531: 2015/06/07(日) 12:02:39 ID:Y9Zogchs

前作
【モンハン】狩人「目指すは伝説級ハンター!」【其の1】

【モンハン】狩人「目指すは伝説級ハンター!」【其の2】
【モンハン】狩人「目指すは伝説級ハンター!」【其の3】

―――――――――――


数日後の昼頃

密林


露出女「そっちに行ったよ! 狩人!」

狩人「ああ!」

狩人「でやああああっ!」

     ブウンッ!(亜空間タックル)

     バゴォッ!

狩人「ヘベッ!?」

娘ハンター「だ、大丈夫ですか!?」
映画 モンスターハンター(吹替版)
532: 2015/06/07(日) 12:03:23 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


BC(ベースキャンプ)


狩人「」

狩人「はっ!?」

救助アイルー「気がついたかニャ?」

狩人「…………」

狩人「……また1乙したのか」

救助アイルー「そろそろガノトトス、狩猟される頃だと思うニャ」

救助アイルー「早く行かないと、剥ぎ取り損ねるニャ」

狩人「そ、そうか……早く行かないと!」

救助アイルー「頑張ってくれニャ」

533: 2015/06/07(日) 12:04:13 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


露出女「おー、帰ってきたか」

娘ハンター「あ、大丈夫ですか?」

ハンター(女)「早く剥ぎ取りしなよ?」

狩人(……本当に終わってるし)

狩人「お、おう……」

―――――――――――

狩人「はあ……間に合った」

狩人「でも、なんかほとんど任せてごめん……」

露出女「お疲れ!」

娘ハンター「調子の悪い時もありますよ」 クスッ

ハンター(女)「そうそう」

534: 2015/06/07(日) 12:05:40 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


数日後の午後

ふもと村 集会所


狩人「あの、どうもありがとうございました」

露出女「いやいや。 礼を言われるほどの事じゃねーよ」

娘ハンター「これでHR3ですね。 おめでとうございます」

露出女「けどまあ……どうしてもってんなら」

露出女「ひとつだけ頼みを聞いてくれねーか?」

狩人「え? ああ、俺に出来る事なら」

ハンター(女)「んふふ、やっぱそれ狙いか」

狩人「……?」

露出女「あんたの髪の毛を一本くれないか?」

535: 2015/06/07(日) 12:06:47 ID:Y9Zogchs

狩人「髪の毛……ですか?」

ハンター(女)「そう! ぜひちょうだい♪」

娘ハンター「お、お願いします……」///

狩人「は、はあ……」

     ピッピッピッ…

狩人「これでいいんですか?」

露出女「そう! これでいいの♪ あんがとねー♪」

ハンター(女)「じゃ! またねー!」

娘ハンター「私、しばらく、ふもと村に居ますから、また誘ってください」

娘ハンター「それじゃ」

536: 2015/06/07(日) 12:07:48 ID:Y9Zogchs

狩人「あ、ああ……また」

狩人「…………」

狩人(……何なんだ、この展開)

狩人(みんな(特に女性ハンター)手のひらを返した様に接してくる)

狩人(どうやら俺の髪の毛が目当てだったみたいだが……)

狩人(しかも全員上位ハンターだよな?)

狩人(……わからん)

????「……ただのゲン担ぎだ」

狩人「え?」

狩人「!」

狩人「あ、あんたは!? イケメン!!」

537: 2015/06/07(日) 12:09:01 ID:Y9Zogchs

イケメン「……いかにも俺はイケメンだが」

イケメン「どこかで会っていたか?」

狩人「白々しい! 何も知らない俺を騙して、クエストの報酬だまし取っただろ!」

イケメン「! ……そういう事か」 ハア…

狩人「あの時の金、返せ!」

イケメン「いいから落ち着け」

イケメン「お前の言う『イケメン』の顔には、頬に傷跡が無かったか?」

狩人「何が傷跡だ! そんな事でもう騙され……え?」

イケメン「ここだ。 この部分に傷跡が無かったか?」

     イケメンは、自分の頬にトントンと指で指し示す。

     もちろん傷跡など無い。

狩人「……確かに」

イケメン「まったく……」

538: 2015/06/07(日) 12:10:14 ID:Y9Zogchs

イケメン「君に迷惑をかけたのは、俺の双子の兄の方だ」

イケメン「名前もベテラン、という名前でな」

狩人「はあ!?……偽名まで使っていたなんて」

狩人「ギルドにバレたらタダじゃ済まないのに……」

イケメン「俺も迷惑している」

イケメン「おそらく、クエの受注は君にさせたのだろう?」

イケメン「ギルドは受注者以外の素性は余り確かめない」

イケメン「そこを上手く突いているんだよ」

狩人「……ギルドは黙認しているんですか?」

イケメン「ある意味な」

539: 2015/06/07(日) 12:11:50 ID:Y9Zogchs

イケメン「もっとも被害者が初心者ばかりで、極端に訴える者がいない」

イケメン「内容も少し気をつければ住む事だし、被害金額も少なく」

イケメン「告発自体を恥ずかしいと考えて、泣き寝入りする者がほとんどだ」

イケメン「君もその口か?」

狩人「…………」

イケメン「……やれやれだな」

狩人「よ、余計なお世話だ!」///

狩人「あんたも身内なら、もっと注意してやれよ!」

イケメン「兄は俺の言う事なんて聞きゃしないよ」

イケメン「まったく……兄のしでかした事で何度、嫌な目に合わされた事か……」

イケメン「……というか、なぜ、兄の話になったんだ?」

狩人「あんたが俺に声をかけてきたんじゃないか」

狩人「なんか、ゲン担ぎがどうとか……」

イケメン「あー……そうだったな」

540: 2015/06/07(日) 12:14:35 ID:Y9Zogchs

イケメン「さっきの……お前の髪の毛を欲しがったのは」

イケメン「下位ハンターがG級モンスターを打ち破ったと聞いて」

イケメン「それにあやかりたいんだよ」

狩人「……なるほど」

イケメン「G級に上がるには努力はもちろんだが……」

イケメン「運の要素も強い」

イケメン「幸運を手にした者の一部は、効果がありそうだからな」

狩人(聞いていると切なくなる話だ……)

イケメン「まあその分、クエを手伝ってもらえたんだ」

イケメン「よしとしておくんだな……じゃ」

狩人「…………」

541: 2015/06/07(日) 12:15:45 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


狩人の家


狩人「……ただいま」

板前アイルー「おう! けえってきたかニャ、旦那!」

板前アイルー「お疲れ様だニャ!」

狩人「おう……」

板前アイルー「……なんか元気ねぇけど、どうかしたかニャ?」

狩人「いや、何でもない」

狩人「今日はさっぱりしたもの……刺身とかいいかな」

板前アイルー「ガッテンだニャ!」

狩人「金はまだあるか?」

板前アイルー「問題ないニャ!」

542: 2015/06/07(日) 12:16:56 ID:Y9Zogchs

     ドサッ…

狩人「ふう……」

狩人(…………)

狩人(……待てよ?)

狩人(俺でこれなら……少女の奴はもっとすごいんだろうな)

狩人(何もなくたって、彼女の髪の毛ならお守りになりそうだし)

狩人(欲しがる男は多そうだなぁ……)

狩人(…………)

狩人(俺ももらおうかな)

狩人(……まてまて、何かそれはダメすぎな気がする)

543: 2015/06/07(日) 12:18:24 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


翌日の朝

ふもと村 集会所


     ガヤ ガヤ

少女「おはよう、狩人」

狩人「ああ、おはよう少女」

少女「見事にガノトトス倒したんだってね」

少女「おめでとう」

狩人「……倒したっていうか」

狩人「むしろ倒してもらったって言う方が正しいと思う」

少女「……たくさんの女の子に囲まれて良かったわね」 フンッ

狩人「俺の髪の毛目当てだったんだよ」

少女「髪の毛?」

544: 2015/06/07(日) 12:19:22 ID:Y9Zogchs

少女「なるほど……ゲン担ぎね」

狩人「少女も野郎ハンターからクレクレ言われているんじゃないのか?」

少女「全くないけど……」

狩人「え? そうなの?」

少女「うん」

狩人「へー……ちょっと意外だな」

狩人「俺なんかより、よっぽど御利益ありそうなのに」

少女「…………」

少女「……欲しい?」

狩人「ん?」

少女「私の髪の毛」

545: 2015/06/07(日) 12:20:12 ID:Y9Zogchs

狩人「……考えはしたけど」

狩人「なんか、いろいろダメな気がするから……」

少女「……そう」

狩人「それよりHRも同じになったし」

狩人「何か狩りに行かないか?」

少女「それもそうね」

少女「じゃあ……レイアはどう?」

狩人「ああ、ちょうどいいかも」

狩人「話には聞いていたし、ランクが上がったらやってみたかったんだ」

少女「なら問題ないわね」

少女「火炎攻撃は離れてても飛んできて厄介だから、よく見て覚えて」

狩人「わかった」

546: 2015/06/07(日) 12:21:08 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


砂漠のとあるエリア


ロートル「はあ!」

     ズバズバズバッ!

ロートル「ふう……ドスゲネポスを狩るのも飽きてきたな」

ソロ「そう言うな、ロートル」

ソロ「これも目的のためだ」

ロートル「……わかっているさ」

ロートル「…………」

547: 2015/06/07(日) 12:22:27 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


砂漠村 集会所


ロートル「ふう……」

????「よう。 クエは順調か?」

ソロ「む……?」

????「おっと、こいつは失礼」

????「俺はイ……ベテラン、という名前のハンターだ」

ベテラン「よろしく」

ロートル「よろしく。 ロートルだ」

ソロ「よろしく。 ソロだ」

ベテラン「少し話をしたいんだが、構わないか?」

ベテラン「挨拶がわりに一杯おごろう」

548: 2015/06/07(日) 12:23:26 ID:Y9Zogchs

     コト…

ロートル「……で? 話とは?」

ベテラン「まあまあ。 その前に少し聞きたいんだが」

ベテラン「おたくら、何を狩りに来たんだ?」

ベテラン「今の時期、砂漠なら上位クラスのガノトトスってトコなのに」

ベテラン「ここ数日ドスゲネポスしか狩っていないな?」

ロートル「……片手剣の素材を集めているだけだ」

ソロ「ついでにダイミョウザザミも狩っている」

ベテラン「なるほど。 もっともらしい理由だ」

ベテラン「だが……」

ベテラン「俺はふと、ある事に気がついた」

549: 2015/06/07(日) 12:25:29 ID:Y9Zogchs

ロートル「…………」

ソロ「…………」

ベテラン「最初の疑問は武器と防具の属性だ」

ベテラン「ドスゲネポスを狩るのに水属性で火炎耐性の防具」

ベテラン「おまけにかなりの鎧玉をつぎ込んだ重装備……」

ベテラン「どう考えてもドスゲネポス相手とは思えねぇ」

ロートル「……他に防具を持っていないだけだ」

ロートル「どんなモンスター相手でもこれを使っている」

ロートル「武器は使い慣れているから、としか言い様がないな」

ベテラン「……ま、そういう言い訳は、ごもっともだな」

ベテラン「が、ここからは俺の推測だ」

ベテラン「おたくらはドスゲネポスを目的にしているんじゃないと仮定した場合」

ベテラン「ひとつだけ思いつく共通点が見えてきた」

550: 2015/06/07(日) 12:26:25 ID:Y9Zogchs

ロートル「…………」

ソロ「…………」

ベテラン「おたくらはドスゲネポス……いや、クエのモンスターが目的なんじゃない」

ベテラン「砂漠の『あるエリア』のクエを受注しまくっているんだ」

ロートル「…………」

ソロ「…………」

ベテラン「水属性で火炎耐性の防具……」

ベテラン「まるで火山のモンスターを狩りに行く装備だ」

ベテラン「何が目的なんだ?」

ベテラン「今の時期の砂漠には似つかわしくないぜ?」

ロートル「……そう言われてもな」

551: 2015/06/07(日) 12:27:01 ID:Y9Zogchs

ロートル「ベテラン……とか言ったな」

ロートル「君の言う通り、怪しく見えても」

ロートル「俺たちはドスゲネポスを狩りに来ただけ……それだけだ」

ベテラン「…………」

ベテラン「やれやれ……どうやら警戒されているみたいだな」

ベテラン「じゃ、今日はここまでにしておく」

     ガタタ…

ベテラン「機会があったら、俺も『ドスゲネポス狩り』に参加させてくれ」

ベテラン「ぜひな」

ロートル「まあ考えておくさ」

ベテラン「期待してるぜ……ふふふ」

     スタ スタ スタ…

ロートル「…………」

552: 2015/06/07(日) 12:28:31 ID:Y9Zogchs

ソロ「……ガブラス野郎め」

ロートル「油断も隙もないな……」

ロートル「だが……確かに人数は欲しいところだ」

ソロ「気持ちは分かる」

ソロ「しかし、俺たちは何度も裏切られてきたからな」

ロートル「ああ……」

ロートル「何度もな……」

ソロ「…………」

ロートル(古龍頃し(エルダーキラー)を狙っている事を感づかれてはダメだ)

ロートル(G級を目指すハンターならば、この情報は喉から手が出るほど欲しいモノ……)

ロートル(絶対に他のハンターに気取られてはいけない)

ロートル(信頼して出し抜かれた事は一度や二度では無いからな)

553: 2015/06/07(日) 12:34:12 ID:Y9Zogchs

ロートル(だが……時間が経てば経つほど)

ロートル(あのベテランとかいうハンターの様にカンのいい奴が出てくる)

ロートル(早く出現しろ……テオ・テスカトル)

ロートル(…………)

ロートル(狩人達が同じ上位ハンターならな……)

ロートル(信頼もできるし、修行という名目もできて怪しまれずに済むのに)

ロートル(…………)

ロートル(ふ……いかんな)

ロートル(まだまだヒヨっ子のあいつらを頼ろうとするなんて)

ロートル(ましてやロクな装備もなしで古龍頃し(エルダーキラー)に付き合わせるとか)

ロートル(何を考えているんだ……俺は)

554: 2015/06/07(日) 12:35:16 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


森丘




     ギャオオオオオオオオッ!!



狩人「くっ……!」

狩人(こんな所まで咆哮の影響が来るのかよ!)

     ダンッ! ダンッ! ダンッ!

少女「怒ったわ!」

少女「ここからが正念場よ!」

狩人「わかった!」

555: 2015/06/07(日) 12:35:50 ID:Y9Zogchs

狩人(これがリオレイア……!)

狩人(火炎攻撃は厄介だし、目が退化しているフルフルと違って)

狩人(狙いもバッチリで隙が少ない!)

狩人(だが……!)

     ブウウンッ!

狩人(テールアタック!) 回避!

狩人「でやあああああああっ!」

     ドガァッ!!

     ギャオオオオオ……

狩人(基本的な動きや動作はフルフルとほぼ同じだ!)

狩人(懐に入ってしまえば……)

556: 2015/06/07(日) 12:36:26 ID:Y9Zogchs


     ザクッ!!


狩人(こっちのモノだ!)

狩人「はあああああああああっ!」


     グルルル……(後ずさり)


少女「!」

少女「ダメ! 狩人! 下がって!」

狩人「へ?」


     ギャアアッ!(サ○ーソルト)


狩人「あべばっ!?」

557: 2015/06/07(日) 12:37:39 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


BC(ベースキャンプ)


狩人「」

狩人「はっ!?」

救助アイルー「気がついたかニャ?」

狩人「…………」

狩人「……また1乙か」 ハア…

救助アイルー「毎回思うけど」

救助アイルー「あんたは本当に頑丈だニャ」

狩人「……ヤられてたら意味がないよ」

558: 2015/06/07(日) 12:38:40 ID:Y9Zogchs

救助アイルー「何言ってるニャ」

救助アイルー「レイアの宙返りテールアタックをまともに食らって」

救助アイルー「その程度で済んでるなんて、フツーありえないニャ」

狩人「……褒めても何も出ないぞ?」

救助アイルー「下位のレイアとはいえ」

救助アイルー「あいつの最大最強の攻撃方法だニャ」

救助アイルー「フツーの下位ハンターなら良くて一日中気絶」

救助アイルー「悪ければ体中の骨が砕けて再起不能ニャ」

狩人「……ウソだよな?」

救助アイルー「大真面目な話だニャ」

559: 2015/06/07(日) 12:39:59 ID:Y9Zogchs

     タッ タッ タッ

少女「狩人!」

狩人「え? 少女?」

少女「だ、大丈夫!?」

少女「私が分かる!?」

狩人「も、もちろん分かるし、大丈夫だよ」

少女「…………」

少女「は――っ……」 ヘナヘナヘナ…

救助アイルー「……とまあ」

救助アイルー「このくらいの心配される攻撃力なのは間違いないニャ」

狩人「…………」

少女「で? 狩人は大丈夫なの?」

救助アイルー「助けたこっちが驚いてるくらい元気だニャ」

560: 2015/06/07(日) 12:41:13 ID:Y9Zogchs

少女「そう……良かった」

救助アイルー「じゃ、俺はもう行くニャ」

     タッ タッ タッ…

狩人「…………」

少女「…………」

狩人「……なんか、ごめん」

少女「ううん、狩人が無事なら……」

少女「…………」

狩人「少女?」

少女「ねえ、狩人」

少女「あなた……モンスターの書物、読んでいないの?」

561: 2015/06/07(日) 12:42:05 ID:Y9Zogchs

狩人「!!」

狩人「あ……あ~……その……」

少女「…………」

狩人「……すまん」

少女「……私に謝る事じゃないわ」

少女「ねえ、狩人」

少女「モンスターの書物は、判明している事柄すべてを載せている」

少女「貴重な情報源よ」

少女「弱点部位、弱点属性、罠の効きやすさ、行動や習性、食性すらも書いてある」

少女「初めてのモンスターに挑むのなら、最低限、読んでおかないといけないものなのよ」

少女「ハンターとして」

狩人「…………」

562: 2015/06/07(日) 12:43:07 ID:Y9Zogchs

少女「今日はこの程度で済んだけど」

少女「明日は分からない」

少女「あなた自身の身の安全の為に、一度は目を通しておいて?」

少女「せめて、今日狩るモンスターの部分だけでもいいから」

狩人「そ、そうだな……うん」

狩人「分かったよ……」

少女「……本当に?」

少女「本当に分かってるの?」

狩人「分かってるよ」

狩人「ちゃんと読むよ……モンスターの書物」

少女「…………」

563: 2015/06/07(日) 12:44:02 ID:Y9Zogchs

少女「なら、いいわ」

少女「とりあえず今回は、私が一通り教えるから」

狩人「ああ、頼む」

少女「そうね……まず攻撃方法だけど」

少女「狩人が受けた宙返りテールアタックと、もう一つ要注意な攻撃があるわ」

狩人「うん」

少女「これは通常の火炎攻撃と動作がほぼ同じだから見分けがつきにくいけど」

少女「怒った時にやると思えばいいと思う」

少女「普通は単発だけど、三連続で、しかも左右に角度をつけて撃ってくるわ」

狩人「三連続か……角度ってどれくらいだ?」

少女「それほどないと思うけど、一度見れば分かると思うわ」

狩人「ふむふむ」

少女「それから……」

564: 2015/06/07(日) 12:44:57 ID:Y9Zogchs



     少女の説明は分かりやすく、的確で

     その後のレイアの狩りは問題無く終了した。



     …………

     だけど……

     このままでいい事はない。

     いい加減に言っておかなければ……




565: 2015/06/07(日) 12:45:49 ID:Y9Zogchs



     下手をすれば、彼女にも迷惑をかけてしまう。

     いや……少女だけじゃない。きっと他のハンターにだって……





     …………





     もしかしたら彼女に……俺は軽蔑されるかもしれない。




566: 2015/06/07(日) 12:47:18 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


夕方

ふもと村 集会所


少女「報酬は受け取った?」

狩人「ああ」

少女「そう」

狩人「……俺の1乙で少なくなってしまったな。 ごめん」

少女「いいよ、このくらいで謝らなくても……」

少女「それよりもモンスターの書物、ちゃんと読むのよ?」

狩人「……あ、ああ」

少女「それじゃ、また明日」

狩人「…………」

567: 2015/06/07(日) 12:48:05 ID:Y9Zogchs

広場


     タッ タッ タッ

狩人「少女!」

少女「え? 狩人?」

少女「どうしたの?」

狩人「…………」

狩人「……実は」

狩人「話したい事があるんだ」

少女「え? ……うん、何?」

568: 2015/06/07(日) 12:48:43 ID:Y9Zogchs

狩人「ここじゃちょっと……」

狩人「そうだな……少女の家に行ってもいいか?」

少女「……いいけど」

少女「いったい何のはn」

少女「!」

少女(……も)

少女(もしかして……もしかしたら)///

少女(もしかする……かも!?)///

少女「…………」///

少女「……大事な話……なの?」///

狩人「ああ……俺にとっても少女にとっても」

少女(わ、私にとっても!?)///

569: 2015/06/07(日) 12:49:33 ID:Y9Zogchs

狩人「とにかく、二人だけで話がしたいんだ」

狩人「頼む、少女」

少女「う、うん……分かった」///

少女「で、でも! ちょっと時間をちょうだい」///

狩人「え? 時間?」

少女「家……少し散らかってるから、片付けたいのよ」///

狩人「い、いや、俺は気にしな」

少女「私が気にするの!」///

少女「とにかく……そうね」

少女「一時間くらいしたら来て」

狩人「……分かった」

570: 2015/06/07(日) 12:50:11 ID:Y9Zogchs

少女(…………)

少女(大事な話……)

少女(狩人と私にとって……)

少女(おまけに二人きりでって……)

少女(…………)

少女(……こ、これは)///

少女(間違いない……よね?)///

少女(そんなに経験ないけど……)

少女(両思いになれる……のよね?)///

少女(~~~~~っ!!)///

571: 2015/06/07(日) 12:50:57 ID:Y9Zogchs


―――――――――――


一時間後

少女の家


     コン コン

狩人「少女、俺だ。 狩人だ」

     キィ…

少女「い、いらっしゃい……」///

狩人「…………」

狩人(……着替えたかったのは分かるけど)

狩人(この前並に気合の入った格好だな……)

狩人「……何か、気を使わせたみたいだな」

少女「う、ううん、そんな事ないよ!?」///

少女「そ、そういう気分ってだけだからっ」///

572: 2015/06/07(日) 12:52:29 ID:Y9Zogchs

狩人「えと……入っていいか?」

少女「!」

少女「あ、う、うん。 どうぞ、入って」

狩人「お邪魔します」

     パタン

―――――――――――

少女「…………」///

狩人「…………」

少女「……え、えと……お茶でも出すね」///

狩人「あ、いや……そんなに気を使わないでくれ」

狩人「これから話す事は、そんなにいい話じゃないし……」

573: 2015/06/07(日) 12:53:06 ID:Y9Zogchs

少女「……え?」

狩人「…………」

狩人「……実はな、少女」

少女「う、うん」///

狩人「俺……前からずっと言わなきゃ、って思ってた事がある」

少女「そ、そう……」///

狩人「出だしで躓(つまず)いて、集会所に出入りしにくくなったから」

狩人「必要ない様に感じていたけど……」

狩人「今日みたいな事が起きて、やっぱり言わないといけないって痛感した」

少女(……ん?)

狩人「今まで黙っていてごめん、少女」

狩人「実は……俺……」

少女「…………」

574: 2015/06/07(日) 12:54:06 ID:Y9Zogchs









狩人「字が……読めないんだ」










579: 2015/06/13(土) 10:22:26 ID:pS/m6xf6

少女「…………」

少女「……え?」

少女「字が……読めない?」

狩人「……ああ」

少女「……ちょっと待って」

少女「そんな訳ないでしょう?」

少女「だったらハンター試験はどうなるの?」

少女「筆記試験もあったじゃない」

狩人「あれは答えが選択式の試験だし……」

狩人「他のハンター受験者の話を聞いて一番右を選んで書いておけば」

狩人「とりあえず合格点には届くって知ってたから」

少女「……名前はどうしたの?」

狩人「孤児院に居た時、それだけは教えてもらって書ける様になったんだ」

580: 2015/06/13(土) 10:23:09 ID:pS/m6xf6

少女「…………」

少女「……そうだったの」


少女(そうだ……狩人は……)

少女(孤児院出身者だった)

少女(一応学校はあるけど……辺境、それも特に猟区に近い村なんかは)

少女(そういった施設が無い事が多いって聞く)

少女(さらに国や地域で修学制度も違うし、彼のようなハンターが居てもおかしくない)

少女(…………)

少女(これは……ハンターの需要と供給のバランスで)

少女(ある程度、黙認されている事なのかも知れない)

少女(私だって……ハンター試験の問題をお金で解決した)

少女(…………)

581: 2015/06/13(土) 10:24:06 ID:pS/m6xf6

狩人「…………」

狩人「この前の……G級ティガ襲来で」

狩人「少女にメモを渡された時、焦ったよ」

少女「!」

狩人「ティガがどんなものか、だいたい知っているって程度だったし」

狩人「とにかく、あの時はティガというモンスターに対して備えるって事しか」

狩人「俺には出来なかった」

少女「…………」

少女「……結果的には、それで助かった側面もあるわね」

少女「私のメモ、持っていけたら罠を……としか書いてなかった」

582: 2015/06/13(土) 10:25:13 ID:pS/m6xf6

狩人「そうだったのか」

狩人「ロートルさんの言う通り、本当にツイてたんだな……俺たち」

少女「…………」

狩人「…………」

少女「……あ」

狩人「ん?」

少女(字が読めない……という事は)

少女(調合書も読めない、という事)

少女「……まさか」

少女「狩人、もしかして今まで……」

少女「秘薬とか強走薬とか……飲んでない……の?」

583: 2015/06/13(土) 10:26:37 ID:pS/m6xf6

狩人「……それがどういう飲み物なのかも知らないよ」

少女「」

狩人「…………」

少女「…………」

少女「……狩人がどうしてよく3乙するのか」

少女「今、やっと分かったわ」

狩人「…………」

少女「クエの受注はどうしてたの?」

狩人「受注書類には場所と仕事内容(狩猟や捕獲が色分けされている)」

狩人「それに討伐モンスターの絵が書いてある。 あれで判別していたんだ」

狩人「それに受付嬢さんに『ガノトトスのクエある?』とか聞けば出してくれるし」

少女「……なるほど。 確かにあったわね」

少女(やっぱりギルドは……ある程度の黙認をしているんだわ)

584: 2015/06/13(土) 10:27:20 ID:pS/m6xf6

少女「……ともかく」

少女「読み書きができないっていうのは結構な問題ね」

狩人「…………」

少女「事情はわかった」

少女「狩人、早めに打ち明けてくれてよかったわ」

狩人「……え?」

狩人「怒らないのか?」

少女「どうして私が怒らないといけないのよ?」

狩人「いろいろ迷惑かけたし……」

少女「…………」

少女「……そうね」

少女「でも、気に病む必要はないと思う」

585: 2015/06/13(土) 10:28:26 ID:pS/m6xf6

狩人「……そうか?」

少女「ギリギリだったけど、まだ取り返しがつく段階だし」

少女「反省が出来るのなら、これから何とかすればいいのよ」

狩人「少女……」

少女「でも」

少女「これは……そうねぇ」

少女「女さんに相談してみるべきだと思う」

狩人「女に?」

少女「狩人、確か……数字は分かってたわよね?」

狩人「ああ、足し算と引き算はできるし、数字や単位はある程度分かる」

狩人「孤児院で数字がわからないと、大変だからな」

少女「何が大変なの?」

586: 2015/06/13(土) 10:29:21 ID:pS/m6xf6

狩人「主に買い物で必要だった」

狩人「買い出しで金額とか間違えたら、ものすごく怒られたし……」

少女(子供を働かせる孤児院だったのかしら……)

少女「……なるほど」

少女「となると……」

少女「やっぱり彼女にお願いするのが一番だと思う」

少女「読み書きはすぐに出来るものじゃないし、私はハンターとしての仕事もある」

少女「その点、女さんなら仕入れはあるけど割と村に居るし」

少女「識字に関する資料を集められる情報も持っていると思うわ」

狩人「……よくわからないけど」

狩人「女が適任、って言いたいんだな?」

少女「ええ」

587: 2015/06/13(土) 10:30:38 ID:pS/m6xf6

少女「もちろん私も手伝うわ」

少女「でも、しばらく狩人は、狩りを休む必要があると思う」

狩人「……そっか」

狩人「せっかくランク上がったばかりなのにな」

少女「毎日休む必要はないわよ」

少女「例えば3日勉強して1日狩りをして1日休む」

少女「こんな風にすればいいのよ」

狩人「なるほど。 少女は頭がいいな」

少女「この程度……ううん、とにかく今はG級ティガの報酬で余裕もあるし」

少女「いい機会だと思ってやればいいと思う」

狩人「そう……か。 そうだな」

狩人「じゃ、明日さっそく女に相談してみるよ」

588: 2015/06/13(土) 10:31:33 ID:pS/m6xf6

少女「うん、それがいいと思うわ」

狩人「ありがとう、少女」

狩人「俺、少女に打ち明けて良かった」

少女「ふふ、どういたしまして」

狩人「それじゃ、帰るよ」

少女「ええ、またね、狩人」

     パタン…

少女「…………」

少女「……字が読めない、か」

589: 2015/06/13(土) 10:32:16 ID:pS/m6xf6

少女(…………)

少女(でもそれは、多少時間がかかっても何とかできる事柄)

少女(だけど……秘薬もなしで今まで戦ってこれたなんて)

少女(とてつもない身体能力……)

少女(…………)

少女(……いくら努力したって、私は絶対に得る事ができない才能だわ)

少女(…………)

少女(羨ましい……)

590: 2015/06/13(土) 10:33:23 ID:pS/m6xf6


―――――――――――


翌日の朝

ストア裏 女の家


女「」

女「字が読めない!?」

狩人「ええ……」

女「あきれた……でも結構難しい言葉を知ってるのに」

女「!」

女「ちょっと待って……字が読めないって事は」

女「秘薬とか鬼人薬とか作れないだろうから、飲んだ事が無いって事!?」

591: 2015/06/13(土) 10:34:34 ID:pS/m6xf6

狩人「そうです」

女「」

狩人「少女にも同じように驚かれた」

女「……狩人がよく3乙する理由が分かった」

狩人「それも少女に言われたよ」

女「…………」

女「あんたって……ううん、何でもない」

狩人「?」

女(秘薬なしで、今まで3乙しながらも狩りを続けてこれたって事は)

女(もしかしたら狩人は……とんでもない才能を持っているのかも……)

女「とにかく、要件はわかったわ」

女「私もお店があるから毎日は無理だけど……協力するわ」

592: 2015/06/13(土) 10:35:13 ID:pS/m6xf6

狩人「ありがとう、女」

女「となると……教材がいるわね」

女「まあ、何とかなるか」

女「とりあえず今夜、狩人の家に行くわ」

狩人「ああ、分かった」

狩人「しばらくは雪山での採取クエをやる事にする」

女「そうね。 それがいいと思う」

女「それじゃ、今夜」

狩人「ああ」

女「…………」

女(……う~ん)

593: 2015/06/13(土) 10:36:13 ID:pS/m6xf6


―――――――――――


その日の夜

狩人の家


女「とりあえず目標を決めてかかるわ」

狩人「目標?」

女「そう、目標!」

狩人「具体的には?」

女「まずはこの本を読める様になろう」つ(絵本)

狩人「わかった」

狩人「……けど、なんか子供っぽい表紙の本だな」

女「でも、読めないんでしょ?」

狩人「……はい」

594: 2015/06/13(土) 10:37:38 ID:pS/m6xf6

女「それじゃ最初に基本的な事から始めないとね」

女「読み書きって、文字通り『読んで』『書かない』と覚えられないのよ」

狩人「はい」

女「そこでまずは……『こんにちは』とか『さようなら』とか」

女「そういうのを何度も書いて覚えてね」

狩人「何度も、か……」

女「うんうん、気が滅入るよね」

女「でも私たちは、そういう教育を受けて、字が読めるし書ける様になったのよ」

狩人「教育……」

女「そうよ」

女「さ、英雄への道も一歩から」

女「書いて書いて、書きまくって覚えるの!」

狩人「は~い……」 ←若干涙目

595: 2015/06/13(土) 10:38:41 ID:pS/m6xf6



     こうして、文字を読める様になる勉強が始まった。

     お手本を見て、お盆位の大きさの黒板に

     チョークで繰り返し、繰り返し

     『こんにちは』を書いていった……



     正直面倒くさいことこの上ないが

     文字が読めれば、最初のホットドリンクだって

     どういう効果なのかラベルを読んで理解できたんだ。




596: 2015/06/13(土) 10:39:38 ID:pS/m6xf6







     そう思いつつも……

     やっぱり面倒くさかった。 ううっ……








597: 2015/06/13(土) 10:40:25 ID:pS/m6xf6


―――――――――――


数日後の午前中

砂漠村 集会所


ベテラン「よお、お二人さん」

ソロ「…………」

ロートル「……またあんたか」

ベテラン「まあまあ。 そう言わずに俺も参加させてくれ」

ベテラン「ドスゲネポス狩りに」

ロートル「…………」

ロートル「わかった」

ソロ「……おい、ロートル」

ロートル「いいんだ、ソロ」

ベテラン「へへっ、ありがとうよ」

598: 2015/06/13(土) 10:40:59 ID:pS/m6xf6

ソロ(……本当にいいのか、ロートル)

ロートル(どこまで気がついているのか知らんが)

ロートル(装備は俺たちの属性をしっかりと真似してきている)

ロートル(HRも6だ)

ロートル(足でまといにはならんだろう)

ソロ(…………)

ロートル(それにここで断ったら返って怪しまれる)

ロートル(一度つき合わせて、ドスゲネポス狙いだと思わせておけばいい)

ソロ(…………)

599: 2015/06/13(土) 10:41:54 ID:pS/m6xf6

ロートル(古龍が出たら出たで構わないだろう)

ロートル(運がよければ、みんな揃ってG級になれる)

ロートル(古龍頃し(エルダーキラー)は、人手があればありがたいからな)

ソロ(…………)

ソロ(背に腹は代えられない、か……)

ソロ(分かった、ロートル)

ロートル(よし)


ロートル「よろしくな、ベテラン」

ソロ「よろしく」

ベテラン「ああ、よろしく!」

600: 2015/06/13(土) 10:42:29 ID:pS/m6xf6

※注 それぞれの装備


ロートル(HR 6)

武器:双剣(ギルドナイトセーバー)
防具:レウスS装備一式


ソロ(HR 6)

武器:大剣(蒼刃剣ガノトトス)
防具:レイアS装備一式


ベテラン(HR 6)

武器:ランス(アクアンスピア)
防具:クック(亜種)U装備一式

601: 2015/06/13(土) 10:43:21 ID:pS/m6xf6


―――――――――――


砂漠のとあるエリア


     ザッ ザッ ザッ…

ロートル「…………」

ソロ「…………」

ベテラン「…………」

ベテラン「……まあ信用されてないのは分かるが」

ベテラン「もう少し口数があってもいいんじゃないのか?」

ロートル「……そんなんじゃない」

ロートル「ソロ……気づいているか?」

ソロ「ああ。 様子がいつもと違うな」

ベテラン「様子?」

602: 2015/06/13(土) 10:44:23 ID:pS/m6xf6

ロートル「いつもならゲネポスの群れがここに居るんだが……」

ロートル「見当たらないな」

ベテラン「へえ?」

ベテラン「だが、ツガイだったら群れのない時もあるぜ?」

ソロ「……確かにな」

ベテラン「ここんとこ、おたくらがドスゲネポス狩りまくったせいで」

ベテラン「単純に居なくなったんじゃねーの?」

ロートル「かもしれん」

ベテラン「へっ……」

ベテラン「にしちゃあ……嬉しそうだな、あんたら」

ベテラン「いよいよお目当てのモンスターが……ってとこか」

603: 2015/06/13(土) 10:45:06 ID:pS/m6xf6

ロートル「…………」

ソロ「…………」

ベテラン「……そろそろ何を相手にするのか」

ベテラン「教えてくれないか?」

ロートル「見ればわかるさ」

ロートル「嫌でもな」

ベテラン「ふん……」

ベテラン(どうやら、ただならぬ相手みたいだな)

ベテラン(火炎耐性の防具に水属性の武器……)

ベテラン(普通ならグラビモス、ってところだが)

ベテラン(砂漠にグラビモスが出たなんて聞いたこともねぇ)

ベテラン(いったい何を狙ってんだ……?)

604: 2015/06/13(土) 10:45:54 ID:pS/m6xf6



     ゴガアアアアアアア……



ロートル「!」

ソロ「!」

ベテラン「……!?」

ロートル(ついに……)

ロートル(ついに来たか!)

ロートル「クーラードリンクを飲み直せ!」

ロートル「ベテラン、これから長丁場になる。 覚悟しておけ」

ベテラン「あ、ああ……」

605: 2015/06/13(土) 10:47:24 ID:pS/m6xf6

ベテラン(何だ……? 今の鳴き声)

ベテラン(正直、聞いた事もない鳴き声だったぞ)

ベテラン(…………)

ベテラン(火炎耐性……水属性の武器……)

ベテラン(知らない鳴き声……)

ベテラン(そして……こいつらの秘密めいた行動……)

ベテラン(…………)

ベテラン(っ!!)

ベテラン「ま……まさか!?」

ロートル「気がついたか? ベテラン」

ベテラン「……正気か、お前ら。 俺がいなかったら二人で……」

ベテラン「いやそれよりも、どうやって古龍の情報を……」

ロートル「そんな話は、終わってからいくらでも話してやるさ」 クスッ

606: 2015/06/13(土) 10:48:22 ID:pS/m6xf6



     鳴き声の主は

     この目の前の砂丘を越えれば見えるだろう。



     G級ティガをも圧倒する古龍……

     それを上位装備で倒そうというのだから、並大抵の実力では

     敵う事なく終わることも珍しくない。



     だが――

     それでも、自身がG級ハンターになる為にはやるしかないのだ。

     衰えが見え始めた自分が手に出来るチャンスは……もう少ないのだから。




607: 2015/06/13(土) 10:49:13 ID:pS/m6xf6



     これで氏んだら

     狩人や少女はどう思うだろうか……

     先輩らしい事を多少した程度だし

     それほど悲しみはしないだろうな。



     そんな事を少し考え、ロートルは迷いを払うかの様に首を振る。

     そして、おもむろに背中に携えた愛用の双剣を引き抜き、構えると

     気合と抑揚を込めて、口を開く。




608: 2015/06/13(土) 10:50:48 ID:pS/m6xf6









ロートル「さあ、狩りの時間だ!!」










609: 2015/06/13(土) 10:52:27 ID:pS/m6xf6

※補足説明

識字率について尋ねられた人が居ますが
具体的に何%かは決めていません。

モンハン世界では銃器(ボウガン)などの武器もありますし
作り手側の竜人族の識字率は高いものと推測できますが
ハンターの識字率及び、教養は低いのではないかと思います。

ゲームをやっていて特に気にした事はなかったんですが
2年くらい前に甥っ子(当事4歳)とモンハン4をしばらくやっていて
「クック行くー」と言って自分でクエを受注して、ものすごく驚きました。

どうやったのか聞いたら、クックの絵で判断していたので
他のモンスターの絵はわかっているのか尋ねてみると、ほぼ正解。
ここから今回のエピソードを思いつきました。

610: 2015/06/13(土) 10:53:20 ID:pS/m6xf6

このSSの狩人がやらかしている失敗は、ほとんど>>1の失敗なんですが
私の場合は初心者で秘薬なんかの存在を『知らなかった』んです(汗)

友人に聞いて「え!? そんなのあるの!?」状態……
>>1がそれに気がついたのはシェンガオレンに対峙した後で
友人も驚いていましたw

最後に、ゲームではキークエを受注したハンターのみですが
このスレでは古龍頃し(エルダーキラー)のみならず
クエに参加した条件を満たしたハンターは
ランクアップ対象モンス討伐に成功すれば、全員めでたくランクアップします。

621: 2015/06/20(土) 07:01:35 ID:/QOfnGOA
おわっ!? 何か支援やらレスが多くなってる!?
緊張するなぁ……でも嬉しいです!

622: 2015/06/20(土) 07:02:19 ID:/QOfnGOA


―――――――――――


狩人の家


狩人「こうして おひめさまは」

狩人「わるいりゅうを たおして かえってきた はんたーと」

狩人「すえながく く……ろ? くろしまし……」

女「く『ら』しました」

狩人「……くらしましたとさ」

狩人「めでたし めでたし」

狩人「ふう……」

623: 2015/06/20(土) 07:03:17 ID:/QOfnGOA

女「うん。 こんなに短い間に随分読めるようになったわね?」

狩人「ははは……」

狩人「いや、字って分かる様になったら結構おもしろくてさ」

狩人「今まで単なる……うーんと……記号?みたいに思ってたモノが」

狩人「ああ、そういう意味か、って分かって……何て言うか」

狩人「そう! 世界が違って見える感じなんだ」

女「ふふ、そっか」

狩人「…………」

女「狩人?」

狩人「ん? あ、いや。 ちょっと気になった事があって」

女「何が気になったの?」

624: 2015/06/20(土) 07:04:08 ID:/QOfnGOA

狩人「この絵本ではさ」

狩人「主人公のハンターは、一人で討伐に行ってるけど……」

狩人「俺たち現実のハンターだって最大4人までしか参加できない」

狩人「もっと大勢でやれば、楽にモンスターを狩れるのにな……と思って」

女「ああ、そういう事」

狩人「何か知ってるのか?」

女「少しヤな話もあるんだけど……表向きはね」

女「救助するネコタクアイルーの確保が厳しいってのがあるわ」

女「例えばハンターひとりにだいたい3~4人のアイルーが付くけど」

女「10人のハンターでそれをやると、凄い人数のアイルーが必要になる」

狩人「ハンターひとりひとりに付けていたのか……」

狩人「あれって一つのクエに3~4人だと思ってた」

625: 2015/06/20(土) 07:04:53 ID:/QOfnGOA

女「最初はそうだったのかもね」 クスッ

女「でもそれだとハンターが複数で一人が乙した場合」

女「残されたハンターの安全が確保しにくくなるわ」

狩人「なるほど……確かに」

女「もう一つは同士打ちを防ぐ、という目的があるわ」

女「ラオシャンロンみたいな巨大モンスターならともかく」

女「ドスギアノス程度で10人一斉に斬りかかったらどうなると思う?」

狩人「うわぁ……想像したくない」

女「ふふ、そうよね」

女「とまあ、ここまでが表向きの理由」

狩人「裏の理由があるのか」

626: 2015/06/20(土) 07:05:42 ID:/QOfnGOA

女「もちろん」

女「ある意味、至極真っ当で、情けない理由……」

狩人「?」

女「分配される報酬が少なくなるからよ」

狩人「……あ~」

狩人「でも、一番納得もできる理由だなぁ……」

女「ホントね」 クスッ…

狩人「それじゃ、話を戻すけど」

狩人「次はどうしたらいい?」

女「そうねぇ……基本的には同じなんだけど」

女「絵本をこれだけ読めるのなら、もう少し難しいの行ってもいいかもしれないわね」

狩人「調合書とかは まだ無理か?」

女「う~ん……じゃあ一度、1ページだけ試してみましょうか?」

狩人「調合書、持ってくるよ」

627: 2015/06/20(土) 07:06:44 ID:/QOfnGOA

女「そういえば、狩人は回復薬を調合できたっけ」

女「どうやって覚えたの?」

狩人「ハンター講義の時、これだけは最低限覚えておけって」

狩人「目の前で実演してくれたから覚えたんだ」

女「なるほど」

女(……見たり聞いたりした事なら出来るんだ)

女(それにしても今まで回復薬のみで戦って来たなんて)

女(よく生き残れたものね……)

女「それじゃ1ページだけ、読めないところや単語を指差してくれる?」

女「私が読むから」

狩人「ああ、頼むよ」

628: 2015/06/20(土) 07:07:26 ID:/QOfnGOA


―――――――――――


女「……って読むのよ」

狩人「ふむふむ……」

女「意味は分かる?」

狩人「ああ、大丈夫だ」

女「うんうん」

女「狩人って、頭良いね」

狩人「え? そ、そうかな……」

女「今までは知らなかったってだけだから」 クスッ

女「物覚えは早いし、言葉の意味はしっかり把握してる」

女「頭良い証拠よ」

狩人「ははは……何か照れるな」///

629: 2015/06/20(土) 07:08:01 ID:/QOfnGOA

女「じゃあ、今日はここまでにしとくね」

女「私、これから仕入れに行かないといけないから2~3日はお休みよ」

狩人「そうか……いつも悪いな」

狩人「そうだ、昼飯くらいは奢らせてくれ」

女「んーそうね。 ご馳走になろうかな♪」

狩人「よし。 おーい、板前アイルー」

女「あら? キッチンアイルー雇ったんだ? いつの間に?」

狩人「うん。 ついこの前」

     タッ タッ タッ

板前アイルー「あいよー! 旦那、お呼びかニャ?」

狩人「昼飯、俺と女の分、作ってくれないか?」

狩人「おっと……くれぐれも冒険はするなよ?」

630: 2015/06/20(土) 07:08:44 ID:/QOfnGOA

板前アイルー「ニャハハ……旦那、わかってるニャ!」

板前アイルー「メニューは何にするニャ?」

狩人「俺は肉料理」

狩人「女は何がいい?」

女「うーん……そうねぇ」

女「焼き魚定食……みたいなのできる?」

板前アイルー「お任せあれニャ!」

狩人「じゃ、これ材料費……100z(ゼニー)くらいで足りるか?」

板前アイルー「お釣りがくるニャ!」

板前アイルー「んじゃ、少々お待ちくださいニャ!」

     タッ タッ タッ

女「……ちょっと元気すぎるアイルーね」

631: 2015/06/20(土) 07:09:16 ID:/QOfnGOA

狩人「ははは……まあな」

狩人「でも仕事はきっちりしてくれるし、本当に助かってる」

狩人「一度雇うと、手放せなくなるかも」

女「あーそれ。 ハンターの人からよく聞くわ」

女「給金が高いから一般の人は縁遠いんだけどね」

狩人「毎月1000z(ゼニー)もいるからな……」

女「わっ! そんなにするんだ」

女「私の月給の6分の1くらいだよ、それ」

632: 2015/06/20(土) 07:09:59 ID:/QOfnGOA

狩人「へえ……女って結構いい稼ぎなんだな」

女「えー? そうでもないと思うけど?」

女「部屋の借り賃とか、その他もろもろ引くと、手元に残るのはほんの僅か……しくしく」

狩人「俺がハンターやり始めた頃は、間違いなくそれより低かったよ」

狩人「部屋代は要らないから助かってたけど……」

狩人「そうじゃなかったら、とっくにこの村を追い出されてると思う」

女「3乙ばっかりしてたもんね」 クスッ

狩人「……ヤなこと思い出さないでくれ」 ハア…

     アハハ…

633: 2015/06/20(土) 07:15:36 ID:/QOfnGOA


―――――――――――


砂漠のとあるエリア


ロートル「うおおおおおおおおっ!!」


     ズバッズバッズバッ!


ロートル「ソロ!」

ソロ「おうさ!」


     ブウンッ!  ドガァッ!!

     ギュアアアア……


ベテラン「ヒュー! やるねぇ……」

634: 2015/06/20(土) 07:16:32 ID:/QOfnGOA

ベテラン(さすがにテオ・テスカトルを見た時は、腰が抜けそうになったが)

ベテラン(あの二人の動き……おそらく何回かやり合った事があるみたいだな)

ベテラン(初見なら しばらく見とけと言われて、ここから観戦させてもらっているが)

ベテラン(前足の攻撃範囲は広いみたいだし、大きな隙は火を吹いた時くらいか)

ベテラン(それにしてもあの二人、それ以外の少ない隙を突いて……いや)

ベテラン(ロートルが主に隙を作り出して、ソロが強力な一撃を与えている)

ベテラン(……見事な連携だ)

ベテラン(…………)

ベテラン(だが……)


     ゴガアアアアアアアアアッ!!


ベテラン(怒ったみたいだな。 問題はここからだ)

635: 2015/06/20(土) 07:17:27 ID:/QOfnGOA



     ズガッ! ドガッ!



ソロ「ぐっ……!」(防御姿勢) ビリビリビリッ…!

ソロ(ただの前足攻撃なのに、何度受け止めてもキツいなッ……!)

ソロ「ロートル!」

ロートル「おおっ!」


     ズバッズバッズバッ!


ベテラン(うへぇ……今度は役割を変えたのか?)

ベテラン(双剣の乱舞技はスイッチが入っちまったら、止められねぇってのに……)

636: 2015/06/20(土) 07:18:12 ID:/QOfnGOA


     ギュアアアア……


ベテラン(!!)

ベテラン(いいタイミングで怯んだな……運のいいことで)


     ブワワワ…… チリチリチリッ


ベテラン(!? なんだあれ? 何か粉みたいなを撒き散らしている……?)

ソロ「赤! 近距離!」

ロートル「おうっ!」 回避!


     ガチンッ!  ボボボボボボボンッ!!


ベテラン「」

ベテラン「んなっ!? 爆発した!?」

637: 2015/06/20(土) 07:19:22 ID:/QOfnGOA

ロートル「はあっはあっはあっ……」

ソロ「ふー……ふー……ふー……」


     グルルル……


ベテラン(こいつはおったまげたぜ……どういう理屈で爆発したのか分からねーが)

ベテラン(粉振りまいたと思ったら爆発した。 知っていないと確実にやられていたな)

ベテラン(しかも近距離って言っていた。 という事は……遠距離もあるって事か?)


ロートル「はあああああああっ!」


     ズバッズバッズバッ!


ロートル(くっ……切れ味が!)

ロートル(もうこんなに刃こぼれしているのか……!)

638: 2015/06/20(土) 07:20:12 ID:/QOfnGOA

ロートル「ソロ! 時間だ!」

ソロ「! 分かった!」

ベテラン(時間?)

ソロ「…………」つ(閃光玉)


     ブンッ…   カッ!!

     ギュアアアア……


ロートル「よし! 一度下がるぞ!」

ソロ「ベテラン! そこの洞窟へ入れ!」

ベテラン「ああ、分かったぜ!」

639: 2015/06/20(土) 07:21:21 ID:/QOfnGOA


―――――――――――


砂漠の洞窟


ロートル「はあっはあっ……ふー……」

ソロ「ふう……」

ベテラン「…………」

ベテラン「それにしても見事なもんだな、お二人さん」

ベテラン「聞くまでもないが、テオとやり合った事があるのか?」

ロートル「……ああ。 5年くらい前にな」つ(砥石)

ソロ「…………」つ(砥石)

     シャッ… シャッ…(砥石使用中)

ベテラン「5年も前かよ……」

640: 2015/06/20(土) 07:22:35 ID:/QOfnGOA

ベテラン「にしちゃ、かなり息の合った連携だ」

ベテラン「まるで毎日テオ相手に練習していたかの様だったぞ」

ロートル「……悔しい思いをしたからな」

ロートル「俺もソロも……」

ソロ「…………」

ベテラン「……まあ、その辺りは聞かないでおいておく」

ロートル「どうだ、ベテラン」

ロートル「やれそうか?」

ベテラン「へっ……正直、最初はブルっちまったが」

ベテラン「今はやる気満々だぜ」

ロートル「そうか」

641: 2015/06/20(土) 07:23:56 ID:/QOfnGOA

ベテラン「おっと、再戦の前に一つ聞いておきたい事がある」

ロートル「なんだ?」

ベテラン「お言葉に甘えて、テオの攻撃方法をじっくり見させてもらったが」

ベテラン「あの爆発。 あれはどういう理屈なんだ?」

ベテラン「いや、それはどうでもいいな……」

ベテラン「近距離とか言っていたが、見分け方を教えてくれ」

ロートル「ほう。 よく見ているな」

ロートル「俺も理屈は知らん。 が、赤い粉だと奴の近距離で爆発して」

ロートル「黄色い粉だと遠距離で爆発するんだ」

ベテラン「なるほど……赤で近距離、黄色で遠距離ね」

ベテラン「覚えたぜ」

642: 2015/06/20(土) 07:24:29 ID:/QOfnGOA

ベテラン「んじゃ、行きますか」

ベテラン「俺は二人の邪魔にならないよう、援護に徹するぜ」

ベテラン「もちろんヤバそうなら間に割って入る」

ベテラン「それでいいか?」

ロートル「ああ。 それでいい」

ソロ「…………」

ベテラン「ソロのあんちゃんもそれでいいかい?」

ソロ「……ああ」

ベテラン「へへっ……ま、信用できねーのは分かるが」

ベテラン「もうちょっと愛想よくできないのかねぇ」

ソロ「……この顔は生まれつきなんでな」

ソロ「無駄口はそのくらいでいいだろう」

ソロ「行くぞ」

643: 2015/06/20(土) 07:25:25 ID:/QOfnGOA



     古龍テオ・テスカトル

     外見は赤い表皮に覆われ、龍の羽こそあるが

     肉食獣に近い見た目で鳴き声もそれに準じている。



     大きな特徴として、その頭に冠の様な角があり

     また、近づくだけで衣服に火が付く様な高温の体温であるため

     別名『炎王龍』との異名を取る。



     性格は凶暴で縄張り意識が強く

     火山や砂漠など、暑い地域に生息している。




644: 2015/06/20(土) 07:26:54 ID:/QOfnGOA



     もちろん下位ハンターが手を出していい相手ではない。

     上位でもトップクラスの実力者や

     G級ハンターでないと、生き残る事すら難しい相手なのである。



     もし、テオ・テスカトルを見かけた時

     その実力に達していないと思うのなら

     自分の存在を気づかれる前に逃げる事をお勧めする。

     それは恥ではない。

     テオに限らず古龍相手ならば、生存をかけた逃走であるのだから。




645: 2015/06/20(土) 07:27:31 ID:/QOfnGOA

ロートル「はあっ!」

     ズバッズバッズバッ!!

ロートル(……そろそろか?)


     ゴアアアアアアアッ!!


ロートル「……やっぱり鳴いてきたか」

ロートル「はあっ!」

ベテラン「どぉうりゃあああああっ!!」つ(ランス)

     ザクッ! ザクッ! ザクッ!

ベテラン「よっと」(防御姿勢)

     ドゴォッ!!

ベテラン「ぐっ……くっ!!」 ビリビリビリビリッ!

646: 2015/06/20(土) 07:28:39 ID:/QOfnGOA

ベテラン(ただの前足攻撃なのに、なんてクソ重い一撃だ……!)

ベテラン(まともに食らったら、ヤバイなんてもんじゃねぇぜ!)


ソロ「はあああああああああっ!!」(タメ3)


     ドガァッ!!

     ギュアアアアアアッ……


ロートル「! すっ転んだ!」

ロートル「叩き込め!」

ベテラン「言われなくてもぉぉっ!」(突進)

ソロ「おおおおっ……!」(タメ3)

     ドガガガガガガガッ!!

647: 2015/06/20(土) 07:29:23 ID:/QOfnGOA


―――――――――――







     数時間後










648: 2015/06/20(土) 07:30:48 ID:/QOfnGOA

砂漠の洞窟


ロートル「はあっはあっはあっ……!」

ソロ「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」

ベテラン「はあっはあっはあっ……くそっ」

ベテラン「どんだけ……はあっはあっ……タフなんだよ……ひー、ひー……」

ロートル「くっ……覚悟は……していたが……はあっはあっ……」つ(砥石)

ソロ「ぜぇ……ぜぇ……」

ソロ「ちょっと……言っておきたいんだが……ぜぇ」つ(砥石)

ベテラン「なんだ……? 足を引きずっているの……はあっはあっ……」

ベテラン「見かけたとかか……?」つ(砥石)

     シャッ… シャッ…(砥石使用中)

ソロ「生命の粉塵(同じエリアの味方ダメージを回復するアイテム)の残りが後ひとつだけだ……」

ベテラン「ちっ……悪い知らせかよ……」

649: 2015/06/20(土) 07:31:54 ID:/QOfnGOA

ベテラン「俺はあと……二つだな」

ロートル「俺は使い切った……それと、もっと悪い知らせがある」

ベテラン「聞きたくねーなぁ……」

ソロ「……何だ?」

ロートル「グレートはおろか、強走薬も使い切ってしまった」

ベテラン「……くそっ」

ロートル「…………」

ロートル「これからは作戦を変えるぞ」

ベテラン「どうすんだ?」

ロートル「シンプルに自分の事は、自分で何とかする」

ソロ「……仕方ないな」

651: 2015/06/20(土) 07:32:47 ID:/QOfnGOA

ロートル「幸い、ここまで俺たちは1乙もしていない」

ロートル「奇跡はきっと起こせるさ」

ベテラン「……へっ」

ベテラン「そういうの、嫌いじゃねーぜ」 ニヤッ

ロートル「ただし、大きなダメージを負ったら、この洞窟に逃げ込んで回復するんだ」

ロートル「もう閃光玉も効果が薄くなっている」

ロートル「各自の判断で撤退して体制を整えるんだ」

ソロ「……そうだな」

ソロ「それしかないだろう」

ベテラン「ああ、俺もそれでいいと思う」

ロートル「よし」

ロートル「……行くぞ!」

652: 2015/06/20(土) 07:33:50 ID:/QOfnGOA


―――――――――――


夕方

砂漠のとあるエリア


ロートル「でやああっ!!」


     ズバッ! ズバッ!


ベテラン「このっこのっ!!」

ベテラン「いい加減、くたばりやがれ!!」


     ゴガアアアアアアアアアッ!!


ソロ「ぐっ……しまった!」

653: 2015/06/20(土) 07:34:47 ID:/QOfnGOA


     ドゴオッ!!(突進攻撃)


ソロ「ぐあああああああああっ!!」

ロートル「ソロッ!」

ロートル「くそおおおおおおおおっ!!」


     ズバッズバッズバッ!!


ベテラン「! やけになるな! その間合いで乱舞技は……!」


     ズガァッ!!


ロートル「ぐぎゃああああっ!!」

ベテラン「言わんこっちゃねぇ!!」

654: 2015/06/20(土) 07:35:51 ID:/QOfnGOA

ベテラン「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」つ(ランス)


      ドドドドドドドドドドドドッ!(突進攻撃)

      ズガガガガガッ!!


ベテラン「今のうちだ! 下がれ!」

ロートル「……すまんっ」


     ギュアアアアアッ!!

     ドガァッ!! ゴギャッ!!


ベテラン「ぐっ……くっ……!!」(防御姿勢)

ベテラン(くそったれっ……!)

655: 2015/06/20(土) 07:37:32 ID:/QOfnGOA

砂漠の洞窟


ロートル「はあっ……はあっ……」

ソロ「ぜえっぜえっぜえっ……」

ロートル「ソロ……大丈夫か……?」

ソロ「……心じゃ……ぜえっ……やる気は、あるんだがな……」

ソロ「くそっ……もう回復薬すら使い切ってしまった……」

ロートル「……そうか。 あとは任せて休んでおけ」

ロートル「俺とベテランで何とかする……はあっはあっ……グビッ」つ(回復薬)

ソロ「……お前も……それ最後じゃないのか……?」

ロートル「……実を言うと……クーラードリンクも使い切っている」

ソロ「はっ……それは一大事だな……」

ロートル「なに……なんて事ないさ……ふふ」

ソロ「ふふふ……」

656: 2015/06/20(土) 07:38:32 ID:/QOfnGOA

ベテラン「うおおおおおおおおおおっ!?」


     ガチンッ! ボボボボボボボボンッ!!


ベテラン「ひー! あ、あぶねえ!」


     ゴガアアアアアアアアアッ!!


ベテラン「くっそお……! 怒りすぎだろーが!!」

ベテラン「このおっ!!」


     ザクッ! ザクッ! ザクッ!



657: 2015/06/20(土) 07:39:18 ID:/QOfnGOA


     ギュアアアアアッ!!

     ドガァッ!! ゴギャッ!!


ベテラン「ひえええええっ!!」 バックステップ回避!

ベテラン「はっ!? し、しまった! 壁際に追い詰められ……」


     グワアッ!!


ベテラン「わわっ!? ちょ、タンマ!!」


     ズバッ!!

     ギュアアアアア……


ベテラン「…………」

ベテラン「……へ? 生きてる?」

658: 2015/06/20(土) 07:40:39 ID:/QOfnGOA

ロートル「大丈夫か!?」

ベテラン「ロートル!」

ベテラン「すまねぇ……助かったぜ」

ロートル「いい。 これで貸し借りなしだ」

ベテラン「ああ、そうだな!」

ベテラン「うおおおおおおおおおおっ!!」つ(ランス)

ロートル「でやあああああああああっ!!」


     ドガガガガガガガガッ!!

     ギュアアアアアッ……


ベテラン「はあっ……はあっ……」

ロートル「はあっ……はあっ……」

659: 2015/06/20(土) 07:41:56 ID:/QOfnGOA


     ズルルッ… ズルルッ…


ベテラン「!」

ロートル「!」

ベテラン「あの野郎、足を引きずってやがるぜ!」

ロートル「ああ! もう一息だ!」

ロートル「もう一息で……」


     バサッ…


ベテラン「あ……」

ロートル「な……!?」

660: 2015/06/20(土) 07:42:55 ID:/QOfnGOA


     バサッ バサッ バサッ…


ベテラン「…………」

ロートル「…………」

ベテラン「あの高さ……」

ベテラン「……エリチェン……じゃねーな」

ロートル「…………」

ロートル「……そ……だ」

ロートル「……うそだ……うそだ……」



ロートル「うそだあああああああああああああああっ!!」



ベテラン「…………」

661: 2015/06/20(土) 07:43:40 ID:/QOfnGOA



     砂漠の地平線に夕日が沈んでゆく。

     そして砂の大地に、あらん限りの絶叫が響いた。



     傷つき、足を引きずりだした古龍テオ・テスカトルは

     その翼をはためかせ、沈みゆく太陽に向かって羽ばたいていく。



     ……それはまるで




662: 2015/06/20(土) 07:44:42 ID:/QOfnGOA








     ロートルを、ハンター達を

     あざ笑うかの様だった……









663: 2015/06/20(土) 07:46:03 ID:/QOfnGOA

今回のエピソードは、P2Gをやった事がある方はお分かりだと思いますが
実は原作ゲームでも古龍退治でこういう事があります。

簡単に言うと、普通の討伐クエより時間が短く設定してあるのに
ある程度以上のダメージを与えて30分が過ぎると強制終了となるんです。
何が【古龍は傷つき去っていった】だぁー!! 倒しきらせろー!!
と、何度PSPを叩きつけそうになった事か……

ただ、ゲームでは、再び同じ古龍が現れたとき(場所は違う事あり)
ダメージを負った状態で現れるので無駄にはなりません。
が……開始5分以内で終わることもあり
さらにイラッとする事態になったりもしますw

という所で、今日はここまでです。
お付き合い、ありがとうございました。

664: 2015/06/20(土) 07:48:05 ID:GhsTD./I
おつ

665: 2015/06/20(土) 08:41:42 ID:QnJkLNSw

引用: 狩人「目指すは伝説級ハンター!」