ったりしているだけでなく、おそらく普段はRc患者でない一般人として振る舞っている。かつて私たちが喰種と呼ばれていたころも、稀に私でも人間なのか喰種なのか匂いを判別できない人も居ましたので、おそらく彼もそういう人物なのでしょう」

亜門 「そうですか・・・とりあえず入見係長には捜査の継続をお願いします。何かつかめたら連絡をください・・・彼とは個人的に話もしたいので」

カヤ 「分かりました・・・亜門課長補佐は“大喰い”と呼ばれるRc患者と面識があるんですか?」

亜門 「いえ・・まあCCG時代に何度か・・・彼は・・ずっと私たちにメッセージを送っていたんです。すべての喰種が人を頃してる訳じゃない。平和を望んで静かに生きている者もいると・・・だが当時の私たちはそのメッセージに耳を傾けなかった・・・だから彼が殺人者になってしまったのは私たちが原因なんです」

カヤ 「・・・・そうですか・・・」

亜門 「・・・では、よろしくお願いします」


869: 2015/03/30(月) 18:48:13.48 ID:etnkFnPo0

――――――――――20区喫茶店“あんていく”


カラン カラン

カヤ 「こんにちは」

古間 「いらっしゃいませ・・・何だカヤか」

カヤ 「猿男、もういいの?」

古間 「ああ。傷も完治したよ。あの日せっかく芳村さんが助けてくれたんだ。早く店に立たなきゃね。それにずっとヨモ君が店に立ってたら来るお客も来ないでしょ?」

カヤ 「確かにそうね」

古間 「で、どうしたの、今日は」

カヤ 「うん・・ちょっとね」

古間 「?」

・・・


古間 「・・・そっか。ヒデ君が・・」

カヤ 「ええ・・ついにウチも動き出したわ」

古間 「顔はばれてないんだろ?何とか説得して投薬すれば・・」

カヤ 「・・たぶん無理ね。ヒデヨシは恨みで元CCGを頃してる。それにあの子もう“赫者”だそうよ。抑制薬効かないと思うわ」

古間 「・・・そっか」



870: 2015/03/30(月) 18:48:51.92 ID:etnkFnPo0

カヤ 「トーカは?」

古間 「相変わらずだよ・・・ぼーっと寂しそうに空を見てる」

カヤ 「・・・無理もないわね・・・あの子は、お父さんも、お母さんも、弟もCCGに殺された。おまけに生きてる唯一の肉親はホ〇だし」

古間 「僕はさ・・・ヒデ君がCMRに逮捕・・あるいは殺されて・・居なくなったら・・・トーカちゃんが変な気起こさないか心配だよ」

カヤ 「・・・そうね」

古間 「で、ヒデ君の居場所は分かってるの?」

カヤ 「とりあえず知らないって答えたわ・・まあ実際よく分からないし」

古間 「最近はウチにも来てないよ」

カヤ 「そう・・・とりあえず万が一ここに来たら私に教えて」

古間 「オーケー。僕も説得してみるよ」

カヤ 「頼んだわ」

カランカラン


カヤ 「・・・そうだ、あの子にも聞いてみようかしら」

ピ ピ ピ

カヤ 「・・もしもし、ヒナミ?」


878: 2015/03/30(月) 22:47:46.15 ID:etnkFnPo0

#037 [世界]



私は覚えている。
半年前のあの日、震えながらお兄ちゃんの布団に包まっていた夜。
夜の8時過ぎに、部屋のドアが開いた。


ガチャ
カネキ「ただいま。すべて終わりました」
高槻 「へー・・ここがケンの部屋か。そういえば初めて来たなぁ」

ヒナミ「お・・・・おにいちゃーん!!!」
がしっ

カネキ「ヒナミちゃん、ただいま」

バンジョー「ケン・・・無事だったか・・良かった!!」

カネキ「テレビ点けてください。嘉納先生が記者会見してますよ」

高槻 「しかし・・私の中ではここまで来るのにあと10年はかかる予定だったんですがね・・・さすがケンですよ」

ヒナミ「お兄ちゃん・・先生・・もうどこへも行かない?」

高槻 「ええ。たぶんまだ時間はかかりますが、ちゃんヒナやここに居るみんなが普通に外を歩ける日も近いですよ」

カネキ「ヒナミちゃん、そしたら今度こそ一緒に遊びに行こうね」

ヒナミ「うんっ!!」ぎゅーっ

高槻 「・・」じとー

ヒナミ「・・あれ?お兄ちゃん何かポケットに入れてる?なんだか硬いものがヒナミのお腹に当たってるよ?」

カネキ「うん、それは形を成したモラルだよ・・・ヒナミちゃんが姉属性だったら僕は君をさらっていくんだけどね」

高槻 「・・」
ゲシッ!!
カネキ「痛い」


879: 2015/03/30(月) 22:48:27.93 ID:etnkFnPo0

あれから時間が経って、私は高校に入るための勉強をお兄ちゃんと先生に習っている。
私は家がないから、お兄ちゃんのアパートと先生のお家を往復している。
先生が忙しい時はお兄ちゃんのアパート。
お兄ちゃんが勉強するときは先生のおうち。
ただ、先生が忙しい時はお兄ちゃんもお仕事を一緒にするから私はお兄ちゃんと一緒に寝ることができないのがちょっと寂しい。

お兄ちゃんのアパートにはイチミさん、ジロさん、サンテさんが居る。
その他の人はみんな仕事を見つけて出て行った。
でも時々お兄ちゃんのアパートに集まってみんなでご飯を食べる。
特に私がお兄ちゃんのアパートに行く日はみんなが来てくれる。

私は生まれつき赫包が2つあった。
だから嘉納先生がRc症候群研究所で開発したお薬を飲んでも普通のゴハンを食べることができない。
私がお兄ちゃんのお家に行く日は、みんな私に合わせて、政府がくれるお肉を食べてくれる。
でもこの間、研究所の安久さんと鈴屋さんという研究員の方が、私にも効く可能性の高いお薬ができそうだって教えてくれた。

お母さんも、お父さんも氏んじゃった。
でも私は大丈夫。
みんなが居るから。
勉強頑張って私もいつか入見さんみたいにCMRで私と同じ境遇の人を救いたい。


ヒナミ「お父さん、お母さん、会いに来たよ・・・あれ?」

森の中にあるお父さんとお母さんのお墓に、綺麗なお花が添えてあった。

ヒナミ「・・・誰か来たのかな?」
プルルルルルル!

お兄ちゃんがくれた携帯電話が鳴った。


**

ヒナミ「先生、お兄ちゃん。お話があるの」

高槻 「ん?」
カネキ「どうしたの?」


880: 2015/03/30(月) 22:49:08.19 ID:etnkFnPo0

***

カネキ「・・じゃあ行ってきます」

高槻 「やっぱり行くんだね」

カネキ「ええ。ヒナミちゃんにもお願いされましたし、それに僕が何とかしないといけない問題だと思うので」

高槻 「・・・彼は共食いによって君と同じ“赫者”になっているそうです・・・もともと持っている赫包も君と同じ・・・多分かなり強いと思います」

カネキ「そうですね」

高槻 「私も助太刀するのはダメですか?」

カネキ「そうですね、今回はダメです。これは僕の仕事です」

高槻 「・・・そうですか・・お願いです。無茶しないでください・・・私にとって君は・・居なくなっては困る人です」

カネキ「・・・先生・・・一応確認ですけど、先生は僕より年上ですよね?」

高槻 「・・・え?突然何言ってんの??・・・ま、まあそうですよ。悪かったですねババアで」

カネキ「・・・その割には子供みたいな体型ですよね」

高槻 「ケンカ売ってんのか?」

カネキ「そして眼鏡をかけていて、BLにも理解がある・・・と」

高槻 「・・・あれ?」

カネキ「僕にとっても、先生は居なくなっては困る人です。よく考えたらこんなドンピシャな人いませんし・・・・これからもずっと、僕は先生と一緒に居たいですね」

高槻 「・・・君らしい、実に君らしい最低な告白ですね・・・・・そうですね、無事に帰ってきたらこの話の続きをしましょう」

カネキ「約束ですよ」


881: 2015/03/30(月) 22:49:53.18 ID:etnkFnPo0

カネキ「・・・あ、来た」

ヒデ 「うおっ!なんだカネキか・・・どうしたんだよ、こんなとこで」

カネキ「ここに居ればヒデに会えると思って」

ヒデ 「なんだよ・・大学で会えばいいじゃん」

カネキ「だって今年度、もう同じ授業無いでしょ、僕たち」

ヒデ 「そーだっけか」

カネキ「・・・ヒナミちゃんと入見さんに聞いたよ」

ヒデ 「・・・んー・・・そっか・・・二人とも元気?」

カネキ「ヒナミちゃんはすごく勉強頑張ってるよ。入見さんは“あんていく”辞めちゃったからよく知らないけど」

ヒデ 「そうだったな・・・CMRだっけ?入局したんだよな」

カネキ「らしいね」

ヒデ 「・・・・カネキはさぁ・・大学卒業したら何すんの?」

カネキ「僕?・・・うーん・・実はまだ考えてないかな」

ヒデ 「そっか・・まあお前なら何でもできるよ・・なんせ世界を変えちまったんだから」

カネキ「ヒデだって。社交的でどこ行っても上手くいくよ」

ヒデ 「・・・」

カネキ「僕思うんだけどさ、もう十分だと思うよ。このお墓の人・・・ヒナミちゃんの両親だって、もうこれ以上ヒデに何かしてもらいたいって考えてないと思うよ」


882: 2015/03/30(月) 22:50:32.57 ID:etnkFnPo0

ヒデ 「・・・悪ィ・・・もう後戻りできねーんだわ」

カネキ「元CCGの人を全員頃すまでって事?・・・彼らは法で裁かれてるよ」

ヒデ 「それは“和修”とか、トップの奴だけだろ?」

カネキ「末端の人たちは、それこそ事情を知らずに仕事してた言わば被害者じゃない?」

ヒデ 「・・・俺もお前みたいにそう合理的に考えられてればなぁ」

カネキ「・・・ヒデ。知ってる?CMRが“大喰い”というRc患者の犯罪者を追ってる」

ヒデ 「・・ああ、ついに来たんだ」

カネキ「ヒデはさ・・・CMRに殺されたいんでしょ?」

ヒデ 「・・・」

カネキ「そんな事じゃ贖罪にはならないよ」

ヒデ 「俺はさぁ・・・多分いつかはやられるよ。出来ることなら・・俺は」

カネキ「ヒデ、僕がなんで来たか分かる?」

ヒデ 「・・・説得?」

カネキ「説得してダメだったら・・僕が責任取ろうと思って」

ヒデ 「・・悪ィよ」

カネキ「元をたどれば、ヒデがそうなったのって僕のせいだし。実行犯は嘉納先生だけど」

ヒデ 「・・・そっか・・・実は嬉しいぜ」

カネキ「そうなの?」

ヒデ 「俺はさ・・・CMRじゃなくて、お前に裁いてほしい」
ズグググググ・・・

カネキ「・・うん、わかったよ」
ズグググググ・・・


883: 2015/03/30(月) 22:51:04.66 ID:etnkFnPo0

入見 「亜門課長補佐、20区の森でRc患者の反応があります・・・おそらく“大喰い”です」

亜門 「・・・わかった。アキラ、行くぞ」

アキラ「・・ああ」



その森に着いて最初に見た光景は、“大喰い”と“変態眼鏡”のコント・・・もとい、戦闘だった。



カネキ「ヒデも赫者になったんだね・・じゃあ行くよ?」
ぶらん

ヒデ 「ちょっと待て」

カネキ「どうしたの?」

ヒデ 「お前、チ●コ丸出しだぞ」

カネキ「え?!今更それ?!」

ヒデ 「今更って言われても知らんし。お前・・捕まるぞ」

カネキ「大丈夫まだ逮捕されたことないよ」



アキラ「・・・亜門課長補佐・・赫者同士が話をしてるが・・」

亜門 「・・・ああ、“大喰い”と“変態”だ・・・戦ってる・・という訳じゃないのか?」

アキラ「なんというか・・・森の中に巨大な赫者が二人・・・異常な光景だな」

亜門 「ああ・・・この距離なら我々のことはばれないだろう」


カネキ「ん?・・あ!おーい筋肉捜査官さーん!!!」

アキラ「おい、早速バレたぞ」

亜門 「・・・そのようだな」


884: 2015/03/30(月) 22:51:39.47 ID:etnkFnPo0

カネキ「筋肉さん」
ぶらんっ

アキラ「キャッ!!///」

亜門 「コラ変態!アキラに汚いものを見せるな!!」

カネキ「ああ、スイマセン」

ヒデ 「ホラ、俺の言ったとおりだろ!ホントいい加減にしろよ!!」

カネキ「あれー?おかしいな・・この前は誰も突っ込まなかったんだけどなー」

ヒデ 「イヤそれは誰も触れたくなかったんだろ」

カネキ「え、触れるって・・・公開プレイ?」
ググググ・・・⤴

ヒデ 「その“触れる”じゃねーから!!デカくすんじゃねーよ!!!」

亜門 「・・・」
アキラ「・・・///」←指の隙間から見ている


ヒデ 「なんでお前の赫子は局部だけ透明なんだよ!!」

カネキ「だって、見られてると思うと興奮して・・//」
⤴⤴⤴

アキラ「きゃあああああ///」

亜門 「コラ変態!!」

ヒデ 「いい加減にしろ!!なんか布かなんかで隠せ!!女性が居るんだぞ!!!」

カネキ「・・・しょうがないなぁ・・」
ズググググ・・・←新たな赫子が局部を覆う

ヒデ・亜門「「隠そうと思えば隠せたんかーーーい!!!」」


885: 2015/03/30(月) 22:52:21.84 ID:etnkFnPo0

亜門 「・・・待て・・来た理由を忘れていた・・・変態、お前は何をしてるんだ?」

カネキ「いや、このヒ・・“大喰い”さんを懲らしめようと思って」

亜門 「懲らしめられるべきはお前の方だと思う」
アキラ「同感だ」

ヒデ (・・忘れてた)


ヒデ 「・・・捜査官さん。あなた達に聞きたいんだけど」

亜門 「?」

ヒデ 「・・・フエグチリョーコっていう喰種・・・知ってる?」

亜門 「!」
アキラ「ん?」

亜門 「・・・大喰い・・聞いてくれ」

ヒデ 「・・・」

亜門 「・・・フエグチリョーコという・・Rc症候群患者を捕獲したのは俺と、当時のパートナーだ」

ヒデ 「・・・そっか・・・やっと見つけた」

亜門 「・・・俺は・・・お前やあの人に対して・・・当時は知らなかったとはいえ決して許されないことをした」

ヒデ 「・・・で?」

亜門 「俺のことは・・好きにしていい。だがお前はもう二度と人を殺さないでくれ・・・そしてこれからは普通の人間として生きてくれ・・お前の素性は現時点でCMRでもつかめていない・・頼む」

ヒデ 「・・・」
ズググググ・・


アキラ「ダメだ!!」

ヒデ 「・・退いてくんねー?」

アキラ「やめてくれ!この人は右腕を失って・・もう十分罰を受けている!!」

ヒデ 「・・たくさんの喰種は命を失ったんだぜ?」

アキラ「私は・・・・ッ・・フエグチリョーコを頃した真戸呉緒の娘だッ!!」

ヒデ 「・・・」

アキラ「お前を恨んでいた・・・いつか頃してやると思って居た・・だが・・事実を知って私は決めたッ・・もうお前を恨まない!どこかで憎しみの連鎖を断ち切らねば・・この世界は変わらない!そう気付いたからだ!!」

ヒデ 「・・・」

アキラ「だから・・頼む・・・頼むから・・・私の大切な人を殺さないでくれ・・・お前を憎まないために・・・」


ガオンッッツ!!


886: 2015/03/30(月) 22:53:01.70 ID:etnkFnPo0

ヒデ 「・・・え?・・・ガハッツ!!」

カネキ「・・・ごめんね」

ヒデ 「・カ・・ネ・・」

カネキ「君をこの世界に誘い込んだのは僕だ・・だから僕が責任を取る」

ヒデ 「・・・う・・・・あ」

ガブリ
カネキ「赫包を喰べられた喰種は氏ぬ・・・憎しみの連鎖はここで終わりにしよう。罪は僕が引き継ぐから」


亜門 「お・・大喰いッ!」

ヒデ 「・・・・そ・・だな・・・ハハ・・」
ガブリ
ガブリ
ガブリ


ヒデ 「・・・あり・・がとな」

・・・

カネキ「・・・“大喰い”は二度と現れません」

亜門 「・・・変態・・俺は・・」

カネキ「あなたは、正しかった。あの時、あなたはそうするしかなかったんだから」

亜門 「・・しかし俺は・・!」

カネキ「・・さようなら」


***


887: 2015/03/30(月) 22:53:58.94 ID:etnkFnPo0

亜門 「・・・Rc症候群患者“大喰い”は・・突然現れた別のRc症候群患者によって捕食されました・・氏体はその者が持ち去り、現在そのRc患者もロストです」

丸手 「・・・そうか・・・しかし“赫者”を倒す奴が居るとなると・・後々厄介になりそうだな」

亜門 「おそらくそれは有りません・・・そのRc患者は粛清の意味合いで“大喰い”を頃したようです・・・多分犯罪を犯すことは無いと思います」

丸手 「・・・粛清か・・・」



     この世界は

     間違っていた



トーカ「・・・」

『弱いくせに出てきてんじゃねーよ』

トーカ「・・・アヤト・・」

ヨモ 「・・・トーカ」

トーカ「・・・ヨモさん」

ヨモ 「・・・お前の母親が・・かつて俺に言った・・・『私が居なくなってもお前はお前の人生を生きろ』・・・と」

トーカ「・・・」



     この世界は



ウタ 「・・・」

ウタ 「・・・イトリさん・・僕、君ほどお酒強くないけどこのお店これからは僕がやっていくよ・・・ヨモ君と喋る場所もないしさ」

・・・ギィー

ニコ 「ウタちゃん、やってるぅ?」

ウタ 「・・・うん。いいよ。今日はマスク屋の方はもうお仕舞だから」

ニコ 「そっありがと♡」

ウタ 「ニコさんはさ、なんでピ工口を裏切ったの?」

ニコ 「だって・・なんだか男っ気無かったじゃない。ねぇそれよりも、たまには私のお店も来てよ。4区の2丁目にオープンしたのよー♡」


888: 2015/03/30(月) 22:54:57.58 ID:etnkFnPo0

     間違っていた



篠原 「おーい、いわっちょ」

黒磐 「ん?どうした?」

篠原 「デスクワーク慣れてないからなんか疲れちゃってさ」

黒磐 「・・・うむ。儂もだ」

篠原 「しかし有馬はなんでCMRに移籍しなかったのかね?」

黒磐 「うむ・・・有馬は、対喰種の戦闘のみに秀でていたからな」

篠原 「それにしても一言ぐらい挨拶してくれてもいいのに・・・いったいどこに居ることやら」



     僕たちは



玲  「ホント、おいしいですねぇ。ここのサンドイッチ」

奈白 「・・・うん。コーヒーもいけるよ」

玲  「そうですか?じゃあ僕も食後に頼みます」

奈白 「・・・玲・・なんでアンタは研究員になったの?」

玲  「奈白がなったからですよ」

奈白 「・・え?」

玲  「・・・黒奈の分も僕が頑張りますよ」

奈白 「・・・・玲・・・ありがとう」


889: 2015/03/30(月) 22:55:40.56 ID:etnkFnPo0

     喰べる(眼鏡にぶっかける)しかない

     喰べる(露出する)しかない

     喰べる(イタズラする)しかない

     喰べる(姉に萌える)しかない

     ・・・・僕の救いは
         それを全て受け入れてくれるパートナーが居ること

     僕の救いは―――――



「アホッ!!」

ゲシッ!!

カネキ「痛い」

ヒデ 「なんてポエム読んでんだお前は!!」

カネキ「大丈夫だよ、これはポエム。実際に事案にはなってないから」

ヒデ 「喫茶店では静かにコーヒーを飲めよ!」

カネキ「前はヒデが騒いでたくせに」

ヒデ 「いーんだよ!あ、トーカちゃん、今日のラテアートのクマ、可愛いね!!」

トーカ「これはウサギだって何回言ったらわかるんだ、このボケヒデーーーーー!!!」
ゲシッ!!
ヒデ 「ぶばっ!!」

カネキ「おーおー痴話げんか?」

ヒデ 「うっせ黙れ!!あ・・高槻先生来たぞ」


カラン カラン


890: 2015/03/30(月) 22:56:30.75 ID:etnkFnPo0

高槻 「ごめんね待たせちゃって」

カネキ「ヒデで遊んでたから大丈夫だよ」

高槻 「相変わらずだね二人は」


***

カネキ「ヒナミちゃん、合格したみたいだよ」

高槻 「そっか。良かった。じゃあ今日はウチでパーティーだね。あ、私ブレンドでー」

古間 「かしこまりましたー」

カネキ「ふー・・・やっぱりあんていくのコーヒーはおいしいね」

高槻 「ウン・・・」

カネキ「?どうしたの?」

高槻 「ケンはさ・・なんでここまでしてくれたの?」

カネキ「え?何が?」

高槻 「ケンのおかげで・・世界は変わりました。私も・・母の無念を晴らすことができました。ケンだって何度も危ない橋を渡ったはず・・・見ず知らずだった私に・・なんでそこまでしてくれたの?」

カネキ「え・・?だってバイトだし」

高槻 「・・・・・・は?」

カネキ「いや、バイトでやれって言われたから取材したりCCGの事調べてりしたんだけど」

高槻 「ウン・・・なんかごめんね自給1000円で外資系金融会社のCEO並の仕事させてしまって」

カネキ「あ、また取材とかあったらやるよ、お姉ちゃん」

高槻 「当分は遠慮しとくよ。君に任せると極限まで調べ上げてしまうので。後、姉萌えプレイはここではダメ///」


891: 2015/03/30(月) 22:57:31.67 ID:etnkFnPo0

丸手 「なあ亜門」

亜門 「なんです、局長」

丸手 「・・・これはオフレコなんだがよォ」

亜門 「・・・ええ」

丸手 「俺・・実はCCGの裏の顔知ってたんだわ」

亜門 「・・・局長がクインケを嫌っていたのはそれが理由だったんですね」

丸手 「・・・梟討伐戦の日、ある喰種が指揮部に攻めてきて、ヨシトキさんを含む俺以外の全員が殺られた・・・だがそいつは俺の事だけは殺さなかった」

亜門 「・・・」

丸手 「・・・なんでか分かんなかったんだけどよ・・・最近やっと分かった気がすんだよ・・・コレ、知ってるか?」

亜門 「・・ああ、高槻泉の」

丸手 「主人公の女が言うじゃねえか・・・多分、あの喰種はCCGの裏の顔も全て知ったうえで・・俺にそれを言いたかったんじゃねーのかなってな」

亜門 「ええ・・・俺も同じ考えです・・・最近俺もやっと分かりました。アキラがそれを言ってくれたので」





芳村憂那『・・・私は、喰種のあなたを受け入れます。私は確かに喰種に親を殺されました。でも、あなたそのものを恨んでる訳じゃない。憎しみの連鎖を切らなければいつまでも分かり合えないから。同じ人間なんだから、いつかきっと分かり合えるよ。』
――――――高槻泉(長編小説としては)8作品目、「東京喰種‐トーーキョーーグーール‐」より抜粋


892: 2015/03/30(月) 22:58:23.21 ID:etnkFnPo0

――――――――――7区


月山 「Fuuu・・・今日も来ないね、僕のbest friend“VE”君は」

店員 「MM様・・申し訳ありませんが本日は閉店時間でございます」

月山 「ああ、分かっているよ・・・明日こそはきっとッツ!!キミに会える気がするッ!!」





高槻 「ねぇケン、たまには7区でデートしようよ」

カネキ「7区は嫌。お姉ちゃんのお願いでもそれだけは嫌」

高槻 「ウーン・・まあ別にいいけどなんでそんなに7区嫌いなの?」

カネキ「なんか生理的に受け付けないものってあるでしょ?」

高槻 「ふーん・・・ところでさ、素朴な疑問なんだけど、半喰種と半喰種が子供作ったら生まれてくる子供はどうなるんだろ?」

カネキ「え?うーん・・・赫包に全Rc細胞を取り込んでおけば体は人間と同じわけだから生まれてくる子供も人間になるんじゃないの?」

高槻 「そうかもね。じゃあそうしてみるね」

カネキ「・・・・・・・・・え?」










この物語はフィクションのフィクションです。登場する人物の性格、登場する人物・団体等の関係性、および一切のネタバレ等は作者の妄想であり、実在するものと異なります。


894: 2015/03/30(月) 22:59:40.66 ID:etnkFnPo0
これにて終わりです。
長々とお付き合いありがとうございました。

なお有馬さんは鯖江市の眼鏡職人として再スタートをきっています。

896: 2015/03/30(月) 23:01:20.05 ID:gcPw0+lFo
おつおつ
楽しかった。またなにか書いて欲しいです。

898: 2015/03/30(月) 23:38:56.23 ID:1MEWHQbFo
いやー面白かった
過去作あるなら読みたい

899: 2015/03/30(月) 23:55:51.32 ID:etnkFnPo0
そう言えば、ご指摘いただいた通り和修吉時さんの階級は特等でなく局長でした。申し訳ありませんが脳内変換をお願いします

過去には生徒会役員共を数個書きました
スズが病気になったり、畑さんがCV花澤香菜になったり、会長が幼馴染になったり、コトミが義兄妹になったり、トッキーが戦ったり、五十嵐さんがちょっとエOチな事したりしました
申し訳ありませんがリンクを保存してなかったので貼れません

東京喰種は書ききった感があるので、次はまた別のものを書こうと思います

910: 2015/03/31(火) 00:50:02.73 ID:C14tgzVv0
アオギリ組その他の喰種のその後は考えていたんですが、1000超えそうなのでカットしました
ざっくりと行きます

ヨモさん
よくニコの店に行き、男を物色。
最近無精ひげを伸ばし、ヒゲクマ系になった。

トーカ
ヒデに対して安定のツンデレ。

タタラさん
みんなで修学旅行に行った後、京都で食べた繊細な和食が忘れられず、和のエッセンスを取り入れた中華料理の修業を開始。
横浜中華街で『青桐菜館』をはじめる。
エトとカネキがデートで一回行ったがサービスで氏ぬほど量を出してきたので二人にはちょっと敬遠されてる。

イモリさん
修学旅行で奈良の寺の住職の話を熱心に聞く。
その後青年海外協力隊としてアフリカにわたり、現地の発展と内戦の終息に尽力する。
内戦を治めるため丸腰で説得。凶弾に倒れるがそれが原因で当該国は内戦が終結し、氏後建国の父として銅像を建てられる。

ナキさん
当然神兄貴についてアフリカへ。
現地の子供たちと精神年齢が同じであるためあっという間に打ち解ける。
ヤモリの氏後、泣き暮らすが、かつて一緒に遊んだ子供たちが大人になりナキさんを励ましにみんなで来てさらに号泣。
神兄貴の医師を継ぎ、生涯発展途上国の成長に尽力する。

イチミ・ジロ・サンテ
三人でJ-popグループ「1・2・3」を結成。ガスマスクをつけた出で立ちで目立ち、一部から熱狂的に支持される。
メジャーデビュー後初めてのTV出演で、ジロのガスマスクがうっかりとれる。
が、実は超絶美人でさらにヒット。紅白にも連続出場している。

ヒナミちゃん
勉強を頑張ってCMRに入局。
カヤさんの下に着いていろいろ教わるが、ついでにいけないことも色々教わる。
処Oなのにすごい耳年増になってカネキを困らす(エトのジト目的な意味で)。

シャチさんとリゼさん
何でも食べられるようになったリゼさんは当然のように大食い女王に。
ある日の収録の時、どうしても娘のことが心配になったシャチさんがうっかりスタジオ乱入。
リゼさんが激怒するが、うっかり「お父様」と呼んでしまい、元々の容姿も相まって多くの男性からカルト的な人気が出る。
シャチさんはこの件でタレントとなり、藤岡弘、的なポジションとなる。

有馬さん
カネキとエトの結婚式の際、エトにメガネをプレゼントする。
「僕じゃなくてエトにプレゼントするあたり、分かってるなぁ」とカネキも唸る。
55歳で人間国宝になる。


こんなところです。

938: 2015/04/01(水) 22:36:45.68 ID:XrIl11de0
本編があれだからカネキが救われて良かった
お疲れ

引用: 【東京喰種】 永近英良「カネキ・・・いいかげんにしろよ」