1:◆wjd7R.7O.A 2016/09/05(月) 00:33:49 ID:mOJDqg96

3: 2016/09/05(月) 00:41:05 ID:mOJDqg96
ルルーシュが帰ってきた。
氏んだはずの彼は更なる力と、悲しみを背負うことになる。
ギアスの力を悪用して世界を我がものにしようとするVV、シュナイゼル、そしてシャルルを打倒すべく、ルルーシュは中華連邦の立て直しをはかる。
そして一方、CCとついに結婚を決意。式を控える彼らに、忍び寄る影と光。
世界を巻き込んで進むルルーシュとCC。

果たして、彼らの目的は達成できるのか?
今、新たな物語が始まる。
バンプレスト コードギアス 反逆のルルーシュ EXQフィギュア ~ルルーシュ・ランペルージ~ (プライズ)

6: 2016/09/12(月) 00:16:55 ID:RlEYUzIo
~ラボ~

ロイド「へぇ、ここまで小型化できるもんなんだねぇ」

ラクシャータ「実際あたしらがやってるナイトメア開発と同じ方向性なんだろうさ」

ラクシャータ「まぁ、それでもギアスエネルギー無しじゃ動けないくらいには、オーバーテクノロジー頼りの産物だけどねぇ」

ルルーシュ「ギアスエネルギーか」

ラクシャータ「正確にはギアス結晶と、サクラダイト反応の応用ってとこかしら」

ロイド「ギアス結晶ってやつにも謎は多いねぇ」

ルルーシュ「神根島の時の爆弾は調べられないか」

ロイド「ざぁんねんでした、CCがプロトごと吹き飛ばしちゃったよぉん」

ロイド「ただ、高エネルギーの結晶体なんだろう、それをサクラダイトで増幅している」

ロイド「まぁ逆に考えれば、これに並ぶようなエネルギー源を見つけることで」

ロイド「君の身体への影響は無くなるということだ」

7: 2016/09/12(月) 00:24:10 ID:RlEYUzIo
ラクシャータ「血液検査の結果だけど、やっぱり普通の人間と殆ど変わらないわねぇ」

ラクシャータ「採血が面倒って以外は、だけど」

ロイド「まぁ、エナジーフィラーに換算した場合のエネルギー量を計測しておこうよ」

ロイド「それと、腕についたこれのデータも」

ラクシャータ「ルルーシュ、これ本当に何なわけ?」

ラクシャータ「見た感じ武器っぽいというか」

ルルーシュ「ああ、武器なのは間違いない」

ルルーシュ「俺を造った研究所にあった仕様書によれば、これはギアスイーターというらしい」

ロイド「?キャンセラーじゃなく?」

ルルーシュ「実用化こそされては居なかったようだが、存在自体はブリタニア連中にも伝わっていたようだ」

ルルーシュ「それと、俺のようにギアスの力を持つものが見ると」

ルルーシュ「恐怖心というか、妙な不快感に襲われる」

ラクシャータ「相変わらず、ギアスってのはよく分からないわねぇ」

8: 2016/09/12(月) 00:30:29 ID:RlEYUzIo
ロイド「イーターって名前からすると、ギアスを食べちゃうって事だろうけど」

ルルーシュ「本来はVVやCCのような、コード保持者が他のコードを奪うときに」

ルルーシュ「食うという表現を使うみたいだ」

ラクシャータ「じゃあ、これをVVとかに使えば、コードを奪えるのかしらね?」

ルルーシュ「使った事が無いから、それは分からない」

ルルーシュ「恐らく、これを造った技術者達はまだ中華連邦の研究施設にいるはずだ」

ルルーシュ「少なくとも、バトレーはいる」

ロイド「バトレーっていう名前には聞き覚えがあるね」

ロイド「確か、クロヴィス殿下のお付きだった」

ルルーシュ「ああ、渡航履歴等も洗ってみたが、ブリタニアに戻った形跡もなく、エリア11から中華連邦に渡った後の消息を絶っている」

ルルーシュ「奴に聞けば、詳しい話も分かるだろう」

ラクシャータ「ま、あたしら側でも調査してみるしかないわねぇ」

ロイド「そ、れ、とぉ」

ルルーシュ「?」

9: 2016/09/12(月) 00:35:18 ID:RlEYUzIo
ロイド「せっかくだからぁ、別の武器も作ってみようかなぁと」

ラクシャータ「まあ、武器くらいならナイトメアと変わらない感じだし」

ラクシャータ「ちょっと面白いかも知れないわねぇ」

ルルーシュ「二人とも遊び半分でそんなこと言ってるんじゃ?」

ロイド「まさかぁ」

ロイド「実際のところ、君が打ち倒そうとしているシャルル皇帝も、シュナイゼル殿下も、VVってやつも」

ロイド「その人を守るなにかは必ずあるはずだ」

ロイド「僕の言う武器ってのは、人と戦う物ってより」

ロイド「人でない奴らと戦えるような道具のことさ」

ラクシャータ「ま、例えるなら十得ナイフねぇ」

ロイド「そこ、チープなものに例えない!」

ルルーシュ「そ、そういうことなら任せますけど」

ロイド「まっかせなさぁい」

ラクシャータ「暴走しないように止めてあげるからさ、気長に待ってなさいな」

ルルーシュ「あ、ああ、頼む」

10: 2016/09/12(月) 00:40:12 ID:RlEYUzIo
ルルーシュ「まったく、やはり機械を前にするとロイドさんは人格が変わるな」

咲世子「ふふ、左様でございますね」

ルルーシュ「俺の身体の事はCCには言わないでおいてくれ」

咲世子「承知いたしました」

咲世子「ルルーシュ様、恐れながら私からひとつよろしいでしょうか?」

ルルーシュ「?なんだ?」

咲世子「不肖篠崎咲世子、中華連邦に出向いてバトレーという男を探すくらいの事は」

咲世子「出来ると自負しておりますが」

ルルーシュ「……確かにそうだろうな」

ルルーシュ「だが、それをする必要はない」

咲世子「何故ですか?」

ルルーシュ「どの道、お前の考えているように俺の身体を元に戻したり、ギアスの侵食を止める事はできないからだ」

11: 2016/09/12(月) 00:44:23 ID:RlEYUzIo
ルルーシュ「残念だが、この身体になっていなければ、俺はとうの昔に氏んでいた」

ルルーシュ「それに、この腕の手がかりは他にもある」

咲世子「ほか?」

ルルーシュ「ロロだ」

ルルーシュ「あいつはこの腕の力を知っていたようだ、明確に武器と認識していたしな」

ルルーシュ「いずれ聞いてみればいい、少なくとも今のところ、俺、ロロ、そしてマオ以外にはギアスの契約をして生き残った人間はいないのだから」

咲世子「……!そうでした、うっかりしておりました」

ルルーシュ「?どうした」

咲世子「そのマオ様ですが、昨日空港に到着したとのことで」

ルルーシュ「ここに向かっているのか?」

咲世子「少し観光されるとのことでしたが」

ルルーシュ「ちょうどいい、あいつにも聞きたいことがある」

ルルーシュ「CCが寝ているうちに、会いに行こう」

咲世子「かしこまりました、すぐに支度を」

ルルーシュ「ああ、頼む」

12: 2016/09/12(月) 00:49:47 ID:RlEYUzIo
~特区日本 繁華街~

マオ「いやぁ、いい街だなぁ」

マオ「姉さん達が式を挙げる会場を下見しようと思ってたけど……」

マオ「……」

マオ「こんなに大きなところなら、忘れようも無さそうだ」

マオ「へぇ、結婚式のために特別に造ったのかぁ、まあ総督の結婚だし、相手はナンバーズともなれば、注目されるよねぇ」

マオ「ふむふむ」

少女「おかぁさん、あの人ひとりで何言ってるのぉ?」

母親「しっ、見ちゃいけません」

マオ「んー」

ルルーシュ「おい、ものすごく目立っているぞ、マオ」

咲世子「探す手間は省けましたね」

マオ「おお!ルルーシュ、咲世子さん!」

14: 2016/09/12(月) 01:19:13 ID:RlEYUzIo
ルルーシュ「相変わらず、自分の世界に入ると周りが見えていないな」

ルルーシュ「元気だったか、マオ」

マオ「ああ、何も変わりないよ」

マオ「ルルーシュこそ、1年会わないうちにまた少し雰囲気が変わったね」

ルルーシュ「そうか?髪を切ったくらいしか差はないはずだが」

マオ「そうかなぁ?前よりは明るくなったように見えるけど」

マオ「そうだ、おめでとうを言わないといけないんだった」

ルルーシュ「落ち着け、マオ」

ルルーシュ「とりあえず場所を移そう、ここは人目につく」

マオ「?まあいいけど」

15: 2016/09/12(月) 01:20:11 ID:RlEYUzIo
ごめん、明日6時おきしなきゃいけないので、起きてから書こうと思います。
予定では8時前くらい、結婚式前まで書く予定です。
おやすも

18: 2016/09/12(月) 08:54:31 ID:RlEYUzIo
~カフェ~

マオ「ここじゃさっきと変わらなく無い?」

ルルーシュ「少なくとも周りに遠巻きにされるより良いだろう」

ルルーシュ「せっかく咲世子に私服で来させたのに、あれでは無意味になってしまう」

咲世子「ルルーシュ様は有名人ですし」

マオ「それもそっか」

マオ「そういえば、どうしてここに来たの?」

マオ「しかもルルーシュ1人で」

ルルーシュ「いや、確認したいことがあってな」

ルルーシュ「すぐに済む、少しこっちを見ていてくれ」

マオ「?」

ルルーシュ「……起動」

19: 2016/09/12(月) 09:04:45 ID:RlEYUzIo
ルルーシュ「どうだ?何か変化はあるか?」

マオ「?いや、全然?」

ルルーシュ「そうか、ありがとう」

マオ「え?それだけ?」

ルルーシュ「ああ、これだけだ」

ルルーシュ「記憶の方はどうだ?戻る気配はあったか?」

マオ「そっちも全然だよ」

マオ「まあ生活には困らないし、このままでもいいとは思っているけど」

ルルーシュ「そうだな」

ルルーシュ「中華連邦の方は、何か変わったことは無かったか?」

マオ「いつも通りさ、相変わらずごちゃごちゃだよ」

マオ「天子様も大変だね、いい感じに担がれてる」

ルルーシュ「大宦官の圧政か」

マオ「中華連邦に住んでもう一年半くらいだけど、そろそろ別の土地に移ろうかと思ってる」

マオ「そもそも、街でルルーシュを見つけなければもっと早く移動してたと思うし」

20: 2016/09/12(月) 09:11:32 ID:RlEYUzIo
ルルーシュ「手伝えることがあれば言ってくれ、助けになる」ガタッ

マオ「あれ?もう行っちゃうの?」

ルルーシュ「確認はできたしな」

ルルーシュ「それに、CCには内緒で来てしまったから」

ルルーシュ「そろそろ戻らないと怒られそうだ」

マオ「なるほど!それなら仕方ないね」

ルルーシュ「好きなものを食べていくといい、支払いは済ませておく」

マオ「やったー!」

ルルーシュ「いくぞ、咲世子」

咲世子「はい、マオ様もまたいずれ」

マオ「うん!またねー」

ルルーシュ「……」

咲世子「マオ様に何を確認したかったのですか?」

ルルーシュ「あいつにギアスの力があるかどうかだ」

ルルーシュ「あれば腕を起動した時点で気付くだろう」

21: 2016/09/12(月) 09:16:10 ID:RlEYUzIo
ルルーシュ「そもそも、マオがああなった原因は、CCにもよく分かっていないようだった」

ルルーシュ「ギアスの秘密を探るためにも、マオの様子は逐一見ておきたい」

咲世子「見張らせますか?」

ルルーシュ「……いや、その必要はないだろう」

ルルーシュ「場所だけは分かるようにしておいてくれ、仮にギアスが発現せずに残っているような状態であれば」

ルルーシュ「いずれ対処しなければならない」

咲世子「……かしこまりました」

ルルーシュ「あとはナナリーだけだ」ボソッ

咲世子「ナナリー様?」

22: 2016/09/12(月) 09:17:31 ID:RlEYUzIo
ルルーシュ「あぁ、いや」

ルルーシュ「俺の弱点になりそうな要素が、という話だが」

ルルーシュ「ナナリーは元気にしているか?」

咲世子「ええ、こちらに来られることをとても喜んでおいででした」

咲世子「会いに行かれたら良いのでは?」

ルルーシュ「……はは、見えないとは思っていても」

ルルーシュ「この身体であまり会いたくないと思ってしまうのは、気にしすぎかな?」

咲世子「あと数日でこちらに到着されますし」

咲世子「ルルーシュ様がどうなさるおつもりだったとしても」

咲世子「向き合う必要はあるかと」

ルルーシュ「……それもそうだな」

ルルーシュ「式の当日に会ってみるよ、前日は移動で疲れているだろうからな」

咲世子「はい、ぜひそう致しましょう」

28: 2016/09/19(月) 20:04:55 ID:j2JSfuPY
~ブリタニア本国 ペンドラゴン 学生寮~

ナナリー(いよいよ、明日はお兄様とCCさんに会える)

ナナリー(元気にしてらっしゃるのかしら)

ナナリー(お兄様が戻ってきて、またお話ができる)

ナナリー(ふふ、楽しみです)

コンコン

ナナリー(あら、こんな時間にどなたかしら)

ナナリー「はい、どうぞ入ってください」

???「おお、やはりナナリーはナナリーだ」

???「私のことを覚えているか?」

ナナリー「?申し訳ないのですが、私目が見えなくて」

???「ああ、そうだった、そうだよな、すまない」

29: 2016/09/19(月) 20:14:07 ID:j2JSfuPY
コーネリア「コーネリア・リ・ブリタニアだ」

ナナリー「コーネリア、様?」

ナナリー(たしか、お兄様は記憶喪失ということになっていたはず)

ナナリー(あまり余計なことは言わないようにしないとですね……)

ナナリー(でも、なんでここに?)

コーネリア「ああ、お前の姉だ」

ナナリー「でも、私はただの……」

コーネリア「小さかったから覚えていないのかもしれないが、私は覚えているぞ」

コーネリア「だが、今回はどうでもいいんだ」

ナナリー「???」

30: 2016/09/19(月) 20:15:29 ID:j2JSfuPY
コーネリア「聞いているだろうが、お前の兄であるルルーシュが、今度結婚することになった」

コーネリア「ナナリーはこっちに来ていると聞いていたのでな」

コーネリア「せっかくだから、私と一緒にエリア11に連れていこうとここに来たんだ」

ナナリー「え、ええと、あの」

ナナリー「要するに、迎えに来て下さったのですか?」

コーネリア「そういうことだ」

31: 2016/09/19(月) 20:22:21 ID:j2JSfuPY
コーネリア「ルルーシュは私の特務騎士でもあり、ラウンズの一員でもある」

コーネリア「その妹ともなれば、移動にも気を遣うだろう」

コーネリア「私ならば、普通に行くよりずっと安全に、エリア入りできる」

コーネリア「というわけで、ここまで来てみた」

ナナリー「それは、お兄様はご存知なのですか?」

ナナリー「私は明日、お迎えが来て下さるものと伺ってましたが」

コーネリア「連絡はこれからする」

ナナリー「い、一応それをお聞きしてからでないと難しいかと」

コーネリア「大丈夫大丈夫、早めに行って驚かせたいんだ」

ナナリー「あ、あはは」

32: 2016/09/19(月) 20:41:09 ID:j2JSfuPY
???「姫様、あまり興奮されませぬよう」

コーネリア「ギルフォード、私は別に興奮してなどいない」

ギルフォード「ナナリー様、何も今すぐ行くという話ではございません」

ギルフォード「ただ、どうしても姫様がお顔だけでも拝見したいと」

コーネリア「当たり前だろう!」

ナナリー「ま、まあまあ」

ナナリー「そういうことでしたら、私からお兄様に連絡してみます」

ギルフォード「おお、ありがたい」

ギルフォード「姫様はランペルージ卿のこととなるとすぐに空回りしてしまい」

コーネリア「ギルフォード!」

ギルフォード「姫様、ご兄妹とお話しする時はもう少し姉としての威厳をですね」

コーネリア「分かってはいるんだ、だがユフィはあんなだし、ルルーシュも私のことをお姉ちゃんとは呼んでくれない」

コーネリア「しかし、ナナリーならあるいは、と」

33: 2016/09/19(月) 20:50:54 ID:j2JSfuPY
ナナリー「コーネリア様は、お姉様と呼ばれたいのですか?」

コーネリア「ああ、もちろんだ」

コーネリア「というか、甘えてもらいたい!」

ギルフォード「姫様、発言があまりに情けなさすぎます」

コーネリア「いいだろう、私にだって望みくらいあるんだ」

コーネリア「ルルーシュも結婚してしまうし、ユフィは世界中飛び回っていてなかなか帰ってこない」

コーネリア「……私は一人ぼっちだ」

ギルフォード「姫様もご結婚を考えては如何です?」

コーネリア「それはまた別の話だ」

ナナリー「ま、まあ確かに1人だと寂しいですよね」

ナナリー「私もこちらに来たばかりの時は心細かったです」

コーネリア「そうだろうそうだろう」

35: 2016/09/19(月) 21:13:46 ID:j2JSfuPY
コーネリア「とりあえずナナリー、これから夕食に行こう」

コーネリア「2人が今までどうしていたのか、ナナリーの知っている事を聞いてみたい」グッ

ナナリー(なんだか距離がとても近いです)

ナナリー「か、構いませんよ」

ナナリー「私の知っていることであれば、ですけど」

コーネリア「そうか!」

コーネリア「やったぞギルフォード、ナナリーが一緒に来てくれると言っている」

ギルフォード「はい、聞いていましたから分かります」

36: 2016/09/19(月) 21:14:21 ID:j2JSfuPY
ギルフォード「最近はいつも浮き足立っておられて、私は心配です」

コーネリア「目出度いことなのに、共有する相手がノネットしかいないんだ、仕方ないだろう」

コーネリア「そのノネットも最近は聞いてくれないし」

ナナリー(まあ少し面食らいましたけど、やっぱりお姉ちゃんなのは変わってませんね)

ナナリー(以前はもう少し凛々しかったように思いましたが)

ギルフォード「毎日毎日話せば、誰でもそうなります」

コーネリア「私の弟の結婚だぞ?毎日話して何が悪い?」

ナナリー(……ふふ、今のお姉様の方が面白いですね)

48: 2016/10/03(月) 00:05:26 ID:KpXDx7O6
~控え室~

CC「……」コツコツウロウロ

ルルーシュ「どうした、落ち着きのないやつだ」

CC「外の様子を見たか?」

ルルーシュ「ああ、見たとも」

CC「物凄い数の人だ」

ルルーシュ「そうだな」

CC「何を平然としている、これではまるで見世物ではないか」

ルルーシュ「大体結婚式なんて殆どの場合見世物だろう、少し規模が大きいだけだ」

CC「少し!?」

CC「ああ、私の想定が甘かった、こんな所で辱められるならいっそ延期してしまいたい」

ルルーシュ「そうするか?」

CC「いや、しないけど!」

CC「そんな気分なんだ!」

49: 2016/10/03(月) 00:30:03 ID:KpXDx7O6
ルルーシュ「ほらCC、これからドレスを着るんだろう?」

ルルーシュ「あまり動き回ると脚がむくんでしまうぞ」

CC「落ち着かないんだ」

CC「なんとかしてくれ!」

ルルーシュ「……」

ルルーシュ「まあとりあえず座るといい」

ルルーシュ「となり空いてるぞ」

CC「……」コツコツ スッ

ルルーシュ「どうだ?」

CC「あまり変わらない」

ルルーシュ「まあそうか」

50: 2016/10/03(月) 01:51:01 ID:KpXDx7O6
ルルーシュ「なあCC」

CC「?」

ルルーシュ「ながい時間を生きるというのは」

ルルーシュ「どういう気分なんだ?」

CC「なんだいきなり」

ルルーシュ「ふと気になってな」

ルルーシュ「思えばそんな経験のある人間はお前しかいないし」

CC「まあそれはそうだろう」

CC「人間かどうかは怪しいがな」

ルルーシュ「どうせまだまだ時間はある、聞かせてくれないか?」

ルルーシュ「楽しかった頃のことだけでもいい」

51: 2016/10/03(月) 02:00:44 ID:KpXDx7O6
CC「そうだな」

CC「でも最初は楽しかったぞ、実際」

CC「時間がある分じっくり色々やれた」

CC「私がまだ普通の人間だった頃は読み書きすらも出来なかったし、勉強もしたかったからな」

CC「他にも色々な国を行き来したり、氏なない身体のおかげで旅も怖くなかった」

CC「もっとも、途中からは迫害を逃れるための旅になってしまったが」

ルルーシュ「VVとはどこで会ったんだ?」

CC「まだその当時、国の外に出るのは容易ではなくてな」

CC「私はブリタニアから出られず、各地を転々としていた」

52: 2016/10/03(月) 02:08:02 ID:KpXDx7O6
CC「そしてある時、私は追い詰められて」

CC「皇帝に献上された」

ルルーシュ「なるほど、その時に」

CC「ああ、どうやら奴は私よりずっと昔からコードを持っていたようで」

CC「助けられたあとは奴の手伝いをしていた」

CC「……」

ルルーシュ「ああ、それ以上はいい」

CC「シャルルやマリアンヌに会う前には、大方のコードが私たちのところにあった」

CC「残りのコードはシャルルとVVが集めた、だから殆どのコードはVVが持っている」

56: 2016/10/10(月) 08:46:10 ID:3XHelRic
ルルーシュ「お前のコードは」

CC「ん?」

ルルーシュ「いや、お前の持っているコードは」

ルルーシュ「もともとは誰のものだったんだ?」

CC「…もう、名前は思い出せないな」

CC「覚えているのは、妙に優しい奴だったことと」

CC「氏に方を探していたくらいだ」

ルルーシュ「氏に方?」

CC「時間は残酷なのさ」

CC「目的なく生きるには、この身体は丈夫過ぎる」

ルルーシュ「お前にも、そう思う時はあるのか?」

CC「…そうだな」

CC「ただ、まあ私は」

CC「氏ぬほうが怖い、かな」

CC「特に今はな」

57: 2016/10/10(月) 08:56:07 ID:3XHelRic
コテハン忘れてた

ルルーシュ「それは良かった」

CC「本当にそう思っているのか?」

ルルーシュ「当然だ」

ルルーシュ「そろそろ時間だな、咲世子の所に行こう」

CC「…なぁ、ルルーシュ」

ルルーシュ「なんだ?」

58: 2016/10/10(月) 08:56:42 ID:3XHelRic
CC「私は、自分で言うのもなんだが」

CC「色々面倒なやつだ」

CC「すぐ怒るし、不機嫌になるし、不安にもなる」

CC「……」

CC「だけど」

CC「これからも、私と一緒に居てくれるか?」

ルルーシュ「…ふふ」

ルルーシュ「ああ、もちろんだ」

ルルーシュ「何より、お前のこういう姿は素直に可愛らしいじゃないか」

CC「う、うるさい!」

ルルーシュ「はは、顔が赤いぞ」ギュ

ルルーシュ「心配するな、これからもずっと一緒さ」

ルルーシュ「行こうCC、新しい契約を結びに」

59: 2016/10/10(月) 09:07:56 ID:3XHelRic
~会場~

ヴィレッタ(ここか……)

ヴィレッタ(結局当日になってしまった)

ヴィレッタ(まあ、二人とも時期的に忙しいだろうしな)

ヴィレッタ(終わってから話に行けばいいだろう)

ヴィレッタ(正直、少し気まずい)

ヴィレッタ(だが、私だっていつまでも逃げているわけには行かないんだ)

ヴィレッタ(しかし広いところだな、まるでライブのステージだ)

ヴィレッタ(さすがにここで知り合いを探すのは難しそうだ)

ヴィレッタ(…逆に都合がいいか)

ヴィレッタ(どうせあいつらは中央の方の招待席だろうしな)

60: 2016/10/10(月) 09:14:03 ID:3XHelRic
ジノ「アーニャ、席はこっちじゃないぞ」

アーニャ「……知ってる」

アーニャ「付いてこなくて、いい」

ジノ「そういうわけにいかないだろ」

ジノ「ここはどんな人間がいるか分からないんだ、あまりウロチョロするのはよくない」

アーニャ「……」

マリアンヌ(言うこと聞いてあげたら?)

マリアンヌ(多分だけど、仮にこのまま行っても、ルルーシュたちには会えないわよ?)

アーニャ(でも、記録したい)

マリアンヌ(終わってからでいいじゃない、ね?)

61: 2016/10/10(月) 09:15:50 ID:3XHelRic
アーニャ「……」

ジノ「どうして急に不機嫌になるんだ?」

アーニャ「皆、私のことを、分かってくれない」スタスタ

ジノ「あ、おい!」

ジノ「皆って誰だよ。全く」

???「……」ブツブツ

ジノ「え?」

???「……」スタスタ

ジノ「なんだぁ?あいつ」

ジノ「1人で喋りながら歩いてると、気持ち悪がられるぞ」テクテク

62: 2016/10/10(月) 09:27:20 ID:3XHelRic
スザク「ユーフェミア様、飲み物をお持ちしました」

ユーフェミア「ああ、スザク」

ユーフェミア「大丈夫ですよ、ここには私と神楽耶しかいません」

神楽耶「ふふ、まさか結婚式でらいぶが出来るとは思いませんでしたわ」

ユーフェミア「ふふ、そうですね」

スザク「世界的人気の2人だから、ルルーシュたちも喜ぶよ」

スザク「出番は後半だから、時間があいちゃうけどね」

ユーフェミア「間近で見られないのが残念ですね」

神楽耶「ふふふ、あの女が結婚するということは、私の邪魔者が一人減るということですわ!」

神楽耶「ゼロ様!わたくしはまだ諦めていませんわよー」

スザク「は、ははは、まあ程々にね」

スザク(ゼロがルルーシュだとは言えないなぁ)

ユーフェミア(言えませんねぇ)

63: 2016/10/10(月) 09:28:18 ID:3XHelRic
洗濯終ったので干してきますー、まったりお待ちをー

66: 2016/10/10(月) 12:03:39 ID:3XHelRic
マオ「お、席はここかぁ」

咲世子「御来場の皆様、本日は……」

マオ(あら、もうそんな時間か)

マオ(なんか僕まで緊張して来ちゃうよ)

ロロ「おや、貴方は」

マオ「ん?」

ロロ「兄さんから聞いてますよ、CCの弟だとか」

67: 2016/10/10(月) 12:04:12 ID:3XHelRic
マオ「ああ、僕はマオ」

マオ「君は?」

ロロ「ロロです、よろしく」

マオ(なんだろう、不思議な子だなぁ)

ロロ(これだけ目立つイベントだ、どんな事故が起こるかもわからない)

ロロ(この男も情報が少ない、一応見張っておくか)

ロロ(全く、なんで僕が気を回さなきゃいけないんだ)

ロロ(それもこれも、あの二人が警戒心無さすぎるせいだけど……)ブツブツ

マオ(大丈夫かな?この子)

69: 2016/10/10(月) 22:26:14 ID:3XHelRic
~報道関係者席~

ディートハルト(はぁ、全く面白くない)

ディートハルト(ゼロは大きな作戦をしなくなるし、妙な昇進のせいで現場には出にくくなるし)

ディートハルト(やっと出てきたと思えば総督の結婚報道だとォ?)

ディートハルト(くだらん、実にくだらん)

???「ちょっと、コードに引っかからないようにしなさいよ」

???「でも会長、ここ狭くて……」

???「もう会長じゃないっての!ってか何年会長って呼ぶつもりよ」

???「す、すんません」

???「あ、ディートハルトさん」

ディートハルト「ん?」

ディートハルト「ああ、ミレイさん、だったかな?」

70: 2016/10/10(月) 23:11:54 ID:3XHelRic
ミレイ「そうです、ミレイ・アッシュフォード」

ミレイ「ほら、あんたも挨拶しなさい」

リヴァル「リヴァル・カルでモンドです」ペコッ

ディートハルト「ああ、そんなにかしこまる必要はないよ」

ディートハルト「君たちもここに呼ばれたのかい?」

ミレイ「はい、あたしたち新郎新婦の同級生みたいなもので」

ミレイ「本当は仕事関係なくくる予定だったんですが」

71: 2016/10/10(月) 23:13:18 ID:3XHelRic
ミレイ「このバカが周りにいいふらしまして」

リヴァル「謝ったじゃないですかぁ」

ミレイ「うるさい!」

ミレイ「ともかく、今日はよろしくお願いします」

ディートハルト「はは、元気が一番とはよく言ったものだ」

ディートハルト「何もないだろうが、そういう時ほど我々の腕が問われる」

ディートハルト「お互い頑張ろう」

ミレイ「はい!」

ミレイ「ほら、早速カメラ回すわよ」ベシッ

リヴァル「は、はい!」

80: 2016/10/17(月) 01:11:07 ID:/wjwJlv.
咲世子「これで、完成です」スッ

CC「完成とはなんだ、完成とは」

咲世子「ふふ、ぱーふぇくとCCですね」

CC「どうだ、変じゃないか?」

咲世子「とてもお綺麗ですわ」

咲世子「ねぇ?ルルーシュ様」

ルルーシュ「そうだな」

ルルーシュ「CC、よく似合っているぞ」

CC「そ、それならいいが」

ルルーシュ「さて、進行はどうなっている?」

咲世子「私が司会をしますので、そろそろ行きます」

咲世子「カレン様からビデオメッセージも頂いてますから、お2人の入場後に流し、その後はケーキ入刀と」

咲世子「お2人の友人代表としてスザク様のスピーチ、そして虐殺☆皇女のミニライブです」

81: 2016/10/17(月) 01:15:44 ID:/wjwJlv.
ルルーシュ「分かった、早速向かってくれ」

咲世子「はい、それでは後ほど」コツコツ

CC「私たちは?」

ルルーシュ「はは、せっかくだから」

ルルーシュ「少しCCを眺めてから行こうと思ってな」

CC「なんだ、そんなに気に入ったのか?」

ルルーシュ「……ああ」

ルルーシュ「魔女には見えない」

CC「ふふ、それなら完璧だな」

ルルーシュ(なんだろう、この胸騒ぎは)

ルルーシュ(嫌な予感がする、いや)

ルルーシュ(嫌な感じがする、何か得体の知れない気配が)

ルルーシュ(ロロもいる、警備も強化してはいるが)

ルルーシュ(何事もなく終わってくれよ……)

82: 2016/10/17(月) 01:22:37 ID:/wjwJlv.
~会場~

咲世子「それでは、お二方に入場して頂きましょう」

咲世子「新郎新婦、入場!」

ヴィレッタ(……さすがに壮大だな)

ヴィレッタ(イメージだと付き添いでもいるのかと思っていたけど)

ヴィレッタ(さすがにここで付き添いはつけられないか)

キャーキャーワーワー

ヴィレッタ(ははは、私はもっと慎ましい式にしよう)

ヴィレッタ(っと、いけない、今はその事は忘れよう)

咲世子「まずはお二人の共通の友人で」

咲世子「残念ながら今回は参加できないカレンさんからビデオメッセージが届いております」

咲世子「映像、お願いします」

84: 2016/10/17(月) 01:37:58 ID:/wjwJlv.
カレン「んー、髪とか変じゃない?」

カレン「だってあいつらの結婚式でしょ?絶対規模大きいじゃない」

カレン「ねぇスザク、笑ってないでどう?ちゃんとしてる?」

カレン「……そう?ならいいんだけど」

カレン「で、いつから撮るの?」

カレン「え?もう撮ってる?バカ、そういうのは先に言いなさいよ」

カレン「後でちゃんと編集しといてよね、恥かくのはあたしなんだから」

ルルーシュ(ばっちり無編集だがな)

CC(まああいつらしくていいか)

カレン「こほん、えールルーシュ、CC、結婚おめでとう」

カレン「あたしも参加したかったけど、まあ話は後でゆっくり聞かせてもらえばいいわ」

カレン「テレビ中継もあるらしいし」

カレン「思えばあたしが家のことで揉めてるときも、大変だった時も」

カレン「2人にたくさん助けられてばかりでした」

カレン「これからはその2人の関係がさらに強くなるってことで」

85: 2016/10/17(月) 01:43:59 ID:/wjwJlv.
カレン「まあ、つまり難しいんだけど」ポリポリ

カレン「あたしも、これからはしっかりあんた達の助けになれるように頑張るから」

カレン「あんまり喧嘩とかしないで、仲良くやりなさいよ」

カレン「それと、お互い突っ走るタイプなんだから、あんまり無茶はしないよーに!」

カレン「……スザク、これでいいわ」

カレン「え?あぁ、大丈夫だと思うわ」

カレン「分からないわよ、初めてだものこういうの」

カレン「とにかく、あとよろしくね」プツン

咲世子「以上です」

ルルーシュ(編集くらいしてやればよかったのに)

CC(面白がってそのままにしたんだろう)

咲世子「続きまして……」

86: 2016/10/17(月) 01:53:34 ID:/wjwJlv.
ルルーシュ「なあCC」

CC「どうした?」

ルルーシュ「あのケーキは食べられるのか?」

CC「そりゃあ飾りを除けば食べられるんじゃないか?」

ルルーシュ「すごいな、サイズもそうだが」

ルルーシュ「以前のピザを思い出す」

CC「あれと同じさ、パフォーマンスだよ」

CC「ま、私としては」

CC「共同作業という部分はなかなか良いと思ってる」

ルルーシュ「なるほど」

87: 2016/10/17(月) 01:58:06 ID:/wjwJlv.
CC「ふふ、見ろルルーシュ」

CC「あそこでマオが……」

CC「…っ!!」バッ

ルルーシュ「どうしたCC?」

バァン

キャアアアアアアアアアア

ルルーシュ「CC!!」

CC「……ルルーシュ、にげ……」

CC「ぐうっ」キィィン

ルルーシュ「CC?CC!」

CC「…………」

ルルーシュ「くそっ!一体誰が……」

ルルーシュ「咲世子!」

咲世子「はい」スッ

88: 2016/10/17(月) 01:59:02 ID:/wjwJlv.
ルルーシュ「スザクやユフィ、神楽耶に観客の避難を手伝わせろ、今回のやり方からしてほかの人間に危害はないだろう」

ルルーシュ「お前は犯人を探せ、俺はCCを医務室へ連れていく」

ルルーシュ「ラクシャータを呼んでおけ」

咲世子「かしこまりました」フッ

ルルーシュ「かならず報いを受けさせてやる」

ルルーシュ「CC、もう少し我慢してくれ、すぐに治してやるからな」

アーニャ「………」

ルルーシュ(ん?あそこにいるのは?)

ルルーシュ(まあいい、今はCCだ)タッタッタッ

89: 2016/10/17(月) 02:04:45 ID:/wjwJlv.
アーニャ(あれでよかったの?)

~回想~

マリアンヌ(今よ!)

アーニャ(え?)

マリアンヌ(タイミングとしても、ちょうどよかった)

マリアンヌ(行ってくるわ、アーニャちゃん)

アーニャ(で、でも)

マリアンヌ(すぐに戻ってくる、とにかく危険を知らせないと)

アーニャ(あっ……)

ジノ「アーニャ、とりあえずルルーシュの所に行ってみよう」

ジノ「俺たちに出来ることがあるかもしれない」

アーニャ「……うん」

90: 2016/10/17(月) 02:06:20 ID:/wjwJlv.
~少し前~

ロロ(思っていた以上にくだらないなぁ)

ロロ(隣の男も……)

マオ「CCー!こっち向いてー!」カシャカシャ

ロロ(写真撮りまくってるだけだし)

ロロ(まぁ、事件が起こらなければ)

ロロ(それが一番いいんだけど)

???「………」スッ

ロロ(ん?なんだ、あいつ)

91: 2016/10/17(月) 02:07:09 ID:/wjwJlv.
ロロ(いつの間にここへ、さっきまでは誰も……)

???「ブリタニアに栄光あれ」スチャ

ロロ(……!まずっ……)

ばぁんっ!

キャアアアアアアアアアア

ルルーシュ「CC!!」

ロロ「くっ!奴は……!」

マオ「あっちだ!」

ロロ「え?」

マオ「僕はCCの所へ行く、君はあいつを!」

ロロ「わ、分かった」

ロロ(なんだ急に?人が変わったような……)

マオ(なんだかわからないけど)

マオ(なんだ、この嫌な感じ……)

100: 2016/11/03(木) 23:42:55 ID:Y/WvntW6
コーネリア「……む、何事だ」

ナナリー「悲鳴、ですか?」

ギルフォード「ステージで何かあったようですね」

ギルフォード「ここからでは良く見えませんが」

コーネリア「ならば確かめに行こう」

コーネリア「ナナリー、私と一緒に」

コーネリア「1人では危険だ」

ナナリー「はい」

ギルフォード「姫様、わざわざご自身でいらっしゃる必要は」

コーネリア「下の様子を見ろ、どのみち式を続けられるような状態じゃない」

コーネリア「ギルフォード、外のダールトンとグラストンナイツを集めよ」

コーネリア「ルルーシュ達の助けになるのだ」

ギルフォード「は!」

101: 2016/11/03(木) 23:50:29 ID:Y/WvntW6
~会場廊下~

タッタッタッ

???「……」ピピッ

???「失敗しました、ルルーシュの始末は出来ませんでした」

???「はい、やはりCC……」

???「……分かりました、このまま第二目標を回収します」

ロロ「待て!」ダッ

???「邪魔が入りました、また連絡します」ピッ

ロロ「誰だか知らないけど」

ロロ「君の身柄を拘束する」

???「残念だけど、それはできない」

ロロ「何?」

???「君では僕に追いつけないさ、ロロくん」シュン

ロロ「!?消えた!?」

ロロ「何者だ、なぜ僕の名前を……」

102: 2016/11/03(木) 23:59:57 ID:Y/WvntW6
~ステージ裏手~

ヴィレッタ(CCが撃たれた)キョロキョロ

ヴィレッタ(私も手伝える事があるはず、まずは特派の誰かを見つけなければ)

ヴィレッタ「……いたっ」ゴン

コーネリア「すまない、急いでいたとはいえ」

ヴィレッタ「コーネリア様?」

コーネリア「ん?お前は……」

ヴィレッタ「!いえ、私はどうでも良いのです」

ナナリー「その声は、ヴィレッタさん?」

ヴィレッタ「ナナリー?」

ギルフォード「姫様、我々の移動する速度も考えて行動を……」

コーネリア「すまない、ここで何があったか分からないか?」

ヴィレッタ「え、ええ、多分CCが……」

103: 2016/11/04(金) 00:07:09 ID:Imzp10yk
咲世子(?なぜナナリー様がこんな所に)シュッ

咲世子(……メイドからの報告がない、まさか何かあったのでは……)スタッ

咲世子(仕方ありませんわね、まずはナナリー様を安全な所へ)クルッ

咲世子(!あの男……、もしかして)

???「ここに居られたんですね、ナナリー様」

ナナリー「え?」

コーネリア「なんだ貴様、見たことのない顔だが」

???「ナナリー様、私の雇い主が貴女をお連れするように、との事でしたので」

???「あまり乱暴な真似はしたくありません、大人しく来ていただけませんか?」

ナナリー「……どこへ連れて行かれるのですか?」

???「大丈夫ですよ、貴女もよくご存知の場所だ」

コーネリア「ギルフォード、その不埒な輩を捕らえよ」

コーネリア「口ぶりからして、今回の件に関わっているのは間違いないだろう」

ギルフォード「かしこまりました」

???「……嫌だなぁ、抵抗しないでくれれば、傷付けずに済むのに」

104: 2016/11/04(金) 00:19:31 ID:Imzp10yk
ギルフォード「大人しくしてもらおうか」

???「それは、こちらの台詞ですね」シュン ゴスッ

ギルフォード「ぐっ!?」グラッ

ギルフォード「な、なんだ?」

???「貴方たちじゃ、ついてこられないよ」

???「とりあえず皆眠ってもらえるかな」シュン

コーネリア「来るぞ!」

ヴィレッタ「うっ!」ゴロゴロゴロ

コーネリア「ヴィレッタ!くうっ」バシィッ

???「ほら、やっぱりついてこられない」

???「さぁ、ナナリー様」

ナナリー「………」

105: 2016/11/04(金) 00:31:20 ID:Imzp10yk
咲世子「その手を離しなさい」

???「ん?君は?」

咲世子「篠崎咲世子、ナナリー様をお守りするメイドの1人です」

咲世子「申し訳ございませんが、手加減は出来かねます」シャキン

???「へぇ」

???「オバサンは強そうだ」

咲世子「訂正して下さい、私はまだぴちぴちです」

???「軽口叩いても隙は全く見せないか」

???「じゃ、頑張ってね」シュン

咲世子「!?」ガキィンッ

???「……」

???「すごいね、オバサン」

106: 2016/11/04(金) 00:48:01 ID:Imzp10yk
咲世子(マズい、全く見えない)

咲世子(私の目でも追い切れない)ビリビリ

咲世子(油断のある初撃だから辛うじて反射出来たけれど)

咲世子(これならば食らっておくべきでした、もし本気で来られれば)

咲世子(……私では、勝てない)

咲世子(ナナリー様をお守りするために、出来ることは……)

???「あと何回耐えられるかな?」

咲世子「ふふふ、貴方の力」

咲世子「ギアスの力ですね」

???「……オバサン何者?」

咲世子「さて、私はただのメイド」

咲世子「どうしても知りたければ、力尽くでどうぞ?」

???「望むところだね」シュンッ

咲世子(なんとか挑発して、ここから引き離さないと)

107: 2016/11/04(金) 01:33:09 ID:Imzp10yk
ロロ「……あいつはどこへ」

ロロ「ん?今何か……」

???「いやぁ、ほんとにすごいね」

咲世子「ぐっ……」

???「でももう無理でしょ」

咲世子「ふ、ふふふ、確かになかなか厳しいです」

咲世子「随分とお強いこと……」

???「まああんまり頃すなって言われてるから」

???「生かしておいてあげるよ」

咲世子「あ、ありがとうございます」

咲世子「……!」ヒュンッ

???「おっと、危ない危ない」パシッ

108: 2016/11/04(金) 01:39:41 ID:Imzp10yk
???「悪いけど、そろそろ時間だ」

???「もう寝てていいよ」ガスッ

咲世子「がっ……」

咲世子(ルルーシュ様、ナナリー様、申し訳ございません……)ガクッ

???「さて」

ロロ「今の力」

???「ん?」

ロロ「お前、ギアスが使えるのか」

???「ああ、追いついてきたのか」

???「邪魔はしないでほしいな」

ロロ「生憎と、そういうわけにも行かないので」

???「いや、君は従わざるを得ないさ」

???「僕らの目的は同じなんだからね」

???「それに、僕らが戦っても、お互い損するばかりでしょ」

ロロ「……」

109: 2016/11/04(金) 01:42:40 ID:Imzp10yk
???「だからさ、そこ」

???「どいてよ」

ロロ「……!」ゾッ

ロロ「……」スッ

???「ありがとう」

???「さて」グイッ

ナナリー「……ううっ」グッタリ

???「君は引き続き、ここでスパイを頼むよ」

???「もうすぐ、全部終わるみたいだからね」カツカツ

ロロ「……」

ロロ(なんだ、今の感覚)

ロロ(何故かは分からないけど)

ロロ(……怖い?)

ロロ(……馬鹿な)

110: 2016/11/04(金) 01:49:45 ID:Imzp10yk
~医務室~

ラクシャータ「幸い致命的な傷は負ってないわねぇ」

ラクシャータ「もうすぐ救急車が来るから、あとはあたしがやっておくわよ」

ルルーシュ「致命的な傷?」

ルルーシュ「CCは不氏身の身体なのにか?」

ラクシャータ「ええ、不思議なんだけど」

ラクシャータ「傷の治りとか、具合とか」

ラクシャータ「普通の人間よりは、良いんだけど」

ラクシャータ「なんでかは分からない、ただ」

ラクシャータ「今のCCは、何故かものすごく弱ってるってことね」

ルルーシュ「CC……」

111: 2016/11/04(金) 01:54:23 ID:Imzp10yk
ラクシャータ「とにかく、あんたはあんたのやるべき事をしなさい」

ラクシャータ「この混乱収めないと、どうにも動けないでしょ」

ルルーシュ「……ああ、そうだな」

ルルーシュ「あとを頼む」

ラクシャータ「はぁい、任せなさいな」

ルルーシュ(今回の狙いは俺だった)

ルルーシュ(俺を殺そうとする人間は少なくないだろうが)

ルルーシュ(今回の持ち物検査を抜けてくる能力、場合によっては)

ルルーシュ(ギアス、裏にVVかシュナイゼルがいるかもしれんな)

ルルーシュ(まずはどうやって侵入してきたのか解明する必要があるか)

113: 2016/11/04(金) 03:41:21 ID:Imzp10yk
~???~

CC「ここは……?」

???「あら、お目覚めかしら?」

CC「お前は……マリアンヌ?」

マリアンヌ「ハァイ」

マリアンヌ「とりあえずそこ座ったら?ここは欲しいものならなんでも揃うのだから」

マリアンヌ「んー、紅茶が美味しいわ」

CC「お前はここが何処なのか分かるのか?」

マリアンヌ「もちろんよ」

マリアンヌ「ここは貴女の中」

マリアンヌ「頭の中の世界よ」

CC「何だと?」

マリアンヌ「だって私は氏んじゃってるのよ?」

マリアンヌ「ここじゃなければ貴女と話すことすらできないわ」

114: 2016/11/04(金) 03:55:16 ID:Imzp10yk
CC「私はどうなった?」

マリアンヌ「今は寝ているわね」

マリアンヌ「仕方ないわ、ルルーシュを庇って撃たれたのだもの」

マリアンヌ「まぁ、たまには休まないとってことよ」

CC「納得できるか」

CC「私に何をしたマリアンヌ」

CC「狙いはなんだ?」

マリアンヌ「まあまあ、そう焦らないで」

マリアンヌ「順を追って話すわ」

117: 2016/11/04(金) 19:48:14 ID:LYk1F1UQ
マリアンヌ「まず、私がここにいる目的だけど」

マリアンヌ「貴女に色々説明するため、そしてその力を抑えるため」

CC「抑える?力?私のか?」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「私は氏の間際にギアスの力で精神をこの世界の残した」

マリアンヌ「その時知ったの、ギアスとは一体何なのか、その正体を」

CC「ギアスの正体?」

マリアンヌ「ギアスは、もともと1人の王女が持っていた力なの」

マリアンヌ「少し、昔話をしましょうか」ガサガサ

CC「?どうした本棚なんか漁って」

マリアンヌ「ここにあるの、貴女の記憶の中に」

マリアンヌ「いいえ、正確には貴女のもつコード、Cの中に」

CC「私の?」

118: 2016/11/04(金) 19:56:41 ID:LYk1F1UQ
マリアンヌ「あったあった、これね」パラパラッ

マリアンヌ「そう、ここ」

マリアンヌ「むかしむかし、生まれながらに不思議な力を持った姫がおりました。

姫の力は人を勇気づけ、時に励まし、悲しみを癒し、そしてなにより、人を喜ばせるものでした。

姫の存在を讃えた人々は、国の名前を輝ける王国、ブリタニアと名付けました。

しかし、姫にも抗えない一つの大きな力がありました。

それは時間です。

姫の力をもってしても、時間だけにはどうしても抗うことが出来ませんでした。

姫は考えました。この力をより多くの人へ、より多くの時代へ遺したい。

より多くの幸せのために使いたいと。

姫は自分の力の研究を始めました。自らの力に名前をつけ、それを一つ一つ纏めて、他者に分け与える研究です。

姫の研究は成功しました。そしてブリタニアの中で信頼のおける人へ、一つずつその力を授けて回ったのです。

彼らは饗団という組織を作り、それぞれが持つ力を使って人の手助けをするようになりました。

国中が饗団を讃え、全ての力をコード化した頃、姫はもう年老いていました。

しかし、姫は一つだけ心配なことがありました。

119: 2016/11/04(金) 19:57:40 ID:LYk1F1UQ
それはまたしても時間です。

姫の時間は、他の人とは大きく違っていました。

人の時間は余りに短く、また姫の時間を受け入れるほど、人の心は強くありません。

だから姫は、最期に一番大きな能力を、封印することにしたのです。

人の願いを叶える力、人に愛された姫の本当の力を、そして核となるCodeCoreに世界を見守る役目を与えて。

しかし、姫が亡くなって時が経ち、やはり人は大きく道を踏み外していきました。

力を得た人間は姫のことも忘れ、私利私欲のために力をつかい、また奪うようになりました。

CodeCoreは思いました、それならまた力を一つにして、姫を取り戻さなくてはならない、と。」

CC「なんだ?これは」

マリアンヌ「聞いての通りよ、貴女が今まで生きていられた理由でもある」

マリアンヌ「そして、やっぱりこうなっていたのね、と」

マリアンヌ「私はそう思うのよ」パタンッ

CC「???」

マリアンヌ「あくまで落ち着いて聞いてほしい」

マリアンヌ「貴女の今置かれている状況を、ね」

120: 2016/11/04(金) 20:20:59 ID:LYk1F1UQ
マリアンヌ「CC、貴女のコード、Cは1番最後に生まれたコード」

マリアンヌ「神聖ブリタニア帝国、その起こりは皇暦19世紀の初頭とされているけれど」

マリアンヌ「実は、その遥か昔から、ブリタニアという国はずっと続いているの」

CC「どういうことだ?」

マリアンヌ「貴女の知っていることは、云わば世間に知らされている嘘の一部なのよ」

マリアンヌ「貴女が私達の元を去った理由も、本当は的外れ」

CC「何だと?」

マリアンヌ「あの日、私はVVに」

マリアンヌ「私を頃すようにお願いしたの」

121: 2016/11/04(金) 20:27:02 ID:Imzp10yk
CC「意味が分からない」

CC「マリアンヌ、お前は何を知った、あの当時一体何があったんだ」

マリアンヌ「まず、私がCCとギアスの契約を交わした時」

マリアンヌ「いえ、正確には私は貴女と契約出来なかったの」

マリアンヌ「私の中にあったもう一つのギアスのせいでね」

CC「もう一つのギアス?」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「私と、シャルルもだけど」

マリアンヌ「私たちはCodeCoreを受け入れる器としての能力がある」

マリアンヌ「シャルルより私の方が向いていたから、結局は私が器となる予定だった」

マリアンヌ「それが分かったのが、貴女と契約しようとした時」

CC「???」

マリアンヌ「いいから最後まで聞いてちょうだい」

マリアンヌ「貴女のコードがVVに奪われなかった理由」

マリアンヌ「それはとっても単純、奪えなかったの」

122: 2016/11/04(金) 20:32:36 ID:Imzp10yk
CC「奪えない?」

マリアンヌ「ええ、貴女のコードは特別なの」

マリアンヌ「コードギアスを完成させるための最後のピース」

マリアンヌ「封印された王女、いえ記述は姫だったわね」

マリアンヌ「その姫の一番の能力、人を惹き付ける力」

マリアンヌ「貴女のコードは、ほかの全てのコードを管理する為のものなの」

マリアンヌ「当然、さっき読んだ通り、その力は最後に、姫によって封印されている」

マリアンヌ「だから、器の力を持つ私と、貴女は契約することが出来なかった」

CC「それなら、お前のギアスは」

マリアンヌ「ええ、この力はVVとの契約によるものよ」

マリアンヌ「私とVVは、貴女のコードと、私の力を研究することで、コードギアスの完成を目指していた」

CC「シャルルは?」

マリアンヌ「あの人は協力はしてくれたけど」

マリアンヌ「何を考えているのかは分からなかったわ、結果として私達が優しい世界を作りたいという理想で一致していたし」

123: 2016/11/04(金) 20:37:01 ID:Imzp10yk
マリアンヌ「私達は、この世界を利益に囚われることの無い存在」

マリアンヌ「所謂神に統治してもらうことが」

マリアンヌ「優しい世界を作る一番の方法だと考えたわけ」

マリアンヌ「結果、VVの持っていた、いえVのコードが持っていた過去の記憶の一部を読み取り、私の能力である人の心を渡るギアスも分かった」

マリアンヌ「だけど、そこで問題が起きたの」

CC「問題?」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「私の能力……器の方ね」

マリアンヌ「その力がナナリーに移ってしまったの」

マリアンヌ「ルルーシュの時は何も無かったから分からなかったけど、どうやらこの能力は私のギアスと同じように」

マリアンヌ「人から人へ渡っていくみたいなの」

126: 2016/11/06(日) 23:38:55 ID:pytX0GKU
CC「ということは、今はナナリーが器の力を?」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「私はそのために、氏んだのよ」

CC「どういうことだ?」

マリアンヌ「ナナリーに背負わせたく無かったから」

マリアンヌ「器になるということは、自分で居られなくなるということだもの」

マリアンヌ「ルルーシュも、ナナリーも、あの子達にはあの子達の人生を生きて欲しいから」

マリアンヌ「まあ、結果は失敗してしまったけど」

マリアンヌ「ナナリーの記憶は、シャルルが上書きしたわ、あの子の目と脚はそのせい」

マリアンヌ「つまり、VVの目的は奪うことの出来ない貴女のコードと、器であるナナリー」

マリアンヌ「私はそれを止めるためにここにいるの」

CC「どうするつもりだ?」

CC「私がここにいる理由も分からない」

127: 2016/11/06(日) 23:39:31 ID:pytX0GKU
さっきのは前回のあまり分ね、ちょいまちどこまで書いていいのかメモ見ないと忘れる

152: 2016/11/27(日) 14:07:34 ID:.QcMbw82
マリアンヌ「今、現状貴女の身体は所謂休眠状態になっているの」

マリアンヌ「一時的ではあるけど、貴女の中にあるギアスの因子は封印されているようなもの」

マリアンヌ「例えVVがあなたのギアスを欲しがっても、私がここにいる間は奪うことが出来ない」

CC「どうして?」

CC「そもそもVVは私のギアスを奪うことができないんだろう?」

マリアンヌ「ええ、彼自身の力ではね」

マリアンヌ「でも、それ以外ならば可能よ」

CC「それ以外?」

マリアンヌ「ルルーシュの腕の話は聞いたかしら?」

CC「いや、詳しくは」

マリアンヌ「あれがVVの切り札の一端よ」

マリアンヌ「それがルルーシュの手にあるというのも、また皮肉な話だけれど」

153: 2016/11/27(日) 14:13:38 ID:u9adknBI

マリアンヌ「私はVVに見つからないように、何年もあちら側の情報を探ってきた」

マリアンヌ「そして、ギアスイーターと呼ばれる兵器の存在を知ったの」

CC「ギアスイーター」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「あれはね、ギアスという高純度のエネルギーの塊、それ自体を吸収してしまう能力があるの」

マリアンヌ「今まで何人ものクローン体、実験体が運用を試みて失敗していた、理論だけのもののはずが」

マリアンヌ「バトレーという男の研究所で成功したという報告を見たのよ」

CC「バトレー!?」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「幸い、その情報は本国に伝わる前に私が消去したわ」

マリアンヌ「不思議なことだけど、バトレー自身もそれを隠したがっているみたいだったし」

マリアンヌ「まぁ、それで」

マリアンヌ「完成したとされるルルーシュのギアスイーターと同じような装置を」

マリアンヌ「VVは未だに研究し続けていた」

154: 2016/11/27(日) 14:18:05 ID:H.YuFgX6
マリアンヌ「まだ暫く大丈夫と踏んでいたのだけど」

マリアンヌ「ここ数ヶ月で、また事情が変わったの」

CC「何があった?」

マリアンヌ「今、貴女とルルーシュは中華連邦に何か仕掛けようとしているわよね?」

CC「あ、ああ……」

マリアンヌ「それをVVは知っているはず」

マリアンヌ「なのに、何もアクションを起こさないことが気になって」

マリアンヌ「私は直接こちらに来て調査することにしたの」

マリアンヌ「VVにとって、研究施設の多くある中華連邦は、今の関係性を保っていた方が動きやすいはずだもの」

マリアンヌ「何かある、とね」

CC「それで?」

CC「何かあったのか?」

155: 2016/11/27(日) 14:38:18 ID:yeI2XzgU
マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「VVはルルーシュのギアスイーターを知らないこと」

マリアンヌ「それは間違いないと思うわ」

マリアンヌ「そして、それなのに中華連邦を放っておいてまでやりたいこと」

マリアンヌ「結論から言えば」

マリアンヌ「VVはナナリーの中に入るつもりよ」

CC「???意味が分からない」

マリアンヌ「ええ、私も混乱したわ」

156: 2016/11/27(日) 14:39:14 ID:yeI2XzgU
マリアンヌ「でも間違いない、アーカーシャの剣を使うつもりだということは」

マリアンヌ「それ以外考えられないわ」

CC「アーカーシャの剣、Cの世界を壊すための武器だったはずだが?」

マリアンヌ「……CC、それはあくまで使い方の一つに過ぎないわ」

マリアンヌ「あの装置は本来、人々の集合無意識であるCの世界と、この世界との境界に干渉する」

マリアンヌ「つまり、人の意識の本質的な繋がりを断ち切る装置なのよ」

CC「本質的な繋がり?」

マリアンヌ「要は装置を起動した人間の意識を強制的に人の脳に焼き付け」

マリアンヌ「Cの世界から隔離し、新しいCの世界をこちら側に作るの」

マリアンヌ「一つの共通意識が、全ての人に作用するようになる」

マリアンヌ「云わば、意識をアップデートする装置」

マリアンヌ「VVはその機能を、ナナリーという個人に使おうとしている」

マリアンヌ「つまり、ナナリーに自分の人格を上書きしようとしている」

157: 2016/11/27(日) 15:16:41 ID:H.YuFgX6
CC「ナナリーがVVになる?」

マリアンヌ「ええ」

CC「いや、だが待てマリアンヌ」

CC「VVがCの世界との繋がりの破壊ではなく」

CC「ナナリーに使おうとしている根拠はなんだ?」

マリアンヌ「……やっぱり、そうなるわよね」

CC「当たり前だ」

CC「それに、それができる装置なのだとしたら」

CC「今までいつでもナナリーに使うチャンスがあったはずだ」

CC「あの子は本国の学校に通っていたのだから」

マリアンヌ「いいえ、今までと」

マリアンヌ「今では違うことがあるわ」

CC「なんだ?」

158: 2016/11/27(日) 15:17:17 ID:Dv.SpktM
マリアンヌ「ルルーシュが、本当のルルーシュであることよ」

マリアンヌ「そして、貴女のコードを奪うほどに、ルルーシュのギアス能力が順化していること」

CC「……つまり」

CC「ルルーシュが戻ってきたから、奴は計画を実行することにした?」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「唯一、貴女からコードを受ける資格をもち」

マリアンヌ「ナナリーを守ろうとするルルーシュがいるから」

マリアンヌ「VVはナナリーになり、ルルーシュに貴女のコードを奪わせたあと」

マリアンヌ「ルルーシュにコードを渡させるつもりよ」

マリアンヌ「貴女と違って、ルルーシュは抵抗できない」

マリアンヌ「ナナリーのために、ルルーシュはコードを諦める」

マリアンヌ「……そして、ナナリーを器に、ギアスは完成する」

マリアンヌ「VVの思うままに、世界は変えられてしまうわ」

159: 2016/11/27(日) 15:17:48 ID:Dv.SpktM
CC「……いろいろ納得できないんだが」

CC「コードが欲しいなら、例えば私に対してルルーシュを人質にとったらどうだ?」

CC「私がルルーシュのためにコードをVVに渡すように」

CC「要は、コードを諦めさせればいいんだろう?」

マリアンヌ「そうね、それが出来ればやるでしょうけど」

マリアンヌ「やらないのは、そちらの方が手間がかかる上に、不確定な要素があるからでしょうね」

CC「不確定?」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「貴女にとって、ルルーシュがただの人間以上であることは、VVも知っている」

160: 2016/11/27(日) 15:20:32 ID:H.YuFgX6
マリアンヌ「だけど、二年前に」

マリアンヌ「貴女はルルーシュではなく、ルルーシュの思いを優先した」

マリアンヌ「もし仮にルルーシュが」

マリアンヌ「俺のことはいい、絶対にコードを渡すな、と言ったら?」

マリアンヌ「また貴女がその言葉を優先してしまったら?」

マリアンヌ「そうされないためにはルルーシュ自身にも、洗脳や意識のアップデートをする必要が出てくる」

マリアンヌ「そして、それは出来ない」

マリアンヌ「なぜなら、貴女はルルーシュと契約していて、ルルーシュのことをよく知っているから」

161: 2016/11/27(日) 15:21:29 ID:H.YuFgX6
マリアンヌ「VVにとって、ルルーシュはただの可能性の一つだった、ルルーシュに成り代わって完璧に演じることは」

マリアンヌ「出来ない」

マリアンヌ「そして、もし貴女に気付かれれば」

マリアンヌ「また計画は振り出しに戻ってしまう」

マリアンヌ「皮肉なものよね、貴女のコードを奪うためにルルーシュを利用しようとしていたのに」

マリアンヌ「そのルルーシュがまた計画の中心で邪魔になっている」

マリアンヌ「さあ、ここまで話せば、私が今何故ここにいるのか分かるかしら?」

CC「私にそのVVの計画を説明する以上の意味があるんだな?」

マリアンヌ「ええ」

162: 2016/11/27(日) 15:22:59 ID:H.YuFgX6
マリアンヌ「しばらく貴女の力を抑えつけているのは、計画の実行を出来る限り遅らせるため」

マリアンヌ「そして、その間にルルーシュには」

マリアンヌ「中華連邦を押さえ、そのままブリタニアに切り込んでもらう」

CC「切り込む?」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「ルルーシュにVVを頃してもらうの」

マリアンヌ「そのための協力者が、外にいるわ」

CC「ルルーシュは人を頃したりしない」

マリアンヌ「ええ、そうでしょうね」

マリアンヌ「でも、VVは人ではないし、頃すというのもコードを強制的に引き剥がすだけよ」

163: 2016/11/27(日) 15:27:02 ID:H.YuFgX6
マリアンヌ「ルルーシュのギアスイーターがあれば、ギアスによる意識のアップデートも効果はない」

マリアンヌ「今ナナリーを人質にとっても、ルルーシュが貴女からコードを奪うことは出来ないもの」

CC「まて、まだ分からないことがある」

CC「それならナナリーを守るのが先じゃないのか?私に何かする前に」

マリアンヌ「いいえ、それは出来ないわ」

マリアンヌ「VVが痺れをきらせて、ルルーシュを頃してしまおうとすれば」

マリアンヌ「だれもVVを止められなくなる」

マリアンヌ「ナナリーを過度に守りすぎる訳にはいかないの」

マリアンヌ「VVがルルーシュの武器に気付く前の、今が最後のチャンス」

マリアンヌ「どのみちナナリーの身体はVVにとっても必要なもの、殺されることは無いわ」

マリアンヌ「だから、私はここに来た」

164: 2016/11/27(日) 15:27:38 ID:H.YuFgX6
CC「……ふぅ」ドサッ

マリアンヌ「あら、疲れちゃった?」

CC「……分かるような分からないような、とにかく混乱している」

CC「質問したいことも、まだあるしな」

マリアンヌ「いいわ、どうせ暫くここにいるしかないのだから」

マリアンヌ「少しずつ聞きなさいな」

マリアンヌ「答えられる範囲なら、教えてあげる」

165: 2016/11/27(日) 15:28:33 ID:H.YuFgX6
CC「……なぁ、マリアンヌ」

CC「どうしてお前は、ここまで詳しく知っているんだ?」

マリアンヌ「知っているって、VVの計画のこと?」

CC「……あぁ、それでいい」

マリアンヌ「簡単よ」

マリアンヌ「だって、そのナナリーの役が」

マリアンヌ「本来私のやるはずだったところだもの」

CC「……え?」

マリアンヌ「ふふ」カチャカチャ

マリアンヌ「さて、向こうは上手くやってくれているといいけれど」ズズッ

166: 2016/11/27(日) 15:41:53 ID:H.YuFgX6
~執務室~

ルルーシュ「全く、どうなっている」カタカタ

ルルーシュ「咲世子とは連絡がとれないし、監視カメラ含め犯人がどうやって侵入したのかも分からない」

ルルーシュ「どういうことだ……」

コンコン

ルルーシュ「誰だ?今忙し……」

ルルーシュ「ロロ?」

ロロ「……」

ルルーシュ「どうした?ロロ」

ロロ「咲世子と他数名がやられた」

ロロ「さっき医務室へ運ぶように手配してきたよ」

ルルーシュ「なに?」

ルルーシュ「ナナリーは?」

167: 2016/11/27(日) 15:42:49 ID:H.YuFgX6
ロロ「……」

ルルーシュ「ロロ!」

ロロ「……っ!」ハッ

ロロ「ナナリーは、攫われた」

ルルーシュ「……くっ」ドンッ

ルルーシュ「咲世子たちは無事なのか?」

ロロ「命に別状はないよ」

ロロ「これからどうするの?」

ルルーシュ「……とにかく、まずはこの混乱を収めるのが先決だ」

ルルーシュ「ロロ、お前は広報課の方に向かってくれ」

ルルーシュ「犯人の映像さ極端に少ないが、この国の外に出られる前に」

ルルーシュ「探させる必要がある」

ロロ「……うん、分かったよ」

168: 2016/11/27(日) 15:43:19 ID:H.YuFgX6
ルルーシュ(くっ、ナナリー)

ルルーシュ(また医務室か、しかし咲世子が目覚めれば犯人について何か分かるかもしれない)

ルルーシュ(ここにいてもやれる事はほとんど無いし、まずはCCと咲世子の目覚めを待つか)

コンコン

ルルーシュ「今度はなんだ!?」

アーニャ「ご、ごめんなさい」

ルルーシュ「!君は確か……」

ルルーシュ「どうしたんだ?」

アーニャ「貴方に、話すことがあって」

169: 2016/11/27(日) 15:44:02 ID:H.YuFgX6
ルルーシュ「……聞こう」

アーニャ「え?」

ルルーシュ「大事なことなんだろう?」

ルルーシュ「聞かせてくれ、俺に話すこととは何だ?」

アーニャ「……何を話しても、信じてくれる?」

ルルーシュ「嘘をつくつもりはあるか?」

アーニャ「……」ブンブン

ルルーシュ「ならば信じよう、話してくれ」

アーニャ「……うん、分かった」

170: 2016/11/27(日) 15:49:42 ID:H.YuFgX6
ルルーシュ(……)カツカツ

ルルーシュ(アーニャの言っていたこと、俄には信じ難いが)

アーニャ『私も、全部、知ってるわけじゃない』

アーニャ『だけど』

アーニャ『VVを止めないと、大変なことになる』

アーニャ『それだけは、分かるの』

ルルーシュ(VVのことを知っていた)カツカツ

ルルーシュ(VVの罠という可能性は?)

ルルーシュ(いや、それにしても中華連邦を取らせる意味は無い、むしろアーニャの言っていた)

ルルーシュ(中華連邦を取って向こうに宣戦布告するという流れは)

ルルーシュ(ある意味VVやシュナイゼルの思考とも噛み合っている)

171: 2016/11/27(日) 15:50:25 ID:H.YuFgX6
ルルーシュ(奴らにしてみれば、ギアスの研究施設を押さえたこちらは邪魔でしかないだろうからな)

ルルーシュ(だが、ナナリーはなぜ安全だと言いきれる?)

アーニャ『ナナリーは大丈夫、あの子はVVにとっての、鍵、だから』

ルルーシュ(ナナリーが鍵、一体どういうことだ)

ルルーシュ(……ともかく医務室に向かおう)

ルルーシュ(CCとも話し合わなければ)

173: 2016/11/27(日) 16:00:34 ID:H.YuFgX6
~再び医務室~

ルルーシュ「ラクシャータ、いるか?」

ラクシャータ「あ、ああルルーシュ」

ラクシャータ「ちょおっと、マズイ感じかもね」

ルルーシュ「咲世子達のことだろう?話は聞いた」

ラクシャータ「うーん、そっちもあるけど」

ラクシャータ「CC?ルルーシュが来たわよぉ」

ルルーシュ「CCが目覚めたのか?」

ラクシャータ「うん、目覚めたはいいんだけどねぇ」

ルルーシュ「?」

CC「……」ボヤ

174: 2016/11/27(日) 16:01:11 ID:H.YuFgX6
ルルーシュ「CC?」

CC「……あの」

ルルーシュ「うん?どうした」

CC「貴方は、どなたでしょうか?」

ルルーシュ「……ラクシャータ、これは一体」

ラクシャータ「聞いての通りよん」

ラクシャータ「この子、記憶喪失みたい」

ルルーシュ「……なんてことだ」

CC「……?」

175: 2016/11/27(日) 16:09:07 ID:H.YuFgX6
~中華連邦~

技師「カレンさん、これどこに運べばいいんです?」

カレン「それどこの部品?……ああ、腕はまだ手をつけてないから、向こうのとこにひとまとめにしておいて」

カレン「それと、趙さん呼んできて、ここのコードの書き方訳分からないから」

技師「分かりましたー、すぐ呼んできますー」

カレン「ふぅ、あたしだけってのは不安ねぇ」

カレン「何より言葉が難しいわ、全く、もう少し向こうから連れてくればよかった」

星刻「精が出るな」

176: 2016/11/27(日) 16:10:55 ID:H.YuFgX6
カレン「あら星刻、見学?」

星刻「まあそんなところだ」

星刻「完成度はどんな感じだ?」

カレン「どんなもなにも、見ての通り足の一部とむき出しのコックピットブロックだけよ」

カレン「設計自体はラクシャータさんとロイドさんがやってくれてるけど、如何せんこっちの技師さんたちに伝えるのが難しくて」

星刻「迷惑をかけるな、なにせこちらではガン・ルゥ程度のナイトメアしか無かったので」

カレン「ま、そこに関してはグダグダ言っても仕方ないことだから」

カレン「なんとかするわ、それがゼロの命令だからね」

星刻「ゼロ、か」

星刻「なぁ、君はラウンズの部下なんだろう?」

星刻「こんなところに居ても大丈夫なのか?」

カレン「大丈夫よ、私は普通に公務をしていることになってるから」

カレン「それに、あたしはもともと騎士団のメンバーだもの」

177: 2016/11/27(日) 16:16:35 ID:H.YuFgX6
星刻「騎士団であり、ラウンズでもある」

星刻「それでは、君の真意はどちらにあるんだ?」

カレン「え?ちょっと今の単語分からないんだけど」

星刻「あ、ああ済まない」

星刻「そちらの言葉で話そう」

カレン「凄いわよね、色々話せて」

星刻「そちらも、日本とブリタニア、二つ分だろう?」

カレン「あー、それはそうなんだけど」

カレン「中華連邦の言葉は日本ともまた違うから本当こんがらがるわ」

カレン「発音も難しいし」

星刻「上達しているさ」

178: 2016/11/27(日) 16:17:14 ID:H.YuFgX6
星刻「それで、君の真意はどこにある?」

カレン「真意?」

星刻「ブリタニアと日本、どちらなのか」

カレン「んー」

カレン「もちろん日本、と言いたいところだけど」

カレン「最近は分からないかな」

星刻「わからない?」

カレン「なんというか」

カレン「日本はもちろん取り戻したいけど、だからといってブリタニアを無くしたいって気持ちは薄れてきたかなって」

カレン「なんというか」

カレン「それをしちゃったら、ブリタニアに私達がされた事を、やり返すだけになって」

カレン「いつまで経っても解決しないかなって思ってる」

179: 2016/11/27(日) 16:29:50 ID:H.YuFgX6
星刻「いつまでも変わらないか」

カレン「なーんて、口では簡単に言えるんだけどね」

カレン「実際はどうだろ、やっぱりブリタニアを憎んでいる気持ちは」

カレン「完全には無くなってないかな」

星刻「まあ人間そう簡単に割り切れるものでもないさ」

星刻「それより、少し休んできたらどうだ?」

星刻「そろそろ昼時だ、何かあれば私があとでまとめて伝えよう」

カレン「いいの?」

星刻「ああ」

星刻「こういったことには詳しくないので、手伝えないことが歯痒いんだ」

星刻「我が国のためのことなのに、何も出来ないのはな」

星刻「だから、少しくらい役に立ちたい」

カレン「そう……」

180: 2016/11/27(日) 16:32:13 ID:H.YuFgX6
カレン「それなら、少し甘えさせてもらおうかな」

カレン「一時間くらいで戻るわ」

星刻「ああ、ゆっくりしてきてくれて構わない」

カレン「ありがと」

カレン(……)

カレン(せっかくのことだから従ってはみたけど)

カレン(あたし、まだこのあたりのことよく知らないのよね)

カレン(山の中だから街があるわけじゃないし)

カレン(ま、外の空気でも吸ってこようかな)

カレン「よし!」

181: 2016/11/27(日) 16:38:32 ID:H.YuFgX6
~中華連邦拠点 外~

カレン「んー、こっちの方が日本より暖かいかなー」ノビー

カレン「お腹はあんまり空いてないし、そこらで寝転がりますか」

カレン「お、いい所発見!」

カレン「あぁ~」ゴロン

カレン(……やっぱり、1人で異国ってのは寂しいわね)

カレン(今頃ルルーシュとCCは結婚式かな?あたしも行きたかったけど)

カレン(ま、あの2人を休ませるには働かないとね)

カレン(それにしても)

チュンチュン……チチチ……

カレン(平和よね、驚くほど)

182: 2016/11/27(日) 16:40:01 ID:H.YuFgX6
カレン(今、世界の何処かでは相変わらず戦争が起きてる)

カレン(それもこれも、全部ブリタニアが侵略を進めるから)

カレン(だから、あたしもゼロも……ルルーシュも止めたいと思ってる)

カレン(けど、どうやったら止まるんだろう)

カレン(ブリタニアが亡くなったら?日本が完璧に独立したら?中華連邦が生まれ変わったら?)

カレン(そうしたら、人は争わなくなるのかしら)

カレン(……ほんとに、それで全部終わるのかしら)

カレン(ギアスが無くなって、それでも)

カレン(争いが終わらなかったら、あたしは次に)

カレン(何と戦うんだろう)

183: 2016/11/27(日) 16:43:11 ID:H.YuFgX6
カレン(ルルーシュとCCは、ギアスが無くなったらどうなるんだろう)

カレン(ふたりともギアスの力で、今生きている)

カレン(てことは、ギアスが無くなったら、二人ともいなくなるってこと?)

カレン(……)

カレン(あーもう、全然分からない)

カレン(何かないのかしら、皆でただ平和に過ごせるだけの世界を作る方法)

カレン(……なんてね)

カレン(あたしももう子供じゃないんだし、そんな夢物語がないことくらい)

カレン(……)

カレン「分かってる、分かってるんだけどなぁ」

カレン「どうにか、ならないのかなぁ」

天子「何がですか?」

カレン「え?」

184: 2016/11/27(日) 17:01:42 ID:H.YuFgX6
天子「こんにちは」

天子「すみません、お休みしてたみたいなのに」

カレン「いいえ、それはいいんですけど」

カレン「日本語、分かるんですか?」

天子「ふふふ、少しなら分かります」

天子「それで、カレンさんは何をどうにかしたいのですか?」

カレン「あ、あはは」

カレン「あの、ものすごく子供っぽい考えなんですけど」

天子「見ての通り、わたくしはまだ子供ですから」

天子「ちょうどいいと思いますよ」

カレン「そ、そうですかね」

天子「ええ」

カレン「それなら、ちょっと聞いて貰えますか?」

天子「はい、ぜひ聞かせてください」

185: 2016/11/27(日) 17:05:52 ID:H.YuFgX6
天子「なるほど」

カレン「ね?子供っぽいでしょう?」

天子「そんなことないと思いますよ」

天子「もしそういう考えを持たなくなることが大人になるということなら」

天子「わたくしは子供のままでいたいです」

カレン「そ、そうですかね」

天子「……わたくしの話になってしまいますが」

カレン「?」

天子「わたくしが生まれた頃から、この国は弱りきっていて」

天子「争う元気もない国民と、その上に君臨する者達という」

天子「そんな環境以外を体験したことがありません」

天子「たしかに、見かけ上は争いがありません」

天子「でも、けして平和、というわけでもないです」

186: 2016/11/27(日) 17:08:55 ID:H.YuFgX6
天子「カレンさん、わたくしは」

天子「争っていることも含めて、生きるという事なのではないかと」

天子「そう思っているんです」

カレン「争うことが、生きること?」

天子「はい」

天子「抵抗する、というのが正しいかもしれません」

天子「現状をただ受け入れるのではなく」

天子「より良いものになるように抵抗する」

天子「限界と思うことも、その壁を乗り越えるために抵抗する」

天子「わたくしたちは今まさに、抵抗するための準備をしているのです」

天子「みなが一様で、争いのない世界は」

天子「平和かもしれませんが、健全ではないと思います」

187: 2016/11/27(日) 17:11:43 ID:H.YuFgX6
カレン「……言いたいことは分かりますけど」

カレン「でも、現にその抵抗で」

カレン「氏んでる人が、たくさんいるんですよ」

カレン「ここでも、もしかしたら」

カレン「……そう思うと、どうしていいか分からなくなって」

天子「……」

天子「わたくしは、戦う力を持っていません」

天子「いつも、外から皆さんを見ているだけです」

天子「だから、いざとなればこの身を捧げることを厭わないように」

天子「心に誓っています」

188: 2016/11/27(日) 17:17:32 ID:H.YuFgX6
カレン「……立派ですよ、天子様は」

天子「うふふ、言葉だけなら言えるんですけどね」

カレン「!」

天子「なかなか難しいです」

天子「でも」

天子「カレンさんが考えていることも、わたくしのこの覚悟も」

天子「まずは持っていることが大事なんじゃないでしょうか」

カレン「持っていることが、大事?」

天子「そうです」

天子「持っていれば、もしかしたら使えるかも知れません」

天子「でも、持ってもいない人は、そもそも使う選択肢もありません」スック

天子「いいじゃありませんか、争いましょうカレンさん」

天子「わたくしも、出来る限りのことをします」

189: 2016/11/27(日) 17:23:58 ID:H.YuFgX6
天子「それでもダメなら」

カレン「……ダメなら?」

天子「その時は、また2人で考えましょう」

天子「三个臭皮匠,勝過一个諸葛亮です」

カレン「えっと、三人寄れば文殊の知恵?かな」

天子「それです」

カレン「私達2人だけどね」

天子「じゃあ、まずは3人目を探すところからですね」

天子「……わたくしは、カレンさんたちのお陰で今やっと希望を持てています」

天子「中華連邦を代表して、カレンさんの理想とする世界を作る手助けをすることを、お約束しますよ」

カレン「ふふ、やっぱりお国の代表となると、器が大きいですね」

天子「えへん」

天子「でも」

190: 2016/11/27(日) 17:26:00 ID:H.YuFgX6
カレン「でも?」

天子「そんな器の大きな人は」

天子「今1番欲しいものが手に入りません」

カレン「1番欲しいもの?」

天子「はい」

カレン「何が欲しいんですか?」

天子「……あの、とても子供っぽいんですが」

天子「聞いて下さいますか?」

カレン「……ふふ」

カレン「はい、もちろん」

天子「お友達が」ボソボソ

カレン「え?」

天子「お友達が、欲しいんです」

191: 2016/11/27(日) 17:28:18 ID:H.YuFgX6
カレン「……」

天子「……」

カレン「ふふっ」

天子「あっ」

天子「カレンさん!何も笑うことはないと思います」

カレン「ふふふ、いや、だって」

カレン「さっきまであんなにしっかり話してたのに」

カレン「と、友達が欲しいものなんて」ククク

天子「し、仕方ないのです」

天子「中華連邦の方々は、みなわたくしを天子としてしか扱ってくれませんし」

天子「むぅ」

カレン「あははは」

192: 2016/11/27(日) 17:38:49 ID:H.YuFgX6
カレン「じゃあ、天子様」

天子「なんですか?」

カレン「まずはあたしとお友達になりましょう」

カレン「ちょうどあたしも、お話し相手が居なくて困ってたから」

天子「……」

カレン「天子様?」

天子「あ、いえ」

天子「わたくしお友達というのは」

天子「どういう風にすればいいのかわからなくて」

193: 2016/11/27(日) 17:39:26 ID:H.YuFgX6
カレン「……あはははは」

天子「な、なんですか?」

カレン「じゃあ、はい」スッ

天子「あくしゅ?」ギュッ

カレン「そう」

カレン「これで、あたしたちは友達」

カレン「よろしくね、天子ちゃん」

天子「天子、ちゃん」

カレン「だめ?」

天子「い、いえ」

天子「かわいいと思います」

カレン「ふふ、そうでしょう」

194: 2016/11/27(日) 17:42:13 ID:H.YuFgX6
カレン「さ、せっかくだから見学していかない?星刻さんもいるし」

天子「いいんですか?」

カレン「もちろん!」

カレン「さ、行きましょ?」

天子「……はいっ!」タッタッタッ

212: 2016/12/09(金) 00:16:07 ID:1KaxaKwY
~中華連邦 基地宿泊施設~

カレン「んー」ノビー

カレン(こっちはニュースとかやらないのかしら)ピッ

カレン(……バラエティすらないのね、あるのは過去の演説やら中華連邦の歴史やら)

カレン(もしかしたら、そもそもテレビを見られる人自体が少ないのかしら)

カレン(……まぁここが山奥だから電波が来てないだけかもしれないけど)

カレン(にしても、妙な話よね)

カレン(ルルーシュはここにブリタニアのギアス研究所が幾つもあるって言ってたけど)

カレン(別にブリタニアにだって見つかりにくい場所なんて沢山あるだろうし)

カレン(資源云々だってこっちに密輸したりこっちで採取するより、ブリタニアの保有分から出せばいいだろうに)

カレン(なんでわざわざ中華連邦でやるのかしら)

213: 2016/12/09(金) 00:24:58 ID:1KaxaKwY
カレン(そもそも、ルルーシュの居ない2年間)

カレン(なんでシュナイゼルもVVもルルーシュ、……CCに何も関わって来なかったのかしら)

カレン(CCが居なくなった方が都合がよかった?)

カレン「あー、もう」

カレン「何か引っかかるのよねぇ」バフッ

カレン「……ベッド硬いなぁ」

カレン(結局、あたしはギアスってものについて全然分かってないのよ)

カレン(ルルーシュ、ゼロとCCに言われるがままにやってるし、実際今までそれでなんとかなってたし)

カレン(……それが不満って訳じゃないけど)

カレン(なんか、大変なところは全部押し付けてるみたいなとこが嫌なのかも)

カレン(……少し調べてみようかしら)ムク

カレン(でもどうやって?紅蓮で中華連邦を動いていたら、さすがに目立っちゃうし)

214: 2016/12/09(金) 00:36:09 ID:1KaxaKwY
カレン(んー、研究所の一つでも分かれば、研究データか何かあるかもしれないのに)

カレン(……ちょっと待って)

カレン(こっちで研究したらデータは、一体どうやってブリタニアにいる連中に渡していたのかしら)

カレン(今時手渡し?VVってのは表に出てこないにしても、シュナイゼルは公務もあるでしょ)

カレン(となると、やっぱりブリタニアと繋がってる所があるはず)

カレン(それこそ位置的に日本を経由して送るんだろうけど)ガサゴソ

カレン「あった、持ってきた端末」

カレン(もしそうだとすれば、逆に日本を経由して中華連邦のサーバーに総当りして)カタカタ

カレン(何かやりとりのあった所に研究所があるはず)

カレン(履歴は追えないでしょうね、さすがにそこまで馬鹿じゃないでしょ)

カレン(うー、これって洋上に中継局でもあったら完全に無駄な行為なのよね)

カレン(いやいや、そんな目立つ動き、さすがにしないでしょ)

カレン「頼むわよー、なにかヒントくらい見つかってよね」カタカタ

215: 2016/12/09(金) 00:44:35 ID:1KaxaKwY
カレン(……)

カレン(やっぱり特に変な通信は無さそう)

カレン(そもそも規制がかかってないだけの端末が一つあるだけじゃ、全然処理が追いつかない)

カレン(他に何かないかしら、見逃してることは……)

カレン(もし、あたしが隠したいものをこっそり送信するならどうするかしら)

カレン(とりあえずは偽装するわよね、なんてことないものに紛れさせたり、相手にしか分からないような暗号つかったり)

カレン(でも研究データなんて膨大なものを全部暗号化してたら、逆に目立つか)

カレン(そもそも日本と、いえエリア11と中華連邦の関わりなんて無いに等しいはず)

カレン(まだブリタニアの統治下にあるエリア11で中華連邦とってのは)

カレン(……んー)

カレン(よく知らないけど、中華連邦とエリア11って全く何の交流もないのかしら)

カレン(……先にそっちを見てみよ)

216: 2016/12/09(金) 00:53:28 ID:1KaxaKwY
カレン(……)ポチ

カレン(へぇ、農産物なんかは輸入してたのね)

カレン(電波とか、情報とかに関しては、さすがにエリア11の記録見てもよく分からないわ)

カレン(ん?サクラダイト?)

カレン(……まあ別に変じゃないか、富士のあたりは世界有数の……)

カレン(ううん、やっぱり変よね)

カレン(だって、特区はブリタニアとしか取引していなかったはず)

カレン(それなのに、どうしてブリタニア側からまた改めて中華連邦に輸出しているのかしら)

カレン(サクラダイトなんて、兵器に使うことも出来るし、表立った争いはないにしろ一応敵国よ?)

カレン(量は大したことないけど、気になる)

218: 2016/12/09(金) 01:04:23 ID:1KaxaKwY
カレン(えっと、エリア11の輸出入管理してるのはどの部署だったかな)

カレン(あった……パス?ふふん)

カレン(これでも一応ラウンズ付きなのよ、そのくらいほぼフリーパスだっての)

カレン(こういう時だけは、ブリタニアの役職があるって便利よね)

カレン(ま、あるものは使わないと)

カレン(……遅い)

カレン(くー、でもさすがにここから日本経由してさらにエリア11にアクセスってのはきついかぁ)

カレン(こうなったら衛星でもなんでも使うしかないわ)

カレン(こんなとこでラクシャータさんのワルい知識が発揮されるわけよ)カタカタ

カレン「なんか楽しくなってきたわ」

219: 2016/12/09(金) 01:15:23 ID:1KaxaKwY
カレン(……よし、重いは重いけど、なんとか見るくらいなら出来そうね)

カレン(ふーん、普通に取引記録も残ってるんだ)

カレン(……おっ)

カレン(……変よねぇ?ただの輸出入のはずなのに、毎回本国に確認の通信を入れてるなんて)

カレン(表向きは使途不明にならないようにってことらしいけど、あたしにとったら怪しさしかないわ)

カレン(さーて、どこと通信してるのかなぁ?)

カレン(……ふむ)

カレン「車で行けばそこまでかからないかしら」

カレン(まだ使われてる可能性が高いし、危険だろうけど)

カレン(出来ることがあるなら、全部やってみないとね)

カレン「よしっ」

220: 2016/12/09(金) 01:22:40 ID:1KaxaKwY
~中華連邦 市街地郊外~

カレン「この辺りね」

カレン(にしても大胆なものね、まあ生活用品とかは必要だろうから仕方ないにしても)

カレン(こんなに民家の近くにあるなんて)

カレン(見た感じ監視カメラどころか見張りすらいなさそう)

カレン(どうしようかしら、最初から潜入する方向でいくか)

カレン(もしくは迷い込んだ振りをするか)

カレン(といってもあたしの外見的に後者はキツそうだけど)

カレン(とりあえずサーモチェック)ビビッ

カレン(変ね、誰もいないのかしら)

カレン(銃は……)カチャ

カレン(うん、とりあえず入ってみましょう)

221: 2016/12/09(金) 01:26:55 ID:1KaxaKwY
~研究所内部~

カレン(……)ザッザッ

カレン(普通の民家みたいね)

カレン(今更だけどどこかに隠し通路でもあって、そこから入るってパターンだったら)

カレン(今のあたし相当マズいわね)

カレン(少し焦りすぎたかしら)

カレン(……ま、もうここまで来ちゃったし)

カレン(……ん?)

カレン(なんだろ、なんか一瞬違和感が)

222: 2016/12/09(金) 01:36:51 ID:1KaxaKwY
カレン「これ……」

カレン(床に擦れた跡、扇形ってことは……)チラ

カレン「ここが動くってことかしら?」コンコン

カレン(でもかなりホコリが溜まっているわね)

カレン(最近は動かしていないってこと?)

カレン「とりあえずスイッチを探さないとね」

カレン「んー、どこにあるかなー」

カレン「こっちかなー」カチッ

カレン「おっ」

ズズズズっ……

カレン「やりぃ」

223: 2016/12/09(金) 01:43:46 ID:1KaxaKwY
~地下~

カレン(なに、この臭い……)

カレン(これじゃまるで……)

カレン「!?」

カレン(何、これ)

カレン「……」ユサユサ

カレン(氏んでる……)

カレン(2……いや、3人ね)

カレン(ポッドの中は)

カレン「……こっちもダメか」

224: 2016/12/09(金) 01:58:21 ID:1KaxaKwY
カレン「どういうことかしら、あの通信記録は1番新しいやつだったのに」

カレン「通信のあと、割とすぐにこうなったってことか」

カレン「でもどうして……」

カレン「とにかく、データ類が無いかだけでも確認しないと」

カレン「電力は……」カチッ

カレン「あ、まだ来てる」

カレン「機材の方はめちゃくちゃね、でも」

カレン「ここが市街地に近いから爆破は出来なかったか、確かに偽装されてる場所だし、機材壊しちゃえばどうにかなるだろうけど」

カレン「でも残念、こういう施設ならほぼ間違いなく……」ガチャガチャ

225: 2016/12/09(金) 01:59:02 ID:1KaxaKwY
カレン「やっぱり、いくつかは破損しちゃってるけど」

カレン「壊すなら木っ端微塵にしないと、残っちゃうわよね、ハードディスク」

カレン「えーっと、こっちから繋いで……」カチャカチャ

カレン「よし、中身はどうかしら……」

カレン「御丁寧に消去してから壊したのね」

カレン「でも」

カレン「こういうのってただ削除しただけじゃ完全に無くならないのよ」カタカタ

カレン「なんとか復元できれば、断片的でも何をやっていたか分かるかも」カタカタ

226: 2016/12/09(金) 02:15:10 ID:1KaxaKwY
カレン「……」カチッ

カレン「これね、多分」

カレン「内部のデータだから暗号化とかもされていないみたい」

カレン「えっと、人工的なギアス能力者の……」

カレン「これが前にルルーシュの言ってたやつね」

カレン「それからギアスキャンセラー、それにギアスエア……、いや、イーター?」

カレン「それに……んん?」

カレン「なにこれ、ギアスに関係ないのもあるのね」カチカチ

カレン「脳波によるナイトメアコントロールの研究?こんなのがなんでここに……」カタカタ

カレン「えっ?」カチッ

カレン「一体どういう……」

ピピピッ

カレン「はっ!?」

227: 2016/12/09(金) 02:18:39 ID:1KaxaKwY
カレン「って、なんだあたしか」

カレン「電話、もうこんな時に誰よ」

カレン「ってか、電源くらい切りなさいよね、あたし」ピッ

カレン「もしもし?ああ、ラクシャータさん」

カレン「うん、うん、こっちは特に……」

カレン「ええっ!?襲撃?で、ルルーシュとCCは!?」

カレン「……そう、無事なのね、それならいいんだけど」

カレン「え?ああ、うん、ちょっと今外な上に地下で」

カレン「あ、そうだ」

カレン「これから基地に戻るんだけど、そっちで調べて貰いたいものがあるの」

カレン「うん、細かい話はその時、お願い」

カレン「じゃあ、すぐに戻るから」ピッ

228: 2016/12/09(金) 02:20:35 ID:1KaxaKwY
カレン「ふぅ」

カレン(一体何が起きてるのかしら、結婚式に襲撃がきて)

カレン(それに……)

カレン(「脳波によるナイトメアコントロールの研究報告」作成者)

カレン「ロイド・アスプルンド……」

カレン「ロイドさん、どうしてギアス研究所に貴方の報告書が残ってるわけ?」

236: 2016/12/21(水) 16:14:15 ID:1e3fNMVM
~車内~

CC「……ここは……?」

ルルーシュ「ああ、起きたか」

ルルーシュ「すまない、よく寝ているものだからそのまま連れてきてしまった」

CC「え?あの、あ、はい」

CC「あの、ルルーシュ様、わたしたちはどこへ向かっているのですか?」

ルルーシュ「昔俺たちが住んでいた家だ」

ルルーシュ「事件のこともあって、暫く公務はスザクに任せることになったんでな」

ルルーシュ「政庁よりは落ち着くだろう」

ルルーシュ「部屋も咲世子と、……記憶を失う前のお前が定期的に管理していてくれたしな」

237: 2016/12/21(水) 16:18:03 ID:1e3fNMVM
CC「記憶を失う前の、わたし」

ルルーシュ「……そろそろ着くぞ」

ルルーシュ「中華連邦での工作が始まるまでは、またここが」

ルルーシュ「俺たちの家だ」

ルルーシュ「さぁ、いこう」

CC「は、はい!」

CC(ルルーシュ様、今までわたしが仕えた人とは、少し違う)

CC(でも、わたしの記憶が無いことでとても悲しんでいらっしゃるわ)

CC(ルルーシュ様のためにも、頑張って思い出さなくちゃ)

ルルーシュ「CC?どうした立ち止まって」

CC「いえ!問題ありません!」

ルルーシュ「???」

238: 2016/12/21(水) 16:41:49 ID:1e3fNMVM
~アパートの部屋~

ルルーシュ「懐かしい、というほど前でもないか」

ルルーシュ「まあ住んでいた時を考えれば懐かしいであっているだろう」

CC「それで、わたしのお仕事はなんでしょうか?」

ルルーシュ「仕事?」

CC「はい」

ルルーシュ「ははは、仕事か」

ルルーシュ「今のところはそこに座っていることくらいしかないな」

CC「へ?」

CC「でも、それだとご飯が……」

ルルーシュ「ご飯?」

239: 2016/12/21(水) 17:04:40 ID:1e3fNMVM
CC「仕事をしないとご飯が食べられません」

ルルーシュ「……なるほど」

ルルーシュ「それなら、冷蔵庫の中を確認して、何が入っているかここにメモしてくれるか?」

CC「あっ……」

ルルーシュ「?まだなにかあるのか?」

CC「申し訳ございません、わたし、字が書けなくて……」

ルルーシュ「ふむ」

ルルーシュ「それでは、飲みものがなにか入っているか確認して、ここに持ってきてくれ」

CC「かしこまりました!」ダッ

ルルーシュ(……なるほど)

ルルーシュ(仮説でしかないが)

ルルーシュ(CCの記憶喪失、これは普通のものではないな)

ルルーシュ(常識的な知識も同時に失っている)

CC「ルルーシュ様、レイゾウコとはどんなものでしょうか!」

ルルーシュ(これでは記憶喪失というより、一種の退行だ)

240: 2016/12/21(水) 19:47:44 ID:1e3fNMVM
ルルーシュ(そして、CCが退行するとすれば)

ルルーシュ(自ずと時期は見えてくるか)

ルルーシュ「CC、ギアスというものに聞き覚えはあるか?」

CC「いいえ、ありませんけど」

CC「それより、レイゾウコが……」

ルルーシュ(察するに、ギアスの契約をする前)

ルルーシュ(身体の治りも遅かったことを考えると、ギアスの力を得る直前の状態になっているということか)

ルルーシュ「扉を開けて、冷たい所が冷蔵庫だ」

CC「わかりました!」ダッ

ルルーシュ(原因は不明だが、今のCCは過去の自分に戻っている)

ルルーシュ(そして、コード保持者としての能力もほとんどない)

ルルーシュ(一体何が起こったのか)

276: 2017/05/24(水) 03:01:36 ID:.456nyaE
ルルーシュ「……ふぅ、おおかた片付いたか」ノビ

ルルーシュ「日用品の買い込みは手伝って貰えば良かったかな」

ルルーシュ「CCは……」

CC「…………」スゥスゥ

ルルーシュ「疲れて眠っているか」

ルルーシュ「仕方ないやつだ、全く」

ルルーシュ「最後にベッドルームへ運ぶ仕事が追加だな」

ルルーシュ(CCは本調子には程遠い)

ルルーシュ(むしろ体力はかなり落ちているし、思考力も幼い)

ルルーシュ(この現象を解明しないことには、先に進めないな)

CC「……ルルーシュ、さま……」スゥ

ルルーシュ「……はぁ、いい気なものだ」

ルルーシュ「まぁ任せておけ、俺かなんとかしてやる」

277: 2017/05/24(水) 03:06:06 ID:.456nyaE
ルルーシュ「ん?ラクシャータからか」ピピッ

ルルーシュ「メールか」

ルルーシュ(外で話せるか?直接話したい内容なのか)

ルルーシュ(……CCを1人にするのは少々不安だが)

ルルーシュ(何かメモを……)

ルルーシュ(そうか、文字は読めないかもしれないな)

ルルーシュ(仕方ない、メイド達に見張りを頼もう)

ルルーシュ「ん?」ピピピッ

ルルーシュ「なんだラクシャータ」

ルルーシュ「ああ、これから家を出ようと思っていたところだ」

ルルーシュ「公園?ああ、分かる」

ルルーシュ「……分かった、すぐに向かおう」

ルルーシュ「CC、少しの間待っていてくれ」

278: 2017/05/24(水) 03:10:55 ID:.456nyaE
~公園~

ルルーシュ「ラクシャータ、いるのか?」

ラクシャータ「ハァイ、こんばんは~」

ルルーシュ「どうした?お前らしくないようにも感じるが」

ラクシャータ「そりゃそうよ、ワケありだから」

ルルーシュ「訳あり?」

ラクシャータ「とりあえずCCの様子はどうなの?」

ルルーシュ「?今のところ分かっているのは」

ルルーシュ「記憶喪失というだけではなく、退行しているようだ、と」

ルルーシュ「恐らくはギアスを手に入れる前の状態にな」

ラクシャータ「原因は?」

ルルーシュ「分からない、そもそもギアスを封印する方法があると聞いたこともない」

ルルーシュ「精密検査をしてみる必要はあるだろうな」

ラクシャータ「なるほどねぇん」

ルルーシュ「それで?そっちの話はなんだ?」

279: 2017/05/24(水) 03:14:49 ID:.456nyaE
ラクシャータ「まあまぁ、そう焦らないで」

ラクシャータ「あんたさ、中華連邦にいた頃に」

ラクシャータ「奴らの研究施設にいたのよね?」

ルルーシュ「ああ」

ラクシャータ「そこでさ、ナイトメアの研究なんかはされてた?」

ルルーシュ「いいや、見た覚えがない」

ルルーシュ「俺がいたのは人間を狂化する実験を行っていた施設だ、ナイトメア研究とは違う」

ラクシャータ「そうよねぇ……」

ルルーシュ「なんだ、妙に歯切れが悪いな」

ラクシャータ「はい、これ見てもらえる?」ピッ

ルルーシュ「なんだ?ナイトメアコントロール?」

280: 2017/05/24(水) 03:28:06 ID:.456nyaE
ラクシャータ「そ、あのジェレミアが乗ってたナイトメアの根幹技術」

ラクシャータ「それのおかげで、あいつは1人であれだけのナイトメア、いえKGFを動かしていた」

ルルーシュ「すごい情報だな、これをどこで?」

ラクシャータ「カレンが送って来たのよ」

ラクシャータ「あの子、また無茶してるみたいね」

ラクシャータ「あっちに送ったのは失敗だったかも」

ルルーシュ「それで?これがなんだって言うんだ」

ラクシャータ「一番下、その研究の論文発表者みて」

ルルーシュ「……ロイドさん?」

ラクシャータ「そゆこと~」

ラクシャータ「……はぁ、やんなっちゃうわよもう」

281: 2017/05/24(水) 03:32:12 ID:.456nyaE
ルルーシュ「……どうした?」

ルルーシュ「かなり参ってるみたいだな」

ラクシャータ「そりゃそうよ」

ラクシャータ「あのとき」

ラクシャータ「疎開にアイツが現れた時」

ラクシャータ「ロイドは知らないって言ったのよ」

ラクシャータ「あいつが脳波コントロール技術の基盤を作ったなら容易に想像つくだろうに」

ラクシャータ「嘘を……ついたのよ」

ラクシャータ「そう思ったら頭ごちゃごちゃしてきちゃってさぁ」

ルルーシュ「ロイドさんは?」

ラクシャータ「部屋でご就寝よ、呑気なもんよね」

ルルーシュ「このことは知ってるのか?」

ラクシャータ「知ってる訳ないわ、さっき来たばかりだもの」

ルルーシュ「……それなら、話は簡単だな」

ラクシャータ「え?」

282: 2017/05/24(水) 03:37:29 ID:.456nyaE
ルルーシュ「聞くぞ、直接本人に」

ラクシャータ「いや、あんたさ」

ラクシャータ「あたしがここに来た理由、分かってるでしょ?」

ルルーシュ「自分では整理できないから相談しに来たんだろう?」

ラクシャータ「だったら……」

ルルーシュ「だから俺が結論を出した」

ルルーシュ「気になるなら今すぐ叩き起してでも聞こう」

ルルーシュ「俺もついて行ってやる」

ラクシャータ「……」

ルルーシュ「どのみち、誰かの言葉で納得できることでもないだろう?」

ルルーシュ「さぁ、俺も長くCCは放っておけない」

ルルーシュ「戻るぞ、研究室へ」

283: 2017/05/24(水) 03:39:22 ID:.456nyaE
ラクシャータ「……ほんと!あんたって人の心の機微が分からないわよね」

ルルーシュ「違うな、間違っているぞ」

ルルーシュ「分かっているからこそ、後押しが必要な場面もあるのさ」

ラクシャータ「……スカしちゃって、ムカつくやつ!」

ルルーシュ「ははは、なんとでも言うがいい」

ルルーシュ(ロイドさんが自分の研究成果を忘れる?いや、人間だから絶対は無いが)

ルルーシュ(考えにくい)

ルルーシュ(CCの記憶喪失といい、何か引っかかる)

ルルーシュ(ヒントが得られるかも知れない、とにかく確認しなければ)

284: 2017/05/24(水) 03:45:52 ID:.456nyaE
~研究室~

ロイド「……あのさ、今何時か分かってる?」

ルルーシュ「すみません、大事な用事なので」

ラクシャータ「……」

セシル「私も呼ばれるなんて、一体何のお話でしょうか」

ルルーシュ「ラクシャータ、あれを」

ラクシャータ「……」

ルルーシュ「ラクシャータ」

ラクシャータ「……分かったわよぉ」

ロイド「これは?」

ルルーシュ「カレンが中華連邦から送ってきたデータです」

ルルーシュ「それに見覚えはありますか?」

285: 2017/05/24(水) 03:52:45 ID:.456nyaE
セシル「えーっと」

ロイド「無いねぇ、なかなか面白い理論だとは思うけど」

ラクシャータ「……」バンッ

ロイド「な、なんだいラクシャータ!?急に机を叩いたりして」

ラクシャータ「とぼけてんじゃないよ」

ラクシャータ「この論文を書いたのはあんただって、もうネタはあがってんだから」

ロイド「え、えぇ~……」

ロイド「そんなこと言われても、ほんとに覚えがないんだけど」

ラクシャータ「……くっ、あくまでシラを切るのね……」

ルルーシュ「待て、ラクシャータ」

ルルーシュ「実は、この論文には少し気になることがある」

セシル「気になること?」

ルルーシュ「ええ、出された年を見て下さい」

ロイド「……ん?」

286: 2017/05/24(水) 03:56:45 ID:.456nyaE
ロイド「おかしいよ、だってこの年って」

セシル「ロイドさんはまだ大学に入学していないはずです、よね?」

ラクシャータ「えっ!?」

ルルーシュ「やはり」

ラクシャータ「いつ気付いたの?」

ルルーシュ「初めて見た時からだ」

ラクシャータ「じゃあ早く言いなさいよ!」

ルルーシュ「もちろんこれは論文の改竄が行われていない前提の話だし」

ルルーシュ「妙だな、というだけだったからな」

ルルーシュ「俺は、これが改竄されていないという前提で話します」

ロイド「何故だい?」

ロイド「自分で言うのもアレだけど、そんなのいくらでも変えられるじゃないか」

ルルーシュ「一つにその意味が無いこと、それをするなら、そしてロイドさんがその内容を惚けたいなら」

ルルーシュ「そもそも名前を消すはずです」

ルルーシュ「そして、もう一つ」

287: 2017/05/24(水) 04:01:24 ID:.456nyaE
ルルーシュ「俺は、ロイドさんが記憶を消されている可能性があると考えています」

ロイド「は?」

ルルーシュ「いや、もっと言えば」

ルルーシュ「ロイドさんだけでなく、大学の人達全員が」

ルルーシュ「セシルさんも含めて記憶を消され、別の記憶に変えられている可能性を考えています」

セシル「私も!?」

ルルーシュ「そうでないと辻褄が合わないんですよ」

ルルーシュ「この論文には実験の結果が残っているでしょう?」

ルルーシュ「仮にロイドさんが超天才で」

ロイド「そこは事実だよねぇ」

セシル「ロイドさん!」

ロイド「あい、すみません」

ルルーシュ「……続けますよ」

ルルーシュ「大学側から資金供与を受け、かつ設備を整えていたとしてもです」

288: 2017/05/24(水) 04:05:17 ID:.456nyaE
ルルーシュ「当然注目されます、当時は最新鋭の機体がガニメデ、そんな時代に革新技術の研究だ」

ルルーシュ「それなのに、俺達はその技術のカケラも知らない」

ルルーシュ「あまりにおかしい話では無いですか?」

ロイド「んー、まあ違和感あるけどぉ」

ルルーシュ「当然、都合よく人間の記憶を改竄するのは簡単なことではありません」

ルルーシュ「……ひとつを除いて」

ロイド「……なるほどぉ」

ラクシャータ「ギアスが関わってるっての?」

ルルーシュ「たぶんな」

ルルーシュ「少し整理しよう、ラクシャータ」

ルルーシュ「大学のサーバから年代別に出来事を取り出してくれ」

ラクシャータ「あらぁん?総督自ら犯罪教唆?」

ルルーシュ「言葉の綾だ、普通に大学側の発表を見られればいい」

289: 2017/05/24(水) 04:11:37 ID:.456nyaE
ルルーシュ「それと、ロイドさん、セシルさんは」

ルルーシュ「自分の覚えている限り、大学での活動を書き出して下さい」

ロイド「なんか、ちょっと恥ずかしいけどぉ」

セシル「あ、あはは、そうも言ってられませんよねぇ」

ルルーシュ「何かあるはずです、それを探しましょう」

ラクシャータ「ルルーシュ、あんたは何するのよ」

ルルーシュ「俺は全体を把握する」

ルルーシュ「大学の全員の記憶を変えるだけでも相当なものだが、国を、世界を変えられる訳では無いはずだ」

ルルーシュ「何か工作があったなら、綻びがあるはずだ」

290: 2017/05/24(水) 04:20:06 ID:.456nyaE
~30分後~

ロイド「はぁ、案外思い出せないものだねぇ」

ロイド「人間の記憶って曖昧なもんだ」

セシル「ですねぇ」

セシル「でも確かに、思い出してみると」

セシル「私、いつロイドさんと出会ったのかしら」

ロイド「ゼミでラクシャータと会った時には」

ラクシャータ「あんたたちは一緒だったわよん、間違いなく」

ロイド「だよねぇ」

ルルーシュ「……」

ラクシャータ「で?見比べて何か分かった?」

ルルーシュ「……いや、サッパリだ」

ロイド「あらら……」

ルルーシュ「というのは冗談で」

ラクシャータ「あのねぇ、ふざけてる場合?」

291: 2017/05/24(水) 04:29:24 ID:.456nyaE
ルルーシュ「分かるには分かった」

ルルーシュ「だが、これを伝えたら」

ロイド「伝えたら?」

ルルーシュ「セシルさんが傷つくかも知れない、そう思ってたんです」

セシル「私?」

ルルーシュ「今、セシルさんは26歳という認識で間違ってませんよね?」

セシル「え、ええ」

セシル「それが何か?」

ルルーシュ「おそらく、いや間違いなく」

ルルーシュ「セシルさんもロイドさんも」

ルルーシュ「思っているより2年は前に大学に入学されてます」

ルルーシュ「しかも、セシルさんは大学入学前からロイドさんと交流があったはずです」

ロイド「それまたどうして?」

ルルーシュ「これを見てください」

292: 2017/05/24(水) 04:32:52 ID:.456nyaE
ロイド「それは……ああ、ナイトメアの操作訓練のやつか」

ロイド「当時はまだブリタニアの侵攻も過激だったし、各地でそういうイベントがゲーム感覚であったよねぇ」

ロイド「思えば恐ろしい話だぁ」

ルルーシュ「ロイドさんを基準に考えて年ごとに並べてみると」

ルルーシュ「ここ、この年とこの年の間に訓練の優秀者の発表がありません」

セシル「あら、ほんと」

ラクシャータ「そんなの、偶然じゃない?」

ルルーシュ「これだけならな」

ルルーシュ「セシルさん、あなたの書いた情報の中に」

ルルーシュ「……あった、ロイドさんとははじめデヴァイサーとして仕事を共にしていたとありますよね?」

セシル「え、ええ」

セシル「でも、私はあんまり向いていなかったのでその後は助手として……」

ルルーシュ「そこです」

セシル「え?どこ?」

293: 2017/05/24(水) 04:39:04 ID:.456nyaE
ルルーシュ「セシルさん、あなたはどこでナイトメアの操縦技術を学んだんです?」

セシル「え?た、たぶん大学でだとは思うけど……」

ラクシャータ「んー、おかしいよねぇ」

ロイド「……はぁ、さすがに僕も変だと感じざるを得なくなってきたよ」

セシル「お二人共、どういうことですか?」

ロイド「だって考えてもみなよ」

ロイド「僕ら3人が一緒になった講義って、病理学と生態物理学だったでしょ?」

ロイド「ゼミもそこの教授から誘われてさ」

セシル「そういえば……でも、ロイドさんはとっくに卒業してて、研究員として……」

ロイド「そうだよ?僕は所謂現役では無かったのさ」

ロイド「でも、君は違うよねぇ?セシルくん」

294: 2017/05/24(水) 04:45:35 ID:.456nyaE
ロイド「君はどういう経緯で病理学を学びながらナイトメア操縦が出来るようになって、かつ僕の助手をやるようになるんだい?」

セシル「……たしかに」

ラクシャータ「明らかに時間が足りないわよねぇ、出会うまでとその後にさ」

ロイド「ラクシャータをナイトメア研究に引っ張ったのは僕だけど」

ロイド「よく考えたらそれも妙だよねぇ」

ロイド「生態物理学がナイトメアの構造研究の一貫だったとしても」

ロイド「どうして病理学なんて僕が取るんだろうねぇ?」

ロイド「僕が研究してたのは、基本機械工学なのにさ」ズキ

ロイド「気分が悪いねぇ、誰かに頭を弄られてるかもしれないってのはさぁ」

セシル「つまり、ルルーシュくんが、あっ」

ルルーシュ「いいですよ、それで」

ルルーシュ「公務とは違うんですから」

295: 2017/05/24(水) 04:49:58 ID:.456nyaE
セシル「そ、そう?考えてみれば本物のルルーシュくんとは久々なものだから」

セシル「で、言い難いってのは」

ルルーシュ「はい、おそらく短く見積もってもあと2歳は年上になってしまうかなぁと」

ラクシャータ「あら、もしかしてタメ?」

セシル「ひ、ひぇぇ……」

セシル「た、たしかにショックは大きいかも」

ロイド「僕も33歳くらいってことかな?」

ルルーシュ「そうなりますね」

ラクシャータ「やーいおっさーん」

ロイド「……まあ、別にいいか」

ロイド「それで、どうやら飛ばされた期間があるみたいだけど」

ロイド「これがギアスだとして、ラクシャータがくる前の僕らの大学全員の記憶を書き換えた」

ロイド「その理由を知りたくなるよねぇ」

セシル「ええ、突き止めないと納得できません」

セシル「私の将来設計を狂わせた罪を償わせないと」

296: 2017/05/24(水) 04:54:06 ID:.456nyaE
ラクシャータ「あらあら、ツッコミ役が燃えてるわ」

ラクシャータ「ルルーシュ、あんた何か案ある?」

ルルーシュ「ギアスキャンセラーがあれば何とかなるかもしれないが」

ルルーシュ「気になることがある」

ラクシャータ「なにさ」

ルルーシュ「この2人は1度ギアスキャンセラーを受けているはずなんだ」

ルルーシュ「2年前に」

ラクシャータ「……たしかに」

ルルーシュ「あの機械が未完成だったとしても、ギアスの波動を打ち消すレベルのものを受けても思い出せないとなれば」

ルルーシュ「何か、余程に強い影響が身体に出そうだと思うんだ」

ルルーシュ「だが、特にギアスの兆候は見られないし、何より俺の腕にも反応はない」

ラクシャータ「ギアスイーターだっけ?それでなんとか出来ないの?」

ルルーシュ「制御できる保証がない、最悪の場合は命の危険に陥る可能性もある」

297: 2017/05/24(水) 04:59:07 ID:.456nyaE
ラクシャータ「困ったわねぇ」

ロイド「……ルルーシュくん、ギアスの力を強く受けた場合、身体に何か異常をきたすものなのかい?」

ルルーシュ「それは分かりません」

ルルーシュ「俺や、マオのギアスは具体的に分かるような反応は出ませんでした」

ルルーシュ「しかし、今回の件、仮にCCが関与していないとするなら」

ルルーシュ「ギアスの出どころはVVだろうと」

ルルーシュ「そうなると、やつのギアスは外部に影響を与えるタイプになるはずです」

ルルーシュ「つまり、記憶の改竄に関して、何らかの外的な作用が働いているのではないかと思うんです」

ロイド「ふーん、そうなのか」

セシル「ロイドさん?」

ロイド「ラクシャータ、記憶って一体どこに収納されているんだろうね?」

セシル「は?」

ロイド「ほら、いいからいいから」

ラクシャータ「……ったくもう」

ラクシャータ「えーっと、通説では脳よねぇ」

298: 2017/05/24(水) 05:05:39 ID:.456nyaE
ロイド「だよね」

ロイド「いくら外的な作用っていってもさ、必ずしも見える場所とは限らないと、僕の天才的な頭脳が囁いているんだよ」

ラクシャータ「あんた何言って……」

ラクシャータ「まさか、いや、でも……」

セシル「どういうことですか?」

ロイド「二ブいなぁセシルくん」

セシル「ロイドさんにだけは、言われたくありません」

ロイド「ありゃ、やぶ蛇」

ロイド「脳ってさ、表層は更新され続けて行くけど、記憶領域って大きくは変化しないよねぇ」

ロイド「つまり、長期記憶はってことだけど」

ルルーシュ「……なるほど」

セシル「私たちの脳に、何か影響が出ているかもしれないってことですか?」

ロイド「だぁいせいかい」

ラクシャータ「あんたたち、CTとかいつ撮った?」

299: 2017/05/24(水) 05:07:41 ID:.456nyaE
ロイド「ここ数年以上不思議なくらい健康でさぁ」

ロイド「健康診断以上のことは、僕もセシルくんも受けて無いはずだよねぇ」

セシル「は、はい」

ロイド「じゃあ、今からやってみようかぁ」

ラクシャータ「どこでよ」

ロイド「もっちろぉん」

ロイド「総督閣下の権限で、中央病院の設備を使うんだよぉ」

ラクシャータ「できるの?」

ルルーシュ「あ、あぁ不可能ではないが」

ロイド「こうなったら徹底究明でしょ」

ロイド「ラクシャータ、使い方は分かるよね?」

ラクシャータ「……はぁ、やればいいんでしょ?」

ロイド「そのとーり!」

300: 2017/05/24(水) 05:19:22 ID:.456nyaE
~中央病院 ICU~

ラクシャータ「……出来たわよぉ、スキャン結果」

ロイド「おっ、待ってましたぁ」

セシル「なんでそんなに楽しそうなんですか」

ロイド「究明とは、本来楽しいものなんだよぉ」

セシル「それが自分の過去でも?」

ロイド「内容は関係ないさ」

ラクシャータ「……んー」

ラクシャータ「これ、かしらね」ピラ

ルルーシュ「これは?」

ラクシャータ「あー、ここ」

ラクシャータ「向きを変えたら分かりやすいかしらねぇ」クルッ

ルルーシュ「……!」

301: 2017/05/24(水) 05:24:57 ID:.456nyaE
ロイド「なんだろうねぇ、これ」

セシル「まるで、鳥みたいですね」

ルルーシュ「これはギアスの紋章だ」

セシル「ギアスの紋章?」

ラクシャータ「ちなみに、こっちがセシルのやつね」ピラ

ラクシャータ「はぁ、ほんとに2人ともあるのねぇ、このマーク」

ロイド「これで何かギアスの影響があるってことは確定したね」

ロイド「あとは、これをどうすれば過去の情報が得られるか」

ラクシャータ「あんた、どうにかするつもりなの?これ」

ロイド「もちろん」

ロイド「僕たちの記憶だけでなく、他の人間の記憶まで変えてまで隠したい何かが」

ロイド「そこにはきっとあるからねぇ」

302: 2017/05/24(水) 05:34:02 ID:.456nyaE
ラクシャータ「ルルーシュ、何か方法ありそう?」

ルルーシュ「俺にもこんな状態になった経験がないから分からないな」

ルルーシュ「しかもキャンセラーで消えないとなると、かなり難しいと言わざるを得ない」

ロイド「んー」

ラクシャータ「ここ、頭の結構奥にあるから」

ラクシャータ「そのせいでギアスキャンセラーが効かなかったのかもよ?」

ルルーシュ「だったとしても、それならその頭の奥まで届くキャンセラーをどうするかだ」

ルルーシュ「残念だが、俺達にはギアスキャンセラーを作る技術がない」

ロイド「え?」

ロイド「あるよ?少なくとも元なら」

ルルーシュ「どういうことです?」

304: 2017/05/24(水) 05:39:23 ID:.456nyaE
ロイド「そっか、ルルーシュ君はいなかったから分からないだろうけどぉ」

ロイド「たしかに物自体はシュナイゼル殿下に引き渡してしまってはいる」

ロイド「でも、その図面ならラクシャータが作ってくれたやつがあるよ」

ルルーシュ「ど、どうして早くそれを言わないんですか!?」

ロイド「いやぁ、今の今まで忘れてたよ」

セシル「あの後事後処理やルルーシュ君が抜けた穴を埋めるので手一杯でしたものね」

ラクシャータ「まあ確かにあるはあるけどさぁ」

ラクシャータ「あたしらですら、分からないことだらけなのよ?あの機械」

ラクシャータ「実用化の実験含めて、開発に何年かかると思ってんのよ」

ラクシャータ「プロトタイプがあるからってすぐに改良出来るわけないじゃない」

ルルーシュ「それは、そうだな」

ルルーシュ「だが、研究する必要はあるだろう、今後ギアス能力者と衝突する可能性もある」

ロイド「何言ってるのさ二人共」

ラクシャータ「え?」

305: 2017/05/24(水) 05:43:08 ID:.456nyaE
ロイド「まずは、ここに有能な技師2人と、優秀な助手がいるよねぇ」

ロイド「それに、予算を付けてくれそうな権力者が1人」

ルルーシュ「俺ですか?」

ロイド「もっちろぉん」

ロイド「そしてぇ」

ロイド「実用化にむけた被検体もほら」

ロイド「ここに、いるじゃないか」

セシル「ロイドさん、ですか?」

ロイド「だぁいせいかい!」

ラクシャータ「ちょっと、さすがに無茶よロイド」

ラクシャータ「ギアスキャンセラー自体どんな悪影響が出るか分かったもんじゃないのに」

ラクシャータ「ましてピンポイントで効果の出る装置にしたら、リスクは跳ね上がるわ」

ラクシャータ「しかも部位は脳よ?一歩間違えれば氏の危険だって……」

306: 2017/05/24(水) 05:52:33 ID:.456nyaE
ロイド「ラクシャータ、科学に犠牲は付き物だよ」

ラクシャータ「それ、あんたが一番嫌いな言葉じゃなかったっけ?」

ロイド「それはそれ、これはこれ」

ロイド「数年なんて待てないし、その間に良くないことが起こるかもしれない」

ロイド「それにギアスキャンセラーはサクラダイトを用いた反作用を主軸にしたものだって推測はついてるだろう?」

ラクシャータ「うっ」

ラクシャータ「で、でもそれはあくまでギアス反応が起きた直後の状態を打ち消すためのものでしょう?」

ラクシャータ「今回みたいに影響が出たあとの状態を打ち消すなんて、そう簡単に理論が立つわけ……」

ロイド「ラクシャータ、記憶だよ、脳だよ?」

ラクシャータ「なによ」

ロイド「ギアスがサクラダイトの波動拡散現象によって発動することが出来るということは」

ロイド「少なくとも発動した直後から伝達部分までは波の性質を持っているということだよねぇ」

ロイド「それはルルーシュ君の身体を動かす動力を考えても分かることさ」

307: 2017/05/24(水) 05:56:39 ID:.456nyaE
ラクシャータ「そりゃあナイトメアと同じように動かしてて、サクラダイト反応を利用してるとすればそうなるけど」

ロイド「でしょ?」

ロイド「でもそうすると妙だよね、ルルーシュ君のギアスに関する情報から見ても、その波動は人体に影響を与えるなかで何か変化するはすだ」

セシル(なにかペラペラ話し始めちゃったわね)コソッ

ルルーシュ(黙って見守りましょう)コソコソ

ロイド「ルルーシュ君、君のギアスの発動条件は?」

ルルーシュ「えっ!?」

ルルーシュ「あ、目を見ることです」

ロイド「他のギアスにも同じような条件があるんだよね?」

ルルーシュ「ええ、恐らくは」

ルルーシュ「もっとも、マオのように常時発動するタイプもあるのでなんとも言えないところですけど」

308: 2017/05/24(水) 06:02:30 ID:.456nyaE
ラクシャータ「何が言いたいのよ、ロイド」

ロイド「僕はずっと考えていたんだよ、CCさんやルルーシュ君の言っているギアスとは何なのか」

ロイド「だけど、自分の身体に出ている影響を考えると、なんとなく答えが見えてきたのさ」

ルルーシュ「というと?」

ロイド「ルルーシュ君の場合は目だ、つまり視覚情報」

ロイド「マオ君というのはよく分からないけど、恐らくは今回の仮説でいくと途中の段階に関連した情報を読み取っているのだと思う」

ロイド「そして僕にかけられたギアス」

ロイド「要は僕らが集まった段階で全員にかけられればいいわけだから」

ロイド「これは聴覚か視覚情報に関連したもののはずだ」

ラクシャータ「……つまり」

ラクシャータ「ギアスは人間の何らかの感覚を通して発現すると言いたいわけね?」

ロイド「そういうことぉ」

ロイド「そしてぇ」

309: 2017/05/24(水) 06:06:27 ID:.456nyaE
ロイド「人間は必ず、その受けた刺激を電気信号として脳に送るんだよ」

ロイド「だから、ギアス能力の本質とは」

ロイド「人間の脳に送られる刺激、ひいては電気信号を意識的に変化させる能力と言い換えられるんじゃないかな」

ロイド「ルルーシュ君の場合はたしか……」

ルルーシュ「絶対遵守です」

ロイド「そう、つまり」

ロイド「こうしなければならない、と脳を錯覚させる」

ロイド「まるで自分の意思であるかのようにね」

ルルーシュ「マオの能力はそれを逆算しているようなもの、ということですか」

セシル「えっと、つまり電気信号を逆にギアスの波動のようなものに変換して受け取るってことですかね?」

ラクシャータ「辻褄は合うかもしれないけど」

ラクシャータ「あくまで仮説でしょう?それが正しい保証はないじゃない」

310: 2017/05/24(水) 06:14:26 ID:.456nyaE
ロイド「辻褄が合うということは、それだけ何か近い理論が働いているという証左だよ」

ロイド「実例もあるわけだし」

ラクシャータ「それで失敗したのが細菌とウィルスだったり、中世の誤った医療だったりするんじゃないの?」

ロイド「そうかもしれないね」

ロイド「でもぉ、今回はキッチリ原因は分かっているんだよ、ギアスだってことはねぇ」

ロイド「ゴールまでの過程はキャンセラーに従えばいいんだろう?」

ロイド「ギアスキャンセラーが逆位相の波を作って打ち消す物なら、その生成法を逆算すれば」

ロイド「自ずと僕らの脳に干渉しているギアスを打ち消す波を放出させられるはずだ」

ラクシャータ「……」

ラクシャータ「まぁ言わんとすることは分からないでもないわ」

セシル(ルルーシュくん、つまりどういうことなのかしら?)

311: 2017/05/24(水) 06:17:52 ID:.456nyaE
ルルーシュ(多分ですけど)

ルルーシュ(現在こういう記憶だ、という命令が脳にある状態なんですよね)

ルルーシュ(だから、そうではない、という命令を与えればギアスの力を打ち消すことができると)

ルルーシュ(おそらくそういう話です)

セシル(それって、ある意味人工的なギアスってことじゃない?)

ルルーシュ(もともとギアスキャンセラー自体がそういった性質をもつ装置なんだと思います)

ルルーシュ(だからこそ、人工ギアス研究の過程で生まれたのかも)

セシル(な、なるほど)

ルルーシュ(当然まず初めにギアスをかけられた状態というのが必要にはなるので)

ルルーシュ(完全な人工ギアスとは言えないですが)

312: 2017/05/24(水) 06:21:53 ID:.456nyaE
ラクシャータ「で、それの研究に私も付き合えと?」

ロイド「もちろん」

ラクシャータ「嫌だと言ったら?」

ラクシャータ「あたしが機械工学方面に鞍替えした理由知ってんでしょ?」

ロイド「大丈夫、僕は氏んだりしないよ」

ラクシャータ「あのねぇ、あたしが医学研究してた頃よりよっぽど危険性が高いのよ」

ラクシャータ「マウス実験も出来ない、ぶっつけ本番なんて……」

ロイド「できるよ」

ロイド「ねぇ、ルルーシュ君?」

ラクシャータ「……あんた、それはダメだって分かってるわよね」

ラクシャータ「CCが言ってたはずよ、ギアスを使いすぎれば身体を侵食し、やがてギアスの力に囚われるって」

ラクシャータ「あんた、自分の研究のためにこの子を犠牲にするつもり?」

ロイド「違うよ」

ロイド「そっちじゃないさ」

313: 2017/05/24(水) 06:26:05 ID:.456nyaE
ラクシャータ「はぁっ!?じゃあどっち……」

ロイド「ルルーシュ君の身体を動かすギアス」

ロイド「これは確かルルーシュ君自身のギアスから作られたギアス反応体、所謂ギアス結晶から発生してるんだよね」

ロイド「そのエネルギーを解析すれば、仮説はより強固になる」

ラクシャータ「でもだめよ、それを人に使えるのかって問題が残るじゃない」

ロイド「だから僕にやるんじゃないか」

ラクシャータ「それがダメだって言ってんでしょ!」

ラクシャータ「ギアスの命令を打ち消す、つまり一歩間違えば」

ラクシャータ「少しでも命令が違ってしまったら、あんたの身体にどんな影響が出るか」

ロイド「僕の命は僕のものだよ」

ロイド「それはラクシャータがとやかく言えるものじゃない」

314: 2017/05/24(水) 06:29:36 ID:.456nyaE
ラクシャータ「……あっそう」プツン

ラクシャータ「ルルーシュ、セシルを連れて先に帰ってくれる?」

ラクシャータ「あたし、まだこのバカと話さなきゃいけないことがあるから」

ルルーシュ「あ、ああ」

ルルーシュ「そのようだな」

ルルーシュ「セシルさん、行きましょう」

セシル「え、でもルルーシュ君……」

ルルーシュ「ここは2人に任せましょう、どのみち俺達では解決できない問題です」

セシル「ロイドさん……」

ロイド「いいよん、ここは僕が何とかしておくからさぁ」

セシル「……」

ルルーシュ「ラクシャータ、後は任せる」

ルルーシュ「どんな結論であれ、俺は2人を尊重するつもりだ」

ラクシャータ「はいはい、わかったからサッサと行って」

315: 2017/05/24(水) 06:41:30 ID:.456nyaE
ロイド「……で?」

ラクシャータ「なぁにが、で?、よ」

ラクシャータ「あんたの命はあんたのもの?そんなの当たり前よ」

ラクシャータ「でもね、あんた分かってる?あんたが氏ねば、それは周りに影響を与えるのよ」

ラクシャータ「自分の命が自分だけで完結出来るもんだと思ってんなら」

ラクシャータ「あたしが叩き直してやるわよ」

ロイド「……ほんと、ラクシャータがカレン君と気が合う理由が分かる気がするよ」

ラクシャータ「何が」

ロイド「君は、煙に巻くような、どこか浮世離れしたような印象を受けるけど」

ロイド「その実、とても現実的だ」

ロイド「僕のゲフィオンディスターバーが構想段階だった時も、現状を再確認し、問題点を一つ一つ改善していったよね」

ロイド「僕自身が科学者というより発明家に近い研究を打ち出している中、君は実に技術屋らしい考えで研究を進めていた」

316: 2017/05/24(水) 06:46:06 ID:.456nyaE
ロイド「その結論がお互い近いところに出てきているのは、なんとも皮肉なものだけど」

ラクシャータ「何?自慢話でもしたいわけ?」

ロイド「そうじゃないよ」

ロイド「僕はね、さっき言った通りギアスについては考えていたんだ」

ロイド「でも、少々甘く見ていた所もあった、それはルルーシュ君のギアスを知った時に誤解したことが大きい」

ロイド「ギアスとは、直接目に触れる、もしくは至近距離までよらなければ発現しない能力だと考えていたんだ」

ラクシャータ「……」

ロイド「でもどうだろう、さっきの仮説がもしその通りだとするならば」

ロイド「例えば聴覚に働きかけられるとすれば?例えば嗅覚なら?」

ロイド「またそれに準ずる何かで広範囲に影響を与えられるとすれば?」

317: 2017/05/24(水) 06:51:12 ID:.456nyaE
ロイド「今は様々な伝達手段が存在する」

ロイド「さっき発現した直後から伝達する過程は波動の性質があると言ったけど」

ロイド「それがどこまでかは分からない」

ロイド「ということは、電気信号に置き換えられるまでの過程は今もって謎のままなんだ」

ロイド「視覚情報や聴覚情報なら」

ロイド「テレビは?電話は?ラジオは?」

ロイド「なんなら気付いていないだけで、すでに影響を受けている可能性すらあるわけだ」

ラクシャータ「……言いたいことは分かるわよ」

ラクシャータ「けど、今のところは何も起きてないでしょう」

ロイド「そう、あくまで今は、だ」

ロイド「僕にギアスをかけた連中、今までの話を総合すれば誰だかは見当がつくよね?」

ラクシャータ「……」

318: 2017/05/24(水) 06:53:55 ID:.456nyaE
ロイド「ブリタニア皇帝の演説なんて、世界中で流れるよ?」

ロイド「それによってギアスを掛けられたら、僕らはどうやって止めればいいんだい?」

ラクシャータ「そんなの、極論すぎて議論に値しない……」

ロイド「でも起こりうる未来だ」

ロイド「少なくとも、僕らは今これを止めるための布石が打てる」

ロイド「広範囲に発現したギアスを観測、演算して消すための力が」

ロイド「これはある意味僕らが手に出来るギアス能力のようなものだよ」

ラクシャータ「……でも、その研究を急いだ結果あんたが氏んだら元も子もないでしょ」

ロイド「氏なないさ」

ラクシャータ「そんなのっ!」

ロイド「だって、君がいるだろう?」

ラクシャータ「……ロイド」

319: 2017/05/24(水) 06:58:26 ID:.456nyaE
ロイド「さっきも言った通りさ」

ロイド「僕は発明家だ、実現可能かどうかではなく、可能性を追いかけてしまう」

ロイド「だから、君にはその可能性を正しい道へ進める手助けをして欲しいんだ」

ロイド「どうやら今回は、僕1人じゃ出来そうもないからねぇ」

ラクシャータ「……ばーか、今回も、でしょ」

ロイド「んー、まあそういう捉え方もあるかもね」

ロイド「ラクシャータ、僕は自分の過去が何か大きなものに繋がっているような気がするんだ」

ロイド「それこそ、今暗躍しているであろう奴らの、何か致命的なものへ、ね」

ロイド「僕らはすでに、2年」

ロイド「遅きに失しているんだよ」

ロイド「明日にも取り返しのつかない事態に進展してしまうかもしれない」

ラクシャータ「……」

ロイド「頼む、僕が氏ぬかもしれないと言うなら」

ロイド「僕を守ってくれないか?ラクシャータ」

320: 2017/05/24(水) 07:01:55 ID:.456nyaE
ラクシャータ「……なによ、それ」

ラクシャータ「あんたはナイトじゃなくてプリンセスってわけ?」

ロイド「そうさ、なにせプリン伯爵だからね」

ラクシャータ「……あーバカバカしい」

ラクシャータ「ちなみに、どのくらいの期間で想定してる?」

ロイド「ひと月」

ラクシャータ「あーあ、そんなことだろうと思ってたわよ」

ロイド「現実的な話だと?」

ラクシャータ「そうね、本当なら短くても1年はかかる話だけど」

ラクシャータ「ちょっと裏道と抜け道と近道すれば」

ラクシャータ「半年くらいにはなるかもねぇ」

ロイド「それは1人で?」

ラクシャータ「……そ、1人で」

321: 2017/05/24(水) 07:06:28 ID:.456nyaE
ロイド「2人ならどうだい?」

ラクシャータ「そうねぇ」

ラクシャータ「意思疎通が完璧で
お互い理解し合ってて、完全な役割分担ができて」

ラクシャータ「かつ有能な助手と資金と権力を併せれば……」

ラクシャータ「案外ひと月くらいかも、ね」

ロイド「じゃあ僕らはとても運がいいね」

ラクシャータ「……そうね、ほんと運がいいわ」

ラクシャータ「ねぇロイド」

ロイド「なんだい?」

ラクシャータ「あたしらはさ、ラブロマンスが似合うようなキラキラして綺麗なもんじゃなくて」

ラクシャータ「血と汗と油と、金属の臭いが染み付いた、泥臭い感じだけど」

ラクシャータ「でも、あたしは結構特派でみんなといたり」

ラクシャータ「……あんたと喧嘩してるの、そこそこ気に入ってる」

ロイド「気が合うね、僕もだよ」

ロイド「思っていたより、他人といるのも悪くない」

322: 2017/05/24(水) 07:11:29 ID:.456nyaE
ラクシャータ「いいよ、あんたが無茶して氏なないように、あたしが面倒見てあげる」

ロイド「さっすがぁ」

ラクシャータ「それで?報酬はどれ位頂けるのかしらねぇ?」

ロイド「えっ……?」

ロイド「僕が無事に生きているだけじゃ?」

ラクシャータ「んー、足りないわよねぇ」

ロイド「お金は?」

ラクシャータ「今以上は要らないかなぁ」

ロイド「えっと、それなら……」

ロイド「うーん」

323: 2017/05/24(水) 07:12:12 ID:.456nyaE
ラクシャータ「そうねぇ、なにせ命を守るわけだから」

ラクシャータ「あんたの大事なもの、一つ貰うわ」

ロイド「え?それって一体……」

ラクシャータ「考えておきなさいな」

ラクシャータ「さ、とりあえず今日は帰るわよん」グイッ

ロイド「ら、ラクシャータ!?」

ラクシャータ「さぁて、プリンセス伯爵さんは何をくれるのかしらねぇ?」

ロイド「ひ、ヒントは?」

ラクシャータ「あげませぇーん」

ロイド「ど、どうしましょ……」

324: 2017/05/24(水) 07:16:15 ID:.456nyaE
久々すぎる更新、いっそ何も考えずに当たって砕けようとしたらロイドとラクシャータばっかりになってた。

今後も大まかな流れだけ決めて勢いで書いていくと思うんで、何か齟齬があったらここでもTwitterでもお願いします。見直してはいるんだけど見落としも多いからね……

新しいギアスの展開に合わせることはないです、こっちはこっちで別の時間軸ということでひとつ。

途中であったマリアンヌ矛盾してるじゃねーかの話はなんとなく今回で補足してます。確信は後々書きますが、想像の手助けは出来たかなーといったかんじ。

それではおやすみなさい、良い夢を。

325: 2017/05/24(水) 09:00:52 ID:ER8xST.U

引用: ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「……そうだな」R2 Part2