8: 2011/01/21(金) 20:46:45.56 ID:dBFBfQv00

9: 2011/01/21(金) 20:48:31.41 ID:dBFBfQv00
( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)シリーズ

( ^ω^)「はふー・・・ ズズー」

('(゚∀゚∩「どうだい、味は?」

( ^ω^)「おいしいですお。胃が落ち着きますお」


朝食として、芋と米をたっぷりの水で煮たものを食べる。


タカオカ亭の味とは比較するべくも無いが、病人食でもあり、
また日頃食べている野草などに比べれば数段美味い。

優しい、落ち着いた味わいだ。

ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書 (デジタル版SE-MOOK)
11: 2011/01/21(金) 20:51:23.46 ID:dBFBfQv00


('(゚∀゚∩「大分良くなったね、脈間隔も安定してるし、顔色もいい。
      これなら、もう退院できるよ。動いても問題ないよ」

( ^ω^)「おかげさまで、この通りですお」

('(゚∀゚∩「ブーン君、あまり無茶はしないようにね」

('(゚∀゚∩「いくら君が腕のたつ冒険者でも、未知の恐ろしさを秘めた魔物はいくらでもいる」

('(゚∀゚∩「相手の素性が解らなければ、逃げるのもまた方法の一つだよ」

( ^ω^)「肝に銘じますお」

('(゚∀゚∩「じゃあお大事にね!」

( ^ω^)「ありがとうございましたお」


12: 2011/01/21(金) 20:54:12.64 ID:dBFBfQv00


ブーンは退院した。

礼に、金銭と、旅先でとった薬草や動物の毛皮を渡した。
特に薬草は、珍種で質のいいものだったらしく、喜ばれた。


外に出ると、いっそう温泉の匂いを強く感じる。



( ^ω^)「はぁ・・・いい香りだお」

( ^ω^)「まずは・・・宿屋だお」


ブーンは、宿の確保をする事にした。

村人に宿屋の場所を尋ね、そこへ向かう。


13: 2011/01/21(金) 20:56:29.56 ID:dBFBfQv00


小さな、のどかな村だった。


近くの森の、鳥の囁き。

村の人々の、質素で落ち着いた身なり。

老人をいたわる、若者たち。

香る温泉の芳香。


ラダトームのように大きくなく、ガライのような喧噪こそ無いが、
心が安らぐ土地であった。


15: 2011/01/21(金) 20:59:17.56 ID:dBFBfQv00

( ^ω^)「ここかお」


宿屋をみつけ、入る。

受付の女性に声をかけられる。


从'ー'从「はーい!お客さん、旅人?お一人ですねぇ」

( ^ω^)「そうですお」

从'ー'从「何泊されます?」

( ^ω^)「うーん・・・まだ解らないけど、ひょっとしたら長い宿泊になるかもしれないお」

( ^ω^)(ロトの勇者の情報を集めるのに、どれだけかかるか解らないお)

从'ー'从「わっかりましたぁ~~。では、この名簿に押印か名前を」

( ^ω^)カキ・・・カ・・・キ・・・

从'ー'从「お客さん、長い宿泊になりますと、先に前金でいくらか代金を頂く事になってます」

从'ー'从「ので、とりあえず、5泊分の料金を・・・」

17: 2011/01/21(金) 21:02:07.11 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)「おっおっ。いくらだお?」

从'ー'从「60Gになりますぅ~」


言われた料金を支払う。

そろそろ、路銀も節約しなければ。

ガライでの大食が、ここにきて響いてきた。
・・・それでも、タカオカ亭では、かなり安くオマケしてもらっていたのだが。

だが、あの味わいを前にして、小食にとどめる事などできない。

あれでよかったのだと、ブーンは自分をなかば強引に納得させた。


後で、道具屋にいって旅先で手にいれた不要なものを売ってしまおう。


19: 2011/01/21(金) 21:04:13.44 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)「それにしても、やっぱりラダトームより宿賃が高いお」

( ^ω^)「まぁ・・・あそこは人の多い町だし、流れの旅人も多いから」

( ^ω^)「少ない宿賃でもやっていけるのだけど」

( ^ω^)「ここは観光地だし、割高なのかお」


从'ー'从「お客様、ご存知とは思いますが、この村は温泉が大変有名ですぅ」

从'ー'从「ぜひぜひ、浸かっていってくださいねぇ」

( ^ω^)「もちろんだお!ありがとうございますお」


21: 2011/01/21(金) 21:07:30.09 ID:dBFBfQv00


('A`)「ただいま」

从'ー'从「あっ!ドクオ様!」

( ^ω^)「ドクオ!」

( ^ω^)「やっぱりドクオもこの宿に泊まっていたのかお」

('A`)「ああ」

('A`)「体の具合はどうかな?」


ブーンは体を振り、元気なそぶりを見せた。


( ^ω^)「おかげさまで、この通りだお」

('A`)「それは、良かった」


23: 2011/01/21(金) 21:10:18.99 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)「これもドクオ・・・

从'ー'从「ドクオ様!お召し物の洗濯は終わっておりますぅ」

从'ー'从「それと、ご希望のお食事も、いつでもおだしできます」

从'ー'从「何かご用命があれば~、なんなりとお申し付けください!」

从'ー'从「と、うちの旦那様がいっておりましたぁ」


( ;^ω^)「ドクオ、超VIP待遇だお。何かあったのかお?」

('A`)「・・・さぁね」



ブーンの手続きを済ませた後、二人は外にでる。


26: 2011/01/21(金) 21:13:05.58 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)「ドクオは、この後どうするんだお」

('A`)「俺は、とある人物の家へ用がある。そこへ寄る」

( ^ω^)「そうかお・・・じゃあブーンは・・・」


この村で、ロトの勇者についての、情報を集めよう。



そこで、また後ほど会う約束を取り交わし、二人は別れた。


28: 2011/01/21(金) 21:15:26.22 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)


道具屋にいって、手に余る品を売り、換金する。
路銀がいくらか潤う。


今の自分の装備にも、不安を覚える。
武具屋へ行き、品定めをする事にした。


小さな武具屋だった。

武具屋には、自分の他にも客がいた。


29: 2011/01/21(金) 21:18:08.86 ID:dBFBfQv00


( ・∀・)「ふーむ・・・ この店にも、伝説のつるぎは、置いていないようだな。
      やはり、店屋では手に入らないのだろうか・・・」

( ^ω^)「・・・?」

( ^ω^)「伝説の武器?なんですお?それ」

( ・∀・)「・・・なんだ君は。薄汚い格好をして。君も冒険者かい?」

( ^ω^)(薄汚い・・・)「ええ、まぁ・・・」

( ・∀・)「この地に舞い降りた伝説のロトの勇者が
      持っていたと言われる、伝説の武器さ」

( ・∀・)「人手にわたったと聞いていたが・・・
      やはりこんなへんぴな村にある訳は無いな。来て損をした」

( ^ω^)「・・・あなたも冒険者ですかお?」


30: 2011/01/21(金) 21:21:05.10 ID:dBFBfQv00


( ・∀・)「ふ。まぁ、そうだ」キラン

( ^ω^)(キザな奴だお)「・・・あなたも、竜王討伐の旅ですかお」

( ・∀・)「いや、俺は違う」

( ^ω^)「お」

( ・∀・)「・・・君は、竜王を退治するつもりかい?その為の旅を?」

( ^ω^)「そうだお」



( ・∀・)「無謀だね。正気の沙汰じゃない」

( ^ω^)「!」


31: 2011/01/21(金) 21:23:28.64 ID:dBFBfQv00


( ・∀・)「あの伝説の勇者の血の者でさえ、失脚に終わったんだ」

( ・∀・)「君や俺みたいな凡百の人間が、そんな大それた事をなし得るものか」

( ・∀・)「まったく、命知らずの多い事やら」

( ^ω^)「・・・そんなことないお」

( ・∀・)「ん?」

( ^ω^)「例えロトの勇者が駄目でも・・・いつかきっと」

( ^ω^)「いつかきっと、竜王を倒す者が出てくるはずだお」

( ^ω^)「それが自分じゃないとしても・・・」

( ・∀・)「ふぅん」


32: 2011/01/21(金) 21:26:08.13 ID:dBFBfQv00


( ・∀・)「なぁ君。なぜ、ロトの勇者は捕われているか」

( ・∀・)「その命を絶たれず、未だ幽閉され続けている。
      その、理由を知っているかい?」

( ^ω^)「・・・」

( ^ω^)「わからないお」

( ・∀・)「諸説あるが・・・どうもこういう話らしい」


33: 2011/01/21(金) 21:29:02.05 ID:dBFBfQv00


( ・∀・)「伝説のロトの勇者の一族は、この世界の調律者・・・
      “精霊ルビス”の加護の下にある」

( ・∀・)「そしてその加護のもと、彼らはその命が、
      邪悪によって断たれる、断たれようとしたとき・・・」

( ・∀・)「奇跡の力が発現し、再びこの大地のどこかで
      蘇生するという言い伝えがあるんだ」

( ;^ω^)「蘇生・・・?」

( ;^ω^)「そんな馬鹿なお」

( ・∀・)「そう。馬鹿な話だ」


37: 2011/01/21(金) 21:33:20.15 ID:dBFBfQv00


( ・∀・)「だが、竜王はそれを恐れた」

( ・∀・)「そんな“万が一”を考え、一切の可能性すら許さず」

( ・∀・)「あえて勇者の命をとらず、生かして飼い頃しにすると決めた」

( ・∀・)「歯向かう者への見せしめとして・・・拷問をし続けてね」

( ;^ω^)(・・・ゴクリ)

( ・∀・)「竜王は、狡猾だ。狡猾で、残忍だ」

( ・∀・)「俺達なんかが手向かえば、絶対に殺される。そんなのは目に見えている事だ」

( ・∀・)「俺は、そんな無謀な挑戦はしないんだ」

( ^ω^)「・・・」


40: 2011/01/21(金) 21:35:22.44 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)「・・・さっき、伝説の武器を探していましたお」

( ^ω^)「あれは、竜王を倒す為のものでは?」

( ・∀・)「ああ・・・あれは、まぁ一種のコレクター精神と・・・」

( ・∀・)「それほど凄い武器なら、自分の身を守る力になる」

( ・∀・)「この世界で利口に生きるコツは、
      自分自身だけを守れる力を身につけることだ」

( ・∀・)「他人がどうかなんて考えていたら・・・キリがない」

( ・∀・)「それに、伝説の武器なんて持っていたら、女性にモテるじゃないか」キラリ

( ^ω^)(ウゼェ・・・)


42: 2011/01/21(金) 21:38:23.00 ID:dBFBfQv00


( ・∀・)「まぁ、そういう訳だ。せいぜい、君は世界の平和の為に頑張ってくれたまえ」

( ・∀・)「ハハハハハ・・・」

( ・∀・)「さて・・・ぱふぱふでもいくか」スタスタ


そういう言い捨てると、戦士風の男は、武具屋を出て行った。


( ^ω^)「・・・・・・」


44: 2011/01/21(金) 21:41:07.76 ID:dBFBfQv00

ブーンは、自分のもつ、鉄の盾を見た。
それは、あの岩山の修行のときに、洞窟の中で見つけたものだった。

その盾の内側には、こう傷が彫り込まれてあった。



『 戦士、クックル――――――ここに眠る。 後の勇士に、希望を託す。 』



( ^ω^)(・・・・・・)


おそらく、これの前の持ち主が、氏の寸前に刻み付けたのだろう。

ブーンは、これを見たとき、この盾を持ち帰ろうと決めた。



( ^ω^)「恐ろしい旅でも・・・」

( ^ω^)「ブーンはやるお」


ブーンは、戦いの中で薄汚くなった装備を、変える事にした。

45: 2011/01/21(金) 21:45:51.42 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)


その後、食料品や薬草、包帯などの医療品、刃物の研石などの
必需品を買いこむ。


先の宿屋では、衣料の洗濯も取り扱っていたので、
旅でボロボロに汚れた服等も、預けた。

宿屋の娘は、ずいぶんおっとりした娘だったが、
任せて大丈夫だろうか。湯でしっかりと消毒もしてほしい。


47: 2011/01/21(金) 21:48:20.67 ID:dBFBfQv00


そして、ロトの勇者の情報を集め出す。
通りすがる人や、農作業などしている人を捕まえ、尋ねる。


( ^ω^)「すいませんお。ロトの勇者が、この村に立ち寄ったという話を聞きましたお。
      彼について、知っている事があれば、ぜひ教えて頂きたいですお」






49: 2011/01/21(金) 21:51:34.49 ID:dBFBfQv00



('A`)「・・・・・・」


ドクオは、あらまきの家にいた。

そこで、大量の書に、目を通している。



('A`)(・・・・・・)

('A`)(・・・やはり)

('A`)(この歴史書によると、ロトの勇者がこの地に降り立ったとき)

('A`)(いくつもの呪文を、このアレフガルドへ伝来させた――――――)

('A`)(我々アレフガルドの人間は、それらを脈々と受け継いできた)

('A`)(口承文学・・・あるいはこうして文献などに残して)


50: 2011/01/21(金) 21:53:19.46 ID:dBFBfQv00


('A`)(しかし――――――)

('A`)(ある一定の期間の史実が、すっぽりと抜けている)

('A`)(明らかに・・・ “伝承の断絶” が起こっている)

('A`)(・・・これは何故だ?)

('A`)(・・・・・・)

('A`)(わからない)

('A`)(とにかく、何らかの理由によって、多くの魔法学が失われた事は間違いない)

('A`)(それならば・・・)


53: 2011/01/21(金) 21:56:54.90 ID:dBFBfQv00


/ ,' 3 「どうじゃな?」

('A`)「・・・あらまきさん」

('A`)「アレフガルド歴史書、魔導律史刊・・・これは上巻ですが」

('A`)「やはり、下巻が必要です」

/ ,' 3 「ふむ・・・」

('A`)「この家の蔵書棚は、あらかた探しました。恐らく、この宅にはもう無いのでしょう」

('A`)「片割れの刊、お心当たりはないでしょうか?」

/ ,' 3 「そうだな・・・」


55: 2011/01/21(金) 21:59:31.72 ID:dBFBfQv00


/ ,' 3 「わしの記憶が正しければ・・・
    おそらく、その魔導書はメルキドの旅商人から買ったものだ」

/ ,' 3 「メルキド発行の図書であれば、下巻はそこにある可能性が高いかの」

('A`)「そうですか・・・」

('A`)「ならば・・・次はメルキドにでも行ってみます」

/ ,' 3 「そうかね」

/ ,' 3 「それにしても・・・」


56: 2011/01/21(金) 22:01:20.58 ID:dBFBfQv00


/ ,' 3 「うちの大量の蔵書をこれだけの期間で貪り尽くすとは・・・」

/ ,' 3 「なかなか骨のある青年じゃな」

('A`)「このような流れのものに親切にして頂き、感謝の至りです」

('A`)「ありがとうございました」

/ ,' 3 「わしは何もしとらんよ」

/ ,' 3 「君がそこまで躍起になる・・・その理由は」


/ ,' 3 「君の呪いと関係があるのかね」

('A`)「・・・ある、といえばあります」

/ ,' 3 「ほう」


59: 2011/01/21(金) 22:04:14.95 ID:dBFBfQv00


/ ,' 3 「なんにせよ、頑張りたまえ」

/ ,' 3 「わしもかつては冒険者だった」

/ ,' 3 「若かりし頃は、相棒とともに、世界を廻ったものだ」

('A`)「旅をされていたのですか」

/ ,' 3 「うむ。二人旅じゃった。わしの足りないところを相棒が補い・・・」
    
/ ,' 3 「わしが相棒の足りないところを補う」

/ ,' 3 「一心同体のようなものだったよ」

('A`)「・・・なるほど」


61: 2011/01/21(金) 22:08:39.15 ID:dBFBfQv00


/ ,' 3 「年を重ね、二人の体力に限界を感じ始めたとき、わしらの旅は終わりを告げた」

/ ,' 3 「その後、数年のうちに竜王が現れ・・・」

/ ,' 3 「人間と魔物の戦いが始まった」

/ ,' 3 「ラダトーム王家から、伝説のひかりのたまを竜王に奪われてから」

/ ,' 3 「戦局は、いっきに魔のものの手中に落ち入ってしまったのだ」

/ ,' 3 「今が昔の血のたぎる若英の頃であれば・・・」

/ ,' 3 「わしも君のように、竜王を倒さんと旅をしていたかもしれんな」


62: 2011/01/21(金) 22:10:25.32 ID:dBFBfQv00


あらまきは、淡々と感情の抜け落ちたような表情で話す。

どこか遠い目で。寂しげで、全てを諦めたように。


このような表情は、あらまきだけではない。
いつも不安を胸に秘め、ただ希望なく生を許されている。

この世界の多くの人間は、この老人と同じなのだ。


63: 2011/01/21(金) 22:12:18.31 ID:dBFBfQv00


('A`)「・・・あらまきさん・・・わたしは・・・わたしの旅の目的は」

('A`)「竜王を倒す事が本懐ではないのです。それはあくまで・・・」

/ ,' 3 「・・・いいさ。解っておる」

/ ,' 3 「君がどのような目的で旅を続けようとも、誰にも責められる所以などない」

/ ,' 3 「誰も責めてはいかんことだ」

/ ,' 3 「君は、君の好きに思う通りの事をしなさい」

/ ,' 3 「かつて、わしらがそうだったようにな」

('A`)「・・・・・・はい」


65: 2011/01/21(金) 22:15:49.21 ID:dBFBfQv00


('A`)「あらまきさ



    ドクン



(('A`))(!)



    ドクン・・・ ドクン・・・



((;'A`)(・・・く・・・これは・・・!)



/ ,' 3 「!?」


68: 2011/01/21(金) 22:18:02.91 ID:dBFBfQv00


疼く。疼く。また、寄ってくる。

魔のものが。

自分の魔力に惹き付けられる。


(;'A`)「・・・ぐ、あらまきさん・・・」

/ ,' 3 「ドクオ君・・・君は・・・」



そとから、悲鳴が聞こえる。


/ ,' 3 「む」

('A`)「・・・・・・!」


二人は、外へ飛び出す。


70: 2011/01/21(金) 22:21:48.00 ID:dBFBfQv00


( A )(くそ・・・くそっ・・・!)


ドクオの胸中に、ドス黒い負の感情が去来する。


またか。

またなのか。


またしても、俺は――――――





二人は、悲鳴の声のする方へ、走り出す。




to be continue...!!


71: 2011/01/21(金) 22:23:35.51 ID:dBFBfQv00


('A`)ドクオの今のステータス

LV16

こんぼう
くろのろーぶ
しのくびかざり


今回登場した敵:なし


73: 2011/01/21(金) 22:26:39.26 ID:dBFBfQv00
もうちょいしたら、次話投下します。

75: 2011/01/21(金) 22:31:51.06 ID:dBFBfQv00


第10話


76: 2011/01/21(金) 22:33:06.13 ID:dBFBfQv00



( ^ω^)「・・・・・・」


魔物「グルルルゥオオオ・・・!」



村人「ひいぃ・・・あ、あわわ・・・」 村人「いやあああああ!!」



( ^ω^)「危ないから下がってるんだお」


ブーンは斧で、村人を下がらせる身振りをする。

しかし、その眼光はあくまで、目の前の魔物を見据えたまま。


78: 2011/01/21(金) 22:35:07.55 ID:dBFBfQv00


リカントマムル「グルルラアアオオオ・・・」

まどうし「ひひひ・・・きき」

しりょう「グカカカ・・・」


( ^ω^)「・・・また、竜王の配下の手引きかお?」

( ^ω^)「それとも野生のものがたまたま現れたか」

( ^ω^)「どちらにせよ・・・」


79: 2011/01/21(金) 22:38:03.64 ID:dBFBfQv00


ブーンは動く。


( ^ω^)「斬るお」


すばやく切り込み、魔物の肉を、切り裂く。

リカントマムル「ゴコオオウウウウ!!」


( ♯^ω^)「・・・はぁっ!」シャヒュッ


しりょう「ギカッ!!?」ビシュッ


( ^ω^)「村の人は・・・傷づけさせないお」

( ^ω^)「守るお」

(  ω )「絶対に――――――」


81: 2011/01/21(金) 22:40:12.63 ID:dBFBfQv00

――――――――――――――――――


   母 (,,゚Д゚) (*゚ー゚)


――――――――――――――――――



( ♯ ω )「――――守るおッッ!!」


魔物「「ガアアアアアアアア!!!!」」


だが、敵の数が多い。分が悪い。


( ; ω )「ちっ」


しりょう「ガガッ」ブンッ

( ♯^ω^)「はっ!」サッ

83: 2011/01/21(金) 22:42:36.78 ID:dBFBfQv00

マムル「グルォオオオアアッ!!」ヒュッ

( ;^ω^)「!! しまっ・・・」



《 ・・・ギラッ!! 》



リカントマムル「・・・グォオオオオッッ!!?」


魔物の体が炎風に吹き飛ばされる。
炎は魔物の体を包み焦がした。


('A`)「ブーン、大丈夫か!?」

( ^ω^)「ドクオ!!」

84: 2011/01/21(金) 22:45:30.40 ID:dBFBfQv00


('A`)「あらまきさん、危険ですので離れてください。ここは我々が」

( ^ω^)「百人力だお、ドクオ」

('A`)「・・・ブーン・・・すまない。これは・・・俺が・・・」

( ^ω^)「?」


まどうし《ヒャアアッ!!》


(;'A`)「「ッッ!!」」(^ω^; )


86: 2011/01/21(金) 22:47:40.98 ID:dBFBfQv00


/ ,' 3 《マホトーン!!》


まどうし「・・・ググっ??」


あらまきが呪文を唱えた瞬間、魔物は青い光に包まれた。
魔物の腕に蓄積された魔力が、霧散してゆく。


('A`)「!」

( ;^ω^)「おおっ」


/ ,' 3 「話しをしとる余裕は無いぞ。
    村長のわしは、村人を避難させよう・・・君らは魔物を頼むわい」

/ ,' 3 「いけるかね?」


87: 2011/01/21(金) 22:49:15.63 ID:dBFBfQv00


('A`)「ええ。いけます」

( ^ω^)「ドクオと一緒なら、問題ないお」


('A`)「・・・ブーン、いくぞ。いいな?」

( ^ω^)「ああ、ドクオ。準備は万端だお」





88: 2011/01/21(金) 22:51:33.27 ID:dBFBfQv00








90: 2011/01/21(金) 22:55:05.37 ID:dBFBfQv00



村人「・・・さきほどの魔物の襲撃で、被害者は5名。
    襲われはしましたが、全員、命に別状はありません。」

/ ,' 3 「ふむ、そうか」

( ^ω^)「・・・ほ。よかったお」

('A`)「・・・・・・」



ブーンとドクオは、苦戦の末、魔物を撃退した。

村人は、数人の負傷者を出したが、幸い氏者はでなかった。

戦った二人にも、大きな傷は無かった。


93: 2011/01/21(金) 22:58:39.68 ID:dBFBfQv00


村人「・・・なぁ、旅の人・・・ 噂に聞けば、アンタ呪われてるそうじゃないか?」


一人の男性が、ドクオに話しかける。


('A`)「・・・」

村人「アンタと、あらまきさんの会話を聞いたって奴がいるんだ。そうなんだろう?」

('A`)「・・・ああ」

('A`)「呪われている」


( ;^ω^)(!)


95: 2011/01/21(金) 23:00:46.99 ID:dBFBfQv00


広場に集合した村人一同に、ざわめきが起きる。


村人「じゃ・・・じゃあ、今回の魔物が襲って来たのも・・・アンタのせいじゃないか!?」

村人「アンタの呪いが、魔物を呼び寄せたんじゃ・・・」

('A`)「おそらく、そうでしょう」


97: 2011/01/21(金) 23:03:13.52 ID:dBFBfQv00


ざわめきは、強さを増す。悲鳴にも似た声も起こった。


       「なんてことだ・・・ この村は、のどかな村なんだ」

            「アンタのせいで、女子供が怪我を負ったんだぞ!」

   「そんな不幸を呼びつける人がこの村にいたなんて・・・」

                  「どうしてくれるんだ。うちの子が・・・」

        「そんな災いをもたらすやつは・・・」


( ;^ω^)(ドクオ・・・)

('A`)(・・・・・・)


98: 2011/01/21(金) 23:05:25.69 ID:dBFBfQv00

/ ,' 3 「静まれ。静まらんか」


村長である、あらまきの声に、村人のどよめきは小さくなる。

あらまきは、声は抑え、
しかしはっきりと怒調と真剣さを含んだ物言いで戒める。


/ ,' 3 「仮に此度の魔物の襲撃が、ドクオ君の呪いのせいだったとしても」

/ ,' 3 「彼は、命をかけて我々を守ってくれたではないか」

/ ,' 3 「彼らが戦ってくれなければ、被害はもっと甚大なものになっていた」

/ ,' 3 「感謝こそすれ、罵倒の言葉を浴びせるなどもってのほかだ」

/ ,' 3 「恥を知りなさい」


村人「・・・!」

101: 2011/01/21(金) 23:07:44.77 ID:dBFBfQv00


('A`)

( ;^ω^)(ドクオ・・・)


村人「だ・・・だけど・・・だからといって、このまま彼を置いておくわけには・・・」

村人「またいつぞや彼の呪いが、魔を呼び寄せるかもしれません!」

村人「そ、そうだそうだ!」

/ ,' 3 「・・・・・・」


ドクオが、口を開く。


102: 2011/01/21(金) 23:10:49.41 ID:dBFBfQv00


('A`)「構いません。あらまきさん」

('A`)「この村での私の所用は、おかげさまで、もうあらかた済みました」

('A`)「すぐにでも、この村を発ちます」

('A`)「今まで大変お世話になりました。ありがとうございます」

/ ,' 3 「ドクオ君・・・」



ドクオはそういって、踵を返す。

宿に戻ろうとする。

しかし。


103: 2011/01/21(金) 23:12:43.22 ID:dBFBfQv00

( ^ω^)「ドクオ!!」

('A`)「ブーン」


( ^ω^)「・・・村の皆さん。お願いですお」

( ^ω^)「今晩、一晩だけでいいから、この男を泊めてやって貰えませんかお」

( ^ω^)「おねがいしますお」

( ^ω^)「再び魔物が襲って来た時は」

( ^ω^)「ブーンたちがまた、やっつけますお。ですから・・・」

( ^ω^)「この通りですお」


村人「・・・・・・」

105: 2011/01/21(金) 23:15:23.60 ID:dBFBfQv00


村人は、一瞬黙った。そして、よそよそと何事か話し、こう言った。


村人「まぁ・・・今晩だけなら。お二人には、村を救ってもらったし・・・」

村人「そういうなら、断れないですよ」


( ^ω^)「ありがとうございますお!」

('A`)「ブーン・・・」


106: 2011/01/21(金) 23:17:35.89 ID:dBFBfQv00



('A`)「・・・どういうつもりだ、ブーン」

( ^ω^)「ドクオ」

('A`)「なぜ、俺を引き止める?」

('A`)「俺はもう、ここには・・・」

( ^ω^)「・・・ドクオ。一緒に、温泉にいかないかお?」

('A`)「温泉・・・?」

( ^ω^)「だお」

('A`)

108: 2011/01/21(金) 23:20:39.12 ID:dBFBfQv00


村人達の集まりから離れ、二人は話す。


( ^ω^)「ドクオが発つその前に・・・共にゆっくり温泉でも入りたかったんだお」

( ^ω^)「旅の話でもしながらね」

('A`)「・・・」

('A`)「・・・ははは。そういう事か」


ドクオは、笑った。


('A`)「わかった。じゃあ、後で行こう」

( ^ω^)「お!ここの温泉は、有名なんだお!」

('A`)「お前よりずいぶん詳しく知ってるさ。何せ、長い事いたからな」

( ^ω^)「じゃあ、いったん宿で落ち合うお!」

('A`)「ああ」


109: 2011/01/21(金) 23:23:43.04 ID:dBFBfQv00


その夜――――温泉場前。


( ^ω^)「おっおっ、きたかお」

('A`)「よう、待たせたか」

('A`)「ん?それはなんだ?」

( ^ω^)「これかお。秘密兵器だお。ドクオのそれは?」

('A`)「はは、これも秘密兵器だ」


二人は、互いに何か持ち寄っていた。


脱衣所で衣服を脱ぎ、湯へ行く。


112: 2011/01/21(金) 23:25:46.67 ID:dBFBfQv00


('A`)「さむいさむい」

( ^ω^)「はやくはいるお!」


その熱い湯に、身を落とす。


 足、
    腰、
       肩。


(*'A`)「おお・・・」

( *^ω^)「おお・・・」


湯煙が立ち上り、暗い闇に映える。
バシャバシャと顔を洗う。


114: 2011/01/21(金) 23:29:31.19 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)「これはいいお。体の内側までキレイになる気がするお」

('A`)「な。いいだろう」

( ^ω^)「あったまるお・・・はじめて入ったお」

( ^ω^)「わざわざ遠い国から湯治にくる人もいる訳だお」

( ^ω^)「それよりドクオ。それはなんだお?」

('A`)「ああ、これか。これは――――――」


116: 2011/01/21(金) 23:31:33.66 ID:dBFBfQv00

ドクオは、液体の入った瓶を取り出す。


('A`)「酒だ」

('A`)「この村でつくる、米を原料にした酒さ。いけるんだ」

( ^ω^)「おお、温泉でお酒かお。いいおね」

('A`)「ブーンのそれは?」

( ^ω^)「これは・・・ジャン」


ブーンは、袋からそれをいくつかとる。


( ^ω^)「卵。温泉卵だお」

('A`)「ほう」

( ^ω^)「入りながら食べたら、きっと乙だと思ったんだお」

('A`)「いいな。じゃあ、つまみに食うか」

( ^ω^)「おおっ」

117: 2011/01/21(金) 23:33:57.73 ID:dBFBfQv00


卵の殻をむく。つるりとした白い肌が現れる。

とろけそうなほど柔らかい卵を口にいれ、ふつっと噛み砕く。

黄身のト口リとした濃厚な味わいが、口いっぱいに広がる。


( *^ω^)「んおお・・・たまらんお」モグモグ

('A`)「一口か」

( ^ω^)「卵は一口で食うに限るお。まだあるお!」


ドクオも卵を食べる。そして、酒を口に含む。


(*'A`)「・・・おおっ・・・ これは・・・」

( *^ω^)「良い酒だお。風味がすばらしいお」


120: 2011/01/21(金) 23:36:42.92 ID:dBFBfQv00

二人は、ひと時の、心がはんなりするような、安らぎを享受した。


( ^ω^)「はぁ、極楽だお・・・」

('A`)「そうだな・・・」



( ^ω^)「・・・ドクオには、何度も命を救ってもらったし」

( ^ω^)「なにか、運命的なものを感じるお」

('A`)「運命か、はは」

( ^ω^)「さっきの戦いも、驚く程ウマがあったし」

( ^ω^)「・・・ドクオ。一度断られてるのにまた言い出すけれども」

( ^ω^)「共に、旅をしないかお?」

('A`)「・・・」

( ^ω^)「おまえとなら、上手くやれる気がするんだお」

('A`)「ブーン」

121: 2011/01/21(金) 23:38:35.92 ID:dBFBfQv00


('A`)「さっきも聞いたろう。俺は、呪われている」

( ^ω^)「お・・・」

('A`)「これが・・・呪いだ」


ドクオは、首もとを見せる。

暗くて見えなかったそれが、顔を表す。
首飾りをしていた。いや、それは――――――


( ;^ω^)「・・・肉と、同化してるのかお?」

( ;^ω^)「脈打ってるお」

('A`)「ああ、こいつが呪いの源だ」


122: 2011/01/21(金) 23:40:20.88 ID:dBFBfQv00


((  ;;;;;;;;;)「ドクオ・・・  わたしを・・・」  ))


('A`)(・・・・・・)


('A`)「俺と共にいると、危険を呼び寄せるんだ」

( ^ω^)「・・・・・・」

('A`)「俺は呪われている。忌み嫌われてきた」

('A`)「だが、おまえは俺を避けず、対等の立場で話してくれる」

('A`)「おまえは・・・心の優しい奴だ。そして、芯のある人間だ」

( ^ω^)「買いかぶるなお」

('A`)「でも、だからこそだ」


124: 2011/01/21(金) 23:43:40.16 ID:dBFBfQv00


('A`)「もしお前が、俺との旅で、その命を失ってしまったら」

('A`)「俺はきっと自分を許せない」

('A`)「自分の呪いが、お前を頃したのだろうと。例えそうでなくとも」

('A`)「そう責めさいなむだろう」

( ^ω^)「・・・・・・」

('A`)「だから、お前とはいられない。ともに旅はできない」

('A`)「・・・少なくとも、俺が呪われているうちは」

('A`)「わかってくれ」

( ^ω^)「そうかお」


126: 2011/01/21(金) 23:45:30.41 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)「ドクオがそういうなら、しょうがないお」

( ^ω^)「でも、ドクオ。これだけは覚えておけお」


( ^ω^)「ブーン達は、例え離れていても、ともに戦う仲間だお」

( ^ω^)「一人じゃないお。孤独じゃないお」

( ^ω^)「この薄暗い空の下には」

( ^ω^)「その空の陰りを晴らそうと戦う、もう一人のお前がいるお」

( ^ω^)「忘れるなお」



('A`)「・・・そうだな」

( ^ω^)「おっおっ!」


127: 2011/01/21(金) 23:46:51.65 ID:dBFBfQv00


杯の酒には、自分の顔が映り込む。

なんともいえない表情で、なにかおかしい。

ドクオは、それを打ち消す様に、杯をくゆらせる。

そのまま、いっきに飲み干した。



('A`)「うまいな」

( ^ω^)「うまいお」



( ^ω^)「ドクオ・・・また何処かで会おうお」

( ^ω^)「その時まで、生きていろお」

('A`)「おまえもな。ブーン」


128: 2011/01/21(金) 23:48:56.62 ID:dBFBfQv00


闇夜の湯煙の中で、杯を交わす。


生の誓いを。再会の誓いを。



('A`)(・・・“運命”・・・か)


( ^ω^)「お?」

('A`)「いや、なんでもない」


129: 2011/01/21(金) 23:51:25.62 ID:dBFBfQv00


運命は、また彼らを戦いへと、いざなうであろう。


残酷な結末が待ち構えているかもしれない。


( ^ω^)


氏地が彼らを手招きしているかもしれない。


('A`)


それから、目をそらす訳ではない。


しっかりと、それを見つめる。


自分の未来を。世界の運命を。


131: 2011/01/21(金) 23:53:55.41 ID:dBFBfQv00


しかし、今はただ。 今は、この安らぎの中で。


この清適の時の中で。




    ( ^ω^)      ('A`)




二人は、安寧の夢をみつつ――――その薄暗い空の向こう側にあるものを、眺めている。




to be continue...!!



133: 2011/01/21(金) 23:55:08.40 ID:dBFBfQv00


( ^ω^)ブーンの今のステータス

LV14

てつのおの
はがねのよろい
てつのたて


('A`)ドクオの今のステータス

LV16

こんぼう
くろのろーぶ
しのくびかざり


136: 2011/01/21(金) 23:56:36.56 ID:dBFBfQv00


今回登場した敵


リカントマムル:リカントの上位種で、獣人の魔物。その腕力はリカントとも段違いである。
          凶暴な上に、より優れた知能を持ち、相手の魔力まで操る。


まどうし:人間が魔物になったもの。魔力で人間を眠らせ、その生き血を啜る。
      血を啜った後は、その肉も魔力で焼き、骨も残さず食らう。


しりょう:その名の通り、氏霊。氏者の魂に魔力が染み付き、その体を動かす。
     生への願望が強いせいか、傷を回復する魔法を使う。
     しかし、彼らは本当の意味で蘇生する事は無い。


137: 2011/01/21(金) 23:57:58.20 ID:dBFBfQv00
以上で、本日分の投下終了。

支援ありがとうございます。もー感謝。

140: 2011/01/22(土) 00:11:30.70 ID:NQA2NDTH0
面白かったです。

141: 2011/01/22(土) 00:31:16.54 ID:TW/3npkd0

次回:( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)【Lv.6】


引用: ( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)