185:◆GWARj2QOL2   2017/05/28(日) 21:28:14.17 ID:K1KRwxSGO




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チェイス「雛見沢…」その1

…。

『お母さん、しばらく帰ってこれないかもしれないから。ここにお金、置いとくわね』

…いつ、帰ってくるの?

『…分からない。…でもあの人もいるし、大丈夫よ』

…お父さん、昨日も、今日も…寝てるよ。

『…そう。そのうち起きるわよ。起こさないであげて。…絶対に』

…本当に、帰ってくるよね?

『…そのお金は、絶対にお父さんには渡そうとしちゃダメよ』

どうして?

『…どうしても、ダメなのよ』

…?

『…お母さん、行くわね』

…。

『…じゃあね。さよなら』

…。

……。

186: 2017/05/28(日) 21:29:02.81 ID:K1KRwxSGO
リナ「…ッ!」ガバッ

リナ「…」

リナ「…ハーッ…ハーッ…」

リナ「…夢…」

リナ「…ッ…」

リナ「…あれ?」

リナ「…何でアタシ…布団…」

リナ「…!」

リナ「礼奈ちゃっ…!」

レナ「…」

リナ「…」

187: 2017/05/28(日) 21:30:51.21 ID:K1KRwxSGO
レナ「…」

リナ「礼奈ちゃん…」

レナ「…ここまで、運んでくれたんですね」

リナ「…」

レナ「…それは、ありがとうございます」

リナ「…」

レナ「…でも、貴方がお父さんにしたことは、許せません」

リナ「…うん」

レナ「…反省しているというなら、その罪を償って下さい」

リナ「…」

レナ「…もし、良かったら」

リナ「?」

レナ「教えてくれませんか?どうしてリナさんがそんな風になったのか」

リナ「…ただの、言い訳になるから。やめとくわ」

レナ「構いません。それでも、聞きたいんです」

リナ「…」

レナ「私達を騙したリナさん。私を助けたリナさん」

リナ「…」

レナ「…本当のリナさんは、どっちなのか」

リナ「…どっちも、アタシよ」

レナ「…」

リナ「…話すと長いから。時間のある時にしましょ。礼奈ちゃん、学校あんでしょ?」

レナ「…」

【AM8:00】

レナ「…」

リナ「…傷、痛む?」

レナ「…いえ。それよりも…」

リナ「?」

レナ「…リナさんに、気遣ってもらうなんて、思いませんでした」

リナ「…アタシも、助けてもらえるなんて思わなかった」

レナ「…今日は、昼で帰りますから」

リナ「…ん」

…。

188: 2017/05/28(日) 21:32:41.37 ID:K1KRwxSGO
リナ「…」

入江「…そうですか。竜宮さんは、学校に…」

リナ「…アタシといたって、今の父親といたって、気分は良くないでしょ」

入江「ええ。そう思います」

リナ「…」

入江「…しばらくは、ここにいて頂いて構いません」

リナ「…」

入江「まずは、竜宮さんとしっかりお話をしなければなりませんから」

リナ「…そう、だね…」

入江「…それでは」

リナ「…あ、待って」

入江「…?」

リナ「…」

入江「…」

リナ「…ありがと」

入江「…私は医者ですから」

リナ「…」

入江「患者に、良いも悪いもありません」

リナ「…」

189: 2017/05/28(日) 21:34:14.37 ID:K1KRwxSGO
沙都子「では…叔父様。行って参りますわ」

鉄平「…のう、沙都子」

沙都子「は、はい?」

鉄平「…例の注射は、打っとるんか?」

沙都子「か、監督からの…ですの?は、はい…」

鉄平「…ほうか」

沙都子「…?」

鉄平「…沙都子」

沙都子「?は、はい?」

鉄平「…」

沙都子「…」

鉄平「…人間っちゅうんは、やり直しは出来るんかのう」

沙都子「…やり直し…」

鉄平「…」

沙都子「…分かりませんわ」

鉄平「…」

沙都子「…それでも」

鉄平「…」

沙都子「やり直してみないことには、どうにも言えませんわ」

鉄平「…ほうか」

沙都子「…」ペコ

鉄平「…」

鉄平「…やり直してみないことには、か…」

鉄平「…腹ァ、括れっちゅうこと…じゃな」

鉄平「…」

鉄平「…やらんと、いかんかもしれんのう…」

190: 2017/05/28(日) 21:35:18.97 ID:K1KRwxSGO
…。

「左之助せんせー!これ教えてー!」

チェイス「…」

「左之助せんせー!出来たよー!」

チェイス「…」

…。

魅音「なんだかんだで、あの人も教師が板に着いてきたねぇ」

圭一「あの格好も見慣れてきたよな。もう」

レナ「でも、暑くないのかな…」

魅音「…確かに、汗もかかないしねぇ。痩せてるのかなって思ったらウチの若衆なんざ目じゃないくらい力持ちだし…」

圭一「…どういう、人なんだろうな」

魅音「…んー…」

梨花「(…人、じゃないのよ。人じゃ)」

梨花「(…にしても、チェイスはレナには何も言うなって…)」

梨花「(…どうしてそういう気遣いは出来るんだか)」

梨花「(沙都子も結局何も無いみたいだし…)」

梨花「(もしかしたら、このまま…)」

梨花「(…本当に…)」

校長「…」コツコツ

梨花「(…ん?)」

191: 2017/05/28(日) 21:37:26.81 ID:K1KRwxSGO
知恵「あら…校長先生」

校長「生徒達は、上手くやっていますかな?」

知恵「ええ。チェ…左之助先生もだいぶ…」

チェイス「…」

校長「…それで、ちょっと…左之助先生も…」

チェイス「?」

知恵「?」

校長「…」

チェイス「…」

知恵「…」

校長「…」

知恵「…えっ!?」

梨花「…?」

知恵「…わ、分かりました。…えっと…そ、園崎さん!」

魅音「?はーい!」

192: 2017/05/28(日) 21:38:24.19 ID:K1KRwxSGO
圭一「どうしたんだ?魅音の奴…いきなり職員室に呼ばれていったけど…」

レナ「うーん…お家の事かな?」

圭一「…あいつって、次期当主…とかなんとか言ってたよな」

レナ「うん。でも魅ぃちゃんは全然気にしてないから…」

圭一「それでも、家がそうさせてくれないんだろうな…」

レナ「…凄いよ。魅ぃちゃんは」

圭一「…そうだな」

沙都子「魅音さんは背負ってるものがたくさんあるんですのよ。とても大きなものを…」

圭一「…」

沙都子「…ン圭一さんと違って!!」ギシッ

圭一「一言多いんだよお・ま・え・は!!」グリグリ

沙都子「ぎゃああああああレナさあああああああん!!!」

レナ「…あはは」

圭一「…?」

沙都子「…?」

梨花「…」

193: 2017/05/28(日) 21:39:16.39 ID:K1KRwxSGO
圭一「…ど、どうしたレナ?」

レナ「え?」

沙都子「いつもならここでレナさんの拳が圭一さんの顔面にめり込むのが日常でしてよ」

圭一「どんだけ世紀末な日常なんだよ」

レナ「ちょ、ちょっと疲れてるのかな。…かな」

梨花「(…やっぱり、ボロは出るわよね)」

圭一「…前にも言ったけど、何か悩み事があるなら、ちゃんと話した方が良いぞ?」

沙都子「そうですわ。抱え込むのはストレスの原因でしてよ」

レナ「だ、大丈夫だよ」

圭一「…話しにくいことでもさ、話してみたら意外と解決するかもしれないぜ?」

レナ「…」

沙都子「…無理に聞くことはありませんが、それでも私達は心配なんですのよ」

レナ「…うん。ありがとう」

梨花「(…私は知ってるけど、話せるわけないわよね…)」

沙都子「…そういえば梨花」

梨花「?」

沙都子「先程から一言も話してませんが、梨花も何かあったんですの?」

梨花「みー。ボクは常にあれこれ考えてますのですよ」

沙都子「う…ホントに考えてそうですわね…」

魅音「…」ツカツカ

圭一「あ」

レナ「魅ぃちゃん…」

魅音「…」

圭一「…どうした?」

魅音「…ごめん。今日は帰らないと」

沙都子「え?」

194: 2017/05/28(日) 21:41:06.67 ID:K1KRwxSGO
魅音「いやー悪いねー!おじさんちょーっと!用事が出来ちゃってね!」

圭一「よ、用事?」

魅音「うん。すぐ終わるから」

レナ「…すぐ?」

魅音「うん。…すぐに」

梨花「…?」

魅音「それじゃっ!…あ!圭ちゃん!今日の分、明日教えてね!」

圭一「うぇっ!?な、何だよそりゃ!」

魅音「バイバーイ!!」バビューン

沙都子「…用事。魅音さんも忙しいみたいですわね」

レナ「…でも、今まで学校にいる時にお家の用事で抜け出す事なんかあったかなぁ…」

沙都子「…無かったですけど、そういうことも稀にあるのでは?」

圭一「…先生に聞いてみるか?」

レナ「うーん…でも、人の家の事情は…」

チェイス「…」

圭一「あ」

沙都子「あ…」

梨花「!」

195: 2017/05/28(日) 21:43:19.60 ID:K1KRwxSGO
チェイス「授業の続きだ。自習時間とはいえ席を立つのはルール違反だ」

圭一「うっ…」ガタン

沙都子「う…正論ですわね」ガタン

チェイス「お前達はこの学校では年長者だ。年長者は年少組の見本にならなければならない」

レナ「ご、ごめんなさい…」

チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「…俺は職員室に戻る。引き続き自習時間だ」

圭一「は、はい…」

梨花「…」グイ

チェイス「…」

梨花「(何が、あったの?)」クイ

チェイス「…」

梨花「(な・に・が・あっ・た・の?)」クイックイッ

チェイス「…何も無い」

梨花「(嘘でしょ)」クイッ

チェイス「園崎魅音は家の用事だ。俺達と関係は無い」

梨花「(じゃあ…)」

チェイス「…」

梨花「(何でこっそり出て行こうとしてんの?)」グイ

196: 2017/05/28(日) 21:44:44.16 ID:K1KRwxSGO
チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「職員室に、行くだけだ」

梨花「…そう」

沙都子「…?」

チェイス「…」

梨花「…左之助」

チェイス「…」

圭一「?」

梨花「…早く、帰ってくるのですよ」

チェイス「…了解した」

レナ「…?」

圭一「…?」

沙都子「…」

197: 2017/05/28(日) 21:45:48.55 ID:K1KRwxSGO
魅音「…」

…。

知恵『園崎さん。…その…』

左之助『…』

校長『…』

魅音『?』

知恵『…園崎、お魎さんから、お電話です』

魅音『…?婆っちゃから?』

知恵『…』

魅音『…は、はーい?何ー?』

お魎『…北条、鉄平じゃ』

魅音『…は?』

お魎『北条鉄平が、園崎の上納金をくすねたと自首してきおった』

魅音『…』

お魎『…あんのチンピラが、堂々と門からやってきおったんじゃ』

魅音『…』

お魎『次期当主としてお前も参加せえ』

魅音『…分かった』

…。

魅音「…」

魅音「…あの自分のことしか考えない叔父が、ねぇ…」

魅音「…ふーん…」

198: 2017/05/28(日) 21:46:39.81 ID:K1KRwxSGO
…。

リナ「…」

鷹野「はーい間宮さーん…今良いかしら?」

リナ「…あの入江って人は?」

鷹野「往診に出かけてるわ。ご老人が多いから…忙しいのよ」

リナ「…そ」

鷹野「それよりも…お腹、空いてない?」

リナ「…悪いけど、そんな気分じゃないのよ。…それに」

鷹野「…それに?」

リナ「礼奈ちゃんは昼で学校、帰るらしいから。私もそれが終わったら出てくわ」

鷹野「…そう」

リナ「迷惑、かけたわね」

鷹野「あら…貴方、聞いてたより素直じゃない」

リナ「開き直っただけよ。多分アタシは園崎の人間に八つ裂きにされて氏ぬだろうし」

鷹野「そんな事言わないで…ね?」

リナ「人間、絶対に氏ぬってなったら諦めがつくもんよ。アンタら普通の人には分からないだろうけど」

鷹野「…普通…ねぇ…」

リナ「普通よ。アンタらは。…アタシみたいなゴミ屑に比べればさ」

鷹野「…そう…。ねえ?」

リナ「…?」

鷹野「…それって、いつ氏んでも良いってことよねぇ?」

リナ「…え?」

鷹野「小此木」

リナ「は?」

小此木「はいよ」

リナ「は?…え!?ちょ、ちょっと!?」

199: 2017/05/28(日) 21:48:12.22 ID:K1KRwxSGO
鷹野「ごめんなさぁい。どうしても貴方くらいの女性の氏体が必要なのよぉ…」

リナ「何!?ちょっ…何すんのよ!!離しなさ…ムググ…」

小此木「暴れんなって…今はまだ頃しゃしないからよ」

リナ「!!?」

鷹野「私とそう変わらない身長で、女性で、居ても居なくても誰も気にしなくて、定職にも着いてない。そういった条件の人ってそうそう居ないのよねぇ…」

小此木「…しかし、こんなとこに好条件の物件があるたぁ思いませんでしたね」

鷹野「ホントよねぇ…貴方、良かったじゃない…」

リナ「!!」

鷹野「最後に、人の役に立てるのよぉ…?」

リナ「…!!…!!!」

小此木「でも流石に…あんまり大仰には出来ませんぜ?綿流しの祭りが終わるまで監禁ったって…」

リナ「~!!」

鷹野「そうよねぇ…でーも…そこは、貴方に任せるわ」

小此木「…それと、銃の腕は少しは良くなりましたかい?」

鷹野「私は「裏」だから良いのよぉ」

小此木「へへっ…そう言って、この間、練習してたって聞きましたぜ?」

鷹野「最後の手段よ。万が一私が警察に疑われた場合のね」

リナ「!!!」

200: 2017/05/28(日) 21:51:27.09 ID:K1KRwxSGO
鷹野「さ。その子を連れてって。…バレないようにね?」

小此木「はいよ…あー…ン゛ン゛!ほいだら行って参りますわぁ。鷹野センセ」

リナ「…!!」

鷹野「あらぁ?その話し方、似合ってきたじゃない。小此木造園さん」

リナ「(小此木…造園…!)」

小此木「へっへへ。何年もいりゃあ、そら学習しますわ」

リナ「(伝えなきゃ…!誰かに伝えなきゃ…!)」

小此木「あん?おいおい…まさか逃げられると思ってんのか?」

リナ「(誰かに…伝えないと…!)」

小此木「…ったく、腕も塞いどくか」

リナ「(…そうだ…!確か…左之助とかいう礼奈ちゃんの担任…!)」

鷹野「あら?今更氏ぬのが怖くなったの?」

リナ「(こいつら…!ヤバい…!!)」

鷹野「…そう」

リナ「(誰か…お願い…誰か!!)」

鷹野「…でもざぁんねん…」

リナ「(誰か…!!)」

鷹野「…貴方、もう終わりなのよ」

リナ「(助けて…!!)」

鷹野「小此木。あんまり暴れるようなら気絶させても構わないわ。多少なら大丈夫よ」

リナ「(助けて…!!!)」

小此木「…ま、女に手を上げるのは趣味じゃねえんですがね…」

鷹野「どうせ、殴られた痕跡も分からなくなるくらいになっちゃうんだから」

リナ「…!!」

小此木「はいよ。…じゃ、行くぞ」

リナ「…」

鷹野「…お達者でねぇ…あ。小此木?」

小此木「?」

鷹野「…あの人は、応えてくれた?」

小此木「…それが、まだなんですわ」

鷹野「…そう」

201: 2017/05/28(日) 21:53:57.87 ID:K1KRwxSGO
…。

圭一「え?レナも帰るのか?」

レナ「うん。やっぱりちょっと熱っぽいかな…かな」

圭一「そうなのか?…心配だな」

レナ「大丈夫だよ。明日には元気になるから!」

沙都子「ちゃんと身体を休めるんですのよ?」

レナ「うん!ありがと。沙都子ちゃん」

梨花「(…嘘ね)」

レナ「梨花ちゃん。圭一君。沙都子ちゃんも、また明日ね?」

圭一「おう!」

沙都子「はいですわ」

梨花「…レナ?」

レナ「?」

梨花「…」

レナ「…?」

梨花「…何でもないのです。また明日なのですよ」

レナ「…うん!」

梨花「(…かける言葉が、無いわ)」

沙都子「…」

梨花「(…無駄に生きただけで、頭の中は子供…)」

沙都子「…梨花…?」

梨花「(…チェイスの、言う通りね…)」

…。

202: 2017/05/28(日) 21:55:28.52 ID:K1KRwxSGO
魅音「…」

お魎「…」

茜「…」

鉄平「…」

茜「…これ以上、何を驚くことがあるかねぇ」

鉄平「…」

茜「まさかあのチンピラ風情が、命取られるかもしれない相手にこうして詫び入れに来たってんだから」

鉄平「…弁解はせん。ワシャあどんな報いでも受けるつもりじゃ」

茜「…へぇ」

お魎「…」

魅音「逃げられないと諦めた…」

茜「…」

魅音「…訳では、ないようですね」

鉄平「…」

茜「素直に詫びれば、罪が軽くなる…って考えてる訳でもなさそうだねぇ。命乞いの一言も無かったって聞いたよ」

鉄平「それだけの事をしたんじゃ。腕でも、脚でも心臓でも。いくらでも好きにしてくれて構わん」

魅音「…上納金は?」

鉄平「…それは…」

茜「その感じじゃ、まだ手はつけてないんだろ?」

鉄平「…」

茜「何処だい?きちんと耳揃えて返してくれるってんなら命までは取りゃしないよ」

お魎「…」

鉄平「…それは…」

茜「…それは?」

鉄平「…分からん!!!」

茜「は?」

203: 2017/05/28(日) 21:57:02.85 ID:K1KRwxSGO
鉄平「分からんのじゃ!!な、失くしてしまった!!」

茜「…は?」

鉄平「上納金に手を出した上、ワシャそれを失くして…それで…」

茜「…ふざけてんのかい?ガキの小遣いじゃないんだよ?」

鉄平「分かっちょる!!じゃから…ワシ一人で…!」

お魎「何を言うちょるんじゃ…」

鉄平「…!」

お魎「…盗んだ上失くした?それでお前のようなチンピラ一人で終わらせろ…?」

鉄平「…」

お魎「調子に乗るなクソガキャア!!!!」

鉄平「…!」

お魎「末代まで呪っても呪いたりん…じゃが、お前の今おる家族なんざ…あの小娘だけじゃ」

魅音「…!」

鉄平「!!」

お魎「こりゃ、あの小娘にも一肌脱いでもらわんとあかんの…」

鉄平「…!沙都子にゃ手を出すな!!!」

魅音「!」

茜「…」

お魎「あん?」

204: 2017/05/28(日) 21:58:42.98 ID:K1KRwxSGO
茜「…どういう風の吹き回しだい。アンタ、あのガキの事、相当憎んでたんじゃないのかい?」

鉄平「…」

茜「…はー…ん。そうかい。そういうことかい…」

鉄平「…ッ」

茜「アンタ、あの子に情が移ったんだね?」

鉄平「…」

茜「チンピラの目にも涙かい。…傑作だねぇ」

お魎「それが何じゃ。こっちの知った事か」

鉄平「…頼む…!」

お魎「?」

鉄平「どんな残忍な拷問でも受ける…!!どんな痛みでも耐える…!!」ゴツン

茜「…」

鉄平「ワシ一人で…どうにかしてくれ…!」

茜「…土下座なんて、何処で覚えたんだい。アンタが」

鉄平「…」

茜「…だけどね、こっちにも食わせなきゃならない奴らが何百といるんだよ」

鉄平「…!」

茜「そいつらの迷惑料。ウチら本体の迷惑料。上納金。アンタのボロボロの身体隅々まで切り裂いても取り戻せやしないよ」

鉄平「…」

205: 2017/05/28(日) 22:00:01.45 ID:K1KRwxSGO
お魎「当たり前じゃ。呪うんなら自らの行いを呪わんか。こん…ダラズがッ」

鉄平「…ワシは…」

お魎「?」

鉄平「…夢を、見た」

お魎「…あァ?」

鉄平「…夢でワシは、何度も何度も、沙都子を虐め抜いとった」

お魎「…何じゃこいつは…とっとと…!」

茜「待ちなよ」

お魎「あん?」

茜「…言ってみな。言うくらいならタダだ」

お魎「…」

鉄平「…虐めて、虐めて、何度も壊した」

魅音「…」

鉄平「…目の光を失った沙都子を見ても、何も思わんかった…」

茜「…」

鉄平「…だのに…現実は、違った…!」

茜「…」

鉄平「親もおらん。兄もおらん。だのにあいつぁ…一生懸命、生きとった…」

お魎「…」

鉄平「誰にも弱音を吐かず、ワシのようなゴミにもならず…!」

魅音「…」

鉄平「…あいつぁ、一生懸命笑って!!生きとったんじゃ!!」

茜「…」

鉄平「…おまけに、今沙都子は何かの病気にかかっとる…!」

魅音「!」

茜「…」

鉄平「週に何回か…病院の先生から貰った薬を、治験だか何かと言って打っとるらしいが…ありゃ間違いなく何かの病気を抑える薬じゃ…!」

魅音「…嘘…」

鉄平「ワシかて分かる…!そんな、子供に治験させる医者なんぞ、おるわけがない…!」

茜「…」

鉄平「…きっと今、あの子は苦しんどるんじゃ…!病気のことも、兄のことも!!」

お魎「…」

鉄平「…お願いじゃ…どんな苦難にも耐えて必氏で生きとる、沙都子を…」

魅音「…」

鉄平「あいつの人生を、奪わんでくれ…!!!」

206: 2017/05/28(日) 22:01:10.98 ID:K1KRwxSGO
茜「…人生、ねぇ」

鉄平「…」

茜「…これが、普通の家の子だったら、考えたんだがねぇ…」

鉄平「…!」

お魎「あれは北条の家。情けなんざかけるこたぁねぇ」

鉄平「…そんな…!」

茜「悪いけど、沙都子とやらにも責任は負ってもらうよ」

鉄平「…!!」

茜「アンタは勿論、帰さない。そうしなきゃウチのメンツ丸潰れだ」

鉄平「…」

茜「聞いてはやるとは言ったけど、考えるとは言ってないよ」

鉄平「…!」

お魎「そいつを連れてけ。ついでに北条沙都子も連れてこんか」

鉄平「や…やめ…!!」

魅音「待って!!」

207: 2017/05/28(日) 22:02:22.17 ID:K1KRwxSGO
お魎「あ?」

茜「あ?」

魅音「…待って!」

鉄平「…」

茜「何だい?次期当主」

魅音「…」

茜「まさか、現当主のご意向に逆らおうってかい?」

魅音「…沙都子は、関係無い…!」

お魎「何だって…?」

魅音「沙都子は!!関係無い!!」

茜「あるよ」

魅音「…!」

茜「こいつ一人じゃどうにもならない。なら親類にも責任を負ってもらう。筋は通ってるじゃないかい」

魅音「…でも…」

お魎「でももクソもあるか。元々気に食わんかったんじゃ。北条の人間がいつまでも雛見沢に…」

魅音「…!」

茜「…ま。北条に産まれたのが運の尽きだってことさね」

魅音「…ざけないで…」

茜「・・・」

魅音「…ふざけないで…!」

茜「・・・あ?」

魅音「ふざけるなって!!言ってんのよ!!!」

鉄平「!」

お魎「…」

208: 2017/05/28(日) 22:03:09.94 ID:K1KRwxSGO
茜「・・・何だって?」

魅音「何が園崎よ…何が北条よ…!!」

お魎「…キサマ…」

魅音「そんなつまらないことで!!いつまでも!!何が園崎組なのって聞いてんのよ!!!」

茜「…その言葉…」

魅音「…」

茜「本心かい?」

魅音「…そうだよ…!!」

茜「・・・へぇ」

魅音「何の罪も無い子供にすら敵意を向けるような、ちっさいちっさいヤクザだって言ってんのよ!!!」

茜「…吐いた唾は、飲み込めないよ」

魅音「何度だって言ってやる!!アンタらは…!!」シュッ

茜「…」ジリ…

魅音「…!!」ビクッ

茜「…一度は大目に見た。二度目は怒った」ジリ…

魅音「…」

茜「…三度目は、例え娘でも容赦しないよ」

魅音「…!」

茜「友達だか何だか知らないけど、アンタはこのアタシと当主の前で大見得を切った。例え親子でも越えちゃならないもんがある」

魅音「…」

茜「…指一本くらいは、覚悟しなよ…!」ビュッ

魅音「ッ!!」

209: 2017/05/28(日) 22:03:51.50 ID:K1KRwxSGO
レナ「…え…?」

鷹野「ごめんなさいねぇ?何だか急に青ざめた顔して、帰っちゃったの…」

レナ「…何…で…?」

鷹野「…さぁ?何だか切羽詰まってる感じだったから…」

レナ「…!」ダッ

鷹野「…あら?レナちゃん?…そっちはベッドしか…」

レナ「…」

鷹野「…ごめんなさいねぇ。止めたんだけど…」

レナ「…本当に、行っちゃったんですね…」

鷹野「ええ。…酷い人よねぇ。私も振り切られちゃって…」

レナ「…」

鷹野「折角レナちゃんがお話ししたいって言ってくれてたのに…」

レナ「…」

鷹野「世の中、ああいう人もいるのね。…でも気にしちゃダメよぉ?」

レナ「…」

鷹野「だって、気にしてたら前に進めないじゃないの。ね?」

レナ「…はい」

鷹野「…事情は聞いてるから。どうするの?お家に帰る?」

レナ「…」

鷹野「帰りづらかったら、ここに居ても良いのよ?…傷も、痛むかもしれないでしょ?」

レナ「…あの、鷹野さん」

鷹野「…なあに?」

レナ「…どうして、嘘、吐くんですか?」

鷹野「・・・え?」

210: 2017/05/28(日) 22:04:57.13 ID:K1KRwxSGO
レナ「…」

鷹野「…嘘?」

レナ「はい。嘘です」

鷹野「どういうことなの?私は…」

レナ「嘘ですよ」

鷹野「吐いてなんかないわよぉ。私はちゃあんと…」

レナ「嘘だッッ!!!」

鷹野「!」

レナ「…」

鷹野「…」

レナ「…」

鷹野「…どうして、そう思うのかしら?」

レナ「…これ…」

鷹野「…?」

レナ「…誰の、髪の毛ですか?」

211: 2017/05/28(日) 22:05:37.62 ID:K1KRwxSGO
鷹野「…」

レナ「この髪の毛。長さも色も、この辺の人じゃありません。監督でも、鷹野さんでも、リナさんでも…」

鷹野「…風で飛んできたのかしら?」

レナ「…この辺りは、お爺さんとお婆さんばかりですよね?往診が出来るだけ早く出来るようにって…」

鷹野「…」

レナ「それに、ベッドの下に落ちてました。まるで隠すように」

鷹野「…!」

…。

リナ『…!…!』ズルズル

小此木『あん?おいおい…まさか逃げられると思ってんのか?』

リナ『…!…!』ズルズル

…。

鷹野「…そう…」

レナ「…」

鷹野「…じゃあ、誰かさんが引き取りに来た。っていうのはどうかしら?」

レナ「引き取りに来たのに、どうしてこんなにベッドが破れてるんですか?」バサッ

鷹野「…あら…」

レナ「…教えて下さい」

鷹野「…」

レナ「…リナさんに、何をしたんですか…!」

鷹野「…うふふ」

レナ「…!」

鷹野「…そう、そうなの…」

レナ「…鷹野…さん…?」

鷹野「…あの子、意外と頭良いのねぇ…」

レナ「え…」

212: 2017/05/28(日) 22:06:22.27 ID:K1KRwxSGO
鷹野「…」

レナ「…え…?」

鷹野「…ごめんなさいねぇ。でも…貴方が悪いのよぉ?」

レナ「…それ…拳銃…」

鷹野「安心して。サイレンサー付きだから、周りには聞こえないし、病院だから幾らでも血は消せるわ」

レナ「!」

鷹野「…全く…子供なんだから…」

レナ「…」

鷹野「覚えておきなさい?竜宮礼奈ちゃん」

レナ「…!」

鷹野「…この世にはね、聞いちゃいけないこともあるって…ね?」

レナ「!!」

213: 2017/05/28(日) 22:07:11.15 ID:K1KRwxSGO
…。

茜「…」

魅音「…!」

お魎「…!!?」

鉄平「!?…!!?」

茜「(…あ?な、何だいこりゃ…)」

魅音「(身体が…動かない…?)」

お魎「(な、何じゃ…?)」

鉄平「(ゆ、指すら動かん…!他の奴らも、止まって…!)」

「…本来、この力は…」

茜「(…あ!?)」

「この力は、二度と使わないつもりだった」

お魎「(…!?)」

「久しく使っていなかったせいか、加減が効かない可能性があるが…」

魅音「(…あれ…?)」

「生憎、これ以外の方法が思いつかなかった」

鉄平「(…!この声…!!)」

「これしか、出来ない。…だが、俺にしか出来ない」

魅音「(…左之助…先生…!?)」

チェイス「ロイミュードである俺にしか、出来ない事だ」
no title


「「「「(誰!!!?)」」」」

第8話 終

214: 2017/05/28(日) 22:07:47.34 ID:K1KRwxSGO
続きまたそのうち書きます

215: 2017/05/29(月) 00:41:41.77 ID:KRJC/yfqo


一気読みしちゃった。仮面ライダー全然知らないけど凄い面白い
チェイスは男前系かと思って画像調べたらめっちゃ甘いイケメンでビックリした
最近の特撮の俳優は随分顔が若くて甘いんだなぁ

216: 2017/05/29(月) 01:14:47.22 ID:VD9+aO4bO
乙彼
そりゃ誰ってなるわなwww


引用: チェイス「雛見沢…」