1: 2007/03/09(金) 22:19:05.80 ID:51rNGMGS0

50: 2007/03/09(金) 22:49:03.67 ID:0DgAM+tmO
「圭ちゃん、今日の第一発目だよ!」


そう言うと魅音は白い布を一気に引き剥がした。


そこには目を涙でうるませた沙都子が、手や足を紐で肘置きに固定されて座っていた。口には猿轡を噛ませてあった。
既に数本の指の爪が無くなっていた。


「レナと違ってあんまりにもうるさいもんだから猿轡噛ませちゃったよ…。ああ、うるさかった…。」


魅音はそういうと沙都子を載せた車椅子を圭一の前まで持って来た。

沙都子と目が合う。涙で濡れてはいるが、沙都子の目はまだ氏んではいなかった。決して魅音に屈伏しないという、強い意志がかんじられた。
くそみそテクニック スクリーンクリーナー 阿部さん

94: 2007/03/09(金) 23:04:18.23 ID:0DgAM+tmO
魅音は沙都子の頭をお気に入りの人形か何かでも撫でるかのように大事そうに撫でた。


「あのね、圭ちゃん…沙都子ちゃんの爪はこうやって剥がしたんだよ。」


魅音はそういうと長い針を取り出した。
それを沙都子の爪に当てがう。


沙都子のうめき声がかん高い悲鳴のような物に変わった。


魅音が針を一気に爪と皮膚の間に突き刺したのだ。
針が爪を貫き、指のグロテスクな位置から針の先が外に飛び出す。

139: 2007/03/09(金) 23:16:15.61 ID:0DgAM+tmO
「ンンンッ!」

沙都子は目をギュッと瞑り、ただただ激痛に耐えていた。


俺は必氏で止めろ!止めてくれ!と叫んだが、猿轡のせいでモゴモゴして何言ってるのか全然分からなかった。


「見てよ、圭ちゃん…沙都子ちゃんこんなに痛がってるよ…。もう一枚剥がそうか。」


そういうともう一本針を取り出して、沙都子の指に突き入れた。

沙都子は再び悲鳴を上げた。

192: 2007/03/09(金) 23:31:11.07 ID:0DgAM+tmO
「沙都子ちゃん痛い?でもまだ終わらないよ?これからなんだよ?」


魅音はニコニコしていた。まるでトランプか何かやっているかのように…。



沙都子は激痛のためか、目をギュッと閉じたままだ。

閉じた目の隙間から涙が一滴…また一滴と溢れ、頬を伝い、顎から滴り落ちる。


自分がやられる分にはまだいいが、人が、しかも友達がやられるのを見るというのは本当に…本当に…辛かった。
狂いそうな程に…。


「圭ちゃん…ちゃんと見てる?ねぇ!」


魅音がいきなり俺の股間を足で踏み付けた。
股間に激痛が走り、俺はうめき声もあげられなくなった。


「圭ちゃん、せっかく沙都子ちゃんが痛がってるんだから見てあげなよ。」


グリグリと足を動かしながら魅音は言った。

297: 2007/03/09(金) 23:52:09.60 ID:0DgAM+tmO
魅音は足で圭一の股間を踏みしだきながら、頬へ平手打ちを繰り返した。

「圭ちゃん、しっかりしてよ。おじさんは圭ちゃんの為にやってるんだよ?見なきゃ駄目だよ。」


圭一の頬が痛々しい位に赤く腫れあがった。


「じゃあ…爪も剥いだし次は何にする?沙都子ちゃん…。」


魅音がギラギラした笑みを浮かべて、沙都子にたずねた。


沙都子は何かをモゴモゴ言いながら首を横に振った。


「なぁに?沙都子ちゃん……もう止めてって言いたかったの?」


沙都子が涙目になりながら頷いた。沙都子の力強かった目が徐々に折れていく。


「駄目だよ!沙都子ちゃんが氏ぬまでやるんだから。」

323: 2007/03/09(金) 23:58:05.18 ID:0DgAM+tmO
沙都子って呼び捨てか。把握。


てか別に雑談しようが何しようが構わないよ。


俺の遅筆のせいで暇だろ?だから別にいいぜ…てか謝りたいくらいなんだぜ?

353: 2007/03/10(土) 00:17:37.13 ID:LRsoFCaGO
「圭ちゃんも良く見ててよね!じゃないと私、圭ちゃんに何するか分かんないよ?」


魅音は机に置いてあった電動ドリルを取り出した。


魅音が沙都子の前にそれをかざす。モーター音がして、先端のドリルが高速で回転する。


「今から何するか…想像出来る?沙都子…。」


沙都子は首を横に振った。
それは果たして止めてと言ってるのか、はたまた分からないと答えているのか分からなかった。

沙都子は恐怖で焦点が定まらない視線を高速で回転するドリルの先に集めた。


不安で胸が押し潰されそうだった。

379: 2007/03/10(土) 00:32:01.28 ID:LRsoFCaGO
「痛むよ…我慢してね沙都子ちゃん…。」


そういうと魅音は沙都子の肩に電動ドリルを当てがって、スイッチを押した。


モーター音とともに沙都子の肩に穴が開いていく。


「ハアアアアアッ!アアアッ」


猿轡のせいで悲鳴をあげられないのだろうか、窒息しそうな音をたてて苦しんでいた。



「んわああああ!ふわああ!」


圭一は叫んだ!お願いだ!もう止めてくれ!やるなら俺一人にしてくれ。


レナの時もそうであった。

肋骨を砕き、皮膚に切れ込みをいれて肋骨を無理矢理えぐり出した時、レナは人間とは思えない程の凄まじい叫び声をあげていた。


それが耳にこびりついてとれなかった。

417: 2007/03/10(土) 00:46:29.44 ID:LRsoFCaGO
魅音は鬼だ!人間じゃない!こんな事を平気でやってのけるなんて…普通じゃない……異常だ。狂ってる。


沙都子は相変わらず悲鳴を上げ続けていた。圭一も叫び続けた…猿轡越しにこの願いが届くのなら届いてくれ!
湿った音とモーター音…それに猿轡越しのくぐもった悲鳴がこの地下にこだまする。


「もうこの辺でいいかな?」


魅音はようやく沙都子の肩から電動ドリルを抜いた。


沙都子は既に放心状態だった。虚ろな目が圭一に助けを求めるかのようにしきりに圭一の目を覗き込む。


圭一はいたたまれなくなり、目を反らした。

445: 2007/03/10(土) 00:58:14.91 ID:LRsoFCaGO
阿部自動車修理工場ガレージにて…


阿部は録音し終えたカセットテープをテーブルの上に置いた。


これがもしかしたら俺の遺言になるのかもしれない…。


阿部はガレージの道具箱から一番大きいバールを取り出した。

コイツでオヤシロ様とやらの頭蓋骨砕いてやる…阿部はバールを握り締めた。


依然として足音が、阿部が動く度に後ろをついて来た。そして後ろにぴったりと張り付く…。


「阿部さん…そのバールで一体何をするつもりですか?」


ガレージの入口から声がした。


阿部は入口の方に視線を向けた。


そこには大石が険しい顔つきで立っていた。

507: 2007/03/10(土) 01:19:29.45 ID:LRsoFCaGO
>>502

四隅見てると気持ち悪くなるから嫌だぜ。

890: 2007/03/10(土) 22:20:53.46 ID:LRsoFCaGO
「何をするつもりなんですか?」


大石が入口からガレージに入り阿部ににじり寄る。


「別に…何も……。」


大石の目が汚物でも見るかのようにガレージ中に向けられる。
そして大石の視線が片付け忘れた富竹の自転車で止まる。


「実はですね…阿部さん。……昨日と今日にかけて行方不明者がたくさん出ましてね…その件で来ました。」


依然として大石の視線は富竹の自転車に止まったままだ。


阿部は喉をゴクリと鳴らして唾を飲み込んだ。

70: 2007/03/11(日) 00:39:32.13 ID:VfmpJSzJO
「アンタもオヤシロ様について探ってるのかい?」


今度は阿部が大石ににじり寄った。


「いや、アナタのその顔は無茶をしでかすような顔だ。実際無茶な事をすると分かった以上…是非とも私に協力させて下さい。」


大石が阿部の方を向きながらニコリと笑った。


「何が待ってるのかわからないんだぜ?アンタ氏ぬかもしれないぜ?」


「アナタと一緒に氏ねるなら本望ですよ…それに私にはこれがあります。」


そういうと大石は懐からガレージの薄暗い明かりの中でもテカテカと黒光りする拳銃を取り出した。


「そうか……後悔はしないな?」


阿部はバールを肩に担いだ。
どうやら異論はないようだ。


阿部と大石は握手をした。ガッチリと。

78: 2007/03/11(日) 00:41:59.52 ID:VfmpJSzJO
すまねぇ。ちょいと早いがネムネムの時間にさせてもらう。日帰り東京は本当に疲れるな。


明日は通常通り書く予定。皆、今日はすまなかった。

346: 2007/03/11(日) 13:25:54.11 ID:VfmpJSzJO
「なあ…大石さん?」


「ん?何ですか?阿部さん」


大石の車の中で阿部がうつむいたままたずねた。


「…他に行方不明になってる奴ってのは一体…」


「先程申し上げた通り…古手梨花さん…そして北条沙都子さん…富竹ジロウさん……」


阿部は後部座席でうつむいたまま告げた。


「実は俺が富竹ジロウを頃したんだ…。」


「……そうですか。分かってましたよ阿部さん。」


大石が優しい口調で言った。


「私は…あなたの事を逮捕なんて…そんな事…出来やしません。」

355: 2007/03/11(日) 13:38:20.62 ID:VfmpJSzJO
大石が照れ臭そうに頭を掻きむしった。


「私は…出来る限りあなたのサポートをする。話はそれからですよ。」


二人の間に沈黙が流れた。…まるで、うぶな生娘を前にした、純情な少年の初恋のような…はにかんだような沈黙…。


「ささ…着きましたよ阿部さん。ここが…園崎さんの家です。」


大石の車がこの寒村に場違いな程の、かなりの豪邸の前で止まる。

363: 2007/03/11(日) 13:51:38.91 ID:VfmpJSzJO
「これが…魅音の家か…すごく…大きいです。」


「ええ…彼女の家はこの村でもかなりの名家でしてね…。大きいんですよ…かなり。」


大石が阿部の股間を凝視しながら呟いた。


「…帰ってきたらだ!」


阿部がバールで大石の頭を軽く小突くふりをした。

377: 2007/03/11(日) 14:52:38.12 ID:VfmpJSzJO
同時刻……地下拷問室。


沙都子は今にも失神しそうになっていた。


無理もない。針で爪を剥がされた挙げ句に、ドリルで肩に穴を開けられたのだ。

それもまだ胸も満足に膨らんでいない、思春期も迎えていない華奢な体付きの少女に対してである。


沙都子は目だけを虚ろに動かして、魅音を見つめて、猿轡をモゴモゴと動かした。


「なあに…沙都子…どうしたの?」


魅音が沙都子に顔を近付けた。口づけしそうな程に…。


魅音はニヤニヤしながら沙都子の消え入りそうな声に耳を澄ませた。

そして沙都子の頭をガシッと掴み、顔前で怒鳴る。


「駄目だよ、何言ってんの!トイレになんか連れて行けるはずないでしょ?!」

387: 2007/03/11(日) 15:03:33.88 ID:VfmpJSzJO
沙都子が太ももをすり合わせてモジモジする。


どうやら何かを我慢しているようだった。


でも何を…?


「圭ちゃん…沙都子がオシッコしたいんだって。」


魅音が沙都子の頭を掴みながら圭一の方を向いて言った。

沙都子は涙で濡れた目をさらに涙ぐませ、頬を真っ赤にさせた。

439: 2007/03/11(日) 16:09:43.39 ID:VfmpJSzJO
沙都子のうめき声が悲鳴にかわり、体がビクンと大きく痙攣した。

沙都子がはいていたスパッツの色が変わった。
沙都子はうつむいたまま顔をあげなかった。


「あっ!…おじさんがまだ擦ってるのに何でだしちゃうの?ついちゃったよ?ねぇ、沙都子。」


魅音が沙都子の襟を掴み車椅子が浮かんばかりに思い切り手前に引っ張り上げる。


沙都子は声を出して泣いていた。

457: 2007/03/11(日) 16:57:38.73 ID:VfmpJSzJO
「沙都子のオシッコ手についちゃった…圭ちゃん舐めてみる?ホラ、沙都子のだよ?」


そういうと魅音は圭一の顔に沙都子の尿で濡れた手を近付けていく。


沙都子の尿のいやらしい匂いが圭一の鼻を刺激し、理性を掻き乱す。


沙都子がその様子を口をワナワナと震わせ、泣きながら見ていた。見つめていた。


「じゃあ…そろそろ続きを始めようか…。」


魅音は、そういうと沙都子の猿轡を外して、部屋の奥に姿を消した。


沙都子は鳴咽をこらえて、泣いていた。
白のブラウスが肩を中心に赤々しく変色して、痛々しい姿を晒していた。

459: 2007/03/11(日) 16:58:47.03 ID:VfmpJSzJO
>>444

ただ単に忙しいんだぜ。


分かったかい?

464: 2007/03/11(日) 17:09:13.70 ID:VfmpJSzJO
「にーにー…助けてよ…にーにー…」


沙都子がおまじないでも唱えるかのように、繰り返し、繰り返し呟いた。


圭一には目を瞑る事しか出来なかった。


どこからか…何かの料理のような匂いがする…何の匂いだ…。


醤油だろうか…。


魅音が部屋の暗がりから戻って来た。手には金属製の先が尖った筒と……湯気がもうもうと上がる…何かが入った鍋…。


「沙都子…さっきまでのは拷問を始める準備だよ……そして、これが本番…。」

483: 2007/03/11(日) 17:24:19.57 ID:VfmpJSzJO
魅音は沙都子の肩の穴を無理矢理広げると金属製の筒を押し込んだ。


沙都子の猿轡が解けた口から凄まじい悲鳴が上がる。


「沙都子…これ、何だか分かる?」


魅音が湯気が上がる鍋を沙都子の目の前に持って来て、わざと中身が見える様にした。


煮えたぎった黒い液体がなみなみと入っている。一体何をするつもりなんだ。


沙都子は何をされるのか分からない恐怖から唇を震わせ、涙をながして脅えていた。


「これはね…沸騰したお醤油だよ。篠揉みって言ってね…この家に昔から伝わる拷問方法なんだ。」

506: 2007/03/11(日) 17:33:22.67 ID:VfmpJSzJO
「今からその筒にこれを流し込むよ…」


魅音はそういうと筒に鍋を近付けた。


沙都子の暴れようといったらなかった。


「止めて!止めて!」


沙都子は必氏になって抵抗した。しかし、無情にももうもうと湯気が立つ鍋から醤油が筒へと注がれていく。


「ヒグッ…ンンンッ…」


沙都子の体が一瞬こわばり、そして、ぐったりとなった。


失神したようだ。

543: 2007/03/11(日) 17:52:15.10 ID:VfmpJSzJO
沙都子の口から一筋の血が流れ出す。どうやら苦痛のあまり舌を噛んでしまったようだ。


沙都子はぐったりしたまま動かなかった。


もしかしたら…この地獄のような現実から逃避し、そのまま氏んでしまったのかもしれない。

こんな筈ではなかった…こんな…こんな…。
阿部さんにさえちょっかいを出さなければこんな…。


「ちょっと沙都子!まだ終わってないんだよ!起きな!」


魅音が沙都子の頬を思い切り張った。


沙都子が虚ろな目を開けた。微かに胸が上下し、呼吸をするのもやっとの状態だった。



「も…止めて…許して…。」


「駄目だよ!」


再び筒の中に醤油が注ぎ込まれた。沙都子は再び絶叫した。

563: 2007/03/11(日) 18:13:19.03 ID:VfmpJSzJO
沙都子の体が海老のようにのけぞり、そして動かなくなった。


肩で息をして、目にはほとんど生気がなかった。


「……負けない…絶対に…負けませんことよ…」


消え入りそうな…蚊の鳴くような声で沙都子が呟いた。

一瞬にして魅音の顔つきが般若のように変わる。


「何かいった?…いったよね?おじさん聞こえちゃった…。」


そういうと魅音は腰に挟んでいたナイフを手にとった。

577: 2007/03/11(日) 18:32:59.20 ID:VfmpJSzJO
同時刻……園崎家庭園


どのくらい歩いたのだろうか…阿部と大石は広い庭園の真っ只中で途方にくれていた。


「阿部さん!井戸なんて本当にあるんですか?」


息をきらせながら大石がたずねた。
確かに彼の体型では、この広い庭園を歩き回るのは辛い事だろう。

「ああ…確かにあるはずだ。」


阿部は地面にバールをついて、寄りかかった。


足音が依然として阿部に憑いて回る。大石がいなかったら発狂していた事だろう。


「で…どうします?このまま諦めますか?」
「そうだなぁ……」

阿部がそう言いかけた時、どこからか少女の凄まじい絶叫が聞こえた。
この声は…沙都子…

「あっちだ!いそぎましょう!」

すぐさま大石が反応し、駆け出した。阿部も後を追う。

595: 2007/03/11(日) 18:52:03.41 ID:VfmpJSzJO
しばらく庭園の中を走っていると、木立が生い茂る、微妙に分かりづらい所にあった井戸を見つけた。

どうやら絶叫はこの井戸の中から聞こえているようだ。


井戸には鉄製の梯子がついていた。


「いきましょうか…阿部さん。」


大石が先に…続いて阿部が中に入る。


降りるに連れて何か変な臭いが漂い始めた。

蛋白質が焦げた時の臭い、それにカビの臭い、醤油の臭い……そして血の臭い…。


絶叫が唐突に終わり、続けて誰かが争う様な声と音が聞こえて来た。


「阿部さん!急ぎましょう!」


大石が降りるピッチを上げた。

611: 2007/03/11(日) 19:26:29.42 ID:VfmpJSzJO
井戸を降りると、岩肌が露出する洞窟のような所に出た。


さっきの嫌な臭いがさらに濃厚になっていく。


争う音がさらに激しくなる。


「阿部さん…気をつけて下さい…。」


大石が銃を構えながら薄暗い洞窟の中を歩いていく。


阿部は手にしたバールを握り締めた。

644: 2007/03/11(日) 19:56:22.94 ID:VfmpJSzJO
同時刻………地下拷問室


魅音は沙都子の胸にナイフをつきつけた。彼女の肉に微妙に突き刺さり、血が滲む。


「そんな無駄口叩けるなんてね…。おじさん感心しちゃったよ…氏にそうなくらい。」


魅音がナイフを持つ手に力を込めた。
沙都子の体にナイフの切っ先が少しめり込む。


沙都子は何とか肘置きに拘束された腕を解こうと、金切り声を上げて暴れた。


「圭ちゃん聞いた?……負けない…だって……負けない…負けない……もうとっくに負けてるのに…負け犬のくせに!」


魅音は更に力を込めた。ナイフがどんどん沙都子の胸に隠れていく。


沙都子の口から血が流れ出す。

658: 2007/03/11(日) 20:04:10.10 ID:VfmpJSzJO
圭一は力一杯叫んだ!もういい!もう十分だ!

ここまで苦しめて、ここまで辱めて何になるんだ!



だが魅音の耳には届かなかった。鬼の様な形相で沙都子の胸にナイフを突き入れていく。


今度は圭一が椅子の上で暴れていた。縛られた手を、足をバタバタさせ、猿轡越しに絶叫し続ける…。


ふと気が付くと手を縛っていた縄が微妙に緩んでいた。


圭一は魅音に気付かれないように、少しずつ縄から手を解いていった。


沙都子の悲鳴が徐々に弱々しくなる…。
急がなければ…。

669: 2007/03/11(日) 20:13:27.85 ID:VfmpJSzJO
「よかったね圭ちゃん…沙都子が終わったら次は梨花ちゃんだよ?」


魅音が笑っているのか、泣いているのか分からないような声を出して言った。


「その次が詩音で、最後が圭ちゃん!!」


沙都子の絶叫が、どんどん小さな物になり、遂には、消え入りそうな物になる。


圭一は手首の皮が剥けて血が滲む程力を込めた。


そしてとうとう紐がはずれた。

圭一はすぐに立ち上がると、魅音の頬を思い切り殴った。


キャッ、と短い悲鳴を上げて魅音が拷問室の汚い床に倒れた。

692: 2007/03/11(日) 20:30:18.43 ID:VfmpJSzJO
圭一はすぐさま沙都子の紐を解いてやった。

「沙都子!大丈夫か?」

返事は無かった。

あんなに綺麗で可愛らしかった白いブラウスは痛々しい真紅のブラウスに変化し、沙都子の笑顔がかわいい無邪気な顔は涙と血と涎で汚れて、見るも無惨な姿を晒している。


「沙都子?沙都子?おい、沙都子?……頼むから返事をしてくれ…お願いだ。」


圭一が沙都子の手を取り、必氏で語りかける。

だがやはり返事は無かった。

「そんな…そんな…何でこんな事に?」

「アンタのせいだよ!前原圭一!」

反応が一瞬遅れてしまった。
圭一が身構える前に、魅音が振り下ろしたナイフの柄が圭一の頭を直撃した。

意識を失う直前に圭一は聞いた…魅音の声を…。


「こうなったら…こうなったら…皆…皆頃してやる!アンタは一番最後だよ!前原圭一!」

719: 2007/03/11(日) 20:47:06.21 ID:VfmpJSzJO
同時刻……独房


古手梨花はあまりの激痛に目を覚ました。


目を覚ました途端にジャラッと鎖の音がした。


どうやら天井から垂れた鎖に両手を拘束されて、吊されているらしかった。


何とか外そうと腕に力を込めた時に手の…それも指先に激痛が走った。


何事だろうと顔を痛みで歪めながら、手を見た。

ゾッとした。


指の全ての爪が綺麗に無くなっていた。
そして何より衝撃的だったのが…小指が無くなっていた事だった。


梨花は何時もの物静かな雰囲気からは想像もつかないような凄まじい悲鳴を上げた。

762: 2007/03/11(日) 21:22:44.60 ID:VfmpJSzJO
「おはよう……梨花ちゃん…。」


檻の外から声がした。魅音の声だ。


「魅音……助けて…助けてなのです!!」


梨花は声を荒げた。


「誰かがボクの…爪と指を…。」


「おじさんだよ?」


「おじさんがやったんだよ?」


魅音が檻の氏角から姿を現した。手にはナイフを持っている。


「これで梨花ちゃんの指を切ったんだよ。よく切れてるでしょ。」

767: 2007/03/11(日) 21:31:47.02 ID:VfmpJSzJO
「……え?」


梨花は耳を疑った。まさか…まさか魅音が…。


チャラチャラと金属が触れ合う音がする。どうやら鍵で檻を開けているらしかった。


「ごめんね…梨花ちゃん…ごめんね…。」


不快なきしみをたてて、檻が開いた。

魅音がうつ向いたままフラフラと檻の中に入ってきた。


「でもね?…でもね?…梨花ちゃん…私は悪くないの…悪いのはね……阿部と前原圭一なんだよ!!ケケケケケ!」


突然魅音が狂ったように笑いだす…。

ナイフがブラブラと手の中を踊る。


「止めて魅音…ボク怖いです…。」


梨花が泣きそうな声を出した。

779: 2007/03/11(日) 21:52:10.13 ID:VfmpJSzJO
「ごめんね…本当にごめんね…すぐに…すぐに終らせるから。」


魅音が再びうつ向いた…。
魅音の顔から滴がこぼれ落ちた…。一滴…一滴…。
魅音は泣いていた。


「みぃ…止めるのです!……」


梨花が鎖をジャラジャラ鳴らして何とか逃れようとした。


「ごめんね…もう遅いんだ…何もかも…だから。」


魅音がナイフを振り上げた。


「だから私が全部おわらせるの!!」

823: 2007/03/11(日) 22:13:38.31 ID:VfmpJSzJO
「大石さん!しっかりして下さい!」


阿部が大石の手を引っ張って走る。大石はすっかり息が上がっていた。


「すいません…この歳のせいで、もう満足に走れないんですよ。タバコのせいかも…。」


「早くしないと!手遅れになりますよ!」


阿部がバールで洞窟の先をさす。思ったよりもかなり広い。


これは骨が折れる。

「あ…明かりが見えますね…。どうやら誰かがいるみたいですよ。」


洞窟の先に確かに明かりが見えた。誰かいるのだろうか。


阿部は大石の手を引っ張ってそこを目指した。

839: 2007/03/11(日) 22:21:42.28 ID:VfmpJSzJO
明かりを目指して洞窟を進むと、少し開けた所に出た。


明かりはどうやらここから漏れている。


阿部はその開けた場所を改めて見回した。
そこは檻が並ぶ、とても異様な場所だった。


血の臭いがする。まるで刑務所か拷問室か…。


「……阿部さん。どうやら遅かったようです。」


独房の一つを覗きこんだ大石が、力の抜けた声で呟いた。

阿部も大石に続いても独房を覗きこんだ。


そこには鎖で吊された少女の氏体がぶら下がっていた。鋭利な刃物で滅多突きにされたのだろう、服が血まみれだ。

その少女は紛れもない…古手梨花本人だった。

852: 2007/03/11(日) 22:26:35.29 ID:VfmpJSzJO
梨花をあっけなく描写したのは、私からのせめてもの愛…。


沙都子にも愛…魅音にも愛…

857: 2007/03/11(日) 22:29:11.52 ID:VfmpJSzJO
>>854

彼女にも愛…レナにも愛…愛愛愛

871: 2007/03/11(日) 22:40:30.97 ID:VfmpJSzJO
「ンッ……ううん…」


隣の独房から声がした。


「阿部さん…誰かいるようです。」


大石が拳銃の撃鉄を上げた。


壁を背にして独房へとにじりよる。
緊張が走る。


阿部はバールを握り締めた。

大石が独房に拳銃を向けながら覗きこんだ。中に人影があった。しかし阿部の位置からはよく見えなかった。


「これは…どっちでしょうか…。園崎詩音…魅音…。」


阿部は目をこらして独房の中を見た。

女の子が鎖で吊されていた。

887: 2007/03/11(日) 22:56:13.71 ID:VfmpJSzJO
「大丈夫ですか?…今出してあげますから。」

大石が無言で阿部のバールをひったくり、檻を無理矢理こじあけようと躍起になった。

「…ここどこ?」

女の子が呟く。それにしても魅音そっくりだ。本人か?

「独房だよ。君は閉じ込められてたんだ。名前は?」

「詩音…園崎詩音…。」

園崎は双子だったのか…!阿部は詩音と名乗った女の子をまじまじと見つめた。

これは誰が誰だか分からなくなる…何せクローンみたいに魅音そっくりなのだから。

「……阿部さん!ボーッとしてないで手伝って下さい!」

大石が苦しそうな声を上げた。

仕方ないので阿部は大石と二人でバールを檻の扉にあてがい、こじあけようと力を込めた。

しばらくして、扉の鍵が豪快な音を立てて構造ごと壊れた。
扉がゆっくりときしみながら開く。

「さあ…もう大丈夫だ。」
大石が檻の中に入り、女の子の鎖を外してやった。

「待って!止めて!そいつをはなさないで!そいつは魅音よ!」
どこからか声がした…。魅音によく似た声が…。

899: 2007/03/11(日) 23:12:50.26 ID:VfmpJSzJO
今から少し前……地下拷問室。


……どこからか悲鳴が聞こえた。この声は梨花ちゃん……?


凄まじい悲鳴に圭一の意識は現実へと引き戻された。


圭一は魅音に殴られた頭を押さえながら起き上がった。


血がでてる。それに頭が凄く痛い…。


圭一は軽いめまいを感じながら。何とか立ち上がった。


車椅子には相変わらず沙都子が座っていた。もう決して…動かないし…笑いもしない……沙都子が…。


泣きそうになった。その場にうずくまって、泣き出したかった。赤ん坊のように…。

圭一は無言のまま、沙都子を車椅子から運びだし、テーブルの上に寝かせてやった。
そして最初に被せられてた白い布をかけてやる。

「沙都子…ごめんな……後で必ず迎えにくるから…それまで我慢しててくれ…な?」

圭一は物言わぬ沙都子の頭を撫でると、拷問室を後にした。

909: 2007/03/11(日) 23:25:09.66 ID:VfmpJSzJO
しばらく進むと、濃厚な血の臭いが漂ってきた。


そして湿った音と、叫び声、悲鳴、そして金属と金属がこすれ合う音が響いてきた…。


一体何が起きているんだ?


圭一には皆目見当がつかなかった。


歩いていくと明かりが見えた。そして血の臭いがさらに濃くなっていく。


圭一は明かりがついている部屋を覗きこんだ。そこには檻がならんでいた。


そして一番奥の檻で人影が動く。


何をしているのだろうか。何かを振り上げては振り下ろしている。

「止めて!魅音!止めて!止めてあげて!」


その手前の檻がガチャガチャと動く。どうやら誰かが監禁されているようだ。

921: 2007/03/11(日) 23:34:22.46 ID:VfmpJSzJO
荒々しい息遣いと、グチャッだのビチャッだの、そういった類の湿った音、そして非難がましい叫び声、激しく檻を揺らす音…。


「うるさい!うるさい!うるさーい!」


何かを振り上げては振り下ろすのを繰り返していた人影が作業を中断して金切り声を上げた。


その金切り声の主は明らかに魅音のものだった。


じゃあ手前の檻の声の主は…一体…。

932: 2007/03/11(日) 23:44:56.73 ID:VfmpJSzJO
一番奥の檻から誰かが出てきた。


魅音だった。手には血まみれのナイフが握られていた。


「アンタさっきからうるさいのよ!そんなに殺されたいの?」


魅音が隣の独房に向けて怒鳴る。誰だろう。


目を凝らしてみた。
圭一はびっくりして声をあげそうになった。魅音が二人いた。

一人はナイフを握り締めた魅音…もう一人は檻に閉じ込められた魅音…。


「魅音……まさか…梨花ちゃんを…」

檻に閉じ込められた魅音が弱々しく呟く。

「ああ…その通りだよ。……次はアンタの番だ。」

そういうとナイフを握り締めた魅音が鍵の束を取り出して、檻を開けはじめた。

襲撃のチャンスだ!

圭一は足音を頃して魅音の背後に忍び寄った。

935: 2007/03/11(日) 23:46:19.12 ID:AbvibxVG0
圭一は鍵を開けようと苦心している魅音に近づくと、背後から羽交い締めにした。


魅音はヤアッ、とびっくりしたような悲鳴を上げた。


羽交い締めのまま魅音の身柄を拘束しようとし、自由を奪おうと思った。


しかし甘かった。魅音は圭一の顔面に後頭部で頭突きをすると羽交い締めを解いた。


そして、ナイフを振り上げて、そのまま圭一に向かって振り下ろした。


圭一の喉スレスレ間一髪でそれを受け止める。
だが魅音は凄い力でそのまま圭一の喉にナイフを突きこもうと力を込めた。


何とか刃を離そうとしるが、徐々に刃が喉に近づいていく。


「圭ちゃん……圭ちゃんは最後にしようと思ったけどもういいや。」


魅音が更に力を込める。
圭一が両手を使って離そうとするが、それでも魅音は止められ無かった。


ナイフの切っ先が喉に触れて、チクリとした感触を残す。


圭一は沙都子の最後を思い出した。こんな感じで少しずつ…ゆっくりと沙都子の体に刃が入っていった。


「圭ちゃん血が出てきたよ!もうすぐ死ねるね。」


魅音が笑いながら言った。

喉が苦しくなっていく。

襟が血でヌメヌメしてきたのが分かった。


まずい…このままじゃ…死…。

次回:
阿部高和が雛見沢村に引越して来たようです。【その7】



引用: 【穴が】阿部高和が雛見沢村に引越して来たようです【危ない】