333: 2008/10/05(日) 02:43:29 ID:JEqz6XPX
ペリエイラーニャが出来たので投下します。
ペリーヌ→エイラーニャのようになってしまいましたが、よろしければどうぞ。
───
しまった、と思った瞬間にはもう遅い。目の前に立っている銀色の髪をした少女はうつむいて、
もしかしたら泣いているのかもしれなかった。
考えてみたらこの子は私よりも2つも年下で、まだ13歳の子供で。
脇をすり抜けて走り去って行く姿にただひたすら後悔する。なんで自分は、こんなにも考え無しなんだろう。
私まで泣きたくなって廊下に立ち尽くしたら、背後から突然背中をたたかれた。
「!?いった~~~!な、なんなんですの!?」
「ヨッ」
振り向いた顔のまま、固まる私。ニヤニヤと笑って私を見下ろしてくる長髪の彼女は、今一番会いたくなかった相手。
▽ ▽ ▽
「…」
「…」
しばらくお互い無言のまま、時が過ぎる。先ほどのやり取りを果たして彼女は見ていたのだろうか。
「…エイラさん?」
「ン?」
「あの、さっきの」
「ン~?なんダァ?」
わざとらしく首をかしげるのはとぼけているからなのか、それとも。
何も見ていないといいと思いながら、私は観念して言葉を重ね…ようとした。
「聞いていま」
「さっきのは、流石に言いすぎじゃナイカ、ペリーヌ」
上手く行かなかったのは言葉の途中で彼女の言葉か重ねられたから。ああ、やっぱり聞かれていたか。
先ほどと同じ後悔が2倍になって押し寄せた。おそらく、とてもとても怒っていることだろう。
この、エイラさんがサーニャさんに対して過保護なまでの態度をとる事は、部隊内でも周知の事実となっている。
「わ、わかっていますわよ、そんなの…」
返す言葉は、尻すぼみ。分かってる。ちゃんと分かってるのだ。さっきのことは、私が悪かった。
今日は出撃予定がなく、坂本少佐はブリタニアに出掛けている真っ最中で、私は暇をもてあましていて。
そこに珍しく、一人で廊下を歩いているサーニャさんを見かけたので、ただ『おはよう』と挨拶をするだけのつもりだった。
…ただ、返ってきた反応があまりにも薄くて、小さくて、それがなんとなく寂しかったから、悔しかったから。
だからつい、言葉に出てしまった。
『そんな声ではいるのかいないのかわかりませんわ。まるで幽霊みたいですのね』
と。
悪気がなかったか、と言えば嘘になる。私の放った言葉の中には確かに少しばかりの苛立ちが含まれていた。
でも、と思わず呟いてしまう。いまさら言い訳したってどうにもならないのに。
けど、でも、別に、私だってサーニャさんを嫌ってああ言ったわけじゃなかったのだ。
…「そんなことであんなに傷つくとは思わなかった」なんて重ねるのは、流石に無理があるとは思うけれど。
「み、みていらしたならサーニャさんを追いかければよかったのではなくて!?
…あなたを探していたんですのよ、きっと。」
ペリーヌ→エイラーニャのようになってしまいましたが、よろしければどうぞ。
───
しまった、と思った瞬間にはもう遅い。目の前に立っている銀色の髪をした少女はうつむいて、
もしかしたら泣いているのかもしれなかった。
考えてみたらこの子は私よりも2つも年下で、まだ13歳の子供で。
脇をすり抜けて走り去って行く姿にただひたすら後悔する。なんで自分は、こんなにも考え無しなんだろう。
私まで泣きたくなって廊下に立ち尽くしたら、背後から突然背中をたたかれた。
「!?いった~~~!な、なんなんですの!?」
「ヨッ」
振り向いた顔のまま、固まる私。ニヤニヤと笑って私を見下ろしてくる長髪の彼女は、今一番会いたくなかった相手。
▽ ▽ ▽
「…」
「…」
しばらくお互い無言のまま、時が過ぎる。先ほどのやり取りを果たして彼女は見ていたのだろうか。
「…エイラさん?」
「ン?」
「あの、さっきの」
「ン~?なんダァ?」
わざとらしく首をかしげるのはとぼけているからなのか、それとも。
何も見ていないといいと思いながら、私は観念して言葉を重ね…ようとした。
「聞いていま」
「さっきのは、流石に言いすぎじゃナイカ、ペリーヌ」
上手く行かなかったのは言葉の途中で彼女の言葉か重ねられたから。ああ、やっぱり聞かれていたか。
先ほどと同じ後悔が2倍になって押し寄せた。おそらく、とてもとても怒っていることだろう。
この、エイラさんがサーニャさんに対して過保護なまでの態度をとる事は、部隊内でも周知の事実となっている。
「わ、わかっていますわよ、そんなの…」
返す言葉は、尻すぼみ。分かってる。ちゃんと分かってるのだ。さっきのことは、私が悪かった。
今日は出撃予定がなく、坂本少佐はブリタニアに出掛けている真っ最中で、私は暇をもてあましていて。
そこに珍しく、一人で廊下を歩いているサーニャさんを見かけたので、ただ『おはよう』と挨拶をするだけのつもりだった。
…ただ、返ってきた反応があまりにも薄くて、小さくて、それがなんとなく寂しかったから、悔しかったから。
だからつい、言葉に出てしまった。
『そんな声ではいるのかいないのかわかりませんわ。まるで幽霊みたいですのね』
と。
悪気がなかったか、と言えば嘘になる。私の放った言葉の中には確かに少しばかりの苛立ちが含まれていた。
でも、と思わず呟いてしまう。いまさら言い訳したってどうにもならないのに。
けど、でも、別に、私だってサーニャさんを嫌ってああ言ったわけじゃなかったのだ。
…「そんなことであんなに傷つくとは思わなかった」なんて重ねるのは、流石に無理があるとは思うけれど。
「み、みていらしたならサーニャさんを追いかければよかったのではなくて!?
…あなたを探していたんですのよ、きっと。」
334: 2008/10/05(日) 02:44:59 ID:JEqz6XPX
見かけたサーニャさんはどこか心細そうで、誰かを探してきょろきょろを 辺りを見回していた。
それで傍らにエイラさんがいないとなれば、導き出される答えなんてひとつだ。
たぶん反応がひどく弱弱しいものだったのも、いつも一緒にいるエイラさんがいなくて心許なかったのだろう。
…自分の犯した失敗の尻拭いをさせるようで、とてもとても、申し訳ないけれども。
いまどこにいるのか分からないサーニャさんが今誰を求めているのかと言えば、それはやっぱりエイラさんでしかない、と思う。
エイラさんがサーニャさんを大切にしていることは誰でも知っているけれど、それと同じくらいにサーニャさんだってエイラさんの
事を頼りにしている。それだって、この部隊に所属するものなら誰でも知っていること。
「うん、そうだろうナァ」
けれど当のエイラさんは少し弱った顔をしただけで、立ち去る気配もなくただ私の目の前にいる。
それが不思議でたまらなくて、私は理由が分からずにただただ顔をしかめるだけ。
「だ、だから、さっさと行けばいいじゃありませんの!…サーニャさんが、寂しがりますわ。」
つい、つっけんどんに返してしまう。別に相手を嫌っていたりするわけじゃないのに、妙な苛立ちがいつも邪魔をする。
唇をかみ締めてうつむいて、早く行けと促した。本当は私こそが追いかけていって、サーニャさんに謝るべきなのに。
けれども一向に見える足元がきびすを返す素振りは無い。私の事をからかっているのかしら?言い返したいけどでも、
今の私にそんな権利はないだろう。
その、代わりに。
「…ペリーヌって、ほんっとうにツンデレだよナー」
「…は?」
「そんなんだから、みんなに『ツンツンメガネ』って言われるんだゾ」
「な、ば、」
くっくと笑う声がして顔を上げたら、やっぱりそこにそのままエイラさんはいた。
さきほどと変わらないニヤニヤ顔で、こちらを見返して肩を震わせている。
「ばかおっしゃい!そんな風に呼ぶのはあ、あなたぐらいですわっ!!」
「アレェ?そうだったっけ~?」
思わず言い返して噛み付いても、やっぱり崩れない余裕の表情。
私と同い年の癖に、一週間しか誕生日も違わないくせに、なんで!身長も、態度も、む、胸も!
そう言えばこの人がうろたえるのを、私はほとんど見た事がない気がする。いつも不思議な雰囲気をまとって、悠然と
戦場に立っている。スオムスのトップエースと言う通り名は伊達ではないようで、訓練のときはもちろん、実践でだって
彼女が被弾したのを見た事がない。それはエイラさんの持つ予知能力もあるのだろうけれど…それ以上に、きっと彼女は
もともと天性の状況判断能力を持っているのだろう、きっと。
そんな彼女がうろたえるのだとしたら…それは、一体どんな事なんだろうか。少し興味があるような気がする。
でもやはりサーニャさん関連なのだろうな、と分かってしまうのが少し恨めしいような。
だってそれは間違いなく、エイラさんにとっての弱点がサーニャさんだけであることの証だから。
「…けど、アリガトナ、ペリーヌ」
「…な、なんですの突然あらたまって」
「さっきサーニャに話しかけてくれたジャン。きっと、嬉しかったと思うヨ、サーニャも」
「…嬉しかった?」
「ウン。」
きっと突然話し掛けられてびっくりしたんだろうなあ、と肩をすくめてエイラさんは笑う。そして納得した。エイラさんが
いないことを加えてもやたらとおどおどとした反応だったのは、単に緊張していたからだったのだ、と。
「サーニャは他のみんなとすれ違いが多いからナ。本当はもっと、みんなと仲良くしたいんダヨ」
目を伏せながら呟くエイラさんの表情は…なんと言えばいいのだろう、とても、優しげだ。
それだけで伝わってくる。ああ、この人はものすごく、ものすごく、サーニャさんの事を気遣っているのだろう、と。
幸せものですわね、羨ましいわ。そんな気持ちが湧き起こるのは私の想いが一向に通じないからだろうか。
335: 2008/10/05(日) 02:47:18 ID:JEqz6XPX
それを本人の前で言えばいいのに、そうしたらサーニャさんはもっと喜ぶのに、なんて言ったってエイラさんは絶対に了承しないだろう。
気付いていらっしゃるのか知らないけれど、エイラさん、あなたが私のことを「ツンデレ」だとか言うのと同じくらい、
あなたも相当の意地っ張りですわよ?それはもう、私なんかに負けないくらいに。
「マ、その後の発言はともかくとシテ。」
「う゛、そ、それは~……申し訳ないと、思ってますわよ…」
「ちゃんと後でサーニャにも謝るんだゾ」
「わ、分かってますわ!」
「…ならイイヤ。じゃあ、わたしはサーニャのところ行くから」
その言葉とともに、ポン、と。頭に手が乗せられた。突然の事に驚いて彼女を見上げても、手に阻まれて表情は見えない。
「あんまり、キニスンナヨ?お前モ。」
ポン、ポン。あやすように、2回。軽く頭をはたいてエイラさんは去っていく。
思ってもみない人から思ってもみないことをされた驚きに口をパクパクさせたまま固まる私を残して。
(ああもう、本当に、むかつきますわ!)
顔が熱い。頭に血が上るのはきっと、腹が立っているからだ。間違いない。
(でも)
先ほどまで沈んでいた気持ちが、少し、ほんの少しだけ浮上していることに気がつく。
「気にするな」。その一言だけでなんだかひどく救われた気持ちになっている自分がいる。それがまた、悔しい。
同い年なのに!階級は私の方が上なのに!
…気がつけばいつだってそうだ。私が一人でぶつくさ言っていると現れておちょくって、また笑いながらいなくなる。
その行動に私はいつもやきもきさせられて、けれどもその後は不思議と元気になるのだ。
(ありがとう)
きっとエイラさんは直感的に感じたのだろう、私もまた落ち込んでいることに。彼女はこういうところ、無駄に人が良い。
だから大切な大切なサーニャさんを放ってまでまず私のフォローに回った。
けれどアリガトウ、なんて言ってやらない。だって私はどうせ『ツンツンメガネ』なのだ。それで、いい。
「あ~、ソウダ!」
ぼんやりと後姿を眺めていたら、突然エイラさんが叫んで、立ち止まって、振り向いた。
うっかり見ていてしまった事を悟られないように私は視線をはずす。もちろん相手がそれを気にする素振りはない。
「キニスルナ、ってのと、オマエがサーニャを泣かせたことは別物だからナ!!」
「…なっ…!!」
距離があってもすぐに分かるくらい、はっきりニヤリと笑うエイラさん。
頭がさぁっと冷えていく。嫌な予感がしてたまらない。さしずめ彼女の趣味のタロットで言うなら、「塔」辺りのカードを
突き出された気分。
「ななななな、なにするつもりですの~~~~~!!!」
「さぁて、何しようカナ~♪」
前言撤回。やっぱり、このエイラ・イルマタル・ユーティライネンはとんでもない魔女だ。スオムスの子悪魔だ。
「待ちなさい!待ちなさいったら!!」
「キニスンナ、大した事シナイッテ!」
エイラさんを追いかけながら、この現場をサーニャさんに見られてあとで散々文句を言われてしまえばいい、と私は
この同い年でいたずら好きな同僚に出来うる限りの呪いの言葉を吐いた。
───
以上です。エイラはいたずらし甲斐のあるペリーヌを気にいってて何かといじっていそうな気がします。
でも仲間想いとのことなので、きちんとフォローに回ってあげたりもしてたらいいなあ。
これで6話の「ツンツンメガネの言うことなんて気にすんなー」につながればいい。
341: 2008/10/05(日) 05:19:23 ID:EsAlmN3L
こんな時間におそれいりますな
wktkしてまってる
wktkしてまってる
引用: ストライクウィッチーズpart6
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