1: 2007/03/13(火) 00:55:22.34 ID:G4ynEltS0

49: 2007/03/13(火) 01:14:59.07 ID:49nFCUf9O
三ヶ月後……某大学病院


「…では詩音さん、今日の分は終りです。続きは明日聞きます。それではゆっくり休んで下さい。」


そう言うとコートにスーツ姿という破壊的な程に分かりやすい、典型的な刑事スタイルの刑事が、一礼すると詩音…正確にいうと魅音の病室を後にした。


魅音は笑いだしそうになった。全ての罪を詩音が被る事になりそうだからだ。


これから魅音は詩音として生きていく。
国からの補助金をたんまりと貰って…。
くそみそテクニック スクリーンクリーナー 阿部さん

89: 2007/03/13(火) 01:23:49.08 ID:49nFCUf9O
魅音は国からの補助金の書類を見た。


年に……ベンツを2台買ってもお釣りが来るほどの補助金が貰えるらしかった。


魅音は声を出して笑ってしまった。


殺人鬼の私がこんな豪勢な暮らしを成就し、最後まで正義を貫いた奴らは皆氏んでしまったのだから…。

116: 2007/03/13(火) 01:31:51.74 ID:49nFCUf9O
それに園崎家の資産も入る。


何せ皆氏んでしまったのだ…。独り占めである。


その資産は…約十数億円。


一生遊んで暮らしてもまだ余る位だ。それに補助金…。


笑いが止まらなかった。
ごめんね、圭一君…私だけ幸せになって…。


唐突に病室の扉をノックする音がした…。


またマスコミかポリ公か…。
一応被害者という体面を守るため敢えて疲弊し、憔悴しきった顔を作る。


「はい…どうぞ…」


敢えて声のトーンを押さえた。

142: 2007/03/13(火) 01:40:40.04 ID:49nFCUf9O
「お疲れの所すいません…私は…公安の赤坂と申します。」


なかなかの良い男が病室の扉を開けて入って来た。聡明そうな所が亡き圭一君そっくりだった。


「一体…何の用ですか…?」


不機嫌そうに魅音が赤坂と名乗った男にたずねた。


「いや…別に…あなたを逮捕しようとかそんな物ではないですよ。」


赤坂が頭を掻きながら答えた

195: 2007/03/13(火) 01:57:23.50 ID:49nFCUf9O
「いやあ…すっかり寒くなりましたね…。」


緊張を和ませようとしてるのか…。
赤坂が出来るだけフランクに話かけてきた。


正直ウザかったので、魅音は早く終らせたかった。


「あの…特に用がないなら…帰っていただけません?」


「あ…すいません。すぐに終らせますんで…。」


赤坂はにやけた顔から一瞬にして厳しい顔付きに変化させた。


「実は…私は…あなたが過去にした証言の矛盾について…調べに来たんです。」

211: 2007/03/13(火) 02:01:18.32 ID:49nFCUf9O

415: 2007/03/13(火) 20:26:25.33 ID:49nFCUf9O
赤坂は続けた。


「阿部高和さんはご存知ですよね?」


何を分かりきった事を…。魅音は怪訝な面持ちで答えた。


「ええ…勿論…。井戸の地下で拳銃を使って自分を…」


「ええ…そうですね…確か…。」


赤坂は椅子から立ち上がると魅音のすぐ目の前まで来て、顔を近付けた。


「…園崎さん…。嘘なんか…ついてませんよね?」

424: 2007/03/13(火) 20:33:35.39 ID:49nFCUf9O
「確かにあの後遺体が見つかりました。大石蔵人さんの遺体です。氏因は出血多量でした。…しかし…あなたが言っていた…青いつなぎ姿の男の自殺氏体なんかありませんでした…。何処を探しても…。」


「え……?」


魅音は混乱した。そんな…そんな、馬鹿な…。あの男は確かに私の目の前で頭を撃ち抜いたはずだ!


なのに何で…?


「……あの後雛見沢の住民名簿を調べましたが、阿部高和という名前は見つかりませんでした。そんな男は雛見沢にはいなかったんですよ。」

436: 2007/03/13(火) 20:42:03.57 ID:49nFCUf9O
「そんな…そんなはずはありません!!」


魅音が声をあらげた。
確かに阿部という男は存在し、私達の前に現れた!!


「あなたが証言していた阿部自動車修理工場も調べました…しかし、あそこは10年も前から廃屋のままで、今現在も廃材が散乱して、朽ち果てています。とても自動車修理工場なんかには見えなかった。
私も確認しました…あれは完全に廃虚です。しばらく人が入った形跡すらなかった。」


魅音の血の気が一気に失せた。
まるで狐に騙されたような気分だ。


じゃあ…じゃあ…あの夏の出来事は一体…。

459: 2007/03/13(火) 20:57:48.39 ID:49nFCUf9O
「まあ…村の人は皆氏んじゃってるんで確かな事なんて何一つありませんけどね。」


魅音は何とか動揺を悟られまいと努めた。

しかし汗が後から後から流れ出してきて、止まらない。


「実は……その廃屋で真新しいカセットテープを見つけました。見つかった場所が場所だけに不気味な代物ですよ。」


そういうと赤坂はポケットからビニール袋に入ったカセットテープを取り出した。


「怯えた男性の声で、殺人の自供をする内容の物です。」

472: 2007/03/13(火) 21:06:20.81 ID:49nFCUf9O
「もしこの自供の声の主が阿部高和だったとしたらつじつまが合わなくなるんですよ、園崎さん…。」


魅音は少しでも動揺の表情を隠すため、うつ向いたまま、赤坂にたずねた。


「……それはどういう意味ですか?」


赤坂はフゥ、と溜め息を一つ大きくついてから、話を続けた。


「……貴方の言っている、雛見沢村出身の自動車修理工の阿部高和は…………確かに実在はしますが……三年前に氏んでいるんですよ…交通事故で……。」


もし赤坂がいなかったら、魅音は恐怖のために泣き出していただろう。
それぐらい衝撃的だった。

489: 2007/03/13(火) 21:20:00.06 ID:49nFCUf9O
「あ……あ……」


魅音は声を出そうとしたが、出なかった。
圭一君…皆…阿部さん……どうして?……なんで?……。


「園崎詩音さん……本当の事を言って下さい……本当の事を言っていただかないと我々も捜査のしようがありません……現在の所、生存者はあなた一人だけなんですから…。」


赤坂は座っていたベットの端から立ち上がると、窓際へと移動した。
窓の外から見える木は、すでに落葉が始まっており、骸骨のような無様な姿を晒しつつあった…。


「…あれから三ヶ月…雛見沢は今も立ち入り禁止のままです。致氏濃度の硫化水素が、今も村中に充満しています。動物はおろか、植物すら生きられない、文字通り氏の村ですよ…。」


窓の外を遠い目で眺めながら、赤坂は言った。


「最後に……貴方に見せたい物があります……雛見沢村の航空写真です。」

509: 2007/03/13(火) 21:40:32.27 ID:49nFCUf9O
そういうと赤坂はもう片方のポケットから写真を数枚取り出して、魅音に投げて寄越した。


魅音が写真を手にとった。


雛見沢村が上空から写っている。
写真は鮮明で、村の細部までよく解った。


「つい3日前に撮られた写真です。よく目を凝らして見て下さい…。…園崎家の…辺りを…。見えましたか?」


魅音は目を凝らして、自分の家である園崎家の豪邸の辺りを凝視した。

そして息が止まりそうな程に驚いた。

園崎家の、丁度、正門の辺りにぼんやりと霞んだ青い物体があるのを見つけた。
それに目を近付けて良く見ると……それは怨めしそうな顔でこちらを睨んでいる阿部本人であった。


まるで幽霊のように霞んでいたが、本人である事に間違いはない!!


「本来ならそこにガスマスクすら付けていない人がいる事自体有り得ません…しかし、それは確かに人影です!」

522: 2007/03/13(火) 21:45:48.13 ID:49nFCUf9O
「イヤ……イヤアアアア!!!」


魅音が半狂乱になって叫んだ。
彼女の悲痛な叫び声が室内にこだまする。


「……私も、それを見るまでは信じられなかった……しかし…現実に写っている以上、彼はそこに実在しているのです………。」


赤坂がやはり遠い目で外を眺めながら言った。


「…幽霊の存在を信じますか?……私は信じますよ。最低でも、その写真が存在する限りはね…。」

548: 2007/03/13(火) 22:02:55.07 ID:49nFCUf9O
魅音は震える手で、他の写真をつまみ上げると、それを凝視した。

やはり霞んだ阿部はそこにも、写っていた。


次の写真では、少し離れた阿部自動車修理工場のガレージの前に写っていて、次の写真では、ゴミ山脇の国道で……

最後の写真では…雛見沢村の入口を封鎖した立ち入り禁止のバリケードの前で…。


移動している!!


阿部は雛見沢村から少しずつ移動していた。


しかし…移動して、一体どこに…。

566: 2007/03/13(火) 22:10:50.74 ID:49nFCUf9O
赤坂は窓際から、再びベットの側へと移動し、写真をつまみ上げた。


「……気をつけて下さいね…園崎さん……我々公安も幽霊が相手となっちゃ、お手上げですからね。…一応鍵をかけて…部屋を明るくしておいて下さい…それから塩も…。」


赤坂はそういうと、塩の入った小瓶を魅音に手渡した。


「僕からの…お守りです…。もし…もし何かあったらすぐに電話を下さい…それでは…。」


赤坂は、涙を流して呆然とする魅音を残して、病室を後にした…。

576: 2007/03/13(火) 22:21:44.42 ID:49nFCUf9O
魅音は動かなかった…いや……動けなかった…。


阿部は…阿部は……三年前に氏んでいる…しかし…しかし彼は確かに今現在雛見沢に存在していた。


赤坂に貰った小瓶を強く握り締めた。


サラサラと音を立てて、中に入った塩化ナトリウムが飛びはね、踊る。


阿部が…阿部が来る!

必ず…やってくる……私を頃しに…!

587: 2007/03/13(火) 22:31:55.94 ID:49nFCUf9O
秋の終りの日が沈み……夕方になり……あっと言う間に夜になってしまった…。


窓の外の木が風で揺れて、怪物か何かが威嚇でもしているかのようにしきりに揺れ動いている。


魅音は病室の布団の中で震えていた。


阿部が…阿部が来る…。


今日の昼の出来事が頭にこびりついて離れない。


自分は復讐されるのだ。
魅音は初めて自分の行いを後悔し、懺悔したい気持ちで一杯になった…。皆は……阿部は…許してくれるだろうか…。


魅音は塩の小瓶を強く握り締めた。

606: 2007/03/13(火) 22:42:29.46 ID:49nFCUf9O
不意に外から車のエンジン音が聞こえ、続いて車のドアを開閉する音が外からした。


昼間にこの病院をおとずれるなら分かるのだが、今は夜中の12時過ぎである。


余程の急患だろうか……それにしても変だ…。

開閉音がしてから、人の足音が聞こえない…。

何だろうか……。


魅音は松葉杖を使って窓際まで苦労して辿り着くと、外の駐車場を覗きこんだ。

631: 2007/03/13(火) 22:54:48.81 ID:49nFCUf9O
駐車場に、車が一台だけ止まっていた。白いバンだ。


魅音はそのバンが何なのかよく目を凝らして見てみた。どうやら側面に何か文字が書いてあるらしかった。何かの会社のバンだろうか…。


そして、目を良く凝らして、その白いバンの正体を悟ると、魅音は言葉を失った。文字通り絶句し、その場に立ち尽くした。


白いバンの側面には阿部自動車修理工場と赤いペンキで乱雑に書かれていた 。


強い秋風がビュウビュウ音を立てて吹いて、窓をガタガタと叩いた。

魅音はそのビュウビュウ吹く風の音の中に確かに聞いた…大勢の……それも100人や200人では効かないほどの笑い声が混じっているのを…。

663: 2007/03/13(火) 23:09:10.12 ID:49nFCUf9O
突然、何もしていないのに、病室の電気がフッ、と消えた。


辺りが真っ暗になり、病室を照らす光は、半月の僅かな月明かりだけになってしまった。


「ヒ……ヒィ…!!」


魅音は完全にパニックに陥った。


強い風が依然として窓ガラスをガタガタ揺らす。そして笑い声も際限なく聞こえていた。


逃げ出さなくては…!魅音は松葉杖を駆使して、病室を出ようと駆け出した。

しかし、余りにも焦って移動しようとしたためか、松葉杖の操作を誤って転んでしまった。

松葉杖が腕から滑り、ベットの下の暗がりへと入りこんでしまう。

679: 2007/03/13(火) 23:20:16.98 ID:49nFCUf9O
ベットの下の暗がりにかがんで入る事は躊躇われた。

何がいるか解ったものではない!


魅音はあえぎながら這って移動し、部屋の隅に置いてあった車椅子に何とか辿り着いた。


魅音がそれに苦労して座る。


「みぃ…みぃ……」


ベットの下から猫のなき声がした。……猫?

魅音は凍りついた。

697: 2007/03/13(火) 23:26:28.77 ID:49nFCUf9O
「いや……お願い…お願いだから……許して…」


魅音が震えながらベットの下に向かって言った。


「……そう言って命乞いをしたボク達を…みぃはどうしたのですか?……許したのですか?…。」


ベットの下で何かがうごめいた。途方もない何かが…。


「迎えに来たです……園崎魅音…!」

713: 2007/03/13(火) 23:38:02.31 ID:49nFCUf9O
「イヤ…嫌……絶対に…嫌よ!…」


魅音はそう叫ぶと病室のドアを乱暴に開けて、薄暗い廊下へと出た。


魅音は車椅子を必氏で押して、助けを呼ぶためにナースステーションを目指した。


ある程度治ったとはいえ、重傷で、しかも雛見沢から運ばれて来たのだ…。

一応魅音はナースステーションと同じ階の重症患者専用のエリアに入院していた。


赤坂は…赤坂はやはり正しかった。幽霊相手に生身の人間ではどうしようもない。


魅音は顔中を涙や涎で濡らしながら、塩の小瓶を握り締めた。

733: 2007/03/13(火) 23:47:33.49 ID:49nFCUf9O
小さいうめき声を漏らしながら、恐怖で力の入らない手を必氏で動かして、車椅子を転がす。
もし狂えるのなら…もし可能なら…狂いたかった…狂った方がどんなに楽だろうか…。


不意に強い光が魅音の顔を照らす。
暗闇に慣れた魅音の目が焼けつくように痛む。無意識に目を細めた。


「…コラ!……詩音ちゃん!夜中に出歩いて一体何やってるの!」


どうやら巡回中の看護婦が懐中電灯をこちらに向けたようだった。


魅音は心底安心した…。良かった…これで…これで助かる…。

759: 2007/03/13(火) 23:57:36.60 ID:49nFCUf9O
巡回中の看護婦が懐中電灯を下にずらして、怒ったように腕を組んだ。


「看護婦さん…幽霊が…幽霊が…」


魅音が鼻をすすりながら、震える声で言った。


「幽霊?……幽霊なんている訳ないじゃないの…気のせいよ…。さ…病室に戻りなさい。他の患者さんに迷惑よ。」


看護婦が笑い混じりに言った。
どうやら苦し紛れの言い訳だと思っているようだった。

776: 2007/03/14(水) 00:09:32.50 ID:9ukpW2RoO
「でも…本当に…本当に…いるんです!信じて下さい!」


魅音が泣きながら看護婦に言った。


看護婦はしばらく考え、溜め息をついて言った。


「分かったわ…じゃあ今日はナースステーションの仮眠室でお休みなさい…。あそこなら常に誰かがいるから安心でしょ?」


魅音は泣いて喜んだ。良かった…本当に良かった…。


「ありがとう看護婦さん…本当にありがとう…。」


魅音が車椅子を押して、ナースステーションへと向かおうとした刹那…巡回中の看護婦の背後の天井から突然青白い手が伸びてきた。

799: 2007/03/14(水) 00:19:57.03 ID:9ukpW2RoO
その青白い手はそのまま伸びて、看護婦の頭を両側から掴むと、そのまま凄い力で首を捻り上げた。
まさに一瞬の出来事であった…。


ゴキッと嫌な音がして、看護婦の首がぐったりとなる。
首の皮から骨がグロテスクな形を浮かべながら飛び出る。


青白い手はそのまま絶命した看護婦の頭を掴むと、ブラブラと力無く揺れる体を天井裏へと引きずりこんだ。


魅音は悲鳴をあげた。


「イヤッ!……イヤァァア…ムグッ…!」


突然魅音の後ろから雪のように白い…それこそ青白い…冷たい…冷たい手が口を押さえた。

836: 2007/03/14(水) 00:31:36.41 ID:9ukpW2RoO
口を手で押さえられてなお、魅音は必氏で助けをよぼうと無駄な努力をした。


「ンンーッ!…ンーッ!」


もう誰も魅音の悲鳴を聞くものはいなくなった…生きている者では…。


車椅子に座る魅音の体に何本もの腕が絡まり、車椅子に彼女を拘束する。


無数の手の中には爪や指がない者もチラホラ…。


魅音は何とか逃れようと、車椅子を押した。だが、強い負荷があって、前に進めなかった。

854: 2007/03/14(水) 00:42:31.58 ID:9ukpW2RoO
魅音は小瓶を開けると、中身を体に絡みついた手にかけてみた……。

無駄だった…。依然として手は魅音の体に絡みつき、車椅子にがっちりと拘束した。


魅音は声を押し頃して泣いた…。
神様…神様…お願い…私を助けて…。


「退院の時間だな…園崎詩音…。」


聞きなれた声がして、唐突に車椅子が動き出した。

どうやら誰かが車椅子を押しているようだった。

883: 2007/03/14(水) 00:56:51.11 ID:9ukpW2RoO
キィ…キィ…ときしみを立てながら車椅子はゆっくりと薄暗い病院の廊下を移動する…。


魅音は僅かに動く首を曲げて、何とか車椅子を押す人物を見ようと躍起になった。


視線の端に車椅子を押す青いつなぎの袖だけが見えた。


阿部…高……和…


「さあ、魅音…雛見沢に帰ろうか……皆が…皆がお前を待ってる。お前だけを…」


車椅子を押すピッチが上がる。


意識を完全に失う前に、魅音は確かに見た……雛見沢村の…いや、全知全能の死神を…。

901: 2007/03/14(水) 01:06:28.20 ID:9ukpW2RoO
3日後……雛見沢村、阿部自動車修理工場前


「これで最後の生存者が氏んだ訳か……事実上雛見沢村は全滅だな。」


赤坂は血だまりの中央に被せられ、血がにじんだ白い布を見下ろしながら呟いた。


「どうやら…長い入院生活で精神に異常をきたし、病院を抜け出して、ここで氏んだようです。」


制服を着た警察官が手帳を見ながら赤坂に言った。


「他殺だろ?獣にでもやられたのか?」


「いえ…鑑識の話だと人為的に拷問の跡があったと…爪を剥がされた挙げ句に指を全部切られ、鼻と唇が削がれていました。」


赤坂は身震いをした。


「謎が多すぎるな……航空写真といい、我々じゃ手に負えん…。」

921: 2007/03/14(水) 01:13:52.12 ID:9ukpW2RoO
赤坂は、雛見沢の村々を改めて見回した。


人の気配がない、それどころか虫一匹いない、まるで氏体のようになった村だ。


「この村には知って良いことと悪い事があって、知らない方が幸せな事もある…。」


そういうと赤坂は航空写真をバラバラにでも千切って放り投げた。
制服警官が何の事か皆目見当もつかないかのようにキョトンとしていた。


「一体どういう意味ですか?」


「この事件の捜査は無期限延期って事だよ。」


そういうと赤坂は踵を返して、雛見沢村を後にした。


どこかで季節外れのひぐらしが泣いた。

秋の終りになくひぐらしはどこか悲しげで、虚しかった。





923: 2007/03/14(水) 01:15:01.39 ID:t+SHZzMi0
終った・・・・・

925: 2007/03/14(水) 01:15:07.50 ID:bgLhoerg0
>>1乙
楽しませてもらったよ。

936: 2007/03/14(水) 01:16:53.77 ID:9ukpW2RoO
これって別のシチュでまた作った方がいいと思う?

949: 2007/03/14(水) 01:18:09.23 ID:U2i96DA80
終わったあああああ!!!
作者お疲れ、おもしろかったよ

引用: 【ついに】阿部高和が雛見沢村に引っ越して来たようです【完結?】