1:◆7FnOo4mT6s 2013/04/29(月) 19:24:46 ID:hGdgz5QU
~とある駐車場~

姉「ねぇ、見て見て弟君。これ良いでしょ?」

姉「私、とうとう手に入れちゃった!」

姉「ようやく、私もキャンピングカーを持っちゃった!」ニコニコ

弟「……」

姉「これ、実は結構人気があるんだよ」

姉「ちょっと、普通なら500万以上はするんだけど」

姉「これって、確実に良い買い物だよね?」

姉「今後、私と一緒にキャンプとか行かない?」ニコニコ

弟「……」

2: 2013/04/29(月) 19:25:20 ID:hGdgz5QU
父「娘よ。ちょっと良いか?」

父「よく、そんな金があったな」

父「と言うか、もっと別の物を買うべきではなかったのか?」

母「ええ、そうね」

姉「いや、そんな事はないよ」

姉「これ、プレゼントキャンペーンに応募して、つい最近手に入れたんだけど」ニコニコ

弟「!?」

姉「だから、実質無料に近いかな」

姉「本当は、一戸建て住宅が狙いだったんだけど、第三希望のこれが当たっちゃった」ニコニコ

父「……ふむ。そうか」

3: 2013/04/29(月) 19:25:34 ID:hGdgz5QU
弟「姉さん。それ何てキャンペーンだ?」

弟「ついさっきから、かなりおかしな話をしてるんだが」

母「……」

姉「え? そうかな?」

姉「元々、私の今の勤め先が陸軍だから」

姉「私、陸軍に所属する看護師でしょ」

姉「だから、皆で応募したらこれが当たったの」

弟「……」

父「母さん。この辺に精神科はあったか?」

父「ウチの娘は、かなり頭がおかしいんだな」

4: 2013/04/29(月) 19:25:47 ID:hGdgz5QU
母「いや、無いわよ」

母「あるのは、歯科と内科と眼科と総合病院くらいよ」

母「昔から、この子は変な子だったけど……」

母「まさか、ここまでとはね……」ガクッ

父「ああ、そうだな」

弟「姉さん……」

姉「とりあえず、弟君は今後の休みの日にキャンプいこうね!」

姉「弟君、どうせ暇でしょ?」

姉「未だに、ずっと家でゲームばっかしてるんだし!」

姉「だから、たまには外に出ようね!」ニッコリ

5: 2013/04/29(月) 19:26:18 ID:hGdgz5QU
父「なら、俺もついていってやる」

父「今度の休みは、家族皆でキャンプに行くとしようか?」

父「母さん。それで良いよな?」

父「たまには、家族皆でキャンプするのも良い」

父「ついこの間、俺は定年を迎えたし」

父「今後は、これに乗って各地を旅するのも良いかもな」

母「ええ。そうね」ムクッ

弟「……」

姉「なら、これはもう決定だね」

姉「弟君も、それで良いんだよね?」ニコニコ

6: 2013/04/29(月) 19:26:30 ID:hGdgz5QU
弟「ああ、分かった」

弟「それで、行くとする」

弟「どうせ、断ったとしても無理矢理連れてくんだろ?」

弟「姉さん。昔から変だったし」

弟「本当に、もう勘弁してくれよ」ガクッ

姉「やった!」

弟「……」

姉(後に、弟君には数多くの受難が襲い掛かっていき……)

姉(気がついた時には、たった一人で無人島の中で生活をしてるのでした)ニヤリ

弟「!?」ビクッ

9: 2013/04/30(火) 07:05:14 ID:cfcZM1as
~キャンピングカー内~

数分後――

母「へぇ、これ結構綺麗じゃない」

母「最近のキャンピングカーって、液晶テレビも付いてるのね」

弟「……」

姉「うん。そうだよ」

姉「液晶テレビだけでなく、DVDも付いてきたけど」

母「あらあら」

姉「後は、温水シャワーに水洗トイレ」

姉「ベットは二つあるし、キッチンも勿論付いてるんだよ」

10: 2013/04/30(火) 07:05:27 ID:cfcZM1as
父「娘、これ本当にどこで手に入れた?」

父「こいつは、500万どころか1000万近いはずなんだが」

弟「!?」

姉「だから、さっき言った通りにキャンペーンで」

姉「今回は、それでこれを手に入れたの」

姉「もう、何度も同じ事言わせないでよ」

父「……」

母「ねぇ、貴方。この車見覚えあるの?」

母「それとも、自分がほしくなっちゃったとか?」

父「……」ギクッ

11: 2013/04/30(火) 07:05:39 ID:cfcZM1as
姉「あはは、お父さん。これ欲しいんだ」

姉「この車、お父さんの睨んだ通りに結構なお値段するんだ」ニッコリ

父「……」

姉「でも、これあげなあよ」

姉「弟君を、家から追い出す時用に丁度良いかなって、貰ってきたんだけど」ニコニコ

弟「!?」

姉「だから、お父さんはこれを諦めて」

姉「その代わり、お父さんにはルーツを買ってあげる」

姉「ちなみに、ルーツと言えばあのフィールドライフ」

姉「さすがにシリウスは無理だけど、ルーツくらいならすぐに買ってあげれるから」ニコニコ

12: 2013/04/30(火) 07:05:50 ID:cfcZM1as
父「分かった。諦めよう」

父「その代わり、ちゃんとこの俺にルーツを買ってくれ」キリッ

姉「うん。分かった」

弟「……」

母「ねぇ、娘……」

母「そんなお金あるなら、ウチを立て替えてよ……」

母「ルーツって、これと同じキャンピングカーでしょ?」

母「そんなの私はいらないから、マンションを一つか戸建ての住宅を一つ買ってほしいわ」

父「うむ。それも良いな」

弟「……」

13: 2013/04/30(火) 07:06:13 ID:cfcZM1as
姉「うん。良いけど」

姉「丁度、宝くじ当たったから、マンションの一室くらい楽に買えるけど」ニコニコ

姉以外「!?」

姉「だから、私結構余裕あるかな」

姉「彼氏も、一緒に高額当選しちゃってね」

姉「昔、お父さんが捨てた巨大猫さんにも会いに行ってきたし」

姉「だから、今の私は運が良いみたいだね」ニコニコ

姉以外「……」ポカーーン

姉「……」ニコニコ

姉以外「……」ポカーーン

14: 2013/04/30(火) 07:06:24 ID:cfcZM1as
姉「まぁ、とりあえずそう言う事だから!」

姉「弟君、覚悟だけはしてよね!」

姉「今度の休みの日に、弟君には旅に出て貰います!」

姉「これ、使っても構わないから、ちょっと旅行してきて!」

姉「弟君の滞在先、ちゃんと確保してあるから!」

姉「巨大猫さん。弟君に会いたがっていたし!」

姉「別に、そのままそこで氏んできても構わないからね!」ニコニコ

弟「……」ポカーーン

姉「……」ニコニコ

弟「……」ポカーーン

15: 2013/04/30(火) 09:44:49 ID:cfcZM1as
~キャンピングカー前~

同時刻――

スタスタスタッ、ガラガラガラッ……

スタスタスタッ、ガラガラガラッ……

ピタッ、ストン……

トントン、ガチャ……

妹「姉さん。言われてた物を、持ってきたよ」

妹「これ、本当に使うの?」

妹「かなり、量があって重かったけど」

姉「うん。ご苦労様」

16: 2013/04/30(火) 09:45:02 ID:cfcZM1as
母「娘。それは何?」

母「何か、かなりの量があるけど」

兄「……」

姉「ああ、これ?」

姉「弟君がキャンプ行く時に使う水と食料」

姉「MREレーション2セットに、2Lの水24本」

姉「後は、カップヌードル20個に、カ口リーメイト10個」

姉「これで、確か全部だったかな」

姉「あっ、一斗缶二つに入れてあったクラッカー忘れてた」

弟「……」ポカーーン

17: 2013/04/30(火) 09:45:13 ID:cfcZM1as
母「へぇ、そうなの」

母「これ、水と食料なの」

母「だったら、これウチで使いたい」

母「いざと言う時の防災用品として、いくつか備蓄しときたいわね」

父「ああ、そうだな」

スッ、ストン……

姉「お母さん。ちょっと退いて」

姉「お父さんは、これ運ぶの手伝って」

父「おう」

スッ、スタスタスタッ……

18: 2013/04/30(火) 09:45:24 ID:cfcZM1as
兄「おい、不義の子」

兄「まだ、他にあったが」

兄「そいつも、運んどいた方が良いのか?」

姉「うん。お願い」

母「×太郎、あまり外でそう言う事を言うのは止めてあげなさい!」

母「今のこの子、貴方の上官なのよ!」

母「万年兵長の貴方とは違って、この子はもう少尉なのよ!」

兄「煩い!」ギリッ

姉「お母さん。別に良いよ」

姉「兄さんの言う事は、本当の事なんだから」

19: 2013/04/30(火) 09:45:36 ID:cfcZM1as
母「でも、貴女はとんとん拍子で昇任したんでしょ?」

母「X太郎と違って、試験に通ったから試験したんでしょ?」

兄「……」イラッ

姉「うん。そうだよ」

姉「兵科によって、昇任速度が違うんだよ」

弟「……」ハッ

妹「それ言ったら、兄さんだって種違いじゃない」

妹「実際に、両方とも血が繋がってるのは私とお兄ちゃんだけ」

妹「今更、そう言う事言うの止めてあげたら?」

妹「自分で自分の立場悪くしてるの、兄さんは分かってる?」

20: 2013/04/30(火) 09:45:48 ID:cfcZM1as
兄「へいへい、分かったよ」

兄「どうせ、俺も不義の子だよ」

兄「それで、少尉殿。まだ運ぶのか?」

兄「あんたが用意した物資は、ここにまだ運ぶのか?」イライラ

妹「……」

姉「うん。お願い」

姉「まだ、確かビスケットや乾パンが入った一斗缶も残ってたはず」

姉「他に、布団とか食器とかも運んどいて」

姉「それ積んだら、もう終わりだから」

兄「へいへい」イライラ

21: 2013/04/30(火) 09:45:59 ID:cfcZM1as
妹「姉さん。本当にお金あるね……」

妹「一体、そんなお金はどっから出てきてるのよ……」

兄「さあな」イライラ

姉「ただ単に、自分で稼いで貯めたお金だよ」

姉「昔から、ずっと不義の子不義の子って言われてたから、いつ追い出されても良い様に準備してたんだよ」

妹「え?」

姉「まぁ、それはもう過去の話だけど」

姉「今は、もう兄さんなんかすぐに追い越しちゃって、少尉になっちゃったけど」ニッコリ

兄「……」ギリッ

妹「……」ビクッ

22: 2013/04/30(火) 09:46:10 ID:cfcZM1as
姉「それに、兄さんはもう除隊するんだよね?」

姉「結局、伍長になれずに除隊しちゃうんだよね?」ニコニコ

兄「……何が言いたい?」ギリギリ

姉「今からなら、まだ警察官になれるよ」

姉「警察官って、確か30歳くらいまでならなれるみたいだから」ニコニコ

兄「……」ギリギリ

姉「とりあえず、兄さん」

姉「早く、ここにまで荷物を運んで」

姉「後で、今回のお小遣い恵んであげる」

姉「だから、早く運んどいて」ニコニコ

23: 2013/04/30(火) 09:48:33 ID:cfcZM1as
姉「……」ニコニコ

兄「……」ギリギリ

姉「……」ニコニコ

兄「……」ギリギリ

姉「XX兵長、早く行きなさい!」

姉「これは、上官である私からの命令!」

姉「だから、さっさとここにまで物資を運びなさい!」ニコニコ

兄「くっ……」ギリギリ

母「X太郎、早く運んであげなさい!」

母「じゃなきゃ、来月X次郎と一緒に旅に出て貰うわよ!」

24: 2013/04/30(火) 09:49:05 ID:cfcZM1as
兄「へいへい、分かりましたよ……」

兄「少尉殿の命令に従えば良いんでしょ……」

兄「でも、俺はまだ少尉殿の事を家族だとは認めていない!」

兄「それだけは、絶対に覚えておけ!」イライラ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

姉「……」

妹「……」

父「……」

母「……」

25: 2013/04/30(火) 09:49:36 ID:cfcZM1as
母「全く、いつもあの子はああなんだから」

母「本当に、そんなんだから万年兵長なのよ」

姉「……」

母「XX美、貴女は何も心配はいらない!」

母「貴女は、ここにいて良いのよ!」

母「貴女は、ウチで引き取られた時からもう既に家族なのよ!」

姉「……」

妹「うん。そうだね!」

妹「バカな兄さん達二人と違って、姉さんは立派だからね!」

姉「XX子……」

26: 2013/04/30(火) 09:49:47 ID:cfcZM1as
父「母さん。そこを退いてくれ」

父「XX美が用意した物資を運ぶ」

父「XX美、俺が用意した防災食もここに入れて良いか?」

父「馬鹿息子二人で過ごすんなら、これはもう十分過ぎる量だ」

弟「……」

姉「うん。良いけど」

姉「まだ、そこに入る?」

姉「これ積んだ後、まだ中に入るかな?」

父「ああ、十分な」

スッ、ストン……

27: 2013/04/30(火) 09:49:58 ID:cfcZM1as
姉「なら、そこに全部入れちゃって」

姉「これ使うの、まだ当分先の事だから」

姉「弟君、後で同意書を書いてくれる?」

姉「今度、キャンプに行く所は同意書がいるから」

姉「だから、後でお母さん達も一緒に書いてほしいなぁ~~っ!」ニッコリ

弟「……」

妹「え? そんなのあるの?」

妹「姉さん。一体、どこでキャンプするつもりなの?」

弟「……」ビクッ

姉「うふふっ」ニヤニヤ

28: 2013/04/30(火) 09:50:10 ID:cfcZM1as
妹「姉さん。何か怖いよ……」

妹「そこ、確実に生きて帰れるの?……」

弟「……」ビクビクッ

姉「うん。大丈夫だよ……」

姉「ちょっと、半魚人さん達がうようよいるけど、新鮮なお魚さえ持っていけば大丈夫だよ……」ニヤニヤ

妹「!?」ビクッ

姉「だから、弟君は多分大丈夫かな……」

姉「兄さんも一緒についてくみたいだし、多分大丈夫かな……」チラッ

弟「……」ビクビクッ

妹「……」ビクビクッ

29: 2013/04/30(火) 09:50:20 ID:cfcZM1as
母「XX美、貴女何企んでいるの?」

母「今の貴女、極悪な魔女みたいな顔をしてしまってるわよ」

父「ああ、そうだな」

姉「いや、そんな事ないよ」

姉「私、そんな風になってなんかないよ」ニヤニヤ

母「……」

父「……」

姉「とりあえず、物資運んで」

姉「それ済ませて、早くお昼にしようか?」

母「ええ、そうね」

30: 2013/04/30(火) 09:50:31 ID:cfcZM1as
スタスタスタッ、ガラガラガラッ……

スタスタスタッ、ガラガラガラッ……

ピタッ、ストン……

兄「少尉殿、持ってきたぞ」

兄「これ、全部運べば良いのか?」

妹「!?」ビクッ

兄「ん? どうした?」

兄「何脅えてんだ? XX子」

妹「……」

兄「!?」ハッ

31: 2013/04/30(火) 09:52:49 ID:cfcZM1as
姉「ああ、ご苦労様」

姉「それ、早速積んでいってくれる?」

姉「私、まだ用意する物があるから」

姉「お父さん。あれ、持ち運ぼ」

姉「まだ、保存食とか沢山あるんでしょ?」

兄「……」

父「ああ、そうだな」

父「馬鹿息子二人は、今あるのを先に積んどいてくれ」

父「娘二人、ついてこい!」

父「まだまだ、物資は沢山あるぞ!」

32: 2013/04/30(火) 09:53:00 ID:cfcZM1as
母「なら、私はここで見とくわ」

母「お父さん達、早く持ってきなさい」

娘達「は~~い」

母「それ終わったら、後で外食ね」

母「XX美、結構お金あるみたいだし」

母「だから、これ終わったら皆で外食ね」

娘達「は~~い」

弟「……」

スッ、ストン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

33: 2013/04/30(火) 09:53:11 ID:cfcZM1as
~キャンピングカー内~

しばらくして――

兄「これで、全部みたいだな」

兄「よくこんなに、親父達は買い込んだもんだ」

弟「ああ、そうだな」

兄「それに、この車やけに高そうだな」

兄「これ確か、軍のキャンペーンで出てた奴じゃないか」

弟「……」

父「X太郎、これ知ってるのか?」

父「あいつ、本当にキャンペーンとかで手に入れたのか?」

34: 2013/04/30(火) 09:53:23 ID:cfcZM1as
兄「ああ、そうだけど」

兄「ついこの間、陸軍が主催したキャンペーンの景品の一つに、これが何台かあった」

兄「おまけに、あいつ防災食まで多数当てやがってな」

兄「軍内部でも、あいつは一躍有名人になっちまった」

弟「……」

父「なら、あいつの言っていた事は本当の事の様だな」

父「ちなみに、お前は何を当てた?」

父「お前も、陸軍に所属してるんだろ?」

父「お前は、一体何を当てたんだ?」

弟「……」

35: 2013/04/30(火) 09:53:54 ID:cfcZM1as
兄「ああ、俺か?」

兄「俺は、ビール箱ごと貰ったんが、同じ営内の奴等と飲んじまった」

兄「他の奴等は、俺と同じで箱ごとビール貰ってたり、家族旅行を当てた奴もいる」

兄「他には、お歳暮で出される様なハムとか洗剤とかが当たってたな」

兄「あいつが当てたこのキャンピングカー、狙ってた奴が少なくてすんなりと当てやがったんだ」

弟「……」

スッ、スタッ……

妹「お父さん達。もう積み終わった?」

妹「積み終わったんなら、外食に行くよ」

父「おう」

36: 2013/04/30(火) 09:54:52 ID:cfcZM1as
兄「ん? 外食?」

兄「今から、外食に行くのか?」

兄「それは、勿論あいつ持ちなのか?」

妹「うん。そうだけど」

兄「なら、遠慮なく食ってやろう」

兄「それくらいしても、罰は当たらんだろ」

妹「……」

弟「兄さん。兄さんはキャンプ行くのか?」

弟「俺の場合は、無理矢理連れてかれるんだが」

兄「は?」

37: 2013/04/30(火) 09:55:04 ID:cfcZM1as
兄「いや、俺も行くぞ」

兄「何言ってんだお前?」

弟「!?」

兄「俺、あいつに言われたんだわ」

兄「100万やるから、親父と一緒にお前を鍛えてやってくれって」

弟「!?」ガーーン

兄「だから、お前も覚悟しろよ!」

兄「お前のその腹の贅肉、とことん落としてやる!」

弟「……」ガクッ

妹「……」

38: 2013/04/30(火) 09:55:21 ID:cfcZM1as
兄「とりあえず、もう終わった事だし、さっさと行くぞ!」

兄「と言っても、キャンプ行くまでまだ時間はある!」

兄「だから、お前も覚悟するんだな!」

弟「……」

妹「……」

父「……」

妹(こうして、お兄ちゃんはキャンプに無理矢理連れて行かれる事になり……)

妹(様々な試練が、お兄ちゃんの前に次々と襲い掛かっていきます……)

妹(おまけに、私達はすぐにお兄ちゃんの事を置いてその場から離脱……)

妹(お兄ちゃんただ一人だけが、ずっと一人でキャンプし続けるのでした……)ニヤリ

39: 2013/04/30(火) 10:06:03 ID:cfcZM1as
本日は、ここまで。

次の更新はまだ未定です。

41: 2013/04/30(火) 17:28:48 ID:cfcZM1as
~登場人物~

銀次郎(弟):無職。24歳。黒髪の短髪。高校卒業後、ずっとニート。今作の主人公。

葉菜美(姉):看護師。26歳。黒のショートで巨O。弟達とは腹違いであり、幼少時代から兄を一番嫌っている。

金太郎(兄):陸軍兵士。28歳。坊主頭で、弟達とは種違い。姉の事を一番嫌っているが、利害が一致した時はよく協力をする。

葉菜子(妹):大学生。22歳。黒髪ロングで巨O。以前から、馬鹿な兄二人が邪魔になってきてる。姉とは、昔から仲が良い。

銅三郎(父):無職。65歳。白髪混じりの短髪。今年定年を迎え、老後をどう生きようか模索中。

葉菜代(母):介護福祉士。55歳。ここ最近、やけに白髪が目立ってきた黒の短髪。息子達の不甲斐なさに嘆いている。

42: 2013/04/30(火) 17:29:37 ID:cfcZM1as
~キャンピングカーのデータ~

・所有者:姉。
・車種:ハイエースワゴンロング。
・種類:キャブコン。
・定員:四名。
・設備:シャワー、トイレ、キッチン、ベット、エアコン、発電・備蓄設備、通信設備等。
・装備:冷蔵庫、電子レンジ、カセットコンロ、給水タンク、排水タンク、サブバッテリー、液晶テレビ、DVDレコーダー、カーナビ等。

43: 2013/04/30(火) 17:30:18 ID:cfcZM1as
~備蓄食料~

・MREレーション(米軍個人携行食)×24
・MRE補助増加食(パン)×24
・カップヌードル×20
・カ口リーメイト×20
・レトルトカレー×30
・白米(200g)×30
・乾パン×10
・天然水2L×24

※防災食は、後になって母がゴネたので自宅にて保管。

44: 2013/04/30(火) 17:36:12 ID:cfcZM1as
~キャンプ先~

・場所:無人島
・所有者:?
・管理者:?
・居住者:?
・面積:0.63ha
・島の形:豚ロース。東西に160m、南北に480m。
・海岸線:1200m
・気温:15~16℃
・自然:中央に山あり。

次から、キャンプ当日に移ります。

47: 2013/05/01(水) 08:10:17 ID:otG9ZKmU
~弟の自室~

キャンプ当日――

「ねぇ、弟君。起きて」

「早く、起きて」

ユサユサユサッ、ユサユサユサッ……

弟「ZZZ……」

「起きないと、このまま拉致しちゃうよ」

「出来れば、早く起きてほしいなぁ~~っ」

ユサユサユサッ、ユサユサユサッ……

弟「ZZZ……」

「もう仕方ないなぁ」

「私が、今から抜いてあげようか?」

「私達、半分血が繋がってないんだし」

「それくらいしても、構わないからね」

スッ、ムクッ……

48: 2013/05/01(水) 08:10:32 ID:otG9ZKmU
姉「……」

弟「……」

妹「……」

姉「……」

弟「……」

妹「……」

姉「お早う、弟君」

姉「昨夜は、よく眠れたかな?」

弟「……」

姉「このまま、弟君が起きなかったら本当に私はしちゃってたかも」

姉「だって、今の弟君は全裸だったら」

弟「!?」ハッ

妹「とりあえず、早く服着て!」

妹「そんな汚ならしい物、私達の目の前で見せないで!」

弟「……」

49: 2013/05/01(水) 08:10:46 ID:otG9ZKmU
姉「うん、そうだね。本当にだね」

姉「まぁ、私の場合は、仕事柄でよく見慣れてるけど」

姉「君みたいな包茎すら、何度も生で見てきてるよ」

弟「……」

姉「君が望むなら、すぐに予約入れて処置して貰おうか?」

姉「ここ最近、虫歯にも悩んでたでしょ?」

姉「今の私、まだお金に余裕あるし」

姉「そう言った事でも、援助してあげようか?」

弟「……」

妹「姉さん。もう行こう!」

妹「こんな人、放っておいて早く行こうよ!」

姉「え?」

妹「大体、こんな人なんかに援助する必要なんかないよ!」

妹「今の姉さん、本当にお金を無駄にしてしまってるよ!」

弟「……」

50: 2013/05/01(水) 08:11:04 ID:otG9ZKmU
妹「それに、この人はもう時期家を追い出されるんだし!」

妹「姉さんが、そこまでしてあげる必要は全くない!」

妹「それでも、家族に援助したいと言うのなら、私にして!」

妹「今の私、ちょっと欲しいものがあるの!」

妹「今日のキャンプが終わったら、色々と姉さんに買って欲しいなぁ~~っ!」ニッコリ

弟「……」

「なら、私達にも何か買って」

「私達も、キャンプ行きたい」

弟「……?」

ガチャ、ガラガラガラッ……

姉「あっ」

妹「……」

双子「……」

弟「……」

姉「誰? この子達?」

51: 2013/05/01(水) 14:43:55 ID:otG9ZKmU
双子「こんにちは。お姉ちゃん」

双子「今日も、良い天気だね」ニッコリ

姉「……」

妹「はぁ……」

妹「また、勝手に入ってきたの?……」

妹「君達のお母さんは、一体どうしたの?……」

弟「……」

双子「うん。分かんない」

双子「今日の朝から、彼氏のウチに行くって出掛けちゃった」

姉「!?」

妹「ああ、そうなの……」

妹「あの人、また放置したまんまなの……」

妹「まさか、ウチにまた預かってくれとか言わないわよね?……」

妹「もしかして、またそう言われて来たとか?……」

双子「うん。そうだよ」

52: 2013/05/01(水) 14:44:21 ID:otG9ZKmU
姉「ねぇ、妹ちゃん。この子達は?」

姉「この子達は、よくこんな風に放置されてるの?」

妹「うん……」ガクッ

姉「そう。そうなんだ……」

姉「この町にも、こう言った子が沢山いるんだ……」

双子「……?」

姉「なら、この子のお父さんは?」

姉「お父さんは、もう仕事に行っちゃったの?」

双子「うん」

姉「……」

双子「それに、お父さんは今月から出張をしちゃった」

双子「もう何日も前から、ウチに帰ってこないんだ」

姉妹「!?」

双子「後、私達朝御飯まだなの」

双子「お母さん。お金も置かずに、また私達を置いて出掛けちゃったの」

53: 2013/05/01(水) 14:44:33 ID:otG9ZKmU
双子「だから、お姉ちゃん。今日もまた何か食べさせて」

双子「私達、お腹空いちゃった」

双子「いつ、お母さんも帰ってくるか分からないし」

双子「お母さんが、この手紙をお姉ちゃんに渡してって」スッ

スッ、パサッ……

姉「……」

姉「……」

姉「!?」

姉「……」プルプル

姉「……」プルプル

姉「……」ポトッ

妹「……」スッ、パサッ

妹「!?」

妹「……」プルプル

妹「……」プルプル

54: 2013/05/01(水) 14:44:46 ID:otG9ZKmU
双子「お姉ちゃん。どうしたの?」

双子「何で、さっきから震えてるの?」

姉「……」プルプル

双子「お母さん。何て書いてた?」

双子「私達、早く朝御飯が食べたい」

妹「……」プルプル

姉「ここ当分、お母さんは旅行に行くそうよ……」

姉「ちょっと、君達と同じぐらいの時に出来たお友達と一緒にね……」プルプル

妹「……」プルプル

姉「とりあえず、妹ちゃん……」

姉「この子に、何か朝御飯になる様なものを……」

姉「お母さん達、まだ車の中なんだよね?……」

姉「少し、今から私は走ってくるわ……」プルプル

妹「うん。分かった……」プルプル

双子「……?」

55: 2013/05/01(水) 19:37:58 ID:otG9ZKmU
その数分後――

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ガラッ……

兄「おい、弟」

兄「何だ、あの子達は?」

兄「まさか、あれは親父の隠し子か?」

弟「……」

姉「ああ、違うけど」

姉「あれは、近所に住む双子ちゃん達」

姉「何か、よくその親がウチに託児してくるんだって」

姉「妹ちゃんは、何故か昔から懐かれてて、それで今から朝御飯を作ってあげてるの」

兄「……ふむ、そうか」

弟「姉さん、どうする?」

弟「キャンプ、止めにするか?」

弟「あの子達は、親が帰宅するまでどうするつもりなんだ?」

56: 2013/05/01(水) 19:38:11 ID:otG9ZKmU
姉「う~~ん。どうしよっか~~っ?」

姉「あの子達、確実にネグレクトされてるからね~~っ」

兄「……」

弟「なら、今回はもう止めにしないか?」

弟「俺は、もう今回は止めにしても良いと思うけど」

姉「……」

兄「お前、そんなにキャンプ行きたくないのか?」

兄「その腹の贅肉、一体いつ落とすんだ?」

姉「……」

弟「ああ、そうだよ」

弟「俺は、キャンプなんて行きたくねぇよ」

弟「大体、何で今更家族皆でキャンプなんだ?」

弟「もう俺達、家族旅行とか言う歳でもないだろうが」

姉「うん。そうだね」

兄「……」

57: 2013/05/01(水) 19:38:30 ID:otG9ZKmU
姉「でも、今日のキャンプは確実に行くよ」

姉「弟君が嫌でも、無理矢理連れて行くよ」

弟「why?」

姉「ん? 何か、文句あるの?」

姉「そんなに、私の事が嫌いなの?」

弟「ああ、そうだ」

姉「……」シュン

兄「とりあえず、さっさと用意して行くぞ!」

兄「こいつからは、もう既に俺は金を受け取った!」

兄「それについては、親父も全く同じだ!」

弟「!?」ガーーン

兄「おい、そこの少尉殿!」

兄「さっさと、こいつ連れてくぞ!」

兄「適当に、麻酔か何かぶち込んでやれ!」

兄「今のお前なら、それですらすぐに可能なんだろ?」

58: 2013/05/01(水) 19:38:45 ID:otG9ZKmU
姉「うん。まあね」

姉「あくまで、弟君が抵抗した時の為のだけどね」

姉「だから、弟君。何も抵抗しないで」

姉「じゃなきゃ、本当に拉致して連れてくよ」

姉「弟君の事、キャンプ先に放置していくよ」

姉「弟君は、それでも良いの?」

兄「……」

弟「姉さん。俺に拒否権はないのか?」

弟「つうか、何でそこまでキャンプさせたいんだ?」

姉「……」

弟「俺は、絶対にキャンプなんて行かない!」

弟「俺は、姉さん達の玩具じゃない!」

弟「俺の事は、もうほっといてくれ!」

弟「頼むから、弟の好きな様に生きさせてくれ!」

兄「……」

61: 2013/05/02(木) 07:06:41 ID:k5MX5cGw
姉「う~~ん。それちょっと、無理かな」

姉「弟君。もう十分な程、好き勝手に生きちゃってるけど」

弟「煩い!」

姉「伍長。彼を、今から拘束する!」

姉「続きなさい!」

兄「はっ!」

弟「!?」ガーーン

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スッ、ガシッ……

弟「!?」ビクッ

兄「……」

弟「兄さん。嘘だろ?……」

弟「これは、何かの嘘なんだろ?……」

兄「……」

62: 2013/05/02(木) 07:06:52 ID:k5MX5cGw
スッ、カチャ……

ササッ、ササッ、ピン……

姉「……」

兄「……」

弟「……」

ジリジリッ、ジリジリッ……

弟「くっ、来るな!」

弟「来るな、来るな!」ガクガクッ

兄「……」

姉「……」

スッ、ガシッ、プスッ……

弟「!?」

スーーッ、シュッ……

姉「はい。お終い」

兄「……」

63: 2013/05/02(木) 07:07:04 ID:k5MX5cGw
弟「あ、あんたら……」

弟「鬼だ、鬼だ……」

弟「うっ……」

兄「……」

弟「……」

弟「……」

弟「……」ガクッ

姉「……」

弟「ZZZ……」

弟「ZZZ……」

弟「ZZZ……」

兄「……」

姉「兄さん。ご苦労様」

姉「後は、これを運ぶだけだね」

兄「ああ、そうだな」

64: 2013/05/02(木) 07:07:20 ID:k5MX5cGw
兄「少尉。そっちの足持ってくれ」

兄「胴体は、俺が持つ」

兄「あんたは、そいつの足を持ってくれ」

弟「ZZZ……」

姉「ええ、分かったわ」

姉「ちょっと、待ってね」

姉「これ、今すぐ片付けるから」

弟「ZZZ……」

サッ、ササササッ……

ササササッ、ササササッ、カシャン……

スッ、ガシッ……

姉「よいしょっと……」

兄「はっ!」

姉「うっ」

弟「ZZZ……」

65: 2013/05/02(木) 07:07:34 ID:k5MX5cGw
姉「この子、結構重いわね……」

姉「見掛けによらず、何でこんなに重いのよ……」

弟「ZZZ……」

兄「さぁ、何も知らんな……」

兄「俺が陸軍に入隊した時は、こんな風じゃなかったんだが」

弟「ZZZ……」

姉「う~~ん。そうだね……」

姉「私は、看護学校に行ってたから、何も知らないんだよね」

姉「今日だって、あの双子ちゃん達とは初めて会っちゃったし……」

姉「普段は、あまり実家にすら顔を出してなかったからね……」

兄「ああ、そうだな……」

弟「ZZZ……」

兄「とりあえず、動くぞ……」

兄「そのまま、後ろに下がって行け……」

姉「……」

66: 2013/05/02(木) 07:07:49 ID:k5MX5cGw
ジリッ、ジリジリッ……

ジリジリッ、ジリジリッ……

弟「ZZZ……」

兄「よし、その調子だ……」

姉「……」

兄「あっ、それと、俺はもう今月から伍長だ……」

兄「だから、もう二度と間違えんじゃねぇ……」

姉「うん。分かった……」

弟「ZZZ……」

ジリジリッ、ジリジリッ……

ジリジリッ、ジリジリッ……

弟「ZZZ……」

ジリジリッ、ジリジリッ……

ジリジリッ、ジリジリッ……

弟「ZZZ……」

69: 2013/05/03(金) 06:19:42 ID:yWZ1iZcM
~とある駐車場~

ガラガラガラッ、スタスタスタッ……

ガラガラガラッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ストン……

兄「ふぅ……」

姉「ああ、疲れた……」

弟「ZZZ……」

母「貴方達、何してたの?」

母「何で、銀次郎はまだ眠ってるのよ」

弟「ZZZ……」

姉「ああ、ちょっとね……」

姉「また、行く前に弟君がゴネちゃった訳……」

弟「ZZZ……」

姉「とりあえず、これ乗せるね……」

姉「適当に、ベットの上に寝かしとくわ」

70: 2013/05/03(金) 06:20:27 ID:yWZ1iZcM
母「そう。そうなの」

母「また、この子ゴネちゃったの」

母「一体、誰に似たのかしらね?」

母「だから、台車に乗せてきたんだ」

弟「ZZZ……」

兄「さぁ、知らんな」

兄「本当に、誰に似たんだか」

弟「ZZZ……」

兄「少尉。また、足持て」

兄「母さんはドアを開けろ」

兄「葉菜子は、近所に住む双子ちゃんに餌付けしてる」

兄「さぁ、こいつが起きる前にさっさと運んじまおうぜ」

姉「うん。そうだね」

弟「ZZZ……」

スッ、ガチャ……

71: 2013/05/03(金) 06:20:57 ID:yWZ1iZcM
スッ、ガシッ……

ガシッ、ガシッ……

兄「よいしょっと」

姉「うっ……」

母「……」

弟「ZZZ……」

ジリッ、ジリジリッ……

ジリジリッ、ジリジリッ……

母「……」

弟「ZZZ……」

「親父、ちょっとそこ退いてくれ」

「親父が邪魔で、こいつ運べねぇよ」

「ああ、すまんな」

「ZZZ……」

母「……」

72: 2013/05/03(金) 06:21:08 ID:yWZ1iZcM
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ストン……

老婆「おやっ、葉菜代さん。お出掛けかい?」

老婆「と言うか、どうしたんだい。この車は?」

母「ああ。こんにちは」ニッコリ

介護士「……」ペコッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

母「こんにちは、花子さん」

母「今日も良い天気ですね」ニコニコ

介護士「……」

老婆「ええ。そうですね」

老婆「今日は、本当に良い天気だわ」ニッコリ

母「……」ニコニコ

介護士「……」ニコニコ

73: 2013/05/03(金) 06:21:20 ID:yWZ1iZcM
老婆「それで、今日はどこに行くんだい?」

老婆「この立派な車に乗って、キャンプにでも行くのかい?」ニコニコ

母「はい。そのつもりです」ニコニコ

老婆「そうか。そうか」

老婆「これに乗って、お出掛けに行くんか」

老婆「ウチのひ孫も、これに乗せとうなぁ」

老婆「こんな車あるんのなら、どこへでも旅行に行けるがな」ニコニコ

母「ええ。そうですね」ニコニコ

老婆「大体、ウチの孫は馬鹿ばっかでなぁ」

老婆「可愛い可愛い娘二人置いて、不倫旅行に行ってもうたんや」

老婆「それで、ウチの娘がウチのひ孫を探しとる?」

老婆「葉菜代さんとこ、また来てへんか?」

老婆「前にも、葉菜代さんとこにはお世話になっとたからに」

老婆「それを聞きに、私はここまでやって来たんや」

介護士「……」

74: 2013/05/03(金) 06:21:50 ID:yWZ1iZcM
母「ええ、ついさっきから来てますよ」

母「今、ウチの娘が朝御飯の支度をしております」

老婆「!?」

母「それと、あの子達はこの手紙を持っていました」

母「どうやら、ご主人が出張中に不倫相手と今日からご旅行の様でしてね」

母「それで、ウチの方に朝から歩いて来たみたいです」

老婆「orz……」

介護士「花子さん。大丈夫ですか?」

介護士「私が、娘さんにご連絡の方を差し上げましょうか?」

母「……」

老婆「ああ、そうして下され……」

老婆「本当に、あの子は何を考えておるんか……」

老婆「あの子が帰ってきたら、とことん締め上げてくれる!」

老婆「そんで、ウチのひ孫はウチで引き取る!」

母「……」

75: 2013/05/03(金) 06:24:02 ID:yWZ1iZcM
介護士「サ責。ちょっと、花子さんを見てて貰ってて良いですか?」

介護士「私、今から娘さんに電話します!」

介護士「まだ、その辺を探してるはずです!」

介護士「少しばかり、花子さんの事をお願い致します!」

老婆「……」

母「ええ、分かったわ!」

母「花子さん。もう大丈夫ですからね!」

母「今、私の娘がひ孫さん達と一緒です!」

母「ですから、もう花子さんは安心をして下さいね!」

老婆「ええ、分かりました……」

老婆「本当に、申し訳ねぇだ……」

母「いえいえ」

スッ、ピピッ……

「トゥルルルッ、トゥルルルッ……」

「トゥルルルッ、トゥルルルッ……」

76: 2013/05/03(金) 06:24:15 ID:yWZ1iZcM
「トゥルルルッ、トゥルルルッ……」

「トゥルルルッ、トゥルルルッ……」

ピッ……

電話「はい。もしもし……」

介護士「お早うございます。〇〇さん」

介護士「〇×介護ヘルパーステーションの×××です」

介護士「例のお孫さんの件ですが、今発見しました!」

介護士「どうやら、××さん所にまたいらしてたみたいでですね!」

介護士「それで、今XXさんのご自宅にて保護しております!」

老婆「……」

電話「え? そうなんですか?」

電話「本当に、ご迷惑をお掛けして申し訳ございません!」

電話「それで、ウチの孫達は大丈夫なのですか?」

電話「どこか、怪我とかはしていませんでしたか?」

介護士「はい。大丈夫です」

77: 2013/05/03(金) 06:24:25 ID:yWZ1iZcM
電話「そうですか!」

電話「本当に、あの子達が無事でいてくれて良かったです!」

電話「今から、そっちに向かいますので!」

電話「ウチの母にも、そうお伝え下さい!」

介護士「はい。かしこまりました!」

老婆「……」

電話「それじゃあ」

ピッ……

「ツーーッ、ツーーッ、ツーーッ……」

ピッ、カシャン……

介護士「……」

老婆「……」

母「それで、娘さんは何て?」

母「こっちに、今から来てくれるの?」

介護士「はい!」

78: 2013/05/03(金) 06:24:36 ID:yWZ1iZcM
母「なら、花子さんをウチの中に」

母「今、ウチの娘が朝食を作ってるから、早速会わせてあげて」

介護士「はい」

母「花子さん。今から、娘さんがウチに来てくださいます」

母「今から、ひお孫さんにも会えますので、どうか花子さんは安心をして下さいね」ニッコリ

老婆「はい。分かりました」ニッコリ

スッ、ストン……

姉「……」

母「娘。ちょっと、そこで待ってて」

母「私、あの子達の様子を見てくるから」

姉「うん。分かった」

母「花子さん。今から移動しますね」

母「もうすぐ、ひ孫さんに会えますからね」ニコニコ

老婆「はい」ニコニコ

介護士「……」

79: 2013/05/03(金) 06:24:48 ID:yWZ1iZcM
ガラガラガラッ、スタスタスタッ……

ガラガラガラッ、スタスタスタッ……

姉「……」

ガラガラガラッ、スタスタスタッ……

ガラガラガラッ、スタスタスタッ……

姉「……」

スッ、ストン……

父「今の〇〇とこの婆さんか?」

父「あの人も、本当に可哀想な人だ」

姉「うん。そうだね」

父「それで、どうすんだ?」

父「上は、何て言ってるんだ?」

兄「……」ヌッ

姉「このまま、島に連れて来いって」

姉「島に連れて行った後は、向こうが管理するみたいだから」

80: 2013/05/03(金) 06:24:59 ID:yWZ1iZcM
父「おおっ、そうか!」

父「そりゃあ、有り難いな!」

父「ようやく、あの穀潰しから解放されるのか!」ピカァ

兄「……」ピカァ

父「それで、いつまでだ?」

父「あのまま、ずっと向こうに送っとくのか?」

姉「うん。そうだけど」

父「よっしゃああああ――――っ!」

兄「……」

姉「伍長。向こうに着いたら、帰りは別の車になるわ!」

姉「伍長は、そのまま駐屯地に戻って!」

姉「貴女の希望通りに、上はもうやってくれたみたいだから!」

姉「だから、もう安心してよね!」ニッコリ

兄「はっ!」ビシッ

父「……」

81: 2013/05/03(金) 06:26:50 ID:yWZ1iZcM
兄「それで、少尉」

兄「母さん達はどうする?」

兄「母さん達も連れてくのか?」

兄「この車じゃ、人数的にも乗り込めねぇだろ」

父「……」

姉「ああ、大丈夫、大丈夫」

姉「これ、よく見たら寝るのは四人で、乗るのは最大五人までなのよ」

姉「だから、弟君寝かしてても問題ないわ」

姉「弟君を荷物にカウントしても、何も問題はないし」

姉「そこで、ホバークラフトに乗り込んで、弟君を車と一緒に輸送しちゃうから」

兄「……ああ、了解した」

父「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

妹「……ふぅ」

82: 2013/05/03(金) 06:27:03 ID:yWZ1iZcM
妹「姉さん。双子ちゃん達片付いたよ」

妹「〇〇さんとこのお婆ちゃんが、今さっき来てくれたから」

姉「うん。そう」

妹「後、お母さんはもう少し掛かるって」

妹「だから、まだ少し待ってて」

姉「うん。分かった」

父「……」

兄「なら、少し待つ事にしよう」

兄「俺、ちょっとタバコ買ってくる」

兄「それじゃあな」

スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

父「娘。俺も行ってくる」

父「少し、待っててくれ」

妹「は~~い」

83: 2013/05/03(金) 06:27:15 ID:yWZ1iZcM
スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

妹「ねぇ、姉さん」

妹「お兄ちゃんの事、そのまま放置しておくの?」

妹「向こうに引き渡したら、もうお兄ちゃんは氏んだも同然なの?」

姉「ええ、そうよ」

妹「……」

姉「弟君は、向こうに引き渡した瞬間から氏んだも同然なの」

姉「だから、戸籍も完全に消えるわ」

姉「今まで、ずっと好き放題して来たんだし」

姉「これが、最後の親孝行でもあるからね」

妹「……そう」

姉「とりあえず、妹ちゃんも早く乗って」

姉「もうそろそろ、出発をするんだし」

姉「早く乗って」

84: 2013/05/03(金) 06:27:45 ID:yWZ1iZcM
スッ、スタッ……

スタスタッ、スッ、ストン……

姉「……」

妹「……」

姉「妹ちゃん。大丈夫よ」

姉「妹ちゃんの事、あそこに放置したりしないから」

姉「だから、何も心配はしないで」

妹「……」

姉「……」

妹「……」

姉「そんなに、私の事が怖い?」

姉「それとも、今更、後悔してる訳?」

妹「……」

姉「……」

85: 2013/05/03(金) 06:27:56 ID:yWZ1iZcM
姉「大丈夫よ。私、本当に何もしないから」

姉「妹ちゃんの事、あそこに放置したりしないから」

妹「……」

姉「だから何度も言うけど、妹ちゃんは大丈夫よ」

姉「私、妹ちゃんの事は大好きだし」

姉「もし仮に、そんな事をするのなら、弟君だけでも十分だわ」

妹「……」

姉「……」

妹「……」

姉「……」

妹「……姉さん」

妹「これだけは、絶対に約束して……」

妹「一人暮らしをする為の資金、出してくれるって……」

妹「そのついでに、私の身の安全の保障をして……」

姉「うん。良いけど」

86: 2013/05/03(金) 06:28:08 ID:yWZ1iZcM
妹「後は、私にマンションを買ってね」

妹「姉さん。まだ、お金に余裕があるんでしょ?」

妹「その他には、次の休みの日に温泉とか行きたい」

妹「もしくは、海外に旅行とか良いかもね」ニッコリ

姉「うん。分かったわ」ニッコリ

妹「……」ニコニコ

姉「……」ニコニコ

野良猫「……」スタッ

野良猫「……」キョロキョロ

野良猫「……」キョロキョロ

野良猫「にゃああああ~~~~っ」

姉(その後、私達は弟君を連れて、他県にある海軍基地にまで出発)

姉(そこに着いた時には、もうお昼頃)

姉(私達は、弟君を軍に引き渡し……)

姉(弟君は、船でそのまま無人島にまで運ばれたのでした)

90: 2013/05/03(金) 13:02:56 ID:yWZ1iZcM
分かりました。
次から、名前の表記を統一致します。

弟→銀太郎
姉→葉菜美
兄→金太郎
妹→葉菜子
父→銅三郎
母→葉菜代

91: 2013/05/03(金) 13:03:31 ID:yWZ1iZcM
~キャンピングカー内部図~

no title

93: 2013/05/04(土) 07:43:45 ID:YbVrQD7M
~無人島・キャンピングカー内~

その日の夜――

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」ハッ

銀太郎「……」ムクッ

銀太郎「……」キョロキョロ

銀太郎「……」キョロキョロ

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

フラッ、バタッ……

94: 2013/05/04(土) 07:43:57 ID:YbVrQD7M
銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「マジか……」

銀太郎「姉さん、マジで俺を無理矢理連れて行った……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

スッ、ムクッ……

パサッ、スッ、スタッ……

銀太郎「とりあえず、トイレにでも行こう……」

銀太郎「確か、ここにも付いてたんだよな?……」

スッ、ポリポリッ……

95: 2013/05/04(土) 07:44:09 ID:YbVrQD7M
スッ、ジャバ--------ッ!

銀太郎「……?」

ジャバババ--------ッ、ジャバババ--------ッ!

ガチャ、バタン……

銀太郎「……」

エルフ「あっ」ハッ

銀太郎「……」

エルフ「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、フリフリッ……

銀太郎「……」

エルフ「……」

銀太郎「……」

エルフ「……」

銀太郎「Who is this?」

96: 2013/05/04(土) 07:44:21 ID:YbVrQD7M
エルフ「……」

銀太郎「……」

エルフ「……」

銀太郎「……」

エルフ「もしかして、生きてた?」

エルフ「今、私の目の前にいるのは、アンデットとかじゃないのよね?」

銀太郎「……」コクン

エルフ「はぁ?」

エルフ「何で、あんた生きてんのよ?」

エルフ「つうか、私の言葉分かってんの?」イラッ

銀太郎「……」コクン

エルフ「……そう。そうなの」

エルフ「あんた、まだ氏んでなかったんだ」

エルフ「それじゃあ、この家、まだ貰えないんだ」

銀太郎「!?」

97: 2013/05/04(土) 07:44:33 ID:YbVrQD7M
エルフ「つうかさぁ、あんた何でここに来たの?」

エルフ「今あんたがいる所、捨て子が集まる場所なのよ?」

銀太郎「!?」

エルフ「特に、健康なのにも関わらず、一度も学校を出てから働かなかった者」

エルフ「家族や他人に対して、ずっと迷惑ばかりいる者」

エルフ「それらが、ここによく流されてきてね」

エルフ「今のあんたも、どうやらその類いみたいな訳」

銀太郎「!?」ガーーン

エルフ「……」

銀太郎「……」

エルフ「とりあえず、あんた名前は?」

エルフ「今のあんた、名前くらいあるんでしょ?」

銀太郎「……」

エルフ「まぁ、言いたくないのなら、それでも構わないわ」

エルフ「いずれ、あんたもここで氏ぬんだから」

98: 2013/05/04(土) 07:44:45 ID:YbVrQD7M
エルフ「とりあえず、あんた何か質問は?」

エルフ「もしないのなら、私はもう帰るわよ」

銀太郎「……」

エルフ「出来れば、早く氏んでね」

エルフ「あんたが氏ねば、この家自体は私がすぐにも貰っていく」

エルフ「後、ここにある食料の一部は、他の人達に分けてあげたわ」

エルフ「てっきり、あんた氏んでると思ってたし」

エルフ「なんか、皆、久し振りの食事だったみたいでね」

エルフ「ここの食料を分けてあげたら、皆が涙ながらに喜んでいたわ」

銀太郎「!?」

エルフ「それじゃあ、私はもうこれで」

エルフ「出来れば、早く氏んでよね」

エルフ「それじゃあ」

銀太郎「……」

スッ、シュン……

99: 2013/05/04(土) 07:44:55 ID:YbVrQD7M
銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「今の、一体何だったんだ?」

銀太郎「もしかして、あれも現実の事なのか?」

銀太郎「はぁ……」ガクッ

100: 2013/05/04(土) 07:45:17 ID:YbVrQD7M
銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「……」

銀太郎「とりあえず、トイレだけでも済ませよ……」

銀太郎「後は、食事して寝るだけだな……」

銀太郎「はぁ……」

101: 2013/05/04(土) 11:39:26 ID:n6jGM.XQ
次男の名前は銀次郎じゃ無かったんですかね…?

102: 2013/05/04(土) 12:22:49 ID:YbVrQD7M
すいません。銀次郎です……

103: 2013/05/04(土) 12:29:46 ID:YbVrQD7M
その十数分後――

ジャバッ、ジャバババ--------ッ!

ジャバババ--------ッ、ジャバババ--------ッ!……

ガチャ、バタン……

銀次郎「……」

エルフ「あっ、また出た」

銀次郎「……」

エルフ「……」

銀次郎「あんた、帰ったんじゃなかったのか?」

銀次郎「つうか、何やってんだ?」

スッ、ストン……

エルフ「何って、夕食の準備をしてるのよ」

エルフ「それの何の問題がある訳?」

銀次郎「!?」

パカッ、スッ、ドサッ、ドサッ……

104: 2013/05/04(土) 12:29:58 ID:YbVrQD7M
銀次郎「つうか、それ俺のなんだけど……」

銀次郎「俺が、キャンプする為に買い込んでいた食料なんだけど……」

エルフ「へぇ~~っ、それで?」

銀次郎「だから、勝手にこの俺の食料を食わないでくれるか?……」

銀次郎「それ食われたら、俺がこの先生きていけなくなるんだが……」

エルフ「そう」

スッ、ストン、ストン……

ストン、ストン、ストン……

ビリッ、ビリッ……

銀次郎「……」

エルフ「……」

銀次郎「……」

エルフ「……」

トントン、ガチャ……

スッ、スタッ……

105: 2013/05/04(土) 12:30:10 ID:YbVrQD7M
少女「お姉ちゃん。ご飯まだ?」

少女「私、もうお腹空いちゃった」

銀次郎「!?」

エルフ「はいはい。ちょっと待ってね」

エルフ「今用意するから」

エルフ「皆にも、そう伝えといて」

少女「は~~い」

スッ、バタン……

エルフ「あんた、これでも文句ある?」

エルフ「あんな小さい子に対しても、今のあんたは食事抜きなんて言える?」

銀次郎「……」

エルフ「今さっき顔見せた子、親に捨てられたのよ」

エルフ「ろくに、子育てなんかせずに遊び呆けててね」

エルフ「借金の形に、あの子を売り飛ばした」

エルフ「それが原因で、あの子はこの島に送られてきた」

106: 2013/05/04(土) 12:30:29 ID:YbVrQD7M
エルフ「今、この島にいる人間達は、戸籍なんてもう無くなってるわ」

エルフ「皆、親に捨てられてここに来た瞬間から、氏んだも同然」

エルフ「確か、人間一人につき、日本円で1000万」

エルフ「特に、ここは日本人しかいなくてね」

エルフ「その日本とか言う国の法律が変わっちゃって、今のあんたもここにいると言う訳」

銀次郎「……」

エルフ「それで、何であんたはここに来たの?」

エルフ「あんたも、親に捨てられたの?」

銀次郎「……ああ、そうだ……」

エルフ「なら、あんたもここじゃあ氏んだも同然」

エルフ「年長者として、自分より小さな子供達に水や食料を分け与えてあげなさい」

エルフ「じゃなきゃ、人として終わってる」

エルフ「今のあんたは、最低な人間になってしまうわよ」

エルフ「あんたは、それでも良いの?」

銀次郎「……」

107: 2013/05/04(土) 12:30:41 ID:YbVrQD7M
トントン、ガチャ……

少年「姉さん。夕御飯はまだ?」

少年「僕、もうお腹空いちゃった」

銀次郎「!?」ハッ

エルフ「はいはい。ちょっと待ってね」

エルフ「今支度してるから」

エルフ「皆、そこで待ってて」

エルフ「今日は、カレー以外なのにしようね」

少年「は~~い」

スッ、バタン……

銀次郎「……」

エルフ「……」

テキパキ、テキパキッ……

ジャーーッ、ジャーーッ……

トントン、ガチャ……

108: 2013/05/04(土) 12:30:53 ID:YbVrQD7M
幼馴染み「エルフさん。何か手伝える事は?」

幼馴染み「もう今日は俺がやりますんで、エルフさんは休んでて下さい」

銀次郎「!?」ガーーン

幼馴染み「……」ハッ

銀次郎「……」

幼馴染み「……」

銀次郎「お前、何でここにいんだ?……」

銀次郎「まさか、お前もここに流されてきたのか?……」

幼馴染み「ああ、そうだ……」

エルフ「……」

銀次郎「もしや、お前も俺の食料を?……」

弟「お前も、この俺が氏んだと思って盗んでたのか?……」

幼馴染み「ああ、そうだ……」

銀次郎「……」ガクッ

エルフ「……」

109: 2013/05/04(土) 12:31:05 ID:YbVrQD7M
幼馴染み「お前、氏んだんじゃかなったのか?……」

幼馴染み「てっきり、皆、氏んだと思ってたんだが……」

エルフ「……」

銀次郎「いや、俺まだ氏んでねぇよ……」

銀次郎「生きて帰って、必ず姉さんの事をしばき倒してやる……」

エルフ「……」

幼馴染み「そうか、そりゃあ無理だな……」

幼馴染み「今の俺達、マジで日本に帰れねぇんだが……」

銀次郎「え?」

幼馴染み「実は、ついさっき何人か殺されちまった……」

幼馴染み「お前みたいに、日本に帰りたいって言ってた奴等が軍に撃たれたんだわ……」

銀次郎「!?」ガーーン

幼馴染み「それで、ここにいる奴等がだいぶ減っちまった……」

幼馴染み「氏体とかも、まだそのまま放置されてるんだ……」

銀次郎「うっ、嘘だろ?……」

110: 2013/05/04(土) 12:31:38 ID:YbVrQD7M
エルフ「いや、嘘じゃないわ」

エルフ「私も、その様子を生で見ていたから」

銀次郎「!?」

エルフ「まぁ、私の場合は殺される心配なんてないんだけど」

エルフ「私、隣にある白人向けの担当だし」

エルフ「今日は、偶々、ここに来ただけ」

エルフ「なんか、ここの担当者まで撃たれちゃってね」

エルフ「それで、仕方なくここの相手もしている訳」

銀次郎「……」

幼馴染み「エルフさん。ここは俺がやります」

幼馴染み「エルフさんは、自分の担当の方に戻って下さい」

銀次郎「……」

幼馴染み「そう。なら、お願いするわ」

幼馴染み「ここにあるMREレーション、全部持ってって良い?」

幼馴染み「ええ、構いませんが」

111: 2013/05/04(土) 12:31:51 ID:YbVrQD7M
エルフ「やった」

エルフ「じゃあ、これ全部持ってくね」

エルフ「ついでに、この車も貰ってって良い?」

エルフ「私、この車自体も気に入っちゃった?」

銀次郎「……」

幼馴染み「いえ、それはダメです」

幼馴染み「と言うか、エルフさん」

幼馴染み「貴女も、女性向けルーツをもう貰ってるじゃないですか」

銀次郎「!?」ガーーン

エルフ「ああ、バレちゃってた……」

エルフ「私、これ予備として欲しかったんだけどな……」

銀次郎「……」

幼馴染み「とりあえず、ここは俺に任せてエルフさんは自身の持ち場に戻って下さい」

幼馴染み「後は、俺の方で何とかしときます」

幼馴染み「それに、何故か今そこにいる氏に損ないまで、目を覚ましてしまいましたから」

112: 2013/05/04(土) 12:32:02 ID:YbVrQD7M
エルフ「ええ、分かったわ」

エルフ「それじゃあ、後お願いね」

エルフ「明日、ウチに来た子供達は向こうに送っちゃうし」

エルフ「今この島にいる子達も、早めに氏なせてあげた方が良いからね」

幼馴染み「はい。かしこまりました」

エルフ「それじゃあね」

幼馴染み「お疲れさまです」ペコッ

スッ、シュン……

銀次郎「……」

幼馴染み「……」

銀次郎「……」

幼馴染み「とりあえず、先に夕食にしよう」

幼馴染み「話は、全部それからだ」

銀次郎「ああ、了解した」

幼馴染み「……」

115: 2013/05/04(土) 19:03:13 ID:YbVrQD7M
~キャンピングカー前~

数十分後――

少年「……」ズルズルッ

少女「……」ズルズルッ

幼馴染み「……」ズルズルッ

銀次郎「……」ズルズルッ

NGO「……」ズルズルッ

記者「……」ズルズルッ

半魚人「……」ムシャムシャ

巨大猫「……」ムシャムシャ

ザザーン、ザザーン……

ザザーン、ザザーン……

銀次郎「……」

銀次郎「……」

スッ、ストン……

116: 2013/05/04(土) 19:03:25 ID:YbVrQD7M
銀次郎「なぁ、幼馴染み……」

銀次郎「何で、俺達ジャージ姿で円陣組んで外でカップヌードル食ってんだ?……」

銀次郎「と言うか、そろそろ例の件についてを話してくれよ……」

幼馴染み「……」

銀次郎「それで、一体何があった?……」

銀次郎「この島、そんなにヤバイのか?……」

幼馴染み「ああ、まあな……」

銀次郎「……」

記者「それについては、僕が説明してあげるよ」

記者「昨年から、刑法が改正された」

記者「その所為で、今の君達はここにいるんだ」

銀次郎「!?」

記者「まぁ、驚くのも無理はない」

記者「それは、また突然の出来事だった」

記者「国民の半数すら、その危険性を知らずに賛成したんだからね」

117: 2013/05/04(土) 19:03:37 ID:YbVrQD7M
銀次郎「あんた、一体何者だ?……」

銀次郎「あんたも、ここに流されて来たのか?……」

幼馴染み「……」

記者「いや、違うね」

記者「僕はただ、この島の現状を世間に公表する為に、ここにまで来たんだ」

記者「だが、この島から出るのは、そう簡単な事じゃない」

記者「この島から出ようとすれば、君達は完全に射殺される」

記者「何故なら、この島自体が軍の演習場の一部なんだからね」

銀次郎「!?」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ズルズルッ、ズルズルッ……

スッ、ストン……

記者「ふぅ……」

ザザーン、ザザーン……

ザザーン、ザザーン……

118: 2013/05/04(土) 19:03:50 ID:YbVrQD7M
銀次郎「それで、話の続きは?……」

銀次郎「もう二度と、俺達はここから出れないんですか?……」

記者「ああ、そうだけど」

銀次郎「そんな……」

幼馴染み「……」

NGO「だが、まだ完全に無い訳じゃない」

NGO「今さっきまで、ここにエルフと名乗る女がいたろ?」

NGO「あの女は、完全にこの島を自由に行き来してる」

NGO「後は、とても人間とは思えない動作等をするくらいだな」

記者「……」

幼馴染み「じゃあ、そのエルフさんを探せば良いんじゃないですか?」

幼馴染み「エルフさん。隣の島の担当ですけど」

幼馴染み「次来た時、皆して捕まえたら良いんじゃないですか?」

銀次郎「ああ、そうだな」

記者「……」

119: 2013/05/04(土) 19:04:03 ID:YbVrQD7M
NGO「だが、そう簡単には上手く行かねぇ」

NGO「奴は、日本とはまた別の政府と通じてる」

NGO「主に、奴は無戸籍の白人の子供を集めてた」

NGO「そいつらを、気がついた時にはどこかへと輸送」

NGO「そうして、奴は多大な利益を得てるみたいなんだ」

記者「……」

銀次郎「なら、あんたもそこの記者さんと同業か?」

銀次郎「それとも、民間の支援団体か何かなのか?」

NGO「ああ、そうだ」

銀次郎「だったら、今すぐ何とかしてくれよ!」

銀次郎「今のあんた、NGOなんだろ?」

NGO「……」

記者「いや、それは無理だね」

記者「軍の奴等、彼らにも発砲してた」

記者「そのおかげで、今日だけでも多数の犠牲者が出てしまったんだ」

120: 2013/05/04(土) 19:04:15 ID:YbVrQD7M
幼馴染み「じゃあ、俺達はずっとこのままなのか!?」

幼馴染み「この島には、俺らより遥かに小さな子供達までいるんだぞ!?」

少年「……」ズルズルッ

幼馴染み「その中に、何で俺達が入ってるんだ!?」

幼馴染み「俺達が、一体何をしたと言うんだ!?」

少女「……」ズルズルッ

記者「ああ、それがしてるんだ?」

記者「君達二人は、ニートだからさ」

ニート達「!?」

記者「だから、政府はニート削減対策として、君達をこの島に送った」

記者「今この僕達のすぐ隣にいる半魚人は、ここに来た先人達の成れの果て」

記者「君達は、いずれ近い内に半魚人へと変化していき……」

記者「軍の実弾演習の一貫として、君達の事を射頃するつもりなのさ」

ニート達「――――――――っ!?」ガーーン

半魚人「……」ムシャムシャ

121: 2013/05/04(土) 19:04:46 ID:YbVrQD7M
NGO「おい、そこの半魚人」

NGO「お前、まだ日本語話せるか?」

NGO「それとも、もう完全に半魚人となってしまったのか?」

記者「……」

半魚人「いや、まだ大丈夫だ」

半魚人「なんとか、まだ日本語を話せてる……」

半魚人「だが、いずれ俺も完全な半魚人になる……」

半魚人「それになれたら、俺は完全に射殺されるだろう……」

記者「……」

NGO「なら、まだ大丈夫か……」

NGO「そんな生魚を、目の前でムシャムシャ食ってたから、てっきりもうダメかと思ったぜ……」

半魚人「……」

巨大猫「じゃが、あまり油断せん方が良いぞ」

巨大猫「妾は、かなりの数の半魚人達を生で見てきた」

巨大猫「皆、生魚を一週間食い続けた後に、言葉すら忘れてたぞ」

122: 2013/05/04(土) 19:05:19 ID:YbVrQD7M
NGO「おい、今の誰だ?」

NGO「誰か、他にいるとでも言うのか?」

記者「……」キョロキョロ

巨大猫「ここじゃ」

巨大猫「今お主らのすぐ近くにおる巨大猫が、妾なのじゃ」

巨大猫以外「!?」ハッ

巨大猫「ちなみに、妾はただの化け猫の一種」

巨大猫「遥か昔に、この島に捨てられた猫達の成れの果て」

巨大猫「そうして、今の妾が生まれたのじゃ」

巨大猫以外「……」

少女「じゃあ、何か知ってるの?」

少女「私達、どうやったら、ここから出る事が出来るの?」

少年「……」

少女「私達、何もしてない」

少女「早く、自分のお家に帰りたい」

123: 2013/05/04(土) 19:07:41 ID:YbVrQD7M
記者「残念だが、君達も無理なんだ」

記者「今の段階では、君達もここから出る事が出来ない」

記者「何故なら、二人とも万引きの常習犯」

記者「本当なら、こんな所に流されるべきじゃないんだが、君達の親がここに送る様に懇願をしたらしい」

少女達「!?」

記者「だから、君達は今の段階ではまだ無理かな?」

記者「君達は、本当に可哀想な存在なんだ」

少女達「……」

幼馴染み「じゃあ、何でこの子達までここに流されてきた?」

幼馴染み「親の希望で、そんな事が出来てしまうのか?」

記者「ああ、そうだけど」

幼馴染み「そんな!?」ギリッ

少女「……」ガクッ

少年「……」ウルッ

銀次郎「……」

124: 2013/05/04(土) 19:07:53 ID:YbVrQD7M
NGO「だが、この子達をこの島の中では氏なせやしない!」

NGO「その為に、俺達はここにいるんだ!」

銀次郎「え?」

記者「ああ、そうだね!」

記者「僕達は、この現状がいかに間違っているかについてを、生きて必ず世間に伝えないといけないからね!」

記者「その為には、君達二人の協力がいる!」

記者「君達二人も、この子達二人を守る為に是非とも協力をしてほしい!」

少女「……」ウルウルッ

幼馴染み「ああ、了解した!」

幼馴染み「俺達に出来る事があれば、何でも言ってくれ!」

幼馴染み「なぁ、銀次郎。お前も手伝うんだよな?」

幼馴染み「生きて必ず、日本に戻るんだよな?」

銀次郎「おう!」

ザザーン、ザザーン……

ザザーン、ザザーン……

125: 2013/05/04(土) 19:08:05 ID:YbVrQD7M
記者「なら、この子達二人を銀次郎君の車の中に入れてあげて」

記者「この子達、ずっとテントの中で生活をしてたんだ」

記者「そう、それも、もう一ヶ月もの間も」

記者「僕達が今日ここに来た時、本当なら連れて帰るはずだったんだけどね」

銀次郎「はい。分かりました!」

少女「やった!」ウルウルッ

少年「ありがとう。お兄ちゃん」ウルウルッ

銀次郎「……」ニッコリ

幼馴染み「……」ビクッ

NGO「ああ……」

記者「……」

半魚人「手、出すなよ」

銀次郎「誰が出すか!」

巨大猫「本当か?」

銀次郎「ああ!」

126: 2013/05/04(土) 19:08:17 ID:YbVrQD7M
幼馴染み「お前、半魚人にすら信用されてないのか?」

幼馴染み「昔から、よく誤解されてたよな?」

銀次郎「あ?」ギリッ

幼馴染み「でもまぁ、今の段階ではお前の車の中が一番だろ」

幼馴染み「記者さん達、車大丈夫ですか?」

幼馴染み「記者さん達の車、まだ大丈夫ですか?」

記者「ああ、大丈夫だけど」

NGO「まだ、生きてたぜ」

幼馴染み「なら、俺はテントで寝とくわ」

幼馴染み「巨大猫、いつも通りに見張りとか頼む」

巨大猫「承知!」

幼馴染み「じゃあ、今日はこれにて解散」

幼馴染み「皆、明日も早いし奴等に殺されない様に十分注意してくれ!」

銀次郎「おう!」

少女達「は~~い」

127: 2013/05/04(土) 19:08:32 ID:YbVrQD7M
スッ、ムクッ、クルッ……

ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ……

ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ……

銀次郎「……」

スッ、ムクッ……

NGO「ゴミ出たら、俺に渡せ」

NGO「ここは、俺が掃除しとく」

NGO「銀次郎、子供達の事を頼む」

NGO「お前も、早く入って寝ろ」

銀次郎「はい」

記者「……」

幼馴染み「なぁ、巨大猫」

幼馴染み「この辺、どこか隠れやすい場所はあるか?」

幼馴染み「もしくは、どこか良い穴場があれば教えて貰いたいんだが」

銀次郎「……?」

128: 2013/05/04(土) 19:09:03 ID:YbVrQD7M
巨大猫「うむ。あるにはあるな」

巨大猫「だが、そこに行ってそなたはどうするのじゃ?」

巨大猫「妾も、あのエルフ同様に自由に行き来出来る」

巨大猫「今のそなた達には、まだ到底出来ぬとは思うのじゃが」

銀次郎「……」

幼馴染み「なら、どうやったら自由に行き来出来る?」

幼馴染み「まさか、俺達に氏ねと?」

幼馴染み「今のお前は、そう言いたいのか?」

銀次郎「……」

巨大猫「ああ、まさにその通りじゃ」

巨大猫「魂だけになれば、そなた達は自由にこの島を行き来する事が出来る」

巨大猫「この島には、多数の霊がいるのじゃ」

巨大猫「今のそなた達と同様に、生前はただの穀潰し」

巨大猫「それが、この島で多数命を無駄に散らしていき……」

巨大猫「挙げ句の果てには、半魚人と化した者達も大勢おるのじゃからな」

129: 2013/05/04(土) 19:10:59 ID:YbVrQD7M
銀次郎「……」

幼馴染み「……」

NGO「……」ズルズルッ

記者「……」ズルズルッ

巨大猫「……」

銀次郎「……」

幼馴染み「……」

NGO「……」ズルズルッ

記者「……」ズルズルッ

巨大猫「……」

NGO「銀太郎。そろそろ、子供達を中に入れてやれ」

NGO「もう完全に夜だ」

NGO「俺達大人は大丈夫でも、子供達はそうは行かない」

NGO「この島には、薬すらないんだからな」

記者「うん。そうだね」

130: 2013/05/04(土) 19:11:11 ID:YbVrQD7M
銀次郎「分かった」

銀次郎「子供達、俺に着いてきて」

銀次郎「君達二人は、もうシャワーを浴びて寝なさい」

銀次郎「明日も早いし、いつまた君達が怖い目に遭うかが全く分からないから」

少年達「は~~い」

NGO「……」

スッ、ムクッ……

ムクッ、ムクッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガチャ、ガラララッ……

銀次郎「さぁ、入って」

少年「……」スッ、スタッ

スタスタッ、クルッ……

少女「……」スタッ、スタッ

131: 2013/05/04(土) 19:11:23 ID:YbVrQD7M
銀次郎「……」スッ、スタッ

ガラララッ、ガチャ……

NGO「……」

記者「……」

幼馴染み「……」

巨大猫「……」

ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ……

ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ……

ピタッ、ストン……

半魚人「皆、ターゲットは?(英語)」

半魚人「もう中に入ったのか?(英語)」

NGO「ああ、まあな(英語)」

半魚人「なら、予定通りに明日仕掛ける(英語)」

半魚人「本部にも、そう伝えとくな(英語)」

幼馴染み「了解した(英語)」

132: 2013/05/04(土) 19:11:35 ID:YbVrQD7M
巨大猫「ああ、半魚人(英語)」

巨大猫「明日は、少し派手にやってくれ(英語)」

巨大猫「今のそなた、まだ大丈夫なのじゃろ?(英語)」

巨大猫「明日の朝、早速色々と頼む(英語)」

半魚人「ああ(英語)」

NGO「では、俺達も解散(英語)」

NGO「明日は、朝も早い(英語)」

NGO「明日、あいつがどう出るかがかなり見ものだからな(英語)」ニヤッ

記者「ああ、そうだね(英語)」ニヤッ

半魚人「……」ニヤッ

幼馴染み「……」ニヤッ

巨大猫「……」ニヤッ

スッ、スタタタッ……

ザザーン、ザザーン……

ザザーン、ザザーン……

133: 2013/05/04(土) 19:12:13 ID:YbVrQD7M
~登場人物2~

半魚人:本人曰く、政府による人体実験の成れの果て。外見はマンボウに手足が生えた様な姿をしている。元は銀次郎と同じニートで、親に捨てられて今の様な姿になったらしい。他にも、アジやイワシやタイ等の姿になった仲間がいた。

巨大猫:昔、無人島に捨てられた猫達の成れの果て。外見は三毛で、♀である。少し、古風な話し方をし、島の内外を自由に行き来している。

幼馴染み:銀次郎の幼馴染み。銀次郎とは小中と一緒だか、名前すら未だに覚えられてない。銀次郎と同じニートらしく、銀次郎より数日早く無人島に流れ着いていたらしい。

記者:無人島を取材に訪れた30代の男性。NGOとよく一緒に行動をする。子供達に懐かれているが何故か本名は名乗らず、ニート支援にだけはかなり消極的。子供達がこの島に流されるきっかけとなった法律の改正を、ずっと訴えているらしい。

NGO:無人島を訪れた民間団体らしき30代の男性職員。島に送られた子供達の支援をしているが、ニート達にはあまり支援していない。何故か記者と同様に本名は名乗らず、エルフの事を嫌っている。

134: 2013/05/04(土) 19:12:42 ID:YbVrQD7M
~登場人物3~

エルフ:銀次郎の前に現れた謎の白人美女。金の長髪の爆乳。見た目に反して性格や言動等に問題があり、有能な人物なのだが内外によく多数の敵を作っている。主に、人種や国籍を問わず、無人島に流された子供達の為に様々な支援活動を行っていて、その事だけはNGOや記者には高く評価されている。

少年:10歳くらいの子供。黒の短髪。島に流れ着く前はよく遊び半分で万引きに手を染め、自分より小さな子達だけをよく殴ったりする放置子だったらしい。島に流されてからはやけに大人しくなり、少女に引っ付いている。

少女:12歳くらいの子供。茶髪で今風のギャル。島に流れ着く前は万引きに手を染め、従姉妹の母親を流産させかけた事もあるらしい。後に、それらが原因で両親は離婚。借金を抱えた実の母親により厄介払いをされ、流された後はよく少年と一緒にいる。

双子:5歳くらいの双子の姉妹。黒の長髪。母親にはよくネグレクトされていて、それを見かねた祖母によく面倒を見られている。銀次郎の妹の葉菜子にもよく懐いていて、葉菜子が休みの日は葉菜子にも世話されている。

135: 2013/05/04(土) 19:12:53 ID:YbVrQD7M
~備蓄食料~

・MREレーション(米軍個人携行食)×24→0
・MRE補助増加食(パン)×24→0
・カップヌードル×20→12
・カ口リーメイト×20→12
・レトルトカレー×30→22
・白米(200g)×30→22
・乾パン×10→6
・天然水2L×24→20

※MREレーション(米軍個人携行食)とMRE補助増加食(パン)は、エルフにあげたので0。
※カレー等は、銀次郎が眠っている間に幼馴染み達が消費。

136: 2013/05/04(土) 19:45:15 ID:YbVrQD7M
~初上陸までのあらすじ~

高校卒業をしてずっとニートを続けていた主人公・銀次郎は、ある日腹違いの姉・葉菜美から何故かキャンプに行こうと誘われる。

だが、その誘いは葉菜美による完全な罠。

葉菜美は、刑法が改正された事を理由に、家族達をすぐさま懐柔。

銀次郎を、軍が管理するとある無人島にまで厄介払いをする事に成功をする。

その結果、銀次郎の家族達は国から1000万の給付金を受け取る事となった。

葉菜美は、銀次郎達とは腹違いと言う事もあってか、自身の父に対して昔から強い恨みを抱き続けていた。

その後、葉菜美は無人島を自由に行き来するエルフに接触。

そのエルフに対して、色々と家族に内緒で何らかの取引を行っていき……

何も知らない銀次郎は、自身が送られた無人島でキャンプを続ける羽目となったのだった。



以後、上陸二日目に続く。

139: 2013/05/05(日) 11:51:27 ID:h1Egaqb2
~無人島・キャンピングカー内~

上陸二日目・朝――

幼馴染み「案の定、風邪引いたな」

幼馴染み「薬、どうすっか?」

NGO「ああ、そうだな」

銀次郎「げほっ、ごほっ……」

幼馴染み「全く、何でお前が風邪引いてんだ」

幼馴染み「普通、引くのなら子供達の方だろ」

銀次郎「悪かったな……」

NGO「でも、ベッドの予備があって良かったな」

NGO「もし無かったら、お前頃してた」

NGO「それだけ、お前はただの約立たずなんだし!」

NGO「ニートには、生きる価値すらないんだからな!」

銀次郎「……」

幼馴染み「……」

140: 2013/05/05(日) 11:51:40 ID:h1Egaqb2
トントン、ガチャ……

記者「失礼するよ」

スッ、スタッ……

記者「NGO、エルフさんが来た」

記者「薬とか色々、持ってきてくれた」

NGO「おお、そうか」

銀次郎「……」

NGO「記者、それを早速中身確認してくれ」

NGO「幼馴染み、お前も手伝え」

幼馴染み「はい」

銀次郎「……」

NGO「じゃあ、俺達は作業に戻る」

NGO「もし氏ぬなら、一人で勝手に氏ね!」

NGO「そんじゃあな!」

銀次郎「……」

141: 2013/05/05(日) 11:51:52 ID:h1Egaqb2
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガラララッ、バタン……

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

「相変わらず、皆、冷たいね」

「まぁ、それはそれで仕方ないと思うけどね」

銀次郎「……?」

銀次郎「誰だ?」ムクッ

ガチャ、ガラララッ……

スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、クルッ……

142: 2013/05/05(日) 11:52:04 ID:h1Egaqb2
葉菜美「お早う。弟君」

葉菜美「昨夜は、よく眠れたかしら?」ニッコリ

銀次郎「姉さん……」

葉菜美「今日は、弟君の様子を少し見に来ただけ」

葉菜美「私、また朝から出掛けなくちゃいけないから」ニコニコ

銀次郎「……」

葉菜美「……とりあえず、用件だけ言うね」

葉菜美「早く、本当に氏んでくれる?」

葉菜美「そして、そのままもう二度と私達の元には戻ってはこないでね!」ニコニコ

銀次郎「……」ギリッ

葉菜美「まぁ、そう言う事だから、弟君も早く氏んでね!」

葉菜美「お父さん達、喜んでたよ」

葉菜美「ようやく、あの穀潰しから解放された!」

葉菜美「これで、自分達の生活が楽になるって!」ニコニコ

銀次郎「!?」ガーーン

143: 2013/05/05(日) 11:52:35 ID:h1Egaqb2
葉菜美「今まで、どれだけ迷惑を掛けてきたか分からないの?」

葉菜美「弟君の所為で、皆がずっとこれまで嫌な思いをし続けてたんだよ」ニコニコ

銀次郎「……」

葉菜美「だから、私はお父さん達に勧めたわ!」

葉菜美「偶々、刑法が改正され、ニートには今後重い刑が下される様になったから!」

葉菜美「それがきっかけで、今の弟君はここにいるの!」

葉菜美「たとえ、弟君が望まなくても、その親が望めば弟君をここに送る事が出来ちゃうんだよ!」ニコニコ

銀次郎「!?」ガーーン

葉菜美「特に、弟君の場合はかなり酷いからね!」

葉菜美「高校出てから、一度も働いた事がなかった!」

葉菜美「ここに送られる人達の基準が、ニート歴四年以上!」

葉菜美「後は、年齢性別を問わずに問題行動ばかり起こす子供達!」

葉菜美「今の弟君、完全に見捨てられたわ!」

葉菜美「親どころか、国にさえ見捨てられてしまったた!」

銀次郎「……」

144: 2013/05/05(日) 11:52:46 ID:h1Egaqb2
葉菜美「だから、さよなら。弟君!」

葉菜美「国から弟君を引き渡した時に支払われた給付金、お父さんの老後の資金として活用されるから!」

葉菜美「今まで、散々お父さん達には迷惑を掛けてきたんだし!」

葉菜美「それまでの分の迷惑料だと思ったら、ちゃんと元は取れてるんだからね!」ニッコリ

銀次郎「……」

葉菜美「……」ニコニコ

銀次郎「……」

葉菜美「それじゃあね!……」ニコニコ

銀次郎「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ストン……

ガラララッ、バタン……

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「はぁ、最悪だな……」バタッ

145: 2013/05/05(日) 11:54:31 ID:h1Egaqb2
銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

トントン、ガチャ……

スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

ガチャ、バタン……

銀次郎「……」

少年「……」

銀次郎「……」ムクッ

少年「あっ、お早う」

銀次郎「ああ、お早う……」

146: 2013/05/05(日) 11:54:43 ID:h1Egaqb2
少年「お兄ちゃん。風邪、大丈夫?」

少年「熱とか、あるの?」

銀次郎「……」

少年「何か、いる物とかある?」

少年「もしあるなら、今から何か持ってくるけど」

銀次郎「ああ、水を……」

少年「は~~い」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ジャバッ、ジャバババ--------ッ!

ジャバババ--------ッ、ジャバババ--------ッ!

ガチャ、バタン……

少女「あっ、お早う」

銀次郎「ああ、お早う……」

ビリビリッ、ビリビリッ……

147: 2013/05/05(日) 11:55:31 ID:h1Egaqb2
少女「お兄ちゃん。風邪大丈夫?」

少女「何か、今いる?」

銀次郎「……」

少女「私、今から何か持ってくるけど」

少女「薬とかの方が良い?」

銀次郎「ああ、まあな……」

スッ、ストン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

少年「はい。お兄ちゃん」

少年「水、持ってきたよ」

銀次郎「ああ、すまん……」

少年「今、何か食べれる?」

少年「お兄ちゃん。吐き気とか大丈夫?」

銀次郎「ああ、まあな……」

148: 2013/05/05(日) 11:55:43 ID:h1Egaqb2
トントン、ガチャ……

スッ、スタッ……

エルフ「失礼するわ」

エルフ「そこの子達、こっち来て」

エルフ「ちょっと、君達にも手伝ってほしい事があるの」

エルフ「だから、ちょっとこっちに来てくれる?」

少年達「は~~い」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

エルフ「二人とも、ちょっと外に出てて」

エルフ「良いわね?」

少年達「は~~い」

銀次郎「……」

スッ、スタッ、スタッ……

149: 2013/05/05(日) 11:55:55 ID:h1Egaqb2
エルフ「ねぇ、そこのあんた……」

エルフ「もしかして、まだ生きてるの?」

エルフ「まだ、あんたは生き続けるつもりなの?」

銀次郎「……」

エルフ「私、あんたみたいな人間、昔から嫌いだわ!」

エルフ「あんたなんか、助ける価値すらないんだから!」

銀次郎「……」

エルフ「まぁ、あんたの持つ食料は、全て子供達に配布させて貰う!」

エルフ「この車も、いずれ子供達の為に使わせて貰う!」

銀次郎「……」

エルフ「だから、あんたも早く氏んでよね!」

エルフ「元々、あんたみたいな穀潰しは生きる価値すらない!」

エルフ「あんたは、決して誰にも必要とされていない!」

エルフ「それだけは、よく覚えといてね!」

銀次郎「……」

150: 2013/05/05(日) 11:56:25 ID:h1Egaqb2
エルフ「……」スッ

銀次郎「……」

スッ、スタッ、スタッ……

NGO「……」

記者「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スッ、ササッ……

ムクッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、パスッ、ストン……

クルッ、スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スッ、ササッ……

ムクッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、パスッ、ストン……

151: 2013/05/05(日) 11:58:31 ID:h1Egaqb2
その十分後――

NGO「エルフ。食料は全て運んだ」

NGO「これで良かったのか?」

エルフ「ええ、ご苦労様」

NGO「大体、カップヌードル12個くらいか……」

NGO「思ったより、こいつの食料は少なかったな……」

エルフ「ええ、そうね」

銀次郎「……」

NGO「まぁ、あんな奴でも少しは役に立ったな」

NGO「子供達の為に、貴重な食料を全て分け与えた」

NGO「自身に残されたのは、飲みかけの水一本」

NGO「おまけに、昨夜から風邪気味」

NGO「本当に、あいつはこれからどうするんだろうな?」

エルフ「さぁね」

銀次郎「……」

152: 2013/05/05(日) 11:58:44 ID:h1Egaqb2
NGO「とりあえず、食料が欲しければ、自分自身の手で手に入れろ!」

NGO「お前、一度も働いた事ないんだろ?」

NGO「今まで、ずっと誰かに恵んで貰ってばっかだったんだろ?」

銀次郎「……」

NGO「だから、今後は自分自身の手で手に入れろ!」

NGO「お前が氏ぬまで、せめてこの車だけは残しておいてやる!」

NGO「今後は、一切お前の事を助けたりはしない!」

銀次郎「……」

NGO「だから、精々頑張るんだな!」

NGO「汗水流して必氏に働いて、今後は自分自身の力のみで生活をするんだな!」

NGO「そうすれば、今のお前は少しはまともになるだろう!」

NGO「こんな無人島なんかでも、誰かから必要とされる日が来る事だろう!」

銀次郎「……」

153: 2013/05/05(日) 11:59:02 ID:h1Egaqb2
NGO「それじゃあ、元気でな。穀潰し!」

NGO「働くのが嫌なら、せめて早々と氏ね!」

NGO「氏体は、後で海に流してやる!」

NGO「これまで、面倒を見ててくれた両親達に感謝しろ!」

NGO「今のお前も、せめてそれくらいはするんだな!」

エルフ「それじゃあね!」ニッコリ

銀次郎「……」

スッ、スタッ、スタッ……

ガラララッ、バタン……

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

ムクッ、スタッ……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

154: 2013/05/05(日) 11:59:16 ID:h1Egaqb2
銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「とりあえず、どうすっか?……」

銀次郎「食料、全部持ってかれたし……」

銀次郎「これから、本当にどうすっか?……」

155: 2013/05/05(日) 11:59:37 ID:h1Egaqb2
スッ、キュルキュル、ストン……

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

スッ、スタッ……

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ガチャ、ガチャ……

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「ふぅ……」

156: 2013/05/05(日) 12:01:01 ID:h1Egaqb2
銀次郎(案外、金庫に入れてた金だけは無事だったな……)

銀次郎(まさか、これだけは無事だったとは……)

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎(もしかして、これって何かのドッキリ?……)

銀次郎(確か、テレビで昔似た様なのがあったはずだ……)

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎(とりあえず、一通り島を見回してみるか?……)

銀次郎(まだ、姉さんもこの島にいるかもしれないからな……)

スッ、ササッ、バタン……

161: 2013/05/06(月) 07:15:30 ID:eu.INhkw
~無人島・キャンピングカー前~

十数分後――

ガチャ、ガラララッ……

スッ、スタッ……

クルッ、バタン……

巨大猫「むっ? 起きたのか?」

銀次郎「……」ハッ

巨大猫「……」

銀次郎「……」

巨大猫「エルフ達なら、どこかに出掛けたぞ」

巨大猫「何やら、皆して船に乗っておった」

銀次郎「!?」

巨大猫「まぁ、あ奴等の事じゃから、隣島にでも向かったのだろう」

巨大猫「お主の連れは、どこか釣りに向かったみたいじゃし」

巨大猫「半魚人も一緒じゃから、海に出ても大丈夫じゃろう」

162: 2013/05/06(月) 07:15:41 ID:eu.INhkw
巨大猫「……」

銀次郎「……」

巨大猫「……?」

銀次郎「……」

巨大猫「そなた、どうしたのじゃ?」

巨大猫「何故、ずっと黙っておる?」

銀次郎「……」

巨大猫「もしや、まだこの状況が理解出来てないのか?……」

巨大猫「今のそなたの目の前に映るのは、全て現実の事じゃ」

銀次郎「……」ガクッ

巨大猫「それで、そなたはどうする?」

巨大猫「これから、そなたはどうするのじゃ?」

巨大猫「まさか、このまま氏ぬ気じゃなかろうな?」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ……

163: 2013/05/06(月) 07:15:51 ID:eu.INhkw
巨大猫「……」

銀次郎「……」

巨大猫「……」

銀次郎「……」

巨大猫「これ、さっさと答え」

巨大猫「今のそなた、本当に無口な男なんじゃな」

銀次郎「……」

巨大猫「……」

銀次郎「……」

巨大猫「……」

スッ、ナデナデ……

巨大猫「……?」

ナデナデ、ナデナデ……

巨大猫「……」

スッ、ストン……

164: 2013/05/06(月) 07:16:07 ID:eu.INhkw
銀次郎「お前、本当に化け猫の一種なんだな……」

銀次郎「こんな猫、今まで一度も見た事はなかった……」

巨大猫「……」

銀次郎「俺は、これからどうすれば良いんだ?……」

銀次郎「このまま、氏ぬしかないのか?……」

巨大猫「……」

銀次郎「まぁ、今のお前に言っても何も分からんだろう」

銀次郎「俺もお前も別の種族」

銀次郎「猫は、昔から家にいるだけで良かったからな」

銀次郎「俺も、お前みたいに猫として生まれたかった」

巨大猫「……」

銀次郎「……」

巨大猫「……」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ……

165: 2013/05/06(月) 07:16:24 ID:eu.INhkw
巨大猫「じゃが、そなたは猫にはなれんぞ」

巨大猫「たとえ、そなたが猫になれたとしても、今のそなたの様に捨てられるのがオチぞ」

銀次郎「……」

巨大猫「妾は、そんな捨て猫達が氏んだ後に生まれたのじゃ」

巨大猫「皆、氏ぬ間際まで口々に自分達の事を捨てた人間達を、ずっと恨み続けてのぅ」

巨大猫「そなたの父も、当時妾が生まれる原因となった捨て猫を捨てた者の一人じゃった」

巨大猫「妾の姿を見た者は、皆、恐れをなして逃げていってしまうのじゃ」

銀次郎「……」

巨大猫「のぅ、銀次郎」

巨大猫「そなたは、これからどう生きる?」

巨大猫「今のそなたの生きる理由は、一体何じゃ?」

巨大猫「今のそなたに、生きる価値はあるのか?」

銀次郎「……」

巨大猫「残念な事に、今のそなたはただの穀潰しじゃ」

巨大猫「今のそなたは、生きる価値すらない存在なのじゃ」

166: 2013/05/06(月) 07:16:34 ID:eu.INhkw
巨大猫「じゃが、まだ取り返しが付く」

巨大猫「今のそなたが変わる事が出来れば、この島から出る事は出来る」

銀次郎「!?」

巨大猫「ただし、少しでもそなたの気持ちが揺らげば、それで終わりじゃ」

巨大猫「今のそなたは、誰かに必要とされていたいか?」

巨大猫「今の自分自身を、本当に生まれ変わらせる事が出来るのか?」

銀次郎「……」

巨大猫「それが出来ぬのなら、そなたは一生ここで過ごす事になるじゃろう」

巨大猫「今まで、妾は大勢の穀潰し達を見てきた」

巨大猫「皆、今のそなたの様に深く絶望しとってのぅ」

銀次郎「そのまま、自から命を絶つ者もおった」

銀次郎「今まで、本当に数えきれんくらいの穀潰し達が、次々と無駄に命を散らしていきおったからな」

銀次郎「……」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ……

167: 2013/05/06(月) 07:18:40 ID:eu.INhkw
巨大猫「それで、そなたの返事は……」

巨大猫「やはり、そなたも今から氏を選ぶのか?……」

銀次郎「……」

巨大猫「まぁ、それについては、そなたの好きにするが良い」

巨大猫「この島には、よく兵達が乗った船が来る」

巨大猫「皆、その船に乗ろうとして撃たれたのじゃ」

巨大猫「特に、そなたの様な生きる価値すらない穀潰し達がな」

銀次郎「……」

巨大猫「……」

銀次郎「……」

スッ、ムクッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ムンズ、ピタッ……

銀次郎「のわっ!?」ビクッ

168: 2013/05/06(月) 07:18:52 ID:eu.INhkw
巨大猫「ん? どうした?」

巨大猫「何か、踏んだのか?」クルッ

銀次郎「……」ビクビクッ

巨大猫「何じゃ、ただの穀潰しの氏体か」

巨大猫「それ、まだちゃんと片付けてなかったのか?」

銀次郎「……」ビクビクッ

巨大猫「ほれ、掘ってみるか?」

巨大猫「その砂に埋もれた手足、妾が掘り出してやろうか?」

銀次郎「……」ブンブン

巨大猫「まぁ、それは実物ではない」

巨大猫「この島に慣れる為のただの紛い物」

巨大猫「大方、そなたの連れ辺りが仕掛けたのじゃろう」

巨大猫「ここに来た者は、皆がそれに引っ掛かりおった」

巨大猫「今のそなた同様に、皆が瞬時に腰を抜かしおった」

銀次郎「……」ビクビクッ

169: 2013/05/06(月) 07:19:04 ID:eu.INhkw
巨大猫「それで、そなたはどうする?」

巨大猫「まさか、食料を奪いにいくつもりか?」

巨大猫「今のそなたに、あ奴等の事を倒す力があると言うのか?」

銀次郎「……」ビクビクッ

巨大猫「まぁ、今のそなたじゃ絶対に無理じゃろう」

巨大猫「お主の連れも、つい数日前まで今のそなたと同じじゃった」

巨大猫「仕方なく、持参していた釣り道具片手に釣りをしててのぅ」

巨大猫「連れた魚は、そなたが来る前までよく分け与えていた」

巨大猫「あの半魚人と一緒に、この島の者達の中ではよく貢献しておった」

銀次郎「……」

巨大猫「さて、妾も少し出掛けるとするか」

巨大猫「お主は、あまり下手な動きをするでないぞ」

巨大猫「いずれ、そなた自身も大きく変わる日が来る」

巨大猫「それまで、よくそなたは考えて行動をしておけ」

巨大猫「じゃないと、今のそなたもその紛い物の様になるのじゃからな」

170: 2013/05/06(月) 07:19:19 ID:eu.INhkw
スッ、ムクッ……

ノビ--------ッ、シュン……

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

巨大猫「……」

銀次郎「……」

巨大猫「……」

銀次郎「……」

フラッ、バタッ……

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ、ピタッ……

171: 2013/05/06(月) 07:19:34 ID:eu.INhkw
幼馴染み「あれ? どうした?」

幼馴染み「お前、風邪引いて寝てたんじゃなかったのか?」

銀次郎「……」

幼馴染み「まさか、お前の車まで奪い取られたのか?」

幼馴染み「NGOの奴、そこまで鬼だったとはな……」

銀次郎「……」

幼馴染み「……」

銀次郎「……」

幼馴染み「それで、何があった?」

幼馴染み「今のお前、まだ動けるのか?」

銀次郎「ああ、まあな……」

幼馴染み「なら、さっさと話せ」

幼馴染み「俺、今から別のポイント行く途中だから」

幼馴染み「もし良かったら、お前も一緒に来るか?」

銀次郎「ああ、そうさせて貰う……」

172: 2013/05/06(月) 07:19:48 ID:eu.INhkw
スッ、ムクッ、シュタッ……

パンパン、パンパン……

キョロキョロ、キョロキョロ……

銀次郎「ふぅ……」

幼馴染み「それで、何があった?」

幼馴染み「つうか、あの巨大猫はどうした?」

銀次郎「……ああ、ちょっとな」

幼馴染み「そんで、何があったんだよ?」

幼馴染み「今の俺、さっきからそれしか聞いていないが」

銀次郎「ああ、そうだな」

幼馴染み「いい加減に、さっさと話せ」

幼馴染み「じゃないと、お前置いてくぞ」

幼馴染み「俺、早く別のポイントに行きたいんだが」

銀次郎「……ああ、すまんすまん」

パンパン、パンパン……

173: 2013/05/06(月) 07:21:45 ID:eu.INhkw
銀次郎「実は、あのNGO達に全部食料を奪われちまった」

銀次郎「そう、それも、この俺に早く氏ねと言い残して」

幼馴染み「なっ!?」

銀次郎「おまけに、記者もエルフのグルみたいでな」

銀次郎「俺の持ってた食料、全部俺の目の前で暴言吐きながらも奪い取りやがった」

幼馴染み「……」

銀次郎「そんで、今の俺は朝から何も食ってない……」

銀次郎「今さっき、巨大猫は所用が出来たって入れ違いに出掛けてった……」

幼馴染み「……」

銀次郎「今のお前、なんか余分に食料とか余ってないか?……」

銀次郎「ほらっ、昨日俺の持ってた食料を勝手に食い散らかしていたんだし……」

銀次郎「そんで、その分の食料を返してほしいんだが……」

銀次郎「無理か?」

幼馴染み「ああ、そのまさかだ」

銀次郎「……」ガクッ

174: 2013/05/06(月) 07:21:56 ID:eu.INhkw
銀次郎「なら、今持ってる釣りの餌でも良い……」

銀次郎「それを今すぐ、この俺によこせ……」

幼馴染み「!?」

銀次郎「今の俺、本当に腹減ってるんだわ……」

銀次郎「このままだと、マジで氏にそうなんだわ……」

幼馴染み「……」

銀次郎「だから、早く俺に何か食料を……」

銀次郎「俺もお前も、同じ仲間じゃないか……」

幼馴染み「……」

銀次郎「だから、この俺にも出来る限り食料を恵んでくれ……」

銀次郎「じゃないと、俺はお前の事を訴える……」

銀次郎「俺の食料を奪った罪で、お前の事を奪ってやる……」

幼馴染み「……」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ……

175: 2013/05/06(月) 07:22:07 ID:eu.INhkw
銀次郎「だから、早くお前は俺に食料を渡せ……」

銀次郎「今の俺は、本気だぞ……」

銀次郎「今のお前は、ただの犯罪者なんだぞ……」

幼馴染み「……」

銀次郎「早く、早く俺に食料を渡せ……」

銀次郎「じゃないと、俺はお前の事を絶対に許さない……」

銀次郎「今まで、俺がずっとニートしてたのを咎めなかった癖に……」

銀次郎「あんな無茶苦茶な法律さえ改正されなかったら……」

銀次郎「今の俺は、ここには絶対にいなかったんだからな……」ウルウルッ

幼馴染み「……」

銀次郎「……」ウルウルッ

幼馴染み「なら、俺の名前を当ててみろ」

幼馴染み「話は、それからだ」

銀次郎「え?」ウルウルッ

幼馴染み「……」

176: 2013/05/06(月) 07:22:18 ID:eu.INhkw
銀次郎「……」ウルウルッ

幼馴染み「……」

銀次郎「……」ウルウルッ

幼馴染み「……」

銀次郎「……」ウルウルッ

幼馴染み「おい、どうした?」

幼馴染み「まさか、未だに俺の名前を覚えていないのか?」

銀次郎「……ああ、そうだ」ウルウルッ

幼馴染み「……」

銀次郎「でも、なんとなくお前の名前は聞き覚えがある……」

銀次郎「お前の名前は、確か田中だ……」

銀次郎「確か、田中だったよな?……」ウルウルッ

幼馴染み「違う」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ……

177: 2013/05/06(月) 07:22:28 ID:eu.INhkw
銀次郎「なら、鈴木か?……」

銀次郎「それとも、佐藤なのか?……」ウルウルッ

幼馴染み「……どれも違う」

銀次郎「じゃあ、山田か高橋か?……」

銀次郎「それとも、中田か中村?……」

銀次郎「もしくは、山口か川口?……」

銀次郎「一体、お前の名字は何なんだよ?……」ウルウルッ

幼馴染み「……」

銀次郎「……」ウルウルッ

幼馴染み「……」

銀次郎「……」ウルウルッ

幼馴染み「俺、もう行くわ……」

幼馴染み「人の名前すらろくに覚えてない奴なんかに、誰が食料を分けてやるもんか……」

銀次郎「!?」ウルウルッ

クルッ、スタスタスタッ……

178: 2013/05/06(月) 07:22:38 ID:eu.INhkw
銀次郎「ちょ、ちょっと、待ってくれ……」

銀次郎「俺を置いていくのか?……」

銀次郎「お前まで、俺を置いて行っちまうのか?……」

幼馴染み「ああ、そうだ……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

銀次郎「俺とお前は、幼馴染みだろ?……」

銀次郎「小中と一緒だったんだろ?」

幼馴染み「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

銀次郎「だから、頼む。待ってくれ……」

銀次郎「お前の名前は、山下だ……」

銀次郎「確か、そんな名前だたったよな……」

幼馴染み「全然、違うわ!」

銀次郎「そんな!……」ガクッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

181: 2013/05/07(火) 07:49:56 ID:hCsDoUQM
~無人島・砂浜~

その日の昼――

ザバッ……

ザバザバッ、ザバザバッ……

半魚人「……」ポタポタッ

半魚人「……」ポタポタッ

スッ、ボトボトッ……

ボトボトッ、ボトボトッ……

巨大猫「おお、大漁じゃな」

半魚人「……」

巨大猫「して、どれだけおる?」

巨大猫「どこまで、そなたは潜ってきたのじゃ?」

半魚人「……」

巨大猫「妾は、別にそなたの取ってきた魚には興味はない」

巨大猫「その魚が、どこで取れたかに興味があるのじゃ」

182: 2013/05/07(火) 07:50:08 ID:hCsDoUQM
半魚人「ただ単に、俺は海に潜っていただけだ」

半魚人「海に潜り、銛で突いてきただけの事」

半魚人「それで、あいつは?」

半魚人「あいつの事、ほっといて良いのか?」

巨大猫「ああ、まあな」

半魚人「ん?」

巨大猫「おや?」

「だから、お前の名前は何なんだ?……」

「お前は、伊達なのか?……」

「違う」

「お前、俺と同じニートだろ?……」

「仲間が苦しんでいるのに、見て見ぬふりをするのか?……」

「ああ、そうだ」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ……

183: 2013/05/07(火) 07:50:20 ID:hCsDoUQM
「頼む、食料を分けてくれ……」

「そんなに、魚を沢山釣れてんだから、少しは分けてくれよ……」

「しつこいぞ!」

「頼む、頼むから分けてくれ!」

「俺は、昨日散々皆に分けた!」

「昨日食った分くらい、この俺に返せよ!」

「それくらいしてくれても、別に良いだろうが!」

「ああ、鬱陶しい!」

半魚人「……」

巨大猫「……」

半魚人「あいつ、まだあんな感じなのか?」

半魚人「他人に恵んで貰うしか、全く能はないんだな」

巨大猫「ああ、そうじゃな」

半魚人「……」

巨大猫「……」ハァ……

184: 2013/05/07(火) 07:50:35 ID:hCsDoUQM
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ストン……

幼馴染み「よう。お前ら」

幼馴染み「本日の収穫はどうだ?」

幼馴染み「そっちも、満杯みたいだな」

半魚人「ああ、まあな」

幼馴染み「それで、どうする?」

幼馴染み「もう戻るか?」

幼馴染み「もう昼時だし、そろそろ拠点に戻ろうか?」

銀次郎「ああ、そうだな……」

半魚人「お前、何か釣れたか?」

半魚人「見た所、手ぶらみたいだが」

銀次郎「え?」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ……

185: 2013/05/07(火) 07:50:51 ID:hCsDoUQM
幼馴染み「銀次郎。お前も何か自分の力で取って今すぐ来い」

幼馴染み「お前の分、誰も分けてくれないぞ」

幼馴染み「ここにあるのは、常に自分達の分」

幼馴染み「たとえ、ただひたすらお前が待っていたとしても、誰も分け与えてはくれない」

銀次郎「!?」ガーーン

幼馴染み「だから、お前も何か自分で取って来い」

幼馴染み「ここでは、常に自力で取ってこなければならないんだ」

幼馴染み「俺も、ここに来た時はそんな感じだった」

幼馴染み「偶々、俺は釣り道具を持っていたから、なんとか自力で生きていけるんだ」

銀次郎「……」

巨大猫「銀次郎。そなたは、魚すらろくに取れんのか?」

巨大猫「相変わらず、誰かに集るしか能がないのか?」

銀次郎「うるさい!」

巨大猫「今のそなたは、本当に馬鹿なのじゃな……」

巨大猫「これだから、穀潰しは困るのじゃ……」

186: 2013/05/07(火) 07:51:07 ID:hCsDoUQM
巨大猫「今まで、そなたはどれだけ恵まれておった?」

巨大猫「今のそなたは、誰かに集るしか能はないのか?」

銀次郎「何が言いたい?……」

巨大猫「今まで、どれだけそなたは恵まれていたのじゃ?」

巨大猫「何もしなくても、自然と親達が暖かい食事を用意してくれた」

巨大猫「それだけ、そなたは恵まれておった」

巨大猫「ここでも、誰かに恵んで貰おうと思うのは、愚か者がする考えなのじゃ」

銀次郎「……だが」

半魚人「だが、何だ?」

半魚人「今のお前は、本当に自力では何も出来ないのか?」

銀次郎「……」ウルウルッ

半魚人「たとえ、今ここで泣いても無駄なだけだ」

半魚人「ここでは、他人に食料を奪われる奴が馬鹿なんだよ」

ザザーーン、ザザーーン……

ザザーーン、ザザーーン……

187: 2013/05/07(火) 07:51:23 ID:hCsDoUQM
銀次郎「じゃあ、俺はただの馬鹿なのか!?」

銀次郎「皆に、食料を分け与えた俺は、ただの馬鹿なのか!?」ウルウルッ

半魚人「ああ、そうだ!」

銀次郎「そんな!?」ウルウルッ、ガーーン

巨大猫「……」

幼馴染み「……」

銀次郎「くっ……」ウルウルッ

半魚人「お前、本当に馬鹿な奴だ」

半魚人「鴨が葱背負って来たと言うのは、まさにこの事だな」

銀次郎「……」ポロポロッ

巨大猫「まぁ、人生何があるかは、本当に誰にも分からん」

巨大猫「妾も、人間達に捨てられた時は、そんな感じだった」

巨大猫「じゃが、今の妾は自力のみで生きておる」

巨大猫「今そなたの周りにおる者達は、皆、自力のみで生きておるのじゃ」

銀次郎「……」

188: 2013/05/07(火) 07:51:38 ID:hCsDoUQM
巨大猫「じゃから、そなたも自力で何か食料を手に入れてみよ」

巨大猫「それさえ出来れば、後は自然と慣れてくる」

巨大猫「後、今日の内に食料を手に入れる事が出来なければ、そなたが待つのは氏のみじゃ」

巨大猫「妾達は、先に拠点に戻っておる」

巨大猫「そなたの健闘を祈っておるぞ」

幼馴染み「それじゃあな」

半魚人「……」

銀次郎「……」ポロポロッ

スッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

ザザーーン、ザザーーン……

ザザーーン、ザザーーン……

189: 2013/05/07(火) 07:54:18 ID:hCsDoUQM
銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

ザザーーン、ザザーーン……

ザザーーン、ザザーーン……

190: 2013/05/07(火) 07:54:33 ID:hCsDoUQM
銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

ザザーーン、ザザーーン……

ザザーーン、ザザーーン……

191: 2013/05/07(火) 07:54:50 ID:hCsDoUQM
数時間後――

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ストン……

192: 2013/05/07(火) 07:55:07 ID:hCsDoUQM
巨大猫「そなた、まだ生きておるか?」

巨大猫「もう、そなたは氏んだのか?」

銀次郎「……」

巨大猫「どうやら、まだ生きておる様じゃな」

巨大猫「そなたは、もう既に二食も抜いておるのか?」

銀次郎「……」

巨大猫「そこで、倒れていても誰も助けてはくれない」

巨大猫「自然と、食料はやっては来ない」

銀次郎「……」

巨大猫「まぁ、そなたが氏を望むのなら、それでも構わん」

巨大猫「いずれ、そなたの家がエルフのものとなる」

巨大猫「今度こそ、今のそなたには何も残らず、ただただ泣いているばかり」

巨大猫「そんな事では、人どころか猫としても生きていけない」

ザザーーン、ザザーーン……

ザザーーン、ザザーーン……

193: 2013/05/07(火) 07:55:24 ID:hCsDoUQM
銀次郎「お前、何しに来た?……」

銀次郎「お前まで、俺の事を嘲笑いに来たのか?……」

巨大猫「……」

銀次郎「なぁ、何かお前は持ってないか?……」

銀次郎「食料は、お前はどうやって手に入れているんだ?……」

巨大猫「……?」

銀次郎「思えば、この島は色々とおかしい……」

銀次郎「普通に考えたら、結構おかしい……」

銀次郎「お前の存在そのもの自体が、おかしいんだが……」

巨大猫「どの様に?」

銀次郎「この島では、自力で食料を手に入れれば良いんだよな?……」

銀次郎「それは、奪うか買うか自然のものを手に入れるか……」

銀次郎「今の俺の場合、あるのは現金1000円のみ……」

銀次郎「ここでは、現金はあまり意味をなさない……」

巨大猫「それで?」

194: 2013/05/07(火) 07:55:36 ID:hCsDoUQM
銀次郎「皆、俺に対してこう口を揃えていた……」

銀次郎「自力で、食料を手に入れろ……」

銀次郎「今のお前は、ただの穀潰しだ……」

銀次郎「お前なんて、生きる価値すらないってな……」

巨大猫「……」

銀次郎「だから、俺は色々と考えたんだ……」

銀次郎「これは、何かのドッキリじゃないのか?……」

銀次郎「そうやって、皆して俺の反応を見る……」

銀次郎「それ次第では、日本に戻れるってな……」

巨大猫「……」

銀次郎「お前、俺を監視しに来たんだろ?……」

銀次郎「皆して、俺の事を監視してんだるんだろ?……」

銀次郎「今のお前、本当に化け猫の一種なのか?……」

銀次郎「あの半魚人みたいに、この世に存在しているのか?……」

巨大猫「ああ、そうじゃが」

195: 2013/05/07(火) 07:55:48 ID:hCsDoUQM
銀次郎「なら、どこで生まれた?……」

銀次郎「お前のその姿、着ぐるみとかじゃないのか?……」

巨大猫「いや、違う」

銀次郎「なら、本当にお前は何なんだ?……」

銀次郎「何か役目があるなら、少しはヒントくらい出せ……」

巨大猫「……」

銀次郎「ん? どうした?……」

銀次郎「今のお前、何も言われてきてないのか?……」

巨大猫「……」

銀次郎「……」

巨大猫「そんなに、ヒントが欲しいのか?」

巨大猫「ここ最近の若い者は、謎解きの一つもろくにせんのか……」

銀次郎「……」

巨大猫「なら仕方なく、今のそなたに一つだけヒントをくれてやる」

巨大猫「しかと、よく聞け」

196: 2013/05/07(火) 07:56:21 ID:hCsDoUQM
巨大猫「ヒントは、この島にある山の上じゃ」

巨大猫「そこに、そなたを手助けしてくれる道具が隠されておる」

銀次郎「!?」

巨大猫「じゃが、それは本日の夜になれば回収されるぞ」

巨大猫「勿論、そなたの乗ってきた車と共に」

銀次郎「!?」ガーーン

巨大猫「この島では、上陸二日目の内に自力で食料を手に入れられない者は、皆、氏んでいくのじゃ」

巨大猫「妾の目の前では、数多くの穀潰し達が氏んでいった」

巨大猫「それだけでなく、この山の上にある道具すらろくに手に入れる事が出来ず、皆、山を登る前に挫折」

巨大猫「そうして、皆が無駄に命を散らしていってしもうたのじゃ」

銀次郎「……」

巨大猫「後、誰かから食料を奪うのも止めておけ」

巨大猫「特に、半魚人だけはな」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ……

197: 2013/05/07(火) 07:56:50 ID:hCsDoUQM
巨大猫「さて、妾ももう戻るとするか」

巨大猫「妾の役目は、もう果たした事じゃし」

銀次郎「……」

巨大猫「銀次郎。早く行くなら、早く行け」

巨大猫「そなたは、まだ生きていたいのじゃろ?」

巨大猫「ほぼ毎日の様に、自分自身の人生を酷く悲観しておるが」

巨大猫「今のそなたは、まだまだ生きたいと自身の心のどこかでそう思っておる」

巨大猫「違うか?」

銀次郎「……」

巨大猫「今の妾は、そなたの気持ちを分からなくはない」

巨大猫「じゃが、皆が優しくそなたに接してくれるには、穀潰しでなくなれば良い事なのじゃ」

巨大猫「今のそなたに、それが出来るか?」

巨大猫「ニートからニードへと、せめて一文字くらいは変える事ができるじゃろう」

銀次郎「!?」

シュタッ、スタスタッ、クルッ……

198: 2013/05/07(火) 07:57:07 ID:hCsDoUQM
巨大猫「では、健闘を祈る」

巨大猫「妾は、そなたに言われた通りにヒントを出した」

巨大猫「後は、自分自身の力で何とかしろ」

巨大猫「妾の役目は、もう終わりじゃからな」

銀次郎「……」

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

ムクッ、シュタッ……

パンパン、パンパン……

銀次郎「……」

銀次郎「……」

銀次郎「とりあえず、山に行ってみるか……」

銀次郎「そこに、何かあるみたいだし……」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ……

199: 2013/05/07(火) 14:10:36 ID:hCsDoUQM
~無人島・山道~

その頃――

NGO「これ、どうすっか?」

NGO「このまま放置しとくのも、ただ不気味なだけだよな」

幼馴染み「ええ、そうですね」

NGO「記者、ナイフ持ってるか?」

NGO「これ、仕方なく今から下ろしといてやるわ」

首吊り氏体「……」

記者「でも、これを僕達の手でやらなくても」

記者「これは、もう警察か軍の仕事です」

記者「元々、彼らは生きる価値のない人間」

記者「まぁ、氏んでからも誰かに迷惑を掛けっぱなしですけどね」

NGO「ああ、そうだな」

幼馴染み「そうですね」

首吊り氏体「……」

200: 2013/05/07(火) 14:10:48 ID:hCsDoUQM
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

エルフ「!?」

エルフ「なっ、何これ!?」

首吊り氏体「……」

NGO「ん? エルフか?」クルッ

NGO「お前でも、そんな声出るんだな」

エルフ「……どう言う意味よ?」

NGO「ただ単に、そう思っただけだ」

NGO「これ、今から下ろしてやった方が良いか?」クイクイッ

首吊り氏体「……」

エルフ「いや、下ろさなくても良いでしょ」

エルフ「これ、明らかに私達の仕事の範囲を越えてるし」

エルフ「そのまま、ほっといても良いんじゃない?」

201: 2013/05/07(火) 14:11:02 ID:hCsDoUQM
記者「いや、それだと後で困りますよ」

記者「この氏体、氏後一日は経過してますよ」

首吊り氏体「……」

記者「だから、早い内に海に流しておきましょ」

記者「その方が、絶対良いと思いますし」

NGO「同感だ」

幼馴染み「なら、あいつに下ろさせましょう」

幼馴染み「なんか、あいつがこっちに向かって来てる様です」

幼馴染み「適当に、カップヌードル一つやると言えば、飛び付くかもしれません」

幼馴染み「まぁ、それをやらなくても、今のあいつじゃ何も出来ません」

幼馴染み「あいつは、本当にただの穀潰しですからね」

記者「ああ、そうだね」

エルフ「……」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ……

202: 2013/05/07(火) 14:11:14 ID:hCsDoUQM
NGO「よし、なら適当に誰かあいつ誘導をしてこい!」

NGO「今のあいつ、かなり空腹だ!」

NGO「少なくとも、すんなりと俺達の言う事には従順なはずだ!」

首吊り氏体「……」

エルフ「なら、私が言ってくるわ」

エルフ「すぐに、あいつは来るみたいだから」

幼馴染み「あ」

NGO「なら、エルフにあいつの事を任す」

NGO「記者、幼馴染み、行くぞ」

NGO「それじゃあ、後の事は任せたな」

エルフ「了解」

記者「後頼むね」

幼馴染み「……」ペコッ

エルフ「……」

クルッ、スタスタスタッ……

203: 2013/05/07(火) 14:11:25 ID:hCsDoUQM
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、チラッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

銀次郎「……」ジーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

銀次郎「……」ジーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ「キモッ!」

銀次郎「……」ビクッ

エルフ「……」

銀次郎「……」

エルフ「あんた、今暇?」

エルフ「もし暇なら、ちょっと手伝ってほしい事があるんだけど」

銀次郎「え? はぁ……」

エルフ(……大丈夫かしら?)

204: 2013/05/07(火) 14:11:36 ID:hCsDoUQM
銀次郎「それで、この俺に何を?……」

銀次郎「と言うか、空腹であまり無駄な体力は、使いたくないんですが……」

首吊り氏体「……」

銀次郎「……」ハッ

エルフ「……」クイクイッ

銀次郎「ああ、ああああっ……」

銀次郎「ああああ、ああああっ………」

銀次郎「あんぎゃああああああああ――――――――っ!?」

エルフ「!?」

銀次郎「なっ、何なんですか!?」

銀次郎「あれ、一体何なんですか!?」

首吊り氏体「……」

エルフ「何って、首吊り氏体だけど」

エルフ「他に、一体何があると言うの?」

フラッ、ドサッ……

205: 2013/05/07(火) 14:12:07 ID:hCsDoUQM
銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

エルフ「とりあえず、あんたあの首吊り氏体を下ろしてあげて」

エルフ「それやってくれたら、カップヌードルを一つあげるわ」

銀次郎「!?」ガーーン

首吊り氏体「……」

エルフ「だから、さっさとしてくれる?」

エルフ「今のあんた、空腹なんでしょ?」

エルフ「あれ下ろした後、船まで運んで海に流しといて」

エルフ「それくらい、今のあんたはやってくれるんでしょ?」

首吊り氏体「……」

206: 2013/05/07(火) 14:12:18 ID:hCsDoUQM
エルフ「あれ? どうかしたの?」

エルフ「まさか、出来ないとでも言うの?」

銀次郎「……」コクコクッ

エルフ「あんた、それしないと食料が手に入らないわよ」

エルフ「そう簡単に、この島で食料が手に入るとでも思ってるの?」

首吊り氏体「……」

エルフ「だから、あんたにこれ任せたわね」

エルフ「私、これから用があるの」

エルフ「偶々、ここへ今のあんたがやって来たんだし」

エルフ「これはこれで、何かの巡り合わせかもしれないわね」

首吊り氏体「……」

銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

エルフ「……」ジーーッ

207: 2013/05/07(火) 14:12:49 ID:hCsDoUQM
更に数分後――

銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

208: 2013/05/07(火) 14:15:40 ID:hCsDoUQM
「おや、銀次郎」

「そなた、そこで何しておる?」

「もう今のそなたは、挫折してもうたのか?」

「まだ、山にすら入ってまもないが」

銀次郎「……」ハッ、クルッ

巨大猫「……」

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

ピタッ、ストン……

首吊り氏体「……」

銀次郎「……」

巨大猫「……」ハッ

首吊り氏体「……」

銀次郎「……」

巨大猫「……」ジーーッ

首吊り氏体「……」

209: 2013/05/07(火) 14:15:51 ID:hCsDoUQM
巨大猫「おおっ……」

巨大猫「これは、これは……」

巨大猫「今そこにいる女は、未来のそなたじゃ」

巨大猫「明日の朝、そなたもこの女の様に自ら命を絶つであろう」

首吊り氏体「……」

巨大猫「それで、下ろしてやるのか?」

巨大猫「今のそなたは、そこにおるエルフに何か頼まれたのではないのか?」

銀次郎「!?」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

エルフ「……」コクン

巨大猫「ほれ、早くしてやれ」

巨大猫「あの女は、今のそなたを必要としておる」

巨大猫「そなたの事、ずっと待っておるのじゃ」

巨大猫「それくらい、してやっても良いではないか」

首吊り氏体「……」

210: 2013/05/07(火) 14:16:02 ID:hCsDoUQM
巨大猫「銀次郎、早くしてやれ」

巨大猫「じゃないと、誰も食料を恵んではくれん」

銀次郎「!?」ガーーン

巨大猫「これも、そなたに対する試練なのじゃ」

巨大猫「ただただ、山に登るだけが試練なのではない」

首吊り氏体「……」

巨大猫「もし仮に、今のそなたがこれを処理してくれたら、妾がエルフと交渉してやろう」

巨大猫「せめて、本日の食事分くらいは譲ってやれ」

巨大猫「それくらい、嫌な仕事をしたのじゃから、その報酬としてはなっと」

巨大猫「どうじゃ?」チラッ

エルフ「……」コクン

銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

エルフ「……」ゴクリ

211: 2013/05/07(火) 14:16:15 ID:hCsDoUQM
銀次郎「おい、巨大猫……」

銀次郎「本当に、しなきゃいけないのか?……」

銀次郎「普通、あんな事なんかさせないだろ……」

銀次郎「今のお前ら、完全に狂ってる……」

銀次郎「お前ら、やっぱおかしいだろ?……」

銀次郎「皆、こんな嫌がらせをしていて楽しいのか?……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

巨大猫「じゃが、それをしないと本日の夕食はなしになるぞ」

巨大猫「そなた、今日は一日食事抜きでいくのか?」

銀次郎「!?」ビクビクッ

巨大猫「せっかく、妾がエルフと話をつけてやったのに」

巨大猫「これも、試練の一つじゃと言うのに」

巨大猫「本当に、困った奴じゃな」

銀次郎「黙れ!」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

212: 2013/05/07(火) 14:16:26 ID:hCsDoUQM
エルフ「あんた、早くしてよ」

エルフ「私、あんたが終わるまで、そのまま見てなきゃならないんだけど」

銀次郎「!?」

エルフ「じゃなきゃ、山の上にある道具回収するわよ」

エルフ「あんたが嫌なら、他の奴等に頼むだけなんだけど」

巨大猫「……」

銀次郎「なら、最初からそうしろよ……」

銀次郎「人の食料奪っといて、何が試練なんだよ……」ビクビクッ

エルフ「……」

銀次郎「お前、こんなのやってて楽しいのか?……」

銀次郎「他人から奪った食料を子供に与えて、本当にそれが正しい選択なのか?」ビクビクッ

巨大猫「……」

エルフ「ええ、正しいわ」

エルフ「どの道、あんたは氏ぬ運命なの」

エルフ「それが分かってて、私達はあんたから食料を奪ったんだから、何か問題ある?」

213: 2013/05/07(火) 14:16:37 ID:hCsDoUQM
エルフ「それに、力がない者は何もする事が出来ずに、ただただ氏んでいくだけ」

エルフ「私も、以前はあんたと同じだった」

エルフ「だから、あんたの今の気持ちは痛い程分かる」

エルフ「と言っても、私はあんた以上の生き地獄を、嫌と言う程と子供の頃から何度も何度も味わってきたんけど」

銀次郎「……何?」ビクビクッ

エルフ「あんた、自分がどれだけ恵まれていたかが、まだ分からないの?」

エルフ「今のあんた、もう親も故郷も国籍すら失ってるのよ」

エルフ「それだけでなく、あんたはまだそんな感じなんだ」

エルフ「そんなんだから、あんたは親にも故郷に国にすら捨てられてしまうのよ」

銀次郎「……」ビクビクッ

エルフ「おまけに、今のあんたはただの穀潰し!」

エルフ「本当に、生きる価値すらない!」

エルフ「やっぱり、あんたみたいな人間は大嫌いだわ!」

エルフ「本当に、何でこんな奴なんかを支援しなきゃいけないんだか」

銀次郎「……」ビクビクッ

214: 2013/05/07(火) 14:16:48 ID:hCsDoUQM
巨大猫「のぅ、エルフ」

巨大猫「そなたも、かっかするな」

巨大猫「ほれ、早く銀次郎もやってやれ」

巨大猫「せっかく、妾がエルフと話をつけてやったんじゃ」

巨大猫「早く、あの女の為にやってやるんじゃ」

首吊り氏体「……」

巨大猫「銀次郎。早く、やってやれ」

巨大猫「じゃないと、そなたは今日も食事抜きじゃ」

巨大猫「それが嫌なら、早くやってやれ」

巨大猫「これは、そなたに課せられた試練なのじゃ」

銀次郎「……」ビクビクッ

首吊り氏体「……」

ムクッ、シュタッ……

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ……

215: 2013/05/07(火) 14:17:03 ID:hCsDoUQM
銀次郎「……」

エルフ「……」

巨大猫「……」

首吊り氏体「……」

銀次郎「……」

エルフ「……」

巨大猫「……」

首吊り氏体「……」

ダッ、タダダダッ……

巨大猫「おっ」

ダダダダッ、ダダダダッ……

エルフ「……」ゴクリ

ダダダダッ、ダダダダッ……

巨大猫「ん?」

エルフ「あらっ?」

216: 2013/05/07(火) 14:17:13 ID:hCsDoUQM
巨大猫「……」

エルフ「……」

首吊り氏体「……」

巨大猫「……」

エルフ「……」

首吊り氏体「……」

巨大猫「あいつ、氏体無視して行きおったな」

巨大猫「本当に、困った奴じゃ」

エルフ「……ええ、そうね」

首吊り氏体「……」

エルフ「これ、仕方ないから私が片付けるわ」

エルフ「あんたは、先に山に登っといて」

エルフ「私、これ先に処理しとくから」

巨大猫「うむ。了解した」

首吊り氏体「……」

220: 2013/05/08(水) 06:04:27 ID:Zq/sUNRI
~無人島・山頂~

その日の夕方――

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

ピタッ、キョロキョロ……

キョロキョロ、キョロキョロ……

巨大猫「……」

巨大猫「……」

巨大猫「……」

巨大猫「まだ、来てなんだか……」

スッ、クルッ……

巨大猫「……」

巨大猫「……」

巨大猫「……」

巨大猫「……」

221: 2013/05/08(水) 06:04:38 ID:Zq/sUNRI
巨大猫「あ奴、かなり遅いな……」

巨大猫「一体、何をしているのやら……」

シーーーーン……

巨大猫「エルフ、そこにおるか?」

巨大猫「まだ、氏体の処理をしておるのか?」

シーーーーン……

巨大猫「どうやら、まだな様じゃな……」

巨大猫「本当に、あ奴は何をしておるんじゃか……」

スッ、ストン……

巨大猫「……」

巨大猫「……」

キラン、シューーーーッ……

巨大猫「む?」

シュタッ……

エルフ「……」

222: 2013/05/08(水) 06:04:49 ID:Zq/sUNRI
エルフ「あれ? あいつは?」

エルフ「あいつ、まだ来てないの?」

巨大猫「その様じゃ」

エルフ「……」キョロキョロ

エルフ「……」キョロキョロ

巨大猫「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、キョロキョロ……

エルフ「……」

巨大猫「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、キョロキョロ……

エルフ「……」

巨大猫「……」

エルフ「やっぱり、まだ来てない」

223: 2013/05/08(水) 06:05:08 ID:Zq/sUNRI
巨大猫「エルフ。そなた、ここに来る途中にあ奴の事を見なかったのか?」

巨大猫「ここに来るには、あの山道を通るしか道はない」

巨大猫「それ以外に、あ奴はどこへ行ってしもうたのじゃ」

巨大猫「妾は、あの後のあ奴の姿を全く見てはおらん」

エルフ「……」

巨大猫「それに、妾がここに来た時には誰もいなかった」

巨大猫「もし仮に、ここに来ていたのならば、すぐに会うはず」

巨大猫「じゃが、あ奴はここから姿を消した」

巨大猫「まさかとは思うが、あ奴はここから飛び降りたのではないか?」

エルフ「……」

巨大猫「そう考えれば、自然と納得が行く」

巨大猫「あ奴は、かなり空腹じゃった」

巨大猫「ここで暮らすくらいなら、氏んだ方がマシじゃとそう感じたのかもしれんし」

巨大猫「今のあ奴なら、自然とそう考えるかもしれぬのだからな」

スッ、ピッ、ピッ……

224: 2013/05/08(水) 06:05:21 ID:Zq/sUNRI
エルフ「いや、そんな事ないわ」

エルフ「あいつ、まだ生体反応がある」

巨大猫「!?」

エルフ「なんか、ここに来たのは良いんだけど、例の道具が見つからなかったみたいでね」

エルフ「わざとこの近くに隠れて、私達の出方を窺っているみたい」

巨大猫「何じゃと!?」

銀次郎「……」

巨大猫「それで、あ奴は今どこに?」

巨大猫「一体、どこに隠れとるのじゃ?」

銀次郎「……」

エルフ「そこの、物凄く真新しい大きな石」

エルフ「それに、今のあいつはその中に隠れてるみたいでね」

エルフ「今のあいつは、完全に頭がよく回ってない」

エルフ「まぁ、発信器を仕掛けられていた事については、気づいていたかもしれないけどね」

銀次郎「……」ハッ

225: 2013/05/08(水) 06:05:51 ID:Zq/sUNRI
巨大猫「これ、銀次郎。早く出てこい」

巨大猫「そこに、そなたが隠れておるのは分かっておる」

巨大猫「でなければ、今のそなたに道具を渡せぬぞ」

巨大猫「それが欲しければ、早く妾達の前に姿を見せよ」

エルフ「……」

銀次郎「……」

スッ、ビリビリッ……

巨大猫「……?」

ビリビリッ、ビリビリッ……

スッ、スタスタッ……

シュタッ、クルッ……

銀次郎「……」

巨大猫「おおっ、よく出てきた」

巨大猫「そなたにしては、やけに素直じゃな」

エルフ「……」

226: 2013/05/08(水) 06:09:24 ID:Zq/sUNRI
巨大猫「では、そなたに道具を渡すとしよう」

巨大猫「その前に、そこに置いといた水を飲め」

巨大猫「今のそなた、喉が乾いていよう」

巨大猫「ささっ、遠慮なくそこのベンチの上にある水を飲め」

銀次郎「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スッ、キュルキュル……

巨大猫「……」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

銀次郎「ふぅ……」

巨大猫「……」

エルフ「……」

銀次郎「それで、道具は?」

銀次郎「一体、何を渡してくれるんだ?」

227: 2013/05/08(水) 06:09:36 ID:Zq/sUNRI
エルフ「その道具と言うのは、この島で生きる上で必要な物よ」

エルフ「ほらっ、あんたの連れや子供達が首に掛けてたでしょ?」

エルフ「今から渡すのが、そのIDカード」

エルフ「それがなきゃ、あんたはこの島で定期的に行われる配給を受ける事は出来ない」

エルフ「その代わりに、この島での雑務に従事して貰う」

銀次郎「!?」

エルフ「今まで、皆があんたに冷たかったのは、それを持ってなかったからよ」

エルフ「そのIDカードを貰うには、いくつかの条件があるの」

エルフ「その一つ目が、自力で食料を手に入れる事」

エルフ「二つ目が、この島の山頂にある道具を手に入れる事」

エルフ「最後に三つ目が、あんた自身がすぐに改心をし、皆の雑務を手伝う代わりにこれを手に入れる」

エルフ「それが、今からあんたに渡すIDカードを手に入れる為の条件」

エルフ「この島では、二日目までにそれを手に入れれられなかったら、あんたはもう氏ぬしかない」

エルフ「皆、それがなかなか出来ずに、早々と氏んじゃってた訳」ニッコリ

銀次郎「……」

228: 2013/05/08(水) 06:09:48 ID:Zq/sUNRI
エルフ「それで、あんたはどうするの?」

エルフ「今後は、この島でちゃんと雑務に従事してくれるの?」

巨大猫「……」

エルフ「それをしなかったら、今から渡すIDカードは没収されるわ」

エルフ「あんたの連れも、それをしていたからこの島で生きていられるの」

銀次郎「……」

エルフ「もし仮に、それを破った場合には、あんたは問答無用で殺されるわ」

エルフ「せっかく、この島で生きていける権利を手に入れれたのに」

エルフ「わざわざ、その権利を自ら手放す様な真似だけは、絶対にしない方が身の為よ」

巨大猫「……」

エルフ「だから、あんたはちゃんと雑務をこなしてね」

エルフ「それさえしてくれたら、まずはあんたから奪った食料を返してあげる」

エルフ「と言っても、明日の朝に全てを引き渡すんだけど」

エルフ「今ある分は、あんたから奪ったMREレーションくらいしか、もうないのよね」

エルフ「皆、NGOやあんたの連れが自分で食べちゃっていたから」

229: 2013/05/08(水) 06:10:19 ID:Zq/sUNRI
巨大猫「じゃあ、なにか?」

巨大猫「あ奴ら、本当に銀次郎の事を頃すつもりじゃったのか?」

エルフ「ええ、そうよ」

銀次郎「!?」ガーーン

巨大猫「……」

エルフ「まぁ、あのNGOならすぐに食いついたでしょ」

エルフ「元々、あのNGOは色々と問題を起こしてた」

エルフ「日本では、よくニートを支援する民間団体とよく揉めててね」

エルフ「ニートを社会復帰させる為の団体なのに、よく自分からいちゃもん付けて周囲とトラブルを引き起こしてた訳」

銀次郎「……」

エルフ「じゃなきゃ、今のあいつがここにいる訳ないわよ!」

エルフ「あいつ、何度も日本ではニートを殺そうとしていたから!」

銀次郎「え?」

巨大猫「何じゃと!?」

スッ、ポトッ……

230: 2013/05/08(水) 06:10:31 ID:Zq/sUNRI
エルフ「あんた達、何も気づかなかった?」

エルフ「あいつ、この島では結構な数のニートを、この手で頃してしまってるのよ」

銀次郎「!?」ガーーン

エルフ「その中でも、今のあんたがかなりカモだったわ」

エルフ「まさか、1000万近くするキャンピングカーに乗って、この島に来るとは全く思ってもみなかったし」

銀次郎「……」

エルフ「それだけならまだしも、あんたの持つ車の中から約数週間分の食料まで出てきちゃってね」

エルフ「それを見たあいつは自身の役目すら忘れて、あんたの殺害を記者達と共に計画をしてしまっていた訳」

銀次郎「……」

巨大猫「……」

スッ、ゴソゴソッ……

チラッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スッ……

エルフ「はい」

231: 2013/05/08(水) 06:10:43 ID:Zq/sUNRI
エルフ「とりあえず、あんたにこれを渡しておくわ」

エルフ「これさえあれば、あんたはもうあいつらからの嫌がらせを受けずに済む」

エルフ「あんたから私が奪ったMREレーションは、ちゃんと保管してるわ」

エルフ「まずは、それを先に返してあげる」

エルフ「それなら、何もあんたは文句はないでしょ?」

巨大猫「……」

銀次郎「これ、受け取って良いのか?……」

銀次郎「あんた、俺の事が嫌いだったんじゃなかったのか?……」

巨大猫「……」

エルフ「ただ単に、私は自身の役目を果たしているだけよ」

エルフ「早く、これを受け取ってくれないかしら?」

銀次郎「……」

スッ、パサッ……

エルフ「……」

銀次郎「……」

232: 2013/05/08(水) 06:12:59 ID:Zq/sUNRI
巨大猫「うむ。これで、そなたの役目も終わったな」

巨大猫「後は、拠点に戻るだけか」

エルフ「ええ、そうね」

巨大猫「銀次郎。早速、拠点に戻るぞ」

巨大猫「皆にも、この事を知らせねばならん」

巨大猫「エルフ。無線で、全員に連絡」

巨大猫「銀次郎は、晴れて無事に道具を手に入れた」

巨大猫「本日から、正式なこの島の住民になれたとな」

銀次郎「!?」

スッ、カチッ……

ザザッ、ザザッ……

エルフ「こちら、エルフ(英語)」

エルフ「ターゲット。ミッション、クリア(英語)」

エルフ「本日より、ターゲットはこの島の住民となる(英語)」

エルフ「もうこれからは、彼に対する嫌がらせは絶対に止める様に(英語)」

233: 2013/05/08(水) 06:13:10 ID:Zq/sUNRI
ザザッ……

無線「……こちら、NGO。了解した」

無線「せっかく、良いカモが来たと思ってたのに……」

無線「おい、テメェら余計な事をしてんじゃねぇ!」

無線「そうだ、そうだ!」

銀次郎「!?」ガーーン

巨大猫「……」

エルフ「……」

ザザッ……

無線「それで、他に連絡は?」

無線「もう、無いのなら切っちまうぞ」

ザザッ……

エルフ「今から、私達も拠点に戻る!」

エルフ「あんた達、絶対にあいつには手を出しちゃダメよ!」

エルフ「特にNGO。次サボったら、あんた確実にクビだからね!」

234: 2013/05/08(水) 06:13:23 ID:Zq/sUNRI
ザザッ……

無線「へいへい、分かりましたよ」

無線「今後は、あいつに手を出さなきゃ良いんでしょ?」

無線「それと、まさかあいつに食料返せとか言わないよな?」

無線「あいつから奪った食料、全部食っちまったが」

銀次郎「!?」ガーーン

エルフ「ええ、そのまさかよ」

エルフ「ちゃんと、規定通りにあいつから奪った食料とかは、全て返してあげて頂戴」

エルフ「じゃなきゃ、あんた達二人はすぐ捕まるわ」

エルフ「この島の所有者は、一体誰だったか覚えてる?」

エルフ「それが嫌なら、さっさと全てあいつに弁償をしなさい」

エルフ「明日の朝、その分の食料を全部送ってきて貰うし」

エルフ「あんた達の給料から、ちゃんと天引きしておくからね」

ザザッ……

無線「ふざけんな!」

235: 2013/05/08(水) 06:13:34 ID:Zq/sUNRI
スッ、カチッ……

銀次郎「……」

巨大猫「……」

エルフ「ふぅ……」

スッ、ササッ……

巨大猫「もう、終わったのか?」

巨大猫「そうであれば、もう行くぞ」

エルフ「ええ、構わないわ」

銀次郎「……」

巨大猫「なら、もう行くとしよう」

巨大猫「所詮、あの二人は身から出た錆じゃ」

巨大猫「今まで、散々ニート達を頃してきたのじゃし」

巨大猫「そろそろ、あ奴らには退場をして貰うかのぅ」

エルフ「ええ、そうね」

銀次郎「……」

236: 2013/05/08(水) 06:13:46 ID:Zq/sUNRI
エルフ「とりあえず、もう行くわよ」

エルフ「今のあんた、もうこの島の住民になれたんだから」

銀次郎「……」

エルフ「まさか、まだ実感がないとか?」

エルフ「やっぱり、私みたいな女に認められても嬉しくはないのよね?」

銀次郎「……」

巨大猫「エルフ達。もう行くぞ」

巨大猫「今日は、夕方から雨が降る」

巨大猫「その前に、早く下るぞ」

巨大猫「あ奴ら、今度は何をしてくるかが分からぬからな」

エルフ「ええ、そうね」

銀次郎「……」

エルフ「二人とも、私の周りに集まりなさい」

エルフ「これから、拠点までワープしていくから」

銀次郎「!?」

237: 2013/05/08(水) 06:13:58 ID:Zq/sUNRI
巨大猫「エルフ。それならそうと、早くしてくれ」

巨大猫「拠点に着いたら、まずは半魚人と合流をする」

巨大猫「あ奴ら、この島で雇うにしてはかなり問題ありじゃな」

巨大猫「そろそろ、新しいあ奴らに変わるバイトが何名か必要じゃし」

巨大猫「親に捨てられたあの子供達だけでは、とても手が回らんからな」

エルフ「ええ、そうね」

銀次郎「なんだと!?」ガーーン

巨大猫「……」

スッ、トコトコトコッ……

トコトコトコッ、トコトコトコッ、ピタッ……

エルフ「二人とも、今から拠点にまでワープするわ」

エルフ「すぐ済むから、そのままちゃんとじっとしててね」

巨大猫「了解した」

銀次郎「……ああ、分かった」

エルフ「……」スッ、ブツブツ

238: 2013/05/09(木) 06:25:32 ID:WLorc.2I
~無人島・キャンピングカー前~

ヒタヒタヒタッ、ヒタヒタヒタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半魚人「ん? お前ら、どっか行くのか?」

半魚人「これから、雨が降るみたいだぞ」

ピタッ、ピタッ……

NGO「ああ、ちょっと夕飯の支度に」

NGO「なんか、急に貝が食いたくなったから、ちょっと取ってくるわ」

半魚人「ああ、そうか」

ガララッ、スタッ……

幼馴染み「なら、俺も行って良いっすか?」

幼馴染み「俺もちょうど、急に貝が食べたくなったんで」

半魚人「え?」

NGO「いや、お前はここに残っとけ」

NGO「もう時期、お前の連れが戻ってくる」

239: 2013/05/09(木) 06:25:46 ID:WLorc.2I
記者「だから、君達二人はそこで待っていてあげて」

記者「僕達も、すぐ戻ってくるから」

記者「なんか彼、ようやく例のIDカードを手に入れたらしくってね」

記者「だから、君達は先に歓迎をしといてあげて」

半魚人「了解した」

幼馴染み「はい。かしこまりました」

NGO「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半魚人「……」

幼馴染み「……」

半魚人「……」

幼馴染み「……」

シューーーーッ、シュタッ……

シュタッ、シュタッ……

240: 2013/05/09(木) 06:25:58 ID:WLorc.2I
エルフ「ふぅ、着いたわよ」

エルフ「どう? 生まれて初めてワープした気分は?」

巨大猫「……」

銀次郎「……」

エルフ「……」

巨大猫「……銀次郎」

銀次郎「……」ハッ、キョロキョロ

幼馴染み「あっ、お帰り」ハッ、クルッ

半魚人「結構、早かったな」ハッ、クルッ

銀次郎「ああ、まあな……」ピタッ

巨大猫「……」

幼馴染み「銀次郎。まずは、ミッションクリアおめでとう!」

幼馴染み「ようやく、俺達の役目も終わったみたいだな!」

幼馴染み「これで、俺達も気軽にお前と仲良く出来る!」

半魚人「ああ、そうだな!」

241: 2013/05/09(木) 06:26:09 ID:WLorc.2I
幼馴染み「それで、気分はどうだ?」

幼馴染み「やっぱり、まだ俺達の事を恨んでるのか?」

半魚人「……」

銀次郎「いや、もう良い……」

銀次郎「それより、NGO達は?……」

巨大猫「む? そう言えば」

半魚人「あいつらなら、今さっき出ていった」

半魚人「なんか、急に貝が食いたくなったそうでな」

半魚人「そんで、今さっき記者と共に出掛けてった」

半魚人「多分、あいつらお前と顔を合わすのが嫌だったんだろう」

半魚人「この中で、あいつら二人はやけにお前の事を最初から嫌っていたからな……」

幼馴染み「ああ、そうだな」

銀次郎「……」

幼馴染み「とりあえず、俺達の役目はもう終わりだ」

幼馴染み「これで、本当に安心して寝れる」

242: 2013/05/09(木) 06:26:21 ID:WLorc.2I
半魚人「元々、あいつら二人はニートを差別してるんだ」

半魚人「あいつら二人の所為で、この島では結構な数のニートが氏んだ」

銀次郎「……」

半魚人「俺は、この島には以前から住んでるんだ」

半魚人「丁度、ここに来てからもう今年で13年目」

半魚人「例の改正刑法が施行される前の段階で、俺は政府による極秘作戦に参加」

半魚人「その後、俺は今の様な半魚人としての姿にまで変化してしまい……」

半魚人「もう一生この島からは、出る事が出来なくなってしまったんだ」

銀次郎「……」

半魚人「銀次郎。お前も、この島に住むからにはこれだけは覚悟しておけ!」

半魚人「この島では、生半端な気持ちだけでは絶対に生きてはいけない!」

半魚人「今の俺達の故郷は、この島のみだ!」

半魚人「もう二度と、自身の親元や祖国にはもう戻れないんだ!」

ザザーーン、ザザーーン……

ザザーーン、ザザーーン……

243: 2013/05/09(木) 06:26:32 ID:WLorc.2I
半魚人「だから、特にあいつら二人にだけは注意しておけ!」

半魚人「今のあいつら、完全に今のお前の事を逆恨みしている!」

半魚人「後、子供達については、お前の乗ってきた車の中!」

半魚人「あの二人、中でまだ昼寝してるみたいでな!」

半魚人「だから、まだ少し寝かしといてやれ!」

銀次郎「ああ、了解した……」

幼馴染み「……」

巨大猫「さて、これから妾達も夕食の支度に取りかかるか」

巨大猫「妾も、少し漁に出てくる」

クルッ、トコトコトコッ……

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

半魚人「エルフ。俺も少し出掛けてくる」

半魚人「後の事は、任せたぞ」

エルフ「了解したわ」

銀次郎「いってらっしゃい……」

244: 2013/05/09(木) 06:30:38 ID:WLorc.2I
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ「……」

銀次郎「……」

エルフ「さて、私達も夕食の準備でもしますか」

エルフ「あんた、ちょっと中で子供達の様子でも見てきて」

銀次郎「へ~~い……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、カラララッ……

スッ、スタスタスタッ……

エルフ「……」スッ

エルフ「……」ブツブツ

エルフ「……」ブツブツ

シューーーーッ、ポン、ポ----ン!

245: 2013/05/09(木) 06:30:53 ID:WLorc.2I
カチャ、カチャ……

カチャ、カチャ……

スッ、ストンストン……

エルフ「ふぅ……」

スタスタッ、ストン……

ガラララッ、バタン……

銀次郎「エルフ。子供達はまだ寝てた」

銀次郎「これ、昨日もここにあったランプとかだよな?」

エルフ「ええ、そうよ」

テキパキ、テキパキ……

テキパキ、テキパキ……

銀次郎「これ、明らかに俺の車に積んであった物より良いやつ……」

銀次郎「つうか、雨に備えて天幕すら張ってあるし……」

スッ、ビリビリッ……

ビリビリッ、ビリビリッ……

246: 2013/05/09(木) 06:31:05 ID:WLorc.2I
銀次郎「それ、今晩の夕食か?」

銀次郎「MREレーションって、こんな風になってたんだ」

エルフ「……」

銀次郎「それで、俺の分は?」

銀次郎「それとも、これはあんたの分か?」

ビリビリッ、ビリビリッ……

エルフ「あんたの分なら、そこに出してあるわ」

エルフ「そこに積んでる二箱があんたの分」

エルフ「それと、12個入りのパンの入った袋二つも持っていって」

エルフ「それ、私があんたから奪った食料の全て」

エルフ「もし仮に、この島に食料を持ち込んだニートから食料を奪った場合」

エルフ「二日目の試練に合格したら、全て返還するのがこの島での規定だからね」

銀次郎「……」

スッ、キュルキュル……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

247: 2013/05/09(木) 06:31:36 ID:WLorc.2I
テキパキ、テキパキ……

銀次郎「……」

エルフ「……」

テキパキ、テキパキ……

銀次郎「……」

エルフ「……」

スッ、ストン……

エルフ「あんた、自分で作りなさいよ」

エルフ「もしかして、説明書が読めないのかしら?」

銀次郎「え? まあな……」

エルフ「……」

スッ、サッ……

銀次郎「ん? これは?」

エルフ「……」クイクイッ

銀次郎「……」ジーーッ

248: 2013/05/09(木) 06:31:52 ID:WLorc.2I
エルフ「あんた、視力悪いの?」

エルフ「この日本語訳、ちゃんと読める?」

銀次郎「え?」

エルフ「はぁ……車の中に度のあった眼鏡が置いてあったから、それ付けてきなさい」

エルフ「まさか、あんたがここまでバカだったとは」

エルフ「今の私、それがとても意外でもあったわ」

銀次郎「……」

エルフ「ん? どうしたのよ?」

エルフ「早く、これ受け取んなさいよ」

銀次郎「ああ、すまん……」スッ

パサッ、ペラッ……

銀次郎「……」ジーーッ

エルフ「……」

銀次郎「……」ジーーッ

エルフ「……」

249: 2013/05/09(木) 06:32:08 ID:WLorc.2I
銀次郎「これ、結構凄いな……」

銀次郎「付属のMREヒーターの熱と水だけで、火も使わずに調理出来るなんて……」

銀次郎「あんた、これいつ訳したんだ?……」

銀次郎「普通、日本語訳なんて付いてこないだろ?……」チラッ

スッ、ゴクゴクゴクッ……

エルフ「ああ、それね……」

エルフ「以前、ここにいた人が持っていたやつなのよ……」

エルフ「彼、MREレーションの説明書が読めなくてね……」

エルフ「仕方なく、パソコンで翻訳してプリントアウトしたんだって」

銀次郎「へぇ……」

エルフ「それ、あんたにあげるわ」

エルフ「私、ちゃんとコピーしてあるから」

エルフ「だから、あんたもそれ参考にして自分で作りなさい」

エルフ「この島では、ニート達は自給自足が原則なんだから」

銀次郎「へいへい……」

250: 2013/05/09(木) 06:34:15 ID:WLorc.2I
トゥルルルッ、トゥルルルッ……

トゥルルルッ、トゥルルルッ……

エルフ「……」

スッ、ストン……

トゥルルルッ、トゥルルルッ……

トゥルルルッ、トゥルルルッ……

スッ、カシャン……

エルフ「……」

「着信 葉菜美」

ピッ、ツーーッ……

エルフ「もしもし(英語)」

電話「あっ、お疲れさまです。エルフさん(英語)」

電話「昨日、お世話になりました葉菜美です(英語)」

電話「今、お時間の方は大丈夫でしょうか?(英語)」

エルフ「ええ、大丈夫ですけど(英語)」

251: 2013/05/09(木) 06:34:27 ID:WLorc.2I
電話「うちの元身内は、どうなりました?(英語)」

電話「当然、もう氏んでますよね?(英語)」

銀次郎「……」

エルフ「いえ、まだ氏んでませんよ(英語)」

エルフ「彼、今さっき帰還してきた所です(英語)」

電話「!?」

エルフ「それと、彼は我々が出した試練に合格をしました(英語)」

エルフ「今後は、我々が管理する島で雑務をして貰います(英語)」

エルフ「後、貴女から送られてきた例のキャンピングカーは、どう致しましょうか?(英語)」

エルフ「このまま、まだ島に置いておきますか?(英語)」

銀次郎「……」

電話「ええ、そのままでお願いします……(英語)」

電話「まさか、まだしぶとく生きていたなんて……(英語)」

電話「次こそは、確実に始末して下さい……(英語)」

電話「そうして頂けたら、物凄く嬉しいです……(英語)」

252: 2013/05/09(木) 06:34:58 ID:WLorc.2I
エルフ「ええ、分かっております(英語)」

エルフ「貴女のお気持ち、痛い程よく分かります(英語)」

銀次郎「……」

エルフ「それと、明日の朝に陸軍の一個小隊がヘリで上陸(英語)」

エルフ「島内に、ニート数名を新たに配備(英語)」

エルフ「多分、その時くらいに彼は行動を起こすと思われます(英語)」

エルフ「何故なら、彼はまだ日本に戻る事を諦めてはおりません(英語)」

エルフ「今の彼は、貴女に対する復讐の機会をじっと窺っているからです(英語)」

銀次郎「……」

電話「ええ、そうですか(英語)」

電話「明日の朝、新たな仲間が数人増えるのですか(英語)」

電話「なら、その時に適当な理由を付けて始末して下さい(英語)」

電話「それが終われば、他の家族の件もお願い致します(英語)」

電話「私の抱く復讐、まだ始まったばかりなんですから(英語)」

銀次郎「……」

253: 2013/05/09(木) 06:35:11 ID:WLorc.2I
エルフ「ええ、分かってます(英語)」

エルフ「その件につきましては、もう既に対処済みです(英語)」

エルフ「近々、貴女の腹違いの兄の元には、複数名の刺客達が嫌でも到着(英語)」

エルフ「彼女達は、皆、若くて美人な女達ばかり(英語)」

エルフ「彼女達を使って、貴女の兄は破産をさせます(英語)」

エルフ「しかも、せっかく手に入れた伍長と言う地位ですら、完全に失う程に(英語)」ニヤッ

銀次郎「!?」ビクッ

電話「……」ニヤッ

銀次郎「……」ビクビクッ

エルフ「……」ニヤニヤ

電話「成程。それは名案ですね(英語)」

電話「下手したら病気すら移されて、更には望まない妊娠すらさせてしまうと言う訳ですか?(英語)」

電話「案外、貴女も残酷ですね(英語)」

電話「まさか、貴女がもう既に手を打っていたとは……(英語)」ニヤニヤ

エルフ「ええ、それ程でも(英語)」ニヤニヤ

254: 2013/05/09(木) 06:35:42 ID:WLorc.2I
電話「なら、兄の事も貴女にお任せ致します(英語)」

電話「ただし、妹ちゃんについては以前お話した通りに、何もしないであげて下さい(英語)」

銀次郎「……」ビクビクッ

エルフ「ええ、かしこまりました(英語)」

エルフ「後の事は、我々にお任せ下さい(英語)」

エルフ「いずれ、彼には氏んで貰います(英語)」

エルフ「まぁ、それもそんな遠い話ではないのですけど(英語)」

エルフ「もう宜しいですか?(英語)」

電話「はい。もう宜しいです(英語)」

銀次郎「……」

エルフ「では、例の件はこちらから再びお電話を致します(英語)」

エルフ「貴女もまた、お気を付けて(英語)」

電話「はい。失礼致します(英語)」

ブチッ……

ツーーッ、ツーーッ、ツーーッ……

255: 2013/05/09(木) 06:35:53 ID:WLorc.2I
銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

エルフ「……」

銀次郎「……」ビクビクッ

銀次郎「……」ビクビクッ

エルフ「……」

スッ、ピッ、カシャン……

スッ、ストン……

エルフ「ん?」

銀次郎「……」ビクビクッ

エルフ「あんた、早く自分で作りなさいよ」

エルフ「せっかく、日本語訳も渡してあげたんだから、早く作りなさいよね」

銀次郎「はっ、はい」ビクビクッ

エルフ「……」

スッ、テキパキ、テキパキ……

256: 2013/05/09(木) 06:36:05 ID:WLorc.2I
~備蓄食料~

・MREレーション(米軍個人携行食)×0→23
・MRE補助増加食(パン)×0→23
・カップヌードル×0
・カ口リーメイト×0
・レトルトカレー×0
・白米(200g)×0
・乾パン×0
・天然水2L×0

※MREレーション(米軍個人携行食)とMRE補助増加食(パン)は、規定に基づき返還。
※カレー等は、NGO達が全て消費してしまってたので、三日目の朝には届く。

257: 2013/05/09(木) 06:36:23 ID:WLorc.2I
~無人島内でのルール~

①原則的に、ニートは自給自足であり、ニートに配給されるものは食料ではない。

②島内にニートが留まる場合は、滞在二日目に試練を受ける。その試練に合格出来なかったニートは、その翌朝に何らかの形にて殺害される。

③試練に合格をし、IDカードを配布されたニートは、島内での雑務に従事しなくてはならない。雑務に従事しないニートは、IDカードをすぐに没収。再発行は不可となり、何らかの形にて殺害される。

④島内から、ニートは出る事は出来ない。ニートが島内から脱走をした場合には、すぐに追跡をしその場で射殺される。

⑤ニートが持ち込んだ食料等は、管理者によって一旦は没収される。没収された後にニートは試練を受け、それに合格すれば没収された食料等はすぐに返還される。ただし、不合格の場合は返還する必要はない。

⑥ニートは、島内にいる指定された人物(エルフ、半魚人、巨大猫)及び未成年者に対して、犯罪行為等をしてはならない。指定された人物の中には、マスコミや政府関係者や支援団体の職員等も含まれおり、その指定された人物達に対して犯罪行為等を働いた場合は、すぐにその場で殺害される。

259: 2013/05/09(木) 10:49:43 ID:WLorc.2I
人によって、スタートラインが違います。

何も島に持ち込んでない場合は、自給自足の生活は出来ません。

幼馴染みと銀次郎は、島にキャンプ用品等を持ち込んでいた為、それらを使ってある程度は自給自足の生活が出来ます。

IDカードを手に入れて配給を受けられる様になっても、実際に配給される物は替えの衣類や日用品等の食料品でない物ばかり。

食料や道具や寝る場所等も自分で確保する必要があり、それが出来ない場合は自然と氏ぬか、奪うか、恵んで貰うか、物々交換をするくらいしか道はありません。

引用: 弟「また、姉さんが変なのを買ってきた……」