98: 2014/03/23(日) 01:06:29.33 ID:XQqIZKpu0


最初から:北条加蓮『不幸な兄妹?』
前回:【モバマス】北条加蓮『不幸な兄妹?』第二話『仕事』


休日中に 第三話「新人」を投稿します。
もうしばらくお待ちください。

アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(12) アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場 (電撃コミックスEX)
99: 2014/03/23(日) 01:43:04.80 ID:XQqIZKpu0


~side:プロデューサー~

加蓮ちゃんに噛まれるのは、慣れていたため、翌日の出社には支障が無かった。

ほたるが心配そうな様子だったが、学校にはきちんと行ってくれた。

加蓮ちゃんも落ち着いたらしく、シャワーを浴びた後、きちんと帰ってくれた。

書類の精査を終え、給油室にコーヒーを取りに行った際に、事務員の千川さんに呼ばれた。

「白菊さん。今、お時間よろしいですか?」

特に問題が無いことを伝えると、そのまま会議室へと案内された。

「ほたるちゃん。最近、笑顔が増えましたね」

そうかもしれない。

「そんな白菊さんには本当に申し訳ないのですが、ご相談があります」

嫌な予感がした。


100: 2014/03/23(日) 01:43:44.05 ID:XQqIZKpu0

「率直に申し上げますと、事務所内で茄子ちゃんを変に信仰する人たちが出てきてます」

差し出されたA4の紙には事務所の上席、アイドルの名前が相当数書かれていた。

その中に僕の上司の名前も含まれていた。

「今、白菊さんと茄子ちゃんは危うい立場にいます」

淡々と千川さんは告げる。

「この事務所が元々小規模だったのは、ご存じだと思います。アイドルも凛ちゃんを筆頭とする数名しかいませんでした」

しかし、業界内では伝説となっている渋谷さんのプロデューサーの手腕により、事務所は急激に規模を拡大、所属アイドル数が劇的に増えた。


そこで大きな問題となっているのが、事務所内での仕事の取り合い。


人気上位のアイドルを除いて仕事の無いアイドルは日々をレッスン場で過ごすことになる。

少しでも上に登ろうと熾烈な争いになってしまう。

それが最近、事務所の空気を悪くしているのは事実だ。


101: 2014/03/23(日) 01:46:03.02 ID:XQqIZKpu0


ほたるや加蓮ちゃんのように、体力面に問題を抱えながらもここまで来れたのは運もある。

「実力ではどうしようもなくなったら、人は運に縋りたくなるものですよね」

嫌な予感が的中した。

「白菊さんの下を希望している候補生は大勢います。茄子ちゃん目当てで」

確かに鷹富士さんは運がいいが、別に特別な能力を持っているわけではない。

「仮に白菊さんが路上スカウトをした場合、その新人さんはかなり危ない橋を渡ることになるでしょう」

まさか、この前の加蓮ちゃんの警告はこのことだったのだろうか。

「また、茄子ちゃんが他のプロデューサーからのトレード対象として有力視される可能性もあります。正確に言うと、かなりの有力候補です」

僕は彼女が望まない限り、担当を離れる気はないのだが。

「今日、白菊さんを呼んだのは、そのトレードの話です」

僕は彼女の担当を降りるつもりはないと告げた。



102: 2014/03/23(日) 02:02:37.64 ID:XQqIZKpu0


「ええ、そうでしょう。茄子ちゃんもそんなこと、望んでいませんしね」

千川さんの笑みはいつも通りだったが、僕は寒気がした。

そのまま、千川さんはアイドルのプロフィールを取出した。

① 前川みく(15歳)

② 佐久間まゆ(16歳)

③ 岡崎泰葉(16歳)

④ 黒川千秋(20歳)

⑤ 三船美優(26歳)

「私の個人的な推薦です。この中で何名か担当していただけませんか?」

「これで茄子ちゃんのトレード関連の話題を避けることができます」

しかし、上司に運動特化系の人材をスカウトされている状況であり、彼女たちは条件を満たさない。

あと、佐久間さんは今の担当と引き離すのは不味い気がする。

「私が話しておきますので、誰を選んでも問題はありません」

そう千川さんは断言した。


103: 2014/03/23(日) 02:03:36.62 ID:XQqIZKpu0

なんで、僕なんですかと問いただした。

彼女たちの事情はそれなりに知っているつもりだ。

推薦されたこの5名は、各々問題を抱えている。

「このプロダクションで三番目に信頼できる人だからですよ」

一番目は恐らく、創業当初からいた渋谷さんの担当だろう。

「二番目は凛ちゃんですよ」

ああ、なるほど。社長の優先順位が低かったことには触れないでおこう。

「白菊さんが一番心のケアが上手いと感じたからです」

それは過大評価もいいところだ。身内だからできるだけ。

「正直、今の事務所は嫌なんですよ。昔の、私が好きだった雰囲気が無くなってしまって」

昔を知らない僕に言えることはない。

「小さくても、凛ちゃんがいて、あの人が汗まみれで帰ってきて」

そういう千川さんはどこか泣きそうだった。


106: 2014/03/23(日) 02:23:55.48 ID:XQqIZKpu0


「お願いです。白菊さん。この子達を助けてもらえませんか?」

即答はできなかった。ただ、少し考えさせてくださいと頼んだ。

自分の机に戻り、それぞれの課題を整理することにした。


107: 2014/03/23(日) 02:25:38.51 ID:XQqIZKpu0


一人目の前川さん。

典型的な猫キャラとして売り出し中。ユニットも組んでいるが、他の二人が目立ちすぎている。

バラエティを中心に活躍中。ただし、ゲスト登場がメイン。

典型的なキャラクターであるが故に、どう長期的に活かすかが課題。

最近、ファン離れも目立っており、今後が問題視されている。

特に20代までこの業界でいるとするならば、どこかで方針転換は必須。

確かにプロデュース方針の再検討は必須な人材ではある。



108: 2014/03/23(日) 02:30:48.83 ID:XQqIZKpu0


二人目の岡崎さん

幼い頃から芸能界に身を置き、子役として活躍。

しかし、幼い頃から芸能界の昏い部分を見過ぎてしまったため、同世代とのコミュニケーションに若干の問題有。

一部の監督からは演技が異常なまでに機械染みているとの評価有

両親からの過度な期待に押し潰されそうになっていた時期もあった模様。

この事務所に移籍してからは、友人関係を徐々に作っているが、伸び悩んでいる様子。

向上心は非常に高い一方、真面目すぎる性格が負担となっている。

千川さん曰く、岡崎さんが一番必要としているのは、家族とは必ずしも忌避するものではないことを教えてあげられる大人。

「ほたるちゃんのことを誰よりも愛している白菊さんが適任だと思います」

過大評価もいいところだ。


109: 2014/03/23(日) 02:35:49.80 ID:XQqIZKpu0


三人目の佐久間さん。

アイドルとしての素質は事務所内でも上位。

元読者モデルということもあり、それなりに情報通でもある。

仕事の応用力も高い。ただし、現在の担当者に病的なまでの執着を見せている。

現在の担当者は既婚者であり、事務所としてはスキャンダルは避けたい。

管理能力の高い人間の下で活かすべきとの意見が多々有。

性格は温厚で、年少組に対する面倒見も良い。

監督者の管理能力及び本人とのコミュニケーションが課題。



110: 2014/03/23(日) 02:45:00.71 ID:XQqIZKpu0

四人目の黒川さん

某財閥の令嬢であることから、事務所内でも扱いに困っている。

実力は事務所内では中位。バランスは良いが、良くも悪くも平均的。

強いて言えば、彼女を伸ばせる人材が当事務所に不足している。

歌手としての評価は高いため、どう活かすかが課題。

彼女をプロデュースできる、プロデューサーがいない。

担当したことが無いため、詳細は分からないが事情があるもの思われる。


111: 2014/03/23(日) 02:51:45.55 ID:XQqIZKpu0


五人目の三船さん。

事務所内の評価は高い。女優、歌手としての素質共に一流。

儚げな雰囲気から、ドラマのヒロインとして抜擢されたこともある。

但し、担当プロデューサーが別のアイドルと婚約を発表してから不調が目立つ。

スカウトの経緯から、彼に惹かれてデビューしたものと思われる。

この『失恋』が本当なのか、定かではないが、彼女の心境を考えると一旦担当を変えるべきだ。



112: 2014/03/23(日) 02:57:26.19 ID:XQqIZKpu0


さて、どうしたものかと冷めたコーヒーを啜る。

携帯電話が震えた。

また、あのアドレスから



『騙されないで、早く逃げて』



今度は返信してみた。


「一度、詳しいことを聞かせてもらえませんか?何か力になれるかもしれません」


最初で最後と言っていたのに、また連絡が来たことに妙な安堵を感じた。


この奇妙なメールの送り主は一体誰なのだろう。



113: 2014/03/23(日) 02:58:49.43 ID:XQqIZKpu0


再度、携帯電話が震えた。

今度はメールではなく、着信だった。

画面を確認する。




『着信:鷹富士茄子』




携帯電話を片手に廊下に出た。


終始、誰かに見られている気がした。




128: 2014/03/24(月) 23:49:59.34 ID:EDWd9ZwK0



~幕間③ 鷹富士茄子 『言い訳』~ 前編



纏まり次第投稿致します。尚、前編と後篇の二部構成になりますので、予めご了承ください。



129: 2014/03/25(火) 00:09:57.37 ID:iA58ch8y0


~side:鷹富士茄子~


ちひろさんが宝くじを手にして震えています。

私がとびっきりの幸運を願って購入した宝くじ。一等は五億円だそうです。

当たるかどうかはわかりません。宝くじですから。

でも、ちひろさんはそれを欲したのです。

他にも数枚、当たっているものを差し上げましたから、報酬としては十分でしょう。

「ふふっ、これでまた、あの人と凛ちゃんと一緒に」

ちひろさんはこのお金で新しくプロダクションを建てるそうです。

そこにちひろさんの大事な、大事なお二人を連れて行くそうです。

業界のコネクションを大量に握っているちひろさんなら、きっと成功するでしょう。


130: 2014/03/25(火) 00:17:15.81 ID:iA58ch8y0


ちひろさんの成功を願っています。

私のために色々と頑張ってくれましたしね。

白菊先輩の上司の方を飼い慣らして、人材補充の方向性を変えてくれました。

事務所としては、売上の落ちている運動系の人材を伸ばしたかったみたいですね。

私の幸運を利用して。

もちろん、私はそんなことできません。

やっぱり、白菊先輩みたいにキチンとありのままの私を見てくれる人は少ないです。

それに、ちひろさんは、うまく白菊先輩の選択肢をあの五人に絞ってくれました。

優しい、優しい白菊先輩のことですから、なんとか自分にできることをしようとするでしょう。




131: 2014/03/25(火) 00:21:38.28 ID:iA58ch8y0


まず、まゆちゃん。

ほぼ対象外です。白菊先輩がまゆちゃんを今の担当さんと引き離すことはしないでしょう。

本人が嫌がりますから。

ただ、加蓮ちゃんと服部さんの注意を逸らすのには十分です。

まゆちゃんが来るとバランスが崩れそうですからね。

三船さんと黒川さんについては、情報が不足していることと、個人の事情もあるので、担当にはならず、手助けに留まるでしょう。


残る選択肢はみくちゃんと泰葉ちゃん。


私としては、できれば業界に詳しい泰葉ちゃんを選んでほしいんですよね。

泰葉ちゃんなら、演技の指導をお願いできるから助かります。

ほたるちゃんと雰囲気と少し似てますから、きっといい先生になるでしょう。

別にみくちゃんでもいいですけど、バラエティに対応できる人が足りませんし


何れにせよ、あの二人なら、私たちの関係が崩れない様に、ちゃーんと『お話』できますから、問題ありません。


白菊先輩はあの二人の片方か、両方を選ぶでしょう。



132: 2014/03/25(火) 00:26:32.33 ID:iA58ch8y0


新しい担当アイドルが増えるとなると、忙しくなっちゃいますね。

ちひろさんの独立や今の担当アイドルにあまり注目できない程度には。

私も色々、準備しないといけませんし、他の二人には新人が誰になるかに集中しておいてもらえると助かります。


準備ができたら、私が白菊先輩を幸せにしちゃいます♪


きっと、運良く、うまく行ってくれます。


ちひろさんにほたるちゃん、加蓮ちゃん、服部さん、それと、みくちゃんか泰葉ちゃん。あと、残るトライアドの奈緒ちゃんを引き抜いてもらいます。

もちろん、私と白菊先輩も一緒に。

今回みたいな人事や私が担当を外される心配もなくなります。

アットホームな事務所でのお仕事。楽しみです。

みーんな、私が幸せにしてあげます。


133: 2014/03/25(火) 00:28:14.67 ID:iA58ch8y0


「本当にうまく行きますかね」

少し呆れた表情のちひろさんと目が合いました。

「分かってるんですか?白菊さんは大事なモノが無いんですよ」

そうなんです。可哀そうな白菊先輩。先輩にはちょっとだけ足りないものがあります。

異性としては持っておいてもらわないと困るんです。

私もいつかは家庭を持ち、自分の子供を育てたいと思っていますから。

「ヒトのココロは、運の良し悪しでは中々動きませんよ」

「お金なら動きますけど」

分かっています。だから、今日まで頑張ってきました。

私が白菊先輩に教えてあげるんです。

服部さんでもない。

加蓮ちゃんでもない。

そして、ほたるちゃんでもない。

私があの、優しくて、不器用で、可哀そうな人に教えてあげるんです。

家族以外のヒトの愛し方を。


134: 2014/03/25(火) 00:37:35.67 ID:iA58ch8y0




白菊先輩は『恋愛感情』が理解できません。



家族愛を理解できても、恋愛は理解できない。


そういう心の病気なのです。


変ですよね。あんなに他人を愛せる人なのに。

最初は凄くショックでした。

どれだけ白菊先輩を愛しても全部一方通行に終わってしまうのですから。

でも、気が付いたんです。



空っぽなら埋めてあげればいいって。



136: 2014/03/25(火) 00:55:13.27 ID:iA58ch8y0


私がぜーんぶ教えてあげます。

幸せにして、愛も、恋もあげます。

幸い、中高一貫性の学校でした。

白菊先輩のことをずっと見てました。

他の男のヒトと違って、全然、下心なんてありませんでした。

本来なら外に向くはずの感情が全部、ほたるちゃんと加蓮ちゃんに向けられているのですから当然、下心なんてありません。

私はその純粋すぎる愛が、とても綺麗だと思うのです。

曲がって、曲がって、間違えて、歪んで、真直ぐになりすぎたその愛が欲しい。

有難くて、嫌いな、この幸運体質に縋ってでも

もちろん、独占するつもりはありません。

ほたるちゃんも加蓮ちゃんも、白菊先輩の大事な家族です。

今の関係を綺麗に保ったまま、私が横にいるだけです。


137: 2014/03/25(火) 00:59:59.01 ID:iA58ch8y0


まず、白菊先輩に電話をしないといけませんね。

今回の上司さんの件に関して、ご相談。二人で、どこか静かなお店で。

ゆっくりご飯を食べながら

それと、白菊先輩に警告している誰かさんともお話をしないと。

私、少しだけ怒ってますよ。


138: 2014/03/25(火) 01:03:28.04 ID:iA58ch8y0









ねえ、凛ちゃん?








140: 2014/03/25(火) 01:25:31.03 ID:iA58ch8y0


凛ちゃんは、ちひろさんにすら内緒で、担当のプロデューサーさんとお付き合いしてるのに。


どうしてこんなことするんですかぁ


知ってますか、ちひろさんも凛ちゃんと同じ人が好きなんですよー。



私、とっても悲しいです。



141: 2014/03/25(火) 01:27:38.51 ID:iA58ch8y0



前編は以上となります。


後編は渋谷凛の回想を予定しております。


後日投稿させていただきます。

147: 2014/03/31(月) 00:46:52.95 ID:wjgqrQ7X0




~幕間③ 鷹富士茄子 『言い訳』~ 後編




148: 2014/03/31(月) 01:33:17.16 ID:wjgqrQ7X0

~side:渋谷凛~

白菊プロデューサー。

うちの事務所の四人目のプロデューサー。

加蓮の従兄で担当プロデューサー。

ほたるちゃんのお兄さん。

いつも寂しそうに微笑んでる人。

私と私の大事な人の恩人で共犯者。

どこか根本的に壊れている人。

気持ちの悪い程、優し過ぎる人。

呼吸をするように嘘を付ける人。

嘘がとても上手な人。

私に演技を、嘘のつき方を教えてくれた人。

私の嘘の先生。

嘘吐きアイドルの嘘の先生。

149: 2014/03/31(月) 01:34:14.00 ID:wjgqrQ7X0

私はファンと仲間に嘘を付いている。

私には恋人がいる。私をアイドルにしてくれた人、私の担当プロデューサーと付き合っている。

アイドルとプロデューサーでありながら、私達は恋仲だ。

ファンの事を顧みない禁断の関係。

共に歩んできたちひろさんすら裏切ってる。誰にも言えない、私たちの関係。


初めて好きなヒトが出来て、心が浮ついてて、私は自分がアイドルってことを忘れてしまった。


一瞬の油断、一瞬の慢心、アイドル生命がスキャンダルで終わる一歩手前。


でも、白菊プロデューサーが嘘で、嘘で、嘘で、誤魔化してくれて、終わらなかった。

茄子さんが手伝ってくれたらしい。

それから少し話す様になった。上手な社会との接し方を教えてくれた。

社会の汚い部分をどううまく避けるか、スキャンダルの避け方、誤魔化し方

仕事をする人間としての姿勢は勉強になった。

150: 2014/03/31(月) 01:36:11.03 ID:wjgqrQ7X0

基本的に自分にストイックな人。

「加蓮ちゃんをよろしくね。僕の大事な妹だから」

けど、ほたるちゃんと加蓮の話をしている時だけ、優しい笑い方をする。

私はこの人が嫌いじゃない。いいお兄さんだと思う。

ただ、どこか変。

それに気が付いたのはいつのことだった?

いつも加蓮を妹と呼ぶ。

ほたるちゃんなら分かる。実の妹だから。

加蓮は白菊プロデューサーを従兄と呼んでいる。

なのに、白菊プロデューサーは加蓮を妹と呼ぶ。

特段大したことは無い。

なのに、何か引っかかった。


151: 2014/03/31(月) 01:37:05.51 ID:wjgqrQ7X0


気になったから、少し調べてみた。

あまり他人の事情を詮索するような性格ではないのに。

何故か、気になった。

止めておけばよかった。

ちひろさんが新しいプロダクションを建てようとしていること。

私と同じ人を愛していること。

茄子さんが協力していること。

白菊プロデューサーが一部の感情を理解できない心の病を抱えていること。

全部知ってしまった。


152: 2014/03/31(月) 01:39:17.21 ID:wjgqrQ7X0

一人のアイドルとして、プロデューサーと結ばれた身だから分かる。

もしも、自分の想いが伝わらなかったら。

その意味すら理解してもらえなかったら。

きっと、枯れて壊れてしまう。

ほたるちゃんと加蓮を巻き込んで。

それは見たくない。

あの家族で完成された世界が壊れるのは、嫌だった。

だから、白菊プロデューサーに警告した。

ここから逃げてと

153: 2014/03/31(月) 01:45:20.01 ID:wjgqrQ7X0

でも、駄目だった。

茄子さんが気が付いた。

「次は無いですよ~」

きっと、あの人は本気だろう。

あの人が私の破滅を願ってしまえば、私も、プロデューサーも事務所を追われてしまう。

ごめん、加蓮。これ以上は無理。

正直、茄子さんの強運はそんなに怖くない。

人の幸せに直結する内容しか効果が無いみたいだから。

一番怖いのは、加蓮が不幸になること。


154: 2014/03/31(月) 01:48:08.66 ID:wjgqrQ7X0

加蓮が昔、辛い思いをしたのは少しだけ知ってる。

今もそれに悩んでいて、白菊プロデューサーが支えていることを。

加蓮が白菊プロデューサーに対して抱いているのが、思慕なのか、感謝なのか。

私には分からない。

でもね、加蓮にとって必要な人なのは分かる。

同じユニットで、歌って、踊ってきたから。なんとなく分かる。

加蓮は本当に今に感謝しているって。

アイドルが本当に好きで、そんな加蓮と奈緒なら上に行けるって。

私は二人となら、どこでも行けると思う。


155: 2014/03/31(月) 01:55:38.64 ID:wjgqrQ7X0

でも、ごめんね。本当にごめんね。

やっぱり、選べないよ。

加蓮に支えてくれる人がいるみたいに、私にもどうしても譲れない人がいるから。

もし、私とプロデューサーの関係が世間にバレてしまったら。

きっと、私とあの人の関係は崩れてしまうから。

だから、これ以上私は何もできない。

でも、最後に一つだけ、茄子さんに最終通告を宣言される前に残したから。

お願い加蓮。

気が付いて。

156: 2014/03/31(月) 02:04:17.81 ID:wjgqrQ7X0






「白菊さんになんで『妹』って呼ばれているのか考えてみて。誰が加蓮を『妹』にしたの?」




157: 2014/03/31(月) 02:08:57.75 ID:wjgqrQ7X0

~幕間③ 鷹富士茄子 『言い訳』~


は以上となります。次回は新人追加編になります。

① 前川みく(15歳)
② 佐久間まゆ(16歳)
③ 岡崎泰葉(16歳)
④ 黒川千秋(20歳)
⑤ 三船美優(26歳)

のいずれかが加わることになります。

158: 2014/03/31(月) 02:27:53.73 ID:VEFfNkWRO
周りの大人から満足に愛されてなさそうな泰葉ちゃんとのやりとりが気になる

人気が微妙、という地味に致命的な問題を抱えたみくにゃんがこの事務所でどうなってるのかも気になる

159: 2014/03/31(月) 07:32:27.64 ID:Cj0GR6MeO


引用: 北条加蓮 『不幸な兄妹?』