1: 2007/03/08(木) 20:44:05.19 ID:Zdm4sEiz0

36: 2007/03/08(木) 21:02:32.26 ID:XNqnwMTKO
「沙都子!…おれの玉を……頃してやる…」


今度は阿部がはいずりながら近付いて来た。

沙都子はなるべく阿部の方を見ないように努めた。

ノロノロとではあるが、確実に、阿部は沙都子に近付いて来ている。

手にはドライバーが握られていた。
くそみそテクニック スクリーンクリーナー 阿部さん

91: 2007/03/08(木) 21:21:07.08 ID:XNqnwMTKO
「お願い…開いて……ンンンンンッ!」


沙都子は最後の力を振り絞ってシャッターを押し上げた。

もう阿部が手を伸ばせば届く程すぐそこまで来ていた。急がなくては…。


そして、ようやく沙都子が這って出られる位の隙間が開いた。


沙都子は腹這いになるとシャッターの隙間か這って外に脱出した。

やった!これで助かる…。


だがその刹那…突如としてシャッターの隙間から阿部の手が伸びてきて沙都子の足首を掴み、再びガレージの地獄へと引きずり込もうとする。


「イヤッ!……イヤァ!」

123: 2007/03/08(木) 21:31:24.33 ID:XNqnwMTKO
「イヤアアアアア!…イヤッ!」


沙都子は片足で踏ん張り、地面をひっかいて何とか逃げだそうとした。

しかし阿部の物凄い力のまえに無情にも再び、ガレージへと引きずり込まれていく、足首…ふくらはぎ…太股…。

多分下半身が完全に中に入れば全てが終わりだろう。


沙都子は地面に僅かに生えていた雑草の束を掴み、何とか引きこまれるのを阻止しようとした。


「ングっ……ウウッ…」


ふくらはぎに阿部の熱い息がかかるのを感じた。

149: 2007/03/08(木) 21:42:10.97 ID:XNqnwMTKO
ドライバーがふくらはぎに突き立てられるのを感じた。


「ングゥ……ウアアッ…」


足に激痛が走る。

沙都子はヤケクソになって隙間から阿部の顔と手首を掴む手を蹴り続けた。


そして何度も何度も蹴りつけ、ようやく足首から手を引き剥がした。沙都子はすぐに立ち上がると、片足をかばうように走り出した。

176: 2007/03/08(木) 21:54:42.35 ID:XNqnwMTKO
沙都子は林道を走って逃げた。もし走っていなければ沙都子は泣き出していたかもしれない。


ようやく…ようやく…あの地獄から逃れる事が出来たのだ。


沙都子が暗くなりかけた林道を走っていると、前から人影がこちらに歩いて来る事に気が付いた。


「助けて!…助けて!…」


沙都子は大声でその人に助けを求めた。その声に気付いたのか人影がこちらに走って来る…これで…これで助かる…。

200: 2007/03/08(木) 22:07:15.76 ID:XNqnwMTKO
「沙都子ちゃん…どうしたの?」


その人影は魅音だった。


「うわぁ~ん!魅音…怖かった…怖かったよ~。」


魅音だと分かるやいなや沙都子は魅音に抱きついた。


「阿部さんが…阿部さんが…」


「大丈夫だよ、もう心配いらないよ。おじさんが守ってあげるからね…。さ、行こうか…。圭ちゃんも待ってるしさ。」


魅音は沙都子と手を繋いだ…がっちりと…。

223: 2007/03/08(木) 22:16:19.29 ID:XNqnwMTKO
阿部は沙都子に散々足蹴にされ、ついに沙都子を逃してしまう。


沙都子の足跡が遠ざかって行くのが聞こえた。

俺は何と卑しい男なのだろうか…激情にかられて富竹を頃して、ただ目撃されたからといってかけがえのない友達を殺そうとした…。


本当は…本当はこれで良かったのだ。沙都子やほかの皆はは生き残り、幸せに暮らし、俺はブタ箱へ行く…。


これが一番理想的なのかもしれないな。阿部は目に涙を浮かべながら天井を仰いで笑った。


自分自身の滑稽さと…情けなさに…。

241: 2007/03/08(木) 22:24:12.37 ID:XNqnwMTKO
だがいつまでもこうしてはいられなかった…。


例え逮捕されようとも俺には雛見沢の秘密を解き明かす義務がある。


阿部は立ち上がると富竹を雇い、俺を監視させた張本人である鷹野三四を問い詰めるため、血生臭いバンに乗り込み、診療所へと急いだ…。


だがおかしい…。何故か足音が一つ余計に聞こえる気がしてならなかった…。

273: 2007/03/08(木) 22:39:31.58 ID:XNqnwMTKO
阿部は診療所へと暗く不気味な夜道を車で走らせる…。


後部座席に人の気配がする……。明確な…はっきりしたものではないが…ぼんやりと…弱々しく、まるで陽炎のようにそこに存在するかのように…。


阿部にはバックミラーを見ることが躊躇われた。

こういう時ホラー映画では必ずと言って良いほどバックミラーに何かが映っている…。


阿部は…出来るだけ後ろを意識しないように車を診療所へと走らせた。

278: 2007/03/08(木) 22:48:15.21 ID:XNqnwMTKO
阿部は何とか診療所へとたどり着く…。


相変わらず不気味だ。


阿部は玄関までまっすぐに進むと、施錠されてある正面扉を一撃で蹴破る。

鈍い音がして鍵がひしゃげ、扉はあっさりと診療所へと阿部を招き入れた。


相変わらず酷い臭いがする…長年蓄積された氏の臭い…。

283: 2007/03/08(木) 22:53:18.72 ID:XNqnwMTKO
診察室の電気がついていた。阿部は迷わず診察室のドアを押し開けた。


診察室では鷹野三四が何か書類を書いている最中だった。


面食らった様子の鷹野三四の顔に阿部はためらわずに富竹が隠し撮りした写真全てを叩き付けた。


「一体全体これはどういうことなのか説明してもらおうじゃないか!?看護婦さんよ!!」


鷹野三四の顔色が変わる……焦りと恐怖の色に…。

294: 2007/03/08(木) 23:05:17.55 ID:XNqnwMTKO
「これは……その……」


鷹野が言葉に詰まった。


「お前は富竹に依頼して俺の写真を隠し撮りさせていたそうだな。何故こんな事をしたんだい?」


阿部が鷹野に詰め寄る。鷹野は明らかに阿部に対して脅威を感じていた。


「あの…私…貴方の事が好きでそれで…」


「俺の写真を手に入れる為に富竹を雇った…と言いたい訳だな?」


鷹野がコクリとうなずく。


「看護婦さん、アンタ俺を舐めてんのか?」

297: 2007/03/08(木) 23:07:23.23 ID:Nqaoxvxc0
その言い逃れはムリがありすぎるんだぜ鷹野さん

298: 2007/03/08(木) 23:08:04.02 ID:nmTt97jr0
阿部さんこええwwww

313: 2007/03/08(木) 23:17:37.67 ID:XNqnwMTKO
鷹野は下を向いたまま答えた。


「…いや…舐めてなんか…。」


「正直に話す楽な道と、尋問される苦しい道とどっちがいいんだい?看護婦さん。」


阿部は腰からドライバーを取り出して、彼女のムカつく位にデかい胸にあてがう。


「そんな…突然押し掛けて来てそんな…。」

344: 2007/03/08(木) 23:34:29.00 ID:XNqnwMTKO
「……どうなんだい看護婦さん。言うのか…?言わないのか…?」


「言ったら…祟られる…この村では知っていい事と悪い事があって、知らない方が幸せな事もあるのよ!!」


「じゃあ言わないのかい?…苦しい方を選ぶのかい?」


阿部はドライバーの先で胸をグリグリとつつきながらたずねた。


返事はなかった。


「頼む!言ってくれ!俺はこれ以上人を傷付けたくないんだ!」


阿部は言った。返事はなかった。

351: 2007/03/08(木) 23:46:00.36 ID:XNqnwMTKO
「そうか…本当に残念だよ。」


阿部はドライバーの柄で鷹野の頭を打ちすえた。
アッ、と短い悲鳴を上げて、鷹野が椅子からころげ落ちた。


よつんばいになって苦しむ鷹野の脇腹を思い切り蹴り上げる。


鷹野は胃液と胆汁を嘔吐した。


「気は変わったか?まだか?そうか…」


阿部は再び鷹野の脇腹に蹴りをいれた。

376: 2007/03/08(木) 23:59:50.98 ID:XNqnwMTKO
「ゲホッ…ゲホッ……ウウウッ……」


鷹野が脇腹を押さえて苦しむ…。


「ホラ、立つんだ!」

阿部は鷹野の髪の毛を掴み、そのまま彼女を引っ張りあげた。


「お願い…お願いだから…許して…。」


「じゃあ言うかい?」


再び彼女は黙る。富竹の時と同様に阿部の中で何かが破裂しそうになった。

「まただんまりか…面白い…。

585: 2007/03/09(金) 15:36:21.53 ID:0DgAM+tmO
「お願いだ…看護婦さん…お願いだからそろそろ喋ってはくれないか?何で俺を監視なんかしてたんだい?まさかアンタまだオXXーのオカズに使うなんて陳腐な事は言わないよな?」


「フゥ…フゥ……フゥ…お願い…言えないのよ…お願いだから…今日は帰って…。」


「悪いがそれは出来ないんだよ…。時間がないんだ。」


「…確かに時間が無いわね……綿流しの祭は明日ね。」


「アンタ……富竹と一緒に土の中でオネンネは嫌だろ?」

590: 2007/03/09(金) 15:44:04.91 ID:0DgAM+tmO
阿部は鷹野の白衣の襟を掴むと、無理矢理診察用のベットの上に押さえ付けた。


鷹野が手足をバタバタさせて必氏になって抵抗する。


「ヤだ!…ヤだ!……乱暴は止めて!」

ベットの上に押さえ付けられ、抵抗する彼女のサラサラした金髪が乱れ、顔にかかる。何と卑猥な構図だろうか。

600: 2007/03/09(金) 15:56:20.23 ID:0DgAM+tmO
「俺がゲOだからって…女を食わないとでも思ったのか?……必要に迫られれば例え動物だろうが躊躇わずだぜ?」


阿部は鷹野の両肩を掴んだ。凄い力であった。



阿部が、素早い動きで鷹野の体を押さえ込んだ。


「止めて下さい、お願い。」


鷹野は、阿部の首や背中を拳で激しく叩いた。


無駄な抵抗であった。

613: 2007/03/09(金) 16:07:28.99 ID:0DgAM+tmO
阿部は片手で鷹野の体を押さえたまま白衣のボタンを一つ一つ…わざわざゆっくりと外していく。


鷹野の体から力が抜けていく。


抵抗することの無駄を知ったのだろう。いつもは気丈で冷酷な鷹野の目から涙があふれ出た。


阿部は落ち着いた様子で最後の白衣のボタンを外す。




「さあ…吐くんだ三四…でないと取り返しのつかない所までいくんだぜ?」


鷹野は涙を流しながら、決して阿部と目を合わせんとするかのように顔を横に向け、口を固く結んで押し黙っていた。

679: 2007/03/09(金) 17:34:16.91 ID:0DgAM+tmO
「…分かった!!……分かったわ!…言う!言うからもう止めて!」


ついに鷹野が観念したのか、泣きながらそう言った。


「よし……じゃあ話してもらおうか……真相を…。」


阿部はつなぎのジッパーを上げて、鷹野のずれたブラジャーを戻してやりながらたずねた。


「実は私……オヤシロ様の使いなの…。」


鷹野がパンティを上げて、ガーターベルトを留めながら言った。


「オヤシロ様って……一体何者なんだい?」

687: 2007/03/09(金) 17:42:33.83 ID:0DgAM+tmO
「それは……言えない……。だけどお告げがあって…あなたを見張れって…」


「じゃあ君はオヤシロ様のお告げだか何だか知らないが、そのお告げで俺を監視したのかい?」


「ええ」


「馬鹿げてる…実に馬鹿げてるよ。」


「あなた…祟られるわよ?」


「ああそうかい、じゃあもうとっくに祟られてるよ。で、そのオヤシロ様ってのは何処に奉られてるんだい?」


「…偶像的な仏像は神社に……本体は…園崎家の地下に…。」


「魅音の家に地下があるのか?」

711: 2007/03/09(金) 18:16:06.11 ID:0DgAM+tmO
阿部の追求するような執拗な目に、鷹野が躊躇いがちに目を伏せた。


「教えてくれないか…園崎家の地下の事を…。」


「…ええ…可能な範囲で答えるわ…。」


鷹野が目を伏せたまま、机にもたれかかるように腰かけて語り始めた。


「園崎家の地下はね…そこだけぽっこりと空洞になっていて、井戸に偽装した入り口から中に入る事が出来るのよ…。空洞は遥か昔に起きた火山の噴火によって出来た物と考えられているわ。」


「なるほど…天然の地下室って訳か。」


鷹野がコクンとうなずく。


「地下には…湖があって…皆はそこの事を鬼ヶ淵沼って呼んでる…。」



723: 2007/03/09(金) 18:26:15.76 ID:0DgAM+tmO
阿部は腰かけていたベットから興奮気味に立ち上がった…。


「是非行ってみたい……所で魅音の家は分かるか?」


「ええ、地図があるわ…」


鷹野が腰かけていた机の引き出しから地図を抜き取った…。

その時、一枚の写真が、引き出しからこぼれるようにしてヒラヒラと舞い、阿部の足元に落ちた。


途端に鷹野の顔色が変わる。


そして何かやましい事でもあるかのように急いで屈み込み、写真を拾おうとした。


だが阿部の方が一瞬早かった。阿部は素早く写真を摘みあげた。

750: 2007/03/09(金) 19:01:34.69 ID:0DgAM+tmO
阿部はその写真をまじまじと覗き込む。


鷹野が今までとは比べ物にならないほど不安げな表情を浮かべて、写真を眺める阿部を見つめた。


写真には二人の男女が仲良さそうに並んで写っていた。


一人は学生時代だと思われる若々しい制服姿の鷹野と思われる少女で、もう一人は…。


詰め襟姿の阿部と瓜二つの少年…。


阿部の気圧が急降下した。

阿部は混乱した。

762: 2007/03/09(金) 19:13:06.28 ID:0DgAM+tmO
古ぼけた……セピア調の写真を前に…阿部は…言い知れぬ衝撃を受けて、立ち尽くす。


これは…これは…何かの間違いだろ?


呆然とする阿部の手から鷹野はその写真を奪い取ると、バラバラに破り始めた。


「おい……何なんだい…その写真は…。」


阿部は鷹野に詰め寄った。鷹野が不安げな表情を浮かべたまま後ずさる。


「言えないの……許して……許して……」


阿部の全身から汗が突如として大量に吹き出る。阿部は激しい嘔吐感にみまわれた。


めまいがする…世界が反転する…。


混沌のフィルムはクライマックスへ向けて、回る…回る…回る…。

765: 2007/03/09(金) 19:22:51.03 ID:0DgAM+tmO
阿部の背後から足音が聞こえた。


それはさっきよりもより鮮明に、はっきりと阿部の耳に届いた。


「うわあ!」


恐慌状態の阿部は背後に向かってがむしゃらにドライバーを振り回した。勿論そこには誰もいなかった。


「もう……もう帰ってよ…。」


鷹野が真っ青な顔で阿部に呟いた。


無論、その言葉は今の阿部には理解する事が難しかった。
鷹野の存在に気付いたかのように阿部がドライバーを振り回すのを止めて鷹野の方を凝視する。



769: 2007/03/09(金) 19:30:48.73 ID:0DgAM+tmO
「なあ…教えてくれよ……それは一体なんなんだよ……。」


阿部が鷹野ににじり寄ると、肩に掴みかかった。

肩の骨が砕けそうな程に、手に力を込める。


「帰ってよ!……帰ってよ!」


「何なんだよ…おい…おい!!」


阿部は鷹野の頭が人形のように激しく揺れる程、彼女の体を揺さぶる。


「止め…て……離して!」


その懇願は阿部の耳には届いていないらしかった…。


阿部の耳に聞こえていたのはキーンと響く耳障りな耳鳴りと……背後から聞こえる足音だけだった。

772: 2007/03/09(金) 19:38:11.28 ID:0DgAM+tmO
阿部はすっかり混乱し、打ちひしがれ、そして叩きのめされた。


阿部の中の狂気の濃度が音を立てて上がっていく。
聞き出さなくてはいけない!この女を頃してでも!


阿部は鷹野の首に手をかけると、そのまま力一杯締め上げた。


「お願いだ……教えてくれ……。」


「ガハッ…ハッ……苦し……い…」


鷹野の目が再び秒単位で充血していく。

776: 2007/03/09(金) 19:48:46.40 ID:0DgAM+tmO
静かになった……墓場よりも静かになった………。


気が付くと阿部は指が白くなるまで鷹野の首を締め上げていた。


鷹野は既に事切れているらしく、目を見開き、口は空気を求めるかのように大きく開いていた。


「うわ…うわぁ!」


阿部は鷹野の首から手を離すと慌てて氏体から離れようと、飛び退いた。


違う……違うんだ!…頃すつもりなんか……無かった…。


阿部は気違いのように頭を掻きむしった…。


得体の知れない足音が絶え間なく聞こえる…。

778: 2007/03/09(金) 19:52:57.86 ID:0DgAM+tmO
いや…待て……落ち着け…。
ただ俺に似ていただけの奴だったのかもしれない……。そうだ!絶対にそうだ!俺であるはずがない!


だが、それだけの理由で…勘違いで…富竹に引き続き、鷹野まで頃してしまうなんて。

お前は…お前は…本当に狂っちまったのかい?


阿部は自分自身に問いかけた。勿論答えは返ってこなかった。

816: 2007/03/09(金) 20:24:58.76 ID:0DgAM+tmO
阿部は鷹野の見開かれたままの目を閉ざしてやると、氏体に白い布をかけた。



机に上がっていた地図を手に取る。


頃してしまった…。阿部は後悔してもしきれなかった…。

あんな得体の知れない写真一枚で…何も頃す事は…。



阿部の心は疲れきっていた…くたくたに…。


阿部は鷹野の氏体に合掌をすると、静かに診察室を後にした。

821: 2007/03/09(金) 20:37:58.40 ID:0DgAM+tmO
こうなったらもう後戻りはできない…暴くしかない…。オヤシロ様の祟りって奴を…


阿部は診療所の正面玄関を乱暴に押し開けた。

その時背後からおぼろげな声がした…しかしおぼろげながらはっきりと聞こえた…鷹野の声が…。


「あれ?……もう帰るの?…。」


それは阿部を再び恐慌状態に陥れるには十分すぎる引金だった。
阿部の血の気が一気に引く…。


そして再び裸足の足音が……背後から……こちらに向かって近付いて来る音が……!


阿部は慌てて振り返る…しかし薄暗い待合室の中に人影は見えない。


しかし足音だけが近付いて来て…阿部の目の前で止まる。

825: 2007/03/09(金) 20:47:14.34 ID:0DgAM+tmO
やはり棲んでいる……ここには……雛見沢村には何かが棲んでいる…得体の知れない何かが……

こんな村に足を踏み入れるべきではなかった…。


阿部は踵を返すと全速力でバンに乗り込んだ。乱れる息を落ち着けて、耳を澄ませる…。


足音が近付いて来ていた!

阿部に憑いてくる…足音が…。


俺は…俺は…もう駄目かもしれない…だが…だが、狂う前に残して置きたかった…今までに分かった真実を…。


阿部は深呼吸すると、後部座席から、いつもラジオ受信専用器として使っていたカセットデッキを取り出して、震える指で録音ボタンを押した。

839: 2007/03/09(金) 20:57:56.12 ID:0DgAM+tmO
数時間前……園崎家地下拷問室。


酷い気分だった…。まるでヘドでも飲まされたような感じだ。

そんな気分の中、圭一は目を覚ました…だが夢の中の方が非情な現実よりかは幾分かマシかもしれない。


「圭ちゃん、おはよう。良く眠れた?なかなか目を覚まさないからおじさん心配しちゃった。」


魅音の声がした…魔性の声が…。


「圭ちゃん、おはようは?」


魅音の平手打ちが乾いた音を立てて圭一の頬を打つ…。


口の中が少し切れた。血の味が口の中に広がる


「ちゃんと挨拶しなきゃ駄目だよ。」


魅音の場違いに明るい声が地下に反響してこだました。

840: 2007/03/09(金) 20:58:52.94 ID:wu4skz6kO
あああ…

次回:阿部高和が雛見沢村に引越して来たようです。【その6】


引用: 【玉が】阿部高和が雛見沢村に引越して来たようです【イタイ】