82:◆GWARj2QOL2   2017/05/19(金) 21:55:33.47 ID:wzUQ9MOUO




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チェイス「雛見沢…」その1

魅音「あー!ごめん!今日の部活は無し!」

圭一「え?」

レナ「?」

沙都子「あら?何か用事ですの?」

魅音「それがさー…昨日の夜に知り合いから電話がかかってきてね?少しだけバイト頼まれちゃって」

圭一「へー。そりゃ大変だな」

沙都子「ん…まあ、実は私達も今日は興宮までお買い物に出掛けなければなりませんので…」

梨花「みー☆」

圭一「じゃあ、レナと俺だけか」

レナ「二人で部活は出来ないし、今日はお休みだね」

魅音「ごめんねー?明日は通常通りだから!よろしくっ!バイバーイ!!」バビューン

圭一「お、おお…」

沙都子「…何だか、嵐のように去っていきましたわね」

レナ「急いでるのかな?かな?」

梨花「何だか興宮のワードに反応していたようなのです」

沙都子「ん…あ!こうしてはいられませんわ!梨花!左之助さんを呼んで下さいまし!」

梨花「了解した。なのです!」

レナ「?左之助先生がどうかしたの?」

梨花「左之助は荷物持ち担当なのですよ」

沙都子「おーほっほっほ!左之助さんは圭一さんと違って力持ちですから!」

圭一「何ぃ!?」

沙都子「圭一さんは食器棚を一人で持ち上げることが出来まして?」

圭一「ゲッ…あの人そんな事出来んのかよ…」

沙都子「人は見た目によらないということですわ」

レナ「・・・見た目・・・?」

沙都子「…それは否定しませんわ…」

83: 2017/05/19(金) 21:56:35.08 ID:wzUQ9MOUO
…。

チェイス「部活…」

沙都子「そうですのよ。魅音さんを中心として、様々なゲームで勝負をするのですわ」

チェイス「…部活というのは、ゲームをするものなのか?」

梨花「中身はゲーム同好会なのです」

沙都子「というより部として認知されてるのかどうかすら怪しいものですわね…」

梨花「でも楽しければ良いのですよ。ボクはとっても楽しいのです。にぱー☆」

沙都子「そうですわね…今ではなくてはならないものになっていますから…」

チェイス「…そうか」

沙都子「左之助先生も参加してみませんこと?そのポーカーフェイスなら、魅音さんも見破れませんわよ?」

梨花「カードゲームにボードゲーム、麻雀、色々あるのですよ」

チェイス「…俺は、遠慮しておこう」

沙都子「?」

チェイス「麻雀やボードゲームに関しては、ルールを知らない」

沙都子「あら?そうでしたの?」

梨花「(…そういえば、ロイミュードは人間の身姿をコピーするって言ってたわね…確か、記憶もそのまま引き継ぐって…)」

沙都子「私が教えてあげても宜しくってよ」

チェイス「…考えておこう」

梨花「(…どれだけ真面目な奴をコピーしたのよ…)」

84: 2017/05/19(金) 21:57:35.19 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「…?」

沙都子「?」

「「「~!」」」

「…」

梨花「みー…何だか騒がしいのです」

チェイス「…喧嘩ではないな」

沙都子「え?あ、ちょ…左之助さん!」

…。

「だーかーら!!テメェが今蹴飛ばしたのは俺のバイクだってんだよ!!」

「どーすんだ!?傷付いてんじゃねぇか!!」

「蹴飛ばしたんじゃなくて、蹴飛ばした缶が当たっただけですよ。傷もついてないし…」

「よく見ろよ!傷つきまくってんだろ!!?」

「それは貴方達の走り方に問題があるんじゃないですか?」

「んだとこのアマァ!!」

チェイス「何をしている」

「…あ?」

「!」

85: 2017/05/19(金) 21:58:29.01 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「何故お前達はこの子に怒っている?」

「…んだよ。関係ねーだろ。すっこんでろ!」

チェイス「このままでは彼女が危険だ。見過ごすわけにはいかない」

「…」

チェイス「何があったのか説明しろ」

「あ?そりゃあ…こいつが蹴飛ばした缶が!ここに!当たったんだよ!俺のバイクに!!」

チェイス「…そうなのか?」

「…まあ、そうですけど、傷はついてませんよ。どう見たって壁に擦り付けた後じゃないですか」

チェイス「だが、お前の不注意が招いた事だ。謝らなければならない」

「…え?」

チェイス「ルールはルールだ。お前が謝れば済む話だ」

「…」

「…おい。おい!!」

チェイス「どうした」

「いや、何を勝手に終わらせようとしてんだよ!!」

「謝って済む問題じゃねぇんだよ!!」

チェイス「ならばどうすれば良い」

「…そうさなぁ…うひひ」

「そのボインを好きにさせてくれるってんなら…」

チェイス「ボイン?」

「…ッ!」

沙都子「左之助さん!」

梨花「左之助!」

86: 2017/05/19(金) 21:59:34.67 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「どうした」

沙都子「どうした?じゃありませんわよ。わざわざ何を…あ、詩音さん」

詩音「あら?沙都子」

梨花「詩ぃ。どうしたのですか?」

詩音「どーもこーもありませんよ。このチンピラ様にいちゃもんつけられて困ってるんです。これからバイトあるのに…」

「誰がチンピラだぁ!!」

「調子に乗ってんじゃねえぞ!!」

チェイス「待て。原因を作ったのはお前だ」

詩音「…まあ、そうです…ね。どーもすいませんでした」ペコ

「ああ!?そんなもんで済まされる訳ねーだろ!」

「こいつ…ちょっと来い!」グイ

詩音「!」

沙都子「詩音さん!」

「あまり俺らを舐めてっとどうなるか教えtイダダダダダダダ!!!」

チェイス「…」ググ…

「てめ…!何すんだ!よっちゃんを離しやがれ!!」

チェイス「その女は謝った。もう終わった事だ」

「痛い痛い痛い痛い!!!折れる!腕が折れる!!」

「んだこいつ…!蹴っても殴ってもビクともしねぇ…!!っつか固ぇ!」

チェイス「それ以上彼女を責めるなら、話は別だ」

「分かった!分かったよ!!もうしない!しないから離してくれよおおおお!!」

チェイス「…」パッ

「…お…お…」

沙都子「…お?」

「覚えてやがれええええええ!!!」ピュー

「お、おい!よっちゃん!!」ピュー

87: 2017/05/19(金) 22:00:52.76 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「…」

詩音「あっはっは!まるで負け犬ですねー、あれ…」

沙都子「ああいう輩に絡むものではありませんわよ。詩音さん」

詩音「しょーがないじゃないですか。成り行きですよ成り行き」

チェイス「…気をつけて、行動するべきだ」

詩音「はいはい…でも助けてもらっちゃって。ありがとうございました」

チェイス「…」

詩音「私は園崎詩音。沙都子の…知り合いの…魅音の、双子の妹です」

沙都子「ややこしいですわね」

梨花「みー。この方は紫、左之助なのですよ」

詩音「・・・左之助・・・?」

チェイス「…」

詩音「…そ、そうですか。でも助かりましたよ。ホント」

沙都子「それよりも詩音さん。バイトのお時間ではありませんの?」

詩音「…!ヤバっ!」

梨花「詩ぃは今日は色んな人に怒られる日なのです。にぱー☆」

詩音「り、梨花ちゃまったらもう…失礼しまーす!!」バビューン

チェイス「…」

沙都子「…本当、姉妹揃って嵐のようでしたわね」

梨花「左之助。今の人は園崎詩音。魅ぃの双子の妹で、興宮に住んでるのですよ」

チェイス「羽入から聞いている」

梨花「ン゛ン゛ッッッ!!!」

沙都子「!?」

梨花「ン゛…さて、買い物買い物…」

沙都子「・・・」

チェイス「…そういえば、沙都子」

沙都子「何ですの?」

チェイス「ボインとは何だ?」

沙都子「ン゛ン゛」

88: 2017/05/19(金) 22:01:32.72 ID:wzUQ9MOUO
…。

レナ「ふー…お買い物、終了!」

圭一「はー…いつもこんなに買ってんだな…」

レナ「あはは…1週間分だから」

圭一「その上弁当だもんなぁ。…苦労してるんだな…」

レナ「そんな…圭一君だっていつもレナ達に勉強教えてくれるし…それにこうやってお買い物も手伝ってくれるし…」

圭一「良いって。こんなんで良けりゃこれからも手伝うよ」

レナ「こ、これからも!?…はうう…」

圭一「…っていうか、ただ何となくさ、恥ずかしくて」

レナ「?」

圭一「ほら、梨花ちゃんだって沙都子だって、家事を自分達でこなしてるんだろ?…俺、親に全部やってもらってるしさ」

レナ「んー…」

圭一「だから、手伝おうかなって思った…ってだけなんだ」

レナ「あはは。それでも嬉しいかな。…かな」

圭一「で?今日の晩御飯は何にするんだ?」

レナ「うーん…今日は…オムライスにしようかなって」

圭一「へー…オムライスってこんなに卵使うのか?」

レナ「い、1週間分だから。そんないっぱい使わないよう」

圭一「ほー…」

レナ「…」

89: 2017/05/19(金) 22:02:34.19 ID:wzUQ9MOUO
レナ「圭一君は?今日はどうするの?」

圭一「今日?…うーん。母さんは出掛けてるし、親父は興宮の…エンジェルモートって店に行ってるし」

レナ「エンジェルモート…」

圭一「ああ。何だか凄い嬉しそうでさ。誘われたんだけど、断ってきたよ」

レナ「圭一君。そっちに行かなくて良かったの?」

圭一「?…そんな凄い店なのか?」

レナ「…色々と、圭一君の好きそうなお店かな。…かな…」

圭一「えっ!!?ま、マジで!?」

レナ「…けーいちくん。やっぱり…」

圭一「え!?あ、いや!こっち!レナとの買い物のが大事!!」

レナ「…ちなみに、ご飯は?」

圭一「カップ麺かな」

レナ「え?……うーん……」

圭一「良いって。1日くらい。流石に1週間カップ麺だったらヤバイけどさ」

レナ「…うーーーーーん…」

圭一「…レナ?腕組んでどうしたんだよ」

レナ「…お父さん…カレーくらいなら…」

圭一「…?」

レナ「うーーーーーーーん…」

圭一「長い長い」

90: 2017/05/19(金) 22:03:26.12 ID:wzUQ9MOUO
…。

沙都子「んー…」

梨花「みー…やっぱり左之助の服を買うには出費が大きすぎるのです」

チェイス「服ならある」

沙都子「それしか無いのでは?」

チェイス「これで十分だ」

沙都子「十分じゃありませんわよ。道行く人間もれなく全員貴方のこと避けていきましたわよ」

チェイス「…」

沙都子「まあ、不思議と汗もかかないし臭いもしませんから何も言いませんでしたが、流石にここずっと同じ服なのは衛生的にどうかと思いますわ」

梨花「でもこのままでは予算オーバーになってしまうのです。パンツが限界なのです」ピラピラ

チェイス「…」

沙都子「うーん…」

梨花「これは困ったのです…」

沙都子「…んー…監督のお古を譲ってもらえるでしょうか?」

梨花「沙都子が頼めばお古でも新品でもくれる筈ですよ」

沙都子「でも、うーん…」

梨花「…みー…」

91: 2017/05/19(金) 22:04:12.48 ID:wzUQ9MOUO
…。

レナ「…うん!レナ、決めたよ!」

圭一「?」

レナ「今日、圭一君のお家にご飯作りにいくよ!」

圭一「え?で、でも親父さんの…」

レナ「お父さんは料理出来るし…それに…」

圭一「それに?」

レナ「な、何でもない…でも大丈夫だから」

圭一「良いのか?そりゃ俺はレナの手料理が食えるなら嬉しいけど…」

レナ「ほ、ホント!?」

圭一「あ、ああ」

レナ「…えへ」

圭一「あ、あはは…」

…。

沙都子「あ」

梨花「あ」

レナ「あ」

圭一「あ」

チェイス「…」

沙都子「…あら…」

レナ「あれ…」

梨花「ばったり。なのです」

92: 2017/05/19(金) 22:05:02.29 ID:wzUQ9MOUO
…。

沙都子「レナさん。圭一さんを甘やかしてはいけませんわよ」

レナ「で、でもカップラーメンじゃ可哀想だよ」

沙都子「これを機に圭一さんもチャレンジしてみてはいかがですこと?…ンま!!大火事になるのが関の山でしょうけど!!」

圭一「やかましいわ!!!」

梨花「…」

チェイス「…どうした」

梨花「え?あ、いや…」

チェイス「…」

梨花「…ちょ、ちょっと…」ボソ

チェイス「何だ」

梨花「こ、これは異常自体よ…今までに無かった事だわ…」ボソボソ

チェイス「…この辺りの地域は狭い。同じ時間に歩いていれば会うだろう」

梨花「違うわよ!圭一は本来、この時間にエンジェルモートで詩音と会うの!」ボソボソ

チェイス「エンジェルモート…?」

梨花「メイドカフェみたいなもんよ!そこに行く筈なの!」ボソボソ

チェイス「…圭一」

圭一「?何ですか?」

チェイス「お前は今日、エンジェルモートに行くのか?」

圭一「え?」

梨花「ン゛ン゛!!!」

沙都子「!!?」

圭一「い、いや…確かに親父に誘われましたけど…断って…」

レナ「レナのお買い物を手伝ってくれるって、来てくれたんです!」

梨花「…そ、そうなのですか…」

圭一「でも、何でそれを?」

梨花「け、圭一の性格ならエンジェルモートがきっと好きになると思ったのですよ」

圭一「えっ!?」

レナ「…けーいちくん…」

圭一「え!?あ、いや!レナの!レナの買い物のが良い!幸せ!!」

レナ「えへへ…」

梨花「…」

93: 2017/05/19(金) 22:05:53.35 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「沙都子」

沙都子「何ですの?」

チェイス「圭一の好きなようなもの、とは何だ?」

沙都子「…大分グレーゾーンなお店とだけ伝えておきますわ」

圭一「!!!」

レナ「・・・」

圭一「れ、レナ…無言は勘弁…」

チェイス「何故摘発されない?」

沙都子「…さあ…?」

梨花「…さあ…?」

「はーい!お釣り280円ねー」

チェイス「…?」

「わーい!ありがとー!」

「また来てねー!」

圭一「!」

レナ「…この声…」

沙都子「…まさか…?」

梨花「…嘘でしょ…?」

沙都子「え?」

梨花「ん?」

沙都子「ん?」

梨花「魅ぃの声なのです。見に行くのですよ」

沙都子「…え、え?あ、はい…」

「…はー…あとちょっとかー…」

圭一「おーい!」

「…んぐぇっ!?」

94: 2017/05/19(金) 22:07:01.31 ID:wzUQ9MOUO
魅音「びっくりしたー…何この偶然」

沙都子「私達の方がびっくりですわよ。仮にも女性なのですからもうちょっと驚き方を考えて欲しいものですわ」

レナ「魅ぃちゃんの言ってた手伝いってここのお店のことだったんだね」

圭一「おもちゃ屋かー…」

魅音「何か限定品買いに行くからってさ、昨日の夜いきなり頼まれちゃって」

圭一「そりゃまた随分急だな…」

魅音「まあ、限定品っていうくらいだからそんなもんじゃない?…あ、噂をすれば…」

「おーい!魅音ちゃーん!」

沙都子「…何だか凄い大荷物ですわね」

チェイス「…」

「悪かったねー…突然こんな事頼んじゃって」

魅音「良いよ良いよ。楽しかったし」

「…あれ?何だか大所帯だねぇ」

魅音「あー…うん!私の友達!」

「…彼もかい?」ボソ

チェイス「…」

魅音「あ、あはは…」

「まー…お礼と言っちゃなんだけどさ、ちょっと待っててよ!…あ!君達もさ!」

レナ「?」

沙都子「?」

「すぐ来るから!ちょっとだけ待っててよ!」

梨花「…」

魅音「おじさーん?そんな無理しなくてもー…あー…ごめんね?何か…」

梨花「みー。ボク達は貰える物は貰う主義なのですよ」

魅音「そういえば、左之助先生は何か買ったの?」

沙都子「それが、服を買おうと思ったのですが、流石に予算オーバーですわ…」

梨花「左之助は給料が出るまでかわいそかわいそなのです」

チェイス「…」

魅音「あ、あはは…はは…」

チェイス「俺は特に注文は無い。着れるものなら着る」

沙都子「…いえ、それではいけませんわ。服というのはその人「らしさ」を表すものでもありますから」

チェイス「…俺…らしさ…」

魅音「だとしたらまあまあヤバイ人になるけど」

95: 2017/05/19(金) 22:07:50.22 ID:wzUQ9MOUO
チェイス「服がその人間のらしさを表すというのは、俺には分からない」

沙都子「そうですの?…例えば魅音さん」

魅音「おじさん?」

チェイス「…おじさん…?」

魅音「あ、ごめん…私?」

沙都子「男勝りな性格を表していると思いませんこと?」

チェイス「…」

梨花「…」

圭一「まあ、確かにな。制服も女の子らしいっていうか、スケ番ぽいっていうか…」

魅音「あ、あれはそういうデザイン!デザインだから!!」

チェイス「服、というのはある種の鎧のようなものだ」

沙都子「…鎧?」

チェイス「鎧というのはその身を守る為のもの。鎧を取ってみなければその人間の本質は分からない」

圭一「…本質…」

チェイス「戦っても、話しても。その本質を見極め、理解しない限り分かり合うことは出来ない」

沙都子「何の話ですの?」

梨花「…左之助は、こう言いたいのですよ」

レナ「…」

梨花「普段見せる顔と、本当に見せる顔が違う事もある、ということなのですよ」

圭一「…」

魅音「…」

沙都子「…そういう考えも、無いことはない、ですわね」

「おーい!お待たせー!」

魅音「!」

96: 2017/05/19(金) 22:08:35.20 ID:wzUQ9MOUO
「いやー、探すのにちょっと時間食っちゃってねー…」

沙都子「!…ちょ、ちょっと!それ埃被ってるじゃありませんの!」

「あーごめんごめん。正月の福袋の余りでさ…」

梨花「もう6月なのですよ…」

「でもね、これ結構良いの入れてたんだよー?…えーと、ひーふーみー…5袋!…」

チェイス「俺はいらない」

「あ、あはは…申し訳ありません…じゃ、じゃあさ!子供達で分け合って!」

魅音「えー?でも悪くない?店の商品なのに…」

「良いって!売れ残…お駄賃お駄賃!」

圭一「今売れ残りって…」

レナ「言ってた…」

「ン゛ン゛!ま、まあまあ!結構良さげなのも入れといたからさ!」

沙都子「でしたら、お言葉に甘えて…」

梨花「先手必勝なのですよ」

魅音「じゃー…私はこれ!」

レナ「じゃあ、レナはこれ…」

圭一「俺は…これで…」

チェイス「…」

圭一「…」

97: 2017/05/19(金) 22:09:22.75 ID:wzUQ9MOUO
「どう?良いのあった?」

圭一「え?あ、いやー…」

沙都子「あら?圭一さん…ププッ…」

レナ「わあ…かぁいいお人形さん!」

圭一「…えええ…?」

「あー…でもそれその中じゃまあまあ高い部類だよ?」

圭一「いや…これは…」

沙都子「まさに試合に勝って勝負に負けるというやつですわね。そのお人形さんでおままごとでもしてはどうですの?」

圭一「なぁぁぁにぃぃぃぃ?お前を着せ替え人形にしてやろうか沙都子ォ!」

沙都子「セクハラですわ!酷い男ですわ!」

魅音「…」

圭一「…あー…これはちょっと…なぁ…」

レナ「…」

圭一「…んー…」

梨花「…」

圭一「…」

…。

『戦っても、話しても。その本質を見極め、理解しない限り分かり合うことは出来ない』

『普段見せる顔と、本当に見せる顔が違う事もある、ということなのですよ』

…。

圭一「…なあ、魅音」

魅音「ン゛っ?」

梨花「!」

98: 2017/05/19(金) 22:10:17.45 ID:wzUQ9MOUO
圭一「…これ、いるか?」

魅音「え?わ、私!?」

圭一「…ん」

魅音「…え、え?」

圭一「…ほら、何つーか…えーと…ほ、ほら!お前のやつ!その手品セット!そっちの方が良いかなって…」

魅音「え…えっと、そ、それなら!それなら仕方ないかなぁ!!貰っちゃおうかなぁ!!?」

圭一「は、はははははははは!!」

魅音「あ、あははははははは!!」

沙都子「…何ですのこの空気」

レナ「…ふふっ」

チェイス「…」

梨花「…ちょっと」

チェイス「何だ」

梨花「…わざと?」

チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…なんだかんだで、器用なもんじゃない」

チェイス「…」

魅音「いやー!欲しくないけど!貰っちゃしょーがないよねー!ねー!」

レナ「レナのと交換する?」

魅音「だ、ダメっ!!」

レナ「…ふふふっ」

圭一「…」

99: 2017/05/19(金) 22:11:24.09 ID:wzUQ9MOUO
…。

……。

圭一「なあ、レナ」

レナ「なあに?」

圭一「…俺、あれで良かったのかな?」

レナ「…魅ぃちゃんにあげたこと?」

圭一「…何ていうか、その…左之助さんと梨花ちゃんの言葉が引っかかったっていうか…」

レナ「魅ぃちゃんが、喜んでるかどうかってこと?」

圭一「…」コク

レナ「…圭一君は、魅ぃちゃんのこと、どう思ってるの?」

圭一「え?」

レナ「魅ぃちゃんのこと。どう思ってる?」

圭一「…そりゃあ、部活の頼れる部長で、いざという時は俺なんか比べ物にならないくらい動けるし、男勝りな感じはするけど…」

レナ「…」

圭一「…へ、変な意味じゃないからな?」

レナ「うん。ちゃんと聞いてるよ?」

圭一「その…ほら、あいつ、意外と使ってる文房具とか小物とか、可愛いやつだったりするし…」

レナ「…」

圭一「…もしかしたら、そういう部分もあるのかなって。思い返してみたら…」

レナ「…圭一君」

圭一「?」

レナ「明日、魅ぃちゃんの顔。良く見てあげてね」

圭一「え?あ、ああ…」

レナ「…あ!ちょっと待っててね!冷蔵庫に入れたら直ぐ行くから!」

圭一「…」

レナ「ちょっとだけ!ちょっとだけ待ってて!」

圭一「なあ、レナ」

レナ「?」

圭一「…俺も、晩御飯作るの手伝うよ」

レナ「…」

圭一「…レナにばっかりやってもらってたら、その…良くないから」

レナ「…うんっ!」

…。

100: 2017/05/19(金) 22:12:06.63 ID:wzUQ9MOUO
沙都子「ちょっと、お家に寄ってもよろしくて?」

梨花「?…はい。良いのですよ」

チェイス「…?」

梨花「左之助。沙都子の本来のお家なのですよ」

チェイス「…」

沙都子「もしかしたらサイズの合う物があるかもしれませんわ。ちょっと左之助さん…しゃがんでくださる?」

チェイス「…」

沙都子「…ん。丁度良いサイズの物があった気がしますわ。良かったら着てみませんこと?」

チェイス「了解した」

沙都子「では決まりですわね。行きますわよ」

チェイス「…」

梨花「…でも今日はもう遅いのです。明日でも…」

沙都子「思い立ったが吉日ですわ。それに左之助さんの衣服はそろそろ洗わないと」

梨花「…」

チェイス「…どうした?」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…嫌な、予感がするのよ」

チェイス「…」

梨花「…一難去ってまた一難…かもしれないわよ…」

チェイス「…」

…。

101: 2017/05/19(金) 22:12:56.16 ID:wzUQ9MOUO
レナ「…ただいま…」

「おお。お帰り礼奈。今日は遅かったみたいだね」

レナ「…今日、圭一君の家でご飯を作ろうかなって思って…」

「そうなのかい?なら今日は父さんが作るよ。楽しんでおいで」

レナ「…うん」

?「えー?礼奈ちゃんの手料理食べれないの?」

レナ「…あ…」

「まあそう言わないで…礼奈はお友達思いだから…」

?「ふーん…ねえ、礼奈ちゃん」

レナ「…」

?「いつも帰ってくるのが遅いのって、私のせい?」

レナ「…」ブンブン

?「そっ。なら良かったー!」

「リナさん。礼奈はそんな事を思うような子じゃないよ」

リナ「そうだよねー!礼奈ちゃん優しいもん!」

レナ「…」

リナ「じゃあねー♪れ・い・な・ちゃん♪」

レナ「…」ペコ

…。

102: 2017/05/19(金) 22:14:13.24 ID:wzUQ9MOUO
沙都子「…あら?」

梨花「…あ…」

チェイス「…」

沙都子「…どうして…電気が…」

梨花「…そんな…」

チェイス「…」

沙都子「まさか…!」

梨花「!さ、沙都子!」

?「…あァ?沙都子ぉ?」

梨花「!!」

沙都子「ッ…」

チェイス「…」

?「……おぉおぉ。沙都子けぇ…」ガラッ

沙都子「…あ…」

?「ワシも今日からこっちで暮らすことにしたわ。沙都子」

沙都子「…て、鉄平…叔父様…」

梨花「…ッ!!」

鉄平「…ん?何じゃ?お前ら…」

チェイス「…」

鉄平「気に入らん目つきじゃのう…何じゃ?お?」

チェイス「…」

鉄平「…まあええ。沙都子。腹が減っとんのじゃ。さっさと晩飯作れや」

沙都子「…梨花…左之助さん…」

梨花「…沙都子…!」

チェイス「…」

沙都子「…私、こちらで暮らすことにしますわ…」

梨花「!!」

鉄平「はよせんか!!この…!」

沙都子「!」

梨花「!!…沙都子っ!!」

103: 2017/05/19(金) 22:15:27.59 ID:wzUQ9MOUO
沙都子「…!」

梨花「…。……?」

沙都子「…あ…」

梨花「…!」

鉄平「い、イデデデデデ!!離せ!!離さんかこのボケ…!!」

チェイス「…」ギリギリギリギリ

沙都子「…左之助…さん…」

梨花「…チェイス…」

チェイス「…少なくとも、俺の目の前で暴力は振るわせない」

鉄平「な、なんじゃと…!?」

チェイス「…それと…」

沙都子「…」

チェイス「…あまり自暴自棄になるな」

鉄平「!」

梨花「!」

鉄平「…な、何の…」

チェイス「お前の目は、まだ氏んでいない」

鉄平「…え、ええから離せ!!」

チェイス「…」パッ

鉄平「…薄気味悪い…沙都子、さっさと行きんね」

沙都子「…は、はい…」

梨花「…」

チェイス「…」

沙都子「…」ペコ

梨花「…沙都子…」

104: 2017/05/19(金) 22:16:21.74 ID:wzUQ9MOUO
梨花「…ッ…!」

チェイス「…」

梨花「…チェイス…」

チェイス「…」

梨花「…何とか、出来ないの?」

チェイス「…」

梨花「…約束、守るんじゃないの…?」

チェイス「…」

梨花「…ッ!…チェイス!!」

チェイス「…俺の知る限りでは…」

梨花「…何よ…」

チェイス「あの男は、正真正銘、人間のクズ…ではない」

梨花「…?」

チェイス「あの男が沙都子に手を振り上げた瞬間、少しの間だけだが、止まった」

梨花「…え…?」

チェイス「あれなら、大丈夫だ」

梨花「…」

チェイス「約束は、守る。…そして」

梨花「…」

チェイス「守り続ける」

梨花「…!」

チェイス「誰も傷つけさせない。あの男も」

梨花「…チェイス…」

…。

105: 2017/05/19(金) 22:17:11.66 ID:wzUQ9MOUO
圭一「レナ。こんな感じか?」

レナ「うーん…それじゃご飯がカチカチになっちゃうよ?ちゃんと羽釜にお水の分量書いてあるのに…」

圭一「え?あ…ホントだ」

レナ「ふふっ。圭一君、料理の事は全然知らないんだね?」

圭一「折角役に立とうと思ったのになあ。これじゃ足引っ張ってるかな…」

レナ「…そんなことないよ」

圭一「でも、全然手伝えてないし…」

レナ「…ううん。そうじゃないの」

圭一「?」

レナ「…圭一君といるだけで、レナは嬉しいの」

圭一「…えっ?」

レナ「…」

圭一「…レナ?」

レナ「…さ!今日はオムライスだから!色々勉強だよ!だよ!」

圭一「お、おう!任せろ!!」

レナ「…」

圭一「…」

レナ「…圭一君」

圭一「?」

レナ「…何でもない!ご飯ご飯!」

圭一「…?」

第4話 終

106: 2017/05/19(金) 22:53:35.55 ID:wzUQ9MOUO
続きまたそのうち書きます

107: 2017/05/20(土) 01:58:30.67 ID:xKbdzRpSO

チェイスかっこいいな

108: 2017/05/21(日) 19:38:49.90 ID:aDu6fxHl0

チェイスってああ見えて結構気遣い屋だもんな


引用: チェイス「雛見沢…」