1: 2015/02/17(火) 23:04:59.77 ID:hBxJmoIW0
東京喰種のssです
:reの内容は含みません
東京喰種のss書くのは初めてなのでゆっくり書いていきたいと思います。
初心者なので暖かく見守っていただけると幸いです。



2: 2015/02/17(火) 23:05:50.39 ID:hBxJmoIW0
♯001 [眼鏡]


ヒデ 「で、どの子だ?」

カネキ「いや、今日は居ないみたい」

ヒデ 「あの子とか結構可愛いじゃん?」


トーカ「―――奥の席にどうぞー・・・」


カネキ「いや、ダメだ。メガネかけてない」

ヒデ 「・・やっぱりか」


カランカラン・・

カネキ「あ」

ヒデ 「・・・あの子だろ」

カネキ「うん、あの黒縁メガネ」

ヒデ 「お前・・いい加減にしろよ。メガネしか見てねーじゃねーか」

カネキ「いやだって、メガネかけてるか、かけてないかで雲泥の差だろ!」

ヒデ 「あの子、メガネ取ったら化けるぞ」

カネキ「何言ってるんだヒデは。むしろメガネかけてるから魅力的なんだろ?!」

ヒデ 「分かった!分かったから大声出すな。出禁にされるぞお前」



3: 2015/02/17(火) 23:10:28.15 ID:hBxJmoIW0
数日後。

ヒデ 「え?あの子とデート行く約束した?!」

カネキ「ああ・・ついてるよ僕は」

ヒデ 「お前、まさかナンパしたのか?」

カネキ「まさか。たまたま彼女が読んでた本を僕も読んでてね」

ヒデ 「ふーん・・お前本好きだもんな。何の本?」

カネキ「高槻泉の『黒山羊の卵』だよ」

ヒデ 「ああ、最近有名な作者だよな。名前だけ知ってる」

カネキ「内容も素晴らしいけど、なんとヒロインがメガネかけてるんだよ・・!」

ヒデ 「左様ですか」

カネキ「いやー楽しみだなー。夢の本屋デートと眼鏡屋デートができるって考えると夜も眠れないよ」

ヒデ 「・・その二つとも俺には分からないデートだけどな。とりあえず警察のお世話にはならないでくれよ」



4: 2015/02/17(火) 23:14:45.50 ID:hBxJmoIW0
デート当日。

リゼ 「・・高槻さん面白いですよね」

カネキ「ハイ!・・ところでこの後、眼鏡屋行きませんか?」

リゼ 「え?眼鏡屋さん??」

カネキ「はい。実はちょっとメガネ探したいなって思ってて。リゼさんてセンスいいのかけてるんで一緒に探してもらえたらなって・・ダメですかね?」

リゼ 「別にいいですよ。カネキさんは普段はコンタクトなんですか?」

カネキ「いえ、視力は悪くないですよ」

リゼ 「あら?それじゃあ伊達メガネ?」

カネキ「ええ、まあ」

リゼ 「そうなんですか。私結構目悪いから、羨ましいな」

カネキ「いえ!そんな素敵なメガネをかけられるリゼさんのが羨ましいですよ!!」

リゼ 「??」

***

5: 2015/02/17(火) 23:15:45.80 ID:hBxJmoIW0
リゼ 「もう暗くなっちゃいましたね」

カネキ「そうですね」

リゼ 「・・私、この先のアパートに住んでるんですけど、最近・・喰種の事件あったじゃないですか・・私・・怖くて」

カネキ「よければ送っていきますよ?」

リゼ 「本当ですか?!よかった!ありがとうございます!」

カネキ「い・・いえ//」

リゼ 「でも・・なんだか不思議ですね」

カネキ「え?」

リゼ 「私たち年も同じ、読書の趣味も同じで・・なんだか共通点多いですね」

カネキ「え・・あ・・そうですね」ドキドキ

リゼ 「カネキさん・・私・・//」

カネキ「え・・//」

リゼ 「あなたが・・私のこと見てるの・・気づいてたんです//」

カネキ「ぼっ・・僕//」

リゼ 「私も・・あなたを見てたから!!」
がぶ

カネキ(え?)


6: 2015/02/17(火) 23:23:59.37 ID:hBxJmoIW0
リゼ 「うふふふふふ・・・気づかなかったでしょ・・私がまさか『喰種』なんてぇ!!」
ゴキゴキ・・ズグゥゥゥウウウ!!

カネキ「・・・」

リゼ 「・・・」

カネキ「・・・はぁ・・」

リゼ 「・・え?」

カネキ「せっかく・・・最高のメガネ美人と知り合えたと思ったのに・・・」

リゼ 「・・ハイ?」

カネキ「僕に・・・触手属性は無いッッッ!!」


リゼ 「・・えっと」

リゼ 「私・・喰種なんだけど・・」

カネキ「・・でしょうね。目赤いし、触手出てるし」

リゼ 「いえこれは、赫子って言ってね、これでアナタを頃して食べるのよ?」

カネキ「・・・いや確かにポーやマシスンは、究極の愛の形についてカニバリズムをあげてるけど、僕らまだそこまで進んでないし」

リゼ 「・・・・ていっ」
ザシュ

カネキ「ぐえ」

7: 2015/02/17(火) 23:28:40.25 ID:hBxJmoIW0
リゼ 「ウフフ・・と・・とりあえず私カネキさんみたいな体型の人好きよ。おいしそうで」

カネキ「う・・まって・・」

リゼ 「あら、命乞い?」

カネキ「いや、メガネ落ちてますよ」

リゼ 「は?」

カネキ「どうせ頃すんなら、ちゃんとメガネかけた顔を見せてくださいよ!」

リゼ 「なんて精神力の強い変態なのかしら」

ズウウウ・・

リゼ 「?」

ドガアアアアン!!

リゼ 「ぐ・・アアアア・・・!!」
ぐちゃ

カネキ「うっ・・僕は・・・グロ属性も・・無い」



ピーポー ピーポー・・・・


8: 2015/02/17(火) 23:35:27.91 ID:hBxJmoIW0

それから何日か経って。


嘉納 「経過は順調だよ」

カネキ「はぁ・・そうですか」

嘉納 「退院しても免疫抑制剤を忘れずに飲むようにね」」

カネキ「・・はい」

嘉納 「それとナースから聞いたんだけど、好き嫌い多いみたいだね」

カネキ「え・・いや。前はそんな事なかったんですけど・・なんか食事が全然おいしく感じないんです」

嘉納 「ふむ・・・臓器移植を受けた後、食べ物の指向性が変わってしまうことがあるからね」

カネキ「そうなんですか」

・・・

ヒデ 「退院オメ!ビックガール行こうぜ!!おごるぞ!!」

カネキ「・・うん。ありがとうヒデ」


9: 2015/02/17(火) 23:38:05.51 ID:hBxJmoIW0

ヒデ 「なんていうかさ・・残念だったな。リゼさん・・だっけ?」

カネキ「あー・・うん」

ヒデ 「?」

カネキ「いい子だったよ」

ヒデ 「・・そっか」

カネキ「でも触手属性持ってたからなぁ・・」

ヒデ 「・・は?」

・・・

ヒデ 「え・・?リゼさんて・・喰種だったのか?!」

カネキ「うん」

ヒデ 「それってお前・・かなりヤバかったんじゃねーの?」

カネキ「うーん・・確かに殺されかけた気がする」

ヒデ 「ある意味・・氏んじゃってよかったのかもな」

カネキ「いや、別にあの子が僕のこと食べようとしなければ僕は構わなかったんだけどな」

ヒデ 「え?・・だって喰種だろ?」

カネキ「まあそうだけど見た目変わんないし、ていうか見た目(メガネ)は僕の理想にかなり近かったし」

ヒデ 「・・なんていうかお前ってホントすげえ奴だな」

カネキ「そう?」


10: 2015/02/17(火) 23:44:17.78 ID:hBxJmoIW0

店員 「お待たせしましたー!!」

ヒデ 「お・・来た来た!」

カネキ「・・・」

ヒデ 「にしてもやっぱりビックガールは女の子のレベルも高いな」

カネキ「そう?メガネが居ないよ」

ヒデ 「相変わらず徹底してるな」

カネキ「さ、食べようか・・・う」

ヒデ 「ん?どうした?」

カネキ「これ・・ちゃんと焼けてる?全然おいしそうな匂いしないけど」

ぱく
ヒデ 「いや、俺のはフツーにうまいぞ?生焼けなら石で焼いたら?」

カネキ「ん・・そうする」

ジュウウウ・・

パク
カネキ「うっ・・!!」
豚の内臓?!いやこれは栄養障害で氏んだ肥育牛の胃内容物を啜っているかのような悪臭ッ!!

ヒデ 「え?どうした?」

カネキ「ヒデ・・めっちゃまずい」

ヒデ 「嘘?」

カネキ「・・臓器移植を受けてから指向性変わっちゃったみたいでさ」

ヒデ 「そういうことってあるんだな・・」

カネキ「めっちゃマズイけど我慢して食うよ。ヒデが奢ってくれたものだし。それに栄養学的に考えて食べないと体に悪いから」

もぐもぐ・・おええ

ヒデ 「泣きながら食ってる・・」



17: 2015/02/18(水) 21:50:44.95 ID:wBmGi8aS0
つづきですー

18: 2015/02/18(水) 21:51:50.15 ID:wBmGi8aS0
#002 [高槻]


テレビ パチッ

小倉 『・・・おまけに喰種は舌の作りが我々と異なり、食べ物がメチャクチャまずく感じる・・』

カネキ「・・・(なんか僕みたいだな)」

小倉 『・・人前では我慢して食べるけど、食べた後は強い吐き気に襲われるだろうね・・』

カネキ(まさか・・・リゼさんの臓器を移植されたから僕の体も喰種に・・?)

カネキ「・・腹減ったな・・」

カネキ「・・・」


冷蔵庫ガチャ

もぐっ

カネキ「まずっ!!」

カネキ(でもヒデにおごってもらってから何も食べてない・・)

もぐもぐ・・まずっ!

**


プルルルル・・

ガチャ

カネキ『もしもし?』

ヒデ 『おーカネキ。お前体調大丈夫?』

カネキ『うんなんとか』

ヒデ 『そうか?だったら大学来いよ』

カネキ『うん。明日は行くよ』

19: 2015/02/18(水) 21:52:30.10 ID:wBmGi8aS0
ヒデ 『ところでさ、今日駅前の本屋で、お前が好きな高槻ナントカのサイン会やってるらしいぞ』

カネキ『そうなんだ』

ヒデ 『元気出すためにも行ってみたらどうだ?・・まあ体調良かったらだけど』

カネキ『うん、ありがとう。行ってみるよ』


**

【高槻泉先生サイン会 会場】

カネキ「あ、まだやってた」

・・・

カネキ「あ、まだ大丈夫ですか?」

塩野 「あ、ついさっき終わっちゃたんですよー」

カネキ「あー・・そうでしたか」


衝立の向こうの声「こらこら塩野くん」

塩野 「・・はい?」

「まだいいじゃあないか。私はここにいるんだし」

塩野 「しかし・・もう1時間以上押してますよ」

「時間は大事だが、多くの人と触れ合うことによって作家は新たなインスピレーションを得るのだよ」

塩野 「はぁ・・」

「という訳でこれはもはや仕事なのだよ。という訳で次の人こっち来てくださーい!」



20: 2015/02/18(水) 21:53:10.15 ID:wBmGi8aS0
カネキ「あ・・なんかすいません」

高槻 「いやいや。お兄さんとこうやって話すことで私も得るものがあるんですよ。で、お名前は?」

カネキ「あ、カネキケンです。曜日の“金”“木”で、名前は研究の“研”です」

高槻 「ふむふむ。カネキさんっと・・そういえば太宰治の出身地が金木町ですね」

カネキ「ああ、そういえば」

高槻 「いいですねえ」

カネキ「いえ・・伊勢大和の芥川が流れる高槻市のがいいですよ」

高槻 「ふむ・・古典お詳しいですねぇ」

カネキ「あ・・いえ、僕大学の国文科なので」

高槻 「ほうほう、さすがですね」

カネキ「いえ、先生の作品素晴らしいです。最初の『拝啓カフカ』から全部読んでます」

高槻 「それは嬉しいですね」

***

21: 2015/02/18(水) 21:53:38.35 ID:wBmGi8aS0


高槻 「それにしてもカネキさん・・顔色悪いけど大丈夫です?」

カネキ「あ・・いえ大丈夫です。最近あんまり食欲わかなくて」

高槻 「ふーん・・コレ食べます?」ごそごそ

カネキ「大福・・ですか」

高槻 「お嫌いです?」

カネキ「そんな事なかったんですが・・なんか匂い嗅ぐだけで吐き気がするんですよね」

高槻 「ふぅん・・」

塩野 「先生・・さすがにそろそろお時間が・・」

高槻 「おっと、もうこんな時間か・・・カネキさん」

カネキ「はい?」

高槻 「コレ、私の名刺です」

カネキ「え?」

高槻 「ズバリあなた、面白そう!」

カネキ「はい?」

高槻 「今度もう少しゆっくり話しましょう」


22: 2015/02/18(水) 21:54:13.02 ID:wBmGi8aS0

カネキ「え?・・僕と?」

高槻 「はい。文学知識もあるし、なんだか浮世離れした雰囲気をお持ちです」

カネキ「はぁ・・そうですかね?」

高槻 「これは私の取材を兼ねたお願いなので、カネキさんの都合のいい時間と場所で結構ですよ」

カネキ「そうですか・・じゃあ大学の無い時がいいので後で連絡するんでいいですか?」

高槻 「ええ、もちろん」

カネキ「あ・・それと・・」

高槻 「?」

カネキ「高槻先生って、昔メガネかけてませんでした?」

高槻 「え?ああ、拝啓カフカの時はメガネでしたね。今はコンタクトですが」

カネキ「メガネのがッ・・似合いますよ!」

高槻 「はぁ・・そうですかねぇ」

・・・

高槻 「じゃあ連絡待ってますよー」

カネキ「どうも」

**


高槻 「“メガネフェチ”っと」



23: 2015/02/18(水) 22:32:44.41 ID:wBmGi8aS0
次の日、上井大学にて。

ヒデ 「おーなんか久しぶり」

カネキ「うん」

ヒデ 「でもなんか顔色悪いぞ」

カネキ「いや・・あれ以来食事がなにもおいしくなくてね」

ヒデ 「・・・」

カネキ「ん?どうしたの?」

ヒデ 「いや・・何でもない」

カネキ「そういえば、高槻先生のサイン会行ったよ」

ヒデ 「お、そうか!どうだった?」

カネキ「なんか取材したいって名刺渡された」

ヒデ 「・・・お前は相変わらず俺の予想の斜め上を行くな」

カネキ「でも・・・少し残念だったよ」

ヒデ 「どうした?」

カネキ「高槻先生ってさ、デビューの時メガネだったんだよ。なのに今はコンタクトだった・・・」

ヒデ 「少しはブレろ」



24: 2015/02/18(水) 22:33:32.71 ID:wBmGi8aS0

カネキ「ヒデは最近なんかあった?」

ヒデ 「学園祭実行委員に誘われてさー」

カネキ「・・それって楽しいの?」

ヒデ 「相変わらずバッサリだなー、お前は」

カネキ「本当ヒデって行事ごと好きだよね。僕と違って」

ヒデ 「カネキもやれば楽しいぞ」

カネキ「僕はやめておくよ」

ヒデ 「だろうなー・・・あー・・しゃあ無いな。今回は俺もやめとくわ、実行委員」

カネキ「え?別に僕に合わせなくていいよ」

ヒデ 「バカお前、どう考えてもお前の取材の方が面白そうだろ」

カネキ「えー・・たぶん同席はできないと思うけどいいの?」

ヒデ 「おう!」


25: 2015/02/18(水) 22:34:08.62 ID:wBmGi8aS0

ヒデ 「で、いつ取材なの?」

カネキ「あーこっちから日時場所指定していいって話だからまだ決まってないんだ」

ヒデ 「ほー・・でいつにすんの?」

カネキ「とりあえず大学無い土曜かなー」

ヒデ 「場所は?」

カネキ「うーん・・あ」

ヒデ 「?」

カネキ「実はコーヒーはおいしいって感じるんだよ」

ヒデ 「・・は?」

カネキ「いや、味覚の嗜好性変わったって言ったじゃん」

ヒデ 「ああ」

カネキ「だからどこかコーヒーショップとか」

ヒデ 「ならさーあそこはどうだ?」

カネキ「?」

ヒデ 「お前がリゼさん見つけた喫茶店」

カネキ「・・いいね」

ヒデ 「じゃあ決まりだな。俺も違う席座ってていいだろ?」

カネキ「ツッコミは無しだよ」

ヒデ 「まあ、お前が法に触れなければな」


26: 2015/02/18(水) 22:36:09.23 ID:wBmGi8aS0

カネキ「じゃあ高槻先生にメールしようかな」

ヒデ 「おう」

カネキ「えっと・・」
ピッ・・ピッ・・・



~♪
高槻 「おっ・・ケンカネ君から早速メール!」

『この間のお話ですけど、今週土曜日13時に20区の喫茶店“あんていく”でどうですか?』

高槻 「マジか」



ヴー・・ヴー・・
カネキ「あ、返信」

カネキ「・・・OKだって」

ヒデ 「おし!」

カネキ「とりあえずさ、今日授業の後、あの喫茶店行かない?」

ヒデ 「いいけど何すんだ?」

カネキ「いや、あそこのコーヒー飲みたいだけ。またメガネ美人に出会えるかもしれないし」

ヒデ 「・・・お前って本当にリゼさんに殺されかけたんだよな?」

カネキ「え?うんたぶんそうだけど」

ヒデ 「うん・・まあいいや。今更」


33: 2015/02/20(金) 00:58:40.28 ID:CzPKoOuq0
こんばんは
またすこしだけいきます

34: 2015/02/20(金) 00:59:40.70 ID:CzPKoOuq0
#003 [変化]


カランカラン

トーカ「い・・・!いらっしゃいませ」

カネキ「えーっと・・」

トーカ「奥のお席にどうぞ」

カネキ「あ、待ち合わせなんで」

トーカ「あ・そうですか。失礼しました」


ヒデ 「あ、霧嶋さん、そいつこっちです!」

トーカ「あ・・えっと、ハイ」

カネキ「あ、ヒデ。遅れてごめん」

ヒデ 「別に大丈夫だけど、どうしたんだ?」

カネキ「ちょっと本屋に寄っててさ」

ヒデ 「そうか・・・で、そのメガネは何だ」

カネキ「え?伊達メガネだよ」

ヒデ 「そういうことを聞いてるんじゃない」



35: 2015/02/20(金) 01:00:25.62 ID:CzPKoOuq0
カネキ「コレ、デートの時にリゼさんに選んでもらったんだ」

ヒデ 「ああ・・そうなんだ」

カネキ「うん。いいセンスでしょ?」

ヒデ 「お前さ・・なんだかんだ言ってリゼさんのこと好きだったのな」

カネキ「うん。理想的なメガネだったよ」

ヒデ 「もう少し本体も見てあげてください」


カネキ「そういえばさっき店員の子の名前呼んでたけど知り合い?」

ヒデ 「うんにゃ、さっき名前聞いた」

カネキ「ナンパ?!変な事するなよ」

ヒデ 「カネキに言われたくないな」



トーカ「・・・」


36: 2015/02/20(金) 01:00:59.77 ID:CzPKoOuq0
ずず・・
カネキ「ふー・・」

ヒデ 「ん?」

カネキ「あのさ・・ヒデに相談があるんだけど」

ヒデ 「珍しいな。どうした?」

カネキ「実はさ・・・臓器移植受けてからちょっと変なんだ」

ヒデ 「・・・ああ」

カネキ「明らかに移植受ける前と変わったことがあって」

ヒデ 「おう」

カネキ「・・・まずこれ見てくれる?」

ヒデ 「本?」
パラパラ・・

ヒデ 「!・・・おまえコレ」

カネキ「そう、BL小説だよ」

ヒデ 「・・俺、本読まないけどコレが危険物だってことは分かるぞ」

カネキ「僕もそう思ってたよ」


37: 2015/02/20(金) 01:01:43.35 ID:CzPKoOuq0

カネキ「これってさ、基本的には書き手も読み手も女性で、しかも特殊な思考の持ち主のものだと思う生んだ」

ヒデ 「ああ、たぶんそうだろうな」

カネキ「僕、本は何でも読むけどこのジャンルには全く興味なかった」

ヒデ 「ああ」

カネキ「でも、最近このジャンルもアリかなって」

ヒデ 「・・・・・」

カネキ「勘違いしないでほしんだけど、僕はゲイじゃないし、現実世界にそういうの求めてない」

ヒデ 「そうであることを願うよ、俺も」

カネキ「いや、僕が言いたいのは、以前の僕なら興味なかったのに、移植受けてからそういう嗜好が出始めたってこと」

ヒデ 「・・そうなのか?」

カネキ「臓器移植技術が確立されてからしばらく経ったころ、それを題材にした本が多数出たんだけど、その中に、『臓器は意志を持っていて移植を受けるとドナーの性格がレシピエントに移ることがある』っていうのがあったんだ」

ヒデ 「ん・・?それってつまり・・」

カネキ「つまり僕が推測するに、リゼさんはBL小説を嗜んでいた」

ヒデ 「えー」



38: 2015/02/20(金) 01:02:23.59 ID:CzPKoOuq0

カネキ「現に喰種であるリゼさんの臓器移植されて、僕の体も喰種になってるみたいだし」

ヒデ 「いや、でもそれとこれとは・・・ん?!」

カネキ「ん?どうしたの?」

ヒデ 「お前・・さらっと何言ってんの?!」

カネキ「え?BLのこと?」

ヒデ 「じゃなくて、お前の体が喰種って!!」

カネキ「え?だって普通の食べ物食べると吐き気がして、コーヒーだけ飲めるってどう考えても喰種でしょ?」

ヒデ 「いや・・でも・・」

カネキ「それに、この前包丁で体を傷つけてみたけど刃が通らなかったし、若干人間がおいしそうに見える」

ヒデ 「・・・お前、それでよくそんな平常心保てるな」

カネキ「まあ、なってしまったものはしょうがないし、そもそも移植受けてなけりゃ氏んでたから。氏ぬよりは全然マシ」

ヒデ 「はあああ・・・心配して損したわ」

カネキ「?・・ああ、やっぱりヒデは気づいてた?」

ヒデ 「あー・・・まあなんとなく疑ってはいた」

カネキ「やっぱりヒデは鋭いなぁ」



39: 2015/02/20(金) 01:03:04.94 ID:CzPKoOuq0

ヒデ 「だけどさ、実際どうするんだよ。飯食えないんだろ?」

カネキ「いや、気合で食ってるよ。不味いけど」

ヒデ 「そ・・そうか」

カネキ「でも他の人にバレるのはやっぱりまずいよね」

ヒデ 「まあ・・喰種対策法・・だっけ?たしか喰種ってヒトとして扱わないって法律あったよな」

カネキ「うん。たしか捜査官に捕まえられるんだよね」

ヒデ 「そうそう。だからばれたらお終いだぞ」

カネキ「まあ、バレない様に頑張るよ。それに僕の場合は不可抗力でなったわけだし、犯罪行為しなければ不問にしてもらえるかもしれない」

ヒデ 「そう、うまくいくか・・?」


ヒデ 「ていうか、俺に言って良かったのかよ」

カネキ「うん、たぶん隠してもばれるし。それにヒデは僕の味方だって分かってるから」

ヒデ 「あ・・ああ。そうだけどさ」

カネキ「それよりも問題はBL趣味が追加されたことだよ。世間では腐男子って言うみたいだよ。僕のこと」

ヒデ 「お前の心配事の優先順位は明らかに間違っている」

カネキ「まあ、読める本の幅が広がったって思えばむしろウェルカムなんだけどね」

ヒデ 「ポジティブが過ぎるぞ」


40: 2015/02/20(金) 01:03:39.87 ID:CzPKoOuq0

トーカ(どういうことだ・・・あのメガネかけてる男。確かリゼが狙ってたはずだよな)

トーカ(ここ最近リゼの奴来ないし、氏んだって噂が流れてる)

トーカ(そして、そのリゼが狙ってた奴が普通に来たってことは・・)

トーカ(アイツ・・・リゼを殺ったのか?)

トーカ(まさか・・・白鳩?!)


***


ヒデ 「あのさ」

カネキ「ん?まだ誘い受けの説明の途中だよ?」

ヒデ 「・・もう勘弁してくれ」

カネキ「しょうがないなぁ・・」

ヒデ 「・・お前土曜日にインタビュー受けるんだったよな」

カネキ「うん、そんな大層なものじゃないと思うけど」

ヒデ 「気を付けた方がいいと思うぞ」

カネキ「何を?」

ヒデ 「お前が喰種になってるってことばれない様にだよ」

カネキ「あー・・やっぱりそう思う?」

ヒデ 「そりゃそうだろ!」


41: 2015/02/20(金) 01:04:16.77 ID:CzPKoOuq0

カネキ「うーん・・・頑張るよ」

ヒデ 「ばれたらたぶん通報されるぞ」

カネキ「そうかなぁ」

ヒデ 「当たり前だろ」

カネキ「そうだね」

ヒデ 「ばれちまったら・・俺ももう何も出来ねーから」

カネキ「うん・・ありがとう。気を付けるよ」

ヒデ 「ああ」

カネキ「ヒデ」

ヒデ 「ん?」

カネキ「ありがとう」にこっ

ヒデ 「あ、ああ」

ヒデ (現実世界ではBL求めてないって話、本当だよな?)


42: 2015/02/20(金) 01:04:53.78 ID:CzPKoOuq0
今日はここまでにします
おやすみなさい

49: 2015/02/20(金) 22:51:49.67 ID:CzPKoOuq0
#004 [親子]


土曜日、“あんていく”にて


カネキ「先生遅いなぁ・・」

トーカ「・・マンデリン、お待たせしました」

カネキ「あ、ありがとうございます」


トーカ(・・・こいつら、また来てる・・しかも二人離れて座ってる・・)


トーカ「ラテお待たせしました」

ヒデ 「ありがと!霧嶋さん!!」

トーカ「い・・いえ」

ヒデ 「ラテアート、可愛いネコだね!」

トーカ「あ・・ありがとうございます(ウサギのつもりなんだけど・・)」

ヒデ 「~♪」

トーカ「あ・・あの!」

ヒデ 「ん?」


50: 2015/02/20(金) 22:52:27.36 ID:CzPKoOuq0

トーカ「きょ・・今日はあちらの方と一緒じゃないんですね」

ヒデ 「ん?・・ああカネキのことか」

トーカ「え?あ、ハイ(“カネキ”って言うのかァ・・)」

ヒデ 「うん、今日はね、あいつにお客さんだから。俺は一人で霧嶋さんのラテアート見に来ただけ!」

トーカ「あ・・アハハ」


カヤ 「トーカ、ちょっとこっち手伝ってくれない?」

トーカ「あ、ハイ」


・・・


カラン カラン

高槻 「・・・えーっと、あ、居た。お・く・れ・て・ごめんね~」


芳村 「!!!」


高槻 「ゴメン、ゴメン。道に迷ってしまいまして~」

カネキ「・・・」

高槻 「ん?どした?」

カネキ「・・いえ、別に何でもないです(メガネキターーーーーー!!)」

高槻 「あー店員さん、私ブレンドでー。あとカネキさん鼻血出てますよ」



51: 2015/02/20(金) 22:53:12.87 ID:CzPKoOuq0

高槻 「さて、カネキさん、早速いいですか?」

カネキ「はい・・ていうかどんな感じでやればいいのか全然わからないんですが・・」

高槻 「いえいえ、コーヒー飲みながらお話しましょうってだけですよー」

カネキ「はぁ・・そうですか」


トーカ「あ、ブレンドです」

高槻 「お、どうもです」


カネキ「・・あれ、先生のコーヒーカップ、なんかアンティーク調で可愛いですね」
高槻 「ん?おや、カネキさんのとは違いますね。いろんなカップで提供しているんでしょうか」

カネキ「うーん・・僕何回か来てるんですがそのカップは初めて見ましたよ」

高槻 「ほー、そうですか」



古間 「お疲れサマ」

トーカ「あ、コマさん。お疲れです」

古間 「・・なぁトーカちゃん、店長何かあったの?」

トーカ「え?別に何もないと思いますが・・」

古間 「ボクの見間違えじゃなければバックヤードで泣いてたんだけど・・」

トーカ「何それ見たい」


52: 2015/02/20(金) 22:54:05.40 ID:CzPKoOuq0

高槻 「・・カネキさんはご家族は?」

カネキ「あ、両親とも亡くなってます」

高槻 「あ、そうですか・・すみません」

カネキ「いえ、もうずいぶん前のことですし」

高槻 「・・・差し支えなければ、どんな方だったか教えてもらえます?」

カネキ「ええ、いいですよ」


カネキ「・・・という訳で母は過労で亡くなり、僕はその叔母のところでやっかいになることになったんです」

高槻 「・・・気軽に尋ねてしまってごめんね」

カネキ「え?・・ああ、別に大丈夫ですよ」

高槻 「カネキさんはそういった経験を経て、その達観したような雰囲気をお持ちになったんですね」

カネキ「うーん・・たぶん違うと思いますよ。僕ってもともとこんなでしたから」

高槻 「そうですか?」

カネキ「母はよく自己犠牲を貴ぶよう僕に教えてくれましたが、僕的にはそれは一つの意見でしかないなぁと思ってましたし」

高槻 「ほぅ」


53: 2015/02/20(金) 22:55:27.46 ID:CzPKoOuq0

高槻 「・・では今はその叔母様のところで同居を?」

カネキ「いえ、今は一人暮らししてます」

高槻 「叔母様が母親代わりになったんですねー」

カネキ「ええ、最初はそうだったんですが、僕の成績が叔母さんの息子の成績を越え始めるとだんだん険悪になってしまって」

高槻 「・・・」

カネキ「夕食なども、千円渡されるようになりました」

高槻 「それは・・お辛かったですね」

カネキ「まあ最初は。でもその千円で食材を買ってきて僕が夕食を作るようになってら関係は改善しました」

高槻 「え?」

カネキ「で、そのイトコに勉強教えて彼も志望校に合格したので」

高槻 「・・・」

カネキ「まあでも僕は一人の方が気が楽なので一人暮らししてますが」

高槻 「・・・カネキさんは生活力ありますねー」

カネキ「そうですか?」

高槻 「ええ。でもそろそろ鼻血拭かないと貧血になりますよ」


54: 2015/02/20(金) 22:56:16.78 ID:CzPKoOuq0

高槻 「あ、そういえば最近はちゃんと食べてますかー?」

カネキ「いえ・・相変わらずですね」

高槻 「何か切っ掛けとかあったんですか?」

カネキ「いや、少し前事故にあって、臓器移植を受けたんですよ。それからですね」

高槻 「・・・カネキさんはもはや自叙伝でも出した方がいいんじゃないんですかね?」

カネキ「?」

高槻 (臓器移植・・ね)



芳村 「・・・」キュッキュッ

カヤ 「店長」

芳村 「・・・」キュッキュッ

トーカ「あの、店長?」

芳村 「・・・」キュッキュッ

古間 「芳村さーん」

芳村 「・・・」キュッキュッ

トーカ(今度は笑顔でカップを磨き続けてる・・・)


55: 2015/02/20(金) 22:57:06.39 ID:CzPKoOuq0

高槻 「ねえカネキ君」

カネキ「え?あ・・ハイ」

高槻 「これは相談なんだけど」

カネキ「?」

高槻 「私のところでアルバイトしない?」

カネキ「ええ?」

高槻 「君、国文科でしょ?知識もあるし、ちょっと普通じゃない考え方。ぜひアシスタントに欲しい!」

カネキ「はぁ・・でも僕アルバイトとかしたことないですし・・」

高槻 「・・実は君みたいに臓器移植の後、食欲が出なくなった人も食べられる食事のアテがあるんだよ」

カネキ「え?!それは嬉しいですけど・・(ていうかたぶん人の肉じゃないとダメなんじゃないか?)」

高槻 「それと、これからはコンタクトやめてメガネにしようかと思うんだけど」

カネキ「これからよろしくお願いします」



56: 2015/02/20(金) 22:58:15.42 ID:CzPKoOuq0

ヒデ 「お、話し終わったみたいだな」

ヒデ 「・・・つーかあの先生結構きれいな人だな」

ヒデ 「・・まあアイツは完全にメガネしか見てなかったな・・・」


高槻 「とりあえず明日は大学無いでしょ?」

カネキ「あ、ハイ」

高槻 「ならばとりあえず私の仕事場に来ない?」

カネキ「今からですか?」

高槻 「ええ、例の、ゴハンでも」

カネキ「まあ、先生が大丈夫なのであれば(なんか変な展開になってきたな・・ヒデにはあとで連絡だな・・)」

高槻 「じゃあ行こうか、私の家に」←比較的大きい声


ヒデ 「えっ?!」


芳村 「・・・」ピキィ・・!


高槻 「ごちそうさまー」

カヤ 「あ、ハイお勘定ですね・・・・店長、赫眼仕舞ってください・・」



67: 2015/02/21(土) 14:18:34.27 ID:1z9h/kK30
ではまたちょっとだけ

68: 2015/02/21(土) 14:19:20.29 ID:1z9h/kK30

#005 [宿泊]


高槻 「カネキ君、好きな食べ物って何?」

カネキ「うーん・・以前はハンバーグが好きだったんですが・・」

高槻 「ハンバーグ・・!」

カネキ「この前お店で食べたんですが、やっぱりまずく感じちゃって・・」

高槻 「ふむふむ・・しかし私秘伝の味付けならばいけるかもしれませんよ?」

カネキ「はぁ・・」

高槻 「実績もあります」

カネキ「じゃあお願いします・・でも、食べられなかったらゴメンナサイ」

高槻 「いいって!実は私も好き嫌い比較的多いですからねー」

カネキ「そうなんですか」

高槻 「とりあえずスーパーに行きましょう。挽肉無いので」

カネキ「はい」


ウイーン(スーパーのドア音)


ヒデ 「・・・スーパーに入った・・なんで取材受けてスーパーで買い物することになってるんだ??」



そのころ“あんていく”では・・

芳村 「・・・・」そわそわそわそわ

ヨモ 「・・・・トーカ・・何があった」

トーカ「私が聞きたいですよ」

ガチャン!!
芳村 「・・・」そわそわそわそわ

カヤ 「あ・・また割った」

古間 「・・魔猿クリーニングサービス通りまーす」



69: 2015/02/21(土) 14:19:51.52 ID:1z9h/kK30

ウイーン

高槻 「よし、じゃあ行こうかー」

カネキ「はい」


ヒデ 「カネキが買い物袋を持って出てきた・・・これ以上ついてくのはよそう・・」


***


カネキ「お邪魔します」

高槻 「どうぞー」

カネキ(ここが高槻先生の仕事部屋か・・さすが本だらけだな・・)

高槻 「ハハハ・・あんまり掃除してないから汚いけどねー」

カネキ「いえいえ」

高槻 「じゃあ早速作ってみるよ、ハンバーグ」

カネキ「え?もう?」

高槻 「だってもう5時だし、夕食として」

カネキ「ホントすいません」

高槻 「よかったらその辺の本でも読んでておくれ」

カネキ「じゃあお言葉に甘えて・・」


70: 2015/02/21(土) 14:20:23.56 ID:1z9h/kK30

ジュー・・・


カネキ(・・・ハンバーグ焼いてる・・・あれ?なんか嫌な吐き気起きないな・・)

高槻 「~♪」

カネキ(・・・なんか・・懐かしいな・・母さんを思い出す・・)

カネキ(・・でも結局その後自分で使った方がおいしくできたんだよなぁ・・)

高槻 「さて」

カネキ「え?」

高槻 「あとは蒸らすから休憩ー」

カネキ「あ、そうですか」

高槻 「何読んでるんですかね?」

カネキ「・・あ」

高槻 「“真夜中の相棒”」

カネキ「いえ・・たまたま手に取ったんですよ」

高槻 「・・私の書いた“ルサンチメンズ”に出てくる男性同士の気わどめの友情あるじゃないですか」

カネキ「・・ええ」

高槻 「あれ書くための参考にいくつか読んだんですよー」

カネキ「そ・・そうですか」

高槻 「作家としてはあらゆる方向にアンテナを張ってなければいけないと思いますのでー」

カネキ「スバラシイデスネー」


※“真夜中の相棒”は比較的有名なBLの雰囲気の強い小説です



71: 2015/02/21(土) 14:21:01.96 ID:1z9h/kK30

カネキ「・・・という訳で、臓器移植後そういう本を読むことにも抵抗なくなったんです」

高槻 「ほー」

カネキ「・・・・信じてませんね」

高槻 「いえいえ。そういう事あると思いますよー味覚と同じで」

カネキ「ええ」

高槻 「でも、それだけ変わり者のカネキ君ですからねー今更そういう属性があっても驚きませんけどねー」

カネキ「アハハハハハ(空笑)」

高槻 「では、ハンバーグ食べましょうか」

カネキ「・・ええ」


・・・


ぱくっ

カネキ「・・・あれ、吐き気起きない」

高槻 「どうですかぁー?」

カネキ「ええ、なんというか、食べられます」

高槻 「おいしくはないですかー」

カネキ「いっ・・いえ、僕移植の後、味覚相当バカになってるので。それで普通に食べられるってことは、これは相当おいしいってことですよ」

高槻 「そうですかねぇ」


72: 2015/02/21(土) 14:21:43.43 ID:1z9h/kK30

カネキ「あのーコレの味付けの仕方教えてもらえません?」

高槻 「うーん・・・ダメ教えない」

カネキ「え?」

高槻 「だって教えたらカネキ君自分で作るでしょう?」

カネキ「ええ・・そのつもりですが」

高槻 「食べたくなったらうちに来てくださいな」

カネキ「え」

高槻 「こんな面白いアシスタント、手放したくないので」

カネキ「はぁ・・」

高槻 「それに、私自身カネキ君に興味あるので」にっ

カネキ「・・え」ドキ

高槻 (すごく興味あるよ、ケンカネ君♡)
高槻 (君は今気づいてないけど、君の左目すごく綺麗だよ・・フフ)

高槻 「それにしても、今まで吐き気して何も食べてなかったんですか?」

カネキ「いえ、普通に食ってました。気合で」

高槻 「・・・・そーですかー」

カネキ「そういえば先生は食べないんですか?」

高槻 「あー食べますよ。一緒に食べようかと。よっと」
ゴトッ(ハンバーグ皿)


カネキ「はい・・・え?」

高槻 「・・・いや、食べるときはメガネ取りますよ、曇るので」

カネキ「そ、そーですよねー(チクショウそれがいいのに)」


73: 2015/02/21(土) 14:22:33.09 ID:1z9h/kK30

高槻 「さて、この後今日特に予定無ければアルバイトお願いしたいのですが」

カネキ「え?まあ特に予定はないですが・・」

高槻 「実はもう少しで新作を出すつもりなんですが、その最終チェックをしてほしいんですよー」

カネキ「えっ?!新作出るんですか?!」

高槻 「ええ」

カネキ「あ・・すいません。で、チェックって何を?」

高槻 「ここに原稿があるので文法の誤りとか誤字がないかのチェックをお願いします」

カネキ「分かりました・・・なんか新作を一足先に読めるって嬉しいですね。今さらですが、大ファンなので」

高槻 「アハハ・・嬉しいけど仕事目線でお願いねー」

カネキ「あ、はい。スイマセン」


・・・

高槻 「私は隣の部屋で次の作品考えてるから。眠くなったらそこのベッドで寝ていいよー」

カネキ「え?」

高槻 「じゃあねー」

パタン

カネキ「・・・まいいや。ゆっくり読もう」



74: 2015/02/21(土) 14:23:32.82 ID:1z9h/kK30

チュン チュン・・

カネキ「ん・・・あ、しまったいつの間にか寝てた・・(毛布が掛けられている・・)」

高槻 「おはよー」

カネキ「あ、おはようございます」

高槻 「読み終わった?」

カネキ「はい、えっと・・」

高槻 「あー朝ご飯食べながらにしよう」

カネキ「あー了解です」

・・・


高槻 「じゃあ食べようか」

カネキ「はい(パン、味噌汁、ソーセージ、それとコーヒーか・・)」

高槻 「ん?やっぱり食べられそうにないかい?」

カネキ「えっと・・大丈夫です」
もぐっ

高槻 「・・・」

カネキ「うっ・・・もぐもぐ」

高槻 「あー・・無理して食わんでいいよー」

カネキ「いえ、大丈夫ですから・・・ん?」

高槻 「どした?」



75: 2015/02/21(土) 14:24:33.83 ID:1z9h/kK30

カネキ「えっと・・ソーセージいけますね」

高槻 「おや、違いが分かる男ですねカネキ君は」

カネキ「?」

高槻 「それは通販で買ったお取り寄せなんですよー(嘘)」

カネキ「へー・・それ教えてく」

高槻 「教えません」

カネキ「ですよねー」

・・・

カネキ「あ、で、新作の“吊るしビトのマクガフィン”ですが」

高槻 「あ・どうでした?」

カネキ「43章と64章と182章、セリフの前後にある文法の間違いは、囚人の心理を表すためにワザとってことでいいんですよね?」

高槻 「ええ」

カネキ「“こうよう”って言葉を“高揚”と“昂揚”の二種類で書いてるのもわざとですよね?」

高槻 「ええ、ええ」

カネキ「それと・・これは間違いとかじゃないんですが、看守長のオオタキミオは『塩とアヘン』のタニザキ捜査官の叔父ですか?」

高槻 「いやー・・さすがですねー。塩野君とは大違いですなー」

カネキ「?」

高槻 「いえいえ、前は出版社のヒトに見てもらってたんですがねー、的外れのことばかり言われてたのでー」

カネキ「ハハハ・・」


76: 2015/02/21(土) 14:26:16.47 ID:1z9h/kK30

高槻 「さて、じゃあ今日のアルバイトはおしまいです。ありがとうございました」

カネキ「いえ・・じゃあ僕は帰りますね」

高槻 「ハイハイ。あ・それと一応言っておきますが読んだ内容は発売まで内緒ですよー」

カネキ「ええ、もちろんです」

高槻 「よろしい。ではまた今週末にお願いできますかね?」

カネキ「僕、特にサークルとか入ってないんで、いつでもいいですよ。授業無い時とテスト前なら」

高槻 「おっけー。じゃあメールするねー」

カネキ「はい」

高槻 「ではでは」

ガチャ


***

カネキ「あ・・ヒデにメールするの忘れてた・・」

ピッ・・ピッ・・ピッ・・


ヒデ 「霧嶋さん今日のラテアートのネコ、耳長いね?」

トーカ「え・・そうですか・・ハハ(だって・・ウサギだもん・・)」

~♪

ヒデ 「ん?カネキからだ・・」

『おはよう、結局先生の家で泊まりこみのバイトだったよ。昨日は連絡しないでゴメン』

ヒデ 「ぶばっ!!」


77: 2015/02/21(土) 14:27:22.74 ID:1z9h/kK30

ピリリリリリリリ

カネキ「あれ?ヒデから電話だ」


カネキ「もしもし?」

ヒデ 「おまっ・・朝帰りかよ?!」

カネキ「え?まあ結果的にそうかな」

ヒデ 「・・本当にただのバイトか?」

カネキ「え?バイトだけど。あ・夕食と朝食はご馳走になった」

ヒデ 「夕食と朝食ご馳走?!・・って言うか先生と二人きりだったんだろ?ふつうそこまでするもんか?」

カネキ「うーん・・まあでも(新作発売までは)詳しくは言えないけど役得だったよ。このバイト、サイコーだよ」

ヒデ 「役得って・・・お前・・大人になったんだな・・・」

カネキ「ヒデ・・なんか勘違いしてない?」

ヒデ 「・・・とりあえず詳しくは月曜にも教えてくれ」

カネキ「え・・うん、教えられる範囲までなら」

ヒデ 「・・・・」

ピッ


78: 2015/02/21(土) 14:27:58.58 ID:1z9h/kK30

ヒデ 「・・・・」
ズズ・・

ヒデ 「・・・ごちそうさま」

トーカ「え・・あ、ハイ」

ヒデ 「カネキ・・お前は俺の手の届かないところに簡単に行ってしまうんだな・・」

トーカ「え・・(カネキって・・たしかあのリゼを殺ってかもしれない・・)」

ヒデ 「・・お代ここに置いときます」

カランカラン・・

トーカ「あ・・・また聞けなかった・・」

カヤ 「トーカ!ドアCLOSEにして!!」

トーカ「え?ハイ・・?」

古間 「芳村さん落ち着いて!赫子しまって!!」

芳村 「・・・・」ズズズズ・・・!!

古間 「よしむ・・えぶしッ!!」

トーカ「入見さん・・私には無理です」

79: 2015/02/21(土) 14:29:33.67 ID:1z9h/kK30
ここまででー

85: 2015/02/21(土) 22:45:40.95 ID:1z9h/kK30

#006 [永近]


月曜日、上井大学にて。


ヒデ 「あ、カネキ先輩おはようございます」

カネキ「うん、やっぱ完全に誤解してるね、ヒデ」

・・・

ヒデ 「はー・・そういう事か」

カネキ「そうだよ全く・・・確かにいいメガネだったけどね」

ヒデ 「・・・はぁ・・」

カネキ「それにしてもさ、さすがだよ先生は」

ヒデ 「何かあったのか?」

カネキ「僕のメガネ嗜好も、BL嗜好もバレてしまった。さすがの洞察力だよ」

ヒデ 「いや結構分かりやすいからな」

カネキ「それでさ、僕考えたんだけど」

ヒデ 「ん?」

カネキ「いずれ、僕が喰種ってこともバレてしまうかもしれない」

ヒデ 「・・・気を付けろよ?」

カネキ「うん・・でも万が一がある。だから」

ヒデ 「?」

カネキ「学校以外で・・・ヒデとはもう会わない方がいいかもしれない」

ヒデ 「えっ?」



86: 2015/02/21(土) 22:46:43.27 ID:1z9h/kK30

カネキ「バレたとき、ヒデに迷惑がかかる」

ヒデ 「俺は・・大丈夫だぜ?」

カネキ「喰種対策法、僕もちゃんと読んだよ。喰種を喰種として匿った場合、どれだけ重い罪になるか知ってる?」

ヒデ 「だけどさ・・」

カネキ「僕にとってヒデは本当に大切な友達だよ」

ヒデ 「カネキ・・」

カネキ「だから・・・さ」

ヒデ 「・・・」

カネキ「でも、学校では普通に今まで通り接してよ?」

ヒデ 「・・・・あたりめーだろ」

カネキ「・・まあたまには一緒に食事もしたいな。むしろいきなり接点無くなるのも不自然だし」

ヒデ 「・・・そうだな」

カネキ「頻度を減らそうってこと」

ヒデ 「・・・あ、でもお前、飯食って大丈夫なのか?その・・吐き気とか」

カネキ「あ、それは平気。気合でカバーできるから」

ヒデ 「そ・・そうか」




87: 2015/02/21(土) 22:47:24.11 ID:1z9h/kK30

ヒデ 「あ・・それならさ、あの喫茶店にしようぜ」

カネキ「あんていく?」

ヒデ 「おう。霧嶋さん、結構俺のタイプなんだよなー!」

カネキ「・・・・ヒデ」

ヒデ 「?」

カネキ「僕さ、喰種になって分かるようになったことがあるんだ」

ヒデ 「え?」

カネキ「例えばさ、ヒデはおいしそうな匂いがするんだよ」

ヒデ 「怖えこと言うなよ」

カネキ「いや、食ったりしないよ。常識的に考えて」

ヒデ 「まあ・・分かってるけどよ」

カネキ「でさ、高槻先生もそれなりにおいしそうな匂いがする」

ヒデ 「?」

カネキ「同じ講義受けてるみんなもおいしそうな匂いがする・・・でも」

ヒデ 「・・・」

カネキ「“あんていく”の店員さん、全然そういう匂いがしない」

ヒデ 「・・え?」

カネキ「霧嶋さん・・だっけ?それに他の店員さんも、おそらく喰種だよ」

ヒデ 「マジ・・・か?」

カネキ「リゼさんがよく来てたのも納得できるし、そう考えると他のお客も喰種が多いかもしれない」

ヒデ 「・・・冗談だろ?」

カネキ「だからあそこにはもう行くのやめよう。ヒデが危ない」


88: 2015/02/21(土) 22:48:09.32 ID:1z9h/kK30

カネキ「じゃあ僕は帰るよ。また明日大学で」

ヒデ 「・・・ああ」


ヒデ (・・・・・馬鹿野郎)

***


ヒデ 「・・・霧嶋さん・・ホントに喰種だったのか・・・?」

ヒデ 「・・・あー考えてもしょうがねぇな」

ヒデ 「カネキ・・・」

『学校以外ではもう会わない方がいいかもしれない』
『僕にとってヒデは本当に大切な友達だよ』

ヒデ (アイツはドライだけど・・たぶんアイツなりに悩んだ答えなんだろうな・・)

ヒデ (なら・・・俺れも出来る限りのことをカネキのためにしてやりたい・・)


ヒデ 「ん・・・待てよ?」



89: 2015/02/21(土) 22:48:54.10 ID:1z9h/kK30

嘉納総合病院。


看護師「永近さーん、永近英良さーん」

ヒデ 「へーい」

ガチャ

嘉納 「で、今日はどうしました?」

ヒデ 「実は最近食べ物を見ると吐き気がして・・」

嘉納 「ほう・・・」


・・・

嘉納 「うーん・・特に異常はないですからストレス性のものかもしれませんね」

ヒデ 「そうですか・・ところで嘉納先生」

嘉納 「ん?」

ヒデ 「先生って・・例の臓器移植を執刀した先生ですよね?」

嘉納 「・・・ああそうだよ・・・倫理的ににね、よくない事なのは確かだったよ。ニュースで言ってることは正しいよ」

ヒデ 「でも、そうしなきゃ、カネキを助けられなかったんですよね?」

嘉納 「ん?」

ヒデ 「カネキは、俺の友達です」


90: 2015/02/21(土) 22:49:25.15 ID:1z9h/kK30

嘉納 「・・・そうか。彼、最近検査に来てくれなくてね。よかったらまた来るように言ってもらえないかな?」

ヒデ 「はい。言っておきます。でも大丈夫なんじゃないですかね?」

嘉納 「ん?」

ヒデ 「むしろ前より体丈夫になったようですし、相変わらず元気ですよ。ただ、食べ物を見ると吐き気がするみたいですけど」

嘉納 「・・・・君は」

ヒデ 「Rc値」

嘉納 「・・・」

ヒデ 「カネキの検査してる先生なら当然分かってますよね?」

嘉納 「永近君」

ヒデ 「はい」

嘉納 「ここでは何だから、後でゆっくり話そうじゃないか」

ヒデ 「そうですね」

嘉納 「よければ私の家でゆっくり話そう。迎えに行くが、明日は空いてるかね?」

ヒデ 「大学の講義の後なら」

嘉納 「よろしい」


91: 2015/02/21(土) 22:50:18.00 ID:1z9h/kK30

次の日。


ブロロロロロ・・・

嘉納 「さ、ここだ」

ヒデ 「広い家ですね」

嘉納 「かつて私の友人の家だった。彼が喰種に殺されたのち、私が買い取って別荘にしている」

ヒデ 「・・・・」

ガチャ


嘉納 「この部屋で待っていてくれ。今、私の大切な実験体達がお茶を出す」

ヒデ 「?・・どうも」

・・・

シロ・クロ「「お茶です、どうぞ」」

ヒデ 「あ、どうも」
ズズ・・

ヒデ (双子かな?)


嘉納 「お待たせ」

ヒデ 「いえ」


92: 2015/02/21(土) 22:50:53.79 ID:1z9h/kK30

嘉納 「で、私に話したいことがあるんじゃないのかね?」

ヒデ 「ええ」

ヒデ 「なんで、カネキの体を喰種に変えたんです?」

嘉納 「・・・・不可抗力だった」

ヒデ 「?」

嘉納 「事故に遭って亡くなった少女が普通でないことは、すぐに分かった。しかし、移植をしなければ彼を助けることはできなかった」

ヒデ 「そうですか・・・でも、カネキは悩んでいます。もっと早くカネキに教えるべきだったんじゃないですか?」

嘉納 「・・一か八かだったからね。喰種の臓器を移植された人間が喰種になるかなんてわからなかった」

ヒデ 「・・・」

嘉納 「君は友達思いだね」

ヒデ 「いえ・・」

嘉納 「しかし、不思議に思わないかね?」

ヒデ 「え?」



93: 2015/02/21(土) 22:51:38.84 ID:1z9h/kK30

嘉納 「喰種の臓器は、人間のそれと同じなんだよ」

ヒデ 「そうなんですか」

嘉納 「君も本を読んでRc細胞のことを知ったんだろ?」

ヒデ 「はい」

嘉納 「実はごく微量だがRc細胞は普通の人間にもある」

ヒデ 「え?そうなんですか?」

嘉納 「人間と喰種の違いってのはね、その多い少ないの違いだけなんだよ」

ヒデ 「はぁ・・」

嘉納 「じゃあなんで人は喰種を区別するのか」

ヒデ 「あ・・れ・・」

嘉納 「そもそも、喰種はどうして生まれたのか」

ヒデ 「なんか・・寝、むく・・」

嘉納 「・・・それを知っていたら、誰だって私と同じことをするさ」

どさ

嘉納 「睡眠薬が効いた。シロ、クロ運ぶのを手伝ってくれ」

シロ・クロ「「はい、パパ」」



94: 2015/02/21(土) 22:52:15.50 ID:1z9h/kK30

・・・

・・・・・

・・・・・・・


ヒデ 「・・・・あれ・・ここは?」

シロ 「おはよう」
クロ 「目が覚めた?」

ヒデ 「あれ・・・あ・・さっきの双子」

シロ 「暴走してないね」
クロ 「じゃあ成功だね」

ヒデ 「?何言ってんだ・・・ん?なんか背中痛てえ・・」

シロ 「お兄さんは手術を受けた」
クロ 「私たちより先に」

ヒデ 「手術・・・?」

シロ 「お兄さんは喰種になった」
クロ 「お兄さんの友達と一緒」

ヒデ 「ぐ・・喰種・・?」



95: 2015/02/21(土) 22:52:52.78 ID:1z9h/kK30

シロ 「どんな感じ?」
クロ 「どんな気持ち?」

ヒデ 「・・・君らも手術受けるのか・・?」

シロ・クロ「「うん」」

ヒデ 「なんで?」

シロ 「パパとママを頃した奴に」
クロ 「復讐するため」

ヒデ 「・・・人間?」

シロ・クロ「「喰種」」

ヒデ 「・・・じゃあなんで喰種になるんだ?」

シロ 「本当の意味で頃したのは喰種じゃない」
クロ 「CCGとシステムを作った奴」

ヒデ 「・・・そっか」

シロ・クロ「「・・・」」

ヒデ 「だったら別に喰種になる必要ねーんじゃないのか?」

シロ・クロ「「喰種になってパパを助ける。それが近道」」

ヒデ 「パパ・・?・・・もしかして嘉納先生?」

シロ・クロ「「そう」」

ヒデ 「・・・・ははは」

96: 2015/02/21(土) 22:53:46.76 ID:1z9h/kK30

シロ・クロ「「なんで笑う?」」

ヒデ 「嘉納先生、君たちのこと何て呼んでるか知ってる?」

シロ・クロ「「・・・」」

ヒデ 「実験体」

シロ・クロ「「・・・嘘だ」」

ヒデ 「嘘じゃねーぞ」

シロ・クロ「「・・・・うそだ」」

ヒデ 「・・・別の方法もあるんじゃねーの?」

シロ・クロ「「えっ?」」

ヒデ 「復讐・・が正しいのか俺には分かんねーけど、別に喰種にならなくてもその道はあるんじゃねーの?」

シロ・クロ「「・・・」」

ヒデ 「CCGがダメなら他にもあると思うぜ。俺は・・どうやら喰種にされたんだろ?・・だから人間も喰種も受け入れてくれそうなとこ行くから」

シロ・クロ「「そんなとこ無い」」

ヒデ 「あるよ・・・たぶん」

シロ・クロ「「・・・お兄さんは、どこ行くの?」」

ヒデ 「20区の“あんていく”。君らも行く?」

シロ・クロ「「・・・行かない」」


97: 2015/02/21(土) 22:54:32.89 ID:1z9h/kK30

ヒデ 「・・よっと・・動けるな・・」

シロ・クロ「「行くの?」」

ヒデ 「おう。嘉納先生はもういないのか?」

シロ・クロ「「・・・東京に戻った」」

ヒデ 「あっ!そういえば道分からん!!」

シロ・クロ「「・・家の外まで送ってあげる。道なりに歩けばバスが通る通りに出る」」

ヒデ 「そっか。サンキュー」

・・・

シロ 「・・あんまり驚いてないね」
クロ 「喰種になったこと」

ヒデ 「うーん・・まあ若干は覚悟してた!」

シロ・クロ「「・・なんで?」」

ヒデ 「親友と・・気になってる子のため」

シロ・クロ「「単純だね」」

ヒデ 「ひでーな」

シロ・クロ「・・・じゃあ私たちはここで」

ヒデ 「ああ。ありがとう・・・よく考えた方がいいぞ喰種になること」

シロ・クロ「「・・・」」

ヒデ 「なんなら俺は君らの味方になるぜ」

シロ・クロ「「バカじゃないの?」」

ヒデ 「ハハハ・・」


98: 2015/02/21(土) 22:55:28.38 ID:1z9h/kK30
**********


カラン カラン・・

トーカ「いらっしゃいませー」

ヒデ 「こんちわ、霧嶋さん」


108: 2015/02/22(日) 18:34:49.53 ID:2SotlbJO0
#007 [笛口]


亜門 「6998ッ!!  6999ッ!!  7000ッッ!!!」

亜門 「ハァッ!!・・・ハァッ!!」


亜門 「ふう・・」

男の一人暮らしには似つかわしくない、全身が写るサイズの鏡に己の肉体を映しながら亜門はつぶやいた。

亜門 「・・・今日も僧帽筋は歌っている・・美しい・・」

ごくごくごくッ!!

プロテインを一気飲みし、掌にチョークを付ける。

個人邸宅、しかもマンションにあるということを考えれば狂気の沙汰である、としか言いようのない懸垂吊り輪に手をかける。

亜門 「ふんッツ!!」

十字懸垂である。

ギシ・・・ギシ・・・

天井が軋む。

亜門 「なのになぜッ!!!」

亜門の目から涙が毀れる。

亜門 「なぜ私がッッ・・・二位なのだああああ!!!」

『ボディビル選手権2位』と書かれた杯が部屋で光る。


亜門 「おおおお!!この世界は間違っているううううぅぅぅ!!!」


109: 2015/02/22(日) 18:35:16.51 ID:2SotlbJO0

CCG本部。

真戸 「亜門くん、ちょっといいか?」

亜門 「どうしました、真戸さん」

真戸 「我々の新配置が決まった。20区だそうだ」

亜門 「20区?あそこはそこまで危険な喰種は居なかったと思いますが」

真戸 「それがね、“フエグチ”のつがいが逃げ込んだって情報が入ったのだよ」

亜門 「ほう・・・」

真戸 「私のクインケもつがいに会いたがっているようだよ・・フフフ」

亜門 「相変わらずですね、真戸さんは」

真戸 「キミも相変わらずワイシャツの下のタンクトップが透けているよ。タンクトップがそこまで似合うのはフレディ・マーキュリーかキミくらいのものさ」

亜門 「フフ・・ありがとうございます」

真戸 「さて・・私は士気を高めてくるよ。君も準備をしたまえ」

亜門 「またクインケでオ●ニーですか?娘さんにバレても知りませんよ」

真戸 「ふふ・・そのスリルが私の勘を高めるのだよ」



110: 2015/02/22(日) 18:35:49.36 ID:2SotlbJO0
CCG20区支部。


ざわざわ・・・

「おい・・あれが噂の・・」

「ああ・・そうらしい」

「・・しかし、一人なのか?」

「分からん・・」


20区支部は、本局からの捜査官の派遣によりざわついていた。
それは、20区が比較的喰種の活動が静かであり、捜査官派遣が稀であるということだけではなかった。
今回派遣されてきたのが局内でも有名な変態職員コンビだからである。

亜門 「すみません、私とともに真戸上等捜査官が来る予定だったんですが、所用で今日は来られなくなってしまいました」

中島 「あ、そうですか」

亜門 「とりあえず今回のミーティングは私だけで」

草場 「はい、わかりました」

ブチッツ!
亜門 「・・おっとすみません。ボタンがはじけ飛んでしまいました。お気になさらず」

中島・草場「・・・・」


――――――――――そのころ真戸家。

アキラ「・・父よ、何度言ったらわかる?家でそういう事をするのはやめてもらいたい」

真戸 「ふっ・・成長したなアキラ」

アキラ「規則もあるだろうから私はそのクインケに触れることはしない、というか触れたくもないが、次家でそのようなことをしたら、燃えないゴミの日に出すぞ」

真戸 「ハハハ・・アキラはどんどん微に似ていくな」


111: 2015/02/22(日) 18:36:20.84 ID:2SotlbJO0

少し時間はさかのぼり、“あんていく”にて。


トーカ「おいクソ新人、そのカップはそこに仕舞うんじゃねーよ」

ヒデ 「あれ?そうだっけ?めんごめんご、トーカちゃん!」

トーカ「・・・ったく。店長ももう少し注意してください」

芳村 「ふふ・・トーカちゃん、彼はこう見えて物覚えがいいよ。コーヒーの淹れ方もどんどん上手くなっている・・・それに私は嬉しいんだ。人間であった彼が、私たちとともに働いている」

トーカ「・・・ふん。まあ確かに上達は早えよな」

ヒデ 「いやーありがとうございます!店長、トーカちゃん!」

トーカ(・・・軽い)

芳村 「そうだ、永近君。ちょっと聞きたいことがあるんだ」

ヒデ 「?なんすか?」

芳村 「前キミが人としてウチに来ていた時、よく一緒に来ていた青年居ただろう?たしか・・・カネキ君と言ったかな?」

ヒデ 「ああ、カネキがどうかしたんですか?」

芳村 「・・・じっくり聞きたい。二階に来てくれるかな?」

ヒデ 「え?いいですけど・・」

芳村 「じゃあトーカちゃん、古間君あとはお願いするよ」ギンッ

トーカ・古間「!!は・・・い・・」


トーカ「・・・コマさん」
古間 「言うな・・・ヒデ君が無事帰ってくることを祈ろう」


112: 2015/02/22(日) 18:37:14.04 ID:2SotlbJO0

ヒデ 「・・・ってわけで、あいつも俺と同じで元人間の喰種なんですが、色々あって素性を隠しながら大学行ってます。で、最近作家の・・えっと・・なんて名前だっけ・・」

芳村 「高槻泉」

ヒデ 「そうそう、その高槻先生ってヒトのとこでバイトしてるみたいですよ。でもその人にも喰種ってこと隠してるから、いずれバレた時俺に迷惑がかかるかもしれないって言って、今は大学以外ではあんまし会ってませんが・・」

芳村 「ふむ・・・・そうか」

ヒデ 「?・・まあアイツは俺よりもずっと冷静でドライなやつなんで心配はしてないですけど」

芳村 「・・・うんそうか。彼・・カネキ君は君が喰種になったことは知ってるのかい?」

ヒデ 「いえ、言ってないです」

芳村 「ふうむ・・・」

ヒデ 「?」

芳村 「言った方がいいかもしれないね。彼、カネキ君は君の友達なんだろう?」

ヒデ 「・・・そうっすね」

芳村 「・・私はね、君たちのような存在が、いつか喰種と人間の関係を良好にすることに繋がるんじゃないかと思ってるんだ」

ヒデ 「・・店長は、喰種なんですよね?」

芳村 「そうだよ」

ヒデ 「それなのに店長は、人間との共存を考えてるんですか?」

芳村 「・・そうありたいね。それに、君だってそう考えてるんじゃないのかい?」

ヒデ 「ハハハ・・そうっすね」


113: 2015/02/22(日) 18:38:18.28 ID:2SotlbJO0

芳村 「私自身、カネキ君にはぜひ会ってみたいからね。よかった今度連れておいで。ぜひ会ってみたいからね」

ヒデ 「ええ、もちろんっす(なんで二回言ったんだ?)」


コンコン

トーカ「店長、リョーコさんとヒナミが来てますよ」

芳村 「うん、お通しして」

ヒデ 「あ、お客さんっすね」

芳村 「うん、まあそんなところだよ」

ヒデ 「?」


ガチャ

リョーコ「店長さんお久しぶりです」

芳村 「お久しぶりです、リョーコさん。それにヒナミちゃんも大きくなったね」

ヒナミ「こ・・・こんにちは」

リョーコ「あなたは新人さんかしら?」

ヒデ 「あ、ハイ。永近っていいます。よろしくっす!」

リョーコ「ふふ・・よろしく。ほら、ヒナミもご挨拶なさい」

ヒナミ「あ・・・あの・・ヒナミです・・」

リョーコ「もうこの子ったら人見知りで、すみませんね」

ヒデ 「いえいえ」


114: 2015/02/22(日) 18:38:47.93 ID:2SotlbJO0

ヒデ 「トーカちゃん、あの人たちって店長の知り合い?」

トーカ「お客だよ」

ヒデ 「?なんで二階に?」

トーカ「・・・荷物受取に来ただけだから」

ヒデ 「荷物?」

トーカ「・・・肉だよ。アンタと同じで自分で狩れないから」

ヒデ 「あー・・・そっか」

トーカ「・・・」

ヒデ 「ダンナさんは居ないの?」

トーカ「・・・・白鳩に殺られた」

ヒデ 「・・・そっか」



芳村 「じゃあ取ってきますね。ちょっと待っててください」

リョーコ「いつもすみません」

ガチャ



115: 2015/02/22(日) 18:39:16.20 ID:2SotlbJO0

ヒデ 「あの」

リョーコ「?どうしたの?永近さん」

ヒデ 「リョーコさんたちは20区に住んでるんですか?」

リョーコ「ええ、今はね」

ヒデ 「あ、そうっすか。いや、働く前から“あんていく”はよく来てたんですけど、初めてお会いするなーって思って」

リョーコ「うん・・・夫のお墓がこの近くにあるの」
ヒナミ「・・・・」

ヒデ 「・・・すいません、余計な事聞きました」

リョーコ「いいんです・・・私も、ヒナミも、もうあの人に縋って生きていてはいけないから」

ヒデ 「・・・俺に出来ることがあったら言ってください」

リョーコ「うん、ありがとう。大丈夫よ。もう、お墓に通うのはやめようと思うの。夫の・・マスクもお墓に埋めて・・・・私ったら初対面の人に何を話してるのかしらね・・ごめんなさいね」

ヒデ 「いえ」


ヒナミ「・・・・」ぐすっ

トーカ「・・・」

トーカ「ヒナミ、こっちおいで、一緒に本読もう?」

ヒナミ「うん・・お姉ちゃん」


116: 2015/02/22(日) 18:39:54.05 ID:2SotlbJO0

ガチャ
芳村 「お待たせしました、どうぞ。またなくなったら言ってください」

リョーコ「ありがとうございます」

ヒデ 「・・・」

リョーコ「・・店長さん」

芳村 「どうしました?」

リョーコ「ごめんなさい、私のせいで白鳩をおびき寄せてしまって」

芳村 「・・・ヒナミちゃんのためにもあまり目立つ行動をしない方がいいですよ」

リョーコ「ええ。今彼と話していたんです」

ヒデ 「あ、ハイ」

リョーコ「主人のマスク、お墓に埋めて、それであの人に縋らずに生きていこうって」

芳村 「そうですか」

ヒデ 「あの・・ちょっといいですか」

リョーコ「え?」
芳村 「?」

ヒデ 「辛いこと聞いてすみません・・あのお墓ってお寺とかにあるんですか?」

リョーコ「・・いえ、林の中です」

ヒデ 「・・余計なお世話かもしれないんですけど、そこにマスク埋めるの危険じゃないっすか?」

リョーコ「え?」


117: 2015/02/22(日) 18:40:22.89 ID:2SotlbJO0

ヒデ 「えっと・・喰種捜査官はリョーコさんたちを追ってるんですよね?て事は外出してるときマークされてるはずですよね。それなのに今まで直接リョーコさんを捕まえに来ないっていう事は、捜査官も今はリョーコさんが喰種か確信できてないって事なんじゃないっすか?」

リョーコ「!」

ヒデ 「・・で、その疑ってる人が山の中にある墓に喰種のマスク埋めたら、リョーコさんが喰種だって確信に変わりません?」

芳村 「・・・確かにそうかもしれないね」

リョーコ「・・・でも、私、主人のマスクが手元にあったら・・・あの人のこと思い出してしまって・・」

ヒデ 「・・・もしよかったらそのマスク、俺にくれませんか?」

リョーコ「え?!」

ヒデ 「俺、まだマスク持ってなくて・・・それに、別にダンナさんのこと忘れなくてもいいじゃないですか。俺は・・ダンナさんの代わりはできないっすけど、出来るだけみんなの役に立ちたいんです。だから俺がそのマスク受け継いで、ヒナミちゃんや、リョーコさんや、店の皆を守れるように頑張りますから」

リョーコ「・・・・永近さん・・!」


ガチャ
トーカ「店長ー辞書ってありましたっけ・・・ってなにリョーコさん泣かせてんだクソ新人!!」

芳村 「トーカちゃん・・・大丈夫だよ」

トーカ「え?」

芳村 「辞書は一階にある。行こうか?」

トーカ「え?え?」

芳村 「・・・永近君は大した男だよ」
ガチャ


128: 2015/02/23(月) 21:25:12.81 ID:GR+QuI160

#008 [暴露]


高槻 「あー・・・行き詰ったなぁー」

カネキ「なんです急に」

高槻 「カネキ君」

カネキ「はい」

高槻 「取材行こう!取材!!」

カネキ「え・・・どういう事です?」

高槻 「今週の金曜の夜から日曜の夕方まであいてる?」

カネキ「まぁ特に予定はないですね」

高槻 「おっけ!」

カネキ「?」



カネキ「・・・ていう訳で、今週末また泊まり込みでバイトになりそうなんだよね・・」

ヒデ 「マジか・・結構ハードだな」

カネキ「うん。だから今週はやめとくよ」

ヒデ 「そっか」


129: 2015/02/23(月) 21:26:09.65 ID:GR+QuI160

ヒデ (はー・・・大学でいきなり“実は俺も喰種になったんだ”なんていう訳にもいかねーし・・)

ヒデ (なんか店長もカネキに会いたがってたから“あんていく”に連れてって、そこで打ち明けようと思ったんだけどなー・・)

ヒデ (また来週にすっか)


・・・

ヒデ 「つーワケで、カネキを週末にでも連れてこようと思ったんですけど」

芳村 「・・・」

ヒデ 「店長?」

芳村 「いや・・何でもないよ。そうか、まあ急に出なくても良い。時間が合うときに来てくれればいいんじゃないかな」

ヒデ 「そうっすね」


リョーコ「永近さんこんにちは」

ヒデ 「あ、リョーコさん。“荷物”取りに来たんですか?店長今『少し一人にしてほしい』とか言って地下行っちゃったんですよね・・」

リョーコ「あ、そうじゃないの今日は」

ヒデ 「?」

リョーコ「・・・マスク持ってきたの」

ヒデ 「・・・はい」


130: 2015/02/23(月) 21:26:43.20 ID:GR+QuI160

金曜日。


カネキ「ふー・・授業終わったね」

ヒデ 「おう。あれ、お前今日の夜からバイトだったよな?」

カネキ「うん。いったん家帰って着替え持ってから行くつもり」

ヒデ 「なんつーか。ホント大変だな」

カネキ「いや、もう慣れたよ」

ヒデ 「それにしても高槻先生・・だっけ?結構綺麗な人なのな」

カネキ「うん、メガネが引き立つよね」

ヒデ 「・・・まあ敢えて今更突っ込まねーが、あんな綺麗な人の家に泊まり込みでバイトってなんか問題起きねーのか?先生独身だろ?」

カネキ「いや、泊まり込みって言っても殆どの時間文章呼んでるだけだし。ヒデの期待するようなことは何もないよ(基本的には)」

ヒデ 「ふーん」

「ねえねえカネキ君」

カネキ「え?」くるっ

ぶに←高槻先生の人差し指がカネキのほっぺにささる音

カネキ「えっ?!高槻先生?!」

高槻 「ゴメンねー時間無くて大学まで来ちゃったー」

カネキ「え?」

高槻 「新幹線の時間あるからー」

カネキ「はい?」

高槻 「ホラ行くよー乗り遅れちゃう」

カネキ「ちょっと意味が分かりません」

高槻 「とにかく遅れるから早く!駅までタクシーで行くよー温泉が待ってる!!」

カネキ「ちょっ!手引っ張らないで!!今行きますから!!・・ごめんヒデまた来週!!」

ヒデ 「」


131: 2015/02/23(月) 21:27:16.70 ID:GR+QuI160

新幹線の中。

高槻 「ふー・・間に合ったぁ」

カネキ「・・・説明をお願いします」

高槻 「え?取材に行くって言ったでしょ?」

カネキ「・・さっき“温泉”とか言ってませんでした?」

高槻 「取材先の近くに温泉があるからねー入らないわけにいかないじゃないですかー」

カネキ「はぁー・・・ってこのまま泊まりですか?!」

高槻 「え?そうだけど?」

カネキ「僕、着替えとか何も持ってきてませんよ・・」

高槻 「下着くらいどっかで買えるよ」

カネキ「・・・まあもういいですけど。すでに電車乗っちゃいましたし」

高槻 「うむうむ」


カネキ「で、取材って何ですか?僕は何をすればいいか全くわからないんですが」

高槻 「うん、実はね次の作品なんだけど“喰種”をテーマにしようと思うのだよ」

カネキ「・・・“喰種”ですか」

高槻 「どした?」

カネキ「あ・・いえ、なんか怖いなって」

高槻 「ははは、大丈夫。喰種とお話しするわけじゃないから・・まあお話しできたら一番いいんですがねー」

カネキ「そうですか」



132: 2015/02/23(月) 21:28:03.64 ID:GR+QuI160

高槻 「CCGって知ってる?」

カネキ「ええ、まあ。喰種を捕まえたりする人たちですよね」

高槻 「うん、これから取材に行くのはね、そのCCGと関係のある会社なのだよ」

カネキ「・・・つまり捜査官サイドから書いていくってことですか?」

高槻 「それはまだ分からないけど。でもCCGにとって有益な情報は得られるかもしれないと思ってね」

カネキ「?」

高槻 「本当はCCGに直接取材したいんだけど、あそこセキュリティ厳しいんですよー」

カネキ「でしょうね」

高槻 「だからCCGに有益な情報をゲットして、タレコミの名目でCCG捜査官とお話しする機会を得る!」

カネキ「なるほど」

カネキ(・・・でもCCGか・・・バレないようにしなきゃな、僕のこと)

高槻 「ついでに温泉にも入るのだよ」

カネキ「・・そっちメインではないですよね?」

高槻 「取材の時は私がお話をするので、特に何かしなくていいですよ。ただ、気づいたことや、違和感など感じたことがあったら後で教えてください」

カネキ「はあ・・・わかりました。」


133: 2015/02/23(月) 21:28:50.71 ID:GR+QuI160

***

高槻 「ふいーお疲れ様」

カネキ「お疲れ様です」

高槻 「じゃあ宿行こうかねぇ」

カネキ「はい」

・・・

高槻 「で、何か気づいたことあった?」

カネキ「・・・なんていうか先生、そもそも喰種を溶かした溶液の話とかってどこから聞いてたんです?」

高槻 「知り合いの社長さんから」

カネキ「・・・さすが人脈広いですね」

高槻 「で、どうでした?」

カネキ「うーん・・・取材に答えてくれた人、何か隠してる感じがしましたね」

高槻 「ほうほう」

カネキ「特に社長さんのこと聞いたとき、目が泳いでました」

高槻 「さすがだねワトソン君」

カネキ「いや、だって辻褄合わないじゃないですか。CCGとの契約で溶液を販売するっていうのは言うなれば硬い売買ですよね?それを特に理由なく契約解除して、しかもその社長は事故氏って」

高槻 「うん。まるでよくできたミステリー小説だよねぇ」

カネキ「ええ」



134: 2015/02/23(月) 21:29:29.90 ID:GR+QuI160

高槻 「という訳でここで出来る仕事はお終いですねー」

カネキ「?」

高槻 「社長の事故氏の件はこれ以上会社に聞いても答えてくれないですよ。あとは東京に帰ってからの作業ですね」

カネキ「はあ・・・あ、じゃあ明日帰ります?」

高槻 「何言ってるんですか!今日中に取材が終わったおかげで明日一日オフですよ!温泉入ったりしないと!!」

カネキ「・・・やっぱりそっちメインなんじゃないですか?」



高槻 「でも今日はさすがに疲れました。温泉は明日の朝に入るとして、今日は部屋についているお風呂に入って寝ます」

カネキ「そうですか」

高槻 「カネキ君は大浴場行ってきていいですよ」

カネキ「いえ、僕も疲れたので部屋の風呂に入ります。先生先入っていいですよ」

高槻 「そうですか?ではお言葉に甘えて」

・・・

ガチャン

カネキ(・・・)

カネキ(先生・・・・無防備すぎますよ)ニヤァ



135: 2015/02/23(月) 21:30:19.38 ID:GR+QuI160

カネキ(そもそも、アシスタントだからって一緒の部屋に泊まるってどうかしてますよ)

カネキ(先生はその辺の常識皆無ですね)

カネキ(家にお邪魔するときも、いっつも思うんですが、風呂入るとき身に着けていたもの部屋に脱ぎ散らかして行くの、やめた方がいいですよ)

カネキ(僕だって、健康な男子なんですから)

カネキ(だからそれが僕に使われても)

カネキ(仕方 
     ないよ 
  ね?)


ごそごそ・・・・






ガチャリ

カネキ「!!」

高槻 「オーケーそこまでだ」

カネキ「なっ・・・!!」


136: 2015/02/23(月) 21:30:54.65 ID:GR+QuI160

高槻 「・・ワトソン君、君は二つのミスを犯した」

カネキ「・・・ミ・・スだって?」

高槻 「一つ、いつも私は、君が仕事をしている部屋から一つ隔てた私の仕事部屋に、着ていたものを脱ぎ散らかして行く。だが今日は同じ部屋でさすがに君のいる前で服を脱ぐ訳にはいかず必然的に私はバスルームで服を脱ぐ」

高槻 「そうなると、さすがにバスルームに入ってくるわけにはいかず、君はまだ着ていない下着を拝借するために私の荷物を漁ることになる!」

カネキ「・・・くっ」

高槻 「二つ、普段私は着替えのパジャマをバスルームの前のスペースに置いている。しかし今日は急いで出てきたため、パジャマは無く、旅館備え付けの浴衣を着るしかない」

高槻 「その浴衣はどこにある?」

カネキ「ハッ・・・布団の上に置いたまま・・!」

高槻 「そう。いつもと勝手が違うため、うっかり布団の上に置き忘れた私が戻ってくるということに気付かなかった!!」

カネキ「・・・・ふっ」

高槻 「さあ観念しなさい。そしてその右手に隠しているものを見せるんだ!」

カネキ「・・・ふっ・・・はっはっはっ!!」

高槻 「何が可笑しい?!」

カネキ「ええ・・いいですよ?お見せします。僕が右手に持っているものでしたよね・・・ほらァ!!」

高槻 「下着・・・じゃない!!それは・・私のメガネッ!!」


137: 2015/02/23(月) 21:31:26.15 ID:GR+QuI160

カネキ「そうですよ。メガネです。メガネがどうかしました?!確か先生・・・僕の聞き間違えじゃなければ“下着”とかなんとか言ってましたよね?」

高槻 「・・・くっ!!」

カネキ「どうしたんです?ホラ。メガネですよ?コレがなんだっていうんですかァ?!」

高槻 「・・・」

高槻 「でも、使ったよね?」

カネキ「・・・へ?」

高槻 「私がお風呂から出るといつもスッキリした顔してたけど」

カネキ「え?あの」

高槻 「試しに一回、私がお風呂入ってるときのトイレの音声を録音したことがあるんだけど聞く?」

カネキ「・・・・・えっと」

高槻 「・・・ていうかカネキ君、声大きいからいつも結構聞こえてるけど」

カネキ「・・・あの」

高槻 「『先生、すごくいいメガネですッ!!』」

カネキ「えー・・・・・・・・・ごめんなさい」




138: 2015/02/23(月) 21:32:23.42 ID:GR+QuI160

高槻 「・・・・」じー

カネキ「・・・そ・・そんなに見つめないでください」

高槻 「・・・・」じとー

カネキ「・・・あの・・・・・あっ!!」


・・・・先生の瞳の中に映る僕の左目は、赤く染まっていた。


カネキ「・・・っ!!」

とっさに左目を手で覆った。

バレた。

間違いなくバレた。

どうする?

どうする?


高槻 「知っていたよ」


カネキ「・・・え?」


139: 2015/02/23(月) 21:32:58.73 ID:GR+QuI160

高槻 「別にカネキ君が喰種だからって私としては構わないんだけど、それに私が気づいてるって知ったら、逃げちゃうんじゃないかと思ってね」

カネキ「あー・・・・僕と同じ考え方ですね」

高槻 「ていうか、ホントのこと言うとカネキ君から取材したかったんだけどねー」

カネキ「それってたぶん無理ですね。僕、元は人間なので」

高槻 「ん?」

カネキ「実は・・・・」


・・・


高槻 「へー、喰種から臓器移植されると喰種になるのか。ほー」

カネキ「絶対そうなのかは知りませんけど」

高槻 「それ、面白いね。ネタにしよう」

カネキ「えっ?!やめてくださいよ。それこそCCGとかにばれたら日常生活困難になるじゃないですか」

高槻 「えーじゃあ実名出さないし、設定色々いじるからさー」

カネキ「うーん・・・」

高槻 「それで今回の件を不問にしてあげてもいいのだが」

カネキ「存分にネタにしてください」


148: 2015/02/24(火) 00:01:14.93 ID:ZK6XRrrJ0
では続きです

149: 2015/02/24(火) 00:01:55.37 ID:ZK6XRrrJ0

#009 [仮面]


高槻 「はー取材お疲れ様ー」

カネキ「まあ後半は温泉入ってただけでしたけどね」

高槻 「カネキ君だって温泉入りまくってじゃない」

カネキ「まぁあったら入りますよ。常識的に考えて」

高槻 「欲望に忠実なのは素晴らしいよね。よし、昼ご飯を食べて今日は解散としよう」

カネキ「先生の家行くんですか?・・・ってちょっと待ってください」

高槻 「ん?」

カネキ「・・・今まで先生が僕に作ってくれたゴハンって・・もしかして人間の肉ですか?」

高槻 「そうだと言ったらどうする?」

カネキ「・・・まぁもう食べてしまったので今までの分はしょうがないですが、倫理的にも今後はやめたいですね。僕、気合で普通のゴハン食べられますし」

高槻 「うーん・・私が集めた情報によると喰種は気合でも普通のゴハンで空腹を満たすことはできないはずなんだけどなぁ・・・・まあ、違うよ。人間の肉じゃないから安心して食べ給え」

カネキ「・・・本当ですか?」

高槻 「本当だとも。もし嘘だったら、私を食べていいよ」

カネキ「恐ろしいこと言う人ですね、先生は」

高槻 「ほれほれ噛みついてごらん」

カネキ「まったく先生は・・まあ信じますよ」

高槻 「じゃあ今日もハンバーグにするかね」


150: 2015/02/24(火) 00:02:30.89 ID:ZK6XRrrJ0

カネキ「ごちそうさまです」

高槻 「はいはい」

カネキ「じゃあ僕そろそろ帰りますね」

高槻 「うん・・あっちょっと待って」

カネキ「なんですか?」

高槻 「知ってるかい?巷では喰種は“マスク”を付けてるらしいよ?」

カネキ「マスク?花粉症か何かですか?」

高槻 「いやいや、マスクって言っても仮面みたいなものだよ。CCG捜査官と戦うときに顔がバレないように着けるようだよ。それにその赤い目を隠せるからじゃない?」

カネキ「へー・・先生詳しいですね」

高槻 「だってCCGのホームページに書いてあるし」

カネキ「あーそうですかー」

高槻 「だからさ、カネキ君もマスクつけてみてよ」

カネキ「はい?」

高槻 「考えてみてよ。喰種のつけるマスク作ってる人ってどんな人?」

カネキ「あー・・・喰種でしょうね」

高槻 「でしょー?だからマスクを作る傍ら、潜入捜査をお願いしたいのだよ」

カネキ「でも僕そんなお店知りませんよ」


151: 2015/02/24(火) 00:03:10.66 ID:ZK6XRrrJ0

高槻 「ふっふっふ・・実はもうアタリを付けてあるのだよ」

カネキ「まあそういう流れになることは大体想像してました」

高槻 「場所は4区。お店の名前は“HySy ArtMask Studio”。来週のヒマな時にでも行ってみてよー」

カネキ「はぁ・・分かりましたよ」

高槻 「さすが私の見込んだ変態有能アシスタントだね」

カネキ「変態ではありません。美学です」

高槻 「ずいぶんと大きく出たね。じゃあこれを前にしても平常心でいられるかね?」
すっ

カネキ「・・・そのメガネどうしようっていうんです?」

高槻 「君が望むならあげようか?」

カネキ「いえ、いりません。早急にかけてください」

高槻 「なん・・だと?」

カネキ「美しいメガネは美しい人がかけてこそです」

高槻 「・・・ま、いいでしょう」すちゃっ

カネキ「じゃあ、帰ります。マスク屋さん、出来る限り来週行きますから。行ったら連絡しますので」

高槻 「あ、ウン」

カネキ「それじゃ、おつかれさまでした」
ガチャ

高槻 「・・・」


152: 2015/02/24(火) 00:03:54.13 ID:ZK6XRrrJ0

上井大学にて。

ヒデ 「おーっす」

カネキ「おはよう、ヒデ」

ヒデ 「・・・温泉行ったのか?」

カネキ「え?ああ、行ったよ。取材の後」

ヒデ 「はあ・・羨ましい奴」

カネキ「いや・・なんというか・・大切なものを失った気がするよ」

ヒデ 「・・・お前、まさかッ」

カネキ「?・・・まあでもこのバイト、何もしてないときは本読んでること多いしすごい楽しいよ。ヒデはバイトとかしないの?」

ヒデ 「あ、俺もバイト始めたんだぜ」

カネキ「へー。何?」

ヒデ 「喫茶店のアルバイト」

カネキ「ヒデなら何でも上手くいくと思うよ」

ヒデ 「そうか?・・・じゃあさ、俺がバイトしてる店、来てみねー?」

カネキ「あー・・行きたいけど今日はちょっと行かなければいけないとこあるから」

ヒデ 「そっか・・もしかしてまた高槻先生関係?」

カネキ「うん。さすがヒデは鋭いね」

ヒデ 「いや・・・なんていうか・・・最近お前高槻先生とずっと一緒にいるだろ・・・」

カネキ「言われてみればそうかも」

ヒデ 「・・・前は俺とばっか一緒に遊んでたのにな・・」

カネキ「・・・あれ?ヒデもBL理解し始めた?」

ヒデ 「断じて違う」



153: 2015/02/24(火) 00:04:27.98 ID:ZK6XRrrJ0

カネキ「じゃあ、近いうちに必ずヒデのバイトしてるお店遊びに行くよ・・・あ、そこコーヒーあるよね?」

ヒデ 「もちろんあるぜ」

カネキ「よかった・・・・あ授業始まる」

ヒデ 「おう」


・・・


ヒデ 「じゃ、俺バイト行くから。また明日な」

カネキ「うん」


カネキ「さて、4区だったよね」


――――――――――“HySy ArtMask Studio”

カネキ「ここかぁ・・・雰囲気怪しすぎるなぁ・・まあいっか」
ガチャ

カネキ「こんにちはー」

・・・・

カネキ「人いないのかな?」

カツ  カツ・・・

カネキ(店内にはマスク、髑髏・・・)

カネキ(まあ確かに4区ってこういう雰囲気のお店多いけど)

カネキ(店主の人、バカなのかな?これじゃ喰種ってバレるでしょ)


バサッ!!
ウタ 「・・・きみ、誰?お客さん?」

カネキ「あ、そうです。マスク作ってほしくて来ました」

ウタ 「・・・・」

カネキ「?どうしました?」

ウタ 「いや・・ちょっと驚かそうと思って隠れてたんだけど・・・驚かないね、きみ」

カネキ「え?・・ああそうだったんですか。すいません」

ウタ 「いや・・きみが謝ることじゃないよ。まあいいや・・ぼくは店主のウタです。こっちに来てください」

カネキ「はい」


154: 2015/02/24(火) 00:05:06.30 ID:ZK6XRrrJ0

ウタ 「きみ、どこの区に住んでるの?」

カネキ「20区です」

ウタ 「20区か・・・平和でいいよね。ここ座って。サイズ測るから」

カネキ「あ、ハイ」

・・・

ウタ 「名前、聞いてもいいかな?」
カネキ「カネキケンです」

ウタ 「いいね・・名前にキケンが隠れてる」
カネキ「はぁ」

ウタ 「うーん・・きみ喰種だよね?」
カネキ「そうですけど」

ウタ 「不思議な匂いがするね。よかったら赫眼見せて?」
カネキ「あ、ちょっと待ってください」

カネキ(カクガンってあの赤い目のことかな?・・しまったどうやれば目が赤くなるのかわかんないや・・まずいな、このままじゃ色々とばれちゃうかもしれない・・)

ウタ 「あれ?もしかして赫眼出せない?」
カネキ「あ、ちょっと待ってください」

カネキ(そうだ、この前の旅行の時のこと思い出せば・・・)

カネキ(メガネメガネメガネメガネメガネメガネメガネメガネ・・・)

ギンッ

ウタ 「!きみ・・・片目なんだね」

カネキ「え?・・・ああそうです。珍しいですか?」
ウタ 「うん・・初めて見たよ」

カネキ(そうなんだ)

ウタ 「きみ・・・もしかして・・隻眼の梟・・・じゃないよね?逆だし」
カネキ「?なんです?それ?」

ウタ 「・・・・」
カネキ「?」


155: 2015/02/24(火) 00:05:55.91 ID:ZK6XRrrJ0

ウタ 「うん・・・なんとなくイメージ降りてきたかな・・」
カネキ「そうですか」

ウタ 「なにか、要望ある?」
カネキ「要望・・ですか?」

ウタ 「うん・・このデザイン入れてほしいとか」
カネキ「あ・・・それなら」

ウタ 「?」
カネキ「これ、何かに使えませんか?」

ウタ 「眼鏡?・・・伊達メガネだね。どうしたのこれ?」
カネキ「僕の友達が選んでくれたものです」

ウタ 「ふうん・・大切な友達?」
カネキ「ええ、まあそんな感じでした」

ウタ 「・・・うん分かった」

・・・

ウタ 「じゃあ出来たら連絡するから連絡先教えてもらってもいいかな?」

カネキ「はい」

ギーーッ

イトリ「よっ!ウーさん・・・ってあれお客さんいたか」

ウタ 「もう終わるよ」

カネキ「あ、もう帰りますんで」



156: 2015/02/24(火) 00:06:51.72 ID:ZK6XRrrJ0

ウタ 「どうしたの、今日は」

イトリ「いやーたまにはさ、ウチで飲まない?って思ってー」

ウタ 「うん、いいよ。もう今日は終わりにするから」

イトリ「おっし!蓮ちゃんも呼ぶかぁ!来るかなーアイツ?」

カネキ「・・じゃあ僕はこれで失礼します」

イトリ「・・・ん?キミ・・人間・・じゃないよね?」

カネキ「・・・えっと」

ウタ 「大丈夫だよ、カネキくん。このヒトも喰種だから」

イトリ「やっぱ喰種だよね?変わった匂いしてるなぁー?」

カネキ「僕、そんなに変わってる匂いします?」

イトリ「うん。喰種なのに半分人間みたい。ちょっとおいしそう」

カネキ「怖い事言わないでくださいよ」

イトリ「ハハハっ!ねえ、キミ、キミも一緒に飲まない?」

カネキ「僕未成年なんで、お酒はちょっと」

イトリ「おー純だねぇー大丈夫アルコールじゃないよ」

カネキ「うーん、だったらお邪魔してもいいですか?(なにかネタになる情報が得られるかもしれないし)」

ウタ 「ぼくも嬉しいね。今日会ったばかりだけど、カネキくんには僕も興味あるし」

イトリ「へー。ウーさんがそう言うなんて、期待しちゃうなー!よし、れっつごー!」



162: 2015/02/24(火) 22:27:42.49 ID:ZK6XRrrJ0

#010 [交換]


――――――――――“BAR Helter Skelter”

イトリ「わが店へようこそ!えっと・・・名前なんだっけ?」

カネキ「カネキです」

イトリ「カネキチ君かぁー!どこ住んでるの?」

カネキ「20区ですよ」

イトリ「ふーん・・“あんていく”のとこか」

カネキ「・・・(やっぱり“あんていく”は喰種の店なのかな)」

ウタ 「ねえ、せっかくお店来たんだから何か飲もうよ」

イトリ「おっとそうだった!血酒“ワイン”でいい?」

ウタ 「うん」

カネキ「僕、水かコーヒーで」

イトリ「釣れない事言うなよー!!飲もうぜ!!お姉さんが奢ってあげるから!」

ウタ 「イトリさん、彼困ってるよ?」

イトリ「おっとすまんすまん。いや、若いコが店に来てくれて嬉しくてさー・・・ね、ちょっと飲まない?無理にとは言わないわ」

カネキ「うーん・・じゃあちょっとだけ」

ごくごく

カネキ(飲める・・ていうか美味い・・・やっぱりコレ人の血だよなぁ)

イトリ「おっ、意外といけるんじゃない?」


163: 2015/02/24(火) 22:28:16.43 ID:ZK6XRrrJ0

イトリ「おや?」

カネキ「?」

イトリ「ちょ・・・ちょっとカネキチ君!キミって隻眼なの?」

カネキ「?ああ、この目のことですか?ええ、そうですね」

イトリ「初めて見たワ・・でも左か・・確か“あんていく”にもいるって聞いたけど」

ウタ 「らしいね。僕も会ったことないけど」

カネキ「あの・・コレってそんなに珍しいんですか?」

イトリ「珍しいも何も!隻眼てのは人と喰種のハーフじゃなきゃならないって聞いてるけど!」

カネキ「はあ・・そうなんですか」

イトリ「でも噂によると“あんていく”の奴はちょっと違うみたいだけど」

カネキ「?」

ウタ 「カネキくんは、やっぱりハーフなの?」

カネキ「えっと・・・よくわかりませんが、母は人間でした。父は僕が物心ついたときは居なかったので・・(とでも言っておこう・・)」

イトリ「じゃあパパが喰種だったんだねー!“隻眼の梟”もそうなのかなー」

カネキ「隻眼の梟?」

イトリ「知らないの?」

カネキ「ええ、お恥ずかしながら」

イトリ「隻眼の梟ってのは・・まあ噂なんだけど、白鳩も恐れる最強の喰種だよ」

カネキ「へー」


164: 2015/02/24(火) 22:29:04.23 ID:ZK6XRrrJ0

カネキ「そういえばさっき言ってた“蓮ちゃん”て人も4区の人なんですか?」

ウタ 「蓮示君は20区だよ。“あんていく”に行けば運が良ければ会えるかもね」

カネキ(じゃあ前に会ってるかもな・・)

イトリ「そうそう。あんていくで一番小汚い服着て、無精ヒゲの奴!」

カネキ(会ってないな)

ウタ 「ひどいなイトリさんは」

イトリ「だってホントじゃん」

ウタ 「イトリさんだって。・・・今日は履いてる?」

イトリ「・・・・」

ウタ 「女の子なんだから下着は履いた方がいいよ」

カネキ「・・・・??」

ウタ 「ホラ、カネキくん引いてるし」

イトリ「これは健康法!健康法なのよ!!」

ウタ 「人間の世界では“露出狂”って言うんだよ、それ」

ウタ (まあ4区で白鳩狩ってたとき散々色仕掛けやらせちゃったからそのせいなんだろうなー)

カネキ「・・・・・・・・・・」

ウタ 「ちなみにカネキくん」

カネキ「・・・はい」

ウタ 「蓮示君、ちょっとソッチの気があるから、もし会うことがあったら気を付けてね?」

カネキ「え?ソッチ?」

ウタ 「うん。彼、血酒飲んだ時なんかすごい絡んでくるし、ボディタッチすごいよ」

イトリ「んな事言ったらニコのがガチオカマじゃん」

ウタ 「うん、でも蓮示君の風貌で攻められる方が怖くない?」

イトリ「あーそうかも」


・・・この時カネキは“マジかよ3次元でBL?!超見てみたい!!”と思った。
そして実際に蓮示とニコを見て、“そういうの求めてないから”と吐き気を催したという。


165: 2015/02/24(火) 22:30:10.26 ID:ZK6XRrrJ0

30分後。

ウタ 「・・・ぼく、もう、ちょっと限界かな・・」

イトリ「にゃにおー!ウーさん弱すぎぃ!かにぇきち君だってまだ平気にゃ顔してんのにー!」

ウタ 「・・イトリさん、呂律、まわってないよ」

カネキ「これ、おいしいですねー」
ごくごく


ウタ 「蓮示君も来ないみたいだし、ぼくは帰るね」

カネキ「え、ちょっとウタさん・・」

イトリ「うたさんばいばーい☆かにゃきちは帰らないよねー?☆」

ウタ 「キミのが強そうだし、イトリさんお願いね?出るときはCLOSEにして出れば大丈夫だから」

カネキ「・・・・」


***


カネキ「もう・・イトリさん、大丈夫ですか?」

イトリ「うーい」

カネキ「はぁ・・・」



166: 2015/02/24(火) 22:31:12.36 ID:ZK6XRrrJ0

イトリ「・・・ハッ!!」

カネキ「あ、眼覚めました?」

イトリ「今・・・何時?」

カネキ「えっと・・23時半ですね」

イトリ「イテテ・・ごめんよカネキチ君・・ってかキミ強いねー」

カネキ「そうですか?初めて飲みましたが」

イトリ「暇なときウチでバイトしない?」

カネキ「あー・・結構忙しいんでやめときます」

イトリ「っち残念・・・ってあれ?私に上着かかってる・・かけてくれたの?」

カネキ「ええ・・風邪ひいちゃいますよって思って」

イトリ「・・・・そう。あんがと」

カネキ「いえ」


カネキ「あ、そういえば聞きたいことあるんですが」

イトリ「ん?何?」

カネキ「さっき言ってた20区の“あんていく”って店員さんはみんな喰種なんですか?」

イトリ「あれ?知らないの?」

カネキ「はい・・、それと“あんていく”にも隻眼の喰種がいるって言ってませんでした?」

イトリ「おや、意外と聞いてるね・・・うーんそうねぇ。交換条件てのはどう?」

カネキ「交換条件?」

イトリ「情報ってのはすごい価値のあるもんなのよ?だからカネキチ君が“喰種”のレストランについて調べてきてくれたら、私も教えてあげるよ」

カネキ「“喰種のレストラン”ですか・・・」


168: 2015/02/24(火) 22:32:17.34 ID:ZK6XRrrJ0

数日後。

カネキ「お邪魔します」

高槻 「どうぞー」

カネキ「マスク、出来ました」

高槻 「ほう!どれどれ?」

高槻 「・・・」

高槻 「伊達メガネがはめ込まれて、左目だけ見えるようになってるね」

カネキ「はい」

高槻 「コレ作った人はカネキ君をよく分かってますなー」

カネキ「そうですか?」

高槻 「で、喰種とは接触できた?」

カネキ「はい、2人だけですが」

高槻 「どんなだった?!」

カネキ「えっと・・・一人はピアスにタトゥーで赫眼出しっぱなし。もう一人は露出狂。その二人の話で、少なくとも2人の同性愛者が出てきました」

高槻 「待って、意味わからない」


169: 2015/02/24(火) 22:32:47.81 ID:ZK6XRrrJ0

***

高槻 「なるほどねー。喰種は本能に忠実なのかなぁ?」

カネキ「いや、会った人が偶々そういう人たちばっかってだけかもしれないですよ」

高槻 (いや、君もなかなかだけどね)

カネキ「で、そのバーの主人に交換条件を持ち掛けられました」

高槻 「ふむふむ。どんな?」

カネキ「“喰種のレストラン”について調べてきてくれたら“あんていく”のことを詳しく教えてくれると」

高槻 「ああ、“喰種のレストラン”なら知ってるよ」

カネキ「知ってるんかい」

・・・

高槻 「ってわけでこのレストランは普段は喰種相手に食事出してるみたい。たぶん人間を捕まえて料理してるんじゃないかな?ここに取材に行ってその後行方不明になった人いるみたいだし」

カネキ「それは怖いですね」

高槻 「だからいずれここにもカネキ君に行ってもらおうと思ってたの」

カネキ「ええ?!」

高槻 「だって喰種なら食べられないでしょ?」

カネキ「・・まあそうかもしれませんけど」

高槻 「“あんていく”については私もよく知らないから助かりますねー」

カネキ「はぁ・・やっぱり行かなきゃダメなんですね」

高槻 「いやー優秀なアシスタントが居て助かるわ」

カネキ「もう、わかりましたよ。じゃあそのレストランでバーの人と食事してきますよ。嫌だなー人間食べるの・・・」

高槻 「・・・・」


170: 2015/02/24(火) 22:33:36.80 ID:ZK6XRrrJ0

高槻 「カネキ君、ちょっと待って」

カネキ「なんです?」

ごそごそ
高槻 「コレ」

カネキ「・・・肉?」

高槻 「キミにいつもご馳走してる材料だよ」

カネキ「・・・何の肉ですか?」

高槻 「なんだと思う?」

カネキ「人・・ではないですよね?」

高槻 「違うよ。でもとっても珍しい動物の肉だよ。なんの動物かはヒミツ」

カネキ「へーまあ人間じゃなきゃいいですけど」

高槻 「この肉を持っていってレストランの人に調理してもらいなさいな」

カネキ「それって可能なんですか?」

高槻 「情報によれば、そういった事してる喰種も居るみたい」

カネキ「そうなんですか?まあ一応試してみます」

高槻 「一回、一人で行ってみたら?いきなりその人と一緒に行って失敗したらアウトだし」

カネキ「まあそうですね」

***



171: 2015/02/24(火) 22:34:19.96 ID:ZK6XRrrJ0

――――――――――7区“喰種のレストラン”

カネキ「ここでいいのかなぁ・・」

カネキ「レストランって言うから一応正装できたけど・・」


高槻 『会員制レストランのようだけど強気に行けば意外と入れるかもしれませんよー』


カネキ「先生・・・だいぶ適当なこと言ってたな・・・ま、入ってみよう」

カネキ「こんにちはー」

・・・

ガチャ
店員 「・・・はい?」

カネキ「レストランだって聞いてきたんですが」

店員 「・・申し訳ありませんが当店は限られたお客様にのみご提供する会員制のレストランとなっておりますので」

カネキ「会員制ですか・・こちらは一流の料理を出すって聞いてきたんですが」

店員 「ええ、希少な素材を使用する場合も多ございます。ですから会員制という立場を取らせていただいております」

カネキ「へえ・・・じゃあこの食材、なんだかわかります?」

店員 「・・・これは・・」

カネキ「分からないんですか・・・はぁ・・一流のお店でありながらそんな事も分からないんですね。残念です・・・食事、出来なくて却ってよかったかもしれませんね。それでは僕はこれで」

店員 「・・・」

「待ちたまえッ!!」


172: 2015/02/24(火) 22:35:48.53 ID:ZK6XRrrJ0

カネキ「あなたは?」

月山 「僕はMM。もちろん本名ではないよ。このレストランではそう呼ばれているってことさ」

カネキ「店員さんですか?」

月山 「Non!僕はこの店の会員さ・・・でもさっきのやり取りを見ていて思ったよ。もうこの店の会員などやめた方がいいかもしれないってね」

店員 「え・・MM氏?」

月山 「この彼の言う通りじゃないか?この食材が分からないなんて・・君は本当にこのレストランの店員かい?!」

店員 「・・・申し訳ありません」

月山 「どうだろう、僕にもこの食材をご馳走してもらえないかな?代わりと言っては何だが僕の紹介で会員にしてもらうようお願いしてあげるよ。いいだろ?店員君」

カネキ「いいですよ」

店員 「もちろんMM氏の紹介であれば」

月山 「決まりだね!」

カネキ「すみません、ありがとうございます」

月山 「いや、いいんだ。君のように一流の味を知る人と知り合え、語り合うことができることこそ僕の喜びだからね!」

カネキ「ははは・・ぼくも嬉しいです」


***


月山 「ところでその食材・・どこで手に入れたんだい?」

カネキ「そうですね、それは秘密です」

月山 「・・・!僕としたことが・・お互いのプライベートについてはSecretだったね。許してくれるかい?」

カネキ「ええ。MMさん(あんまりあなたに興味ないですし)」ニコッ


173: 2015/02/24(火) 22:36:28.27 ID:ZK6XRrrJ0

月山 「中ではマスクをつける決まりになっているんだ。持っているかい?」

カネキ「ああ、そうですか」すっ

月山 「Verres(メガネ)・・・キミ、ここでの名前はまだ無かったね。その独特のマスクからVE君と呼んでいいかい?」

カネキ「ええ。(なんでも)構いませんよ」

店員 「お待たせしました」

月山 「Impatiemment(待ちかねたよ)!」



カチャ
月山 「・・・これはッ!!甘味・苦味・酸味が混ざり合う複雑な味わい・・・!!ただ甘いだけの肉に慣れた下賤なものはきっとこの複雑な味わいを不味いと断じるだろう・・しかし僕には解る!この味わいに隠され得難き幸福が!!」

カネキ「・・・ふーん」

月山 「VE君・・まさか・・・お気に召さないかい?」

カネキ「いえ、そんな事ないですよ。ただ・・いつも食べてる料理の方が美味しいですね」

月山 「なっ・・・なんと!!君は・・自身でも料理をするのかい?!」

カネキ「いえ、作ってもらっているんですが」

月山 「ふむ・・・なるほどね」

カネキ「?」



174: 2015/02/24(火) 22:37:43.24 ID:ZK6XRrrJ0

月山 「主婦は常にCafeの香りに責任を持たねばならず、主人は吟味に抜かってはならないという・・・キミに料理を作ってくれる人とはそんな方なのかな?」

カネキ「“味覚の生理学”ですか?別にそういう訳じゃあないと思いますが・・」

月山 「フフ・・なんにせよ素晴らしい」


・・・

店員 「VE様、本日は失礼いたしました。次回からはご自由にお越しくださいませ」

カネキ「素晴らしい料理でした。僕こそ無礼な物言い、失礼いたしました。次回はこの素晴らしい料理を友人にも食べていただきたいので、二人で来ても構いませんか?」

店員 「勿論でございます」


カネキ「今日はありがとうございました」

月山 「こちらこそ素晴らしい時間をありがとう。今度は僕のからご馳走したいな。よければまたご一緒できないかな?」

カネキ(めんどうだなぁ・・)

カネキ「ええ、じゃあまたこのレストランで会いましょう。あなたとは、示し合せなくてもまたここで会える気がしますね」

月山 「エクセレント!」

カネキ(よし、連絡先教えないで済んだぞ)


***


カネキ「先生、おかげでレストランの会員になれました」

高槻 「マジで?!」

カネキ「・・・やっぱりテキトーな事言ってたんですね・・」


175: 2015/02/24(火) 22:38:23.64 ID:ZK6XRrrJ0

カネキ「・・・という訳で近く、イトリさんとレストラン行ってきます」

高槻 「うん・・・ん?イトリさん?」

カネキ「あ、バーのマスターですよ」

高槻 「ああ。女性なんだ?」

カネキ「ええ」

高槻 「ふーん」

カネキ「?」

高槻 「カネキ君、相手は喰種とはいえ女性なんだからちゃんとエスコートするんだよー?」

カネキ「エスコートって言われてもよくわかりませんが・・まあ頑張ります」

高槻 「ウン」


176: 2015/02/24(火) 22:39:13.46 ID:ZK6XRrrJ0
今日はここまでにします

177: 2015/02/24(火) 22:46:16.83 ID:R1MO0j5Yo


金木くん自分でも気がつかないうちにスーパーデンジャラスゾーンに立ってるな

気付いても平然としてそうだけど……

178: 2015/02/24(火) 22:51:25.04 ID:TRmPPlAYO
>カネキ「ええ。MMさん(あんまりあなたに興味ないですし)」ニコッ
>カネキ(めんどうだなぁ・・)
>カネキ(よし、連絡先教えないで済んだぞ)

原作と比べてこの金木、初対面の月山に対して結構毛嫌いしてるなwww乙


179: 2015/02/24(火) 23:59:26.07 ID:Iu2Y/XU1O

引用: 【東京喰種】 永近英良「カネキ・・・いいかげんにしろよ」