1: 2011/06/16(木) 22:15:31.75 ID:j4eDbj7L0
ロレンス「そうだな、なんでも最近東の方で流行しているらしいんだが」

ホロ「そのワンナウツとやらは何じゃ?」

ロレンス「なんでもリンゴほどの大きさの球を木の棒で打つものらしいが」

ホロ「リンゴを叩き割るとは不届き者のする事じゃの」

ロレンス「実際にリンゴを叩き割ると思うか?」

ホロ「んふ、主ならそんなもったいない事はやりんせん、なぜなら」

ロレンス「なぜなら?」

ホロ「リンゴは大事な商品じゃからな」

ロレンス「そうだな、お前のご機嫌をとるために必要だ」

ホロ「んむ」

2: 2011/06/16(木) 22:16:26.51 ID:j4eDbj7L0
ロレンス「で、どうする? 荷物は宿場に置いてきたし今日は街を適当に歩くか?」

ホロ「そうじゃな、まずは」

ロレンス「腹ごしらえ、だろ?」

ホロ「それではわっちぁいつも腹をすかせているみたいでありんす」

ロレンス「なんだ? 違うのか」

ホロ「わっちはヨイツの賢狼ホロじゃ」

ロレンス「神様であろうとも空腹になれば腹が減る」

ホロ「わっちの舌は世に存在するありとあらゆる美味いモノを食べる為にあるからの」

ロレンス「よく回る舌だな」

ホロ「朝飯前じゃからな」

ロレンス「くく」

5: 2011/06/16(木) 22:18:17.93 ID:j4eDbj7L0
ホロ「ほれ、さっさと行くぞ主や。背中とお腹がくっついてしまいんす」

ロレンス「そうだな、お前に食べられてしまう前に出かけることにしよう」

ガヤガヤ

ガヤガヤ

ホロ「……」ゴクゴク

ホロ「プハーーッ」

ホロ「朝から飲むぶどう酒は格別じゃの」

ロレンス「おいおい、酔いつぶれるなよ」

ホロ「誰に言っているのかや?」

ロレンス「……ほどほどで頼む」

ホロ「んむ」

ガヤガヤ

ガヤガヤ

7: 2011/06/16(木) 22:20:29.08 ID:j4eDbj7L0
「で……その」

「ワン……ナウツ……が……」

「……儲かる……」



ホロ「……」ピク

ロレンス「ん? どうした?」

ホロ「主や」

ロレンス「なんだ?」

ホロ「この酒場は随分屈強な男が多い様じゃの」

ロレンス「そういわれてみればそうだな……、水揚場があるわけでもなし、傭兵というわけでもなさそうだ」

8: 2011/06/16(木) 22:23:39.14 ID:j4eDbj7L0
ホロ「あそこのスミの二人」

ロレンス「ん……? 随分ヘンな格好をしているな」

ホロ「先ほど’ワンナウツ’と言っていた」

ロレンス「ワンナウツ? ああ、さっきお前としゃべっていたあのワンナウツか?」

ホロ「んむ、それが’儲かる’とも」

ロレンス「……儲け話か……、どういう事だ……?」

ホロ「……」

ロレンス「……」

ホロ「主や」

ロレンス「ん?」

ホロ「すっかり商人の顔になっておるの」

ロレンス「っと、スマン……今日はお前とゆっくり羽を伸ばすんだったな」

10: 2011/06/16(木) 22:27:40.42 ID:j4eDbj7L0
ホロ「羽を伸ばすも何も、そもそも主様は空など飛べぬではないか」

ロレンス「おいおい……怒るなよ」

ホロ「怒ってなどありんせん、ただ」

ロレンス「ただ?」

ホロ「主はこんな時でも主なのじゃなと思っただけじゃ」

ロレンス「当たり前だ」

ホロ「む?」

ロレンス「俺は’街’商人ロレンスだからな」

ホロ「ふふ……久々に行商人時代を思い出すの?」

ロレンス「そうだな」

ホロ「やれやれ……、たまの休みに出かけてみればコレじゃ。……いいじゃろ、好きにするがよい、その方がわっちも楽しいからの」

11: 2011/06/16(木) 22:31:49.32 ID:j4eDbj7L0
ロレンス「お前はどうする?」

ホロ「看板娘は建物が無ければ存在できないんじゃ」

ロレンス「ならば建物はより強固であるほど良い」

ホロ「んむ」

ロレンス「店主、あそこの二人に葡萄酒を」

店主「ヘイ、毎度」

ロレンス「失礼、そこのお二方」

ゴト

「お? 悪いね兄ちゃん」

ロレンス「いえ、こんな愉快な休日の朝には葡萄酒が飲みたくなるものです」

「そうだな、全く愉快だ!」

ロレンス「見たところ変わった格好をされているみたいですが」

「ああ、これは野球のユニフォームってやつだよ」

ロレンス「やきゅう?」

12: 2011/06/16(木) 22:35:47.64 ID:j4eDbj7L0
「ああ、昨日の夜もコレで一儲けしてきたとこだ」

ロレンス「’ワンナウツ’……というものでしょうか?」

「お? なんだ兄ちゃんも知ってるのか?」

ロレンス「話だけは」

「ふふ、いいぜアレは」

ロレンス「そんなに儲かる話なのですか?」

「ああ、ウデに自信さえらればな」

ロレンス「ぜひ教えていただきたいものです」

「葡萄酒の礼だ、それに今は気分が良い。教えてやらァ」

ロレンス「本当ですか?」

「夜、太陽が沈んだらもう一度この酒場に来るんだな。連れてってやるぜ」

ロレンス「一体どこに連れて行ってもらえるのでしょうか?」

「決まってんだろ、最高にイカした所だよ」

13: 2011/06/16(木) 22:38:18.30 ID:j4eDbj7L0
ホロ「で」

ロレンス「ん?」

ホロ「もうすぐ日暮れじゃが」

ロレンス「そうだな」

ホロ「行くのかや?」

ロレンス「ああ」

14: 2011/06/16(木) 22:40:07.77 ID:j4eDbj7L0
ロレンス「やぁ、お待たせしました」

「お。来たきた、そんじゃ行くか」

ホロ「……」

ロレンス「どこに行くのですか?」

「すぐ近くの河原だよ」

ロレンス「河原……?」

「ああ」

ロレンス「そこで一体何が」

「着けばわかるさ」

15: 2011/06/16(木) 22:42:56.86 ID:j4eDbj7L0
テクテク

テクテク

ロレンス「ん……? なんだか明かりが付いているな」

ホロ「そのようじゃな」

「さあ、ついだぜ」

ロレンス「……?」



東亜に10!

俺も10だ!



ロレンス「これは……」

ホロ「賭博……かや?」

16: 2011/06/16(木) 22:45:09.81 ID:j4eDbj7L0
東亜の勝ちだ!

ガハハ! もうけ!


ロレンス「ワンナウツ……、賭け事だったのか」

「どうだ、兄ちゃんもやってくだろ?」

ホロ「どうするのじゃ主や?」

ロレンス「一先ず様子を見てみるか……」

19: 2011/06/16(木) 22:48:16.05 ID:j4eDbj7L0
渡久地「……」

ホロ「む? なんじゃ」

渡久地「いや、なんでも」

ホロ「わっちの顔に何かついておるかの?」

渡久地「あんた……違うね」

ホロ「!」

渡久地「渡って来た場数が違う……そこらの人間とは明らかに違う空気を持っている」

ホロ「……」

渡久地「……」

ホロ「さぁ、なんの事かの。わっちぁ売れない萬屋ただの看板娘じゃ」

20: 2011/06/16(木) 22:50:02.20 ID:j4eDbj7L0
ロレンス「誰が売れない萬屋だ」

ホロ「おや? 誰かと思えば店主様」

ロレンス「こんにちは、クラフト・ロレンスです」

渡久地「……」

ロレンス「こいつが何かしましたか?」

渡久地「……」プイ

スタスタ

ロレンス「……なんだ? 無愛想な人だな」

21: 2011/06/16(木) 22:53:12.80 ID:j4eDbj7L0
ホロ「主や」

ロレンス「ん?」

ホロ「あやつには気をつける事じゃ……」

ロレンス「まさか、悪魔憑き?」

ホロ「違う、おそらくはただの……いや、わっちにもよくわからぬ……。じゃが……自信が溢れておる、行動ひとつひとつに」

ロレンス「……まぁ、お前が気をつけろというならそうするさ」

ホロ「んむ」

ロレンス「ん? どうした」

ホロ「なに、主もあれくらい自信に満ち溢れていると良いなと思っただけじゃ」

ロレンス「な」

ホロ「くふ」

22: 2011/06/16(木) 22:58:49.47 ID:j4eDbj7L0
ロレンス「ワンナウツ、どういうゲームかわかったぞ」

ホロ「何じゃ?」

ロレンス「ワンナウツはボールを投げる側と、それを打つ側の二つが勝敗を競うようだ」

ホロ「んむ」

ロレンス「投手の後方に引かれた線を越せば打者の勝ち、越されなければ投手の勝ち」

ホロ「なるほどの」

ロレンス「打者はその他に三振しても負けのようだ」

23: 2011/06/16(木) 23:03:38.82 ID:j4eDbj7L0
その後全財産を掛けたロレンスは渡久地東亜の投球術の前にあっさり敗北してしまう。

財産を失った二人は店を売却して行商人になるもすぐに借金取りに追われ捕まってしまう。

ホロは借金のカタになり地主に売られ、ロレンスは奴隷商に買われ操舵手として重く長い人生を過している。

あの時軽い気持ちでギャンブルなどに手を出した二人の末路がこれだ。

ギャンブル、ダメ、ゼッタイ。

おわり。

26: 2011/06/16(木) 23:10:01.99 ID:WNYGYep80
ここはせめてバカブーズまではやれよ

27: 2011/06/16(木) 23:11:30.01 ID:YWtbcOC70
あれ?児島さんは?

引用: ホロ「ワンナウツじゃと?」