1: 2011/04/17(日) 15:18:02.46 ID:9Mx1j2mA0

書くストーリーの予定

―――――麦野は『0次元の極点』を遊び半分で試してみた。

すると長髪で着物のような服を着ている身長は200㎝は超える、体中傷跡だらけの大男が立っていた。



虚刀流七代目当主 鑢七花が学園都市に飛ばされ、いろいろな登場人物と戦います。

予定 VS美琴 VS一方通行 VS絹旗 ・・・・ect

刀語の時間軸は本編の少し後です。




どうでしょう?

8: 2011/04/17(日) 15:53:35.03 ID:9Mx1j2mA0


麦野「・・・暇ね」

麦野「・・・・暇」

麦野「・・・・・・・」



麦野「暇暇暇暇ぁぁぁぁぁああああああああ!!」




麦野「・・・今日は滝壺が風邪で寝込んでて、フレンダはその看病。
絹旗はどーしても見たい映画があるっていうからいないし・・・・」



麦野「・・・暇」

麦野「私は今、超暇なんです!」キャルーン

麦野「大丈夫、私はそんな麦野を応援してる」ボソ

麦野「結局やっぱりヒマってことなのよね!!」キャルルーン













麦野「・・・・・何やってるんだ私・・・」



9: 2011/04/17(日) 16:07:52.20 ID:9Mx1j2mA0

キボウーノーミーチー ボクーガ ユクミーチー
アメニーウタレ カゼニフカレーテーモォ ユクンダヨォ・・・・ピッ

絹旗『あ、もしもし、麦野?』

麦野「どうした絹旗」

絹旗『ごめん、ちょっと超面白そうな映画を超発見したから、麦野もどうですか!?』

麦野「いやよ、どうせたいして面白くないC級映画なんでしょう?」

絹旗『いや、それこそが超いいんです!!いいですか?この映画は前回見たB級映画史上最高傑作の・・・・って超聞いてるんで

麦野「ピッ!」


麦野「・・・・暇ね」

10: 2011/04/17(日) 16:31:45.25 ID:9Mx1j2mA0

麦野「そういえば木原の野郎が言ってた・・・えっと・・・ 『0次元の極点』っていってたっけ?」

麦野「あれ試しにやってみようかしら」



麦野「えっと・・・たしか・・・。まぁいいや適当にやってしまえ!えい!」



ボカーン!!


麦野「うおっ!!」

麦野「・・・いててて。なによ、この爆発は!聞いてないわよ!!」





麦野「・・・・だれあんた」


鑢七花「・・・どこだ?ここ」

11: 2011/04/17(日) 17:22:33.30 ID:9Mx1j2mA0

数分前 加賀国 倶利伽羅峠

七花「ここがさっき言ってた倶利伽羅峠か」

否定姫「そう、何百年もの昔、源平合戦の頃、平家軍十万騎がここを通った時、当時そこの指揮をとっていた義仲は角に松明をつけた牛の大群をここへと解き放った。すると騎馬たちは次々とこの絶壁へと落ちて行き壊滅していった。
結果、平家は十万騎の大半を失い、大将は命からがら京の都へと帰って行った・・・。
で有名な倶利伽羅峠よ」

七花「地図には別に関係ないところだったが、少し興味があるからってしょうがなくついて見たんだが・・・。いい眺めだな」

12: 2011/04/17(日) 18:10:30.01 ID:9Mx1j2mA0
否定姫「そうよ~。北陸はきれいな景色がたくさんあるし、おいしい食べ物が多いしねぇ~」

七花「で、あの光の玉のようなものも、その風景の一つなのか?」

否定姫「はぁ?」

七花「だって、ほら、前に。」

否定姫「・・・何あれ?」

七花「あれ、だんだん大きくなってないか?」

否定姫「・・・そのようね」

七花「それと、こっちに向かって来てないか?」

否定姫「・・・そうみたいね」

七花「・・・・・・・」
否定姫「・・・・・・・」


否定姫「・・・・逃げるわよ」

七花「え?」

否定姫「いいから早く!!」

七花「ちょ・・まっ――――――」





七花「どこだ?ここ」


16: 2011/04/17(日) 20:51:13.56 ID:9Mx1j2mA0
>>13>>15ありがとうございます。

七花「…どこだ?ここ」

麦野「……」

七花「……」


麦野「なにあんた」

七花「お前こそなんだよ。てかここどこだよ」

20: 2011/04/17(日) 22:09:32.24 ID:9Mx1j2mA0

七花「俺はさっきまで、加賀にいたんだけど。てかあんた変な恰好してんな」

麦野「あんたにだけは言われたくないわ。何?平成のご時世に着物?侍きどりか?」

七花「侍きどりも何も、俺は剣士だ。」

麦野「はぁ?(なんだコイツ中二病患者か)

七花「それよりも平成ってなんだ?」

麦野「はぁ?お前年号も知らねぇのか?(なんだよこの重症患者)」

七花「もう一度聞んだが、ここはどこだ?」

麦野(はぁ…なんだかめんどくさい事をしてしまったなぁ…。しょうがない、元のとこに返すか…
ってテキトーにやったから返し方わからない!……どーしよう)

七花「おい、聞いてるのか?」

麦野( …まぁいいや!コイツをどっかテキトーに吹っ飛ばしてしまおう)

七花「おい!!」

麦野「……ッッうるさいわね!なに!」

七花「ここはどこだって言ってんだよ!」

麦野「ここは学園都市に決まってるじゃない!」

七花「はぁ?なんだそれ?」

麦野「学園都市よ!学園都市!知らないの!?」

七花「知らねぇよ、なんだよそれ?」

麦野「……あーもう。はい、そこ動くなよ~」ビュン

七花「うお!あぶねぇ!!」ヒョイ ドゴッ!!

麦野「なっ…私の原子崩しをよけるだと!?」

七花「……あぶねぇだろ!何しやがる!」

麦野「くっ」 ビュンビュンビュン

七花「うぉ!」ヒョイヒョイヒョイ ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!


22: 2011/04/17(日) 23:05:38.46 ID:9Mx1j2mA0


麦野「はぁはぁ」

七花「何なんだあんたは?いきなり」

麦野「…っうるさい!!」

七花「なんだその変な板は」

麦野「氏ね!」ビューン!


24: 2011/04/18(月) 00:03:27.05 ID:EawDjPwZ0

麦野「……どうやら、今度こそやったみたいね」

麦野(さっきので拡散支援半導体なくなっちゃったか・・・)

麦野「しっかしまぁ、この部屋ものすごい大惨事になったわね」

麦野「ま、いっか、さーて帰って寝よっと」クルッ

七花「……いやしかし、危なかったな」

麦野「」

七花「…で、なんなんだ、あんた」

麦野「………ッッの野郎ォォォォォォォオオオオオオ!!!!」ビューン

七花「……」ヒョイ スッ

麦野「…ッ」

七花「―――虚刀流 木蓮!」

麦野「グフッ」ドサッ



七花「……本当になんなんだよコイツ」



35: 2011/04/18(月) 20:10:57.00 ID:EawDjPwZ0

七花「しかし困ったな、これからどうしよう」ウロウロ キョロキョロ

麦野「……うぅ……」

七花「ん? なんだ、あんたまだ生きてたのか。意外としぶといんだな」

麦野「(…く、クソ、油断した……)……あん…た、何…者…?」

七花「俺か? 虚刀流七代目当主 鑢七花」

麦野「キョ…トウ…リュウ…?」ガク


七花「まぁ、氏んではないだろうな」

七花「さて、これからどうしようか……」

36: 2011/04/18(月) 22:07:56.39 ID:EawDjPwZ0
七花「お、なんだあれ?」

七花「(扉っぽいけど、俺の知ってるものとはちょっと違う…?)」ジー

七花「とりあえず開けてみようか」グッ

七花「…………あれ?開かない…」 (手前に引くドアを、横に引く戸と勘違いしている)

七花「あっれ、おかしいな。ビクともしない。……ってこの丸っこいの、なんか回るぞ」ガチャガチャ

七花「もしかしたら、これって押したり引いたりするんじゃないのか?」

七花「………あ、開いた」ガチャ


七花「…と、なんか廊下っぽいとこにでたな」

七花「(なんかまた扉っぽいものがあるな、しかも3つ)」←エレベーター

チーン
ガラッ
七花(あ、中から人が出てきた。ひぃ…ふぅ…みぃ…3人、中にはもう誰もいない…)

七花「―――――!」

七花「誰もいないはずの扉が閉まった!?」

七花(なんだ?あの扉は?どうやってしまった?)

チーン(さっきと同じ扉)

七花「―――――!」
ガラッ

乗員「ゾロゾロゾロ……」

七花(………人が…増えた?)

乗員「…ゾロゾロゾロ…」

七花(さっきより人数が増えてる…ひぃ…ふぅ…みぃ…よ…いつ…む…10人!?)

七花(誰もいないはずの部屋が勝手に閉まって、そしてそのあと開けば人が出てくる…イミワカラン)

七花「………乗ってみっか……」ボソッ





七花「さっそく乗ってみたが、使い方がわからん…」

ガラッ

七花「…うお!勝手に閉まった!」

「下ニマイリマス」

七花「…は?」
ぐんっ
七花(うおっ!なんだこの感覚!気持ち悪い!)

チーン
「1階デス」
ガラッ

七花「……ここはどこだ……」

七花(なんか広い部屋っぽい所に出たぞ?)キョロキョロ ←ホテルのロビー的な所

七花「―――!(なんであの壁は透明なんだ!?)」←ガラスのこと

七花 ボーゼン



37: 2011/04/18(月) 22:08:39.82 ID:EawDjPwZ0
????「どうしたんですか?」

七花「うおっ!?なんだ? びっくりした」

????「あのー超大丈夫ですか?」

七花「なんだあんた?」

絹旗「なんだあんたとはなんですか。私には絹旗最愛と言う超チャーミングな名前があるんです!」

七花「そうか…すまん…(変な名前だとツッコミたいが、もっと変な名前の奴がいたしな…)」

絹旗「で、どうしたんですか?」

七花「あ、ああ、ちょっと、わからないことだらけで困ってたんだ」

絹旗「ああ!そうだったんですか!やっぱり外から来た人にはこっちの世界には超ついてこれないですよね!超よくいるんですよ!あなたのような人!(学園都市の内と外の世界的に)」

七花「そうなのか!よかったよかった!俺みたいな奴はよくいるのか!」

絹旗「ええ超沢山!(……しかし超変な恰好ですね)」

七花(変な口調だなぁ。まぁもっと変な口調の奴は他にもいるし…)

七花「そうだ、なぁ、ここらへんの道がわかるところってあるか?」

絹旗「えーと、このホテルを超出て、すぐ右に超曲がったら、次の超信号を左、100m位先に超コンビニあるんでそこの超近くに超噴水があります。そこにここ一帯の超土地の地図がありますよ」

七花「わかった。ありがとうな」 タッタッタッタッ

絹旗「いえいえ、超どういたしまして」


41: 2011/04/19(火) 02:51:19.70 ID:qsORJB0T0

絹旗(今日は暇だったから、麦野、超機嫌悪いでしょうねぇ)

絹旗(フフッフその場合も考えて、お土産を買ってきました!)



ガチャ

絹旗「麦野~!さっき言ってた映画面白くなかったのでヤケクソに鱒寿司超喰いませんか~!」

絹旗「……って麦野!?」

絹旗「麦野!…麦野!!超どうしたんですか!?」

麦野「……ぅ…絹…旗…?」

絹旗「どうしたんですか!?誰にやられたんですか!?」

麦野「……キョ……トウ………リュウ………」

絹旗「…?…キョトウ・リュウ?」

麦野「………ぅ…」ガクッ

絹旗「麦野?麦野!?……気絶してる……」

絹旗「キョトウ・リュウ……超許しませン!!」


47: 2011/04/19(火) 22:06:51.36 ID:qsORJB0T0

絹旗『えーと、このホテルを超出て、すぐ右に超曲がったら、次の超信号を左、100m位先に超コンビニあるんでそこの超近くに超噴水があります。そこにここ一帯の超土地の地図がありますよ』

七花「…って言ってたよな、あいつ……」

七花(『ほてる』ってきっとさっきの建物だよな…きっと。)

七花(…じゃあ、『しんごう』とか…『こんびに』とかってなんだ?…『ふんすい』ってなんなんだ?)


七花「結局何もわからねぇじゃねぇか」

七花(さっきの『ほてる』とかいう建物から一旦出てみたら、人は多いし、鉄の猪みたいのとかが物凄い速さで走り回ってるし)

七花(一体全体どうなってるんだ?)

七花(俺がさっきまでいた加賀の倶利伽羅峠じゃねーのか?)

七花(……まるで異世界にでも飛ばされたみたいな………って、んなわけないか)

七花(……しかし…なんか目立ってるな…周りの奴らからずっと見られているような感じがする。

七花(……初めて本土に着いた時もそうだったが、今のはなんか痛い気がする……)




????「ピピピピッ!!」

七花「……?……なんだ?」

????「ピピピピッ!!……そこのデカいの!!止まるじゃんよ!!」

七花「…あ?」

????「お前だ、お前!そこの長髪着物デカ!!」

七花「…俺のことか?」

????「そうじゃんよ」

七花「なんだあんた」

????「警備員じゃん!着物を着た図体のデカい不審者がうろついているって通報を受けたから駆けつけてきたじゃん」

七花「あんちすきる?なんだそりゃ。ってか不審者ってのは酷いな」

????「そのナリを見ればどう見ても不審者じゃん」

????「お前、最近きたばかりの奴だな?」

七花「……?……ああ。ここがどこで、どういった場所かわからないんだ」

????「ああ、迷子か…わかった。私が案内するじゃん。お前、名前は?」

七花「俺の名前は、虚刀流七代目当主 鑢七花だ」

黄泉川「キョトウ…?長いな、七花でいいな。私は黄泉川愛穂だ。よろしく」スッ

七花「ああ、よろしく。……ってその手はなんだ?」

黄泉川「……ただの握手だが…嫌いか?」

七花「あ、いや…。よろしく」ガシッ



48: 2011/04/20(水) 00:05:11.20 ID:wlDqRs+R0

――――――とある病院


麦野「……………」スースースー

絹旗「……………」


ガラッ
フレンダ「麦野!!」

絹旗「フレンダ!滝壺!」

滝壺「容体はどう?」

絹旗「ええ、冥土返しが言うには、ただの脳震盪だそうなんですが…一向に起きません」

滝壺「……」
フレンダ「……」

絹旗「滝壺、あなた風邪はもう超大丈夫なんですか?」

滝壺「大丈夫、もう下がった」

絹旗「そうですか…。病み上がりで超申し訳ないのですが、ちょっと付き合ってくれませんか?」

滝壺「わかった」

フレンダ「何するの?」

絹旗「麦野をこんなにした奴を探してきます」

フレンダ「私も行く!」

絹旗「いえ、フレンダは麦野を見ててください」

フレンダ「でも!!
絹旗「フレンダ!!」

フレンダ「―――!」ビクッ

絹旗「私は今、とっても超イライラしてるんです」

フレンダ・滝壺「………」

絹旗「どうして麦野がこうなる前に駆けつけてあげられなかってのだろうって。超後悔してるんです」
絹旗「呑気にクソつまらない映画見てるんじゃなくて、今日一日麦野と一緒にいればよかった…」

フレンダ「絹旗…」

絹旗「そして何より!」

絹旗「……私が現場に着いたとき、麦野が放ったとみられる原子崩しが当たった壁は、まだ熱かった…。ということは犯人はあの時まだ近くにいたはずなんです!!もしかしたら私、犯人と会ってるかもしれないんです!!」

滝壺「……」

絹旗「そう思うと…、悔しくて、悔しくて、悔しくてたまらないんです!!」


絹旗「だから私はせめてもの償いに犯人を見つけて、百倍返しにしてきます。」


絹旗「滝壺はもし犯人を超取り逃がしたら『能力追跡』で探知。フレンダは麦野が起きたら犯人の特徴を超訊いて私に言ってください」

滝壺「わかった」
フレンダ「ラジャー!」

絹旗「私は今、犯人を超グシャグシャのミンチにしなければ超気が収まれないんです」



絹旗「待っていやがれ、クソ野郎」

50: 2011/04/20(水) 00:19:26.71 ID:wlDqRs+R0

七花「……っひっぷしっ!!」

黄泉川「どうした風邪か?」

七花「…だれか俺のことを探してる気がする」




60: 2011/04/20(水) 23:52:48.03 ID:wlDqRs+R0
黄泉川「…? とりあえず、こんな街角で立ち話もなんだ、警備員の支部まで行こうか」

七花「ああ、わかった(…しぶ?屯所のことか?)」



黄泉川「……いきなりなんだが、ちょっといいか?」

七花「なんだ」

黄泉川「どうしてお前はこんなに傷跡だらけなんだ?」

七花「ああ、ちょっとあってな。……言わないとだめか?」

黄泉川「いや、嫌ならいいじゃん。じゃあ、歳は?」

七花「今年で25だ」

黄泉川「25!? (私より若い!?)」

七花「どうした?」

黄泉川「…いや、なんでもないじゃん。……あとどこから来た?」

七花「加賀だ。(気づいたらここにいたなんて言っても信じないだろうな…)」

黄泉川「加賀? 石川からか、これまた遠い所からきたじゃん」

七花「…?……あ、ああ」

黄泉川「腰にぶら下がっている白い毛みたいのは?」

七花「……これは…」

黄泉川「言いたくないなら、それでいいじゃん」

七花「………」


黄泉川「…っと、話してる間にもう着いたじゃん」

七花「えっと…ここが…」

黄泉川「ようこそ、警備員第七三活動支部へ」

61: 2011/04/21(木) 00:05:03.66 ID:JPb3z7W80

黄泉川「すまんが、少しの間だけこの部屋にいてくれないか?」

七花「どうした?」

黄泉川「いや、たいしたことじゃないじゃん。私の代わりは、この 鉄装綴里がする」

鉄装「よ、よろしくお願いします」

七花「ああ、よろしく」

黄泉川「じゃあ、よろしくじゃんよ~♪」スタスタスタ







62: 2011/04/21(木) 00:22:59.17 ID:JPb3z7W80
鉄装「……………」

七花「……………」

鉄装「……………」

七花「……………」

鉄装(き、気まずい~!何か話せって言われて来たけど、お前と同年代だぞ、チャンスだぞって言われて来たけど、無理っ!無茶過ぎる!!)

鉄装(だって、怖いよ!だって体中傷だらけだもん。ものすごくデカいもん、2mいってるもん!!)

鉄装(…はっ!…だから私出会いが無いんだ…。)

鉄装(いくら先輩方が合コンや飲み会に誘ってくれても、いつも私こんなんだからダメなんだ!)

鉄装(彼氏いない歴=歳の数なんてもう言わせないって、この前の飲み会で小萌先生や先輩達に誓ったんだ。行くのよ鉄装綴里!今こそ男を見せる時!」

七花「なにブツブツ言ってんだ?お前。男を見せる時って、あんた女だろ」

鉄装「」


72: 2011/04/21(木) 22:02:07.15 ID:JPb3z7W80


鉄装「ゴホン……//////。えっと、鑢くんはそこからお越しになられたのですか?」

七花「さっきの奴から聞いてないのか?…えっと黄泉川だっけ」

鉄装「いえ、いきなり話し相手をやってくれって言われたので」

七花「そうだったのか。で、どこから来ただっけ?」

鉄装「ええ」

七花「さっきまで加賀にいたんだ」

鉄装「へぇ、遠いところからわざわざ(加賀ってどこだっけ?)」

七花「黄泉川と同じ反応だな。やっぱり遠いのか?」

鉄装「そうですよ!」

七花「そ、そうなのか?」

鉄装「いやだなぁ、車で何時間かかると思ってるんですかwww」

七花「なぁ、その距離って歩いたら、どれくらいかかる?」

鉄装「はははっ、あなたおもしろい人ですね」

鉄装「石川から東京まで歩くって、何百年前の時代の話ですかwwww」

七花(……は? 何百年前?)

七花「……な、なぁ、それってどういう……


黄泉川「お待たせーーー!! いや~やっと書類が終わったじゃんよ!」

鉄装「遅いですよ~!黄泉川先生が遅いから、鑢くん待ちくたびれちゃったじゃないですか」

七花「いや、あの…

黄泉川「ああそうそう、七花、ちょっと来い」

七花「ちょっと待て…


黄泉川「いいから!!」


76: 2011/04/21(木) 23:11:34.66 ID:JPb3z7W80

七花「………わかった…」

黄泉川「じゃあ、こっちじゃん」


黄泉川「鉄装、お疲れさん」

鉄装「はい、どうも…。……?」


77: 2011/04/21(木) 23:13:01.79 ID:JPb3z7W80
七花「黄泉川」

黄泉川「なんだ」

七花「一つ質問がある」

黄泉川「…言ってみろ」


七花「ここは、いったいどこなんだ?」

黄泉川「…?……学園都市に決まってるじゃん」

七花「だから、その『学園都市』っていうのは、どういった所なんだ?」

黄泉川「そりゃあ…学校の街だろう、文字通り」

七花「いやだから! 『学園都市』という場所は、どこに、何のための所なんだってば!」

黄泉川「……お前、何も知らずにここに来たのか?」

七花「………」

黄泉川「いいだろう、わかりやすく教えてやる」

七花「ああ」


黄泉川「この学園都市はさっきも言ったが、学校の街だ。それと同時に学生の街でもある」

七花(学校ってのは寺子屋みたいなものか? じゃあ学生ってのは子供のことか)

黄泉川「学園都市は東京都の西半分を丸々開拓して建てたものだ」

七花「なぁ、東京っていったい…



TV『では明日の天気です。東京は晴れ、埼玉、茨木、栃木は時々曇り、千葉、神奈川は晴れですが夜になると雨になるでしょう…降水確率は…』


七花「……」

七花(あのわけのわからん動く箱に書いてある東京って、武蔵国…?)


黄泉川「…おい!聞いてるのか!?」

七花「!!……ああ、聞いてる」

黄泉川「で、この学園都市の最大の特徴は『超能力』の開発だ」

七花「ちょうのうりょく?」

黄泉川「知らないのか? ほら手から炎をだしたり、瞬間移動したり、相手が何を考えてるがわかったり、透視したり」

七花(……じゃあ、初めにあったあいつのがやっていたもの、その『超能力』というやつか)

黄泉川「基本、超能力は脳を開発しなければ発生しない」

七花「…どういうことだ?」

黄泉川「学校で一定の時間割り(カリキュラム)を受ければ、超能力は発生するじゃん」

七花「……?……かりきゅらむ?)

黄泉川「要に、学校行けば超能力になれるってことじゃん」

七花「ああ、そういうことか」

黄泉川「以上だ。何か質問はないか?」

七花「ない」

黄泉川「よし、じゃあいくぞ」

七花「おい、行くぞって、どこへだ?」

黄泉川「すぐにわかる」


78: 2011/04/21(木) 23:25:26.16 ID:JPb3z7W80

七花「なぁ、外になにがあるんだ?」

黄泉川「なにって、そこにあるじゃん。ほらそこ」

七花「なんだあれ?」

黄泉川「護送車じゃん」

七花「ごしょうしゃ?」

黄泉川「いいから乗るじゃん」ゴンゴン

七花「…?…ああ」ゴンゴン

黄泉川「七花、両手を出してくれ」ゴソゴソ

七花「ああ。なんかくれるのか?」スッ

ガシャンッ

七花「…………なんだこれ」

黄泉川「手錠じゃん」

七花「」

80: 2011/04/21(木) 23:42:56.89 ID:JPb3z7W80

ゴンゴン

七花「おい黄泉川、なんであんた降りてんだ?」

キィーバタン

七花「なぜ扉を閉めるんだ」

ガシャ

七花「どうして鍵を閉める」


黄泉川「最後に七花、お前に言いたいことがあるじゃん」

黄泉川「お前のその顔や体中にある傷跡…私の経験から見て、刀傷と火傷…それと銃創の跡だな?」

七花「……そうだ…」

黄泉川「あと、お前の名前は『鑢七花』…であってたよな?」

七花「…ああ」

黄泉川「残念ながら『鑢七花』という人物は、学園都市の書庫にも、外からの訪問者のリストにも、まったく載ってなかったじゃん」

七花「…それがいったいどうした?」

黄泉川「本当に残念じゃんよ。お前を不法侵入者として起訴しなければならないなんて」

七花「…は?」

黄泉川「…お前は今から牢屋行きだってことだ」

七花「」

81: 2011/04/21(木) 23:55:38.97 ID:JPb3z7W80

七花「…お、おい!!黄泉川!!ちょっと待て!!」

黄泉川「……すまないな。これはこの街のルールじゃんよ」

七花「……おい!!どうなってるんだよこれ!!」

黄泉川「おーい!もう出してくれ!」

ブロォン…

七花「おい!黄泉川!!」


黄泉川「……」


七花「黄泉川ぁ!!」

ブロロロロロロロrrrrr…………


82: 2011/04/22(金) 00:15:24.78 ID:VYkmzx4I0

七花(どうなってるんだよこれ…)

七花(道端に光の玉が出てきたと思ったら、いきなり変な世界に来て、変な女に殺されかけそうになって、そして少しはまともな奴と出会って、ついて行ったら、牢屋行き……)


七花(…ん?そういえば、あの女、何か言ってたよな…)


七花『俺はさっきまで、加賀にいたんだけど。てかあんた変な恰好してんな』

麦野『あんたにだけは言われたくないわ。何?平成のご時世に着物?侍きどりか?』


七花(明らかに俺の知って文明とは違うものが多い……。東京という街…あの箱、学園都市とかいうのはデカデカと書いてあったが、よく見たら江戸も入ってた。ということは江戸は無い)

七花(そして極め付けが鉄装とかいう奴のあの台詞…)


鉄装『はははっ、あなたおもしろい人ですね』

鉄装『石川から東京まで歩くって、何百年前の時代の話ですかwwww』


七花(………真庭鳳凰が言ってたな、俺たちの世界の歴史は実は嘘で、飛弾鷹比等がその歴史を正そうとした)


七花「……もしかしたら、この世界は飛弾鷹比等が正そうとした世界じゃないのか?」





七花「……んなわけあるか」

七花「さてここからどうやって出ようか…」








絹旗「…………見つけました」

84: 2011/04/22(金) 00:36:44.93 ID:VYkmzx4I0


――――――数十分前


絹旗「くっそ…絶対にこの辺に超いるはずです!」ハァハァ

滝壺「きぬはた、少し休もう?」

絹旗「そんな暇は超ありません!!」

滝壺「でも、ずっと走り回ってる」

絹旗「当たり前です!こうして超話してる間も犯人は超逃げていくんですよ!」

滝壺「じゃあ、きぬはた、もし犯人を見つけたとしても、あなたがバテバテにへばっていた状態で、その犯人に勝てるの?」

絹旗「ぅ…」

滝壺「むぎのに勝ってしまう相手だよ。それでも勝てる自信はある?」

絹旗「……」

滝壺「それと、そうやって走り回ってるけど、犯人の目星はわかってるの?」

絹旗「………」

滝壺「きぬはた、休もう?」

絹旗「…はい」



ボクーラーガーイターアノーヤクソクーソキーエーテーシマーイソナーァー♪……ピッ



絹旗「はい、フレンダ?」

フレンダ『絹旗ぁ~、麦野が…麦野が…』



フレンダ『麦野が目覚めたぁ!!』



88: 2011/04/23(土) 05:54:46.79 ID:/AGz2zm70


――――――さらに数分前 病院

フレンダ「 スースー 」

その時、絹旗から麦野を見ているようにと言われたフレンダは、麦野のベットに突っ伏した状態で眠っていた。

とても気持ち良さそうに。その時、街中を駆け回っている絹旗が、もしその姿を見れば、犯人の前にまず彼女がミンチにされるだろう。


フレンダ「…ん…ふぁあっ!!」

フレンダ「うわ…寝ちゃってた…」

フレンダ「……絹旗いないよね?……いたら殺される…」



????「彼女はいないけど、私ならいるよ」

フレンダ「キャーーー!!!」

冥土返し「安心してくれ、私だ」

フレンダ「…ああ、あんたか…(…よかった)」

冥土返し「なんだい?私じゃ不安かい?」

冥土返し「……じゃあ絹旗君にきみのさっきまで気持ち良さそうに眠っていたことを寝顔写真と一緒にメールで送ろうか」

フレンダ「え…?ちょっ…わかった!十分十分!!」



冥土返し「安心してくれ、君が眠っていた間は僕が彼女を見ていた。今の所は問題なしだよ」

フレンダ「ホッ…」



麦野「……ん…」

フレンダ「!!」

麦野「……ここは…?」

冥土返し「どうやら眼覚めたようだね。 ここは病院だよ」

麦野「…麦野…?どうして病院に…?」


麦野「……、……!!」

麦野「そうだ!あの野郎!!」ガバッ

フレンダ「ダメだよ麦野!無茶しちゃ!」


ベッドから起き上がろうとしている麦野、それを止めようとするフレンダ、そして、それをただ傍観しているだけの冥土返し


麦野「うるさい!私はあいつを殺さないと気が済まないんだ!」

フレンダ「それでも結局ダメっ!」

麦野「うるさい!……これは私の問題だ!お前はひっこめ!!」

フレンダ「………」

麦野はフレンダの手を強引に振りほどく、そして足を床につけ、立ち上がろうとしたその時だった」



91: 2011/04/23(土) 14:23:34.73 ID:/AGz2zm70

麦野は足がもつれ、派手に転んだ。

麦野「……イテテテ…」


麦野「……!! 足が…!」ガクガク


麦野は立てなかった。


膝がガクガクッと大きく震えた。まるでKO寸前のボクサーのようだ。

麦野「くそ…どうなってる!!」ガクガク


冥土返し「無理だね。今の君は立てないよ」

麦野「……んだと!!」ガクガク

冥土返し「君は脳を揺らされて、大きいダメージを負っている」

冥土返し「脳を揺らされると、人間は一時的に足が震えて動かなくなる」


麦野「一時的だと?何言ってる、あの時からもう結構な時間経ってんだぞ!」

冥土返し「そう、本来ならもう動けているはずだ」

麦野「だったらなぜ?」


冥土返し「わからないんだよ」


麦野「……は?」

冥土返し「本来なら動けるはずの足が動けない。その原因はわからないんだ」

麦野「……」

冥土返し「君の脳は相当大きな衝撃を喰らったか、そういう技なのか、そもそも君の脳はそういう風にできているのか」

冥土返し「わからないんだ」

94: 2011/04/23(土) 15:25:37.43 ID:/AGz2zm70



麦野「……屁理屈なんでどうでもいいんだよ!!」

麦野は笑う足を抑えながら、なんとか歩く。

だがそれは、ぎこちなく、今にも転びそうだ。


フレンダ(……志村けんみたい)

フレンダ「……とっ、ダメだよ麦野!」

冥土返し「そうだよ、今のきみじゃ歩くどころか立つこともおぼつかないんだ」

冥土返し「そんなのじゃ頃しに行くどころか、逆に返り討ちにされるね」

麦野「…!!……………くっ」

麦野は冥土返しの意見に反抗しようとしたが、言ってることが正論で押し黙った。

フレンダ「はいはい、結局病人はおとなしくベッドで休んでいなさいって訳ね」トン

麦野「うぉっととと」ボフン


フレンダは麦野の体を軽くトンと押した。

軽く押したはずだが、麦野の体はベッドに、崩れていくジェンガのように倒れた。


麦野「…なにを…!!」

フレンダ「あのオッサンと言う通り」

冥土返し「オッサンとは何かね君」

フレンダ「今、絹旗と滝壺が、その犯人を捜している……」


フレンダ「あーーーーーーー!!」

麦野「どうした!?」

フレンダ「忘れてた。麦野が起きたら犯人の特徴を聞いとけって言われてたんだった」

95: 2011/04/23(土) 16:34:00.59 ID:/AGz2zm70

フレンダ「結局私ったら大切なことを忘れてたって訳ね」

フレンダはポケットから携帯電話を取り出し、絹旗に電話をかける

プルプルプルプル…………ガチャ

絹旗『はい、フレンダ?』ハァハァ

フレンダ「あ、絹旗?」

絹旗『どうしたんですか?』ハァハァ

フレンダ「麦野が目覚めた!」

絹旗『!!』

フレンダ「今、麦野と代わるね!」

麦野「絹旗か?」

絹旗『……麦野…』

絹旗の声は今にも泣きだしそうな声だった。

絹旗『麦野、体は超大丈夫なんですか?』

麦野「ああ、まだ動けないがな。ところでアイツの特徴を聞きたいんだったな」

絹旗『はい!』


麦野「てか絹旗、特徴も知らないのに、どうやって犯人を見つけるの?」

絹旗『………それはさっき滝壺に言われました』


麦野はクスッと笑い。改めて話を戻した。

麦野「まあいい、奴の特徴だが…」

絹旗『…はい』


麦野「着物を着て、顔よ体に傷跡が沢山ある、身長2mを越えた大男だ」

絹旗『……!!』

『ドコォ!!』

電話からまるで何かが砕ける音がした。

麦野「絹旗?」

絹旗『いえ、超何にもありません』

絹旗『これだけあれば超十分です。ありがとうございます』

絹旗『麦野はそこでゆっくり休んでてください。私がアイツの氏体を持ってきますから』


ガチャ……ツーツーツー


麦野「……?」

フレンダ「で、絹旗はなんて?」

麦野「…問題ないって」


冥土返し「………」

96: 2011/04/23(土) 17:01:38.54 ID:/AGz2zm70

ガヤガヤ…ざわざわ…


滝壺「きぬはた……」

絹旗「………」


絹旗の左手は、すぐそばにあったビルの壁に伸びていた。

そしてその左手は壁にめり込んでいた。


絹旗(……一番嫌な展開ですね。まさかあいつだなんて…)

絹旗「どうして気付けなかったんですかね ……」

滝壺「きぬはた・・・」


滝壺が不安そうなめ目で絹旗を見ている。

絹旗「……超嫌ですね滝壺!そんな目でこっちを超見ないでください」

絹旗「もしかして私の超心配でもしてくれているんですか?」

滝壺「きぬはた……」

絹旗「はい」


滝壺「周り、人集まってきてる」

絹旗「あ…」


二人の周りにはさっき絹旗が壁を殴った音を聞いて来た、野次馬に囲まれていた。

99: 2011/04/23(土) 18:27:34.36 ID:/AGz2zm70

野次馬を抜け出し、二人は一旦、路地裏に隠れた。

絹旗「ハァハァハァ」

滝壺「……」

絹旗「ハァハァ、と、とりあえず、犯人を捜しましょう」

滝壺「はんにん、ものすごく目立つ恰好してるらしいからすぐに見つかると思う」

絹旗「はい、でもあれから超時間がたってますから、急いで捜しましょう」


絹旗「とりあえず、まずは警備員の支部への道から見て行きましょう」

滝壺「わかった」



二人はさっそく路地裏を出て、前にある信号を渡り、西へ50mほど進み、そこの交差点を曲がったその時。



七花『…お、おい!!黄泉川!!ちょっと待て!!』

黄泉川『……すまないな。これはこの街のルールじゃんよ』

七花『……おい!!どうなってるんだよこれ!!』

黄泉川『おーい!もう出してくれ!』

ブロォン…

七花『おい!黄泉川!!』


黄泉川『……』


七花「『黄泉川ぁ!!』

ブロロロロロロロrrrrr…………


101: 2011/04/23(土) 18:53:23.29 ID:/AGz2zm70

絹旗「……ふふふ、あははははははは!!」

滝壺「……」

絹旗「ふふふ、警備員に超捕まっていたみたいですね」





絹旗はフーと安心したように息を吐き、

絹旗「警備員に感謝するのは超久しぶりですね」

そして

絹旗「さーて、どウ落とし前を超つけさせますかァ」

彼女の眼は爛々としていて、口は笑っていた。

例えるなら、狩る獲物を見つけた虎のような表情だった。





絹旗「滝壺、超下がっててください」



絹旗「……ふゥン!!」

絹旗は近くにあった、ポストをまるで大根のように引っこ抜いた。

そして、あたかもハンマー投げ選手よろしく、体を回転させて勢いをつけ、走って行った七花を乗せた護送車にブン投げた。

絹旗「ゥォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ、りゃア!!!!!!!!!!!!!!!」


宙を綺麗な放物線を描いて飛んで行った、手紙の入ったポストは、絹旗に回されている時にどこかにぶつけたのか、手紙が出てきている。

まるで流れ星のようだ。



そしてその流れ星は、護送車のちょうど七花がいる荷台に直撃した。

106: 2011/04/23(土) 23:46:32.53 ID:/AGz2zm70

――――――警備員第七三活動支部

学園都市の条例により、不法侵入者とみられる男――鑢七花を難無く護送車に乗せ、それを見送った黄泉川愛穂はその後、
コーヒーを飲んで、優雅な休憩タイムをとっていた。

黄泉川「お、このコーヒーうまいじゃん」ズー

鉄装「あ、今回は銘柄を代えたんです。それはわざわざ第四学区まで行って買ってきた高級品ですよ」

黄泉川「ほう、なるほどじゃん。しかし鉄装、この高級品は自分の金で買ったのか?」

鉄装「なに言ってるんですか?それいくらしたと思ってるんですか?勿論、経費で…。あ……」

黄泉川「よっしゃ、じゃあその分はお前の給料から引くじゃん」

鉄装「ちょ、やめてください。黄泉川先生~!」


????「二人とも相変わらず仲良いですね~」

黄泉川「なんかようか、登条」

登条「いや~黄泉川先生にちょっと飲んでほしいのがありましてね~」


登条秋羅 鉄装と同期の地理学を教える中学教師である。


登条「実はこのコーヒー、私がわざわざブラジルまで足を伸ばして入手してきた、本場の最高級コーヒーなんですよ~」

登条「さささ、黄泉川先生~これをどうぞ」ズイ

黄泉川「あ、ああ。…あ、おいしいじゃん…」ズー



107: 2011/04/24(日) 00:29:46.74 ID:+u/zCL3E0

鉄装「なっ…ちょっと登条さん、何してくれてるんですかっ?」

登条「なにって…私はただ黄泉川先生に学園都市の外の食品の良さを教えてるだけですよ~」


鉄装「それがダメなんですっ。せっかく私が第四学区まで足を伸ばしてこの高級品を買ってきたのに……」

鉄装「それに、学園都市のものは安全なんです。外で作られている食べ物って何が入ってるかわからないじゃないですか!」



登条「……何言ってるんですか。学園都市のものは、やれ安全第一だ、有害物質を取り除けだとうるさいんですよ」

登場「まぁ確かに安全第一は大事です。有害物質は入れてはいけません。……しかぁぁぁし!!!」

登条「行きすぎなんですよ!!学園都市産の食品は野菜から魚や肉まで何から何まで、すっっっっべて屋内で生産されたものばかり!!!」

登条「しかも屋内で生産されいるものは何もかも計算に計算を重ね重ねにしつくされている。それが気に食わないんですよ!!!!」

登条「野菜を生産するときなんてそうだ、地中の有害物質を取り込ませないように畑の土を人工土壌にし、肥料も安全に改良した化学肥料を使用している」

登条「また、本来なら天から降り注ぐ神々しき太陽の光を野菜にあてて光合成をさせ、野菜本来の甘みを作り出す…のにっっ!!!!」

登条「野菜を遺伝子改良し効率良く光合成をさせ!!しかも日光を当てさせずに蛍光灯の光だけを使って育てさせる!!!!!」

登条「そして!!私が一ッッッッッッッッ番、気に食わないのが!!!!それらの工程を全て!、丸々!!機械が自動でやっているという

登条「まさに!!!!!!農家に、いやぁ!!!!農業にかかわる、すべての人たち対する侮辱だ!!!!!!!!!!」


登条「そう思って私は先日、私の家の庭で畑と水田を作って、野菜と米を作ってたんです。それなのに!!!どこぞの分からず屋が畑に使う肥料に使う牛糞が臭いからって………畑も水田も何もかも撤去されたんですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


黄泉川「………登条」

登条「はい!!!」

黄泉川「うるさい!!!!!!」

登条「…すいませんでした」

108: 2011/04/24(日) 00:55:03.10 ID:+u/zCL3E0

黄泉川「ったく、お前のそのしゃべりだすと止まらなくなる癖、本当に直したほうがいいじゃん」

登条「はい…ホントすいませんでした」


黄泉川「はいはい。んじゃ休憩終わり。さっさと残りの仕事終わらして、さっさと帰るじゃん」

パンパンと黄泉川は手を叩きながら、後輩二人に働くよう促す。

そして……

ドーーーーーーーーン!!!!!!!!!

いきなり轟音が響き、窓がビリビリと唸った。


黄泉川「なっ……!?」

登条「…ここの近くじゃないですか!?」

鉄装「わ、私見てきます!」












新キャラ出しました。

ワタクシ、警備員Aとか生徒1とかいうのあんま好きじゃないんで、折角だから作っちゃいました。

今まで、ずーとこんな風に語り続けるキャラはいなかったなーと思ったらこうなりました。

もう一人くらい出そうかと思います。


なんか登条みたいなキャラってなんか、うる星やつらにいたような気がする…。


114: 2011/04/24(日) 03:39:21.05 ID:+u/zCL3E0


―――――その頃、護送車

七花「さてここからどうやって出ようか…」

七花「…ん?なんだ?あいつ。道の隅で赤いのを手に持ってグルグル回っている…。あ、投げた。………って、こっちに投げてきやがった!」

七花「ちょっ…ちょっと待て!!」



絹旗が投げたポストは護送車を直撃した。

護送車は一転、二転、もう一転とバウンドし、ゴロゴロと地面を転がってようやく止まった。

そしてガソリンが引火したのか、派手に爆発した。

もともとこの護送車は不良少年から極悪の危険人物までを二、三十人とほど詰め込められるよう、荷台は大きく設計されており、
しかも外部、内部からの衝撃に耐えられるようにもできているため、その分ガソリンの量も多い。

そのため普通の車より爆発は大きくなる。

爆発の威力は大きく、耳が割れるような爆音と身がすくむような衝撃が周囲を襲った。



115: 2011/04/24(日) 04:27:21.81 ID:+u/zCL3E0



黄泉川「これは派手にやってくれたじゃん」


先ほど爆発があった現場に、警備員第七三活動支部のメンバーはさっそく交通整備と現場検証を行っていた。

爆発した時、通りには人は少なく、近くには誰もいなかったことから、ケガ人は一人もいないというのはまさに奇跡だ。


先ほどの爆発で護送車は大破、大破の原因とされるポストはなんと現場から200m先のものだった。
証拠に200m間ずっと手紙が落ちている。


黄泉川「まったく、どこの誰だか知らないが仕事増やしやがって……」

鉄装「100%能力者の仕業ですね」

登条「ええ、念動力系の能力者でしょうね」


????「いや、そうとも限らん」

黄泉川「美濃谷先生……」

美濃谷「このポスト、今は吹っ飛んで何が何だかわからんが。あそこのポストは穴が二つあった、大型のポストだった」


美濃谷肖像 今年で定年を迎える第七三活動支部一番の古株。専門教科は世界史と日本史。趣味は秘湯めぐりである。


美濃谷「わしはこの道をよう使っておったから、よく覚えておる」

黄泉川「はい、私もあのポストを結構利用していましたから…」


美濃谷「学園都市製のものは防犯対策により、本来のものより硬く、重いものが多い。このポストのその一つ。このポストとそこにパンパンに詰まっていた手紙……。ざっと200kgぐらいだろう。それをここまでとは…まったく、恐ろしいことだ。レベルは大体、強能力者か大能力者だろう」


117: 2011/04/24(日) 13:34:15.50 ID:+u/zCL3E0

美濃谷「気になるのが、200kgもするポストをどうやってここまで飛ばしたかだ。

黄泉川、ポストがあった場所へちょいと行こうか」

黄泉川「はい」




黄泉川「……ここですね」

美濃谷「…うむ、根こそぎ持っていかれとる」

黄泉川「しかし、どうやって……」

118: 2011/04/24(日) 14:05:59.01 ID:+u/zCL3E0


美濃谷「おい黄泉川、これを見ろ…」

黄泉川「これは…!」

美濃谷「なるほど、これで分かった」

見つめる先はただの地面だった。

だが少し違う。


そこには奇麗な円状の窪みがあった。



黄泉川「…?。何がですか?」

美濃谷「どうやってあそこまで飛ばしたかをだよ」



黄泉川「?」

美濃谷「――――――ハンマー投げだ」

黄泉川「……あ、そうか!」

美濃谷「そう、犯人はここにあったポストを能力で引っこ抜き、ハンマー投げの要領で投げ飛ばした。その証拠にそこの壁と地面だ」

美濃谷「おそらくこの壁はポストを回す時にぶつけたのだろう、そこで破損したポストの穴から手紙が落ちて行った。地面の方はハンマーを投げる時の軸足の跡だろう」


119: 2011/04/24(日) 14:53:08.33 ID:+u/zCL3E0


美濃谷「きっと犯人は念動力系じゃないな。ポストを引っこ抜くほどの能力者なら、あんな方法はしない。そもそもこんな重いポストは使わんだろう」

美濃谷「おそらく犯人は筋肉の活性化かなにかはわからんが、パワーを増幅させるような能力者だ。そこら辺を探そう」

美濃谷「さて、重要なのはどうして犯人はこの行動をとったかだ……」


鉄装「黄泉川先生ーー!美濃谷先生ーー!」

黄泉川「ん?どうした鉄装」

鉄装「はい、防犯カメラに犯人と思しき人物が映っていました。少々離れていますが……」

黄泉川「いいから見せるじゃん」

鉄装「はい!」


鉄装はすぐに小型モニターを取り出した。

鉄装「いいですか、画面の左上を見てください」


映っていたのは、小柄な少女が遠くにある護送車を見つけ、少しもう一人いた連れと何か話しをしたあと、ポストを引っこ抜き、ハンマー投げの要領で車へ投げた。

投げた後、また連れと何か話をして立ち去った。


鉄装「ん~、犯人は後ろを向いていて顔がわかんないですね」



120: 2011/04/24(日) 16:12:24.28 ID:+u/zCL3E0



黄泉川「結局、犯人は何がしたかったじゃん?」

鉄装「護送車に対する妨害か、それとも護送車に乗っていた鑢七花くんを殺害するためにしたものか…」

黄泉川「結局謎は深まるばかりじゃん。とりあえず現場に戻るじゃん」



――――――――

登条「あ、黄泉川先生~。この護送車の運転手二人ですが、一人は気絶していて、もう一人は気絶した仲間を連れて、爆発する前に逃げていて無事でした~」

黄泉川「わかった、それじゃあ、そいつに話を聞こう」





黄泉川「あの時なにがあったじゃん?」

運転手「はい、私が運転している時、いきなり後ろから何か衝撃が来て、何かと思ってブレーキをもうとした時、車が吹っ飛んで…。そこからもう無我夢中であまり覚えていません」

黄泉川「……?ちょっと待つじゃん、衝撃は二回来たのか?」

運転手「はい。二回です」

黄泉川「…?」


美濃谷「黄泉川、ちょいとこっちへ」

黄泉川「はい。どうしました?」

美濃谷「あの若造、鑢とか言ったな?…………奴の氏体がない」

黄泉川「―――――――!!」

121: 2011/04/24(日) 16:43:24.50 ID:+u/zCL3E0


その頃、事件現場から少し離れた路地裏、そこに……

七花「……危なかった。……あれはさすがに氏んでいた」ハァハァ

護送車に乗っていたはずの、鑢七花が息を切らして座り込んでいた。

七花「しかし、なん…なんだ?……いったい…どうなってるんだよ……コレ」ハァハァ

七花「とりあえず、ここから逃げ……」


絹旗「逃がしませンよ」

七花「――――!」

絹旗「麦野に手ェ出してくれた落とし前ェ、超きっちり払ってもらイます…。まったく、まさかァ道を教エてあげた相手が犯人だなンて…。超かっこ悪くて涙が出ますよ」

七花「……なんだお前?」

絹旗「……私のこと覚えてないですか?」

七花「すまん、まだ人の顔覚えるの得意じゃないんだ。……お前だれだっけ?」

絹旗「――――――!!!」カァーーーッ

七花「…?…なに怒ってるんだよ」

絹旗「もウ、イイです。アなたを超ぐっちゃぐちゃのミンチにして、麦野の前に差し出せばそれで済みます」

七花「…おい、俺お前になんかしたか?」


絹旗はそこらに落ちていたパイプを手に持つと、七花に向かって思いっきり投げた。

七花「…うおぉ!」ヒョイ

顔に向かって飛んできたパイプを七花は仰け反って避けた。

パイプはコンクリートの壁に深々く突き刺さった。

七花「!!……おいおい、その小っちゃい体のどこにどんな馬鹿力あるんだよ」

絹旗「馬鹿力言わなイでください。あと小っちゃイとかも。結構気にしてるんです」

124: 2011/04/24(日) 18:13:15.19 ID:+u/zCL3E0

絹旗「何がともあれ、私はあなたを超頃したいンです。……黙って氏ンでくれませンか」

七花「どうしてかは知らないが、あんたは俺をどうしても頃したいようだな…」

絹旗「それがどオしたって言うンです?」

七花「別に俺はいいんだけれどよ」





七花「ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな 」







絹旗「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

七花「―――虚刀流 一の構え『鈴蘭』」






絹旗が襲い掛かる、両手には二本づつパイプが握られ、七花に一本づつ投げつけた。

七花は一本一本避けて行ったが、最後の一本は自らの手で払った。

すると絹旗は七花との間合いを詰める。

絹旗は七花に飛び掛かり、顔面に向けて右ストレートを叩き付ける。

七花はそれを右に避け、次の攻撃に備えて後ろへ飛ぶ。

絹旗はそれを逃がさず、前へ進む。次は左フック。しかし七花にまた避けられ、後ろに逃げられる。次はアッパー、また避けられた。

絹旗は全弾フルスイングで襲い掛かるが、七花がそれのすべてを避け、後ろに下がる。その繰り返しが延々繰り返された。


七花「いつまでそういう風に振り回してんだ?日が暮れちまうぞ」

絹旗「イイエ、もウ、終わりです」


七花の背中にどんっと衝撃が伝わった。


七花「…!?……壁!?」

絹旗「チェックメイトです!!」


ドゴッッ!!!!!!

壁が砕ける、大きな音が響いた。

125: 2011/04/24(日) 18:55:12.24 ID:+u/zCL3E0



頭は潰れた。そう絹旗は確信した。




絹旗「……!!………いない!?」


七花「後ろだ」

絹旗「―――!!」

七花「―――虚刀流 木蓮!!」

絹旗「―――!」


七花「…妙にあっけない終わり方だったな」

絹旗「……終わってなンてイませンよ」
はら

七花「…あれ、おかしいな。前に同じ技をやった時は、あいつ一発で倒れたのに…?」

絹旗「フフフ、どォやら麦野はこの技で倒れたよォですね。残念ですね。私は麦野より体が頑丈なンです」

七花「それでも無傷ってのが気に食わねぇな。どうなってるんだ?お前の体」

絹旗「知りたイですか? 」

七花「ああ、とっても」

絹旗「なら教エて…あげましょう!!」


絹旗はまた飛び掛かる。そしてまた左右の連打を繰り出す。今度はキックもしてきた。


絹旗「イイですか?私の能力はァ『窒素装甲』。私の体には常に窒素が超取り巻いてイます。で、その窒素がポストを超吹ッ飛ばしたり、あなたの技を超防いでくれるンです」

七花は絹旗の攻撃を避ける。避ける。避けまくる。

どうしても避け切れない攻撃は正面から受けるのでなく、突き出して来た手足の側面を払って流す。

そして背後に壁を背負う形になった。



七花「すまん、やっぱり難しいわ。わからん」


そして絹旗は拳を叩き付ける。

絹旗「……お兄さン、ちょっとアホですね」

七花「認めたくないが、自覚はある。――――――まぁあれだ、全身常に鎧を着ているようなもんか」

絹旗「まァ、そォなりますね」

129: 2011/04/24(日) 19:53:53.39 ID:+u/zCL3E0

七花はまた絹旗の背後にいた。


絹旗は振り向き、七花を追撃しようとしたが、さっき出した拳が壁に突き刺さって抜けない。




七花「……待ってやるよ」

絹旗「ええ、超感謝します」


絹旗は壁にめり込んだ拳を抜くため、七花に背を向けた。壁に足をつけ、足の力で引っこ抜いた。



絹旗「超お待たせしました。―――――どォです、超はじめてでしょう?私のような敵は。」



七花「いや。ちっこくて、力持ちで、常に鎧を着てる奴は見たことないけどよ。ちっこくて力持ちな奴と、常に鎧を着ている奴にはあってる」


絹旗「……へェ、そォなんですか。まァ私にとっては超どォでもイイ話ですが」



また絹旗は襲い掛かる、それだけ肉弾戦に自信があるのだろう。

そして七花もまた、避ける。避ける。避けまくる。

また先ほどと同じ絵だ。


だが



七花「ん~、でも、あいつらの方が断然強かったぞ?」

絹旗「は?」



パァン!!



ハイタッチのような心地良い音が響いた。しかし、それのように平和的なものじゃない。

七花は絹旗の拳を正面から手で受け、握りしめた。


絹旗「……なっ。私の拳を受け止めた!?」


七花「うん、あの二人の方が強い」


絹旗「……くっ」


絹旗は七花の手を振りほどき、また拳を突き出す。

しかし七花はその一つ一つを左手一本で受け止め続けた。


131: 2011/04/24(日) 20:37:14.06 ID:+u/zCL3E0


パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!


心地いい音か小刻みに響いた。


七花「―――虚刀流『牡丹』!」

絹旗「……くっ…」ビリビリッ

七花の腰の回転を加えた後方回し蹴りで絹旗の体は吹っ飛び、奥のゴミ箱に突っ込んだ。


絹旗「ハァハァハァ……」


七花「………」

絹旗「……ま、まだです」


七花「なぁ、もう終わりにしないか? もう俺飽きてきたんだが…」

絹旗「まだ…まだです(こうなったら奥の手を使うしかありませんね)」


絹旗は立ち上がり

絹旗「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

雄叫びをあげながら、突進していく。

また左右の連打。

そしてまた七花がその拳を受け止める。


七花「―――虚刀流 百合」


七花の回し蹴りを喰らい、サッカーボールのように吹っ飛ぶ。

しかし「窒素装甲」の能力でたいして効いてない。

すぐに飛び起き、また左右の連打を繰り出す。





七花「―――虚刀流 薔薇」

また吹っ飛ばされ、また起き上がり、また左右の連打、そして―――

七花「―――虚刀流 桜」

また吹っ飛ばされる。


絹旗はただ、なぜかそれを繰り返す。

七花「―――虚刀流 梅」

七花「―――虚刀流 鷺草」

七花「―――虚刀流 菖蒲」

七花「―――虚刀流 石榴」

七花「―――虚刀流 桜桃」

七花「―――虚刀流 野苺」

そして吹き飛ばされ続けられた。



132: 2011/04/24(日) 21:42:00.23 ID:+u/zCL3E0

絹旗はまた起き上がる。

そして左右の連打。

七花「おい、もういい加減にしようぜ」

絹旗「まだまだぁ!!」

七花「もうわかってるんだろ。お前じゃ俺を倒せない」

絹旗「……」

七花「もうお前、バッテバテじゃねぇか」

絹旗「…」

七花「なぁ、終わりにしょうぜ」




絹旗「……んなことぐらい、わかってます。………しかし!!」


絹旗は拳を突き出す。

七花はその拳を掌で掴もうとする。……しかし。

絹旗は自分の拳を掴もうとした七花の手を、逆に掴んだ。


絹旗「……捕まえました」


七花「…やべっ…」


絹旗「確かに私はあなたを倒せない。………しかし、吹っ飛ばすことができます!」






絹旗「超吹っ飛べ!!!」







絹旗は七花に全身全霊を込め、タックルをかました。

七花は文字通り吹っ飛び、20M先の壁に突っ込んだ。


133: 2011/04/24(日) 22:51:52.88 ID:+u/zCL3E0

ドコーーーーン!!と一段とド派手な衝突音がした。

砂煙が当たり広がった。






絹旗「ゼェ…ゼェ…ゼェ…ゼェ……へへっ、さんざん人様を蹴り飛ばしてくれたお返しです。…ペッ」

してやったりという顔で七花が飛んで行った壁を見つめながら、口に溜まった血を地面に吐き出した。


絹旗「…ゼィ…ゼィ…ゼィ…ゼィ…。……ふー、さすがに疲れました。でもまぁ…すっきりしました」


壁の所には砂煙がもくもくと立ち込める。




絹旗「………でも、まだ生きてるんでしょう?」




七花「……ああ、さっきのはビビった。……油断したって言ったら言い訳になるな。あんたスゲーよ」


絹旗「お褒めにあずかり超光栄です。………しかし、それでも無傷ってのは正直いって超ショックです」


七花「いや、頭ちょっと打った」


絹旗「今ので超それだけって……一体どんな体してるんですか、あなたは」


七花「あんたにだけは言われたくねぇよ」


絹旗「ははは、そうですね」


七花「あんたが初めてだよ。俺の攻撃をモロに喰らって生きているのは」


絹旗「それは褒め言葉ですか?」


七花「そう理解してくれたら嬉しいな。…………一応、名前を聞いておこうか」


絹旗「……私の名前ですか?」




絹旗「私は絹旗最愛と言います。学園都市の超暗部組織『アイテム』のメンバーです。………あなたは?」



七花「俺の名前は 虚刀流七代目当主 鑢七花ってんだ。このナリだが、剣士をやってる」




絹旗「剣士って…刀ないじゃないですか」


七花「無刀の剣士なんだよ」


絹旗「無刀の剣士……?……なるほど、だから虚刀流ですか」

134: 2011/04/24(日) 23:36:32.17 ID:+u/zCL3E0

七花「ああ、これからお前の為にとっておきの技を見せてやる」


絹旗「そうですか……。時に鑢七花さん、なぜ私があなたをそこに超吹っ飛ばしたか……わかります?」


七花「七花でいいよ。……わからねぇ」


絹旗「足元を超見てください」


七花「…??なんだこの箱?」


七花の足元に小さな箱が置いてあった。



絹旗「滝壺ぉーーー!!超お願いしま――――す!!」


七花がいる壁の上、壁…ビルの屋上(15M程の高さ)から、滝壺がぬっと顔を出した。


滝壺はんっしょっんっしょっと大きな袋をどこからか大変そうに出して来て、折りたたみナイフで切れ目を開けて、七花の頭上に落とした。

袋の中身の粉状の何かが出てきて、七花に大量に降りかかった。

七花は真っ白になった。


七花「うおぉ!!……ケホッ!ケホッ!……なんだ?」


絹旗「安心してください。ただの小麦粉です。氏にません」


七花「じゃあなんでそんなもん……」


絹旗「さて、なぜ私はあなたをそこまで吹っ飛ばしたかと言うと……どうしても、あなたに居て欲しかったからです」

絹旗「保険のために滝壺に、ここの仕掛けの設置と待機をさせておいて正解でした……」

絹旗「それとそこにあるのは、学園都市最新の特製の火薬でできた爆弾です。範囲はそんなに広くないですが、燃焼速度がハンパじゃないです」


絹旗「あと…知ってます?空中に粉塵…例えば、そのような小麦粉が漂っている場合………そこで火を付けちゃいけないんですよ?」


七花「……?」


絹旗「その“とっておき”とやらを見られないのは残念ですが…一瞬で終わらせます!!」


絹旗はポケットから小さなスイッチ……起爆スイッチを取り出し………何の躊躇もせずに押した。


絹旗の言った通り、勝負は一瞬で終わった。

137: 2011/04/25(月) 01:29:19.42 ID:e9Bo2eqq0
そこから先は、零コンマ何秒の世界だ。


絹旗は起爆スイッチを押した。


絹旗(よし、勝った!……こんなに超強い敵に…勝った!!)


勝利を確信した。








彼女の目の前に、虚刀流 鑢七花が現れた。


彼の後ろに小麦粉の線が続いている。




絹旗(――――!!!)



絹旗(――――何か来る!!が、ガードを!!)






七花「―――虚刀流 一の構え『鈴蘭』」






七花「―――虚刀流 一の奥義 『鏡花水月』!!」





絹旗は、七花の虚刀流の技で最速の『鏡花水月』をもらい、40M先のビルの壁に激突した。もし絹旗の『窒素装甲』が無ければ、心臓が潰れていた。




絹旗「……かはっ…!!(は、速い……超速すぎる!!)」




138: 2011/04/25(月) 01:29:53.97 ID:e9Bo2eqq0



七花「―――虚刀流 『杜若』」






七花は虚刀流『杜若』で40Mもの間合いを一瞬で詰める。







七花「―――虚刀流 四の構え『朝顔』」






絹旗「…………!!」






七花「―――虚刀流 四の奥義『柳緑花紅』!!」





虚刀流の対鎧の奥義、『柳緑花紅』は絹旗の『窒素装甲』を貫き、彼女の腹に深く突き刺さった。





そして、虚刀流七代目当主 鑢七花の後ろで、粉塵爆発が起こった。

139: 2011/04/25(月) 01:58:35.88 ID:e9Bo2eqq0


それはほんの一瞬の出来事だった。




絹旗「…………」ドサッ




七花「…しかし危ねぇな。もしあの爆発の中にいたら、絶対に氏んでたよ」



絹旗「ヒュー、ヒュー」



七花「…と、相変わらず頑丈だな。一応手加減したが、気絶してると思ってたのに」


それでも、立ち上がろうとしている。

絹旗は虫の息だったが、意識はある。


絹旗(…くっ、ここまでキツイのをもらったのは超初めてです)


七花「おいおい、無理するな。もう決着はついてる。むしろ、ここまでできたことを褒めてやりたいほどだ」



絹旗は立ち上がった。だが、足つきがおぼつかない、眼は虚ろだ。


それでも、七花に一撃を喰らわせようと、拳を握る。


絹旗「く………まだ……まだぁ……」ヒューヒュー


腕を振りかぶり、最後の一撃を……



そこで、彼女は糸が切れた人形のように崩れ落ちた。


それを七花が受け止める。



141: 2011/04/25(月) 02:29:07.72 ID:e9Bo2eqq0


七花は絹旗の体を抱え込み、先ほど爆発があったところへ向いて叫んだ。



七花「おーい、もう出てこいよ。いるんだろ?こいつを何とかしたいから、出てきてくれ!」


すると、曲がり角から、先ほど小麦粉を落とした、滝壺理后がやってきた。


七花「ほい、こいつよろしくな」


七花は滝壺に絹旗の体を渡す。


滝壺「どうして?」


七花「ん?」


滝壺「どうして攻撃しないの?普通なら、こうゆう風には接しない」


七花「そりゃ、お前が攻撃しないって思ったからだよ」


滝壺「どうしてわかったの?」


七花「だって、もしあんたが攻撃できる奴なら、二人一緒に俺を襲ってきただろ」

七花「わざわざこいつ一人で襲って来て、お前は罠を仕掛けに行ったのは、こいつが俺を襲って、あそこまでおびき出し、さっきの爆発で倒すって計画じゃなかったのか?」


滝壺「それはあくまで保険。最初から、きぬはたはあなたを本気で一人で頃しに来ていた」

滝壺「そしてあなたが言う通り、わたしは攻撃専門じゃない」


七花「じゃあ、こっちからも聞くけどよ、どうしてあんたはこうやって俺の前にノコノコと出てきたんだ?もしかしたら、こいつもお前も頃して逃げるかもしれないんだぞ?」

七花「あと、どうして応援を呼ばないんだ?普通そうだろ」


滝壺「それは、あなたはあまり悪い人じゃないと思ったから、もしあなたのような強さの悪い人なら、きっときぬはたは瞬殺だった。あなたはたきつぼをボロ雑巾にしたけど、生かしてくれたから」

滝壺「あと、応援を呼ばなかったのは、きぬはたがとても楽しそうだったから。最初は怒りに任せて戦っていたけど、最後の方はとても楽しそうだったから。……だから」





142: 2011/04/25(月) 02:41:54.56 ID:e9Bo2eqq0

七花「そうか…」


滝壺「ここもきっと人が来る。早いうちに逃げた方がいい」


七花「わかった」


七花「じゃあ、俺はさっそく逃げるからよ。お前も気を付けろよ」


滝壺「大丈夫、こういうの慣れてるから」


七花「おう、じゃな……っと、なぁ一応名前聞いていいか?」


滝壺「滝壺理后。あなたは?」


七花「俺の名前は虚刀流七代目当主 鑢七花っていうんだ。…なんかお前らとは、もう一回会えそうだな」


滝壺「うん、わたしもそう思う。……じゃあ七花、私たちはもう行くから」


七花「おお、じゃあな」


こうして、二人は別れた。

























七花(あれ?絹旗って名前どっかで…しかもあの口調……)

七花「……ああ!!」

七花「そういや、道教えてくれた奴だ……。あちゃ~悪い事したな~」


153: 2011/04/26(火) 03:07:56.86 ID:gkNcGX/L0

―――――病院


鑢七花との戦いから半日と少したった。

朝の九時、廊下ではナースたちがせわしなく行ったり来たりしている。

スーツの入った車を押している者もいれば、朝食を運んでいる者…皆、騒がしい。



しかし、ある個室はもの静かだった。 廊下の騒がしさは遠く聞こえる。

麦野「…………………」

フレンダ「……………」


滝壺「……ということがあったの……」




麦野は今は寝間着のままだが、脳のダメージは完全に抜け、明日にも退院できるらしい。

しかし、麦野と代わるように、今度は絹旗がベットに横たわっている。腕には点滴の管が伸びている。



フレンダ「……まだか絹旗までやられるなんて……」


滝壺「…とても強い人だった」



突然、麦野はすくっと立ち上がり、速足で個室から出ていこうとした。



フレンダ「麦野、どこ行くの?」


麦野「……どこだっていいでしょ」


フレンダ「嘘だ。麦野、結局そいつを探しに行く訳でしょ」


麦野「…いいじゃない、別に」


フレンダ「……麦野…」


麦野「……言いたいのはそれだけ?……じゃあ」





滝壺「待ってむぎの」


麦野「……なに」


滝壺「むぎのじゃあ、あの人には勝てない」


麦野「なっ……!!」

フレンダ「……!?」


二人とも滝壺の言ってる意味がわからなかった。

いつも三人の言うことには逆らわず、常に三歩後ろをついていく彼女が、リーダーである麦野に『勝てない』と言ったのである。


154: 2011/04/26(火) 03:38:27.04 ID:gkNcGX/L0


麦野「――――――!!!!」


麦野はツカツカと滝壺に歩み寄り、彼女の左頬に思いっきりビンタをした。


フレンダ「!!」ビクゥッ!!


麦野「滝壺……ごめん、何言ってるかわからなかったから、もう一回言ってくれる?」


滝壺「――――むぎのじゃあ、やすりしちかには勝てない」



パァンッ!!パァンッ!!パァンッ!!



麦野が滝壺の頬に往復ビンタを喰らわせる音が、病室中に響く。

もしかしたら、外の廊下にまで聞こえているかもしれない。


麦野「滝壺あなた……。わかってないの?私たち、あいつに舐められてんのよ!!……このまま引き下がったままいられるかってんだ!!!」


今度は麦野の怒号か響いた。外の騒がしさはいきなり消えた。きっとこの騒動でびっくりしたのだろう。



麦野の怒号にフレンダはビクビクと震える。そして麦野は滝壺の往復ビンタを叩き付け続けた。



頬を叩く鋭い音が響く。

そして麦野の怒鳴り声はそれよりも、もっと大きく響いた。



麦野「いい?これはもう私の問題じゃない、私達の問題なの!! 学園都市最強の七人、超能力者の一人があっけなくのされて、それの敵討ちいった大能力者はボッコボコのボロ雑巾になって病院送りになった!!」

麦野「……これはね!!『アイテム』の名が汚れたのよ!!……それだけでも、『アイテム』の価値はね、馬鹿みたいに下がるんだよ!!それをテメェはどう責任とるって言うんだ、ええ!?おい!!!」



最後に麦野は、滝壺の顔面を殴りつけた。滝壺は絹旗が眠るベッドの横のソファに突っ込んだ。


ハァハァと息をあげ、鬼のような顔で滝壺を見下ろす麦野。


フレンダ「ちょ・・・麦野やり過ぎ!!」


フレンダは滝壺をかばう。


滝壺「ふれんだ、いい」


しかし、滝壺はそれを制した。



155: 2011/04/26(火) 03:58:35.35 ID:gkNcGX/L0


滝壺「むぎの、あなたはちょっと勘違いしてる」


彼女の口の端と鼻の穴から、血の滴ポタッポタッと床に落ちる。


滝壺「確かに…むぎのときぬはたは負けて、『アイテム』の価値は下がった」


滝壺「……むぎのはあの人には勝てない。………それほどの強さだった……」



滝壺「……でも、あの人…やすりしちかは…きぬはたを舐めてはなかった…!!きぬはたを凄いって称えて、それからとっておきの技で倒した!!」



滝壺「きぬはたも、最初は怒りに任せて戦ってた。でも最後は二人とも自分を名乗りあって、お互いを認め合って戦っていた!!」


滝壺「きぬはたはとても楽しそうに戦っていた。きっとあの人もそうだと思う……」



滝壺「……だから、むぎのは少し待ってっ!!……きぬはたが目が覚めるのを待ってっ!!……それから四人で話をして、どうしようか決めよう」




滝壺の両頬は赤く腫れ上がり、口の周りは血で赤く染まっていて、折角の美貌も台無しだった。……それでも眼は光っていた。



その姿を見て、その声を聴いて、麦野は何かを押し頃すかのように、叩きすぎて赤くなった右手を握りしめた。


麦野「………勝手にしなさい」


そして、踵を返し、速足で個室から出て行った。





159: 2011/04/26(火) 23:15:35.48 ID:gkNcGX/L0
>>156さん、ありがとうございます。

さっそく採用してみます。



160: 2011/04/26(火) 23:36:01.72 ID:gkNcGX/L0

「滝壺……」


フレンダは心配そうな顔で滝壺の口元を見る。

あまりにも痛々しい。



「ふれんだ、大丈夫。でもちょっと口を切っただけ。でも拭くものあるかな…」


「ちょっと待って、ティッシュあるから」


フレンダは立ち上がり、ソファに置いてあったバックからポケットティッシュを取り出す。


滝壺に差し出すと、滝壺は二,三枚取り出し、顔を拭く。


「でも、滝壺がまさか、あの麦野に食い付いてかかるなんて思ってもしなかった」


「うん、今でも自分がしたことにビックリしてる。……顔、痛いけど」


「後悔してる?」


「ううん、もしあそこで麦野をあのまま行かせたら、麦野は負ける」


「そこまで強いの?そいつ」


「うん。………そうしたらきっと、きぬはたは悲しむと思う、勝っていればこうならなかったって。……だから私は後悔はしていない」



滝壺はさっきまでのやり取りを思い出し、ふふっっと思い出し笑いをしてみる。


……やっぱり自分には似合わなかったな。



しかし

「あれ、血が止まらない……」

「え?」


161: 2011/04/26(火) 23:59:32.22 ID:gkNcGX/L0

「どどど、どうしよう。まさかなんかヤバイ事になってない?」


「まさかさっき、むぎのに殴られた時……?……まさか…」


コンコンコン…ガラッ

「失礼するよ。君たち、さっきまで何やってたんだい?怒鳴り声は病院中の至る所まで、まる聞こえだよ?」


冥土返しが病室へ入ってきた。


「あらまぁ、これは派手にやったねぇ」


「あ、結局、滝壺の血が止まらないの」


「ん~~?どれどれ」

冥土返しは滝壺の鼻をじっと見る。

「……ああ……滝壺さん」


「はい」


「至急、レントゲン室へ行って、写真撮ってきてくれないか」



「…………」

「……は?」


滝壺の顔がサーと青くなり、フレンダは素っ頓狂なリアクションをする。




「鼻骨が折れてるかも」



滝壺は、ちょっと後悔をした。





162: 2011/04/27(水) 01:09:06.92 ID:b6qmAgyf0




ハイ、チョットダケ、イタイケド、ガマンシテネェ


アノ、マスイハ・・・・・?


ハイ、イキマスヨー


チョ、チョットマッテ、マスイ・・・・・




………イタタタタタタ、イタイ!イタイ!



…ギャーーーーーーー!!!








結局、鼻は折れていた。


出血がひどく、急きょ手術となった。



その時は、冥土返しは別の緊急手術でおらず、担当したのは、いかにも大学あがりたてホヤホヤな若い医者だった。


その若医者曰く、鼻骨骨折の場合は麻酔をかけないらしい。

それを手術後に聞いた。




麻酔無しで鼻の穴に針金を通し、ギプスで固定する。そして血を止める……。

比較的簡単な手術なので、格好はそのまま、診断室で行われた。


163: 2011/04/27(水) 02:12:41.37 ID:b6qmAgyf0


帰ってきた滝壺はゲッソリとやつれていた。


鼻には肌と同じ色のプラスチック製のギプスを付けていた。

一応、顔に目立たないよう配慮したようだが、目立つ物は目立つ。滝壺の美貌は結局は台無しのままだ。




(あ~ごめんごめん、実は鼻骨の手術は初めてでさ~。メッチャあがってたんで、言うのを忘れてたんだわ)


手術後、あの若医者の言葉がいまだに頭の中に浮かび上がる。


(ホントのこと言うと、手術自体一人でやるのは初めてなんだよ)


沸々と湧き上がるこの感情は何なんだろう?


(いわゆる初体験ってヤツ?…私の初体験…おねぇちゃんにあげちゃった///……きゃ///)


あ、これ、イライラって言うんだ。最近イライラすることが無かったから忘れていたんだ。


(な~んてねwwwwwwwwww冗談冗談wwwwwwww)


あれ、なんだろう?なんかスッゴク頭が熱いっていうか、なんかこうカーッっとする感じ


(いや~、それにしても初めてにしては、完璧に上手くいったよ!すごい人は痛みなんて感じない内にススッと通しちゃうんだけれども、今回
はまさにそれだね!)


あ、そうだ、これって怒りっていうんだっけ? ここ数年怒ってないから忘れてた。


(あ、そうそう、鼻骨骨折といってもそんなに酷くはないから心配しなくていいよ!でも安静にしてないと骨がくっついてくれないからね!)





帰ってきた滝壺はゲッソリとして目は虚ろで上の空の状態で帰ってきた。フレンダは滝壺の劇的な変貌にドン引きしていた。



滝壺はこの数時間の記憶の内、ヤブ医者の最後の言葉以外のすべてを一斉に消去した。

そしてここの病院で診察を受ける時は、絶対にあのヤブ医者なんかには診せないと心に誓った。



165: 2011/04/28(木) 00:43:25.70 ID:JQuMhWbX0

さて、今日もがんばって書きます。


―――――


………あれ?

………あれからどうなったんだっけ?




『ああ、これからお前の為にとっておきの技を見せてやる』


あ、そうだ、私………



『―――虚刀流 一の奥義 『鏡花水月』!!』



あの時……




『―――虚刀流 四の奥義『柳緑花紅』!!』



あそこで……



『く………まだ……まだぁ……』



あそこで……







「……はっ」



絹旗最愛は倒されてから3日後、誰もいない病室で目を覚ました。


166: 2011/04/28(木) 01:10:19.24 ID:JQuMhWbX0


ここは……どこ……?


絹旗は空きあがり、あたりを見渡す。


(ここは……麦野が入院してた病院……?……どうして……?)


「……痛っ……!」

いきなり腹部に痛みが走った。


「イテテテ」


「………あ、そうだ、私………」



思い出した。


あの時、負けたんだ………。



ふと、ベットのそばにある棚の上にある、小さな目覚まし時計を見る。



午後八時五八分



日付が結構替わってる。


(三日経ってる……。三日間寝てたんだ、私……)



167: 2011/04/28(木) 01:29:26.79 ID:JQuMhWbX0




あの日のことを思い出してみる。



(確か、爆弾と小麦粉を超使って粉塵爆発させてたら、超いつの間にか七花が前にいて、40m位、超吹っ飛ばされて……)


(そしたら40mの距離を一瞬で詰めてきて、そして止めを刺された……)



「………ハハハ…」


絹旗はつい笑ってしまった。


「……しかしまぁ、超コテンパンにされましたね」




「えっと…確かこんな感じでしたね」



絹旗は片膝をつき、確かな記憶をたどり、自分を倒した時の七花の真似をする。



「…コホンッ……『鏡花水月』!! 」スッ


しかし、七花のようにはならない。


「あ、あれ…?」


しかし、絹旗は諦めない。


「……『柳緑花紅』!!」スイッ


これも、七花のようにはならなかった。




168: 2011/04/28(木) 01:41:20.80 ID:JQuMhWbX0


「………………………」



静寂が一瞬、あたりを包む。…でもそれは一瞬だった。




「……ふふっ、ふふふふ……あはははははははははははは!!」



絹旗は楽しそうに腹を抱えて、隣の部屋の迷惑をもお構いなしに笑った。


「あはははははははははっ……んふふふふふ………ふふっ…ははははははははははは」


楽しそうだ、本当に。何か良い事でもあったかのかのように、足をバタバタとしながら笑った。




「はーはーはー、……っ……ははははははははははははは………はははは……はは…」


やがて笑い声は途切れ途切れになり。


「はは…は……。…………………………………」


静寂になった。

169: 2011/04/28(木) 02:11:37.07 ID:JQuMhWbX0



絹旗はぺたんと座り込んだ。


「………まさか、粉塵爆発の燃焼速度よりも超速いだなんて」

爆発が起こったとき、二人は40m移動していた。


「ったく、どんなチートキャラですか……。倒された私でも超爆笑ですよ」



絹旗はベッドの上で、体育座りをする。

自分の脚をギュッと抱きしめる。



負けた。惨敗だ。………きっと、相手――鑢七花は、全力の半分も出してないだろう。


絹旗は体育座りをしたまま、髪をギュッと握った。

三日間洗ってない髪は、ベタベタとしてて気持ち悪かった。


学園都市の能力者に勝てる人間はこの世にはいないだろうと思っていた。

その学園都市の能力者では上位だろう自分に敵う人間は精々、超能力者七人ぐらいだろうと、思っていた。………でも。




「……………って、あれ?」


ポタッ…ポタッ…と滴のようなものが膝に落ち、太腿へと流れる。


「なんで、私泣いてるんですか?」


涙は目から頬へと流れる。


「ちょっとwwかっこ悪いじゃないですか。……もう子供は卒業したんですから…」


それでも涙は、止まらない。


「ちょ…と、なんで…止まらない…んですか?……ヒックッ…。超…おかしい……ヒックッ…です」


涙は目から溢れてくる。……止まらない。


「なんで……ヒックッ……」


170: 2011/04/28(木) 02:29:38.42 ID:JQuMhWbX0

涙は止まらない。


ある感情が彼女を支配していく……。


「…?………??」


この感情がわからない。…いや、思い出せない。……頭の中で引っかかる。もう少しで出てきそうだが、思い出せない。


それくらい、この感情は久方ぶりだった。


「…あ………」



そして、彼女は思い出した。

その感情の名は……



「…あ……そうか……。私、悔しいんだ」



敗北感と、悔しさだった。



「そうか…私…負けて、悔しいんだ……」


敗北感と悔しさと言う、感情の正体を思い出した彼女は


「…あ、あああああ、ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ」


声をあげて泣いた。


「あああああああああああああ、ぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ」


悔しい、腹が立つ。自分の無力さが、か弱さが、そして何より、自分は強いとつけあがっていた自分の傲慢さが。



彼女は後悔と絶望感をまるで体の外へと追い出すように泣いた。






「……………」



171: 2011/04/28(木) 02:41:10.15 ID:JQuMhWbX0
「……………」


どれくらい時がたったのだろう?

涙が涸れるまで泣き続けた絹旗は、顔を涙の痕だらけにして、うつむいていた。




さっきまで絶望感で一杯だった。


でもそれは、さっき泣いて、すべて出し切った。


そして今は……。





「私、強くなりたい……!」






希望で一杯だった。






「私強くなりたい!…あの人より強くなりたい……!」



彼女の顔は前を向いていた。



長い絶望の後に、希望が湧いた。


186: 2011/04/29(金) 02:39:30.95 ID:yRUsItDB0

『私強くなりたい!』


『…あの人より強くなりたい……!』






麦野沈利は、絹旗の病室のドアの横の壁に寄りかかっていた。


彼女は絹旗の涙と決意を聴いていた。



「……」



彼女は寄りかかっていた壁から離れ、難しい表情で歩き出した。



「……君、どこへ行く気だい?」


後ろから、年季の入った渋い声がした。


「どこだっていいでしょ」


「彼女の決意を無駄にする気かい?」


声の主、冥土返しは気の抜けた顔で尋ねる。


「……」



「君がここで動けば、彼女はどう思うかね?」



187: 2011/04/29(金) 03:20:31.38 ID:yRUsItDB0


麦野は冥土返しの言葉を無視して歩き続けた。


冥土返しは彼女について来る。



彼女はそれが気に食わなさそうに吐き捨てた。


「…うっさいわね。どっか行って!あんたと私らは関係ないでしょ!!」


「いや、関係あるね。私は君を治療した。そして現にあの病室の彼女は私の患者だ。それだけでも十分関係あるね」


「………」


「それでも君が行くというのならば、止めはしない。けど、彼女たちはどうかな?」


「………!?」



ロビーには滝壺とフレンダが座って待っていた。




198: 2011/04/29(金) 22:43:57.27 ID:y5aquN7D0


二人は少々緊張した雰囲気を出していた。

滝壺は俯き、表情が見えない。
フレンダは難しい顔をしている。


フレンダは立ち上がり麦野の前まで速足で来た。


「……結局、麦野はどこへ行くの?」


フレンダは麦野に立ちふさがった。


「決まってるでしょ。アイツを捕まえによ」


「…滝壺言っていたよね、絹旗が起きたら四人で決めようって」


「……」


「それに麦野、最近私たちに顔見せてないよね?…何してたの?」


「……アイツの居場所の捜索よ…」


「―――!」

絶句、フレンダの表情はまさにそれだった。

麦野は滝壺との、仲間との約束を破ったのだ。



「むぎの、私の言ったこと、もう忘れたの?」

滝壺の声は震えていた。

「…忘れてなんていないわよ」

「じゃあなんで、そういう風に、きぬはたを裏切るようなまねするの?」


滝壺は悲しそうな声で訴えるように尋ねた。


しかし………





199: 2011/04/30(土) 01:40:09.15 ID:ni3BwG240





「……何…勘違いしてんの?」


「…は?」


麦野の発言に滝壺とフレンダはキョトンとしている。



「いやだから、私は別に奴を頃しに行くなんて今は思っちゃいないから」



麦野は鑢七花を探していた。それはフレンダと滝壺には、七花を倒しに行くと見えた。


しかし彼女はそれ以上のことをしなかった。


麦野は滝壺との、仲間との約束を破ってはいなかった。




200: 2011/04/30(土) 01:40:39.19 ID:ni3BwG240


「……………………な~んだ、結局そういうことだったって訳ね」


フレンダは気が抜けて、へたっと床に座り込んでしまった。


「よかった。むぎのがもし考えていたような事してたら、私の努力は無駄になってた」


滝壺は微笑みながら、麦野の後ろから歩み寄る。


「そりゃ、私の大切な子分たちとの約束を破る訳には…いか…な…い…」


麦野は見つめていた。


滝壺の、ぷっくりと腫れた両頬に張られた痛々しい湿布と、鼻骨骨折のため、鼻に付けられたギプスで覆われた、滝壺の顔を。



「…………………………滝壺」


「なに?」


「その顔……どうしたの……?」


「……………………」




…………。

あたりの空気が冷たくなったような気がした。



フレンダは頭を抱え、当の本人である滝壺は無表情だった。


麦野だけが、頭の上に?マークを浮かべている。





滝壺は久しぶりに本気で怒っていいと思った。





「………むぎの、ちょっといい?」


後の話になるが、フレンダ曰く、この時の滝壺の眼は何よりも恐ろしかったらしい。





201: 2011/04/30(土) 01:55:42.68 ID:ni3BwG240

――――――――――――――――――――――――――

さっきので200!

100の雪辱は晴らせてよかった!

――――――――――――――――――――――――――



「………で、あれから私は、アイツの居場所を探してたの」



あれから一時間たった。


その一時間は滝壺による麦野への………ここからは恐ろしくて言えない。


とにかく一時間たった。


今は、麦野は絹旗が目覚めるまでの間なにをしていたかを、二人に説明している。


「あんな目立つ恰好の奴だから、目撃情報が多いからすぐに見つかるかな~っと思ったんだけど…」


なんだか歯切れが悪い。


「実際に情報は結構来たんだけれども、情報がバラバラで肝心の居場所が割れなくてね…。結局わからなかった」



202: 2011/04/30(土) 02:12:24.76 ID:ni3BwG240

「だけど、やすりしちかの場所に行くってことは、わかったんでしょ?場所」


「ええ。とっても簡単で、しかも効率的な方法がね」


「へ~、結局それはなんだった訳なの?」


「ふふっ、それはね………」





時間は、三日前にもどる。


麦野は病室を速足で出ると、さっそく携帯電話を取り出し……


取り出したところで、冥土返しと肩がぶつかった。


「…ってぇ、気ぃつけろ!……ってあんたか」


「ぶつかっておいてなんだい?その口のきき方は。それとあんたってなんだい?」


「…ったく、こっちは急いでんのに…じゃあな!」


「ちょっと待った」


後ろから腕を捉まれる。


「…なにっ!?」


「ここ、携帯電話は使用禁止だよ」


「……!」


「使うなら外でやりなさい」

203: 2011/04/30(土) 02:23:32.16 ID:ni3BwG240


「……わかったわよ!外に行きゃあいいんだろ、行きゃあ!」


「わかればいいんだ」


「…あ、そうだ、ついでに外のコンビニ行って来ようか…。んじゃあな、オッサン!」


「麦野くん。ちょっと待った」



また腕を捉まれた。


「……っ…今度は何!?」


「君、一応私は君を治療した人間だ。オッサンとは聞き捨てにできないね。目上の人にはちゃんと礼儀をわきまえるべきだ」


「…わかったわよ。…ご教授ありがとうございました、先生!」


「それともう一つ」


「まだ何かあんのかよ!」


「うん、君がどこで何をしようと構いはしないんだけれどもね、…………その恰好は恥ずかしいと思うよ」


「あぁ!?…………あ…」


麦野の恰好は、可愛らしいパジャマだった。



今日は以上です。明日も書きます。


麦のんのパジャマ姿…ハァハァ

210: 2011/04/30(土) 22:34:02.36 ID:ni3BwG240


結局、麦野はいったん自分の部屋に戻り、いつもの明るい色の半袖のコートに腕を通し、長く、太すぎず細すぎない、奇麗な脚でベッドを踏ん付けて、黒いストッキングを穿く。


「ったく。あのオッサンは……」


さっきのやり取りをぶつくさぶつくさと言っていた。


「あのオッサンは、一々うるせーんだよまったく…」


あまりそう、オッサン、オッサン言っていると……。


「あのオッサン、どっかで聞いていたりして…」


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


「なんて言って来たり…し…て…」


今、なんて聞こえた?……まさか。


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


「―――――――!!」


聞こえた、確かに聞こえた、冥土返しの声が。



『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


キョロキョロとあたりを見渡す。…しかし誰もいない。とてつもなく不気味だ。


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


「で、出て来いオッサン!バカにしてんのか!」

211: 2011/04/30(土) 22:45:25.15 ID:ni3BwG240

『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


「……っくそ、馬鹿にしやがって…」


そこで、麦野は気付いた。


(声が近くで聞こえる…)


息を飲む。不気味すぎだ。


そして、音が聞こえる所は……。







麦野のポーチだった。







「………………は?」


一拍、間を開けて、麦野はそのポーチを開けた。


そこには…………。



212: 2011/04/30(土) 22:56:17.35 ID:ni3BwG240


ヴヴヴヴ…とバイブする携帯電話があった。そしてそこから、


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』



と声がした。いや音か。



「着信かよ!!」



思わずツッコむ麦野。

そのリアクションと、今までの行動と思考に自分でも恥ずかしくなる麦野。



(あのオッサン嵌めやがったなぁあああああああああああああああああ!!!)


心の中の雄叫びは人には聞こえない。その分、自分の中のイライラは倍に積もる。


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


まだ着信は鳴っていた。


「ああもう、鬱陶しい!」


麦野は冥土返しのドッキリでの恨みは、今後、近い内に返すと誓い。折りたたみ式の携帯を乱暴に開き、電話に出た。

213: 2011/04/30(土) 23:24:15.50 ID:ni3BwG240


「はい、もしもしこちら麦野!!」


『こらぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』



「!!!」



思わず電話を耳元から目一杯に離す。耳がキーンと鳴って痛い。


電話の主は、いつも依頼を言い渡す『電話の声』の女であった。


電話から、未だにギャーギャーワーワー騒いでいる声がする。



麦野は電話を離したまま待つ。

しばらくすると、静かになった。


「はい、もしも~し。もういいですか?」


『こいつらときたら!真面目に聞いてるの!?』


「長い」


『こいつらときたら!………今まで何をしてたのよ!!』


「病院にいたの」


『いや、そうじゃなくて!』


『電話の声』はどうやら相当興奮しているようだ。


『こいつらときたら!なに?たった数日で、あんたと絹旗の主力二人がやられるなんて!何やってんのよ!まさかワザと負けてないでしょうね。つーか本気でやって負けたなんて言わせないわよ!』


「………」


ここから説教がずーーーーと続いた。



214: 2011/05/01(日) 00:26:38.87 ID:6hLBz6tN0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここは飛ばして頂いても結構です。延々お説教タイムです。

注:お説教をされているのは本編の主人公、話術サイドのトップ 上条当麻聖人ではございません。
しかし、ただ今お説教をされているのは、暗部組織『アイテム』の『電話の声』の人です。
ありがたや~ありがたや~と拝むのは人の勝手ですが、ウチのおかあちゃんの説教と大差ありません。
そこのところをなにとぞご理解をいただけますよう、よろしくお願いします。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




『ったく、こいつらときたら!いい?これはね、あんたら『アイテム』のだけの責任じゃあないのよ!! わ・た・し・も!!責任を負うことになるの!まったくこいつらときたら!こんなショッパイ、ショッパイへましくさりやがって!!あんたらわね、どうしてそんな自分勝手なの!?まぁこの学園都市の人間は一癖ある人間ばかり。んで、この街の闇の人間は一癖ある所に二癖、三癖ある個性豊かな人たちばっかりよ。………そしてあんたら『アイテム』はその中でも選りすぐりの曲者ばっかりじゃない!!こいつらときたら!リーダーはSM好きのシャケマニアだし、遊撃主はなんだか訳のわからん駄作映画ばっか見てるチビ助だし、チームの要はいっっっつもボーーーーーーっとしている電波少女だし、ってか今時電波少女が流行るとでも思ってんのかこのバカスカポンタン!!!しかもしかもなんかいっつもっいっつもっ意味のわかんねえ、ぬいぐるみに爆弾詰め込んだ鯖缶オタクの自称美脚線小娘とかなに!?あいつなんて福井の鯖江市とかに追放してやろうか、こんちくちょう!!鯖寿司まみれになってしまえってんだ!こいつらときたら!つーか、あんたねぇあんとき油断して負けたとかほざいていたらしいけど、ふざけてんじゃねぇえよバカスケが!!だぁーーーから第三位の超電磁砲とか常盤台のエースとか何が何だかわからん中坊の小娘に負けんのよ!あんときメッチャ勝利宣言しながら超電磁砲追い込んでたじゃん!?あんとき勝ったなとか思っていたよ!でも調子こいて自分のチームメイトの罠で橋から真っ逆さまに落ちて、結局作戦は失敗するし、ってかアンタがブッ放しまくった原子崩しのおかげで施設は風穴だらけのボロボロ蜂の巣状態じゃない!!防衛戦っつたじゃん!思いっきし破壊活動してんじゃん!!だからあんな中坊に負けんのよ!このスカポンタン!こいつらときたら!こいつらときたら!なにが『パリイ!パリイ!パリイ!てかァ?』だ!お前前回の失敗学習せぇよ!こいつらときたら!あんときも油断したから負けたんじゃない!!!ホント学習能力ねぇなホントにこいつらときたら!!だぁーーーーーーーーー!!もう腹立ってきた!!いい?『スクール』の坊ちゃん共はね、あんたらよりもいい仕事してんのよ!!それをあんたら見直せ!!こいつらときたら!!あと麦野!!あんたのその無駄な勝利宣言的なこだわりがある所!あんたの致命的な敗因なるから、絶対に!!』




はーはーはーと息が切れる呼吸がする音がする。

麦野はこのガーと流したような説教をすべて聞き流した。


215: 2011/05/01(日) 00:54:46.68 ID:6hLBz6tN0


「で、言いたいことはそれだけ?」


『………如何にも聞いていませんでしたって台詞ね』


「実際そうよ」


『…っホントにこいつらときたら……はぁ』


彼女は大きな溜め息をした後


『で、この後どうする気?奴を始末するなら止めないってか、支援する』


「いや、始末は後回しにしてって滝壺に頼まれてね。とりあえず奴の居場所ぐらいは調べるくらいはしないと」


『わかったわ、じゃあこちらは情報を送る。探すのはあなた達でやって頂戴。これは正式な仕事じゃないから』


「わかってるわよ。自分の尻くらいは自分で拭けるわよ」


『そう、じゃあ頼んだわよ』


「じゃあいい情報よろしく」


『任せなさい。…あと『アイテム』の仕事はしばらくお休みさせておくわね。そうね30日くらいね。じゃあ健闘を祈るわ』


「了解」


ピッ


「それじゃ、行きますか」



麦野沈利は携帯電話をパチンッと閉じ、ポーチに入れた。

ポーチを肩に掛けて、病室を出た。

ポーチはズシリと重い。中にはさっきの携帯電話と拡散支援半導体を三十枚、それととっておきの秘密兵器が入っていた。

217: 2011/05/01(日) 02:09:27.43 ID:6hLBz6tN0


その頃、とある路地裏………。



「それにしても、ここも派手にやってくれたじゃん」

警備員の一人、黄泉川愛穂は路地裏…絹旗最愛と鑢七花が戦った場所に立っていた。


そこはとあるビルの壁で、爆発の痕なのか黒々く焦げていた。


そこから40m先の別のビルの壁には小さな窪み、まるで何かが当たって砕けたような窪みがあった。


そこだけじゃない。あちこちに窪みや穴や破壊されたゴミ箱など…いろいろと平和的とはかけ離れた現状があった。


明らかに戦闘の跡だ。





「しかし、なんでこの惨状がアイツ…鑢七花が原因だってわかるんですか?……美濃谷先生」


黄泉川に質問された、50代後半の男、美濃谷肖像は、うむ…と頷きそれに答えた。


「あの護送車の事件で、運転手はこう言った。『衝撃は二回起こった』と」


「はい。衝撃の一回目があった時、いったんブレーキを踏んだ。そのあとポストが飛んで来て、車が吹っ飛んだと…」


「それだ、一回目の衝撃だ」


「それがどうしたと…」


「まず、あの小僧は後ろの荷台にいた。次に奴は飛んで来るポストを見て、どう回避するか考えた……。黄泉川、お前ならどうする?」


「えっ、えっと……。車から出て逃げる?」


「そうだ。奴もそうした」


「いや、無理じゃん。…じゃなかった、無理でしょう。なんせ、あの護送車は内の外も衝撃に強い素材を使っています。そう簡単には…」


「いや、できる。現にあそこに氏体はなかったし、ここにいた形跡もある」


「形跡ってどこに……」

「時に黄泉川」

「…はい」

218: 2011/05/01(日) 02:48:53.46 ID:6hLBz6tN0

「あそこの窪み…変だと思わないか?」


「はぁ?」


その窪みは絹旗が七花の『鏡花水月』を喰らって吹っ飛ばされた時についたものだ。


「あの窪みよーく見ると人型だ」


「え?……あ、ホントじゃん。人型に見えます」


「うむ、あの高さと窪みの角度からすると、きっと小僧と戦っていた奴はそうだな」

美濃谷は数歩ほど歩き、あるところで止まった。

「ちょうどここらへんからか、相手を吹っ飛ばしたのだろう…。ほれ、ここに足跡のような窪みがある」

それは七花が技を繰り出した時の足跡である。

「見ての通り、下はコンクリ、向こうの壁もコンクリ、他の全ての窪みがあったところもすべてコンクリ……。コンクリを簡単に凹ませるほどの力を持つ人間が、護送車の壁なんぞ余裕で風穴開けられるわ」


「なるほど…」


「それともう一つ、仮に護送車の壁を破った時ちょうど、ここの路地裏通じる道だった」


「まとめると、鑢七花は護送車に乗っている時、遠くからポストが飛んでくるのを見て、護送車の壁を破って路地裏へ逃げた。路地裏には敵がいて、その何者かと戦闘になったと…」


「きっとその何者とやらとポストを放り投げた犯人は同一人物だろう。そしてどっちが勝ったかは知らぬが、二人とも生きておる」


「…なぜそう思われるのですか?」


「ところどころに窪みがある。……子供の拳ほどの大きさのだ。きっとカメラに映っていたチビのだ。そして小僧とチビのどっちか、もしくは二人ともの氏体が無い。回収したという線があるが、血痕が無い。………いまじゃあ血痕を消せる方法があるが、そのような時間はなかった。わしらが駆け付けたからな」




「なるほど。しかし先生はどうして、そのように簡単に推理ができるのですか?」


「推理に一番必要なのは想像力だよ。何者にも囚われずに想像し、相手が何をしたか、何がしたかったのが、そして何がしたいかを明確に想像することが大切なんだよ」





219: 2011/05/01(日) 02:56:39.84 ID:6hLBz6tN0


「黄泉川先生ぇ~~!!美濃谷先生ぇ~~!」


40m先から登条が走ってくる。

その姿を黄泉川が

「現場で走るなと言ったじゃん!」

と、一喝。


「すいません。実は二人にこれを。……あそこで拾いました」


登条は拾ってきたものを美濃谷に手渡す。


「…うむ、登条。でかした」


「ありがとうございます!」


「美濃谷先生、それはいったい…?」


「ああこれか、これは…」



それはビニール袋に入った。長い髪の毛だった。



「これであの小僧が何者かがわかるぞ」









228: 2011/05/01(日) 12:01:07.60 ID:6hLBz6tN0



それから一日たった。

虚刀流七代目当主 鑢七花は第七学区のとあるビルの屋上にいた。

顔と特徴が知られたらしく、あの戦いの後も警備員とか風紀委員とか名乗る者たちに捕まりそうになるが、必氏に逃げてきた。時には自らの手でのして逃げた。

それが休憩なしでずっと続き、今に至る。


今は一日中走り回って、いい加減、疲れて来たので人気の無い、高層ビルの屋上で休憩中だ。

ごろんと寝っころがり、流れる雲を見ていた。


今日は快晴だ。




「しかし、なんなんだこの街は」


今まで出会った者たちは皆、異常な者ばかりだった。


ある者は風紀委員と名乗り、手から火を出して来たり、空を飛んだり。

ある者は警備員と名乗り、炎刀 銃のような鉄砲とは違って、大きくて、なんだかゴツイ感じの鉄砲で七花を撃ってきた。


229: 2011/05/01(日) 12:17:00.93 ID:6hLBz6tN0

「まぁ、鬼ごっこ感覚で面白いんだがな」


こう言っている七花も実は罪の意識はある。

物を壊したし、人を傷つけた。

でも人は一人も頃していない。……たぶん。



「ああ、しかしいい天気だなぁ。このまま寝ていたいな」

そして目が覚めると、今までが夢だったらいいな…なんて、都合のいいことを考えていると……。




「見つけましたわよ」




見つかってしまった。



「風紀委員ですの!」



今度は風紀委員らしい。


因みに絹旗と滝壺と別れた後、七花を襲ってきた人の人数は覚えてないが、何回襲われたかは覚えている。


風紀委員が7回、警備員が20回ほど。


見つかり過ぎだと言われるかもしれないが、しょうがない。

なんせ、200mの巨体に体中が傷跡だらけ、しかも着物を着ているといった、現代では考えられないファッションだ。

目立ってしょうがない。いやむしろ、目立たなくてはおかしい。


それでも七花は気にしない。そもそも奇異の目で見られるのは慣れている。そして最も大きいのが、着ている物は恋人の形見だ。捨てられる筈がない。



230: 2011/05/01(日) 12:47:07.43 ID:6hLBz6tN0

「不法侵入の疑いと護送車破壊、それと業務執行妨害で逮捕します。おとなしく捕まってくださいな」


「おいおい、不法侵入とやらは気付いたらここにいて、車の方は俺じゃないし、最後の業務なんとかはお前らが攻撃してきたからだぞ」


「そんなの私は知りませんわ」


「なんだそりゃ、てか、他の奴らもそんなこと言ってたな。お前らどんだけ身勝手なんだ。俺もう疲れて来たぞ」


「だったら、さっさと捕まればいいですのに」


「…………お前のその、人を軽く下で見るような口ぶりが、なんだかイラッっとするな」


「そりゃそうですわ。なんせ、わたくしより弱い人間になぜ、下手に出るような態度をとらなくてはならないのですか?」


「………イラッ……はぁ、つーか、その台詞は負ける奴が言う台詞じゃないか?」


「氏亡フラグを踏んだ覚えはありませんわ。お姉さまと約束の用事があるので、さっさと済ませておきたいので、早く捕まってくださいまし」


「おい、その氏亡フラグとやらが増えたぞ」


「さあ、大人しくその手首にこの手錠をかけさせてくださいまし」


「無視かよ。……まぁ、そこまで言うんだったら、強いのか、お前?」


「ふふ、見かけに惑わされないでくださいまし」


「そうかい、ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな 」


242: 2011/05/01(日) 22:45:08.35 ID:6hLBz6tN0

その頃、風紀委員第一七七支部……。


「白井さん大丈夫ですかね」


風紀委員の少女、初春飾利はソファに座り、砂糖をたっぷり入れたコーヒーを飲んでいた。


「大丈夫よ、なにせあの子は大能力者よ。そう簡単にやられてるはずないでしょ」


初春の前の席に座り、ブラックコーヒーを机の上に置きながら問に答えるのは彼女の先輩の固法美偉である。

机に冷蔵庫から持ってきたムサシノ牛乳を置いた。


「だいたい、彼女が任務で失敗することなんて、見たことないでしょ?」


固法はムサシノ牛乳を右手に持ち、牛乳をブラックコーヒーの中に入れる。


そしてカフェオレになったブラックコーヒーをゆっくりと啜る。

「はぁ~、うま…」


「おいしいんですか?それ」

初春は固法の飲み方が気に入らないらしく、嫌な顔をする。

「も~そんな顔しないの。おいしいのよ、これ」

「本当ですか~?」

どうやら信じてないよだ。



「で、目標はどんなのだっけ?」


「あ、はい。名前は鑢七花…変な名前ですね…。特徴は身長は2mを越え、体中が傷痕だらけ、あと着物のようなものを着ているようです。……恰好からして、かなりの変人さんですね」



「へ~、いるんだ。いまだに着物来てる人。めっずらしい」


「へ?」

固法の声じゃない。この明るい声は…。


「佐天さん!!」


「やっほー」

243: 2011/05/01(日) 23:21:44.75 ID:6hLBz6tN0

「も~、ここは関係者以外立ち入り禁止だっけ言ってるのに、何遍言ったらわかるんですか!?」


「え~いいじゃん。別に~。…で、その人ってどんな人なの?」


「……ええ、この人は不法侵入の疑いでで捕まえて、護送車で拘置所へ連行するつもりだったんですが、護送車を破壊して逃げて行ったんですって。その後、逃げた路地裏で何者かと争った後、行方不明です」


「へ~、で、その人を捕まえに白井さんが出かけているって訳だ」


「そう」

答えたのは固法

「さっきまで、白井さんは大丈夫かどうか話していたの」


「へ~どうして?」


「だってほら、この雑誌!」

初春はいつも読んでいる雑誌の占いコーナーがあるページを見せた。

「ここの、白井さんの星座の所!」


「ん~、どれどれ~?」


『今日のあなたは最悪のバッドデイ。色々なフラグが立つから気を付けよう!特に口から出た言葉はフラグが立ちやすいから気を付けて!あと、あなたの友人もフラグが立つ言動は厳禁!………じゃあ気を付けてね!!』



「ふ~ん、なるほど」


「でも、白井さんなら大丈夫ですよね!」

「ええ、あの子ならもうすぐ帰ってきてもおかしくはないわ」


「ですよね~」

「ええ」



「……………あの~」


「? なんですか?佐天さん。…あ、佐天さんもコーヒーですか?今入れてきます!」

初春は立ち上がるが、

「いや、そうじゃなくて!」

「?じゃあなに?」

固法は頭に?マークを浮かべる。






「二人とも、思いっきりフラグ立ててません?………しかも氏亡フラグ」







「「……………あ…」」



246: 2011/05/02(月) 00:41:32.11 ID:S5zcGidn0



一方、初春と固法にフラグを立てまくられて、しかも自分からもフラグを立ててしまった白井黒子は……。




メッタメタにされていた。



「ハァ…ハァ…ハァ…」


息が荒い。体中、擦り傷だらけである。黒子は四つん這いになっている。いかにもキツそうな表情だ。



「お前、かっこつけていた割には弱いな」


「…くっ」



一方、七花は息も切れておらず、擦り傷どころか、かすり傷も無い。


黒子はムキになったような顔で立ち上がり、空間移動で七花の後ろに回り、後頭部へドロップキックを喰らわす。





247: 2011/05/02(月) 01:18:21.37 ID:S5zcGidn0

しかし、七花は前を向いたまま、裏拳で黒子の脇腹に叩く。


黒子は5mほど吹っ飛び、テーン、テーンとボールみたいに転がった。


ゴロゴロと転がって止まった。両手足を投げ出して倒れている。



「………っ~~~~!」


急に激痛が来たのか、脇腹を抑えている。


「うん、なるほど、この街のことがよくわかってきたぞ。あれだ、この街の子供は皆、何か不思議な力を持っている。例えば、手から火を出したり、空を飛んだり、変な光線出したり、力持ちだったりだ。お前はどうやら、自分と自分が触っている物を一瞬で移動できるようだな」


「……だったら……どうしたっていうのですか?」



「お前の攻撃はいつも単調なんだよ。後ろに回るか、釘を撃つか、俺を移動させるか。それらのどれかしかないんだ」


「………」


「まぁ、手順としては、後ろに回って攻撃か、俺に触って倒れさせて、釘で拘束する。こんな感じだろう」


「…手順を知っていても…わたくしの空間移動は見抜けませんの……」


「へぇ、これって『てれぽーと』って言うんだ。………まぁ、お前がどれだけ速かろうと、一瞬で移動できようとも、致命的な欠点があるんだよ」


「欠点?」


「お前、いつも俺の氏角しか移動してないだろ」


「………!」


「お前が消えたら、まず氏角に来るとわかっていれば、そこで待ち構えればいい話だ」


「……でも!」


「納得できないか?…………………お前ぐらいに速い奴に会って、戦ったことがあるんだよ」

249: 2011/05/02(月) 02:03:06.47 ID:S5zcGidn0

「錆白兵っていてな、そいつの『爆縮地』って技があるんだけどよ。………簡単に言うと、お前みたいに瞬間で移動する技だ。そいつは本当にすごい強くて、俺はそいつの爆縮地を見切ることができなくて、すげぇ苦戦した」


「じゃあ、あなたはどうして……?」


「あいつは俺に、時には真正面から、時には後ろから、横から、氏角からとか、いつどこに攻撃を仕掛けてくるかわからなかったから。だから苦戦した」


七花は黒子に歩み寄る。


「それに比べてお前は、全部氏角からだ。捕まえるのが簡単で助かるよ」


悔しい。と、黒子は表情でそう言っている。



250: 2011/05/02(月) 02:06:51.79 ID:S5zcGidn0
「それと、お前の目的はあくまで俺の『拘束』だ。お前は生かしたまま倒そうとしている」


「でも、あなたはその、錆さんでしたっけ?その人に苦戦したのでしょう?」


「ああ、確かに苦戦した。でもな。…………………………あいつを俺は頃してるんだよ」



七花は黒子を見下ろし、そして。








「そして、俺はお前も殺そうとしているんだよ」









右の貫手を黒子に向ける。


黒子はぞっと冷たい何かが背中を舐める。


それは“殺意”。


そう、まぎれもなく殺意だ。


七花の表情が逆光で見えない……。それがなおさら恐ろしい。


「ちょっ……と……。待ってくださいま……」











七花は右の貫手を勢い良く、突き刺す。



黒子の頭へと、まっすぐに……。

261: 2011/05/02(月) 23:08:31.93 ID:S5zcGidn0


まっすぐに…突き刺さっていなかった。



七花の右腕はアスファルトに刺さっている。


だが、その右手は黒子の耳元をかすっただけで、彼女は無事だ。


黒子は口から泡を吹いていて、股に水溜りを作って倒れていた。



「まぁ、ハッタリなんだが……ここまで効くとは」



七花は世界が違うといっても、日本一の剣豪だ。

一介の中学生には敵う筈がない。




七花は学園都市で出会って、戦ってきた全ての人たちを、まだ頃していない。



彼がとがめに連れれられて、本土に上陸した夜。山賊に襲われたが、返り討ちにした。

その山賊を殺そうとしたが、とがめに大事になると言われ、止められた。



七花にとって、絹旗も黒子も、その他の風紀委員も警備員の襲ってきた者全ては、その時の山賊と同じである。

命をとる理由がないし、価値もない。それに面倒だ。


だから、七花は黒子も頃しはしなかった。

262: 2011/05/02(月) 23:18:30.00 ID:S5zcGidn0


「さて、ここもばれたからな…逃げるか」



七花は、このビルを登る時に使った非常用階段を使って、ここから逃げようとしたが。


ファン ファン ファン ファン……



警備員の車両がこのビルを囲んでいた。



「あらら…」



七花は遅かったか…と溜息を一つして、向きを変えた。



「面倒だが、しょうがないな……」



落下防止用のフェンスを乗り越え、隣のビルに飛び乗ろうとする。


距離は15m前後。


飛び越えられるか………?。







無論、その気になれば、一瞬で40mを移動できる人間が15mのジャンプなど、できないはずがない。




七花はぴょんぴょんとビルとビルとの上を飛び移りながら、移動し、逃げていく………

265: 2011/05/03(火) 02:28:16.30 ID:WIx5fXsk0


鑢七花が立ち去った数分後、ビルには多くの警備員がビルを囲んでいた。


みな、学園都市製の機関銃と盾を手にしていた。

誰も七花が立ち去った事に気づいていない。


無駄な緊張感があたりを包む。


騒ぎを聞きつけ、面白半分で駆けつけた野次馬は『このビルに不法侵入者が立てこもってるんだって』とか『凶悪犯と風紀委員が戦っているんだって』とかいい加減な噂話をしている。


ドンっ!とドアを蹴り開ける音がした。

そして、何人かが突入する。




…………数分後


突入隊が、その凶悪犯がいないことがわかり、屋上で伸びている黒子を見つけると、すぐに救急車を呼んだ。





救急車はすぐに駆けつけ、ストレッチャーで黒子を救急車に乗せて去って行った。



266: 2011/05/03(火) 02:46:56.71 ID:WIx5fXsk0


その騒ぎの全てを野次馬として見ていた少女がいた。


その少女は常盤台中学の制服を身に着け、髪のこめかみの所に髪留めをしている。




1,2分前、ぐったりとしていて、救急車に運ばれる白井黒子を見ていた。



その少女は、ポケットからカエルの形をした携帯電話を取り出し、ある番号へ掛ける。


きっちり3コールで相手は出た。


「…あ、初春さん?私。………その現場にいるんだけど。……うん…。その詳しい状況を教えて?………いいから。…お願い。………。ありがとう。…………うん……うん……うん。わかった。ありがとう」


ピッと電話を切る。


そして、ポケットに入れて、その場を立ち去った。







学園都市最強の七人の超能力者 御坂美琴は鑢七花が逃げた方向へと、歩いて行った。


彼女の額には鋭い紫電がビリビリと光っていた。







273: 2011/05/03(火) 20:36:11.07 ID:WIx5fXsk0


「ここまで来れば大丈夫だろう」


虚刀流七代目当主 鑢七花は、とある列車の操車所で身を隠して、休んでいた。

寝ずに走っているのだ。疲れないはずがない。

七花はフーッと息を吐いた。


(……さすがに疲れた)


七花は幾つも積まれたコンテナに寄りかかって、座り込んだ。





七花が隠れている場所は……少し前に、とある無能力者の少年が、最強の超能力者に戦いを挑み、勝利した場所だ。


だが七花は、ただ二本の鉄の棒が並んで置いてあって、大きな鉄の箱が高く積み上げられている変な場所としか見ていない。


ただ七花の頭の中には、今は休む事しか考えていない。


目を閉じる。


とにかく長い一日だった。いや、もう一日じゃないか。



いきなり異世界に飛ばされたと思ったら、捕まって牢屋いきにされかけ、今度は命を狙われ、今は逃亡中だ。



(……と、なんだか眠くなってきた)



突然、七花に今までの疲労が祟り、睡魔が襲ってきた。



(いいかな、ここで寝ても、ここは誰も来ない……かな…)



そして、眠りに落ちていく………。

275: 2011/05/04(水) 01:40:07.66 ID:1BGSK55V0


……か……か……ちか……し…ちか………しちか………。


(………ぅ………)


「七花!!」


「うお!」

眠い。どうしようもなく眠い。


「七花…お前、ずっと寝ていたのか?」


声が聞こえる。それもとても懐かしいような。


「しかし、そなた珍しいな、こんなに疲れた顔をして……。どうした?」


白髪のおかっぱ頭の女が自分の顔を心配そうに覗き込んでいる。


「ああ、ちょっと色々とあってな……。でも大丈夫だ、なんとかなるよ、とがめ。……………………え?」


「ん?どうした?」


目の前には、氏んだはずの、かつて七花と一緒に旅をしていた。奇策士とがめがいた。


「いや、とがめ……あんた、氏んだはずじゃあ……?」


「はあ!?何言っておるのだ、そなた、寝ぼけているのか?」


「……いや…」


「ははは…。本当にそなたらしくない。……で、今回戦う敵だが」


「…?………ああ」


「相当に手強い相手だ。決して気を抜くなよ。そう今までと同じようには行かぬ」


「……? わかった」


「そうか、ならよかった。……………じゃあ私は行く」


「え?ちょっととがめ!!待てよ!!どこに行くつもりだよ!!」


「それはそなた……決まっているではないか………






「……はっ」



七花は誰もいない操車場で目を覚ました。

276: 2011/05/04(水) 02:35:55.48 ID:1BGSK55V0

「………なんだ、俺寝てたのか…」


なんだろう?すごく悲しい感情が心の奥に湧き出てくる。

夢を見ていたようだ、だが内容が思い出せない。

ただ、懐かしく、悲しいような……そんな内容だった気がする。



そして、忠告を受けたような……。





「―――――!!」



七花の動物的な感覚はどこからか、何かが来ると訴えてくる。



とっさに七花は右に飛ぶ。




ヒュンッ!



七花の頬に一閃、何かが光った。いや、通り過ぎて、かすめた。



その飛んできた光は後ろの巨大な鉄の箱がド派手に吹っ飛ぶ。



ドンガラガッシャーーーン と、マンガみたいな効果音を大音量で響かせて、空気を揺らした。



そして、箱が立てた砂埃がバーッと広がり、あたりを包む。




そして晴れた頃、一人の少女が光って飛んできた方向から歩いてきた。



「200cmの巨体、体中の傷跡、そして着物……鑢七花で間違いないわね」


「だれだ?あんた」


「そうね、簡単に言うと、あなたがさっきのした奴の先輩よ。………よく黒子をやってくれたわね」


「そうかい。で、それがどうした?」


「後輩の失敗を払うのが、先輩の務めでしょう?………だから後輩の敵討ちよ」


御坂美琴の額に紫電が走った。





286: 2011/05/05(木) 22:03:07.07 ID:ZahW1+no0



―――――――――――――――――――――――――


「後輩の失敗を払うのが、先輩の務めでしょう?………だから後輩の敵討ちよ」


御坂美琴の額に紫電が走った。



「申し訳ないけど……最初っから全力でいかせてもらうわよ!!」



美琴はポケットからコインを取り出し、上へ指で弾いた。

落ちてきたコインを前へ弾き、音速の三倍で撃ち出した。



いきなり超電磁砲を撃ってきたのだ。




292: 2011/05/06(金) 00:28:02.48 ID:OYR+Ps9L0

二人の距離は25m。

音速を越えるコインは、轟音と爆風と共に七花の顔面へと飛んできた。


「うおっ!」


七花は、美琴がコインを弾く前から直感で予測し、仰け反る。


鼻と顎先が熱で焦げたが、なんとか避けることができた。


しかし後からやってくる、轟音は耳を貫き、爆風は体を吹っ飛ばした。



七花はゴロゴロと10mほど転がった。受け身をとったので怪我はない。

とっさに体制を整える。


「…くっ」


焦げた鼻と顎がヒリヒリと痛い。

耳も爆音のせいでキーンと耳鳴りがし、三角器官がやられたのか、頭がくらくらする。



それでも美琴は超電磁砲を撃ってきた。



右手で一発ずつ撃ち、左手にはコインが二,三十枚握られている。

右手で一発撃てば、左手にあるコインを右手に装填して、また撃つ……。

この繰り返しだ。


光の剣は次々と七花へと襲い掛かってくる。



「……っ!!」


七花は超電磁砲こそは避けるが、後の轟音と爆風が厄介で、苦し紛れの避け方しかできない。


294: 2011/05/06(金) 00:51:18.86 ID:OYR+Ps9L0

それでも美琴よりも何十倍、経験を積んでいるだけはある。


例えば左右田右衛門左衛門との一戦、この世界の警備員が撃ってきた銃。

右衛門左衛門は仮面をしていてわからなかったが、撃つ者は必ず目標の撃つ部分に狙いを定めてから撃つ。


要は、撃つ瞬間に相手が見ている所が飛んでくるポイントだ。



銃の場合は銃口が向いている角度からでも、飛んでくるポイントだ。

美琴の場合は腕の角度。

彼女の場合は、この技は狙いが定めにくい技なのか、いつも腕がピンのまっすぐだ。

肩から指先の延長線……。それが彼女が狙っているポイントだ。



七花は二つのことを見て、美琴が狙っている所を事前に見極め、撃つ前に避け始める。

そうすると音速を超える超ハイスピードに飛んでくるコインが避けられる。………そういう寸法だ。



そして体と目が慣れて来たのか、だんだん超電磁砲とそれに伴う轟音爆風を完全に避け始めた。


七花は今、反復横跳びをする形で避けている。


これも超ハイスピードだ。残像が見える、七花が何人も見える。



幅は30mほどの広い空間でだ。




295: 2011/05/06(金) 01:06:20.87 ID:OYR+Ps9L0



「……くっそ!」


美琴は当たらなくなった自分の必殺技にだんだん苛立ちを覚えてきた。



二十発ほど撃った頃だろう。




七花は消えた。




びっくりしたように目を見開く美琴。


「――――――――!!!」


いや上に飛んだ。そして美琴の背後に回り込む。



「―――虚刀流 『牡丹』!」


意表を突いた七花の後方回し蹴りは美琴の脇腹に突き刺さる………はずだった。




美琴はニヤリと笑った。


「まってました!!」


美琴は待っていたのだ。この瞬間を、七花が接近してくるのを。


296: 2011/05/06(金) 01:27:44.30 ID:OYR+Ps9L0

美琴は前を向いたまま、地面に高電圧を流す。



美琴の周り4mほどの範囲で強い電流が走る。


「うああああああああああああああああああああ!!」


バリバリバリィ!!と何かが感電したような音が数秒した。



どさっと七花が膝から崩れ落ちる。



「…こんなもんか」


美琴は振り返らず、七花に語りかける。


「初春さんにあんたが今まで戦ってきた映像とデータを見させてもらったわ」


「……」


返事はない気絶しているようだ。


「で、あんたは今までずっと、遠距離から…例えば銃とか、さっきの私のとか。…それを丁寧に避けて、接近して近距離攻撃に持ち込み、仕留める」


美琴はつづけて。


「そこで私は接近してきたあんたを逆に電撃でカウンターをとって仕留める……。我ながらいい作戦だったわ」


「ほ~、なるほど。そこを狙われたわけだ」


「そうそう!………………は?」



298: 2011/05/06(金) 01:34:08.04 ID:OYR+Ps9L0

「いや~、しかしびっくりしたぜ。なんせ、いきなり光みたいのを見たと思ったら、急に体が痺れて動けなくなって倒れるなんて、初めてだからでだよ」

今度はこっちがビックリして、美琴は振り返る。

そこには地面に胡坐をかき、感心した顔でこっちを見上げる七花がいた。



302: 2011/05/06(金) 22:44:41.33 ID:OYR+Ps9L0

七花は立ち上がって、美琴を見下ろす。


「ここに来て初めてだよ。俺に膝をつかせたのは」


七花は笑う。




「あんたは他の奴らとは違うようだな。………あんただったら、ちょっと本気を出してもよさそうだ」




「―――――!?」



七花の台詞は軽いものだった。


しかし、美琴の顔からドッと脂汗が滝のように流れ出した。


なぜなら


(…………何あれ!?急に眼の色が変わった!?)


七花の眼は、先程とは別物。


簡単に言えば

その眼は鋭い。



例えるなら

刀の如し。



美琴からすれば、まるで……。


(まるで、刀を首に当てられているような感じ……!!)


美琴の顔は青い。背中は汗で気持ち悪い。足が動かず、ガクガクと振るえる。



305: 2011/05/06(金) 23:53:18.74 ID:OYR+Ps9L0

足が動かない。まるで足の裏に根っこが生えているようだ。




「今までの奴らは、弱くってよ。俺の相手にはならなかったんだよ。まぁ骨のある奴はいたんだがな」


七花は構える。


「お前はなかなか強いからな。少しは楽しめるかもな」


七花は相変わらずお遊び感覚だった。



しかし一方の美琴は


(な、何かくる!!……でも足が…動かない!!…………動け!動け!動けぇ!)



「おい、大丈夫か?顔色悪いぞ?」


「―――はっ。…………だ、大丈夫よ!いつでもかかってらっしゃい!」


と言うもの、相変わらず顔色が悪い。


「んじゃ、お構いなく………。―――虚刀流 『野苺』!!」


七花は美琴の腹部に両肘による連続打突を喰らわした。


美琴は30m向こうのコンテナまで吹っ飛び、激突した。


しかし



「浅いな…」


七花は技が上手く入らず、納得がいかない顔をする。


306: 2011/05/07(土) 00:10:46.41 ID:gJJkvg4N0


一方、吹っ飛ばされた美琴はコンテナに張り付いていた。


コンテナにピリピリッと電流が走っている。


どうやら、美琴は七花の技を喰らう前に、磁気の力で後ろのコンテナへと飛んで、威力を頃していた。


がしかし


「…!!……うぷっ!…うぇぇえええええ!!」


ボタボタボタッと地面へ嘔吐した。


完全には威力を頃していなかったら、間違いなく氏んでいた。



「はぁはぁはぁ」


美琴は氏の恐怖というものを感じる。

改めて今、戦っている相手と今まで戦ってきた相手とは次元が違うことを理解した。


「おい、いつまでそこにいるつもりだ?」


七花はもう、美琴の目の前にいた。



「……ひっ…!」


美琴はとっさにさっきと同じ要領で別のコンテナへと全力で飛ぶ。


「―――虚刀流 『桜桃』!」


「…きゃ…!」


今度はギリギリでかわすことができたが、前髪が少し切れた。



美琴は40m近く飛び、コンテナに足で着地した。


307: 2011/05/07(土) 01:14:15.28 ID:gJJkvg4N0

ビリビリと足に振動が伝わる。


(……速い。これじゃあいつ技を喰らってもおかしくはない!)


焦りと恐怖が、美琴の脳をかき回す。

すぐにコンテナから降りる。


「はぁはぁはぁ」


息が切れる。怖くて腹が捻じ切れそうだそうだ。


(とりあえず私の周囲に100万Vの電圧を常に周囲2mに展開!)


美琴の髪は逆立ち、周りの地面の小石たちは幾つか浮かび、周囲に電気の光が美琴を中心にして広がっているのがわかる。


(そして、接近戦は氏ぬ!常に遠・中距離で攻撃して、すぐに逃げる!!)




美琴は後ろにあるコンテナ…先程では着地に利用していたコンテナを、磁気の力で七花に放り投げた。


因みにコンテナは四方4,5mある巨大サイズだ。




コンテナは周囲に砂と砂利を巻き上げてながら転がりながら七花がいる方へと飛んでくる。


しかし、それを七花は右に避ける。


美琴はそれを読んでいたのか、今度は地面のレールを次々と引っこ抜き、投げつけた。


ざっと30本。一本一本が人間を串刺しにできる、巨大な凶器だ。


それでも七花は丁寧に避ける、また避ける。


何本か避け、美琴に隙ができるのを確認した七花は、走りだし、美琴の懐へと入ろうとする。



しかし美琴は七花が走る寸前に、また別のコンテナへ飛んで逃げる。


まさしく、ヒット&ウェイだ。

313: 2011/05/07(土) 12:50:47.63 ID:gJJkvg4N0

さて続きです。頑張って書きます。


―――――――――――――――――――



「おい、逃げるのかよ!!」


七花は非常に面白くない顔をした。


(……当ったり前よ。あんなの一発でも喰らったら即氏するわ!逃げて当然!!)


美琴はコンテナへと着地して、そのままコンテナを磁力で投げた。


「でも……黙って逃げるなんて……やってたまるもんですか!!」


宙に浮いた美琴は地面に着地し、今度は地中にある大量の砂鉄を取り出す。

それを3,40mの長さのある鞭に変化させて、七花にへと振るう。


美琴が振るった砂鉄の鞭は小刻みに振動する、振動刃である。


間にあったコンテナや電灯などの障害物はなんでも真っ二つにして、七花を襲う。


(この技を使ったのは、あの馬鹿ぐらいよ!…………これで終われ!!)



314: 2011/05/07(土) 14:55:09.66 ID:gJJkvg4N0

七花は美琴が投げたコンテナを左に避ける。


すると七花の目の前に、美琴が振るった鞭が、コンテナや街灯を切断しながら、こっちに向かってきた。


「うおっ!すっげ!」


七花は大袈裟に驚きながらも、鞭を避ける。

しかし、美琴は鞭をうねらせる。


グネグネと蠢く鞭は周囲のコンテナも地面も関係無く、斬っていく。


ランダムに動くその動きには、さすがの七花にも避けるのが難しい。


頬や脇腹、太腿…などに切り傷を負った。

それでも致命傷は避けている。



それを見た美琴は右手に持っていた鞭を左手に持ち替えた。


鞭を操りながら、磁力の力で近くにあったレールを持ち上げ、自分の目の前に持ってきた。


「……見なさい、さっきまでの小さなコインとは桁が違うわよ」


美琴は右手で拳を作り、を大きく振りかぶる。


「これが、私のぉ!!」


そして、レールを思いっきりぶん殴った。




「……全力……だぁああああああああ!!!」




いや、レールで超電磁砲を撃ったのだ。







先程のコインとは威力とは桁が違う超電磁砲は七花に真っ直ぐ進み、七花諸共80m向こうの風力発電の風車の柱に激突した。

315: 2011/05/07(土) 15:04:35.51 ID:gJJkvg4N0


ギギギギギ…………と嫌な音がする。


風車はド派手な音をたてて、崩れ落ちた。


風車の羽は、美琴の方へと落ちてきたが、ギリギリ彼女には当たらなかった。



「ぜぃ……ぜぃ……ぜぃ……どう…よ。…これで、……参った…か……」



美琴は地面に四つん這いになり、辛そうに呼吸する。


勝利は確信した。





「………何なのよ、もう……」




鑢七花の鋭い殺気は、今だに彼女を捉えていた。


316: 2011/05/07(土) 15:25:16.98 ID:gJJkvg4N0

砂煙が立ち込める、崩れた風車の根本。

そこに鑢七花はいた。


「~~~~~ぷはぁ!!」


正直、危なかった。


「おお、おお、すげぇすげぇ!ここは本当に面白い街だな!」


しかし心底楽しそうの表情だった。



実は七花は美琴の撃った超電磁砲を、虚刀流一の奥義 『鏡花水月』で威力を頃した。

しかし超電磁砲の威力は凄まじく、七花は腕を交差させて技を受けた。

そして風車に激突する寸前に流して、地面に着地。

風車の破片は大きいのは、いくつか落ちてきたが、何とか防いだ。


よって、鑢七花は美琴の必殺技である、超電磁砲を防いだのである。



(それじゃ、こっちも行きますか)


七花は走り出す。



今度はこっちの番だ。




318: 2011/05/07(土) 15:59:42.10 ID:gJJkvg4N0

美琴はこっちに走ってくる七花を見た。




殺気が…ヤツの目線がこっちに向いている。



何のために、こっちに向かってくる?何のためにそんな眼で見てくる?



私を頃しにだ。




(や、や、殺られる!…このままいけば、絶対に殺られる!!)



こう美琴の本能は悟った。



「う。う、ぅぅぅううううああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」




殺らなければ、殺られる。




美琴は本能に従い、ガラ武者に、無我夢中に、無意識に電撃を風車に、七花に浴びせた。

まさしく嵐。

震える手でポケットの中のコインを取り出し、超電磁砲を撃ちまくる。

手が震えて、いくつかコインを落としたが、それには気づかずに撃ちまくる。

すべてのコインを撃ち終わると、今度は地面から砂鉄を取り出し、砂鉄の嵐を七花に浴びせる。

砂嵐は七花を押し潰す。

続けて、周囲、いや操車場にある全てレールを操作し、七花を串刺しにせよと襲わせる。

何百本ものレールは七花の周りに華が咲いたように刺さった。

それでも美琴は手を休めない。

何tもするコンテナを磁力で操作し、七花にぶつけた。

その数、計6個。七花を囲み、挟んで潰すように襲う。


そして止めに、10億Vの雷撃を七花に落とした。


322: 2011/05/07(土) 16:34:55.28 ID:gJJkvg4N0

「ぜぇーぜぇーぜぇー………。もうダメ………」


美琴の膝がガクガクッと笑っている。


美琴はドサッとうつ伏せ倒れた。


「でも、これなら……もう…終わった…」


周囲に展開していた電撃も切り。この戦いは終了したと思った時。


「まだ終わってねぇぞ」


「」


美琴は唖然とした。



美琴は跳ね起きた。

まだ自分にはこんな力が残っていたかと自分でも驚いてしまった。

いや、そんな余所事など考えている間など無い。


問題はなぜ鑢七花は生きている?


超電磁砲は仕方がない、初めの方で散々避けられた。

が、それ以外はどうだ?

避けれる隙など無かったはず…。なぜ?


323: 2011/05/07(土) 17:04:09.76 ID:gJJkvg4N0

「いや~、本当に危なかったぜ。あの光線みたいのとか、鉄の棒とか箱とかは避けきれたけどよ。最初と最後の雷みたいのはさすがに応えたぜ」


「」


「まぁ、しばらくは両腕は使えないけどな」

七花の両腕はプルプルと震えていた。


美琴は開いた口が塞がらない。

七花は最初と最後の、美琴の放った電撃以外はすべて避け、防いだのだ。


そもそも防いだとしても、それだけですむものか?

五体満足なのはおかしい。おかしすぎる。


「いや、本当にこの街は面白い…。お前も絹旗も、えっとお前の後輩の…黒子だっけか…?みんな本当に面白い奴らばっかりだよ」

七花は楽しそうに笑う。


一方、美琴は涙目で七花を見ている。


「……あ、あんた、一体…何者、なの?」



「俺か?、俺は虚刀流七代目当主 鑢七花ってんだ」


「いや、そうじゃなくて。どうして生きているのよ!?」


「いや、避けたり防いだりすれば氏なねぇだろ、普通」


「な…」


「……まぁ、俺をここまでボコボコにしたのは、左右田右衛門左衛門とお前ぐらいか。いや、本当にすげぇよ、お前」


「……」

325: 2011/05/07(土) 17:44:58.87 ID:gJJkvg4N0



七花は虚刀流 五の構え 『夜顔』の構えをとる。


「じゃあ、今度はこっちの番だな。実はこっちの世界に来てから、ずっと戦いっぱなしで、もう俺はクタクタなんだ。全力は出せないが、今はこれが限界だ」


「………くっ」


「―――虚刀流五の奥義 『飛花落葉』!」


七花の掌底は美琴の体に………届かなかった。




七花の掌底は美琴の頭上の少し上を通過した。

「…な?」

「え…?」


二人とも困惑する。


「な、なんだ?急に、クラクラす…る…」


七花はフラフラと、足がおぼつか無い。

七花はバランスを取ろうとするも、どうしても千鳥足になってしまう。


「…おっと」

七花は足がもつれて転びそうになるが、なんとか持ちこたえた。


しかしその時、美琴に背中を向ける形になってしまった。


(……何が何だか知らないけど)


「隙あり!!」

美琴は七花の背中に飛びついた。

「しまった!」

「これで終わりよ!!」



美琴は最後の力を振り絞り、七花に直接、電撃を流した。



巨大な電気の玉が七花を包んで、爆発した。

327: 2011/05/07(土) 18:16:49.88 ID:gJJkvg4N0



爆発が起こった、数分後。


もともと、ここは操車場だったここは、今ではただの更地、いや焼野原になった。


その中心には、御坂美琴と鑢七花が覆いかぶさるように倒れていた。


七花は電気ショックで、美琴は電池切れで

それぞれ気を失っていた。氏んではいない。



そこへ、サイレンサー付きのライフル銃を肩に担いだ少女の影が現れた。

一人ではない。二人、三人、四人。


四人とも同じ格好。

………いや同じ顔で

……いやそうでもない、そこに倒れている少女 御坂美琴と同じ顔をした少女たちが、四人肩を並べて現れた。

学園都市最強の七人の一人、御坂美琴のクローン、妹達である。


その中の一人、ミサカ10032号――とある少年から御坂妹と呼ばれている――は他の三人に指示をした。


「10039号と19090号はお姉さまと目標の怪我の応急措置。13577号は冥土返しに連絡をしてください、とミサカ10032号はグッタリしたお姉さまを担ぎながら指示します」

「了解、とミサカ10039号は10032号からお姉さまを受け取ります」

「こちらも了解、と19090号はこの大きな男の人は特に怪我がひどいので、早急に作業に取り掛かります、と重いので10032号に体を起こすのに手を貸してほしいと目で訴えながら、この巨体を起こそうとします。…………重ぃ…」

「了解です、と10032号に無視された19090号の重労働を横目で見ながら、一番楽な作業である、冥土返しの携帯番号に電話をかけます」


妹達はそれぞれの作業に取り掛かる。


328: 2011/05/07(土) 18:40:18.89 ID:gJJkvg4N0

「はい……はい………。わかりました、とミサカは頷きます」

ミサカ13577号は携帯電話を持ち、冥土返しと電話をしている。

「それじゃあ切りますよ、とミサカはあなたに確認をとります」

ミサカ13577号は電話を切った。


「冥土返しは救急車を手配してくれるようです、とミサカは他のミサカに報告します」


「わかりました、とりあえず二人を道路に近い場所へと移動させましょう、とミサカ10032号は提案します」

「わかりました、とミサカ10039号はお姉さまのを背中に負ぶります」

「こちらも…わかり…ました…と、ミサカ19090号はこの巨体を引きずりながら……前へと…進みます…。誰か助けて……」


ファンファンファンと遠くからサイレンの音が聞こえる。


「む、まずいです。警備員がさっきの爆発のせいで、こっちにやってきました、とミサカ10032号は一目散に逃げようと、他のミサカに提案します」

「賛成です、とミサカ10039号はさっさと逃げます」

「とりあえず私は救急車が来る場所を案内します、とミサカ13577号は駆け足で逃げます」

「それでは行きましょう、とミサカ10032号は何も持たず、何もせず、ただダッシュで逃げます」

「ちょ…まって…って…ミサカ19090号は……助け…を…」


ミサカ19090号の願いを他のミサカは無視し、一目散に逃げる。


「ええい、もうこの人だけ置いて行ってやる!!とミサカ19090号はこの人を置いて他のミサカを追います。まって~!」




329: 2011/05/07(土) 19:01:24.79 ID:gJJkvg4N0


――――――――――――――


「またここも派手にやってくれたじゃん」


「今度は焼野原ですか…」


黄泉川と鉄装は現場に着いた感想はそれだった。


かつて操車場だった場所は一面焼野原になっていた。


黄泉川はここで爆発が起こったと通報があり、ここへ駆けつけた。


美濃谷と登条はビルで倒れていた白井黒子の意識が回復したらしいので、彼女が入院している病院へ行き、事情聴取に行った。

因みに彼女は心身ともに大丈夫らしい。




「……ん…?」

「どうしたんですか?黄泉川先生」

「…あれは!」

「黄泉川先生?」

「鉄装、救護班を呼べ、それと救急車だ。すぐに手配しろ」

「へ?……あ、はい、わかりました」


鉄装は救護班を呼ぶため、去って行った。



それを見て、黄泉川は走りだした。


「はぁはぁ……」

黄泉川は立ち止まった。


そこには鑢七花が倒れていた。


330: 2011/05/07(土) 19:18:35.04 ID:gJJkvg4N0

黄泉川は二つ手錠を取り出すと、絶対に逃げないように手と足首の二ヵ所に掛けた。


「これでよし、もう逃げられないじゃん、鑢七花」



「黄泉川先生ー!!」


遠くから鉄装が担架を持ってきた救護班の若い男性二人を引き連れて走ってきた。


「おお、ここじゃん」


「黄泉川先生、なにがあったん…って、鑢くん!?…どうしちゃったんですか!?」


「氏んではいないじゃん、気を失っているだけのようじゃん」


「そうですか、よかった~」


「何安心してるんだ鉄装、現場検証いってこい」


「え?あ、はい!」


「じゃあ、救護班よろしく」


「「はい、わかりました」」


救護班の二人は七花の巨体を重そうに担架に乗せ、救急車が待っている所まで運び出した。




黄泉川は七花が倒れていた場所に一人残った。

(あいつが倒されてた、と言うことは相手は相当強いヤツと予想できるじゃん。ここにあいつを引きずった跡があるから、きっとあいつを倒した後、どこかに運ぼうとした…)

「でも、いったい誰が?」

335: 2011/05/07(土) 22:47:43.53 ID:gJJkvg4N0


「ここはどこ!?」


御坂美琴はとある病院で目を覚ました。


「ここはいつもの病院です、とミサカはお姉さまに説明します」


「あんたは?」


「検体番号10032号、御坂妹です、とミサカはお姉さまに自分の身分を説明します」


「ああ、あんたか」


「私たちはあの後、救急車を呼び、ここの病院まで送りましたと私が買ってきた花を花瓶に活けながらお姉さまに懇切丁寧に説明します」


御坂妹は活けた花瓶を美琴のベッドの横の棚に置いた。


「私はあの時は病院に居たのですが、散歩中のミサカ19090号が偶然にもあなた達が戦っているのを目撃し、あまりにも不利な戦況だったので、MNWを通じて応援を呼び、お姉さまを助けに行った次第です、とミサカはとっても不甲斐ないお姉さまに説明します」


「なにその嫌な言い草…。で、アイツはどうしたの?」


「一緒にこの病院に連れてくる予定でしたが、救急車にまで運ぶ前に警備員が来てしまったので、置いてきました。今頃は留置所でしょう、とミサカは近くにあった椅子に座ります」


「まあ、なにがどうであれ、最後の方は意味が分からなかったし、相打ちっぽい終わり方だったけど、勝ちは勝ちね」


「…?」

御坂妹は首を少し傾げた。

「ミサカはお姉さまの言葉に誤りがあることを指摘します」


「はぁ?」


「まず、あの勝負、お姉さまの負けです、とミサカは勝敗の結果を言いつつ、あんだけボコボコにされて、しかも止めを刺されかけてもなお、勝ったとほざくお姉さまにドン引きしました」


「な…!」


「実はお姉さまが止めを刺されそうになった時、彼の後ろから、この冥土返し直伝の特性麻酔銃で撃っていました、とミサカはベッドの下から実際に使った銃を取り出し、お姉さまに自慢しつつ、あのお姉さまのビビり顔で思い出し笑いしながら説明します。プププッ」


「~~~!!」

341: 2011/05/07(土) 23:33:43.45 ID:gJJkvg4N0
「それと、最後の爆発のあと、実はお姉さまはダウンしていましたが、相手の方は…実は健在でした。彼は気を失っていたお姉さまに止めを刺そうとしていたところを、またこの銃で撃って仕留めました、とミサカはお姉さまの勘違いっぷりにドン引きをと通り越して呆れ返ります」


「~~~~~~~!!」


「……? どうしたのですか、お姉さま?」


「あんたねぇ、さっきから黙ってきいてりゃあ、いけしゃしゃあと言いやがってぇ!!」

美琴の前髪から紫電が走った。

御坂妹に電撃を浴びせようとするが

「~~~ッッ痛っ!!」


「ダメですよ、無理しては。まだまだあの時のダメージが残っているのですから、と今日は何も言っても大丈夫だと確信し、ほくそ笑みます」


「~~~!!」


「まあ、どうであれ、お姉さまが無事でよかったです。もし何かあったら、あの人が悲しみますから……とミサカはお姉さまの思い人を思い出だし、しんみりとします」


「な、だ、誰があんな馬鹿!」


「私は誰とは言ってませんが?、とミサカはニヤニヤしながら返します」



「~~~~!!!………まあいいわ。とにかく、アイツと話があるの、どこの拘置所か教えてくれる?」


「だめです。お姉さまは今、絶対安静です、とミサカは何のために学校にも行かずに寝ているのかわからないのか、この人はと心の中で文句を言いながら、お姉さまを止めます」


「ねえ…、今何て言ったの?」


「あ…とミサカはいけない口を抑えます」


「私、何日寝てたの?」

343: 2011/05/08(日) 00:06:51.28 ID:W+yOOgd/0

「丸一日です、最低でもあと一日は安静です、とミサカはお姉さまの体を抑えます」


「ちょっと、学校には言ってあるんでようね、あと寮にも!」


「なに言っているんですか、そんなことをしたらお姉さまに甚大な損失になります、とミサカはお姉さまに忠告します」


「なにが言いたいのよ!?」


「はぁ、とミサカは溜息をしながら電卓をポケットから出します」


「な…?」


「いいですか?まず、お姉さまが投げたり飛ばしたり斬ったりした、あのコンテナ…実は学園都市が外の企業に販売するはずだった、最新の精密機械が入ってました。調べてみると、一機三千万するほどのが、ざっと三十機です、とミサカは三千×三十の数字を電卓に打ち込みます」


美琴がカチーンと固まった。


「次にお姉さまが引っこ抜いて、飛ばしたレール…操車場にあった五千本すべてのレールを引っこ抜くとは…いろんな意味ですごいですね…そのレールの殆どがもう使い物にはならないようなので、一から作り直しだそうです。一本のレールは大体八万弱ですので、八万×五千っと…とミサカは電卓を叩きます」


美琴の顔がサーっと青ざめる。


「あと最後にお姉さまが焼野原にした操車場の修繕費は大体一億…いや二億くらいですかね、とミサカはその数字を電卓に打ち込みます」


美琴の目には、光るものがあった。


「全部足すと………ひぃ、ふぅ、みぃ、よ、いつ、むぅ、なな、や……。こんな数字になりました、とミサカは滅多に見られない数字に興奮しつつ、電卓をお姉さまに見せます」


「…………………………………………………」


「驚いて声も出ないですか?とミサカはお姉さま真っ青な顔を覗き込みます」



346: 2011/05/08(日) 00:48:32.08 ID:W+yOOgd/0

「大丈夫ですか?とミサカはお姉さまの顔色を窺います」


「………どうしたらいいの?わたし……いきなり借金地獄なんて、どこの漫画の展開よ…(泣)」


「大丈夫です。私たちはその問題への奇策を練ってきました、とミサカは胸を張って言います」


「え…?あるの?解決策が?」


「ええ、まず、『あの操車場にいたのは、あの相手の方だけ。お姉さまはいなかった』という状況を作ります、とミサカは奇策の内容を説明します」


「うんうん」


「ちょうど、ミサカ20000号が第四学区の喫茶店でお茶をしていましたので、『お姉さまはそこでお茶をしていた』ということにしておきます、と言いつつ、あの変態女朗の顔を思い出します」


「え?今何て言った?」


「しかし、お姉さまがここで入院されているので、学校には行けません。そこで、お姉さまはミサカ19090号になってもらいます」


「え?じゃあ…」





「はい、今お姉さまの学校にいるのは、ミサカ19090号です」





「」



348: 2011/05/08(日) 01:18:12.52 ID:W+yOOgd/0

「ちょ、ちょっとま待って?じゃあ、今学校にいるのは妹達?」


「はい、少し揉めましたが、一番正常な感情を持っているミサカを選抜しました。まぁ、結局はあの相手の方を運んでこなかった罰なんですけどね、と決った瞬間の19090号の顔で今でも思い出し笑いできます。フフフ」


(うわ~、まだあったことないけど、可哀そう…)



「さて、お姉さま。私たちがこんなに苦労して助けてあげたんです。何か見返りが欲しいです、とミサカはお姉さまに詰め寄ります」


「え?ちょ、ちょっと待って、何?……え?ちょっと、まっ――――――」







今日はここで終わりです。かなり無茶ブリでしたけれども、読んでくれて、ありがとうございました。

明日も書きます。

350: 2011/05/08(日) 08:09:16.42 ID:7iNTK88DO

たださすがにここまで展開上仕方ないとは言え禁書キャラがDQNすぎない?

次回:鑢七花「・・・どこだ?ここ」麦野「学園都市よ!」【中編】

引用: 鑢七花「・・・どこだ?ここ」麦野「学園都市よ!」