136:◆GWARj2QOL2   2017/05/23(火) 21:57:32.73 ID:ONQeR3AhO




最初に戻る:
チェイス「雛見沢…」その1

沙都子「…」

沙都子「…これは…」

沙都子「…えっと…」

鉄平「…」

沙都子「…あの、叔父…様…?」

鉄平「…何じゃ」

沙都子「…こ、これ…は…」

鉄平「…暇だっただけじゃ。意味なんぞ無い」

沙都子「…部屋が…綺麗に…」

鉄平「…」

沙都子「…」

鉄平「…飯は、炊いといた」

沙都子「え?」

鉄平「…ワシに出来ることなんざ、それくらいじゃ」

沙都子「…叔父様…」

鉄平「…晩飯、作らんかい」

沙都子「…は、はい!…ですわ」

鉄平「…」

137: 2017/05/23(火) 21:58:32.55 ID:ONQeR3AhO
沙都子「…」モグモグ

鉄平「…」モグモグ

沙都子「…」

鉄平「…この家は…」

沙都子「…?」

鉄平「…お前が、管理しとったんか」

沙都子「…え、ええ…」

鉄平「…一人でか…」

沙都子「…ええ。いつか、にーにーが帰ってくると…」

鉄平「…にーにー…」

沙都子「…はい」

鉄平「…沙都子」

沙都子「?」

鉄平「…今、何年生じゃ」

沙都子「…5年生、ですわ」

鉄平「…ほうか」

沙都子「…」

鉄平「…まだ、そんな歳か…」

沙都子「…?」

鉄平「…」

沙都子「…」

鉄平「…朝飯…」

沙都子「…」

鉄平「…美味かった」

沙都子「…!…はい!」

鉄平「…」

138: 2017/05/23(火) 21:59:07.85 ID:ONQeR3AhO
チェイス「…」

チェイス「…」ピンポーン

「…はーい!今出ますよー!」

チェイス「…」

「はい。どうかされッ…」

チェイス「…」

「…」

チェイス「…」

「あ、あの…どちら様でしょうか…?」

チェイス「竜宮レナの学校の担任の、紫左之助だ」

「…た、担任の、先生ですか…?」

チェイス「レナはいるか?」

「え、ええ……ん?レナ?」

チェイス「そうだ」

「?…お、おーい!礼奈!礼奈ー!」

チェイス「…?」

「今呼びましたので…あ、良かったら上がっていかれますか?」

チェイス「いや、ここで…」

「…?」

チェイス「…」

「…あ、あの…」

チェイス「…上がっていこう」

「そ、そうですか…居間の方でお待ち下さい。お茶、持ってきますので…」

139: 2017/05/23(火) 21:59:45.18 ID:ONQeR3AhO
…。

レナ「え、えっと…」

チェイス「…」

レナ「ど、どうかされたんですか?」

チェイス「…1~2年前の学校の連絡網は持っているか?」

レナ「?」

チェイス「必要だ」

レナ「…え、えっと…あったかなぁ…」

チェイス「…」

レナ「…どうして、必要なんですか?」

チェイス「北条家に関する情報が欲しい」

レナ「!」

チェイス「…」

レナ「…でも、流石に前の連絡網は…」

チェイス「…」

レナ「…も、持ってない、と…思います…」

チェイス「…ならば、北条悟史について聞こう」

レナ「!!」

140: 2017/05/23(火) 22:00:39.72 ID:ONQeR3AhO
チェイス「北条悟史はある日突然人が変わり、最後には行方不明になったと聞いた」

レナ「…」

チェイス「…何故、そうなった?」

レナ「…わ、分かりません。レナは…」

チェイス「…そうか」

レナ「…」

チェイス「…先程、お前の名前を言ったら、父親に妙な顔をされた」

レナ「…」

チェイス「お前は、家と学校では暮らし方が違うのか?」

レナ「…」

チェイス「父親は、お前の事を礼奈と呼んでいた」

レナ「…レナは…」

チェイス「…玄関に、この村の者とは考えにくい靴があった」

レナ「…ッ」

チェイス「あのデザインをお前が使うとは考えにくい。それに大きさもお前のものとは違う」

レナ「…」

チェイス「…」

レナ「…母親の…」

チェイス「父子家庭だと聞いている」

レナ「…ッ…」

チェイス「…」

「すいませ~ん。アタシので~す♪」

レナ「!」

チェイス「…」

141: 2017/05/23(火) 22:01:51.32 ID:ONQeR3AhO
リナ「竜宮さんとお付き合いしていま~す♪間宮リナでーす!」

チェイス「…」

「す、すいません。お騒がせしてしまってるみたいで…」

チェイス「…いや」

レナ「…」

リナ「礼奈ちゃーん。どうしたの?暗いよー?」

レナ「…い、いえ…」

チェイス「…」

リナ「(誰かと思ったけど、学校の担任ね…ま、このガキの事だし、大方ゴミ捨て場に行ってるの注意しに来たんでしょ)」

チェイス「…」

リナ「(…っつーか…このオトコ…無表情だし、服装もヤバいけど…)」

チェイス「…」

リナ「(すっごく良いオトコじゃない…この村の奴はジジイかナヨナヨしたメガネ野郎しかいなかったから、余計に目立つわね…)」

チェイス「…」

リナ「だいじょーぶですよー!礼奈ちゃんは優しいから、問題なんか起こしませんって!」ギュッ

「あ…」

チェイス「…」

リナ「ねー…?」ギュッ

チェイス「…」

リナ「…」

チェイス「…」

リナ「(…な、何よこいつ…眉一つ動かさずに…どんだけ鋼のメンタルなのよ…)」

チェイス「…問題のあるのは、竜宮レナではないようだ」

リナ「…え?」

「…え?」

レナ「…」

チェイス「悪意の篭った人間は、悪意の篭った顔をするものだ」

リナ「…は?」

チェイス「北条鉄平とは、違う」

リナ「!!?」

142: 2017/05/23(火) 22:02:45.64 ID:ONQeR3AhO
チェイス「…」

リナ「…あ…え?」

「り、リナさん…?」

リナ「え…えと…え?」

チェイス「…」

リナ「(な、何で?何でこいつからあのバカの名前が!?)」

チェイス「…心臓の鼓動が、早まっている」

リナ「(何よ何よ何よ何よ!!!何なのよこいつ!!?)」

チェイス「たまたま出た言葉だったが…」

リナ「(こいつ…ヤバい…!!)」

チェイス「ヒントは、近くにあるものだな」

リナ「(修羅場ならいくらでもくぐって来た…けど、分かる…!)」

チェイス「詳しく話せ。お前が知っていることを」

リナ「(こいつ…本当にヤバい!!)」

チェイス「…」ジリ…

リナ「(何か、何か打開策…打開策…!)」

「あ、あの!!」

リナ「!!」

チェイス「…」

143: 2017/05/23(火) 22:03:39.63 ID:ONQeR3AhO
「あ、あの!何なんですか!リナさんに対して…酷いじゃありませんか!」

チェイス「…その女は、何かを隠している」

リナ「…竜宮さん…」

「リナさんはこの家からほとんど出ていませんし、やましい事なんて何もありません!」

レナ「…」

チェイス「…」

「先程から礼奈に対しても…まるで取り調べするみたいに…」

チェイス「…」

「お帰り下さい。何があったかは知りませんが、幾ら何でも横暴です」

チェイス「…」

リナ「…!竜宮さん!この人怖~い!」ギュッ

「あ…り、リナさん…だ、大丈夫だから…」

レナ「…」

チェイス「…そうか」

「…」

チェイス「…梨花を迎えにいく時間だ。俺は帰るとしよう」

リナ「…」

チェイス「…レナ」

レナ「…は、はい…」

チェイス「…あまり、抱え込むな」

レナ「…」

「か、帰って下さい!さもないと警察を呼びますよ!」

チェイス「…恋は、盲目…か」

「え…?」

チェイス「…気持ちは、分かる」

「…」

144: 2017/05/23(火) 22:04:33.13 ID:ONQeR3AhO
…。

梨花「何が盲目よ。恋愛にすら発展してないわよ。そんなの」

チェイス「…」

梨花「良いように利用されてるだけじゃない。分かり易い問題ね」

チェイス「やはりそうだったか」

梨花「そりゃ、レナだって呆れるわよ」

チェイス「…このまま行けば…」

梨花「…そうね。レナの疑問がいつしか確信に変わった時…」

チェイス「…レナに、雛見沢症候群が発症する」

梨花「ええ。リナを頃し、そして北条鉄平を頃す」

チェイス「…?」

梨花「あら?アンタ聞いてないの?」

チェイス「…どういうことだ」

梨花「…レナが起こす惨劇の世界では、あの家族はリナと鉄平による美人局の被害者なのよ」

チェイス「…」

梨花「…最も、今回の鉄平にはそんな感じはないけど…」

チェイス「…だとしたら…」

梨花「ええ。何かしらの理由があって、今リナと鉄平は仲違いしてる」

チェイス「…レナの父親は、間宮リナはあの家からほとんど出ないと言っていた」

梨花「…それは恐らく、会えばマズい状況って事じゃないかしら」

チェイス「…」

梨花「…アンタ、一応警察組織に属してたんでしょ?何か思いつく節は無いの?」

チェイス「…」

梨花「…そんな、簡単な理由でそこまで会いたくないってことはないと思うし…何よりあの二人が喧嘩別れするような関係にあるとは思えない…」

チェイス「…ビジネスパートナー、というやつか」

梨花「…」

チェイス「…なら、答えは自ずと分かるな」

梨花「…ええ。これはもう決定的ね」

チェイス「…金銭トラブル、か」

145: 2017/05/23(火) 22:05:16.43 ID:ONQeR3AhO
梨花「…金銭トラブル、ね。それなら合点がいくわ」

チェイス「それに、必氏に逃げている様子だった」

梨花「…こういう時は、変に逃げるよりも近くで身を潜めてた方が意外とバレないものだからね…」

チェイス「…相当な、額…か」

梨花「…この辺でそんな額をポンと出せるっていうなら、限られてくるけど…」

チェイス「銀行、もしくは何処かの金庫…」

梨花「それならとっくにニュースになってるわよ」

チェイス「…だとしたら、表には出せない金か」

梨花「…ヤクザ絡み…」

チェイス「…園崎か」

梨花「…間宮リナは、園崎系列のスナックに勤務してたわね」

チェイス「…ならば、答えは出たようなものだ」

梨花「…上納金…ね」

チェイス「…」

梨花「…全く…何でそんなものに手を出したんだか…」

チェイス「…」

梨花「…そういう、背景があった。って言いたいんでしょ?」

チェイス「そうだ」

146: 2017/05/23(火) 22:06:36.72 ID:ONQeR3AhO
梨花「…あのね、アンタの言うことも一理あるわよ。そうなることでしか生きていけなかった。っていう人間がいるってのも分かるわよ」

チェイス「…」

梨花「…でもね、本来はそういう風にならないの。ならずに必氏に何とかしようとするのよ」

チェイス「…」

梨花「…私だって、氏ぬっていう運命を変えようと必氏なんだから」

チェイス「…だが、お前も33年間、諦めていた」

梨花「だから、一理あるって言ってんじゃない」

チェイス「…」

梨花「どれだけ不幸な人生だったとしても、人に迷惑かけてお金巻き上げてるようじゃ同情もされないわよ」

チェイス「分かっている。罪は償わせる」

梨花「…アンタ、園崎組がどれだけのものか知ってて言ってんの?」

チェイス「…」

梨花「腕一本じゃ済まないわよ。五体全部取ったって終わるものじゃない」

チェイス「…」

梨花「罪を償うなんて、甘い事言うんじゃないわよ」

チェイス「…人が殺されるのを、黙って見ていろと言うのか?」

梨花「…そういう訳じゃないけど…」

チェイス「…」

梨花「…分かってよ。沙都子を助ける為ならまだしも、あの二人の為に園崎をなんて…」

チェイス「人頃しは犯罪だ。それ以上もそれ以下もない」

梨花「…それが通用するのは、都会だけよ」

チェイス「…」

梨花「雛見沢って、アンタが思ってる以上に住みづらい所なのよ」

チェイス「…」

147: 2017/05/23(火) 22:08:01.37 ID:ONQeR3AhO
沙都子「…あ、あの、叔父様…」

鉄平「…ん…」

沙都子「…もし、宜しければ…」

鉄平「…?」

沙都子「…ど、どうぞ…」

鉄平「…酒…」

沙都子「…取ってありましたの。捨てる訳にもいかなくて…」

鉄平「…ほうか」

沙都子「…」

鉄平「…」

沙都子「…ど、どうぞ…」

鉄平「…」チビ…

沙都子「…」

鉄平「…ッ…」グイッ

沙都子「…わ、私、お風呂に入ってきますわ…」

鉄平「…沙都子」

沙都子「!は、はいっ…」

鉄平「…」

沙都子「…」

鉄平「…いや、何でもないわ。さっさと入らんね」

沙都子「…は、はい…」

鉄平「…」グイ

鉄平「…」

鉄平「…ワシゃあ一体、何しとんのじゃ…」

鉄平「…ロクに働きもせんと、いじめとった子供に世話してもろうて…」

鉄平「…情けないのう…」

鉄平「…」

鉄平「…どこから、間違えたんかのう…」

148: 2017/05/23(火) 22:08:47.80 ID:ONQeR3AhO
リナ「…」グイッ

「…り、リナさん…」

リナ「…!」グビッ

「…リナさん…あ、あの…」

リナ「…何?」

「だ、大丈夫だよ。あの人が来たら、また僕が…」

リナ「…あ、そう」

「だ、だから…あまり飲み過ぎないように…」

リナ「…るさい…」

「…え?」

リナ「うるさいのよ!!」パリィン

「あっ…」

リナ「ちょっとだけ勇気出したことがそんな偉いわけ!?褒めて欲しいわけ!?」

「…そ、そんな…僕はそんなつもりじゃ…」

リナ「どいつもこいつも…!男ってのはいっつもそう!!」

「…り、リナさん…」

リナ「自分の事ばっかり!!自分の欲丸出し!!」

「ぼ、僕はそんなつもりじゃ…」カチャカチャ

リナ「…何よ。そんなゴミ捨てれば良いじゃない」

「…で、でも…初めて君と買った…」

リナ「…は?」

「…初めて君と買った、ものだから…」

リナ「…ッ…!!」バキッ

「!!?」

リナ「…ほんっと…気持ち悪い男…」

「…り、リナ…さん…?」

リナ「…もう、やーめた。…限界」

「…え?」

149: 2017/05/23(火) 22:09:23.47 ID:ONQeR3AhO
リナ「…限界。限界よ、もう」

「…な、何を…?」

リナ「…金。金の為」

「…え…?」

リナ「前の奥さんと別れて、莫大な慰謝料貰って、それでアタシんとこ来て…」

「…」

リナ「金って怖いわよねぇ?ホント…真面目そうな奴でさえ変えちゃうんだから」

「…」

リナ「毎日毎日仕事もせずに店に来て、やることと言えばアタシに言われるがまま金ばら撒いて…」

「…」

リナ「ようやく家にまで来させて、やることは変わらず金の無駄遣い」

「…リナ…さん…」

リナ「例えアタシに好意があったとしても、消えるわよ。そんなやり方だったら」

「…」

リナ「…この際だから教えてあげる」

「…」

リナ「アタシの目的は、アンタの金。持ってる金、全部!!」

「…!」

150: 2017/05/23(火) 22:10:11.66 ID:ONQeR3AhO
リナ「…アンタから早いとこ金掻っ攫って、こんな村、すぐ出るつもりだった」

「…そんな…」

リナ「だけど、どーこ探しても見つかんないの。この家のハンコ」

「…」

リナ「…もう、飽きたわ。探すのも。このままじゃあの大金が無くなるのも時間の問題」

「…」

リナ「…もう一個、アンタに今一番お似合いの言葉、教えてあげるわよ」

「…」

リナ「・・・金の切れ目が、縁の切れ目・・・」

「!!」

リナ「…ぷっ…」

「…そんな…

リナ「あーはっはっはっは!!!今頃気づいたの!?自分のバカさ加減に!?ダッサ!!」

「…僕はただ…君の為に…」

リナ「アタシの為にお金無駄遣いしてたの?チョー受ける!!」

「…」

リナ「…ま、アタシもそんな時間に余裕無いし。これで勘弁したげるわよ」

「…よくも…」

リナ「良い勉強になったでしょ?金で女を何とかしたって、いずれこうなるって」

「…よくも…僕を…!」

リナ「じゃーね♪…お財布君?」

「…!!」グッ

リナ「…ん?」

「…よくも!!!騙したなぁ!!!」グワッ

リナ「!!!?」

151: 2017/05/23(火) 22:12:12.37 ID:ONQeR3AhO
…。

リナ「…」

「…」

リナ「…?」

「…え…?」

リナ「…は…?」

「・・・え・・・?」

レナ「…」ポタッ…ポタッ

リナ「…礼奈…ちゃん…?」

「・・・」

リナ「…何、してんの…?」

レナ「…ダメ…」

リナ「…」

レナ「…どれだけ、憎たらしくても…」

「・・・」

レナ「…どれだけ、頃したくても…」

リナ「…礼奈…ちゃん…」

レナ「…頃したら、もう、後戻り出来ない…」ポタッ…ポタッ

「…礼…奈…?」

レナ「…お父…さん…」ポタッ…

リナ「…礼奈ちゃん…血が…」

レナ「…そんなの…ダメ…」ガクッ

リナ「!!」

「!!!」

レナ「…」

リナ「…礼奈ちゃん…?」

レナ「…」

「…礼奈…」

リナ「…礼奈ちゃん!!」

レナ「…」

リナ「礼奈ちゃん!!起きて!!!礼奈ちゃん!!!」

レナ「…」

リナ「礼奈ちゃん!!!」

第6話 終

152: 2017/05/23(火) 22:12:59.05 ID:ONQeR3AhO
続きまたそのうち書きます

153: 2017/05/23(火) 22:25:04.45 ID:J8PttyyM0
おつ
いやぁあああああ!!!!
気になるところでっ!
焦らし上手だな。

154: 2017/05/23(火) 22:25:31.91 ID:b17bwzYUO

面白いぞ


引用: チェイス「雛見沢…」