1: 2010/08/16(月) 21:09:20.92 ID:/gJPAVT1O
唯「どうしたの、澪ちゃん? 突然大きな声で」

澪「い、いや、何でもない……」

澪(ななな、何が起こったんだ?)



唯「ふーん、変なの~」

唯「ブーンブンシャカブブンブンブーン♪」

澪「ひゃはぁぁっ!!///」ピクピクッ

澪(この感覚、自分の部屋でオn……あ、あんな事してる時と同じだ!)



律「ほほう……」ニヤリ
けいおん!Shuffle 3巻 (まんがタイムKRコミックス)

2: 2010/08/16(月) 21:12:25.11 ID:/gJPAVT1O
唯「もうっ、澪ちゃん!」

澪「うぅ……」

唯「人が気持ちよく歌ってる時に邪魔するのはマナー違反だよ!」プンスカ

澪「す、すまん、唯……」

紬「唯ちゃん、さっきから歌ってるその曲は何なの?」

唯「『ミツバチ』って曲だよ、私のなかで最近のベストヒット!」

紬「なんだか口ずさむだけで楽しくなっちゃう素敵な曲ね!」

梓「……唯先輩、ムギ先輩、それ皮肉じゃなくて本気ですか?」

紬「もちろんよ、ブーンブンシャカブブンブーン♪」

澪「はうんんんんん!!///」ピ-ンッ


4: 2010/08/16(月) 21:14:54.51 ID:/gJPAVT1O
唯「んもうっっ!!」プンスカ

澪「あ、ご、ごめん……」ハァハァ

梓「澪先輩……?」

紬「澪ちゃん……?」

澪「……ちょっと、トイレに行って来る」ガタッ

律「あっ、私も行く~」ガタッ

スタスタ

律「それで、さっきからどうしたんだ、澪?」ニヤニヤ

澪「くそっ、律……」ハァハァ

律「まさかとは思うけど、さっきの呪いが本当に……」ニヤニヤ

澪「そ、そんな訳ないだろっ!」

5: 2010/08/16(月) 21:18:25.38 ID:/gJPAVT1O
昼休み!

律「……あそこにいるの、オカルト研の人じゃないか?」

澪「あっ、本当だ」

律「どーもどーも、学園祭の時はありがとう」

オカ研1「……こんにちは」

律「今は何してんだ?」

オカ研2「世界各地の呪いについての考察、まとめていたところ」

澪「の、呪い!?」ビクッ

律「おー、どうした澪。怖いのか?」

澪「そそそ、そんな訳ないだろ。呪いなんてないさ、呪いなんてうそさ」

律「『おばけなんてないさ』ってか……。さっそく逃避に入ったな」

オカ研1「……嘘、じゃない」

6: 2010/08/16(月) 21:21:42.02 ID:/gJPAVT1O
律「あー、ごめんな。気を悪くしないでくれ。澪は幼稚園児並みの怖がりだからさ」

澪「何だよ、その言い方! わ、私は別に怖いんじゃなくて、そんなもの信じてないだけで」

オカ研1「……呪いは実在する」

オカ研2「どうしても信じないと言うならば、その存在を証明してみせる」

律「証明するって、どうやって?」

オカ研1「……秋山澪、あなたを呪う」

オカ研2「実際に呪いをかけて、その効力を身をもって知ってもらう」

澪「えぇっ!?」

律「おいおい、大丈夫なのか!?」

オカ研1「……大丈夫」

オカ研2「あなたにかけるのは、一番軽い効力の呪い。魂も穢れないし、すぐに解ける」

7: 2010/08/16(月) 21:25:06.84 ID:/gJPAVT1O
律「うーん。よくわからないけど、お試し感覚のかる~い呪いなんだな」

オカ研1「……そう」コクリ

律「それならいいんじゃないか、澪。かけてもらおうぜ」

澪「へっ!?」

律「呪いなんて信じないんだから、かけられても平気だろ?」ニヤニヤ

澪「ももも、もちろん! 呪いなんて迷信に決まってる!」

律(こいつはどうしてオカルト研の前でそういう事を言っちゃうかな……)

オカ研1「……そう」ムスッ

オカ研2「わかった。これから実際に呪いをかける」

律「イェーイ、やっちゃってください!」パチパチ

澪(もう、後には引けなくなっちゃったーーー!)

11: 2010/08/16(月) 21:28:54.44 ID:/gJPAVT1O
オカ研1「汝、悦楽に溺れし弱き者の……」ブツブツ

オカ研2「愚かなる人間の魂を喰らいて……」ブツブツ

律(なんか呪文のようなものを詠唱していらっしゃる……)

澪(さっき髪の毛を抜かれて、ちょっと痛い……)

オカ研1「……ふぅ」

オカ研2「終わった。秋山澪には呪いがかけられた」

澪「ひぇっ!」ビクビク

律「お疲れ様、どんな呪いなんだ~?」

オカ研1「……快楽天と呼ばれる呪い」

オカ研2「言霊によって、秋山澪は悪魔の快楽に身体を蝕まれる」

律「ふむふむ、その言霊ってのは何だ?」

オカ研1「……呪文のようなもの」

オカ研2「ある種の言葉には霊力が宿る。鍵となる言霊は、」

12: 2010/08/16(月) 21:31:05.33 ID:/gJPAVT1O
再び放課後!

律『Bu~n』

澪「ひぃっ!?///」ピクンッ

律「……って聞くと、全身を快感が駆け巡る。そんな呪い、ある訳ないよな?」ニヤニヤ

澪「……そ、そんなもの、ある訳ないだろっ!」

律『Bu~n』

澪「はぁっ!?///」ピクピク

律「あはははは。澪の反応、面白いなぁ~」ニヤニヤ

澪「く、くそっ……」ハァハァ

律「安心しろよ、10日も経てば自然に呪いが解けるって言ってたし」

澪「10日って、結構長い……」

13: 2010/08/16(月) 21:34:16.44 ID:/gJPAVT1O
律「さて、トイレに着いた」

澪「……」

律「どうした、早く済ませてこいよ?」

澪「へ、変な事するなよ」

律「何もしないって、さぁさぁ」

澪「うぅ……。大体なんで、トイレまでついて来るんだよ」

バタン

律「……」

澪「……」

律「ガンバンベ! 踊れミツバチ、Hey♪」

ガチャ

澪「やめろぉっ、その先を歌うなぁっ!!」

律「きゃはっ、冗談だよ、冗談!」

14: 2010/08/16(月) 21:37:47.88 ID:/gJPAVT1O
紬「……あっ、2人とも帰って来た」

唯「トイレタイムが長すぎだよ~」

律「悪い悪い、澪がすっごい便秘でさ~」

澪「そうやって根も葉もない話ばっかりするな!」ゴチン

律「はべっ!」

梓「それより澪先輩、律先輩。どうか唯先輩とムギ先輩を止めてください」

澪「ん、何かあったのか?」

梓「次のライブで『ミツバチ』を演奏するって言い出して……」

澪「なにぃっ!?」

唯「いいじゃん、やってみようよ~」

紬「他のアーティストの曲をカバーするのも楽しいわよ?」

梓「カバーはいいですけど、よりによってあんな酷い曲じゃなくても!」

17: 2010/08/16(月) 21:40:39.54 ID:/gJPAVT1O
律「いいんじゃないか、私は賛成~」ニヤニヤ

澪「り、律っ!」

律「実は私もあの曲が大好きなんだよね~」ニヤニヤ

澪「お前、昨日まで『糞曲だ』ってボロクソに批判してたじゃないか!」

唯「りっちゃん隊員もわかってくれますか、この素晴らしさを!」

紬「それじゃあ早速、今日から練習してみましょうか!」

梓「そ、そんな……」

澪「だ……」

律「だ?」

澪「ダメぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」バンッ

律「うわっ、澪がキレた!」

19: 2010/08/16(月) 21:42:59.47 ID:/gJPAVT1O
澪「ヤダ、ヤダ、ヤダ! 私は絶対に認めない!」ウルウル

律(目に涙を浮かべて、どんだけ必氏なんだ……。って、当然か)

唯「えー、いーじゃん、やろうよー。ブーブー」

澪「あふぅ!!///」ピクンッ

律(あっ、唯のブーイングに反応した。不完全でも言霊に認識されるんだな)

紬「私も、ブーブー!」

澪「はぁん!!///」ピクッピクッ

律(ムギ、えらい楽しそうだけど、本当にブーイングの意味わかってるのかな?)

梓「澪先輩、さっきから様子がおかしいですけど、大丈夫ですか?」

澪「と、とにかく、私は反対だからな……」ハァハァ



20: 2010/08/16(月) 21:45:58.17 ID:/gJPAVT1O
唯「澪ちゃんがそういう態度なら、私だって意地を張っちゃうよ!」

梓「唯先輩、何をする気ですか?」

唯「これから何の曲をやっても『ミツバチ』の詞で歌うからね、私!」

梓「……はぁ?」

唯「スタンバイOK、行くよギー太!」

澪「……な、何を?」

唯「ブーンブンシャカ、ブーンブンシャカ、ブンブン♪」ジャンカジャンカ
 (キミを見てると、いつもハート、DOKI☆DOKI)

澪「あふあぁっ!!///」ピクンピクンッ

唯「ブーリブリチャカ、ブーリブリチャカ、ビガッビガッ♪」ジャンカジャンカ
 (揺れる思いは、 マシュマロみたいに、ふわ☆ふわ)

澪「ひゃうんんんっ!!///」ピ-ンッ


21: 2010/08/16(月) 21:48:05.16 ID:/gJPAVT1O
梓「唯先輩、本当にやめてください。私たちの思い出を汚されたみたいで悲しいです」

唯「だってみんなが賛成してくれないんだもん~」

紬「これ、なんだか斬新で面白いかも!」

唯「でしょでしょ!?」

律「……なぁ、澪」

澪「あ、うー?」ハァハァ


律「いいか、お前が助かるには、唯たちに本当の事を話すしかないと思うぞ?」

澪「……」ハァハァ

22: 2010/08/16(月) 21:50:14.17 ID:/gJPAVT1O
唯「えーと、曲名は『ふわふわ時間 ~ミツバチver.~』かな」

紬「あと『わたしの恋はホッチキス ~ミツバチver.~』もいい感じね」

梓「唯先輩、ムギ先輩、私の話を聞いてましたか!?」

律「……あの調子だと、これから毎日のようにブンシャカ地獄になるぜ」

澪「はうっ」ピクッ

律「素直に呪いの存在を認めて、正直にお願いした方がいいんじゃないか?」

澪「わ、わかったよ……」

律「よしよし、いい子だ」ナデナデ

澪「うぅっ……」

律「さぁさぁ、みんな注目! ちょっと聞いてほしい事があるんだ!」

唯「ほえ?」

24: 2010/08/16(月) 21:56:20.38 ID:/gJPAVT1O
律「……という訳で、澪には今、呪いがかけられてるんだ」

澪「だからお願いだ、本当に『ミツバチ』だけは勘弁してほしい」グスッ

紬「そういう理由があるなら、無理にとは言えないわね」

唯「えー、でも……」

紬「唯ちゃん!」

唯「……わかったよ。澪ちゃんの呪いが解けるまで我慢する」

澪「ありがとう、みんな……」ホッ

律「これで快感地獄から救われたな、澪」

梓「でも律先輩、澪先輩が悶絶するのを見て楽しんでたんじゃないんですか?」

律「いやー、なんか澪が苦しそうだからさぁ。かわいそうに思えてきちゃって」

梓「……律先輩、手ぬるいです」ボソッ

律「……えっ、何か言った?」

梓「いえ、何も」ニコッ

25: 2010/08/16(月) 21:59:28.49 ID:/gJPAVT1O
澪「じゃあ練習しようか。『ミツバチ』じゃない、普通の曲な」

律「えーっ、もうちょっと休憩しようぜ。学園祭も終わったんだし」

澪「学園祭が終わっても、卒業しても、このバンドは続いていくんだぞ」

律「……何だよ、そんな普通にいい話しやがって」

澪「こういう時こそ、ちゃんと練習する事が大切なんだ」

紬「うん、わかった。食器を片付けたら練習に入るわ」

澪「ありがとう。私は先に始めてるよ、今日はまだ一度も弾いてないんだ」

ブォ-ン

澪「ひゃぁっ!!///」ピクンッ

紬「澪ちゃん、どうしたの?」

澪「い、いや、何でもない……」

律「今の反応、まさか……」

27: 2010/08/16(月) 22:04:48.34 ID:/gJPAVT1O
澪「も、もう一回、弾いてみよう……」オソルオソル

ブォ-ン

澪「きゃふぅっ!!///」ピクピク

律「やっぱり、そういう事か」

紬「りっちゃん、何が起こってるの?」

律「どうやらベースの音が『Bu~n』の言霊として認識されちゃうみたいだ」

紬「つ、つまり?」

律「澪がベースを弾くと、澪は限界までイき続けるって事だ!」

澪「そ、そんなぁ……」ヘナヘナ

唯「自分で自分をイかせるなんて、まるでオn」

律「唯、その先は言わない方がいいと思うぞ」

29: 2010/08/16(月) 22:07:56.12 ID:/gJPAVT1O
澪「これじゃ、練習なんてとても出来ないよ」

梓「えっ、練習しないんですか? 澪先輩らしくない」

澪「……梓、一連の流れを踏まえてそれ言ってる?」

律「そうだな、今日はなんか凄くみんなで練習したい気分だ!」ニヤニヤ

澪「律、お前は普段そんな態度じゃないだろ!」

紬「キーボード、準備できました」

唯「こっちもOKだよ、あとは澪ちゃんだけ!」

澪「……う、」

律「……う?」

澪「うわああああああああん!!」ダッ

律「あっ、逃げた」

梓「今日はもう澪先輩で遊べませんね」

律「梓、今『で』って言った?」

梓「いえ、別に」ニコッ

31: 2010/08/16(月) 22:12:30.07 ID:/gJPAVT1O
翌朝!

澪「うぅ、昨日は酷い目にあった……」

唯「澪ちゃん、おはよ~」

澪「唯か、おはよう。今朝は遅刻ギリギリじゃないんだな」

唯「その言い方、まるで私がいつも遅刻ギリギリみたいな!」

澪「事実だろ……」

ガラッ

姫子「おはよう」

唯「あっ、姫ちゃんだ。おはよ~」

澪「立花さん、おは……」

唯「朝の掛け声は!?」

姫子「ブーンブンシャカ!!」

唯「ブブンブーン!!」

澪「よおぉぉっっ!?///」ピクンピクンッ

33: 2010/08/16(月) 22:16:57.63 ID:/gJPAVT1O
姫子「澪ちゃん、どうしたの?」

唯「……そっか、澪ちゃんの前でブンシャカしちゃいけないんだった」

澪「はうっ」ピクピク

唯「ごめんね、澪ちゃん」

澪「あぁ、次から気を付けてくれると助かる……」

和「……何なのよ、今の一連のやり取りは」

唯「あっ、和ちゃん!」

和「まず唯と姫子の掛け声は何なのよ」

姫子「えーと、あれは、その」

唯「私と姫ちゃんは『ミツバチ』の絆で結ばれているんだよ!」

姫子「うん、まぁそんな感じ。ハハッ」

和「……もういいわ。姫子も今さら恥ずかしがらないでよ」

姫子「てへへ……」

35: 2010/08/16(月) 22:22:12.95 ID:/gJPAVT1O
和「それと、澪はどうしたのよ。いきなり変な声を出して」

澪「うん、実は昨日……」

カクカクシカジカ

澪「……という訳なんだ」

和「随分とふざけた話ね」

唯「和ちゃんは呪いって信じないの?」

和「まぁ、存在は認めるわ。ただし正体は別のものよ」

澪「別のものって?」

和「霊的な力じゃなくて、一種の催眠術よ。だから安心していいわ」

澪「そうなのか?」

和「澪は思い込みが激しいタイプだから、暗示にかかっちゃったのね」クスッ

唯「ふーん……」

姫子(あっ、唯ちゃんが何か企んでる)

37: 2010/08/16(月) 22:29:20.78 ID:/gJPAVT1O
昼休み!

「○月×日△曜日、お昼の校内放送を始めます」

澪「さて、お腹が空いちゃったな。お弁当を食べよう」

「今日の1曲目は、3年2組田井中律さんからのリクエスト」

澪「へぇ、律が何かリクエストを出したんだ。海外のロックバンドかな?」

「遊助の新曲『ミツバチ』です。どうぞお聞きください」

澪「……」ガタッ

「38℃の真夏日、夏祭り。こんな日は♪」ワチャカナドゥ

唯「あれ、澪ちゃん。どこに行くの?」

澪「何処か、できるだけ遠く! この放送の届かない場所へ!」

「ガンバンベ! 踊れミツバチ、Hey♪」

澪「いやあぁぁぁ、ばあぁかあぁりいぃつうぅ!!!」

39: 2010/08/16(月) 22:31:42.91 ID:/gJPAVT1O
律「あれ、澪がいない。一緒に弁当を食べようと思ったのに。いちご、知らないか?」

いちご「さっき奇声をあげて教室を出て行ったわよ」

律「……はぁ、何だそりゃ?」

いちご「こっちが聞きたいわよ、異様な慌てぶりだったし」

律(例の呪い関連かな?)

いちご「それより、律。軽音部のくせにアンタ、音楽の趣味悪いわね」

律「いきなり失礼な事を言うな、おい!」

いちご「お昼の校内放送に、あんな糞みたいな曲のリクエストを出すなんて……」

律「……んっ、それ何の話?」

いちご「だから、今日の校内放送。律が『ミツバチ』のリクエスト出したんでしょ」

律「いや、私そんなの知らないぞ?」

いちご「……えっ?」

44: 2010/08/16(月) 22:34:45.22 ID:/gJPAVT1O
その頃!

憂「梓ちゃん、一緒にお昼を食べようか」

梓「うん、いいよ~」

憂「さっき校内放送で流れた曲、最近お姉ちゃんが大好きなんだ~」

梓「あぁ、遊助の『ミツバチ』ね」

憂「そうそう。ちょっと私は歌詞の意味がわからないんだけどね」テヘッ

梓「あの曲、私がリクエスト出したんだ」

憂「えっ、そうなの? でも確か、律さんのリクエストって言ってたような」

梓「私が律先輩の名前でリクエストしたの」

憂「なんでわざわざそんな事を?」

梓「んー、ちょっとしたイタズラ心だよ」

憂「そうなんだ。梓ちゃんがイタズラするなんて、意外かも」

梓「……」ニヤリ

62: 2010/08/17(火) 00:43:21.49 ID:NPFDf/9yO
澪「はぁ、はぁ、はぁ……」

澪「息が苦しい、校庭まで全力で走って来たからな……」

澪「まぁ、それだけじゃないけど……///」

「次の曲は、3年2組琴吹紬さんからのリクエスト」

「ベートーヴェン、ピアノソナタ第8番『悲愴』より、第一楽章」

澪「スーッ、ハーッ。スーッ、ハーッ」

澪「よし、深呼吸したら落ち着いた」

澪「……落ち着いたら、怒りがこみ上げてきた」

澪「律、絶対に許さないからな。キッチリ仕返ししてやる!」イライラ

澪「そうと決まれば、あの人たちに協力してもらおう!」

63: 2010/08/17(火) 00:44:40.23 ID:NPFDf/9yO
律「もうすぐ昼休みも終わりだというのに、澪が帰って来ない……」

紬「さすがに怒ったんじゃないかな、『ミツバチ』のリクエストは……」

律「だから、あれは私じゃないってば!」

ガラッ

律「あっ、澪!」

澪「おぉ、律か」ニッコリ

律「さっきの校内放送だけど、あれ……」

澪「あぁ、律のリクエストした曲が採用されて良かったな」ニッコリ

律「え、あ、うん……」

ポンポン

律(ひっ、頭!)

澪「おかげで楽しい昼休みを過ごせたよ、ありがとう」ナデナデ

律(……その笑顔が怖すぎます、澪さん)

64: 2010/08/17(火) 00:46:11.66 ID:NPFDf/9yO
放課後!

澪「あっ、唯」

唯「澪ちゃん、どうしたの?」

澪「私、今日はちょっと部室に行くのが遅くなるから」

唯「うん、わかった」

澪「だからそれまで、好きなだけ『ミツバチ』を歌ってていいからな」

唯「……えっ?」

澪「唯は歌いたくて仕方ないのに、私に気を遣って歌えないだろ?」

唯「う、うん」

澪「私がいない間は、何の遠慮も要らないからな」

唯「……よくわかんないけど、ありがとう澪ちゃん!」

65: 2010/08/17(火) 00:50:21.09 ID:NPFDf/9yO
澪「……失礼しまーす」

オカ研1「……どうぞ」

オカ研2「あなたを待っていた。田井中律の毛髪は持って来た?」

澪「はい、これ! 頭を撫でるふりをして採取したんだ」

オカ研2「それは、自然な動作の中で採取できたという意味?」

澪「そうそう。誰が見てもバッチリ自然な、私と律の普段のやり取りだった」

オカ研1「……そういう事にしておく」

オカ研2「では早速、田井中律に呪いをかける」

澪「うん、お願いします。えーと、呪いの種類は確か……」

オカ研1「……エンゼルフェザーと呼ばれる呪い」

オカ研2「言霊によって、田井中律は天使の愛撫に身体を包まれる」

澪「ありがとう。それで、その言霊は……」

66: 2010/08/17(火) 00:58:37.44 ID:NPFDf/9yO
その頃!

律「やっぱり部室は落ち着くなぁ」ダラダラ

唯「卒業してもずっとここに住みたいねぇ」ダラダラ

紬「あっ、それ素敵! 毎日が学園祭の夜みたいになって!」

梓「本当に住み着かないでくださいね……。ところで澪先輩は?」

唯「何か用事があるみたい。遅れて来るって言ってたよ」

梓「へぇ、そうなんですか……」

唯「だから澪ちゃんが来るまでブンシャカやり放題なんだよ!」

紬「ブーンブンシャカブブンブーン♪」

律「ひゃっ!!」ビクッ

唯「りっちゃん、どうしたの?」

律「唯、変なところ触るなよ~」

唯「えっ、私は何もしてないよ?」

律「……あれ、マジで?」

68: 2010/08/17(火) 01:00:35.22 ID:NPFDf/9yO
紬「澪ちゃんが来るの遅くなるなら、先にティータイムを始めちゃおうか」

唯「うん、そうだね。紅茶とお菓子をお願いします、ムギちゃん!」

紬「わかりました~。しゃらんら、しゃらんら♪」

律「きゃははははっっっっ!!!!」ジタバタ

唯「ど、どうしたの、りっちゃん!?」

紬「なんだか楽しそうね~。しゃらんら、しゃらんら♪」

律「ひぃっ、ひぃっ、やめてぇぇっっ!!」ジタバタ

唯「……りっちゃんが笑い転げている」

梓「まるで狂っちゃったみたいな笑い方ですね」

唯「……あずにゃん?」

梓「いや、映画に時々出てくるじゃないですか。ダークナイトみたいな」

69: 2010/08/17(火) 01:02:34.88 ID:NPFDf/9yO
唯「おーい、りっちゃん。狂ったの?」

律「ち、違うっての、バカ……」ハァハァ

梓「顔も真っ赤だし、涙とよだれが溢れてますよ」

律「う、う、うるさい!」フキフキ

紬「紅茶の用意が出来たわよ~。しゃらんら、しゃらんら♪」

律「ム、ム、ムギ! それ、やめて、きゃはははっっっ!!!」ジタバタ

紬「えっ、私?」

律「そう、ムギが歌うと、全身がこそばゆくて仕方ないんだ……」ハァハァ

紬「歌……って、しゃらんら♪の事かな?」

律「そ、それそれぇぇっっ!!」ジタバタ

紬「あっ、ご、ごめん」

律「それを聞くと、まるで、身体中を誰かにくすぐられているような感覚が……」ハァハァ

71: 2010/08/17(火) 01:11:54.29 ID:NPFDf/9yO
唯「落ち着いてきたら、紅茶でも飲みなよ」

律「あぁ、ありがとう……」ズズッ

唯「ムギちゃん、今日のお菓子は何?」

紬「ラング・ド・シャーよ!」

律「きゃひひひひ、きた、来ちゃったぁぁっっ!!」バチャン

唯「うわっ、いきなり!?」

律「や、や、やめてぇぇっっ、助けてぇぇっっ!!」ジタバタ

梓「紅茶がスカートに溢れて、律先輩がお漏らししたみたいですね」

律「うる、ひゃい……」ハァハァ

紬「私、タオルを持って来るわ!」

律「おっ、お願い、ひまひゅ……」ハァハァ

72: 2010/08/17(火) 01:13:19.43 ID:NPFDf/9yO
唯「ねぇ、あずにゃん?」

梓「はい」

唯「この症状、やっぱりアレかな?」

梓「……呪いでしょうね。澪先輩の呪いとは、種類が違うみたいですが」

ガチャ

澪「やぁ、遅くなったな」ニッコリ

紬「澪ちゃん、りっちゃんが大変なの!」

澪「という事は、成功したみたいだな」

律「澪、お前、まさか……」ハァハァ

澪「悪いな、律。昼休みの仕返しをさせてもらったぞ」

律「だから私は無実だってばー!」

梓(面白くなってきた……)ニヤリ

73: 2010/08/17(火) 01:15:04.69 ID:NPFDf/9yO
唯「澪ちゃん、これってやっぱり呪いなの?」

澪「その通りだ。私の呪いと同じように、一番軽くてすぐ解けるやつ」

律「すぐって言っても10日くらいだろ、長いって……」

澪「それは私だって一緒だ!」

梓「でも澪先輩の呪いと、効果がちょっと違う?」

澪「あぁ。エンゼルフェザーと言って、全身を天使の羽根で撫でられる感覚だとか」

律「私がくすぐり苦手だって知ってるから、それを選んだだろ!」

澪「あれー、そうだったっけ。忘れてたよ、ハッハッハ」

律「くっそー、澪めっ!」

澪「ちなみに鍵となる言霊は……」

梓「言霊は……」ゴクリ

澪『Sha』

律「また、また、やはははっ、やびゃいぃぃっっ!!」ジタバタ

99: 2010/08/17(火) 10:32:06.31 ID:NPFDf/9yO
紬「りっちゃん、大丈夫? はい、このタオルを使って」

律「ありがと、ムギは私の天使だよ……」ハァハァ

紬「えへへ、どう致しまして」

律「まぁ今の私にとって、天使の羽根は凶器でしかないんだけど」

紬「えーと、喜んでいいの、私?」

律「このまま、やられっ放しのりっちゃんだと思うなよ?」

梓(律先輩の目に、復讐の炎がメラメラと……)

律「なぁ、唯!」

唯「ほえ?」

律「一番好きなコンビニは?」

唯「んーと、セブンイレブンいい気分♪」

澪「ひゃはぁぁっっ!?///」ピクンッ

100: 2010/08/17(火) 10:33:57.78 ID:NPFDf/9yO
律「よし、ヒット!」グッ

澪「は、反撃、だと……」ハァハァ

唯「あわわ、やっちゃった。澪ちゃんごめん!」

律「……次は、そうだな、みんなで練習しようぜ!」

澪「なっ!?」

律「もうティータイム終わりだからな、早く準備しろ~」ニヤニヤ

梓(律先輩、普段からそんな姿勢だったらいいのに)

律「さぁ澪、ベースを持て! ドラムは準備万端だぞ!」

ドコドコチンシャ-ン

律「って、きゃはああぁぁっっ!?」ビクンッ

紬「どうしたの、りっちゃん!?」

律「……えっ、何だよ、これ」ハァハァ

101: 2010/08/17(火) 10:35:47.64 ID:NPFDf/9yO
澪「まさかとは思ったが、本当にそうみたいだな」

唯「えーと、どういう事なの?」

澪「楽器の音でも言霊として認識されるのは、知っての通りだからな」

唯「つまり……」

澪「おそらくシンバルの音が『Sha』の言霊として機能して、律の身体は……」

律「くすぐったひぃぃっっ!!」ジタバタ

澪「私に攻撃するつもりだったんだろ、自業自得だ」

梓「結局、自分だけ苦しい思いをするなんて。間抜けですね」

律「うぅっ、言いたい放題言いやがって……」ハァハァ

梓「それで律先輩、練習を始めるんでしたっけ?」

律「する訳ないだろっ、もう帰るっ!」グスン

梓(あっ、とうとう泣いちゃった)

102: 2010/08/17(火) 10:41:22.50 ID:NPFDf/9yO
翌日!

律「澪のために新しい曲を作ったぜ!」

唯「えっ、りっちゃんが作ったの?」

律「いや、ムギが前に作った曲に歌詞を付けただけ」

紬「嬉しいわ、歌詞の無いまま放置されてる曲が結構あるから」

澪「それでどんな曲なんだ?」

律「曲名は『Heart Goes Boom!!』だ」

澪「たひゃ!?///」ピクッ

『喜怒哀楽 ジャズベのボディに 全部私が詰まってる
 春夏秋冬 二十四時間 うなるハートは無休
 Bo Boom Boom Boom Boom!!』

澪「いやっ、ひゃはぅんんんん!!///」ピ-ンッ

律「どうだ、喜んでくれたか?」ニヤニヤ

103: 2010/08/17(火) 10:42:28.37 ID:NPFDf/9yO
澪「……奇遇だな、私も新曲の歌詞を書いてきたんだ」ハァハァ

唯「澪ちゃんも?」

澪「ほら、この前ムギが作曲して、唯が途中まで歌詞を作ったやつ」

紬「あの曲が完成したのね、嬉しい!」

律「えーと、タイトルは何だっけ?」

澪「『Cagayake! GIRLS』だよ。Cメロから先が未完成だったからな」

『永遠にループする
 サイズ down↑ up↓ down↑ up↓
 でも気分いつでも
 up↑ up↑↑ up↑↑↑ & up↑↑↑』

律「おぉ、なかなかいい感じ……」

『Shining Shiner Shinyest
 Girls be ambitious & shine』

律「って、きゃははははぁぁぁぁっっっっ!?」ジタバタ

104: 2010/08/17(火) 10:44:20.74 ID:NPFDf/9yO
紬「最後のところ、リピート6回も……」

唯「何か凄まじいものを感じるよ、明るい曲と歌詞なのに……」

澪「どうかな、これ?」ニッコリ

律「ぜぇー、ぜぇー、ひゅー、ひゅー」ハァハァ

紬「りっちゃん、呼吸できる?」

律「な、何とか……」ハァハァ

梓「律先輩も澪先輩も、自分は無傷で相手だけ呪いが発動するような歌詞を……」

澪「いやー、そんなつもりは無かったんだけどなー」

律「あぁ、私も、ただ、澪のために、と思って……」ハァハァ

唯「2人とも、にらみ合ってて怖いよぅ」

105: 2010/08/17(火) 10:45:31.36 ID:NPFDf/9yO
梓(片方だけしか発動しないのは、正直まどろっこしい)

紬「りっちゃん、澪ちゃん、動機は何であれありがとう!」

唯「きっかけが何であれ、出来上がったものは本当にいいものだよ!」

梓(2つの言霊を考えると、最も効率的に呪いを発動させるには……)

律「何だよもう、人聞きの悪い言い方しやがって」

澪「まるで私が、のたうちまわる律を見たくて歌詞を作ったみたいじゃないかー」

梓「ブーンブンシャカブブンブーン♪」ボソッ

澪「にゃひぃぃっっ!!///」ピクピクッ

律「あっ、らめ、らぁぁっっ!!」ピクピクッ

紬「梓ちゃん!?」

唯「あずにゃん!?」

梓「あっ、すみません。つい口に出して歌っちゃいました……」

123: 2010/08/17(火) 14:47:30.02 ID:NPFDf/9yO
夜!

律「ただいま~」

聡「姉ちゃん、お帰り」

律「……何してんだ?」

聡「部屋の大掃除したら、色々懐かしいものが出てきた」

律「それ、いつまでも掃除が終わらないパターンだな」

聡「まぁまぁ。昔よく遊んでた、くだらないオモチャなんか眺めるのも楽しいよ」

律「気持ちはわかるけどな。んで、その手に持ってるのは?」

聡「スイッチを入れると、猿がシンバルを鳴らすやつ」

律「……待てっ、そのスイッチを入れるなぁっ!!」

聡「えっ?」カチッ

125: 2010/08/17(火) 14:49:19.13 ID:NPFDf/9yO
シャンシャンシャンシャン

律「ひゃははははははっっ!!」ジタバタ

シャンシャンシャンシャン

律「きひぃ、きひぃひひっっ!!」ジタバタ

聡「姉ちゃん、そんなに面白いのかよ……」

律「いや、ちが、そうじゃなくてぇぇっっ!!」ジタバタ

聡「気に入ったみたいだし、そのオモチャは姉ちゃんにあげるよ」

律「いら、いらな、ひぃぃっっ!!」ジタバタ

聡「じゃあ俺、部屋の掃除に戻るから」

シャンシャンシャンシャン

律「やっ、せめて、スイッチ切ってぇぇっっ!!」ジタバタ

126: 2010/08/17(火) 14:51:05.57 ID:NPFDf/9yO
律「……」ハァハァ

律「……笑い氏ぬかと思った」

律「聡のやつ、たったひとりの姉を頃す気かよ」

律「……ふぅ」

律「認めたくないけど、ちょっと気持ちよくなってきた///」

律「……」カァッ

律「くすぐられ過ぎて、イカれ始めてるな」

律「……とりあえず」

律「この猿のオモチャは貰っておこう」

律「いや、観賞用、ただ机の上に置いておくだけだから!」

律「……誰に向かって言い訳をしてるんだ、私は」

129: 2010/08/17(火) 14:54:40.49 ID:NPFDf/9yO
翌日!

教師「……そして1912年、中華民国の樹立とともに清は滅亡しました」

澪(世界史は受験で使うから、ちゃんと勉強しないとな)

教師「この時に起こった革命を何と呼ぶか、真鍋さん」

和「はい、辛亥革命です」

教師「正解。では辛亥革命の中心人物で、中華民国を建国したのは……」

澪(孫文か、基礎知識だな。……って、それを発音されると困る!)

教師「後ろの席の、平沢さん」

唯「はい、えーと、そn」

チョンチョン

唯(んっ、どうしたの姫ちゃん?)

姫子(『ぶん』って言ったら、澪ちゃんが困っちゃうよ!)

唯(あっ、そうか!)

131: 2010/08/17(火) 14:56:18.97 ID:NPFDf/9yO
教師「……平沢さん?」

唯「そ、それじゃなくて、毛沢東かなぁ?」

姫子(ナイス回避だよ、唯ちゃん!)

澪(よくやった、ありがとう唯!)

教師「違います、孫文です」

澪「ん~~~!!!///」ピクンッ

澪(一瞬安心したところに、不意打ちだなんて!)

教師「どうかしましたか、秋山さん?」

澪「いえ、何でもありません……」ハァハァ

唯(結局、回避できなかったよ……)

姫子(仕方ないよ、唯ちゃんは頑張ったって……)

132: 2010/08/17(火) 14:58:11.35 ID:NPFDf/9yO
教師「毛沢東は、別の革命の中心人物ですね。何だかわかりますか?」

澪(わかるよ、わかるけど、それは言えない!)

教師「騒がしかった秋山さんに答えてもらいましょうか」

澪(ひぇっ、そんな!)

教師「基礎的な知識だから、わかる筈です」

澪「はい、えーと……」ドキドキ

澪(これを言っちゃったら、私、授業中に、みんなの前で!)

澪「ぶ……」ドキドキ

澪(えぇい、仕方ない、もうヤケクソ!)

澪「ぶんか、大かくめぇぇぇっっっ!!!///」ピクンピクンピクン

澪(あぁ、私、文化大革命でイっちゃったよぉ……)

134: 2010/08/17(火) 15:02:10.43 ID:NPFDf/9yO
キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン

紬「澪ちゃんは頑張った、頑張ったよ!」

澪「うぅ……」

唯「別に誰もおかしく思ってなんかないよ!」

澪「そんな訳ないだろ……」

律「とにかく落ち込むなって、元気を出せよ!」

澪「元気、出せないよ……」

澪(事情を知ってるみんなが優しくしてくれる)

澪(それが余計に惨めな気持ちになるよ)

澪「うぅ、今日はもう帰りたい……」

164: 2010/08/17(火) 21:03:53.57 ID:NPFDf/9yO
お待たせしました

166: 2010/08/17(火) 21:06:17.03 ID:NPFDf/9yO
昼休み!

純「やっほー!」

梓「あぁ、純か」

純「突然ですが質問です! 梓はS? それともM?」

梓「んー、どっちかと言えばSだね」

純「なぁんちゃって、私は服のサイズを聞いただけでした~」

梓「……」イラッ

純「勘違いして答えてくれちゃったみたいだけどひべぇ!?」ギリッ

梓「うん、わかってたよ。服のサイズでしょ?」ニコッ

純「ほっぺた、ちゅねらにゃいでぇぇっっ!!」ギリギリッ

梓「サドって意味じゃなくてね、身体が小さいからSサイズかな、と思って」ニコニコ

純(サドだよ……。梓、あんたはサドだよ……!!)

167: 2010/08/17(火) 21:07:20.94 ID:NPFDf/9yO
梓「まったくもう。あんまりふざけた事ばっかりしてると、調教するよ?」

純「……えっ、調教?」

梓「それで、用件は特に無いの? 私、行くところがあるんだけど」

純「あれ、今の発言、サラッと流されちゃうの?」

梓「五秒以内に納得のいく返答が無かったから、もう行くわね」

純「ちょ、ちょっと待って、梓!」

梓「……何よ?」

純「この前の話、憂と相談してみたんだ」

梓「あぁ、そうなんだ。ありがと」

純「それで、結論としては……」

168: 2010/08/17(火) 21:10:01.23 ID:NPFDf/9yO
放課後!

エリ「ねぇねぇ、コーラ飲まない?」

律「おっ、サンキュ。でも珍しいな~」

エリ「えっ、何が?」

律「エリってコーラ大好きだから、手元にあったら全部飲んじゃうイメージ」

エリ「んー、これがペプシだったら自分で全部飲んじゃうな」

律「コカコーラは駄目なのか?」

エリ「駄目って訳じゃないけど、ペプシにこの身を捧げると誓ったからね!」

律「……じゃあなんでコカコーラ買ったんだよ」

エリ「アカネに頼んだら、赤いの買って来ちゃったんだもん」

律「そういう事ね。まぁいいや、ありがたく頂きます」ゴクゴク

澪「律、そろそろ部室に行くぞ」

律「ほいほ~い。エリ、ご馳走様!」

169: 2010/08/17(火) 21:15:43.50 ID:NPFDf/9yO
唯「ねぇ、ムギちゃん」

紬「ん?」

唯「今、この部室には私とムギちゃんしかいないよ」

紬「そうね」

唯「……やりますか!」

紬「はいっ!」

唯「ブーン☆ブン☆シャカ!!」

紬「ブブン★ブーン!!」

唯「ブーリ☆ブリ☆チャカ!!」

紬「ビガッ★ビガッ!!」

唯「……ふぅ、スッキリした~」

紬「久しぶりに部室でブンシャカしたわね~」

171: 2010/08/17(火) 21:17:19.64 ID:NPFDf/9yO
唯「澪ちゃんとりっちゃんがいると、こんな事できないからね~」

紬「私たちしかいない時、限定だもんね~」

ガチャ

澪「一体何を隠してるんだ?」

律「最後の方の会話しか聞こえなかったけど、仲間はずれは寂しいぞっ!」

紬「澪ちゃん、りっちゃん!」

唯「違うよ、2人がいない間にブンシャカしてただけだよ」

律「にゃははぁぅん!!」ピクンッ

澪「あふぁぁっっ!!///」ピクンッ

唯「あっ、またやっちゃった」

紬「こうならないように気を付けてたのに……」

173: 2010/08/17(火) 21:18:52.18 ID:NPFDf/9yO
澪「それにしても暇だな」

律「私たち、楽器も弾けない身体だからな」

唯「かと言ってブ……、『ミツバチ』も歌えないし」

紬「紅茶とお菓子でのんびりするくらいしか、やる事がないわね」

律「そうだ、私たちはのんびり紅茶を飲む事しかできない」ズズッ

澪「それって普段とあまり変わらないんじゃないか?」

律「いや、普段ならそろそろ、澪と梓が練習しようって言い出す頃だ」

唯「そう言えば、あずにゃんは?」

紬「まだ来てないみたい……」

ガチャ

梓「遅くなりました、今日はビッグニュースがありますよ!」

175: 2010/08/17(火) 21:33:16.23 ID:NPFDf/9yO
唯「あずにゃん、ビッグニュースって?」

梓「ふふふっ。この軽音部、私以外の皆さんは来年卒業してしまいますよね」

紬「そうね、寂しいけど……」

梓「そしたら部員が私一人になって、廃部になっちゃいますよね」

律「せっかく私たちが廃部寸前から建て直したのにな……」

梓「だから、新しい部員に入ってもらわないといけないですよね」

澪「梓、もしかして……」

梓「そう、軽音部に新しいメンバーの入部が決まったんですっ!」

唯紬律澪「おぉーーっっ!!」

梓「……まぁ、皆さんの予想通りのメンバーかもしれませんが」

律「確かに何となく予想はつくけど、紹介してくれよ!」

177: 2010/08/17(火) 21:34:31.71 ID:NPFDf/9yO
梓「まずベース担当、鈴木純です!」

純「どーも、失礼します……」テレッ

紬「ジャズ研でベースを弾いてる子よね、本格派じゃない!」

梓「続いてドラム担当、平沢憂です!」

憂「えへへ……」テレテレッ

唯「憂!?」

憂「ごめんね、お姉ちゃん。今日まで秘密にしておこうって約束したから」

唯「そうなんだ。えへへ、嬉しいなぁ、憂が軽音部に入ってくれて」

梓「そしてギター担当、中野梓。ひとまず3人いればバンドは組めます」

純「あとは何とかもう1人、部員を勧誘すれば……」

憂「軽音部は潰れないから、安心してください!」

唯紬律澪「わぁーーっっ!!」パチパチパチパチ

178: 2010/08/17(火) 21:36:03.20 ID:NPFDf/9yO
梓「じゃあ2人とも、準備して」

純「わかった。私のベースをアンプに繋いで、っと」

憂「律さん、ドラムセットお借りしますね」

唯「あれっ、何をするの?」

梓「入部の挨拶を兼ねて、この場で3人の演奏を披露したいと思います!」

澪「えっ?」

律「えっ?」

憂「お姉ちゃんに見つからないように、こっそりドラムの練習を頑張ったんだよ!」

純「入部するって梓に伝えたのが今日の昼休みだから、まだ3人で合わせてないんだけどね」

梓「まだバラバラかもしれないけど、今の私たちの演奏を聴いてほしいんです」

澪「えっ?」

律「えっ?」

185: 2010/08/17(火) 21:48:22.11 ID:NPFDf/9yO
梓「そろそろ準備は出来た?」

純「いいよ~」

憂「こっちも~」

梓「それじゃ、始めようか」

澪律「ちょっと待ってくれ!!」

梓「……澪先輩、律先輩、どうしたんですか?」

澪「その演奏、今日じゃなきゃダメかな?」

梓「えっ、どうして?」

澪「えーと、できれば10日後くらいにしてくれると嬉しいな、なんて」

律「そうそう、やっぱりこういうのは、3人で練習を積んでからの方が」

梓「今日は私たち3人にとって記念日なんです、今日じゃなきゃ……」ションボリ

189: 2010/08/17(火) 22:00:06.76 ID:NPFDf/9yO
純「これまでただの友達だった私たちが、一つのバンドになった日なんです」

憂「ご迷惑でなければ、今日、この日の私たちを、皆さんに聴いてほしいんです」

澪「いや、今日はちょっと、ね? 都合が悪いって言うか、ね?」

律「ちょっと色々あって忙しいかな~、みたいな、ね?」

梓「暇そうに紅茶を飲んでたじゃないですか」

澪「うっ!」

律「反論できないところを的確に……」

梓「わかった。きっと先輩たち、突然の事だから、照れちゃってるんだよ」

純「あっ、そういう訳ね」

憂「えへへ。照れなくていいんだよ、お姉ちゃん」

梓「だから私たちで勝手に始めちゃおう、ちゃんと聴いてくれるから」

純憂「おぉーっ!!」

192: 2010/08/17(火) 22:06:24.19 ID:NPFDf/9yO
梓「それでは聴いてください、『ミツバチ』です」

澪「選曲に悪意を感じるぞ!?」

梓「38℃の真夏日、夏祭り。こんな日は♪」ワチャカナドゥ

律「しかもお前が歌うのかよ、中野!?」

梓「ガンバンベ! 踊れミツバチ、Hey♪」

純「♪」ブォ-ンブォ-ン

憂「♪」ドコドコシャンシャ-ン

梓「ブーンブンシャカブブンブーン♪」

澪「あぐはふぁぁうんっ!!///」ピクピクッ

律「ふぁ、ひゃぎふぅぅっっ!!///」ジタバタ

193: 2010/08/17(火) 22:10:11.28 ID:NPFDf/9yO
紬「ベースとドラムの音だけでも呪いが発動しちゃうのに……」

唯「あずにゃんの歌まで加わったら、大変な事に……」

純「♪」ブォ-ンブォ-ン

澪(いっ、イったまま、収まらない、止まらない!?)ピクンピクンッ

澪(あたま、頭が、バカになっちゃう!?)ピクンピクンッ

憂「♪」ドコドコシャンシャ-ン

律(くすぐったい、気持ちいい、身体に、力が、入らない!?)ムズムズ

律(コーラとか、紅茶とか、色々飲んだから、漏れちゃう、かも!?)ムズムズ

梓「ブーンブンシャカブブンブンブーン♪」

澪「あへらああああぁぁぁぁっっっっ!!!!////」ピ-ンッ

律「出ちゃううううぅぅぅぅっっっっ!!!!////」ジョロロロロ

196: 2010/08/17(火) 22:15:44.61 ID:NPFDf/9yO
ジャジャ-ン

純「……ふぅ」

憂「……ほっ」

梓「どうでしたか、私たちの演奏は!?」

澪「あひゃ、しゅ、しゅごい……」ハァハァ

律「すごすぎて、漏らしちゃった……」ハァハァ

梓「ありがとうございます!!」

紬「いい笑顔ね、梓ちゃん……」

唯「あんなに満足そうなあずにゃん、初めて見たよ……」

梓「それじゃ、明日からもよろしくお願いしますね!!」

唯「……明日からも?」

198: 2010/08/17(火) 22:20:32.70 ID:NPFDf/9yO
純「これから毎日、先輩たちの前で『ミツバチ』を披露します!」

憂「私たちの成長を、日々見守ってください!」

澪「えっ?」

律「えっ?」

紬「純ちゃんと憂ちゃん、呪いの事は知ってるのかしら?」

唯「知らないんじゃないかな。つまり、容赦ない犯人はただ1人……」

律「……中野!」

澪「……梓!」

梓「という事です、よろしくお願いします!」ニッコリ

澪律「やめてくれぇぇっっ!!」



おわり?

201: 2010/08/17(火) 22:22:50.01 ID:NPFDf/9yO
以上で本編は終わりです、ありがとうございました

唯「ブーンブンシャカブブンブーン♪」澪「ひゃぁ!!///」番外編

引用: 唯「ブーンブンシャカブブンブーン♪」澪「ひゃぁ!!///」ピクンッ