118: 2011/02/05(土) 00:01:33.16 ID:2tb6AHCL0

121: 2011/02/05(土) 00:03:19.75 ID:2tb6AHCL0
( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)シリーズ



( ^ω^)「・・・・・・」


メラメラとたいまつの火が、洞窟内を照らす。


たいまつにも先ほどの沼地の毒が染み込んでいるのか、
気持ちの悪い焦げた臭いが鼻につく。


沼地の洞窟内を、警戒しつつ進む。

ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書 (デジタル版SE-MOOK)
122: 2011/02/05(土) 00:06:11.81 ID:2tb6AHCL0


遠目の利く明るい平地での戦闘とは違う。

この闇中ではいきなり魔物が出現し、攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
魔物は自分より、夜目が効くのだ。


故に、常に臨戦態勢。
緊張を解く事は許されない。精神を削る。

自分のあらゆる感覚・・・五感すべてを研ぎすます。


決して急いではならない。ゆっくりと、慎重に。


このピリッとした刺すような独特の空気は、以前にも経験している。

岩山の洞窟だ。


123: 2011/02/05(土) 00:08:36.68 ID:2tb6AHCL0


( ゚∀゚)『いいか、ブーン。こういった暗いダンジョンを進むにはな・・・』

( ゚∀゚)『自分の体全体が、目になったと思え』

( ^ω^)『お・・・目かお』

( ゚∀゚)『そう。目だけじゃねえ、耳、鼻、全部になったようにな』

( ゚∀゚)『肌で臭いを、鼻で光を。目で音を感じ取れるようになれ』

( ^ω^)『また難しい事を・・・』

( ゚∀゚)『まぁ決して、視覚だけに頼っちゃいけねえってことだ』

( ゚∀゚)『それが、野生に生きるコツ・・・だ』

( ^ω^)『・・・わかったお!』


125: 2011/02/05(土) 00:10:35.84 ID:2tb6AHCL0


あの時の経験が、今ここで活きている。
ジョルジュとの修行の日々が無ければ、おそらく今生きてはいまい。

冒険や戦闘に役立つ知識を、いくつも教えて貰った。
今彼は、何処で何をしているのだろうか。

確か、メルキドにゆくと言っていたが。


と、そこまで考えて、思考を破棄した。

これは雑念だ。


今は、この暗闇にとけ込む事に気を砕くのだ。



そして、ほら。ぬるりとした気配が。


128: 2011/02/05(土) 00:12:59.91 ID:2tb6AHCL0


( ^ω^)「む」


メーダ「ヌロゥオオオ・・・」


タコのような魔物。大きな目玉をギョ口リとひかる。
壁際に、ねっとりとくっついていた。


( ^ω^)「・・・ふっっ!!」ビョバァッ


すかさず斧を振り上げる。


131: 2011/02/05(土) 00:15:55.25 ID:2tb6AHCL0


メーダ「ヌグルゥゥゥゥ・・・!!」


触手の何本かを切り裂いた。

しかし、怯まず魔物はそのままこちらに突進してきた。


(( ;゜ω゜)「・・・ウグッ!!」ドスッ


(♯^ω^)「・・・おおっ!!」ヒュッ


メーダ「グプッ・・・・!」


ブーンの斧が、魔物の胴体の芯をとらえる。
斧が肉にめり込む。柔かい感触。


133: 2011/02/05(土) 00:18:25.59 ID:2tb6AHCL0


( ^ω^)(やったお!)


しかし、その交錯の瞬間。


メーダ「・・・・・・ボビュッ!!」バシャッ


魔物が黒い墨のような液体を勢い良く吐き出す。

ブーンの手持ちのたいまつにあたり、それを落としてしまう。



( ;゜ω゜)(しまった!!)


137: 2011/02/05(土) 00:21:42.13 ID:2tb6AHCL0


その液体はたいまつの先端にあたり、ジュウと火を消した。


( ; ω )「・・・・・・」


ブーンは、その魔物いた辺りを、足で探る。
いた。グニャリとした感触。どうやら、瀕氏のようだ。

それを、思い切り踏みつぶした。グチャリ、と音がする。



そして――――――本当の闇と静寂が訪れる。



138: 2011/02/05(土) 00:23:27.19 ID:2tb6AHCL0


( ; ω )(迂闊だったお・・・火の元を落とされるとは)

( ; ω )(予備のたいまつはもうない・・・)

( ;^ω^)(このまま進むしかないお)


明かりを失ってしまった。これは非常に危険である。


この洞窟の出口へいくその道順は、そこまで難しいルートではない。

ほぼ一本道をまっすぐ進めば、その出口に到着できるような場所だ。


だが、こうして光をうしなってしまうと、解らない。

先程の戦闘で、方向感覚も解らなくなってしまった。
これはまずい。


139: 2011/02/05(土) 00:27:01.81 ID:2tb6AHCL0


( ^ω^)「・・・手探りで・・・いくしかないお」


壁に手をあて、なぞるように進む。

願うのは、少しでも早くこの目が暗闇に慣れる事である。


( ^ω^)(・・・今度から、たいまつは腕に括りつけておくかお)


今度。今度はあるか。


( ;^ω^)「・・・・・・」


140: 2011/02/05(土) 00:30:55.66 ID:2tb6AHCL0


初めて、岩山の洞窟に挑んだ時の事を思い出す。

あのときも、たいまつを落とし、運良く命からがら脱出した。

恐怖がじわじわと蘇り、ブーンの心を浸食する。


( ^ω^)「・・・・・・」


ダメだ。恐怖こそ、冒険において一番捨てねばならぬ感情。
払拭するように、何も考えないようにする。


だが、それでも緊張は高まる。

そうしてしばらく進んでいった。


145: 2011/02/05(土) 00:34:50.31 ID:2tb6AHCL0


( ^ω^)




( ^ω^)




( ^ω^)(!)


148: 2011/02/05(土) 00:36:14.55 ID:2tb6AHCL0


手探りで進む。その触れた感触に、違和感が。


( ^ω^)(・・・これは・・・何だお)

( ^ω^)(今までの岩肌とは違う・・・)

( ^ω^)(何かこう、人工的に作られた・・・)

( ;^ω^)(・・・・・・)

( ;^ω^)(・・・・・・これは・・・)



( ;^ω^)(扉かお?)



152: 2011/02/05(土) 00:39:18.09 ID:2tb6AHCL0


それは、どう触れても自然のものではなかった。

ゴツゴツとしない、滑らかで直線的な感触。

ところどころ、垂直に交わる溝。


扉ならば、かなり大きい物だと予想される。

自然発生的にできたものでは、まずない。


だが。


なぜここに、扉が存在するのか?


153: 2011/02/05(土) 00:42:07.37 ID:2tb6AHCL0


果たして、人間がこんな危険な魔物の住処に、
人間の御用のものをつくるだろうか。


ありえない。

過去の遺物?それもない。

ここは海の底だ。

こんな場所に、人間の住処や倉庫などを置く訳が無い。


とすれば。考えられる事は一つ。



( ;^ω^)



ブーンは、とある事を思い出した。


158: 2011/02/05(土) 00:45:28.03 ID:2tb6AHCL0


( ゚д゚ )『ミタんだ・・・この目で』

( ^ω^)『ほう・・・・・・』



( ゚д゚ )『あれは数年前・・・俺が近くの山に猟りに出かけた時のことだ』

( ゚д゚ )『その山へ、ラダトームの騎士団がいた』

( ゚д゚ )『驚いたよ、まさか姫様をミれるなんて』

( ゚д゚ )『ラダトームのお姫様が、何かの用事で、騎士団を召して移動中だったんだ』

( ゚д゚ )『騎士やお姫様なんて初めてミタから興奮したけど』

( ゚д゚ )『その内に、大きな・・・魔物が飛んでやって来たんだ』

( ^ω^)『・・・魔物?』

( ゚д゚ )『ああ・・・でっけぇのだ』


162: 2011/02/05(土) 00:50:45.68 ID:2tb6AHCL0


( ゚д゚ )『俺は怖くて、遠目でぶるぶる震えてミテたんだ』

( ゚д゚ )『そいつは、騎士団を踏みつぶし、蹴散らし、姫をくわえて・・・』

( ゚д゚ )『そのまま、また飛び去っていったんだ』

( ^ω^)『・・・・・・』

( ^ω^)『どこへ、飛び去っていったんですかお?』

( ゚д゚ )『東だ・・・』

( ^ω^)『東・・・』

( ゚д゚ )『東の・・・あれは、リムダールか、マイラの方へ飛び去っていったと思う』


166: 2011/02/05(土) 00:55:16.09 ID:2tb6AHCL0


( ^ω^)『ふむ・・・』

( ゚д゚ )『それ以来、ラダトーム王・・・ラルス16世は、竜王に侵攻をかけにくくなった』

( ゚д゚ )『なにせ、自分の娘が、人質に囚われてるんだからな』

( ゚д゚ )『殺された訳でもない・・・殺せば、王は憤激し、何に代えても
     竜王を倒そうと躍起になる』

( ゚д゚ )『でも、どこかに囚われているだけ・・・これは、頃すよりタチが悪いぜ』

( ゚д゚ )『攻め入れば、姫に危害を加えるかもしれない・・・』

( ゚д゚ )『しかし、一国の王としては、それを止める訳にもいかない・・・
     ラダトームの民間傭兵募集も、そういった意味も含んでるのかもな』

( ゚д゚ )『軍を派遣せずに済むからな』

( ^ω^)『それが、魔王軍の狙いですかお』

( ゚д゚ )『わからねえが、そうかもしれない』


170: 2011/02/05(土) 00:56:34.06 ID:2tb6AHCL0


( ^ω^)「・・・・・・」



ガライの町でたち聞いた情報。

大国の姫君が、魔物に連れ去られたという話。

ここは、ガライからは東に位置する。



( ;^ω^)(まさか)

( ;^ω^)(いや・・・そんな)


大きな扉を、押してみる。ビクとも動かない。
鍵がかかっているのか?

と、そのとき。


177: 2011/02/05(土) 00:59:57.96 ID:2tb6AHCL0


( ^ω^)「!?」


ブーンの懐から、うっすらと、青白い光が放たれる。


( ^ω^)「これは・・・」


その光の源は・・・以前、雨の祠で、じぃに貰ったもの。

“魔法の鍵”だった。


183: 2011/02/05(土) 01:02:36.42 ID:2tb6AHCL0


それの、はめ込まれた水晶が、微細な光を放っているのだ。


そして、その光に共鳴するかのように。


扉全体もまた、光を放ち始める。


( ;^ω^)「おおっ・・・!?」


扉全体が輝く事で、その全容が伺い知れた。

縦横に、十数メートルはあるかという、巨大な扉。


187: 2011/02/05(土) 01:03:50.28 ID:2tb6AHCL0


( ;^ω^)「・・・この扉は・・・」

( ;^ω^)「・・・・・・結界・・・かお」


ブーンは、この光に見覚えがあった。

ガライにいた頃、ハインと一緒に見た、ガライの墓、その封印。


それとまさしく同じ光だ。


大きな扉の青白い輝きは、荘厳で神秘的に。


そして、この扉の馬鹿げた大きさ。このサイズが示すものとは。


190: 2011/02/05(土) 01:06:05.18 ID:2tb6AHCL0


( ;^ω^)「・・・・・・」




『・・・・・・誰?』


( ;^ω^)「!!」






『そこに・・・誰かいるの?』



196: 2011/02/05(土) 01:08:33.71 ID:2tb6AHCL0


扉の向こう側から、微かに聞こえる。

それは、人間の声だ。


( ;゜ω゜)「ひ・・・ひとがいるのかお?!」


『・・・あなたは・・・人間・・・?』


( ;^ω^)「そうだお!?君はいったい・・・」


『ああ・・・助けて。お願い・・・いや、でもだめ』


『あなたがここに入ってくれば・・・あなたは氏ぬわ』


『殺される。きっと』


( ;^ω^)「!」


204: 2011/02/05(土) 01:11:17.72 ID:2tb6AHCL0


『でも・・・ここから出たい。出たいの』


『どうしたらいいの・・・』


( ^ω^)「・・・・・・」


『誰か・・・誰か・・・・・・』




『 ・・・・・・・・・助けて・・・・・・・・・ 』



( ^ω^)



213: 2011/02/05(土) 01:13:30.75 ID:2tb6AHCL0


扉の中から、それは聞こえた。

震える、女性の声。


そして、その声の裏に聞こえる・・・低く、獰猛なうなり声を。


( ^ω^)「・・・・・・」


( ^ω^)「・・・大丈夫だお」


『・・・・・・』


( ^ω^)「助けるお。君を、救うお」


( ^ω^)「この暗闇から・・・解き放ってみせるお」


220: 2011/02/05(土) 01:15:28.55 ID:2tb6AHCL0


光が強まる。


ビキビキと音を立て、扉全体が震え出した。


( ^ω^)


ロトの勇者は、ここに気が付かなかった。

熟練の腕を持つ彼は、そのまま正しいルートを辿っていったのだ。


自分の成すべき事は、彼の後を追う事。

ここは関係ない、とも言える。


しかし。

ロトの勇者がここを見つけたら、どうしたであろうか。


233: 2011/02/05(土) 01:19:21.13 ID:2tb6AHCL0


自分の――――――自分が目指すべき道は。


決して、彼の足跡をなぞる事だけではない。



ブーンは決意する。


自分の腕の未熟を知らぬとは言えぬ。


氏への恐怖がない訳ではない。




しかし、勇者は。


本当の勇者とは、いったい何だろう。


240: 2011/02/05(土) 01:22:03.24 ID:2tb6AHCL0


( ^ω^)



扉は、大きな光と音を放ち、

青白い光が、砕けた。


物々しい扉が、ギシギシと開く。


その先へ。



一歩踏み出す。



249: 2011/02/05(土) 01:26:06.62 ID:2tb6AHCL0


彼を超える為に。

全てを超える為に。


( ^ω^)「今、助けるお」



( ^ω^)「――――――姫君様」



その一歩こそが、勇者の証であると信じて。


今その胸に、正義を抱く。


本当の――――――真の勇者に、なるために。



to be continue...!!



261: 2011/02/05(土) 01:30:54.26 ID:2tb6AHCL0


( ^ω^)ブーンの今のステータス

LV16

てつのおの
はがねのよろい
てつのたて


今回登場した敵

メーダ:多くの触手をもつ軟体の魔物。魔力によって空中に浮遊する事もでき、
    いきなり人間の頭にとりついて窒息させる。そのぎょろりとした目が特徴。
    沼地の洞窟に生息する。

265: 2011/02/05(土) 01:32:54.04 ID:2tb6AHCL0
以上で本日の投下おあり。次の投下は金曜です。

支援ありがとー励みになるぜ、まったくよ

269: 2011/02/05(土) 01:36:38.22 ID:2tb6AHCL0
というわけで来週はアレと対決ですね
つーか13話でここってどういうペースだよ。何話超えるんだよちくしょう
でも書くのは大好き^^

とりあえず、前回投下終了した瞬間、書き溜めてた4話分が消えたのは心から絶望した


ではまた。乙かれさまでした。

270: 2011/02/05(土) 01:38:11.18 ID:sOE4oo9TO
30話は超えそうな勢いだなw

276: 2011/02/05(土) 01:44:13.41 ID:2tb6AHCL0
>>270
ホントは30話構成にして、1話につきレベル1って感じできっちり30話で終わらそうとしたけど
いやwwwwwwそんなにかかんねーしwwwぴったり30話とか合わせるの無理だしwww
とか思って一番最初のプロローグの部分のタイをLevel.0にしてたのは誰にも言うなよ?

282: 2011/02/05(土) 01:53:20.72 ID:2tb6AHCL0
ちなみにドラクエ1はレベル上限30です。

では、ご支援本当に感謝。また。

16: 2011/02/12(土) 19:28:25.62 ID:Gmb7lSQD0


第14話



20: 2011/02/12(土) 19:30:27.35 ID:Gmb7lSQD0


ブーンは、その青白く輝く鍵を、巨大な扉に当てる。

扉全体が、震えだした。


( ^ω^)「今、助けるお」


触れた部分から、ビシビシと振動が伝わる。

まるで、自分の震えをかき消すように。


( ^ω^)「――――――姫君様」


光はどんどん大きくなり・・・・・・

ガラスが割れるような音と共に、その光は砕けてゆく。



22: 2011/02/12(土) 19:32:17.75 ID:Gmb7lSQD0



扉が、開いた。


( ^ω^)


ブーンは前進する。立ちはだかる――――――困難へと。





25: 2011/02/12(土) 19:33:16.61 ID:Gmb7lSQD0


その部屋の中には、燭台が一つあった。


炎の揺らめきが、その部屋を微かに照らしている。




( ;^ω^)「・・・・・・!」


ブーンのその目の前に現れたもの――――――





ドラゴン 「  ・・・・・・ グ ゴ ォ オ ア ァ ア ア ア ァ ァ ア ア ッ ッ ッ ! ! ! !  」



((( ;゜ω゜))「・・・・・・ッッ!!」ビリビリ





29: 2011/02/12(土) 19:35:10.67 ID:Gmb7lSQD0


吠え猛る巨大な怪物。魔物の中でも、強大で類強の種族。


    “ドラゴン” だった。


( ;゜ω゜)「おっ・・・おっ・・・おおッッ・・・!」


ドラゴンを目にするのは初めてだ。

伝聞でしか触れ合う事の無かった存在。
それと、今まさに相対している。

斧を握りしめる手に、汗が滲む。



31: 2011/02/12(土) 19:38:08.44 ID:Gmb7lSQD0


( ;^ω^)(・・・・・・はっ?!)



巨体に圧倒され、咆哮に気圧され、刹那意識が飛びかけた。

はっと正気に返り、ふと横を一瞥する。そこには。


ξ゚⊿゚)ξ


一人の女性が震えている。

そうか。彼女が――――――。


33: 2011/02/12(土) 19:39:25.11 ID:Gmb7lSQD0


( ;^ω^)「・・・・・・!」


ドラゴン


ξ;゚⊿゚)ξ




三つの生命の動きが止まる。




36: 2011/02/12(土) 19:41:17.72 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴン「・・・・・・ニンゲンカ――――――」


( ;^ω^)「!!?」

( ;^ω^)「・・・・・・・・ッッ!!」

( ;^ω^)(人語を・・・話せるのかお・・・!)



ドラゴン「ココへナンのヨウダ・・・ヨワキモノよ」

ドラゴン「ソコのヒメをタスケルためカ」

ドラゴン「タトエなにヨウダとシテも・・・」

ドラゴン「オマエがドウナルカはカワラナイが――――――」


( ;゜ω゜)「・・・・・・ッッ」



37: 2011/02/12(土) 19:45:19.96 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴンは、腰を下ろし寝るような体勢で、ブーンを見下ろす。


そして低く低く・・・迫力を秘めた声で語る。
どうしようもなく脆弱な存在を、ただ諭すような口調で。


決して流暢な人語ではないが・・・余裕を持ったその語り口は、こう告げている。


『ここから、絶対に生かしては帰しはしない』 と。



39: 2011/02/12(土) 19:47:14.05 ID:Gmb7lSQD0


( ; ω )「・・・・・・」


( ; ω )「ローラ姫かお」


ブーンは、女性に話しかける。


ドラゴンから視線を外さないまま。

いや、外せない。意識は、ドラゴンの方に向いている。


ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・そう」

ξ゚⊿゚)ξ「わたしは、ローラ=ツン・デリシア・ラルス」

ξ゚⊿゚)ξ「ラダトーム王の・・・娘よ」



41: 2011/02/12(土) 19:50:05.51 ID:Gmb7lSQD0


姫は震える。


しかしまた、ブーン自身も、震えていた。


怯えから来る震えと、武者震いが混じる。

それを、必至に押さえ込もうと、歯を強く噛み堪える。


( ; ω )


そして、竜は重い腰を上げ・・・また吠える。

恐らく、その身の丈はブーンの4倍以上はあるだろう。

ズズンと音がし、天井からパラパラと砂が落ちた。


心臓の鼓動の音が、高まっていく。



43: 2011/02/12(土) 19:53:22.68 ID:Gmb7lSQD0


( ; ω )


ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・勇敢な人よ・・・どうか・・・」


( ; ω )



ξ゚⊿゚)ξ「 氏なないで 」



願いの言葉が、開戦の合図。



(♯゜ω゜)「ッッ・・・ぉぉおおおおおおおおッッ!!」



ドラゴン「グルァああアアアアアアああアアアッッッ!!」



46: 2011/02/12(土) 19:56:19.02 ID:Gmb7lSQD0


ブーンは、地を蹴った。

斧を振りかぶり、ドラゴンに目掛け特攻する。


(♯^ω^)「はああぁっっ!!」



しかし。横から、ドラゴンの尻尾が薙ぎ払われた。

横腹に、激烈な衝撃。骨にメキメキと振動が伝わるを感じる。

折れたか。


( ;゜ω゜)「・・・カはぁッ・・・!!?」



48: 2011/02/12(土) 19:58:48.55 ID:Gmb7lSQD0


そのまま吹っ飛び、岩盤にめり込むほど叩き付けられる。

壁から剥がれるように倒れ、崩れ落ち膝をついた。



( ;゜ω゜)「ぐ・・・お・・・ げえぇ・・・がっ」


血の混じる吐瀉物をまき散らす。

意識が混濁する。視界が暗い。


今、武器は握れているか。敵は、敵はどこだ。



目の前だ。




50: 2011/02/12(土) 20:01:21.72 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴン「ガアアアアアオオオオオ・・・・・・ッッ!!」


( ;゜ω゜)「・・・は!!」


ドラゴンは、足を大きくあげ、ブーンを踏みつぶそうとする。

それを瞬時に横に飛び、転げるように間一髪で交わす。

巨大な足が地面を砕く。轟音が、洞窟内に反響する。


その衝撃に巻き込まれ、またさらに吹っ飛んだ。



52: 2011/02/12(土) 20:04:59.78 ID:Gmb7lSQD0


( ;^ω^)「ぐ・・・」


ξ;゚⊿゚)ξ「あぶない!!」



ドラゴンが、また尻尾をしならせ、鞭のように横薙ぎに攻撃してきた。


( ;^ω^)「・・・くッッ」

(♯^ω^)「くぉおおあああッッ!!」


それにピタリとタイミングを合わせ、斧を振る。


斧で尻尾を受け止める。
斧が、敵の鞭に食い込み、黒い血がブシュウと噴出する。



53: 2011/02/12(土) 20:07:06.88 ID:Gmb7lSQD0


((( ; ω ))「ぬうううンンッッ!!」


体中に電撃のような衝撃が走るが、今度は吹っ飛ばされない。

ザリザリと後退し、ぴたりと止まる。そうだ。


ドラゴン「ゴルガァアアアアアアアアアアア!!?」


そのまま、斧を押し込み、尻尾を断ち切れ。

力を込める。



55: 2011/02/12(土) 20:10:13.18 ID:Gmb7lSQD0


( ;゜ω゜)「・・・おおっ!?」

しかし、そのまま尻尾に巻き取られた。


(♯゜ω゜)「うがああああああ!!」


ものすごい強さで締め上げられ、苦痛に顔を歪める。

口から血がゴポリと溢れ、喉に詰まりそうになる。

そして、投げ飛ばされた。またもや壁に激突。


(メ; ω )「が・・・」



57: 2011/02/12(土) 20:13:04.58 ID:Gmb7lSQD0


(メ; ω )(つ、強い・・・今までの敵とは・・・比較にならない・・・)

(メ; ω )(桁が・・・違う・・・お)



今、自分とドラゴンが戦っている。

勝てるのか。


ドラゴン。 ドラゴンだと?

これは現実か。感覚が麻痺し、実感がわかない。

しかしこの痛みも恐怖も夢想の物だとしたら、なんという悪夢だろう。


59: 2011/02/12(土) 20:15:42.43 ID:Gmb7lSQD0


いや、気を保て。何を考えている。雑念を払え。

これは全て現実の事だ。そう。


目の前の化け物の大きく開けた口の中が、赤く燃え光るのも。



ドラゴン「・・・・・・バオオオオオオオ大オオオオッッッッ」


(メ;゜ω゜)「うっ!・・・うわあああああああっっ!!?」


ドラゴンは、火炎の息吹を吐き出した。

狂熱がブーンに襲いかかる。



61: 2011/02/12(土) 20:17:21.04 ID:Gmb7lSQD0


斧で振り払い、バタバタと転げ廻る。
水気のある苔の部分に体をこすりつけ、火を消した。

しかしすぐには起き上がれない。

いや・・・そのまま、ブーンは倒れ伏し動かなくなった。


ξ;゚⊿゚)ξ「ああっっ・・・!」



(メ -ω-)



ブーンの意識は、遠のいてゆく。




64: 2011/02/12(土) 20:23:29.66 ID:Gmb7lSQD0


走馬灯のように、彼らの顔が浮かんでくる。



(,,゚Д゚)


ギコ。


今自分がこうしてここにいる所以は、お前だ。


お前の氏と情熱が、己の人生を宿命づけた。


お前と旅が出来たら、どれほど楽しいものだっただろうか



65: 2011/02/12(土) 20:24:31.40 ID:Gmb7lSQD0


('A`)


ああ、こんなときに、ドクオがいてくれたら。


彼の呪文や聡明さは、頼もしい事このうえないのに。


やっぱり、無理にでもついていって、一緒に冒険していれば良かったかな。



( ゚∀゚)


それに、ジョルジュ。


彼の岩をも砕く鉄拳があれば、怖い物無しだ。


彼らとパーティーを組めば、どんな強大な敵にも立ち向かえる気がする。



67: 2011/02/12(土) 20:28:18.70 ID:Gmb7lSQD0


そういう可能性もありえたかもしれない。


しかし、一人だ。


自分は今、一人なのだ。


旅の中で、他人を思う事は出来る。


だが、現実に現れる訳ではない。


頼れるものは、己自身の刃のみ。


自分で決めた。 それがこの世界での自分の冒険だ。



ブーン・ホライゾンに許された、宿命の旅なのだ。




69: 2011/02/12(土) 20:31:39.24 ID:Gmb7lSQD0



ドラゴン「グウウウウゥウゥゥゥウッッ」


竜は近づく。久々の御馳走の、その頭を噛み砕こうと。


ξ;゚⊿゚)ξ「い、いや・・・ッ・・・」


大口を開け、ブーンを・・・



(メ♯^ω^)「・・・・・・食われてたまるかお」


すかさず、斧は振り払われる。

ドラゴンの下顎の一部を粉砕した。


もう一撃。往復に斬る。

敵の喉もとから胸元に、大きな傷を負わせた。



71: 2011/02/12(土) 20:34:33.36 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴン「・・・グッ・・・グギャアアアッ!!」


ドラゴンはのけぞり、後退する。今だ。


(メ♯^ω^)「・・・・・・ううおおおおおおおオッ!!!!」バシュッバシュッ!


流れるように切り結び、脚、胴体を抉り斬った。


(メ;゜ω゜)(いけるお!)


ドラゴン「ギャアアアアアガアアアアア!!!」



74: 2011/02/12(土) 20:38:32.43 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴンの尻尾が振られる。
それは、ブーンには当たらない。


部屋の火の灯る、燭台を吹っ飛ばす。


(メ;゜ω゜)「!!」


「きゃっ・・・!?」



しまった。暗い。

唯一の明かりを消された。



77: 2011/02/12(土) 20:42:56.12 ID:Gmb7lSQD0


(メ; ω )(く・・・視界が・・・)


光を失い、立ち尽くす。

しかし、ドラゴンはこの闇のなか、自分を見下ろしているだろう。

どうする。どう動く。



――――――ニンゲンよ――――――


(メ; ω )!


――――――ヨクヤッタ。ココマデキズをオワセタのは、キサマがハジメテダ――――――


――――――ツヨキモノよ。ケイイをヒョウして・・・ゼンリョクでキサマを――――――


――――――――――――――――――コロス――――――――――――――――――



78: 2011/02/12(土) 20:46:41.35 ID:Gmb7lSQD0


そして、静かになる。

自分の鼓動のみが、今この世界で一番大きい音だ。


(メ; ω )


(メ; ω )


ボボッ・・・


(メ; ω )!




83: 2011/02/12(土) 20:54:45.01 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴン「ゴバハァアアアアアアアアアア!!!!」



突然周りが明るくなった。

手負いの竜に息吹かれた炎熱が、目の前から放射される。


(メ;゜ω゜)「オオオオオおッッ!!」


横転し交わす。

だが避けきれず、炎はジュバァと自分の足を飲み込む。


((メ; ω )「ああああおっ・・・!!」ジュウゥ



89: 2011/02/12(土) 20:59:54.20 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴンがどすどすと移動する。


姫の悲鳴が聞こえる。


そしてまた、闇中へ。



(メ;゜ω゜)「ぬ・・・ぬ・・・ぅ・・・」



90: 2011/02/12(土) 21:01:19.03 ID:Gmb7lSQD0


足をやられた。

体中の骨も折れている。

強烈な吐き気と、止めどなく溢れる口内の血液の味から、
内蔵も潰れているかもしれない。

もう満足に動けはしない。
今、立っているのが不思議なくらいだ。


余力は、無い。


(メ; ω )「・・・・・・・・・」




94: 2011/02/12(土) 21:05:48.60 ID:Gmb7lSQD0


( ゚∀゚)『ブーン。お前が強敵に立ち向かう事があれば』

( ゚∀゚)『まず、その弱点を探せ』

( ^ω^)『弱点・・・』

( ゚∀゚)『ああ・・・敵は強大だ。なら、弱みを見つける事だ』

( ゚∀゚)『その時の状況や力量差を見極めて・・・』

( ゚∀゚)『もちろん敵わねぇと思ったら、逃げる事も大切だぜ』

( ゚∀゚)『逃げる事は、決して敗北じゃねえ。命を落としちゃおしまいなんだからな』

( ゚∀゚)『勇気と無謀をはき違えるなよ』

( ^ω^)『・・・おお!』



97: 2011/02/12(土) 21:11:32.30 ID:Gmb7lSQD0


(メ; ω )「・・・・・・」


逃げる等という選択肢は、無い。

簡単に逃がしてくれるような相手ではないのだ。



精神を集中する。
そうだ。この闇と、同化するのだ。

もうチャンスは、これしかない。

ブーンは、斧を構える。
これが、自分が繰り出せる最後の一撃になるだろう。


心の中で、十字を切る。



100: 2011/02/12(土) 21:21:45.61 ID:Gmb7lSQD0


(メ; ω )



(メ; ω )



(メ; ω )



,; ,`



(メ; ω ) !!





((メ♯゜ω゜)づ 「  ・・・・・・見えたおッッッ・・・!!  」




101: 2011/02/12(土) 21:24:53.17 ID:Gmb7lSQD0


ブーンは、斧を思い切り投げた。


血の一滴まで、絞り尽くすがごとく。


微かにほの見える、オレンジの灯火に向けて。


斧は疾風となり、主の心の様な、真っすぐな軌道を描いて・・・


オレンジの光に突き刺さる。


即ち・・・ドラゴンの口内へ!



ドラゴン「  ゴガァアアアアッァッァアァアアアアアアアア!!?!?  」




105: 2011/02/12(土) 21:34:17.83 ID:Gmb7lSQD0


ドシュンと音を立て、斧はドラゴンの顔面に抉り込む。

そして、ドラゴンの溜めていた炎の息吹が、行き場を失い暴発する。

凶竜の頭が吹っ飛ぶ。

ゆっくりと巨体が崩れ落ち、ものすごい轟音を立てた。

その自身の炎に当てられ、メラメラと肉塊は燃え盛る。



(メ; ω )「・・・かはッッ・・・!!」




そして、ブーンも倒れた。

姫が駆け寄る。



106: 2011/02/12(土) 21:35:59.78 ID:Gmb7lSQD0


ξ;゚⊿゚)ξ「・・・・・・ああ!!」

(メ;^ω^)「はぁ・・・はぁ・・・!」

(メ;^ω^)「や・・・たお・・・」

(メ;^ω^)「どらこん・・・たほしたぉ」



ξ゚⊿゚)ξ「・・・傷が開くわ。しゃべらないで」

ξ゚⊿゚)ξ《・・・ホイミ!!》


姫の手から、暖かな光が流れ込む。

ブーンの傷を、ほんの少しだけ癒した。



108: 2011/02/12(土) 21:38:04.00 ID:Gmb7lSQD0


(メ^ω^)「お・・・これは・・・」

ξ゚⊿゚)ξ「呪文よ・・・わたしのは、まだまだ未熟で完成していないものだけど」

ξ゚⊿゚)ξ「今の私には・・・これだけしかできないわ」

(メ^ω^)「ありがとうだお・・・ローラ姫様」


ξ゚⊿゚)ξ

ξ;⊿;)ξ 「・・・あっ・・・ありがとう」

ξ;⊿;)ξ「ありがとう・・・ありが・・・とう・・・」
ξ;⊿;)ξ「・・・うぐっ・・・ひ、ひいぃ・・・あり・・・がと・・・」

(メ^ω^)



110: 2011/02/12(土) 21:41:51.94 ID:Gmb7lSQD0


姫の眼から、大粒の涙がこぼれる。

炎を照らし出されるその顔は、青白く痩せこけていた。

どれだけの時間、どれほどの苦痛を耐えて来たのだろう。

それは永久とも思える時の中で、この暗闇に束縛されて。


だが、それも今日までだ。


(メ^ω^)「・・・大丈夫だお、ローラ姫」

(メ^ω^)「もう、怖くないお。外の光を・・・」

(メ^ω^)「浴びにいこうお」

ξ;⊿;)ξ「ぐすっ・・・あああ・・・ああああぁぁん・・・!」



112: 2011/02/12(土) 21:46:15.93 ID:Gmb7lSQD0


ブーンは救った。


初めて人の命を。


例えようもなく尊く、儚い生命を。


何かが、心の中で溶けてゆく。


あの時救えなった命に対しての、贖罪のような気がした。




血みどろの氏闘の末――――――ブーンは勝利の栄光を掴んだのだ。





114: 2011/02/12(土) 21:49:04.24 ID:Gmb7lSQD0


ξ;⊿;)ξ「ぐしゅっ、ぐすっ・・・ああ・・・あなたの・・・名前を・・・聞かせて」

(メ^ω^)「僕の名前は・・・ブーン」


(メ^ω^)「ブーンだお」



心が、満たされていた。


晴れやかな気持ちだ。


まるで我々が望む、青空のように。



117: 2011/02/12(土) 21:51:49.74 ID:Gmb7lSQD0

ああ――――――温かい。


なんて温かいのだろう。


彼女の頬を伝い落ちる涙の暖かみが、人の幸福の象徴であるなら。


それが、平和の温もりの断片であるなら。


ξ;⊿;)ξ


(メ^ω^)



ブーンには――――――彼女の溢れ出る涙を、とめる事など出来ない。


to be continued...!!





120: 2011/02/12(土) 21:53:31.61 ID:Gmb7lSQD0


( ^ω^)ブーンの今のステータス


LV17

てつのおの
はがねのよろい
てつのたて


今回登場した敵

ドラゴン:強大な竜の魔物。魔物の中でも、最高ランクの強さを誇る種族。
      また、知能もすさまじく、多種族の言語を理解するなど、人間の
      知能を遥かに上回るとさえも言われる。
      体内に炎熱を発生させる器官をもっており、火の息で獲物を焼き頃す。



128: 2011/02/12(土) 21:59:44.87 ID:Gmb7lSQD0
以上で本日の投下分終了。

支援ありがとうおっおっお(;ω;)
このまえ、金曜に投下するとかいっといて今日になってすいませんでした

130: 2011/02/12(土) 22:12:34.75 ID:Gmb7lSQD0
ちなみに、今までto be continuedのdが抜け落ちていましたね
よく確認しろよですね・・・

次回の投下は金曜じゃなく、木曜か土曜になります
ご支援ありがとうございました!

134: 2011/02/12(土) 23:02:07.39 ID:53AQRE5hO
乙!続きが楽しみだ

次回:( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)【Lv.8】


引用: ( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)